【ガルパン】同窓会・Another story (159)


【ガルパン】西住みほ(27)「同窓会です!」
【ガルパン】西住みほ(27)「同窓会です!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1453798998/)
のアナザーストーリーとなっています。

あんこうチームの同窓会ではあまり語られなかった人のお話が中心です。

同窓会を読んでいないと分からない事が多いですので、ご一読お願いします。

※劇場版のネタバレ、キャラ崩壊、オリキャラ要素ありますのでご注意下さい。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1455476274


【暴虎と鬼神の3日間】

戦車道日本代表、隊長西住まほ。中学時代から戦車道界を賑わせていたエリートである。

生家は戦車道関係者ならば知らぬものはいない、超名門である西住流の本家である。

黒森峰女学院10連覇を逃してはいるものの、不慮の事故さえなければ黒森峰が優勝していたと言われるほどの試合を行い、
MVP及び国際強化選手に選ばれるなど西住流の名に恥じない戦いを見せている。


大学時代は4年間決勝に進み続け、優勝も2回経験。卒業後はプロとして活躍し、日本代表として世界大会での勝利に貢献した。

妹の西住みほとの連携プレーは凄まじいの一言に尽き、国内から『風神雷神』とまで呼ばれ、海外では『オルトロス』とさえ呼ばれている。

個人としては試合での苛烈な戦い方、普段の厳しい訓練などから『暴虎』の異名をもつトップエリートである。


そして、まほの母親たる西住しほ。西住流家元として日本戦車道の中枢を担う1人である。

中高大の全てを優勝のみで突き進み、その圧倒的なまでの強さで彼女は『鬼神』とまで呼ばれた。

個人の戦車道の腕前もさる事ながら、指導力にも長け、彼女が率いるチームは個々人が精強な戦士となった。


彼女の戦い方は正に西住流そのもの。圧倒的なまでの "剛"。半端な戦術戦略や強さでは踏み潰され、圧殺され、蹂躙される。
彼女の西住流に対抗できるのは唯一島田流のみとさえ言われるほどの強さ。

本人の性格も踏まえると『鬼神』という異名は何一つ間違っていないだろう。

正に西住流を体現している。

もっとも、そんな彼女が実は分家筋の西住出身だということは、あまり世間では知られていなかったりするが、それは置いておこう。


そんな西住流そのものといえるしほとまほ。
常に戦車道関連で忙しい彼女らに珍しく、西住流本家にて2人そろって休暇を過ごしている。

それは、『軍神』西住みほが大洗にて2泊3日の同窓会旅行へ出かけている時であった。


〜〜〜熊本県某所・西住流本家大広間〜〜〜

しほ「良いですか、りほ。貴女は西住ではなく蝶野という名を背負ってはいますが、その身体には西住の血が流れているのです」

まほ(みほが同窓会に行っている間、娘の『りほ』を預かることになった。折角だからと、お母様と休暇を取ったのだが……)

しほ「『撃てば必中 守りは固く 進む姿は乱れ無し 鉄の掟 鋼の心』それが西住流。
戦車道に置いてこれ程頼もしく強い言葉はありません。貴女の母はこれを体現こそしませんでしたが、あの子の戦車道の端々にこの精神がーーー」

まほ(ここぞとばかりに西住流戦車道を叩き込もうとしている。みほとしては無理に戦車道をやらせたくはないらしいが、初孫だからか、お母様はりほに戦車道をやってほしいらしい。もっとも……)


しほ「対重戦車戦において肝要なのは……。りほ、聞いていますか?さっきから貴女は何をしているのです?」

りほ「ばぁば、もしゃもしゃー」

まほ(りほには一向に聞いてもらえず、髪の毛を弄くり回されている。あぁ、お母様の気配がどんどん冷たくなっていく……)

しほ「りほ、私の髪の毛を弄って楽しいかしら?」

りほ「たのしーよ!よいしょっ」グニグニ

しほ「いほ、ほっへ弄ってたのひぃかひら?」

りほ「ばぁばのほっぺ、ぐにぐにー!」キャッキャッ

しほ「……」

まほ(まずい、お母様の限界が来てしまうっ!)


りほ「りほね、ばぁばのほっぺぐにぐにすうのすき!」

しほ「ほっぺぐにぐにだけ好きなのかしら?」

りほ「あのね、りほね、ばぁばの事ほっぺぐにぐによりしゅき!!」

まほ(あ、終わったわ。お母様終了のお知らせね)

しほ「もーーー!りほったら!そんなにばぁばのこと好きなの!?」

りほ「だいしゅき!」


しほ「きゃあーー!可愛いわ!!ばぁばもりほのこと大好きよっ!」

りほ「やったーーー!」

まほ(あぁ、お母様。とうとうりほ愛が爆発しましたね。あの凛々しくも厳しい西住流家元の面影は何処へ行ったのかしら)

しほ「りほ、ばぁばと一緒にお絵描きしましょうね」

りほ「うん!あ、ちょっとまってて」


トテトテトテ...

りほ「ねーねー」グイグイ

まほ「りほ、そんなに袖引っ張ったら伸びちゃう。どうしたの?」

りほ「まほおねーたまもいっしょに、お絵描きしぉ?」

まほ(……ッ!?そ、そんな可愛い顔で上目遣いされたら……)

まほ「勿論よ!お絵描きならこのまほお姉様に任せなさいっ!」

まほ(お母様でさえ陥落するのよ。私がりほの可愛いさに耐えられるわけがない!あぁ、りほ可愛いよりほ)


西住の鬼神、暴虎も孫(姪)の前では唯の小鬼や子猫に成り下がるのであった……。


〜〜〜その日の夜〜〜〜
トントン
まほ「お母様、まほです」

しほ「入りなさい」

まほ「失礼します」スーッ…スーッ…パタン

しほ「何の用事かしら」

まほ「そろそろ、りほの入浴の時間です」

しほ「あら?もうそんな時間なのね」

まほ「ええ。……誰が今日りほのお風呂に付き添うか、決めましょう」


しほ「愚問を。此処は西住流本家。その家元たる私が客人を持て成すのは当たり前のこと」

まほ「何をおっしゃる。りほは客人とはいえ、血の繋がった家族であり、年齢的にもまだまだ母親に甘えたい時期です。であるならば、母親と年齢の近い私がお風呂に入れるのが自然な流れでは?」

しほまほ「「……」」バチバチ


しほ「貴女も言うようになったわね。しかしながら、此処の長は私で、規則を決めるのも私。……此処の規則を変えたければ家元になることね。もっとも、私はそう簡単に家元の座を譲る気は無い」

まほ「……本来なら戦車で決着をつけたいところですが、時間がありません。ここはじゃんけんで決めましょう」

しほ「私が決めた以上、まほに覆すことは出来ないのだけれど。まぁ、いいでしょう。じゃんけんとはいえ私を越えようとするその心意気を買うわ。私に勝てるかしらね」

まほ「私が何時までもお母様の後塵を拝しているとは思わないで頂きたい」

しほまほ「「……」」ゴゴゴ...

りほ「あー!ここにいた!おふりょ入ろ!」


しほ「ごめんね、りほ。少し待っていてくれるかしら?この身の程知らずに力の差を叩き込んであげるところだから」

まほ「ちょっとの間だ。待っていてくれ。何時までも上でふんぞり返って居られると思っていると愚か者に鉄槌を下すところだ


しほ「……誰に向かって口をきいているのかしら?」
まほ「お母様ですが?」ゴゴゴ...

りほ「けんかめーーーっ!!」

しほまほ「「!?」」


りほ「あのねあのね!りほね、ばぁばもおねーたまもだいしゅきなの!だからね、だいしゅきだからね、け、けんかはめ゛だどぉぉぉ!」ビェーン・・

しほ「りほ!?ご、ごめんなさい、喧嘩はしてないのよ!?」

まほ「そ、そうだぞ!ちょっとお話ししてただけだからな!だから泣くかないで」

りほ「グスッ……けんかしてない?」

しほ「もちろんよ!」

まほ「お姉様とばぁばは大の仲良しさんだからな!ほら仲良しの握手!」ガシッ

りほ「な、ならいいの。け、けんかはめっだよ?」グスン

しほ「そうね」

まほ「もちろんだ」

りほ「じゃあ、おふりょ入ろ!」


まほ「それなんだが……」

しほ「りほ、ばぁばとお姉様どっちとお風呂入りたいかしら?」

まほ(そう来たか。確かにりほに決めてもらうのが一番か)

りほ「ばぁばとおねーたまは仲良しさんだよね?」

しほ「えぇ、そうよ」

りほ「りほもばぁばとおねーたまと仲良しさんだよね?」

しほまほ「「勿論!」」

りほ「ならいっしょに入ゆの!」

まほ「え?」


りほ「りほね、パパとママととーっても仲良しさんなの!だからね、3人で仲良くおふりょは入ってゆの!だからばぁばとおねーたまと3人で入ゆの!!」

しほ「……そうね、仲良く3人で入りましょうか」

まほ「そうだな、私たち3人は仲良しさんだからな」

りほ「うん!!!」


しほ「久し振りに裸の付き合いも良いかもしれないわね」

まほ「そうですね。家でお母様と一緒にお風呂だなんて、小学校の低学年以来じゃないですか?随分と久し振りです」

しほ「あら?そうかしら。私にとってはつい昨日の出来事みたいなのものよ」

まほ「20年以上前ですよ」

しほ「親にとって子どもの20年なんてあっという間よ」

まほ「そんなものですか」

しほ「そんなものよ。貴女も子どもを授かって私と同じ立場に立てば分かるわ」


りほ「おっふりょーおっふりょー♪あったかおっふりょーはきもちーなー♪」

しほまほ「「それにしても……」」



しほまほ「「りほたんマジ天使」」



今日も西住家は平和です。
【暴虎と鬼神の3日間】1日目終了


書き上がり次第随時書き込みから書溜め方式に変えました。前回ちょっと誤字多すぎたので。1コメから既に誤字るってどうなのよ……。

りほは2歳のわりに上手に話すかなと思わなくないですが、早くから喋る子だとこんなもんかなと書いてます。

もう時期3歳になると思えば違和感がないかと思われます。

2日目はエリカ登場予定です。予定は未定。

では、今回はここまで。


【暴虎と鬼神の3日間】2日目

まほ(今日はりほと何して遊ぼうか。何処かに出かけるのも良いかもしれないな)

ピロピロピロピロ

まほ「(ん、電話か。……エリカか)もしもし」

エリカ『あ、おはようございます。西住隊長』

まほ「あぁ、おはよう。どうしたんだ、朝から」

エリカ『いえ、そのー隊長は今日ご実家にいらっしゃるんですよね?』

まほ「あぁ、そうだが。チームで何か問題でも?」


エリカ『いえ、チームの方は問題ありません。……実は私、今日休みなので隊長のご実家にお伺いしたいと思いまして』

まほ「なんだ、急に。私は別に構わんが今は……さては、エリカ。そういうことか」

エリカ『い、いえ!別にりほちゃんに会いたいとかでは無くてですね!』

まほ「別に咎めたりはしない。ただ、お土産は忘れるなよ」

エリカ『はいっ!たまごボーロですよね!』

まほ「今はお母様もいるんだ。それを忘れるなよ」

エリカ『うっ……きちんとした菓子折りも持参します』


ピンポーン
菊代「どちら様ですか」

エリカ『まほさんのチームメイトの逸見と申します』

菊代「逸見さんですね、どうぞ」ガラガラ

エリカ「お邪魔します。こちら、お土産ですのでどうぞお食べください」

菊代「あら、ご丁寧にどうも。応接間でお待ち下さい。まほお嬢様をお呼びしますので」

エリカ「あ、宜しければ家元にご挨拶したいのですが」

菊代「畏まりました。ご案内しますのでこちらへどうぞ」

エリカ「お手数おかけします」


エリカ「家元、お久しぶりです」

しほ「お久しぶりね、逸見さん。最近の調子はどうかしら?」

エリカ「順調です。次の大会に向けて皆気合が入っていますよ。みほ副隊長も前線復帰しますし、士気はかなり高いです」

しほ「それは重畳。まほは上手くチーム運営できているかしら?」

エリカ「はい。いつも毅然としていて良い隊長です」

しほ「貴女には長年お世話になっているわね。いつもまほを支えてくれてありがとう」


エリカ「と、とんでもないです!昔からお世話になっているのは私の方で、隊長にはいつもご苦労をおかけして申し訳なく思っています」

しほ「そう自分を卑下するものではないわ。貴女の実力をまほは勿論の事、私も認めているのよ」

エリカ「きょ、恐縮です」

しほ「それにみほも貴女のことを褒めていたわよ。逸見さんがいるから安心して育児休暇をとれるとね。
それに、安定感のある作戦を立ててくれるから頼りになるとも言っていたわ」

エリカ「みほ副隊長がそんな事を……」

しほ「あの子なりに悩んでいたみたいよ。産休は仕方ないとして、副隊長の身分で育休もとって長期間隊を空けて良いのかと良くまほと話していたわ」


エリカ「そんなこと、チームメイトにも言っていませんでした」

しほ「あの子もやはり西住の子なのよ。変に頑固だったり、周りに弱みを見せないようにするところとかね」

エリカ「……高校の時分、まだまだ未熟だった私は彼女に辛くあたっていました。なのに彼女は許してくれるどころか、私を頼ってくれてすらいたなんて」

エリカ「なんだか、彼女の器が大きすぎて何時までも追付ける気がしません」

しほ「そんなことないわ。あの子は指揮官としては非常に優秀かもしれないけれど、集団を鍛え上げる指導者としては今ひとつ物足りない。その点貴女の指導者としての資質は優秀だもの」


エリカ「そ、そうでしょうか?」

しほ「私やまほと違って普段のみほはボンヤリしているでしょう?少数かつ噛み合う相手だと力を存分に伸ばしてあげられるタイプで、不特定多数の相手をするのには向いていないわ。
その点貴女は私たちと同じタイプで厳格な規律と高効率の訓練をもって集団を鍛え上げることの出来る将よ」

エリカ「ありがとうございます。……失礼ですが、家元はなんだかお変わりになりましたね」

しほ「貴女まで菊代と同じことを言うのね……。まぁ、かなり丸くなったことは自覚しているわ。フフッ、これも孫ができた影響かもしれないわね」



しほ「さて、あまり話し込んでまほを待たせるのも良くないわね。逸見さん、応接間でまほが待っているだろうから行ってあげなさい」

エリカ「はっ!畏まりました。それでは失礼いたします」


エリカ(結構話し込んじゃったわね。しかし、みほ副隊長がそんな風に思っていたなんて)

エリカ(家元はああ言って下さったけど、やっぱり敵う気がしないわ。……頼ってくれたことにお礼を言った方が良いのかしら)

エリカ(帰ってきたら飲みに連れて行こう。私の奢りで)


〜〜〜西住本家・応接間〜〜〜

まほ「随分と話していたな」

エリカ「お待たせして申し訳ありません」

まほ「いや、気にするな。しかしお母様も変わったな。前はこんなに客人と世間話をしなかったんだがな。りほが産まれた影響かな」

エリカ「ご自身でも仰っていましたよ、孫ができて丸くなったって」

まほ「自覚があったんだな。まぁ、りほの前では丸いどころかデレデレのドロドロだがな」

エリカ「想像できません」


りほ「えりかちゃんだ!」ダキッ

エリカ「りほちゃん!あー可愛い!!2つ結びだ!」

りほ「おねーたまにむすんでもらったお!」

まほ「りほも髪が長くなったからな。女の子だし、オシャレしないとな」

エリカ「隊長の口からオシャレって単語が出ると違和感が……」

まほ「88mm砲弾の装填訓練がやりたいらしいな」

エリカ「か、勘弁して下さい」


りほ「えりかちゃんもりほと同じにしよ!」

エリカ「え!?私も結ぶの!?」

まほ「ははは!良いじゃないか!私が結んでやろう」

エリカ「ちょ、この年でツインテールは……」

りほ「りほといっしょ、やなの?」ウルウル

エリカ「可愛いぃぃ!!もうりほちゃんの言うことなら聞くわ!」

まほ「では結んでやろう」


エリカ「……///」

りほ「えりかちゃん可愛い!」

まほ「ククッ……な、中々似合ってるじゃないか」

エリカ「ツインテールなんて小さい頃以来したことないですよぉ」

ピロリン…カシャッ!

エリカ「ちょ!?隊長!いま写真撮りましたよね!?」

まほ「喜べ、りほとのツーショットだ。しかも普段はしない2つ結びverだ。貴重な一枚だな」

エリカ「消してください!!」

まほ「却下だ。あー手がすべったー(棒)」

エリカ「え、手がすべったって……」


ブー

エリカ「こんな時に誰から連絡……てえぇーー!?」

新着
63回戦車道大会グループ
[まほ隊長]逸見エリカの貴重な一枚
まほ隊長が画像を送信しました

エリカ「何してるんですか!なんでグループに送信したんです!?」

まほ「今のチームに送信しなかっただけありがたいと思え」

エリカ「もしかしてさっきのオシャレの事、まだ根に持ってます?」

まほ「最近の私にとって、一番の禁句だ」

エリカ「えぇ……。何かあったんですか?」

まほ「エリカとはいえコレばかりは秘密だ」


りほ「えりかちゃん!お絵描き!」

エリカ「よし、エリカちゃん頑張ってお絵描きするぞ!(隊長の話も気になるけど、りほちゃんの方が優先ね!)」

まほ(さすがりほ、タイミングがいいな)

りほ「ぞーさん、ぞーさん♪おーはにゃがにゃがいのね♪」カキカキ

エリカ「りほちゃんはお歌が上手だね」

りほ「うん!ママがね、いっつもうたってくれゆの!でね、りほもね、いっしょにうたうと『上手だね』ってほめてくれゆ!」

エリカ「ママの気持ちわかるな、りほちゃんお歌とっても上手だもん!」

りほ「えへへ〜」

エリまほ((天使))


りほ「にゃにゃにゃん♪にゃんにゃん♪ネコちゃんネコちゃんかわいいな♪」カキカキ

エリカ「いっぱいお絵描きしたね」

りほ「たのしかった!」

まほ「相変わらずエリカの描く絵はゆるキャラっぽいな。この豚なんて最高にブサ可愛い」

エリカ「褒めてるんですか、それ?隊長の描く絵はどれもリアルすぎて怖いです」

まほ「そうか?りほには評判良いんだがな」

エリカ「りほちゃんは何というかその、お母さんの影響か、センスが人と違う気がします」


まほ「そ、そんな事はないと思う」

エリカ「……りほちゃん、これは何を描いたの?」

りほ「これはねーボコ!!やってやゆ、やってやゆ、やーってやゆぞ♪」

エリカ「……ボコって子どもの教育に悪影響及ぼさないんですかね」

まほ「小さい頃からボコ好きなみほがあんなに立派なんだ!問題ない」

エリカ「……そろそろおやつにしましょう」

まほ「そうだな、もうそんな時間だものな。りほ、おやつ食べよう」

りほ「おやつ!」キラキラ


りほ「今日のおやつなに?」

エリカ「今日はエリカちゃんが持ってきた、この『エリカちゃん特製たまごボーロ』よ!」バァーーン!

りほ「やっっったぁぁぁぁ!!!」

まほ「すごいテンションの上がりようだな」

りほ「えりかちゃんありがと!だいしゅき!!」ダキッ

エリカ「私もりほちゃん大好きよ!(あぁ、鼻から愛が溢れそうだわ)」


今日も西住家は平和です。
【暴虎と鬼神の3日間】2日目終了。


エリカのツン度が足りない。予定にはなかったけど、一通りアナザーストーリー終わったらツン度補給のためにも、まだ素直になりきれないエリカの話を書きます。

今日はここまで。


【暴虎と鬼神の3日間】3日目

しほ「今日で3日目。いよいよりほは家に帰ってしまうのね……」

まほ「寂しいですが、仕方ありません。りほも両親が居ないのを寂しく思っているようですし」

しほ「敬也(キョウヤ)さんも出張から戻ってくるんだったかしら」

まほ「そのままみほを拾って家にくるそうですよ」

しほ「夕方の予定よね?」

まほ「そうですね、16時頃に着くそうです」

しほ「折角だから、動物園に連れて行ってあげましょう」

まほ「それはいいですね!」


〜〜〜熊本県某動物園〜〜〜

りほ「どうぶっつえーん♪どうぶっつえーん♪」

まほ「りほはご機嫌ですね」

しほ「よく動物の絵を描いているわね。それよりも早く戦車に乗れるようにならないかしら」

まほ「戦車にはチャイルドシートつけられませんものね」

しほ「あと4年ね。過ぎてしまえば短いけれど、過ぎるまでは長く感じるわ」

りほ「ばぁば、おねーたま!はやくいこっ!」

まほ「こらこら、ばぁばとお姉様のお手手
を話したらダメだぞ」

りほ「でもね、でもね!りほね、はやくおサルさんとね、トラさんと見たいの!あとねあとね、クマさん!」

しほ「動物さんたちは逃げないから怪我しないようにゆっくり行きましょう。ふふっ、それにしてもりほは小さい頃のみほにそっくりね」

まほ「小さい頃はヤンチャな子でしたからね、みほは」


まほ「……懐かしいですね。今では子どもだけで戦車に乗れないのがちょっと可哀想ですね」

しほ「時代の流れね。りほが大きくなって望むなら、家の敷地内でⅡ号に乗せるのもいいかもしれないわ」

まほ「りほにも西住の血が流れていますからね。なんだかんだと戦車に惹かれるんじゃないですか?」

しほ「そうだといいわね。……りほには私たちの戦車道よりもみほの戦車道が合うかもしれないわね」

まほ「こればかりは大きくなってみないと分かりませんよ」

しほ「そうね」


りほ「わーー!おサルさんだ!あはは!ヘンなかお!あ、みてみて!おしりまっかだ!かわいい!」

まほ「確かにマンドリルは変な顔してるな」

りほ「まんろりり?」

まほ「マ・ン・ド・リ・ル」

りほ「まんりりる!」

まほ「ふふふ、ちょっと違うけど、まぁいいか。この子はお喋りが好きですけど、ちょっと舌ったらずですよね」

しほ「そこが可愛いんじゃない。興奮するとうまく喋れなくなるところとか」

まほ「我儘も言いますが、きちんと話せば言うこと聞いてくれますし、自頭が良いんでしょうね」


しほ「それにきっとみほと敬也さんの躾が良いんでしょうね。あのみほが立派に母親をやっているなんて、感慨深いわ」

まほ「しかし、みほも良い旦那様を捕まえましたよね」

しほ「あら?常夫さんには負けるわよ」

まほ「お母様って時々惚気ますよね」

しほ「わ、悪いかしら?」

まほ「いえ、羨ましいと思います。ふふっ」

しほ「貴女、最近言うようになったわよね」

まほ「自分の言いたいことはなるべく言うようにしようかと思いまして」

しほ「そう。(ふむ、なんだか身に覚えのある決意の仕方ね。もしかしたら、もしかするかもしれないわね。後で突っ込んで聞いてみようかしら)」


りほ「トラさんだー!かわいい!」

まほ「トラさんは可愛いのか。カッコ良いって感じじゃないか?」

りほ「えーかわいいよぉ。あ、ほら!アクビしてる!」


りほ「あっちにはクマさんだ!ボコはいないかなぁ?」

りほ「ゾウさん!!おっきいなぁ。お鼻もながくてカッコいい!」

りほ「キリンさーんこっちみて!」

りほ「ウサギさんはね、強いんだって、ママがいってたの!ちっちゃいのに強いってすごいなぁ」

りほ「カメさんだ!カメさんはのんびり屋さんだね〜」


しほ「お昼も食べて、だいたい見て回ったわね」

りほ「楽しかった!」

まほ「あんなにはしゃいでいたのにまだ元気だなんて、子どものスタミナはすごいですね」

しほ「そのうち急に活動が鈍るわ。みほも散々はしゃいだ挙句、いきなり船を漕ぎ出してたもの」

まほ「りほも昼間とことん遊ぶと、夕飯食べながら寝ることがありましたね」

しほ「喉にフォークとかスプーンが刺さると危ないから起こさないといけないんだけれどね」


しほ「りほ、帰るわよ」

りほ「えーやだー!」

しほ「我儘言わない。ママが帰ってくるのよ。おかえりなさいを言うんじゃなかったの?」

りほ「言う!」

しほ「なら帰りましょう。また今度連れてきてあげるから」

りほ「うー……やくそくだよ?」

しほ「勿論よ」

りほ「ばぁばとおねーたまと一緒だよ?」

まほ「あぁ、必ず守るよ」

りほ「……わかった。がまんする」

しほ「偉いわ、りほ。このまま帰るのもなんだし、最後にお土産買って帰りましょうか」

りほ「うん!!」


ごめんなさい、ひとつ訂正するのを忘れていました。

2日目において、エリカとりほの2ショットが送られたグループの名前ですが、

『63回戦車道大会グループ』

ではなく、

『対大学選抜戦グループ』

です。もし、当時の黒森峰メンバーに送ったのかな?と思った方いたら申し訳ない。


3日目、続き投下していきます。


〜〜〜熊本駅〜〜〜

みほ(久しぶりにみんなと会えて楽しかったな。戦車道チームの今を聞けたし、大満足!)

みほ(パパが迎えに来てくれてるって言ってたけど、どこだろ?)

?「おーい!みほ!こっちだぞー!」

みほ「あ、いた!」タタタッ

りほパパ「よぉ、同窓会は楽しかったか?」

みほ「とっても楽しかったよ!みんな変わってなかったなぁ」

りほパパ「そうか、それは何より。こっちはクタクタだよ」


みほ「ごめんね、パパはお仕事だったのに私だけ遊んじゃって……」

りほパパ「すまん、なんか嫌味ったらしかったな。気にするな、普段は家のこと任せてるからな。偶にくらい家のこと忘れてパーっと遊んだってバチなんか当たるわけないよ」

みほ「そんな事ないよ。お仕事で疲れてるのにりほの面倒見てくれたり、家事手伝ってくれたりしてる。ありがとう」

りほパパ「あーやめやめ!お礼は受け取るけどさ、そう面と向かって言われると照れるだろ。……それに、俺は俺のやりたいようにやってるだけだから!」

みほ「本音は?」


りほパパ「っぐ……。俺が家にいるときくらい、みほだけに家事育児の負担を背負わせたくないからだよ、悪いか!」

みほ「全然!やっぱりパパは素敵な人だね。……敬也さんと結婚できて良かったよ」

りほパパ「……不意に名前で呼ぶのやめーや。……俺もみほと結婚できて良かった」

みほ「私たちの相思相愛だね」

りほパパ「勿論。……って、なんで往来でイチャイチャしなきゃなんねーんだよ!ほら、りほのところに行くぞ!」

みほ「はい!……ところで、往来じゃなかったら良いの?」

りほパパ「……家の中ならな」


〜〜〜西住流本家〜〜〜

ピンポーン

みほ「ただいまー!」

菊代「お帰りなさいませ、みほお嬢様」

りほ「ママーーー!!!」ダキッ

みほ「りほ、ただいま。ちゃんと良い子にしてた?」

りほ「うん!」

りほパパ「流石、パパとママの子だ!」

りほ「パパぁ!!高い高いして!!」

りほパパ「よしきた!ほぉーら高い高いだ!」

りほ「きゃあー!高い!!」

りほパパ「ははは!りほは高いところが好きだな!」


りほ「しゅき!!かたぐるましてー!」

りほパパ「ほい!」

りほ「あはは!!あのねあのね、りほね、ばぁばとおねーたまとおふりょはいってね、えりかちゃんとおえかきしてね!ボコかいたの!」

みほ「エリカさん、りほとお揃いの髪してたね」

りほ「すごいママ!なんでしってゆの!?」

みほ「まほお姉ちゃんが写真送ってくれたんだよ。りほ、2つ結び似合ってたね!今度から2つ結びにする?」

りほ「うん!!!」

りほ「あ!それでね、きょうはね、どうぶちゅえんに行ってね!おサルさんがーーー」


みほ「お母さん、お姉ちゃん3日間りほの面倒見てくれてありがとう」

しほ「りほの面倒ならいつでもしてあげるわ」

まほ「私も良い休暇になったよ」

みほ「動物園にも連れてってくれたみたいで、ありがとう。余程楽しかったのか、さっきまでずーっとお喋りしてたけど疲れたのか寝ちゃった」

まほ「動物園ではしゃぎまくってたからな。それに今日はお昼寝してなかったし」

みほ「我儘言わなかった?」

しほ「動物園から帰るときにす少しぐずったけれど、ママにおかえり言わなくていいのか聞いたらおかえり言うから帰るってすぐに納得してくれたわ」

まほ「まぁ、また一緒に動物園行く約束させられましたけどね」

しほ「また動物園に行くのが楽しみだわ」

まほ「私もです」

みほ「2人の言う事ちゃんと聞いてくれたみたいで良かった」

まほ「もう少しくらい我儘言ってくれた方が甘やかしがいがあるんだけどな」

みほ「もう!あんまり甘やかしてばっかりだと我儘しか言わなくなるからダメ!」

まほ「手厳しいな」

みほ「お姉ちゃんたちが甘すぎるんだよ。あ、私りほとパパの様子見てくるね」

しほ「今日はうちに泊まっていきなさい。敬也さんは明日非番なんでしょう?」

みほ「分かった、甘えさせてもらうね」

まほ「みほもすっかり母親って感じになったなぁ」

しほ「羨ましいのかしら?」

まほ「まぁ、子どもは欲しいですね」

しほ「そう。……で、お相手は誰?」

まほ「……はい?」

しほ「惚けようたって無駄よ。そうね、大方自分の好きな事にはとんでも無い熱意を持っているけど、人の機微には鈍感な男でしょう」

まほ「な、ななななんのことですか!?」


しほ「声が上ずっているわよ。一つアドバイスをするならば、これね。
『撃てば必中 守りは固く 進む姿は乱れ無し 鉄の掟 鋼の心』」

まほ「……どういう事ですか」

しほ「簡単な事よ。生半可な言葉や態度で気付かせようたって無理なのよ。なら、西住流のように圧倒的な力でもって攻撃するのみよ」

まほ「というと?」

しほ「具体的に言えば押し倒せ」


まほ「……は?」

しほ「ああいう趣味に没頭してる且つ人の気持ちに気付かないような男はね、『好きです』とか『付き合ってください』とか言っても本気にしないで適当にあしらうのよ」

しほ「こっちがどれだけ勇気を振り絞ってるのかも知らずにね。そういう奴には押し倒して、ありったけの想いをブチまけなさい。そこまでしないとこっちの本気度に気付かないから」

まほ「もしかしてそれは……」

しほ「えぇ、私の実体験よ」

まほ「その、押し倒した結果が私……とか言わないですよね?」


しほ「押し倒した結果、どうなったのか知りたければまほが実行してみる事ね。本気で押し倒してでも手に入れたいなら、ね」

まほ「……」

しほ「お見合いの話も蹴り続けてるということは、それ程本気なのでしょう」

まほ「……」コクン

しほ「なら、西住流らしく勝利をもぎ取ってみなさい」

まほ「……分かりました。まさかお母様に発破をかけられるとは思いませんでしたが、やってみせます!」

しほ「それでこそ、西住流の正当後継者よ」


みほ「りほ起きたよ……ってお姉ちゃん、ずいぶん真剣な顔してるけど、何かあったの?」

しほ「悪い事では無いから、不安そうな顔をしない。ちょっとした決意をしただけよ」

みほ「? もし相談に乗れそうな事だったら聞くからね」

まほ「あぁ、その時は頼む」

しほ「そんな怖い顔をしていたらりほに泣かれるわよ。今日は、りほがうちにいる最後なんだから、一旦その事は忘れて楽しみなさい」

まほ「分かりました」

りほ「ばぁば、おねーたま!いっしよにおえかきしよ!ママとパパも!」

しほ「分かったわ」

まほ「なんだか虎の絵が描きたい気分だ」

りほ「そうだママ!おみやげかったんだよ!」

みほ「ホントに!?何買ってきたのかなぁ?」

りほ「えへへー!みせてあげゆまでないしょー!」ニコッ

しほまほ((りほちゃんマジ天使))



今日も西住家は平和です。

【暴虎と鬼神の3日間】終わり


これにて【暴虎と鬼神の3日間】こと西住&エリカ編終了です。

次回からは前スレであまり触れられていない、プラウダ、継続以外の面々にスポットを当てようと思います。

ダイジェスト的にザックリいくか、ガッチリやるかは未定です。

皆の反応と自分のテンションで決めます。


さて、今回はここまで。


【LADIES und PANZER No.1】

《アフタヌーンティーに費やす時間よりも楽しい時間は人生の中でそうあるものではない》

ダー様「『そんな貴方にこの言葉を贈りましょう。"あちこち旅してまわっても、自分から逃れられることはできない"』

『いくら顔を変え、性別すら偽って逃げ回っていても結局は本来の自分からは逃れられない』

『それでは、御機嫌よう。美しくも歪な咎人よ』」


ダー様「ふぅ……。なんとかアフタヌーンティーの時間には間に合ったわね」

ダー様「そろそろペコが打ち合わせに来る時間かしら?紅茶の準備をしなくてはね」



ピンポーン
ペコ『ダージリン様、打ち合わせに来ました』

ガチャ
ダー様「いらっしゃい。丁度良いタイミングね、今さっき新作が書き上がったところよ」

ペコ「お邪魔します。ダージリン様は締め切りに余裕をもって書き上げてくれるから助かります」

ダー様「"明日に延ばしてもいいのは、やり残して死んでもかまわないことだけだ"」


ペコ「パブロ・ピカソですね」

ダー様「早く仕上げることが出来るならダラダラとやる必要はないわ。それが仕事なら尚更よ」

ペコ「いつも締め切りギリギリで慌てる作家さんに見習わせたいです」

ダー様「新作の方はデータを後で渡すから、それより今度の連載の打ち合わせを済ませてしまいましょう」

ペコ「そうですね、打ち合わせの方を優先でやりましょう」

ダー様「今紅茶の準備をして来るから椅子にかけて待っていなさい」

ペコ「ありがとうございます」


ペコ「さて、こんなところで打ち合わせは終了ですね」

ダー様「案外早く決まったわね」

ペコ「まぁ、だいぶ前から相談はしていましたし、今回の打ち合わせは最終確認みたいなものですから」

ピロリン

ダー様「あら?ごめんなさい、マナーモードにし忘れていたみたいね」

ペコ「気にしないでください。どなたからか連絡ですか?必要なら席を外しますが」

ダー様「……ふふふ、席は外さなくていいわ。それよりも貴女も携帯を確認してみるといいわよ。面白いものが見れるわ」


ペコ「はぁ?……これはまた珍しい人から連絡が」

新着
対大学選抜戦グループ
[西住まほさん]逸見エリカの貴重な一枚
西住まほさんが画像を送信しました

ダー様「中を見るともっと珍しいわよ」

ペコ「?……ぶふっ!」

ダー様「……オレンジペコ、もう少し淑女らしくなさい」

ペコ「ぷふっ……いや、でも、これは……くくく」

ダー様「本当に珍しい一枚ね」

ペコ「あの逸見さんが、27歳になってず、随分と可愛らしく……あはははは!」


ダー様「確かに愉快だけれど、そんなに笑うことかしら?」

ペコ「私の中での逸見さんっていつもキリッとしてて毅然な態度をしている方なんですもん。それがツインテールでこんなにデレッとしてる顔がおかしくて」

ダー様「そういえばこの隣の可愛らしい女の子は誰なんでしょう」

ペコ「アンチョビさんが聞いてるみたいですね」

対大学選抜戦グループ
[逸見さん]隊長、本当に勘弁してください
[アンチョビさん]逸見の爆笑必至な姿はいいとして、隣の女の子は誰なんだ?
[カチューシャさん]ミホーシャの娘よ。また一段とかわいくなったわね!今度新作贈ってあげるわ!


ダー様「どうやらみほさんの娘みたいね」

ペコ「えぇ!?もうこんなに大きくなったんですか?」

ダー様「何言ってるの、私たちから出産祝いをしてそろそろ3年経つのよ。"Time flies"、"光陰矢の如し"ね」

ペコ「本当に時が流れるのは早いですね。皆さんにしばらくお会いしてないですね」

ダー様「私が卒業して、もう10年よ。皆それぞれの道を進んでいるもの。戦車道を続けている者、家庭を築いている者、仕事に専念している者。中にはこの10年がとても長く感じた人もいるでしょうね」

ペコ「そうですね」


ダー様「"時というものは、それぞれの人間によって、それぞれの速さで走るものなのだ"」

ペコ「シェークスピアですね」

ダー様「私は大学卒業してからの3年が長かったわ」

ペコ「……デビューして波に乗る前までですね」

ダー様「そのままプロチームに行っても良かったのだけれどね」

ペコ「私も初めてダージリン様が小説家になると聞いた時は耳を疑いました」

ダー様「両親に話した時も反対されたわ。
でもね、"凧が一番高く上がるのは、風に向かっている時である。風に流されている時ではない"というでしょう?」

ペコ「チャーチルの言葉ですね」


ダー様「大学の時にすでに作家への道を志していたから、プロチームにも行く気はなかったわ」

ペコ「結局プロチームに行ったのってアンチョビさんだけでしたね」

ダー様「そうね。彼女は選手としても指揮官としても有能だと評判ね」

ペコ「はぁ、もう10年ですかぁ」

ダー様「そんな深々とため息をついて、どうしたの?」

ペコ「いえ、私たちも随分と大人になったなぁと思いまして」


ダー様「そうね。私は小説家、あなたは編集。アッサムが銀行員でローズヒップがOL。他のグロリアーナの皆もそれぞれの道を歩んでいるわ」

ペコ「そうですね。なんだか、寂しいです。昔はいつも一緒にいた人達が遠く離れてしまったのは」

ダー様「人間関係は常に変わっていくものよ。でも変わらないものもある。私と貴女のような変わらない友人関係だってあるのよ」

ペコ「……そうですね!それに"友とぶどう酒は古いほど良し"といいますものね!」

ダー様「貴女も言うようになったわね」


ダー様「お疲れ様。これが新作のデータよ。いつも通り手直しお願いできるかしら?」

ペコ「分かりました。それでは田尻先生、打ち合わせした作品の練り込みよろしくお願いいたします」

ダー様「貴女にペンネームで言われると何だか座りが悪いわね……。今度来る時までにある程度構想を終わらせておくわ」

ペコ「『田尻凛』ってペンネーム私は好きなんですけどね」

ダー様「私も別に嫌いではないわ。ただ、オレンジペコにはダージリンと呼んでほしいのよ」

ペコ「畏まりました、ダージリン様。では、また来週伺います」

ダー様「ええ。また今度」

ペコ「それでは、失礼します」ペコッ


ダー様(逸見さんの写真やペコと話していたら皆に会いたくなったわね)

ダー様(今度はアッサムとローズヒップも誘って4人でお茶会でもしようかしら?)

ダー様("アフタヌーンティーに費やす時間よりも楽しい時間は人生の中でそうあるものではない"
とは言うけれど、古い友人との時間はアフタヌーンティーの時間を超える一時ね)


【LADIES und PANZER No.1】終わり


少し時間はかかりましたが、聖グロ編終了です。本当は薔薇尻さんとかもっと出したかったけど、余裕がなかった……

さて、次はサンダースかアンツィオです

今回はここまで

しばらく時間が空いたけど続きやってきます。

その前に一つ謝罪を。

ルクリリさんゴメン!!素で名前出てないの気付かなかったよorz

お詫びに番外編を【LADIES und PANZER 】編の最後に書きます。


では、【LADIES und PANZER No.2】始めます


【LADIES und PANZER No.2】

《大胆不敵であれ!》

ゴクッゴクッゴクッ!!

アリサ「かーーっ!仕事終わりの一杯は最高ね!」

ヘルメット娘「アリサさん、おっさん臭いですよー」

アリサ「うるさいわね!私とアンタしかいないんだからいいじゃない」

メッ娘「普段から気をつけてないとふとした瞬間出ちゃいますよ。タカシさんの前でもそれやって落ち込んでたじゃないですか」

アリサ「うっ……。でも、タカシはそいう所も好きって言ってくれたもん」

メッ娘「はいはい。惚気をどうもありがとうございます」


アリサ「にしてもさー折角の休日だってのに出勤とはねー」

メッ娘「まぁ、でも仕方ないですよ。私たちの仕事に休日も何もないですからね」

アリサ「でもさ、ただでさえ介護士って肉体労働に夜勤もあるのに給料安くない?」

メッ娘「私に言われても……。アリサさんの気持ちは痛いほどわかりますけどね」

アリサ「最近タカシも忙しくて中々会えてないのにぃ」

メッ娘「連絡は取ってるんですよね?」

アリサ「もちろん。でもやっぱりちゃんと会いたいじゃない」

メッ娘「確かに」

アリサ「アンタはいいわよねーサラッと相手見つけてパパッと結婚してさ」

メッ娘「うちの旦那さんを手軽な男みたいに言わないでください」

アリサ「ごめんごめん、そういうつもりで言ったんじゃないわよ」

メッ娘「分かってますよー」

メッ娘「そういえば付き合って何年目になるんでしたっけ?」

アリサ「そろそろ6年目」

メッ娘「長いですね」

アリサ「私の片思いから数えれば足掛け11年よ」

メッ娘「ひゃ〜アリサさん一途ですね」


アリサ「一途……なのかしらね。途中で他の人と付き合ってたこともあるし」

メッ娘「でも結局タカシさんのこと好きになっちゃうんですよね?」

アリサ「まぁ、ね。大学の頃に付き合った人も悪い人じゃなくて、むしろ良い人だったんだけど。そういえばアンタにこの話ってしたっけ?」

メッ娘「あんまり詳しく聞いたことないですね。なんで別れちゃったんですか?メール見たり盗聴したりして振られたんですか?」

アリサ「人聞きの悪いこと言わないで!もう、何時まで引っ張る気よ、そのネタ!隊長にしこたま説教食らって反省してるんだから!」

メッ娘「ケイ隊長怒ると怖いし、お説教は長いですもんね」

アリサ「高校生にもなって呼び出されて膝詰めで2時間説教食らうなんて思わなかったわ」

メッ娘「自業自得って奴ですね」

アリサ「うるさい、分かってるわよ」


メッ娘「で、実際のところ何で別れたんですか?」

アリサ「特にこれと言ったキッカケがあったわけじゃないのよね。タカシが付き合い始めてさ、私も諦めなきゃなって思ってたときに告白されて付き合い始めたんだけど」

メッ娘「ふむふむ」

アリサ「すごい良い人ではあったのよ。私のこの性格も知ってて告白してきてくれたし、初めはうまくいってたんだけど」

アリサ「なんというか、だんだん噛み合わなくなってきてね。基本的に私の事受け入れてくれる人だったんだけど、私って一杯一杯になると爆発しちゃってたじゃない」

メッ娘「いまはさておき昔は良くありましたね」

アリサ「私も成長してるのよ。まぁタカシのおかげなんだけどさ」

メッ娘「はいはい惚気惚気」


アリサ「うっさい。で、そういう時も黙って受け入れてくれてさ」

メッ娘「良い人じゃないですか」

アリサ「それが何だか嫌だったのよ、私。今思えばちゃんと叱って欲しかったのかもね、駄目なところは駄目って」

メッ娘「わがままで面倒くさい女ですね〜」

アリサ「自分でもそう思うわ。で、黙って受け入れるのもストレス溜まるじゃない。その人は私と違って爆発しないでスッと身を引くタイプでさ」

アリサ「私も何だかモヤモヤしてて。きっと、本当にこの人は私の事思ってくれてるのかなぁ、なんて気持ちだったのよ。大人になってから気付いたけど」

メッ娘「時が経ってから当時の気持ちが分かるってこと偶にありますもんね。……それで別れちゃったんですか」

アリサ「うん。どっちからって訳じゃなくお互いに、ね。それなりに当時はショックだったわ」


メッ娘「それでまた何でタカシさんと?」

アリサ「……あんまり褒められたことじゃないんだけどさ。同じ時期にタカシも別れたらしくてね」

メッ娘「あーもしかして"傷の舐め合い"って奴ですか」

アリサ「そう。正直なところ、そんなキッカケだからすぐに破綻すると思ってたわ。高校の頃に一回付き合って別れてるし」

メッ娘「それが6年も長い付き合いになったんですね」

アリサ「私もビックリよ。今はちゃんとタカシのこと愛してるわ。……たぶん向こうも……そうだといいなぁ」

メッ娘「なんで自信なさげなんですか」

アリサ「だって、だってさ。……あ゛ーーーもう!」ゴクッゴクッゴクッ!!

メッ娘「ちょ、アリサさん!?」


アリサ「聞いてよメッ娘ぉ!」ガクガク

メッ娘「メッ娘はやめて下さい!てか、揺さぶらないで!」

アリサ「6年よ、6年!!そろそろ結婚の話も出ていい頃じゃない!?」

メッ娘「いやまぁ、そうっちゃそうですけど」

アリサ「アンタもそうだけど、同年代の子達も結婚してる人ちらほらいるしさ!」

メッ娘「でも相手いるだけいいじゃないですか。パツ美(フラッグ車砲手)なんか未だに独り身で嘆いてますよ」

アリサ「相手がいる分余計に不安なのよ!それに、大洗のとこの西住さん!もう子どもいるのよ!?」

メッ娘「あー今日写真来ましたもんね」

アリサ「私もタカシの子ども欲しいぃ!


メッ娘「ちょ、なにを大きな声で言ってるんですか!?」


メッ娘(あの後散々タカシさんの愚痴と惚気を聞かされてしまった……。まぁ、最近は沢山私の相談にのってもらったし、偶にはいいか)

メッ娘「にしても……」

アリサ「タカシィィ……」

メッ娘(寝落ちしても彼氏の名前を呼ぶとは)

メッ娘「重症だなぁ。……仕方ない、こういう時はっと」


〜某所宴会場〜

「「「Glory! Glory! Hallelujah!
Glory! Glory! Hallelujah!
Glory! Glory! Hallelujah!
His truth is marching on!」」」

ケイ「Yes!やっぱりリパブリック賛歌は最高ね!」

モブ子A「えー!やっぱりパンツァーリートですよ!」

モブ子B「隊長!我らがロンメルの方がいいと思います!」

モブ子C「分かってないなぁお前ら!そこはジョニーが凱旋するときだろう!」

ケイ「アハハ!みんなやっぱり軍歌好きね!」

モブ子「「「もちろん!!」


ケイ「HEY!ナオミ楽しんでる?」

ナオミ「もちろんです」

ケイ「毎年この日が楽しみなのよねー!」

ナオミ「うちのチームの創設記念日ですもんね」

ケイ「紅白戦やってその後はパーティー!気持ちよく戦った後のお酒は美味しいわ!!」

ナオミ「相変わらず全力で楽しんでますね」

ケイ「ナオミもでしょ?落武者の矢に鼻眼鏡……。パーティーグッズ満載よ?」

ナオミ「Yes,mam」


ピロン♪

ケイ「あら?この時間に珍しいわね」

ナオミ「?」

ケイ「ヘルメットちゃんからよ。何々?……アハハハハ!この写真見て、ナオミ!」

ナオミ「いい感じに潰れてますね」

ケイ「なんでもタカシから結婚の申し出が無くてヤケ酒してるらしいのよ」

ナオミ「なんというか、アリサらしい」

ケイ「高校時代より遥かにマシになったとはいえ、悪酔いするとこんな感じよね」

ナオミ「大学時代も年に1回位ありましたよね」

ケイ「みんな面白がってたけどね」


ナオミ「で、なんて返事するんです?」

ケイ「いつまでも受け身でいるから良くないのよ。だからこの言葉を贈るわ。『大胆不敵であれ!』」

ナオミ「?」

ケイ「不思議そうな顔しないでよ。要はいつまでも臆病じゃダメって事よ。あの子から結婚の申し出するぐらいじゃないと」

ナオミ「アリサに出来るでしょうか?」

ケイ「なんだかんだ言ってやる時はやる子よ。まぁ、やるまでが長いんだけどね」

モブ子D「あー隊長また副隊長とイチャイチャしてるー!」

ケイ「あら残念、私がイチャイチャするのはダーリンとだけよ」

モブ子D「きゃー!またそうやって惚気る!」

ナオミ「まぁ、プロチームでいちばん惚気てるのは蝶野夫妻だろうけど」

ケイ「あーあの2人はね……。見てるこっちがむず痒くなるわ」

モブ子D「そういや隊長達は高校時代に戦ってるんでしたっけ」

ケイ「えぇ。昔から気持ちのいい選手ね」

モブ子D「私が黒森峰に入った頃はもう大学行ってたからなぁ」

ケイ「あの子は全然変わってないわ」


小梅「西住さんの話してるの?」ヒョコッ

モブ子D「でた!西住さん大好き人間!」

小梅「ちょ、ちょっと!そういう言い方は無いんじゃないかな?」

ナオミ「まぁ、強ち間違ってないだろう」

小梅「まさかこの歳になってもからかわれ続けるとは……」

ケイ「アハハ!この手の話はずーっと尾を引くわよ」

小梅「まぁ、別に不快じゃないから良いんですけどね」

みんな「「「やっぱり大好きじゃん!!」アハハハハ

ケイ「でも、小梅みたいに助け出されたら惚れちゃうわね」

小梅「そういうんじゃないですよぉ。確かに助けられた時はホントに嬉しくって。、でもその所為で転校したみたいになってしまって」

ケイ「でも、結果として転校したお陰でみほは自分らしい戦車道を見つけられたんじゃないかしら?」

小梅「そうなんですけどね。まぁ、これに関してはもう踏ん切りついているので。今は打倒西住さん。そして打倒澤さんです!」

ケイ「Excellent!その意気よ!」


ケイ「さぁ、まだまだパーティーは続くのよ!」

ケイ(アリサのことは心配だけれど、私からもナオミからも発破かけるメッセージ送ったし、腹くくるでしょうね)

ケイ「みんな!グラスを持って!!」

ケイ「今日という日は我らがチームの特別な日!思いっきり楽しんで明日からの活力にするわよ!打倒西住!打倒島田!そして打倒安斎!!」

ケイ「特にチョビ子のチームには負けられないわよ!!」

「「「おおおぉーーー!!!」」」

ケイ「それじゃあ!もっかい乾杯するわよ!」

ケイ「カンパーーーイ!!」

「「「カンパーーーイ!!!!!」」」


【LADIES und PANZER No.2】終わり


サンダース編終了。

ちなみにみほは蝶野家に嫁入りしているので本名は蝶野みほですが、戦車道選手としては西住みほのまま登録しています。

次は知波単です。

今回はここまで


そういえば、今は纏めて投下してますが、逐一投下の方がいいんですかね?

特に問題なさそうならこのまま纏めて式でいきます


お久しぶりです。保守してくれた人、本当にありがとう。

ようやく落ち着いてきたので、1週間以内には続き書いていきます。待ってくれてる人いたら、申し訳ない。

予定より遅れましたが、続き投下していきます。

今回は知波単編です。それでは【LADIES und PANZER No.3】 始めます。

【LADIES und PANZER No.3】

≪やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ≫

ブォォォーン・・ドッドッドッ……ガチャン

絹代「ふぅ……」

モブ子「おはようございます、西さん。相変わらず目立つバイクですね」

絹代「おはよう!ウラヌスは私の相棒なんだ、そんな微妙な顔をしないでくれ」

モブ子「名前までつけてるんだから愛着凄いですね」

絹代「10年以上の付き合いになるからなぁ。よく働いてくれてるよ」

モブ子「事故だけは気をつけてくださいね」

絹代「あぁ、分かっているよ」

絹代「さて、今日もお仕事お仕事っと」

カタカタカタッターン・・

・・・暫くして・・・

絹代「むむ……」

絹代「すまん、竹下くんいるか?」

竹下「呼びましたか、班長」

絹代「今回の企画ってどこまで進んでいる?」

竹下「えっと、今資料持ってきますね」

竹下「ここの段階までは来てます」

絹代「うーん。ちょっと進行遅いな。もう少し早められない?」

竹下「え、予定通り進んでいるはずなんですが」

絹代「うん、その通りなんだが、上の方で異動あったじゃないか。その関係でちょっと早めて欲しいんだ」

竹下「はぁ……」

絹代「新しく来た人が何というか、頑固な人で。いつもより話が通りにくそうなんだ。そこで時間かかりそうだから、早めて欲しい」

竹下「分かりました。やってみます」

絹代「ありがとう。このところまで進めてくれたら後は私が何とかする」

竹下「よろしくお願いします」

絹代(ふぅ、そろそろお昼の時間だな)

絹代「そろそろ昼休憩に行っt「すみません、班長!」……どうした?」

竹下「昨日営業部に回した書類、間違って別のものを送ってしまって……」

絹代「その書類の担当って確か佐藤くんだな」

佐藤「すみません、班長!私のミスで……」

絹代「竹下くん、書類送る際確認は?」

竹下「……すみません、確認しきれてなかったです」

佐藤「竹下さんは悪くないです、私が……!」


絹代「佐藤くんはこちらの部署に来てからまだ日が浅い。あの書類は似た形式の別の書類があって間違えやすいから気をつけるように。あと、竹下くんはこの部署にはそこそこいるよね?」

竹下「はい……」

絹代「なら、あの書類は間違えやすいって分かってるし、佐藤くんが慣れてないのも分かっているんだからもっと気をつけないと」

竹下「すみません……」

絹代「2人とも以後気をつけるように。営業には私が書類直接持っていくから、頂戴」

竹下「いや、自分が持っていきます」

絹代「他の書類なら君たち2人にも来てもらうとこだが、あの書類はそこまで重要度があるものじゃないし、それに福田さん宛のものだろう?」

竹下「はい、今度の開拓先についての書類です」

絹代「彼女とは知らない仲じゃないし、私だけの方が話が通りやすい。君たちはお昼行ってきて」

竹・佐「「すみません……」」

絹代「次から気をつけてくれたらいいよ」

絹代「すみません、企画課の西ですが、福田さん今いますか?」

モブ子「確かいたと思います。呼んできますね」

絹代「お願いします」

福田「お呼びでありますか、西隊長!」

絹代「福田、私はもう隊長じゃないし、お前も知波単の生徒じゃないんだ。いい加減その口調と敬礼はやめてくれ」

福田「あぅ……すみません」

絹代「まさか上司とかにその口調で話していないだろうな?」

福田「大丈夫であります!西隊長だけであります!」

絹代「ならいいが……って口調」

福田「き、気をつけます」

福田「ところで何のご用でしょう?」

絹代「あぁ、実はな……」

カクカクシカジカ ウマウママルマル

福田「そういうことですか、分かりました。では、以前の書類は破棄しても?」

絹代「一応持ってきてくれ。別の仕事に使うやつかもしれない」

福田「分かりました」

福田「こちらです」

絹代「ありがとう。ところで福田、お昼って行ったか?」

福田「いえ、そろそろ行こうとしていたところです」

絹代「そうか、ならこれから一緒にどうだ?最近あんまり会って話してなかったし」

福田「いいですね!休憩の許可貰ってきます!」

〜〜社員食堂〜〜

絹代「ちょうど席が空いていて良かったな」

福田「この時間はいつも混みますからね。最近は営業で回ってる最中にお昼済ませる事が多かったから久しぶりの社食です」

絹代「なら今日はタイミングが良かったな」

福田「そうですね!流石西隊長であります!」

絹代「意味がわからないし、ワザとやってないか、その口調?」

福田「あはは、バレましたか」

絹代「福田っていい意味で性格が変わったな」

福田「そうでしょうか?」

絹代「うん。特にあの大学選抜戦から」

福田「そうですね、あの試合で色々物の見方は変わったと思います」

絹代「あの試合は知波単にとっても転換点の一つだな」

福田「特に参加していた人達は」

絹代「そうだな、福田は特にそうだったが、細見、玉田、寺本も思うところはあったようだな。私も含め」

福田「特攻も良いものですが、生きてこそ雪辱を晴らせる。あの言葉を聞いた時は反抗心を覚えていましたが、試合後振り返ってみるとあの言葉が何だか沁みました」

絹代「気炎万丈にして勇猛果敢。しかし時と場合によっては特攻はただの思考停止でしかないと気付かされた試合だったな」

福田「大洗の皆さんには感謝感激です」

絹代「本当にな」

絹代「あの後の知波単改革は思いの外すんなりいったんだったな」

福田「ええ。やはりOG達からの批判はあったものの、黒森峰戦での惨敗や選抜戦での我々の活躍が後押ししてくれましたね!」

絹代「まぁ、そう簡単に染み付いた習慣は抜けなかったけれど」

福田「それは仕方ないですよ。皆に刻まれた知波単魂はそんなに軽いものじゃなかったですし」

絹代「確かにな。まぁ、知波単改革に大きく貢献したのは福田の演説だったがな」

福田「うぅ、恥ずかしい記憶です」

絹代「『魂とはそう易々と見せては良いものではありません!耐えて耐えて最後の瞬間に胸に秘めた魂に火を付け炸裂させる。そんな命の輝きを見せてこその知波単魂であります!!』だったか?」

福田「な、なんで覚えてるんですかぁ!」

絹代「ははは、それだけ印象深かったんだよ、福田の演説は」

福田「でも、選抜戦最後に見せた西住姉妹の特攻を見たらそうも思いますよ。」

福田「敵の苛烈な攻撃に耐え忍び、時には隠れたり偽装しながらも敵数を削り、最後には隊長自ら捨て身で打ち倒す。あの特攻は散って行った仲間の想いも乗った素晴らしいものでした」

絹代「そうだな……。あの時は本当に心が震えた。いや、私の知波単魂が震えたんだ。そして同時に私達が今までやって来た特攻のなんと軽いことかと情けなくも思ったな」

絹代「最初こそあの試合には、共に戦った仲間の窮地を助けるつもりで赴いたが、逆に助けられ大きく成長させて貰ったな」

福田「その通りですね。あの試合があったからこそ、優勝こそ逃しましたが次の年にはベスト6に入ることが出来ましたものね」

絹代「まさかサンダースに勝てるとは思わなかったなぁ」

福田「本当にです。まぁ、知波単は方針が良くなかっただけで、選手の層は厚かったですからね」

絹代「必死で鍛えた甲斐があったな」

福田「西隊長自らが改革の先陣を切って新しい知波単のスタイルを貫いたからこそですよ。そして皆が上手くできたらしっかり褒める。意外と出来そうで出来ないことです」

絹代「ちょっと、褒めすぎじゃないか?」

福田「そんな事ないですよ!本当に西隊長を尊敬してるんです。私が畏れ多くも隊長を務めていた時も、社会人になって部下を持つようになった時も良く当時の西隊長の姿を思い出すんです。あと、

『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ』

っていう言葉も」

絹代「山本五十六殿の名言だな。やはり何かを教える時はそれが大事なんだと心底思うよ」

福田「なんだかダージリンさんとオレンジペコさんのやり取りを彷彿とさせますね」

絹代「ははは!確かにな」

絹代「っと、そろそろ休憩も終わりだな」

福田「なんだかんだ、話し込んでしまいましたね」

絹代「楽しいお昼だったよ」

福田「こちらこそ、楽しい昼食でした!また誘ってください!」

絹代「もちろん!今度は飲みにでも行こう。他の知波単メンバーも誘って」

福田「そうですね!この間の連休は色んなところで同窓会みたいになっていたみたいですし」

絹代「そう言えばそうだな。あの連休中は其々の高校時代の戦車仲間と顔を合わせていたらしい」

福田「そういう巡り合わせの日だったのかもしれませんね。私達も昔の話で盛り上がっちゃいましたし」

絹代「ははは、違いない」

福田「では、そろそろ戻りましょうか」

絹代「午後からの仕事、お互い頑張ろう」

福田「承知したであります!西隊長!」

絹代「うむ。福田!午後からの仕事も粉骨砕身で勤めるのだぞ!」

福田「はっ!」ケイレイ・・


絹・福「「…………ぷっ!」」

絹・福「「あははははは!!!」」」


【LADIES und PANZER No.3】終わり

これにて知波単編は終了です。

次回はアンツィオ編!その後にオマケをやって同窓会アナザーは終わりになると思います。予定は未定。

では、今日はここまで。

お待たせしています。
今週中には次の話書いていきます!

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