今、彼女が空へ向ける機械は誰にも愛されぬ彼の思い出(150)

昔、昔のお話です

『ガザ……ギ……国連の……ビッ………議長……』

博士「っん~……このストレーナー……劣化スゴいな……」

女「ねぇ博士。本当にこの機械でみんなが救えるの?」

博士「ん~?う~ん。まぁやってみないとね~……でも救うよ。僕は絶対に。それにしてもこのラジオ、調子が悪いな」ガン

『ガザ……ザ……これに…り トリフィド条約は可決され…』

女「…………昨日ね、また殺されたの。今度は近所の女の子が殺されたの。お父さんが居ない子でゴスロリが好きな可愛い女の子で、まだ八歳だったの」

博士「そうか……それはお悔やみ申し上げる」

女「ねぇ、どうしてこんな世界になっちゃったのかなぁ」

博士「…………」

女「これがね、神様がお与えになった試練てやつなら、諦めもつくよ。あ、いやつかないか。試練を乗り越えようと思えるけど、こんな理不尽な事ってある!?」

博士「……今日はもう帰りなよ」

女「……うん。またね」

『それでは皆様、よい一日を……ザー』

1だけどもしもしに変更。ちょっと長くなるけど必ず終わらせる

女「ただいまぁ」

シーン…

女「お父さん、お母さん、姉さん、今日もまた博士の所に行ってきましたよ」

女「あの機械ね、天使を呼ぶ機械なんだって。凄いよ博士は。たった一人で私達を救おうとしてるんだ」

女「たった…一人で……」ポタ ポタ

女「うぅぅう~…………」

女友「オハヨー女」

女「あ、女友ちゃんおはよう。」

女友「……」ジィー

女「う、ぇ?どしたの?」

女友「女、目赤いよ。泣いてたの?」

女「!?ち、ちがうってぇ!!ただの寝不足だよ~!!心配性だなぁ女友ちゃんは~!!」

女友「ふぅん……まぁ、そう言うことにしとこう。で、またあの男の所に行ったでしょ?」

女「え?なしてわかったの?」

女友「だって何か油の匂いがするから…」クンカクンカ

女「そっかぁ~…う~ん……わからんにゃあ」スンスン

女友「で、相変わらずあの男は作ってるわけ?」

女「へ?あ~、うん。順調だって言ってたよ。やっと半分くらい完成したんだって」

女友「完成、ねぇ……それって本当に安心なの?信じれるもの?だって…………あの男が作ってるのは『機械』でしょ?」

女友「あなたの両親もお姉さんも、みんな機械に殺されてるんだよ!?そんなものをあの男は作り出してるんだよ!?信用出来る!?」

女「それは偏見だよ。機械だって意志で動いてるわけじゃない。博士は言ってた。心ないものを心ない者が使えば悪意になるって。その通りだと私は思うな」

女友「はぁぁ~……そう思ってるのはあんただけだって。現にこの町の人はみんな機械を恨んでるし恐れてる。昨日だって女の子が機械に殺されたばかりじゃんか!!」

女「でも、私は信じてる。博士ならきっとこんな世界を救ってくれるって」

女友「私は、信じられないよ……人しか、信じられない。心のない連中なんか信用出来ないよ」

少女はそれは無惨に殺された。惨たらしく胸部を砕かれてお気に入りの黒のゴスロリのドレスを、血で、滑らせて血化粧で彩られた


女「……この子はいつも歩くときにくるくる回ってたんだよ。知ってた?」

女友「うん……それで脚がふらふらになって塀に頭をぶつけてたよね」

女「けどその時は泣かなかったよ」

女友「うん。泣かなかったなぁこの子」


いつも肌身離さず抱えていた猫のぬいぐるみ、名前はドルバッキー。嘘を暴く猫だが今は少女の血で赤く、赤く。

モブa「かわいそうに……一人で居るところをたまたま機械に見つかったんだって」

モブb「畜生……あいつら、俺たちを仕事をこなすみたいに殺していくんだぜ」

少女母「…………ぅ ぁ……」

モブc「奥さん……棺から……離れて……出棺しますよ」

少女母「偶々だった…………いつもより…………早く仕事に、行ったから、それだけで…………ウァァァァ!!」

女「帰ろう……女友ちゃん…………私達に出来る事なんてなんにもないよ」

女友「うん…………気の毒だけど、仕方ない事じゃないけど、私達にはなんにも出来ない」

その日、ゴスロリの少女は煙となって赤い鱗粉と共に星へと昇った。

『……機械により八十七人が死亡、これにより国連の軍は大きく動くことになります』

女「博士、また来たよ」

博士「君、よく飽きないね。僕が君だったらとっくに飽きてるよ」

女「それ、作ってる人のセリフじゃないよ」

博士「いいや、作ってる本人は飽きないのさ」カチャカチャガチン

女「ねぇ……この機械っていつ完成なの?」

博士「さぁねぇ。色々試さなきゃいけないこともあるだろうしねぇ」

女「何で博士は一人で機械を作ってるの?」

博士「そりゃあ……僕がウソツキだからさ」キリッキリッカチャ

女「博士はどんなウソツキになったの?」

博士「この装置で僕が機械を倒してみせますと言ったら、大バッシングさ。」

頑張れ

女「じゃあ博士はウソツキじゃあないよ。きっとみんなを救ってくれるもん」

博士「うん。僕もウソツキにならないように必死さ。あぁ、髪の毛が邪魔だなぁ」ガシガシ

女「切ってあげよっか?」

博士「や。いい」

女「ねぇ。博士、この装置はどんな仕組みなの?」

博士「天使を呼ぶんだよ。悲しみを空へと打ち上げてね」カリカリ、カチャカチャ、キュキュ

女「随分と詩的ね」

博士「ちょと似合わないね」

女「ううん。そんなこと無いわ」

女「きっと、うまくいくと思う」


女「そうそう。今日はね、パンを焼いてきたんだ。美味しいよ。胡桃パン」

博士「そうか、イイ匂いするかと思ったらそんなサプライズが」

女「さて……私はもう帰るね、今日はお墓参りに行かなきゃ」

博士「ふぅん……暖かいね」モグモグ

女「?いや作ったのは昨日だよ?」

博士「いや、暖かいよ」マグマグムシャムシャゴクン

女「じゃあね博士、また来るよ」

博士「はいはい。気をつけてね

博士「……座標はよし。計算もよし。性能も上等」

博士「我ながらよく一人でここまでやれたもんだ」


博士「モグモグ」


博士「きっと、救えるさ。僕なら」

博士「救えるとも」

博士「救うよ。約束だ」

博士「機械を、止めてやらなきゃ」

『陸海軍部隊は、明日、都市オーケンに向けて攻撃を……』

女「お父さん、お母さん、姉さん、来たよ」

女「今日は胡桃パンを焼いてきました」

女「博士にも渡したよ。暖かいって。……美味しいとは言ってなかったけど」

女「多分、美味しいよ。私は美味しかったし」

女友「女~、来たよ~」

女「あれ?女友ちゃん?」

女友「迎えに来たの。不思議そうな顔してるけど今日は一緒に遊ぶ約束でしょうに。お墓参りに行くって言って、帰り遅いから」

女「あ~……ごめん」

女友「機械に襲われたんじゃないかと思ったよ~」

女「うん……ごめんごめん。あ、これ私のお父さんとお母さんと姉さんのお墓。紹介するね、友達の女友ちゃん」

女友「このタイミングで……えと、女友です。女ちゃんの良き友達をやってます」

女「じゃあ行こうか」

女友「何コレ……凄い淡泊だね君」



ザワ……ザワ…


ざわ…ざわ……


女「何だか騒がしいね」

女友「何だろね?人集りが出来てるよ。…行くべし!」


ダッ


女「うわ!凄ッ!!機械が壊れてる!?」

女友「うぅむ……ものの見事に壊れてるね」

モブ「おう女友ちゃんか。すごいだろコレ。これ一人でやったんだぜ」

女友「え、マジすか。ちょ、これ誰がやったの?スゴいですよ」

モブm「新しい傭兵さ。俺さ、そん戦い見てたんだけど、もっ、凄いの。背丈なんかは俺と変わんねーのによ、バァァッと機械との距離詰めてよ!!で、担いでたソードオフでゼロ距離射撃の一撃。無駄のない力技だったよ」

モブg「普通機械なんて四、五人くらいで囲ってやっといいとこ一機じゃない?それを一人でって、大した人だよね」

女「うわ!凄ッ!!機械が壊れてる!?」

女友「うぅむ……ものの見事に壊れてるね」

モブ「おう女友ちゃんか。すごいだろコレ。これ一人でやったんだぜ」

女友「え、マジすか。ちょ、これ誰がやったの?スゴいですよ」

モブm「新しい傭兵さ。俺さ、そん戦い見てたんだけど、もっ、凄いの。背丈なんかは俺と変わんねーのによ、バァァッと機械との距離詰めてよ!!で、担いでたソードオフでゼロ距離射撃の一撃。無駄のない力技だったよ」

モブg「普通機械なんて四、五人くらいで囲ってやっといいとこ一機じゃない?それを一人でって、大した人だよね」

おう間違えた

女「その人って今どこに居るの?」

女友「お、興味沸いたか。沸くよね通常。私も見てみたい!」

モブl「多分新しい駐屯舎居ると思うで」

女友「だって!!よし行こう!」

女「うん!」


機械は砕かれた顔面以外は綺麗に面影を残していた。

鮮やかな手並みで壊された機械は計算され尽くしたかのようにダメージを受けていた。


跡形もなく破壊されガラクタとなり果て錆びて土に帰る結末を迎えるのが機械の終わり方だが圧倒的。圧倒的な敗北の元、形を保っていた。

女「すいませーん。お邪魔しますー」

傭兵「あん?君らは?」

女友「どうも始めまして。この町に住んでる女友です。こっちは女」

女「女です。通りの機械ってお兄さんがやったんですよね?」

傭兵「あぁあれね、うん。一体だけだから余裕っちゃあ余裕」

女友「スゴいですね~……機械って五人くらいでやっとだって言うのに……」

傭兵「質は数に勝る。むしろアレ相手に今まで手間取ってた奴らのが問題なわけで」

女友「ほへ~……やっぱりデキ男は違いますなぁ~ほ~は~」

傭兵「奴らぁ動きは早いがその分装甲薄いからなぁ。もっともあんなド近距離からブッパされるなんて想定してないだろうが」

傭兵「やろうと思えば君らにもやれるんちゃうかな」

女「むちゃくちゃですね……」

傭兵「むちゃくちゃだからやめられないんだ。正面突破のド突き合いの境地……はイケるね本当」

女「お兄さん、アレですね、何か麻痺してると言うか……違うか……戦いが好きと言うより機械が好きですよね?」

女友「女ちゃん…?」

傭兵「アハハハハハッ!そうそう、結局拘るんだよなぁそこに。死んだら元も子もないって人は言うけどさぁ。死んじまったら奴らに立ち向かえん」

女「……あなた、生きてますか?」

傭兵「哲学的だな。俺はただ動いてるだけだ。『機械を壊せ』と脳味噌から生まれた衝動に駆り立てられてな」



女友「二、三個ぶっ飛んでおかしな人だったね」

女「私あの人あまり好きじゃないなぁ」

女友「ほぅ。私は機械をぶっ壊してくれる人なら大歓迎だけど?どうして?」

女「ン~…なんかあの人自体が機械みたいだもん。度し難い程に、呆れる。生きてる意味ないなぁって」

女友「…人の生き方は人それぞれじゃん?私らがあの人を救いたいかなんて思ってるわけでもないし、救われたいと思ってもないだろうし。最後はやっぱり本人だけのものじゃないの?」

女「そうだけどさぁ……やっぱり納得いかないんだよね~…」

女友「他人のことをアレコレ考えるのは人生損するよ。」

女「う~……」

女友「っっあ!?そう言えばそろそろ『レティクルの夜』だよ」

女「言われれば……もう来たのかぁ……」

女友「もう服は用意した?」

女「一応、ね」



レティクルの夜とはレティクル座の神様が死者の望みを叶えるための夜だ。
その夜はとてもとても悲しい夜で、親愛なる亡き者は愛する人を抱き締めるため、歩き回るのだ。

生ける者は扉を固く閉めて、その夜を静かに過ごすと言う言い伝えがある。
もちろん、ただの言い伝えなのだ。


女友「死者が歩く夜か……」

女「でもお父さんやお母さんに会えるなら、私大賛成よ?そんな夜なら悪くないわ」

女友「じゃあ私が死んだら歩き回るから会いに来てね」

女「う、う~……ん……」

女友「何で、そこでうんと言わない」



傭兵「おやおや、おはようさん」

女「あ、傭兵さんおはようございます」

傭兵「何だぁ……昨日みたいにお兄さんって呼んでくれても構わんよ?」

女「距離を取ることは大事だと思うんです」

傭兵「……俺は、アレか?やってしまったか?君に嫌われるような事を、とてつもない何か」

女「いいえ?私は傭兵さんを嫌ってはいませんよ」

女「好きでもありませんが」

傭兵「…………~」

女「じゃあ私、用事があるので失礼しますね」ニコッ

傭兵「おいおい…………なんだそりゃあ、おい……」ポリポリ

傭兵「笑うと、可愛いなあの娘。突き抜けてやがる」

女友「どうも、こんにちわ」

傭兵「どぅわッ」

女友「いきなり頓狂な声あげて……あぁ、春なんですね」

傭兵「俺の背後に立つとは……」

女友「忍びの成せる技です」

傭兵「いや、そんなことはどうでもいい。本当に」

女友「振っておいて流しますか」

傭兵「実はな、大発見なんだが、俺個人的な」

女友「聞きましょう」

女友「どうも、こんにちわ」

傭兵「どぅわッ」

女友「いきなり頓狂な声あげて……あぁ、春なんですね」

傭兵「俺の背後に立つとは……」

女友「忍びの成せる技です」

傭兵「いや、そんなことはどうでもいい。本当に」

女友「振っておいて流しますか」

傭兵「実はな、大発見なんだが、俺個人的な」

女友「聞きましょう」

今度は二重投稿かよ

傭兵「いやな、君の友達の女ちゃん。あの娘な、笑顔がめちゃくちゃ可愛いのな」

女友「私にとっては、今更ですよ」

傭兵「そんな彼女がこんな朝早くに一体どこかへ行っちまった……潤うぞ色々と、あの笑顔は」

女友「朝早く……そうですね、もう朝の12時ですもんね。教会の鐘が昼休みを告げてます」カラーン カラーン

傭兵「俺の時間は俺が決めるのだ」フンス

女友「話を戻して……女がどこに行ったのか、教えましょうか?」

傭兵「聞きましょう」

博士「あっはっはっはっはっ!!あはっははははっ!おはようさん」イテテ

女「あははははは!!何?首寝違えたの?」

博士「あはははは!!痛い痛い!!笑い事じゃないよ君ーあはははは!!」

女「博士も笑ってるじゃんかー!!あはははは!」

博士「はぁもぉ……これじゃあ今日は機械を造るのは無理だね……君、帰りなよ」

女「あははははー何で?」

博士「何でて、もう今日は作業しないのよ。だから」

女「別に私は機械を見たいんじゃなくて博士に会いに来てるだけなんだよ?」

博士「…………こんな変わり者に?」

女「でも、人を救おうとしてる。私は好きだなぁ。博士の事」

博士「そりゃあ嬉しいな。告白?」

女「ちょっち違うかなぁ」

博士「うん……へこむ」

博士「あ、そうだそうだ。今日の夜またここに来なよ。いいもの見せたげるから」

女「いいもの?」

博士「うん。人によってはだけど。多分滅多に見られるものでもないし」

女「そんなに……じゃあ期待して待ってるね?」

博士「まぁ過度に期待されてもアレだけどね」

女「どっちなんさ~。あ、そうそう私もね、変わったことがあったから報告に来たの。あのね、昨日町に傭兵さんが来てね、たった一人で機械を一機壊しちゃったんだ」

博士「一人で?そりゃ凄いな」

女「うん……でも、何て言うかかわいそうだった」

博士「その傭兵がかな?」

女「う……う~ん…だから……何て言うかな、傭兵さんがじゃなくて、傭兵さんの生命が……かわいそう」

博士「かわいそう?生命が?……意味が分からん」

女「だから……ね、えと、人生捨ててるみたいな感じかなぁ。その人、機械を壊すことに生き甲斐を感じてるんだけど、もっと楽しいこととかやればいいと思うんだ。いつ殺されてもおかしくない生き方なんて、死んだ人に失礼だよ」

博士「なかなか、どうして……深いことを言うね。所でその傭兵さんってのは……こっちに歩いてきてるあの兄さんかな?」

女「へぇ?」

博士「ど~も~。失礼、こんな体勢で」

傭兵「こんちゃ~。いえいえ。何で首だけこっち向き?」キンチャンバシリ?

女「あの……傭兵さん……どうしてここに?」

傭兵「例えば……強く思い浮かべる。君を。そしたらば自然と、ここに辿り着いたのだ」

女「…………」ヒク

傭兵「あぁウソウソ。ごめん引かないで。君の友達に聞いたの。君がここにいるんじゃないかとか…………」チラ

傭兵「ここに、ここで一体何をやっているのか、とか」

博士「お~、傭兵さんも僕の装置に興味あるかい?」

傭兵「んにゃそんなに。ただコイツ……動くの?」

博士「コイツが動き回るようなものに見えるかい?」

傭兵「ビタイチ見えんな。いいとこ、デッカい大砲みたいだ。コイツは一体何なんだ先生?」

博士「人を救うための機械さ」

傭兵「ふぅん……コイツで、アレか。機械どもをぶっ飛ばすのか?」コンコン

博士「それはちと違うかなぁ」

傭兵「じゃあ俺達をぶっ飛ばすのか?」

女「傭兵さん!」

傭兵「このご時世だ。いくら郊外だからってよ、こんな、いかにもな機械造ってたらそら町の人も不安がるわな」

女「博士は絶対にそんな事をしません!絶対に!!これは、人を救うための機械なんです!」

傭兵「しかし所詮機械だろ。機械である以上は俺は受け入れない。救うだと?アンタ一人でか?」

博士「言いたいことはわかるよ。ちなみに、今のセリフは全部言われてきた事だ。信じられようと信じられまいと関係ないよ。僕は僕のやりたいようにやるんだから」

傭兵「そうかい……まぁ頑張ってくれや。俺はどうなろうと知ったこっちゃないな。俺が戦わないといけないようなら容赦はしないが」

風呂入ってくるのでチョイ休憩

博士「やはり……そうだよね~…なかなか賛同は得られないよな。こんかゴツいもん造ってんだから」

女「私は信じますからね!世界中の生きとし生けるもの全てが疑っても、私は博士を信じるから!」

博士「ありがとう……君一人だけでも、僕には大いなる助力だ。救われる」

女「私、もう一回傭兵さんと話してくる。しっかりわかってもらって、博士の事を信じてもらえるようにする」

博士「……そこまでしてもらわなくてもいいよ。僕は邪魔さえ入らなければそれでね」

女「ダメだよ!博士は私の希望なんだから!」ダッ

博士「行っちゃったよ……」

博士「僕が希望か……もうちょっと頑張ってみるかな……っと、ラジオラジオ」



カチ




『改正されたトリフィド条約により新たに開始された実験は新たな段階へと入り……』


博士「……失敗したな、実験。新たな段階って次の手段だろ。大体目に見えて暗礁に乗り上げてるんだよ。最初ッから」



『……議長は次のように述べ「暗い時代に終わりを告げるために、如何様に自己犠牲を誇示するかである」と、国連会議で新たな実験に意欲を見せました』

女「傭兵さん!」

傭兵「およ?女ちゃんどしたの?追っかけて来ちゃって」

女「あの、博士は悪い人じゃないんです!信じてください!」

傭兵「うん」

女「…………え」

傭兵「信じる信じないはともかくとして、別に俺は博士の機械をどうかしようなんて考えてはねぇよ?」

傭兵「ただあれが、面倒な事を引き起こすようなものであればー俺は務めを果たさないとならんわけだが」

女「だ、大丈夫ですよ!博士はそんな事絶対にしません!」

傭兵「だろうな。君一人が信じた男だ」

女「……傭兵さんは、もしかしたらイイ人なんですか?」

傭兵「イイ人ではないんだな。ごめんな」

女「……それでも、私にはイイ人ですよ」ニコッ

傭兵「お、おぉ……」






博士「いらっしゃーい」

女「うぅ~……やっぱりまだ夜は冷えるね~…」

博士「暖かいミルクコーヒーをご馳走しましょう」コポポ

女「でかした!」アッタカイナリィ…

女「ところで、こんな夜に一体何を見せてくれるの?」

博士「まぁ、まずは夜空でも眺めようよ」

女「夜空なら私の町でも見れるよ?あ……あれね、レティクル座だよ」

博士「あぁ、知ってるさ。じゃあその下にあるのは?」

女「あれは御使い座。レティクルの神様に仕える天使でしょ?」

博士「そうだよ」

女「ねぇ、博士はレティクルの神様と少女のお話、知ってる?」

博士「ろんもち」

ある日、孤独な一人の少女が沼に溺れて、その短い生涯に幕を降ろした。

少女には友達など無く、孤独の少女は孤独のまま死んでいった。レティクルの神様だけがそれをただ物憂げに見つめていた。

孤独なはずった少女、それを悼む学徒達、友達だったように泣いていた。


大して仲良くもなかったのに。仲の良かったように。
仮面からペテンの涙を累々と。



而して少女の亡骸は孤独に荼毘されて、魂は煙となって蝶のように舞うはずだった。はずだったのだ。

少女は願った。
神様、どうか神様、お願いします。

みんなみんな、灰に変えてしまって。
惨めに漂う灰へ。
私が知る全てを、灰にかえてください。


レティクルの神様は天使を遣わせた。
笑う天使の放つ矢は、5100度の火炎。


心の底から泣き叫ぶ少女達を、天使は笑って許さない。


少女の屍は唄うのさ。


浮いて漂え、空に水面に惨めに漂う灰になれ

|∧∧
|・ω・`) そ~~・・・
|o④o
|―u'

| ∧∧
|(´・ω・`)
|o   ヾ
|―u' ④ <コトッ

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

| ミ  ピャッ!
|    ④


しえんぬ

博士「そして少女は165日に一度来るレティクルの夜に蘇るようになった。神様はその夜は死者を蘇らせる夜とした。おしまい」

女「……このお話を作った人は一体何を思ってたんだろうね……誰一人として救われないよ」

博士「いや……多分救うとか救わないとかじゃないよ。少女は救われたかったんじゃないんだし」

女「じゃあ、何?」

博士「仲間が欲しいとか、そんな贅沢は望まなかったんだ。せめて、せめてこの世界を少女は自分と平等にしたかったんだ。神様はそんな少女の願いを叶えただけ」

女「傍迷惑だね」

博士「そうかな……そうかもね。多分、みんなが孤独だったなら、少女は望まなかったろうね」

博士「さて……お話はおしまい。そろそろ本題に移ろうか。この機械を使って」

女「天使を呼ぶ機械?」

博士「そう。これで……」カチン


博士「ほら、空を見上げて」

女「うわぁ……」

ほら、ご覧。天使呼ぶ為の機械さ



これで消せる人の悲しみも


空へ……


女「流星、群……」


博士「正確には火球だね。この星には毎日数え切れない程の隕石が落ちてきてるんだ。あ、知ってる?月のクレーター、アレ、隕石の跡って言われてるけどさ、多分違うと思うんだ。で詳しい原理は端折るけどこの機械で隕石の方向を大きく変えたんだ」

女「綺麗……御使い座の方角から沢山落ちてきてる……天使の羽だね……願い事を叶える神様の御使い」

博士「そうか……この地方の言い伝えじゃ天使の羽って言うんだっけ。この機械で、僕は人を救うんだ。誰にも信じられなくとも、誰も救いを求めてなくとも。僕は自分で救うんだ」

女「救えるわ。天使の羽が降り注いでいるんだもの。私が、お願いするもの」



今、二人が空へ向ける機械は
誰にも愛されぬ彼の悲しみ

彼女だけが一人男を信じた




女「ねぇ、さっきのお話……きっと少女は一人じゃなかったと思うな」

博士「……どうして?」

女「レティクルの神様は多分、少女を愛してたんだよ。」


きっと、二人だけには降ってくるのだろう


博士「……そう、かもね……」



天使、翼が……

研究員「やはり……ダメですね。ベースが死体では動いても精々が三十分……」

主任「ステーシー計画は無理か……生きた材料を使うとするか」

研究員b「極刑囚を使う認可は既に下りていますが……」

主任「恩赦を餌に奴らを使うと?生きた人間から作り出すのに一体幾ら費用がかかると思うのだね。それに改造後の事後処理も面倒だ。死刑囚がまともに働くとは思えんよ」

研究員「しかしトリフィド条約は改正されました……」

主任「その通り。我々は十字架を背負わねばならない。だから雄志を募る、と言う手段もあるのだ。この世にごまんといる反機械思想の人間……それを使えば、どうとでもなろうに」

研究員c「主任……!それはあまりにも……!」

研究員b「おい、おい、お前そんなものを気にするのか?通常人の意識とはもう既に違うだろ。俺達は、まともを隔てた壁の、こっち側だ」

研究員「神の御業ですね……」

研究員b「いや、悪魔の所業だろコレは」

主任「……人智を越えた技術だから神の域だとか、人道を外れた行為だから悪魔の法だとか、そんな程度の話か。話にならん」

主任「神が人以上のものなわけがない」


主任「機械を作り出した人類が、神の作った身体を淘汰するのだからな」

傭兵「ハッハッハハァ!!去にさらせぇ!」


ゴガン


機械「$?@ー8\\&%……」ギギギ


ドズン…


手にした手斧を、斜め三十度で機械の頭部へと。
切るのではなく、叩く。そこへの一撃の脆さは、傭兵の長い経験上確約された常套手段。


モブg「すげぇ……やっぱり一撃だ」


モブt「傭兵さん!後ろ!」


傭兵「破ァ!!」

振り向き、トマホークをブン投げて、しかしそれは外れ。


傭兵「そらぁ……外すわなぁ」


機械「gi」



機械の武器は四つ。片手に破砕用の斧に、もう一つは腕そのものが機関銃。そして機動力、感じない恐怖心。


傭兵の武器は三つ。ソード・オフ・トレンチガンと卓越した身体能力と麻痺した恐怖心。

機械「tro.g」カチャ


パララララララ


傭兵「う ぉ、あ、ゃば!」

機械「spw1%8m」

傭兵「あんまよぉ、調子乗ってんじゃねぇぞゴラァ!!」ダッ

機械「!?」

傭兵「トロいんだよ」ガチャリ

傭兵「鉄くず!」


ズドン


傭兵「ふぅ~……今日は……三体か…」

モブg「マジで……すげぇ……人間じゃねぇ」

傭兵「いや、人間だよ俺。人間でも人間越えることは出来るだけ」

傭兵「ただいま~」

女友「あ、おかえりー。今日は何体?」

傭兵「三体。ちょろいわ」

女友「相変わらずよく働くよね」

傭兵「これで食ってるからなぁ。趣味と実益兼ねてるし」

女友「……傭兵さんがここに来てからもうどれくらい経つのかな?」

傭兵「1ヶ月そこら?」

女友「よくたった一人で町を守ってるよね」

傭兵「俺が優秀だからな。全く、俺ほど効率のいい個体はそうそういねぇぞ。俺は素晴らしい。人類はもっとセックスをして俺みたいなのを大量生産すべきだ」

女友「つまり子孫を残したいと」

傭兵「はい。と言うわけで今晩どう?」

女友「いや」

傭兵「どストレートに断られると悲しいなぁ」

女「あ、こんにちわ」

女友「うい」

傭兵「おぉ!女ちゃんか。俺の子供生まない?」

女「ねぇ女友ちゃん、今日晩御飯一緒にどう?」

女友「いぃ~ねぇ。ゴチになります」

傭兵「すみません、俺が悪かったです」

女「傭兵さん、次はないです」

傭兵「……はい」

傭兵「で、君ら何で俺に付いて来る?」

女友「暇なので」

女「女友ちゃんについてきました」

傭兵「俺一眠りしたいんだけどなぁ」

女友「まぁまぁ。せっかくだから傭兵さんのお話でも聞かせてよ」

女「あ~、ちょっと聞きたいかも」

傭兵「俺の話て……そうだなぁ……じゃあ、俺……さ、ババアが苦手なんよ」

女「いきなり過ぎて話が見えない」

傭兵「もし、君らがババアになったとしよう。いや、いずれ、なる。なるだけに時間はあまりにも惨い。で、今は俺は君らを好きだがババアとなったらもうダメだ」

女友「何だろう……すごいムカつく」

女「何でそんなに嫌いなの?」

傭兵「嫌いじゃない。苦手なんだ。て言うのも俺にこの生き方を仕込んだのは他ならぬババアだからな」

女「え?じゃあ傭兵さんの師匠みたいな人?」

傭兵「あぁまぁそうなるな。残念なことに」

女友「傭兵さんの師匠……めちゃくちゃ強いの?」

傭兵「俺を見ろ。その俺の師匠だ。強かなババアだよ。見た目はどこにでもいるババアだが中身は史上稀に見るババアだ」

女友「めちゃくちゃババアババア言うね……実はババア愛してるとか?」

傭兵「ババア愛していませんよ。色々ツッコミ所満載だが俺に戦いを仕込んでいるときからババアは既にイイ年だった」

女「老化に全力で戦ってたんですね~……」

傭兵「例えばそこらのババアを見て、あぁ、昔は美人だったんだろうなってわかるババアいるだろ。それだ、あのババアは昔から強い。むしろババアに拍車がかかって強くなってやがる」

女友「…………人間……?」

傭兵「いや、人間じゃない。ババアだ。ババアは色々と厄介なことに、強い」

女「傭兵さん、ちょっと落ち着いて」

傭兵「世の中、分かってるのはババアは分け隔てなく強いって事だ……」

女友「ダメだ……思い出に浸るようにトラウマっぽいのが…」

女「きてるね。結構」

モブl「傭兵さん」

傭兵「あ、はいはい。何かあったの?」

モブl「いやさ、前々から言ってた……っと、女ちゃんこんにちわ」

女「??こんにちわ?」

モブl「ちょっと、こっちで話そう……」

傭兵「う~い。じゃお兄さんはお仕事なので、君たち早よ帰りなよ」

女友「……なんかモブlさん歯切れが悪かったね……」

女「ううん……モブlさんだけじゃないよ、最近町の人みんなが、ソワソワしてる…と言うか、殺気立ってる…」

女友「そう……?」

女「え……?何かそんな雰囲気しない?」

女友「いや……でもそう言われればそんな気がしないでもないか……嫌な感じだね」

『……ガピ…キー……実験の飛躍は人類への勝利のガピ……らず大いに進化へと貢献するでしょう』

傭兵「よう大将。調子はどうだい?」

博士「結構。完成も目に見えてきた」

傭兵「さよけ。しかしよくもまぁこんなドデカイもん一人で造ったよ。どんくらい時間かかった?」

博士「…………15年かな。ところで君、ここに何しに?別にこんな話をするために僕に会いに来た訳じゃないだろう」

傭兵「頭のイイ奴は話が早い。話が早いと助かる。率直に言えばコレ、このデカブツ。町の人がえらく気にしててな」

博士「あぁ、だろうね。無理に理解してもらうつもりもないし」

傭兵「ってもこっちも仕事だ。別にこの町の傭兵やってなきゃ俺だって気にしない」

博士「……壊すのかい?」

傭兵「特別俺はこれに思い入れがあるわけでもなし」

博士「それを僕がのうのうと見てるだけだと思うか?」

傭兵「そうだな……多分、アンタは引かんだろう。そしてそれを実現させるだけの力をアンタは持っている」

博士「すごいね、傭兵さん。気づいてたのかい」

傭兵「あぁ。とんだ狸だよ先生、アンタは」

『国連の…………トリフィド条約 ヴヴ正……議長に……非難…………ヴガ』

博士「1ヶ月位前に……実験あったの、知ってる?」

傭兵「もちろん。仕事柄色々耳にする……失敗するわな、そら。死人が歩くわけがない。たとえ逆立ちしたってな、そこは覆らねー」

博士「これで人類は有史以来、何度目かの大いなる間違いをするわけだ」

傭兵「なぁ先生、逆に質問するぜ。トリフィドって、知ってるか?」

博士「歩く食用植物。トリフィド条約はそんな生命を無碍にしないようにちなんで名付けられた条約だ」

傭兵「その通りだが……さて、この際アンタは何なのか……ゲロってもらおうかな」

博士「話を戻そうか。それを知った上でこの機械を壊そうものなら」


博士「お互い、大戦争になるぞ」


傭兵「なるだろうね。怖い怖い」

女「傭兵さーんッ!」

博士「!?」

傭兵「驚いた……何でここがわかった?」

女「ハァ……ハァ…………んく、っは、モブl……さんに、ゲホッ聞いたの……!それより町がッ!町に機械が……!」

傭兵「ッ!?ちぃっ!!」バッ

女「傭兵さん!」

傭兵「君はここに残れ!!町に戻るより先生と一緒にいた方が安全だ!!」

女「っでも……!」

博士「君が行っても死体になるだけだ。ここで待ってろ。安全は僕が保証する」

傭兵「頼んだぜ先生」

女「傭兵さん……気を付けて……」

機械「リョウカイ、シャサツシマス」ドン ドン

モブu「あ ぐぁっ!!」

モブn「きゃあぁアアぁあぁ!あっ、ぁっ」

機械「セイゾンカクニン、シボウ」

モブw「おがぁざーんッ!おがぁざぁぁん!」

ドンッ

機械「モクヒョウチンモク」

傭兵「テメェもな、沈黙しろや」ガチャ

ズドン

機械「prqlll…jgi…@」バチ、バチ

傭兵「ッチィ……!よくもまぁこんなにも殺して…調子コキ過ぎだテメェ等……」

女友「傭兵さん!」

傭兵「おぉ、女友ちゃん!無事だったんな」

女友「はい…!あの、女は…!?」

傭兵「大丈夫、安全な所にいるから。それよりも…早く隠れろ。機械共が近付いてきてる。俺は仕事をせにゃならん」

女友「でもこんなたくさんの機械……傭兵さんが死んじゃう!」

傭兵「いやいや、俺ぁ傭兵よ?機械狩りだしてなんぼの金を貰うのが俺様よ?その俺が……機械から身を引いて、何が残る」

女友「だから、死んじゃうって……!」

傭兵「想像してみろ。俺が死ぬところ」

女友「……っ!?」

傭兵「出来ねぇだろ?いいから、行け。邪魔だ」

女友「……!?」

傭兵「心配すな。ここは俺がきっちりケツ持つから。さぁ、早く行ってくれ」

女友「わかり…ました……死なないでくださいね……?」ダッ

傭兵「……精々頑張るよ。気持ち程度には」

機械「モクヒョウ、ハッケン」ガキョ

機械「pipi、パッケージ、サクジョ」ヂャギ

機械「ピピ……コタイ、キョウ。gigi」

傭兵「感情もなく惰性に動くテメェ等め……」

ガキョン

ガキョン

傭兵「ふぅ~………」ダッ

機械「!?」

ズドン

機械「knu……tc…?*$ギィ……」ドズ…ン

傭兵「怒りも湧かないような……」ユラァ…

傭兵「貴様等は死ね。惨たらしく惨めに!!」

女「ねぇ博士……町のみんなは大丈夫かな…」

博士「それは僕にはわからんね。僕は全知全能ではないから」

女「イヤだよ……私、みんなが死んじゃうなんて……!!」

博士「落ち着きなさい。今の僕らには何も出来る事はないよ」

女「だって……ねぇ博士!その機械を使えば」

博士「ダメだ」

女「何でよ!?」

博士「ほぼ完成している。確かに機械は動く。だけど、今これを起動したとしても使い物にはならないんだ。町を救うことは、出来ない」

女「……そんなの、やってみないと…………わからないじゃない!」

博士「わかるさ。僕自身が」

女「そうだよね……博士は人類を救わないといけないものね……あんな小さな町の為に一々機械を使ってられないもんね……!」

博士「失礼、僕は人の命の量を天秤で計ったことはないよ」

女「…………ごめん、なさい」

博士「いや…僕も不謹慎過ぎた。しかし……約束は守るよ。人類は救うし、今は君を守る」

傭兵「ウォォルァァァあッ!!」ドゴォ

機械「w#5…#=<ー」ギ…キィ…ギゥ……ン

傭兵「アウトォォォ!!ハァァ~ッ……ふっ はぁ……っぁぁああぁ!!あと、何アウトだクッソがぁぁ!」

ダン

傭兵「ぉ……ぁ…………?ガハッ……!?」ビチャ

機械「pipipi、mge、atk」

傭兵「イデェェェ!!痛ッ!!…ガッ!畜生………!クソッタレ!!あ゙ぁがあ゙ぁぁ゙ぁ゙ッ!?」ガクガク

傭兵「シネェェェッ!!」

ズガッ

機械「」キュゥ…ゥ…ン

傭兵「がっ……はぁ、かっ………こほ!ごぼっ…………」

傭兵「…………っぅぅぅ゛……ヴ オ゛ェッ……!!」ピチャ…

女友「傭兵さん!」

傭兵「っ……あぁ……天使じゃあ、……な、ないみたいだ……な…」

女友「しっかり……しっかりして……死なないで!!」

傭兵「慌てん、な……よ……ゴホッ!助かるもんも助からねーゾ……」

女友「うん……!うん……!医者、お医者さん呼べば……」

傭兵「あぁ……コホッ!カハッ!……おごっ……頼む……」

女友「死なないでね……ちょっと、人呼んでくるから……!」ダッ

傭兵「畜生……久しぶりに……死にかけだわ……」



ダンン……

傭兵「え……?」


ドサァ……

その日彼女は不運な巡り合わせにより

形を遺すこともなく、言葉を遺すこともなく

想いを伝える事も出来ず誰に看取られる事もなく笑うこともなく

それは世界全体から見ればただの一つの現象である死と言う出来事により

彼女の倒れるまでの時間はまるで人生のオマケの時間の中、さりとて想うことも出来ることも何もなく

トクン、トクンと心の臓腑は脈打ちながら陽炎のように彼女の命が消えた

天にまします我らが神よ

今日、尊い命があなたの身元に旅立ちました
願わくば母が我が子にキスをしてその荷を下ろすように
御霊に安寧をお与えください
その広い身座にて寝床をお与えください

女「……」

そして安らかにその御霊があなたの身座にあらんことを、祈り申し上げます

神よ、我らが崇めたる神よ
暗い現し世に於いて旅立つ親愛なる御霊に祝福をお与えください

女「……」

『……つまり、新しい計画では、民間人からも広く参加者を募ると言う事ですか?』ガ…

『その通りです。毒を以て毒を制す言葉通り、人と機械の融合により、従来の機械よりも大幅に性能を上げた人間として生まれ変わることが出来るのです』

『しかし人道的、倫理的な問題が』

ヴヴズ……ザサ……些末なことであると言い切りましょう。人の手が作り出した機械によって人が滅ぶなど滑稽極まりない。なりふり構わず足掻かなければならないのです。そのために受ける非難は真摯に私が受け止めます』

『なぜこのようにたくさんの人からの協力を得ようと?』

『人体の機械化には二つの壁があります。一つは適応性、もう一つは自らを維持できる精神力です』

『前者については先天性のものですが、後者については各々どれだけ自我を保っていられるか……早い話、機械をどれぐらい憎んでいるか、と言う事です』

『人の機械化は本当に必要なのでしょうか?生身の人の力だけで対処は……』

博士「出来ない」

『出来ませんね。周知の通り、戦争のため機械を生み出した大国は今や滅びノーマンズ・ランドに成り果てた。生き物の住めない所となったのです。機械は、機械自身が生み出しているので、そこに乗り込み元を絶たない限り……奴らは増え続ける』

『そこで、融機人、ですか』

『はい。限りなく人間を残し、性能を限りなく機械に近付けた人は、もはや従来の機械を凌駕する、人の進化の延長線上の存在です』

『その機械となる人hブッ


博士「…………」

博士「おはよう」

女「……」

博士「僕からは何も言えない。出来ることもない」

女「……女友ちゃんが…………死んじゃったの……」

女「私ね……お父さんもお母さんもお姉ちゃんも殺されて…………でも、女友ちゃんが私を励ましてくれて……博士と出会って…………希望はあったの……」ポロポロ

女「でもね……でも、もう、冷めちゃった……私、もう、自分がイヤになった……」

博士「ならば、どうするね?」

女「私は……機械を許さない。私は衝動に従う」

博士「そして君は融機人となるのか。それは間違いだぞ。人を捨てて、君は何になりたいんだ?」

女「人間以外の私になるわ。機械への殺意をたぎらせて」

博士「…………人の人生に口出しを出来ないと言ったのは僕だ。だが、言わせてもらう。君の判断は本当に間違っている」

女「うん……だと思うな。それでも私は抑えられないの」

博士「君は……自分を無くしたいのだね」

女「そう……かもね……」

博士「もうすぐに僕のやってきた研究が成果を成そうとしているのに……何故……」

女「それとこれとは……また別よ。私はもう…………博士、さようなら」

博士「……」

女「こんな良いお天気の日に、私は行きます。お別れです……ありがとう」ザッ

しえん

博士「何故だ……」

博士「そんなものに成り果ててまで、復讐をしたいのか……」

博士「わからないよ僕には……君は真っ当に生きるべきなんだ……」

博士「僕は君に救われたが……僕は君を救えないのか……」

博士「空しいな……」

傭兵「よう先生、荒れてんな」イテテ

博士「君か……重傷だと聞いたけど、大丈夫なのか?」

傭兵「頑丈なのが取り柄でな。あいにくと簡単には死なない身体なんよ。つーか機械のアレスゲーな。あの銃!連射!」

博士「機関銃?」

傭兵「それだ機関銃。あれ、間合いを制圧するぞ。いとも簡単に。畜生、ズルいよなぁ」

博士「少々……目立ちすぎたね君」

傭兵「あぁ……ッコイショ……派手にやりすぎたよ」

博士「こんな小さな街で局所的に機械が行方不明となれば……」

傭兵「敵は学習してここに傾注する」

博士「しかし君は間違ったことはしていないよ。責務を果たし村人を護ったんだし。結果だよ……結果がこうなったんだ」

傭兵「遅かれ早かれこうなる事か……他に道はあったんだろうか」

博士「今となっては考えるほど後悔さ」

傭兵「……なぁここさ、何でこんなに孤立してるんだ?」

博士「孤立?」

傭兵「いや、孤立させてるんだな。すまん今答えてもらう前にわかった。機械に攻められても最小限、問題ないように構えてある。現実的には。だろ?」

博士「現実的……?まぁ、その通りだね」

傭兵「だが、精神的には孤立し過ぎるなココは。あんた今、独りだろ?先生」

博士「……とても余計な、お世話だよ」

傭兵「クク……あ、いてぇ……!彼女な、さっきここに来るときにすれ違ったよ」

博士「それがどうかした?」

傭兵「何か、言葉を残されたよ。最後みたいな言葉」

博士「彼女、融機人になるつもりらしいからね」

傭兵「んなッッ!?何で……!ッデェェ!」

博士「騒ぐといくら何でも傷が開くぞ?」

傭兵「いいから!!何で彼女が融機人になるんだよ?」

博士「僕は彼女じゃないから機微まではわからんけど……気が済まないらしいよ。自分で機械共を壊したくてならないらしい」

傭兵「……何ッで…………止めなかった…」

博士「止めたよ。そこはある程度食い下がらなかった。でもね、やっぱり衝動に従うんだって、後悔してもいいから、自分で機械を潰したいって」

傭兵「衝動に……あ~…ああぁ、あ~ならしょうがないか……そこらへんは……」

博士「……やけにあっさりな…」

傭兵「ぅヴごげはぁ!!」ピチャビチャ

博士「うわ」

傭兵「そんな、簡単な問題なわけあるかぁ!?」

博士「あぁ、簡単じゃないさ。彼女は今となっとはもう……」クシャ

傭兵「他の誰が無理だろうと、それが神だろうと、あんたなら……止めれた筈だ。なぁ、亡国の融機人」

博士「……うるさい。もうこの話はやめよう」

傭兵「その身体を見せてやりゃあよかったんだ。鋼にあがなわれて人類の進化にうたわれたそれを」

博士「やめろ、と言っただろ……」

傭兵「どこまでその身体は紛い物なんだ?お?一端以上に戦えるガタイなんだろ?」

博士「話が通じん。し、話にならん」ガッ

傭兵「ッ…… !!  ぁハ… !」ギリギリ

博士「このまま首をヘシ折っても、よかったぞ?」パッ

ドサァ

傭兵「ッっぉごほっ……!! カッ ハッ 腕はぁ、っき、機械か……」

博士「ついで言うと、両脚、両腕、顔面半分、内蔵諸々、半分……やいやい……三分の二、は、機械か」

傭兵「で……でら凄ぇ……!」

傭兵「しかしそんなアンタだからこそ、彼女を止めるべきだっただろ。違うか?」

博士「……彼女の選んだ道の覚悟は、僕の言葉よりも重いものだったよ。会えばわかる」

傭兵「話にならんのは……アンタの方だ。先生、俺は帰るぜ」

博士「別に引き留めてはいないさ。お帰りはあちらです」

傭兵「知ってるっつの…………あ、あ、そうだ。あんたが知ってどうなるかは別に関り知らんけど……ここ来るとき彼女に言われた事があってな」

博士「……」ピク

傭兵「聞きたい?」

博士「ハハハ、意地悪だな。もっ回その喉締めようか?」

傭兵「勘弁。あのな、さっき女ちゃんが……すっげー寂しそうな笑顔でな……俺の横、通った。あの笑顔はダメだなって思ったよ」

傭兵「と思いきや、俺を引き止めて一言」


『傭兵さん、博士を守って下さい。博士は絶対に、人を救える方なんです』


傭兵「わかるか?わかるよな?わかれよ。あんたが今孤独だと思っていても」

傭兵「何のことはない。彼女だけはまだお前を信じてる」




博士「…………っ」

博士「~……っ」

博士「ッッッ…………~!」

救えるわ。天使の羽が降り注いでいるんだもの。私が、お願いするもの

博士「まだ…………まだ…………!!」ズリズリ

博士「まだ…………応えれないのか…………!!」ガン!

博士「すまない…………」ギリ…

五日後


主任「さて……適正検査はパス。拒否反応は無さそうだ。あとは君の精神力だけだな。曖昧な話だが」

女「何も問題はないと思いますよ。早く私を戦えるように仕立て上げてください」

研究員「なっ……」

主任「いいぞ。そうだ君のようなのが欲しかった。怖くはないか?」

女「……どれくらいで動ける……」

女「戦えるようになりますか?」

主任「うわっははははは!!君なら一週間だ!!一週間間で仕上げてやる」

研究員「しゅに~ん……」

主任「安心しろ。失敗はない。断じて絶対、それは鉄板!!女くん」

女「はい?」

主任「君は全人類の誰よりも一歩先に」

主任「進化するぞ!?」

女「……私は私でなくなりますか?」

主任「希望ならば消そうか?」

女「いえ……私は私のまま戦

ミスった

研究員「しゅに~ん……」

主任「安心しろ。失敗はない。断じて絶対、それは鉄板!!女くん」

女「はい?」

主任「君は全人類の誰よりも一歩先に」

主任「進化するぞ!?」

女「……私は私でなくなりますか?」

主任「希望ならば消そうか?」

女「いえ……私は私のまま戦いたいです」

主任「例えば、君の関節が歯車で駆動するようになり……キリリキリリと」

主任「血が代わりにマシンオイルにすげ変わり」

主任「手足が機械となって。ガションガションとね。そして」トン

女「?」

主任「思考するものが、基盤で、そうやって君が動いているとしよう」

主任「君が機械を潰す殺意と、インプットされた命令にさしたる違いはないよ」

主任「…………」ンフ~

研究員「…………」

女「……ゴツい演説ですね」

主任「御静聴、どうも。血湧かせるぞ、肉踊らせるぞ。この瞬間、歴史が刻まれた。神が」

主任「神が、舞い降りた。ついで、その神を淘汰する」

研究員「テンションが高いですね」

女「……なんでも、いいですよ」

博士「死んだ」

傭兵「は?」

博士「いや、もう既に死んでいる」

博士「この機械を作り始めたあたりから」

傭兵「すまん……あんたのその話。久しぶりにここに来て」

傭兵「話がまったく見えないぞ」

博士「自分がこの身体になってから、この機械を作り始めて、多分最終的には死ぬ定めであるなら……もう僕は死んでると思うんだよ」

傭兵「あぁ……死ぬためにあんた今日まで生きてるんだな」

博士「そういう君はどうなんだ?」

傭兵「ん?何が?」

博士「君は自ら命を捨てるような生き方をして、そこはどうなんだい?」

傭兵「俺はそうじゃないと生きた心地がしないんだ」

博士「君はアレだな」

博士「救いようのないな」

傭兵「……それ前にも言われたな。女ちゃんに。ところでさ、これ、いつ完成?いつ動く?」

博士「実はもう完成、もう動く。しかしだね」

傭兵「……!?」

傭兵「おい、それ……!?」

博士「勘違いするな。勿体ぶってるわけじゃないから」

博士「すべてにはタイミングがある。ピッチャーがセットに入って、盗塁するにも。セックスへの流れに入るためにキスをするのも」

博士「タイミングがあるだろ、歯痒いことにソレと全く一緒だ」

傭兵「……じゃあ、いつ動かすかはわかるんだな」

博士「それはもう。次を逃せばいつになるか……その日は偶然にも」

博士「レティクルの夜だ」




傭兵「で、そのレティクルの日だが」

機械「qklld……」ギシ

機械「gaww√」

機械「$&50%」キリキリ


傭兵「タイミング云々……タイミング良すぎだ。機械共め、謀ったかのように来やがったな……今日は」

機械「tgttkg」カチャ

傭兵「クライマックスだぞ」ギリィ





パララララ


ズドガァ

博士「……死ぬか。とうとう僕も死ぬか」

博士「一人きりで死ぬか」

博士「世界を止めてやる」カチッ

女「……」キリ

主任「その体は気に入ってもらえたか?」

女「まるで本当に自分の身体そのものみたい」

主任「じゃあ適合はうまくいったな。完璧だ」

女「この身体、強い?」

主任「あぁ。最高傑作だ。君はバカみたいに強い。戦いたがりの君には打ってつけのガタイよ」

女「戦いたがり……そう見えます?」

主任「あぁ。酔狂なほどだ。素晴らしいな君は」

女「この世界は素晴らしいですから、戦う価値があります」

主任「うむ。後半部分には賛成だ」

『初の女性を検体にした実験は驚くほどに適合し』

博士「…………周波数、88.9。よし」

博士「いくら僕でも孤独で死ぬのはあまりにも悲しい」

博士「足跡を残す。願わくば彼女に届きますように」

機械「gh……」バチバチ ズグン

傭兵「ハァッ……ハァッ……キリ……ング…………キリがねぇ……」カチリ

カチ

傭兵「ハハッ……弾切れだ……」ポイ

傭兵「まぁ……」ガサ

傭兵「銃なんてそこらへんの草むらに沢山置いてあるんだけどね」ガチャ

傭兵「これ終わったらもう傭兵稼業やめたる」ズドン

傭兵「死ぬしな」

女「施術は終わりましたよね?」

主任「あぁ、いつでも君は行ける」

女「なら、戦います。戦って、私なりに足掻いて後悔します」

主任「君の選んだ道だ。しっかり後悔しなさい」


ザザ……あ、あ、あ、テス、どうも世界のみなさん』

主任「何だ……?」

女「……博士?」

『これはこの周波数を借りて世界の際から際までお届けします。』

『つまらない男の辞世の言葉です。どうか最期までお付き合い下さい』

主任「おいおい電波ジャックかいな」

女「……これ、ラジオを……」

『え~と、その昔、つってもまだ僕が若造の頃かな、僕は世界から一蹴されました』

『機械を余すことなく止められるかもしれなかったのに』

『そうすれば、僕の目の前で一人の少女が泣くことはなかったのに』

女「……!?」

『しかし今となっては、って話なのでまぁいいでしょう』

研究員「主任!これは……」

主任「ん……?まぁいいだろう、最後まで聞いてやろう。俺にはどうすることも出来んし、何をうたうのかが気になるところだ」

女「……主任、この身体、持久力……体力はありますか?」

主任「そこがその身体の特性の一つでね、常人のそれとはもう比べものにならんよ」

女「そうですか……」

『結論から言えば僕はもう直ぐ死にます。えぇ、蝋燭の火を吹き消すみたいにパッと』

女「……!?」ダッ

主任「あ、おい?」

研究員「行っちゃいましたよ彼女……?」

主任「別に何かする訳じゃないだろ。ほっとけ。今はこっちだ」

この時期を待ちました。この日を待ちました。この瞬間が栄光です

傭兵「っっがあ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!クッソ、クッソ畜生デメ゛ェ!」ブチャリ

機械「huhwktkhit…」

傭兵「腕がぁ……!!痛゛ッぇ、畜生、痛ぇのに…………」

傭兵「お゛い、分がるが痛ぇのに……この気持ちよさが……」ブラン

機械「??^>pgmjd」

傭兵「ぅっ」

傭兵「ぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!」

傭兵「腕ぇ……はぁ、ぶっ飛んでんだよぉ……そらイテェよ……うぐぅっ……!!叫びたくなる……羨ましいだろ?テメェ、ら……うぎ」ミシリ

傭兵「お゛っぁ゛?歯ぁぁぁぁ?折れたッぞ……?」

機械「パッケージstgisy」ドン

傭兵「ぐぉ!!大体テメェら、痛みを感じねーとか……何様だッ!!」ガキリ

ズドン ズドン ズドン



私は迫害されたのです。亡んだ大国の生き残りとして全世界の憤怒と非難との真只中に迫害されたのであす。

『大国が持った武力と機械の数限りない力を考える時、世界が負けるのは全く当然なのでしょう。そして今私は世界全人類の仇討ち背に救済を抱えて一人死んで行くのです。これで世界人類の気持ちが少しでも浮かばれればよい』



研究員「辞世の句でしょうか、これは」

主任「それ以外のなんに聞こえるんだ君には?今イイ所だ、コイツは狂気の賜物だ」



『それは将来の世界に幸福の糧を遺すことなのである』

傭兵「ガハッ……!ガバッハハ ハバハッ!!もう、知らんぞ、もう知らねぇ。後はすっぱり死ぬからな。道連れになりやがれ」



僕は何ら死に値する悪をした事はない。悪を為したのは大国のお偉方である。しかし今の場合弁解は成立しない。



女「博士…………博士……!!」ダッダッダッ!!

女「うぐ……!!私は…………博士を一人に……しない!!」ポロポロ



世界の敵である大国の人間が亡んだ訳だが、全世界から見れば僕も彼らと同じく大国の人間である。

博士「罪のない僕が彼らの責任をとって死ぬことは、一見大きな不合理のように見えるが、かかる不合理は過去において大国がいやというほど他国人に強いて来た事であるから」

博士「…………」

博士「あえて不服はいい得ないのである。彼らの目に留まらず迫害された僕が不運とするより他、苦情の持って行きどころはないのである」

博士「大国全国民の罪と非難とを一身に浴びて世界全人類と僕の悲願を叶えて死ぬと思えば腹も立たない」

博士「笑って死んで逝ける」

傭兵「うぉ゛お゛お゛お゛ぉ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああ゛!!」ズドン カキン

傭兵「!?」

機械「gp@?=!!!!,」バキバキ……!

傭兵「た、だお、……倒れろやぁぁぁ!!」ガン!

傭兵「……素手、じゃあ、効かね……よなぁ……ガッ ハッ……!ぅぶぇ!!」ビチャビチャ

傭兵「血が……足らねー………………き、きょーれつ……!だなッ!?死ぬ前っでのはぁよッ!!」

傭兵「…………ぅぇ」

傭兵「ぅる゛ぁ!!う゛らぁ!!ジャッッリャア゛ァア゛ァッ!!」
ガン!ガン!ガン!!ガゴン!!ドギン!!

機械「ギキ……atg=@ :<√仝¢☆」グラァ

ドズン……

傭兵「バハッ……!!機械を゛、素手で!!仕留めたぞぉ!」

ドス

傭兵「……ぁ 」

傭兵「……死 ヒュー」ガクッガク

傭兵「ザマミロ…………ゴハッ!」パクパク

傭兵「ッ」

機械「モクヒョウ、チンモク」

博士「時間まであと少しあります……最後に種明かしをしましょう」

博士「どうやってこの世界の機械を止めるのか。答えは月にあります」

博士「この星の衛星。そこにはある基地がありました」

博士「図抜けた技術を持つ大国が、どこよりも先んじてこの星を超えて」

博士「月に降り立ち基地を作った」

博士「そここそが中枢。機械の頭脳」

研究員「これは……主任、本当何ですかね?」

主任「計り知れんが面白すぎるだろコレは、この理屈は。確かに大国の技術なら行っとるかもしれんな」



『誰もそこへは行けはしない。だから僕はお願いをしました。天使を呼ぶんです。レティクルの神様にお願いをして』



女「ハァッ!!ハァッ!!」

女「早く!早く!博士ぇぇぇっ!」

機械「!?%&@ケンテキ」

機械「#<;_dstry」

女「どっっ……けぇぇぇ!!」

ゴキャメギュ

機械「gulu……」



『レティクルの神様の遣わせた天使の矢で』

博士「さて、そろそろ時間です。御静聴どうも。今日という日が悪夢の終わりにならんことを。そして今日から新たなる一日が始まらんことを」

博士「…………」

博士「世界全人類の皆さん、お手を拝借。諸手を挙げて祝福を」

博士「祝福されたし」

博士「祝福された死」


笑う天使の放つ矢は5100度の、炎

一筋の光が昼間に煌めき
その日月には珍しくクレーターが増えた

女「はぁッ……ハァッ……ハッ!!ハァッ!!ハァッ………?」

女「ハッ…………ハッ……フッ…………あれ?」

機械「」

機械「」

女「機械が……止まってる……」

女「!?」

女「傭兵……さん」

女「ぅぐ……!!」

女「うぇ……れ…………!!っかはっ……行かなきゃ……」

女「傭兵さん…………ごめんなさい……また、後で……」

女「この先に……博士がいる……」

女「この戦いを終わらせたの……?」

女「世界は……救われたの……?」

女「あなたは……」

女「死んでしまったの……?」グス

女「はぁ……はぁ……」

女「博……士……!!」

博士「君か……夢かコレは?お迎えは……君じゃないだろ」

女「博士…………大丈夫……なの?」

博士「世界は多分、まぁ恐らく大丈夫。が、しかし」

博士「今僕はカウントダウンしている。そろそろ心臓が止まる」

女「死んじゃうの……?」

博士「…………何て顔をしているんだ……人類は救えた。僕はもう本望だ。今際の際で、君に会えた」

女「うっ……ぐ…………うぅぅ……」ポロポロ

博士「あ、終わる。さぁ、幕を降ろすぞ!!僕の人生は今!!」

博士「終わった!!」

女「全て……終わった。何もかも」

女「博士……傭兵さん…………女友ちゃん……戦いは、終わりました」

女「……今日はレティクルの日です」

女「…………レティクルの日は、記念すべき、博士の為の日です……!!」ポロポロ

ほらごらん、天使呼ぶための機械さ。


これで消える 人の苦しみも


星へ…


モブv「よう、今日も寒いな」

モブk「えぇ本当ですね~、そう言えば今日はレティクルの日ですよ?」

モブv「だからこんなに観光客が多いのか」

モブk「えぇ、みんな夜を待ちわびてますよ」

モブv「同時に今日は世界が救われた日だもんな。今日は晴れだし冬だから流星群も綺麗に見えるだろうね」

モブk「えぇ、でもアレは一体誰だったんでしょうねぇ。あのラジオの……」

「さしあたって神様」

モブk「へ?」

主任「レティクルの、神様だったんじゃあないの?」

今、彼女が星座へむける機械は

誰にも愛されぬ彼の思い出

女「さぁ……博士、傭兵さん……女友ちゃん……今日もいくよ」


カチリ



女「ほら、見て」

女「天使の翼だよ」

彼女だけが一人男を信じた
きっと二人だけには降ってくるでしょう

天使、その羽根

天使、翼よ……

これで終了です

知ってる人は知ってるでしょうがコレは今回、筋肉少女帯の『機械』『ノゾミ・カナエ・タマエ』をベースに作りました

筋少はカッコいいぜ、聴こうぜみんな

よかった


筋少いいよな。おもちゃやめぐりとか大好きだ
ss今から読む

途中のtさんネタで爆笑した
読んでて普通に面白かった。乙

機械からストーリーつくろうとするの一回は考えるよな
藤田の読み切りとか


良かった

機械いいよな


今更だけど凄いこの作品好きでした
もしこの方の他の作品を知っている方がいらしたら是非教えてください

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