律「干物姉ゲーマーRTS!」 (69)

律「ふっふっふっ……」


ビバ長期休暇!
これぞまさに学生の特権であり、醍醐味だよな~。午前中からずっとゲーセンに居座ることができる!
ま、部活ももちろん大事だけど、たまには一人でいる時間を持つってのも大切だ。
日常のことは一切忘れてゲームに没頭する! 家とも部室とも違う有意義な時間の過ごし方だ。

──そして今日、私の新たな伝説が誕生する! 『スぺ4』頂上決戦の開幕だ!!!


『これより最強の格闘ゲーマー! 「スペース・ストリーム・ファイター4」ナンバーワン決定戦を行います!!!!』


司会が開催を宣言すると、瞬時に店内が興奮の渦に包まれた。

この熱気、高揚感……これだから止められないっ……!
全国でも屈指の激戦区だった(らしい)この店を制した私だ。どんな猛者が相手でも打ち倒してやる!

『それでは決闘士たちを紹介します!!!!! まずはこの店の王者ッ! RTS!!!!!!』

アイマスクを装着した私は舞台へと上がった。
ああ、バンドの時とはまた違った視線を感じる。「スぺ4」が好きでたまらない熱狂的なファンの眼……
だけど私が一番強いんだ! 今日はそのことを徹底的にわからせてやるぜ!



『……~!!!!! ……~~~~っ!!!!!!!』

\\\ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ///



ど派手な演出ともに司会が参加者の紹介を続けている。どこかで聞いたことのあるようなプレイヤーばかり
……まあ、全員私の敵じゃないけどな!

『そして、最後の決闘士!!! 突如として現れた超新星!!!! 新たな旋風を巻き起こすのか!!!! AZS!!!!!』

白煙の中から姿を現したのは小柄な女の子だった。
長いツインテールを揺らせながら大胆なポーズを決め、こう叫んだ!

「私こそ、『スぺ4』頂点に立つ覇者! AZSですっ!!!!」ビシィッ!

今回は書きつつ、できたとこまで投下していこうと思います
なるべく更新が途絶えないようにします

今日はここまでですありがとうごじます

……うん、梓だ。どこからどう見ても梓だ。今日は参加者同士が個人情報保護のためアイマスクしているけど私にはわかる……
絶っっっ対に梓だ! まずい!

梓「ふっふっふっ!」

──いや、待てよ。何がまずいんだ?
ゲーセンに行ってることを隠してたわけじゃない。みんなとも部活終わった後にたまに行くし。
秘密にしているのは家でグータラしていることだけだ。梓に私が(お前もだぞ梓)ゲーマーだったってバレても……

梓「あなたの噂は聞いてますよ、RTSさん。今日は最高に熱い闘いをしましょう……!」スッ

マ、マジか! 梓のやつ、私だってことに気づいてない!?
あ、そうか。一人でゲーセンに来るときはいつも帽子かぶってるし、カチューシャも外してるからか……!
梓め、先輩である私に気づかないだなんて……絶対に負けないかんな!

律「よ、よろしく」スッ

梓「ふふふ……」

クソ、余裕見せてるな。お前普段とキャラ違い過ぎだろっ!
ともかく、私の方は声色も少しだけ変えたからバレてないな。
……なんか結局、隠し通す感じになっちゃったけどやるしかない!

<準決勝1組目>


ウアッ… ウァッ… ウァッ…

YOU WIN!

律「うっし!」

『勝者RTS!!!!! 準決勝まで他の決闘士を寄せ付けない圧勝!!!!! 決勝戦が楽しみです!!!!!!』

律「ふう……」

ここまでは順調だ。調子も良い。
問題は……

梓「おみごとです、RTSさん」

律「どうも」

スッ……

梓「私も負けませんよ……!」ゴゴゴゴゴ

梓がかなり手強そうだ。今から始まる試合も肩慣らしぐらいにしか考えてないだろう。
まさかここまでやるとは。何か弱点はないのか……?

<準決勝2組目>


梓「甘いですねっ! ここで“カウンター・ショックウェーブ”!!!」

『おおっと!!!!! AZSが反撃に転じたっ!!!!??』

……ダメだ、集中できない。そもそも数試合見ただけじゃ断定できないか。ぶっつけ本番ガチ勝負だなこれは。
つーか実況担当の司会者はともかく、お前が技名叫ぶのか……。軽音部で一切そんな色見せてないのに。
梓にもみんなに話してない秘密があったのか。

\ワアアアアアア!/

律「!!」

『勝者、AZS!!! 洗練されたテクニックの中には息を潜めた凶暴性が!!!! さあ、決勝戦はRTS対AZSとなりました!!!!!!』

梓「ふふふ……ようやくあったまってきました……!」

やっぱりまだ本気じゃなかったか。
私もフルで闘っていなかったとはいえ、勝てるかどうかわからなくなってきた。
だけど、ここで負ければゲーマーの名が泣くぜ! 燃えてきたっ!

<決勝>


『本日ご来店していただいた全国の「スぺ4」ファンのみなさま、お待たせしました!!! ついに決勝戦です!!!!!』

梓「勝負です、RTSさん!」

律「ああ、かかってきな……AZS!」

先輩として……いや、対等なゲーマーとして梓に負けるわけにはいかないっ!
どっちが真のチャンピオンか証明するんだ! 勝って魅せる!

『それでは試合……開始~っ!!!!!』

【RTS対AZS】


梓「……」スッ

律「おい、こないのか?」

梓「お先にどうぞ」

余裕な態度は試合中も変わらず、か。

律「ならこっちからいくぜっ」

『RTS、攻める!! 猛烈コンボだ!!!』

キィン キィンキィン

律「……!」

『しかし、AZSはすべてディフェンス!!! 序盤からなんてハイレベルなテクニックなんだーっ!!?』

梓「まっすぐ突っ込んでくる……とても単純ですが並みのプレイヤーと比べ遥かに強力……」

律「このっ、このっ!」

梓「さすがに数多いコンボを繰り出しますね。ですが私には無意味ですよ!」

律「!!」

梓「“カウンター・ショックウェーブ”!!!」

律「うぉっ!?」

『AZSのカウンター技が発動!!! それに対し、RTSはギリギリでジャンプで回避!!!!』

梓「ふふふ……飛びましたね!」

律「なんのっ!」バッ

空中対策も万全だ! 全部防ぎ切ってやる!

梓「(……ですが)“シャドウホール”……!」

ズズズズズズ……バシュッ!

『なななななんと!!!! 一度闇の中に姿を消したAZS!!!!! 真下から攻撃をしかけた!!!!』

梓「前後はともかく、『真下』の攻撃は防げない!」

律「しまった!」

ドゥン!

梓「まだまだ攻撃は続きますよーっ!」

ドカッ バキィッ

『怯んでしまったRTS!!!! AZSは追撃の手を止めないぞーっ!!!!』

厄介だ……カウンター型のプレイヤーだったのか……!
しかも、ディフェンスが完璧……オフェンス型の私にとっては最悪の天敵だ。
無理に突っ込んでもまた強力なカウンターが待っている。そんなの、ゲーマーでなくてもわかる当然のこと。

律「……!」

……多分、こっちもディフェンスに徹すればHPが0になることはない。わたしにもディフェンスの心得はある。
でもそれはタイムオーバーだし、残HPで劣っている私の負けになる。逃げ回っても負け……

そんなのはイヤだ。それに私らしくない。

キィン!

律「勝つには……」ボソッ

梓「ふふふっ!」

律「私が勝つには……!」

梓「さっきからどうしたんですか、攻めないと私には勝てませんよ!」

律「“もっと”無理をすることだっ!!!」

梓「!!」

『おおっ!? 防戦を強いられていたRTS!!! 先程仕掛けたコンボよりもさらに激しいコンボだ!!!!」

梓「~っ! “カウンター・ショックウェーブ”……からの“シャドウホール”!!」

『またもや真下からの攻撃っ!!!! RTSは一体どうするのでしょうか!!!!!』

今日はここまでです

律「ここだっ! ゲージ技“千脚・大車輪”!!!」

梓「あっ!」

ドカカカカッ!!!!

『RTS!!! 防御ではなく全方向攻撃で跳ね返した!!!!』

律「からの~“シュナイダー・キック”!」

梓「ぐっ……まだですっ!」

律「……」スッ

梓「“星正拳”!!!」

バチッ!

律「引っかかったな?」

梓「これは……カウンター技……!」

律「とどめだっ! “波動・鬼咆哮”」

キイイイイイイイイイィィンッ!!!!! ギャンッ! ボウウウウウウウウウウン……

ヌアッ… ヌァッ… ヌァッ…

YOU LOSE!

梓「そ、そんな……」

『試合終了!! 勝者はRTS!!! みなさま、今回の対決は滅多に見ることのできない大激戦であったことは間違いありません!!!!』

梓「……」

律「まさか私がカウンター技出すだなんて思いもしなかっただろ?」

梓「ええ、決勝までの対戦を見ていても攻撃特化型なのかなと……」

律「ま、攻撃重視が私のスタイルなのは当たってるけどな」

梓「私はカウンター型のスタイルでディフェンスにも絶対の自信がありました。それでも、防御を突破された上にカウンター技を受けるだなんて……」

律「ここぞという時には自分のスタイルを変える。そういう柔軟さを持ってこそ『真のゲーマー』だ」

梓「おみそれしました……私の負けです!」

律「いや、私もギリギリだったよ。いい闘いだった」

梓「今日は本当にありがとうございました、RTSさん!」グッ

律「こちらこそありがとう。また闘おう、AZS!」グッ


こうして熱い闘いは私の優勝で終わった。
今日の闘いは私のゲーマー人生の1ページに刻まれる出来事に違いない。
梓……いや、AZS! お前は私にとって最高のライバルだ!

数日後 ゲーセン


律「ふっふ~♪ やっぱりメダルゲームも案外ハマる……童心に返ってしまうなあ」

ジャラジャラ

律「(さすがに子ども向けのゲームだと高校生の私は恥ずかしいから干物姉姿~♪)」リッツーン

ドンッ!

律「あっ」

ジャラララ

律「あーっ! 私のメダルが!」

「あああ、すぐに拾わないと……!」

律「あー……」

「ごめんなさい、私がよそ見していたせいで……」

律「……はぇ?」

梓「……」アセアセ

律「(AZSゥー! じゃなかった、梓ぁーっ! どうしてお前がメダルコーナーに!?)」

梓「何枚か機械の下に入っちゃった……」

律「(ってか、このゲーセンの服装・格好だと、田井中律とはバレなくてもRTSだと気づかれるんじゃあ……!!!)」

梓「ごめんね……って、ん?」

律「(あわわわわ)」カタカタ

梓「……」ジーッ

律「(あがーん!!)」

梓「か……」プルプル

律「……か?」

梓「かわいい……!」

律「え」

梓「(何このかわいい生き物……! かわいすぎる!)」ドキドキ

律「あ、あ、あ……(バレてない……? とにかくこれ以上一緒にいるのはまずいから……!)逃げろーっ!」バッ

梓「あっ、待って! メダル忘れてるよ~っ!」

ダダダダダダッ

梓「行っちゃった……(それにしても、かわいい子だったなあ。メダル返さないといけないし、また会えるかな……?)」

部室


律「……」

梓「♪」

唯「今日のあずにゃん、なんだかご機嫌だね」

紬「何かいいことでもあったの?」

梓「えっ、いや別にそういうわけじゃあ……」

唯「顔がニヤけてるよ?」

梓「はっ!」

唯「……嘘だけどね。引っかかった~♪」

梓「唯先輩~!」

紬「まあまあまあ」

澪「律、何かあったのか?」

律「ん? ああ、別に何も……」

澪「そっか」

律「(どうやら梓にはバレてないみたいだな……)」

梓「♪」

もう少し続きます
ありがとうごじます

とある休日


タッタッタッ

律「(まさか新しいゲーセンができていたなんて! これは行くしかないだろ!)」

ウィーン

律「おお……目に映るすべてが新しい……!」

ジャラララ \確変!/ \もう一丁プレイできるドン/

律「さて、何から攻めようか……ん?(あれはまさか……)」

紬「ここに100円玉を入れるんですね? ありがとうございます」

律「(ムギだーっ! まさかムギも……ってさすがにそれはないか。この前みんなで行った時に『ゲーセンデビュー』って言ってたし)」

紬「えいっ!」チャリン

ジャララ

紬「出てきた~!」

律「おーい、ム……(あ、危ない……カチューシャ着けてなかった! 帽子も脱いどこっと)」スッ

紬「♪」

律「よ、ムギ」

紬「あ、りっちゃん!」

律「こんなとこで会うなんて珍しいな、どうしたんだ?」

紬「えへへ~。ここって最近できたばっかりなんでしょう」

律「みたいだな」

紬「だから先に一人で遊びに来て、今度みんなで来た時にはわたしがエスコートできるようにしたいなって!」

律「(優しすぎる……私も普段からこういう見えない優しさも受けてるのかな……)」

紬「りっちゃん?」

律「ああ、ごめん。ちょっと感傷に浸ってしまって……」

紬「? それでね、せっかくだから一緒に遊ばない?」

律「もっちろん! 何かしたいゲームある?」

紬「今メダルに両替したところだからメダルゲームで!」

律「OK! 私も両替するよ。今日は遊ぶぞ~!」

紬「うん!」

~~~


紬「りっちゃん、これはどうするの?」

律「これはだな、あの動く土台が一番手前まで押し出てくるタイミングでコインを入れるんだ」

紬「ふんふむ」

律「すると、あの土台の奥にコインが溜まるだろ? その状態のまま土台が引っ込むと……」

チャリンチャリン

紬「あ、落ちた!」

律「そしてその落ちたコインは……」

ウィーン チャリン

紬「!! 下にあるコインを一気に押し出すのね」

律「そういうこと。ま、やってみ」

紬「やってみる!」フンス

律「(楽しそうだなあ)」

チャリーン

紬「あっ! 入れるタイミング難しいね……」

律「あるある」

紬「えいっ!」

律「私も最初の方はなかなかうまくいかなかったけど、今では」

テロテロテロリーン!

律「え」

ピロピロピロ ピーンピーンピーン

『777』 5000coin

紬「5000コイン?」

ジャララララララララ!!!!!!

律「うおーっ! ムギ、大当たりだぞ!」

紬「え、ホント? やったー!」

律「(ビギナーズラックの力技だな……まさに『豪運』……)」

今日はここまでですありがとうございます

~~~


ウィーン

紬「う~ん……やっぱり取れない……」

律「(見えた!)貸してみ」

紬「う、うん」

律「首の部分掴めば……」

ウィーン

紬「あ! 持ち上がった~」

律「そしてゴール! はい、欲しかったんだろ」

紬「りっちゃん、ありがと~! このクマに一目ぼれしちゃって……」

律「どういたしまして。UFOキャッチャーは得意なんだ(自信はあったけど取れてよかったー)」

紬「次はレースのゲームしよう!」

律「わかった」

紬「あ、でも小銭、UFOキャッチャーで使いすぎちゃったから両替してくるね」

律「ついていこうか?」

紬「ううん、そこで待ってて。いってくる!」タタタ

律「(やっぱ無邪気でかわいいな~)」

「あれ、あなたもしかして」

律「(この声はまさか……!? 『秘儀・瞬間変装着脱』!!!)」バッスチャッ!

梓「私です、AZSです!」

律「(やっぱり梓ぁーっ! アイマスクも持って来ておいてよかったー!)ど、どうも」

梓「あれ。帽子はともかく、いつもそのマスク着けてるんですか?」

律「え? ああ、まあいろいろあって」

梓「そうですか」

律「(ヤバイ、やっぱ不自然だよな……)」

梓「そういえばこの間はとても楽しかったです。RTSさんも新店舗チェックですか?」

律「あーうん。そんな感じ」

梓「なるほどです。 ……今日も一勝負しませんか? 『スぺ4』で!」

律「(まずい……ムギがいるというのにこの状況……! ああ、でもゲーマー魂として逃げるわけには……)」ゴゴゴゴゴ

律「わかった……でも今日は『スぺ4』って気分じゃないから、向こうにあるレースゲームにしよう」

梓「わかりました、受けて立ちます!」

律「(変装してるからムギにはバレないはずだ。両替で戻ってくるまでには間に合わないだろうけど、トイレ行ってたとかでごまかそう)」

梓「ふふふ、熱い闘いをもう一度……!」

律「(とはいえ、ダラダラはしていられない……一気に終わらせてやる……)」

【RTS対AZS】

3、2、1 START!

ブンブンブウウウゥン!!!

律「(『弾丸ロケットスタート』! ふつうのロケスタより数段速いぜっ!)」

梓「ふっふっふっ……」

律「?(スタートミスったのか? てか、あんまし飛ばしてない……?)」

ティロリロリロティロリロリロ テッテッテッー

梓「私が欲しかったのはこれです!“三連武装・赤甲羅”!! 『自動追尾で相手を攻撃!』」

律「!!」

梓「そして“イカヅチ”!! 『自分以外のプレイヤーに雷を落とし大幅に減速させる!』」

律「むっ(たしかに強力なアイテムだけど、下位グループにはまず加速系のアイテムが必要じゃ……)」

梓「ふんすっ、ふんすっ!」バッ

ビシッ バァン ビシッ バァン

律「なっ……!(こいつ、アイテムを使わないままプチターボを刻んで少しずつ追い上げてきている!)」

梓「さあ、逃げきれますか……!」

ビシッ バァン ビシッ バァン

律「くっ!(ダメだ、基本非力なCOMキャラには梓のアイテムを削る盾の役割を期待できない。つーか、携帯機ならまだしもアーケードでそのテク披露するのってどうなんだ!?)」

梓「追いつきました、よぉ!」

律「くそっ! くらえ、“バナーナ”! 『踏んだ相手をすべらせるアイテム!』」

ボフッ

梓「!! ピンポイントで私の赤甲羅を狙いましたか……さすがは私を倒しただけのことはあるゲーマー。だけど、あなたを仕留めるには2つで十分!」

ピュンピュン ボボン

律「ぐっ!」

梓「&“イカヅチ”!」

ピシャーゴロゴロ

律「…………」

梓「お先でーす!(ここまでダメージを与えれば……逆転するなんて不可能!)」

ティロリロリロティロリロリロ テッテッテッー

律「これは!! (……可能性は、ゼロじゃない!)」

ポワワワン

律「(“ゴースト”! 『姿を消して他のプレイヤーのアイテムを奪う!』)」

梓「(!! マップからRTSさんの姿が消えた……“ゴースト”か。まだRTSさんの炎は消えていない……!?)」

今日はここまでですありがとうございます、

律「おっし!」

梓「(どのアイテムゲットしたの……)」

シュオオオオオオッ

律「いけえええええええええ!!!!!!」

梓「こ、これは……!(“とげとげ青甲羅”! 『1位のプレーヤーのみ追撃して激しい攻撃!』)」

律「いけっ!」

梓「……が、しかし!」サッ

チュドーン!!!

律「!?」

梓「直撃の瞬間、プチターボで加速すれば避けられる裏技があるんです! 最後の希望も断たれましたね!」

律「……勝負はまだ、わからない……!」

梓「なっ……」

ブンブンブウウウウウウウン!!!!

梓「今の“青甲羅”でアイテムを使い切ったはずじゃ!」

律「さっきのはCOMキャラが使ったアイテム! 私が“ゴースト”でゲットしたのは“パワフルキノーコ”だ!!! 『連打で超加速!』」

梓「(まずい……何かアイテムで防御を整えないと!)」

ボウン

梓「あっ!!(しまった……“偽装アイテムブロック……”!)」

律「追いついた! さては焦ってるな!」

梓「(前回は怒涛の追い上げでまくられた……同じ轍は踏まない!)」グッ

律「(さすがにケツに付いてもスリップはさせてもらえないか……)」

梓「スリップストリームはさせませんよ!」

律「(ゴールまでもうアイテムもない……スピードも梓のマシンの方が性能が良い……さすがに万策尽きたか……)」

梓「このままゴールまで一直線です! あっはっはっはっは~!」

「梓ちゃん?」

梓「え?」

紬「やっぱり梓ちゃんだ~!」

梓「むっ、むむむむ、ムギ先輩っ!!?」ニャーン

律「今だ、スリップストリーム!!!」

ギュイイイイイイイイイン

梓「はっ! しまった!」

律「うおおおおおおおっ!!!!!!」

GOAL!!!!

1st RTS   2nd AZS

律「おっしゃー!」

梓「ま、また負けた……」

紬「梓ちゃん、とってもゲーム強いんだね!」

梓「ああああ、あの……これは……」

紬「何度もゲームセンターには来てるの?」

梓「は、はい……。あの、ムギ先輩……」

紬「じゃあ次はわたしと対戦してくれない?」

梓「え……?」

紬「私も梓ちゃんとレースしてみたいの」

梓「い、いいんですか……?」

紬「もちろん!」

梓「……っ!」バッ

律「……」コクン

梓「はい、やりましょう」

律「(そう、恥ずかしがることじゃないんだ。ましてやムギだ。梓のことをバカになんてしない)」

紬「ここにお金を?」

梓「そうです。メンバーズカードを作れば成績も残せますよ」

律「(さて、一旦退散しなければ)」コソコソ

紬「あれ、どこに行くのりっちゃん?」

律「……え」

梓「は?」

紬「えっと、帽子にマスクして、カチューシャ外してるけど……りっちゃんだよね?」

梓「えええ、え?」

律「ずがびーん!!(しまったーっ! ムギにはモロバレだったー!)」

紬「?」

梓「ぼ、帽子とアイマスク取ってもらえますか……」

律「(ええい! 後輩の梓もがんばったんだ……私も……!)はいっ!」スッ

紬「ね、やっぱり!」

梓「に、に、に、にゃあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

律紬「!?」

梓「(RTSさんが律先輩!? え? プレイヤーネーム……RITじゃなく!? いつから!? いや、それよりも……『AZS』……)」


『今日は最高に熱い闘いをしましょう……!』
『私こそ、『スぺ4』頂点に立つ覇者! AZSですっ!!!!』
『私です、AZSです!』
『ふんすっ、ふんすっ!』


梓「ぎにゃあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」」

律「あ、梓」

梓「は、ははっ、恥ずかしいですっ……!!! 顔から火を吹けそうで……」

律「(まずい、はげしく動揺している!)」

梓「いっそ殺しt」

紬「梓ちゃん!」ギュッ

梓「!! ムギ……先輩……」

紬「梓ちゃんに何があったのかはわからない……。けど、落ち着いて……」

梓「……」

今回はここまででです、次回かその次で終わると思います更新が遅れてしまいました
ありがとうございます

紬「何があったの?」

梓「……恥ずかしくて」

紬「恥ずかしい?」

梓「ゲームが……好きなこと……」

紬「梓ちゃんがよければだけど、話してほしいな」

梓「……わかりました」

律「……」ゴクリ

梓「じ、実は……私は中学の頃からゲーセン通うようになって、いつの間にかゲーマーになってました……」

紬「うん」

梓「高校に入って、軽音部に入ってからも、テストや部活の無い日はけっこう通ってて……大きな大会に出場したりとか……」

律「……」

梓「それで……いつも先輩たちにガミガミ言うくせに、自分は重度なゲーマーだってことを知られたのが……その……みんなに幻滅されるんじゃないかと……」

律「(少し耳が痛い)」

紬「気にしなくていいよ、梓ちゃん」

梓「!!」

紬「怒るのは軽音部のことを想ってのことでしょう? それに不真面目だなって思ったことは一度も無い」

梓「……」

紬「ゲームが好きだから、ゲームセンターに通ってるから……それらが原因で部活動に影響が出た、なんてことも無いし」

梓「……」

紬「それに、さっきりっちゃんと対戦していた時の梓ちゃん、本当に楽しそうだった……」

梓「……っ!」

紬「だから、わたしも混ぜてほしいな♪」

梓「本当に、いいんですか……?」

紬「もちろん! 混ぜてくれる?」

梓「……はいっ! ぜひっ!」

紬「やった! ……誰にでも、『人に話していない秘密』はあるものなんだから、思い詰める必要なんてないからね」

梓「はい、肝に銘じます。ありがとうございました」

紬「わたしにも……ね」ボソッ

梓「えっ?」

律「(……?)」

紬「えっ? あっ、ううん、なんでもないの!」

律「(まあ? 一件落着か。よかったよかった)」

梓「律先輩っ」

律「んー?」

梓「次は負けませんよ?」

律「ああ、また返り討ちにしてやる!」

紬「よーし、わたしも負けないんだから! 手加減無しで真剣勝負!」フンス

律梓「おーっ!!」

数日後 ゲーセン メダルコーナー


ジャララララララララ

律「今日は絶好調だっ!」リッツーン

\大当たり~!/

律「カップにメダルが山盛り……ぬへへ」

ジャララララララララ

律「そういえば、この前ムギも大当たりしてたっけか。また誘ってみようかな~……あっ」


『──誰にでも、『人に話していない秘密』はあるものなんだから』
『わたしにも……ね』


律「(ムギに秘密……? あの時は梓の事があったから気にならなかったけど、秘密って何だろう……気になる)」

「あっ、いた!」

タッタッタッ

律「んぇ?」

梓「やっと見つけたよー!」

律「ずがびーん!!(あ、あ、あああ梓ぁーっ!!!??)」

梓「ずっと捜してたんだよ」

律「(に、逃げないと! ……まて、RTSとしての私はもうバレてるから逃げる必要はないのか)

梓「?」

律「(……いやいやいや、干物姉姿じゃん! 今の私!)」リッツーン!

梓「(かわいい……)」

律「(むっ、もしや、前回もバレてなかったみたいだけど、今回もまだバレてないのか……? 基本的にRTSの時と同じゲーセンによく着ていく服装なんだけどな。干物姉姿ばんざい)」

梓「あ、そうだ。これ渡さないと……はい、これ」スッ

律「これは……メダル?」

梓「私のこと覚えてない? この前、ここでぶつかってメダルばら撒いちゃった……」

律「あ、あー……(あったな、そういや)」

梓「それで、拾っている間にキミ、走ってどこかに行っちゃったから私がメダル預かっておいたんだ」

律「……(真面目だなあ)」

梓「またいつ会えるかわからないから、キミがいるかどうか定期的にメダルコーナー立ち寄ったりしてたんだよ」

律「……!!」

梓「まあ、直接手渡せたからすっきりしたかな。それにしても今日もメダルいっぱいだね、もしかしてゲーム上手な」

律「お姉ちゃん、ありがとう!」

梓「っ! はぅぁっ!! あ……」ズキューン

律「(梓め、泣かせるマネしてくれるじゃないか……)」

梓「あ、ああ、あ、……」プルプル

律「…………ん? どうかしたの、お姉ちゃん?」

梓「し……」プルプル

律「し?」

梓「“師匠”って呼んでもいいですかーっ!!?」

律「しっ、“師匠”!? なんでっ!?」

梓「や、その、何というか……あっ、メダルいっぱい取ってるみたいだからゲームが上手なんじゃないかと思って……!」

律「そんなことはないけど……師匠ってなんか落語家みたいじゃあ……」

梓「いやいや、間違いないですよ!(やっぱりかわいすぎる……! なんとか一緒に遊びたい……)」

律「(な、なんか敬語使いだした―っ!?)」

梓「それでですね……これからも、たまに……たまにでいいので一緒に遊びませんか……?」

律「う……」

梓「……」ドキドキ

律「わ、わかった。遊ぼう」

梓「やった! ありがとうございます!」

律「(勢いでOKを出してしまった……RTSはともかく……できるなら、グータラの象徴である『干物姉』=『田井中律』であることをバレないよう通したい……)」

梓「ふふふ♪」

律「(これから一体どうなるんだーっ!?)」


おわり

ありがとうございました
今のとこ続きは思い浮かんでいないのでHTLM化依頼します

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom