【アイマス】千早「東洲斎写楽の正体…?」【ギャラリーフェイク】 (43)

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千早「ここがギャラリーフェイク……」
千早「ここがギャラリーフェイク……」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1419497605/)
の続編的作品ですが、別に読んでなくても差し支えありません

千早が藤田から絵を買った事がある、という事だけ頭に入れておけば大丈夫です

それでは始めます

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1456985160

~とある音楽スタジオ、打ち合わせ室~

音楽プロデューサー(以下音楽Pと表記)「だからさぁ、千早ちゃんがバラードにこだわりたい気持ちも分かるけどね?」

千早「はぁ……」

音楽P「千早ちゃんには、もっとガーリーでポップな曲も歌ってほしいのよ、ウチとしては」

千早「……はぁ……」

音楽P「そうすりゃ世間のイメージだって変わるかもしれないでしょ?」

千早「……はぁ……」

音楽P「……はぁ~……」

二人は揃って溜息をついた。

~765プロ~

律子「千早とあのプロデューサーを組み合わせたのは失敗だったんじゃないですか?」

P「……かもなぁ……新しいイメージ展開が可能かと思って引き合わせてみたが……」

律子「あのプロデューサーは売り上げ至上主義ですから、歌にストイックな千早とじゃ、相性悪いですよ」

P「う~ん……千早には今以上に殻を破って欲しいんだが……」

律子「いつまでも『大晦日の奇跡』だけじゃやっていけないのは確かですけど……」

P「この仕事がいい気分転換になるかな?」

Pは企画書を机に置いた。
そこに千早が帰ってきた。

千早「ただいま帰りました」

P「お、おう、どうだった? 打ち合わせ……?」

千早「難しいですね……なかなか私の理想のイメージを伝えられなくて……」

P(ダメだこりゃ、平行線だな)

P「そんな千早に、新しい仕事の依頼が来ているぞ、歌以外の仕事で気が乗らないかもしれんが」

千早「どんな仕事ですか?」

P「TVの、アート関連の特集番組のリポーター兼MCだ」

千早「アート……」

~TV局、企画室~

千早「東洲斎写楽の正体に迫る、ですか?」

ディレクター(以下Dと表記)「そう、千早ちゃんも写楽は知ってるでしょ?」

千早「ええ、CMとかでも役者絵がよく使われてますよね」

D「そうなんだよ、多くの人を惹きつけるが、未だその正体は謎とされている浮世絵師!
  これにスポットを当てて謎を解明していこうという、浪漫溢れる番組なんだ!」

千早「それは……確かに興味深いですね」

D「ファンの間では、千早ちゃんが最近アートに興味を持っているのは周知の事実!
  それに、ミステリアスな雰囲気が、これから謎を解明していくってのに、ベストマッチしていると思うんだよね~!」

千早「う~ん……」

D「どう? やってみない?」

千早「そうですね……やってみたいと思います」

D「よっしゃ!」

D「考証についてなんだけど、既にマスコミ受けする人材に依頼してあるんだよ」

千早「どなたですか?」

D「美術界のジャンヌダルク、高田美術館の三田村小夜子館長だよ」

~高田美術館の一室~

 一目で写楽の物だと分かる役者絵が壁に掛けられ、三田村と千早がカメラの回っている中で会話を始める。

千早「これが写楽の役者絵ですか……本物なんですか?」

三田村「ええ、残念ながら、肉筆でも初摺りでもありませんが、現存する写楽の作品の中の貴重な一枚です」

千早「こうして写楽の作品の実物を見るのは、私、初めてです」

三田村「フフ……如月さんは、この版画の第一印象、どのように感じました?」

千早「こう言ってはなんですけど、デフォルメされてて……とてもコミカルに感じました」

三田村「そう、それが写楽の大きな魅力です。
    もっとも、デフォルメするあまり、モデルとなった役者達からは不評だったみたいですけどね」

千早「三田村館長は、写楽の正体について心当たりがあるというお話でしたが……?」

三田村「ええ、というか、写楽の正体は、既に解明されているんです」

千早「え?」

三田村「日本人に写楽の存在が認知されて以後、その正体は様々な推理作家や美術史家などによって推測されてきました」

千早「……」

三田村「北斎説、歌麿説、版元である蔦屋重三郎説、司馬江漢説など、その例を挙げれば枚挙に暇がありません」

千早「……」

三田村「ですが、現在、東洲斎写楽の正体は既に特定されています」

千早「ゴクリ……」

カメラが三田村に寄った。

三田村「写楽の正体……それは阿波蜂須賀藩のお抱えの能役者、斎藤十郎兵衛です!」

千早「!!」

三田村「これは、能役者の公式名簿や蜂須賀家の古文書、その他の文献により確認されています」

千早「では、写楽の正体は……その、斎藤十郎兵衛で間違いないのですか!?」

三田村「確定ではありません……ありませんが、これが最も有力で根拠のある定説です」

千早「……あ、あれ? じゃあ番組はここで終わりですか? なんだか呆気ないような……」

三田村「いえ、写楽にはまだ、正体以外にも謎が残っています」

千早「謎……?」

三田村「写楽は、寛政6年(1794)5月から、翌寛政7年(1795)3月までしか絵師として活動していないのです」

千早「え……? えーっと……たった10カ月!?」

三田村「はい、私は、写楽の正体を追うという時代錯誤な事をするよりも、この10カ月の短い活動期間の謎を追う事をお勧めします」

千早「は……はぁ……」

D「はいカット! いや~、緊迫感のあるいい画が撮れました。
  さすが美術界のジャンヌダルクですね~」

三田村「どうも……それで、これからどうなさるおつもり?」

D「三田村さん以外にも、歴史考証家なんかをしらみつぶしに当たって、その「10カ月の謎」を考証してみますよ。
  それで番組も成り立つでしょ」

千早「あ、あの……」

D「ん? 何? 千早ちゃん」

千早「個人的に、意見を伺ってみたい方がいるんですけど……」

三田村「あら、どなた?」

千早「御存知かどうか知りませんけど、ギャラリーフェイクっていうギャラリーのオーナーで、藤田さんっていう……」

三田村「Mr.フジタですって!?」

~ギャラリーフェイク~

藤田「ほうほう、それで私なんぞの所へいらっしゃったと」

サラ「お茶をドウゾ~」

三田村「ありがとう、サラちゃん……本来なら、こんないかがわしい場所にTVを連れて来たくなかったんだけど……」

千早「あの、なんだか、すみません……」

三田村「Mr.フジタ、あなた、如月さんに変な物を売りつけてたりしないでしょうね?」

藤田「フェイクと最初から知っていてフェイクを取引するのは、別に違法でもなんでもないでしょう?」シレッ

サラ(……実は千早ちゃんに売ったムンクの『月光』、ホンモノだけどねー……)

三田村「それでどうなの? Mr.フジタの意見は? 写楽=斎藤十郎兵衛説に異見でもあるかしら?」

藤田「……いや、別に異論ありませんな。
   写楽は斎藤十郎兵衛でほぼ決定でしょう」

三田村「……それでは、10カ月という短い創作期間については?」

藤田「写楽も、しょせん一発屋だったという事でしょうな」

千早「一発屋……?」

藤田「そう、写楽のデフォルメされた役者絵は、最初は江戸の民の度肝を抜いたかもしれませんが、単にそれまでの事。
   後が続かなくて、飽きられて、後が続かなかっただけでしょうよ。
   事実、写楽の活動後期の役者の立ち絵はそれほどウケなかった」

千早「……」

三田村「何だか教科書通りの答えね……?」

藤田「そうそう面白い事実なんて転がってませんよ、世の中には」

その時、ギャラリーの扉が開かれ、場違いな声が響いた。

???「フ、フジタしゃん! お久しぶりでごじゃる!」

藤田「お……? バカ一? バカ一じゃないか?」

バカ一「フ、フジタのギャラリーでヒロシゲ展をや、やってるって聞いて、来たでごじゃる!」

D「こ、困るよ、キミ、撮影中に……!」

三田村「Mr.フジタ……! あなた、障害者の方に向かって「バカ」だなんて……!」

その時、藤田の眉が僅かに上がった。

藤田「……三田村さん、紹介しますよ、コイツは木版画職人の赤井一、通称「バカ一」、版画業界ではちょっとは名の通っている、腕の良い職人ですぜ」
(文庫版3巻6話参照)

バカ一「おろ?」

バカ一の眼が千早に留まった。

バカ一「そ、そこにいるのは、き、如月千早ちゃんでごじゃるか?」

千早「は、はい……赤井さん」

バカ一「せ、せっしゃ、ファンでごじゃるよ、千早ちゃんの歌は世界一でごじゃる!」

千早「ど、どうも……」

D「あ~も~! 撮影が滅茶苦茶だよ!」

~ギャラリーフェイクの外、港湾部~

千早「結局、謎なんて無かったって事でしょうか? 三田村さん」

三田村「どうかしら……」

千早「?」

三田村「経験上、Mr.フジタがああいう教科書通りの反応をする時は、何か隠してる事が多いのよね……」

千早「……私達の方でも、何か新しい事実が無いか、調べてみます」

三田村「そうね……私も古文書を漁ってみるわ」

~後日、765プロ~

千早「う~~~~ん……」

P(千早、ここんトコ、ずっと美術の本と首っ引きだな……)

律子(……アイドルが時代考証なんてする必要無いと思うんですけどね~……TV局に任せておけばいいのに)

P(そうとう煮詰まっているみたいだから、そっとしておこう)

律子(承知しました)

春香「プロデューサーさん、なんだか、ビルの前の歩道に変な人が居るんですけど」

P「変な人?」

春香「はい、なんだか丸い大きな人で、スケッチブックみたいなのを持ってこっちを見てますけど……」

千早「?……あ、あら? 赤井さん?」

P「赤井さんって……千早が収録中に会ったっていう障害者の人?」

千早「は、はい……」

~765プロ内~

バカ一「せっしゃは、ただ千早ちゃんに似顔絵を届けに来ただけでごじゃる」

P「は、はあ……似顔絵ですか……失礼ですが、赤井さんの病名は?」

千早「プロデューサー! 障害者の方に向かって、不躾ですよ!」

P「そ、そうは言っても……危ない人間をアイドルに近づける訳にもいかんし……」

バカ一「せ、せっしゃは構わないでごじゃるよ? 病院の先生からは……え~と……さ、鯖がどうとか……言われたでごじゃる」

P「鯖?」

律子「ひょっとして、『サヴァン症候群』じゃないですか?」

バカ一「そ、そう、それでごじゃる」

千早(サヴァン症候群……? 何処かで読んだ覚えが……何だったかしら……?)

春香「まあ、いいじゃないですか、悪い人には見えないし。
   それで、これが千早ちゃんの似顔絵ですか?」

律子「あら、ずいぶんコミカルね」

千早「どこかで見たような……ずいぶん、漫画チックなんですね?」

バカ一「お、お恥ずかしながら、せっしゃ、風景画は得意なのでごじゃるが、人物画を描こうとすると、どうしても漫画っぽくなってしまうのでごじゃる」

千早「そうなんですか、でも、特徴をとらえてて、良く書けて……!」

その時、千早の脳内に電光が走った。

千早(サヴァン症候群……10カ月の短い創作期間……蔦屋重三郎……まさか……!!)

千早「り、律子! ちょっとPC貸して! お願い!」

律子「え? え? 千早?」

千早は検索ウィンドウに、「サヴァン症候群」という文字を打ち込んでいった。

その夜、藤田玲司、三田村小夜子宛てに千早からメールが送られた。

文面は、

「写楽の真実を見つけたかもしれません。
 これが世間に公表していい物なのか、御意見を伺いたく思います。
 夜9時、ギャラリーフェイクの場をお借りします。
                      如月千早」

~ギャラリーフェイク~

照明を点けられたギャラリー内に、藤田玲司、サラ、バカ一、三田村小夜子、如月千早の五名が集まっていた。

三田村「TVスタッフは呼ばないでって事だったけど……どういう事? 如月さん」

千早「……私自身、これを世間に問うべきかどうか、判断できなくて……」

藤田「……」

サラ「……」

三田村「それで……写楽の真実とは一体、何なの?」

千早「……」

千早「東洲斎写楽は……サヴァン症候群を併発した知的障害者だったのではないでしょうか」

三田村「!!」

藤田「……」

三田村「き……如月さん……貴女、何の根拠があって……」

千早「根拠はありません。
   でもこれで全ての謎が説明できてしまうんです」

藤田「……」

千早「まず、写楽独特の、役者が拒否反応を起こした程のデフォルメされたタッチ……。
   これは、悪意を持って描かれたのではなく、無邪気な心で写し取られた、心のままのタッチだと見れば、説明がつきます」

三田村「う……それは……」

千早「私、写楽の事を勉強してみましたが、写楽は日本の浮世絵師の中で、例外として、春画を描いていません、これは……」

三田村「もし……もし写楽が男女のセックスを理解できないほどの知的障害なら説明がついてしまう……!」

千早「短い創作期間にも、ある程度の説明がつきます」

藤田「どのように?」

千早「版元である蔦屋重三郎は、一般に受ける浮世絵が売りたかった……それで、一種のプロデューサーとして写楽の絵を『矯正』しようとした……」

三田村「それなら……短期間で画風が変わっていったことにも説明がつくわ……」

千早「自分の思うように描くことを許されなくなった写楽は、描く事に執着せずに、絵を売る熱意を無くしてしまった……」

藤田「……」

千早「それが、短い創作期間の答えだと思います」

千早「蔦屋重三郎がプロデューサーの様な位置づけだったと考えると、写楽が不自然に世に出なかったのは……」

三田村「蔦屋重三郎が写楽のイメージを守る為に世間から「斎藤十郎兵衛」の存在を秘匿していた……」

藤田「いや、お見事、お見事」

藤田は千早の論説にパチパチと拍手した。

藤田「それで?
   この仮説をどうするおつもりですか?」

千早「……正直、分かりません……これをTVに流していいものかどうか……」

三田村「何を言っているの!?
    この論は公の場で検証されるべきよ!
    そうすれば障害者の地位向上にだって繋がる……!」

藤田「三田村さん」

藤田はやや強めに釘を刺した。

藤田「そうやって、個々の人間を、『障害者』という言葉で区別する事こそ、差別と言うんじゃありませんかい?」

三田村「!! わ、私は……そんな……」

藤田「なぁ、バカ一、お前さんは『障害者』という生き物かい?」

バカ一「ほえ? せ、せっしゃは難しい事は分からんでごじゃるが、せっしゃはせっしゃ、バカ一、赤井一その人でごじゃるよ」

藤田「そうだ……全ての人間には個性がある。
   バカ一はバカ一、写楽は写楽、それでいいじゃないか。
   大事なのは、区別する事ではなく、個性を尊重する事だよ……」

三田村は肩を落として、ギャラリーを出ていった。

千早「これで……良かったんですね……」

藤田「フフ……頑張ったお嬢さんに、私から少々プレゼントを差し上げますよ」

千早「?」

サラ「千早チャン、こっちネー!」

~ギャラリーフェイク内、秘密の一室~

千早がその部屋に入ると、その壁に一色の墨で描かれた役者絵が掛かっていた。

千早「これは……!! まさか……!?」

藤田「そう、東洲斎写楽の肉筆の役者絵ですよ」

千早「こ、この迷いの無い線……凄い……!!」

藤田「写楽の絵は、役者絵という性質上、舞台の上演時期と照らし合わせ、描いた時期が特定しやすい」

千早「?……つまり?」

藤田「この絵は、写楽の活動後期に描かれた物だ……だが、この絵の迫力は、活動前期に描かれた物に匹敵する」

千早「あ……という事は……!」

藤田「蔦屋重三郎に矯正されても、自分のポリシーは曲げなかったってことですな……どうだい、バカ一?」

バカ一「そうでごじゃるなぁ……この絵からは、楽しさが伝わってくるでごじゃる」

千早「楽しさ……」

バカ一「写楽という人は、ほんとーに役者を写すのが楽しかったんでごじゃろうなぁ……」

千早(写すのが……楽しい……)

千早(写……楽……)

~その後、ギャラリーフェイク玄関前~

サラ「千早チャンの番組も好評だったみたいネー?
   知られざる写楽の正体、斎藤十郎兵衛とは……みたいな感じデ」

藤田「これで写楽も浮かばれるだろ、斎藤十郎兵衛の名前が残って」

藤田とサラはテーブルを出し、ピザとワインを楽しんでいた。

サラ「千早チャンの新曲も好評みたいヨ?」

藤田「そうなのか?」

サラ「ウン、えーっと……『バラードの新境地に達した歌姫、再び自らの殻を破る!』だってサ」

藤田「そりゃまた良かった、今度聞いてみるかな」

サラ「ソーネ!」

                    (終)

いろいろ御意見はお有りでしょうが、終わりです
HTML化依頼出してきます

信者の方に「新スレあったの気づかなかったけど荒らしてくれたから気がつけたわ」と感謝されたので今回も宣伝します!

荒らしその1「ターキーは鶏肉の丸焼きじゃなくて七面鳥の肉なんだが・・・・」

信者(荒らしその2)「じゃあターキーは鳥じゃ無いのか?
ターキーは鳥なんだから鶏肉でいいんだよ
いちいちターキー肉って言うのか?
鳥なんだから鶏肉だろ?自分が世界共通のルールだとかでも勘違いしてんのかよ」

鶏肉(とりにく、けいにく)とは、キジ科のニワトリの食肉のこと。
Wikipedia「鶏肉」より一部抜粋

信者「 慌ててウィキペディア先生に頼る知的障害者ちゃんマジワンパターンw
んな明確な区別はねえよご苦労様。
とりあえず鏡見てから自分の書き込み声に出して読んでみな、それでも自分の言動の異常性と矛盾が分からないならママに聞いて来いよw」

>>1「 ターキー話についてはただ一言
どーーでもいいよ」
※このスレは料理上手なキャラが料理の解説をしながら作った料理を美味しくみんなで食べるssです
こんなバ可愛い信者と>>1が見れるのはこのスレだけ!
ハート「チェイス、そこの福神漬けを取ってくれ」  【仮面ライダードライブSS】
ハート「チェイス、そこの福神漬けを取ってくれ」  【仮面ライダードライブSS】 - SSまとめ速報
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