モバP「みくが膝の上から降りてくれない」 (22)



―――


みく「~~♪」


P「……なぁみく」

みく「なーに、Pチャン?」

P「たしかに俺は、誕生日だから今日はなんでも言うこと聞くと言った」

みく「うん」

P「でもこれじゃ仕事ができない。分かるか?」

みく「甘ーいアメをアイドルにあげるのも、立派なプロデューサーのお仕事にゃあ」

P「そうかな?」

みく「そうだよ。ごろにゃん♪」

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P「…………」

みく「…………」


P「……退く気はないのか」

みく「え? ないよ?」

P「そうか」

みく「うん、だって誕生日だもん」

P「そうだな。改めておめでとう」

みく「にゃふ~、ありがと♪」

P「ケーキ、美味かったか?」

みく「うん! あんなに甘くて美味しいケーキ、初めて食べたにゃ!」

P「そっか。そりゃよかった」

みく「どこで売ってたの? みくの好みにドストライクだったにゃあ」

P「口に合ってなにより。……そうだな、駅前の路地を行ったところにあるんだ、店」

みく「ふーん……? あんなところにケーキ屋さん、あったかにゃ?」

P「あったんだな、それが」

みく「また食べたいにゃー……。来年もお祝いしてくれる?」

P「おう、みくさえよければ」

みく「大歓迎にゃ! えっへへ、今度はPチャンにも食べさせてあげるね!」

P「うーん、それは勘弁。恥ずかしくて死ぬ」

みく「今の密着してる状況よりマシにゃ」

P「……まぁそうだな。で、退く気はない?」

みく「ないにゃあ?」

P「うーむ……」

みく「退いてほしい?」

P「できれば。誰かが帰ってくる前に」

みく「ふむふむ。じゃあこうするにゃ」

P「どうするにゃ」

みく「1回、ぎゅーって抱きしめてくれたら退いてあげる。それならいーい?」


P「本当に1回?」

みく「…………保証できかねるにゃあ」

P「ダメじゃん」

みく「だって、だって。Pチャンにぎゅってされたら……みくは、みくは……!」

P「い、いったいどうなるんだ……!」


みく「きっと安心して眠っちゃうにゃあ」

P「あぁドキドキするとかじゃないのか」

みく「なに言ってるの、既にもう心臓バックバクだよ? 正直破裂寸前にゃ」

P「じゃあ破裂の前に退きなさいな」

みく「絶対いやにゃ」

P「んもう」

みく「みくは自分を曲げないよ」

P「死ぬかもしれないのに?」

みく「Pチャンの腕の中で死ぬのなら本望にゃ……ばたり」

P「よし、死んだか」

みく「……『よし』はさすがにひどいと思うにゃあ」

P「生きてるじゃないか」

みく「百万回生きたみく」

P「なんだそのドヤ顔」

みく「こほん。みくはね? Pチャン」

P「どうした」

みく「百万回生まれ変わっても、Pチャンのこと忘れないよ」

P「大した根性だな」

みく「うん。百万回の人生、全部Pチャンのもとでアイドルになるの」

P「猫もストーカーする時代か」

みく「にゃっふふー。みくの肉球は音も立てずにPチャンを捕捉するのにゃあ♪」

P「ふふ、そうか。じゃあ俺も、百万回みくをプロデュースしなきゃな」

みく「うん、よろしくね!」

P「で、今は何回目の人生なんだ?」

みく「さぁ? 誰もそんなこと分かんないにゃ」

P「そりゃそうだ」

みく「あと百万回、膝の上に乗せてくれたら思い出すかも?」

P「1日1回だとして、何年かかるんだそれ」

みく「待って、計算してみる……えっと、1年を365日として――」

P「ほら、電卓」

みく「ありがと。……んーと」



みく「約2740年」

P「2740年」

みく「…………」

P「…………」

みく「化け物かにゃ?」

P「どうあがいても無理だな」

みく「頑張ればいけるにゃ!」

P「妖怪じゃないか」

みく「猫又みくにゃんにゃあ」

P「俺は人間でいたいぞ」

みく「百万回は無理でも、できる範囲でお願いしたいにゃあ」

P「膝に乗せないって選択肢は?」

みく「……あってもいいけど、泣いちゃうよ? 道端の子猫チャンみたく泣くよ?」

P「…………無いようなもんか」

みく「えへへー。だからPチャン好きにゃ♪」

P「へいへい」

みく「Pチャン。これからもみくのこと、よろしくね」

P「うん」

みく「また今日みたいなワガママ、言っちゃうかも」

P「いいよ。みくが幸せなら」

みく「あ、あう……。み、みくもPチャンが幸せになるなら、なんだってするにゃ!」

P「じゃあ退いてくれ」

みく「それは無理な相談にゃ」

P「無理かー」

みく「みくの幸せは、Pチャンの膝で丸くなって眠ることにゃ。譲れないよ!」

P「ちり紙みたく丸めてやろうか」

みく「グシャグシャになっちゃうにゃ……。もっと優しく扱ってにゃ、女の子なんだよ?」

P「女の子はみだりに男性の膝に座らないぞ」

みく「にゃあにゃあ、みくはかわいいかわいい猫チャンだにゃあ♪」

P「どうしろってんだ」

みく「女の子扱いと猫チャン扱い、いーとこ取りしてほしいにゃ」

P「難しいことを……」

みく「簡単だよ。Pチャンが、みくのこと大事にしてくれるだけでいいの!」

P「大事に、ねぇ」

みく「だから、いつも通りでいいのにゃ。いつものPチャンが、みくは好きだから」

P「……好き好き何度も言わないでくれ。照れる」

みく「みくも恥ずかしいけど、誕生日だから特別大サービスにゃ。……もっと言っていい?」

P「ダメ」


みく「Pチャン大好きにゃあ!」

P「ダメって言ってるだろ!」

みく「みくは気まぐれな猫チャンだから、今日はPチャンの言うこと聞いてあげなーいっ♪」

P「おー、そうかそうか……。ならこっちも考えがある」

みく「にゃ?」

P「実は、ケーキの他にも用意してた物があったんだけど……言うこと聞かないってんなら、いらないよな?」

みく「え、え? なんのこと?」


P「ハンバーグ」

みく「え」

P「しかも手作り」

みく「にゃっ……!?」

P「いらないなら俺1人で食べちゃおうかなぁ?」

みく「――――」

P「なぁみく? いらないのか?」


みく「にゃ、にゃあ……にゃ、にゃぅ、にゃお……!?」

みく「にゃう! にゃーにゃ、ふにゃあっ、にぃー、にぃー!」


P「……ショックで人語が話せなくなってしまったようだ」

みく「ぐすっ」

P「食べたいんだな?」

みく「にぃ……」

P「言うこと聞く?」

みく「にゃ……。うん、きく」

P「よし。……じゃあ今晩、内緒で寮に持ってってあげるから。おとなしく待っててな」

みく「うん、……うんっ! 楽しみにしてる、待ってるにゃ!」

P「ふふ、切り札を用意しててよかった」

みく「手作りハンバーグなんて、言うこと聞かざるを得ないにゃあ……。Pチャン、策士にゃ」

P「切り札ついでに教えておこう」

みく「へ?」

P「バースデーケーキ、あれな……」

みく「うん」


P「あれも手作りだ。どこにも売ってないぞ」

みく「にゃ――!!?」

P「いやぁ、あそこまで喜んでくれて俺も嬉しいよ」

みく「にゃあ、にゃあ……!」

P「あれ? みく?」


みく「にゃう、にゃー! ふにゃーお! にゃんにゃんにゃー♪」


P「あぁ、また言語能力が……。というかいい加減ほんとに退いてくれないか? もう脚が痺れて……」

みく「みゃーう、にゃう~♪」スリスリ

P「ダメだ聞いちゃいない……。しょうがないなぁ、もう」ナデナデ…



みく(Pチャンの膝の上は、ずーっとみくのものにゃ♪)



おわり

というお話だったのさ

等身大みくぬいぐるみください
かつお節出せます

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