朋也「行き倒れを拾った」(43)

朋也(高校を卒業した俺は、親父と同じ屋根の下で暮らすのが苦痛で家を出て一人暮らしをしていた)

朋也(特に何がやりたいとか、目標があったわけじゃない)

朋也(ただ、親父から逃げただけだ、俺は)

朋也(それでも今のこの生活はそれなりに気に入っていた)

朋也(町外れの工場で働き、休日には春原や杏と遊ぶ)

朋也(そんな日がずっと続くと……)

朋也「思ってたんだけどなぁ……」

杏子「腹……減った……」ピクピク

朋也「このご時世に行き倒れ……?」

朋也「おいあんた、大丈夫か?」ツンツン

杏子「と、通りすがりのお方……出来れば、食べもんなんかを恵んでくれるとありがたいのですが……」ピクピク

朋也「いや、俺も今仕事帰りだから食いもん欲しいくらいなんだが」

杏子「ぐぅ……あたしとしたことが、空腹で動けなくなるとは……」ピクピク

朋也「おい、気ぃ失うな!」

杏子「も……ダメ………」パタン

朋也「あ、ちょっとあんた!……ダメだ、気ぃ失ってる」

朋也(それにしても……まだ幼い、よな……高校生…いや、中学生くらいか……?)

朋也(なんにしても、このまま放っておくわけにはいかねぇよな……仕方ねぇか)

朋也「よっ……と。……軽いな」

朋也の暮らすアパート―――

杏子「ムニャ……」

朋也「はぁ……何やってんだろうな、俺」

朋也「コンビニに寄って弁当を買おうと思ってたのに、実際に持ち帰ったのは行き倒れの中学生……」

朋也「これ、犯罪にゃ……なんねぇよな?」

朋也「………」ゾワワッ

朋也「と、とりあえず弁当でも買って来よう!じっとしてたらくだらねぇこと考えちまうしなっ!」

朋也「放っておいても……大丈夫、だよな?」

朋也「………ちっ、仕方ねぇ……保存食だから手はあんまり付けたくねぇんだが……」ガサゴソ

朋也「カップめんを枕元においときゃ、自分で湯沸かして食うくらいは出来るだろ」

朋也「俺もお人よしだな……」ガチャ バタン

杏子「…………ン」ムクッ

杏子「あれ、どこだここ……?」ポリポリ

杏子「……」グゥ~

杏子「カップめん……」

杏子「……電気ポット」

杏子「これは……食っていい……ってこと、だよな?」

杏子「……」グゥ~

トットットッ……

杏子「………ゴクリ」

ズルズル……

ガチャ

朋也「ただいま~……っと」バタン

杏子「っ!?」ブバッ

杏子「げほっ、げほっ……!」ドンドンッ

朋也「ん、目ぇ覚ましたのか?」

杏子「げっほ、げほ……っ」

朋也「ああ、驚かせて悪かったな。ゆっくり食え。腹、減ってるんだろ?」ガサッ ストン

杏子「げほっ……あんた、誰だ?」

朋也「行き倒れてたあんたを助けた善良な一般市民だ」

杏子「あ~……んじゃ、ここはあんたの家か?」ズルズル

朋也「アパートな」

杏子「あんたの帰る場所だってんなら家でいいだろ……」ズルズル

朋也「さて、俺も晩飯にするかな……」ガサガサ

杏子「!」

朋也「? どうかしたか?」パキッ

杏子「コンビニ弁当……」

朋也「ああ、そうだけど?」

杏子「あたしの分はあるのか?」

朋也「………まぁ、一応あるけど」

杏子「っ! くれっ!」パァァァ

朋也「カップめん食ったばっかで入るのか?」

杏子「腹が減ってるんだ、こんくらい余裕だ!」

朋也「んじゃ、ほれ」ガサッ

杏子「サンキュ!あんた、いい奴だな!」ニカッ

朋也「んで?お前、何もんだ?」

杏子「あん?」モグモグ

朋也「なんでこんな夜遅くに、あんな道端で行き倒れてたんだよ?」

杏子「いやまぁ、人間ってなみんな誰にも言えない秘密のひとつや二つあるってことで」モグモグ

朋也「話す気がないんならストレートにそう言えばいいだろ……」

杏子「そういうあんたこそ、なんであたしなんかを助けてくれたんだよ?」モグモグ

朋也「人が倒れてりゃ助けるだろうよ。なんかおかしいことあるか?」

杏子「お人よしだな、あんた」モグモグ

朋也「言われなくっても自覚してるよ」

杏子「んーっ!腹いっぱいだ!ごちそうさん!」パンッ

朋也「ホントに平らげやがった……身体がごついってわけでもないのに、どこに収納されてんだよ……」

杏子「あ~……腹いっぱいになったら眠くなってきたな……」トロン

朋也「あ、おいっ!お前、自分の家に帰んなくってもいいのか!?」

杏子「んあ~……?心配しなくっても、あたしはホームレスだから大丈夫大丈夫……」ヒラヒラ……パタン

朋也「………」

杏子「クカー……」

朋也「もしかして俺は、とんでもない奴を拾っちまったんじゃなかろうか……」

朋也「っつーかそこ、俺の布団だぞ!?おい、俺どこで寝りゃいいんだよっ!?」

杏子「クカー……」ポリポリ

朋也「ぐあっ……完全に熟睡してやがるっ……!」

朋也「あ~もう……しょうがねぇな……まぁ、今は夏だし、毛布一枚でも風邪は引かねぇよな」

朋也「……しらねぇからな?後でギャーギャー騒いだって」

杏子「ンン……ムニャムニャ……」

朋也「アホらし……寝てる奴相手に何話しかけてんだか……」

朋也「ふわぁぁ……まぁ、俺も明日は休みだし……ゆっくり寝かせてもらうかな……」

朋也「さすがにこいつの近くで寝るわけにはいかねぇな……仕方ねぇ、普段使ってない部屋で寝るか……」

杏子「どこの誰だかしんねぇけど、サンキュな……」ヒラヒラ

朋也「おい?起きてんのか?」

杏子「んー……ムニャ」

朋也「寝言かよ………」

朋也「ったく……ほれ、いくら夏だからって毛布も掛けずに寝てると風邪引くぞ」

杏子「……スー……」

朋也「お互いの名前も知りあわずに寝ちまいやがって……マイペースな奴だな」

コロン

朋也「? 宝石……か?」

杏子「……んー……」モゾモゾ

朋也「大切なモン……みたいだな」

朋也「ほれ、ここに置いとくからな」

杏子「zzz……」

朋也「なんか俺、こいつの保護者にでもなったみてぇだな……」

翌日―――

朋也「ん……ふわぁぁぁっ……」ムクッ

朋也「あー……体の節々がいてぇ……」コキッコキッ

朋也「さて、と……あの自称ホームレス娘は起きてるか?」ガチャ

杏子「くかー……」

朋也「…………。どんだけ寝るんだこいつは……」

朋也「どうするかな……いつまでもこのままにしとくわけにもいかねぇし……」

朋也「女のことなら、女に聞きゃいいか」ピ ポ パ

プルルルル プルルルル ガチャ

杏『もしもし~……?』

朋也「ずいぶん気だるそうな声だな」

杏『朋也ぁ……?何よ、日曜の朝早くから……』

朋也「あのな……確かに日曜だけど、朝早くはねぇだろ」

杏『まだ9時じゃないの……ふぁぁぁぁ……』

朋也「9時と言えば真っ当な人間はもう活動を始めてる時間だ」

杏『あんたにだけは言われたくないわよ……それで?何の用?』

朋也「ああ。今、暇か?」

杏『……あたしの話、聞いてた?』

朋也「話も何も、日曜の朝早くから~とかくらいしか言われてないが」

杏『あんたの電話で起こされたばかりよもう……』

朋也「っつーことは、暇なんだな?」

杏『二度寝するつもりだから暇ではないわね』

朋也「そんなつれねぇ事言うなよ。俺とお前の仲だろ?」

杏『あんたとあたしの仲と言われるほど親密な関係になった覚えはないわよ……』

朋也「じゃあ、今からなろう」

杏『え』

朋也「いいか、今から俺と杏は『俺とお前の仲』と言えるほどの親密な関係だ」

杏『いや、ちょっと』

朋也「だから、そんなつれねぇこと言うな。わかったか?」

杏『あ、あの……それは、どれくらいの親密な関係なの……?』

朋也「そんな話は後だ。今は、俺の頼みを聞いてくれ」

杏『………はぁ、わかったわよ。何?』

朋也「実は、今から俺の家に来てほしいんだ」

杏『え、えぇっ!?』

朋也「無理か?」

杏『い、いやあのその……』

杏(ど、どういうつもり……?いきなり親密な関係になろうって言ってみたり、今から朋也の家まで来てほしいとか……)

朋也「……杏?」

杏『っ!な、何かしら朋也?』

朋也「いきなり黙りこくってどうした?」

杏『い、いやなんでもないわっ!そ、それで?あんたの家に行けばいいの?』

朋也「ああ。一人暮らしのアパートの方な。ちょっと色々あってな……で、来れるか?」

杏『今から準備したとして、そっちに着くのは10時くらいになりそうねっ!』

朋也「オッケー、全然問題ない。が、なるべく早く来てくれ。事態は一刻を争うんだ」

杏『う、うん、わかったわっ!』ピッ

椋「あれ、お姉ちゃん?今朝は早いね」

杏「あ、椋、おはよ!うん、ちょっとね。朋也から呼び出しの電話があったの」

椋「岡崎くんから?」

杏「そ。今から朋也の家まで来てほしいって」

椋「何かあったのかな?」

杏「なんか、事態は一刻を争うって言ってたわ」

椋「面倒事っぽいね。それにしてはお姉ちゃん、なんだか嬉しそう……」

杏「そっ、そんなことはないわよ?あたしはいつも通りよ、ええ」

椋「……そう?」

杏「おっし、準備完了!それじゃ、行って来るね!」バタム

椋「……とうとう岡崎くんと付き合うことになるのかな?」

朋也「そろそろ杏の言ってた10時だな……」

杏子「クカー」

朋也「それにしてもよく寝る奴だな……こいつくらいの年だったら、この時間には学校だろうに」

朋也「いや、俺が言えたことじゃないか」

ピンポーン

朋也「ん、来たな」ガチャ

杏「やっほ、朋也!」

朋也「ああ、助かる」

杏「んで?何の用なの?」

朋也「とりあえず、上がってくれ。それで全てわかると思う」

杏「……?まぁ、上がらせt」

朋也「……な?」

杏子「クカー……」

杏「」

朋也「おい、杏?」

杏「……なに、この子?」

朋也「いや、知らん」

杏「何が知らないのかしら?」

朋也「何がと言われても……何もかも、としか」

杏「何もかも知らない子がどうしてあんたの部屋で、しかもあんたの布団を使って寝ているのかしら?」

朋也「話せば長くなるんだが……」

杏「心配しなくても、今日一日はあたしも暇だからたっぷりと話を聞いてあげるわ」

杏子「クカー……」

朋也(幸せそうに寝やがってっ……!)

朋也「話は昨日の夜に遡る……」

朋也「俺はいつものように仕事を終え、家路を辿っていたんだ。途中にコンビニにで飯でも買ってこうなんて考えながらな」

朋也「その道中に行き倒れに遭遇したんだ」

朋也「それが、こいつだ」

杏子「クカー……」

杏「……それで?」

朋也「まさかそのまま放置しておくわけにもいかないから、背負って家に連れ帰ったんだよ」

杏「こんな、まだ成人どころか高校にも上がって無さそうな子を家に連れ込んだ、と?」

朋也「いかがわしく聞こえるような言い方をするな!」

杏「それから?」

朋也「ああ……こいつを背負ったままコンビニに入るわけにもいかなかったから、ここにこいつを置いてから改めてコンビニに行ったんだ」

朋也「それから帰ってきたら、こいつは目を覚ましてた」

杏「その時に色々と話を聞けばよかったじゃないの」

朋也「いや、俺の買って来たコンビニ弁当を平らげたらまた寝ちまったんだよ」

杏「……そ、その後は?」ゴクリ

朋也「なんでちょっと続きが気になってきてるんだよ?」

杏「べ、別に気になんてなってないわよっ!?」

朋也「……まぁいいけど」

杏「ま、まさかあんた、こんないたいけな少女に手ぇ出したわけじゃ……」

朋也「んなことするわけねぇだろがっ!!」

杏子「……ん」ムクリ

杏・朋也「!」

杏子「……はれ?ここどこ……?」ボーッ

杏「ちょっと朋也?」

朋也「いや、寝ぼけてるだけだろ」

杏子「……あーそうだ、思い出した……あたし、昨日空腹で力尽きたんだっけ……」

朋也「ほれ見ろ!俺の言ったことに嘘はないだろ!?」

杏「随分必死ね、あんた……」

杏子「お、アンタは昨日の!」

朋也「ああ、おはよう」

杏子「飯を食わせてもらったどころか、宿まで借りちまってすまなかったな」

朋也「……一応最低限の礼儀はわきまえてるみたいだな」

杏子「あ、あれ?あたしのソウルジェムは!?」ババッ

朋也「ソウルジェム?なんかよくわかんねぇけど、お前が落とした宝石なら、ほれ、そこの棚の上に」

杏子「た、助かった……」

朋也「さて、改めてお前の素姓を聞こうか」

杏子「いや、だから誰だって話したくないことのひとつやふたつ……」

朋也「話したくないことは話さなくっていい。ただ、なんでここにいるのかの説明をしてくれなきゃ……」

杏「……」ゴゴゴゴ

朋也「俺の身が危ない」

杏子「なんだ?もしかしてそこの女、お前の彼女か?」

杏「!?」

朋也「いや、違うよ」

杏子「なんだ、つまんねぇ……」

朋也「とりあえず、自己紹介だけでもしてくれ。いつまでもお前じゃ、締まるものもしまらないだろ?俺の名前は岡崎朋也」

朋也「こっちは、俺の友達で、藤林杏だ」

杏子「朋也に杏、な。あたしの名前は佐倉杏子だ」

朋也「とりあえず、お前がここに来るまでの記憶を説明してくれ」

杏子「んーと……昨日は確か、いつも通り魔女……いや、あることをした後にねぐらに帰ろうとしてたんだったっけかな」

杏「今魔女って言った?」

杏子「聞き流してくれ」

朋也・杏「………」

杏子「その道中、空腹のあまり力尽きて倒れた。意識も朦朧としてる時に、朋也が通りかかってくれたんだ」

杏子「その後は気を失って、気が付いたらこの部屋だった」

杏子「……こんなもんか?」

朋也「……いや、色々と突っ込みたいことはあるが、概ね問題ない」

杏(ちょっと、朋也……この子……)

朋也(ああ……)

朋也・杏(ちょっと頭があれな子かもしれない……)

杏子「さてっ!世話んなったな!」スック

朋也「ん、帰るのか?」

杏子「ああ。一人で歩いて随分と遠くまで来ちまったけど……そいや、ここはなんて町だ?あたし、風見野に帰りたいんだけど」

杏「風見野?確かここからふた駅くらい離れたとこだったわね……」

杏子「げっ……結構遠くまで来てたんだなホントに」

朋也「歩いて帰るのか?」

杏子「………電車賃、くれ」

朋也「はぁ……ホントにホームレスなんだな、お前……」

杏子「最初からそうだって言ってるじゃねぇか!」

朋也「ああ、わかったわかったよ……ほれ。釣銭でなんか買って食え。金、一銭も持ってないんだろ?」

杏子「お前、いい奴だな……」

杏子「またなんかあったらよろしくなー!」ブンブン

朋也「なんもないように努力しろっ!!」

杏子「あんたならきっとまた助けてくれるだろーからな!」ニカッ タッタッタ

杏「……結局あの子、なんだったの?」

朋也「自称ホームレス……としか」

杏「……はぁ、期待して損した」

朋也「期待?何を期待してたんだよ?」

杏「あんた、自分の発言くらい覚えといたほうがいいわよ?」

朋也「……?」

杏「もういいわ、あたしももう帰る……あたし、ここまで来た意味ないじゃないの……」

朋也「あいつをどうすりゃいいか聞こうと思っただけだからな。ま、丸く収まってよかったじゃねぇか」

杏「あたしの無駄足は丸く収まったって言えるのかしら……はぁ」

見滝原―――

杏子「んー、勢い余って見滝原まで来ちまった」

杏子「マミたちは元気にやってるかな……っと」

杏子「! 魔女の気配……多分、マミもそこにいるだろうな」

杏子「うしっ!行ってみるか!」

結界内―――

マミ「ティロ・フィナーレ!」ドォォン!

魔女「」シュゥゥゥ……

マミ「ふぅ、さて、と……」

杏子「よっす、マミ!」

マミ「! 佐倉さん!?」

マミ「今までどこに行っていたのよ?ここ数日姿が見えなかったから心配していたのよ?」

杏子「いやー、ちょっと光坂町まで」

マミ「……ど、どうやって?確か、ここから三駅離れてる町よね?」

杏子「魔女の気配を追ってひたすら駆けて、気付いたらそこまで行ってたらしい」

マミ「はぁ……。集中力が高いと褒めるべきなのか、周りが見えなくなると叱ればいいのか分からないわね……」

マミ「それで?その間の寝泊まりはどうしていたの?」

杏子「親切な奴がいてな。そいつんとこに一晩お世話になった」

マミ「!?」

杏子「いや~、人の世も捨てたもんじゃねぇな……」シミジミ

マミ「い、一応聞くけれど、女の人よね?」

杏子「いや?男だったな」

マミ「何か変なことされなかった!?」

杏子「変な事って……特になんもされなかったと思うけど」

マミ「それならいいのだけれど……はぁ」

杏子「なんだ、あたしのこと心配してくれたのか?」

マミ「それはそうでしょう?いきなり姿が見えなくなるんだもの」

杏子「あたしは基本ホームレスだからな。ある日突然姿をくらましたって不思議じゃねぇと思うんだけど」

マミ「今度、その人のところにお礼を言いに行かなきゃいけないわね」

杏子「マミはあたしの保護者かよ……」

マミ「名前は聞いたのかしら?」

杏子「ああ。岡崎朋也って奴だ。あと、そいつの友達って言う藤林杏って奴にも会ったな」

マミ「岡崎さん、ね。とりあえず佐倉さんが無事でよかったわ」

杏子「またなんかあったらよろしくって言って来たからな。あいつ、一人暮らしみてぇだし、みんなで押しかけてやったら喜ぶんじゃねえ?」

マミ「迷惑になると思うのだけれど……」

杏子「そういうことは気にしない!さやか達にも声掛けて、今度遊びに行くか!」ニカッ

マミ「……そうね。お礼と言う形で行くのならいいかもしれないわね」

杏子「んな堅苦しいこと気にしなくていいって!」

マミ「あなたが言うことじゃないと思うのだけれど?」

杏子「あたしとあいつはもう心の友、ソウルフレンドだ!」

マミ「なぜそこまで言い切れるのかしら……」

杏子「飯を食わせてくれる奴に悪い奴はいねぇ!」キリッ

マミ(いけないわ……餌付けされてる……)

杏子「とりあえずマミ!携帯貸してくれ!」

マミ「え?」

杏子「さやか達に連絡入れるんだ!」

マミ「美樹さん達なら、この後わたしの家でお茶会をするつもりだからわたしの家に集合するわよ?」

杏子「お茶会だと!?あたしを除け者にするつもりだったのか!」

マミ「そんなこと言っても、仕方ないでしょう?あなたとは連絡を取る方法がないんだもの」

杏子「ホームレスのあたしに携帯を持てって言いたいのか?」

マミ「そう言うわけではないけれど、でも持っていて損するモノではないわよ?」

杏子「無理だ!」キッパリ

マミ「………」

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