セル「まず“超ベジータ”ということは、ベジータの上位種であると推測できる」

セル「つまり、ベジータの特徴をより高いレベルで持っていることになる」

セル「ベジータの特徴といえば、プライドが高い、戦いが好き、孫悟空をライバル視している」

セル「……こんなところか」

ベジータ「ふむ……それで？」

セル「これを踏まえて“超ベジータ”の特徴をまとめるとこうなる」

セル「プライドが超高く、戦闘が超好きで、孫悟空を超ライバル視している」

セル「いやこの場合、孫悟空も“超孫悟空”であると考えるべきだな」

ベジータ「たしかにな」

セル「しかし、“超孫悟空”がいるという話は聞かない」

セル「なぜか？　そう――」

セル「“超孫悟空”はすでに死んでしまったのだ」

セル「“超心臓病”によってな！」



ベジータ「な、なんだと……！？」

セル「ライバルを失い、“超ベジータ”は孤独になった……」

セル「当然だ。この地球に、プライドが高い戦闘好きの居場所などあるわけがないからな」

ベジータ「くっ……なんてことだ……」

トランクス「父さん！　早くセルを倒して下さい！」

ベジータ「お前は黙っていろ！　トランクス！」

セル「しかし一方、下位種であるベジータはどうだ？」

セル「地球に少しずつではあるが馴染み始め、ブルマという妻やトランクスという子もできた」

セル「仲間とは馴れ合うことはないが、共に戦う時は戦う……」

セル「“超ベジータ”は嫉妬した……」

セル「なぜ自分は孤独なのに、下位種であるベジータは孤独ではないのかと……」

セル「“超ベジータ”はベジータを妬むあまり、ベジータに戦いを挑んだ！」

セル「これはいってみれば、超サイヤ人と普通のサイヤ人の戦いだ」

セル「勝負になるわけがなかった」

セル「あっという間に、“超ベジータ”はベジータを追い詰めたのだ……」

ベジータ「それからどうなるんだ！？　早くしろーっ！」

セル「だが、ベジータは倒れなかった……！」

セル「“超ベジータ”は幾度もベジータを殴りながら、考えた！」

セル「なぜこいつは倒れないのか？　……と」



トランクス「“超ベジータ”に屈しないなんて……さすが父さんだ！」

セル「長い戦いの果て、やがて“超ベジータ”は悟ったのだ……」

セル「ベジータが倒れない理由、それは……戦いや殺しを楽しんでいるからではない」

セル「かといって守る者がいるからでもない……」

セル「ヤツは……限界を極め続け、絶対に負けないために戦っているのだと！」

セル「だから倒れないのだと！」



クリリン「す、すげえ……！　まるで悟空みたいじゃないか！」

１８号「あのベジータが……」

１６号「知らなかった……」

セル「そして“超ベジータ”は目覚めた！」

セル「殺したり楽しむために戦うのではなく、負けないために戦うことを！」

セル「だからこそ、私という敵に挑みにきたのだ！　――限界を極めるために！」

セル「それがお前なのだ！　“超ベジータ”！」ﾋﾞｼｯ



ベジータ「そ、そうだったのか……！」

セル「私はようやく理解したよ……“超ベジータ”を」

セル「ならば私も、もはや完全体などにこだわっている場合ではない」

セル「“超セル”を目指す！」

ベジータ「ふん……勝手にしろ」

トランクス「オレも“超トランクス”を目指します！」

クリリン「オレだって“超クリリン”になってみせる！」

１８号「私も“超１８号”になってやるよ」

１６号「オレも……“超１６号”になりたい……！」

セル「ふふふ……これは面白いことになったな」



ベジータ「ちっ、どいつもこいつも真似しやがって……」

ベジータ（まずいな……このままでは“超ベジータ”に大した価値がなくなってしまう！）