海未「立場がころっと変わってしまいました。」【ラブライブ!SS】 (45)

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(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455277635/)
の続編で、世界線とキャラ設定同じのつもりです。是非、そちらを読んだ後にお読みください。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1455623190



「ぃく―」

「ちゅうしてぇ―」


穂乃果「はわぁ」

穂乃果「一昨日、本当に海未ちゃんと....」


そう、穂乃果は一昨日、海未ちゃんと初めてのえっちをしました。

元々あったお熱とドキドキが重なって、何も考えられなくて、後先考えずにしてしまいました。

でも、独りでするより....断然気持ちよくて。

だって、大切な、大好きな海未ちゃんが―。

穂乃果の大事な所を優しく触ってくれて、少し意地悪はされたけど、初めてだから、すごく大切にしてくれた。

頭が真っ白になって、ピクピク痙攣が止まらなくて、そんなの初めてだった。

そんな穂乃果を、まるでお豆腐を扱うように、優しく優しくしてくれて。

力が入らない体に、穂乃果の大好きなぎゅっをしてくれた。


穂乃果「ふぇぇ....今日会うの緊張するなぁ」

穂乃果「初めてえっちをしたからって、海未ちゃんが人前でち、ちちちちゅうとかしてきたらどうしよぅぅ」

穂乃果「きゃあ、恥ずかしい〜」


昨日は、風邪が治らなくて、海未ちゃんと2人でお母さんに怒られた後、海未ちゃんはお父さんがお迎えに来て帰っちゃったの。

だからあまり話せてなくて、実質、えっちの後初めて会うからすごく緊張。

必要のない心配かもしれないけど、こういう妄想って、どうしても頭に浮かんできちゃって。

胸の奥からキュンって何かが溢れ出てくる。

誰にも見られてないってわかってるはずなのに、自分の部屋のベッドに座って、独りで悶えて。

同時に独り言も凄くて、頭の中には朝ごはんとお着替えと海未ちゃんの事しかない。

早く学校の準備をしなくちゃいけないのに、「もう少しだけ....もう少しだけ」って心で唱えて、海未ちゃんの匂いが染み込んだ枕を抱きしめて。


穂乃果「うふふ....海未ちゃん大好き♡」

穂乃果「今日は沢山お話するんだ。そしたら手をつないで一緒に帰って、それからそれからぁ―」

ガチャッッッ!!!!

穂乃果「ひゃあっ!?」

雪穂「お姉ちゃん!!!朝ごはんだよって何回も言ったでしょ!?」

穂乃果「そ、そうだっけ....」

雪穂「もう....ってそれ、海未ちゃんに貸してた枕じゃ....」



すっかり自分の世界に閉じこもってたみたいで、雪穂の声とか全然聞こえてなかったよ。

ノックすらなくて、ドアが壊れそうな勢いで来たから、思わず飛び跳ねちゃった。


雪穂「枕カバー洗ったの?」

穂乃果「っ、海未ちゃんは臭くないもんっ!」

雪穂「違っ、そんな事言ってない!」

穂乃果「悪い菌もいないもんっ!」

雪穂「....はぁ?....まぁいいや。とりあえず、早く着替えちゃいなよ?」

穂乃果「わかったから早く出てって」

雪穂「....今日は少し暖かいってさ」

バタン


自分でもわかるくらいに、雪穂の方がお姉ちゃんっぽくて。

少し嫌になって、早く出てってなんて言っちゃったけど。

捨て台詞にお天気のこと教えてくれるなんて、やっぱり良い妹です。


穂乃果「この枕、海未ちゃんの匂いが一番残ってる物なのに」

穂乃果「仕方ないかぁ、洗わないとだよね」

穂乃果「....うぅ、けど最後にもう1回!」


洗おうと決心したけど、もう一度だけ鼻を押し付ける。

すぅーっと大きく息を吸って、少しずつ吐く。

足が勝手にモジモジクネクネしちゃうくらい大好きな匂いが、体に入っていくのを感じて。

それを結局5分くらい続けてた。


穂乃果「海未ちゃん....今日も1日ファイ―」

ドガッ!!

穂乃果「ぇぁ....!?」

雪穂「お姉ちゃん....」


もう本当に壊れちゃったんじゃないかと思うくらいの音が聞こえて、ドアの方へ恐る恐る目をやると。

アリサちゃんに借りて読んだ少年漫画で見た、「ゴゴゴゴ」って文字が浮き出て見えそうな雪穂が。



穂乃果「ゆ、雪穂、穂乃果、ちゃんと着替えるよぅ、あ、朝ごはんも食べる!ね!」

雪穂「信じない。もう怒ったからね....腕出して」

穂乃果「腕?どうして―」

雪穂「出して」

穂乃果「は....い....」

雪穂「お仕置きのしっぺだよ!」

ペシッ!!

穂乃果「いだっ!?」

雪穂「まったく、お姉ちゃんなんだからしっかり―」

穂乃果「ひっ....ぇぐっ....」

雪穂「....して....よ....え?あれ?お姉ちゃん?」

穂乃果「痛い....痛いよぅ」


丁度血管のあたりを叩かれたのか、骨のところを叩かれたのか、わからないけど、骨の芯を激痛が襲いました。

それに、叩かれたのが急すぎてビックリしちゃって。

本当に恥ずかしいけど。


穂乃果「ぇぅっ、ぅっ、酷いよ....叩いた....ぐすっ」

雪穂「うそ、そんなに痛かったの?」

穂乃果「うん....ぐすっ」

雪穂「あわわ、ごめんね?お姉ちゃんが痛いの苦手って知ってたのに....」

穂乃果「うっ....はぁ、海未ちゃんに頭ぽんぽんで慰めてもらいたいよぅ」

雪穂「海未ちゃん....じ、じゃあ、海未ちゃんに早く会うために支度しちゃお」

穂乃果「....うん」


どうしてこんなに子供っぽくなっちゃうんだろ。

おかげで皆からは雪穂の方がお姉ちゃんだってからかわれるし。

自分でもわかってるんだから別にいいじゃん。

でも....妹に宥められるのはやっぱり恥ずかしいかも。


穂乃果「ひっく....ごめん、着替えるから部屋出て」

雪穂「わかった。枕は持ってくからね」

穂乃果「え!?」

雪穂「返してほしかったら3分で着替えて」


遂に没収されました。

大事にしてたのバレバレだったかな。



― お昼休み ―


海未「穂乃―あっ」

穂乃果「海未ちゃん???」

ベタン!!

穂乃果「えっえっ、海未ちゃん大丈夫!?」


中庭で休むのに良い場所を探してて、「穂乃果、あそこはどうですか?」と肩をポンと軽く叩こうとして....。

急に動いたら足がもつれて転んでしまいました。


海未「うぅ....いたた....」

穂乃果「転んじゃった....えっと、えっと、痛いところない?」

海未「手....は....ちゃんと出たのですが....膝―」

穂乃果「うん?痛いなら泣いてもいいんだよ?」

海未「え?」

穂乃果「ずっと下向いて顔合わせてくれないから....」


泣きそうで顔を合わせないのではなくて、合わせられないのです。

転んだ痛みよりも、転んだという事の恥ずかしさが勝ってしまって、しかも大好きな穂乃果に見られていたから尚更....。

でも、久々に大きく転んでしまいましたね。

流石に痛いものは痛いです。


穂乃果「ねぇ、膝から転んだの?」

海未「ええ、両膝が―」

穂乃果「わぁぁぁっ!!血が出てるよっ!?」

海未「穂乃果?」

穂乃果「あわわ、どどどどっ、どうしよう!バイ菌が入っちゃうかも!痛そうだし、穂乃果どうすれば―」


ふわっと、一瞬で恥ずかしさも何も消え去りました。

体全体を使って、慌てて一生懸命心配している穂乃果を見たら、恥ずかしがっている方が失礼だと思えてきました。

大体、穂乃果はあまり人を笑わない純粋な子です....私が馬鹿でした。

まずは四つん這いをやめましょう。



海未「ったた....ごめんなさい穂乃果、心配をかけてしまいました」

穂乃果「ああっ、穂乃果の肩使って?歩ける?」

海未「ありがとうございます」

穂乃果「....あ、海未ちゃん、靴下脱ごう。血がたれてるよ」

海未「うわっ....はい、そうします....」


よく見たら、結構出血していて、中学生の頃だったら大泣きしているレベルです。

歳を重ねると、気づかないうちに強くなるものなんですね。

急いで靴下を脱いで、穂乃果に預けました。


海未「とりあえず、そこの水道で血を流してきます」

穂乃果「あ、うん、ハンカチとかある?」

海未「持ってます。少し待っていてください」

穂乃果「ん、はーい」


― (穂乃果のフェチ編)同時刻穂乃果視点 ―


洗いに行っちゃった。

でも凄いなぁ、穂乃果だったらあんなに血が出てたら、ビックリして泣いちゃうかも。

朝の雪穂のしっぺみたいに....。


穂乃果「あれ?そういえば靴下....」


海未ちゃんが膝を洗いに行く時、脱いだ靴下は穂乃果に預けて行きました。

脱いだばかりの、好きな人の靴下。


穂乃果「これ....」

穂乃果「海未ちゃんまだ帰ってこないだろうし」

穂乃果「周りにも誰もいない....」


って、穂乃果何考えてるんだろ。

足の匂いとか嗅がれた方はすごく恥ずかしいじゃん。

で、でも、海未ちゃんに見られてないし....。

穂乃果は海未ちゃんの匂い嗅ぐの大好きだし....。

うぅ....靴下....海未ちゃん....。



穂乃果「ごめんっ!」

穂乃果「....すぅぅぅ....はぁ、すぅぅぅ」


これ、これだよ。

海未ちゃんが体の中に入っていくの。

これが大好きで。

気持ちいいの。

海未ちゃんにも沢山匂いがあって、髪の毛から香るシャンプーの甘い匂いとか、服から香る柔軟剤の匂い。

首元とかに近づいた時にちょっぴり香る、石鹸の匂い。

汗を沢山かいた時の、ほんのり香る汗の匂い。

全部いい匂いで、たまらなく大好き。

そして、初めての足の匂い。

その靴下は少し蒸れた匂い。

例えるなら、干したお布団とかかなぁ。

それでも臭くなくて....そこに海未ちゃんの、女の子の匂いが混ざってて。


穂乃果「これ欲しい....」

穂乃果「海未ちゃん、いい匂いだよぅ」


おトイレを我慢してるみたいな格好になっちゃってるから、誰かに見られたら恥ずかしいけど、止められない。

せめて海未ちゃんが来るギリギリまでこうしていたい。

女の子自身も気になっちゃう、ブーツを一日中履いた後の匂いとかも嗅いでみたくなっちゃった。

海未ちゃんの匂いは癖になるの。

匂いを嗅ぐのが一番好きで、ドキドキするもの。

海未ちゃんはずるいよ、そんなものをばらまいてるんだから。

まぁ、えっちな事よりはドキドキしないかもだけど。


― 保健室 ―


穂乃果「海未ちゃん、大きく息を吸って」

海未「はい、すぅぅぅ―」

穂乃果「えいっ」

海未「くぅっ....」



昔から穂乃果と共通して私が苦手なもの。

消毒です。

どんなに考えて、いろいろ試しても痛くて。


穂乃果「しみた?」

海未「も、もう....平気です」

穂乃果「よし、それじゃあこの絆創膏を貼って終わり!」

海未「....ふぅ、本当にありがとうございます」

穂乃果「えへへ、頭撫でて?」

海未「はい、いいこいいこです」

穂乃果「むぅ、これじゃ子供みたいじゃん」


怪我の処置は終わりましたが、先生に許可を得ているので、お昼休み中はここで休むことになりました。

ここなら穂乃果と多少いちゃついてもバレませんし良いですね。


穂乃果「まぁいいや」

海未「あら、怒りましたか?」

穂乃果「怒ってないよーだ」

海未「そんなにほっぺたをプックリさせて....わかりやすいですよ」

穂乃果「ぷぃ」

海未「....もっと靴下の匂いを嗅いでもいいですから」

穂乃果「ブフゥッ!?なっ、ななななななっ!?」


顔を真っ赤っかにさせ、驚いていますが。

穂乃果が私の匂いを嗅ぐのが好きってことは、もうとっくに知っていることです。

靴下を渡した時点で、匂いを嗅いでしまうのは分かっていました。

嗅がれる方も、悪くはないです。

自分の匂いを好んで嗅いでくれるなんて、幸せですよ。



穂乃果「か、嗅いでないからね?本当だよ?」

海未「そんな嘘―」

穂乃果「本当に嗅いでないからね?だからはい、これ返すから履いて!」

海未「嘘が下手ですね」

穂乃果「も〜!嗅いでないってばぁ〜」

海未「わぁっ」


ちょっぴり意地悪しすぎたでしょうか。

近くにあった枕を何回もぶつけてきます。

穂乃果は頑張って当ててるつもりでしょうが、ぽふぽふ柔らかい感触しかないので。

とても愛らしいです。


穂乃果「海未ちゃん強いよ。こんなに叩いてるのにぃ!」

海未「もう少し特訓してから、また挑んでください」

穂乃果「む、海未ちゃんずるい!」

海未「ずるい?」

穂乃果「いっつもからかわれるのは穂乃果だし、穂乃果よりも力が強いし、知らないうちに意地悪されてたりするもん」

海未「そうでしょうか」

穂乃果「ちゅうの時だってそうだよ?海未ちゃんばっかりベロ使ってくるし、えっちの時だって―ぁひゃあっ!」

海未「ん....」


穂乃果は途中で口を隠して、「言っちゃった」と言わんばかりの表情で私を見てきます。

それを見ていると、一昨日の事を思い出してしまって、顔が、耳が、物凄いスピードで熱くなりました。


穂乃果「うぅ....」

海未「ご、ごめんなさい。嫌だったですか?」

穂乃果「えっ、そうじゃない!けど....」

海未「けど?」

穂乃果「ぅ....穂乃果も、海未ちゃんがしてくれるみたいに、その....エスコートしてみたいの」

海未「っ」


一変して真剣な表情を見せました。

確かに分からなくもないです。

いつも私が、私のペースで物事を進めていましたから。

初めてのデートも、キスや性行為の攻めも。

性行為、誘ってくるのは穂乃果ですけどね....。



海未「では、私はどうすれば」

穂乃果「えっ?えっと....穂乃果もどうすればいいんだろ」

海未「え?」

穂乃果「えへへ、わかんないやぁ」


少しだけ変な期待をしていたのですが、残念です。

いい感じのムードを作って手助けすればいいでしょうか。

なら。


シャーッ

穂乃果「あれ?どうしてカーテン締めるの?」

海未「ほら、これで、本当に2人きりになれたでしょう?」

穂乃果「あ、そっか....うん....なんだかドキドキするね」

海未「はい。....よいしょ」

穂乃果「ぅわぁ?海未ちゃん!?」


穂乃果の肩に寄りかかりました。

普段は逆なので違和感がありますが。


穂乃果「えと、あの、急に甘えん坊さんになっちゃった....?え、なんでぇ?」

海未「さっき自分で言っていたではありませんか。エスコート、してくださいよ」

穂乃果「っ....ほ、穂乃果っていつもこんな感じなの?」

海未「そうですね。とっても甘えん坊さんです」

穂乃果「え〜、恥ずかしい....うぅ、な、何すればいいんだろう」

海未「....私は穂乃果の物なんですから、好きにしてください」

穂乃果「穂乃果の....物っ?」


さらっとプロポーズみたいなセリフを口にしてしまいましたが、私たちはもう恋人関係です。

急に初々しい頃に戻ったみたいな感覚です。

穂乃果がすごく戸惑っているんです。

何をすればいいかわからなくて、あたふたしているのを見ていると、胸がキュンとします。

庇護欲が湧いて、動きも小さくて。

小動物みたいに可愛いです。



穂乃果「え....え、えーいっ!」

海未「おっ」

穂乃果「ぎゅってしてあげる!!!」


穂乃果の真似ではありませんが、この甘い匂いは何なんでしょうか。

いつもいつも同じ良い香りがします。

....それはともかく、抱きしめてきました。

これだけならあまり変わらない気がしますが、改めて冷静になると、胸が押し付けられてて変な気持ちになりそうです。


穂乃果「ほ、ほら、穂乃果って、ぎゅってして〜って甘えてばかりだったからさ。今は穂乃果がぎゅ〜♪」

海未「なんだか、気持ちいいですね」

穂乃果「でしょ?穂乃果はいつもこうしてもらってるんだよ?」


こう考えると、お互いの普段感じているものを体験できるいい機会なのでしょうか。

穂乃果が抱きしめられるのが好きな理由もわかる気がします。

大切にしてもらってる気分になります。


海未「でもこれだけですか?」

穂乃果「え、いやぁ....」

海未「私もこういうタイプではないんですよ?」

穂乃果「で、でもさ、穂乃果さっきコーヒー飲んじゃったから....」

海未「あぁ、そんな匂い気にしませんよ。お昼休み、終わってしまいますよ?」

穂乃果「う....な、なら....」


もうエスコートも何も関係なくなってしまっていますが。

穂乃果がやってみたいと言ったことなので、できるだけ付き合ってあげたいんです。


穂乃果「目、瞑って?」

海未「はい」

穂乃果「....んむっ―」

海未「ふにゃっ!?」

穂乃果「あれ?」

海未「何故鼻なんですか!」

穂乃果「あ....癖で穂乃果も目瞑っちゃってた....」

海未「な、なんだか穂乃果らしいというかなんというか....ふふ」

穂乃果「えへへ、もう1回やろ!」

海未「ええ」



少し流れが変わった気がします。

失敗を笑いに変えて、穂乃果も自信が出てきたみたいです。

本当にいつも私がしているように。

横髪を耳の後にやって。

前髪を寄せて。

人に弄られるのって、こんな気持ちなんですね。


穂乃果「海未ちゃん、いくよ....」

海未「ん....」

穂乃果「んっ....」


私は何もしないで、ただ身を任せます。

唇を啄んできたりします。

私も普段のキスでこんなことしていましたっけ。

ふと疑問が湧きました。


穂乃果「んっ、は」

海未「んふぅ」


舌を入れてきました。

違和感が凄いです。

だって、いつもは私が攻めているのに、攻められているんですもの。

人に何かを触られたりすると、こんなに気持ちがいいんですか....。

って、あれ。

え、え。


海未「んぁぁ....!?」


変な声が出ました。

私、穂乃果にこんなことしたことないです。

何故。


海未「ひぃ....ん....はぁ....」

穂乃果「んむ....んっ」



ダメ、そんな所舐めないで。

どうして。

凄くビックリしました。

穂乃果が舐めてくるところ全てが、変な感じなんです。

舌の裏筋、舌の裏、そして前歯の裏歯茎など。

なんなんですか。

私が油断してたっていうことですか。

あ、裏歯茎....凄い....。


海未「んふぅぅ....ひおひぃ」


私....何を言って....。

大事なところを触られているわけでもないのに。

体がぴくっ、ぴくっ、と震えてしまいます。

穂乃果....私はあなたにこんなことしたことありませんのに。

いつも舌を吸うか、ただ舌を入れて舐めるだけ....なのにどうして。

まずいです、どうしましょう。

自分の意志とは別に、じんわり涙が出てきてしまいます。

何故穂乃果がいつも涙を流しているのかわかった気がします。

私は今、穂乃果に逆らえない。

支配されているわけではなく、穂乃果に支配されたいと思って逆らえない。

体の力が抜けていく。

身を任せて、寄りかかるように。

穂乃果....。

凄いんです....。


海未「ん....ひぃ....ふぅ....んっ....」


どうして止めてくれないのですか。

いや、違う。

止めてほしいなら力ずくで止めればいい。

でもできない....本当は嬉しいの。

体があなたを欲しがっている。

もっとあなたで快感を得たいって。

どうして私はこんなに破廉恥になってしまったの。

嘘。

これが本当の私なのか。

穂乃果がほしい....。

もっと....。



海未「んは....ひぃ....はぁ」

穂乃果「っは....はぁ、海未ちゃん、どお....かな?」

海未「ひぃ....ふぅ.....ひぃ....」

穂乃果「はぁ、はぁ、海未ちゃん?」


キスって、こんなに頭が真っ白になりましたっけ。

いつもぽわぽわして気持ちがいいですが、これは何ですか....。

穂乃果の言葉にお返事できない。

少し休憩が欲しいです。

何も考えられない....。


海未「はひぃ....ひぃ....」

穂乃果「海未ちゃん、口開いてる....すごい顔だよ?」

海未「穂....ふぅ....乃果....ちょっと」

穂乃果「ふぇ?」


穂乃果の胸に倒れ込みました。

キスを終えた後、そのままの顔で、しばらく座っていたみたいです。

きっとトロトロに溶けきった私の顔を見て、すごい顔だと言ったのでしょう。


穂乃果「海未ちゃんじゃないみたい....」

海未「な....さけないです....うふふ」

穂乃果「そんなに穂乃果のちゅうが気持ちよかったの?」

海未「....はい」


素直に答えました。

私は何もできなかった。

ただ穂乃果に攻められるだけで。


穂乃果「少しお勉強した甲斐があったかも」

海未「勉強?」

穂乃果「いつもやられっぱなしだし、ちゅうで海未ちゃんにお返ししたいなーって思って」

海未「穂乃果が勉強ですか」

穂乃果「なんかね、弱い人とか、本当に人によるみたいだけど、海未ちゃんは前歯の裏歯茎がすごく弱いみたいだねぇ♡」



自分でも赤くなっているのを感じて、顔が上げられない。

立場がころっと変わってしまいました。

同時に私がキスに弱いことも発覚して。

自分の知らない性感帯が、口の中にあったなんて。

いろんな意味で恥ずかしい。


穂乃果「えへへ、凄いなぁ。海未ちゃんがこんなに真っ赤っかになってるの初めて見たよぅ」

海未「い、言わないでください」

穂乃果「でも歯茎なんてくすぐったいだけだけどなぁ。自分で舐めてみても全然気持ちよくないよ?」


穂乃果は自分で歯茎を舐めてからそう言いました。

確かに自分でやっても変な感じですが、あなたに弱いところを舐められたら余計に....。


海未「自分で言っていたではありませんか。人によるみたいだと」

穂乃果「あ、そっか」


ここは学校ですが、もしもおうちだったりしたら、このまま抵抗できずに最後まで身を任せていたのでしょうか。

そんなことを考えるとゾクゾクします。


穂乃果「さて、そろそろ教室戻る?」

海未「予鈴まで待ってください」

穂乃果「ん、わかった」


休み時間ギリギリまで休むことにしました。

だって、このまま教室に行ったら、穂乃果の事しか考えられなくて授業の内容が頭に入らないですから。

だからこのままもう少し....穂乃果に寄りかかって。

大好きな温もりを感じて体を休めます。



― 放課後 ―


お昼休みの海未ちゃん、可愛かったなぁ。

ちゅうする前まではいつもの余裕を見せてたけど。

えへへ、海未ちゃんの弱点発見しちゃった。

でも....。

最近はちゅうとかしてばかり。

大好きな人とそういう事をするのは、すごくいい気持ちになれて好きだけど。

今まで感じてたドキドキとかが薄れちゃってる気がするの。

もちろん初めての事とかは、心臓が暴れて苦しいくらいだけどさ。

確かに穂乃果はえっちな子かもしれないよ。

匂いを嗅ぐのが好きだったり....これは個人の問題だけど、やっぱりちゅうとかも、多すぎても嫌。

会う度に抱きしめあって、ちゅうして、そんなの幸せすぎるけど。

たまには違うことがしたい。


穂乃果「すぅぅ....」

海未「寒いですねぇ」


今も鼻をくんくんさせちゃって、匂いを嗅ぐのは止められないけど。

に、匂いは海未ちゃんが悪いよ。

海未ちゃんがいい匂いだから悪い。

異論は認めません。


穂乃果「....ねぇ海未ちゃん」

海未「なんですか?」


寒い真冬の下校道。

モコモコの手袋にマフラーが守ってくれる。

白い息が少し面白くて、でも脚を襲う風が冷たい。

そんな風みたいに唐突に。


穂乃果「海未ちゃん、おっきな苺のパフェ食べたいなぁ」

海未「パフェ?こんなに寒いのにですか?」

穂乃果「じゃあクレープ!」

海未「んん、食べれれば何でもいいんですか....」

穂乃果「海未ちゃんと何か食べたいのー♪」



いつもは真っ直ぐ家に帰って、お話したり、遊んだり、いちゃいちゃしたりだけど。

何か食べたり、カラオケに行ったり、ゲームセンターに行ったりもしたいなぁって思ったの。

だからおねだり。

少しだけ甘い声で寄り添って....女の子のずるい技。


海未「ふふ、甘えん坊さんモードですか?」

穂乃果「えへへ〜」

海未「では、何が一番食べたいんです?」

穂乃果「えっと....最初に言った、おっきなパフェ!」

海未「大きなパフェですか....いつも行くファストフード店の近くの喫茶店に入りましょうか」

穂乃果「うんっ!」

海未「と言ってもすぐそこなんですけどね」


えへ、ニヤニヤが止まらないよぅ。

やっぱりこういうのも楽しい。

お互い手を繋いで隣を歩いて。

好きな歌を鼻歌で歌ったり、ちょっぴり甘えたり。

こういうドキドキも大好き。

そして、そのまま海未ちゃんに連れられてお店に来ました。


海未「どこに座りましょうか?」

穂乃果「あそこの角がい―あっ!」

海未「どうしまし―あっ!」



驚いてつい声が出ちゃった。

A-RISEのツバサさんとあんじゅさんが、穂乃果が指を指した席の隣に座ってるの。

ちょっぴりだけテンションが上がっちゃった。


穂乃果「あ、あのっ」

ツバサ「うん?サイン....あら!」

穂乃果「μ’sの高坂穂乃果です!」

ツバサ「ふふ、知ってるわよ。お久しぶり」

あんじゅ「スレンダーちゃんも一緒ねぇ」

海未「す、スレ、え?」

ツバサ「海未さんもこんにちは」

海未「あ、はい、こんにちは....」


やっぱり可愛いなぁ。

まぁ海未ちゃんが一番可愛いけど。

あんじゅさんとかモデルさんみたいだぁ。


あんじゅ「えっと、せっかく会えたんだけど、私はそろそろ....」

穂乃果「あっ、邪魔してしまいましたか!?」

ツバサ「違うわよ。元々入ってた用事」

あんじゅ「そうなの。また会いましょ」

穂乃果「は、はい!」

あんじゅ「それじゃあね....」

海未「....あら、ツバサさんは一緒じゃないんですか?」

ツバサ「ええ、私とあんじゅもたまたま会ったの。もしよかったらご一緒していいかしら?」

海未「あ....えっと―」

穂乃果「是非っ!いいよね、海未ちゃん?」

海未「....はい、別にいいですけど....」


凄い、ツバサさんからご一緒していいかしら、だって。

実際に話したことは何回かあるけど、やっぱり憧れのスクールアイドルだったから、まだ緊張はあるかなぁ。



海未「それでは失礼します」

穂乃果「じゃあ穂乃果も―わっ!?」

海未「えっ!?」

ツバサ「穂乃果さんはこっち」

穂乃果「えっ、あの、海未ちゃんと....」

ツバサ「リーダー同士なんだからいいじゃない」

穂乃果「でも....」

海未「....」


ツバサさんが強引にコートの袖を引っ張って、自分の隣に座らせてきました。

海未ちゃんと隣が良かったけど。

海未ちゃんも、ツバサさんの事を少し怖い目で見てます。


穂乃果「海未ちゃん....ごめん....」

海未「い、いえ....」

ツバサ「で....穂乃果さんは何を頼むの?」

穂乃果「えと、穂乃果は苺―」

ツバサ「苺の?」

穂乃果「えあっ、近いですっ!」

海未「っ!ちょっとあなたっ!!!」

ツバサ「なぁに?」

海未「な、何って....ふざけないでください!」

穂乃果「う、海未ちゃん....」

ツバサ「穂乃果さん、海未さんが怒ってるみたい。どうしてかしら―」

穂乃果「....え....」


さっきから何かおかしい。

意味わかんないよ。

あれ、どうしてツバサさんが、穂乃果の唇を触ってくるの。

ぽんぽんと変な事が進んでいって、何が起きているのかわからない。

ツバサさんの海未ちゃんへの視線も....怖い気がする。



穂乃果「つ、ツバサ....さん....?」

ツバサ「....あなた達お付き合いしてるんでしょう?」

穂乃果「へ....?」


耳元に、低い声で訪ねてくる。

どうしよう、怖くなってきた。


穂乃果「そ、そんなの、お、教えたところで....な、何になるんですか」

海未「....穂乃果?何しているんですか?何を聞かれたんですか!?」

ツバサ「....もし私が穂乃果さんにこのまま手を出したら、海未さんはどうなるかしら....ねぇ?」

穂乃果「何を....言って....ほ、穂乃果もう帰―」

海未「はっ、離れてぇっ!!!」

チュッ....



え....。

何....。

....温かくて、柔らかい感触が....。


海未「ぇっ....な....んで........」


ガシャンと腕がテーブルに当たる音と共に、立っていた海未ちゃんが座りました。

まるで膝裏を突かれたみたいに、ガクッと。

顔はすごく青ざめています。

穂乃果、今何をされたの....。

また隣を見ると嫌な笑顔のツバサさんが。

心臓の鼓動が合わない。

苦しい。

涙が出てくる。


ツバサ「っふふ、可愛い♡」

穂乃果「....は....な....ほの....」


気を抜いたら倒れちゃいそう。

髪を撫でないで。

穂乃果に触らないで。

怖くて抵抗できない。

どうして....こんな事するの....。

意味わかんない....わかんない....どうして急に、ツバサさんはこんな事をするの....。

海未ちゃん、助けて。


海未「........」

穂乃果「う....み....ちゃん」


海未ちゃんはどこを見ているのかわからない。

震えて、テーブルには小さな水溜りができてる。

まるで壊れてしまったみたいに。

ブツブツとなにか呟いてる。

穂乃果が....どうにかしないと....。

このままじゃ....。

ああ、頭が真っ白....。


パシーン!



― (番外編) ―


最近噂を聞く。

噂じゃないかもしれない。

とある人のツイットーでは、ファンの人も応援している。

スクールアイドルとは別に応援をしている。

そう、それは恋愛。


「穂乃果さんと....海未さんが....?」


つい最近、急に。

フォローバックはされていないけど....いや、多分気づいていないだけだと思うけど。

彼女の呟きを見るのが日課。

海未さんとお出かけした写真とかが増えたりはしていたけど。

お付き合いを始めたとは言ってない。

ならどこで。

私はμ’sの熱いファンというわけではないから、気づかなかった。


「なのにどうして気にしているかって?....穂乃果さんの事が好きだからよ」


簡単なこと。

単純に好きだから。

μ’sのリーダーの穂乃果さん。

メンバーをぐんぐん引っ張っていって、言葉にできないけど、初めてお話した時にわかった。

なるほど、みんなこの人について行くわけだわ、と。

私は一目惚れではないけど。

ライバルとしてずっと見てきて、気づいたら歌も踊りも穂乃果さんしか見ていなかった。

知らないうちに穂乃果さんに惹かれていた。

なのに園田海未と結ばれた。

恋愛に興味のなさそうな穂乃果さんが、園田海未と。


「電話番号を交換したりすれば良かった」

「もっとお話すればよかった」



後悔のような感情が湧いてくる。

まだ自分からアタックしに行ってはいなかったけど。

油断していたのかしら。

好 き な 人 を 取 ら れ た 。


「おかしいわ、私の方が可愛いのに」

「私の方が歌も踊りも上手いのに」

「私の方がスタイルも―」


全然お話をしないうちに。

取られた。

私がプロポーズをすれば私と結ばれたはず。

絶対そう。

....自分の中で何かが壊れる音がした。

狂ってしまったのだろうか。


「穂乃果さんに相応しいのは私」


ここと音ノ木坂学院で。

全く別の歯車で回っている時間の中で、勝手に穂乃果さんの恋が進んでしまった。

自分の時間があまり取れない私を置いて。

今度のお休みに、穂むら?に行って2人きりでお話をしようかと考えていた矢先よ。

どうしてこうなったの。

どうしたら穂乃果さんと海未さんは離れてくれるの。

............そうか。

壊してしまえばいいのね。

私が力ずくで奪えばいいのよ。

音ノ木坂学院の近くにいればきっと会えるわよね。


「どうにでもなってしまいなさい」


もう自分という人格を保てなくなっている。

....ふふ、可愛い穂乃果さん、あなたは私のものになるの。

その時、海未さんはどんな顔をするかしら。

ショックで立ち直れなくなるんじゃないかしら。



英玲奈「よっと....ん?まだいたのか?」

「ふふ....うふふ....」

英玲奈「....ど、どうした?何か変だぞ?」

「何でもないわ....うふふ」

英玲奈「具合でも....悪いのか?少し怖い....」


今に見てなさい。

すぐ私のものになるんだから。

そうね、海未さんの目の前でキスをしてあげましょう。

きっと穂乃果さんも逆らえないわ。

ううん、私が支配するのよ。

私はもうみんなの知ってる「綺羅ツバサ」じゃないわ。



― 喫茶店 ―


パシーン!

ツバサ「....っえ....痛い....え....?」

穂乃果「はぁ....はぁ....最低....ですよ....」


何も聞こえない....。

ぼやけて何も見えない。

私今何をしているんでしょうか。

確か穂乃果とパフェを食べに来て。

そこで綺羅....っ。

ツバサさんが....。


海未「....ぁ....ぁぁっ....うあぁぁ....」

穂乃果「う、海未ちゃん....?」

海未「ほの....かは....私....の....たいせつ....な....ぁ....」

穂乃果「....ツバサさん....どうして....っ」

ツバサ「え....?何が?」

穂乃果「海未ちゃんを....穂乃果の海未ちゃんをッ!」

ツバサ「海未さん?そんな邪魔な―」

穂乃果「っっ!!今のツバサさんは尊敬できないよっ!!!」


穂乃果の声が聞こえる気がする。

ツバサさんが....穂乃果に....。

体が震えて何も出来ない。

腕に力が入らない。

涙を止めることが出来ない。

なんで....頭が痛い。

クラクラする。

呼吸が....上手く出来ない。



おばさん「何、喧嘩?」

おばさん2「いやねぇ、最近の若い子は周りの事考えないで」

海未「は....ぁぁ....ぁ....」


自分が何を言っているのかわからない。

パニック状態です。


ツバサ「尊....敬?何を言ってるの。今日から私の―」

穂乃果「....お巡りさん呼んでもいいんですよ?....無理矢理....ちゅう....されたんです」

ツバサ「えっ!?ど、どうしてそんな事言うの!?」

穂乃果「ふざけないでください....穂乃果もう....ビンタだけじゃ気が済まなくなりますよ」

ツバサ「な、なんでよ....私は穂乃果さんの事が好きで....」

穂乃果「は....?」

ツバサ「海未さんなんかよりも私の方が相応しいわ....今日から私のものに....ほ、穂乃果さんは私のことが嫌―」

穂乃果「ぅっ、こんな....こんなツバサさんなんか大嫌いだよっっ!!!」

ドガッ!!

ツバサ「い゛っ....!?」

穂乃果「馬鹿っ!馬鹿馬鹿っ!!!」

店員「え?....ちょ、ちょっとお客様!」

穂乃果「離っ....して!」

店長「なっ、君っ、落ち着いて!」

穂乃果「離して!離せぇ!」

店長「落ち着きなさい!」

ツバサ「....殴....られ....た....!?」

穂乃果「馬鹿ぁっ....ぅっ....ぐすっ」


なんだか騒がしいけれど、何も頭に入ってこない。

楽しいはずの穂乃果とのお茶が....。

こんな事になるなんて。


穂乃果「馬鹿ぁッッ!!」



― 昔よく遊んだ公園 ―


穂乃果「よいしょ....」


この公園、久しぶりだなぁ。

夕焼けが綺麗で、小さい子供たちがお家に帰ってく。

そういえば海未ちゃんはたまにお散歩で来るんだっけ。


穂乃果「海未ちゃん、降ろそうか?」

海未「はい....」


おんぶしていた海未ちゃんをベンチに座らせました。

海未ちゃんも少し落ち着いたみたい。

さっきの....アレ....。

穂乃果も正気を取り戻すまで時間がかかったけど。


穂乃果「海未ちゃん、ごめんね」

海未「穂乃果....」


あれが尊敬してた、憧れてた人だったなんて、もう思いたくない。

でも、拳が痛い。

怪我したわけじゃないけど。

初めて人の顔を殴ったんだ。

そして初めて、人を本気で怒った。

あんな人、大嫌い。

最低だよ、最悪だよ。


海未「その....穂乃果は....」

穂乃果「なぁに?」


穂乃果はお店で少し暴れちゃったから、店長さんに連れて行かれそうになったんだけど。

ツバサさんが「全部....私が悪いんです....」って言うの。

ツバサさんは穂乃果の事を好きって言ってた。

だから、穂乃果にボロクソ言われて、殴られて、絶望した顔だった気がする。

その後は流れで。

自分自身の悪いことは、ちゃんとお店の人に謝って。

泣いてたからか、少し注意されただけで、学校のことも何も言われないで許してくれました。

もちろん、ツバ―あの人とは一切口を聞かなかった。

絶対に許さないし、絶対にお話したくない。



海未「実はツバサさんと....そういう、関係だったんですか....?」

穂乃果「え?」


凄く弱々しい声。

まるで死んじゃいそうな....闇の底に閉じ込められてるような。

いつもの海未ちゃんじゃない。


穂乃果「....そんな事....あるわけないよぅ」

海未「ぅぐっ....くふぅ」

穂乃果「ごめんね、ごめんね....穂乃果がもっと強かったら、『止めて』って言えたのに。ごめんね、海未ちゃん」

海未「穂乃果ぁ....うあぁぁぁっ....ひっく、ぅっあぁぁぁぁ―」


抱きしめて、絶対に変わらない穂乃果の気持ちを、そしてあの人との関係を否定するために、精一杯の本音を伝えました。

ちゅうをされたのは穂乃果だけど、海未ちゃんがこんなに悲しんでるのに、穂乃果が弱気になったらダメだと思うの。

涙を我慢するのは流石に無理だけど。

大きな声を出して泣く海未ちゃんの背中を、優しくなでなで。

穂乃果も声だけは必死でこらえて。

海未ちゃんを慰める。

今日のお昼みたいに、いつもとは逆だけど。

頑張って、自分なりに慰める。


海未「よかっ、ひくっ、よかった....よかったっですっ!ぐすっ」

穂乃果「うん....お昼に言ってたよね、海未ちゃんは穂乃果のものだって。なら、穂乃果は海未ちゃんのものだから....海未ちゃん以外のものになったりしないよ!」

海未「はぃ....ぐすっ、うっ....」

穂乃果「でも....今、お名前が薄れちゃったなら....」

海未「....?」

穂乃果「自分のものだって、お名前なんてもう1回書けばいいよね」


あの人にちゅうされて、穂乃果の唇にあの人のお名前が書かれちゃったなら。

また、海未ちゃんと。

ちゅうして取り消せばいいんだ。


穂乃果「んっ」

海未「うむぅ」



あんなちゅう、気持ち悪いだけだよ。

けどこのちゅうは、ちゃんと好きの気持ちがこもってる。

泣いてて苦しそうだからベロは入れないけど。

もうお名前が消えないように....。


海未「ふぅっ、ぅっ....穂乃果ぁ」

穂乃果「穂乃果、強くなるから。海未ちゃんの事が好きって気持ちを一番にするから」

海未「はい....はいぃ」


誰もいない夕暮れの公園で。

大きなお約束。

だって穂乃果、後悔してるよ。

変だなって思った時に「止めて」って言えば、よかったかもしれないから。

だからその一言を言えるように、強くなるお約束。

....でも、慰めるだけって、すごく辛い。


穂乃果「ぅんっ....すぅぅ....んふぅっ」


海未ちゃんみたいに声を出して泣きそうになるのを我慢するために、大好きな匂いを嗅ぐ。

もう頭から消えそうにない、さっきの事をわざと掘り起こして、怒りでこらえる。

この温かくて、柔らかい海未ちゃんを抱きしめる感触を噛み締めて....。

....そうだ、明日は土曜日だから学校お休みだ....。


穂乃果「海未ちゃん、今日うちでお泊まりしよ?」

海未「お....泊まりですか?」

穂乃果「うん、お休み、2人きりで過ごそうよ♪」

海未「いい....ですね」

穂乃果「えへへ、それじゃ決まりだね」

海未「はい....。でも穂乃果、もう少し抱きしめてもらいたいです」

穂乃果「うん、わかったよ」


少しずつでいいから、あの人にちゅうをされた事実を、トラウマを、消していきたい。

海未ちゃんと穂乃果の愛は....永遠なんだから。



― 穂乃果の家 ―


穂乃果「ふふんふふふふん♪」


見せたいものがあると言われたので、穂乃果と逆側を向いています。

見せたいものというものが何なのか気になってしまい、後ろを向きそうなのを必死で我慢します。

すごく楽しみです。

....こういう楽しいことで、あの人の嫌な思い出が消えていけばいいですね。

キスをされたのは穂乃果なのに、その穂乃果に慰めてもらってしまいました。

だって取られたと思ったんです。

私より、可愛いですし。

それに、心のどこかでは、実は「浮気」だったのではと、酷いことを考えてしまっていたので、後でまた謝りたいです。


海未「もういいですかー?」

穂乃果「っしょと....もうちょっとだけ、まっててねー」


焦らしてきます。

待つのも楽しいですが、穂乃果自身も楽しそうです。

こんなに時間のかかるものって何でしょう。

まさかお誕生日....いや、まだ来月の話ですね。

すごくワクワクしてしまいます。


海未「いいですか?」

穂乃果「ふふ、それじゃあ3秒数えたらこっち向いていいよ」

海未「はい!....1....2....3!」

穂乃果「っじゃーん♡」

海未「ほわわっ♡」



振り向いた瞬間、私は変な声を出してしまいました。

焦らされただけの価値のあるものでした。


穂乃果「この間言ってた着ぐるみパジャマだよ〜」

海未「かわ、か、かわわ、わ、可愛いですっ!!」

穂乃果「うふ、本当に可愛いって言ってくれた」

海未「だって、本当に!きゃわわ....♡」


着ぐるみの女の子ってだけでも愛らしいのに。

好きな人がこんな格好だなんて、可愛いすぎて辛いです。

靴下もルルックマという熊さんのキャラクターの靴下を履いています。

上下繋がった服に、熊耳の付いたフードを被って。

フリフリとお尻を振った時には、まん丸の尻尾が現れます。

いつも人のいないところで野良猫を見つけたりした時や、テレビでペットの特集などがやっていて、それを独りで見ている時などは、ついつい可愛いなどと口にしてしまうんですが。

今はそれ以上で、気づいたら両手を胸において、体を上下に振ってました。


海未「あ、あの、鳴き声とか....お願いしてもいいですか?」

穂乃果「あ、えへへ....がお〜!ぅが〜!」

海未「ふぅぅん♡」

穂乃果「捕まえたぁ〜」


小さな手をキュッと丸めて、私の方へトコトコ向かってきました。

私以外にはこんなもの見せないんだろうなぁと。

本当に小動物のような可愛さで。

可愛いとしか言えません。

少し甘えたくなってきました。


海未「な、なでなでしてもいいですか?」

穂乃果「うふふ、うん〜」

海未「もこもこしてます」

穂乃果「温かいよ」

海未「凄く可愛....あれ?この下は何を着ているんですか?」

穂乃果「あ....ん....」

海未「あ、あれ??下着....は?」

穂乃果「....ぅ....」



体温のあるぬいぐるみの様な背中を撫でていると、妙にスラッとリアルで。

穂乃果も顔を赤らめて。

もしかしてとは思いましたが、穂乃果の向こう、部屋の奥の方を見て確信しました。

制服の上に下着が畳まれて置いてあるんです。


海未「え、あ、えと....」

穂乃果「く、熊....さんは、毛皮の下ははだかんぼなんだよっ」


そう言って正面から抱きついてきました。

あ、ああ....本当に何も着ていないんですね。

胸の感触が....。

こんなの、我慢できる方がおかしいですよね。


海未「穂乃果....私、あなたが好きで好きでたまりません」

穂乃果「穂乃果もぉ」

海未「優しい熊さん、少しキスをしませんか?」

穂乃果「うんっ」


いつもは下着で守っている場所が、敏感な場所が、布に直に触れる感覚。

きっとゾクゾクしますよね。

着ぐるみ1枚だなんて、破廉恥過ぎますよね。

ほら、そんなの穂乃果の顔を見ればわかります。

はぁ、はぁ、と顔を赤くして。

もうエッチな顔なんですもの。


海未「ベッドに横になりましょうか....おぃしょっ」

穂乃果「おわぁっ....お姫様抱っこ?重くない?」

海未「軽いです」

穂乃果「にゃふふ♡」

海未「何だか上っ....機嫌ですね?」

穂乃果「ううん、いつもどーりだよ〜」

海未「ふふ、そうですかねぇ。....ベッドの音が下に響かなければいいのですが....」

穂乃果「あ、今日は誰もいないよっ」

海未「っ!」

穂乃果「えへへ」

海未「ぉ....す、好きですっ....チュ」

穂乃果「んむ....」



ベッドに横にして、私自身も横になったあと。

少し体を重ねるようにして、キスをします。

2人とも横になってするのは、初めてでしょうか。

だけどその時。

穂乃果がぐいぐいと。

もう、キスは穂乃果に負けてしまいましたね。


海未「ん....はぁ....ぁ、ぁ....」

穂乃果「んむ....ぁむ....」


私の弱点、前歯の裏歯茎を舐めてきます。

あれ、お昼休みよりも刺激が....。

どうしよう、まだ、ただのキスなのに。

始めたばかりなのに。

体がピクピクと。

穂乃果ごめんなさい。


海未「んぁぁ....はぁぁ....」

穂乃果「ん....海未ちゃん?」

海未「はぁっ....はぁっ....」

穂乃果「あ!もしかして軽くいっ―」

海未「はぁ、い、言わないで....くださいよぅ」

穂乃果「....ふふ、可愛い」


キスだけで....。

私は破廉恥な子になってしまったのでしょうか。

力が抜けて、穂乃果の肩に顔を埋めています。

キス、凄いです....。

でも。

少し休んだら....。


海未「私の....番ですよね?」

穂乃果「え、何を―ぁっ、」



下着をつけていなくて、プクリと胸の先がどこにあるのか分かります。

固くなっているそれを。

服の上から優しく噛みます。


穂乃果「ぇぁっ、か、噛むの....ダメ....ぁっ....反則ぅんっ....」


服を着たままということもあり、余計に興奮してしまいます。

相変わらず、穂乃果は口に手をやって声を我慢しようとします。

その手をどかしたくて。

強く....コリコリと。

意地悪でしょうか。

ゾクゾクゾクン、と、穂乃果の体が揺れました。


穂乃果「っは、っは、はぁ....はぁ....ずるい....よ」

海未「少し意地悪でしたか?」

穂乃果「意地悪だよぅ....こんなのすぐ....ふはぅ....こ、これでおあいこだねぇ」


ただの前戯で。

2人とも軽く絶頂してしまったなんて。

興奮が収まりません。

穂乃果を虐めたくなってしまう。

好きだから。


海未「穂乃果、いいですか?」

穂乃果「....うん、今日も....優しくしてね?」

海未「はい」


もうとっくに。

愛液で着ぐるみの1部が湿っています。

こんなに濡れるなら....。



海未「穂乃果」

穂乃果「なぁに?」

海未「今日は、何か挿入―」

穂乃果「え、待って!」

海未「ん....」

穂乃果「痛いのは....嫌だから。まだ、この前みたいに触ってもらうだけが....いいかな」

海未「....そうですか」


まだ、早かったですかね。

初めては痛いと聞きますし。

それに、私もまだ処女ですし。

また今度、一緒に....。


海未「なら、服の上から....」

穂乃果「んぅん....」


そうだ。

今日は少し触り方を変えてみましょう。

前よりもほんの少し強く、刺激を与えてみます。

すると、服の上からなのに、手がどんどん湿っていくのがわかります。


穂乃果「んっ....んっ....海未ちゃ....ちゅう....」

海未「....」

穂乃果「んっ....え?....海未ちゃん....ちゅうしようよぅ」

海未「....」

穂乃果「えっ、えっ?海未ぁっ....海未ちゃん?」


恥ずかしいのかキスを求めてきますが。

今日は応えません。

今日は虐めたいんです。

優しくするのも好きですが。

たまには、極端に虐めてみるのもいいかと。



穂乃果「ふぁっ....ぁっ....海未ちゃ....怖い....んっ」

海未「キス、したいですか?」

穂乃果「ぅん....ぁっ....したいよぅ」

海未「声を我慢するのでしません」

穂乃果「えっ、んっ....は、恥ずかしいもん....」

海未「じゃあ知りません。もうしません」

穂乃果「ぇっ!?....あん....んっ」


いつも優しく対応する私じゃないから、戸惑っていますね。

ごめんなさい、本当は私もキスをしたいですよ。

でも今だけは絶対にしません。

ちょっぴり怖い海未ちゃんになります。


穂乃果「ふぅっ....ぅっ....ぁっ....」

海未「そろそろですか?」

穂乃果「んっ....ぁんっ....」


枕元をギュッと掴んでいます。

また、足にも力が。

意地悪をしているせいか、ちょっと早い気もします。


穂乃果「海未ちゃっ....ぃくぅ」

海未「....」

穂乃果「ぃく....ぁっ....いく....」

海未「....」

穂乃果「ふぐぅっ....あっ、ああっんっ!!....〜っは、はぁっ、はっ」

海未「....可愛いですよ」

穂乃果「えへ....へ....はぁ....はぁ―え....ぁっ!?ぁっ、ダメッ!」



前は絶頂したばかりの時は、優しく扱いましたが。

意地悪はまだ終わりません。

このまま続けて....。


穂乃果「あっ、だっ、ダメッ....いっ....たばかり....んあっ」

海未「声、我慢しないんですか?」

穂乃果「うっ....海未ちゃ怖いよぅ....ダメッもうっ....またぃく!」

海未「何ですか?」

穂乃果「ダメぇぇ....ぃっちゃぅ....あっ、あっ....死んじゃぅっっ!」

海未「うふふ」

穂乃果「んああっ....かはぁっ.....!!....ぁ....ぁぁっ....っは........」



続けて愛撫したので、さっきよりも早く。

連続で絶頂してしまいました。

流石に、痙攣が凄いです。

呼吸もうまく出来ていなく、脚がガクガクしています。

そろそろ意地悪は止めにしましょうか。


海未「....うふふ、ごめんなさい、穂乃果。今日は少しやり過ぎてしまいましたね」

穂乃果「ぁ........ぃっ....ぁ........」

海未「....穂乃果?」

穂乃果「ぁ....う....みちゃん....はぁ....はぁ....」

海未「大丈夫ですか?」

穂乃果「海未....ちゃんの....はぁ....はぁ....意地....悪」

海未「うぅ....私が悪かったですよぅ。ほら、穂乃果の好きなぎゅうをしてあげます」

穂乃果「はぁ....はぁ....ぎゅって....して」

海未「ええ、今からしますよ」


虐めたいと思っていたのに、急に優しくしたいと思えてきて。

私はワガママですね。

まだピクピクと痙攣が収まらない穂乃果を、そっと抱き上げて。

一生懸命抱きしめます。


穂乃果「ふぅ、ふぅ....こんなの....初めて....だよぅ」

海未「本当にごめんなさい。怖かったですよね」

穂乃果「怖かった....まるで海未ちゃんじゃ....ないみたいで....で、でも....気持ち....よかったぁ....♡」

海未「そう....それならよかったです」


どうやら意地悪の事はあまり気にしていないみたいで。

抱きしめ抱きしめられ。

柔らかい穂乃果を感じながら。

あたたかい時間が流れます。



海未「あ、そういえばキスしたいって言ってましたよね?」

穂乃果「うん」

海未「無視してしまってたので、軽くしましょうか」

穂乃果「うん、しよっ」

海未「では―」

穂乃果「お返しだよっ....」

海未「んむぅっ!?」


「お返し」という言葉と共に穂乃果の顔が間近に....攻めに来て。

抵抗できないまま、止めてもらえない意地悪をされて。

キスの弱い私がどうなったかは....秘密です。

....こうして、2人きりの休日の始まり、1夜目を過ごしました。

おしまい。
最後まで読んでくれた方ありがとうございます。
※またまた続編は気が向いたら書きます。

正直マンネリ気味な気がする


ほのキチツバサさんェ…

最高

今回も本当に乙です

乙乙

マンネリだとしてもこの雰囲気好きやで

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