【だがしかし】サヤ「あたしとココナツが……?」 (114)

学校

サヤ「おいすー」

ココノツ「おはようサヤちゃん」

サヤ「あー、疲れたー」

ココノツ「まだホームルームも始まってないよ?」

サヤ「それが昨日は店が大忙しでさー。爺さん婆さんが老人会の集まりでうちにきて大変だったってわけ」

ココノツ「ああ、あの辺で集まれる場所なんて限られてるもんね」


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ココノツ「そうだ、疲れてる時は糖分とらなきゃ。はい、飴」

サヤ「ココナツ、お菓子なんか持ってきちゃダメじゃん。学校の規則は守りましょう」

ココノツ「耳にいっぱい穴開けて何言ってんの。まぁ甘い物苦手だもんね」

サヤ「変?」

ココノツ「いいや、サヤちゃんらしくて良いと思うよ。よく似合ってるし。学校の規則的にはアウトだけどね」

サヤ「んふふ、まぁ良いじゃん。それより飴ちょうだいよ」

ココノツ「良いの?甘いよ?」

サヤ「なんかそれ舐めたら疲れ取れそうだからさ」

サヤ「ねぇー、ココナツー」コロコロ

ココノツ「なーにー」コロコロ

サヤ「昨日のあの番組みたー?」

ココノツ「あー、サヤちゃんがススメてきたアレでしょー?見た見たー。普段は見ないけど面白かったよー」

サヤ「いーなー、あたし見れなかったんだー」

ココノツ「そうなのー?」

サヤ「さっきも言ったけど昨日は店が忙しくて見てる暇なかったんだよねー」

ココノツ「そっかー」

男子(あいつら飴食いながら2人で空見上げて何話してんだ?)

ココノツ「じゃあ今日うちに寄って帰る?」

サヤ「ココナツの家?」

ココノツ「実は昨日の番組録画してあるんだよ」

サヤ「ほんとに?へー、あんまり興味無いとか言ってたけど見る気満々だったんじゃん」

ココノツ「なんとなくね、サヤちゃんが見れてない気がしたんだ」

サヤ「なにそれ!?もしかして第六感とかいうやつ?」

ココノツ「(番組を教えてくれたから)サヤちゃんの事考えてたら気になってさ。結構気がきくでしょ?」

サヤ「う、うん。ココナツさ、あたしの、事……考えてたんだ……」

ココノツ「? うん、考えてたよ?」

サヤ「そっか……」カアァ…

サヤ「じゃあ帰りにお邪魔するね」

ココノツ「豆くんも来ーー」

サヤ「いや、アニキは来ないよ!なんか今日は……あー、居残りしてけん玉の練習するとか言ってた!かも」

ココノツ「そうなの?じゃあ放課後2人で先に帰ろうか」

サヤ「うん!それが良い、それが良いよ!」

ココノツ「すごい張り切ってるね。そんなに楽しみにしてたんだ」

サヤ「そうだね、うんうん!すごい楽しみ!」

男子「お前ら今日も仲良いなー」

ココノツ「あっ、おはよー」

男子「なんかもう側から見てたら夫婦みたいだぞ」

サヤ「ふ、夫婦!?」

男子「遠藤のこと下の名前で呼ぶ男子なんてココナツと豆くらいだし」

サヤ「そ、そそ、それは、あたし達昔から遊んでたし!」

男子「でも高校生にもなってちゃん付けはおかしいって言うか恥ずかしくね?」

サヤ「良いんだよ、あたしとココナツは」

ココノツ「そう言われてみればそうかな?」

サヤ「ココナツ!?」

ココノツ「確かにいつまでも僕だけ子供みたいな呼び方じゃサヤちゃんが恥ずかしいよね」

サヤ「いや、そんな事無いって」

ココノツ「でもーー」

男子「ココナツはみんなからココナツって呼ばれてるけど遠藤は」

サヤ「それ以上その口開いたら……」グワッ

男子「ひっ!!」


サヤ「ココナツ、さっきの話は気にしなくて良いよ。だいたいあたしもアニキも遠藤だし。ややこしいじゃん」

ココノツ「サヤちゃんがそれで良いなら……」

サヤ「うん、それで良い。ずっとそれが良いって」

ココノツ「良かった。ちょっと緊張するもんね。いきなりサヤって呼ひすてにするの」

サヤ(しまった!そっちだったか!)

サヤちゃんとか言うヒロイン可愛い!

しかだ駄菓子

サヤ「はぁー、いいよねー。旅番組」

ココノツ

しかだ駄菓子

サヤ「はぁー、いいよねー。旅番組」

ココノツ「テレビだと都会から田舎へ行くのばっかりだけどね」

サヤ「あたし達の場合は田舎から都会だもんねー」

ココノツ「サヤちゃんも旅したいの?」

サヤ「うーん……」

ココノツ「前にこの町から出たく無いみたいな事言ってなかったっけ?」

サヤ「あれはこの町から引っ越して出て行くって意味で、旅行くらいはしたいかな」

ココノツ「旅行かー」

サヤ「ねえねえ、ココナツは旅行するならどこ行きたい?」

ココノツ「旅行かー……やっぱり京都とか?」

サヤ「そんなの修学旅行とかで行けばいいじゃん。もっとなんか無いの?」

ココノツ「急に言われてもなぁ。サヤちゃんはどこか行きたい所あるの?」

サヤ「あたし?あたしはねぇ、ネズミ遊園地とか!海ネズミランド行ってみたい!」

ココノツ「定番と言えば定番だけど1人だと入りづらく無い?」

サヤ「そんなのココナツも行くに決まってんじゃん」

ココノツ「どうせ行くならUSJに行ってみたいかな。京都も近いし」

サヤ「どんだけ京都行きたいんだよ……でもUSJも悪く無いね」

ココノツ「ETのアトラクションとか入ってみたいよね」

サヤ「あたしはジェラシックパーク!」

ガラッ!!

ほたる「話は聞かせてもらったわ!」

ココノツ「なんで押入れから出てくるんですか!」

ほたる「こういう真っ暗な狭苦しい所で食べる駄菓子って格別なのよ♪」

ココノツ「狭苦しくて悪かったですね」

ほたる「あとETのアトラクションはすでに廃止されているわよ」

ココノツ「ええっ!?」

ほたる「それはさて置きココノツ君、あなた大阪へ行きたいようね」

ココノツ「ETが無いならもう別に……」

ほたる「遊園地……なるほど。あくまでもそれがメインだと言いたいみたいだけど……あたしの目はごまかせないわよ!!」

ココノツ(また始まった……)

ほたる「ココノツ君の真の目的は駄菓子ね」

ココノツ「違います」

ほたる「で?あなた達2人で行くの?」

ココノツ「行きませんよ。そんなお金ありませんから」

サヤ「だよねー」

ほたる「安心なさい。直ぐに飛行機のチケットを手配させるわ」

早々に眠気が……また起きたら書きます

ココノツ「え……?」

ほたる「あら、自家用ジェットが良ければ用意するけど?」

ココノツ「いやいやいや!そうじゃなくて、そんな簡単にーー」

ほたる「行きたいんでしょ?駄菓子授業♪」

ココノツ「はぁ……だいたい僕がいないと店番どうするんですか。父さん1人じゃ週休5日くらいですよ」

ほたる「安心なさい!あたしが責任を持って店番を手伝ってあげるわ!」

ココノツ「不安で仕方ありませんよ」

ほたる「ふふっ、店の心配をするなんてココノツ君もかなり駄菓子屋を継ぐ事へ前向きになってきたわね」

ココノツ「疲れる……」

サヤ「ねえ、どうしてUSJが駄菓子と関係あるの?」

ほたる「以前私とココノツ君は2人でサヤ師のいる喫茶遠藤まで走った事があるのよ」

ココノツ「ほたるさん、その話はもう……」

サヤ「あー……あの絵の」

ココノツ「……すみません」

ほたる「あの日、私とココノツ君はグリコのキャラメルを食べながら走ったの。ココノツ君の店からサヤ師の店までね」

ほたる「つまりグリコと言えばココノツ君とサヤ師!そして2人と言えば江崎グリコ!」

ココノツ「なんでですか!」

サヤ師「えっと、意味がよくわかんないんだけど……」

ほたる「グリコと言えば大阪。あの看板は観光スポットになるほど有名よね」

サヤ師「あー、それは知ってる。あのおっきいやつだよね」

ココノツ「本社が大阪にあって、昔は専用の自販機とかもあったんだよ」

サヤ「へー」

ほたる「グリコは1粒で300m走れるカロリーがあるのだけど、ココから遠藤までは1500m……1箱じゃ足りないのよ」

サヤ「?」

ほたる「だから、ココノツ君と2人で旅行して2人の距離をグッと縮めるのよ♪なんなら0mにね」ヒソヒソ

サヤ「!!」

ココノツ「何言ってるんですか?」

ほたる「もちろんグリコだけじゃ無いわよ?他にもその地域にしか無い限定商品を味わって知識を養うの!」

サヤ「他にも有名なのがあるの?」

ほたる「ええ、もちろん。あたり前田のクラッカー♪」

サヤ「あたりまえだの?」

ほたる「えっ……サヤちゃんはこのギャグが分からない世代なの……?」

ココノツ「前田製菓って会社が作ってるクラッカーで、昔コマーシャルで藤田まことさんが言ってたんだよ」

ココノツ「俺がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー!ってね」

サヤ「藤田まことさんって必殺仕事人とか首領への道で伝説のヒットマンを演じてたあの?」

ほたる「え?なにそれ?駄菓子?」

ほたる「まあその前田製菓が大阪の堺市の街中にあるのよ♪」

ココノツ「製造中はあたりにすごくいい匂いが広がるらしいですね」

ほたる「ココノツ君も興味津々って感じね!」

ココノツ「別に興味なんて……だいたい匂いじゃお腹は膨れませんから」

ほたる「そう!確かに看板を見たり匂いを嗅ぐだけじゃお腹は満たされないわ!だから行くんでしょ?」

ほたる「放課後バー!」

サヤ「BAR?あたしたち未成年だよ?」

ココノツ「そうか……」

ほたる「大阪にある放課後バーは決してお酒を飲む場所じゃ無いの。そう、放課後バーとは?はい、ココノツ君」

ココノツ「大阪にある、駄菓子食べ放題の店ですね……」

ほたる「正解♪」

ほたる「もう考える余地は無いわよね?明日から学校はお休みでしょ?」

ココノツ「でも旅行はお金がかかりますから……」

サヤ「ココナツ!だ、大丈夫!あたしお小遣いちょっとあるし!」

ほたる「そうね、全部用意してあげても良いんだけど……限りある財源で旅をするのも醍醐味よね。でも送り迎えは私に任せて」

ココノツ「なんでそんなにやる気満々なんですか!ちょっと待っててくださいよ!準備してきますから!!」ダッ


サヤ「なんだかんだでココナツも行く気っぽいね」

ほたる「サヤ師、さっきはああ言ったけどもしお金に困ったらいつでも連絡してちょうだい。すぐに手助けするわ」

サヤ「ありがとうほたるちゃん。あたしも準備してくるね!」

出発

サヤ「飛行機とか緊張してきた……」

ココノツ「僕はそれよりほたるさんが空港まで送ってくれたあの長いリムジンの方が緊張したよ」

サヤ「あっ、あそこにいるのほたるちゃんだ!おーい」ブンブン


ほたる「サヤ師ったら、あんなにはしゃいじゃって……ココノツ君も乗り気だったし」

ほたる「ココノツ君とサヤ師を引っ付けて結婚させ、稼ぎは必要だけど街を出たく無いサヤ師の為にココノツ君は実家の駄菓子屋を継ぐしか無い作戦は順調ね!」

ほたる「あとは大阪でしっかり駄菓子を学んでくるのよ」フリフリ

サヤ「楽しみだね、USJ」

ココノツ「ほたるさんから貰った帰りのチケットは明後日だから……2泊するお金は置いておか無いと」

サヤ「ココナツはほたるちゃんが言ってた所まわるの?」

ココノツ「グリコの看板は見てみたいけど他は行か無いかな。サヤちゃん行きたい所あれば一緒に行くよ」

サヤ「良いの?駄菓子食べ放題とかあるんでしょ?」

ココノツ「うん。だってうち駄菓子屋だし。それに食べ放題って言われてもそんなに食べれ無いでしょ?」

サヤ「あー、それもそうだねー」

ココノツ「でも2人で旅行なんて大人な感じで楽しみだね」

サヤ「うん!あたしも楽しみ!」


こうして2人は駄菓子無関係な旅行へ旅立ったのでした。

パンフレットとストリートビューで行った気になってきます

サヤ「ついたー!」

ココノツ「ついたねー。さすが都会は人がいっぱいだ」

サヤ「ココナツココナツ!早く遊びに行こうよ!」

ココノツ「待ってサヤちゃん、まずは泊まるところを確保し無いと」

サヤ「それもそうだ。さすがに見知らぬ土地で野宿は嫌だもんね」

ココノツ「いや、知ってる土地で野宿も嫌だけど……」

ココノツ「USJの入場料無料と飲み食いで1人1万円はいるだろうし……サヤちゃんはいくらくらい持って来たの?」

サヤ「ふっふっふっ、来る時に言った通り貯金箱割ってお小遣い全部持って来たからね!」

ココノツ「それは心強い(今日のサヤちゃんテンション高いなぁ)」

サヤ「ひーふーみー……2万円!」

ココノツ「2万円かー……2万円!?」

サヤ「んふふ、なんでもおごったげるねー」

ココノツ「えっ?2万円で足りるかな?」

サヤ「ココナツはいくら持って来たの?」

ココノツ「……1万2000円。これで全財産だったんだ」

ココノツ「どうしようサヤちゃん!実は自信満々なサヤちゃん見て内心あてにしてたから……」

サヤ「2人で3万2千円……遊園地で2万円使うとして2泊するから1日6000円だね」

ココノツ「そこから食費とかもいるから宿泊費に使えるのは1日3千円か4千円くらいだね」

サヤ「それだけあればなんとかなるんじゃ無い?」

ココノツ「どうだろう?旅行とかほとんどしたこと無いし、急だったから下調べも何も……だいたい当日予約とかあるのかな!?」

サヤ「まあ行くだけ行ってみようよ」

ココノツ「なんてことだ……何を浮かれてたんだ僕たちは……!」

ホテル

サヤ「すみませーん」

係員「いらっしゃいませ。どの様なご用件でしょうか?」

サヤ「えっと、予約してい無いんですけど部屋あいてたりしますか?2泊したいんですけど」

ココノツ「1番安い部屋で良いんです!」

サヤ「ココナツ落ち着きなって」

係員「はい、丁度一部屋空きがございます♪」

サヤ「やった!ラッキーだったね、ココナツ!」

ココノツ「う、うん!で、いくらくらいですか?」

係員「こちらのスタンダードルームですとお二人で18000円になります♪」

ココノツ「って事は、残り14000円……」

サヤ「でもホテルなら食事も付いてるし大丈夫だって!あたし20000万円と小銭もあるし!」

係員「申し訳ございません。こちらのプランですとお食事は付いていなくて……」

サヤ「あ、そうなんですか……」

係員「いかがいたしましょう?」

ココノツ「サヤちゃん、ここに泊まったら入場料ギリギリしか残ら無いけど良い?」

サヤ「仕方ないね。コンビニおにぎりで我慢しよう」

ココノツ「わかったよ。じゃあ……」

係員「ではお二人様1泊18000円ですので2泊で36000円になります♪」


ココノツとサヤはホテルを後にした。

サヤ「いやー、やっぱり都会は怖いね。寝るだけの素泊まりで1人1万円近くとるなんて」

ココノツ「どうしようか。少し離れれば安いホテルがあるかもと思って適当に電車でここまで来たけど」

サヤ「それもほたるちゃんのお陰だよねー」


ほたる「このカードを持って行きなさい。いわゆる電車のフリーパスよ」


ココノツ「とりあえずこのカードが使える電車を使えば交通費はかからないからね。ほんとほたるさんには感謝だよ」

サヤ「それにしてもこの辺りは人気があんまりないね。民宿とかないのかな?」

ココノツ「どうなんだろう?民宿って感じはどこにもないけど」

サヤ「あっ、ココナツ!見てあそこ!」

ココノツ「どうしたの?」

サヤ「ほら、ホテルあった!」

ココノツ「ダメだよホテルは。漫画喫茶か安い民宿とかじゃないと」

サヤ「でもここ宿泊5000円からだって。しかも食事付き!」

ココノツ「えっ?こんなに綺麗なのに?って言うかめちゃくちゃ派手だけど……」

サヤ「汚いより良いじゃん!あっ、でも1人5000円なのかな?」

ココノツ「あそこで掃除してる人に聞いてみようか」

ココノツ「あのー、ここって1人5000円ですか?」

係員「……いえ、1部屋5000円です」ソソクサ

サヤ「どうしたんだろう?目も合わせないで行っちゃったね」

ココノツ「とにかく迷ってる暇は無いしここにしようか」

サヤ「そだねー」


サヤ「へー、このパネルで部屋を選ぶんだってー」

ココノツ「フロントの人とかいないんだ。とりあえず1番安い部屋にしよう」

ぽちっ

ココノツ「案内とかも無いのかな……」

サヤ「見て見てココナツ!矢印光ってる!あっちに行けって事かな?」

ココノツ「そうみたいだね。行ってみようか」

サヤ「ねえねえ、なんか探検みたいで楽しくない?」

ココノツ「とりあえず疲れたから今日はもう寝て明日に備えないと」

サヤ「あっ、あそこだ。ドアの上光ってる」

ココノツ「格安ホテルだ期待はしないでおかないと……」ガチャッ

サヤ「お、おおー……」

ココノツ「凄く広くて綺麗だけど……本当に5000円なのかな……」

ガチャリッ

サヤ「ん?……コ、ココナツ、なんか鍵しまって開かないんだけど!」

ココノツ「おちついて、ここにチェックアウトする時お金を入れたら開くみたいだよ」

サヤ「そ、そうなの?心霊とかじゃないよね?」

ココノツ「でも帰る時以外は出入りできないみたいだね」

サヤ「えー、じゃあ街をぶらぶら出来ないの?」

ココノツ「今日は移動とホテル探しで夜になっちゃったし明日から旅行楽しもうよ」

サヤ「うわっ、でっかい風呂。お湯ためよーっと」

ココノツ「ベッドも大きいねー」

サヤ「ココナツ!トイレのふたが勝手に開いた!!」

ココノツ「ウェルカムドリンク?飲んで良いのかな?」

サヤ「ココナツココナツー、バスローブあったー。こんなの映画とかでしか見たことないよねー」

ココノツ「確かに田舎には似合わないよね」

サヤ「2つあるからお風呂出たら来てみようよ!」

ココノツ「……」

サヤ「どうした?急に黙って」

ココノツ「いや、サヤちゃん元気だなーって。見てるとこっちも元気になってくるよ」

サヤ「なんだよ、うるさいって言いたいのか?」

ココノツ「ううん。サヤちゃんのそういう所、僕は好きだよ?」

サヤ「お、おう……」

サヤちゃん……

サヤ「すげー、宿泊客は食事全部無料だって」

ココノツ「1人一品って書いてあるけど、本当にこのエビフライ御膳とかも無料なのかな……?」

サヤ「よくわかんないけどけど無料って書いてるから大丈夫じゃない?」

ココノツ「うーん……それもそうだよね。……あっお風呂のお湯たまったみたいだよ」

サヤ「ココナツ先入っていいよ。あたしは後で入るから」

ココノツ「いいの?じゃあお言葉に甘えて」

サヤ「うん、注文だけしとくー」

ココノツ「はぁー、いいお湯だった。銭湯とか以外でこんな広いお風呂初めてだよ」

サヤ「んじゃあたしも入ろーっと。頼んどいた料理が来たら受け取ってて。先に食べちゃダメだからねー」

ココノツ「うん、わかった」


サヤ「うひゃー、改めてみるとやっぱりでっかー」

サヤ「って言うかなんでお風呂にエアベッド?」

サヤ「まあいいや。今日は疲れたしゆっくりお風呂に……」

サヤ「…………」

サヤ「このお風呂……ココナツも入ったんだよね」

サヤ「…………」

サヤ「いやいやいやいや!別に変な意味とか意識とかして無くて!ただココナツも入ったんだよねーって思っただけだし!」

サヤ「よ、よし、入ろう!お風呂に入りに来たんだから。別にココナツが入ったとか関係無く、うん。うんうん」チャプン…


サヤ「…………」

サヤ「うう……普通こう言うのって男女逆になんじゃ……あたしの入ったお風呂でココナツがドキドキするのが定石でしょ!」

ココノツ「ありがとうございました」

ココノツ「うわー、美味しそうだ」

ココノツ「サヤちゃーん、料理きたよー」

サヤ「うん、今いくー」

ガチャツ

サヤ「えへへ、どう?」

ココノツ「あっ、バスローブ着たんだ。なんか映画に出てくる人みたいだよ」

サヤ「えっと、その例えってどうなの?」

ココノツ「ワイングラスとか似合いそう」

サヤ「ココナツは着ないの?」

ココノツ「せっかくだし寝る前にもう一回お風呂入ってから着るよ」

サヤ「またお風呂入るの!?」

ココノツ「ごちそうさまでした」

サヤ「なんかさ……普通に美味かったね」

ココノツ「うん。本当に無料なのか心配になるくらい美味しかったね」

サヤ「そういえばこんなの見つけたんだけど」

ココノツ「衣装の無料貸し出し?」

サヤ「フロントに電話して頼んだら貸してくれるんだって」

ココノツ「何のために?」

サヤ「さあ?でも面白そうじゃない?」

サヤ「ココナツはこの中だとどれが1番好き?」

ココノツ「うーん……OLにナースに女子高生?なんか卑猥なコスプレを連想するな……」

サヤ「女子高生は無いよね。わざわざ借りなくても家にあるし」

ココノツ「バニースーツとかまであるんだ……」

サヤ「で?どれなの?」

ココノツ「メイドとかも良いけどやっぱりナースは憧れるよね」

サヤ「ふーん……じゃあさ、あたしが来てあげようか?なーんて冗」

ココノツ「ほんとに!?じゃあチャイナ服で!」

サヤ「いや、なんでチャイナ服なんだよ。ナース服は?」

ココノツ「サヤちゃんはチャイナ服だから!」

サヤ「……やっぱコスプレなんで無し」

ココノツ「どうして!?」

サヤ「なんか目がヤラシイから」

ココノツ「当たり前だよ!!ちくしょう!」

サヤ「みてみてココナツー。ゲーム機まであるよ。ゲームしよ、ゲーム」

ココノツ「懐かしいのから最新のまであるね。何しようか?」

サヤ「ストツーしよ、ストツー」

数時間後……

ココノツ「えっ、もうこんな時間?そろそろ寝なきゃ」

サヤ「明日は遊びまくるからしっかり体も充電しなきゃね」

ココノツ「じゃあ僕は寝る前にお風呂入ってくるよ」

サヤ「う、うん……」

サヤ「ココナツのやつ、今頃お風呂でドキドキしてんのかな」

サヤ「ココナツが……あたしの入ったお風呂で……」

サヤ「って、なんでまたあたしまでドキドキしなきゃなんないんだよ!」

サヤ「あーもう、寝よ寝よ!」バフッ


サヤ「ん?なんだ?枕元に何かある?ぶどうの香りのうすうす……?」

サヤ「なんか駄菓子っぽいしほたるちゃんのお土産にしよー♪」

ココノツ「いやー、サッパリサッパリ」

サヤ「コ、ココナツ。どうだった?その、湯加減は……」

ココノツ「ん?」

サヤ「だから入ったんだろ!お風呂の湯船に……」

ココノツ「ううん、もう緩くなってたからシャワーだけだよ?」

サヤ「…………」

ココノツ「サヤちゃん?」

サヤ「いや、なんでもない……もう寝よう」

ココノツ「うん。じゃあ僕はソファーで寝るよ。何かあったら起こしてね」

サヤ「わ、わかった……」

翌朝

サヤ「ココナツー、起きろー。朝だぞー」

ココノツ「うーん……あと5分……」

サヤ「早く出ないと延長料金かかるぞー」

ココノツ「ふぁ~……おはようサヤちゃん。昨日は何もなかった?」

サヤ「ああ、何もなかったよ。何も……」

ココノツ「あれ?目の下にクマがあるけど寝不足?もしかして枕変わったら寝れないタイプだった?」

サヤ「大丈夫大丈夫……別に何かあるなんて思ってなかったし……」

ココノツ「良いホテルだったね。本当に5000円だったし」

サヤ「なんかおしゃれだったしね」

ココノツ「ビジネスホテルって感じでもないし……地元じゃ見ないよね。何ホテルだったんだろう?」

サヤ「えーっと……あっ、ここに書いてるよ。ブティックホテルだって」

ココノツ「ブティックホテルか……今夜もブティックホテル探して泊まれたら泊まろうか」

サヤ「うん!じゃあ遊びにいこっ」


こうして2人の初ラブホは終わった。

美味しそうに自分の作ったコーヒーを飲むココノツを頬杖つきながらニコニコ見守るサヤちゃんがいたら可愛い

サヤ「でっかー……」

ココノツ「はい、入場券」

サヤ「なんかあれだ、テンションあがる!」

ココノツ「確かに雰囲気だけでテンションあがるね」

サヤ「人も多いなー。うちの町の何倍くらいいるんだろ」

ココノツ「うわー……頭になんか真っ赤なリボンみたいな変なの付けてるおばさんが……」

サヤ「ほんとだ。可愛いねあれ」

ココノツ「えっ?」

サヤ「え?可愛く無い?」

ココノツ「まあ……いくらなんでも派手すぎっていうか……」

サヤ「そうかなぁ……よし、ちょっと待ってて!」


サヤ「ココナツー、見て見て」

ココノツ「そのリボンってさっきの?」

サヤ「うん。どう?意外と可愛く無い?」

ココノツ「うーん……どうなのかな」

サヤ「よし、殴られたい方の頬をだしてみ?」ニッコリ

ココノツ「ち、ちがうよ!もちろん可愛いと思うけど!」

サヤ「けど?」

ココノツ「サヤちゃんが付ければ可愛いなんて分かってたから、別に意外ではなかったなって……」

サヤ「ココナツ……お前、時々さらっと恥ずかしいこと言うよな」

ココノツ「?」

サヤ「まあ良いや。それより早く色々まわろ!」

ココノツ(昨日のホテル代と入場料で大体2万円……)

サヤ「あっ、みてみてココナツー」

ココノツ(残りが12000円で今日のホテル代が5000円だから……残りは7000円で)

サヤ「おーい、ココナツー。聞いてるー?」

ココノツ(あれ?そう言えばさっきのヘアバンドいくらだったんだろ?)

サヤ「おい、ココナツ!」

ココノツ「えっ!?な、なに?どうしたのサヤちゃん?」

サヤ「お前、さっきから1人でブツクサ言ってたけど……またお金の事考えてだろ?」

ココノツ「だってちゃんと計算して使わないと……」

サヤ「大丈夫だって。夕飯は付いてるしホテル代だけあれば良いんだからさ」

ココノツ「ても……」

サヤ「ココナツ!」

ココノツ「わ、わかったよ。でも節約はしようね」

サヤ「うん。じゃあ早速だけどアレ食べよう!」

ココノツ「サヤちゃん……」

サヤ「みてよココナツ、これ恐竜の肉っぽくない!?」

ココノツ「ほんとだ。ジェラシックパークの近くだから余計にそう見えるね」

サヤ「よし、じゃあこれ食べよう」

ココノツ「でも結構高ーー」

サヤ「コーコーナーツー?」

ココノツ「じゃあ1つだけ、僕はいいから!」

サヤ「えへへ♪すみませーん!この恐竜の肉くださーい」

店員「ターキーレッグですね、少々お待ちくださーい♪」

サヤ「ねー、ココナツー」

ココノツ「なーに?サヤちゃん」

サヤ「あの人恐竜の肉の事ターキーレッグって言ってたけどさー」

ココノツ「うん」

サヤ「ターキーレッグってクリスマスの時に売ってるやつだよね?」

ココノツ「そうだねー。食べたことないけど鳥だったっけ?七面鳥?」

サヤ「じゃあやっぱこの肉も鳥なのかなー?」

ココノツ「だろうねー」

サヤ「恐竜で鳥……トリ……トリケラトプス?」

ココノツ「どっちかと言うとプテラノドンじゃない?」

店員(あの2人、ターキーレッグも食べずに空を見上げてなに話してるのかしら)

サヤ「まあいいや。いただきます。ガブッと」

ココノツ「どう?美味しい?」

サヤ「うーん……なんかハムみたいな味?ココナツも食べる?」

ココノツ「じゃあ一口……あむっ」

サヤ「あっ……」

ココノツ「うん、確かに鳥って言うかハムっぽいね」

サヤ「ココナツ……そこ、あたしがかじった所だったんだけど……」

ココノツ「えっ?……あっ、ご、ごめん!気を使わなくて」

サヤ「う、ううん!ココナツが気にしないならあたしは全然良いんだけど……」

ココノツ「言われてから気にしちゃってるかな……これって間接キスだよね」

サヤ「わわっ、わかってるから口に出すなよ!って言うか、結局全部食べたらどこかでそうなるわけだし……はむっ」

ココノツ「あっ、そこ僕がいまかじったーー」

サヤ「もう良いからそういう事言うなよ!」


店員(♀)30代後半独身(若いカップルはみんな別れれば良いのに)

脇……

ココノツ「これからどうしようか?サヤちゃんは何のアトラクションに入りたい?」

サヤ「うーん、どれも待ち時間長いね」

ココノツ「100分待ちとかばっかりか……」

サヤ「でもアトラクションなんてすぐ終わっちゃうんでしょ?」

ココノツ「まあ待ってる時間の方が何倍も長いよね」

サヤ「じゃあもう何も入らなくてもいいんじゃない?見てるだけでも楽しいし」

ココノツ「でもせっかくだし」

サヤ「あっ、じゃあアレしてみようよ」

ココノツ「バスケットゲーム?」

サヤ「みんなでやって1番点数高かったらあの人形貰えるんだって。ココナツやってみてよ」

ココノツ「僕が?でもこう言うのサヤちゃんの方が上手だよね?」

サヤ「いいじゃん。私はここで座って見てるからさ」

ココノツ「あの人形が欲しいの?」

サヤ「うん、まーねー」

ココノツ「じゃあやるだけやってみるよ」

サヤ(ココナツは昔からあたしが欲しそうにしてると金魚とってきたりしてくれるんだよね)

サヤ(まあ取れなくて仕方なくおまけでもらったやつだけど……)

サヤ「おー、やってるやってる」

サヤ「しっかし…………」

ココノツ「ああっ!ボールが転がって!」

サヤ「なにやってんだココナツのやつ……ヘッタクソだなぁ」

ココノツ「このっ!」

サヤ(でもまぁ……ああやって必死に頑張ってる姿は悪くないかな……あたしの為に)

ココノツ「みた!?サヤちゃん!1回入ったよ!」

サヤ「こっち見てないで早く投げないとみんな5回くらい入れてるよー」

ココノツ「結局全然ダメだったね」

サヤ「そだねー」

ココノツ「次はサヤちゃんがやってみる?サヤちゃんなら1位になれそうだけど」

サヤ「ううん、お金がもったいないしやめとく」

ココノツ「でもあの人形欲しいんじゃないの?」

サヤ「え?別に?」

ココノツ「あれ?」

サヤ「それよりあっちの舞台で何かやってるよ!あれなら並ばないで良いし見にいこうよ」



ココノツ「ねーサヤちゃん」

サヤ「んー?」

ココノツ「凄いよね僕たち」

サヤ「なにが?」

ココノツ「初めて来たUSJで何のアトラクションも入らず出てきちゃったよ」

サヤ「でも楽しかったね。音楽とか」

ココノツ「まあ雰囲気は楽しかったけど……」

サヤ「それに面白い動画も撮れたしね♪」


『みた!?サヤちゃん!1回入ったよ!』


ココノツ「そんなの撮ってたの!?恥ずかしいから消してよー!」

サヤ「ダメダメ。これから時々このココノツの勇姿を見て笑うんだから」

ココノツ「ひどいよサヤちゃん」

サヤ「んふふ♪」

サヤ「さあ、遅くなる前にホテル行こーっ」

ココノツ「そうだね。昨日みたいなホテルが近くにあれば良いけど」

サヤ「ブティックホテル……だっけ?」

ココノツ「地図とか無いのかな?」

サヤ「あっ、あそこに良いのがあるじゃん。聞いてみようよ」

ココノツ「ほんとだ。すみません、この辺りにブティックホテルってありませんか?」

警官「……ん?」

サヤ「あたしたち今夜泊まるブティックホテルを探してるんです」

警官「とりあえず署内で話を聞こうか」

警官「君たち随分若く見えるけど学生さん?」

ココノツ「はい。高校生ですけど」

警官「じゃあまだそういう所は少し早いかな」

サヤ「どうしてですか?ちゃんと親の許可も取ってるし家出とかじゃないですよ?」

警官「親の許可があっても法律的にねぇ」

ココノツ「法律?」

警官「高校生がラブホテルに行くのをおまわりさん的に止めないわけにはいかないな」

サヤ「ラブッ……!?ち、ちがいます、ブティックホテルです!」

警官「だからラブホテルの事だよね?」

サヤ「はっ、え……あっ、わ、わた……」

パンツ見たかったな

サヤ「困ったね……」

ココノツ「うん。まさかこんな事になるなんてね……」

サヤ「お金あとどれくらい残ってるの?」

ココノツ「色々買ったからピッタリ5000円なんだ」

サヤ「あたしの残ってる小銭入れても普通のホテルには足りないよね」

ココノツ「ごめんね。もっと計画的に使ってればこんな事にならなかったのに」

サヤ「ああー、良いって!2人で楽しんだんだからさ!」

ココノツ「とりあえず泊まれそうな所探そうか」

サヤ「そうそう、前向きに行こうよ。別にホテルじゃなくてもさ、都会なら漫画喫茶とかカラオケボックスとか時間潰せる所は沢山あ」

ほたる「あら、なにやらお困りのようね!そこのお二人さん!」

ココノツ「ほたるさん!?」

ほたる「ほたる?それは枝垂カンパニーの社長令嬢、枝垂ほたるさんの事かしら?」

サヤ「え?まあ……」

ほたる「だったら人違いね。私は枝垂ほたるではないもの」

ココノツ「いやいや、どう見てもほたるさんですよ……」

ほたる「この世には同じ顔をした人間が3人はいると言うでしょ?それよ、それ」

ココノツ(相変わらず訳分かんない人だなぁ……)

ほたる「まぁ細かい事は置いといて。何か困ってなかったかしら?」

サヤ「えっと、今日泊まる所を探してて」

ほたる「それは大変!もう日も落ちていると言うのに若者がうろうろしていたら犯されてしまうわ!」

ココノツ「犯され……」

ほたる「なんなら私が手を貸してあげても良いわよ?ココノツ君が駄菓子屋を継ぐと言うのなら!」

ココノツ「継ぎませんよ!って言うかもう完全にほたるさんでしょうが!」

ほたる「良いのかしら?野宿なんてしたら犯されてしまうわよ?」

ココノツ「カラオケボックスにでも入って一晩過ごすから大丈夫です!」

ほたる「年端もいかない若者が2人きりで深夜のカラオケボックスに?それはもう犯されても文句言えないわね」

ココノツ「だったら漫画喫茶に泊まります」

ほたる「あんな狭い密室で夜を過ごすですって?犯してくれと言っているようなものだわ」

ココノツ「じゃあもうファミレスで過」

ほたる「深夜にファミレスに2人なんて犯され」

ココノツ「そればっかりじゃないですか!」

ココノツ「サヤちゃんはそんじょそこらの男じゃ手も足も出ませんよ」

サヤ「あ、あたしだってか弱い女の子なんだけど!」

ココノツ「それに……もし変な輩が出てきたら僕が必ずサヤちゃんを守ります」

サヤ「ココナツ……」

ほたる「サヤ師は守らなくても自衛できるでしょ?そんなヤワな人ではないわ」

ココノツ「じゃあ……」

ほたる「犯されるのはあなたよ!ココノツ君!」

ココノツ「僕!?」

ほたる「まあ冗談はさておきホテルには泊まりなさい。今回だけ駄菓子屋を継ぐ話は無しにしてあげるわ」

ココノツ「何か裏がありそうな気が……」

ほたる「だいたいカラオケボックスや漫画喫茶で女の子に一晩過ごさせようなんて男として失格よ」

ココノツ「うぐ……」

ココノツ「じゃあお言葉に甘えて……」

ほたる「良い判断ね。それじゃあ行きましょ」

サヤ「行くってどこに行くの?」

ほたる「ここよ、ここ。近くていいでしょ」

サヤ「ここって……最初に来て高かったからやめたホテルだよね……」

ココノツ「ほたるさん、ここ凄く高いですよ?」

ほたる「そうなの?相場がよく分からないのだけど……とりあえず部屋は取っておいたから心配いらないわ」

ココノツ「なんだかすみません。色々してもらっちゃって」

ほたる「良いのよ別に。それじゃあ私は少し用があるからこれで。予約はココノツ君の名前でしてあるから」

サヤ「あ、ありがとね、ほたるちゃん!」

係員「いらっしゃいませ」

ココノツ「あのー……」

係員「あら、お客様は昨日の」

ココノツ「あ、はい。実は今日泊まりたくて」

係員「申し訳ありません。昨日と同じスタンダードルームは満室で」

サヤ「今日は予約してあるんです!」

係員「そうでしたか♪ではご予約されたお客様のお名前をお願い致します」

ココノツ「鹿田ココノツです」

係員「鹿田様鹿田様……鹿田ココノツ様でよろしいのでしょうか?おかしいわねどこにも……」

ココノツ「……?」

係員「あっ、もしかしてこの、鹿田駄菓子を継ぐ男ココノツ様……でしょうか?」

ココノツ(なんか調子に乗った高校生グループのボーリング登録名みたいな事に……)

係員「申し訳ございません。お客様のチェックインは3階専用フロントでお願い致します」

ココノツ「3階ですか?わかりました」

サヤ「ココナツー、こっちにエレベーターあるよー」

係員(あんなに若いのに……でも昨日はお金が無くて宿泊を取りやめたような……?)


係員2「鹿田駄菓子を継ぐ男ココノツ様ですね。少々お待ちください」

ココノツ「……」

係員2「ラグジュアリーフロアになりますのであちらのエレベーターから専用キーをお使いいただいて28階までご案内致します」

ココノツ「エレベーターに専用キー?」

サヤ「28階だってさ!景色とか良さそうだね!」

係員2「お泊りいただくザ・パーク・フロントルームはこちらになります」

ココノツ「…………」

サヤ「…………」

係員2「では何かありましたらフロントまでご連絡ください」


ココノツ「サヤちゃん……」

サヤ「なーにー……?」

ココノツ「最上階だったね」

サヤ「だね」

ココノツ「なんか高校生には場違いなホテルだったのかな」

サヤ「それを言うなら昨日も高校生には場違いなホテルだったけどね」

ココノツ「……」

サヤ「スタンダードルームで18000円だったよね?ここはどう見てもスタンダードな感じじゃないけどさ……」

ココノツ「ザパークフロントルームだっけ?絶対18000円じゃ泊まれないよね。そうだ、携帯で検索すれば大体の料金が分かるかも」

サヤ「なんか貧乏くさいけど気になっちゃうよね」ポチポチ

ココノツ「それにしても凄いや……こんな大きい部屋は初」

サヤ「コ、ココナツ、大変……!な、なんか、1泊20万以上とか書いてるんだけど……」

泊まった事も無ければ泊まる予定もないホテルを入念にチェックしてたら涙が出てきた。

ココノツ「まあ……せっかく用意してくれたんだし楽しもっか」

サヤ「だよね。多分もう2度と泊まれる事なんてないだろうし」

ココノツ「とりあえず何か食べる?残ってた宿泊費を食費にまわせるけど」

サヤ「でもこんな所で食べたら高そうだよね……」

コンコン

ほたる「ルームサービスをお持ちしましました!」

サヤ「え?何か頼んだっけ?」

ココノツ「いや、これ絶対ほたるさんだよね」

サヤ「はーい」

ほたる「そろそろお腹がすいたんじゃないかと思って食事を用意してあげたわよ♪」

ココノツ「そんな悪いですよ。僕たちならコンビニでおにぎりでも買って……」

ほたる「無理しちゃって。そろそろ駄菓子が恋しい頃でしょ?」ドッサリ

サヤ「食事って駄菓子だったんだ……」

ココノツ「もしかして用があるってコレを買いに行ってたんですか?」

ほたる「それもあるけど」

ココノツ「?」

ほたる「それはそうとサヤ師、ちょっと良いかしら?」

サヤ「え?うん、なーに?」

ほたる「向こうの部屋まで来て欲しいのよ。ココノツ君は駄菓子を食べて時間を潰しててちょうだいね」

ココノツ「こんな広い部屋に1人なんて落ち着きませんよ……」

ほたる「大丈夫よ。あなたには駄菓子が付いているわ」

ココノツ「大丈夫じゃありません!ついて行きますから!」

ほたる「そこまで言うなら別に構わないけど……裸になるわよ?」

ココノツ「望むところです!」


殴られた。

サヤ「まったく、ココナツは本当に……!」

ほたる「まぁサヤ師くらいの美少女なら誰だって見たいものなんじゃないかしら」

サヤ「いいや、あのバカ絶対ほたるちゃんの事見てたし!」

ほたる「……ねぇサヤ師、私はあなたに謝らなければならない事があるの」

サヤ「どうしたの急に?謝らなければならないこと?」

ほたる「ええ、実は私ね…………似ている人ではなくて、枝垂ほたる本人なの!騙すようなことしててごめんなさい!」

サヤ「えっ、あ……う、うん……。まぁ知ってたけど……」

ほたる「ふふっ、さすがサヤ師。ココノツ君は騙せてもサヤ師の目は誤魔化せなかったようね」

サヤ(多分誰も騙せてないと思うけど……)

ほたる「さあ着いたわ。中に入って」

サヤ「この部屋がほたるちゃんの部屋なの?おじゃましまーす」


サヤ「うわっ、何この部屋!服がいっぱい……レンタル衣装屋さん?」

ほたる「せっかくの旅行ですもの。身だしなみも大事でしょ?」

サヤ「でもレンタル衣装とか凄く高そうだし……」

ほたる「安心して!ここにある衣装は全て買ってきた物ばかり。遠慮せず使ってちょうだい!」

サヤ「買って来たって事はほたるちゃんの私物?なら余計に借りるわけには……汚したりしたら大変だし」

ほたる「その点も大丈夫よ。これはサヤ師の為に買って来たんだから。気に入ったのがあればいくらでもあげるわ♪」

サヤ「こんな高そうな服貰えるわけないじゃん!ほたるちゃんが着なよ。あたしじゃこんなドレスとか似合わないし」

ほたる「サヤ師は自分を過小評価し過ぎね。あなたほど魅力のある女性なんてそうはいないわよ?(ゲームの上手い駄菓子屋のお姉さん)」

サヤ「そんな……」

ほたる「それにこの服は全てサヤ師に合わせてあるから私には入らないのよ」ばいんっ

サヤ「あっ……」ぺたーん

サヤ(そう言えば夏祭りの時、ココナツは浴衣が似合うって褒めてくれたっけ……)

サヤ(意外とそう言うのしっかり見て意識してくれてるのかな……)

ほたる「さあさあ、サヤ師。どれにする?どれにする♪」

サヤ「じゃあお言葉に甘えて……」

ほたる「このウェディングドレスなんてどうかしら!いっそそのままココノツ君と式まであげちゃうとか♪」

サヤ「な、何言ってんの!?」

ほたる「じゃあこっちのドレスは?スリットが入っててセクシーよ♪」

サヤ「もっと普通の……」

ほたる「前にココノツ君と遠藤君が話してたのをたまたま聞いたんだけど、ココノツ君曰くサヤ師は脚らしいわよ?」

サヤ「……~っ」


セクシーなドレスを着た。

夜のサヤちゃんはココナツの前ではドM

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