提督「大和と結婚の約束をしてから何故か艦娘たちに懐かれる様になった」 (152)


海軍大本営。

とある提督の執務室。

コンコン…

がちゃ

?「失礼します」


?「本日付より御艦隊に配属される事になった、戦艦 ローマです」

提督「おお。よく来たな。俺がこの艦隊の提督だ。よろしく頼む」

ローマ「はい……」

提督「ん?なんか浮かない顔をしてるな」

ローマ「そ…そんな事は……」

提督「まぁ…無理もねえわな。艦隊と言っても、本隊から外れた独立遊撃艦隊だしな。独立艦隊って言えば聞こえはいいが、簡単に言えば援軍艦隊みたいなもんだからな」


ローマ「…………着任早々ながら失礼を承知で言えば、それだからこそ私の様な者が配属されたのでしょう」


 


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提督「ん?そりゃどういうこった?」

ローマ「提督…私の事は既に報告を受けているでしょう?」

提督「お前が他の提督たちと、あんまりソリが合わなかったって事か?」

ローマ「はい…私は姉のリットリオと違って、神経質でいつもピリピリしている様な艦娘ですから……提督の方々にとって私は扱い辛いのでしょう」

提督「そうか…………そいつは済まなかったな」

ローマ「えっ?」
提督「いきなり異国…それも欧羅巴からこんな島国に配属されたんじゃ、誰だって神経質になるわな。本来ならこちらがエスコートってやつか?をしてやらなきゃいけねえんだが……」

ローマ「…………」

提督「済まんな。アイツらはまだ若造で気が利かねえ、紳士には程遠いモンばかりだからよ。まぁ…とは言っても残念ながらそ
の筆頭が、その中でも一番のおっさんの俺なんだがな」ははは


ローマ「提督……」


 


提督「だから、俺はそう言った機微が分からない奴だから。その代りお前さんが望む事は出来る限り尊重する心算だ。何たってお前さんはこの本隊の二軍と言ってもいい艦隊に、それもはるばる伊太利亜から来てくれたハイカラなお嬢さんだからな」

ローマ「………………」

提督「どうだ。まあ取り敢えず俺の艦隊の力になってくれねえかな?どうしても合わねえ様ならその時はまた考えるからよ」

ローマ(…………このヒトはこんなにも…こんな私を必要としてくれてるんだ……こんな提督は今までいなかった…………)

ローマ「分りました。このヴィットリオ・ヴェネト級四番艦ローマ。僭越ながら提督の艦隊に喜んで加わらせて頂きます」

提督「おおそうか!こちらこそよろしく頼む」にか


ローマ「!!///////////」どきっ


 


ローマ「あの…一つお聞きしたい事があるのですが、よろしいでしょうか?」

提督「何だ?何でも聞いてくれ」

ローマ「たしかこの艦隊には、軍神と呼ばれた大和という戦艦がいたと思いますが……」

提督「大和か……あいつは前の戦いで、ほぼ撃沈に近い程の大破をしてな、それでもどうにか修復は出来たんだが、ところどころ修復できない部分に劣化があってな、常時の運用が出来なくなって、それで予備役になったんだ」

ローマ「そうなんですか」

提督「ああ。それでも戦う事が出来なくなった訳ではないし、あの軍神と称される程の戦力だ。ここぞという時にはいつでも戦線復帰してもらう心算だ」

ローマ「…………」

提督「だが、予備役になった艦娘は、当然…旗艦にすることは出来ない。だからいまは俺の補佐艦として主に俺の事務方の仕事を手伝ってもらっている。まあ今は色々あってこっちに来れないんだが」


ローマ「そうですか……」ふむ


 


提督「それで、流石に艦隊に戦艦がいないのは如何なモノかと思って、戦艦を一隻要請したんだ。それで来たのがお前さんって訳だ」

ローマ「成程。そういう事だったのですか」

提督「だが……来たのがお前さんで本当に良かったよ」

ローマ「えっ?」どきっ

提督「俺が注文したのは高速、高火力の艦だったんだが、お前さんは資料を見る限りそれに加え更に長射程ときてる。まさに理想の艦娘が来てくれたって感じだよ」

ローマ「そうですか…ありがとうございます///////」

提督「それと、これはまだ正式には決めてはいないんだが、俺は大和の代わりになる旗艦を同じ戦艦であるお前さんにしようかと思っている」

ローマ「私を旗艦に…ですか?」

提督「ああ。俺は旗艦に関してはやはり戦艦がいいと思っていてな。そういった意味合いもあって、戦艦を要請したんだ」

ローマ「そうですか」

提督「ああ。しかもその戦艦が、最新鋭の戦艦であるお前さん…と、くれば尚更だ」


ローマ「……そう言っていただき光栄に思います…………」


 


提督「まあ…来たばっかでイキナリこんな事言われても戸惑うだけだろうから、そうだな…今後の事について、今夜にでもメシでも食べながら話し合いたいと思っているんだが…そうだな言ってみれば懇談会みたいなもんだ」

ローマ「懇談会…ですか?…………判りました」

提督「おおそうか。まぁ本営とはいえ、軍事施設だからな。お前さんのお眼鏡に掛かる洒落た店はないと思うが――――――」

ローマ「――――――それなら……ここで」

提督「ん?」

ローマ「私が何か作りますから、ここで懇談会をしませんか?」

提督「ここで?お前さんそれでいいのか?」

ローマ「ええ。こう見えても料理は不得意ではないんですよ」

提督「そうか…それじゃあそうさせてもらおうとするかな」


ローマ「はい。了解しました!」ビシッ


 



イタリア艦娘宿舎。


調理室


ローマ「ふんふ~ん」~♪

リットリオ「こんな処にいたの。あら…ローマ今日はごきげんね。昨日、艦隊の異動が決まった時には難しいお顔をしてたのに」

ローマ「そんな事ないわよ、姉さま」

リットリオ「そう?でもアナタがお料理作っている時は、何かいい事があった時だと思ったけど」

ローマ「そう…かな?///////」

リットリオ「あっもしかしてそのお料理、日頃の感謝を込めて私の為に作ってくれてるの?」

ローマ「残念だけど違うわ」


リットリオ「そう…でもその量だと一人じゃ食べきれないし…じゃあ誰の為に作ってるの?」


 


ローマ「誰の為って言うか、これから新しい提督と懇談を兼ねた食事会の料理を作ってるの」

リットリオ「そうなんだ。ふふ…アナタがそんな嬉しそうにお料理を作るのを見る限り、良い方みたいね今度の提督さんは」

ローマ「………………うん///////」

リットリオ「!おっもしかして、その内にその提督さんとケッコンンカッコカリなんかしちゃったりしてね」ふふ

ローマ「もうからかわないでよ姉さま!//////////」

リットリオ「ふふ…御免なさいね」


リットリオ(でもこのローマの表情(かお)、満更でもないみたいね……初対面であのローマをここまでさせちゃう提督ってどんな方かしら?たしかベテランの方らしいけど……)


 



その日の夜。


提督の執務室。



提督「では、戦艦 ローマの艦隊配属を祝って」


提督「乾杯」

ローマ「サルーテ」
カチャン…


提督「ほう…イタリア語で乾杯はサルーテって言うのか」

ローマ「はい。他にはチンチンとk」はっ

提督「ほう。そうかチンチンか」

ローマ「―――――――――!!///////」かぁぁ

提督「はは。言語とは中々難しいものだな」


ローマ「そうですね……//////」こく



 


提督「それはそうとこれがワインか……」

ローマ「ふふ…ブドウジュースじゃないですよ?」

提督「それくらい俺でも判るよ、このやろう」くいっ

ローマ「フフフ…」

ローマ(とかいって私は日本酒を白ワインと勘違いしてたけど…………/////////)

提督「?」

ローマ「で…どうですか?イタリアワインのお味は?」

提督「ふむ…これはこれで中々だな」

ローマ「ふふ…喜んで頂いて良かったです」にこ


提督「じゃあ料理も頂くとするかな」


ローマ「はい。どうぞ頂いて下さい」


 



――――――


提督「―――――それで、今後の話なんだが。先程も話をしたが、俺がお前さんと言うか戦艦を招聘したのは戦力の増強、及びお前さんを含むこの艦隊の艦から旗艦を選ぶ為なんだが」

ローマ「はい」

提督「改めて…俺は候補の第一にお前さんを考えている」

ローマ「…………提督。お話しは大変光栄な事ですが、提督は私がよく戦闘時に被弾している事は知ってますよね?」

提督「確かに、資料では妙に被弾率が高かったな」

ローマ「私は運のない艦娘なんです」

提督「……………」

ローマ「もし私が旗艦になったとして、大事な戦闘で被弾して轟沈する様な事になれば、艦隊の士気が一気に降下してしまうと思いますが。それでもよろしいのですか?」

提督「そういうことか……」

ローマ「はい」どきどき

ローマ「ですから私を旗艦に、というお話は大変名誉な事ではありますが、それでもやはり……」

提督「確かにお前は被弾が多い」

ローマ「ですから――――――」



提督「だが資料を見る限り戦績も申し分ない」


 


ローマ「えっ!?」

提督「お前さんは、自分の運の無さが旗艦として、艦隊に悪影響を及ぼすと考えている様だが、まぁその事なら心配するな」

ローマ「えっ?」

提督「俺も戦場に出てお前と一緒に居るから」

ローマ「えっ!?ど…どういう……」

提督「だから俺も船で直接、戦闘領域に出向いて指揮を執るという事だよ。その時は当然、俺は旗艦であるお前の傍にいるから。こう見えても俺は幾つかの死線をどうにか潜り抜けて生き伸びて来たんだ。どうも悪運だけは強いみたいでな」

ローマ「あ…あの……」

提督「だから俺と一緒に居れば、運の悪さも相殺されるってこった。まあこんな戦法(こと)をやる提督は今はもう俺くらいなもんだけどよ」


ローマ(……確かに艦娘と一緒に戦闘区域に出る提督なんて聞いた事がない……)


 


提督「もしそれでもお前さんが轟沈する時は。そんときゃ俺も一緒に逝ってやる。言うなれば一蓮托生ってやつだ。まぁ道連れがこんなおっさんで申し訳ないがな」

ローマ「提督……」

提督「それじゃあ不服か?」

ローマ「そんな事は……でも…ただそれだけではなくて、旗艦と秘書官は同一の艦なんですよね?でも私はまだ日本の読み書きは不慣れなんですが」

提督「その件だが。俺は正直に言って、戦闘の要である旗艦と、事務方の秘書艦が同じというのは、いかがなものかと思っていてな、特別に事務艦というのを置いている。今は大和にやって貰っているから、その事は心配するな」

ローマ「そうですか……」

提督「まぁ俺の考えはこんな感じだが」

ローマ「お話しは分りました。でも…まだ正式に任命を決まられた訳ではないのに、私にここまで話されてもいいのですか?」

提督「まぁ確かに正式って訳ではないが……」

ローマ「でしたら、どうしてそこまで私の事を……」


提督「お前さんは日本(こっち)に来てまだ日も浅いし、まだ色々慣れない処もあると思うからな。だから一応、お前さんの意志も聞いておかないと、と思ってな」


 


ローマ「…………………」

提督「それでそうなんだ、お前さんの希望としては―――――」

ローマ「分りました。もし正式に任命された時には謹んでお受けいたします」

提督「そうか。ありがとうなローマ」にこ

ローマ「!!/////////」どきっ


ローマ(このヒトは私の全てを受け入れ…私の全てを包み込んでくれる……本当にこんなタイプの提督(ヒト)始めて……そう私は多分、艦娘として女としてこんなヒトを求めていたんだ――――――)じ…


 



提督「ん?どうしたローマ。人の顔をじっと見て。こんなおっさんの顔見ても楽しくないだ――――)

ローマ「…………提督。その前に一つお聞きしたいのですが」

提督「ん?何だ?」

ローマ「ここの軍法を学んだ時に、ある程度戦果を上げた旗艦は…その提督とケッコンカッコカリという契りを交わす事が出来るという事ですが」

提督「そうだが。それがどうかしたのか?」

ローマ「提督は前の旗艦であった大和とはケッコンカッコカリをしてなかったのですか?」

提督「ああ。してないな」

ローマ「どうしてなんですか?」


提督「まぁ…それは俺の考えというか……ケッコンカッコカリをした後で、俺が戦場でおっ死んじまったら、そいつを悲しませちまうと思ってな。それでな……まぁ今となってはそれもどうかとも思うが」


 


ローマ「…………では大和とは今は何でもないのですよね?」

提督「いや…その事なんだが……確かにケッコンカリはしてないが…その…………な、一応…結婚の約束はしていてな……」

ローマ(えっ!?)ズキッ

提督「艦娘は軍法により、軍の所有物という扱いだから、正式に除隊して、民間人にならないと結婚する事は出来ないんだよ。それでまだ結婚してないが、大和が軍を辞めたら俺は正式にあいつと結婚するつもりだ」

ローマ「――――――――――」

提督「ずっと…あいつと一緒に居たからな…情も移るって言うか……一途なあいつに、いつの間にか惚れていたんだよ……………ってつまらん惚気話になっちまったな。スマン」ははは

ローマ「………………………………………………………」ぐっ


ローマ(それなら―――――――)


提督「ん?どうしたローマ?」


ローマ「…………提督。私を旗艦にしたいのなら、二つ条件があります」


 


提督「何だ?」

ローマ「提督の下で私の戦果が基準に達した暁には、私と必ずケッコンカッコカリをして下さい」

提督「えっ!?」

ローマ「私が艦娘の…それも戦艦の中でもコストが高いのはご存知でしょう?そう考えると艦隊運用にとってもメリットはありますし、悪い話ではないのではないですか?」

提督「確かにそうだが……」

ローマ「それに大和とケッコンカッコカリをしていないのなら何ら問題もありません。結婚とケッコンカッコカリとは違いますから」

提督「そ…そうだな……前向きに考えておく」

ローマ「はい」にこ

提督「それだけか?」

ローマ「あと一つ」

ローマ「私を旗艦に選ばれた際には、提督の事をマリートと呼ばせて頂きます。よろしいですか?」

提督「マリート?ああ。呼び方なんぞ好きにすればいい」

ローマ「ありがとうございます」にこ

提督(どういう意味かは分からんが、ローマがそれを望んでいるなら、まぁいいか……)

ローマ「さあお話しはコレくらいにして、お料理が冷めてしまいますよ」

提督「おおそうだった。よしっ食べるぞ」


ローマ「はい」にこ




翌朝。


朝礼でローマが正式に提督の新しい旗艦に任命された事が発表される。
新参者のローマがいきなり旗艦に抜擢された事により、艦娘たちからどよめきがが起こるが、提督の説明により一応は艦娘たちも納得した様相となる。


 

こんな感じのお話になります
ペースはとても遅くなると思いますが
よろしくお願い申し上げます

それでは。



その日の午後。


スタスタ…

鳥海(久しぶりに出向先から、こっちに戻って来れたのはいいけど…でも何かいつもより、ちょっとざわついた感じがするのだけど、何かあったのかな?)

鳥海(まぁ…そんな事よりやっと解析班の仕事が一段落したから、久しぶりに司令の事務艦として司令のお傍で仕事が出来る)

鳥海(大和さんと結婚するって聞いた時はショックだったけど……それも当分先みたいだし、ケッコンカッコカリも出来ないから、この期を境に私が正式に司令の秘書艦になって、そして……ゆくゆくはケッコンカッコカリをして……あわよくば大和さんから正妻の座を――――――――///////)

鳥海(――――ってこんなこと考えてたら、もう司令のお部屋の前に来ちゃった……)どきどき…

鳥海「……………」ゴク…



鳥海(久しぶりだからちょっと緊張するな……)
すっ…
コンコン…
がちゃ…


  



鳥海「失礼します。司令!この不肖、重巡洋艦 鳥海。深海文書の解析に関する研究が一段落しましたので、再びここに戻って参りました!」

提督「おう。よく戻ったな」

鳥海「はい。これから暫くは再び事務艦として司令のお傍で――――――え?」びくっ

鳥海「あ…あの……司令。そこにいらっしゃるのは……?」

提督「そうか。お前は研究所に出向していて、朝礼の時はまだいなかったな。紹介する。この艦娘は本日付でこの艦隊の旗艦に任命したローマだ」

ローマ「戦艦 ローマです。新参者ではありますが、今日からマリートの艦隊の旗艦に着任となりましたのでよろしくお願いします」ぺこり

鳥海「!?」

鳥海(新しい…旗艦――――――――!?)

鳥海「こ…これはどう云う……」はっ

鳥海(―――――ってそれに今…マリートって……!?)


ローマ「………………」



 


提督「どうもこうもローマの言う通りだ。予備役である大和を除けば、この艦隊唯一の戦艦である彼女には、艦隊の旗艦として存分に働いてもらう心算だ」

ローマ「……………」ちら

鳥海「……………………」ふるふる

提督「ん?どうした鳥海」

鳥海「司令……話しは分りましたが、そのローマさんが司令の事をマリートって呼ばれていますけど、司令は意味をご存知なんですか?」

提督「いや。まあ提督とか、司令官って言う意味じゃないのか?」

鳥海「違いますよ。マリートというのはイタリア語で、夫って言う意味なんです」

提督「えっ!?そうなのかローマ」

ローマ「はい。その通りです」こく

鳥海「いくらなんでも…昨日今日初めてあった人の事を、そう呼ぶなんておかしくないですか!?」

ローマ「…………」はっ



ローマ(…………そうか…この艦(ヒト)もしかして……)じ…


 
 


ローマ「私は提督と私がこの艦隊で旗艦として一定の戦果を上げたら、提督とケッコンカッコカリをする約束をしているの。だったら、私が提督の事を旦那さまって呼んでもおかしくはないでしょう」

鳥海(えっ!?)

鳥海「司令……………今ローマさんが言った事って……彼女とケッコンカッコカリをするって本当なんですか?」

提督「ああ。たしかにその話はしたな」

鳥海「…………………そう…ですか……」

ローマ「これからは私が旗艦として、全てを捧げて提督を支えますから。大丈夫ですよ」ニコリ…

鳥海「……………」

提督「それは頼もしいな。まぁ…とは言っても、お前さんは外国生まれのお嬢さんだからな。事務方の仕事は不慣れだろうし、大和も研修やら何やらで、しばらくはこっちに来れないから……」
ちら…

提督「だから鳥海、お前には解析の研究に戻るまでの間、早速で済まねえが、臨時の事務艦をやって貰いたいと思っているんだが……」


鳥海「!!もっ勿論です。私は今は別の任務に掛りっ切りではありますが、今までも今でも司令の事務艦であり、そして何時までも…たとえカラダは離れていても心は常に司令のお傍に居る心算です」ぱぁぁ


 


提督「そうか…嬉しい事を言ってくれるじゃねえか。やっぱりお前は俺にとって最高の事務艦だよ」

鳥海「!!えへへ…はい!ありがとうございます////////」ちら

ローマ「………………」

鳥海「………………」どやっ

ローマ「……………」むぅ

提督(…………何かどことなく不穏な空気が流れている気がするのは、俺の気の所為か……?)

ローマ「そうね…私からもこの艦隊の旗艦として、私のマリートの補佐をよろしくお願いするわ」

鳥海「はい。任せてください。私はずっと前からこの方の事務艦として、一番近くでサポートしてきましたから」にこ

ローマ「…………………そうそれなら安心ね」

鳥海「…………………はい。ですからこの方の事は私に全てお任せ下さい」

ローマ「……………」



提督(やっぱり何だろうな…なんか場の空気がピリピリした感じになってる気がする…………)


 

少し間が空きますがもう少し書きます



その日の夜。


提督「よし。今日の仕事はこれで終わりだ。お前が手伝ってくれたおかげで、今まで溜まっていた分も大分処理が出来た」

提督「俺は事務作業が苦手だから、やはりお前がいると随分と仕事が捗るな。ありがとうな鳥海」

鳥海「いいえ、私も久しぶりに提督のお手伝いが出来て嬉しかったです」にこ

提督「そうか……そう言ってくれるて有り難いんだが。そう言えば、その…今お前たちが調べてる、その…たしか…深海文書でいいのか?ってやつの解析は進んでいるのか?」

鳥海「それに関しては、残念ながら機密事項なので内容は、たとえ提督であっても口外出来ないんです。今は取り敢えずは一段落した。としか言えませんが、あの時…提督が命を捨てる覚悟で守ろうとしたモノの一つですから、私が必ず完璧に解析してみせます」

提督「そうか。期待しているぞ」

鳥海「はい」

提督「俺はあの時、敵さんが基地を襲撃した最大の理由が実はソレなんじゃないかと思っている。恐らく、奴らに関する重要な手掛かりが隠されてるんじゃないかと踏んでるんだが……」

鳥海「……………そうだといいですね」


提督「ああ…そうだな。鳥海、今日はところはお疲れさん。久しぶりの事務仕事で疲れただろう、早く帰って休んでくれ」


 
 


鳥海「…………………はい……」

提督「ん?どうした鳥海?浮かない顔をして」

鳥海「あの…司令……大和さんとは結婚の約束。ローマさんとはケッコンカッコカリの約束……でも私は……司令が前の前線基地の司令官に就任した時から、ずっとずっと司令の一番お傍ににいたのに……」

提督「鳥海?」

鳥海「司令は今までケッコンカッコカリをしてこられなかったですし、これからもないと思っていました……私も秘書艦ではありませんし、それならそれで司令のお傍にいられるなら…それでもいいと思ってました」

提督「………………」

鳥海「そして前の戦いで深海棲艦に基地を強襲された時に、私たちを逃がす為に司令が大和さんと囮になった時には、もう司令のお傍に居られないという思いで胸が張り裂けそうでした」

提督「………………」

鳥海「ですから司令が生きてお戻りになられた時は本当に本当に嬉しかった……でも、その時にはもう大和さんと結婚の約束をされていたなんて……」


提督「………………」


 


鳥海「それだけじゃない。ケッコンカッコカリの約束まで…それも新参のローマさんとなされて……私は…私は……司令の何だったんですか!?ただの事務艦なんですか!?」

提督「………………」

鳥海「司令……私が重巡洋艦だから…戦艦じゃないから駄目なんですか…………?」

提督「…………済まんな鳥海……」

鳥海「!!」

鳥海(…………謝る……という事はもう…私とは何があっても結婚もケッコンカッコカリもしてくれないんだ……)

鳥海(―――――でも。それでも…それでも私は司令のお傍に……そう…ただの事務艦というのではなくもっと深い関係で―――――)

提督「鳥海?」

鳥海(私が…私が司令に惹かれた理由………………そうだ!!それならいっそ―――――)ぐっ

提督「おいどうした鳥海?」

鳥海「司令。一つだけでいいんです。今から私のお願いを聞いて頂けますか?」

提督「ああ。俺に出来る事なら何でも」


鳥海「でしたら、これから司令の事をパパと呼ばせて頂いてもよろしいですか?」



提督「!?」


 



提督(パ…パパ……?)

鳥海「ダメ…ですか?」うるうる

提督「うっ!?」

提督(な…何て貌をするんだ……だが流石にパパは…………無理だろ!)

提督「いや…流石にパパは勘弁してくれねぇか……?そう何か他の―――――」

鳥海「それなら―――――――――お父さま…ならいいですよね?」

提督「お父さま……か…………それなら何とか……」

鳥海「!!ありがとうございます司令…ううん、お父さま」にこ

提督「……だがその呼び方は分っているとは思うが、公の場では流石に禁止だからな」

鳥海「はい。それ位の弁えはある心算です。でも、それ以外の…特に二人っきりの時はいいですよね?お父さま」

提督「ああ…まあ…それなら……」



提督(お父さま……改めて言われると何という響き……)



 


鳥海(えへへ…言っちゃった…………でも勢いで言っちゃったけど…やっぱりちょっと恥ずかしい……////////)かぁぁ

提督「ん?お前。そんな事言っておいて、風邪をひいている時みたいに顔が真っ赤になってるぞ」

鳥海「そっそんな事はないですよっ//////////」あせっ

提督「あ、顔は赤いと言えば、お前はいつも腹を出しているけど…その…冷やしたりなんかしてないか?」

鳥海「い…いえ別に―――――」はっ!

鳥海「…………そう思われるのでしたら、確かめてみます?」

提督「え?何をだ?」


鳥海「勿論。私のお腹が冷えているかどうかですよ」


 


提督「それはいいが、どうやって?」

鳥海「簡単ですよ――――/////////」すっ

提督(えっ俺の手を取って―――――)

ぺと…
提督(そのまま鳥海の腹に当てたーーーー!?)

鳥海「……どうです?あったかいでしょう。えへへ…お父さまの掌ちょっとひんやりしててキモチいい///////」うっとり

提督「判った!たっ確かに冷えてないって判ったから、早くその手を――――――」

鳥海「まだ駄目ですよ」

提督「!?」

鳥海「私はお腹はお腹でも下腹部の方がもっとあったかいですから、それも丹念に確かめて貰わないと//////////」


提督「!?」


 


提督「か…下腹部?流石にそれはマズイだろ……」

鳥海「いいえ。父親なら娘のコトは何でも…カラダの隅々のコトまで知っていないと駄目ですよ?」

提督「!?」

鳥海「ですから……」すすっ

提督「うっ!?」

鳥海「ふふ…より熱を帯びて、ちょっと湿ってるトコがあるかも知れませんが、気にしないで…と言うか、特にあなたの娘のその辺がどうなっているか、丹念に触って調べて下さい////////」はぁはぁ

提督「お前いったいどうし―――――」
ぐっ

提督(うっ…てっ手を払い除けられねぇ…見た目はか弱い娘だが、流石は艦娘と言ったところか……って感心してる場合か!!)

鳥海「さあ…さあ!////////」
ぐいっ…

がちゃ…

ローマ「マリート。まだお仕事をされているのですか―――――――って」


ローマ「マリートと鳥海がナンか如何わしい事をしてるーーーーーー!!?」びくっ


鳥海「!?」びくっ

提督「!!」はっ
さっ


提督(ふぅ…なんとか手を抜く事が出来たな……ってそれどころじゃ――――)



 


鳥海「…………ローマさんですか。部屋に入るときはノック位して下さい。失礼ですよ」

ローマ「勿論したわ。それでも返事がなくて、でもドアから光が漏れているから、中に人が居ると思ってドアを開けたら、こんな事になっていたなんて」

鳥海「…………」

ローマ「マリートもマリートです。私という者がありながら、鳥海と一体ナニをしていたのですか?」

提督「いや…これはだな……その―――――」

鳥海「ローマさん」

鳥海「アナタがいかに提督の旗艦とはいっても、私とお父さまのスキンシップという団欒の場を邪魔しないでほしいですね」

提督「!?」

ローマ「おっお父さま!?」

提督「いや…それは……」

鳥海「私はこの方とずっと一緒に居たんです。アナタが司令をマリートと呼ぶ事が許されるのなら、私がこのヒトの事を父と呼ぶ事だって、全く問題はないのではないですか?」

ローマ「……………」



提督(いや…普通に考えて問題あるだろ色々と…もういいって許可しちまったからどうしようも無いが…ローマの件も含めて……)


 


ローマ「…………」

ローマ(そうか…この娘は私がここに来るずっとずっと前から、マリートと一緒に居たんだ……それなのに大和はともかく、新
参者の私に彼の隣りの場所を盗られたと思ったら……)

鳥海「……………」ふるふる…

ローマ「……分ったわ。確かにあなたの方が私よりもずっとマリートと一緒に居たのだから、彼を父と仰ぐのも分るし、彼に対する想いも一入でしょう」

鳥海「ええ。勿論」

ローマ「だったらここで揉めたりして彼を困らせないで、二人とも彼を想い、慕い、そして支えたいという事で、お互いに仲良くやれないかしら?勿論、今みたいなハレンチな事をするのはダメだけど」

鳥海「言われなくても、私だって闇雲にお父さまを困らせたくはありません。それに私だって同僚とは仲良くしたいですし、もっとイタリアの艦娘であるアナタの事を知りたいですから」

ローマ「そう。それなら―――――」

鳥海「でも…一つだけ言わせて頂くなら、今の行為は破廉恥でも何でもなく、ごく当たり前の父娘のスキンシップですから。そこのところはお間違えなく」

ローマ「まあ!!」


鳥海「ふふん」どや


 


鳥海「あとですね。アナタと私はちょっとキャラが被っているんです!」

ローマ「えっキャラが?どこがなの?」

鳥海「その…眼鏡キャラなとことか……」

ローマ「確かにそれはそうだけど。でも似てない処もあるんじゃないかしら?特に胸のアタリとか?」ずいっ

鳥海「!?」

提督「!?」

鳥海「……確かにアナタのは立派ですけど、私だってそれなりに有るんですからね」ずいっ

ローマ「確かにそこそこは有る様ね。そこそこだけど」

鳥海「それに司令と一応…ですけど結婚の約束をされた大和さんだって、あなたに敗けない位ありますから、そんな事は何のアドバンテージにもならないですよ」

ローマ「そう……まぁ最初から、このヒトがそんな事で靡くとは思ってはいないけど……そうねこのヒトに惹かれた事一点に関しては、私とアナタは似た者同士かも知れないわね」

鳥海「そうですね。少なくてもそこだけは否定出来ないですね。そこだけは」


ローマ「…………」ぷっ

ローマ「ふふふ」

鳥海「ふふ」


ローマ・鳥海「「あははははははは」」



提督(うーむ。これは取り敢えず丸く収まったって事でいいのか?よく分からんが、まぁそれならそれでいいか……)





 

とりあえず今回はここまでになります
ナンかお話がおかしな感じになってきましたが
だいたいこんな感じのお話しになると思います

それでは。


とある日。


提督の執務室。



提督「――――――よし」ふー

提督(取り敢えず、今日はこんなもんかな……今日はローマは演習に出張っているし、鳥海も別件で出張っているから、事務の仕事自体はいつもより手間が掛かっちまったが、なんか久しぶりに一人で仕事するのも、何か落ち着いた感じがしていいな)

提督(あの二人が一緒に居ると、どことなくピリピリした雰囲気になるから、俺も落ち着かなくなっちまうんだよな)

提督(それでも何だかんだで、最近は少しづつ打ち解けて来たみたいだから、俺としては…ほっと一安心ってとこなんだが……)

提督(だが二隻(ふたり)とも、随分と俺を慕ってくれてる様だが、大和もそうだが一体俺の何がそんなにいいんかね……)


コンコン…


提督(ん?誰か来たみたいだな)


提督「開いてるから。どうぞ」


がちゃ…


?「失礼します」


 



提督「おお。雷じゃないか。お前がここに来るなんて珍しいな。どうした?」

雷「うん…その司令官が、最近ちょっとお疲れなんじゃないかな…と思って……」おずおず

提督「俺がか?うーん。お前の目にはそう見えるのか?」

雷「はい。雷は司令官が前の前線基地から本営(こっち)に戻ってからの新参だから、よく分からないけど……始めて会った時
に比べて、ここ最近ちょっとお疲れ気味に見えて……」

提督「そうか……まぁ確かにこの処、色々あったからな。色々……」しみじみ

雷「でも…雷は秘書艦じゃないし、いつも司令官の傍にローマさんと鳥海さんが居るから、なかなか言い出せなくて……今日は二人とも居ないから丁度いいかと思って来ちゃったの」

提督「そうか…それでわざわざ俺にこの事を伝えに来たのか?」


雷「うん。雷も何か司令官のお役に立ちたいって言うか、ホントは雷にもっと頼って欲しいって思ってるけど…その……司令官は今までの司令官とは違って、雷よりもずっとずっとオトナだから、どうしたらいいのか勝手が分からなくて……」



 


提督「そうか……そう言えば確かに、お前は若手の提督の艦隊に配備される事が多かった気がするが、成程そういう訳か……確かにお前はナリは小さいが、甲斐甲斐しいと言うか、包容力がある感じがするのは分るな」

雷「そんなんじゃないけど……ただ司令官がしょんぼりしているのを見るとほっとけなくなって、どうしても慰めたくなっちゃうだけで……」

提督「はは。そうか。だが済まんな。こんなおっさんじゃ慰め甲斐がないだろうからな」

雷「そんな事っ…そんな事ないけど……だから、どうしたらいいのか判らなくて……」

提督「確かに…今まで何かあっても、艦娘に何かして貰おうなんて思った事も無かったな……」

雷「うーん…でも何か……あっそうだ!今からお疲れの司令官に膝枕でもしてあげる」

提督「……膝枕は流石に止めてくれ。そうだな………………じゃあ肩でも揉んでもらおうかな」

雷「はい!」ぱぁぁ
すっ
もみもみもみ

雷「どうですか司令官?雷の肩揉みは気持ちいいですか?」

提督「ああ。とてもいい感じだ。かなりの熟練の技だな」はぁ…

雷「えへへ…ありがと。うん。今までのいた艦隊の司令官みんなにしてあげてるの」

提督「そうか、道理でな」

雷「うんしょうんしょ。やっぱりちょっとこってるみたい。でも大丈夫。雷がしっかり揉み解してあげるからね」
もみもみ



雷(えへへ…なんか司令官と艦娘って言うより、おじいちゃんと孫娘みたい)ほんわか



 


―――

提督「―――――よし。もうこれくらいでいいぞ。ありがとうな随分と楽になったよ」

雷「もういいの?」

提督「ああ。だが…知らない内に結構、肩が凝っていたんだな」こきこき

雷「また疲れたらいつでも雷を呼んで下さいね」

提督「おう。また頼む……おお、そうだ。お前は俺に何かして貰いたいことはないのか?」

雷「えっ?いいよそんなこ―――――」はっ

雷「じゃあ……」ちら

提督(ん?今俺の膝元を見て……)


雷「…………その…し…司令官の膝の上に乗ってもいいですか?//////////」もじもじ


提督「!?」


 


提督「い…いやそれは……」

雷「…………やっぱり…駄目だよね……」しゅん

提督「!―――――――わ。判った。ちょっとだけならいいぞ」

雷「ホント!?じゃあちょっとだけ……うんしょ」
すとん

提督「…………」

提督(いくら雷の希望とは言え……)


提督(一体何をやってんだ俺は―――――)


  


雷「………司令官。その…重くないですか?」

提督「いや、それは大丈夫だが…こんな事言うのもなんだが、こんな事して楽しいか?」

雷「…………えへへ…楽しいっていうか…ちょっとほっとする感じ」

提督「そうか」すっ
ぽん
なでなで

雷「!!」

提督「あっスマンな。つい無意識にお前の頭を撫でちまった」

雷「ううん。もっともっとなでなでして////////」

提督「そうか」
なでなで


雷「えへへ……」ほわほわ



 


提督「雷。お前は今まで若い提督に甲斐甲斐しくしてくれてたみたいだが、俺のところにいる内は、俺に甘えてもいいからな。俺も伊達に齢は食ってない心算だし、何時でも頼ってくれていいんだぞ」

雷「司令官…………」
きゅん…

雷(………司令官の膝の上にいると何だかとっても安心する……そう、これはまるで―――――――)

雷「…………………」

提督「ん?どうした雷?」

雷「ねぇ司令官……もういっこだけ、お願いがあります」

提督「ん?何だ」

雷「これから司令官の事を…その…………」



雷「おじいちゃん」



雷「って呼んでもいいですか?」


提督「!?」


 


提督「お…おじい…ちゃん………………?」

雷「だめ…ですか…………?」うるうる

提督(うっ…な、なんて顔で俺を見るんだ!?しかし、おじいちゃん……何て響きだ。確かに俺はおっさんだが、それでもまだ…
雷くらいの娘に、おじいちゃんって呼ばれる程じゃない……と、思うが……)

雷「………………」じ…

提督(だが…何故だ?コイツにそう言われた時……そういや鳥海の時もそうだったが、不思議と悪い気はしなかった……)

雷「えへへ…やっぱり駄目だよね。ごめんなさい司令官。変なコト言っちゃって……」


提督「…………いいぞ」


 


雷「えっ!?」

提督「俺はまだお前におじいちゃん呼ばわりされる程、齢は喰っちゃ無いが…他ならぬお前のお願いだ。その代り、公の場では駄目だからな?」

雷「ホント!?うん判ったよ!ありがとう司令―――ううん、おじいちゃん!!」ぱぁぁ
くるっ
ぎゅっ

提督「!?」


雷「えへへ…おじいちゃん大好き////////」
ぎゅう
ぐりぐり


提督「………………」



提督(よくよく考えると…何だこの状況は?しかし…コイツといい鳥海といい……今までこんな事なかったのに……一体どうなってんだコレは……)



 

今回はここまでです
途中寝落ちで予告もなく間が開いてしまい申し訳ありませんでした

それでは。



とある日。


大本営会議室


議長「―――――是ニテ、今回ノ会議ヲ終了スル」


ガタ――――

ぞろぞろ…


提督(…………会議が終わったのはいいが、それにしてもローマには旦那と呼ばれ、鳥海には親父と呼ばれ、挙句、雷にはじいさんと呼ばれ……一体これからどうなるんだ俺は……)はぁ

?「どうしたんですか提督?浮かない顔して」

提督「ん?ああお前か。お前もこの会議に出てたんだっけな」

後輩提督「ええ。自分の場合、前線基地からの招集ですからね。すぐ帰れる本営所属の提督が羨ましいですよ」

提督「本営と言っても、本隊から外れた独立艦隊だけどな。それでどうしたんだ?」

後輩提督「あ…いや、提督が妙に浮かない顔をしてたんで、どうしたのかと思って」

提督「まぁ…色々あってな。今まで無かった事が急に起こりだしてな…………」

後輩提督「はぁ…それって、もしかして艦娘たちの事なんじゃないですか?」

提督「おっ。よく分かったな」

後輩提督「まぁ…大概の提督は多かれ少なかれ、艦娘たちは悩みのタネになるもんですよ」

提督「そういうもんか」

後輩提督「ええ。たまたま提督が今までそういう局面に直面してなかっただけですよ。あっそうだ。自分も今日は本営(こっち)に居ますから、久しぶりに飲みに行きませんか?この事も含めて色々話したいですし」

提督「…………そうだな。たまにはいいかもな。よし今日は付き合ってもらおうか」


後輩提督「了解しました!」びしっ


 


本営周辺。


とある居酒屋。

とくとく…
後輩提督「提督。まずは一献どうぞ」

提督「おお済まんな」くい

提督「お前も飲め」
とくとく

後輩提督「はい。頂きます」ぅい

提督「ふー。しかし、あの時はお前んとこの島風には本当に世話になった。あいつがいなかったら、俺も大和もあそこで終わってたからな。正に命の恩人だよアイツは」

後輩提督「またその話ですか?もういいですよ。私も新人の頃は提督にお世話になりましたし、島風も以前は提督の艦隊でお世話になっていたのですから、まぁ言ってみれは恩返しみたいなもんですよ。ですからもう気になされないで下さい」


提督「そうか。判った。俺はいい後輩と艦娘に恵まれてるな」


 


後輩提督「ははは…有り難う御座います。それはいいとして、今日は提督の話を聞かせてもらいますよ。それで具体的には何があったんですか?」

提督「ああ。その件なんだが……」


提督「大和と結婚の約束をしてから何故か艦娘たちに懐かれる様になった」


提督「…………みたいなんだ。今までそんな事なかったのによ」

後輩提督「はぁ…それで今の状況に戸惑っておられると」

提督「まぁそういうことだ」

後輩提督「と言うか、島風からは聞いていたんですけど、提督が大和とケッコンカッコカリではなくて、結婚の約束をされていたってのは本当だったんですね」

提督「まあな」

後輩提督「おめでとうございます。それで話しは戻りますが、具体的にはどんな感じなんですか?」


提督「ああ…それはだな―――――」


 


―――――

後輩提督「なるほど。艦娘たちに父親だのおじいさんだのと呼ばれる様になったと……」

提督「ああ。だがどうしてこうなったんだろうな……」はぁ

後輩提督「それはやっぱり、提督が大和と結婚の約束をされたからじゃないですか?」

提督「え?どういう事だ?」

後輩提督「…………提督は戦術面に於いては鋭いのに、コトこう言った事に関しては本当に鈍いですね」

提督「鈍くて悪かったな。で、どういう事なんだ?」

後輩提督「それはですね。提督は今まで何故かは知りませんが、頑なにケッコンカッコカリをしてこられなかったでしょう?」

提督「ああ」

後輩提督「それが…いきなりケッコンカッコカリを通り越して、結婚の約束をされた事で、艦娘たちも提督に関して、今まで取り付く島もないと抑えていた感情のタガが、一気に外れてしまったんじゃないですか?」


提督「………そういう事か…と思っても、あんまりピンとこないな。俺が艦娘たちに嫌われてはないとしても好かれても無かったと思っていたが……」


 


後輩提督「潜在的なモノはあったと思いますよ。提督は自身が気付かれないだけで、自分の目からもみても、結構、艦娘たちから慕われていたと思いますよ」

提督「そうなのか?」

後輩提督「ええ。提督は艦娘に対して、包み込んで安心感を与えてくれる佇まいと物言いがありますし、自分というモノをしっかりと持っているところが、艦娘たちに慕われたんじゃないかと思います」

提督「俺はただのカッコつけの、気取り屋なだけだよ」

後輩提督「ですから、その中でも特に旗艦だった大和や、事務艦として提督のいつも傍らにいた鳥海などには、尚更慕われたのでしょう」

提督「…………そうか…だが、慕われるのはいいとして、どうして親父や爺さん呼ばわりされるんだ?」

後輩提督「それはですね……はやり艦娘たちは潜在的に家族というモノに憧れを抱いてるからではないでしょうか?」

提督「家族…か…………」

後輩提督「ええ。彼女たちは姉妹という関係性はあっても、親や祖父母と言ったモノには縁がありませんから。それで提督にそういうモノを求めたのではないでしょうか?」



提督「成程……確かに俺も妹は居るがもうとっくの昔に嫁いじまってるし。親も二人とも……もうおっ死じまってるからか、アイツらにそう呼ばれて戸惑いはしたが、どうしても嫌だという気は起きなかったしな……」


 



後輩提督「でしたら、彼女たちの気持ちも判るんじゃないですか?」

提督「そうだな…アイツ等の生い立ちを考えればな……軍の規律ってモンもあるが、それをアイツ等にそっくりそのまま押し付けるのもなんだしな。まぁ羽目を外さなければっ…て事が前提だが……」

後輩提督「ええ。ただ抑え付けるのではなく、それを上手くコントロールするのも提督の役目だと自分は思っています」

提督「成程。確かにな」

後輩提督「…………それにしても…雷におじいちゃんと呼ばれて喜ぶ提督……もしかしてそっちの気が……」ニヤニヤ

提督「ばかいえ。そんな訳あるか。それで俺はこんな感じだが、そういうお前はまだケッコンカッコカリをしてないのか?」

後輩提督「その事なんですが……正式に決ってから提督にはお知らせしようと思っていたのですが。近い内にケッコンカッコカリをするつもりです」

提督「おお。そうか。で、相手というか…お前の艦隊の旗艦は誰なんだ?」

後輩提督「はい………………島風です」


提督「!?」


 


後輩提督「島風が提督の艦隊からこっちに配属して来た頃は、余程、提督の艦隊が気に入っていたのか、暫く間は随分と手を焼かされましたが、それでも次第に打ち解けて来て、自分も彼女の溌剌とした天真爛漫さに惹かれまして……それで次第に仲が深
まっていったという具合です」

提督「それはめでたいが……おい。お前さっき俺にそっちの気があるとか抜かしておいて、自分は島風とケッコンカッコカリだ?お前の方がよっぽど、そっちの気があるんじゃねぇか」

後輩提督「ははは…たまたまですよ。たまたま好きになったのが、島風だったというだけです」

提督「どうだかな。そう言えばお前、前に俺に自分は子ども好きだって、どっかで言ってなかったか?」

後輩提督「ははは…どうだったですかね……」

提督「まぁそんな事はどうでもいいか…お前もケッコンカッコカリをするなら、島風を幸せにしてやれよ」

後輩提督「はい。勿論です」

提督「俺も…あいつらを大和だけじゃない、他のやつらとも上手くやっていかないとな……」

後輩提督「ええ。艦隊は言ってみれば大きな家族みたいですからね」

提督「大きな家族…そうだな……そう言う言い方も出来るか……」ふむ…

後輩提督「まぁそんな深く考えずに、取り敢えず話はそれ位にして、今日は艦娘抜きの提督同士で楽しく飲みましょう」

提督「よしっそうだな、今日はとことん付き合えよ」


後輩提督「了解しました!」ビシッ


―――――

提督(そうか…家族か…………)



 



それから。

提督執務室前。


大和(やっと研修を切り上げて、提督の元に戻る事が出来る。ふふ…提督には今日帰る事は内緒にしていたから、いきなり帰って来て、びっくりさせちゃおう)ふふ…

大和(それにしても研修長かったなぁ……しかも別施設で泊まり込みだったから、宿舎に帰る事も出来なかったし……)

大和(研修の間は提督ともお逢い出来なかったから、すっごく寂しかった……)

大和(私は予備役だからって、どうして他の秘書艦の娘よりも長く受けさせられなきゃいけないのよ。それにこれが終わっても、まだちょくちょく何かあるみたいだし……)

大和(でもその分、事務スキルは格段に上がったから、これからは提督の事務艦として今まで以上にお役に立てる!)ぐっ

大和(…………少し遅い時間だけど、提督はいつもこの時間帯でもお仕事されておらてたから、まだ居るよね……)

ぐっ
大和(よしっ!開けるぞ!!)


がちゃ



大和「提督!不肖あなたの奥さんこと戦艦大和。事務研修が修了しましたので、ただいま戻り――――――)



 


ローマ「マリート。お茶を淹れましたからどうぞ。イタリアのお茶ですからお口に合うといいのですが…あとお菓子もお持ちしましたから、よかったらどうぞ」

鳥海「お父さま 。今日は雷でなく私が肩を揉んで差し上げますね。ふふ…キモチいいですか?」

雷「おじいちゃんの膝の上で食べるお菓子美味しー。おじいちゃんも食べてみて!」




大和「なんじゃこりゃーーーーーー!!!!!!」




 



大和(マリート?お父さま?おじいちゃん?どっどういう事なの!?)


提督「大和!?戻って来たのか……」

ローマ「貴女が大和さんですか。初めまして。貴女に代わって今のマリートの旗艦を務めているローマです」

ローマ「フフフ…マリートとはケッコンカッコカリの約束もしているんですよ」
だきっ

提督「おっおい!ローマ!?」


鳥海「大和さんお久しぶりですね。大和さんがいない間。私がお父さまの事務のお手伝いをさせて頂いてたんですよ」

鳥海「フフフ…こうやって……」
ぎゅっ

提督「鳥海!?」

鳥海「それだけじゃなくて、こうやって父娘のスキンシップも沢山しているんですよ」


雷「おじいちゃんがこっちに帰って来た後に、この艦隊に配属になった雷です。ふふ…おじいちゃんにはいっぱい可愛がってもらってるんだよ」

雷「膝の上にのせて貰ったり……こうやって―――――」
ぎゅー

提督「雷まで!?」

雷「おじいちゃんにいっぱい抱っこしてもらってるの」



提督「おっお前ら急にどうしたんだ!?」



 



大和「………………………」
くる…
すたすた…


提督「おいっ大和どこに行くんだ?」



大和「フフ…決まってるじゃないですか……」




大和「これから武器庫に行って46cm三連装砲を実装してくるんですよ」ニッコリ




おしまい。


  
 

これでおしまい―――――
と言いたいところですが
スレタイに名前が出ている大和さんが殆ど出ていないので
もう少し書かせて頂く事になると思いますので
全部終わってから依頼を出そうと思います
取りあえずありがとうございました

それでは。


おまけ。


とある日。

提督執務室。


鳥海「これで…午前中の事務作業は終わりです」

提督「そうか。大和がまた出張って居ないから、お前がいてくれて本当に助かるよ」

鳥海「ありがとうございます」

提督「それで、研究所へは明日戻るのか?」

鳥海「はい」

提督「そうか…残念だがしょうがないな」

鳥海「そうですね.でも…必ず…必ずまたここに戻ってきますから、絶対に待っていて下さいね」

提督「ああ。勿論だ。何時までも待ってるぞ」

鳥海「有り難う御座います……」

提督「よし。じゃあメシでも食べに行くか」

鳥海「…………それなんですが……」
すっ

鳥海「今日はお弁当を作ってきました。司令の分もお作りしましたので食べて頂けませんか?」

提督「おお。そいつは有り難いな。じゃあ頂こうかな」


鳥海「はい」にこ




―――――

鳥海「はい。お父さま…あーんして下さい」にこ

提督「え?」

鳥海「早くしてください。腕が疲れてしまいます」

提督「いや…流石にそれは……」

鳥海「一口だけでいいですから」

提督「わ…分った……一口だけだぞ」
ぱく

鳥海「……美味しいですか?」

提督「ああ。旨い……」

鳥海「ふふ…良かったです」にこ

提督「鳥海…お前――――――」

鳥海「あっお父さまのほっぺにご飯粒が」はっ
すっ
ペロ…

提督「!?お前何やって―――――」

鳥海「フフフ…これくらい父娘だったら当り前ですよ?」

提督「そんな訳ないだろ」



提督(俺の妹が親父にこんな事してるのを見たらドン引きするわ)



 


提督「鳥海。お前……最近おかしいぞ?」

鳥海「おかしい?何がです?」

提督「何か焦っている様な…思い詰めている様な…………」

鳥海「………………お父さま…お父さまはやっぱり大和さんが退役したら、彼女と結婚されるのですか?」

提督「…………ああ。そのつもりだ」


鳥海「でしたら…私が退役したら――――――――――私を正式に貴方の娘にして下さいませんか?」


 
 


提督「えっ!?」

鳥海「…………………」

提督「それは…俺と養子縁組を組みたいって事か?」

鳥海「はい」こく…

提督「でも、どうしてなんだ?」

鳥海「私だって…大和さんみたいに結婚したいと思ってるんです。ですから海軍司令官という後ろ盾があれば、艦娘である私にも
結婚出来るかも知れない思ったから……」

提督「そういう事か……だがこればっかりは、流石に俺一人じゃ決める事は出来ないな。大和とも話し合わないとな」

鳥海「そうですよね……そう簡単に決められる事ではない事は判っています」

提督「だが、お前の考えも分るから。お前もよく考えて、それでもどうしてもというなら、俺も考えておくから」


鳥海「はい。ありがとうございます」にこ


 


鳥海(でも―――――――――――)じ…

提督(ん?)


鳥海(司令は何も分っていません……私は司令以外の方と結婚するなんて、全く思っていないのですよ)

鳥海(だから…司令と一緒に居られるなら……手段を選ばない、どんな事だってする。そうすれば、もしかしたら一緒に居れば、いつか私にもチャンスが回ってくるかもしれない……)


鳥海(だから司令――――――――)



鳥海(私を貴方のお傍にずっとずっと居させて下さい―――――――――――)




 



とある日。


提督執務室。


雷「ねぇ…おじいちゃん」
もみもみ

提督「ん?どうした雷?」

雷「雷には将来の夢があるんだけど聞きたい?」
もみもみ

提督「夢か。それでお前の夢って何なんだ?」

雷「うん。それはね――――――」



雷「おじいちゃんのお嫁さんになる事だよ」にこ



提督「!?」



 


雷「ふふ…びっくりした?」

提督「まあ…唐突だったからな。だが雷…孫と祖父は結婚できないぞ」

雷「それくらい判ってます。でも雷と司令官は」

雷「ホントの孫と祖父ではないから。結婚できるんですよ?」じ…

提督「!?」

雷「ふふ…冗談だよ?」ニコ…


提督「…………まったく。そう何度も驚かさないでくれ」


 


雷「ごめんなさい。おじいちゃん」ぺこり

提督「いや。まぁ別に冗談ならいいんだが……」

雷「でも。おじいちゃん。おじいちゃんが疲れている時だけじゃなく、落ち込んだりした時も、何時でも雷を頼ってね」
すっ

提督(ん?俺の前に回り込んで――――――?)

雷「こうやって―――――――」
ぎゅっ

提督(頭を抱き締められた――――――?)
ぎゅう…

雷「フフフ…癒してあげるからね」
ニコリ…


 

おまけなのに申し訳ありませんが
もう少し続きます

それでは。



とある日。


提督執務室。


提督「よし。今日の業務はこれで終わりだ。ローマもプ帰ってもいいぞ」

ローマ「…………マリート…あの……」

提督「ん?どうしたローマ?」

ローマ「あの……マリートは私の事をどう思われているのですか?」

提督「どう思うって?そりゃ…この艦隊の旗艦であり、大事な艦娘の一隻(ひとり)と思っているが」

提督あとはそうだな……演習の時だけでなく、前回の出撃時のお前の活躍を目の前で見て、正に流石伊太利亜の最新鋭艦だと目を見張ったよ」

ローマ「…………ありがとうございます……では艦娘…いえ女としての私はどう思われているのですか?」

提督「女としてか……ローマ、お前は間違いなくいい女だよ」



ローマ「ありがとうございます。でも…それは…………大和よりもですか?」じ…



 

 


提督「!?」

ローマ「マリートは私とケッコンカッコカリの約束をして下さいました。でも大和さんとは結婚の約束をして…………」

提督「ローマ。それはお前が俺の旗艦になる時に話した筈だが。それを踏まえた上で、お前は俺の旗艦になってくれたんじゃないのか?」

ローマ「それは…そうですが……でも私は…私は――――――――」

提督「済まんな。俺は大和に惚れてるんだ。結婚するのであれば、それは大和としか考えていない」



ローマ「…………マリート………………判りました。今日は失礼します……」
がちゃ…



提督「ローマ…………」



 


 


ローマ(マリートは大和がいる限り、私を女として見てくれない―――――)

ローマ(いいえ…もしかしたら大和がいなくても、女としての私を見てくれないのかもしれない―――――)

ローマ(あの人は私を大事に…優しくしてくれる……でもそれは女の私ではなく、艦娘の旗艦の…戦艦としての私に対してだけ……)

ローマ(だからあの人は私に振り向いてはくれない……私だけのマリートになってはくれない…………)

ローマ(……………………………………………………………………………………………………)

ローマ(そう―――――――)



ローマ(それならば……いっそ――――――――――)



 



イタリア艦官舎。


リットリオ「あら。ローマ今日は珍しく早いのね」

ローマ「姉さま。姉さまは私が運が悪く、よく被弾する艦娘だって知ってるでしょう?」

リットリオ「唐突に変な事言うのね……そうね…運が悪いかはわからないけど、あなたが被弾した時は心配にはなるわ」

ローマ「いいえ。私はやっぱり運が悪いの……だからその内に轟沈するでしょう」

リットリオ「ローマ……そんな事言わないで」

ローマ「でもね…姉さま。それは必ずしも悪い事ではないと思うの」

リットリオ「えっ!?ローマ…何を言って…………」

ローマ「私が沈む時は、マリートも一緒に沈んでくれるの……」

ローマ「そう…そうなったら私はマリートとずっと一緒に居られるの……私だけのマリートになってくれるの…………嗚呼…私だけのマリート」ぎゅっ…

ローマ「それって…とっても素敵な事でしょう?ねぇ…姉さま」フフフフ…

リットリオ「ローマ……」



ローマ(そして私はずっとずっとマリートと深い深い海の底で、二人っきりで幸せに寄り添っていくの……)


  
ローマ(そう…永遠に――――――――――――――)





 


短くて申し訳ないですがここまでです
多分もう少しだけ続くと思います

それでは。


とある日。


提督官舎。

コンコン…

提督「はい」
がちゃ…


大和「…………」ぺこり

提督「大和…………こっちに来るなら、今日は久し振りに一緒に勤務をしたのだから、ここにも一緒に帰ってくれば良かったんじゃないか?」

大和「そうなんですけど…お食事の食材の用意をしなくてはいけなかったものですから」

提督「そういう事か。まぁとにかく上がってくれ。ここはお前の家でもあるんだから」

大和「!!」

大和「はい。ただいま戻りました」にこ


提督「ああ。おかえり大和」


 
 



――――

ダイニング。


大和「じゃあ早速お作りしますね」

提督「それで今日は何を作ってくれるんだ?」

大和「はい。今日はあなたの好きな大和煮ですよ」

提督「おお。そうか。お前の作る料理は何でも旨いが、特に大和煮はその中でも、とびきり旨いからな」


大和「ふふ…ありがとうございます。あなた」にこ



 



―――――――

提督・大和「「では…いただきます」」


提督「…………うん。旨い。だが、この肉…牛でも豚でも鯨でもないな。大和、コレは一体何の肉なんだ?」

大和「コレはですね―――――――――――――ウミヘビのお肉なんですよ」

提督「!?」

大和「ふふ…潜水艦の伊168さんに頼んで獲って来てもらったんです」

提督「そうなのか。それはいいが、でもどうしてわざわざこんな物にしたんだ?」

大和「その…ウミヘビって滋養強壮の効果があって、食べるととっても精が付くんです」

提督「精が付くって、お前……」

大和「だって…ここ最近ずっとあなたに逢えなくて、すっごく寂しかったんですよ。ですから今夜ははあなたに慰めて欲しくて……それで…………////////」もじもじ

提督「まったく…お前ってやつは。しょうがない奴だ」



大和「えへへ…たくさん慰めて下さい/////////」はにかみ



  




提督「…………でもな…逢えなくて寂しいって言うなら、お前が望んだら、勿論引き留めはあっただろうが、どうしても退役するといえば出来たんだぞ。そうすれば俺が家に帰られる時は、いつでも一緒に居られただろうに」

大和「それはそうですけど……でも提督の艦隊の艦娘は私よりずっと可愛くて魅力的で……あなたのお傍で目を光らせていないと、いつか…あなたを誰かに盗られちゃうんじゃないかって気が気でなくて……」

提督「だったら尚の事、正式に結婚を―――――」

大和「でも…それ以上に、私も艦娘として一隻の軍艦として、最終決戦の戦場で戦いを全うする迄は退役出来ません。それが私の…戦艦 大和の本懐ですから」

提督「!!」

提督「おう。その心意気や良し!それでこそ軍神と称される戦艦だ」


大和「はい!」


 


大和「それはいいのですがあなた……」

提督「ん?何だ?」

大和「私が研修から帰って来た時のアレは何だったんでしょうね?」じ…

提督「!!」

提督「い…いや……あれはだな……」

大和「私がいない間に随分と他の艦娘たちと、とっても仲良くなったみたいで……特にローマさん何かはケッコンカッコカリの約束の約束もされた様で?」じと…

提督「それには諸々の事情があってだな……」

大和「ふーん。それはどんな事情何ですか?」

提督「ローマに関しては艦隊運営の為…と言うのが適切だな。どうしてあいつが交換条件として、そんな事を言ってきたのかはよく分からんが……」

大和(このヒトの良くも悪くも、こういう処の鈍感さはどこから出てくるのだろう……)


提督「ただな…ローマを含めてあいつ等は、俺が思うに俺に対して家族ってモンを求めてきたんだろう」


 

少し間が空きますが
出来ればお昼前ぐらいまでに再会出来たらと思っております
あともう少しになると思いますので
もう少しだけよろしくお願い致します。


大和「家族…ですか……」

提督「済まないな大和。あいつ等がお前にとって、どうにも気が気でない存在なのは判る。反対の立場だったら、俺はもっとお
前に問い詰めてたかもしれねぇ……」

大和「………………!」

提督「でもな…あいつ等だって家族ってモンに憧れているんだと思う。それがたとえ疑似的なモンだったとしても…それこそ、俺みたいな奴に縋っちまう程に……」

大和「…………」

提督「大和…お前は優しいやつだ。だからと言っちゃなんだが、本当に悪いとは思うが…アイツ等の事…少し大目に見ちゃくれねえか?」

大和「あなた…あなたは本当にズルイ人です。そんな事言われたら、ダメって言えないじゃないですか」

提督「大和……」

大和「それに私を優しいって言うのなら、あなただってそうです。求められたらどうしてもそれに応えようとしてしまう……」

提督「…………」



大和「でも…その提督の優しさが、私を不安にさせたり、寂しがらせてしまう事もあるんですよ?」


 


提督「…………済まない……」

大和「…………でも…私も艦娘ですから、あの娘たちの気持ちも判ります。ですからちょっとならいいですけど……でも…くれぐれも一線を越えたりしちゃいけませんよ?」

提督「大和……お前は俺なんかよりずっと優しいし、いい女だよ。流石、俺の惚れた女だ」

大和「もうっ褒めたって何も出ませんよ?//////////」

提督「ははは…お前にはもう充分過ぎる程に貰ってるよ」

大和「あなた……」

提督「確かにアイツ等は俺にとって大切な存在だ。それこそ家族って言ってもいいくらいにな――――――――」
すっ

大和(えっ!?私の後ろに回って―――――――)

提督「だけどな…………」
ぎゅっ…

大和(後ろから抱きしめられた――――――////////////////)ドキッ

提督「俺が惚れているのも…こうしたいのも……大和…お前だけだ」

大和「―――――――――――――――――!!!!!!」

大和「あなた…うれしい―――――――」
すっ
すぅ…

提督「大和……」
すっ

ちゅっ…



 


大和「もう…私にはあなたしかいないのですから、もう離したらダメですよ?ううん…もう何が有ろうとも私は絶対にあなたを離したりはしませんからね」

提督「ああ。判ってるよ」

大和「それに私だって、あの娘たちみたいに、あなたといちゃいちゃしたいですし……////////」

提督「えっ!?」

大和「ですから私も…もっともっとあの娘たち以上に、あなたに甘えたいんです!!本当はあなたを独り占めしたいんですぅ!!!」
ぎゅうっ

提督「おい…大和……」

大和「ですから、あなたが他の娘たちと夜の演習なんてしない様に、これからイッパイ夜の夜戦をして貰いますからね!//////////////」かぁぁ

提督「や…大和…悪いが俺はくたびれたおっさんだ。そんなに元気は……」

大和「そのためのウミヘビです」どやっ

提督「お…おう……」


大和「それに―――――」ぐっ
がばっ


 


提督(えっ?突然上着を肌蹴た!?…………ってあれは傷か……?)

大和「この肩の傷……あの時…島風ちゃんが私と提督を助けてくれた時に、提督が軽くして撤退し易くする為に、私に艤装を外せって言われた時に付いた傷です……」

提督「……………」

大和「あなたは…私をキズモノしたんですからしっかりセキニンを取って下さいね」じ…

提督「…………莫迦を言ってるんじゃない」

大和「えっ?」

提督「そんなモンなくたって、俺はお前以外をどうこうしようなんて思っちゃいねえよ。さっきから何回もいってるじゃねぇか……お前も心配性だな」ふぅ

大和「だってぇ……それでも心配で…こんなイジワルな事しちゃうくらい…不安で……めいっぱい構って欲しくて…………」うー

提督「全くお前は……見た目より子どもで、甘えん坊だな」はぁ

大和「それは―――――――」

提督「……………」すっ
ぽん



大和(頭をぽんされた!?/////////)どきっ



 


 


提督「でもそんなお前も嫌いじゃないぞ。軍神と呼ばれた戦艦娘が、実はこんなお子様で甘えん坊だったなんて可愛いモンねぇか」

大和「あなたが悪いんです…あなたが私をこんなに…あなたを好きにさせてしてしまったんですから、だから私は悪くないんです!私をこんなにさせた、あなたがいけないんですよ!!」ぶんぶん

提督「…………」

大和「それに私は提督のお嫁さんなんですから、提督は私を一番可愛がってくれなきゃいけないんですぅ!!」いやいや

提督「……それに駄々っ子だな」はは…

大和「もうっ…あなたのイジワル……」うー

提督「はは…済まんな」

大和「でも―――――――――」
ぎゅっ


大和「大好きです。他の何よりも、誰よりもあなたの事が大好きです――――――」



提督「俺もだよ大和。でも……勿体無いな。本来なら大艦隊の総旗艦は武蔵ではなくて、お前になっていただろうに。俺なんかを好きになっちまうから」


 


大和「そうですよ。だから私はもう…あなたに付いていくしかない……ううん…付いていきたいんです。その選択に私は後悔なんて微塵もしてませんからね」

提督「ああ。俺も死ぬまではお前を離す心算はないぞ。まぁそれまでにお前に愛想を尽かれなければの話だがな」

大和「死ぬまでなんて……もうっ変な事言わないで下さい!それに私があなたに愛想を尽く事なんて絶対にありませんから」

大和(寧ろ…私の方があなたにそっぽ向かれて、他の艦娘に盗られて終うんじゃないかって事の方が心配なのに……)

提督「済まんな。俺もいい歳したおっさんだからな、いつあの世からお呼びが来るかも判んねえって思っちまうんだよ。でも…そうか。ありがとうな。俺もお前には絶対に後悔なんてさせねえからな。だから大和、俺について来い」

大和「はい。あなたとならいつまでも…どこまでも」にこ


提督「ああ。俺もだよ大和」


 


寝室。


明け方。


大和「……………………」すぅすぅ…


提督「………………………」すっ
なでなで

大和「………………えへへ…てーとく…あいしてましゅぅ…………///////」むにゃむにゃ…


提督(大和…俺はいつ死ぬか判らねえ……だがそれまでは俺が生きてる内は、絶対にお前を絶対に離したりしないからな――――――――)


提督(俺もお前も軍人と軍艦である以上、何時どうなるかは判らねえ……)


提督(その時は…もし俺が先に逝っちまう時は、もう俺と一緒に逝ってくれとは言わないし……大和にはそれまで幸せにしてやりたい。そして…それからも幸せになって欲しい……)


提督(だからそうなる様に、俺はお前には出来る全ての事をしたいと思う…………)


提督(そう――――いつの日か――――――――)




提督(死が…ふたりを分つまで――――――――――)




おまけのおしまい。




 

これで全部おしまいです
段々おかしな感じになっていってしまった気もしますが
なんとか終わらす事が出来て良かったです

ありがとうございました。

それでは。

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