【遊戯王SS】決闘戦隊デュエルンジャー (31)


 ここは童実野中高決闘部
 現在この部には八人の部員が属し、マイペースな決闘にいそしんでいる

ユーゴ「こう……ガッと行こうとしても中々スピード出せねえの」

遊星「エンジンにトラブルが起こってるな。直しておこう」

ユーゴ「マジ!? サンキュー」

 Dホイールの整備をする者……

十代「融合召喚! 出でよ、シャイニング・フレア・ウィングマン!」

遊矢「よし! これで形勢逆転!」

ユート「そうはさせない。トラップカード《幻影霧剣》発動!」

遊馬「おっユート流石! 頼りになるぜ~」

 仲良くタッグデュエルする者……


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遊戯「闇のゲームに負けた者には罰ゲームが与えられる……」ゴゴゴ…

海馬「あ……あぁ……」

遊戯「罰ゲーム! マインドクラッシュ!!」ズキューン!!

海馬「うわああああああああ!!!」

 闇のゲームに興じる者……

ユーリ「……」

ユーリ「……」

ユーリ「Zzz……」

 穏やかな顔で寝ている者……

 いつも通りの平和な日常
 しかしその裏では悪しき者たちの計画が進行していたのだ……


―――バリアン世界

 ここはバリアン世界
 その宮殿の王の間に七人のバリアンが揃っていた

ドルベ「ナッシュ。そろそろ頃合いだ」

メラグ「ええ。今の人間世界は腐敗しきっている……」

ミザエル「今こそ我々バリアンの力を人間どもに知らしめる時……!」

アリト「腕がなるぜ!」ボキボキッ

ナッシュ「よし! ギラグ、まずはお前だ! 人間世界をカオスに陥れてやれ!」

ギラグ「おう!」

ナッシュ「我ら、バリアンの七つ星!」

「「「「「「 我ら、バリアンの七つ星! 」」」」」」


―――決闘部

 一方、人間世界
 Dホイールの試運転に行っていたはずのユーゴが大慌てで部室に戻ってきた

ユーゴ「おいおいおいおいやべーぞ!! 大変だ! 緊急事態だ!!」

ユーリ「うるさいよコモンズ。睡眠の邪魔しないでくれる?」

ユーゴ「あぁん!? ……ああ、今はそんなことどーでもいい! マジでやべえんだって!」

遊戯「どうしたんだ?」

遊星「ユーゴ、落ち着いて話してくれ」

遊矢「水いるか?」

ユーゴ「お、おう……サンキュ」グビグビ


ユーゴ「ぷはーっ」

遊馬「それで、どうしたんだ?」

ユーゴ「……。……えーっと、何だっけ……」

ユート「これだから融合の手先は……」ハァ

ユーゴ「ユーゴーじゃねえ! ユーゴだ!」

十代「はいはい。今はそんなこと言ってる場合じゃないだろ。どうしたんだ?」

ユーゴ「えーっと……そう! 街で変な恰好した変な奴が変なことしてて……」

全員「?????」


ユーゴ「だーもう! 百聞は一見にしかずだ! 来てもらったらわかるから!」

ユーリ「へえ、コモンズなのにことわざなんか使えるんだ。お利口になったね」

ユーゴ「ぶん殴られてえかてめえは!!」

遊戯「とりあえず行くぞ!」

 部長の武藤遊戯の一声で皆行動を開始した
 ちなみに学年の上では遊星の方が年上だが、年齢的には遊戯の方が上ということで部長の座には彼が座っている


―――童実野町

遊矢「ど、どうなってるんだ」

 街に出た決闘部員たちは目を疑う光景を目にした
 虚ろな目をした人々が暴動を起こし、店のショーウィンドウや車などを破壊していたのだ

遊戯「これはただ事じゃないぜ」

遊馬「みんな、どうしちまったって言うんだよ!」

十代「それに、あの変な紋章みたいなのは何なんだ?」

 そう、暴れている人々にはある特徴があった
 彼らの額にはもれなく、くすんだ青色をした、三叉槍の穂先のような形の紋章が装着されていたのだ


遊星「あの紋章によって操られているのか……?」

ユーゴ「じゃあ、あれを外せばみんな正気に?!」

ユーリ「君、バカ? こんな大人数相手に丸腰のボクらがちまちまやって終わるわけないでしょ」

ユーゴ「ったくてめえはいつもいつもそういう言い方ばっかり!」

ユート「だが、一体どうすれば……」

 その時、決闘部員は天から響く声を耳にした
 獣の遠吠えのような、それでいて今まで聞いた事もない、不思議で神秘的な声――


遊星「あれは!?」

 彼の視線の先には雲間から降りてくる巨大な赤い竜の姿があった
 雄大さを感じる動きで決闘部員の頭上に降りてくる

赤き竜『歴戦のデュエリストたちよ……』

ユーゴ「しゃべった!?」

赤き竜『この世界は今、危機に瀕しています』

遊矢「今のこの状況のことか?」

赤き竜『その通りです……異世界からの悪しき者たちがこの世界を侵略しようとしているのです』

十代「異世界からの侵略者……」


ユーリ「それ、本当の話?」

赤き竜『間違いありません……私は神ですから信じてください……』

遊馬「神様ぁ!?」

ユート「名前は?」

赤き竜『ケツァルコアトルとも……アルティマヤ・ツィオルキンとも呼ばれています……』

赤き竜『呼びにくいなら〝赤き竜〟とでも呼んでください……』

遊戯「だいたいの事情はわかった。だがどうすれば?」

赤き竜『あなたたちの力を貸してください……』

 赤き竜がそう言うと、その全身が光り出した
 そしてその光が決闘部員たちに向けて放たれ、各々の腕に纏われた


ユーゴ「な、何だこれ!?」

 その光はやがて、それぞれデザインの異なる、剣とも盾とも言えぬ妙な形のアイテムとなった

赤き竜『〝デュエルディスク〟……それを使って〝決闘戦隊デュエルンジャー〟に変身するのです……』

遊矢「決闘戦隊……」

ユート「デュエルンジャー……?」

ユーリ「えー……。ボクは嫌だよ、そんなだっさいネーミングのヒーローなんて」

赤き竜『お願いします……世界の危機なのです……』

ユーリ「時給は?」

赤き竜『ご……500円で……』

ユーリ「は? 人間なめてんの? 神様のくせにその十倍も出せないわけ?」

赤き竜『そんな殺生な……』


ユーゴ「おいユーリ! 神様困ってんだろ!」

ユーリ「全くこれだからコモンズは。こういうのは最初にきちんと契約内容を決めておかないといけないの」

十代「ユーリ、ちょっと言い過ぎだぞ」

ユーリ「……ハイ、先輩」

赤き竜『よかった……なら時給500円で……』

遊星「いや、1000円は出してもらう」

赤き竜『』


遊戯「おい、遊星……」

遊星「俺たちはDホイールの部品を買う金が必要なんです」

ユーゴ「た、確かに! 時給1000円! なっ神様、それでいいだろ?」

赤き竜『わ、わかりました……それで手を打ちましょう……』

ユーリ「やれやれ」

遊矢「よ、よし。とりあえず決まったところで……」

遊馬「早いところ街のみんなを元に戻さねえと!」

 決闘部員が横一列に並び、変身アイテム〝デュエルディスク〟にデッキをセットする!


全員「デュエルモード・チェンジ!!!」

 デュエルディスクが変形すると同時に、彼らの姿がコスチュームに包まれた!

十代「ワクワクするぜ! ――デュエレッド!!」

遊星「おい、デュエルしろよ。 ――デュエブルー!!」

遊馬「かっとビングだ、オレ! ――デュエイエロー!!」

遊矢「お楽しみはこれからだ! ――デュエグリーン!!」

ユート「幻影騎士団は倒れない! ――デュエブラック!!」

ユーゴ「オレのスピードについてこれるかぁ!? ――デュエホワイト!!」

ユーリ「キミたち……邪魔だよ……! ――デュエヴァイオレット!!」

遊戯「もっと腕にシルバー巻くとかさ! ――デュエシルバー!!」


全員「ルールを守って楽しくデュエル!!」

全員「決闘戦隊! ――デュエルンジャー!!!」ドンッ☆


十代「お~すっげえ! 俺ヒーローになってる!」

遊星「俺たちの絆パワーで!」

遊馬「街のみんなを助け出して!」

遊矢「みんなの笑顔を取り戻す!」

遊戯「行くぜ! みんな!」

 それぞれデッキに指を掛け、ドローをしながら、開戦の掛け声を口にした!



                   _人人人人人人人人人人_

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                   >  デ ュ エ ッ !!  <
                   >                <
                    ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄


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市民A「ウキキィィィーーーッ!!!」

市民B「キェエエエーーーッ!!!」

遊星「行け、スターダスト・ドラゴン! シューティング・ソニック!!」

市民AB「ギャアアアアアアア!!!」

 スターダスト・ドラゴンの光線を受けて気絶した市民ABの額から紋章が消えた!

遊星「よし。十代さん、気絶させたら治るようです」

十代「そういうことなら……来い! ネオス!」

ネオス『ドリャァッ!』ラス・オブ・ネオス!!

市民CD「グワアアアアアアアッッ!!!」


 一方、デュエシルバー=遊戯は苦戦していた!

ブラマジ『ハァッ!』ブラック・マジック!!

市民EFG「ギエエエエエエエエエ!!!」

市民HIJK「グヘヘヘヘエエエヘヘヘ……」ゾロゾロ

遊戯「くっ、倒しても倒してもまた湧いて出てくる……。キリがないぜ……」

遊戯(ハッ、待てよ……? 気絶させるだけでいいなら……)

遊戯「遊星! このスプレーで市民どもを囲うように道路に迷路を描いてくれ!」

遊星「……?」

 遊星は一瞬意図をはかりかねたような顔をしていたが、

遊星「なるほど……流石遊戯さん」

 すぐさま了解して、Dホイールで走り出した!


市民LMN「ウキキィィッ!!」

遊戯「エルフの剣士!」

エルフ『ハァッ!』シュバァッ!!

市民O「デエエエエエッ!!」シカクカラノイチゲキ!!

エルフ『グアアアアーー』パリーン

遊戯「くっ……エルフの剣士……」

 一般市民にあえなく敗れるエルフの剣士!
 しかしそこへスプレーを撒き終えた遊星が帰ってきた!


遊星「遊戯さん! 準備オーケーです!」

遊戯「でかしたぜ遊星! 行け、カース・オブ・ドラゴン!」

カース『グオオ!!』ヘル・フレイム!

市民PQ「キエエ……??」

 カース・オブ・ドラゴンが放った火炎!
 それが道路上に描かれたスプレーの線に引火した!

市民RST「キエエエエエエエエエ!?!?!?!?!?!?」

 市民たちは火炎地獄に取り囲まれてパニックを起こす!


市民UV「ギエアアアアアア!!!!」

 阿鼻叫喚の体で逃げ回る市民!
 ジオグリフの如き迷路の出口には切断された電線が!

市民WX「ギャアアアアアアアアア!!!!!」バタッ

 次々と感電しては気絶する市民!
 その額から紋章が消えて行く!

遊矢「な、なんだこれ……」

 しかし、それを目にしていた遊馬と遊矢は……

遊馬「やめろおおおお!! こんなのデュエルじゃねえ!」

遊矢「俺の信じるデュエルは……みんなを幸せに……」


 愕然とする二人の眼前に広がっていたのは……
 火の海と化した街だった……

市民Y「ウワアアアアアア!!!」

市民Z「タスケテクレユウセエエエエエエエエエエ!!!」

遊戯「ハハハハ、走れ走れー! 迷路の出口に向かってよー!」

 魔王の如き高笑いを上げる遊戯!
 その顔を見た瞬間! 遊矢の中の何かが目覚めた!

遊矢「もうやめろ! 行け、オッドアイズ!!」

 それにつられるようにして、他の遊矢シリーズもドラゴンを召喚する!

ユート「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン!」
ユーゴ「クリアウィング・シンクロ・ドラゴン!」
ユーリ「スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン!」


オッドアイズ『グオオオオン!!』ゴォッ

遊戯「なにっ!?」

ブラマジ『ハァッ!!』シュバァッ!

 遊戯に届きそうになっていたオッドアイズのブレスはブラック・マジシャンの魔法によって掻き消された!

遊戯「遊矢、どういうことだ!」

 問いただそうとする遊戯!
 しかし遊矢の様子がおかしい!


遊矢「この時を……」

ユーリ「待っていた……!」

ユート「今こそひとつに……」

ユーゴ「今こそひとつに……!」

遊矢「今こそひとつにいいいいいいい!!!」

 共鳴する四体のドラゴンが雄叫びを上げる!

十代「まずい! 遊矢たち、また暴走してるぞ!」

遊馬「来い、ホープ! 遊矢たちを止めろ!」

遊星「スターダスト! お前も行け!」

 それぞれのエースモンスターが遊矢たちのドラゴンに攻撃する!


遊戯「ブラック・マジック!!」
十代「ラス・オブ・ネオス!!」
遊星「シューティング・ソニック!!」
遊馬「ホープ剣スラッシュ!!」

遊矢「螺旋のストライク・バースト!!」
ユート「反逆のライトニング・ディスオベイ!!」
ユーゴ「旋風のヘルダイブ・スラッシャー!!」
ユーリ「あjがaorえおあrw$&‘“!!」

 それぞれのエネルギーが激突し――ッ!!!



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 かくして世界は

 決闘戦隊デュエルンジャーの手によって滅んだ




おわり

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