絵里「かしこいかわいいエリーチカ」(100)

ーーー

絵里「さっ、今日の練習はお開きにしましょ。」

いつも通りの充実した日々。スクールアイドル兼生徒会長の賢い可愛い私はそんな日々をのうのうと過ごしていた。





だけどそんな日々は終わりを告げた。

ーーー

絵里「おはっ…!よう、希ぃ…!」ゴホッゴホッ

希「なんやエリチ風邪引いたん?」

絵里「そうらし…!いわね…!」ゴホッゴホッ

にこ「風邪には気をつけなさいよ。妹弟がいると余計迷惑かけるんだから。」

希「おやおや?先週風邪で休んだにこちゃんからのありがたいお言葉やね~」

にこ「し、仕方がないじゃない!結構疲れてたんだから!」

絵里「そう…!ね、気をつけ…!るわ…!」ゴホッゴホッ

絵里(おかしい…賢い可愛いこの私が風邪なんか引くわけないわ)キリッ

絵里(お陰様で…今日の練習見学じゃないのぉ!
こう手伝いとか出来るならまだしも…)

穂乃果「絵里ちゃんは休んでていいよ!雑用はみんなでやるから!」キラッ☆

絵里(なにがキラッ☆よ!普段人任せの割にこういう時だけキラッ☆(笑)してんじゃないわよ!)

絵里(この賢い可愛いエリーチカがポツンとしてしまうじゃない!)

ーーー

絵里(…結局ただ見学してるだけで練習が終わっちゃったわ。)

絵里(そんな日々が続かないように早く治さなければ!)

絵里(ということで早寝するわよ!)

絵里「…むぅ…にゃ…」スヤスヤ

ーーー

絵里(…とっても息苦しいわね…)

絵里(潜伏期間が終わってこれから本格化するのかしら)マキチャンッポク

絵里「おはよ…!?」ゼェゼェ

希「大丈夫!?エリチ!」

絵里「私がっ…!これくらいのっ…!ことでぇっ…!怯むわけが…!」ゼェゼェ

にこ「物凄い怯んでるわよ!」

希「…今日も見学やで?ええなぁ?」ニッコリ

絵里「ええっ!?またキラッ(笑)と…!か…!言われな…!きゃ…!ならな…!いのぉ!?」ゼェゼェ

にこ「根に持つわねぇ…まあそうなるけど。」

絵里「チッカァァ…!ァァ!」ゼェゼェ

希「はいはい無理しない!」

ーーー

絵里(…暇ね…)

絵里(なにか暇つぶしできないかしら…)

絵里(そうだ!なにか差し入れでも買ってこようかしら!)

絵里(…そうと決まれば…タイミングを待って…)コソーリ

絵里(一気にダッシュよ!)ダッ



フラッ

絵里(えぇぇぇぇぇ!)ステーン

他メンバー「!?」

希「なにやってるん?」ニッコリ

絵里「…盗塁の練習よ?」アセアセ

希「せんでよろしい」ニッコリ

絵里「アッハイ」

希「エリチ…膝擦りむいてるやん!」バンソウコウハリー

絵里「…ぅ…ん…」ポーッ

希「エリチ、顔赤いで?まさかウチの美貌に見惚れて…?」ハッ

希「ごめんなぁ…美しいすぎて…」

にこ「熱があるだけでしょうが!」

希「のってくれたってええやんにこっちぃ~」ブーブー

絵里「…ぅ……」ポーッ

にこ「ほら!馬鹿なことやってないで絵里連れて帰りなさいよ!」

希(なんやて!?こんな状態の絵里ちゃんをお持ち帰りするなんて!)グヘヘ

にこ「いいから帰れよ」

希(!?心を読まれた!)

ーーー

希「着いたでエリチ。」

絵里「…ぅ…ん…のぞみ…ありがと…」ポーッ

希「!?」ストライーッ!

希(風邪引きエリチのデレ!なんという破壊力!言うならばエリチの新URが当たったレベル!いや、それをも凌駕する!!!)グハッ

絵里「…だいじょうぶ…?のぞみ…」ポーッ

希「」チーン

絵里「…のぞみ?…のぞみ!」アワアワ

ーーー

希「……ハッ!?」パチッ

希「確か…エリチの可愛さにノックアウトされて…」

絵里「…私が…!運んだ…!わよ…!」ゼェゼェ

希「アッ、お疲れ様です」

絵里「…気を…つけて…よ…ね…」フラッ

希「エリチ、危ない…!」ダキッ

絵里「…むぅ…すぅ…」スヤスヤ

希(UR…何枚あっても叶わんな…)

希(お粥でもつくったろか。)

絵里(…の…ぞみぃ…)スヤスヤ

希(…可愛ええのう)ナデナデ

絵里「…ぅん…?」パチッ

希「おはようエリチ!お粥できとるで~」

絵里「…ありがとっ!?」ゴホッゴホッ

希「エリチッ!?」

絵里「…はぁ…!はぁ…」ゴホッゴホッ

絵里「…ぅ…ぇ…」ポタポタ

希「エリチ…血吐いてる…!?」

絵里「…ぅ……」ゴホッゴホッポタポタ

希「と、とりあえず病院いこか!?」





希(嫌な予感がする…)

ーーー

医師「保護者の方、お入り下さい。」

希(エリチのご両親来られへんしウチが行くしかなさそうやな)

医師「大変…言いにくいのですが…絢瀬さんの肺に…」











医師「癌が見つかりました…」

希「………は?」

医師「残念ながら…癌はすでに全身への転移が始まっていまして…手術は非常に難しいかと…!」

希「………助かるん?」

医師「…極めて可能性は低いかと。」

希「…嘘…やろ…?」

希「少し前まで一緒に練習して!遊んで!なにひとつ不自由なんて無かったんやで!?」

希「…ありえへん…ありえへん…嘘って言ってくださいよお医者さん!!!!!」バンッ

医者「………申し訳ありません…」

ーーー

希(その後、お医者さんになだめられてやっと落ち着いた。そしてエリチの容体も落ち着いたから病室を覗くことにした。)

希「エリチ、入るで!」ガラッ

絵里「…のぞみ…」ポーッ

絵里「…びょうきの…なまえは…?」ポーッ

希(言われへん…こんな大天使状態のエリチに言えるわけがない!)グハッ

希「結核やって。最近の医学は進歩したから薬飲んだらすぐ治るらしいで!」

絵里「…そっか。ねえのぞみ…」ポーッ

希「なんやエリチ?」

絵里「…結核が治ったら…一緒に…海にでも行きましょう?」ニコッ

希「…ええなぁ…」ウルッ

希(辛いわ…もう見てられへん…)ウルッ

希「とりあえず今日は帰るな?」

絵里「また明日ね。」

希(…また明日…か)

バタン

ーーー

希(エリチが癌…信じられんなぁ…)

希(もうすぐエリチはいなくなるん…?)

希「…いやや…そんなん…」グスン



希(明日…学校あるんか…エリチはこられへんやろうし…)

希「…エリチィ…エリチィ…」グスン

ーーー

希(結局…一晩中泣いてたんやなぁ…)

希(学校…行かんと…)

ーーー

希「おはよう…」

にこ「元気ないわね、どうしたのよ。」

希(言うべきなんやろか…でも練習の妨げにならんかな…)

>>21 打ち明ける? 隠し通す?

打ち明けよう

希「…にこっち、ちょっとこっち来てくれへん?」

にこ「…?いいけど。」

ーーー

希「…こういうことやねん…」カクカクシカジカ

にこ「…そう。」シカクイムーブ

希「…驚かへんの?」

にこ「…驚いたけれどそれなら絵里にサプライズでも仕込んで最期まで楽しませてあげるべきじゃないかなって思ったわ。」

希「…にこっちは強いんやなぁ…」

にこ「…そう…よっ!にこはつよっ…!いん…!だからぁ…!泣くわけぇ…!ないでしょっ…!」ヒック

希「…にこっち」ナデナデ

にこ「ナデナデするんじゃないわよ…私も絵里がいなくなるのは嫌よ…でも…」グスン



にこ「辛さはみんな一緒でしょ?希。」ナデナデ

希「ありがと…にこっち…」グスン



希「でも頭に届かないからってお腹をなでるのは…」

にこ「し、仕方ないでしょーが!」

ーーー

希「…こういうことがあってん…」カクカクシカジカ

穂乃果「…嘘…だよね…?」

海未「…そんな…絵里が癌なんて…」

ことり「ミューズは9人いてなんだよ?8にんじゃぁミューズじゃないよ…」

花陽「…嫌だよぅ…絵里ちゃんが死んじゃうなんて…」グスン

凛「…凛も…みんなで練習したいにゃ…」グスン

真姫「…言っちゃうのね。」カミノケクルクル

真姫「…これで練習が止まるじゃない。そういうこと考えてたの?」ハァ

海未「ちょっと真姫!そんな言い方ないんじゃないですか!」

にこ「…真姫の言ってることは分かるわ。でもね…」





にこ「現実から目を背けるんじゃないわよ!」

真姫「…!」

にこ「練習よりも大切にするべきことに時間を割くべきじゃない?」

真姫「………」

真姫「……っ!」ポロポロ

にこ「………」ナデナデ



海未「…無言の感動ですね…」ウルッ

ことり「にこちゃんも大人になったねぇ…」ウルッ



真姫「…頭に届いてないわよ馬鹿ぁ…」グスン

にこ「………」イラッ

にこ「…これで一件落着ね。」イライラ

希「じゃあそろそろー」





穂乃果「…嘘だよ…」

穂乃果「…嘘だよ!絵里ちゃんは死んだりしないもん!」ダッ

希「穂乃果ちゃん!」

にこ「行っちゃったわね…」

凛「…穂乃果ちゃんがそう思っちゃうのも無理ないニャー…」

花陽「…やっぱりショックだよね…」



希「まずい…まだ絵里には癌って言ってないんよ!」

希「追いかけんと!」ダッ

海未「今日は練習はなしです!急ぎましょう!」ダッ

ーーー

亜里沙「入るよ…お姉ちゃん…」ガラッ

絵里「あら、ありっ…!さ…!」ゴホゴホ

亜里沙「む、無理しないで!」



亜里沙(すごい気まずい…)

亜里沙(希先輩と話して今の所は結核で押し通すことにしたけど…)

亜里沙(…嘘ついても…お姉ちゃんに隠し通せたことなんてあったかなあ、私。)

絵里「ねえ、あり…さっ!…。」ゴホゴホ

亜里沙「な、なに?」

絵里「結核ってなお…!るのよっ…!ねっ?」ゴホゴホ

亜里沙「…治るよ、きっと。」



亜里沙(…治らないなんて、言えないよ…)




亜里沙(一瞬の嘘だろうけど、それでも私は…)

絵里「良かった…」ゴホゴホ

絵里「まだまだ亜里沙にも色々おしえなきゃ…!ならない…!からっ…!?」ゼェゼェ

亜里沙「お姉ちゃん!早く薬飲んで!」

ーーー

絵里「……んぅ…」スゥスゥ

亜里沙(薬の副作用で寝ちゃった…)

亜里沙(お姉ちゃん…辛いね…)

亜里沙(癌なんてなくなってしまえばいいのに…!)





亜里沙(…せめて最期まで一緒にいよう…楽しかったって思わせてあげよう…)ナデナデ

絵里「…ぁ…りさ…」スゥスゥ

亜里沙(ずっと撫でていたいなぁ…)ナデナデ



ガラッ

穂乃果「亜里沙ちゃん…」ポロポロ

亜里沙「穂乃果先輩…」

穂乃果「絵里ちゃん死なないよね?ずっとずっと居てくれるよね?」

亜里沙「…嘘じゃないです。」







亜里沙「お姉ちゃんは死んじゃうんです!もうながくっ…ないのっ…!」ポロポロ

穂乃果「嘘だもん!絵里ちゃんは…」

【にこ 「現実から目を背けるんじゃないわよ!」】



穂乃果「絵里ちゃんは死なないもん…!」ポロポロ

亜里沙「…穂乃果先輩…」グスン




亜里沙「いい加減にしてください!」グスン

亜里沙「…お姉ちゃんだって死にたくないはずです!でも…生きられないんですよ!?それなのに…」




亜里沙「穂乃果先輩が目を背けちゃお姉ちゃんは悲しみますよ!」






穂乃果「違うもん!これはきっと夢なんだよ!こんなこという亜里沙ちゃんなんて嫌いだよ!」ポロポロ

絵里(誰かと誰かが賢い可愛い私の為に言い争いしてるわ…でも眠い…)






絵里(けど…寝てはいけない気がする…!)

絵里「…ねえ…」ポーッ

亜里沙「お姉ちゃん!」グスン
穂乃果「絵里ちゃん!」ポロポロ



絵里(亜里沙と穂乃果…かしら目が霞んでよく見えないし…思考が働かないから確証はないけれど。)

絵里「………」

絵里(まずい…頭がボーッとしてて全然考えられない…)

絵里(なにか…一言で…)





絵里「…ありさ、ほのか…?…それにわたしのまわりのみんな…」ポーッ

絵里「ーーーー」

ーーー

絵里(…結局なんて言ったのかしら私。)

絵里(その後すぐ寝ちゃって憶えてないわ…)

絵里(最近ずっと寝てる気がするわ…起きてる間になにかしようかしら。)

ーーー

絵里「…ありさ、ほのか…?…それにわたしのまわりのみんな…」ポーッ

絵里「…だいすき」

亜里沙「お姉ちゃん…お姉ちゃんっ…!」ポロポロ

穂乃果「…ごめんなさい…穂乃果…逃げてたっ…!一番辛いのは絵里ちゃんだったのに…!」



トビラノムコウ

希「………」ポロポロ
海未「………」ポロポロ
ことり「………」ポロポロ
真姫「………」ポロポロ
花陽「………」ポロポロ
凛「………」ポロポロ
にこ「…やってくれたわね…絵里っ…!」ポロポロ





絵里「…みん…な…」スゥスゥ

ーーー

海未「はい!今日の練習はこれで終わりです各自柔軟体操してください!」

穂乃果「つ、疲れたー」グデー

ことり「穂乃果ちゃん、早く柔軟体操やって帰ろう?」

穂乃果「うん!、でももうちょい待って…」グデー

ことり「穂乃果ちゃん…」






希(あれから1週間。みんなも立ち直って練習に励めてる。あのだいすきはURが何万枚あってもたりなーー)

希(…ゴホン、そして今日はとても大事な日です。なぜならーー)





希(今日、エリチに癌だって告げなければならないから。)

希「…じゃあ行ってくるわ。」

にこ「ちゃんと言いなさいよ。」

希「うん…」

穂乃果「…ファイトだよ!」

希「…ありがとう」

ーーー

希(緊張するなぁ…エリチに死を宣告するようなもんやしなぁ…)

希(でも亜里沙ちゃんには酷な仕事やし…何よりエリチのご両親に頼まれたしな。)

希(よし、行くで!)



希「エリチ、入るで!」ガラッ

看護師「東條さん、いらっしゃい。絢瀬さん待ってましたよ?」

絵里「…のぞみ…けっこう…まっりゃわよ…?」ウトウト

希(…だいぶ進行してんねんな…)

希「待たせてごめんなエリチ。ところで点滴は栄養補給なん?」

絵里「…そーよ…さいきん…こりぇがにゃい…と…やせちゃって…たいへん…なの…よ…」ウトウト

看護師「…脳への転移が見つかりまして…呂律があまり回らないようで…それに体力をほとんど癌に奪われて常に眠い感じなんです…」コソッ

希「…説明ありがとうございます。」コソッ

看護師「…それでは私は廊下で待機しておきますので頑張ってくださいね…」コソッ

希「…はい…」コソッ

希「…あんな、エリチ。」

絵里「にゃによ?」ウトウト





希「エリチの病気は結核じゃないんよ…癌…肺癌やねん…!」

絵里「しってたわよ?」ウトウト

希「えっ?」

絵里「けっかくで…きょんなしょーじょー…でるわけぎゃ…にゃい…じゃにゃい…?」ウトウト

希「今までずっと…?」

絵里「そりゃあ…ありしゃや…のぞみが…かくしょうと…するから…そのほうがいいのか…にゃって…」ウトウト

希「怖くないん?」

絵里「かしこい…かわいい…こにょ…わたしが…きょわが…りゅわけない…でしょ…?」ウトウト

希「…そっか…なんかごめんなエリチ…」

絵里「しょれ…より…も…あしたも…きにゃ…しゃい…しゃぷりゃ…いず…が…ありゅ…にょよ…」ウトウト

絵里「ごめん…にゃ…しゃい…もう…にぇみゅい…わ…」ウトウト

希「分かった…明日楽しみにしてるで。」

看護師「…お疲れ様でした。明日は絢瀬さんからのサプライズがあるので是非きて下さいね?」ニコッ

希「はい…」




ーーー

看護師「…さあ、東條さん帰りましたよ?」

絵里「…ふふふ…!きあいでやっちぇにょけてみしぇるわよ!」ウトウト

看護師「ほらもうミスしてますよ?」クスッ

絵里「むぅ…」ウトウト

看護師(まったく…真姫お嬢様もツンデレですね…ただの患者、看護師一人で十分とか言いつつも…)

看護師「看護師資格を持ってるメイドの私を絢瀬さんの専属メイド兼看護師にするなんて)クスッ

看護師「…絢瀬さん、少し良くなって来ましたよ!」

絵里「そうかしら?」ウトウト

看護師「…発音は大丈夫そうですね!後は…」

絵里「…だいじょうぶ…よ、ずっとれんしゅう…してき…たんだから…!」ウトウト

絵里「…そのまえに…かふぇいんざい…いただけ…る…かしら…?」ウトウト

看護師「駄目です、少し飲み過ぎです。飲み過ぎると体に悪影響があるので…」」

絵里「…そう…」ウトウト





看護師「…やっぱり怖い…ですか?」

絵里「…そう…ね…だって…」ウトウト





絵里「…はい…がん…とか…きいて…ないわよ…?」ウトウト

看護師「…私も真姫お嬢様から口止めされていたので…申し訳ありません…」

絵里「…みんな…やさしかった…から…うそついちゃった…」ウトウト

看護師「…絢瀬さんも可愛らしいですね。」クスッ



絵里「……ふふっ…」スゥスゥ

看護師「…寝てしまいましたか…」




看護師「…次起きるのはいつになるんでしょうね…」

ーーー

希(…あれから。絵里は目を覚ますことなく1週間が経った。)

希(別に死んだわけじゃない。ただ…)



絵里「………」スゥスゥ




希(…寝てるだけ。)

ーーー

希(…あれから。絵里は目を覚ますことなく1週間が経った。)

希(別に死んだわけじゃない。ただ…)



絵里「………」スゥスゥ




希(…寝てるだけやもん。)

ミス、>>50 はスルーでお願いします

ーーー

穂乃果「えーりーちゃん!」

絵里「あら、穂乃果…?」

海未「さぁ!一緒に踊りましょう!」

ことり「一緒にうたおう!」

他メンバー「さあ!」

アハハハハ!!!




えり「…いつまで逃げてるのかしら?」

絵里「…いいじゃない、夢くらい。」

えり「貴方にはまだやり残したことがあるじゃない。希にも亜里沙にも他のメンバーにも。」





絵里「…ねぇ、何のために今までやってきたのかしら。」

えり「…それは貴方が考えるべきよ。」

絵里「…分からない。あれだけ努力しても全部無くなってしまうわ。」

えり「…そうね、結局努力しても人間は死ぬわ。でも…」



えり「じゃあなんで努力するのかしら?」

えり「努力しても死ぬのに、なぜ?」

絵里「………」

えり「…答えは簡単よ、望んでいるから。勉強をして…いい点を取りたいから。練習して…ライブを成功させたいから。望んでいなかったら努力なんかしないわ。」





えり「みんなに…なにを望むのかしら?」

絵里「………分かったわ。」





絵里「私は最期まで【かしこいかわいいエリーチカ】でありたい、だからここで死ぬわけにはいかない…!」

えり「よく出来ました、でもね80点。」



えり「もっと素直になりなさいよ。」

絵里「………」

絵里「…私は…」






絵里「みんなに頼って欲しい…!みんなに愛して欲しい…!」




えり「…満点!さあ、いってきなさい!」

絵里「…ありがとう、夢の中の私。行ってくるわね。」




絵里「ラストステージに…!」

ーーー

絵里「…ぅ…ん…」ムクッ

看護師「よいお寝覚めで。」クスッ

絵里「…なんにち…たったの?」ウトウト

看護師「2週間弱ですかね。」

絵里「…そう…」ウトウト



看護師「さて、今日にやりますか?」

絵里「やるに…決まってるわ…」ウトウト

看護師「では皆さんをお呼びしますね。」

絵里「ええ…」ウトウト

ーーー

希(今日、看護師さんから電話が来た。エリチが目を覚ましたらしい。)

希(それでサプライズがあるから来て欲しいと言われたので行こうとしたのだけど…)



希「…結局みんなでいくんやね…」

穂乃果「当然だよ!9人揃ってのミューズだよ!」

海未「…抜け駆けはいけませんよ希?」

ことり「絵里ちゃんに会うの久しぶりだもんね!」

にこ「にこの笑顔を届けてやるにこ!」

凛「楽しみニャ!」

花陽「…でもみんなで押しかけて大丈夫かなぁ?」

真姫「平気よ、病室じゃなくて屋上でサプライズするみたいだから。」

ーーー

看護師「…連絡してきましたよ。あ、カフェイン剤飲みます?」

絵里「…いらないわ、そんな…もの…これがわたし…なんだから…」ウトウト

看護師「…そうですか。最期まで強気ですね。」クスッ

絵里「…ふふっ、そうかも…ねっ!?」ゴホゴホポタポタ




看護師「私はなにも見てないですから。決して血を吐いて緊急治療しないといけないなんてこと知らないですから!」クスッ

絵里「クスッの意味が…!分からないけれど…!ありがと…!」ゴホゴホ




看護師「そろそろですよ。」

絵里「…ええ…」ゴホゴホ

ーーー

絵里「…みんな来たのね…まあいいわ。」

絵里「それではまず…!メッセージを送ります…!」ゴホゴホ

絵里「まずは凛!」

凛「ニャー!」

絵里「貴方は運動神経が良かったわ。ただ調子の波が激しかったからそこは修正しなさい。」

凛「…いきなり指摘ニャ…」

絵里「…そして、貴方はよく自分のことを貶してるけれど十分可愛いから自信をもちなさい!」

凛「絵里ちゃんが可愛いっていうの変ー!」

絵里「あと勉強しなさいよ?卒業後しんどいわよ。」

凛「ニャー(棒)」

絵里「…私はそんな凛、大好きよ!」



凛「…無理矢理まとめた感があるニャー。」

絵里「…全員来ると思わなかったから仕方ないのよ!」

絵里「次に花陽!」

絵里「…貴方は運動神経があまり良くない割に食べ過ぎだと思うわ。やっぱり食事制限すべきよ。」

花陽「…ぅぇぇ…」

絵里「…でも凛を助けてあげたり優しさは人一倍ね、これからもその優しさを持ち続けなさいよ!」

花陽「…うん!」




絵里「花陽、大好きよ!でもダイエットはしなさいね。」

花陽「…嬉しいけど最後でぶち壊しだよ…」

絵里「大事な事だから2回言ったわよ!」キリッ

花陽「言わなくていいです。」イラッ

絵里「アッハイ」

絵里「そして真姫!」

真姫「…次は私なのね。」

絵里「…貴方はピアノがとっても上手でミューズでも助かった場面が何回かあったわね。」

絵里「でも人間性はまだまだね。もっと素直になりなさいこのツンデレが!」

真姫「…余計なお世話よ馬鹿ぁ…」グスン




絵里「真姫、大好きよ!色々ありがと。」

真姫「…まだ死ぬと決まったわけじゃないんだから終わらせないわよ。」グスン

絵里「最期まで厳しいのねツンデレ真姫ちゃん…」オーイオイオイ

真姫「………」イラッ

絵里「さらにことり!」

ことり「はーい」

絵里「ことり、貴方は衣装作りが見事だったわね。そのセンスは将来役に立つと思うわ。」

絵里「…これからも作りなさいよ?そしてこれからも歌いなさいよ?」

ことり「…うん、絶対作る!絶対歌う!留学なんてしないもん!」グスン




絵里「ことり、大好きよ!貴方はねぇ…特にいう事はないわ!」

ことり「他の子にも言わなくていいからね?」

絵里「まだまだ行くわよ、海未!」

海未「………」

絵里「貴方は常にサポートに回っていたわね。そのせいで甘えられる時間が少なくなっちゃったかしら?」

絵里「でも、今なら甘えさせてあげれるわ!さあ!私の胸に飛び込んで来なさい!」

海未「…飛び込むわけがないでしょう、絵里。」

海未「…でも…最後までありがとうございます、絵里。」




絵里「…だいすk」

海未「…大好きですよ、絵里ぃ…」

海未「……ぁ…りがと…!ぅござい…!ました…!」グスン



絵里「先に言っちゃうのね…私の名セリフが…」

ことり「うん?」イラッ

絵里「モウシワケゴザイマセン」

絵里「…穂乃果!」

穂乃果「…絵里ちゃん…」グスン

絵里「貴方は良くも悪くもミューズを引っ張ってくれたわね。貴方の行動力は大したものよ。」

絵里「…でも感情的になり過ぎるのは悪い癖よ?」

穂乃果「…だってぇ…絵里ちゃんいないと寂しいもん…」グスン



絵里「穂乃果、大好きよ!これからもミューズを引っ張りなさい!かしこいかわいいエリーチカからの命令よ!」

穂乃果「…絵里ちゃん…」グスン

絵里「…ごめんね…」ギュー

穂乃果「…ぁりがと…ぜったい…立ち直るから…今だけっ…!」ギュッ




凛「美しいねぇ(棒)」

花陽「凛ちゃんはこういう系苦手…と」メモメモ

にこ「なにメモってんのよ!」

絵里「…さて、にこ!」

にこ「なによ…」

絵里「貴方は小さい体でよく頑張ってると思うわ。家事に下の子の世話にキャラ作りに。」

絵里「…だけど少しは息抜き入れなさいよ?あとそろそろアタッ…」

にこ「…それ以上言わなくていいから。」ボソッ

絵里「…ゴホン、」




絵里「にこ、大好きよ!」

にこ「それ以上言わなくていいから!」

絵里「ええーことりと一緒のことを…」

にこ「そうじゃなくて!」



にこ「これ以上話すと泣きそうなのよ…」ボソッ

絵里「ええーにこの泣き顔見たいわー(棒)」ボソッ

にこ「………」

絵里「…無言の殺気を感じます」

絵里「…希。」

希「そっか…もう順番来たんやね…」

絵里「…貴方は私のそばにいてくれてすごく楽しかったわ。貴方がいなければ人生大きく変わっていたかもね。」

希「…うちも楽しかったで。」

絵里「…一つ言っておくわ。」







絵里「絶対に自殺なんてしないでよね?」

希「…!?」

絵里「 なーんて!そんな暗い顔してたら台無しよ希!」

絵里「楽しく生きなさい、希。」

希「…ありがとエリチ。」

絵里「…希…だ…大好き…です…」カァァ

希「…うちも大好きやで、エリチ!」カァァ






凛「…ぅぇぇ…もうだめぇ…」フラッ

花陽「…凛ちゃんには刺激が強すぎる…っと。」メモメモ



ことり「…花陽ちゃん、メモとってないで凛ちゃん運ぶの早く手伝ってよ…」リンチャンカカエー

絵里「…さて、」



絵里「…亜里沙、いるんでしょ?その扉の向こうに。」

絵里「…出て来なさい。姉に隠し事は出来ないのよ。」

ガラッ




亜里沙「…やっぱり…お姉ちゃんに隠し事は出来ないね…」ポロポロ

絵里「…亜里沙。」

亜里沙「…聞きたくない…」グスン

亜里沙「…聞いちゃったら…お姉ちゃん居なくなっちゃうもん…」グスン

絵里「………」

絵里「…そう…じゃあ会話はしないわ。」

希「エリチ!それじゃいつまでも亜里沙ちゃんは…!」








絵里「…誰がそのままにしておくなんて言ったのよ?」






絵里「想いを伝えるには…分かるわよね希?」

希「…そしたら…エリチの体は…!」

絵里「…持たないでしょうね、ほぼ確実に。」

希「嫌や!そんなん許さへん!」

希「…エリチはうちに自殺するなって言ってくれたよな!?じゃあこれは自殺に近い行為と違うん!?」

絵里「のぞみっ…!違うの…!」

希「…嫌っ!」ドンッ

絵里(まずっ…!)フラッ

ーーー

絵里(…遠い。)

絵里(みんなが待つ屋上が…遠い。)

絵里(ここで倒れて頭でもうったら…)






絵里(私の思いは遠く、遠のく。)

絵里(ごめんね、みんな…)

ドサッ

絵里「…誰かが庇ってくれたような…?」





???「いたた…」

看護師「大丈夫ですか、絢瀬さん?」

絵里「か、看護師さん!?」

絵里「…血が出てるし怪我でもしたんじゃ…!?」アワアワ





看護師「…行ってあげてください。」

看護師「取り返しのつかなくなる前に…!」




絵里「………」



絵里「…ごめんなさい…!」ダッ





看護師「…行っちゃいましたか…」

看護師「青春ですねぇ」クスッ

屋上

穂乃果「ええ!?絵里ちゃん寝ちゃったの!?」

希「…そうやねん、あんまり病院で騒いでも悪いから今日は帰ろ?」




希(…エリチは大丈夫やろか…すぐ屋上へ走ったから分からんけど突き飛ばしたから怪我でもしてたりして…)

希(…でもこれが一番ええ方法やったから、仕方ないよな…?)





希(さて、あとは上手く誘導すれば…)

にこ「…ねぇ」



にこ「絵里、屋上に来るってメール来たんだけど?」

希(…まずい!なんとかみんなを下に帰さないと…!)




ガチャ

絵里「…させないわよ…!希!」ヨロヨロ

にこ「絵里!遅いわよ!」

海未「…それで、スーパーサプライズっていうのは…?」





絵里「…希、聞いて。」

絵里「…初めに、ごめんなさい。」

絵里「…生きられないこと、それでも想いを伝えるということ。」

絵里「…私の決断を許してほしいの。」

希「………」



絵里「そして…ありがとう。こんな私を愛してくれてありがとう。支えてくれてありがとう。こんな私を…」

絵里「…救ってくれてありがとう。」

希「…ごめん、辛いのはエリチやんな…でもどんどん信じたくなくなって…突き飛ばしてもうた…」グスン

絵里「…仕方ないわ…生きられない私の責任もあるし…」




希「…なんでそこまで強くなれるん?…なんで…」

絵里「…っ!………それよりみんな…聞いてくれるわよね?」



穂乃果「…教えてよ。」

穂乃果「…なんで私たちに弱音吐かないの?」

穂乃果「…なんで笑っていられるの?」

穂乃果「教えてよ。」

絵里「…笑うのが大事かなって思っただけよ。」



亜里沙「嘘だ!」

亜里沙「だって…お姉ちゃんそんなキャラじゃないもん!」

亜里沙「…泣いてよ、ねぇ。」





絵里「…ごめんね、亜里沙、みんな。」

絵里「…私、決めたの。想いを伝えるまで泣かないって。」

絵里「だから、泣けないの。」

亜里沙「…そっか。」





亜里沙「…終わったら…ちゃんと泣いてね?」グスン

亜里沙「そのまま…なんて許さないからね?」グスン

絵里「…分かったわよ」ナデナデ

凛「…はっ!?」

花陽「…あっ、凛ちゃんおはよう!」

真姫「…始まるわよ。」

海未「…ぇ…りぃ…」グスン

穂乃果「…まだ…泣いちゃっ!…だめ…だよっ…!」グスン

ことり「…ビデオでも撮っとこ」

にこ「…最後…かぁ…」

希「エリチは何を選ぶんやろなぁ…」

亜里沙「…お姉ちゃん…」グスン



絵里「………」

絵里「…それでは、聴いてください。」



絵里「【愛してるばんざーい!】」

おわり

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