【俺ガイル】八幡「ボーダーか…」【ワートリ】 (938)

前のスレではすいませんでした
新たにここで始めさせていただきます

主人公 八幡の基本的なトリガーセット
メイン
弧月、メテオラ、シールド、バッグワーム
サブ
旋空、メテオラ、バイパー、アステロイド

ここから射撃トリガーを組み替えたりしている
基本避けるスタイルなのでシールドは念のためとして片方にだけ装備

では始めさせていただきます

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1454944275


「このまま街に墜ちるつもり!?」

「止まれ!止まりなさい!」

このままでは街が!人が大勢死んでしまう!
それだけは…!!

少女は叫ぶ

「やることは決まったな」

少年は頼まれたことを実行しようとする

「おいおい、なにやってんだエリートさんよ」

そして
目の腐った青年はやれやれとポケットに手を入れる


「止まって!!」ドンッ!ドンッ!


「ま、こいつを試す絶好の機会だ…トリガーオン」キィィィン


「頼むぞ、レプリカ」

『りょうか…待て、遊真!』

「?」

街に自爆するために墜ちようとしていたイルガーは

突然顔の先から尾まで一本の線に貫かれた
そして

(何!?こいつ、突然…!?)

爆発することすら出来ずに河に墜落した


「ふぅ。木虎にばれなかっただろうな…。念のためさっさ退散しよ」

木虎はチームメイト以外に助けられるのを気持ちよく思わないだろう
見つからないうちにとっとと撤退だ

「あ、そういやまだこのトリガーをボーダーのトリガーとして認証してなかったな。やっべ…ま、いっか」

逃げるが勝ちだ

「うお、イルガー貫いた。なんだ今の」

『自爆モードのイルガーを貫くとは』

「キトラ…じゃないよな?」

『キトラが出来たのなら最初からやっていただろう』

「ふむ。ボーダーにもすごいやつがいるってことか」

『何にせよ、これでトリガーも使わずに済んだ。結果として良かったと言えよう』

「そうだな」

――――――
「うっす」ガチャ

「遅い!」パァン

「いってぇぇ!?何しやがる小南!!」

「普通に遅刻っすよ、比企谷先輩」

「あー…それは悪かった。ちょっと途中で野暮用が出来てな」

「ふっふーん?」

「あ?なんだよ宇佐美?」

「大方、さっきの爆撃型だろう?」

「…なんで分かるんすかレイジさん。エスパーっすか」

「お前のやりそうなことだからな」

「???」

「小南先輩、通知見てないんすか?」

「通知?なにそれ?」

「よせよ、京介。この斧女がそんなこといちいち確認するわけないだろ」

「誰が斧女よ!!」ウガー

「いてぇ!噛み付くな!!」

「仲がいいねぇ二人共」ニヤニヤ

「「はぁ!?誰がコイツなんかと!」」

「はぁ、まったく…いいからさっさとミーティング始めるぞ」

「「「了解」」」「いてぇ…」


俺は比企谷八幡
高校2年生のしがないボーダー隊員だ
スタイルとしては一応オールラウンダー
ってもほぼ弧月ばっか使ってるけど
メテオラやバイパー、アステロイドなんかも使ってることは使ってる
使い方はかなり特殊で、多分こんな使い方が出来るのは俺だけだろうがな
俺の自慢できる数少ない特技の一つだ
それはまた今度話すとしよう
あと一応強化視覚のサイドエフェクトも持っている
スナイパーの弾を避けたり相手を見つけるのに役立ってるな
ちなみに元アタッカー3位
玉狛支部に入ってからはほぼソロランク戦をしてないからかなり抜かれてる
実力的には今じゃカゲさんにぎり負けるくらいか?
鋼さんにはまだ勝ち越せるな
あの人のことだからそのうち抜かれるだろうけど


母親は4年前の第一次大規模侵攻で殺された
俺と小町は三門市外の出掛け、親父は出張に行っていたおかげで難を逃れたが…
その後の小町と親父はもう見てられなかった
1年後には落ち着きもかなり取り戻し、今では以前とあまり変わらない生活も出来ている
家事は俺と小町でなんとかしてるしな
んで、俺はその大規模侵攻の後からボーダーに所属している
最初は俺も母さんの仇をうつためだった
そうすれば小町や親父も立ち直れるかもって思ってたからな
でも、ボーダーに入って2年後、初めて遠征に出掛けた時
そこで俺の価値観は一変した
それまでは本部所属の城戸派だったが、現在は玉狛支部に所属している
それなりに楽しくやれており、俺は悪くないと感じている

あと俺はかなりの引きこもり体質で休日は必ず家にいる
まぁ休日なんて滅多にないんですけどね☆
それもこれもあの変なサングラスかけたエリート隊員がいろいろ引っ張りまわすからだ


ちなみに俺の通っている総武高校にはボーダー隊員が何人もいる
仲の良いやつも何人かいる…と信じてる
というか一方的に向こうから絡んでくる
やれ「勝負しようぜハッチー」だの、やれ「勉強おしえてくれハッチー」だの
たまに俺の教室に来てはそんなことを言う
教室では友達いないんだからやめろよ
注意引いちゃうだろうが
しかも俺がボーダー隊員だってばれるんじゃないかとヒヤヒヤする
てかハッチーってなんだよ誰がハッチーだコラ
そうそう、俺がボーダー隊員ということは学校では同じボーダー隊員のやつらしか知らない
知られると話を聞かせてくれだの何だの鬱陶しいからな
ま、俺に限ってそれはないと思うんだけどね☆
え?さっきから陶しい?すいませんでした

すいません、パソコンが急に使えなくなってしまったので今日はここまでとさせていただきます

また使えるようになればすぐにでも投下したいのですが、無理そうです
明日になれば必ず使えるのでまた明日に投下します

期待

乙です

こんにちは
投下します


あ、この人達は俺のチームメイト
隊長のレイジさん、もさもさしたイケメンの京介、オペレーターで眼鏡大好きな宇佐美、あと斧女の小南
俺含めて全員この玉狛支部というところに所属している
4人ともかなりの腕利きで正直言ってボーダーで最強の部隊だと思っている
さらにもう一人欠かせないのが

「迅はどうした?」

「さぁ…あの人いつも飄々としてますからね」

俺が答える

「てかあいつがミーティングに顔出すわけないでしょ。今まで一度だって顔出したことないじゃない」

「迅さんなら多分今本部にいますよ。確か今日は会議とかなんとか」

「はぁ…まぁいい」

京介曰く今日は会議らしい
まぁあの人組織の重要人物だからな


今話題に出た男
迅悠一
黒トリガーの「風刃」を所有するS級隊員だ
未来視のサイドエフェクトを持っていてそれがまた風刃と相性がかなりいい
なかなかにチートな人だ
趣味は暗躍
前述どおり俺もよく巻き込まれている
その度に厄介なことになるから勘弁してほしい
…まぁ俺から首を突っ込むこともあるけど
正直結構頼りになる人なんだけどな
キャッ、言っちゃった///
すいません、調子乗りました

まぁそれは置いといて
この俺を含めた戦闘員5人とオペレーター1人が玉狛支部の全戦力だ
スタッフも何人かいるが、それはまぁ割愛させていただく
ボーダー3勢力の1角をこの少人数で担っている
勢力は一番弱いけどな
まぁだがそのことからもこの部隊が最強だと言える要因の一つだろう


ミーティングを終え、自室で本を読んでいると迅さんが帰ってきた

「ただいまー。あー腹減った」

挨拶だけはしとくかな

「お帰りなさい、迅さん」ガチャ

「よう、八幡」

「あら迅じゃない」

「よ、小南。あーそうだお前らに言っとくことがある」

「「??」」

「明日空けとけよ。忙しくなるぞ。イレギュラーゲートの原因が明日判明するから、そうしたら隊員全員でその原因潰しだ」

ほう
流石未来視
こういうことが分かるのは便利である
まぁ引きこもりの俺に予定なんてあるわけないんですけどね☆
たまに米屋とか出水とかに連れまわされることはあるけど…


翌日になると隊員全員に指令が届き、C級までもが出動する小型トリオン兵の大掃除が行われた

「あー疲れた。これもう1ヶ月分は働いたわ。もう防衛任務しばらく休みでいいんじゃね?」

「何言ってんのよ馬鹿幡」

「おいなんで俺の小学生の頃のあだなの一つを知ってる。それに馬鹿とは失礼だな。小学生の頃はアレだが、今は成績は良い方だから別に馬鹿では…」

「あ、加古さんだ。おーい加古さん!」タッタッタ

「…あいつ今度ぶった切ってやる」ピクピク


そんな小南とのいつも通りのやり取りを終え、ぶらぶらしていると迅さんを見つけた
隣には知らないやつが二人いる
…なんか変なことに巻き込まれる気がする
気づかれる前に退散…

「お、八幡!」

チックショー
こうなってはしょうがない
挨拶だけ交わして逃げよう

「お疲れ様です迅さん。この二人は?」

「今回のイレギュラーゲートの要因を見つけてくれたやつらだよ」


「いや、僕は何も…」

「いいから手柄はもらっとけって、修」

「そうだぞー眼鏡君。パワーアップは出来る時にしといた方がいい」

「?」

「あ、僕は三雲修と言います」

「俺は空閑遊真だよ」

「空閑に三雲な。俺は比企谷八幡、よろしく」

「あ、はいこちらこそ」

「よろしく」

「ん?…迅さん、空閑ってネイバーっすか?」

「!?」

「!!」

「お、気付いたか」

「まぁ雰囲気で何となくっすけどね」

「…俺をどうもしないのか?」

「しないよ。するわけがない」

「?」

「俺はネイバーの世界に何回か行ったことがあるんだ。だからネイバーに良いやつがいるってことも知ってる。ネイバーだからって邪険にはしないさ」

『なるほど。迅以外にもそのような人物がいるのは助かる』ニュッ

「うおっ!?なんだこいつ?」

『始めまして八幡。わたしはレプリカ。遊真のお目付け役だ』

「はぁ…これはどうもご丁寧に」

「さて、そろそろ行くぞ遊真、眼鏡君」

お?俺が退散する前にどこかに行くようだ


「あ、はい」

「ん、わかったよ迅さん」

「3人でどっか行くんすか?」

「あぁちょっとな。じゃあまた後でな、八幡」

「失礼します」

「じゃあな、比企谷先輩」

「おーう、今度基地にも顔出しな。菓子くらいなら出せるぞ」

「ふむ、楽しみしています」


3人と別れた俺は帰路についていた
時刻は既に夜の7時
腹も空いてきた
マイリトルシスターのいる我が家に帰るとしますかね
…っと思ってたんだが

「おい、ハッチー!飯食いに行こうぜ!」

「この前いい中華料理屋見つけたんだよ!」

なんでお前らがいる
米屋と緑川
お前ら本部も家もこっち方面じゃないだろ
そのことを伝えると


「飯食いに行く途中だったんだよ。んで、お前を見つけたってわけ」

だからってなんで俺まで誘うんだ

「腹減ったから早く行こうよー」

「あと15分も歩けば着く。ほら、行くぞ」

「おい待てなんで行く前提なんだ。俺は家に帰る。疲れたんだ」

と言い残して歩き始めると

「さー行くぞー。緑川」ガシ

「あいあいさー」ガシ

「!?」

なん…だと…!?


「離せお前ら!?てか力つよっ!!よく見たら隊服…てめぇらトリオン体かよ、ずりぃぞ!!」

「「レッツゴー」」ズルズル

「ちょっ、まっ、今あんま財布に余裕ないんだよ!!おい!!」


「うまっ」バクバク

「だろ?」バクバク

「この前いずみん先輩とやねやん先輩と見つけたんだー」モグモグ

俺は普通に食べていた
悲しいかな、食欲には勝てん
いい香りがしたと思ったらもう注文していた
恐るべし中華
ちなみに小町に飯はいらんと電話したら
『お、お兄ちゃんが友達とご飯…!?』
とか言いやがった
うん、俺も驚いてる


「そういや出水っていつこっち帰ってくるんだ?」

「さぁ?1週間後くらいだっけ?」

「確かそんなもんだったと思うよ」

「適当だなお前ら」

「お前だって知らなかったじゃねぇか」

「まぁな」

「みんな適当だね」ケラケラ

腹もふくれて今度こそ帰路についていた
俺の貴重な野口が旅立っていったが、まぁうまかったので良しとしよう
さて一度基地に寄らないとな
よく考えたら持ち物一式全部基地に置いたまんまだ


「じゃあ俺こっちだから」

「おう。今度本部こいよ。バトろうぜ」

「あ、俺もやる!」

「また今度な。じゃあな」ヒラヒラ

「じゃあな」

「ばいばーい」

ほどよい疲労感と満腹感
風も気持ちいいし、こういう時って何故かテンションあがるよな
一人でひゃっほーって叫んで帰ろうか
やめとこ
黒歴史が増えるだけだ


「ただいまー」

「遅かったじゃない。どこ行ってたのよ」

「米屋と緑川と中華食いに行ってた」

「えー!?なんであたしも誘わないのよ!?」

「てめぇはずいぶん前に加古さんとこ行っただろうが」

「あんなもん世間話程度よ。ちぇー、あたしも食べたかったなー」

「今度宇佐美とか連れて行ってこい」

「そうするかー。あんたも来る?」

「暇だったらな」

「おっけー」


なんだかんだ仲が良い二人である

―――――――

「三雲はネイバーと接触している可能性があります」

「ほう、どういうことだ」

「学校で倒されていたトリオン兵とは違い、爆撃型からボーダーのものではないトリオン反応が検知されました」

「なるほど。つまりネイバーのトリガーか」

「うちの隊で見張らせてください。すぐにボロが出るはずです」

「よかろう。もし確定した場合は消せ」

「了解しました」


八幡の気持ちとは裏腹に、暗雲は立ち込める


「…」ペラッ

「よう、八幡」

「ん?迅さん?」

ラッド退治の翌日、俺が本を読みながら支部の居間で一人くつろいでいると迅さんから話しかけられた
こういうパターンは大体

「ちょっと話があるんだが、いいか?」

やっぱりな

「…また暗躍っすか?」

「今回はそんなでもないかな」

「はぁ、いいっすよ。なんすか?」

「悪いな。場所を移そう」

毎回付き合う俺も大概か


「なるほど。三輪隊が空閑をね」

三輪隊が空閑を襲うつもりらしい
まぁあいつは人一倍ネイバーを憎んでるしなぁ
下手したら昔の俺より憎んでるかもな

「それで俺は何をすれば?」

「そのことなんだが…」

「?」

「今回は何もしないでくれ」

「…は?」


「今回、俺がお前にこのことを伝えなくてもお前はどうやら現場にたまたま居合わせちゃうっぽいんだよ。だから言っとかないとってね」

「…その方が良い未来になるんすか?」

「可能性は高い」

「了解しました」

「お、あっさり了解してくれるんだな」

「まぁ迅さんの予知ですからね。それに何もするなってんなら俺にとっては楽以外のなにものでもないっすから」

「はは、助かるよ。じゃあそういうわけだから、頼むわ」

「うーい」


何もするなとは初めて言われたな
ま、つうことは特に気にしなくていいってことだな
正直なんか三輪隊が動いてるってのは気付いてた
それが空閑のことだろうってのもな
まぁでも迅さんが何もしなくていいって言ったんだ
気楽になったぜ

…暇だな。たまには散歩でもするか

「警戒区域内なら他に人もいないし、静かに散歩が出来るからいいな。まぁたまにトリオン兵が出てくるのが難点だが」

ふらふら歩いていると


ドンッ!!

「!!銃声…!トリオン兵か?」ダッ

当然銃声が響いた
近いな
場合によっては救援が必要かもしれんし、行ってみるか

現場に到着すると
そこには三輪と米屋と戦う空閑がいた
しまったな
三輪隊が襲うって言ってんだから市内なはずがない
必ず警戒区域内で戦闘が起こるはずだ
そんな単純なことを見逃してたとは
まぁでも手を出さなきゃいいんだろ?
見てる分には問題ないはずだ
そばには三雲と…女の子?
なんで警戒区域内に…


そんなことを考えていると空閑が空中へと飛びあがっていた

「あ、そりゃまずい」

チュン

遊真は右腕を狙撃されてしまった
しかし何か違和感があるな…
なんかこう…うーん…
そっか、反撃してないんだあいつ
空閑のやつ優しいなぁ
多分三雲の今後のことも考えてるのだろう

そしてさらには三輪に鉛弾までつけられてしまう

「おもっ、なんだこりゃ」


本格的にまずいな

右手を削られてさらには鉛弾
正直絶体絶命だ

手をだすなって言われたけど
…すまんね、迅さん
流石に無抵抗のやつが殺されるのは黙ってみてられん


「終わりだ、ネイバー!!」

「そこまでだ」

ザンッ!

空閑と今にも飛び掛ろうとする二人の間を旋空弧月が遮る

「!?」

「うお!?」

「お?」

八幡が三者の間に割って立つ


「比企谷先輩?」

「よう空閑。結構やられてんな」

「助けてもらわなくてもよかったぞ」

「え?そうなの?」

「うん」

「マジかー…まぁでも出てきちゃったもんは仕方ない」


「比企谷…!!」

「ハッチーじゃねぇか」

「よう米屋。昨日ぶりだな」

とりあえず軽い挨拶を交わす


「なんのつもりだ比企谷…ネイバーをかばうつもりか!」

「落ち着け三輪。そんなんじゃ対話も出来やしない」

「対話など必要ない!ネイバーは全て排除するのがボーダーの責務だ!」

「聞く耳持たず、か。やれやれ」

「お前だってネイバーを恨んでいたはずだ!何故そいつを助ける!」

「いつの話してんだお前は…」

はぁ、とため息をもらす


「ハッチー、そいつと知り合いなのか?」

「ん?ああ、そうだ」

「敵じゃねぇのか?」

「ああ」

「…おっけー。ハッチーがそういうなら信じるぜ」スッ

米屋が構えをといた
お前のそういうとこ嫌いじゃないぜ

「陽介!?」

「さすが米屋。話がわかるぜ」


「三輪、大人しく引け。これ以上こいつとやろうってんなら…」

「代わりに俺が相手になるぞ」ギロッ

腐った目で威圧してやった
どうだ、こえーだろ
何故か自分で言ってて悲しくなってきたぜ

「!!」

「あーらら。ハッチー結構怒ってら」

「…」

「秀次、ここは引こうぜ。この二人を相手にすんのはちとキツイだろ」

「…!」ギリッ

「お?」

「ネイバーは…俺が殺す!」ダッ

「あ、おい!秀次!!」


「引かねぇか…しょうがない」スッ

弧月を構えようとしたその時

「錨印(アンカー)+射印(ボルト) 四重(クアドラ)」

キュドッ!!

「ぐっ!?」ドドドッ

突然八幡の後ろから黒い射線がいくつものびた


「お?空閑?お前それ…」

「コピーした。さっき比企谷先輩が介入してこなかったらこれ使うつもりだったよ」

「へぇ、便利なトリガーだな。なるほど、そりゃ俺いらんわ」


(鉛弾をコピー!?いや、これはそれ以上の…!!)

「勝負あり、だな。三輪」

「さて、じゃあ話し合いしようか」

「くっ…!」

米屋に戦闘の気はなく、三輪は無力化した
こっちの勝ちみたいなもんだ

「おいおい、八幡。何もするなって言ったろ?」

「迅…!!」

「あ、迅さん」


迅さんが三輪隊のスナイパーの奈良坂と古寺を引き連れて現れた
途中から狙撃がなかったのは迅さんが止めてたからか

「すいません、迅さん。耐えらんなかったっす」

「まぁ結果として良かったけどさー」

「次は気をつけますよ」

迅さんの介入で本格的にこの戦いは一段落したようだ

「しかし空閑、お前のトリガーすごいな。他者の攻撃を学習して、さらにそれを威力上げて返せるのか?」


俺は気になっていた質問をぶつけてみた

「ふむ、だいたいそんなところ」

「その性能でいくと…黒トリガーか?」

「うん」

「!?」

「マジか!?」

三輪と米屋が驚きの表情を見せる
無理もない
黒トリガーとはそういうものなのだ

「はっ、そりゃ三輪隊でも勝てんわな」

「だまれ!!」

「おー、こわっ」


「やはり貴様らが一枚噛んでいるのか!裏切り者の玉狛支部が!」

「裏切り者?」

遊真が疑問の声を漏らす

「ま、後々説明してやるよ」

「ふむ」


「秀次」ザッ

「迅…!」

「お前らは帰って城戸さんにこいつを追い回しても得がないってことを伝えてこい。それに、このところゴタゴタしてるのにこいつまで相手にする気か?」

「…っ!!」

「そのネイバーが敵対しないという保証は?」

奈良坂が問う


「俺が保証するよ。クビでも全財産でもかけてやる」

「!」

「ひゅー。迅さんがそこまで言うか」

「茶化すな米屋」

「わりぃわりぃ、ハッチー」

「…損か得かなど関係ない!ネイバーは全て敵だ!!」

「緊急脱出(ベイルアウト)!!!」

ドンッ!

「うお、飛んだ」

「今のはベイルアウトって言ってな、正隊員がもつトリガーにはああやって自分の意思で発動させるか、もしくは戦闘体が破壊されると自動的に基地に送還されるようになってんだ」

「負けても逃げられる仕組みか。便利だな」


「悪いな、白チビ。いきなり襲いかかっちまって」

「気にしてないよ。どうせあんたらじゃ俺には勝てないし」

「まじか、それはそれでショックだなー」

「黒トリガーに勝てたらA級7位どころじゃないからな」

「うるせー」

米屋はいいやつだ
戦闘後すぐでも雑談を交わすくらいには緊張感のないやつだけどな

「ま、俺らは一旦本部に帰るわ」

「おう」


その後迅さんは俺と三雲を連れて本部へと向かった
三輪隊の報告だけじゃ偏るからだそうだ
まぁそれは否めないな

でも俺いらないんじゃないかなぁ?

―――――――――

「なるほど、報告ご苦労」

うえー、俺正直城戸さん苦手なんだよなぁ
規律とかに厳しいし
出来れば会いたくない


「まったく、いちいち面倒を持ってくるやつだ」

そう言ったのは開発室室長の鬼怒田さん
実はボーダーにとって最も重要な人物はこの人なんじゃないかと思う

「しかし黒トリガーとは…何故今まで黙っていたのかね?」

今度はメディア対策室室長の根付さんだ

「…」

この黙ってるのが唐沢さん
本部とバチバチやりあう時は大抵この人がネックになる
曲者だ

「眼鏡君はその黒トリガー使いから信頼を得ています。仲間にするのはどうでしょう?」

迅さんが提案した
まぁこの人だったらこう言うだろうとは思ってた



「なるほど…確かに黒トリガーは戦力になる。よし、ではその黒トリガー使いを始末して黒トリガーを回収しろ」

「なっ!?」

「…」

(やっぱりな…)

城戸さんのことだ
このまま空閑がボーダーに入隊したとしても所属する派閥は間違いなく玉狛
玉狛に黒トリガーが2つも集中するのはまずいと思っているのだろう

「馬鹿な!それでは強盗と同じだ!」

忍田本部長が声を荒げる

「それにその間の防衛任務はどうするつもりだ!」

確かにそうだ
黒トリガーを倒して捕まえようとするならばかなりの戦力をつぎ込まなければならない
加えてトップチームは遠征中
残る全ての隊員を総動員すれば倒せるかもしれんが、そんなことをすれば防衛がおろそかになってしまう


「部隊を動かす必要などない。黒トリガーには同じ黒トリガーをぶつければいいだけの話だ。迅、黒トリガーを回収しろ」

なるほど…そうきたか…
でも…

「ちょっと待ってください」

「比企谷…」

「…」ニッ

迅さんを見ると笑ってた
あんたこれ予知してましたね…

実は俺には一つ思い当たる節があった
4年前、ボーダーに入ったときにちらほらと聞いたとある名前があるのだ
その名前がどうにも引っかかる
その名前は…


「空閑有吾」

「「!?」」

忍田さんと林藤さんが俺が突然出した名前に驚く
ちなみに林藤さんってのは俺ら玉狛のボスだ

「…その名がどうした?」

城戸さんが問いてくる

「確かボーダーの初期メンバーっすよね。んで、今回現れた黒トリガー使いの名前は…」

「空閑遊真」

「「「!!?」」」

瞬間、会議室に動揺が広まった


「く、空閑有吾?」

「誰だそれは?」

鬼怒田さんと根付さんは知らないみたいだ
まぁこの人達俺より後に来たしなぁ

「空閑、だと…?」

城戸さんが口を開く

「えぇ、そうです。みなさんなら俺よりもはるかにこの名をご存知でしょう?」

「…!」

城戸さんは黙る

「恐らく、あいつはその有吾さんの息子です。そしてあいつが使っている黒トリガーは…」

「…そうか」

「まさか…有吾さんが」

「あれほどの人がねぇ…」


3人は有吾の死を理解したようだ

「しかし、それならばこれ以上戦力をぶつける必要はないな。有吾さんの息子と戦う理由などない」

「名を騙っている可能性もある」

「それは調べれば分かることだ。迅、比企谷、三雲君。繋ぎを頼むぞ」

「「了解」」「はいっ!」

「……では会議はこれまで、解散とする」

ふぅ、とりあえず口勝負じゃ勝ったな
まぁ城戸さんがそんなんで引くとは思えないけど…


「黒トリガーは必ず我々が手にいれる。…唐沢君、君の意見を聞きたい」

「…兵隊の運用は専門外ですよ?」

「かまわん」

「では…ま、今は強奪するための条件が整うのを待てばいいんじゃないですかね?」

「条件が整う?どういう意味だ?」

「なるほど…遠征チーム、か」

「「!!」」

「あと数日で帰還する彼らならばやってくれるだろう」

「なるほど!」

「では彼らが帰還し次第、三輪隊と組んで黒トリガーを確保する」


その後、三雲と雨取(襲撃現場に居合わせた女の子)と合流し、玉狛支部に帰った

支部につくなり宇佐美が小南のドラ焼きを引っ張りだしてきてもてなす用の菓子としていた
宇佐美さん…後で俺が噛みつかれるんですけど?

ボスに呼ばれたとか言って迅さんは空閑を連れて出て行った
その間にレプリカから空閑の過去を聞いた
なんというか…すさまじかった
はっきり言って俺なんかよりはるかに過酷だ
そして空閑に目的を与えてやってほしい、というのがレプリカの願いだった
…それなら多分大丈夫だろう

「すいません。ちょっといってきます」

「…おう」

「着いてきてくれ、千佳」

「うん」


三雲と雨取がでていった
やっぱりな
あいつはお人よしの権化みたんもんだな


しばらくすると迅さんと三雲達3人が戻ってきた
どうやらこの3人でチームを作って遠征チームを目指すらしい
そりゃ大変だぞ
と言ってはみたが3人の意志は固いらしい
やれやれ…こう本気の目を見せられては先輩として応援してやらんわけにはいかんな

俺がこんなこと思うなんて自分でもビックリだぜ
本当、玉狛に転属してからの俺はおかしくなっちまったのかな

今回はここまで
次回は俺ガイルパートです
今日の夜か明日明後日のうちには投下したいと思います

それでは

面白い

乙です

こんばんわ
余裕が出来たので投下します


翌日、俺は何故か学校の職員室にいた
いや理由は分かってるんだけども

「比企谷、これはなんだ?」

「はぁ、高校生活を振り返っての作文ですが…」

「歯くいしばれ」ドスッ

「ぐふっ」

問答無用かよこの人
教師としていいのかこれで
てかこの人の拳速おかしくね?
俺の目でも見えなかったんだけど?
トリオン体なの?


「か、書き直します…」

「当たり前だ」

はぁ、だるい…

「ところで、君は学校に友達はいるのか?」

「…そこそこ仲の良いやつらならチラホラ」

「嘘をつくな。その目を見れば分かる」

え?俺の目って友達いないかどうか分かるの?
すごくね?悪い意味で

「どんな根拠っすか…本当ですよ」

「…」

どんだけ怪しんでるんだこの人は…


「ま、いい。君には罰を与える」

「えぇ…」

「あん?」ギロッ

「なんでもないです…」

「よし、ついてきたまえ」

カゲさんほどじゃないけどこえぇよ…

「ここだ」

「?」

「失礼するぞ」ガラッ

「…平塚先生。入るときはノックを…」

「すまんすまん」

「はぁ…それで?その男は?」

「今回の依頼対象だ」

「は?」


こいつは確か雪ノ下雪乃とか言うやつだ
テストでは確か毎回学年1位だったはずだ
俺も名前と顔だけなら知ってる

てかなんだそりゃ
依頼対象?どういうことだ?

「その男をどうしろと?」

「更正してやってくれ。見ての通り目が腐っていてな。友達もおらんようだ」

「なるほど」

なるほど、じゃねぇよ
だから仲の良いやつらならいるって言ってんだろ
友達かどうかは分からんが…


そのまま俺はなぁなぁにこの部に入れさせられそうになっている
奉仕部とかいうらしい
それは困る
俺は防衛任務は放課後と土日にいれている
その時間が奪われるのは非常にまずい

「俺は了承してませんが」

「君に拒否権はない」

相変わらず教師らしからぬ発言だ
こっちの言うことは無視ですかそうですか

平塚先生はそう言って出て行った、が…

「いつまでそうやって突っ立っているのかしら?あら、ごめんなさい。そう言えば友達もまともにいないのだったわね。ならば対人関係もまともに築けないあなたがまともな受け答えも行動も取れるわけがなかったわ。私の失念ね」


なんだこいつ?
よく初対面の相手に好き勝手言えるな
こういうやつは俺と同類みたいなもんだ
つまり…

「お前友達いるのか?」

「…そうね。まずは友達というのが…」

「あ、もういい。察した」

やっぱりな
なんかこっちを睨んでるけど無視無視

「奉仕部ねぇ…」

「そうよ。食料に飢えてる人に釣りの仕方を教える。そういった活動を行うのがこの奉仕部よ。ようこそ目の腐ったヒキガエル君」


なるほど
あくまで自立をうながすってことか
あともうこいつに突っ込むのはやめだ
多分こいつはいくら言っても聞かん
なら言うだけ労力の無駄だ

「…あー、一つだけ言わせてもらう」

「なにかしら?」

「俺はお前に助けられたいと思ってないし、そもそもお前程度のやつに人を救えるとは思えん」

「…どういうことかしら?」


めっちゃ睨んでるな
でも二宮さんの方がプレッシャーあるし、カゲさんの方が数倍怖い
正直こいつの睨みなど毛ほども怖いと思わん

「なに、簡単だ。会ったばかりのやつを罵倒するようなやつに人が救えるはずもないからな」

「…っ」

「俺は本当に頼りになる人達を知ってる」

言いながら頭に浮かんできたのはレイジさんや東さんと言ったボーダーの兄貴分達だ
彼らは本当に頼りになる

「その人達と比べてもお前はまず人として劣る。俺が言ってるのは学力だとかそんなチープなもんじゃないぞ」


雪ノ下は黙って俺の話を聞いている

「その人達でも人一人を救うのは難しいだろう。それなのにその人達より人間性が遥かに劣るお前に人が救えるとはとてもじゃないが思えん」

雪ノ下は反論してくるかと思いきやなにやら黙り込んでいる

「それに先生はああ言ったが、俺は別に孤独じゃない。学校以外の場所にちゃんと俺の居場所はある。そこは温かくて、とても安心できる俺の大切な居場所だ」

俺は続ける

「だからはっきり言おう。俺にとって今先生とお前がやろうとしてることは迷惑以外の何ものでもない」

黙っていた雪ノ下がようやく口を開いた

「それじゃあ悩みは解決しないし…誰も救われないじゃない…」

わなわなと震えていて、大きい声ではなかったが、確かに聞こえた

「そうかもな。だが少なくとも俺は悩んでいない。人助けごっこがやりたいのなら他をあたれ」

そういい残して部屋を出ようとした時、平塚先生が扉を開けて入ってきた

「まぁ落ちつけ二人とも」

「俺は落ち着いていますよ」

「まぁまぁ、それではこうしよう」



何を言うつもりだこの人は?
てかこの人出て行ったかと思ったら扉の前で聞いてたのか
正確悪いな

「これから君達には自らの主義主張を賭けてたたかってもらう!依頼人は私がつれてくる。君達は依頼人の悩みを解決したまえ!そして自分の正義を示した…!」

Prrrr…

「すいません、電話です。廊下いってきます」ガラッ

平塚先生の横を通り過ぎるとき、先生はやや涙目になっていた
そんなにそのセリフ言い切りたかったんですかね?


電話の内容はレイジさんからで、今日のミーティングの話だった
そろそろ学校を出ないと遅れちまいそうだ

教室に戻ると何故か平塚先生が泣いていて、それを雪ノ下が氷の目で見ていた

「比企谷ぁ!最後まで言わせろよぉ!!」

(普通泣くか…?)

マジでこの人大人かよ?

「ぐすっ…ま、まぁいい。それでは条件をつけようではないか」

「条件?」

「勝ったほうが負けた方になんでも命令できるという条件だ!」


「「お断りします」」

「えぇー…」

「私がこの男を自由に出来たところで一切のメリットがありません」

「奇遇だな、俺もそう思うぜ」

「あら、その目から察するにどうやら下碑た考えを持っているようだけど?」

「そりゃお前の勘違いだな。自分の身体を見れば分かるだろう?」

「…っ!最低ね」

「お前と同じでな」

「なんだ、雪ノ下。やはりお前でも恐れるものはあるんだな」

おい、やめろ馬鹿教師
まさかこの女もこんな分かりやすい挑発に乗るわけが…


「…いいでしょう。その安い挑発に乗ってあげましょう。その勝負受けてたちます」

おいおい…どんだけ負けず嫌いなんだこいつ?

「よし!それでは勝負開始だ!」



……え、あれ?俺の意見は?

「うっす」ガチャ
「遅い!」

クソ教師とクソ女のせいでミーティング時間ギリギリになった俺は小南にはたかれそうになるが

「甘い」ガシッ

「なっ!?」

受け止めてやった
多分くるだろうかと予測してたからな
拳速もあの教師には遠く及ばんな
しかも俺はレイジさんの影響でそこそこ身体は鍛えてる
小南の生身の攻撃を受け止めるなど造作も…

「ふんっ!」ヒュッ

「ぐぅっ!?」コカーン


コ、コイツ…!俺のマイサンを…!
お前…そこ蹴るのは…いくらなんでも酷い…だ…ろ…
ドサッ
俺の意識はそこで途絶えた

「小南先輩、今からミーティングなのに比企谷先輩倒してどうするんすか」

「はっ、しまった」

「小南…」ゴゴゴゴゴ

「レ、レイジさん…!いや、これは条件反射みたなもんで自分じゃどうしようも…」

「馬鹿野郎」ゴンッ

「~~!!っったぁー!!」ジンジン

「はぁ…八幡の目が覚めるまで待つか」


「はっ!?帰ってこい俺の息子よ!」ガバッ

「あ、おきた」

「結構早かったすね、比企谷先輩」

「よし、じゃあミーティングを始めるぞ」

「???」

おかしい
基地の扉を開けるとこまでは記憶にある
そこからの記憶が…うっ、急に俺の息子が…


「よし、今回はここまで」

「じゃああたしちょっと出掛けてくる」ガチャ

「俺はバイト行ってきます」

「おう、お疲れ。八幡、お前はどうする?」

「あー…特にやることもないっすかねぇ」

「そうか。俺は本部に久しぶりにソロランク戦しに行こうかと思うんだが、お前も来るか?」

「マジっすか。じゃあ俺も行きます。そういや前に米屋と緑川に誘われてたんで」

「よし、じゃあ行くぞ」

ランク戦か
久しぶりだ


「いやー…俺結構久しぶりっす。ランク戦ブース来るの」

「俺もだ」

オ、オイ。アレタマコマノキザキサンジャネ?
ホントダ。タシカタダヒトリノパーフェクトオールラウンダートカ
スゲェヨナァ。トナリノヤツハ?
サァ?シラネェ

「さすがっすね、レイジさん。本部でも有名人じゃないっすか」

「だからって別にどうとも思わん」

「はは、レイジさんらしいっす」


「お、ハッチーじゃねぇか」

「よう、米屋。やっぱここにいたか」

「ソロランク戦か?」

「おう」

「お、じゃあ俺とやろうぜ」

「いいぞ。そのために来たんだしな」

「やりぃ!10本でいいよな。俺124号室なー!」タッタッタ

「あいよー」


「お久しぶりです、レイジさん」

「こっちいるなんて珍しいですね」

「ん?荒船に村上か。久しぶりだな」

「まさかソロランク戦っすか?」

「そうだ。いつも同じやつらと戦っててもマンネリ化してしまうからな」

「じゃあ俺とやりませんか?」

村上が提案した

「あ、ずりぃぞ鋼!俺もやりたいのに」

「どっちも相手してやる。5本ずつでいいか?」

「「お願いします!」」


「ふんふんふーん」

武富桜子は自隊の次のランク戦のためのミーティングに出るために廊下を歩いていた

「あとはこのランク戦ブースを抜けてエレベーターに乗れば…」

ザワ…ザワ…

「ん?なにやら騒がしいなぁ…なにかあった…の…」

武富桜子は見てしまったのだ
そう、あの唯一パーフェクトオールラウンダー、木崎レイジが今まさに村上とのソロランク戦を始めようとしているところを
加えて顔は見たことがあるが実力は全くの謎、噂しか聞いたことのないあの腐った目の隊員と米屋も戦おうとしている


「な、なにー!?」

その時、彼女の実況魂に火がついた
というかついてしまった

「さぁ今回の戦いの実況を勤めさせていただくのはこの私、武富桜子です!よろしくお願いします!」

「え?あれっていつもランク戦を実況してる人…」

モブが驚く

「た、武富?何故ここに…」

荒船も驚く

もはや彼女を抑えられるものはいない


『ソロランク戦開始』

「安心しろ、米屋。玉狛のトリガーは使わん」

「お?なんだ余裕じゃん?」

「ま、お前なら使わなくても勝てるからな」

「昔の俺と同じと思うなよ?」


言い終えると同時に米屋が飛び込む
八幡はそれを弧月でいなし、迫撃をかけるも米屋はそれを局所シールドでガード

「お」

「あめぇぞハッチー!オラァ!」

米屋の怒涛の攻め
しかし八幡は持ち前の目と弧月一本でかわし、いなす

「チィッ!」

痺れを切らした米屋がさらに踏み込んできた

(ちっ)


「アステロイド」キン

「!!」

とりあえず牽制のアステロイドだ
このまま攻められ続けては流石に分が悪い

「くっ!」ババッ

距離を取る米屋
アステロイドは全てかわされた
だがこの距離、俺の射程だ

「旋空弧月」キィィン

「やべっ!」


ズカッ!

しかしこれも飛んでかわす米屋
今のは決まったかと思ったんだけどなぁ
いや、以前の米屋ならこれで決まってただろうな

「強くなってんじゃねぇか」

「だから言ってんだろ?俺だって日々鍛錬してっからな」

「お前にとっては半分遊びみたいなもんだろ」

「まぁな」


ったく、こいつは…
ま、おしゃべりはここまでだ
そろそろ本気を出すかね
滅多にやらないことだ
サービスだぜ、米屋

「バイパー+メテオラ」ギュワン

「!!」

「トマホーク」ドドドドッ

「おいおい!出水より作んのはえぇじゃねぇか!シールド!」キンッ

流石の米屋もこれには驚いたようだ
シールドでも防ぎきれずにメテオラの爆発に被弾している


俺が玉狛に転属してから2年
俺はその時から必死にトリオンコントロールの訓練をつんできた
理由はとあるトリガーを使いこなすため
まぁそれは今は置いとこう
昔じゃトマホーク作るのに10秒はかかっていた
こんなに時間がかかっていては到底使い物にならない
今では1秒ちょっとはかかるものの2秒はかからない
確か出水は2秒だったか
いつの間にか抜いていたんだな

「くそっ!」

米屋の身体からトリオンが漏れ出ている


しかし俺が勝負を決めるのはあくまで弧月だ
俺自身トリオン量はそんなに多くない
サイドエフェクト発現ギリギリのレベルだ
だからあまりトマホークなんか使ってるとすぐにトリオンがからっけつになっちまう
だから普段はこういった風に普通の使い方では使わないのだ
この距離ではいくら撃っても致命傷には出来ないだろう
よし、一気に決めさせてもらうとするか
距離をつめ、弧月をふりかぶる
米屋はバランスを崩していて体制が不安定になっている
避けることは不可能だ

「もらったぜ、米屋」

「…と、思うじゃん?」

「!?」ガキッ


急に八幡の動きが止まった

なんだ!?
俺の足が…
これは、スコーピオン!?
まさかモールクローか!?

「もーらい」ドスッ

動きが止まった隙に米屋が槍で俺のトリオン供給器官を貫いた

『戦闘体活動限界。緊急脱出』

ランク戦ブース待機室の大画面に
米屋―比企谷 1-0 と表示される
見ていた観客からはおぉーと歓声が上がっている


「くそっ、やられた…そういやあいつスコーピオンも使えるんだった…」

『まずは俺の一勝だな、ハッチー』

そんな嬉しそうな声が画面から聞こえた

「調子のんなよ、次だ次!」

そんなこんなで戦っていき…

『ビー!ソロランク戦終了』
『最終スコア7-3 勝者、比企谷八幡』

「ふぅ」

「くっそー!負けたー!」

二人の勝負はその後いつになくやる気になった八幡が本気を出し、勝利を収めた


「まだハッチーには勝てねぇかぁ…」

「だが思ったよりもかなり苦戦した」

「お?なんだ励ましてくれてんの?」

「…事実を言ったまでだ」

その後は米屋がハッチーがデレたーとか大声を出して爆笑しやがるもんだからまたブースに引っ張っていってズタズタにしてやった

「ハッチー…容赦ねぇ…」ガクッ

「そういやレイジさんは?」


『ビー!ソロランク戦終了』
『最終スコア5-0 勝者、木崎レイジ』

おいおい…
あれ相手荒船さんだぞ…
荒船さん相手に無双するとか…
んでその前は鋼さんとか
こっちは4-1
でも鋼さんでも1本しか取れなかったのか
しかもレイジさん玉狛製のトリガー使ってなかったっぽいな
それでこの実力差
パーフェクトオールランダー半端ねぇな

「くそ…流石レイジさんだ…1本も取らせてくれなかった」

「いや、だがあとちょっとなのが2本あったじゃないか。あそこで2回とも詰めが甘くて結局逆に押し切られちまったな。あそこは…」

悔しがる荒船さんに鋼さんが励ますと同時にアドバイスもしていた
一時期この二人が仲違いしてるって噂が流れてたけど、やっぱり嘘だったっぽいな


「二人とも、付き合ってくれて助かった」

「いや、こちらこそいい勉強になりました」

「レイジさん、俺もいつかあなたの位置に立たせて頂きます」

「ふっ、早くあがってこい」

「はいっ!」

いいなぁ、青春だなぁ
なんで俺はこんな槍バカとなんだろうなぁ

なんか後ろの方では武富のやつが興奮しすぎて鼻血出して倒れたとかなんとか言ってギャーギャー騒いでるが…まぁ無視でいいだろ


そんなこんなで時刻は既に夜の7時半
今日こそは早く家に帰って我が愛しの妹の飯にありつくのだ
ってなわけでまだ突っ伏してる米屋を放置して俺はさっさと帰った

許せ、米屋よ
そして後は頼んだぞ
米屋を見つけた誰かよ

ここまで
いやー、戦闘シーン書くのって難しい
なかなか頑張らないと、ですね
次回は明日か明後日か明々後日か
ではでは

乙です

ワートリらしさが無い気がする


続き待ってる

こんにちは
投下します


翌日、授業も終わりさっさと帰ろうとするとあの教師に引き止められた

「どこへ行くのかね?」

「家に帰るんすよ」

「部活をさぼるとはいい度胸じゃないか」パキポキ

いや生徒に向かって指鳴らす教師とか始めて見たわ

「いやいや、俺は部活に入ることを了承した覚えはありませんし、入部届けも出して…」

「衝撃のぉ!」

うっそだろおい

「ファーストブリットォー!」

―――――――――

「失礼するぞ」ガラッ

「…平塚先生、ノックを…」

「ほらっ」ドサッ

「…」チーン

「じゃあわたしは戻るぞ」ガラッ ピシャッ

「…何があったのか予測出来てしまうのが怖いわね」


俺が目を覚ますとそこは奉仕部の部室で目の前には氷の目の雪ノ下がいた
あのクソ教師マジで問答無用かよ
はぁ、しかたない
毎日こんなことを繰り返されちゃたまったもんじゃない
忍田さんに相談して防衛任務のシフトを変更してもらおう
はぁ…


俺が悲壮感を垂れ流していると流石の雪ノ下も同情したのか特に何も言ってこなかった
単に興味がなかっただけかもしんないが
そんなことを考えていると

トントン

扉を叩く音がした

「し、しつれいしまーす」

入ってきたのはいかにも馬鹿そうな女だった

「な、なんでヒッキーがいるの?」

俺の方を見て急にそんなことを言い出した

「?」クルッ

ヒッキー?
俺の後ろには誰もいないが…
まさかこいつ幽霊が…


「比企谷君のことだよ!」

「あ?ヒッキーって俺のことかよ」

「当たり前じゃん!」

何が当たり前なんだ
初対面のやつに向かってヒッキーとは失礼な
お前がトリオン体だったら首飛ばしてんぞ

「2年F組の由比ヶ浜結衣さんね」

まさかの俺と同じクラス
あー、そういやいつもうるさいあのリア充グループにこんなやついたような気がする

「それで、何かご用件かしら?」

「う、うん。平塚先生がここは悩みを解決してくれるって…」

「少し違うわね。奉仕部は例えば魚の獲り方を教える部活よ。魚をあげることはしないわ。つまり悩みが解決するかどうかはあなた次第ね」

「へ、へー」

こいつ絶対分かってないな

「それで?どういった悩みを?」

「え、えっとね…うんと…」チラッ

そういうとモジモジし始めた由比ヶ浜は俺の方をチラチラと見てきた

「…飲み物でも買ってくる」スッ

なるほど
男がいちゃ話にくい内容なんかね

「ならわたしは…」

「人件費込みで200円な」

「…」

「いらないんだな。じゃあ行ってくる」ガチャ

はっ、俺をただで使おうなど100年早いわ!


戻ってくると話は終わってたようだ
どうやらクッキーを作る手伝いをしてほしいとのことらしい
ので、家庭科室に行くことになった
俺出て行かなくても良かったんじゃねぇの?

結果は想像を絶するものだった
この由比ヶ浜とか言うやつ、サイドエフェクトを持ってるんじゃないのか?
暗黒物質を作るっていうサイドエフェクトを
サイドエフェクトは人間の能力の延長上にあるものだから理論的にないとは言い切れないはず…
…んなわけないか

雪ノ下は頭を抱えている
そりゃそうだろうな
目の前でこんなもん作られたら誰だってそうなる

「ま、まぁ見た目はアレでも美味しいものとかあるじゃん!?」

いやこれに限ってはそれはねぇよ


「ヒッキー!」ズイッ

「おい、まさか俺に食わせる気か?この石炭を?」

「石炭言うなし!」

そういうと同時に口に突っ込まれた

…意識が飛ぶところだった
なんだこれは
こんな凶暴なものがこの世にあるのか…
いや、あるわ
加古さんのチャーハンとかいう人類史上稀に見る化学兵器があったわ

「まずい。まずすぎる」

「あれー?おかしいなぁ」

なんもおかしくない
妥当だ


その後も雪ノ下と由比ヶ浜は頑張って作っていた
そして毎回味見は俺
堤さん…俺、今日からあなたを心の底から尊敬します

何度かやっていると由比ヶ浜がポツンと言葉を漏らした

「やっぱりあたしには向いてないのかな?才能ないし…」

そうだな
俺も間違いなくそう思うよ
ただ、ちょっとまて
一つ言いたいことが…


「解決策は努力あるのみよ、由比ヶ浜さん。最初から上手い人なんていないわ。最低限の努力もしない人は成功者の才能を羨む資格すらないわ」

ほう
それについては俺も同意見だ
というかちょうど似たようなことを言おうと思ってたが、先に言われたか

「でもみんなやってないし…あたしには向いてないんだよ…」

「何故周りに合わせるの?それやめてくれないかしら。ひどく不愉快だわ。自分の不器用さを他人のせいにして、あなた恥ずかしくないの?」

おぅ…
こいつ結構ズバッと言うな
こりゃ下手したら泣くかもしんないぞ


「か…」

うん?

「かっこいい…!」

なん…だと…

「建前とか周りに合わせるとか、あたしそういうのばっかやってきたから…なんか、そういうのかっこいい!ごめん、次からちゃんとやる!もう一度教えて!」

「え、えぇ…もちろん…」

はっ、あの雪ノ下が引いてやがる

その後、やる気になった由比ヶ浜だったが、結果は大して変わらない
微妙にマシになった気がするが、誤差の範囲だ
知ってるか?由比ヶ浜
勝負の世界に気持ちは関係ないんだぜ


仕方ない
いつまでやってても時間をくうだけだ
今日は特に防衛任務もミーティングもないから急ぐ必要はないが、さっさと帰りたい

「なぁ、何故そこまでうまくすることに拘るんだ?」

「どういうことかしら?」

「そのクッキー、プレゼントのためなんだろう?」

「え、うん」

「なら大切なのはなんだ?味なのか?」

「え…」

「違うだろ。大切なのは心だ。相手に感謝の気持ちなのか知らんが、そういう気持ちを込めて作ったのなら相手もそれだけで嬉しいはずだ」


くっさ
何言ってんだ俺
雪ノ下も呆然と俺を眺めている

「自分の手作りだってことを示して男に渡せば、多分そいつはもうそれだけで嬉しいはずだ」

「…じゃ、じゃあ…ヒッキーも嬉しいって思うの?」

はっ、そんなもん決まってんだろ

「この石炭を渡されたらぶち切れるな」

「じゃあダメじゃん!」

そんなこんなで結局今回はこれでお開きとなった
由比ヶ浜は
ありがとう!後は家で頑張ってみる!
だとか言って帰っていった
…おい、片付けしていけよ


由比ヶ浜が帰ったあと、あいつがしていかなかった片付けを俺と雪ノ下でやっていると不意に声をかけられた

「あなたもあんなことが言えるのね」

「どういう意味だ?」

「さっきの気持ちがうんぬんの話よ」

「それか…当たり前だろ。俺には愛する妹がいるからな。その気持ちをよく理解している」

「…シスコン」

「だまれ雪女」


翌日、由比ヶ浜が再び部室に来た

「やっはろー」

「あ、お帰りください」

「ちょっ!?ひどいヒッキー!」

「勝手なこと言わないでくれるかしらキモ谷君」

「なんだその最低なあだなは。しかも今『たに』っつっただろ」

「黙りなさいシスコンボッチ」

「上等だ表でろやコラ」

「え?え?え?」


由比ヶ浜がオロオロし始めた
ちっ、ここは由比ヶ浜に免じて拳を引いてやるか

「それで、今度は何の用かしら?」

「あのね、ゆきのん!昨日のお礼に家でクッキー焼いてきたから食べて!」

雪ノ下の顔色がみるみるうちに青くなっていく
ざまぁみろ

「いえ、食欲がないから遠慮しておくわ。それとゆきのんって呼ぶのやめて」

「えー!いいじゃん、ゆきのん!食べてよー」

「うっ…」


由比ヶ浜が雪ノ下に猛攻をしかけている
いいぞ、もっとやれ
すると急に由比ヶ浜がこっちを向いた
…嫌な予感がする

「はい、ヒッキーにもお礼」

くそったれがよぉ!!

「これ以上石炭はいらん。帰る」

さっさと逃げなければ
そう思い、鞄を取って部室のドアを開けると


「いいから!たべて!」

と、由比ヶ浜はクッキー(石炭)のはいった包みをこちらに投げてきた
ついそれを受け取ってしまった俺は直後にしまったと思ったがもう遅い
一度受け取ったものを返すなんてことできるはずがない
小町、お兄ちゃんもう駄目かもしんない…

その日、支部で涙目になりながら石炭を食べている俺を小南とレイジさんが心配そうに眺めていた

それから朝までの記憶がない

とりあえずここまで
続きは夜か明日か明後日か

それでは

乙です

八幡はA級の万能手でいいんだよな?

今はそうですね
玉狛第一部隊所属のオールラウンダーです
しかし玉狛に転属する前はアタッカーです
当時アタッカー3位でしたが、玉狛に転属すると同時にトリオンコントロールの訓練と共に射撃トリガーの訓練も始め、現在ではオールラウンダーとして活躍しています

これってボーダーに入ってること学校側には内緒にしてるのか?、
防衛任務とかだってあるし無理やり不自由な時間作らされても、先生本人の自己満足以外何もメリット無いんだけど。

秘密にしています
中学の頃は学校側に知らせていたのですが、その時の経験から高校側には黙っています
どのような経験をしていたのかと言うのは書溜めている内容にあるので、またお楽しみにしていてください

これ前スレある?読んだ方がいい?いまのところ読むのに不自由してないけど

ワートリ感がないのはなぁ。クロスは視点キャラの語りの影響強いし、マンガよりも心情描写ある元ネタが中心になるのはある程度は仕方ないかと。ワートリ、日常パートはわりと普通めだし

しかし学校側に言うのもダメって、中学の運営や管理職なにやらかしたんだか

いえ、読まなくても大丈夫です

今日中に投下ありますか?

分かりません
書溜めはパソコンにあるのですが、今は携帯でうっています
家に帰れるのが10時くらいなので、投下出来たとしても10時半以降とかになります

こんばんわ
よく考えたら明日休みですね
ってことでまだ寝なくてもいいので投下します

―――――――――

「あのクソ教師のせいで忍田さんにまた迷惑かけちまうな…」

翌日の土曜日、俺は本部の本部長室に向かって歩いていた
用件はシフトの変更
あの教師のせいで今月の残りのシフトを一部変更してもらわにゃいかん
19時や20時からの防衛任務ならいいが、17時からの防衛任務とかになるとやはり部活のせいで出られない
確か今月はそういうのがあと4日ほどあったはずだ
はぁ、気が重い
忍田さんにはいつも何かと迷惑をかけてしまっている
主に迅さんの暗躍のせいだが
ぐちぐち言ってても仕方ない
頭下げて頼もう


コンコン

『入りたまえ』

「失礼します」ガチャ

「比企谷?どうした?」

「実はですね…」


「なるほど…」

「ってことでどうにかなりませんかね?」

この防衛任務
本来ならば部隊ごとで行うものだが、俺は特例で一人だけで行うことが許可されている
と言うのも、B級下位のまだ不安が残る部隊と合同でなら、という制約付きだがな
正直ただのトリオン兵相手ならレイジさん小南、京介の三人がいれば一人余るほど余裕である
だがB級下位はそうでもない
例えば茶野隊の二人がモールモッド10匹相手、とかだと勝てるかどうか不安になる


そこで俺だ
その不安を俺の存在によってカバーする
俺ならばモールモッド10匹が来たとこで別に問題ない
余裕で蹴散らせる
そうして俺は放課後のB級下位部隊の防衛任務に付き添う形で仕事をしている、というわけだ
なかなか忙しいが、まぁここまで我がまま聞いてもらったんだ
これ以上は何も言えん
こうして本部としても俺としてもwin-winな関係を築いているのだからな

「それは今月だけでいいのか?」

「とりあえず今月の分だけはお願いします。来月からは部活も想定したシフトを組むので」

多分来月からは19時以降の防衛任務で埋め尽くされるだろうが、まぁ仕方ない
こればかりは諦めるとしよう


「そうか…よし、分かった。ちょっと待っててくれ」

そう言うと忍田さんは何やら電話でいろんな人へ連絡を取っているようだ

「そうだ…頼めるか?」

『――!――。』

「すまない。感謝する」

終わったようだ

「よし、とりあえず今月だけでいいんだな?」

「はい」

「まだ部隊を組んでいないフリーのB級の面々に頼んでみた。出られないものもいたが、その4日分だけはなんとかなりそうだ」

「ありがとうございます!」

俺は深く頭を下げた
本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ


「なに、比企谷にはいつも助けられてるからな。B級の子達も君の戦いぶりから得られるものが多いようだ。来月からは時間が遅くなってしまうことが多いだろうが、頼んだぞ」

「はい」

用件が終わったので帰ろうとすると声をかけられる

「ところで…まだ学校に知らせるつもりはないのか?そうすれば昼間にもシフトが入れられるし、木崎達と一緒に防衛任務も出来るだろう」

「…」

その話か…


「あの教師も遠くの方に飛ばされたと聞くし、高校にもあのような者がいるとは限らんだろう?」

「…そうですね」

俺が中学2年でボーダーに入った時、その頃はまだまだ隊員も不足していて防衛任務に出るために授業に出られないことが多かった
それは学校側もしょうがないと了承していたし、なにより俺は中学では結構勉強が出来ていたので問題ないだろうとしていた
それはある程度間違ってなかったし、事実成績はやや落ちたもののそこまで大きく変わることもなかった
だが、数学だけは別だった

とある数学の教師がいた
俺は元々数学が苦手で、ボーダーに入る前ですら平均点が取れたことは一度もなかったほどだ
それがボーダーに入ってからは赤点を取るようになってしまった
しかも一度ならず二度、三度もとってしまった
そしてその三度目の時、遂にその教師が切れてしまった


『なにが防衛任務だ!学生の本分は勉強だろう!赤点を取るくらいならそんなものはやめてしまえ!!』

今にして思えばそれは正論以外のなにものでもない
しかし、その教師はあろうことか俺の家にまで来やがった
当時の親父は傷心中だったこともあってその教師の言葉にかなりショックを受けていた
あなたの息子さんはどうなっているんですか!ってな
これには当時の俺も切れそうになった
それは俺の問題だろう、親父は関係ない、と

俺はこれ以上親父の悲しむ顔が見たくなかった
なのに…
家族のため、親父のためにと思ってやっていたことが裏目に出てしまったのだ


その教師は結局やりすぎだと厳重注意の上、遠くに飛ばされたらしい
俺はその後は忍田さんによる計らいで防衛任務が減り、学業もおろそかにしてはならないよと言われて必死に勉強して持ち直した

けど、この教師は本当は悪くない
悪いのは俺が成績を落としたからであって、少しやりすぎだとは思うが特に悪いことをしたわけじゃない
けど、もし似たようなことがまた起こってしまったら
そう思うと俺は怖かった
今でこそ親父も小町も元の元気を取り戻してる
けど次また同じようなことが起こったら、また親父はあの時のように落ち込んでしまうかもしれない

ならば保険をかける
俺が成績を落とさないように頑張るのは当然として、万が一似たようなことが起こったとしてももう親父に迷惑がかからないように
俺だけが悪くなるように


だから保険として、高校側には俺がボーダー隊員だと言うことを知らせていない
今はもう隊員もかなり増えてきたし、勉強する時間は十分とれている
けど保険はかけといて損はない
ばれてしまったらそれまでだけど、なるべく秘密にしておいてもいいだろう

「…でも俺は、やっぱり出来るだけ知らせないようにします」

「そうか…無理には言わん。君がやりたいようにしたまえ」

「ありがとうございます。では失礼します」ガチャ

ふぅ、嫌なこと思い出しちまったな
トイレに行って鏡を見ると酷い顔をしていた
この顔なら素でお化け屋敷のスタッフができそうだ…
いかんな
こんな顔三雲達に見せられん


そう自分に言い聞かせてトイレから出て、玉狛の支部に向かうために歩いていると

『無事メノエイデスを出立。およそ68時間後に到着の予定です』

そんな声が扉の向こうから聞こえた
ここは…司令室か
ってことは今のは…
なるほどね
迅さんも分かってるかな?


――――――――――

「さて諸君!」

宇佐美の元気はつらつとした声が基地に響く
俺は本部から既に戻っていて今は三雲達や迅さん、宇佐美などらと基地の居間にいた

「諸君らはA級を目指す。そのためには既にB級になってる修君を除いた二人がまずB級に上がらなければならない!それは何故かというと…」

宇佐美のボーダーについての講義だ
受講生は空閑、雨取、三雲の3人
A級に上がるつもりならばここでちゃんと整理しておくのがいいだろう


「よし、まずはポジション決めだな」

俺が口を挟む

「ふむ?ポジション、とは?」

「それも私が説明しよう!ポジションとは…」


「なるほど。いろいろあるんだな」

「お前はアタッカーだな。確か黒トリガーでも似たような戦い方してただろ」

「俺もそう思ってたところです」キラーン

「遊真君はアタッカーね。じゃあ千佳ちゃんは…」

宇佐美が適切なポジションになれるような質問をいくつかぶつけていく


「ふむふむ。わたくしの分析の結果、千佳ちゃんに一番合うポジションは…」

「「スナイパーだな」」

「あー!ハッチーに迅さん!私が言いたかったのにー!」

なんで言っちゃうのー、とか宇佐美が言ってるとなにやら廊下からズンズンと足音が聞こえた
おっとこりゃ…
念のためいつでも換装できるようにしとこう…
と、トリガーホルダーに手をかける

バンッ!!
ドアが勢いよく開かれ、現れたのは


「あたしのドラ焼きがない!誰が食べたの!?」

やはり小南か
こいついつでも騒がしいなぁ

「ごめーん小南。この前お客さんが来た時に出しちゃった。また今度買ってくるからー」

「あたしは今食べたいの!!」

ふぅ、セーフ
俺が噛み付かれることはなかったようだ
俺はトリガーホルダーから手を離した
てかそろそろ落ち着け小南
三雲達がちょっとびびってる


「なんだなんだ、騒がしいな小南」

「いつもどおりじゃないっすか?」

レイジさんに京介も入ってきた

「お、この三人。迅さんが言ってた新人っすか?」

「新人?あたしそんなこと聞いてないわよ!」

そりゃお前に教えたらギャーギャーうるさいだろうからな
今まさにそうだし

その後は迅がまた分かりやすい嘘をついたり、何故かそれを小南が信じたりとでいつものパターンだった


「さて、本題だ」

迅さんが切り出す

「レイジさん達三人にはそれぞれ眼鏡君達三人の師匠になってマンツーマンで指導してもらう。これはボスからの命令でもあるから拒否権はないぞー」

なるほど
そりゃいい考えだ
事前にアドバンテージは出来るだけあったほうがいい

「ちょっと待ちなさいよ。比企谷はどうするのよ?」

「俺は全員の補助ってとこだろ。それにやらないといけないこともあるからな」

「…ふーん。どうせまた迅となんか暗躍するんでしょ」

「さぁ?なんのことだか」

「白々しいわね」

「ま、三人とも頑張ってくださいってとこだな」


―――――――――
宇佐美を含めた三雲やレイジさん達7人はそれぞれ訓練室に向かっていった

「さて、八幡」

「分かってますよ、三日後でしょう?」

「お、なんで知ってんだ?」

「今朝司令室の前を通った時にちょっと…ね」

「おいおい。悪いやつだなぁ」

「たまたま聞いちゃっただけですよ。てか迅さんに言われたくないです」

「はは。けど太刀川さん達が来るってのは予想出来てたんだろ?」

「まぁ多分そうだろうとは思ってましたよ」

「いけるか?」

「…まぁなんとかなるでしょ。いざとなったらアレも使いますよ」

「そうか。頼りにしてるぜ」

「はいはい」


城戸さんが今まで手を出してこない理由
間違いなく遠征チームだろう
彼らが帰ってくるのを待っているのだ
戦うということになったら彼らほどの戦力はない
流石の遊真も遠征チーム全員を相手にしたら生き残ることは出来ないだろう
ま、させないんですけどね


―――――――――

「これが今回の遠征の成果です。お納めください、城戸指令」

「ご苦労、無事の帰還なによりだ」


「さて、帰還早々で悪いが君達に新たな任務がある」

「任務?」

「あぁ、現在玉狛支部にある黒トリガーの確保だ」

「黒トリガー?」

「玉狛…?」

「三輪隊、説明を」

「はい」スッ


「なるほどねぇ…じゃあ」

太刀川が顎に手をそえて

「襲撃は今夜にしましょう。今夜」

そう切り出した


「!?」

「太刀川さんいくらあんたでも…」

「相手の黒トリガーは学習する能力なんだろ?じゃあ今頃玉狛でこっちのトリガーについて学習しまくってるかもしれん。それに見張りの米屋と古寺にも悪いしな」

「…!」

三輪が反論しようとするが正論を返され黙ってしまう

「よし、では太刀川。お前が部隊を指揮しろ」

「了解です。じゃあ夜までに作戦たてるか」

「襲撃地点の選定が先だな」

「なるほど」

(太刀川慶…昔からこの人は苦手だ)


――――――――――

「雨取のトリオン能力は超A級だ。戦い方を覚えればエースになれる素質はある」

「うちの遊真の方が強いわよ!今でも余裕でB級上位の実力はあるわ!」

二人が弟子の話で盛り上がっているが一人黙っている者もいた

「とりまる、あんたのとこはどうなのよ」

「うーん………今後に期待、としか」

「なにそれ、つまり全然ダメってことじゃん」

三雲がしょんぼりしていた
まぁそう気を落とすな
なんとかなるさ…多分…


さて、そろそろ行かないとな

「ん?あんたどこ行くのよ?」

「ちょっと散歩にな」

「…」ジー

「なんだよ。本当に散歩だって」

(ふむ?比企谷先輩…嘘ついてる?)

「…早く帰ってきなさいよ」

「…おう。じゃあ行ってくる」

ったく、こいつは…
ま、そう言われちゃ仕方ないな


「お待たせしました。迅さん」

「よし、行くか。後輩達を守るために」

さーて、一世一代の正念場だ

―――――――

「おいおい、三輪。もっとゆっくり走ってくれよ。つかれちゃうぜ」

「…」

「…!!止まれ!」


太刀川達遠征チームに三輪隊を加えた合同部隊の行く手に2つの影が立ちふさがる

「迅…比企谷…!」

「あれ、ハッチーじゃん!」

「なるほど、そうくるか」

「太刀川さん久しぶり。みなさんおそろいでどちらまで?」

迅さんが口を開く

「よう出水。それと三輪、お前まだ懲りてな…」

「だまれ!」

俺にももうちょいかっこよく言わせてくれませんかねぇ?
なるほど、これがあの時の平塚先生の気持ちか


「うおっ、迅さんじゃん。なんで?」

「よう当真。冬島さんはどうした?」

「うちの隊長なら船酔いでダウンしてるよ」

「余計なことは言うな」


「こんなとこで待ち構えてたってことは、こっちの目的も分かってるわけだな」

「そりゃね」

「ま、それをさせないために俺達がいるんすけど」

「なんだお前ら。いつになくやる気だな。特に比企谷」

「自分でもびっくりしてますよ」

「俺のがびっくりしてるわ」


太刀川さんと軽く口を交わす
この人とも長い付き合いだからなぁ

「『模擬戦を除くボーダー隊員同士の戦闘を固く禁ずる』」

風間さんが脅すような口調で言ってきた

「隊務規定違反で厳罰を受ける覚悟があるんだろうな?迅、比企谷」

迅さが口を開こうとするがその前に俺が口を開いた

「そりゃ残念っすね。風間さん」

「?」

「それを言うならうちの後輩達も正式な手続きをふんで入隊した立派なボーダー隊員っすよ。ネイバーを入隊させちゃいけないってルールはないっすからね。あなたたちがやろうとしてることもルール違反だ」

「「!!」」

どうだ?いけるか?


「いや、それは違うな」

げっ
太刀川さん
この人こういう時だけは何故か頭回るんだよなぁ

「玉狛での正式な入隊手続きが完了しても、正式入隊日を迎えるまでは本部ではボーダー隊員とは認めていない。つまり今ではまだただの野良ネイバーだ」

「へぇ…」

「…」

やれやれ
どうあっても引いちゃくれないのかねぇ
こんな強い人たちと出来れば戦いたくないんだが


「大人しく黒トリガーを渡せ。抵抗しても遅いか早いかの違いしかない」

「あんたたちにとってはただの黒トリガーかもしんないが、本人にとっては命よりも大切な物だ」

「ま、そういうことです。俺らとしちゃ戦争する気はないんすけど、かと言って大人しく渡すわけにもいかないんですよね」

舌戦が続いている
だがこんなもの意味は成さないだろう

「あくまで抵抗を選ぶか」

ほらもう風間さんがどんどんピリピリしてきてるもん


「俺達相手にお前ら二人で勝てるつもりか?」

「勝てるよ。俺のサイドエフェクトがそう言ってる」

「「!!」」

「面白い…お前の予知、覆したくなった」スラッ

ついに太刀川さんが抜いたか
さーて、気張らんとな

『八幡、ここからは秘匿通信だ。事前に言ったプランは覚えてるな?』

『もちっすよ』

『よし、頼むぜ』

『はい』

「そういうだろうと思ったよ、太刀川さん」スラッ

さ、戦闘開始だ

ここまでです
続きは明日か明後日ですな
ではでは

来週のネタバレ見ちゃいました
激熱っす
これで胸躍らない男がいるんでしょうかってくらい

乙です

八幡のクロスオーバー力って高いよな

2人でってことは嵐山隊の助太刀はなし?
木虎とかとの会話も楽しみだったんだけど

期待

は?な、なんですか口説いてるんですか、ごめんなさい無理です。好きな人がいるので
なんですかそれ口説いてるんですかごめんなさい狙いすぎだし気持ち悪くて無理です
はっ!もしかして、今の行動って口説こうとしてましたかごめんなさいちょっと一瞬ときめきかけましたが冷静になるとやっぱり無理です
……もしかして今、わたしのこと口説いてますかごめんなさい年上結構好きですけど無理です
なんですか傷心につけ込んで口説いてるんですかごめんなさいまだちょっと無理です
はっ!なんですかもしかして今わたしのこと口説いてましたか一回遊びに行ったくらいでもう彼氏面とかずうずうしいにもほどがあるのでもう何回か重ねてからにしてもらっていいですかごめんなさい

どうも≫1です
昨日投下出来なくてすいません
明日か明後日には必ず投下しますので…

期待

期待

今日中に間に合うのだろうか
期待

はよ

どうも≫1です
すいません、明日でw
実は明日が大学の最後のテストなんですよ
他の大学より2週間も遅いようやくの春休みです
テストさえ終われば投下も書き溜めも仕放題なので、明日まで待っていてくださいw

明日というかもう今日ですねw
昼過ぎか夕方か夜に投下いたします

sageし忘れたw

待ってる

こんにちは
お待たせしました
投下します


戦闘開始と同時にスナイパー2人が身をかくした
だが俺と迅さんはボーダー内での対スナイパー2トップと言ってもいい
そうそうあたらんぜ
まぁ相手もスナイパー2トップだから不安だけど

風間隊の3人と迅さんがつっこんできた
風間さんと太刀川さんは迅さんに
残り二人の菊地原と歌川は俺の方にきた
迅さんと風間さんが激しくきりあっている

「僕達の邪魔しないでくれる?」

「そりゃ無理だって言ったろ?」

「じゃあ無理にでも通らせていただきます」

「やれるもんならやってみな」


2対1でガンガンやりあう
さすがA級3位部隊だな
連携もいい
なかなか反撃する隙がないな
ま、普通ならな

「そらっ」ヒュッ

「!!」ザキン

ごくわずかに生まれた隙を逃さず菊地原をスコーピオンごと斬りつける
米屋みたいな弧月使いは隙があっても弧月で防がれてしまうため、こういう風に武器ごと斬るなんて出来ないがスコーピオンなら力込めて斬りつければ武器ごといける
手数は多いし攻撃は強いが反撃には弱い
スコーピオン使うならその辺も常に警戒してないとダメだぜ


「ちっ」ババッ

「大丈夫か菊地原」バッ

「かすり傷だよこんなもん」


『八幡!飛べっ!』

「ん?うおっ!?」バッ

ズカッ!!

足元すれすれを旋空弧月が切り裂いた

「ちっ、外したか」

『あっぶねー。助かりました迅さん』

『一旦距離とるぞ』

『了解』


「距離をとったか」

「二人まとまってると殺しきれんな」

「しかも迅は風刃を一発も使ってない。比企谷も恐らく玉狛製のトリガーを持っているだろうが使っていない。トリオンを温存する気だ」

「風間さん、こいつら無視して玉狛に向かっちゃ駄目だめなんですか?」

「玉狛には木崎達もいる。流石に全員を相手にするのは危険だ」

「なるほど、了解」

「三輪、米屋と古寺はいつ合流できる?」

「もうすぐ合流します」

「よし、出水」

「はいはい」

「俺らとスナイパー組みで迅を仕留める。お前は三輪と米屋と組んで比企谷を仕留めろ」

「了解」


「どうします?迅さん」

「多分太刀川さん達は俺らを分断しに来るだろうな」

「でしょうね。嵐山さんたちは?」

「まだ到着にはもうちょいかかるな」

「んじゃ何人かを一人で相手しないといけないってことっすか」

「多分三輪隊と出水あたりがそっちに行くと思う。スナイパーはこっちかな」

「ってことは3人か、了解。まぁとりあえずプランAでチマチマやりますよ」

ズズン…

「お、来たな。うまくやれよ?」

「はい」


迅さんが太刀川さん達がいるであろう方面へ駆けていく
俺は待ってりゃ向こうから来るかな
お、来た来た

「比企谷…何故そこまで邪魔をする」

三輪が聞いてくる

「後輩を守るため、じゃあおかしいか?」

「少なくともハッチーらしくはねぇな」

出水が笑いながら言ってくる

「それは自覚してる」


「すまん、ハッチー。俺としてもあんまり乗り気じゃねぇんだけど、上からの命令だからさぁ」

「分かってるよ」

「ま、でも戦うからには勝たせてもらうぜ。この前のリベンジだ」

「いってろ」

ふぅ
迅さんにはああ言ったけど、正直この3人相手は結構きつい
順番に1対1とかなら勝てるだろうけど、3対1じゃなぁ…

「ま、ぐちぐち言っててもしょうがないだろ」


出水はそう言うやいなや両手をかざし

「さっさとやろうぜ」キン

トリオンキューブを作った

「しょうがねぇか」スラッ

俺も弧月を抜く

「アステロイド!」ドドドドドド

出水の先制射撃
流石の弾数だなぁ弾バカ
そのトリオン量わけてくれよ


シールドを展開し、大体はガード
抜けてきたやつは全てかわした

『陽介、動きを制限しろ』

『おっけー』

その間に三輪隊の二人が距離をつめていた

米屋が斬りかかってくるが、まだ距離がある
反撃に備えてるな
ってことは


ドンドンッ!

「鉛弾か」

三輪が鉛弾を撃ってくる
だが強化視覚のサイドエフェクトを持ってる俺にはその弾は遅すぎる

「あまいあまい」ヒュンヒュン

「チッ!」

「メテオラ!」

三輪の後ろから出水が攻撃を仕掛けてくる
今度はメテオラか


後退して爆風をかわせば問題な…

ギュワン

「!?」

曲がった!?
しまった、トマホーク!

ドドドォン!

「くっ…」バッ

あっぶねー
ちょっと食らったけど大きなダメージじゃない
この野郎今度はこっちの番だぜ


「旋空弧月」キィン

「「「!!」」」ババッ

ズカッ

ま、よけられるわな
けど

「メテオラ」キン ドドドド

その状態でこいつをよけれるかな?

「ちっ!」

「うお!」

「シールド!」


三輪と米屋にはかすり傷程度負わせられたか
感触的に出水にはシールドで防がれたな

けど出水、シールドなんか展開してて大丈夫か?

爆発の影響で舞い上がった土煙に紛れて出水との距離をつめる

「よう、出水」ボッ

「!?」

土煙から突然現れた俺に出水は驚きを隠せないようだ

「腕一本もらうぜ」ヒュッ

入った


「させるかよ!」

「うおっ」

かと思ったけど寸前のところで米屋がカバーにきた
腕を落とすことは出来なかったがダメージは負わせられたな

「よっと」ババッ

そして俺はまた距離をとる

「ちっ、やっぱハッチー強いな」

「しかもあいつなかなか踏み込んでこねぇ」

「時間稼ぎのつもりか?」

「…!!いや、まて。お前ら残存トリオンどんなもんだ?」

出水が三輪と米屋に問いた


「ん?あと8割ちょっとってとこだな」

「俺は9割は残ってる」

「俺はちょうど8割…なるほどな」

ん?あの様子…
ばれたか?

「ハッチーの野郎、俺達をトリオン切れで撤退させるつもりだ」

「トリオン切れ?」

「そうか…撃退よりも撤退の方が本部との摩擦が少なくてすむ、ということか」

あーらら
完全にばれたな


「戦闘中に後始末の心配か…ずいぶんと余裕だな、比企谷」

「…」

どうしよっかねぇ…
ばれたらもうさっきまでのようにはいかんだろうしなぁ

ドンッ!

お?

「誰か飛んだぞ?」

「誰だ?」

迅さんの方で誰かが緊急脱出した
黒トリガーには緊急脱出の機能はついてない
ってことは相手の誰か、か


『八幡』

迅さんから通信が入る

『見えましたよ。プランBっすね』

『ああ。存分にやっちまってくれ』

『了解』

『あとすまん、当真がそっちいった』

『えー、マジっすか』

『ま、あとは頼んだぜ』プツン

やれやれ

さっさと終わらせるか


「ハッチー、こっちも余裕がなくなってきたみたいだ。悪いが本気でいくぞ」

「悪いなハッチー。本当はもっと楽しみたかったんだけど」

出水と米屋が言う

「そうか…」

まぁそっちがその気なら…

「しょうがないな」バチッバチッ

俺もそうしよう

「「「!?」」」

「ヤマト オン」キィィィィン

さーて
お前らには初お披露目だぜ

とりあえずここまで
続きは今日の夜か
明日で

ではでは

乙です

≫173

×風間さんと迅さんが
◯風間さんと太刀川さんが

すいません
訂正します


待ってるよー

こんばんは
続き投下します


『ヤマトの起動を確認』

機械音が響く

『残存トリオン88%のうち、50%を消費。戦闘体を特別体へ換装、弧月を強化。特別体解除まで残り300秒、カウントダウン開始』

バチバチと俺の身体がさらに換装されていく
格好は普通の隊服から和服らしき着物へ
そして弧月は刀身が伸び、日本刀のようになっていく

「さて、どいつから基地に戻りたい?」

悪いな
お前ら全員蹴散らすぜ

「おいおい…なんだそりゃ」

「玉狛の新トリガーか?前はそんなん使ってなかったろ」


出水と米屋がやや驚きながらも冷静に質問してくる
動揺してくれたらもらいもんだと思ったけど、そんな甘い相手じゃないわな

「悪いが、あんまりお喋りしてる時間はなくてな…」スッ

俺は弧月を腰の位置にもっていき、まるで居合いのような格好をとる
そして左手からアステロイドを形成し…

「アステロイド+弧月」ギュワン

「「「!?」」」

「斬空弧月 死突」キィィン

「!!弾バカ!」バッ

「分かってら!!」バッ

「シールド!」キン


出水と米屋が瞬時に回避行動に移る
彼らは比企谷八幡という人物をよく知っているからこその回避なのだろう
嫌な予感がする、と
が、三輪はシールドを張った
いや、張ってしまった

「フッ」ニヤッ

「…!!秀次!」バッ

ボッ!!

「!?」


次の瞬間
三輪を庇った米屋の胸に…

直径20センチほどの風穴ができた
さらにその後方にある民家をいくつも貫いていく弾丸のような白線
軽く100mはいっているだろうか

三輪を庇ったか
だがこれで…

『トリオン供給器官破損。戦闘体活動限界』

「マジかよ…」ピシピシ

『緊急脱出』

ドンッ!

まず一人


「陽介…!」

「なんだ今の…ハッチーのやつ、何をした?」

「くそっ…!」


「さーて、いきなり米屋が落ちたな。ま、本当は三輪を落とそうとしたんだが。おい三輪、基地に戻ったら米屋に礼言っとけよ?」

「…ッチ!」


俺が今何をしたのか
それにはまずこの『ヤマト』というのを説明しないといけないだろう
もう分かってると思うが、これは玉狛製の一点物のトリガーだ
名を『ヤマト』
コンセプトは『攻撃一点特化』
小南の火力重視とかそんなレベルじゃない
本当にそれのみを特化させたものだ

発動するには残存トリオンを何%か消費しないといけない
時間にして10%で1分
今回は50%分使ったから5分、つまり300秒だな
発動と同時に換装体からさらに換装した特別体になり、その時間分経過すればこの特別体は解除される


だがこの特別体、さらには弧月が強化されたこの日本刀のような剣型トリガー
まぁこれを日本刀型弧月とでもするか
これらにはある特殊な効果が付随される。

具体的には、特別体には
『この特別体の状態にある限り、あらゆるトリオン消費は大幅に抑えられる』
という効果が、そして日本刀弧月には
『日本刀型弧月と射撃トリガーの合成が可能になる』
という効果だ
さらにはこの日本刀型弧月のトリオン密度がめちゃくちゃ高くなる
多分小南の本気でやっとヒビが入る、くらい硬いだろう

ただし、いいことばっかりってわけでもない
これらの機能を付けるにあたって犠牲にしたものもある
それは
『弧月と射撃トリガー以外の全てのトリガーが使用不可になる』
というものだ


つまりシールドもバックワームも使えないということだ
っつーことは相手からの攻撃をかわす動体視力や、日本刀型弧月で叩き落とす技術、これらが必要不可欠というわけで…

そこらの隊員じゃ扱うのは到底無理ってわけだ
さらには日本刀型弧月と射撃トリガーの合成
これにはかなりのトリオンコントロールが要求される
トマホークを5秒以内で作れないやつにはまず合成すら無理だろう

ってことで結構欠点もある
が、俺はそれを全てクリアしている
というかクリアするために修行した


玉狛に転属した時、エンジニアがまず俺の何に目をつけたのかと言うと、強化視力のサイドエフェクトとアタッカーらしからぬ高度なトリオンコントロールだ
アタッカーはシューターとは違い、トリオンコントロールをほとんど必要としない
旋空弧月の時にちょっと必要なくらいだ
だからアタッカーのやつらにトマホーク作らせて見ると、30秒40秒が普通、1分をこえるやつもいた
だが俺は10秒で作れた
これならば訓練すればあのトリガーを使えるかもしれん!!
とは当時のエンジニアの言葉だ

そんなわけでこの『ヤマト』を扱うために俺は2年も修行している
実践に投入できるようになったのなんてごく最近だ
ヤマトは俺のみに扱える、つまり一点物ってわけだ

「あー、そういや三輪」

「…?」


「この前現れた爆撃型トリオン兵からボーダーのものじゃないトリガーの反応が出たろ?」

「…それがなんだ。あれはあのネイバーの…」

「いや、すまん。それ俺のこのトリガーなんだわ」

「!?」

「さっき米屋を貫いたやつあったろ?あれであの爆撃型落としたんだよ。んでそん時はこのトリガーをボーダーのって認証するの忘れててさ、悪いな。もうちゃんと認証したからよ」

「…そんなことは今更どうでもいい!」

「あ、そうっすか…」


「んで?ハッチー。そりゃなんだ?」

出水がこのヤマトのことを問いてくる

「そりゃ今は教えられんな。それに言ったろ?あんまお喋りしてる時間的余裕はないんだよ」

「そっか。んじゃお前を倒して後でじっくり教えてもらうわ」

「出来るもんならやってみな」スッ

「メテオラ!」キキン

ドドドドドドドド!!

出水のフルアタックでのメテオラだ
流石にこの範囲はまずいな


俺はバックステップで距離をとる
メテオラの嵐は俺に当たることなく土煙をあげる
すると三輪が俺の裏に回ってきた

「挟み撃ちか」


「三輪!合わせろ!」

「あぁ!」

「アステロイド!」

「シッ!」ダンッ

おっとこりゃまずい
前方からは出水のアステロイド
後方からは三輪の弧月による挟撃だ
けど…

「バイパー+弧月」ギュワン


「「!!」」

「蛇空弧月」

ガキキキキキン!!

俺の放った斬撃が様々な軌道を描き、前方の出水のアステロイドを全てなぎ払った

「なに!?」

「うそだろ!?」

三輪と出水も流石にこれには動揺を隠せないようだ

けどそんな悠長にしてて大丈夫か?

俺の放った蛇空弧月は全てのアステロイドをなぎ払っても勢いを止めることなく、その威力とスピードのまま出水へと向かっていく


「!!」

「出水!」

決まったな
これで二人目

ボッ!!

そう思った瞬間、俺の左肩が後ろから前へと貫かれる

「「「!?」」」

この衝撃で俺はバランスを大きく崩し、蛇空弧月は出水の右腕を切り裂くだけに終わり、戦闘体を破壊するまでには至らなかった

なにが!?
そう思い、後ろを振り向くとそこには


「させねーよ」ニヤッ

後方100メートルほどのビルにある人影があった

当真さん…!!
しまった…!完全に失念していた!

「比企谷、お前の目のことは知ってるぜ。真正面からやったら俺でも当てんのは無理だろうなぁ。けど、そもそも視界に入らなければいいだけの話だ、そうだろ?」

迅さんがわざわざ知らせてくれたってのに…!

『おら、出水、三輪。さっさとたたんじまえ』

「ナイスアシストだぜ!当真さん!バイパー+メテオラ!」ギュワン

まずい!

「トマホーク!」ドドドドド

「終わりだ!比企谷!」ドン!ドン!ドン!


くそっ
出水のトマホークと三輪のバイパーによる鳥かご
しかも俺は今バランスを大きく崩してる
ちっ…
せめて当真さんはもってくか…

「メテオラ+弧月」ギュワン

「爆塵弧月」ビッ

俺は先ほど当真さんがいたところへ向けて斬撃を放つ

「お?悪あがきか比企谷?でも残念、俺はもうそこには…」

「離れろ!当真さん!」

カッ!!


「!?」

俺の斬撃が当真さんのいたビルにあたった直後

ドォォン!!!

大爆発が起こった
ビルはあまりの爆発にその場で崩れ落ちていく

「おいおい…なんだそりゃ…」ピシピシ

『戦闘体活動限界。緊急脱出』

爆塵弧月の爆発に巻き込まれた当間さんは緊急脱出したようだ


ふぅ、なんとか当真さんは倒せたか
けど、俺ももう終わりだなぁ

すぐ目の前にはトマホークとバイパーによる鳥かご
もう逃げる隙間もない

すんません、迅さん
役目、果たせなかったっす…

俺は諦めて目を閉じる


しかし

「「「シールド!!」」」

!?

ガキキキキキキン!!

出水のトマホークと三輪のバイパーは俺の周りに突如出来たシールドによって完全に防がれた


「なに!?」

「!?」

なにが…?

ダダダン!

俺の目に赤い3つの影が映る

はっ…あんたらマジでヒーローだな…
かっこよすぎだぜ



「嵐山隊、現着した!」


今回はここまで
書き溜めがあと1投下分まで減ってしまったので明日の午前中を使って書き溜めます
ではでは

レイジさんの全武装と烏丸のガンナーシフトかっこよすぎじゃないっすか…?

嵐山隊かっこよすぎぃ

乙です

あ、批判・感想などばしばし頂けたら幸いです

かなり強そうなトリガーだな

嵐山隊かっけえわ
おつ

こんにちは
投下します


「「!?」」

「なんで嵐山さんが!?」

「…本部長派と手を組んだのか!」


「無事か?比企谷」

「ナイスタイミングっすよ、嵐山さん。助かりました」

「間に合ってよかったです」

「悪いな、時枝」

「まったく、しっかりしてください。仮にもA級なんですから」

「いや、仮じゃなくて列記としたA級だから。お前よりだいぶ早くA級になってるから。しかも相手もA級だからしょうがないだろ」

「ま、まぁまぁ」

「てかこんな時くらい優しくしてくれてもいいだろ、木虎」

「は?」

「いや、すいません…」


やだこの子いつも辛辣

「嵐山隊…なぜ玉狛と手を組んだ?」

「さぁ…玉狛の狙いは正直分からないな。だがあの迅が動いてるんだ。あいつは意味のないことはしないからな」

「そんな曖昧な理由で…!!」

「お前がネイバーを憎む理由は知ってる。それを否定するつもりもない。けどな、お前とは違うやり方で戦うやつもいるってことだ」

「っ!!」

「納得いかないなら、ここからは俺達が相手になるぞ」

ひゅー
嵐山さんかっけーなマジで
惚れちゃいそうだぜぇ

『三輪、ハッチーに加えて嵐山隊が相手ってなると俺達二人だけじゃ無理だ。一度引いて太刀川さん達と合流して立て直した方が…』


ドドンッ!

「「!!」」

迅さん達の方から二つの光が伸びた

『三輪君、作戦終了よ。太刀川君と風間さんが緊急脱出したわ』

「…!!」

「!!くああ~!負けたか~!」

わお
迅さん太刀川さん達相手にマジで勝ったのか
6対1だぞ…
黒トリガーすげぇな


『特別体維持限界。ヤマト、解除』

バシュウ

「ふぅ」

ははっ、まぁこれで俺達の勝ちだ
プランAは駄目だったけどBは上手くいった
あとは…テーブル上での勝負だな

「しっかしハッチー、そのトリガーなんなんだ?結局俺達はハッチー一人に負けたようなもんだぜ」

「あ、それわたしも気になってました。あの和服?みたいな格好と日本刀のような弧月はなんだったんですか?」


出水と木虎が質問をぶつけてくる
木虎まで興味を持ったってのはちょっと意外だな

「ま、それは基地に帰りながらでも話してやる。とりあえず本部に向かおうぜ。俺にはまだ本部でやることがある」

「…あのハッチーが自分から仕事するなんて…」

「おいコラ弾バカ。俺だってたまに自分からやるわ…本当にたまにだけど」

「たまに、なんですね…」

木虎が呆れるように言う
自分から仕事するようになっただけすごい進歩だと思いません?
東さんが聞いたら腰抜かすんじゃない?


「よし、じゃあとりあえず本部に戻ろう!」

「うーい」

「結局僕達って来ても何もしなかったね…」ボソ

「そうですね…」ボソ

そんなこんなで俺達は基地へと歩き出した
ちなみに三輪は悔しそうな顔をしながら緊急脱出でさっさと帰った
俺もそうしたいけど緊急脱出すると玉狛に送られちゃうからなぁ

「へぇ…玉狛も毎回よくそんなの作るよなぁ」

「ヤマトは俺に合わせたってよりは、たまたま俺だけが合ったって感じだな」

嵐山隊の3人と俺と出水で本部へと歩いてる最中、俺のヤマトについて説明していた
あれ、嵐山隊って3人だっけ…?
まぁいいか


「つーかハッチーにトリオンコントロール負けてるってことが地味にショックなんだが」

「2年の修行なめんな」

「くっそー、俺も本格的にそういう訓練しようかなぁ」

「比企谷先輩」

「あ?どうした木虎?」

「あの和服は仕様なんですか?それともまさか自分でデザインしたんですか?」

「え…ハッチー自分で戦闘体に和服チョイスしたの…?厨二…」ヒキ

「なんだ出水、そんなに飛んで帰りたいのか」チャキ

「冗談だよ!弧月抜こうとするな!」


「…で?本当のところは?」

「宇佐美のやつが勝手にデザインしてた。気づいた時には既に、な」

「へー、宇佐美がねぇ」

「なんでも、ハッチーは和服が絶対似合うと思うんだよねぇ、だとよ」

「…何今の。宇佐美のモノマネ?…きもっ」

「比企谷先輩…」ヒキ

「お前らって何気にひどいよな」

そんな会話をしていると本部の入り口に着いた
そこでは既に迅さんが待っていたようだ


「おう、八幡。お疲れ」

「迅さんもお疲れ様です」

「迅さん、太刀川さん達相手に一人で勝つとかやばいっすね」

「まぁ俺と風刃の相性は良すぎるからな」

「いいなぁ。俺も黒トリガー使ってみたいなぁ」

「玉狛に来れば黒トリガーとはいかないまでも何かしらの特殊なトリガー作ってくれるぞ」

迅さんがさらっと出水を勧誘する

「太刀川隊抜けてまでほしくはないからいいです」

「あらそう」

迅さんは結果が分かっていたのであろう
でしょうね、とでも言うような感じで返した


「うし、八幡。そろそろ行くぞ」

「へーい。じゃあな出水。あと木虎、時枝、嵐山さん、今日は助かりました」

「おう、またいつでも頼ってくれ!」

「今度わたしと模擬戦しましょうよ。前に負け越して以来戦ってないじゃないですか」

「俺が暇な時で気が向いたらな」

「お、ハッチー俺ともやろうぜ!」

「はいはい」

「お疲れ様でした、比企谷先輩」

「おう、またな時枝」


みんなと別れて迅さんと二人で本部の廊下を歩く
目指すは会議室だ

扉の前に立つと中から忍田さんの怒りを含む声が聞こえた
知ってるか?
本部最強の虎が切れるとマジで怖いんだぜ

「ここからが第二ステージだ。頼むぜ八幡」

「俺いる必要あります?」

「いた方がすんなりいく可能性が高い」

「なるほど、分かりました」

「よし、いくぞ」


「失礼します」ガチャ

「どうもみなさんおそろいで。会議中にすみませんね」

「っす」ペコ

俺も取り合えず一礼だけはしておく

「…迅!比企谷!」

「きさまら~!よくものうのうと顔を出せたな!」

「まぁまぁ鬼怒田さん、血圧上がっちゃうよ」

「そうっすよ。高血圧が続くと動脈硬化や頭痛なんかを…」

「お前はだまっとれぇ!」

「へい…」


「なんの用だ。宣戦布告でもしに来たのか?」

「いやいや。そんなつもりは毛頭ないよ」

「俺達の目的はただ一つ。うちの隊員空閑遊真の入隊を認めて頂きたいんすよ」

「なにぃ!?どういうことだ!」

「太刀川さんが言うには正式入隊日を迎えるまではボーダー隊員じゃないらしいんだよね」

「だから本部に認めてもらえば解決ってことで、こうして交渉に来たんです」

「なるほど…『模擬戦を除く隊員同士の戦闘を固く禁ず』」

「組織の規則を盾にネイバーを庇うつもりかね!?」

「…そんな要求をこちらが飲むと思うか?」

「ま、そう言うと思ってましたよ」


城戸さん頑固だしなぁ
やっぱりこの手しかないんかね
迅さんが自分で決めたこととは言え、やっぱりちょっと…

「ただで、とは言わないよ」スッ

ふぅ

「代わりにこっちは風刃を出す」ゴト

「「「!?」」」

幹部達の間に動揺が広がる
俺だって最初この話を聞いた時は驚いた
だって迅さん風刃の手に入れるのにあんなに必死だったのに、と

「どう?そっちにとっても悪くない取引だと思うけど?」


何故今回空閑を入隊させるのにここまでややこしいことになっているのか
それはあいつが黒トリガー持ちだからと言う他ない
もしあいつがノーマルトリガーだったらここまでややこしくはならなかっただろう
つまり城戸派が何を嫌がっているのかというと、玉狛に黒トリガーが二つ集中するのが許せないということだ
しかも忍田さん一派もこっちについた
となると戦力ではこちらの陣営が勝ることになる
それが城戸派は許せないのだ

だったらそれを解決する手段は二つ
空閑を本部に入隊させるか
もしくは、風刃を本部に引き渡すか
これらしかない
しかし空閑を本部に入隊させるのはいささか危険だ
本部にはネイバーを憎んでるやつが一定数いるからな
だから玉狛で護らないといけない
つまり残る手段は風刃を手放すしかないのだ


「…そんなことをせずとも私は、太刀川達との規定外戦闘を理由にお前らからトリガーを没収することも出来るぞ?」

「ということは太刀川さん達から襲撃して来たんだから、当然彼らの方からもトリガーを没収するんですよね?」

俺が口を挟む

「しかもボーダーにはネイバーを入隊させてはならないって規定はない。つまり俺達は何も悪いことしてないのにそっちが強襲してきたってことになるんすよ」

「…比企谷!」

「どうするんすか?城戸さん。俺達のトリガーだけを没収するんすか?出来るもんならやってみてくださいよ。まぁそんなことしたらどうなるか…分からないあなたじゃないでしょう?」

「…!」

「さぁ、どうする?城戸さん?」

「………」

すいません
中途半端ですが今日はここまで
次回は明日か明後日か明々後日か

ではでは

ヒッキー似合うな
なんも違和感ないぞ

乙です

おつ
俺ガイルのキャラの中にも他にボーダー隊員いたりするのだろうか

おつです

こんにちは
少しですが投下します


「八幡、ぼんち揚げ食う?」ボリボリ

「もらいます」

迅さんと会議室から出てしばらく廊下を歩いていると、そこには太刀川さんと風間さん、それに米屋と出水もいた

「よう、4人方もぼんち揚げ食べる?」


「なんであっさり風刃渡してんだよお前は。今すぐ取り返せ!そんでもう一回勝負しろ!」ボリボリ

「無茶言うね太刀川さん」

「…あんた達を派手にを蹴散らすことでようやく成功できた交渉なんですから、俺達の努力を無駄にしないでくださいよ」ボリボリ

「本当は撤退が一番良かったんだけどね。ま、上手くいったからもういいや」


「おいハッチー!俺にもあのトリガーの説明しやがれ!」

「お、そうだ比企谷。出水と米屋から聞いたぞ。なんかすげぇやつ使ってたらしいじゃねぇか」

米屋の言葉に太刀川さんも目を輝かせて聞いてくる
でたな戦闘狂どもめ

「はいはい、じゃあまずこのヤマトから…」

米屋と太刀川さん、ついでに出水も俺のヤマトについて聞くことになった

「迅」

「ん?どした風間さん?」

「そうやって風刃を売ってまでネイバーをボーダーに入れる目的はなんだ?何を企んでる?」

「…それ城戸さんにも聞かれたなぁ」


『何を企んでいる、迅。この取引は我々にとって有利すぎる』

『別に何も企んでないよ。俺達はただかわいい後輩を影ながらかっこよく支援してるだけ』

『俺達は別にあなたたちに勝ちたいわけじゃないんすよ。ボーダーの主導権争いにも興味ないです』

『俺達は、ただ後輩たちの戦いをあんたたちに邪魔されたくないだけだ』

『…』

『それに、うちの後輩たちは城戸さんの真の目的のためにもいつか必ず役に立つ』

『俺のサイドエフェクトがそういってるよ』

『…いいだろう。取引成立だ。風刃と引き換えに、隊員空閑遊真のボーダー入隊を正式に認める』


「その遊真ってやつが結構ハードな人生送っててさ、俺達はそいつに楽しい時間を与えたいわけ」

「楽しい時間?」

「俺は太刀川さんたちとバチバチやりあってた頃が最高に楽しかったから」

「ん?呼んだか?」ズイ

俺の話を聞き終えた太刀川さんが迅さんと風間さんの方にいく
あぶないあぶない
あとちょっとで太刀川さんに無理やり模擬戦させられるとこだった

「そのうち上に上がってくると思うから、そん時はよろしくね」

「へぇ、そんなに出来るやつなのか」


「強いっすよ空閑は。使い始めのボーダーの武器で小南に3-7っすからね。今でも普通に8000ポイント以上の実力はあると思います」

「小南と3-7!しかも短期間で!そりゃあ楽しみだ」

「あ、そうそうそれと…」

「?」

「俺黒トリガーじゃなくなったからランク戦復活するよ。取り合えずソロでアタッカー1位目指すからよろしく」

「「「「「!?」」」」」

これには俺含めて全員驚いた

「そうか、そういやそうだ!もうS級じゃないんだもんな!お前それ早く言えよ!何年ぶりだ!?3年ちょっとか?」


太刀川さんがめっちゃ嬉しそうだ
まぁ迅さんとこれからまたいくらでも戦り合えるんだ
あの戦闘狂が嬉しくないはずがない

「こりゃあ面白くなってきた!な、風間さん、米屋!」

「全然面白くない」

「迅さん今から模擬戦やりません?」

おいこら槍バカ
節操なしかお前は


玉狛に帰ると三雲達が居間で休憩していた

「あ、迅さんとハッチー。おつかれ~」

「お疲れ様です」

「ふぃ~す」

「うっす」

「比企谷先輩、散歩にしてはだいぶ長かったけどどこ行ってたの?」

そういや散歩に行ってることになってるんだったな
適当にはぐらかすか

「ん?あー、それはアレだよ。ほらアレ」

「?」

「ま、そういうことだ。俺はもう疲れた。帰って寝る」

適当にも程があるな

「おやすみ~」

「ふむ?お疲れさまです」


ようやく大きな仕事が終わった
これで当面の心配はないだろう
唯一悔やまれるのは



これだけ働いても給料が出ないってことだけだな

ブラック企業ばんざい

すいません
かなり短いですがここまで
次回からは俺ガイルパートに入ります

ではでは

乙です

俺ガイルのキャラでは八幡のみがボーダーに所属しています
他のキャラは原作通りに過ごしているので、変化があるのは八幡だけになります

ちなみに総武高校には
同年代には出水や米屋、綾辻、宇佐美、三上の他に三輪や奈良坂や辻など結構いろんな人が在籍しています
一個下には菊地原や歌川など、一個上には荒船や穂苅、村上などが在籍しています
今後絡めていきたいと思っているのでお楽しみに

オペ子いろはすとかも見たかったな

こんばんわ
投下します


ここまで何回か読み直したけど平塚先生の言動が理不尽すぎる気がするな


「よーし今日はここまで」

アーヨウヤクメシダー
ツカレター

大きな仕事を終えた俺は再び日常を謳歌していた
しかし俺の日常はとある教師によって打ち砕かれているので実は謳歌出来ていなかったりする
クソ教師許すべからず

今日は小町の弁当もないので俺は購買に行きパンを買うことにした
ついでに自販機でマッカンを買うことも忘れずにな


「ふぃー」ピッ ガコン

「お、ハッチー君じゃないかね」

「あ?なんだ宇佐美か」

「こんにちは、比企谷君。先日はお疲れ様」

「綾辻もか。おー、その件はサンキューな」

「菊地原君が今度倍返しにして返すって」

「あの生意気小僧にてめぇじゃ無理だって言っといてくれ、三上」

「なになに?なんかあったの?」


宇佐美と綾辻と三上が話しかけてきた
この三人はクラスも同じで学校内でもボーダー内でも外でも仲良しらしい
綾辻と三上は先日の事を知っているが、宇佐美は全く知らないので疑問が浮かんだっぽいな


「いや、別になんもねぇよ」

「またそうやってはぐらかす!どうせまた迅さんと何かやってたんでしょー」

「さぁな」

ああして迅さんと暗躍してるのはちょくちょくあるので玉狛の面子には俺と迅さんが揃っていないときは暗躍、と暗黙の了解みたいなものが生まれているらしい
あながち間違ってないかもしれん

「んじゃ俺は行くわ。じゃあな」

「ばいばい」

「またねー」

「むぅ!」

宇佐美がまだむくれてるっぽいが無視だ、無視


そうしてベストプレイスに着いた俺は一人(いや寂しくなんかない。絶対。これ本当)昼食をとっていた

「このパンは外れだな。マッカンに合わん」

俺のパンがおいしいかどうかの基準はマッカンに合うかどうかだ
ってことを前カゲさんに言ったら、お前は狂ってる、なんていわれた
あんただけには言われたくない

「あれ、ヒッキー?」

「あ?クルッ」

振り向くとそこにはジュース片手にきょとんとする由比ヶ浜がいた


「なんだ由比ヶ浜か」クルッ

俺は再度前に向きなおす
前の方にはテニスコートがある
今は昼休みだと言うのに熱心に練習しているやつがいる
前まではいなかったのに最近突然始めたっぽいな

「なんでこんなとこで食べてるの?」

「静かなとこが好きだから」

教室がうるさいのは主に君のグループのせいだよ由比ヶ浜君

「へー、変わってるね!」

でしょうね
自覚あります


「で?お前はこんなとこで何やってんだ?」

「わたし?わたしはゆきのんとのジャンケンでの罰ゲームでジュース買いに来たの」

「あいつも罰ゲームとかするんだな」

「最初は嫌がってたんだけど、自信ないの?って聞いたらすぐやりましょうって返事が返ってきたよ」

雪ノ下さんマジちょろノ下さん

「そんでわたしが負けたんだけど、そん時にゆきのんがちっちゃくガッツポーズしててさ、可愛かったなー」

「へー」


由比ヶ浜がクスクスと笑いながら楽しそうに話す
けど俺は微塵も興味がわかなかったので正直どうでもいい
というかそれなら早く部室に帰れよ

「あれ、比企谷君と由比ヶ浜さん?」


俺の名前を知ってるやつにこんな可愛らしい声を出すやつは極少数しかいない
しかしその誰とも違う声がした

「あ、さいちゃん!やっはろー」

「うん、やっはろー」

振り向くとそこにはジャージ姿の可愛らしい生徒がいた
手にはテニスラケットを持っている
ということはこいつが練習してたやつか


「二人はなにを?」

「やー特に何も。ただ話してただけだよ」

「そっかー」

「さいちゃんは昼休みなのに練習?」

「うん。つい最近ようやく昼休みにコート使うことが許可されてさ」

「がんばるねー」

「うん!そういえば比企谷君はテニス上手かったよね」

突然話を振られたので若干驚いた


「え!?そうなの!?」

「あ?なんで知ってんの?」

「だって授業でずっと壁打ちしてるよね?でもラリーがずっと途切れないからさ!」

「??女子の体育は体育館でバレーだろ?なんでそんなこと知ってる」

「?」

「なに言ってるのヒッキー?」

「は?」

「あ、そういえば自己紹介がまだだったね」

由比ヶ浜のその言葉でその生徒が自己紹介を始めた

「クラスメートの戸塚彩加です。あと、僕男なんですけど…」

「…ほ?」

変な声でた


次の日、体育があったが俺はいつも通り壁打ちしようとすると

「ねぇ、比企谷君」

「ん?戸塚…だっけか?」

「覚えててくれたんだね!」ニコッ

くそ、こいついちいち可愛いな

「実はいつもペア組んでる子が今日は休みでさ、だから僕とペア組んでくれないかな?」

「あー…いいぞ」

「やった!じゃあ向こうのコートが空いてるからいこう!」


この天使のような笑顔に勝てるものなどいるのだろうか?
いや、いない

しばらく打ち合っていると戸塚が疲れてきたのか休憩を申し出てきた
俺はレイジさんと定期的に生身でもトレーニングしているので体力にはまぁまぁ自信がある
が、ここは戸塚にあわせよう

「ふー」

ベンチに二人で腰をかける
汗を流す戸塚はどこかエロい
しかもやたらと近い気がする
あかん(確信)


「やっぱり比企谷君は上手だね」

「そうか?まぁある程度身体は動かしてるから並程度のことなら出来る自信はあるが…」

「…あのね、ちょっと相談があるんだけど…」

む?

「なんだ?」

「実はテニス部ってすごく弱くてさ、三年生も今度引退するからまた弱くなっちゃうんだよね」

まぁテニス部が強いって噂は一回も聞いたことないしな


「だから、比企谷君が良ければだけど、テニス部に入らない?」

「…すまん、戸塚。俺平塚先生に変な部活入れられててさ、しかも放課後はバイトとかもしてるから無理だ」

「そっか…それじゃあしょうがないよね」

ざ、罪悪感が…

「さ、続きしようか!」

「おう…」


放課後になると例のクソ教師がまた俺を連行しようとしたが、俺がしょうがないから入部しますよという旨を伝えると満足したような顔で職員室に向かっていったようだ
この恨み、俺は忘れねぇからな

「うーっす」ガラ

「…」チラッ

当然の如く無視ですか
俺がイスを引っ張ってきて座るとようやく雪ノ下が顔を上げた

「ん…あら、いつのまに来てたの?」

「てめぇさっきこっちチラッと見ただろうが」

「なんのことかしら。言いがかりはやめてくれないかしら影が薄谷君」

語呂わるっ!
まぁこいつに付き合ってるだけ時間の無駄だな
特になにも言い返さずに勉強を開始する
俺はこの時間を勉強に費やすと決めたのだ


しかし開始した直後

「やっはろー!依頼人連れてきたよー!」ガラッ

でたな石炭専用錬金術師

「失礼します。あ、比企谷君!また会ったね!」

戸塚?
依頼人って戸塚のことなのか?

「ヒッキーもさいちゃんから事情は聞いてるでしょ?」

「まぁ…」

「だから部員としてあたしがここを紹介したの!」

「あの、由比ヶ浜さん。あなたは部員じゃないわよ。入部届けも出してないのだし」

「え-!?そんくらい書くよ!今!」

と言ってルーズリーフに書き始めた


「それで?依頼内容はどういったものなのかしら?」

「あ、えっとね、僕のテニスの実力を鍛えてほしいんだ」

お、ちょっと内容変わった?

「部長の僕が強くなれば他の部員達も強くなろうとしてくれると思うから…」

「そう。でもあなたが強くなるのかどうかはあなた次第だわ。私達はあくまで強くなる方法を教えたりお手伝いをするだけよ」

「う、うん。それでもお願いします」

「で?具体的にはどうするんだ?」

俺が質問する


「死ぬまで走らせて死ぬまで素振りさせて死ぬまで練習あるのみよ」

戸塚を殺す気かこいつ
ま、取り合えずジャージ着て外いきますかね

始めは基礎練習から、ということで筋トレや走り込みから始まった
由比ヶ浜も身体を動かしたいからとか言って参加している
あと何故か俺も参加させられている
why?

戸塚と由比ヶ浜がバテる頃には俺も少し息があがっていた

「あなた意外と体力あるのね」

「まぁ鍛えてるからな。それよりお前もやれよ。由比ヶ浜は自主的だからアレとして、なんで俺にだけやらせるんだよ」


そんなことを言うと目線をプイッとそらして

「し、指導役が必要じゃない」

なるほど、お前体力ないな

この日はあまり時間も取れなかったのでこれで終わった
戸塚には継続しろよという旨を伝えて解散となった
翌日の昼休みに本格的な練習を始めるらしい


が、どうしてこうなった

翌日の昼休み、戸塚が特訓中に転んで怪我をしてしまった
雪ノ下はどうやら保健室に救急箱を取りにいったらしい
その時問題は起こった

「あ、テニスしてんじゃん!」

波乱の幕開けだ

今日はここまで

あらゆるキャラは基本原作通りの性格や行動をしますが、物語の都合上一部改悪されていたり逆に改善したりしています
ご了承を

ではでは

乙です

乙です

おつです

こんばんわ、≫1です
書き溜めてきました
今から予定あるので今日は投下は出来ませんが、明日投下しようと思います
その次は水曜になってしまうと思います
それでは

りょ
リアル優先でゆっくりやってね

こんばんわ
投下いたします


「あ?」クルッ

声のした方を振り向くと、はしゃぐ女子+その他大勢の男女集団がテニスコートにやってきていた
なんだこいつら
由比ヶ浜は彼女らを見て少し戸惑っているようだ
なんだ、よく見たら由比ヶ浜が普段教室で一緒にいるグループのやつらか

「戸塚ー。あーしらも遊んでいい?」

「み、三浦さん。僕は遊んでるわけじゃ…」

「なに?聞こえないんだけど?」

「えっと…」

「おい」

なに(俺の)天使にオラついてんだてめぇ


「は?なにあんた?」

「戸塚は遊んでるんじゃねぇって言ってるんだよ。真剣に練習して強くなろうとしてんだ。それを邪魔する気か?」

「あーしは今戸塚と喋ってるんですけどー?」

こいつトリオン体になってくんねぇかな
四肢ぶった切ってだるまにした後思いっきり笑いながら首飛ばしてやりてぇ

「とにかく、ここで遊びたいならテニス部の顧問から許可もらってこい」

「でもあんたも部外者じゃん。ってことはあーしらも使っていいんっしょ?」

「俺達は戸塚からの依頼で練習に付き合ってるだけだ。てかお前俺の話聞いてんのか?てめぇは真剣な戸塚を遊びたいからって理由で邪魔しようとしてんだぞ。真っ当な人間ならいかに自分が場違いな馬鹿なのか理解出来るもんだが、お前はそれすら出来んのか?」

戸塚と由比ヶ浜がオロオロし始めた
だが俺は個人的にこいつがとてもムカつくので止めない


「は?喧嘩うってんの?」

「そりゃこっちのセリフだ」

「まぁまぁ二人とも落ち着いて」

俺が金髪縦ロールと口論をしているといかにも好青年ですと言った感じの金髪高身長イケメンが割り込んできた

「みんなでやった方が楽しいと思うからさ…」

この言葉で完全に俺は切れた


「おい、いつ俺達が楽しんでやってるって言った?」

この嵐山さんを二段階くらい劣化させたような野郎も金髪縦ロールも絶対に許さん

「何度でも言うが戸塚は真剣なんだ。何故お前らは真剣なやつを邪魔する?言ってみろ」

「えっと…でもみんなでやった方がいいと…」

「みんなでやることによって俺達の特訓より成果が得られるという自信があるのか?」

「それは…」

「自信があるのかと聞いている。何故お前らは戸塚の邪魔をする。答えろ」


金髪が返答に困っていると

「ねー隼人―。あーし早くテニスしたいんだけどー?」

あ~~~!
イライラするぅ!

「おい縦ロール。てめぇはまず日本語と道徳を学ぶところからやり直して来い。具体的には小学生だな。ここは高校だ。てめぇのような脳内お子ちゃまが来るようなところじゃねぇんだよ」

「はぁ!?」

「まぁまぁ優美子も落ち着いて。じゃあこうしないか?部外者同士で勝負しよう。そして勝った方がコートを使えるし、もちろん戸塚の練習相手にもなる」

「あ、それいいー!」

「は?お前ら俺達に妥協させる気か?本格的に頭のネジ吹っ飛んでるよう…」


と、俺が言い切る前に

「ねー戸塚―。それでいいっしょー?」

「え、あ…うん」

縦ロールが先手をうってきた
しかも戸塚も了承しちまったよ…

「当人がこう言ってるんだしさ、ここは…」

「はぁ…ちっ、分かったよ」

戸塚が了承してしまったものは仕方がない


「君達は戸塚の他には結衣と君だけかい?」

「あともう一人女子がいる」

「じゃあ男女ペアで勝負ということにしよう」

「は?いや俺一人で…」

「さんせー。あーし出るね」

早く…
早く俺に弧月をくれ…

「由比ヶ浜、先に言っておくがお前は出なくていいぞ」

こいつは本当は向こうのグループだ
敵対するような関係になってしまっては今後グループに居づらくなってしまうかもしれない
しかもこいつはさっきまでの練習を見てる限り下手くそだ
居ると逆に迷惑になる可能性まである
しかし…


「やる」

マジかよ

「いや大丈夫だ。俺に任せろ」

「わたしも出るったら出る!」

なんでどいつもこいつも俺の言うことを聞いてくれないんだ…
俺のカーストが最底辺なせいかな?
間違いなくそうだな
世界が俺に厳しい

「さぁ、始めようか!」


金髪の掛け声で始まった試合はしばらくは拮抗していた
というのも縦ロールが俺を打ち負かしたいのかやたらと俺の方に打ってくるからだ
なので俺は持ち前の運動神経と強化視力のサイドエフェクトを活用してその球に即座に対応、そして返球して得点を奪っているというわけだ

しかし途中でそれも変更になったらしい
俺を倒すよりも試合に勝つこと重視に切り替えたのか、今度はしつこく由比ヶ浜の方を狙ってきた
由比ヶ浜は返球しきれずにネットにぶつけたり、アウトにしたりしていた

なので得点は今はこちらが劣勢
しかも由比ヶ浜は戸塚の練習に付き合ってたから体力がもう底を尽きそうだ
どうしたらこの状況を打破できる?
そんなことを考えていると

「きゃっ!」


由比ヶ浜が転倒して膝を擦りむいてしまった

「血出てんな。保健室行って来い」

「大丈夫…」ググッ

由比ヶ浜はそれでも立ち上がろうとする

「いいから後は俺一人で大丈夫だ。お前もう体力も限界だろ?無理するな」

「…っ」

由比ヶ浜は悔しそうな顔をしている
こいつはこいつで頑張っていたのだ
正直足手まといだったが、一生懸命やっていたやつを責める理由などない


由比ヶ浜は悔しそうに保健室の方へと歩いていった

「なにあんた?見捨てられたのー?」

縦ロールは小馬鹿にしたような口調で言ってきた

「は?お前らなんて俺一人で十分なんだが。実際序盤は俺を狙ってたが逆に返してこっちの得点にしてたしな」

縦ロールは一瞬で黙った

さて続きだ
縦ロールがサーブを打とうとするとギャラリーが少しざわついた
なんだ?と思ってそちらを向くと


「貴方、わたしのいないところで何をやっているのかしら?」

氷の女王降臨☆
由比ヶ浜と雪ノ下がこちらに向かって歩いてきた

「お前ら保健室行ったんじゃないのかよ?」

「大体のことは由比ヶ浜さんから聞いたわ。ここからは私が代わりに出るわ」

こいつ体力ないんじゃなかったか?
大丈夫か?

「私のお友だ…部員を傷つけた罪は重いわよ」

今完全にお友達って言いましたよね
雪ノ下さん既に陥落してるじゃないですかヤダー


「雪ノ下さんだっけ?あーし手加減出来ないから怪我しても知らないよ?」

「挑発のつもり?安心しなさい。あなたが手加減出来なくても私はちゃんと手加減してあげるわ」

二人の女王が睨みをきかせている
こわいねぇ…

「あーしテニス結構得意だからさぁ、顔に飛んでいって傷ついたらごめんねっと!」

そういいながら縦ロールが放つサーブは普通ならば雪ノ下がギリギリ届かないであろう場所へと飛んでいった
しかし


「ふっ!」

それを難なくリターンエースで返す
これにはギャラリーもおおっと声が上がる
てかギャラリー増えてね?
よく見たら出水と米屋もいやがる
しかもニヤニヤしながらこっちに手を振ってくる始末
あいつら…

「よく今の返せたな」

「小学生の時に嫌がらせをしてきた子達と同じ表情をしていたもの。予想がつくわ」

なるほど
そんな経験あるのお前だけだろうな


その後は雪ノ下の独壇場だった
攻めて攻め、また攻める
攻撃は最大の防御なりとはよく言ったものだ
たまに俺の方にも飛んでくるが俺はそれをただ相手コートに返すだけの存在になっていた

試合に勝つまであと2得点とまでいった時
問題は起こった

それほど強くない球がきたが雪ノ下はそれに追いつけなかった
膝に手を置いて肩で息をしている
完全にスタミナ切れだ
はっや


「体力ねーなお前」

「うるさいわね…。昔から何をするにも習得には時間がかからなかったから…」

つまり体力が続いてる間にある程度マスターしてしまうというわけか
なるほど、それなら体力がつかないわけだ
今度から走りこんで体力つけろ

ま、ここまで追い込んでくれたことも事実
あとは俺の切り札で勝負を決めよう

「おい、ちょっとトイレ行ってきていいか?」

「はー?ったく…もう昼休みの時間あんまないんだからさっさとしてくんない?」

「はいはいっと」

そうして最寄のトイレに入った俺はジャージを脱いだ
そして禁断の手段に出る



「トリガーオン…」キィィィン




「すまん、待たせた」

「マジおせーし。さっさとやってくんない?」

「俺のサーブだったな。んじゃ」スッ

「ふっ!」

俺の放ったサーブはものすごいスピードで相手のコートを抜けていった

「…え?」

「な…!?」


これには金髪も縦ロールも驚いている
当然だろう
さっきまでとはまるで違う球だ
そこらのアマチュアでは到底拾うことなど出来ないほどの球威と速度である

ギャラリーの方を見ると出水と米屋が爆笑している
あの様子だと恐らくあいつらは気づいただろうな

「さ、あと一点だな」

「あ、あなた…」

雪ノ下も驚いた様子で信じられないといった表情だ


「ほら、お前のサーブだ。そんくらいは打ってくれよ?」

「え、えぇ…」

雪ノ下の放ったサーブは力もスピードもないがどうにか相手コートには入った
縦ロールがやはり俺に返球するのはまずいと思ったのか既にバテバテの雪ノ下に強烈なリターンを放ってきた
しかしそれを俺が拾う
常人でもギリギリ不自然じゃない程度の瞬発力を装いながら

しかしそれではやはりあまり力が出なかった
金髪がそれをさらに返球する
方向はさっきまで俺のいたところ
これにはどうあがいても届かない
そう、普通ならば


「よっと」

しかしそれすら俺はギリギリで拾う
今のはちょっと不自然だったかもしれない
力の調節がなかなかに難しいな
これには金髪も嘘だろといった様子だ

金髪がその球を再びリターン
しかし今度はそれほど深い位置じゃない
これなら余裕で間に合う


「おらっ!」

俺がその球をものすごい勢いでリターンする
相手はそれを拾えずに、ボールは後ろの金網に当たっててんてんとしている

「ゲームセット、だな」

その場にいた全ての人たちが呆然としていた
出水と米屋だけはなおも腹をかかえて悶えているが

「そら、出て行け。そういう約束だろう」

縦ロールは苦虫を噛み潰したような表情でこちらを睨んできた
俺も負けじと睨み返す
ただ余裕の表情は崩さずにだけどな


金髪も悔しそうな顔をしているが縦ロールを連れて出て行こうとする

しかし縦ロールも黙っていられなかったのか、こちらに向けてボールを思いっきり投げてきた
しかしそんなものは強化視力を持ち、なおかつトリオン体である今の俺には余裕でキャッチできた
しかし俺はそれをあえてスルー
ボールは俺の胸のあたりにドッとぶつかった

「お、おい優美子!」

金髪もさすがにこれには声を荒げる
さらにそれを見た出水と米屋が笑い顔から一転、怒気を含んだ表情でこちらに向かってこようとするのが見えた
だが俺はそれを目で制する

「おい、てめぇ今何をした」


俺は精一杯の怒りを含めたフリをして威圧する
縦ロールもこれには流石にやりすぎたと思ったのか、若干オロオロし始めた

よし、これならばもうちょっかいを出してくることはなくなるだろう
一度後ろめたいと感じてしまえば再びそれをしようとする気はなくなる
これで完璧に撃退できたことになるだろうな
まさにパーフェクト
職人の所業だ

「ちっ…さっさと失せろ」

この言葉でやつらは全員帰っていった
ギャラリーも自然に解散していった

戸塚は少し戸惑った様子で、しかしありがとうと言ってくれた
The☆天使


由比ヶ浜と雪ノ下は今でも信じられないといった様子だが授業の予鈴がなると我を取り戻したようで教室の方へと歩き始めた
俺と戸塚も教室に帰る準備を始めた

その後は授業の前にトイレでトリオン体を解除し、平然と何事もなかったかのように授業を受けた

後日忍田さんに無断かつ私用でトリガーを使ったのがバレ、こっぴどく怒られたのに加えて1ヶ月の減給処分となった
自業自得とは言え1ヶ月の減給は正直かなり萎えた

やはり俺の無給労働は間違っている

てか無給どころか減給…

今日はここまで
次回は多分水曜になると思います

では

おつです

乙です

擁護できる余地がまるでないトリガーの無断使用だなw

こんなところでトリガー使うなよ……

嵐山さんも擁護出来ないな

時間はわかりませんが今夜投下します

やったぜ

なんかメアリー・スーを彷彿するけど

原作でも主人公こんなんなの?

こんばんわ
多分ID変わってると思いますが>>1です

メアリー・スー懐かしいですねw
八幡は個人的な見解では原作でもこんな感じだと思ってます
なんやかんや仕事はする、よく関わる人物からは信頼が厚い、等々

では投下します


それから数日後、ついに本部での入隊式が行われた
監督役は今回も嵐山隊
さらには先日の無断での私的なトリガー使用による罰で俺もその補助をやらされている
今日は緑川と模擬戦をやる約束をしていたがこれによって中止になってしまった
今度何か飯でも奢ってやるかな

まず最初は忍田さんによる挨拶だ
が、それは一瞬で終わった
校長先生の話みたいに長くはないらしい
ちょっと安心した
校長の話ってなんであんな長いの?

忍田さんの話が終わって嵐山さん達が現れると黄色い声が上がる
俺はC級達の後ろの方で全体を見回す
三雲達三人も見つけた
空閑は何やら近くのC級三人と話してるようだ
その三人は何やら達観した様子で嵐山さん達を見て嘲笑っている
なんだこいつら


「よし、じゃあアタッカーとガンナーを志望するものはここに、スナイパーを志望するものはウチの佐鳥についていってくれ」

俺はスナイパーのことは全然分からないのでアタッカーやガンナーを志望するやつらの補助だ

嵐山さんがざっとB級に上がる説明をする
現在はソロポイントを4000ポイントまで上げることがB級に上がるための条件だ

そういえば俺が入隊した頃はこんな制度なかったな
俺が入隊した頃はとにかく人員不足だったので少しの説明と訓練の後にすぐ防衛任務に就かされるやつが多かった
特に俺のように最初から結構できるやつは、な
あまり強くないやつらは忍田さんの判断で防衛任務に就いていたようだ
今ではそのようなアバウトなものではなく、きちんと4000ポイントというラインが決められている
これも組織が大きくなったからこそだろう


「まずは訓練の方から体験してもらう。着いてきてくれ」

嵐山さんがC級達を連れて訓練室の方へと歩いていく

「よう空閑、三雲、木虎」

「お、比企谷先輩」

「お疲れ様です、比企谷先輩」

「なんだ比企谷先輩ですか」

三雲と空閑が木虎と最後尾を歩いていたので声をかける
三雲は既にB級だが空閑の付き添いと転属手続きのために本部に来たらしい
あと木虎、お前失礼だぞ
俺は一応先輩なんだ
敬えこの野郎
無理?
ですよねぇ


「俺なるべく早くB級に上がりたいんだけどさ、どうすればいいの?」

「ランク戦でそこらのやつらからむしり取れ。お前なら余裕だろ」

「なるほど、分かりやすいですな」キラーン

実際空閑なら余裕だろうから他のやつらはかわいそうである

そんなこんなで訓練場に到着する

「さあ到着だ。まず最初の訓練は対ネイバー戦闘訓練だ。だが本物ではなく、ボーダーのデータから再現されたものだから安心して戦ってくれ」


「私の時もいきなりこれだったわ」

「僕の時も…」

「これで大体向いてるか分かるよな。俺はやったことねぇけど」

「そうなんですか?」


そういえば三雲にはまだ俺が入隊したのがいつ頃なのかまだ言ってなかったか
まぁ言う機会もなかったしな

「俺が入隊した頃はこんなのなかったからな」

「…ちなみに今やるとどのくらいで倒せるんですか?」

「あ?あー、まぁ1秒はかからんな」

「まぁ慣れればそんなもんですよね」

木虎も同意する

「そ、そうですか…」

俺は雑談もそこそこにC級達の補助を始める
今回の相手はバムスターを初心者用にやや小さくしたもの
まぁ初めてなら1分切れればいい方だろう


だが半数ほど終わってたがどいつもこいつも2分だったり3分だったりとタイムは良くない
一人58秒を出したやつがいたがそいつが暫定で最速らしい
こりゃあんまり期待できるやつはいねぇな

が、突然おぉー!と歓声が上がった
そっちの方を見ると空閑が訓練室から出てきたところだった
なるほど、恐らく空閑がかなりの高タイムをたたき出したのだろう
よく見ると時間が4分59秒41で止まっている
0.59秒かよ
流石だな

しかしどうやらさっき空閑と話してた三人組がいちゃもんを着けたらしい
空閑がもう一度訓練室に入っていく
しかしタイムはさらに縮んだ
ざまぁみろ三バカ共め


上の方では木虎と三雲の他に京介の姿も見えた
なんだ、京介も来たのか
木虎は珍しく落ち着かない様子でソワソワしている
こいつほど分かりやすいやつはそういないだろうな

コツコツと階段を降りてくる音が聞こえたのでそちらの方を見ると風間さんだった
若干きまずいのであんまり会いたくないなぁと思っていると突然

「訓練室を一つ貸せ、嵐山。迅の後輩とやらの実力を試したい」キィィン

と言い出した
そして風間さんがトリオン体へと換装していく
おいおい、マジかよ

「待ってください風間さん。彼はまだ訓練生ですよ?トリガーだって訓練用だ!」

訓練用トリガーと正隊員が使うトリガーとでは基本的に性能が段違いだ
出力や切れ味など、様々な差がある
さらには訓練生が使えるのは一種類なのに対して正隊員は最大8つ
これではあまりにも不公平である


「また城戸さんの差し金ですか?風間さん」

俺が口を挟む

「比企谷か」

風間さんは普段と変わらない様子だ
根に持ってはいないらしい

「勘違いするな。俺が言っているのは…お前だ。三雲」

「「「!?」」」

どうやら風間さんのお目当ては空閑ではなく三雲だったらしい
三雲は正隊員だ
模擬戦をやるには別になんら問題はない

知りもしない中学生を三バカ呼ばわりしたあげくざまぁみろって酷い奴だな


「訓練室に入れ、三雲。お前の実力を確かめさせてもらう」

三雲はどうやら迷っているようだ
いや頭が真っ白になっていると言った方がいいか
A級トップレベルの人に突然そんなことを言われればそうなるのも無理はない

「おい、三雲。嫌なら断れ」

「模擬戦を強制することは出来ない。嫌なら断れる」

俺の発言に京介も加わる
しかし

「いえ…受けます。やりましょう、模擬戦」

まってた
がんばれ


おいおいマジか
相手は風間さんだぞ
だが本人がやると言った以上俺達が口を挟む権利はない

「今のお前じゃ勝てんぞ」

「はい…それは分かってます」

なるほど
どうやら経験を積みたいらしい
だが相手との実力が離れすぎててはそれもあまり意味を為さない気もするが
しかし本人がやる気を出しているのだ
これならばやらないよりはやる方がマシだろう

「無理はするなよ」

「はい!」

三雲が京介の言葉を皮切りに風間さんが待つ訓練室へと入っていく


C級達は時枝が別室へと連れて行ってくれたらしい
よく気が利くやつだ
今度ジュースでもおごってやろうかね


結果は散々だ
現在23連敗中…あ、今ちょうどまた負けたから24連敗だな
まぁこうなるだろうとは思っていたが、実際目の当たりにするとなかなかかわいそうに思えてくる
まずカメレオンを捕らえられてすらいない

お、どうやら今ので終わりらしい
風間さんは表情にはあまり出さないが少しガッカリした様子だ
二人は訓練室内でなにやら話し込んでいる
ここからでは何も聞こえないな


風間さんが出入り口に向けて歩き出す
が、何故かまた戻っていく

「あれ?まだやるみたいだぞ?」

「なんで?もう十分負けたでしょ…!?」

三雲のやつ、さっきまでと目が変わったな
すぐ近くにいる風間さんと強化視覚をもつ俺しか分からないだろうが、明らかに目つきが変わっている
風間さんに何て言われたんだ?

『ラスト一戦、開始!』

堤さんの掛け声で25戦目が開始される
今度も風間さんはまず始めにカメレオンを起動した
今までならここで三雲がなんとか当てようとがむしゃらに動いたりアステロイドを放ったりしていた
しかし今回は違った


「…!?」

「これは…超スローの散弾?」

三雲は弾速を極端に削ったアステロイドを訓練室にばら撒き始めた

「なるほど…訓練室を弾丸で埋め尽くす気か」

「訓練室ならトリオン切れはない…しかも風間さんはカメレオンを発動してるからガードすることも出来ない。考えたな、修」

「まさかこんな手が…」

これには木虎も驚嘆しているようだ

「けど…」

風間さんがカメレオンを解除し、姿を現す


「風間さんはカメレオン無しでもかなり強いぞ」

俺の発言通り風間さんは目の前に迫る弾丸をスコーピオンで全て叩き落し、そのまま三雲に突撃していった
あの剣捌き、俺と同等か、いやそれ以上だろう
流石不動のアタッカー2位である

三雲は右手でアステロイドの弾丸を再び生成していた
今度はスロー弾ではなく、普通に撃つつもりだろう
風間さんが近づいてきてるがまだ放たない
弾丸の壁で動きを制限して大玉で迎え撃つつもりか?
しかしそれは風間さんも分かっているだろう
予測できてしまえば避けるのはさほど難しくない
そのままじゃあ風間さんは倒せ…

「スラスターON」ドッ!

「!?」


「シールドチャージ!?」

風間さんは避けきれずにそのまま壁際まで押し込まれてしまう
しかしその距離では風間さんの間合いだ
即座に反撃されて…

ブワン!

レイガストで閉じ込めた…!?
レイガストはシールドモードではその範囲や形状をいじれる
その機能を活用して風間さんを壁とレイガストを使って完全に覆う

「アステロイド!!」キィィン

そのままレイガストに弾一発分の穴を空けて、そこにアステロイドを撃ち込もうとしている


「0距離射撃!」

ドォォン!!

どうなった?
塵がまっていてよく見えない

「やったか?」

「やったんじゃねーかこれ!?」

煙が晴れていく
そこには

のど、つまり伝達系を切り裂かれている三雲の姿があった

『伝達系切断、三雲…ダウン』


マジか
読み合いでは完全に三雲の勝ちだったが…
けど風間さんをここまで追い込んだんだ

「惜しかったわね」

「惜しかったな、三雲」

「いや…そうでもないよ」

空閑の言葉を聞いて風間さんをよく見てみる
すると

『トリオン漏出過多!風間ダウン!』

お、おぉ…!

「最後は相打ち…引き分けだ」

「「「!!」」」


あの風間さんと引き分け
はっ、すげぇじゃねぇか三雲

『模擬戦終了』
最終スコア 三雲 0勝24敗1引き分け

「風間さんと引き分けるなんて…!」

「勝ってないけど大金星だな」


「風間さん、どうでした?うちの三雲は」

「烏丸…そうかお前の弟子か」

「最後はしてやられてましたね、風間さん」

「比企谷…最後の戦法はお前らの入れ知恵か?」

「いえ、俺達が教えたのは基礎だけです」

「あとは全部三雲のアイデアっすよ」

「なるほど…」バシュウ

風間さんがトリオン体を解除する


「正直言って、弱いな。トリオンも身体能力もギリギリのレベルだ。迅が推すほどの素質は感じられない」

でしょうね
誰から見ても素質って点じゃ最低レベルだ

「だが、自分の弱さをよく自覚している。それゆえの発想と相手を読む頭がある」

お?

「知恵と工夫を使う戦い方は俺は嫌いじゃない…邪魔したな、三雲」スタスタ

でた
風間さんの落として上げる方法
これでイチコロな後輩も多いと聞く
飴とムチの典型例だ


結局風間さんは空閑とは一切戦わずに帰っていった
プライドの高い風間さんのことだから模擬戦はちゃんとポイントが動くものじゃないとやりたくないのだろう

ちなみに今の模擬戦では三雲は24敗もしたにも関わらず、ポイントはたった136しか動いていない
ポイントの最高レベルが最低レベルを倒してもポイントの上下ってこんなにも小さいんだなと初めて知った瞬間であった
哀れなのか幸運なのか…

その後は雨取がアイビスで基地の壁を貫いたり、空閑が全ての訓練で満点を取ったりと、ここまでくると流石に隊員の間でも話題になってきていた
ついでに風間さんと引き分けたやつがいるって噂も聞いた
話してるやつらはそいつ絶対A級になるな、とか言ってた
間違ってないんだけど…間違ってるんだよなぁ…

今日はここまで
次回は明日か明々後日ですね

ではでは

乙です


今回の八幡は解説だけで仕事してないからまた減給ですね・・・

>>343sageはメールアドレスに入れるんだよ

あと八幡は止めたし、修が受けただけだから問題ないよ
正隊員同士の模擬戦、ランク戦は普通

はよ

原作の比企谷八幡とはけっこう性格違うと思うけどこれはこれで味が出て面白いです

こんばんわ
投下します


その後は雨取がアイビスで基地の壁を貫いたり、空閑が全ての訓練で満点を取ったりと、ここまでくると流石に隊員の間でも話題になってきていた
ついでに風間さんと引き分けたやつがいるって噂も聞いた
話してるやつらはそいつ絶対A級になるな、とか言ってた
間違ってないんだけど…間違ってるんだよなぁ…

C級への説明も既に全て終わっており、これで俺の役目も終了だ
思ってたよりもかなり早く終わった
緑川のやつランク戦のブースにいるかな?

そうしてブースについた俺は米屋と空閑を見つけた
何故か陽太郎と雷神丸もいる
しかもなんかやたらとギャラリーが多いな


『ビー。十本勝負終了。10対0 勝者緑川』

お、緑川
今まさに模擬戦終わったとこか
誰とやって…三雲?
あいつら知り合いだったのか?

模擬戦が終わり、二人が出てくる
ギャラリーはひそひそと小声で三雲を馬鹿にするようなことを話している
それを聞いた俺は正直かなりイライラした
確かに三雲は弱い
それは間違いない
だがそれはバカにしていいことではない
あいつだって強くなろうと必死に努力している
それは京介との特訓や自主トレーニングからも分かることだ


だがバカにしてるやつらはそれを知らない
なにせあいつはまだソロだし玉狛にいることがほとんどだ
そもそも三雲のことを知らないやつが圧倒的に多いだろう
だからこそ、俺はそれにイラつく
俺は必死に頑張ってるやつは嫌いじゃないからな

なにやら空閑と緑川が話している
ここからじゃよく聞こえないな
緑川が再びブースへと入っていく
しかも今度は空閑まで
今度はこいつらが戦うつもりか?

「よう、米屋。それに陽太郎も」

「お、ハッチー」

「む?はちまんか」


「あ、比企谷先輩…」

「よう三雲、さっきぶりだな。お前緑川と知り合いだったのか?」

「いえ…そういうわけでは…」

「?」

じゃあ何故緑川と模擬戦を?

『ランク外対戦10本勝負、開始』

そうこうしてるうちに空閑と緑川の試合が始まった
訓練生と正隊員によるランク戦ではポイントの上下がない
理由はさっき言った通り正隊員の方が圧倒的に有利だからだ

「米屋、なんでこいつらが緑川と戦ってる?」

「さぁ、よく知らねー。メガネボーイは緑川から誘われてやったらしいぜ。したら今度は白チビが緑川に勝負ふっかけた。理由は知らねぇ」

「…?さっぱりわからん…」

「だろ?」

「三雲、緑川は突然模擬戦しようって言ってきたのか?」


米屋は何も知らないようなので三雲に直接聞く

「えーっと…休憩室にいたら突然話しかけられて…」

「突然?」

「はい。玉狛かどうかをまず聞いてきてその後はどうやって玉狛に転属したのかとか…」

む?

「三雲、迅さんの話題とか出したか?」

「え?えっと…迅さんに誘われて玉狛に転属したんだよ、とは言いました」

「…なるほど」


謎が解けた
簡単なことだ
緑川が嫉妬しただけだな
んで、空閑がそれに気づいたかどうかは分からんが、三雲に恥をかかせた緑川に怒ってこうなったわけか
あいつもそういうとこやっぱまだガキだな

自分で納得していると緑川が空閑を倒したところだった
これで緑川は2連勝
緑川は余裕の表情をしている

あー
こりゃやばいな

「結構経験の差があんなー」

「だな」

米屋も分かったらしい


「けいけんのさってなんだ!?ゆうまもミドリカワに負けるっていうのか!?」

「いや、逆、逆」

「…?」

「まぁ見てな。そろそろ勝つぞ」

米屋の言った通り空閑が1本返した
腕は切り落とされたが、逆にトリオン供給器官を一突きだ

「捕まえた。もう負けはねーな」

「空閑のやつ、緑川をボコボコにする気か?」

「なんか知んねーがそうみたいだな」


「どういうことですか!?」

三雲が質問してくる

「三雲、前に空閑が三輪隊に襲撃されてただろ?」

「は、はい…」

「俺達4人相手に白チビは一人で凌いだんだ。緑川一人くらい捌けないわけねーだろ」

「…!!」

空閑はその後も緑川を圧倒していく
あっという間に6-2だ
これで空閑の勝利が確定した
緑川は焦った顔をしている
動きにもその影響が出ているようだ


「空閑の動きはボーダー内でもトップレベルだ。緑川も確かに強いが、それでも年季の差はあるし、なによりあいつの動きは覚えた芸を見せたくてしょうがない犬ッコロみたいなもんだ」

「だな。けど、白チビのは違う。あいつはもっと…静かで淡々としてる。ただうまく相手を殺すための動きだ」

7-2
ラスト1本だ

緑川も空閑もなにやら笑っている
緑川のやつ、さっきよりはマシな顔つきになってやがる

『ビー。10本勝負終了。最終スコア8-2 勝者、空閑遊真』

しかし結果は当然覆らない
最後の1本はなかなか惜しいとこまでいっていたが、それでも地の力ではまだ空閑の方が上だ


空閑がブースから出てくるが緑川はまだ出てこない

「よーし白チビ、今度こそ俺と…」

「遊真、メガネ君」

「迅さん…!」

「どもども。あれ、八幡もいるのか」

「うっす」

「遊真とメガネ君はちょっと来てくれ。城戸さん達が呼んでる」

お、今回は俺いらないらしい

「あ、迅さんだ!」

緑川がブースから出てくるやいなや迅さんを発見する
くるくると迅さんの周りを回るこいつは本当犬みたいだな


「あ、ハッチー先輩もいるじゃん」

なんだそのついでみたいな言い方

その後は緑川がちゃんと三雲に謝ったり、空閑とライバル関係みたいないい感じになったりと一件落着のようだ
迅さん達3人が出て行ったので結局米屋はまた空閑とは戦えずじまいだった

「緑川」

「ハッチー先輩…」

「どうする?約束どおり今からやるか?」

「俺今ボロ負けしたところでそんな気分じゃないよ」

「うそつけテンション上がりまくってたじゃねぇか」

米屋が思わずつっこむ


「まぁ負けたのはそんな気にすんな。良い勝負だったぜ」

「8-2だったんだけど…」

「その差は空閑に翻弄されたってのが大きな要因だな。動き自体にそこまでの差はない」

「そうなの?」

「最初の2本、結構楽に取れただろ?」

俺の指摘に緑川がやや難しい顔になる

「…やっぱあの2本はわざとだったのか」

「最初は派手に勝たせる。そして油断したところを叩く。んでそれを取り返そうと力んで普段の力が出せなくなったところをさらに叩く」

「全部手のひらの上だったってことか…」

「ま、最後の1本は持ち直したな」


これで緑川も成長したかね
戦いはこうやって心理戦を挟む場合が結構多い
戦いってのはメンタルも重要だ
特に実力は近いやつとの勝負はな

「ってことでハッチー、今からやるか?」

「めんどい。断る」

「緑川とはやる気だったじゃんかよー」

「それは約束してたからだ」

「ちぇー、他にバトれるやついねーかな」

「お、あそこに熊谷いるぞ」

俺は自販機でジュースを買ってる熊谷を見つけた

「くまかー。たまにはくまでもいいなー」

「んじゃあいつに頼め」

「そうっすかー。おーい熊谷!」


熊谷がこちらに気づいたようでジュース片手に歩いてくる

「米屋に比企谷、それに緑川か。どした?なんか用?」

「今からバトろうぜ」

「あー、ごめん。今からチームミーティング」

「マジかー、ちぇー」

「ってことだ。今日は諦めろ米屋」

「まーしょうがねぇか」

「あんたたまには勉強しなさいよ」

「うぐっ…」

「そうだな、いいこと言った熊谷」

「テストの度にみんなに迷惑かけてんだからさー」

「はい…すいません…」

熊谷の口撃で米屋のHPがゴリゴリ削られていく


「緑川、お前もだぞ」

「うぇ!?」

俺が突然緑川へと矛先を変える

「なに、あんたも成績悪いの?」

「米屋とどっこい…いやそれ以下か…?」

「あんたそれ相当やばいわよ」

「あ、あはは…双葉にたまに教えてもらってるんだけど…どうもね」

「黒江ちゃんにあんまり迷惑かけちゃ駄目だよ」

「はーい…」

熊谷さんマジお母さん

「んじゃあたしはそろそろ行くわ」

「おう」

「じゃあなー」

「ばいばーい」


熊谷がこちらに手をふって去っていく

「んじゃ俺も玉狛に帰ろうかね」

「俺はもう家帰ろっかな」

「二人とも帰るのかー。俺は秀次が会議終わるまで暇だからもうちょいここにいるわ」

「いや勉強しろよ」

「帰ったらなー」

あ、これしないフラグだ
まぁいくら言ってももう今日は無理か

「そうか。じゃあまたな」

「バイバイよねやん先輩」

俺と緑川はランク戦ブースを後にし、本部を出たところで緑川とも別れた

今日は罰だとかで仕事させられたが、これが1ヶ月続く気がするのは俺の気のせいだろうか
頼むからそうであってくれ
もう無給で働きたくない…

今日はここまで
書き溜めがなくなったので書かなくては…

槍弧月でも旋空使えるんですね
BBFも楽しみです

ではでは

乙です

おつ

双葉が13で緑川が14歳だよな?
......おい。

書き溜めてきました
明日投下しますね

小南の一撃かっこよかったですねぇ

待ってる

こんにちわ
こんな時間ですが投下します


ジリリリリリリリリ!

「おにーちゃーん、朝だよー!」

あぁ始まった
始まってしまった
ばいばい日曜日、一週間ぶり月曜日

「おはよう」

「おはようお兄ちゃん。朝ごはんできてるよ」

着替えて下に降りると妹が既に朝食を作って待っていてくれた
紹介しよう
我が最愛の妹にして千葉最高の妹、小町だ
異論反論口答えは認めない


「もー、もうちょっと早く起きてよねー」

「わりぃわりぃ。昨日ちょっと疲れててな」

「そういえば帰ってきてすぐお風呂とご飯済ませて寝てたよね」

「あぁ。忍田さんに雑用押し付けられたようなもんでな」

「でもお兄ちゃんが悪いことしたからなんでしょ?」

「うぐっ…」

「はぁ~。まったくごみぃちゃんだなぁ」

戸塚のためにトリガーを使ったとはいえ、わざわざそれを言うのは言い訳してるようで気が引ける
というか俺があいつらをボコボコにしたいがために使ったってのが一番大きい要因だ
だから言えるわけがない


「あぁもうほらあんまり時間ないんだよ。食った食ったー」

小町に急かされて朝食の白飯と味噌汁をかきこむ
うまうま

「んじゃお兄ちゃんっ!」

「へいへい」

小町がこうやって俺と一緒に家を出る時は大体こうだ
俺の自転車の後ろに乗る
うわーい青春だー

「ゴー!」

「うーい」

小町を後ろに乗せて出発する
やや遠回りになるが小町の中学は俺の高校の通学路の途中にある


自転車を漕いでいると前のほうに見知った顔を見つける

「お」

「あ、茜ちゃんだ!」

「ん?あ、比企谷先輩と小町ちゃん!」

日浦茜
B級12位の那須隊に所属するスナイパーだ
小町とは同じ中学同じクラスでかなりの仲良しらしい
たまに俺の家に日浦が来たり、逆に小町が日浦の家に行くこともしばしばだ

日浦経由で那須達とも小町は仲良しだ
この前は那須隊+小町で買い物に出掛けてた
ちなみに日浦を泣かせるとこちらが社会的に死ぬ、というのはそこそこ周知のことだ


「また比企谷先輩の後ろに乗せてもらってるの?」

「にひひー、いいでしょ」

「先生に見つからないようにね」

「んー、いやもう降りようかな」

「降りるの?」

「うん、茜ちゃんと一緒に歩いていく。ここまでありがとね、お兄ちゃん」

「おう、二人共気をつけてな」

「りょーかい!」ビシッ

「はい!」

二人と分かれ俺は我が総武高に向かう、が


「やばい…今日の2限の課題忘れた…」

どうする
今から家に戻っていては間違いなく1限に間に合わない
しかし2限は課題を忘れたやつがいるとよく切れると有名な教師
噂によると数人忘れたクラスでは説教で30分以上費やしたとか
かなり面倒だし注目される
だが1限はあの暴力教師

うーむ…
まだ暴力教師の方がなんとかなるか
課題を取りに帰ろう
んで1限が終わる頃を見計らって行こう

そう決めた俺は家へと戻った


昇降口に着くとちょうど1限が終わった鐘の音が鳴った
ナイスタイミングだ

教室に入ると休み時間だけあってがやがやとしている
そして何故かあの暴力教師がまだいる

「やあ、比企谷。言い訳は?」

「…2限の課題忘れたんで取りにいってました」

「にしては遅すぎじゃないか?」

「と、途中で大荷物を持ったおばあちゃんが…」

「もうちょいマシな嘘つけ」ゴンッ

「ぐっ!?」ドサッ


なんという拳速
防げなかった
てかこの前より速くなってないか!?

「ちなみに2限は先生が今日は出張でいないので、このまま引き続き私の現国だぞ」

なん…だと…

ガラ

俺が絶望に打ちひしがれていると長髪で制服を着崩している女生徒が鞄を持って教室に入ってきた

「む?はぁ、川崎…君も遅刻かね?」

川崎と呼ばれた女生徒は特に何か喋るわけでもいい訳をするでもなく、軽く会釈をして席に向かっていく


「黒のレース…か」

「…バカじゃない?」

聞こえてたか



放課後、今日は部活もないし防衛任務は深夜なので勉強することに決めた
場所は自宅と学校の中間地点くらいにある喫茶店
が、俺は入った瞬間に後悔した
由比ヶ浜と雪ノ下が見えた
それともう一人は…


「あ、八幡!」

戸塚ァァァァァ!
ごめんうそやっぱ後悔してないマジエンジェル

「よう、戸塚。こいつらと勉強会か?」

「うん!」

由比ヶ浜はやっべー、みたいな顔をしている
大方呼んでないやつが来ちゃったよー、とか思ってるんだろう

「あら、呼ばれてない比企谷君じゃない」

「よう、体力ゴミクズの雪ノ下さん」

にらみ合う


「ま、別にお前らの邪魔はしねぇよ。俺は向こうの方で勉強する。じゃあな」

戸塚と一緒になれないのは心苦しいがさっさと勉強を開始したいので奥の方へ歩いていこうとする
すると

「あ、お兄ちゃんだ」

ふぁ?

「小町…なんでここに?」

「大志君からちょっと相談受けててね」

「大志君…?」

小町の後ろの方から一人の男が現れてこちらに一礼する
そうか貴様が小町に近づく羽虫か
よろしい、害虫は駆除に限る


「お兄ちゃん、目の腐り具合がいつもより増してるよ。そこまでそこまで」

ちっ
寛大な小町に感謝しろよ

「ん?お兄ちゃん、その人達は?」

「あぁ、こいつは戸塚だ。俺のクラスメイト。それがどうした?」

「ちょっとヒッキー!わたしとゆきのんは!?」

「だまれ石炭」

「せっ!?だ、誰が石炭だし!!」

「落ち着いて由比ヶ浜さん。この男の言葉に惑わされてはだめよ」

「なんだ冷静だな。今日はまだ体力尽きてないのか?」

「喧嘩を売りたいのね。いいわよ…」ガタッ

「お、落ち着いてゆきのん…」

由比ヶ浜があわあわしている
落ち着いてって言う側が落ち着いてないとか漫画かよ


「どうも比企谷小町ですー。兄がお世話になってます!」

突然小町が自己紹介を始めた

「ちょっとお兄ちゃん!」ヒソヒソ

「…へいへい」

小町に止められたのでここまでにしておくか

「戸塚さんに由比ヶ浜さん、それに雪ノ下さんですね。みなさん可愛い人ばかりですねー。お兄ちゃんもやるなー…ん?」

小町は何やら由比ヶ浜を見つめる
由比ヶ浜は気まずくなったのか目を逸らした


「おい、小町。戸塚は男だぞ?」

「ん?いや、なんでそんな嘘つくの?」

「いや嘘じゃねぇ」

「あ、えっと、僕男です」

「「…えぇ!?」」

小町とついでに大志とやらも驚いている
まぁ俺も最初は驚いたもんだ

「それで、何かお前達はここで何を?」

「だから相談受けてるの。あ、そうだ確かお兄ちゃんって相談乗ってくれるっていう部活に入ったよね?」

「入ったというか入れさせられたというか…てかこの二人が残りの部員だ」

「どうも小町さん。私達奉仕部に用かしら?」

「あ、んっと…大志君から言った方がいいかな」

「うん。俺から言わせてもらうよ」


すると大志とやらは相談の内容を俺らに話す
俺と小町、大志の3人は結局戸塚たちが座っていたテーブル席に着いた

「なるほどね」

「沙希ちゃんの弟だったんだ」

「それで、お姉さんが不良化したのはいつ頃かしら?」

「えっと…確か高2になってからぐらいだったと思います」

うーむ
まだまだ情報が少なすぎるな

「帰りは何時頃だ?高校生なんだから多少遅くなることもあるだろう」

「それが…朝方の5時とかで…」

おっそ
高校生とか関係なしに遅すぎる


「そ、そんな時間に帰ってくるの?寝る時間ないじゃん…」

由比ヶ浜の言うとおりだ
だから今日も遅刻したのだろう

「親は何も言わないのか?」

「それが両親は共働きで、しかも下の妹達の面倒もみないといけないからあまりうるさく言わないんすよ」

家族もあまり関与しない、か


「何か他に情報はないか?」

「えっと…あ、最近変なところから電話がかかってきて…」

「変なところ?なんというところかしら?」

「確かエンジェルなんとかって…」

おいおい
深夜にエンジェルって…まさかそういう店か?
ま、とにかく今ある情報から探っていくしかないな

「よし、じゃあ取り合えず深夜に営業してるエンジェルと名のつく店を洗い出すか」

「そうね。でも別の店でまた働く、なんてことがあってはイタチゴッコだわ。根本的に解決しないといけないわね」

それもそうだ


「まぁとにかく一回沙希ちゃんと会って話さないとね!」

「そうだな」

「みなさん、お願いします…!」

「頑張れお兄ちゃんたちー!」

こうして奉仕部の活動が再び始まる
…あれ?また無給じゃね?
いや「奉仕」って名前なんだから無給は当たり前なんだけど…
あれぇ…?

ここまで
続きは今日の夜か明後日になります

BBFまであと3日!
待ち遠しい!

乙です

こんばんわ
投下しまんぬ


「さっきのメイド喫茶が違うとなれば後はここしかないな」

「ええ…エンジェル・ラダー 天使の階、だったかしら?」

「ふへー、おっきなホテル…」

深夜営業しているエンジェルと名のつく店は二つしかなかった
一つはメイド喫茶
行ってみたが川崎の姿はなく、また店員に聞いてもそのような者は働いていないとのことだった

ちなみに雪ノ下と由比ヶ浜がその時メイド服を着たが、俺が心底どうでもいいといった顔をしていたら雪ノ下の鋭い眼光に加えて由比ヶ浜のビンタが飛んできた
あまりにも理不尽だ


まぁそういうわけで残るもう一つのお店に来たわけだが…
ホテル内にあるバー
どう考えてもドレスコード必須のお店だ
俺はスーツなどもっていなかったのでどうしたものかと考えていた

しかしそこは流石ボーダー
ツテはこういう時便利だ
いろんな人に聞いて回っていると来馬先輩が声をかけてくれた
俺のを使うかい?と
スーツは大学の入学式用に買ったやつらしくてほとんど新品同然だった
やや気が引けたが来馬先輩の厚意を無碍には出来なかった
来馬先輩マジ菩薩

由比ヶ浜は雪ノ下に借りたようだ
ゆきのんはドレスとかいっぱい持ってるんだよ、と何故か由比ヶ浜が誇らしげに言ってきた
戸塚、小町、大志はそのような服装が準備出来なくて来れないそうだ
まぁ仕方ない


店に入るとさっそく川崎を見つけた
バーカウンターでグラスを拭いている
雪ノ下は足早に彼女へと向かっていく

「捜したわよ、川崎沙希さん」

川崎は無言で雪ノ下を見つめている

「ど、どもー」

由比ヶ浜と俺もそれに続く

「雪ノ下に由比ヶ浜…あと…誰?」

よろしい
戦争だ


「この男のことはどうでもいいわ」

おい、どうでもいいのかよ

「ま、あんたらと一緒ってことは総武の人でしょ。で、ご注文は?」

唐突に聞いてくる
まぁここはバーだ
何をするにもまず注文がマナーというものだ
てか俺お前と同じクラスなんだが?
朝会ってるんだが?

「MAXコーヒー」

「あなた馬鹿じゃない?」

雪ノ下が即ツッコミを入れてきた
漫才の才能あるよ君


「MAXコーヒーね、了解」

あるんかい

雪ノ下と由比ヶ浜はペリエを頼む
さて、本題だ

「川崎、お前最近帰りが遅いらしいな」

川崎がピクッと反応する

「そうか…なんであんたらがここにって思ったけど、そういうこと…」

話が早いヤツは助かるな


「大志?」

「そうだ。心配してたぞ」

「そうそう!本当心配でしょうがないって顔してたよ…!」

「なるほどね…」

川崎はそれっきり黙る

「…やめる気はないのかしら?」

雪ノ下が問う

「ないね」

キッパリと言う


「大体さ、あんたら部外者じゃん。あたしから大志には言っとくからさ、もう関わらないでくれる?」

口を出すな、ということか

「そうか。だが残念だな川崎。もうタイムリミットだ」

「タイムリミット??」

由比ヶ浜がきょとんとしている

「現在時刻は10時40分、これが分からないはずはないわよね?」

雪ノ下も加わる
由比ヶ浜はまだ分からないといった様子だ


「高校生以下は10時以降は働いてはいけないのよ。つまり彼女は歳を誤魔化してここで働いているということになるわ」

「あ、そうなんだ…」

そんくらい知っとけ

「…で?それでどうするの?」

だが川崎はだからなに?といった様子だ

「わたしのことを店長に言ってクビにさせるつもり?まぁそんなことしたら別のとこで働くだけだけどね」

「あ、あのさ…なんでわざわざこんな深夜にバイトしてるの?もっと放課後とかにすればいいじゃん?」


由比ヶ浜が最もなことを言う
そう、それが最大の疑問なのだ
お金がほしいのならばわざわざ深夜に働いてリスクを負うよりも、放課後から10時頃まで働けばいいだけの話である
それとも、それほどまでにお金が必要なのだろうか?

「それじゃあ駄目なんだよ。いいからあんたらはもう帰りな。補導されてもしらないよ」

ふむ
金額だけの問題ってわけでもなさそうだな
放課後は別の用事があるってことか?

「遊ぶ金欲しさに働いているわけじゃないんだろう?」

「当たり前じゃん」


川崎が即答する

なるほどね
大方の予想がついてきた

「何か話してみてよ…そうすれば楽になるかもしんないよ?」

「言ったところで楽にはならないし、解決ももちろんしない。あんたらにはわかんないさ。それともわたしのためにお金用意してくれるの?」

「うっ…それは…出来ないけどさ…」

由比ヶ浜が黙ってしまう

「そのあたりでやめなさい。それ以上吠えるのならば…」

「ねぇ、あんたの父親、県議会議員なんでしょ?」

雪ノ下が言い切る前に川崎が言う
その言葉を聞いた雪ノ下がピクッと動く


「そんな親を持ってるならさぞ余裕があるんだろうね。そんな余裕あるやつがわたしのこと分かるわけないじゃん」

ガシャン

雪ノ下が自分のグラスを倒してしまう
顔は暗く、下を向いていた

「ちょっと!ゆきのんの家のことなんて関係ないじゃん!」

「ならわたしの家のことも関係ないでしょ」

珍しく由比ヶ浜が怒った口調で凄む
だが川崎はそれをしれっと流す
しかも完璧な反論で


「雪ノ下、由比ヶ浜、帰るぞ」

俺が提案、いや命令に近い口調で言う

「ヒッキー!?関係ないのにゆきのんの家のこと言われたんだよ!?」

「だが川崎の言うことも最もだ」

由比ヶ浜がぐっと黙る

「雪ノ下はどう思ってるが知らんが、実際のところ雪ノ下の家は金持ちだろう?金に困ったことはないはずだ。そんなやつが川崎に何を言っても無駄だ。説得力が全くない」

「で、でも…!」

「それに他人の家の事情に踏み込みすぎだ。俺達はあくまで部外者。そこらへんをわきまえろ」


由比ヶ浜は下を向いてしまう

「由比ヶ浜さん、帰りましょう」ガタッ

雪ノ下が立ち、由比ヶ浜もそれに連れ立って立つ

「川崎、明日の朝時間をくれ。バイト終わりだから…5時半くらいに通りのマックでいいか?」

「はぁ?なんで?」

「いいから頼む。それが最後だ。それで無理なら諦める」

「はぁ…分かったよ。本当にそれで最後だろうね?」

「あぁ、約束する」

今日はここまでだ
これ以上ここで何を言っても無駄だ
なにより由比ヶ浜と雪ノ下が冷静じゃない
俺達は料金を支払って店を出た


翌朝5時半
マックでコーヒーを飲みながら川崎を待っていた
くっそ眠い
防衛任務が終わったのが深夜の1時半
それから約3時間ほどしか寝ていない
こりゃ授業中寝てしまうかもしれんな
幸い今日は防衛任務はないから帰ってからたっぷり寝られる

「話ってなに?」

気がついたら川崎が後ろにいた
ちょっとビックリした
お前カメレオンかバックワーム使ってんだろ

「もうちょい待て。まだみんな集まってない」


するとそれから少しして雪ノ下、由比ヶ浜、大志、小町が入ってきた
あれ?小町?
なにしてんの?

「小町、お前こんな時間になにしてんの?」

「大志、あんたこんな時間になにしてるの?」

わぉ
完璧なハモリ
川崎に睨まれた
お、俺は悪くねぇ!

「だってあんな話の途中じゃむずむずしちゃうよ。ちゃんと結末をしりたいの」

なるほどね
我が妹ながら面倒見がいいこって


「姉ちゃんこそこんな時間になにやってんだよ?」

「…あんたには関係ないじゃん」

川崎が突き放す

「関係なくねぇよ!家族じゃん!」

大志の大きく、はっきりとした言葉に川崎は、うっ、となる

「大志、最終確認だ。お前中三になってから何か始めたか?」

「え?えっと…塾に通い始めたくらいっすね」

やっぱりな
迅さん風に言うなら、はい予測確定、だな


「川崎、お前がバイトしてる理由は自分の学費のためだろ?この時期ならば大志の塾のお金は既に支払い済み、川崎家でもその出費は既に折込済みだろう。逆に言えば大志の学費だけが解決してるんだ」

「なるほど…」

雪ノ下は理解したようだ

「それと、放課後は勉強しているんだろう?効率、という点を考えれば勉強ならば放課後でも深夜でも同じ。だがバイトの給料では放課後、つまり10時以前よりも深夜の方が圧倒的に良い。だからお前はわざわざリスクを犯してまで深夜にバイトしているんだ」

川崎ははぁ、と肩を落とす


「姉ちゃん…俺が塾行ってるから…」

「だからあんたは知らなくていいって言ったじゃん」

川崎が何も否定しないことから間違いなくこれが真実だろう
取り合えず家族の問題はこれで解決だ
あとは

「でもバイトはやめない。わたし大学行くつもりだし、それで親に迷惑かけたくないから」

ふむ、だろうな
生半可な覚悟じゃこんなリスクを負ってまでバイトしないし、睡眠時間をこんなにも削るなんてこともしないだろう


「ちょっと失礼しますよ。うちも昔は両親が共働きだったんですけど、それで小町が帰っても家に誰もいないのが嫌で家出したことあるんですよ。んで、それ以来兄は小町よりも早く帰ってきてくれるようになったんです。それが嬉しくて…今は兄はバイトしているので小町よりも早く帰ってきてもまた出て行ってしまうことが多いんですけど、それでもやっぱり感謝してるんです」

なにこれむずかゆい

「こ、小町…そこらへんで…」

俺が恥ずかしそうに止める

「それで?結局何が言いたいの?」

川崎が問う

熱膨張

すいません、めちゃくちゃ中途半端ですけど今日はここまでで
明日の午前中にキリのいいとこまで続き投下します
本当にごめんなさい!

乙です


原作通りかボーダー入隊か

おはようございます
キリのいいとこまで投下します


「大志君も沙希さんに迷惑かけたくないんですよ。沙希さんが大志君に迷惑かけたくないのと同じように」

川崎がはっとする

「その辺も分かってくれると下の子的には嬉しいのです」

大志が力強く川崎を見つめる
川崎は困ったようで、けどどうしようもない、葛藤した様子だ
さて、そろそろ俺が助け舟を出すかね

「なぁ、川崎。スカラシップって知ってるか?」


問題は無事解決した
あれ以降川崎は深夜にバイトすることはなくなったようだ
バイト自体は続けているらしいが、今度は放課後にちゃんと法律に則って適度に働いているらしい
よきかなよきかな

「そういえばお兄ちゃん、お菓子の人とちゃんと会えてたんだね」

小町が唐突に言ってきた

「お菓子の人?」

「ほら、事故でお兄ちゃんが助けたわんちゃんの飼い主さん。でもあんな事故でも由比ヶ浜さんみたいな綺麗な人に会えたのなら報われるね!」

は?
由比ヶ浜が…俺が庇った犬の飼い主?

はいここまで
たった2レスw

ではでは

乙です

おつ
けどこれぶっちゃけガイル側のストーリーいらないんじゃ

あってもいいけどもっとボーダー側と絡めて欲しい

ふっふっふ
安心してください
今まではキャラ紹介みたいなもんです
ここからばんばん絡ませていきますよ

なっさんもゆきのんもトリオン体ならすげえつよそう

基本的に原作を知ってる人しか読まないんだからキャラ紹介は最低限でいいのだぜ

家族のためにもボーダーの事情で学業に影響を出したくない八幡が教師に言えばいい状況でトリガー無断使用

こんにちわ
投下します


「あー、だりぃ」

さて問題です
俺は今どこにいるでしょうか
正解は警戒区域内の民家の屋根の上でしたー
つまり防衛任務なう
だりぃ

今日は間宮隊との合同任務だ
でも間宮隊は最近めきめきと力をつけてきてるから正直俺はいらない気がする
まぁ念のためって考えとくか
でも俺間宮隊の人たちちょっと苦手なんだよなぁ
なんかこう…某厨二デブのような気概を感じる…


ちなみに今日は防衛任務が始まって1時間経ってもトリオン兵が全く現れないので暇なことこの上ない
俺はこれでもA級なので固定給があるが、間宮隊のようなB級は歩合制のみなのでこうも敵が現れないと給料が全く出ない
なのでB級の中にはトリオン兵うじゃうじゃ出ればいいのにとかいう不謹慎なやつもチラホラいるとかなんとか
まぁ気持ちは分からんでもないが…

『ゲート発生ゲート発生、座標誘導誤差3.65』

お、きたか
結構な団体様だな
見るからにバンダー5体とモールモッド3体…あとは…


『イ、イルガー…!』

イルガーまでいやがる
間宮隊のやつらが動揺している
イルガーはちょっとやばいな

『間宮隊、バンダーとモールモッドを片付けろ。イルガーは俺がやる』

『りょ、了解!』

俺がいてよかったな
恐らくイルガーを被害なく墜とせるのはA級、またはB級の中でもほんの一握りの者達だけだろう
まったく、ネイバーも厄介なトリオン兵を作るもんだ


「ヤマトオン」キィィン

『特別体解除まで120秒、カウントダウン開始』

現れたイルガーは2体
余裕だな

「斬空弧月 斬波」キィン

ザンッ!

市街地に向かおうとしていたイルガー2体のうち1体を巨大化した斬撃で両断する
斬波は旋空を巨大化させたものと思ってくれていい
スピードは普通の旋空や死突より劣るが、その代わり威力・範囲は絶大だ

イルガーの対処法の一つに自爆モードになる前に墜とすってのがある
つまり自爆モードになる前に超強力な一撃で墜とすってことだな
これが出来る隊員はあまりいないだろう
俺、天羽、迅さん、太刀川さん、小南、レイジさん、二宮さん…くらいか?
あ、あと千佳も出来そうだな


残ったもう1体のイルガーが自爆モードに移行した
どうやら自身がダメージを食らわなくても自爆モードになれるらしい
ま、だからどうってことはないが

「斬空弧月 死突」キィン

ドッ!

以前と同じように貫く
イルガーはボンッと音を発して警戒区域内に墜ちていく
任務完了だな
間宮体はどうなった?

「くっ!バンダーの砲撃が邪魔でやりづらい…!」

「アタッカーがいないとこういう時苦しいな…!」


強化視力で間宮隊の現状を確認する
するとどうやらバンダーの砲撃でモールモッドをなかなか捌けないらしい
アタッカーがいない隊はこれが大変だ
モールモッドを抑える役目がいないからな

『間宮隊、モールモッドに集中しろ』

『ひ、比企谷先輩!けどバンダーの砲撃が邪魔で…!』

ドォォォン!!

5体のバンダーのうち3体が巨大な爆発に巻き込まれて木っ端微塵になる

『なっ!?』

『残り2体も俺が片付ける。お前らはモールモッドを片付けろ』

『りょ、了解!』


結局問題なく討伐できた
間宮隊も現在一息ついている

『ザザッ お疲れ様、比企谷君』

『沢村さん…どうしたんすか?』

『イルガーを迅速に討伐してくれてありがとう。こっちから応援を送ろうとしてたけど、必要なかったみたいね』

『まぁ2体程度なら…あ、じゃあその分給料弾んでください』

『はぁ…あなたはまったくもう…』

『じゃああと20分くらいで防衛任務も終わるんで』

『はいはい、給料が弾むかどうかは忍田さんに自分で相談しなさい』

『えっ…』

『じゃあまた』プツン


そりゃないぜ沢村さんよ…


「うーっす」ガラッ

さて
再び問題です
俺は今どこにいるでしょーか

「あら、いらっしゃい。今日はどんな用事かしら?」

「いや俺部員だから。お客さんじゃないから」

「…?」

「かわいく首かしげんな」

そう、奉仕部です
目の前には雪ノ下

「ちょっとヒッキー!」バンッ

そして今入ってきた馬鹿っぽいのが由比ヶ浜


「比企谷君、馬鹿っぽいだなんて失礼よ」

人の心を読むなんて失礼よ、雪ノ下さん

「なんで先いったし!」

「いや、別にお前待つ必要ないじゃん」

「一緒のクラスなんだから一緒に行こうよ!」

「あー、次から善処しまーす」

「ぜ、ぜんしょ?」

「適切に処置するという意味よ、由比ヶ浜さん」

「へ、へー」

こいつマジでなんで総武に入学できたんだ
総武7不思議の一つに由比ヶ浜と米屋の入学があるんじゃないかと最近本気で思うようなった


「そういえば二人は職場体験どこにするか決めた?」

職場体験
嫌な響きだ
総武ではこの時期に2年生は職場体験をしなくてはならない

「わたしはまだ決めてないわ」

「俺は決めてるぞ」

「え、どこどこ?」

「自宅」

「えー…」

俺の将来の夢
それは専業主夫だ
問題は相手をどうやって見つけるかだが、それは時間が解決してくれるだろう
と、信じている


「あなた本気で言っているの?」

「もちろんだ。専業主夫の夢を馬鹿にするな」

「いやー、普通思ってても言わないでしょ…」

その後は三者が定位置について雪ノ下は読書、由比ヶ浜は携帯、俺は勉強といつも通りになる
いつもならばこのまま由比ヶ浜と雪ノ下が喋ったりして解散だ
だが今日は違った

コンコン

「どうぞ」

珍しい
依頼者か?


「やぁ。こんな時間に悪いがお願いがあってさ…」

入ってきたのはいつぞやの金髪
同じクラスだが関わりたくないやつNo1と言ってもいいほどの俺が嫌いな部類の一人である

「いやー、テスト前はなかなか部活が抜けさせてもらえなくてさ…」

「能書きはいいわ。何か用があるからここに来たのでしょう?葉山隼人君」

へー
こいつ葉山隼人っていうのか
てかなんか雪ノ下が冷たいな


「あぁ、そうだ。これを見てくれ」

そういって金髪は自分の携帯を見せてくる

『戸部はカラーギャングの仲間でゲーセンで西校狩り』
『大和は三股かけてる最低の屑野郎』
『大岡はラフプレーで相手校のエース潰し』

なんだこりゃ?

「あ、それ…」

「結衣も知ってるか…」

「見たところチェーンメールの類かしら?」

「あぁ、そうなんだ」


チェーンメール
また懐かしいもんを…

「これが送られてくるようになってからクラスの雰囲気は悪いし、それに友人のことを悪く言われれば腹も立つ」

ふーん
クラスの雰囲気悪くなってたのか
へー
知らんかった…

「これを止めたい。でも犯人を捜す、とかじゃなくて穏便に丸く収める方で頼みたいんだ」

「は?」


やべっ
思わず声を出してしまった
だがこいつの言ってることがあまりにも能天気だったので思わず出てしまったのだ
丸く収まっても犯人が痛い目を見なければそのうち似たようなことが起こるだけだ
こいつはそんなことも分からんのか?

「つまり事態の収拾を図ればいいのね」

「うん、そうだ」

「では犯人を捜しましょうか」

「うん、よろし…あ、あれ?なんでそうなるの!?」

「チェーンメール、あれは人の尊厳を踏みにじるものよ。しかも拡散元は悪意があってもさらに拡散させる人に悪意があるとは限らないのがまたタチが悪いのよ。止めるには元を根絶やしにするしかないわ。ソースは私」

「実体験かよ…」

てか雪ノ下でもソースは、なんて言葉使うんだな


「とにかくわたしは犯人を捜して一言言うわ。多分それだけで解決するでしょう。その後はあなたの裁量に任せます」

「…」

「それでいいかしら?」

「…あぁ、わかったよ」

葉山とやらも観念したようだ
まぁ犯人も自分がやったってことが他の人にバレたと分かれば流石にもうやらないだろう
もしクラス中にばれればそいつの高校生活はそこで終わりだからな


「それで、メールが来たのはいつ頃かしら?」

「確か先週末くらいからだったよな、結衣?」

「うん、そんなもんだったよ」

「その時クラスで何かあったかしら?」

「いや特に何もなかったと思うけど…」

「うん、いつも通りだった」

雪ノ下はうーんと考えている

「一応あなたにも聞いておくわ、比企谷君。普段と何か変わったことはなかったかしら?」

急に俺の方を向いてそう言った
一応ってなんだコラ


「あー…あ、確か職場体験のグループ分けがあったな」

「あ、それだ。こういうイベントのグループ分けは後の関係性に関わるからね。ナイーブになる人もいると思うよ」

由比ヶ浜が珍しく納得できる説明をする

「お前ナイーブって言葉知ってるのか。意外だな。」

「ちょっとどういうことだしヒッキー!」

葉山は、ははっ、と笑っている
否定しないところを見るとこいつも由比ヶ浜の馬鹿さ具合は知っているらしい

「チェーンメールに書かれているこの3人、全員あなたの仲良しさん達よね?あなた達は既にグループを決めたの?」

なんだその言い方
普通に友達って言えよ


「そういえばまだ決めてないな」

「あ…ほとんど犯人分かっちゃったかも…」

由比ヶ浜が暗い顔をして言う

「説明してもらえるかしら?」

「うん。職場体験って3人1組のグループじゃん?でも葉山君達は4人…」

「なるほどな」

理解した

「つまり犯人はその3人の誰かってことか」

「うん…多分…」

「なっ!?」


「その中からはぶられたらかなりキツイから…」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!あいつらのことを悪く言うメールなんだぜ!?あの3人が犯人なわけないじゃないか!」

「自分のことだけ書いてなかったらそいつが真っ先に疑われるだろうが。自分のことも書いたのは隠れ蓑だろう」

「でしょうね」

「まぁ俺だったら一人だけわざと悪く書かないでそいつに罪をかぶせるけどな」

「ヒッキー最低…」

まさに外道!

その後は葉山が3人のことを詳しく言えば雪ノ下がものすごくネガティブに解釈して葉山が絶句していた


「駄目ね。葉山君の説明だけじゃ三人とも犯人でもおかしくはないわ。二人はこの三人のことどう思うのかしら?」

俺が思うにお前が犯人じゃね?
とは言えない

「うーん、そんなこと言われても…」

「俺はそいつらのことは全く知らん」

「そういえばあなたはクラス全員のことを知らなかったわね。いえ、クラス全員があなたのことを知らないといった方が正解かしら?」

「よっし表でろや」ガタッ

「ヒッキーどうどう」

俺は馬か
俺のことを知ってるやつはいるわ
戸塚とか…戸塚とか…戸塚…とか…
あれぇ?


てかこういう状況になっても由比ヶ浜が動じなくなってきたな
慣れってすごいな

「では調べてもらえるかしら?グループ決めの締め切りは明後日だがら1日猶予があるわ」

由比ヶ浜が下を向いてしまう

「ごめんなさい…あまり気持ちのいいものではないわね」

「俺がやる。お前の言う通りクラスのやつらは誰も俺のことなんて気にしないからな」

ここは俺がやるべきだろう
由比ヶ浜はもし失敗したら居場所がなくなりかねん


「え、でもヒッキーテニスの件で優美子にちょっと悪く思われてるかもよ…?」

「だから?あいつにどう思われてようが俺には関係ない」

「では友達のいない比企谷君にお願いしましょうか」

「お前さっきからやけに挑発的だな。お前がその気ならいつでも受けて経つぜ」

「やめときなさい。わたしこれでも合気道を一通りマスターしているから」

「試してみるか?俺もこれでも結構鍛えてるんでね」

「怪我してもいいのなら」

「はいストップストップ。そこまでだよ」

由比ヶ浜が止めにはいる
葉山は呆然としている

「由比ヶ浜さんに感謝なさい」

「お前がな」

マジで由比ヶ浜慣れてきてんな…

ここまで
続きはいつになるかイマイチわかんないです

ではでは

おつ


何でこの八幡は煽り耐性が無いの?

乙です


原作より自分を隠さなくなってんのね

>>451
ぼっちじゃないからだろjk

ぼっちではなくとも煽られてスルーできない時って大事なものを馬鹿にされたか馬鹿にした相手の存在が大きかったかだと思う
雪乃は八幡の大事なものを馬鹿にしたっけ?

>>455

すまん
八幡が雪乃をかと思った

どうも>>1です
八幡は雪ノ下に対してのみやや喧嘩腰になります
理由は会ってそうそうに人を馬鹿にする態度を取ったからですね
八幡は基本的に原作通りの性格ですが、4年間ボーダーの一癖も二癖もある人たちにもまれてきたので対人はかなり強くなっています
なので普通の人には普通に接し、人格者は尊敬し、逆に雪ノ下のような人を見下すような人物を嫌います
葉山は個人的に嫌ってます
なんとなく気持ち悪いという理由で

BBFめちゃくちゃ面白い
ブラックトリガーのチート性能にくっそ驚いてます

BBFまだ売ってなかった
明日買いに行かないと

>>458
ボーダーでの経験で対人関係に強くなったから嫌いな人間を適当にやり過ごす事ができないという意味に読めてしまいました。
つまり強く当ることで改善の余地がある雪乃を教育しようとしているのかも?

これからの展開に関わるならごめんなさい

どうも≫1です

≫460
基本的に相手からアクションがなければ八幡は動きません
なので自分から喧嘩をふっかけることはまずしません
受け流すかどうかは相手によります
菊地原に対してはだいたい受け流します
C級やクラスメイトなどのモブに対しても同様です
雪ノ下に対しては最初は受け流しますが、それが続くと大概噛みつき返しますね
ここらへん菊地原はしつこく絡んだりしてこないので、そういうところで差が出ます

あとこの八幡は理不尽をものすごく嫌います
なので理不尽に罵倒する雪ノ下や理不尽なことをする平塚先生などとは出来れば関わりたくないとまで思っています

>>460
ありがとうございます。
関わりたく無いならそれでいいのだぜ

まちがえた
>>462>>461

こんばんわ
投下します


翌日、俺は例の3人を観察する
うーむ
なんも分からん

「おはよう比企谷君」

「ん?戸塚か、おはよう」

「うん!」

なにこの笑顔天使なの?

「比企谷君は誰と職場見学行くかもう決めた?」

「いや、まだ決めてないな」

俺の自宅に職場見学に行きたいなんて言うやついるわけもないしな


「お前はもう決めたのか?」

「うん、僕は一応決めてるよ」

ちっ

「ねぇ比企谷君…」

「なんだ?」

「あ、あのね…その…」モジモジ

戸塚がモジモジしている…だと…!?
いかん冷静になれ
小南の着替えを見ちまったあのシーンを思い出せ…!
…ふぅ、もう大丈夫だ

「ぼ、僕も比企谷君のこと名前で呼んでもいい?」

「なん…だと…」

「あ、ごめん…嫌だったかな…?」

「そんなことないぞ彩加!」

「え!?今名前で…」

あぁあああぁぁぁああ!


「嬉しいな、始めて名前で呼んでくれたね!じゃあ僕も八幡って呼ぶね!」

昇天

「やぁ、何かわかったかな?」

天にも昇る(物理)気持ちでいると横から嫌な声が耳に入ってきた
この音声はいらん

「いやまだだ」

「そうか…」

だってあいつら見てても何もわから…
あぁ、なるほどね

「…?どうした?」

「いや、犯人は分からんが原因と解決策は見つかった」

「本当か!」

「放課後奉仕部にこい」


放課後
部室に全員が集まったとこで俺が切り出す
とする直前

「ハッチーいるかー?」ガラッ

What?

「あ、確か…出水君?」

「ん?あー、えっと由比ヶ浜ちゃんだっけ?」

「そうそう!」

「出水君…何か奉仕部に用かしら?」

「いや奉仕部じゃなくてハッチーに用があるん…」

「ちょっと来い」グイッ

「うぇ!?」

ガラッ ピシャッ


「…ヒッキーと出水君って知り合いだったの?」

「さぁ…わたしは知らないわ」


「おいどういうつもりだ弾バカ」

「弾バカ言うなひねくれバカ」

「誰がひねくれバカだ。で?なんで携帯にかけるんじゃなくわざわざここに来た?てかなんで俺がここにいるって知ってんだ」

「だってハッチーいくら電話かけても出ねーし。場所は先に教室行ったんだけどハッチーいないからさ、そしたらめっちゃ可愛い子が八幡は奉仕部に行ったよって言うから場所聞いて来た」

そういえば携帯の電源切ったままだったな…
んでこいつの言ってる可愛い子ってのは多分戸塚だな


「そりゃ悪かった。で、用事はなんだ?」

「今日17歳組で焼肉行くんだけど、来るか?那須と熊谷は防衛任務があるから途中で抜けるらしいけど」

お、久々に17歳組であつまるのか

「何時からだ?」

「7時にいつもの店に現地集合」

「分かった。俺も行く」

「うっし!じゃあまた現地でな!俺今から防衛任務だからちょっと遅れるかもしんねーから」

「分かった」

「じゃあな!」

ふぅ
学校でボーダー関係者とあまり関わりたくないってのに


「悪いな」ガラッ

「ヒッキーって出水君と知り合いだったの?」

「あぁ」

「へぇ、あのヒキタニ君が…」

てめぇ今その言葉にどんな意味を含めた?

「さっさと本題に入るぞ」

この言葉を皮切りに全員が真剣な顔になる

「まず葉山。お前はお前がいない時の三人を見たことがあるか?」

「いや、ないけど」

「?」

「どういうことかしら?」

三者とも何を言いたいのか分からないといった様子だ


「お前が教室で俺の方に来た時、三人は全く会話をしていなかった。それどころか全員互いの顔を見ようともしてなかった」

「え…」

「つまりあの三人にとって葉山は友達で、葉山以外は友達の友達でしかないんだよ」

「あ、なるほど。確かに会話回す人がいないと気まずいよね」

由比ヶ浜も納得したようだ
葉山は悔しそうだが反論できないといった様子
雪ノ下はまだ分かってないらしい
あぁ、そういえばこいつ友達できたことなかったんだっけか

「まぁそういうわけなんだが、解決策はある。つまりその三人が友達になっちまえばいいんだよ」

「どうやって?」

由比ヶ浜が疑問をぶつけてくる


「葉山、お前今度の職場見学のグループでそいつら三人とは組むな」

「え…?」

「今回の犯人の目的は一人だけハブられないようにすることだ。つまり葉山が他の人と組むってことになれば、その三人で否応なしに組むことになるだろう」

「なるほど…そうすれば少なくともハブられることはなくなるわね」

「ついでに仲良しになってくれれば儲けもんだな」

葉山は特に反論も意見もなく、すんなり受け入れた
恐らく葉山自身も納得してしまったのだろう

「これで依頼は終了だな。さっさと自分の部活に行け」

葉山は礼を言って部室から出て行った
やれやれ


「お、きたきた!」

「アンタ遅いわよ!」

「いやまだ7時前じゃねぇか」

「あたしを待たせたら遅刻なの!」

「なんだそりゃ」

俺はその夜、約束通りボーダー17歳組と焼肉に来た
メンバーは今のところ米屋、小南、那須、熊谷、辻、奈良坂、綾辻、三上、宇佐美、氷見、仁礼、小佐野、そしてなんと三輪
俺は三輪の方へと向かう

「三輪、お前が来るのなんて珍しいな」

「比企谷…俺は陽介に無理やり連れてこられただけだ」

「それでもだよ」


俺も三輪もやや沈黙する

「…なぁ、お前はネイバーが憎くないのか?」

「なんだ急に」

「いいから答えろ」

「そうだな…正直言うとまだちゃんとした答えは出せてない。けど、少なくともネイバーにも良い奴がいるってことだけは分かる。それはこの目で見たことだ」

「そうか…」

「それに、俺は母さんを殺した国を許したわけじゃない。いつか必ず報いをうけてもらう」

「…」

三輪はそれ以上は喋らなかった

「よし、店入ろうぜ!」

米屋の掛け声で一斉に入っていく
人数は14人
まぁまぁの大所帯だ
出水は防衛任務で30分ほど遅れるそうで、那須と熊谷は9時からなので途中で抜けるそうだ


「ちょっと槍バカ!あたしの肉取らないでよね!」

「なんのことだか知らねぇなぁ」モグモグ

「三輪!あんたちゃんとコイツの面倒見なさいよね!」

「俺にふるな」

「まぁまぁ小南、わたしのお肉あげるからさ」

「さすが栞!」

「おいこら仁礼!しれっと俺の肉とるな!」

「はっ、あたしの肉の報いよ!やっちまえ光!」

「うまうま」

あのテーブルは戦場か何かか?

「みんな元気だね」

「バカばっかりなんでしょ」

「秀次がもう疲れてきてるな」

「はっや」


俺のいるテーブルには那須、熊谷、奈良坂がいる
ちなみにもう一つのテーブルには

「あ、これおいしー」

「ちゃんと野菜も食べなさいよ」

「三上っちお母さんみたーい」

氷見と三上と小佐野
そして

「…」

辻がいる
そんな助けを請うような目でこっちを見るな
ちょうどいい機会だからお前はそこで女性に慣れろ


「そういえば小町ちゃんは元気?」

「あん?元気すぎてちょっと引くまであるぞ」

「そっか!今度また一緒に遊ぼうねって言っといて」

「あいよ」

那須と熊谷は小町と仲良しだ

「なんだ比企谷、お前妹がいたのか?」

「おう。千葉至上最高の妹と言っても過言じゃない」

「そ、そうなのか…」

「でた比企谷のシスコン」

「ふふっ、変わらないね」

奈良坂はちょっと引いていて、熊谷はやれやれといった様子だ
那須だけが可愛い笑顔でクスクスと笑っている
さすがファンクラブまであると噂の那須だ
こういうとこで男共が陥落するのだろう


「おいーっす」

「おせーぞ弾バカ!」

「だれが弾バカだ槍バカ」

出水が遅れて到着した
辻が頼むからここに来てくれと、ものすごい目で訴えている

「分かった分かった。だからそんな目でみるなって」

出水は苦笑しながら辻のいるテーブルへと向かった
辻の顔がものすごい安堵に包まれているのが分かる
どんだけ女性が苦手なんだお前は

「そういやハッチー」

「あん?」

「なんで部活なんか入ったんだ?」

「「「「「「「!!??」」」」」」」


その瞬間全員が動きを止めた
いや俺Theワールド使ってないよ?

「比企谷が部活…!?」

「うそだろ…」

「あ、ありえない…」

「天変地異の前触れか…?」

おいどういう意味だお前ら

「自分の意思で入ったわけじゃない。無理やり入れさせられたんだよ」

「誰に?」

「暴力教師」

「?」


それ以上はもう興味がなくなったのか、別の話題で会話が始まった

それからは8時過ぎ頃に那須と熊谷が抜け、そうなったら槍バカと小南が何故かこっちのテーブルに居座ってこっちのテーブルがカオスな状態になった

まぁけど、こういうのは俺は嫌いじゃない
ここが俺の居場所だって心から思える

とか感慨にふけっていたら槍バカに俺が丹精込めて育てていた肉を取られた
コロす

今日はここまで

いやー
BBF全て読むのにかなり時間かかりましたw
けど驚きの新事実が続出でしたね

個人的に最もへぇと思ったのはレイジさんが旧ボーダー時代からの古株だったということですね
第一次大規模侵攻の後に入隊したのかと思ってました

乙です

こんばんわ
投下いたします


「八幡疲れてる?」

「あー、昨日ちょっとな」

翌日、俺は教室の自分の机に突っ伏していた
つ、疲れた…
昨日は米屋と小南に焼肉後も連れまわされて酷い目をみた
おかげで俺はクタクタだ
もう何もしたくない

チラッと後ろの黒板を見ると戸部、大和、大岡の文字が縦に並んでいた
どうやら上手くいったようだな

「おかげで丸く収まった。ありがとう」

「別に。俺は何もしちゃいない」

「これを機にあいつらが本当の友達になれるといいな」


葉山が話しかけてくる
こいつは…
能天気というか楽観的というか
人を信じすぎだろう
そのうち痛い目を見るんじゃないか

「そういえば、俺まだグループ決まってないんだ。一緒にどうかな?」

まぁ余り物と組むつもりだった俺はほぼクラス全員が既に決まっている現状、特に断る理由はない

「別に構わないが、あと一人はどうするつもりだ?」

そう言った瞬間隣にいた戸塚がぷくーっと頬を膨らませた

「と、戸塚?」

「八幡、僕は?」

「え?だってお前もう決めてるって…」

「だから、初めから八幡と行くって決めてたの!」


マジか
なら初めからそう言ってくれればいいのにー
もー戸塚ったらー

「じゃあこの三人で黒板に名前書くか。行く場所はどこにする?」

「僕はボーダーに行ってみたいな!」

「え」

いや、待ってくれ戸塚
それはまずい
個人的に非常にまずい

「俺もボーダーに行ってみたいな」

2対1だと…!?


「ボーダーかぁ…」

「あ、ごめんね。八幡が嫌なら無理にとは言わないから別の場所に…」

「うっ、いや…嫌ってわけじゃ…」

そんな上目遣いで、さらにちょっと涙目で見られたら…断れるわけない

「いや、構わねぇよ」

「いいの?」

「あぁ…」

話を聞く限りうちのクラスはほぼどのグループもボーダーに行くらしい
てか学年中で一番人気がボーダーだ
おいおい
やべぇよやべぇよ
こりゃ当日仮病使うか?

すいません
少ないですがここまで
続きは明日投下します

ではでは

おつー
出水たちがボーダーってことは他の生徒も知ってるんだよね?
じゃあ出水と知り合いってことで八幡も怪しまれてはいるのかな

乙です

乙です

おつです

案内役が東さん以外なら詰むな
嵐山さんなら察さずに話しかけてくる


ばれたら奉仕部を欠席する理由になるしいい機会

ハーメルンにある俺ガイル×ワールドトリガーの内いくつかで職場見学で嵐山さんにばらされてるんだ
そこで三浦に馬鹿にされた八幡が生徒の前で模擬戦tueee
見学後は由比ヶ浜にボーダー隊員であることを隠してたと責められてから原作通りっていう展開がテンプレみたい

この作品はどなるのか?

とても詳しいんですね、凄いです

>>495
案内役が19歳以上なら

レイジさんは察する
風間さんも同様
ニノさんはそもそも興味ない

ダンガーさんが最も危険牌
「模擬戦すっぞ!」

本部だって外部の印象悪くしたくないだろうし案内役できるの嵐山さんか東さんかしか候補なさそう

正直バレた方が面白そう

みなさん詳しいですねw
僕もハーメルンで読んでて書きたくなって書いた感じですかね

では投下します


「総武高校のみなさん、始めまして!今回君たちの職場見学を担当することになった嵐山隊の嵐山准だ。よろしく!」

今回も嵐山隊が担当らしい
キャー嵐山隊だー、とかすげー本物だー、とか聞こえる
偽者がいるか
劣化ならいるけど
てか、あー
来ちまったよ
つか逃げられなかった
そう、それは昨日のことだ…

『よう比企谷』

『平塚先生…どうしたんすか?』


『職場見学の件聞いたぞ。なかなか良い解決法だった』

『はぁ』

『これからも頑張りたまえ』

『うっす』

『ところで君はボーダーに行くそうだな』

『そうっすけど…それがどうかしたんすか?』

『職場体験の現場には先生が巡回で訪れることは知っているな?』

嫌な予感がする

『ボーダーは希望者が多すぎてな。いちいち巡回などしてられん、ということで常に先生が一人つくことになった』

『まさか…』

『そう、わたしだ』

なん…だと…


『あぁ、安心したまえ。君たちと常に一緒にいるわけではない。基本的にラウンジというらしい場所にいるからたまに見に行ったり、問題が起こったらすぐ対応する、といった感じだ』

ちょっと安心した

『それにしても…いやー、君は実に健康そうだなぁ。明日病気で休むなんてことはなさそうで良かったよ』

『い、いや…分かりませんよ?もしかしたら急にものすごい重い病気が…』

『サボるなよ?』

『はい…』

ってわけだ
まぁサボると後日提出しなければならないレポートが出せなくなってしまう
そうなるとさらに面倒くさい課題をこなさなくてはならないようだ
ならばサボるよりも来た方がマシか


そして相も変わらずこういうことは嵐山さん達が担当になるのね
いつもいつもご苦労様です
本当に
ちなみに今日は土曜日なので嵐山さん達も授業はない

今この場には総勢約100名近い総武高校の生徒がいる
めちゃくちゃ多いな
雪ノ下や由比ヶ浜も向こうの方に見える
ついでにあの縦ロールも

「それと、安心してほしい。我々ボーダーの職務はネイバーから町を守ることだが、今回君たちに実際に本物のネイバーと戦ってもらうわけではない」

そりゃそうだ

「主な体験内容としては、普段ボーダー隊員が行っているものをやってもらおうと思う。まずは訓練だ。着いてきてくれ!」

そう言うと嵐山さん先導でいつもの訓練場に全員が向かう


「おっすハッチー」

「ハッチーもここなんだな」

「米屋と出水か」

「わたしたちもいるよ~」

米屋と出水に加えて宇佐美、三上、綾辻だ
宇佐美はボーダーに行くと知っていたのでこの三人組は全員ボーダーだろうとは予想がついてた

「秀次と奈良坂もいるぞ」

「結構いるんだな」

「氷見達は別のとこ行ってるみたい」

「辻はなるべく会話が少ないところがいいとかいってライン工に行ったらしい」

なにやってんだあいつ


「とにかく、俺はなるべくボーダー隊員であることを隠すつもりだからお前らもあんまり話しかけるなよ」

「まだ言ってなかったのかよ」

「まぁあんな過去があればねぇ」

17歳組の面々は既に事情を知っている
結構前に無理やり話させられたからな

「ま、そういうわけだから俺は先行く」

「じゃあなー」

みんなと別れて再びボッチになる
しかしすぐ戸塚が近寄ってきた
小動物みたいだな
ぎゃんかわ

「ようやく見つけたよ八幡。どこ行ってたの?」

「トイレだよ、トイレ」

「そっか。もうすぐ着くみたいだよ」

戸塚の言葉通りそこの角を曲がってちょっといけば訓練場だ


「さぁここが訓練場だ。だがまずはいろいろ説明しなければならないな…君、ちょっとコレを持ってトリガーオンと言ってみてくれ」

「ぼ、ぼくがですか!?」

モブが驚きながらもトリガーを起動する
訓練用のトリガーだ

「まず始めに正隊員になる方法を教える。君、左手の甲を見てくれ」

「1000?」

「そう。入隊するとまず訓練用トリガーを一つ選んで使えるようになる。その数字は自分の使っているトリガーをどれだけ使いこなしているかを表しているんだ。これを4000まで上げること、それが正隊員になる条件だ」

へーとかふーんとか聞こえる


「上げる方法は主に二つ。一つは合同訓練、そしてもう一つがランク戦となる。まず君達には訓練を行ってもらう。木虎」

「はい」

木虎が操作して訓練室に小型のバムスターが現れる
なんだ、まるっきり入隊のやつと同じだな

「君達にはこのネイバーと戦ってもらう!これは再現されたデータのようなものなので安心してくれていい。トリガーはそこに全種類3つずつあるが、人数が多いから交代で使ってくれ。分からないことがあったら聞くように。では始め!」

嵐山さんの掛け声で生徒達が訓練室に入っていく
みな始めてのトリオン体なのでその身体能力にまず驚いているようだ
俺も最初はちょっと浮かれてたっけな

3分の1ほどが終わったようだ
俺はまぁやらんくてもいいだろ


米屋達もやっていないな
縦ロールがやりぃ!なんて言いながら訓練室から出てくる
タイムは1分11秒
へぇ、まぁそこそこだな

『記録、25秒』

おおっ!
と歓声が上がる
向こうの訓練室を見るとどうやら雪ノ下のようだ
流石だな
トリオン体なら体力の心配もないし、ボーダーに入ったらいいんじゃないか?
かなり才能あるだろあいつ

「八幡、僕4分もかかっちゃったよ」

「俺は56秒だったな」

戸塚と葉山が話しかけてくる

ごめんなさい
投下できなくなってしまったのでここまでで
続きは明日か明後日にでも投下します

ではでは

乙です

マジか乙
楽しみ


予め嵐山さんに連絡を入れない八幡

生徒にボーダー隊員が多いなら雪乃とか記録の高い生徒は見学が終わってから勧誘を受けたりして

おはようございます
投下します


「1分切れればいい方らしいぞ」

俺があたかも今知ったようなそぶりで話す

「へー!じゃあ葉山君すごいね!」

「はは、ありがとう」



「よし、半分ほどは終わったかな」

嵐山さんの掛け声でみんな静かになる

「今のところ最速はさっきの女の子の25秒だな。初めてでこれはかなり立派な数字だ!」

「さすが雪ノ下さんだね」

「才色兼備ってまさにこういうことを言うんだろうなー」

なんてモブ達がざわついている


「ふふっ、だがみんな。気づいているだろうか?」

全員はてなマークを浮かべている

「どうやら君達の中には何人かボーダー隊員がいるじゃないか。彼らはまだやっていないようだ」

モブがややざわつく
嵐山さんが米屋と出水の方を向く
二人はげっといったような顔をしている

「出水、米屋。前に来てくれ」

二人はマジかーなんていいながら前に出て行く


「最速は25秒。だがこれは初心者の記録だ。今から君達には熟練者達の記録を見てもらおうと思う。二人共、自分のトリガーで本気でやってみてくれ」

「へーい」

「了解っす」

出水と米屋が自分のトリガーを起動して訓練室に入っていく

『始め!』

「アステロイド」キン

「旋空弧月」

ドッ! ザンッ!

『記録、1秒36』
『記録、0.97秒』

おおおおーー!!
とギャラリーが沸く
まぁあの二人ならあんなもんだろう


「二人共、お疲れ様」

「うーっす」

「お安い御用ですよ」

「見ての通り正隊員、しかもA級ともなればこのようにかなり速いタイムを出せるようになる」

「あの、一つ質問いいですか?」

「ん?なんだい?」

「初心者で過去最高の記録ってどれくらいなんですか?」

モブが質問する

「そうだな。最速だと草壁隊の緑川だと思う。記録は確か4秒だ」

「よ、4秒!?」

「あとは…あれ?そういえば…」


ん?
嵐山さんと目が合った…
ちょっと待ってください
なんだがものすごく嫌な予感が…

「おーい、比企谷―。お前ってこれやったことないんじゃないか?確かお前が入隊したのって4年前だろ?」


嵐山さん何やってくれてんすかー!?

モブ達が比企谷?だれ?なんて会話をしている
知らなくていいよマジでさぁ!

「は、八幡ってボーダー隊員だったの!?」

「知らなかったぞ」

「ま、まぁな…」

戸塚と葉山も心底驚いた様子だ


「あ、あのすいません」

「ちょっといいですか?」

「ん?」

見ると由比ヶ浜と雪ノ下が嵐山さんに質問しようとしている

「比企谷…というのは比企谷八幡のことでしょうか?」

「お、君は25秒をたたき出した子か。そうだよ、比企谷八幡だ!」

「ヒッキーが…ボーダー隊員…?」

「おや、知らなかったのかい?」

やべぇよ
マジでやべぇよ
そういえば嵐山さんには事情を説明していない
出水や米屋などの他のボーダー隊員と同じようにみんなに知られているもんだと思っていたのだろう


「あれ?みんな知らなかったのかい?」

「えぇ…初耳ですね」

「ヒッキーそんなこと一回も言ってない…」

「あー、えっと…まずいことしてしまったかな…?」

本当っすよ
まぁ知らなかったのだからしょうがないけどさ
嵐山さんにも言っとけばよかったな

「比企谷君」

雪ノ下が急に呼ぶ

「…んだよ」

「この訓練、あなたもやりなさい」

「は?いや俺は…」

「いいからやる」

「うっす…」

何故か今日の雪ノ下はいつもの数倍迫力がある気がする


「すまん、比企谷。みんなが君がボーダー隊員だと知らないとは思わなかった。言ってしまってすまない」

「いえ、しょうがないですよ。こうなったらこうなったです」

嵐山さんが申し訳なさそうな顔をしているが、この人は別に悪気があってやったわけじゃないし責めるのはお門違いだ

「トリガーオン」キィィン

俺は自分のポケットからトリガーを取り出し、起動する
服装はC級のようなものではなく、米屋や出水のように玉狛のエンブレムが入った専用の隊服だ

『開始!』

「ふっ!」


俺は地面を思いっきり蹴り、トリオン兵の弱点である「目」に一瞬で肉薄し、そのまま顔面ごと両断する

『記録、0.67秒』

げっ
空閑の記録に負けた
もう1回やろうかな

そう思いながらも取り合えず訓練室外に出る
なんかやけに静かだな、と思って周りを見回すと全員ポカーンとしている
だがボーダー隊員のやつらは特に表情は変わらず、出水と米屋だけは悔しそうにしていた

「さすがだな比企谷」

「いえ、慣れればみんなこんなもんでしょう」

「それでもだよ。これほど手際がいいのはやはりA級レベルじゃないと無理だろう。みんな、彼らA級隊員達のように高タイムが出せるよう頑張ってみてほしい!ではまだやり終わっていない者はどんどん続けてくれ!」

嵐山さんの号令でギャラリーが散っていく


カツ…カツ…

なにやら後ろからこちらに向かってくる足音がする
…なんか嫌な予感がするぞ

「オイ比企谷ぁ!てめぇ本部にいるならいるって言えよコラァ!」

げっ
こんな時に限ってカゲさんと出会うとは…

「てめぇにはまだ通算で負け越してんだ。今からバトるぞ!」

「カゲさん、俺は今社会見学中です」

「あ?社会見学?」

「そうです。なので今は無理ですよ。また後日に…」


「お、影浦じゃないか!」

「…!嵐山さん」

「比企谷とランク戦しに来たのか?」

「そうっすけど」

「比企谷、受けるのか?」

「はぁ、そのつもりっすけど」

「ふむ、どうせなら今からやらないか?」

「え…」

どういう意味だ?

「ん。よし、これで全員終わったようだな。さっきも説明した通り、B級に上がるための方法の一つが、今みんなにやってもらった訓練だ。そしてもう一つ、ランク戦についても詳しく説明しよう。みんなついてきてくれ!」

嵐山さん先導でゾロゾロとランク戦ブースへと移動していく

まさか…


「さぁここが俗にランク戦室と呼ばれる部屋だ。隊員達はここで日々互いに切磋琢磨している。隊員同士が戦い、ポイントを奪い合うことをランク戦と言うんだ。時間にあまり余裕がないから、これは何人かだけに体験してもらおう。その前に、お手本を見せたいと思う。比企谷、影浦、頼めるか?」

やっぱり
多分断ることも出来るのだろう
そうなったら米屋あたりがカゲさんとやることになるだろうな
うーん
目立つのがちょっと嫌だけど、まぁもうバレてしまっているのだから構わないか

「別にいいっすよ」

「影浦は?」

「元からそのつもりなんで。ギャラリーの視線がチクチクうぜーっすけど」

「助かるよ。では頼む」


「今日こそは勝ち越してやるからな」

「今通算どんなもんでしたっけ?」

「俺が24勝26負だ」

「なるほど」

「今日俺が勝ち越せば差はなくなるからな」

「あ、すいません。時間ないんで1本だけらしいです」

「あぁ!?」

「まぁまぁ。また今度付き合うんで勘弁してください」

「てめぇ前もそう言ってしばらく本部に来なかったじゃねぇか!」

「今度はちゃんと約束しますよ」

「絶対だからな!」

俺もカゲさんもブースへと入る


『開始!』

さーて
カゲさん相手は久しぶりだ
この人中距離ですら半端なく強いから困る
まずは牽制だな

「バイパー」キィン

レーダーを見てそれっぽいところに飛ばす
手ごたえなし
まぁ当たり前か

「さぁ、楽しもうぜ!」

ビルの向こうから姿を現したカゲさんが突っ込んでくる


俺も旋空や射撃トリガーを使っているから中距離に対応できないこともない
が、やはりカゲさんの方が圧倒的に上だ
近距離ならば互角、いや俺の方がまだ上だろうか
なので近づかなければジリ貧
距離を詰める他ない

「ふっ!」

「!!」ガキン

地を思いっきり蹴り、カゲさんに急接近
その勢いのまま弧月でカゲさんの動きを止める

「チッ!」

「アステロイド」キン

「!」

ドドドドド!


意表をつく近距離からのアステロイド
しかし

「あめぇあめぇ」ニヤッ シュゥゥ

シールドで防がれたか

「おらぁ!」

今度はカゲさんのスコーピオンによる怒涛のフルアタック
近距離なら俺に分があると思っていたが、この分じゃどっこい、下手したら俺より上かもしれん
これは流石に弧月1本で凌ぐのはきついな

「メテオラ」キン

「!!」バッ

カゲさんが距離を取った


ドドォン!

メテオラの爆風で砂煙が舞い上がり、視界が悪くなる
今のうちにカゲさんの射程外に…

ビュッ!
ドッ!

「!!」

突然煙から伸びてきた鞭のようなスコーピオンで左腕をとられる

「くっ!」ブシュウ

ちっ、俺の視線の「トゲ」で正確な場所がばれたか
やっぱり敵にすると厄介なサイドエフェクトだぜ


「おらおらぁ!どうした比企谷ぁ!」

その後も鞭のスコーピオンがビュンビュン飛んでくる

「ちっ、旋空弧月」

「!」

ズカッ!

一度牽制の旋空
そして今度はカゲさんでも届かない距離まで離れる

「逃げんなコラ!」

「いやそりゃ逃げますって」


どんどん距離を取る
追いかけてくるカゲさんだが

ピンッ

「!?」

ドォォン!

『戦闘体活動限界 緊急脱出』

ドンッ!

決まりましたー
レイジさん直伝メテオラトラップ
さっきのメテオラでの砂煙の時に仕掛けておいたメテオラとスパイダーを組み合わせたトラップにカゲさんがかかり、その爆発をモロに受けたカゲさんが緊急脱出した
いやー、今日もしかしたら使うかもと思ってスパイダーセットしてきてよかったぜ


「テメェざけんなコラァ!」

「俺の勝ちは勝ちっすよカゲさん」

「ぐ、ぐぬ…!」


「いやぁ流石ハッチー」

「使うタイミングばっちしだな」

「まさかのトラップ」

「すごいね」

「うん。すごいはすごいんだけど…なんか…」

「「「「「…汚いよな(ね)」」」」」

出水、米屋、宇佐美、三上、綾辻
お前ら覚えてろ


「もう1回だ比企谷!」

「いやですから時間ないんですって」


「お、いたいた」

カゲさんに迫られていると横から声がかかる

「あ、ゾエさん」

「よう、比企谷。久しぶり」

「お久しぶりです」ペコ

「なんでゾエがこんなとこにいやがる」

「それはこっちのセリフだよ~。今から防衛任務だよ?」

「ア?マジか?」

「大マジだよ。ほらいくよ」


「ちっ…仕方ねぇ。比企谷、後で暇な日ラインしろ!」

「うっす。暇で覚えてたらラインします」

「テメェそれやらねぇフラグだろ!」

「はいはい、いくよー」ガシ

「ちょ、まてやゾエ!」ズルズル

カゲさんがゾエさんに問答無用で引っ張られていった
流石生身の戦闘力ではレイジさんに匹敵するだけのことはある

今日はここまで
次回は明日っすかね


気になりすぎて更新ボタン連打してたww

乙でした

おつです

乙です


平塚先生のリアクションはこれからか
理由はあるだろうが黙ってバイトはダメだよ

バイト……バイトでいいのかこれ?

はよ

こんばんわ
投下します


「さて、今のようにボーダーには様々なトリガーとそれによる多種多様な戦法が存在する。単純な斬り合いも途中であったし、良い戦いだったんじゃないかな。トップレベルの隊員達はあのように高度な戦いを繰り広げているんだ。もし入隊する気のある者がいたら是非彼らを目指してくれ。さて、では今度は実際に何人かに体験してもらおう。やりたい人は挙手してくれ」

生徒達はざわざわと周りの友達とどうする?なんて会話しながら決めかねているようだ

「八幡!」

戸塚が近寄ってきた

「八幡ってすごく強いんだね!A級隊員なんでしょ?」

「ん、何で知ってるんだ?」

「さっき八幡が戦ってる最中に嵐山さんが教えてくれたよ。比企谷はA級で、その中でもかなり強いぞってね」

「そ、そうか…。まぁといっても俺より強い人なんて普通にいるけどな」


1対1で勝てないとなると太刀川さん、迅さん、忍田さん、風間さん、二宮さん、あと互角なのが小南とカゲさん
こうしてみるとやっぱりまだまだ上はバケモノ揃いだ
うちのボスもかなり強いらしいしな
戦ってるのみたことねぇけど
腕がなまるといけないとかでたまに忍田さんと模擬戦してるらしいが、なかなか互角の戦いをするそうだ

「これからも頑張ってね!」

よし、取り合えずソロで1位目指すか

「うーん、これじゃあ逆に少なすぎるなぁ」

天使の応援でやる気がカンストした俺は嵐山さんの声で我を取り戻した
いかんいかん
やる気を落ち着かせねば
やる気がどんどん落ちていくのが分かる
俺ってすげー


嵐山さんはやや困った様子だ
どうやら思っていたより全然手が上がらなかったらしい

「比企谷君」

嫌な声がした

「…なんだ雪ノ下」

「私と戦いなさい」

「断る」

「負けるのが怖いのかしら?」

「何とでも言え」

「…」

「お、じゃあ俺とやるか?ハッチー」

「米屋。いや俺は…」

「なにあなた?わたしとはやらないのにそこの人とはやるのかしら?」

「いやだから…」

「比企谷君?」

あぁもう!

>>544
深夜の防衛任務もあるぞ


「分かった分かった。やればいいんだろやればよ…」

「最初からそう言いなさい」

よし決めた
こいつはボコボコにする
嵐山さんからブースの使い方を教えてもらった雪ノ下達数名のモブと俺がそれぞれブースに入っていく

「私は115に入るわ」
「俺は117だ」

「あれ、俺は?」

「ハッチー取られちまったな。んじゃ俺とやろうぜ、米屋。カゲさんとハッチーの戦いみて俺もウズウズしてきた」

「出水!よっしゃやるか!」


「お、お前達もやるのか。よし、なら総勢10名だな。注目は出水と米屋、それと比企谷と雪ノ下さんだな!みんなもよく見ていてくれ」


『開始!』

「ちゃっちゃと終わらせたいから瞬殺でいくぞ」

「やれるものならやってみなさい」

雪ノ下の使うトリガーはスコーピオンか
だが雪ノ下は訓練用トリガー
正直万に一つもお前に勝ちはないと思うぞ

ダッ!

雪ノ下がジグザグに接近してくる
的をしぼらせないためか

「ふっ!」

「!」


ズカッ!

弧月を縦に振りぬく
が、避けられたか

「シッ!」ヒュッ

「!!」ガキキンキン

逆に雪ノ下からフルアタックのスコーピオンで攻め立てられる
ちっ、なかなか鋭いな
けど

「そらっ」ビュッ

「っ!」ガギッ

そろそろ反撃させてもらおう

サードエフェクトでも開眼しない限り勝てないだろなぁ
でも、そんだけトリオン量あったら嵐山が何か言うだろうし


「…っ!」ガギンガギギン

数度斬りあうだけで雪ノ下のスコーピオンが割れてきた
訓練用は割れるのも早い
たまらず下がって距離を取る雪ノ下
だが残念
その間合いはこちらの射程圏だ
これで終わりだな

「旋空弧月」キィン

「!」

ズカッ!
決まった


かのように思われたが

「やっぱり。このくらいの距離だとあなたは距離をつめるのではなく、それを使うと思ったわ」

「!?」

雪ノ下は横なぎの旋空を低い姿勢でかわす、その勢いのままこちらに突撃してきた
釣られたか!?

「くっ!」ガギン

「これでおしまいね」ヒュッ

右手のスコーピオンを弧月で防いだところで左手のスコーピオンが飛んでくる
シールドで防げるか?
いや、訓練用の出力でもフルガードじゃないと割られるだろうな


…ちっ、仕方ない

「エスクード」キン

「っ!?」

ドガン!

雪ノ下と俺は突如下から生えたバリケードによって空中に打ち上げられる

「っ!そんなものまであるのね…!」

「弧月と旋空以外は使うつもりはなかった」

着地後、二人共距離を取る


「使うつもりはなかった、とは?」

「お前はスコーピオンしか使えないのに俺だけ何種類もトリガー使ってたらただでさえ出力で不公平なのにさらに不公平になっちまうからな」

「あら、そんな遠慮はいらないわ。あなたを倒すにはこれだけで十分だから」

そういって右腕のスコーピオンを俺の方に向けてきた

「そうかい…」

認めよう
こいつは強い
緑川や木虎、黒江なんかと同じ天才だ
しかも斬り合いや駆け引きなんかでは緑川や黒江よりも上かもしれん
そんな雪ノ下が全力で俺を倒しにきている
ならば…俺も全力をもって叩き潰すのが礼と言うものだろう


「分かったよ…俺も全力を出そう。さっき見せた戦いとは全くの別物だ」

「あら、あといくつのトリガーを使うのかしら?」

「そうだな…あと二種類だ。まず一つ…」バチバチ

俺の身体からエフェクトが発生する

「ヤマト オン」キィィィン

「…!」

『特別体解除まで60秒、カウントダウン開始』

「和服に日本刀…?それは…武器、というだけではなさそうね」

「あぁ、これは俺を強化するものだ。そして…」

左手でトリオンキューブを展開する


「メテオラ+弧月」ギュワン

「合成…?そんなことも出来るのね」スッ

雪ノ下が即座に回避できるようにするためか、構える

「爆塵弧月」ビッ

俺が放った斬撃は雪ノ下へは向かわず、あらぬ方へと飛んでいく

「…?あら、どこを狙っているのかしら。そっちは民家…」

カッ!

「!?」


ドォォン!

雪ノ下の右方向にあった民家に俺の斬撃が当たり、その周囲を爆発が巻き込む

『戦闘体活動限界、緊急脱出』

ドンッ!

雪ノ下は緊急脱出したようだ
やはり初見のやつにはこれに限るな


ブースに戻された俺は外へと出る

「お疲れ、比企谷」

「ういっす」

嵐山さんは一声かけてくれた後、そのまま残りの決着のついていない生徒達の戦いの解説に回った


「さすがだなハッチー」

「容赦ねぇな。あれ使うのかよ」

出水と米屋が話しかけてきた
こいつらの戦いは既に終わっていたようだ

「使えって言われたようなもんだったからな。お前らはどうだった?」

「俺の勝ち」ブイ

「ちっ、次は負けねぇぞ槍バカ」

出水と米屋の勝負は米屋が勝ったみたいだ


なんだ簡単に認めたな
こいつのことだから何か言ってくるもんだと思ってたが
ん?てか今、今回はって言ったか?

「今回はってなんだ。次回はねぇよ」

「あら、そうでもないかもしれないわよ?」

「あ?お前何言って…まさか…!」

「ふふっ、楽しみにしていなさい。いつか泣いて許しを乞うまでボコボコにしてあげるわ」

「冗談だろ…?」

「わたしは本気よ」

おいおい
まさか…
嘘だといってくれ…



「わたしもボーダーに入隊することにするわ」


神は俺を見放した
いや確かにボーダー入ればいいんじゃないかって一回は思ったけどさぁ
あんなん冗談だって…
まさか本当になるなんて…

「え、雪ノ下さんボーダー入るの?」

「マジで?」

俺が呆然としていると、横から出水と米屋が驚いた表情で言う

「そのつもりよ。そうなったらよろしく頼むわね」

「マジか!初めてでハッチーとそこそこ渡り合えるやつなんて緑川以来じゃねぇか!?うひょー、楽しみになってきた!」

「入隊したらうちの隊来るか?その腕なら歓迎するぜ」

「あ!てめぇ抜け駆けすんな弾バカ!」


てめぇらはどこぞの太刀川さんか
はしゃぎやがって
てか三輪隊は既に4人だから無理だろうが

「そんなわけだからあと2ヶ月後、首を洗って待っていなさい。比企谷君」

クスッと笑いながら言う雪ノ下は俺にとってさながら悪魔の微笑に思えた

オーマイゴット
俺の安寧の時間が高2になってからゴリゴリと削られていってるんだが…

その後は簡単な事務作業などの隊員がこなす仕事を一通り体験や説明されたところで解散となった


「比企谷」

職場体験も終わったので家に帰ろうとボーダーの正面玄関に差し掛かったところで後ろから声をかけられた

「平塚先生…」

「聞いたぞ」

「…」

「何故ボーダー隊員であると秘密にしていた?場合によっては問題になる可能性もあるぞ」

適当な言い訳で逃げることは出来るが…
恐らくこの人には通用しないだろうな
仕方ない

「そうっすね…俺が中学生の時の話です…」


「そうか…そんなことがあったとは…。君の母親が第一次大規模侵攻で亡くなったことは聞いていたが…。君が奉仕部に入りたがらなかったのは放課後に防衛任務を行っていたからか?」

「まぁそうですね」

半分はただ単に部活なんぞ面倒だったからなのだが
まぁこれは言わない方がいいか

「こんな話を聞いてしまったからには君を無理に奉仕部に縛ることは私には出来ない。君が選びたまえ。続けるか、辞めるか」

「…」

奉仕部、か

「あ、ようやく見つけたよヒッキー!」

「ん?」クルッ

由比ヶ浜…

多分途中で1レス飛ばしてる。562と563の間あたり


「あ、平塚先生も」

「やぁ由比ヶ浜。今回の職場体験で何か得られるものはあったかね?」

「え?えーっと…多分?」

「何故疑問系なのだ」

平塚先生ははぁ、とため息をもらす

「比企谷。何も返事は今すぐ、というわけではない。よく考え、君の好きな時に来たまえ。あぁそれと、特例として君がボーダー隊員だと言うのは他の教師には黙っておこう。だから安心したまえ。ではな」

そう言い残して平塚先生は玄関を出て去っていった

>>568
ありがとうございます
間に


「比企谷君」

「ん…」

「今回はわたしの負けね」


という会話文が入ります
補完よろです


奉仕部
面倒なのは間違いない
それは今でもそうだ
けど…何故だろうか
俺は今迷っている
何か俺が迷う要因があるのか?
だとしたらそれはなんだ
一体俺は…

「ヒッキー?」

「!」

由比ヶ浜の声で我に返る

「なんだ?そういえば俺を探してたとか言ってたな。俺に何か用があるのか?」

「打ち上げだよ!クラスのみんなもうサイゼに行っちゃったよ?早く行こ?」

「俺なんかを待たずにさっさと行けばよかったじゃねぇか」

「い、いやー、置いてきぼりはかわいそうかなーって…えへへ」


本当健気で良い奴だな

「…まぁ俺は行かないけどな。帰って寝る」

「えー!?なんで!?」

「クラスに友達がいない俺が行ったところで楽しめるとは思えん」

「うっ…で、でも彩ちゃんもいるよ?」

スー…フゥー…
行こっかなー…

「あ、そういえばヒッキー何でボーダーだって黙ってたし!」

「…事情があんだよ」

「事情?」

「お前は知らなくていい」

由比ヶ浜がムーっとむくれている


「隠し事しないでよ!」

「いや人間黙っておきたいことの一つや二つあるだろうが。お前だってそうだろ?」

「え?」

「…お前ん家の犬の件、とかな」

「ヒッキー…覚えてたの?」

「いいや。小町から聞いた」

「そっか…小町ちゃんからか」

由比ヶ浜はあはは、と笑いながら下を向いてしまう

「すまん、気を使わせてたみたいだな」

「…え?」

「あの事故がなくても俺はどうせ学校じゃボッチだったろうよ。それは今までの経験から容易に想像できる。だからお前がわざわざ気を使って俺に優しくしてくれなくてもいいんだ。それに、俺にはボーダーのやつらがいるしな」

「やー…べ、別にそういうんじゃないんだけどなー。…そんなんじゃ…ないよ…」

由比ヶ浜の顔がどんどん暗くなっていく
目には薄っすら涙が浮かんでいるのが見えた

「だから、もう俺に構う必要はない。そんな気持ちで俺に関わろうとするな」

由比ヶ浜がはっと顔を上げる

「…バカ」

そういい残して由比ヶ浜は走っていってしまった


結局その日はそのまま家に帰った

俺にはわからない
何故奉仕部をさっさと辞めてしまわないのか
何故俺は迷っているのか



何故由比ヶ浜は涙を流していたのか


今日はここまでで
そういえば旋空がどのようなものかもBBFに詳細が乗りましたね
なので今日の八幡のトリガーセットを書いておきたいと思います

メイン

弧月
旋空
ヤマト(試作)
スパイダー


サブ

メテオラ
バイパー
エスクード
シールド

って感じです

次回はいつかわかんないです
ではでは

乙でした

乙です


初心者に勝った人に「さすがだなハッチー」?

これまで奉仕部が必要な布石はあったかな?

流石だな(初心者にえげつないわ)的な意味じゃね
初心者に圧倒して流石もクソもないし

そうです
580さんの方の意味でのさすがだな、です

一応物語として奉仕部の面々の成長みたいなもんを書ければいいかなと思ってますのでそういうもんだと思っててください(書けるとは言ってない)

トラップで汚いとか言われてるから絶対にほめ言葉なんかじゃ無いだろ…

よりにもよってボーダー隊員がトラップで汚いとか生温いこと抜かしたり
ド素人の雪ノ下が正規隊員面目丸潰れの天才(笑)だったりと酷すぎだわ

ガイル上げなのは多少は仕方ないにしても、ボーダーは戦闘集団なんだからもう少し普段訓練してる連中をリスペクトしてやれよ
あと、木虎は天才型じゃねーぞ

汚い発言は友達ノリの軽口だろ

木虎はトリオン能力の才能はないけど他は天才じゃないかな
3600ポイントスタートだし最初の訓練で9秒だし

すまん、間違えてsageにしちまった

初訓練4秒の緑川が1年くらいでA級
しかし2ヵ月後、そこには効率良くポイントを毟り取りA級となった雪ノ下の姿が

雪ノ下無駄に強くし過ぎだと思う
ボーダー側の立ち位置無くね?

雪乃の強さは流石におかしいと思うな、あまりにもワートリ側をなめてるような気がします

雪乃はc級3バカくらいの実力でよかった

トリオン量のある木虎レベル1くらいの強さってどれくらいだろう?

なんでもできる設定だけじゃなく、なにか欠点がある設定も持ってくるべきだったな

トリオン量が少ないかもしれんし、まだ慌てるタイミングじゃないさ

元々技能習得が早くて格闘技の心得もあり、柔道の有段者相手に空気投げも可能な技量持ちだってのはあるからなぁ…
明確な弱点は貧弱なスタミナだけだし

例え雪乃のトリオン量が並み程度でも元々の弱点だったスタミナ不足による継戦能力の無さが無くなるだけじゃね?。戦闘体なら病人だって戦える訳だし

乗っ取り防止に酉つけたほうがええで

こんにちは
投下します

雪ノ下は原作でも体力と性格以外は完璧超人なので、このSSでもそうしました
トリオン量は普通程度のつもりです

あと八幡は対戦の時はかなり舐めてかかってました
所詮初心者だから、と
そこで思わぬ反撃により、ピンチになったという感じですね
もし最初から八幡が本気で雪ノ下を倒しにかかっていたらほぼ一方的な展開になっていたことでしょう
ちなみに修くらいなら今の雪ノ下でも余裕で倒せます


「先生」

「比企谷か。結論は出たのかね?」

「まぁ一応っすけど」

俺は土日あけの月曜、廊下で平塚先生と話していた

「では聞かせてもらおうか」

「取り合えず続けようと思います」

「ほう。君のことだからやめると思っていたのだが…意外だな」

「自分でもそう思ってますよ。ただ、何故か迷ってるんです」

「迷っている?」

「はい。面倒くさいと思ってる自分がいれば、まだ続けていたいと思う自分もいる。何故続けたいと思っているのか、考えていました」

「…」


「だから、ボーダーの先輩達に相談してみたんです。俺はどうしたらいいですかって。そうしたら…」

『迷ってるのなら取り合えず続けてみるのもいいだろう。焦ることでもないんだろう?ならじっくりと今の環境で考えてみればいい。そうして続けたいと思っている理由を見つければいい。まぁ一度離れてみるのも一つの手だが…それはお前が決めることだ』

「…と」

「なるほどな。いい先輩じゃないか」

レイジさんにはいつも相談に乗ってもらってるから本当助かる
今度ちゃんと何かお礼しないとな

「それで君は続けることを選んだわけか」


「暫定っすけどね。残る意味はないと判断したらやめます」

「そうか…わかった。君の意見を尊重しよう」

「うっす」

「また正式に答えが出たら言ってくれ」

「はい」

「では私は職員室に行かなければならないので、またな」

平塚先生とはそこで別れた
さて、答えはいつ得られるか…


職場体験から1週間ほどが過ぎた金曜日、部室で勉強をしていると雪ノ下に突然話しかけられた

「そういえば何故あなたはボーダー隊員ということを黙っていたのかしら?言っていればそれを理由に奉仕部にも入れられなくて済んでいたのかもしれないわよ」

「まぁいろいろ事情があんだよ」

「事情?」

「…」

「…そう。まぁ深くは追求しないわ」

珍しく雪ノ下が簡単に引き下がったな
多分、踏み込みすぎるのは良くないと判断したのだろう
こいつも川崎の件で学習したようだ


「由比ヶ浜さんは今日も来ないそうよ。さっきメールがあったわ」

突然話題変わったなおい

「そうか」

「あなた…由比ヶ浜さんと何かあったの?」

「いや別に」

「彼女が来なくなってからもう1週間よ?何もなかったら来なくなったりしないわ。喧嘩でもしたのかしら?」

「してねーよ」

雪ノ下がジーっとこちらを見てくる
なんだよ…


「諍いとか?」

「違う」

「では戦争?」

「遠くなった」

「殲滅戦?」

「かけ離れた」

「ではすれ違い、といったところかしら?」

「まぁそんな感じかもな」

「そう。なら仕方がないわね」

少しばかりの沈黙が流れる


「まぁこういうのはあれだろ、一期一会ってやつだ。出会いがあれば別れもある」

「あなたは出会いも別れもないでしょう」

どういう意味だコラ

「けど、確かにその通りね。人との関係なんて些細なことで簡単に壊れてしまう」

「だが些細なことで結ばれもするのだよ。まだ諦めるような時間じゃない」ガラッ

「平塚先生、ノックを…」

そんな雪ノ下の言葉を先生は手で遮る

「由比ヶ浜が来なくなって1週間。今の君たちならば自分たちでどうにかすると思っていたのだが…ここまで重症だったとはな」

由比ヶ浜がここを離れたいと思ったのならば、俺にはそれを止める理由はない
それは雪ノ下も同様だろう
だから俺は由比ヶ浜が何らかの理由で来なくなったとしても特に何もアクションを起こしていない
例えあの件が理由だとしても、だ


「それで、用件はなんですか?」

雪ノ下が切り返す

「そうだな。以前言っていた勝負の件についてだが、新しいルールを追加しようと思う」

「?」

「君たちには…殺し合いをしてもらいます」

「は?」

俺も雪ノ下も怪訝な顔をする

「君たちには冗談が通じんのか…。つまりだな、簡単に言うと三つ巴のバトルロワイアルにする、ということだ。もちろん共闘などもアリだぞ」

ふーん…


「それだと比企谷君が不利になりますが…」

蜂の巣にしたろうかコイツ

「というかそもそも二人しかいないんすけど」

「そう、そこでだ。由比ヶ浜も来ないようだし良い機会だ。欠員を補充する意味でも侵入部員の獲得に乗り出したほうがいいだろう」

「まってください。由比ヶ浜さんはやめたというわけでは…」

「来ないのなら同じだ」

雪ノ下はぐっ、と黙ってしまう


「君たちは何か勘違いしていないかね?奉仕部は仲良しクラブではない。ここは君たちの自己変革のための場だ」

自己変革ね…
俺はそのためにここに残っているのだろうか?
うーむ、分からん

「とはいえ由比ヶ浜のおかげで部員が増えると活動が活発化する事が分かった。だからこその三つ巴なのだがな。君たちは月曜までにもう一人、やる気と意思を持った者を確保したまえ」

えー
面倒くさい
しかも今日金曜だから月曜までって実質あと三日、いや今日はもう終わりだからあと二日しかねぇじゃん
無理だな
俺なんもアクション起こさなくていいな
どうせ俺が何しても無駄だろ


「では今日の部活はここまで。君たちは三人目を確保する算段でも考えたまえ」

そう言うと平塚先生は出て行った
そういえば最近この人から暴力を受けることがなくなったな
おめでとう、平塚は暴力教師からお節介教師に進化したゾ☆

「さて、どうする?一応駄目元でボーダーのやつらに声かけるか?」

俺もそのくらいなら出来るからな
一声かけるだけだけど

「それだともし入ってくれる人がいても、やる気と意思という条件をクリアできないでしょう」

「それもそうか」

じゃあ俺にはもう出来ることはないな、うん


「わたしにはその条件をクリアしてくれそうな人に心当たりがあるわ」

「戸塚か?よし、あいつは今部活中だと思うから今すぐテニスコートに…」ガタッ

「違うわ。というか気持ち悪いわダニ谷君。由比ヶ浜さんよ」

「由比ヶ浜?あいつは辞めただろうが。というかダニってなんだ」

「ちょっと噛んだだけよミジンコ谷くん。だったらもう一度入りなおせばいいのよ。平塚先生は人員補充をしろと言っていたのだし、何も問題はないわ」

「絶対わざとじゃん。もうミジンコとかどうあっても言い間違えないだろうが。お前の作戦には問題ないが、お前の俺に対する態度に問題がありまくる」

「ぐちぐちと男のくせにうるさいわね」

「上等だ。その首飛ばしてやろうか?」スッ

「やれるものならどうぞ。そんな度胸もないくせに」

「あ?」

「なにか?」

「…」

「…」


にらみ合うがやがて雪ノ下ははぁ、とため息を吐いて顔を背けた
俺とは反対の窓の方を向いている

「…いつもならここで由比ヶ浜さんが止めに入るのよね」

「そうだな…」

「二人共そこまでだよ、とか喧嘩両成敗、などと言って怒られたこともあったわね」

「そう…だな」

「彼女がいないとどうも静かね…えぇ、静か過ぎるくらいに。今まではそれが普通だったというのに…」

「…」

そういう雪ノ下はふふっと笑っている


「意外だな。お前がそんな風に笑うのは」

「ええ、自分でもそう思うわ。2ヶ月前の私が今の私をみたら何て言うかしらね」

「あなた、私にとても似ているけれど…一体どなた?とかか?」

「…今のは私のモノマネかしら?不愉快だわ」

「なんでだよ。結構似てただろ」

「だから不愉快なのよ」

「ふっ…」

「クスッ」

俺も由比ヶ浜に当てられたかな
いや、もしかしたら俺がここに残りたいと思っているのはこれが原因なのかもしれないな
多分…いやきっとそうだろう


「とにかく、由比ヶ浜さんが戻ってくるようにしましょう。案はいくつか考えたわ」

「随分やる気だな」

「ええ。最近分かったことことなのだけれど、私…この2ヶ月をそれなりに気に入ってるのよ」

「そうか…」

「あなたも…でしょう?」

「さぁな…」

「素直じゃないのね」

「お前に言われたくない」

そうだ
俺はここが、この奉仕部という場所が気に入っていたのだろう
俺に喧嘩を売ってくる雪ノ下がいて、その喧嘩を買う俺がいて、俺達を止める由比ヶ浜がいる
そんな奉仕部が…俺は好きだったのかもしれん
雪ノ下の毒はそれなりに面倒だがな


「取り合えず由比ヶ浜を戻す方向で動く、ということだな?」

「ええ」

「それは部長命令か?」

「…!…えぇ、そうよ」クスッ

雪ノ下がクスッと笑う
素直じゃなくて悪かったな
これが俺、比企谷八幡なんだよ

「そうか…なら仕方がないな。部長命令なら俺もそれに従うしかないわけだ」

「本当、面倒くさい人ね」

「だからお前に言われたくない」

それに由比ヶ浜がここを去ってしまった原因は俺だろう
理由はまだ分からんが…
なら俺も働かないとな


この日はこれで解散となった
俺が奉仕部を辞めない理由
俺はあの場所が、あの奉仕部という場所を気に入っている

ボーダーのやつらと同じなのだ
気の許せるやつらだ
軽口を叩き合って、たまには喧嘩をして、最後は誰かの仲介で仲直り
ボーダーのやつらとは幾度かそういうやり取りをした

雪ノ下や由比ヶ浜も同じだ
だからこそ俺はいつの間にかあの場所を気にいってしまったのだろう
まったく…

だから本当…仕方がないことなのだ


そういえば俺はこの日、雪ノ下と電話番号とメールアドレスを交換した
土日では会えないから連絡を取るにはこれしかないのでしょうがなく、というのが雪ノ下の言葉だ
だがそれを言っている最中の雪ノ下はややもじもじとしていて、緊張しているようだった
実際にも

『ひ、比企谷君。あの…で、電話番号を…教えてくれない…かしら?』

と顔を赤らめながら聞いてきた
中学時代に散々経験を積んできた俺じゃなきゃドキッとして雪ノ下を好きになっていたとこだぜ
危ない危ない
さすが俺だ

今日はここまで
なんとか用事前には投下したかったので間に合ってよかったです
続きは月曜か火曜か
多分火曜ですね

ではでは


この展開ならなあなあなった描写じゃなく仲直りした描写が必要だったんじゃない?
しかし俺ガイルとワールドトリガーのクロスって俺ガイル側が成長しないことが多いからこれは嬉しい

雪乃の入隊は家に認められるのかな?



この扱いがわからなくもないけど修ェ…

乙です

乙さ

こんにちわ
こんな時間ですが投下します


「で?どういうことだこれは?」

俺は現在東京わんにゃんショーが開催されている幕張メッセに来ている
それはいい
昨日小町とチラシを見てくることにしてたからな
問題は…

「こんにちは、比企谷君」

「なんでお前がいる。雪ノ下」

俺がトイレから戻ってくると何故か小町の隣には雪ノ下がいた

「小町が雪乃さんを見かけて声かけたんだよ。なんか道に迷ってたみたいだったし」

「屈辱だわ…」

いやいや
ここそんな広くねぇぞ
どんだけ方向音痴なんだこいつは


「ここにいるってことは何か見に来たのか?」

「えぇ、まぁ、そのいろいろと」

俺は見てしまった
こいつのパンフレットの猫ゾーンにでかでかと赤丸がつけてあるのを
こいつ猫好きだったのか

「あなたたちはどうなの?」

「俺達は毎年来てるんだよ」

「うちの猫と会ったのもここなんですよー」

「猫…比企谷君の家では猫を飼っているの?」

「ああ。かまくらって名前のな」

「そ、そう…」

ボソッといいなぁって声が聞こえたけどスルーだ、スルー


「じゃあ俺達はもう行くから。じゃあな」

「えぇ、じゃあ」

「ちょいまちちょいまち!」

なんだよ小町
今良い感じに離れられそうだったろうが

「雪乃さん、せっかくなので一緒に回りましょうよ!」

「え…邪魔じゃないかしら…比企谷君が」

「俺はお前らの後ろを黙ってついてくから心配すんな」

「それはそれで不審者ね」

「どうあっても俺を除外したいんだな」

「冗談よ。冗談」クスッ

「ちっ…」ガシガシ

どうも調子がくるう
昨日からこいつの様子がどうもおかしい
いや良い方に変化しているのだから良いことは良いんだがな


「仲が大変よろしいようですな~」ニヤニヤ

「やめてちょうだい小町さん。虫唾が走るわ」

前言撤回
全然良くなってない

「じゃあ一緒に回りましょうか。何か見たいものはあるかしら?ないのなら…」

「どうせなら普段見れないものを見たいですよねー」

「…」

我が妹は空気が読めるのか読めないのかイマイチ分からん

結局最初は鳥ゾーン、続いて小動物ゾーンに入ることになった
するとそこで意外な人物と遭遇した


「こんなとこにいるなんて意外ですね、太刀川さん」

「ん?おー!比企谷じゃねぇか!」

なんと太刀川さんだ
この人がこういうとこに興味あるとはかなり意外だ
だって戦闘狂だし

「比企谷君、この方は?」

「太刀川慶。ボーダー所属の大学生だ」

「よろしく。というか、あれ?なんだ比企谷、珍しく女の子を引き連れて。やるなぁお前!」

そんなこといいながら背中をばんばん叩いてくる
痛い、痛いっすよ太刀川さん


「ちなみにこの人はアタッカー1位、個人総合1位というバケモンだ」

「あら、ではとても強いのかしら?」

「まぁな」

はっはっはと笑いながら太刀川さんが謙遜もせずに肯定する
まぁ事実なのだから否定しようもないんだがな

「あ、太刀川さんだ!」

「ん?おー、小町ちゃんか。久しぶりだな」

「お久しぶりですー!」

小町と太刀川さんは結構仲がいい
俺と太刀川さんは同期なので隊員が少なかった昔はよく迅さんやレイジさん、風間さんなども誘ってご飯を食べにいったりしていたのだが、その時小町もちょくちょく参加していたのだ
だから地味に小町はボーダーの古株達と交友がある


「ところで、太刀川さんは一人なんですか?」

「いや、加古と堤もいるぞ。今日は加古に誘われてきたんだ。なんかペンギンが見たいとかでな。今は二人共トイレ行ってるけどもうすぐ戻って…お、噂をすれば」

「あら?比企谷君じゃない」

「ん?本当だ。やぁ、比企谷」

「うっす。加古さん、堤さん」

「小町もいますよー!」

「お、小町ちゃん」

「あらあら!小町ちゃんじゃない。久しぶりねぇ」

「はいお久しぶりです堤さん、加古さん」

小町が20歳組と仲良くお喋りを開始する
我が妹ながらコミュ力の塊だなこいつは


「あの、比企谷君…?」

「あぁ、今来た二人もボーダーだよ。加古さんなんてA級6位チームの隊長だ」

「へ、へぇ…」

「俺なんて1位チームの隊長だぞー」

「あ、そうだ太刀川さん。こいつ今度ボーダー入るらしいんすよ。結構強かったんで期待してていいと思いますよ」

「お。マジか!」

「あら、そうなの?じゃあ入ったらよろしくね」

「よろしく」

「え、えぇ…どうも」

雪ノ下がちょっとオロオロしている


「結構強かったって、比企谷君と戦ったのかしら?」

「そうっす。この前の職場見学でボーダーに来た時に1本だけですけど。油断してたとは言え、ちょっと危なかったですね」

「おお、比企谷にそこまで言わせるなんて」

「本物だな」

「あなたお名前は?」

「雪ノ下雪乃といいます」

「Y.Y.か。残念ね」

「…?」

加古さん、場合によっては勧誘するつもりだったな


「じゃあ俺達はそろそろ行きますんで」

「今度また風間さん達誘って飯行こうぜ、比企谷、小町ちゃん」

「うっす」

「是非是非!お待ちしてます」

「じゃあ私も久しぶりにチャーハンを振舞っ…」

「「「「それはちょっと待ってください」」」」

雪ノ下以外の俺達4人が一斉にハモる
それだけは駄目だ
絶対に

「あら、なによ」

「と、とにかく、またな。比企谷、小町ちゃん」

「はい、さようなら~」

堤さんが加古さんの背中を押して鳥ゾーンへと入っていった
ファインセーブですぜ、堤さん


「なんというか…濃い人たちだったわね」

まぁボーダーはいろんな意味で濃い人が多いかもな

ちなみに雪ノ下は鳥、小動物どちらのコーナーでも触ってはみたものの首をかしげて途中でやめてしまった
どうやら求めている質感はこれらではないらしい
まぁ猫だもんな、お前が求めているものは

「比企谷君、なにやらあなたの方から嫌な視線を感じるのだけれど」

「気のせいだ。それより次は猫ゾーンだな」

「猫…」

雪ノ下の目が露骨に変わった
どんだけだよお前
がんがん進んでいく雪ノ下だが途中でピタッと止まり、突然俺の背後に回ってきた


「なにしてんだお前?」

「いえ…」

改めて前を向くとそこには犬ゾーンの看板が
こいつ犬苦手なのか?

「…一応言っておくがここは子犬しかおらんぞ」

「な、なんのことかしら?」

「はぁ…まぁいい。俺が先行けばいいんだろ」

このやり取りを小町は終始にやにやしながら眺めていた
なので頭をチョップしてやった


「いったーい…」

「何をしているのあなたたち…。ところで、比企谷君は…犬派?」

「なんだ突然。無派閥だ」

「そう…意外ね。てっきりあなたは犬派かと思っていたけれど…」

「はぁ?なんで?」

「あんなに必死だったからよ…」

は?
こいつが何を言っているのかさっぱり分からない
俺がこいつの前で必死になったことなどないはずだが…

猫ゾーンに到着するとまず最初に平塚先生を見つけるという珍事に遭遇した
遠目だが間違いないだろう
てか先生…一人、なんですか…


小町はさっさと奥の方へと歩いていってしまった
雪ノ下はすぐ手前の猫を凝視している
怖いからやめてやれ

というかこれはどっちに着いていればいいのだろうか?
うーむ
迷子になってた雪ノ下の方か?
いやでもやっぱり最愛の小町の方に…

「ちょ、ちょっとサブレ!って首輪駄目になってるし!」

どっちに着くか迷っていると突然犬が俺の方へとダイブしてきた

「お?なんだこいつ?」

「ひっ、い、犬が…」

取り合えず犬を抱きかかえるとくんかくんかと俺の匂いを嗅いで、指を猛烈な勢いで舐めてきた
く、くすぐったい…


「この犬…」

ん?雪ノ下は見覚えあるのか?

「すいませーん!うちのサブレがご迷惑を…」

「由比ヶ浜さん?」

「え…?ゆき…のん?」

由比ヶ浜?
こいつ由比ヶ浜の犬だったのか
由比ヶ浜は雪ノ下に続いて横にいる俺も見る

「え、ゆきのんと…ヒッキー?え?」

由比ヶ浜がえ?え?と混乱している


「こんなところで奇遇ね、由比ヶ浜さん」

「うっす」

「あ。う、うん…。二人は…なんで一緒なの?珍しいよね…」

「あ?いや別にこいつとは…」

「あ、いややっぱいい!大丈夫!そう、だよね。休日に二人でこんなとこくるなんて、そんなの決まってるよね。なんであたし気づかなかったんだろうなー…。あはは、空気読むことだけがあたしの取り得なのに…」

ちょっと待て
こいつ盛大な勘違いをしていないか?

「じゃ、じゃああたしもう行くね!」

そう言うと由比ヶ浜は俺の腕の中で大層リラックスしていた犬(サブレだっけか?)をむんずと奪ってさっさと去ろうとする


「由比ヶ浜さん、明後日の月曜日部室に来てくれないかしら?私たちのことであなたに話しておきたいことがあるの」

「あ、あー…あんまり聞きたくないかなぁって…あ、あはは…」

「わたしこういう性格だから上手く伝えられなかったのだけれど…。あなたにはきちんと話しておきたいの」

「…ん」

そう返事なのかも分からない微妙な返答をして由比ヶ浜は歩いていった

「由比ヶ浜に話って?」

俺が雪ノ下に問う

「6月18日、なんの日か知ってる?」


特に祝日というわけでもないよな?


「分からん」

「由比ヶ浜さんの誕生日よ。多分ね」

「そうなのか…ん?多分?」

「ええ。アドレスに0618って入っていたから、多分」

んなもん直接本人に確認すればいいだろ…
まぁそこはこいつのコミュ力
無理だろうな

「だから誕生日のお祝をしてあげたいの。例え今後由比ヶ浜さんが戻ってきてくれなかったとしても、今までのお礼はちゃんとしたいから…」

「そうか…」

「それで…ひ、比企谷君。お願いがあるのだけれど…」

「あ?」


なんだこいつ急にもじもじしやがって


「その…つ、付き合ってくれないかしら?」


「…は?」

今日はここまで

ヒュースかっこいいですねぇ
ランビリスを起動した時、陽太郎を庇うような展開の仕方をしてておぉってなりましたw

ではでは

乙です


大体の人が予想できてた展開だった上で本当に格好よかった

ヒュースの話です

おつー
そういや川なんとかさんがボーダー入ったら加古さんにスカウトされることもあるのか


気になったんだけど台詞の前に名前を表記しないスタイルだと
2人以上いる時に一遍に台詞喋らせると誰が何喋ってるか分り難いから
拘りないなら名前表記オナシャス!

台詞を言いそうな人間が分からないのか
その場に居る人間が分からないのか

おはようございます

>>644
私のSSでは川崎さんはボーダーに入らないので何ともいえないですね
ボーダーはA級にならないと固定給もらえないですからそれまでに時間がかかりすぎます
でも他の方のSSで強キャラ設定で川崎さんがボーダーに所属してたら誘われてるかもしれないですね

>>645
それは私も何度か悩みました
こいつら同じ口調だから分かりづらいかなぁ、と
なので会話の中や地の文などでなるべく相手の名前を出すようにはしています
しかし同じ意見が多いようでしたらそちらの表記の仕方に変えようと思います
みなさんどちらがいいですか?

基本的には名前無くても表現できるならその方がいいかな

名前なしがいいかな

地の文あるし書き分けとかも出来てるからト書き不要では?

普通に状況わかるし、今のままでいいよ

今のままでお願いします

>>647

B級から給料はあるよ

>>653
固定給はA級から
B級の給料は出来高のみのはず

>>654
深夜任務とかあるのにいいのか
18未満勢のひとたちは

こんにちは
ではこのまま名前は無しで行こうと思います

B級は歩合制なので安定した給料が得られません
なので川崎さんが入隊することはないですね

本家ではもしかしたら18歳未満は深夜の防衛任務には出していないかもしれませんね
ですが私のssでは18歳未満も深夜の防衛任務をしていることとします
警察などには了承済みということで!

修たちが深夜防衛任務してる描写あったし大丈夫だろ

どうもこんばんわ
書き溜めてきました
明日投下しますね

太刀川さんや小南はもうやってることが常軌を逸してますねw

こんにちわ
投下します


翌日、日曜日
さて久しぶりに問題です
俺は今どこにいるでしょーか
はい、残念
正解は東京BAYららぽーとでしたー
ちなみに面子は昨日と一緒の小町と雪ノ下でーす

何故こんなことになっているのかと言うと、昨日の雪ノ下の付き合ってくれというのは買い物に、という意味だったからである
まぁ昨日の流れから常識的に考えてそういう意味だよね
決して一瞬別の方の意味として捉えたことはない
うむ…決してない

小町同伴なのはまぁ当然である
雪ノ下と俺のセンスは壊滅的と言っていいだろうからな


「驚いた…かなり広いのね」

「だな。じゃあ俺はこっち回るわ」

「では私は反対側を…」

「ストップです♪」

小町が案内板を指していた俺の人差し指をくきっと折る

「いてぇ…」

「何か問題でもあるのかしら?」

「なんで単独行動したがるんですか二人共…。せっかくなのでみんなで回りましょうよ!結衣さんの趣味的に押さえておけばいい場所は把握済みなので時間も大丈夫です!」

「まぁ俺はいいけど…」

「わたしも構わないわ」

「じゃあ出発です!」


小町の指定した店を回る
いくつか回ったがどれもこれも若い女の子が好みそうな店だった
なるほど、さすが小町だ

「なぁ小町、次は…」クルッ

次の店に行くために歩いている最中、振り返ると小町がいないことに気づいた
やべぇ、迷子か?

「雪ノ下」

「なにかしら?」

通りの店を物色していた雪ノ下が戻ってくる

「小町見なかったか?」

「小町さん?…そういえばさっきから見かけてないわね。携帯にかけてみたら?」

「そうするか」


だがいくら電話しても全く出る気配がない
しょうがないので諦めて小町に電話しろとメールして先に進むことにした
しばらく進むといかにも女の子専用ゾーンですといったところに入った

「で?何買うんだ?」

「そうね、普段から使えてかつ長期的の使用に耐える耐久性を持ったもの、かしら」

「事務用品かよ…」

「それも考えたのけれどね。どうせなら由比ヶ浜さんの趣味に合わせることにするわ」

まぁそれが正解だな
ちなみに小町は、一人で回って帰るから後はお二人で~とか電話してきやがった
小町め、どういうつもりだ


「取り合えずここに入りましょう」

「…おい」

「何かしら?」

「ここ俺入れない雰囲気だろ」

雪ノ下が入ろうとしたお店はまさに女子女子してるといった感じだった
男の俺にはやや抵抗が残る

「下手したら店員さんに不審者に間違われる。ソースは小町の買い物につき合わされたことのある俺」

「不審者の雰囲気を出さなければいいのよ。あ、ごめんなさい。無理を言ってしまったわね」

「それはつまり俺が今不審者のオーラを出してると?」

「今ではなく常に、よ」

相変わらずの毒だな
慣れてきた俺が怖い


「じゃあなおさら俺はこの店に入るわけにはいかないな。あっちのベンチで…」

「待ちなさい」

なんだよ…
と暗に言っている視線を雪ノ下に向ける

「あなた、私のセンスに任せる気?」

「自分のセンスがおかしいって自覚はあったんだな」

「悔しいことにね」

「それで?」

「だから、その…手伝ってもらえると助かる、のだけれど…」

始めからそう言えよな
こいつも面倒な性格してやがる


「けど俺店に入れねぇし…」

「この際仕方がないわ。あまり距離をあけないようにしてちょうだい」

「は…?」

「今日一日に限り恋人のように振舞うことを許可すると言っているのよ鈍感谷君」

だから語呂わりぃって…

「ずいぶん上から目線なんだな」

「何か不満でも?」

「別に不満はねぇよ」

「え…そ、そう…」

やや驚いた様子の雪ノ下
俺が即答で不満はないと言ったからだろう
こいつはどうせ俺が断ると思っていたのだろうが、俺にとっては別に断る理由がないからな


「むしろお前はいいのかよ?」

「えぇ、だって他人に見られたところで風評被害にあう心配もないもの。知人に見られたら不登校になってしまうかもしれないわね」

「だったらやめよう。知り合いがいない可能性は0じゃないからな」

「え…」

毒舌に対する報復だ
言い方はアレだがこれはイジワルと言っていいのだろうか?

「一人で頑張れよ。俺は外のベンチで待ってるからよ」

「ちょっと待ちなさい。さっきは不満がないと言っていたのに、男に二言があるというの?」

「お前が言ったんだろう?俺と一緒にいるとこを知り合いに見られたら不登校になるほど嫌だ、と」

「ぐっ…」

ふっふっふ
いつも言われてばかりの俺だと思うなよ


「いいわ…一人で行くもの…!」

おっと、いじめ過ぎたか?
そろそろやめとくか

「冗談だ。俺も行くよ」

「…なによ今更。ころころ意見が変わるのね」

「すまんすまん。少しいじわるだったな」

「あなた…わたしを子供か何かと思っていないかしら?」

「…」

「否定しないのね…良い度胸だわ…」

「落ち着け。由比ヶ浜へのプレゼントを選ぶんだろ?早く行こうぜ」

「あっ、ちょっと待ちなさい!」

俺がスタスタと歩くと雪ノ下が何やら文句を言いながらついてくる
こいつかわいいところもあるな


「で、それか?」

「いいでしょう?由比ヶ浜さんの弱点を補うという意味でも」

俺達は由比ヶ浜の得意分野ではなく弱点、もとい苦手分野に関するプレゼントで攻めることにした
それならば下手なことにはならないだろうという考えからだ

そして雪ノ下が選んだのはエプロンだった
なるほど、由比ヶ浜の料理は壊滅的だからな

「それで…なんでお前が着けてる?」

「私もそろそろ新しいのが欲しいのよ。どう?似合うかしら?」

そう言って俺に見せてくる
黒を基調とした落ち着いた雰囲気のエプロンだ
確かにこいつには似合ってるのだろう


「似合ってるんじゃないか?」

「そう、ありがとう」

「いや待て待て。お前のエプロンはどうでもいいんだよ」

「…」

「由比ヶ浜のだろ?あいつはもっとふわふわぽわぽわ頭の悪そうなやつの方を好むだろ」

「…」ジー

「なんだよ…」

「別になんでもないわ。あなたの言うことも一理あると思っただけよ」

いや絶対嘘じゃん
めっちゃ不満そうじゃん
え、なんか地雷踏んだか?
どこだ?いつ踏んだ?


「これならどうかしら?」

「え、あぁ…いいんじゃないか?」

今度見せてきたのはよさそうだ
ピンクを基調とした花などの模様があるまさに女子が着けるためにあるようなエプロンだ

「ではこれにするわ」

「てかお前もちゃっかりいろいろ買ってるよな」

「エプロンは予定になかったのだけれどね。ではレジに行って来るわ」

「おう」

雪ノ下がレジの列に並んでいる間、俺は向かいのペットショップを物色していた
まぁ由比ヶ浜へのプレゼントは事前に決めていたから物色はついでなのだが


「あなたは何を買ったの?まぁ大体想像はつくのだけれど」

「じゃあ多分お前の想像してるものであってるよ。さぁ用事は済んだんだ。帰ろうぜ」

「そうね。帰りましょうか」

用事が終わったらさっさと帰る
これが出来るのがこれほどすばらしいとはな
出水や米屋、小南などと出掛けると当初の用事が済んでもそこらじゅう引っ張りまわされるからとても疲れる
まぁたまになら悪くはないが

が、やはりそうは問屋が降ろさない
雪ノ下が途中のゲームコーナーで突然立ち止まったのだ
なにやらクレーンゲームの中の景品をジーっと見つめている
なになに?パンさん?
確かデスティニーランドのキャラクターだったっけか?
こいつパンさん好きなのかよ…


「…欲しいのか?」

「べ、別に…」

そうは言っても歩みは進まない
やっぱり欲しいんじゃねぇかよ

「やってみればいいだろ。まぁ取れんと思うが」

「あら、なかなか挑戦的な物言いね」

「いやガチで取れないんだよこういうのは。慣れないと無理だ」

「なら慣れるまでやればいいだけよ」

そういって100円玉を機械に投入した
負けず嫌いが原因なのかパンさんが欲しいのか原因なのか
俺には判断がつかなかった


「ちょっと、今完全に掴んでいたでしょう?どうしたらあそこで外れるのかしら?」

「…」

「くっ…この!」

「…」

「この、いい加減に…!」

「…」

「っ…!」

結果
500円投入しても取れませんでした、と
まぁ俺は予想ついてたけどな

「お前へったくそだな」

「なっ!そこまで言うのならあなたは上手いんでしょうね?」

「まぁお前よりかはな。ちょっと貸してみろ」

俺が100円玉を投入する


「ここだな」

ウィーン…ガシ…ズリッ

アームはパンさんを掴むことなく、ややズラしただけに終わった

「ふっ、なによ。結局あなたも取れないじゃない」

「まぁ見てろって」

俺はもう100円投入する

ウィーン…ガシ…ウィーン…

「うっし」

「なっ…!?」

今度はアームがきちんとパンさんを掴み、持ち上げる
そのまま取り出し口へとパンさんが落ちた


「ま、こんなとこだな」

「ぐ…!」

最初の位置ではどうも向きが悪かったので100円を犠牲にして向きを変えたのだ

「あなたなんでこんな上手いのよ…」

「よく取ってくれってせがまれるんだよ。小町とか小南とか…てか小南の野郎取って欲しいって言うクセになんで金が俺持ちなんだよおかしいだろどう考えてもよ。お金は出すから取ってくれってのが普通だろうがよ…。しかも取れるまでやらせるし拒否したら小町に言いつけるとか言うし…」

「そ、そう…理由は分かったわ。分かりたくないことまでね…」

ちょっと雪ノ下が引いている
おっといけねぇ
俺のトラウマが出てきてしまったぜ
そんなことを思いながらパンさんを取り出し…


「ほらよ」ポイッ

「!」パシ

雪ノ下へと軽く投げる

「欲しかったんだろ?」

「え…」

「やるよ。そのために取ったんだしな」

「あ、ありがとう…」

雪ノ下が少しうつむいて礼を言う
なかなか正直でよろしい

そして俺が歩き出そうとすると突然

「あれー?雪乃ちゃん?あ、やっぱり雪乃ちゃんだ!」

なんて声が後ろの方から聞こえた
あ?誰だこの人?

「姉さん…」

今日はここまで
続きは明日かな?

ではでは


姉が雪乃にして欲しい成長は敵としてではない人間に興味を持てるようになったその後だと思ってる

乙です


ハルノンなら読心のサイドエフェクト持ってても驚かない

独身のサイドエフェクトがなんだって?

海老名隊にスポット当たり困惑する>>1さん

こんばんわ
投下します


「は?ねえさん?」

雪ノ下の姉さんという言葉を聞いて再度顔を確認する
こちらに歩いてくる女性はなるほど、確かに雪ノ下に似ている
美人で、露出が多い服装をしており、周囲の男子の視線を独り占めにしているが
歳は20歳くらいだろうか?

「こんなとこでどうしたの?あ、まさかデート?デートだな!このこのっ!」

「…」

雪ノ下姉が雪ノ下を肘でうりうりとつついているが、雪ノ下はそれを鬱陶しそうにしているだけだ

「君は雪乃ちゃんの彼氏かな?」

「「違うわ(います)」」

はもったー


「息ぴったりー!」

「ちっ…」

あれ?
今舌打ちしなかった?
したよね?
俺とハモるのそんなに嫌?
合唱コンクールでもそこまで言われたことないよ俺?

「彼はただの同級生よ」

「まったまたぁ!照れなくていいのにー!」

雪ノ下が姉を思いっきり睨みつけているが姉はそんなこと気にもならないようでニヤニヤ笑っているだけだ
ふむ…


「雪乃ちゃんの姉の雪ノ下陽乃です。雪乃ちゃんと仲良くしてあげてね!」

「はぁ…比企谷です」

「比企谷…へぇ…」

雪ノ下姉は俺を品定めするかのように上から下までざっと流し見た
なるほど、こういう人か

「比企谷君ね!うん、よろしく!」

「俺はよろしくしたくないですね」

「んー?」

雪ノ下姉、まぁこれからは雪ノ下さんとでも呼ぶか
彼女は俺が社交辞令さえも断る返答に笑顔のままそう言った


「直接あなたみたいな人に会ったって経験はないですけど、今までにあなたの劣化みたいな人はちょこちょこ見てきてるんですね。まるで男子の理想のような女性。俺の中ではそれだけでもう違和感ばりばりなんですよね」

「ひ、比企谷君?」

「…」

雪ノ下はやや動揺し、雪ノ下さんからは笑顔が薄れていく

「まぁその経験から言わせてもらうと、あなたは特に警戒に値する人なんですよ。しかもさっき俺を品定めしてましたしね。だから嫌いとか、苦手とかではなく、警戒です」

「へー…」

「今の反応でそれが確定しました。まぁだからあなたには関わりたくありません。なのであなたとはよろしく出来ないです」

「…ふふっ」

ここまで言ってまだ笑うか
怖いな


「面白い子だね!」

「は…?」

急に笑顔でそんなことを言うのだから俺も驚いてしまった

「うんうん!君みたいに初見で気付いた人は静ちゃん以来だなー」

多分あなたの本性を初見で見抜く人はボーダーにはたくさんいますよ、とは言わなかった
二宮さんとこの人が出会ったら恐ろしいことになりそうだな、なんて思う分には俺もまだ余裕がある

「ねぇねぇ比企谷君、今度お茶行こうよ」

「嫌です。俺の話聞いてなかったんですか?」

「そんなこと言わずにさー!」

「…」

俺がものすごく嫌な顔をして身体ごと雪ノ下さんから離れる


「ちぇー。まぁいいや、じゃあ私はそろそろ行くね。大学のみんなも待たしてるし。ばいばい雪乃ちゃん、比企谷君」

はぁ、ようやく帰るのかこの人
出来ればもう二度と関わりたくないな

「また、ね。比企谷君?」ニコッ

その笑顔を見た瞬間、背筋が凍った
この人…どういうつもりだ…?
また、なんて二度と来るな

雪ノ下さんが去ってからは数秒沈黙が続いた

「比企谷君」

「…なんだ」

先に口を開いたのは雪ノ下だった


「その、姉がごめんなさい」

「お前が謝ることじゃない」

「そう…。それにしても、一発でアレの本性を見抜くなんてね」

「あぁ、まぁな」

「別に褒めてるわけではないわよ」

「知ってるよ」

「…。帰りましょうか」

「そうだな」

「じゃあ私はこっちだから」

帰りの電車を降り、改札を抜けたところで雪ノ下がそう言って北口を指差す


「俺はこっちだ。じゃあな」

俺の家は反対の南口からの方が近いのでそこで分かれる
まぁ時刻はまだ夕方
外も十分明るいし送っていかなくてもいいだろう

「ええ、さようなら。今日は楽しかったわ」

そう言って歳相応の笑顔をする雪ノ下に俺はしばらく見ほれていた
結局雪ノ下の背が見えなくなるまで俺は目が離せなかった


翌日の放課後、奉仕部の教室にて俺と雪ノ下、そして由比ヶ浜が集合した
3人集まるのは結構久しぶりだ

「え、じゃあ二人は付き合ってないの?」

「やっぱそういう勘違いしてたか」

「冗談でもやめてちょうだい由比ヶ浜さん」

誤解はすぐ解けた
三人集まるなり即俺が質問したからな
お前何か盛大な勘違いをしていないか、とな

「だいたい俺が彼女なんか作れると思うか?第一もし作れたとしても彼女なんていらんわ。これ以上俺の一人の時間を奪われてたまるか」

「…」ジー

「…」ジー

「な、なんだよ二人して…」

「ヒッキーこじらせてるね…」

「全くこの男は…」ハァ

ひどい言われようだ


「まぁとにかくそういうわけだ」

「じゃ、じゃあなんでゆきのんと二人で出掛けてたりしたの?」

「わんにゃんショーのことか?あれは本当にたまたま出会っただけだ。俺は小町と来てたのにトイレから出たらこいつが突然現れてたんだよ」

「あ、そうなんだ…」

「言い方にやや不満があるけれど、まぁその通りね」

ふぅ、これで面倒くさそうなことは回避できそうだ

「それと…由比ヶ浜さん、これ」

「え…?ケーキ!?なんで!?」

「なんでって…そういえば言ってなかったかしらね。今日はあなたの誕生日をお祝いしたくて呼んだのよ」

「へ?」

「それとこれも…」

そう言って雪ノ下は、昨日買ったプレゼント用の包装紙に包まれたエプロンを由比ヶ浜に渡した


「プレゼント…?」

「由比ヶ浜さん最近部活に来ていなかったし…その、これからも励んでほしいという意味と感謝の意味を込めて。まぁ私だけが買ったわけではないのだけれど」

「え…っていうと…」

「ほらよ」

俺も鞄からプレゼントを取り出し、由比ヶ浜に渡す

「ヒッキーがプレゼント用意してくれてるとは思わなかったな…。その、こないだから微妙だったから…」

「別に誕生日だからってだけじゃないんだよ」

「え…?」


「これでチャラってことにしないか?俺がお前ん家の犬助けたことも、それでお前が俺に気を遣ってたことも、全部だ」

「ヒッキー…」

「大体、そもそもお前に気を遣われるいわれがないんだよ。入院費だってちゃんともらってるし謝罪だって…だから同情してくれなくても…」

「ヒッキー!」

突然由比ヶ浜が大きな声で遮る
俺はやや気まずくて目線を合わせないようにしていたのにその声で由比ヶ浜の方を向いてしまい、目が合った
その目はやや涙汲んでおり、悲しそうな顔をしていた

「気を遣うとか同情とか…私は、そんなこと一度も思ったことないよ」

「え…」

思ってたらとっくに声掛けてたもんな


「私は私がしたいからこうしてるんだよ。ヒッキーに気を遣ってるわけじゃないの。私は私のためにここにいるし、ヒッキーと一緒にいる。だって…ゆきのんがそう教えてくれたから」

『何故周りに合わせるの?…不愉快だからやめてくれないかしら』

雪ノ下がかつて言った言葉が頭に浮かぶ

「由比ヶ浜…」

「私たちの関係がおかしいものだと思うなら、やり直そうよ」

「え…」

「そうね。あなたたちならちゃんと始めることが出来るわ」

そういう雪ノ下はやや寂しげな顔持ちだ


「雪ノ下まで…」

「ヒッキー…これからはちゃんと向き合おう。お互いに」

そう言って右手を差し出してくる
やれやれ、こいつには敵わんな

「あぁ…そうだな…。またこれからもよろしく頼む、由比ヶ浜」

「えへへ。うん、よろしく!」

俺も右手を出し、しっかりと握手する
由比ヶ浜の顔はさっきまでとは打って変わり、とても明るいものだった
かく言う俺も今笑っていることは自覚している
さぞ気持ち悪い笑顔だろうな
全く、やっぱりこいつらと関わってると面倒なことばかりだ
まぁそんな碌でもないことが、人生においては重要なのかもしれんが…


「ねぇねぇ二人共、これ空けていい?」

「えぇ、どうぞ」

「それはもうお前の物だ。好きにしろ」

「やったー!えっとこれは…エプロン?わぁ、かわいい!」

由比ヶ浜が雪ノ下からもらったエプロンを見て屈託のない笑顔ではしゃいでいる
雪ノ下はそんな反応に慣れていないのかやや恥ずかしそうに頬を赤く染めている

「どう?似合う?」

「えぇ、とても良く似合っているわ」

「お、おう…悪くないんじゃないか?」

「えへへー」

制服にエプロンってなんか…
いいよな


「ヒッキーのは…わぁ、ちょっと待ってて」

由比ヶ浜が俺のプレゼントの中身を見るないなやそれを手にとって後ろを向いた
ちょっと待て
まさかこいつ…

「えへへ…どう?に、似合うかな?」

やっぱりやっちまいやがった

「由比ヶ浜さん…あの、それは…」

「ん?」

「由比ヶ浜…それ、犬用の首輪だぞ」

「っ!?」

途端に由比ヶ浜の顔が恥ずかしさで真っ赤になっていく
にしてもこいつ、犬用の首輪なのになんでこんな似合ってるんだよ


「さ、先に言ってよバカ!」

そういって包み紙を俺に投げつけてきた
え、これ俺のせい?

「ふふっ、私は平塚先生に人員補充完了の報告をしてくるからケーキは少し待っていてくれるかしら?」

「わ、分かった!」

「おう」

その後は戻ってきた雪ノ下がケーキを取分けるための包丁を忘れたとかで、結局三人でフォークで突いて食べることになった
こいつにもこんなドジすることあるんだな


「二人とも、今日はありがと!」

「えぇ、どういたしまして」

「おう」

こうして俺たち奉仕部の日常が戻った
由比ヶ浜とも無事和解し(和解と言っていいのかは分からんが)、再スタートという形だ
ただ、雪ノ下が寂しそうな顔をしていたことだけがきにかかる


まるで俺たち二人とは相容れないとでも言うような表情の雪ノ下だけが…

今日はここまで

次回はいつになるかわかんないです


初対面の変な人を適当にやり過ごせない八幡
雪乃の姉だったからだろうか?

乙です

雪乃がボーダー入ろうとしていること八幡以外には誰にも言ってないのかな?
家族は当然として由比ヶ浜や平塚先生に伝えないといつ部活やるのかわからん状態になるが

乙です

こんにちわ
投下します

これから独自の設定としてボーダーの入隊式は4ヶ月毎の年3回ではなく、3ヶ月毎の年4回ということにします
よろしくです


それから季節は流れ、現在は7月中旬
夏休みが遂に始まった
そしてアレも始まる
そう、年に4回あるボーダーの入隊式だ

前回はトリガー無断使用の罰として補助をやらされたが今回は何もないので大丈夫
例によって今回も監督は嵐山隊らしいが、まぁ前回より以前は俺無しでも回ってたんだ
俺がいなくても問題ない



「と、考えてた時期が俺にもありましたよ、えぇ」

「なんで今回もいるんですか、比企谷先輩」

「俺が聞きたいわ…」


どうやら今回はいつもより入隊者がかなり多かったらしく、嵐山隊だけではカバーしきれないかもしれないとのことだ
なので嵐山隊を補助をしてくれる人を募集する
という通知が来ていたことは知っている
もちろん給料も出るのだが、そんな面倒なこと俺が進んでやるわけもなく、我関せずでスルーしていたのだが…
1週間前、夏休みに入る直前のことだ

『比企谷君』

『なんだ?』

『もうすぐボーダーの入隊式ね』

『あ?そういやもうそんな時期か』


『ゆきのん本当にボーダーに入るんだ』

『えぇ。比企谷君と同じ部活後に防衛任務を入れれば大丈夫よ』

『よく親が許したな。ボーダーに入りたいけど親が許さないから入隊出来ないって人はめちゃくちゃいるんだがな』

『母は珍しく肯定的だったわ。けどお父さんは否定的だったわね。だからまぁ押し切ることは出来たわ。お父さんは私を心配してくれていたのでしょうけれど、母はどうせ私が活躍してくれればイメージアップに繋がるとでも考えてたのではないかしら』

『ふーん…』

『な、なんだか複雑だね…』

『私は入隊出来れば良かったのだから問題ないわ』


『それで?なんでわざわざ入隊式の話題出したんだ?』

『今回は監督役の人員が不足しているそうね』

『…なんでお前が知ってる』

『この前米屋君と出水君と廊下で偶然会って少し雑談した時に教えてくれたわ』

『何やってんだあいつら…。いや別に機密事項とかじゃないからいいんだろうけどさ…』

『それで、あなたは立候補しないのかしら?』

『するわけねぇだろそんな面倒なこと。給料出たとしても嫌だわ』

『でも前回はやったのでしょう?』

『なんで知って…それもあいつらか…』

『なら今回もやればいいじゃない』

『前回は罰としてやらされてただけだ。自主的じゃない』


『罰?』

『…テニスの件だよ』

『あ…ヒッキー最後めちゃくちゃ強かったけど、まさかあの時…』

『誰にも言うなよ』

『何をしているのあなた…』ハァ

『とにかく、自主的に仕事するなんてごめんだ』

『いいじゃない、1回も2回も同じでしょう』

『同じじゃねぇよ…。なんでお前そんなに俺にやらせたがる…?』

『専業主夫が夢だなんて言う駄目人間が少しでもまともな人間になるために必要なことだと思ったからよ』

『…』ジー

『…っ』フイッ

『あ、ゆきのん目逸らした…』


『お前…まさか一人で不安なのか?』

『何を言っているのかしらこのウジ虫君は。私が不安になる?そんなこと常識的に考えてあるわけないでしょう。大体私はいつだって一人で様々なことをしてきているのよ。今更一人だからって不安になるわけがないじゃない。こんなこと少し考えればわかることなのにそんなことも分からないのね。呆れるわ。そんなことだからあなたはいつまでたっても駄目谷君なのよ』

『…』

『ゆきのん…』

『はぁ…はぁ…』

『お前…照れ隠ししたい時にそうやってまくし立てる癖治した方がいいぜ』

『てっ…!?』

『はぁ…分かった分かった。しょうがねぇなぁ…』

『ちょっと、誰が照れ隠ししてるというの?』


『ヒッキー、ゆきのんのことお願いね』

『へいへい…』

『ちょっと?聞いているの比企谷君?』

『んじゃ忍田さんに連絡しますかね』

『く、屈辱だわ…!』


というわけだ
俺もずいぶん甘くなったもんだ
忍田さんからは、比企谷が自ら…!?なんていわれる始末だし…

「まぁでも比企谷先輩なら前回もいましたし、勝手が分かっている分私たちも助かります」

「おう、そこは任せろ」

「今挨拶が終わったとこですね。私は先に訓練室に行っているので、これで」

「あぁ」

そう言って木虎は足早に訓練室へと歩いていった


今回も後ろの方から全体を見回してみる
なるほど、確かに多い
前回の1.5倍ほどはいるだろうか?

こうした波はよくあることらしい
極端に少ない時もあれば、逆に多い時もある
多い時は大抵どっかの学校の集団がまとめて応募してきた時とかだとか言ってた
こういう集団はリーダー格がやるって言ったら周りまでついて来やがるからな
そんな軽い気持ちでよく親も許すもんだ

ちなみに雪ノ下は早い段階で見つけた
遠くからでも分かるほどダントツの容姿してるからな
周りの男子どももチラチラと雪ノ下のことを見ている
やめとけ、迂闊に近づくと火傷どころか焼死体になるぞ

雪ノ下は最初不安気な様子だったが、俺を見つけるやいなや安堵とした表情になる
ちょっと照れるからそういうのやめろよ


「それじゃあ最初の訓練に移ろうと思う。ついてきてくれ」

嵐山さんの掛け声でぞろぞろと移動が始まる
スナイパー組は佐鳥、東さん、古寺が監督らしい
東さんがいるなら大丈夫だ

「比企谷君」

「ん」

雪ノ下が声をかけてきた

「本当に来てくれ…んんっ…なんであなたがここにいるのかしら?」

流石に今のは無理があると思うぞ

「まぁ…由比ヶ浜に頼まれたからな」

「そう。あなた彼女には甘いのね」

「そりゃお前もだろ」

「…否定はしないわ」

そんな会話をしながら訓練室へと続く廊下を歩く


「そういや今からやるのは職場体験の時にやったやつだ。1回やってるからもう慣れただろ?」

「そうね、あの程度なら問題ないわ」

「10秒きれるように頑張れよ」

「あなたの記録も抜いてあげるわよ」

いやぁ
それは流石に無理だな

「さぁ着いたぞ。まずここで行うのは…」

訓練室に着き、嵐山さんの説明が始まったので俺は雪ノ下と分かれる
給料をもらう仕事なのだ
やるべきことはちゃんとしなくてはならない

「何か分からないことがあったら俺や充、そこにいる彼などに聞いてくれ。それじゃあ始め!」

入隊生達が早速訓練を始める
例によってあの訓練だ


大半が終わった
現時点で最も速いタイムは53秒
まぁそこそこって程度だ
今回もあまり期待できるやつはいなさそうだ
一人を除いて…

『記録、8秒』

おぉ!と歓声が上がる
さすが雪ノ下だな
前回より遥かに記録がいいし、10秒もきっている
これならばB級上位やA級の面々からも注目されるだろう
勧誘されすぎて疲れなきゃいいけど…

「まぁ及第点ね」

訓練室から出てくるなり雪ノ下がそんなことを言うもんだから周りのモブ達は既に尊敬の眼差しを送るものまで現われ始めた
木虎もこんな感じだったとかなんとか
こいつら結構似てるかもな


「あの、すいません」

「ん、どうした?」

「これなんですけど…」

入隊生からトリガーの性能についての質問をされたのでそれに答える
これも仕事の一つだ

雪ノ下は特にやることもなくなったのかボケーっと他の人の訓練を見ている

「よし、終わったようだな!じゃあ…」

全員がそつなく訓練も終わり、次の訓練に移行する
今度は合同訓練だ
地形踏破や隠密行動、探知追跡などなど
こればっかりは経験や知識がものを言う
流石の雪ノ下も思うようにいかないようだ


「なかなか難しいのね」

「それでも地形踏破は1位じゃないか」

「体力がきれないから」

「あぁ、なるほど」

体力がきれないからこいつも自由に思いっきり動くことが出来る
コツを掴むのはダントツで早い雪ノ下だ
既にトリオン体での動きはほぼ把握したのだろう

「今が1082ポイント、4000まであと2918…このままでは先は長いわね」

「なんだ、仮入隊しなかったのか?」

「仮入隊?」

「事前に素質があるかどうかチェックするようなものだ。その結果によってはポイントが上乗せされてスタートするんだ。例えば木虎なんかは最初から3600ポイントだったぞ」

「知らなかったわ…」

「ちゃんとHPにも書いてあるはずだが…惜しいな。お前なら3000ポイントは確実だったろうに」

「今更嘆いていても仕方がないわ。ポイントが少ないのなら奪えばいいのよ」

「まぁな」

もはや強盗のセリフだ


「取り合えず3000くらいのやつらからいってみろ。んで余裕そうならもっと上狙っていけばいい。まぁ3000超えしてるやつ自体あんまりおらんけど」

「えぇ、行ってくるわ」

そう言ってブースに入っていった雪ノ下はそれはもう悪魔のようだった(他の訓練生談)
そこらじゅうから毟るand毟る
3880ポイントなんていうもうすぐB級のやつも倒してしまったのでポイントがめちゃくちゃ動く
10本勝負の結果、一気に3548ポイントまで落ち、涙目になっていた
ご愁傷様です
雪ノ下は既に2000ポイントを突破している
はやすぎぃ!

「比企谷…」

「ん?お、ハッチーじゃん」

「ん、三輪と米屋か」

「ハッチーが一人でここにいるなんて珍しいな。どした?」

「大体お前のせいだよ…」

「え?俺ハッチー呼んだっけ?」

「分からんならもういい…」

「?」


三輪と米屋が話しかけてきた
俺がここにいる原因は一重に雪ノ下に人員不足の情報を流した出水と米屋にある
こいつらがリークしていなければ俺は今ここにいないのだ

「ん?あれ雪ノ下さんか?本当に入隊したんだな!」

「雪ノ下?」

「秀次も知ってるだろ?J組の雪ノ下さんだよ」

「あぁ…常に学年1位のやつか」

「三輪、お前そういう覚え方してんのか…」

「たまたまだ」

「というか雪ノ下さん職場体験にいたじゃん。ハッチーと模擬戦もしてたし」

「興味なかったから見ていなかった」

「三輪らしいな…」

三輪もむやみに噛み付いてくることがなくなって、こうして普通に会話が出来るまである
いまだに迅さんや空閑には敵対心というか警戒してるらしいが


「というか雪ノ下さんすげぇな。さっきから1本も取られてねぇぞ」

「まぁあいつはスペックだけはアホみたいに高いからな。唯一の弱点の体力もトリオン体なら関係ないし」

「あの動きならB級上位にもそこそこ通用するだろうな。あと数ヶ月もすればA級レベルまで到達するだろう」

「お、珍しく秀次が高評価」

「客観的な評価をしたまでだ」

「まぁでもそんくらいだろうな。証拠にさっきから勝ちまくってるし」

もはや相手がかわいそうになってきた
結局雪ノ下は1時間程毟りとってブースから出てきた
ポイントは既に2500ポイント近くまで到達している
空閑を彷彿とさせるな

そういえば空閑は既にB級に上がっている
入隊からわずか2週間で3000ポイントも獲得したのだ
まさにスピード出世
だが雨取はまだC級である
もう少しでB級に上がれそうだとか言っていた
まぁそんなわけで雨取がB級に上がってくるまで隊が組めないので三雲、空閑はランク戦には参加していない
個人戦はしているらしいが
空閑と緑川なんてしょっちゅう戦っているらしいし

すいません
中途半端ですがここまで

次回はまたいつになるかわかんないです

ではでは

乙です!
自分のペースで頑張ってください!

乙です

見た目が優れて能力の高いゆきのんは
嵐山隊みたいな広報部隊に配属されそう乙

弱点は極度の方向音痴でしょ。実戦で役に立つには条件厳しそう

>>730
単独行動させないだけで充分だろ。それに方向音痴って言っても某風の魔装機神みたいな事にはなるまい

オペレーターがいるから方向音痴の問題は大丈夫じゃね?

B級に上がったのは千佳が先のはずだが

大規模侵攻はまだか

まだかなー

こんにちは
1です

この1週間ごたごたしてて投下出来なくてすいませんw
明日投下しますのでお待ち下さい

大規模侵攻編は次にやる俺がいるパートが終わったら突入する予定です

こんばんわ
投下します

こんばんわ
拝読します


「ふぅ」

雪ノ下は一息ついて俺の隣に腰掛ける

「どうだった?」

「簡単ね。特に苦戦するような人はいなかったわ」

「そりゃ結構なこって。ほい」

「あら、これは?」

「みりゃわかんだろ。お茶だよ」

「そういうことを言っているのではないわ。何故私に、という意味よ」

「差し入れみたいなもんだ。素直に受け取れ」

「…そうね。有難く頂くわ」

雪ノ下はお茶を飲んでリラックスした様子だ
ちなみに三輪と米屋は現在個人ランク戦中だ
二人も戦うためにここに来たらしい
10本勝負で現在三輪が5-3で勝ち越している


「あら、今戦ってるの米屋君じゃない」

「あぁ」

「相手は?米屋君に勝ちこしているようだけれど」

「A級7位三輪隊隊長の三輪秀次。ちなみに米屋は三輪隊のアタッカーだ」

「へぇ、二人とも流石A級ね。動きが大違いだわ」

訓練生とA級で比べんな

「ちぇー、今日こそは勝ち越せそうだったんだけどなぁ」

「まだまだ動きが荒いぞ、陽介」

「これが俺の動きなんでぇい」

二人がブースからでてくる
結果は6-4で三輪の勝ち
三輪はボーダーでもトップ3に入るオールラウンダーだ
まだ米屋ではなかなか勝ちこせないだろう


「お、雪ノ下さん終わったんだ。うっす!」

「こんにちは、米屋君」

米屋と雪ノ下が挨拶を交わす

「それと三輪君、だったかしら?」

「雪ノ下雪乃だったか、よろしく。陽介が迷惑かけてないか?」

「よろしく。大丈夫よ。今のところはね」

「今のところなのかよ!今後も大丈夫だ…と思う」

米屋が突っ込みを入れる
だが俺は既に想像できている
学校の定期試験直前に雪ノ下や俺達に頭を下げている米屋の様がありありと
もはや恒例行事だからな


「何かあったら言ってくれ。出来るだけ力を貸そう」

「ありがとう。でも多分大丈夫だわ。いざとなったらこのミジンコを使うから」

「おい、それは俺のことか」

「あなた以外に誰がいるのかしら?」

「ちょっと強いからって調子乗ってねぇか?今すぐボコボコにしてやってもいいだぞ?」

「上等よ。むしろ願ってもないわ。あなたこそ今になって止めてくださいなんて言わないでよね」

「おーけーおーけー。ブース入れ」

そう言って俺達二人はブースへと入っていく

「…仲がいいんだな」

「だよなぁ。言い合ってる言葉は悪いけどな」

「そろそろミーティングの時間だ。行くぞ、陽介」

「あいよー」

三輪と米屋はそんなことを言いながら自隊の作戦室へと帰っていった


結局この勝負は当たり前だが俺の勝ち
10-0の圧勝だ
まだまだ負けん
ランク外対戦なのでポイントの上下は起きないが、雪ノ下は1本も取れなかったという理由で相当悔しそうだった
はっ、ざまぁみろ
元アタッカー3位舐めんな


またまた季節は流れ、現在は8月初旬
俺は現在自宅の自室にてごろごろしている
今日は防衛任務もミーティングもないので存分に休むことが出来る
こんな日はそうそうないぞ
あー、自由って素晴らし…

Prrrrr…



Prrrrr…Prrrrr…

なんだろう
ものすごく嫌な予感がする

Prr……

お、切れた


「お兄ちゃん電話ー」ガラッ

「…誰からだ?」

「なんか平塚先生?って人から」

ふぁっ!?

「いいから出てよ、ほら」

「お、おう…。も、もしもし」

『何故出なかった…?』

こわっ!?

「いや、あのですね、ちょうどトイレに行っていてですね…」

『そうか。妹さんはずっと部屋にいたと行っていたが…どっちが嘘をついているんだろうなぁ?』

「すいません、面倒だったんで着信無視してました、はい」


『はぁ…もういい。手短に用件だけ伝えよう。夏休み中も奉仕部の活動を行う』

「えっ」

『日時は来週の月曜日。千葉駅に来なさい』

「いや、防衛任務が…」

『その日から3日は入っていないだろう?』

「な、なぜ俺のシフトを…」

『なに、とあるツテから得た情報だ』

ツテ?

『そういうわけだ。必ず来い。拒否権はない』

「…問答無用っすね」

『あぁ、それと君の妹…小町君だったか?彼女にも来てもらっても構わない』

「は?小町を?奉仕部関係ないじゃ…」

『まぁ小町君以外にも君の知る面々が多くいるが…それは当日のお楽しみだな』

「は?…え?」

『それではな』プツリ

なんだったんだ?
てか来週の月曜日って3日後じゃん
今度は何をやるつもりだあの教師は


そしてその来週の月曜日…

「なんじゃこりゃ…」

思わずそんな普段とは違う口調が出た
それも無理はない
俺は今平塚先生が命令された通り千葉駅に来ている
格好は動きやすいものを、ということだったのでとても身軽な物だ
問題はそんなことではない
目の前に広がる光景が問題だ

「あ、ヒッキーだ。やっはろー」

「あら、ようやく来たのね。もう少しで遅刻よ比企谷君」

「おはよう、八幡」

「おーっすハッチー」

「秀次、顔が暗いぞ。どした?」

「なんで俺はこんなところにいるんだ…」

「いい加減諦めなさいよ三輪」

俺の目の前には由比ヶ浜、雪ノ下、天使(戸塚)、出水、米屋、三輪、小南の総勢7人もの人がいる


「なにが…どういう…?」

「はいはい、お兄ちゃん呆けてないで行くよー」

だが小町は事前に知っていたのだろう
何も触れずに彼らの元へと歩いていく

「やぁ、比企谷」

「平塚先生…これは一体…」

「前に電話で言っただろう?奉仕部の活動をするんだ」

「由比ヶ浜と雪ノ下…戸塚もまぁ分かるとして、他の4人は…?」

「まぁそれを説明するには事の始まりから話したほうが良いだろう。あれは夏休みに入る直前くらいのことだ…」


『失礼します』

『話ってなんすか?平塚先生』

『やぁ、呼び出してすまないな。出水、米屋』

『いえ、それは別に構わないですよ』

『それで話とは?』

『うむ、単刀直入に聞く。君たちボーダー隊員の防衛任務のシフトを確認することは出来ないか?』

『シフトをっすか?』

『うーん、多分無理だと思いますね。いろんな人のシフトとかも書かれてるんで』

『そうか…』

『見たいのはハッチーのっすか?』

『ハッチーの?』

『ん?まぁそうだが…』


『どこが空いてるのかとかなら口頭で教えることくらいなら出来ますよ。見せるのは無理ですけどね』

『そうか!では比企谷のこの月曜から3日間のシフトを知りたいのだが…』

『ちょっと待ってくださいね……ハッチーは…入ってないですね。全部空いてます』

『なるほど。ありがとう、助かったよ』

『いえいえ』

『その日にハッチーなんかあるんすか?』

『なに、奉仕部の活動の一環で小学生の林間学校、つまりはキャンプだな。これのサポートをするのだよ。だがヤツに事前に教えると逃げるとも限らんからな。こうして秘密裏に外堀を埋めていっているのだ』

『な、なるほど…』

『…それって奉仕部だけなんすか?』

『ん?いや、それでは人員が全然足りないので生徒から何人か募集するつもりだよ』


『それ俺も行けます?』

『米屋!?』

『それはもちろん構わないが…防衛任務はいいのか?』

『俺もその3日間は入ってないので大丈夫っす』

『えー、ずりぃぞ!俺は最初の日に入ってるからよぉ…』

『白チビに変わってもらえば?あいつ夏休み中ほぼ毎日暇してるって言ってたぜ』

『うーん…まぁ戦力的には太刀川さん一人でも大丈夫だからなぁ…。忍田さんとかに相談してみるわ』

『そうしてみ』

『では二人共参加するものだと考えておこう』

『それでお願いします』

『また分かり次第連絡しますんで』

『あぁ、頼む。ところであと2、3人はほしいのだが、誰かいないか?』

『うーん…そうなると防衛任務入ってないやつらが良いよなぁ…』

『秀次連れてくか?俺と同じ隊だからシフト同じで空いてるだろうし』

『あいつがこういうイベント来るか?』

『騙して連れて行こうぜ。適当に理由つけてよ』


『…俺は知らねーぞ』

『大丈夫だって』

『ふむ、ではその秀次という子もだな』

『あと一人は…』

『先生、他校のやつとかは駄目っすかね?』

『他の高校の友人か?別に構わないが…』

『誰誘うつもりだ?』

『小南とか空いてるかなーって』

『え、女子誘っていいんすか?』

『女子でも大丈夫だぞ。少なくとも2人は女子が参加する予定だしな』

『んじゃ聞いてみようぜ』

『そうするか』

『ふむ、ではまた随時連絡してくれ』

『了解です』

『んじゃ失礼しまーす』


「というわけだ」

つまりまた出水と米屋のせい、と
あいつらの方をジロッと向くと露骨に顔を背けやがった
あと出水、吹けないのに口笛はやめとけ


今日はここまで

次回は出来るだけ早く投下するつもりですがいつになるかわかんないです

ではでは

乙でした

乙です

乙です


平塚先生からボーダー側?に動いてる話は珍しい

平塚先生は冬島さんとゴールインすればいいんじゃないかな(適当)

こんにちわ
投下します


「てか3日間ってなんすか。俺ほぼ手ぶらっすよ」

「その点は心配ない。君の妹が実に優秀だったからな」

「えへへー」

「?」

「ここ最近下着やTシャツの数が少なかったと感じたことはなかったかね?」

「え?あっ…」

「そういうことだよ、お兄ちゃん」

「ほら、君の荷物だ」ポイッ

「小町…なんということを…」パシッ

「事前に平塚先生に送っといたんだー」

「実に出来る妹だ」

「…そりゃ兄として嬉しい限りです」

「さぁみんなそろそろ出発するぞ。乗り込めー」

もう諦めるしかないようだ
まぁいいか
たまにはキャンプとしゃれこもうじゃないか

まってたよ


「で、なんでこいつらまでいる…」

キャンプ場についた俺達を待っていたのは

「やぁヒキタニ君」

「ハヤ×ハチきたぁ!」

「姫菜擬態しろし」

「めっちゃ森!マジやべーっしょ!」

なんと葉山、ホモの人、縦ロール、っべーさんの4人だ
名前?
確か正しくは海老名さんに三浦、あとは戸部?だったか
まぁそれはどうでもいいや

平塚先生曰く

「彼らにも来てもらった。なに、コミュニケーション能力という点においては彼らは高いからな」

とのことだ
それは暗に俺のコミュ力が低いって言ってません?

「それと後ろの人達は…」

葉山が俺に続いて車から降りてきた面々を見ると出水達もそれにきづいたようで


「出水だ、よろしく。葉山隼人だろ?名前はよく聞くよ」

「俺は米屋陽介な。よろしくー」

「三輪秀次だ…」

「小南桐絵よ。学校は違うけどよろしくね」

「比企谷小町ですー。兄がお世話になってます!」


「へー!ヒキタニ君って妹いたんだ!マジよろしくなー!俺は戸部!」

「俺は出水君の言う通り葉山隼人って名前だ。よろしく」

「あー、君とかつけなくていいぞ。俺らタメだろ?堅苦しいのは無しでいこうや」

「そうそう」

「そうか…、じゃあ改めてよろしくな。出水、米屋、三輪、小南、小町ちゃん」

「あぁ…」

「はいはい、よろしくー」

その後も小町や戸塚、三浦達を交えて自己紹介的なものが続いた
最初出水と米屋は縦ロールに対してやや言葉少なく、といった感じだったが会話が進むに連れてそれも解消されていったようだ
あのテニスの件を出水と米屋は見ていたからな
俺としては仲良くやってくれた方が面倒じゃないので助かる


「おーい、ハッチー!ハッチーもこっち来いよ!」

「ん、あぁ。今行く」

少し思考に没頭しすぎたか
しかしここは気持ちが良いな
空気はひんやりとしていて風が心地良い
たまに避暑地としてこういうとこに来るのも悪くないかもしれん

「さぁ、諸君。きりきり働いてもらうぞ!」

こうしてまた面倒な仕事がスタートした



「はい、みんなが静かになるまでに3分かかりました」

でた
この叱り方も高校生になると懐かしいと感じる

今現在は小学生も到着し、先生が挨拶を行っているところだ
俺達は脇の方で待機していたのだが、先生が俺達の紹介をすると葉山が一歩前に出て挨拶をした
まぁ俺達の代表って感じだな

「お前は挨拶しなくていいのか?」

俺が小さい声で雪ノ下に言う


「わたし人前に立つのはあまり好きじゃないの。人の上に立つのは好きなのだけれど…」

「好き、というか自然に人の上に立ってるよなお前は」

「そんなに褒めないでくれないかしら。照れるわ」

「いや、皮肉のつもりだったんだが…」

「知ってるわよ。冗談に決まっているでしょう」

「さいですか…」

そんなこんなで挨拶もスムーズに終わり、次はオリエンテーリングだそうだ
小学生達は5、6人のグループになってきゃいきゃいと森の中へと進み始めた

「やっべーわー!マジ小学生若いわー!」

「ちょっと戸部。あーしらが年取ってるみたいじゃん」

「いやいや!そんなつもりで言ったんじゃないべ!」

「まーでも戸部の言うことも分かるわ。わたしにもあんなにはしゃいでた頃があったんだなーって思うと…」

「つい数年前は小町もあんなふうにはしゃいでたんだなー、とは思いますー」


「だべ?だべ?いやー、小町ちゃんに桐絵っちマジ分かるわー!」

「誰が桐絵っちよ!」

「うるさいぞ桐絵っち」

「声がでけぇぞ桐絵っち」

「真っ二つにするわよ弾バカに槍バカ」

「っべー…桐絵っちマジ怖いわぁ…」

「だろ?こいつすぐ暴力に訴えてくるんだよなー」

「ついたあだ名が女子高生(斧)」

「まじ?っべーわー…」

「あんたらそこに正座しろ」ゴゴゴゴゴ

「「「ウッス、スイマセンチョウシノリマシタ」」」

「米屋と出水、流石のコミュ力だな」

「陽介は基本誰とでもすぐ仲良くなるからな」

「お前も見習ったらどうだ?」

「その言葉、そっくりそのままお前に返す」

「あ、あはは…」

俺と三輪と戸塚は一歩引いてその光景を眺めていた


「戸部ともすぐ仲良くなったようだな」

「葉山…」

「…」

「三輪に比企谷もみんなと仲良くやろうぜ。そのほうが絶対楽しいしさ」

葉山がそんなことを言い出した

「あぁ、そのうちな」

「考えておく」

「そ、そうか…」

俺達の返答に葉山はやや引き気味だ
まぁこんな根暗が二人揃っていては流石にやりづらいのかもしれない
戸塚は終始苦笑いしていた

「しゅーごー!」

平塚先生の掛け声で俺達は平塚先生の前に集まり、黙って話を聞く体制に入る

「君達の最初の仕事はオリエンテーリングのゴール地点で弁当と飲み物を配膳することだ」

「配膳ですか。了解です。ここに来た時の車に乗ればいいですか?」

葉山が問う


「車?そんなもの使えるわけがないだろう」

「え…」

「きりきり歩きたまえ。それと当然だが小学生よりも早く着きたまえよ。配膳するのに遅れたら大変だ」


確か小学生の初陣は結構前に出発したよな?

やべぇ!

みんな同じことを思ったのか焦り顔ですぐ出発の準備を始める

出発した俺達は流石に小学生とは体力も歩幅も違うのでガンガン追い抜いていく
途中葉山や三浦などが小学生に声をかける
三浦なんて明らかに葉山に対するポイント稼ぎのアピールだ
葉山もそれに気付いているようで、三浦が葉山の方をちらちらと見るたびに苦笑いしている

てか米屋と小南
小学生と一緒に走って上るのはやめろ
出水も出水で後ろで笑いながら発破をかけるな
戸塚と小町も笑顔でそれに着いていく
楽しそうだけど小学生がめっちゃ肩で息してるぞ
これ頂上に着く頃にはバッテバテになってるだろうな


だが途中、気になる案件があった
葉山がとある小学生の一団を少し手伝っている時だ

「比企谷…」

「三輪も気付いたか」

「あぁ」

「あら、あなた達も?」

「雪ノ下もか」

葉山が手伝っている女の子5人組
その中の一人が明らかにハブられている
4人は葉山ときゃいきゃいお話しながら歩いているのに対し、残りの1人はそこから数歩離れたところで首にかけているカメラを持ちながらとぼとぼと歩いていたのだ
さらに前方を歩く4人はその後ろの子を見てお互いにだけ伝わるようなクスクス笑いをしている

小学生でもこういうことをやるのか、と思う人もいるだろうが、実は小学生の方がこういうのはよく行っている
いや、それだと語弊があるな
正しくは小学生の方が分かりやすいからよく見かける、だな

中学、高校になると露骨にやる人がどんどん減っていく
年齢が上がっていくごとにすることが陰湿で他者からは分かりづらいものになるのだ
つまり関係のない人から見ると、そんなイジメはないように見えてしまう
その分小学生は中高校生ほどは悪知恵がないので、いくらか分かりやすいのだ
だからいじめの件数自体は実は小中高と大して変わらないのかもしれない


「どこにでもあるよな、ああいうの」

「俺はああいったことは特に受けたことがないが、見かけることはよくあったな」

「はぁ…」

雪ノ下はため息をつく

「チェックポイント見つかった?」

葉山が声をかけた

「…いいえ」

「そっか。じゃあみんなでさがそう!名前は?」

「…鶴見留美」

「俺は葉山隼人、よろしくね。あっちの方とか隠れてそうじゃないか?」

葉山がボッチの少女、鶴見とか言ったか、彼女の背中を押す
ここらへんは流石と言うしかない
だが…

「まずいな」

「あぁ」

「あれでは悪手ね」

俺達三人は気付いていた
そして俺達の思っていた通りのことが起こる
いや、既に起こっている


葉山が鶴見に話しかけている間、葉山の後ろでは残された4人が鶴見のことを睨んでいる
葉山がやったことは最悪という他ない
もし鶴見が葉山の申し出を断っていたとしても生意気なやつだと思われ、受け入れても嫉妬の対象としてうらまれる
つまりどうあがいても悪い方向にしかいかないのだ
葉山は現状話しかけるのではなく、あくまで少し気にかける程度で抑えるべきだったのだ

「あいつは善意であれをやっているのか?」

「少なくとも良かれと思ってやってるんだろうな」

「ああいった無責任な善意は時として毒となる。彼は気付いていないのでしょうね」

「葉山はみんな仲良く、とか言ってたしな」

「理想論だ。反吐が出る」

「同感ね。教室というわずか数十人の集団ですらそんなことも叶わないのに、本当夢物語だわ」

かつて人を救うだなんて言ってたやつが言うセリフとは思えないな
と、心の中でのみ呟く

「とにかく、あれは俺達が簡単に口を挟んで言い案件じゃないだろう」

「そうね」

「先を急ごう。既に陽介や小南はかなり先まで行ったようだ」


頂上に着くと既に由比ヶ浜、戸部、海老名さん、出水、米屋、小南、戸塚、小町が準備に取り掛かっていた

「あら、やっと来たのねアンタたち」

「おっせーぞハッチー!秀次!」

「あ、ゆきのん!こっちだよー!」

俺達が到着したすぐ後に葉山と三浦も到着したので、これで全員が小学生より早く着けたようだ
その後は特に問題もなく準備は完了した
するとそのすぐ後くらいに小学生の第一陣が到着したのでなかなかギリギリだったようだ

それから時間は流れ、現在は夕方
俺達は休憩を挟んで現在はキャンプ場の下にある調理場に来ている
作る予定のものは当然、キャンプといったらカレーである


「ヒッキー無駄にうまい…きもい」

「家でも進んでやってくれると嬉しいんですけどねぇ」

「きもいってなんだ。専業主夫希望なめんな。あと小町、それは素直にすまん」

「でも意外ね。男子にしては本当上手だわ」

「伊達にレイジさんに料理を習ってるだけはあるってことね」

「お前はカレーしか作れんもんな。その点今日はカレーで良かったじゃねぇか」

「へー、桐絵ちゃんカレー作れるの?」

「えぇ。カレーなら私に任せなさい!」

「カレーだけかよ…」

「うっさいわね弾バカ」

「みんな仲いいね~。特にイズ×ハチとかもう…ぐ腐腐腐腐」

「え…」

「落ち着け出水、動揺したら負けだと思え」

俺、小町、由比ヶ浜、雪ノ下、小南、出水、海老名さんの7人は野菜や肉のカットなどの主に仕込み担当だ
葉山、戸部、戸塚、米屋は火起こしとその番をしたいと言ったのでそちらに
三浦は葉山に金魚の糞のように着いていき、三輪も米屋の面倒を見るとかでそちらの方へ向かった
三輪も苦労してるんだな


「米研ぎ終わったよー」

「では火の方へ持っていってくれるかしら。飯ごうで炊くにはやや時間がかかるから先にやっておかないと」

「おっけー。じゃあ持ってくねー」

「結衣だけじゃ持ちきれないでしょ。わたしもいくね」

「うん、ありがとう」

「気をつけてね」

由比ヶ浜と海老名さんがお米を持っていく
由比ヶ浜には包丁を持たせるなという俺と雪ノ下の暗黙の了解があり、由比ヶ浜でも米研ぎくらいは出来るだろということで海老名さん監修の下でやらせたのだ
とても自然な流れでその方へもっていけたので雪ノ下と俺は見えないところで小さくガッツポーズをした

「桐絵さん切るのはやーい」

「お、ほんとだ。包丁の扱いが上手い…なんかイメージ通りだな」

「それどういう意味よ。切るわよ」

「なんか斬るの文字違わねぇ!?微妙にそっちの方が怖いんだけど!?」

「気のせいよ」


「ほら、あと少しなんだから早くやってしまいましょう」

「そうだな」

「アンタ、雪ノ下さんの言うことなら素直に聞くんだ…」ジト

「あ?別にそんなこと…」

「まぁ当然ね。それは私の下僕なのだし」

「え!?そうなの!?」

「今俺のことそれって言ったか。あと雪ノ下、変な嘘はやめろ。小南は極度の信じやすさで有名なんだよ」

「あら、嘘を言ったつもりはないのだけれど?」

「…?…??」

「ほら見ろ、小南が混乱してる。おい、俺は別にこいつの下僕なんかじゃない」

「…??」

「駄目だこりゃ…」

結局手が止まった小南の分は小町が切り、全てのカットが完了した

「おーっす、そっちはどうだー?」

出水の声で米屋達がこっちに振り向く

「おー、いい感じだぜ」

「ほらこれ。食材よ」

「サンキュー桐絵っち!」

「だから桐絵っちはやめろっての!」

カレーは別に対して作るのは難しくない
だがそこはカレー奉行の小南
終始仕切っていたのは言うまでもない


「やっぱりこういうところで食べるご飯は美味いな」

「マジ木に囲まれて食べるカレーとか最高っしょ!」

「んー、おいしい」

「ほら結衣、顔にちょっと着いてる」

「あはは、優美子お母さんみたいだね」

「ちょっ!?」



「俺おかわりしてこよーっと」

「あ、俺も行く」

「じゃあ僕も行こうかな」

米屋と出水、戸塚がおかわりしに席を立つ

「戸塚ってあんまり食べるイメージないけど結構食べるんだな」

「うん!僕運動部だしね」

「あー、そういやテニスやってたっけ」

「あれ、知ってるの?」

「前ハッチーと練習してただろ?そん時見たんだよ」

「そうそう、三浦と試合してた時」

「あー、なるほど!」


「お兄ちゃんはおかわり行かないの?」

「んー、多分行く」

「雪乃さんと三輪さんは?」

「私はもう結構だわ」

「俺ももういい」

「じゃあお兄ちゃん、私の分もお願い」

「えー…いいよ」

「さすが!」

俺達は食事を終え、食休みの後、小学生のカレー作りのサポートに入った
火のグループと食材を扱うグループに分け、それぞれで小学生を手伝うようだ

取り合えずここまで

続きは今日の夜にでも投下します

ではでは

乙です

流石に米屋と出水も戸塚が男性だって気付いたよな?


戸惑う桐絵っちかわいい


そうだ!ルミルミの件は小南に任せてみよう

こんばんわ
続き投下します


調理も終え、小学生みんなが食べているとき、俺、雪ノ下、三輪はやや離れた位置で涼んでいた
すると鶴見がこちらにやってくるのが見えた

「ほんと、バカばっか」

俺達の近くで腰を下ろした鶴見はそんなことをボソッと文句たれる

「まぁ世の中は大概そうだ。早めに気付けてよかったな」

「あなたもその大概でしょう」

「お前が言えたことじゃない」

ふぅ~
雪ノ下だけじゃなく三輪も俺いじめに参戦っ!

「名前」

「あ?」

鶴見が俺達の方を見てそう言った
動詞は?

「名前聞いてんの。普通今ので伝わるでしょ」

「人に名前を聞く時はまず自分から名乗るものよ」

雪ノ下の鋭い視線に鶴見もややたじろぐ


「…鶴見留美」

まぁ名前知ってるんですけどね

「私は雪ノ下雪乃よ」

「三輪秀次だ」

「そこのは…ヒキ…ヒキガ…」

「言わせねーよ?比企谷八幡だ」

「八幡…ね。なんかこっちの3人は向こうの人達と違う感じがする」

「そりゃそうだろうな。ここにいるのは根暗ばかりだ」

「私を根暗扱いしないでくれるかしら?」

「…」

「三輪君も否定しなさいよ」

「いや、否定出来ないからな」

「はぁ…」

雪ノ下はこめかみに手を置いてやれやれと言うように首を左右にふっている

「みんなガキばっか…」

「なにがあったのかしら?」

その後は鶴見が自分の事情を話してくれた
なるほどな
この歳でなかなかキツイ境遇だ


「中学でも…変わらないのかなぁ…」

最後の最後に鶴見は今にも泣きそうな声でそう言い残し、去っていった

カレー作りとその片付けはそつなく完了した
特に誰かが怪我をしたということもなく、無事終わったと言っていいだろう

そして現在、時刻は夜の10時近く
俺達は夕飯でカレーを食べた席に全員着いていた
こんな時間に何をしているのかというと、昼間孤立してした少女、鶴見留美の対処についてた
雪ノ下が平塚先生に彼女のことを話すと、俺たちで解決せよとのことだ
どうやらこれも奉仕部の活動らしい
まぁキャンプのサポートよりかはこっちの方が幾分か本来の活動に近いだろう
だが問題は…

「そもそも鶴見はSOSをだしていたのか?」

全員が全員どう現状を打破するか、彼女にも問題があるのではないか、などと議論している中で俺がそうきりだす

「どういうことだ?」

葉山が怪訝な様子で問う


「簡単なことだ。SOSを出していないのならば俺達が勝手に動いてもマイナスにしか動かん」

「俺も同意する」

三輪も俺と同意見のようだ

「でもSOSを出したくても出せないってこともあるじゃん?」

「だからまずはそれを確認することから始めよう、と暗に言っているのかしら?」

「雪ノ下さすが、小南だめ」

「駄目って!?」


「けどみんなと仲良く出来ればそれに越したことはないんじゃないか?」

葉山が反論する
それに三浦もうなずいている

「…葉山、お前昼間に鶴見に声をかけたよな?」

「あ、あぁ。それがどうした?」

「それがどういう結果になったか知ってるか?」

「え…?」

葉山は困惑した様子だ


「お前が声をかけたことで他の4人から嫉妬、妬みの視線が鶴見に注がれたんだよ。お前の見えてないところでな」

「な…!?」

「やはり気付いていなかったのか」

三輪も呆れた様子だ

「つまりはそういうことだ。良かれと思ってやったことが裏目に出ることもよくある。人間関係ってのはそれほど難しいんだ」

「理解したのならもう無責任な真似はするな。逆に被害が出る可能性がある」

「…っ」

葉山は歯噛みしている
三浦もこれには反論出来ないようで下を向いて黙っている
取り合えず葉山にまた勝手なことをされてこれ以上悪化してはたまらんからな
その点はこれで大丈夫だろう

「けれど…」

「雪ノ下?」

「けれど、助けを求められたのならば、私は全力でことに向かうわ」

「…そうだな」

俺と三輪、それに雪ノ下は知っている
彼女、鶴見が今にも泣きそうだったことを
確証はないが、それでも、やはり彼女は本音では現状を嘆いているのだろう


結局この日はこれ以上進展はなかった
俺達は風呂、歯磨きを済ませ疲れもあったのですぐ眠りについてしまった

翌日、米屋と出水にたたき起こされた俺は朝から不機嫌オーラ全開で朝食の席に向かったのだが、そこで戸塚が笑顔で手を振ってくれ、俺は不機嫌から上機嫌へと完全にシフトした
さぁ今日も仕事しますかね!


「今日の仕事はキャンプファイヤーの型作りと肝試しの驚かし役だ。時間に余裕はあるので途中で遊んでくるといい」

「いやったぜー!」

「アンタ達!川行くわよ、川!」

「ったりめーだろ!何のために水着持ってきたと思ってんだ!」

出水、小南、米屋のテンションがおかしなことになってるが、まずは仕事だ

だが男手がこんなにあればただ木を組む作業などすぐに終わる
なので終わり次第すぐにみんな川へと突撃していった
元気やなぁ…


「比企谷も行くのか?」

「あー、まぁ一応。けど水着が荷物に入ってなかったから見てるだけな」

「それならば俺も行こう。比企谷も川に入るのならば一人で散歩でもするつもりだったが」

「…それもアリだな」

「お兄ちゃーん!早くいくよー!」

「…まぁ小町に誘われたら断れねぇよな」

「シスコン…」

「お前には言われたくねーよ。お前にだけは」

俺達が川に着くと既に全員が水着になって遊んでいた
てか何故か平塚先生もいる
こうして改めて見るとあの人スタイルは抜群なんだけどなー…

しばらく木の陰で寝転びながら彼ら彼女らを見る
…あれだな
美男美女がこうも勢ぞろいだと、なんというかまぶしいな

隣にいた三輪は眠くなったのかうつらうつらと船を漕いでいた
俺もちょっと眠たいな…
そんなことを思っているとすぐ後ろの茂みから鶴見が現れた
小学生達は今日一日自由行動が許されている
だが一人でいるものなど、こいつだけだろう


「よう」

「ん…」

え、今のそれ挨拶?

「ねぇ、八幡はさ、小学生の頃の友達とかいる?」

「あ?いるわけねぇだろ」

即答である

「そ、そうなんだ…」

「何をしているのかしらロリ谷君」

雪ノ下が鶴見の姿を見てこちらにやってきた
そして三輪も目を覚ましたようだ

「寝てしまっていたか…」

「おう。そりゃもうグッスリと」

「それで、鶴見さんは何が言いたかったのかしら?」

「…高校生くらいになれば変わるかな?」

「どうだろうな。少なくとも知り合いが圧倒的に減るから最初の偏見は少ないだろうな」

「…」


「しかし、お前が変わらなければ結局は同じことだ」

「え…」

「そうね。周りが変わってくれるかもしれないけれど、あなたがそのままでは同じことになる可能性が高いわね」

「鶴見。お前は今が辛いか?」

「辛いって言うか…惨めっていうか…」

「惨めなのは嫌か」

「…うん」

鶴見は泣きそうになりはするが、力強くうなづいた

「肝試し、楽しいといいな」

俺はそう告げて立ち上がる
やることは決まったな


「おい、本当にいいのか?」

「あぁ」

「まぁ俺は何もしてこれなかったからさぁ。これくらいは…」

「ふんっ…」

「俺も大丈夫だぜ。少しは力にならせてくれよハッチー」

「こういうのもちょっと面白そうだよな。やられる側はたまったもんじゃないだろうけど」

「わかった…じゃあ任せるぞ」

「おう」

今現在行っていることは肝試しだ
小学生が決められたルートをたどり、道中俺達がお化けなどに仮装して驚かす、といった具合だ
そしてこの肝試しを利用して鶴見留美を取り巻く環境を、めちゃくちゃにする
5人全員の仲が悪くなれば鶴見が惨めな思いもせずに済む
問題の解決にはならないが、解消にはなるだろう

そして今、最後である鶴見のグループが出発したようだ
スタート地点での案内役の小町から今行ったとのメールが入る


『今通過した』

『今通って行ったわ』

三輪と雪ノ下からのメールでもうまもなく鶴見達のグループが来ることが分かった

『もう来るぞ。頼んだ』

出水にそうメールを送る
他俺を含めた全員は本来驚かし役だったが、この鶴見のグループの時だけは違う
由比ヶ浜、戸塚、小南は少し離れたところで待機してもらっている

「あ、お兄さん達だ」

来たようだ
葉山達は昼間と変わらない格好で肝試しのルートのど真ん中に立っているだけなので驚かすも何もない

「普通の服だし隠れてもないじゃん」

「ださー!もっとやる気だしてよー!」

「この肝試し全然怖くないしさー」

「高校生なのに頭わるーい」

4人はけらけらと笑っている
が…


「は?」

「なにタメ口聞いてんだお前ら」


「え…」


米屋と出水の冷え切った声で小学生達は一瞬で顔がこわばる
あいつらノリノリかよ

「ちょっと調子乗ってねぇかお前ら?」

「つーか今なんかあーしらのことバカにしたやついたよね?誰?」

小学生達はお互いの顔を見合わせる
答えることなんて出来ないだろう

「誰が言ったのかって聞いてんのー」

「早く出て来いよ」

三浦と戸部もガンガンせめていく
小学生達は今にも泣き出しそうだ

「ご、ごめんなさい…」

「は?あーし謝れって言った?誰がバカにしたのかって聞いてんだけど?」

「舐めてんのか?おい?葉山さーん、こいつらやっちゃっていいっすか?」


小学生達が一斉に葉山の方を見る
一番優しかっただけに期待しているのだろう
優しくしてくれるのではないか、と
だが現実は甘くない

「そうだな…こうしよう。半分は見逃してやろう。残りの半分は残れ。誰が残るかは自分達で決めろ」

その一声で小学生達の顔は絶望に染まり、さらにはお互いにあんたが残れ、いやあんたが残りなさいよ、の応酬となった

「鶴見…あんた、残りなさいよ」

「そう…そうよ…!」

「…」

鶴見は予想していたのか大して動揺していない

「一人は決まったか。じゃああと二人だな。さぁ、早く決めろ。後30秒だけ待つ」

葉山がせかす


「由香がさっきあんなこと言わなければ…」

「そうだよ…」

「由香残りなよ…」

「違う!仁美が最初に…!」

「あたしは何も言ってない!森ちゃんが…!」

「はぁ!?あたし何もいってないじゃん!」

まさに阿鼻叫喚である
一人が泣き出した

「そろそろ時間だな」

俺と三輪と雪ノ下は茂みに隠れて様子を伺っていたが、これだけやればもう十分だろう
あとは実はドッキリでした~、なんて出て行けば解決する
だが俺が出ていこうとする直前…

強烈なフラッシュがあたりをつつんだ


「由香がさっきあんなこと言わなければ…」

「そうだよ…」

「由香残りなよ…」

「違う!仁美が最初に…!」

「あたしは何も言ってない!森ちゃんが…!」

「はぁ!?あたし何もいってないじゃん!」

まさに阿鼻叫喚である
一人が泣き出した

「そろそろ時間だな」

俺と三輪と雪ノ下は茂みに隠れて様子を伺っていたが、これだけやればもう十分だろう
あとは実はドッキリでした~、なんて出て行けば解決する
だが俺が出ていこうとする直前…

強烈なフラッシュがあたりをつつんだ


「なっ!?」

「走れる?こっち」

かろうじて見えたのは鶴見が由香とか言う子の手を掴んで走りだしたところだ
あいつ、助けたのか?




ガサッ



「え…?」

だが、逃げようとする小学生の横の方から突然そんな音が聞こえた

ガサ…ガサ…

しかも音はどんどん近づいてきている

「なんだ?向こうの茂みって誰か隠れてたか?」

「いえ…そんなはずは…」


ガサッ…ガササッ…

「な…なに…?」

小学生達はその音に恐怖し、後ずさりで葉山達のところまで戻ってきてしまっていた
だが小学生達も今はそんなことはどうでもいいようだ

「出水」

「あぁ、分かってる」

米屋と出水はその一言だけで意思を疎通し、両者ともポケットに手を入れる

「三輪、念のため準備しろ」

「あぁ、分かってる」

「…?あなたたち…一体何を…」

万が一の場合に備え、ポケットに手を入れる

ガサササッ!

「グルルルルル…」

「ひっ!?」


「熊っ!?」

「戸部、優美子!小学生達を!」

「ま、まじかよ…」

「あ…あぁ…」ヘタッ

「優美子!しっかりしろ!」

「あ、足が…助け…!」

「ガァァ!」

熊は怯えて動けない三浦にターゲットを絞って走り始めた

「ひっ…!!」

「シールド」

ガン!

「ガッ!?」

熊が突然壁にぶつかったように跳ね返される



「「「トリガーオン」」」


ズアァァァァ!

俺に続いて三輪、米屋、出水も換装する
小学生や三浦を背にして熊の前に俺、三輪、米屋、出水がトリオン体で立ちふさがった

「ひ、比企谷…!」

「葉山、戸部、小学生を避難させろ。雪ノ下は換装して三浦を担かついで退避。出水と米屋はそのカバーだ。こいつは俺と三輪で気絶させる」

「「「了解」」」

「あ、あぁ、分かった!」

「マジやべーっしょ!洒落になんねぇ!」

「トリガーオン!三浦さん、つかまって」

「う、うん…グスッ」

「いけ!」

「ガァアァァァアァ!!!」

熊が叫ぶ
みすみす餌を逃がすまいとこちらに突撃してくる
だが


「「シールド」」

ガンッ!

「グガッ…!!」

熊のすぐ目の前に再び俺と三輪がシールドを展開する
ミサイルでさえ簡単に防ぐシールドだ
熊の突撃程度ではビクともしない

「こんな人里にまで降りてくる始末だ…お前も相当飢えているんだろうが…悪いが森に帰ってもらうぞ」

「グ…ガァアア!!」

「エスクード」キンッ

ドガンッ!

「ゴ…ガ…!」

熊の真下から猛烈な勢いで伸びてきたエスクードが熊の顎を直撃した
そして熊はその場で倒れた
上手く気絶させることができたようだ


「比企谷!何があった!」

すると後ろの方から平塚先生が大声を出してこちらに走ってくるのが見えた

「熊が出ました。今は気絶させていますがいつ起きるのか分かりません。至急猟友会などに連絡して麻酔弾やゲージを用意させてください」

「あ、あぁ!わかった!」

「俺達はここでこいつを見張っています」

三輪の迅速な指示で平塚先生は急いで携帯電話を取り出し、連絡する
その間に出水と米屋が戻ってきた

「無事送れたか」

「あぁ」

「小学生は全員広場にまとめさせて、その周囲は小南と雪ノ下さんに見張らせてる」

「よし、プロが来るまではこいつがいつ起きても対処できるように監視だ」

「あいよ」

「りょーかい」

「比企谷、20分もすればこちらに到着するようだ」

「分かりました」


その後は熊も目を覚ますことなく、猟友会の人達によって麻酔を打たれた後、ゲージに入れられて運ばれていった
なんとか一件落着なようだ
正直言うと、マジで焦った
なんとか平静を保ってたけど、内心心臓ばっくばくだっつうの


その後のキャンプファイヤーは俺達が周囲を見張ることによって行われることになった
小学生達には熊が出たことは伝えていない
キャンプファイヤーも変に中断すれば怪しまれてしまうからな
後日親御さん達、そして子供達にも伝えるようだ

鶴見のグループは見るからに気まずそうだ
誰一人として喋っていない
熊の恐怖もあるだろうが、ほとんどはその前の擦り付け合いが原因だろう
問題は解消してやった
あとは自分でなんとかしろよ、鶴見

「君達がいてくれて助かったよ」ザッ

「平塚先生…」


「君達が何かやっていたことは知っているが、それがなかったら今頃小学生の子達は何人か…大怪我をしたり、最悪死んでいたかもしれん」

「たまたまですよ」

「それでもだ。感謝するよ」

「…どういたしまして」

「鶴見君の問題はどうなった?」

「あー…解決は出来なかったっすけど解消にはなったんじゃないっすかね?」

「ふむ…?なるほどな…」クルッ

平塚先生は鶴見達がいる方を見る
それだけで理解したようだ

「少なくとも孤立はしていないな。林立といったところか」

「まぁそんな感じですね」

「なんとも君らしいな」

「まぁそうっすね」

「さて、出水達にも労いと感謝の言葉を伝えてこなくてはな」

「お疲れ様です」

平塚先生は俺達全員に感謝の意を伝えるようだ
親御さん達から子供を預かっている身としては全員無事だったのが何よりなのだろう


「お疲れヒッキー」

「辛気臭い顔をしているわね」

「…これが俺の普通の顔だよ」

今度は由比ヶ浜と雪ノ下だ

「でも熊なんてびっくりだよねー」

「この辺りではなく、もっと向こうの山ではよく出るらしいのだけれど…」

「へー」

「よほどお腹が空いていたのでしょうね」

「だろうな。じゃなけりゃこんなとこまで降りてくるはずがない」

その後は少しばかりの沈黙が流れる

「でも今日は少し見直したわ。かっこよかったわよ比企谷君」ボソッ

「へっ!?」

「あ?今なんつった?」

「なんでもないわ。それじゃあ私はそろそろ行くから」

「ちょっとゆきのん!?いまの…!?」

「は?おい、なんだよ」

結局雪ノ下と由比ヶ浜はさっさと歩いて行ってしまい、話しは聞けなかった


キャンプファイヤーも終わり、片付けに入る
小学生達は今日は万が一のことを考えて全員宿舎に泊まることとなった

「いやー、マジあん時はびびったっしょ!」

「比企谷達がいて助かったよ」

「八幡大活躍だね!」

「そりゃどうも。戸塚もサンキューな」

俺達も片付けを済ませ、今は入浴に向かう途中だ

「けどハッチーの指示も的確だったな。さすがの落ち着きだぜ」

「いや実はあの時心臓やばかった」

「あ、そうなの?」

「…見ていた感じそうは思えなかったが」

「見てくれだけな。内心はめっちゃ心臓バクバクしてた」

そんな会話をしながら風呂に向かう途中、三浦と海老名さん、それと由比ヶ浜が風呂上りなようで逆にこちらに歩いてくる
すれ違う時に葉山と三浦達が何やら会話をしているが俺は関係ないのでそのままスルーして風呂場へ直行しようとする、が


「ヒ、ヒキオ!」

「…は?それ俺のことか?」

なんと三浦に話しかけられた

「あんた以外に誰がいるし!」

「あぁ、そうっすか…で?なんか用か?」

「あ、あの……その…」

「?」

「あり…う…」ボソボソ

「なんだよ、もっと大きな声でちゃんと喋れ。全く聞こえん」

「あ、ありがとうって言ってんの!」

「うおっ!?」キィーン

「ふんっ!」スタスタ

「あ、優美子待ってよー」

「あははは…あ、また明日ね!ヒッキー」

「お、おう……。なんだったんだ?」

出水と米屋と戸部はニヤニヤしており、葉山は意外だといった顔をしている
なんなんだよ…


翌日、俺達の仕事は昨日の時点で終了しているので後は帰るだけ
行きと同じメンバーで平塚先生の車に乗って学校の校門まで帰ってきた
葉山達は別の先生に自宅まで乗せてってもらったらしい
ちなみに道中はみんな爆睡
俺も気付いたら寝ていた

そしてその後は特に何もなく、普通に解散となった
さすがの出水や米屋、小南も疲れているらしく、大人しく帰ったのは助かった

さぁーて明日からゆっくり休むぞー




明日って昼から防衛任務じゃね?
うぼぁー


ここまで
次回は遂に大規模侵攻編です
このSSも取り合えずその章で終了となりますのでお付き合いいただけたら幸いです

次回はいつになるかはまだ分からないです

ではでは


熊の事、忘れないぜ


小学生をを襲った熊ちゃん

あ、ごめんなさい
798と799で連投しちゃってますね笑



熊鍋にはしなかったのか…

熊ちゃんになら襲われてもいいやろ

乙です

>>817
違う、そっちのくまじゃない

報道されて表彰されるレベル

こんばんわ
投下します


「比企谷君」

「…予想は出来てるが、一応言ってみろ。なんだ?」

「なんで誰も私と戦ってくれないのかしら?これではポイントを稼げないのだけれど」

「やっぱりそれか…」

今は8月の中旬、あのキャンプから1週間ほどが経過した
俺は現在ランク戦室に来ている
雪ノ下はB級に上がるためにランク戦をしまくっているのだが、今日は俺も緑川と戦う約束をしたのでここに来た
今は緑川との対戦も終え休憩しているところなのだ
そこで雪ノ下が話しかけてきたといった感じだ

「空閑も同じこと言ってたなぁ…」

「誰も彼もが私が申し込んでも拒否ばかり。やる気がないのかしら?」

「そりゃお前と戦っても負けてポイント奪われるのは目に見えてるからなぁ…」

「ねぇ、どうすればいいのかしら?」

「どうするもなにも、勝負してくれるやつが現れるまで待つしかねぇだろ。それか合同訓練で地道に稼ぐか」

「かったるいわね…」

女の子がそんな言葉使うんじゃありません


そういえばあの熊撃退事件で、俺達は学校の全校集会で表彰されることになったが俺は辞退した
そんな目立つもの無理ですってな
結局出水や三輪、米屋は表彰されていたが、俺の名前は出さないでくれという要望通り、俺に関しては全く触れずに終わった
ボーダーでは根付さんが大喜びしながら特別報酬を出すとかなんとかはしゃいでた
こっちは俺も遠慮なく頂いた
臨時収入が入ってウハウハだぜ

「ハッチー先輩、飲み物買ってきたよー」

「おー、サンキュー」

「あら?この子は?」

「緑川駿。A級4位草壁隊のアタッカーだ」

「ん?この人ハッチー先輩の知り合い?」

「あぁ」

「始めましてお姉さん。緑川駿です」ペコッ

「あら、礼儀正しいのね。雪ノ下雪乃よ、よろしくね」

緑川は空閑にボコられてから年上の人に対して礼儀正しくなった
良いことだ


「4位…。ということは米屋君より強いの?」

「いや、そういうわけでもない」

「よねやん先輩とはどっこいくらいかな。最近はちょっと負け気味だけど」

「なるほど…。隊の順位と隊員個人の強さは必ずしも直結するわけではない、ということね」

「まぁな。実際B級上位は個人総合2位の人や本来ならアタッカー3位の人とかいて、かなりの粒揃いだ。A級7位三輪隊の奈良坂もスナイパー2位だし」

「なるほど」

「雪ノ下先輩は今C級?」

「えぇ、そうよ。けど誰も戦ってくれないからなかなかポイントが伸ばせないのよ」

「遊真先輩と同じこと言ってる…」

「俺の所属してる玉狛支部に空閑遊真ってやつがいるんだけど、お前と同じように無双しまくってたら3500ポイントを超えたあたりからめっきり対戦してくれる人が少なくなったって言ってたな」

「私のように強い人はみな同じ境遇なのね…」

「この人今自分で強いって言ったよ…」

「こいつはこういうやつだ」

「まぁしょうがないから地道に行くしかないわね」

「そうだな」

「ところで緑川君は比企谷君と戦っていたの?」

「うん、そうだよ。まぁボロ負けしちゃったんだけどね」

「何対何だったの?」

「8-2」

「しかも2本のうち1本は運良く取れたって感じかな」

「相変わらず憎らしいほど強いのねあなたは…」

「褒めるな、照れる」


「ハッチー先輩全然照れてないじゃん」

「この男はこういう人よ」

「…なんか二人って似てるよね」

「「やめろ」」

「…ほら」

「うるせぇ。さて、俺はもう支部に帰る。雪ノ下、あとは頑張れよ」

「えぇ、言われなくとも」

「じゃあ俺も作戦室に帰ろーっと。ばいばい、ハッチー先輩、雪ノ下先輩」

「さようなら」

支部に帰ると時刻は既に昼過ぎの13時半
どうりでお腹が空いてるわけだ

「あー、腹減った」

「お、比企谷先輩」

「八幡か」

「あ、レイジさん、京介。うっす」

「お前も飯食べるか?今ちょうど俺と京介と宇佐美の分を作ってたところだ」

「マジっすか。じゃあお願いします」

「分かった。もう少し待ってろ」


「小南は?」

「今日は学校に用事があるとかで1時間前くらいに出て行きましたよ」

「ふーん。迅さんと宇佐美は?」

「迅は知らん。宇佐美は研究室にこもってイルガーの改造プログラムを作ってる」

「迅さんはどうせまた本部でしょうね。宇佐美のやつも相変わらずだな…」

「比企谷先輩はどこ行ってたんすか?」

「本部で緑川とバトってた。前の約束がうやむやになってたからな」

「雪ノ下先輩は?」

「あいつも苦労してたよ。空閑と同じで対戦相手が見つからなくてイライラしてた」

「それこの前も同じこと言ってませんでした?」

「だからあいつも苦労してるんだろうよ」

雪ノ下はこの玉狛支部によく出入りしている
レイジさんや京介、俺からも特訓させてもらえるからだ
レイジさんも京介も雪ノ下の腕には感服していた
あと上手い飯も出てくるしな
レイジさんのご飯を食べた時なんざ

『くっ…!わ、わたしのよりもおいしい…!』


なんて本気で悔しがっていたものだ
あとは見ていれば分かるが、この玉狛支部の雰囲気が気に入っているのだろう
ここほどアットホームな職場、という言葉が似合う場所もない
尊敬できる先輩やかわいい後輩
雪ノ下もここに来ると自然と笑みがこぼれるまでになっていた
由比ヶ浜が嫉妬しそうだな

「さぁ、出来たぞ」

「お、待ってました」

「俺は宇佐美のとこへも持っていく。先に食べていろ」

「んじゃ遠慮なく。頂きます」

「頂きます」

今日は肉肉肉野菜炒めだ
これは俺も大好きなので箸が進む進む

「雪ノ下先輩ってB級に上がったらどの隊に入るつもりなんすか?」

「さぁ、俺も知らん。いろんなとこから勧誘が来るらしいけどな」

「あの腕だったらそうでしょうね」


「太刀川隊、影浦隊なんかも勧誘したらしい」

「影浦さんが?それは意外っすね」

「だろ?あの二人のことだから喧嘩が始まるんじゃないかと心配したけど、大丈夫だったみたいだ」

「でもそうなるとウチにはなかなか来れなくなるので寂しくなりますね」

「俺は学校でもしょっちゅう会ってるからなぁ」

そんなたわいもない会話をしながら食べているとレイジさんも戻ってきた
その後は3人で談笑しながらご飯を食べる
俺はこの時間が好きだ
そんなこと恥ずかしいから誰かに言うことなんぞ絶対しないが、それでもこの気持ちだけは間違いのないものだ
今日はいないが三雲達や小南、最近では雪ノ下がいる時もそれはそれで面白いしな

「今日は天気あんまり良くないっすね」

京介が外を見て言う
確かに今日は暗い雲が空一面を覆っている
今にも雨が降り出しそうだ
こういう空を見ているとむしょうに不安になる
なんだか胸騒ぎがするような…


ウゥ~~~~~~~!!

だよな
俺も今フラグたったと思ったもん

『非番の隊員に告ぐ!敵の大規模な攻撃が開始された!これに全戦力で迎撃に当たる!戦闘開始だ!!』

チチチチチチチ

「緊急招集…!」

「八幡、京介」ガタッ

「分かってます」

「小南に連絡します。今から迎えに行きますか?」

「あぁ、すぐに出る。行くぞ」

「「了解」」

遂に来たか
以前迅さんから聞かされていたことだ

『ここ数日の間で大規模な攻撃が来る』

それがつい2日前のこと
くそったれめ
ネイバーのやつらも面倒なことしやがる


俺達は換装してすぐにバギーへと乗り込む

「宇佐美」

『ジジッ はいはい。小南は学校からこっちに向かって走ってきてます。合流地点を送りますね』

「あぁ、頼んだ」

まずは小南との合流だ

「今回の侵攻、どう見ます?」

京介が問う

「今のところ人型は確認されていないそうだ。だがトリオン兵は4年半前よりはるかに多いらしい。5方向にバラけているようだが…」

「狙いはやっぱり市民っすかね?」

「まだ断定は出来ん。先のラッド騒ぎやイルガーのこともある。そんな入念な準備をする敵がただトリオン兵を展開して市民を攫うことだけが目的とは考えにくい」

「…敵の目的が何かイマイチ判明してないってのは不利っすね」

「あぁ。俺達は遊撃隊の命令が下された。長期戦になるぞ」

「了解です」

「2方向は迅さんと天羽で対処済みらしいっすね。俺達は取り合えず残りの3方向っすか?」

「そうだ。今のところ南がやや対処が遅れているらしい。小南を拾い次第南方向へ行く」

「「了解」」


『レイジさん、小南が合流地点に着いたって』

「俺達もあと3分ほどで着く」

『了解』

敵の狙いはなんだ?
普通に考えれば何の力も持たない市民の捕獲だろうが…
上空を飛んでいるトリオン兵も気になる
さっきからあいつら攻撃をせずにぐるぐると回っているだけだ
偵察、斥候か?
…まぁ今は考えていたって仕方がないか
トリオン兵を減らすことだけを考えよう

「小南!」

「やっと来た!もう私一人で戦いに行こうかと思ってたわよ!」

「いいから行くぞ。早く乗れ」

小南を拾って今度は南方向へとレイジさんがバギーを飛ばす

「状況は?」

「今のところはトリオン兵だけだ」

「ですがまだ敵の狙いがはっきりとは判明してません。俺達は遊撃隊としてしばらくはトリオン兵の排除に徹します」

「おっけー!やってやろうじゃないの!」


『ジジッ 全隊員に告ぐ!新型トリオン兵、ラービットを確認した。サイズは3メートルほどで人型に近いフォルムをしている。小さいが戦闘力は高く、なによりアイビスを弾くほどに硬い』


「ラービット?」

「新型…。硬いのは厄介っすね」


『その戦闘力はA級でさえ単独で挑めば危険なほどだ。特徴として隊員を捕らえようとする動きがある。各員十分注意せよ!』


「隊員を捕獲ですって!?」

「しかもA級でもやばいとなると…こりゃ厳しいかもしれんぞ」

『けどそんな強いならコストも莫大なはずだよ!多分量産はされてないと思う!』

「そんなんが量産されてたら洒落にならんな」

「まぁけど私らなら大丈夫でしょ」

「そりゃお前は双月があるから大丈夫だろうけどさ」

「全身が硬いというわけでもないだろう。全身が硬かったら動くこともままならないはずだからな。柔らかいところから崩していけばいい」

「なるほど」

「そうだな…よし。俺達はそのラービットの排除に回る。他のトリオン兵はB級に任せる」

「「「了解」」」

恐らくラービットに対抗できるのはB級上位以上の隊だけだ
単独ならばほんの一握りの隊員でしか相手にならないだろう
その点俺達ならばいくらか楽に倒せるはずだ
小南もいるしな
ボーダー最強の部隊、玉狛第一を舐めるなよ


「本部、こちら木崎。我々はラービットにターゲットを絞る。ラービットの位置情報をくれ」

『ジジッ…ザ…ザザッ…』

「本部?」

なんだ?

「レイジさん!」

「!!」バッ

京介が見ている方向は本部
だがその右から2体ほど巨大な飛行物体が本部に向かって飛来していた

「あれは…イルガー!」

「自爆モードで突っ込む気か!?」

ドッ!

「うおっ!?」

1体は撃墜出来たようだがもう1体は墜とせなかったようだ
とてつもない爆発が本部に直撃する
その余波が俺達のところにまで届いた
おい、やべぇんじゃねぇか!?


「おいおい…」

「いや、大丈夫だ」

煙が晴れるとそこには傷こそついているものの、今だ健在の本部があった

「第二波!今度は3体か!」

「あと3発も耐えれるの!?」

「…」

レイジさんは黙って行く末を見ていた

「1体は…墜とせたか」

基地からの砲撃で1体を撃墜

「あと2体…!」

すると突然、残りの2体のうち1体が4分割され墜落していくではないか

「なにが…?」

「太刀川だ」

「太刀川?あいつがあれやったの!?」

「さすがっすね」

ノーマルトリガーであんなことできるのあの人と忍田さんだけだろうな
残りの1体は直撃したが大丈夫なようだ
第三波も見受けられない
乗り切ったようだ


『木崎、通信が乱れてすまなかった。ラービットにターゲットを絞るということだな。任せていいか?』

「もちろんです」

『今沢村君から宇佐美君へ位置情報を送った』

「ありがとうございます」

『頼んだぞ』プツッ

了承が出たようだ

「既に嵐山隊、風間隊が1体ずつ仕留めたようだ」

「さすが准ね!」

「俺達も続くぞ」

「うっす!」


「あーらら、もうラービットが2体もやられちまったぜ」

赤い槍を持つ全身青のタイツのようなもので身を包んだ男が言う

「いやはやこれは、ミデンの進歩も目覚しいということですかな」

風格のある老人が言う

「大したことねぇよ。ラービットはまだプレーン体だろ?」

長髪で黒髪の男は不敵とばかりに言う

「いやいや、分散の手にもかからなかったし、なかなかに手ごわいぞ」

豪気な口調で赤髪の男が言う

「我々も出撃いたしますか?ハイレイン隊長」

一際若そうな青年は落ち着いた様子で言う

「いや、まだだ。お前達が出るのはミデンの戦力の底を見てからだ。ミラ」

青髪で隊長と呼ばれた男はそう言う

「はい。次の段階に進みます」

唯一の女性で冷たい目の女性は静かにそう言う

「雛鳥を捕まえる準備は進んでいる。お前達の出番ももうすぐだ」


ガキンッ!

「硬ったいわねコイツ!」

俺達は今南西方向に現れたラービットの排除を行っている
2体も同時に現れたようで速やかに撃破することが求められる

小南の双月、今は両手持ちの二刀斧で交戦しているが、それでは弾き返されるらしい

「まぁだからどうってことはないけど」

『コネクター オン』

「おりゃあ!」

ドガンッ!

今おりゃあって言ったよ
女子高生がおりゃあって言ったよ

頭から真っ二つにされたラービットはピクリとも動かなくなった

「そっちは?」

「既に終わってる」

俺、レイジさん、京介の連携で残りのもう1体のラービットは1分も持たずに沈黙した


「次は?」

「南西方向に1体、東に2体だ」

「じゃあ次は東ね!」

「あぁ」

『木崎!聞こえるか!』

「忍田さん?どうしました?」

『現在西方向で避難にあたっていたC級、およびそれのフォローをおこなっていた木虎、三雲両隊員の目の前に色違いのラービットが3体出現した。それによって木虎もやられた。恐らく敵の狙いはC級だ。今すぐ援護に向かってほしい!』

「色違い…」

「分かりました。今すぐ向かいます」

「敵の狙いがC級…?」

「どういうこと!?」

「なるほど、緊急脱出か…」

「え?」


「ラッド騒ぎやイルガーの件で敵はC級に緊急脱出機能が付いていないことを見つけたんだろう。俺達正隊員を捕まえようとしても緊急脱出があるから逃げられてしまう。市民を捕まえてもトリオン能力がある人間を捕まえられるのかは分からない。だからC級を狙ったわけだ」

『比企谷の言う通りだろう。ネイバーフットのどの国でもボーダーでもトリガーを持たせてもらえるのは一定のトリオン能力がある人間だけだ。数や資源には限りがあるからな。それと色違いのラービットは攻撃方法が変化しているようだ。現在確認されているのは砲撃を行なうタイプと身体から液体のようなものを出し、それを固めてブレードとして攻撃してくるタイプだ』

「なるほど…だからC級を…」

「攻撃方法が違うラービット…また面倒な…」

『とにかく急いでほしい。三雲隊員だけでは凌ぐのは厳しいだろう』

「既にバギーを全速力で飛ばしています」

『敵の狙いが分かった以上これ以上好きにはさせんぞ!』

「「「「了解!」」」」



「チカ子に手ぇ出してんじゃねぇぞこんにゃろー!」

C級スナイパー、夏目出穂がアイビスを放ちながら叫ぶ
だがそれをラービットは腕で弾くと夏目を腕でがっちりと捕獲する

「うぶっ!ちょっ、タンマ!きもいきもい!」

ラービットは彼女を自分の腹の中に格納しようとする


「夏目さん!」バッ

ガキキン!

「くっ…!硬い…!?」

雪ノ下が夏目を助けるためにスコーピオンでラービットに攻撃をしかけるが弾かれてしまう

「チカ子!逃げろ!」

「千佳!逃げるんだ!」


『わたしも、自分で戦えるようになりたいです』


涙目になっていた雨取の目に力がこもる

「友達は…私が助ける!」

ドッ!

「どわぁ!」

「きゃっ!」

「な…!」


「はぁ…はぁ…」ペタン

ギギ…

「まだ生きて…!」

「フッ!」

半身を雨取の砲撃でぶち抜かれたにも関わらずまだ動こうとしていたラービットは、雪ノ下のとどめで完全に沈黙した


「忍田本部長!現在新型数体と戦闘中!木虎が既に捕獲されました!敵の狙いはC級です!」

『状況はほぼ把握した。あと少しだけ凌いでくれ。木虎の報告を受けて、ボーダー最強の部隊が既にそちらに向かっている!』

「ボーダー最強の部隊…!?」



「なんだ?今のトリオン反応は…?黒トリガーか?」

「いえ、反応は通常のトリガー…のはずです」

「新手の強敵か?」

「いえ、雛鳥の中にいるようだわ」

「思いがけず金の雛鳥か。作戦変更だ」

ハイレインが顔を上げる

「ランバネイン、エネドラ。お前達は予定通りミデンの兵を蹴散らしてラービットの仕事を援護しろ」

「はっ、俺が全員八つ裂きにしちまうかもな」

「ヴィザ、ヒュース、クーフーリン。お前達は金の雛鳥を追え。もしかすればここで、新しい神を拾えるかもしれない」



「ぶっぱなせチカ子!」

「駄目だよ!家に当たっちゃう!」

ゴォッ!

ラービットの豪腕が千佳と夏目を吹っ飛ばそうとものすごい勢いで迫る
が…

ドシッ!


「っ!?」

「木崎さん!?」

「木崎さん…!」

「雨取、スナイパーの基本は忘れたのか?」ギギッ

「スナイパーは居場所を知られたら負け。まずは姿を隠すこと。相手に見つかったまま戦ってはいけない。です」

「よし、覚えてるならいい」

ドンッ!

ラービットの腕を素手で受け止めたレイジさんはそのまま得意のスラスターパンチでラービットを吹っ飛ばし、そのままもう1体のラービットごと吹き飛ばす

「メテオラ」ボボボボッ

「旋空弧月」キン

ドガガガガガガッ!
ザンッ!
ドドドドン!

「無事か?三雲」

「比企谷先輩…!」

「来るのが遅いのよ、比企谷君」

「うるせぇ。これでも全速力で来たんだよ」

「修、遊真はどうしたの?」

「この声…小南先輩…!?」

キィィィン ボッ!

「!!」

む、まだ1体がかろうじて生きてたか


「エスクード」

ドンッ!

「京介ナイス」
「いえ。遅くなったな、修」
「烏丸先輩…!」

「おらっ!」ザンッ

もう既にぼろぼろだったラービットも俺がしとめ、これで障害はすべて無くなった

「よし、終わったな。木虎を回収するぞ。コイツの腹の中にいるはずだ」
「了解です」
「いや、待ってください!まだあのゲートを開けるやつが…!」

バチッ!バチッ!

突然俺達の目の前にゲートが開き

「転送完了」

ズズズズズズズ!

人型が三体も現れた

「戦闘開始です」


今日はここまで

次回は今週中には投下しますので…w

ではでは

乙です


アフトにオリキャラか…楽しみ

オリキャラか...まあそれぐらいやんないとパワーバランスに問題あるからな。

八幡は対人用ゲイボルグと相性悪そうだな
幸運値は兄貴とどっこいだろ

こんにちは
投下します


「人型…!」

「しかも角付き…」

俺達の前に人型ネイバーが3体も現れた
C級を攫うために随分な戦力を投下してくるじゃねぇか

「自分が目標を捕らえます。ヴィザ翁とクーフーリン殿には援護をお願いしたい」

「ほう…いいぜ。やってみな」

「よいでしょう。しかし目標も相当なトリオンの持ち主だという話だ。用心なさい、ヒュース殿」

「注意します。殺してしまわないように」



『もはや疑問の余地はない。相手はアフトクラトルだ』

「お?レプリカ?なんか随分とちっこくなってんな」

『救援助かる、ハチマン。これは本体の子機のようなものだ。本体は遊真といる』

「なるほど。便利だな」


「あの、比企谷君…」

「お前は他のC級と一緒に下がってろ。こいつらとは俺らがやる」

「えぇ…分かったわ」


「角でトリオンを強化した怪人…だっけ?また厄介なトリガーを開発したものよね」

「小南、木虎とC級は回収出来たのか?」

「ええ、終わったわ」

「よし。C級のカバーを最優先だ。人数の差では勝っているとは言え、油断は出来ん。無茶はするな」

「「「了解」」」

「三雲、お前はC級のフォローだ」

「りょ、了解!」

「いつも通り小南の一撃につなげるぞ。もう二人にも注意しろ」


ドドドドドド

レイジさんと京介がアステロイドで射撃する
が、それは全て相手のトリガーで全て防がれている
反射盾のようなもので全て弾かれているのだ
ありゃなんなんだ?
どういう仕掛けだ?

「無駄だ」ガキキキキン


「…」パチン

ドドドドドド
ギュワン

「ぐっ!?曲がる弾丸…!?」ガギギギ

京介のバイパーも防がれるか
だが…

「シッ!」

「はっ!」

微妙に体勢が崩れたところを俺と小南がつめる

「おっと!」ガキン

「!!」

ガンッ!

「ほっほ、元気なお嬢さんだ」

だが俺は槍を持つ全身青タイツの男に、小南は老人に防がれた

「てめぇのことは知ってるぜ。ラッドを通じて見てたからな。イルガーを何体も落してくれたやつだろ?」

「…覗きは犯罪だぜ」

「あいにく覗きの趣味はねぇよ」

ガンッ!

俺も小南も一度距離を取る


「ヒュース殿、手練れと無理に戦う必要はない。目的を果たして引き上げましょう」

「…分かっています」ザァッ

キィィィィィィ ボッ!
バチッ!

「きゃっ!?」

「千佳!?」

「雨取さん!」

なに…?

「捕らえました」ジジッ

「え…わ、わあ…!」ググググ

「!?千佳、捕まれ!」

三雲が雨取の手を掴む
だがその三雲ごと引っ張られていく

「引っ張られる…!」

「京介!」

「了解」ドドドドドドド

(同じ手は食わない!)

ガキキキキン


人型ネイバーは反射盾のようなものを広げて全身をカバーする
だが…

ドッ!

「!?」

(防御を広げて盾が薄くなったところを…!?)

レイジさんのパンチで人型が吹き飛ぶ

「おいおい、ヒュース。やられてんじゃねぇか」

「…っ!」ググッ

『なるほど、やつのトリガーの仕掛けが分かった。磁力だ』

『磁力?』

『あの欠片一つ一つが磁力のような引き合い、反発する力で操作されている。俺の攻撃もそれで威力を大幅に殺された』

なるほど
レイジさんのパンチをまともに受けてまだ生きていることがそのなによりの証拠だろう
まともに食らったら今頃首から上がなくなってるだろうからな


『しかもこの感じだと敵の狙いは雨取に絞られてますね』

『雨取の膨大なトリオンに目をつけたんだろう。やつの射程に雨取を近づけさせるな』

『了解』

あれから15分ほどがたった
今だ状況は膠着状態
既にあちこちで人型やラービットと交戦が始まっているらしい
しかもいきなり風間さんが敵の黒トリガーによって緊急脱出させられた
他方面でも苦戦を強いられてるらしい
ラービットもまだまだ出てくる
正直状況はかなり悪い

『まずいっすね』

『あぁ…』

さてどうするか

ブワン

「む?」

「ほう…ランバネイン殿が…」

「…」

なんだ?

『ジジッ みんな吉報だよ!出水君、陽介、緑川君の3人がB級合同と組んで人型ネイバーの一人を撃退!しかもそのA級三人はC級のフォローをしにこっちに向かってるって!』

お、流石だな
頼りになるぜ


「いやはや…ランバネイン殿が落されるとは…」

「やるじゃねぇか」

敵も驚いているようだ

「しかしランバネイン殿が落されたとあっては我々もうかうかしていられませんな」

「そろそろ俺達も本格的にやるか?ヴィザ翁」

「そうですな…」

「手間取ってしまい、申し訳ありません」

「なに、気にするな。敵も相当やりやがるからな」

「では我々も動きましょうか…」

まずいな…
恐らくだが、今戦ってるこの人型よりも後ろの二人の方が強い
角付きは今戦っているやつだけだが、後ろの二人が角無しでも遠征に来ていることから相当な実力者だと分かる
全く、厄介にもほどがあるぜ

『どうします?後ろ二人も動きそうですよ。このまま全員で本部までじりじり引きますか?』

『…』

レイジさんも考えているようだ
そしてレイジさんが口を開こうとした瞬間


ヒュンッ ドォン!


「!?」

「なんだ…?なにかが降ってきたぞ…?」


「あいたたた。レプリカ先生、これちょっと勢いつきすぎじゃない?間に合ったからいいけどさ」

「迅さん!」

「迅…!」

「よう、みんな。まだ生きてるか?」

「縁起でもないこと言わないでくださいよ。まだみんなピンピンしてますよ」

「そっか。始めまして、アフトクラトルのみなさん。ここからは俺も参戦するんでよろしく」

「こいつは…?」

ズドッ!!

今度は空閑がものすごい勢いで老人に向かって落ちてきた
だが老人はそれを杖でガードしている

「おっと間違えた。俺も、じゃなくて俺達も、だった」

「強印二重」キィィィン

ドンッ!

空閑の攻撃は今度はかわされた


「はっ、続々と集まってくるな」

「ふむ、しかも全員が相当な手練れのようだ…」

「チッ…」

キィィィン ボッ!

磁力使いから再び磁力片が空閑に向かって発射される
だが空閑はそれを首を動かすだけでかわす

「!!」

しかし空閑の後ろには雨取が
こいつら、とことん雨取狙いか!

バチッ!

「くっ!」

「お、メガネ君ナイス」

だが三雲がそれを腕を伸ばして防いだ

「三雲、C級を連れていけ。こいつらは俺達が足止めする」

「りょ、了解!」

「出水と米屋、緑川がすぐそばまで来てる。合流して本部に向かえ」

「はいっ!」


「比企谷君…頑張ってね」

「おう、任せろ」

レイジさんの指示で三雲がC級を連れて退いていく

「ほっほ、ここまできて逃げられるのは遠慮したい」キィィン

老人が始めて攻撃を仕掛けようとする
正直こいつが一番不気味だ

「動くな」

ジャララララララ
ガキン!

「これは…!?」

「鎖?」

老人が鎖で首のあたりをぐるぐる巻きにされ、動けなくなった

「チッ!」

「にがさねぇぜ」

今度は角付きと槍兵だ


「「「エスクード」」」

ドドドドドドド!

俺と迅さんと京介のエスクードで道をふさぐ

「うお、なんだこりゃ」

「道に壁が…!?」

「もうあいつらには追いつけないよ。俺のサイドエフェクトがそういってる」

「なに…?」

「やれやれ…ミデンの戦士は本当に曲者揃いだ。ヒュース殿、クーフーリン殿、作戦を切り替えましょう。この方達をどうにかせねば我々は雛鳥を追えないようです」

「そうだな」

「了解しました…」


『どうする?バラけさせるか?』

『うん。多分その方がいい』

『じゃあどうやって分けます?』

『俺達が爺さんをやる。さっきつけた印があるし』

『おっけー。じゃあ俺が角付きをやろう』

『分かった。俺達で残りの一人をやる』

『了解です』

『おっけー!』


「レプリカの子機を一つ残してくよ」

ニュッ

「三雲にもついてたやつか」

『何かあったら私を通じて遊真にすぐ連絡できる』

「わかった」

「よし、行くぞ、レプリカ」

『心得た!』

ドッ!

「!!」

空閑が地面を蹴ると岩盤がめくりあがり、土煙があたり一面を覆いつくした

「せーっの!」

そんな声が聞こえると同時に空閑ははるか向こうの方に飛んでいった

「八幡、一撃だけ貸してくれ」

「了解です。ヤマト、オン」キィィン

『特別体解除まで残り12秒』


「斬空弧月 死突」キィン

ボッ!

「!!」ガキィィン

俺が放った死突が角付きをとらえる
それは反射盾にガードされるが…

ガガガガガガガガ!

(ぐっ!!止まらない…!?)

ガァンッ!

その勢いのまま角付きは遥か向こうの方へと吹き飛んでいった

「サンキュー」バッ

そして迅さんもそれを追いかけて去っていく

「ほう、分断か。まぁ賢明な判断だぜ」

『特別体維持限界 ヤマト解除』バシュウ


「あれ、それ止めちまうのか?」

「…ヒーローには活動時間ってもんがあるんだよ」

「なんだそりゃ」

「本当アンタなに言ってんのよ」

「なに言ってるんですか比企谷先輩」

「…うるせぇ。俺も今ちょっと恥ずかしいんだ。スルーしろや」

「お前ら集中しろ」

「く、くはははははは!お前ら面白ぇな!」

「そりゃどうも…」

槍の人型は腹をかかえて笑っている

「じゃあ笑かしてあげた代金として退いてくれ」

「はははは…おいおい、そりゃ無理な相談だろ」スッ

人型が真剣な顔つきで、だが余裕の笑みは崩さずに俺達に向き直る

「アフトクラトルから来たってことが分かってるなら、俺達の角についても知ってるってことか?」

「…角でトリオンを強化してるってやつでしょ?量と質が変化するとかなんとか。あんたは角ないけど」

「そうそう。博識だな嬢ちゃん」

「子供扱いしないでくれる?」

「それと黒トリガーと適合した場合は黒く変色する、とか」

「おー、なんか目つき悪いお前も結構知ってるんだな」

「目のことは余計なお世話だ」

「まぁ今二人が言ったことが大まかな角の性能だ。細かいことは他にもいろいろあるらしいが…ま、無視していい」

『…さきほどから何のつもりだ?何が言いたい?』

レプリカが問う


「ん?だからよ…」

ビュン

「「「「!?」」」」

消えた!?

「こういうことだ」ヒュッ


『背後だ!』

『後ろ!』

「「エスクード!」」

ガキィン!

「お、これ結構かてぇんだな」

レプリカと宇佐美の声にいち早く反応した俺と京介でガードする
そして俺達は素早く人型から距離を取る

『なんだ今の…テレポートっすかね?』

『分からん…。だがボーダーのテレポーターとは違う。やつの視線は下を向いていた』

『アフトはそういうトリガーを開発したってことですか?』

『まだそこまでのことは分からん』

『情報が少なすぎる…せめてトリガーの名称が分かればユーゴの記録から性能が判明できる可能性があるのだが…』


「俺に角はない、が、俺は角有りのやつらと同等かそれ以上に強いぞってことだ」

人型は悠々と自己を語る

「あぁそれと、今俺がテレポートした、と思ってるか?」

「!!」

「やれやれ…その程度の認識じゃまだまだだな」

ちっ、おちょくってやがる…

『…そういうことか。やつがさっきまでいた場所を見ろ』

レイジさんの声でさっきまで人型がいたところを見る
…?特に変わったことは…

『地面がえぐれてる…』

え?

『つまり…あいつは異常な力で地面を蹴って移動した、ということですか?』

『考えられる最有力の説はそれだな』

『マジか…』


「お?その様子だと気付いたか?」


人型がさっきまでいた場所の地面がえぐれている
しかもその中心には足跡らしきものまである
つまりこれはやつがテレポートをしたのではなく、ただ単に超高速で移動したということになる

『あんなスピードで動かれたら攻撃が当たんないっすよ』

『…』

レイジさんも思案しているようだ

「まぁ気付いたところでてめぇらにはどうしようも出来ないけどな」

ビュン

またか!

『小南!後ろ!』

「!!」バッ

ドスッ!

「くっ!」ブシュゥ

「小南!」

『動きが早すぎる…!』


「胸を貫くつもりだったんだが…今のを避けるとはな」

「避けられてないわよ…。思いっきり肩にくらったじゃない」シュゥゥ

「本来の狙いと別の場所に攻撃が当たったらそれはもう避けられたってことだろ」

「…問答はいい」

「つれねぇな」


『八幡』

『はい』

『目でやつの動きは追えたか?』

『…正直微妙なとこっすね。一回目は見えなかったっすけど、二回目は移動の最初と最後の方だけはかろうじて見えました。途中の最高速あたりは全く見えないです』

『そうか…』

『ハチマンの目でも追えないとなると…厳しいな』

やつのトリガーはスピードをとことん強化するものか?
今のところそれしか見られないが…
俺の目でもほとんど追えないとなると、それこそテレポーター並みだ
京介の機動力特化とは比べ物にならないほどに速い
あんな速度、普通のトリオン体で出せる限界をゆうに超えてる
…考えたくなかったが、角も無しであの性能だと…

『黒トリガーっすかね?』

『恐らくな』

『恐らくそうだろう』

レイジさんとレプリカも同じ考えのようだ


「どうしたよ?ヒュースと戦ってた時に比べて随分と大人しいじゃねぇか」

「あんたみたいに超高速で動ける相手に迂闊に動けるかよ」

「そりゃそうか」

「あんた黒トリガーでしょ?」

「ん?そうだ…と言ったら?」

「別に驚きはしない」

「ははっ…その通りだ。お前さん達の想像している通り、俺のトリガー『ゲイボルグ』は黒トリガーだ」

『ゲイボルグ…!ユーゴの残した記録によると、ゲイボルグはアフトクラトルに太古から存在する黒トリガーだ。ネイバーフットでトリガー技術が発明された辺りに作られたものと言われている。性能は…すまないが記録に残っていない』

「そうか…」

「そんな昔の黒トリガー…」

「…」

性能が分からないのが最も厄介だ


「性能は…まぁ言わねぇよ。自分達でよく考えな」

「サービスしてくれよ」

「嫌なこった。それじゃあつまんねぇだろうが」

「ケチな野郎だ」

「はっ、ハイレインの野郎にもケチとは言われたことねぇぜ」


『とにかく、まずはやつの機動力をどうにかする方法を考えるべきだ』

『あぁ』

『そうですね』

レプリカの言ったことは誰もが考えていたことだ


ブワン

人型の耳元に小さなゲートのようなものが出現する

「ん?ハイレインの野郎が…?」


『って言ってもそんな方法あるの?私らは誰も鉛弾セットしてないし、セットしてたとしても当てれるとは思えないわよ』

『スパイダーは?』

『あぁ、試す価値はある』


『俺は今日スパイダーセットしてきてないっすよ』

『じゃあレイジさんに任せるしかないわね。私たちの仕事はレイジさんの仕事に気付かせないように邪魔をすること、かしら?』

『了解です』

『そうだな』


「お、作戦は決まったか?」

「待っててくれたのか?随分と優しいんだな」

「紳士なもんでな」

「戦場に紳士もクソもないわよ」

「口が悪いぞ嬢ちゃん」

(それに、ハイレインが金の雛鳥捕獲のために出撃した。となると俺の役割はこいつらの足止めってことになるしな)


『行くぞ』

『『『了解』』』


今日はここまで

次回はいつになるかまだわかんないです

ではでは

乙です


幾つの作品をクロスさせる予定なんだろ


これ以上クロスはさせません
というかこの大規模侵攻で終わりなので笑

こんばんわ
投下します


「バイパー+メテオラ トマホーク」ギュワン

「メテオラ」キン


「む?」

ドドドドドドドドン!

(当てに来ていない…土煙を上げて煙幕のつもりか?)

ボッ!

(当てに来ているのもあるか。だが遅い)

ヒュンヒュヒュン

(その場から少し動いただけでそんなものかわせ…)

ギュン

(なに!?弾が戻ってきた!?)

「チィッ!」

ビュン

ドドドドドォン!

(ヒュースの野郎にも使ってた曲がる弾丸か…。それに爆発の効果を付与させたのか?なかなか面白いトリガーだ。そして…)

ボッ!

「後ろだろ!見えてるぜ!」グルン

「!!」


ガンッ!

「くっ!」

土煙に紛れて人型の背後から京介が斬りかかるがそれはあえなく弾き返される
さらに京介に追撃が迫る

「エスクード!」

ゴッ!

俺が京介と人型の間にエスクードを発生させる
これでひとまずは…

「ゲイボルグがスピードだけのトリガーだと思ったら大間違いだぜ」

なに!?

ドギッ!

「っ!」ブシュウゥ

あいつ、エスクードを軽く貫きやがった!
並の攻撃なら寄せ付けもしないものを…!

「大丈夫か、京介」トッ

「無事、とは言えないですね。トリオンもどんどん漏れてます」シュゥゥ

わき腹の貫かれた傷を押さえる


「ねぇ、なんなのコレ。肩の傷が全然塞がらないんだけど」シュゥゥ

「!?」

小南の肩を見ると、人型からつけられた傷からいまだにトリオンが漏出しているではないか
おかしい
傷の浅さから見てもとっくに塞がってていいはずだ

「ようやく気付いたか?」

人型が口を開く

「これもアンタのトリガーの能力ってわけ?」

「そうだ。ゲイボルグがつけた傷はトリオン体を再構成でもしない限り塞がることはない」

『なんという能力だ』

「チートが…」

「黒トリガーだからな」

アホみたいな機動力に加えて、傷が塞がらない攻撃
ちっ、さすが黒トリガーなだけはあるってか

『しかもさらに厄介なことは使い手の腕も熟達のものだということだな』

「それなんだよな…」

せめて使い手がしょぼかったらいくらでもやりようはあるんだがな


『傷が塞がらない…。そうなると…まずいですね。俺がつけられた傷は小南先輩よりも深い。今でもがんがん漏れてます』

『トリオンは今どんくらいだ?』

『6割と少し…このままだとあと10分ほどで緊急脱出します』

『10分か…』


(む?そういえば…さっきからあの短髪の野郎の姿が見えないな…。見るからにリーダー格だったが…まさか逃げたわけではあるまい)


『ジジッ みんな大変!修君達のところに新たに人型ネイバーが出現!しかも黒い角!』

「マジか…」

『能力はトリオンで出来てるものを全てキューブに変えること。武器もシールドも、全部!こんなの無茶苦茶だよ!』

また黒トリガーだと…!?
風間さんをやったやつも黒い角だったらしいから、これで黒トリガー持ちが3体…
多すぎるぞ

『どうなっている…』

「レプリカ?」

『遊真の相手も黒トリガーだと判明した。しかもアフトクラトルの国宝の一つ、オルガノンの使い手だ。国宝の使い手に加えて、それ以外にも黒トリガーが三つ…これだけの戦力を遠征につぎ込むなど…。一体、アフトクラトルに何が起こっている』


そうだ
明らかにおかしい
普通遠征に黒トリガーなんぞ投入されない
されたとしても一つ、多くても二つだ
それが四つも、さらにその一つは国宝だと…?
莫大な戦力だ
本国の守りはどうなっている?

『よし、粗方完了した』

レイジさんがスパイダーの設置を完了させたようだ
余計な思考は一旦停止だ
目の前の敵に集中しなければ

『了解です。人型をそっちまで誘導します』

『ここで仕留めるぞ』

『…ってことは』

『そうだ。今迅から連絡が入った。この戦争、あと20分ほどで決着がつくそうだ』

『20分ですか…』

『短いようで長いわね…』

『ユーマもかなり苦戦している。私の本体をオサムの援護に向かわせたからな。だがそれでもオサム達が危険なことには変わりない』

『出水達も人型とラービットに苦戦しているらしい。修達への援護が早急に必要だ。一瞬で勝負を決めるぞ』

『『『了解』』』


「いくわよアンタたち!」

「おう」

「メテオラ!」キン

「む!」

ドドドドドドドォン!

小南のメテオラでまずは場を動かす
さらに

「ハウンド」キン

ボボボボボ!

それにまぎれて俺がハウンドを放つ

「二度も食らうか!」ババッ

人型も流石にメテオラがどういうものかを理解したようで、後ろにさがって簡単に避けた
だがそこに俺のハウンドが追撃する

「追尾弾か…!?ちっ!」ビュン

だが人型も超高速でこれをさらに避ける

まぁ避けられるだろうな
ハウンドはそんなに弾速早くないし

けど、狙い通りだ

「レイジさん、『入り』ました」

「全開戦闘だ」バチチッ

(なんだ…!?)

「フルアームズ オン」ギィィン

「ガイスト オン ブレードシフト」バチッバチッ

『緊急脱出まで150秒 カウントダウン開始』

「コネクター オン」キィィン

「ヤマト オン」キィィィン

『特別体解除まで180秒 カウントダウン開始』


(なんだこいつら…?今何をした?)


久しぶりの玉狛第一全開戦闘だ
だが京介のガイストが思ったより短い
傷の影響か

「いくぞ」

ドドドドドドドドドドドド!

(なにっ!?)

レイジさんによるフルバースト
ものすごい弾幕が人型を覆っていく


ビュン

(あいつ、ここでトリオンを使い切る気か?)


「3時の方向です。ハウンド+弧月」ギュワン

『小南先輩!』

『分かってるわよ!』


『ジジッ クーフーリン、気をつけなさい。敵のトリオン反応が軒並み上昇したわ。全員私達の角有りのトリガー並だと思いなさい』

「なんだと…!」


「蜂追弧月」ドッ

俺が上空に向かって斬撃を放つ

「フッ!」

「せりゃあ!」

ガンッ!

小南と京介の左右からの挟撃
だがそれを京介の剣は避け、小南の攻撃は槍で受け止める

(まだ遅…ぐっ!?)ビリビリ

「あたしの攻撃を受け止められると思ってんの?」ゴォッ

「ぐぉっ!?」

ドォン!

小南の攻撃は人型の槍でも止められず、小南の振るった斧に弾き飛ばされた人型がビルに突っ込む


「京介!」

「ガンナーシフト」キィィン

キュドドドドドドドド!
ゴォォォォ!

レイジさんと京介の射撃、俺の蜂追弧月が同時に人型へと降りかかる

(ぐっ!まずい…!弾に囲まれる!)ビュン

初めて人型の表情から余裕が消えた
超高速でその場から離脱したようだ
だが

ギッ!
バィンッ!

(なっ!?)

人型が逃げた先にはスパイダーのワイヤー
人型は自らが高速で動きすぎるが故に細いワイヤーを視認できなかった

(しまった…!空中では…!)

ワイヤーに弾かれた人型は宙を舞っている

「斬空弧月 斬波」ドッ

そこを巨大な斬撃が空中で身動きが取れない人型を襲う
これなら逃げられねぇだろ!

「入った!」


ドゴォン!

「「「!?」」」

「なにっ!?」

完全に決まった
俺達がそう思った瞬間、俺の斬波を赤い光線のようなものが真ん中から貫いた
それによって斬波は無残にも消し飛ばされてしまう

「まさかこれを使うことになるたぁな」シュゥゥゥ


「うそだろ…」

「あいつ…まだ隠し玉を持ってたの…」

「とことん黒トリガーってのは嫌になりますね」

「…」

『なに今の…。一瞬だけど、ものすごいトリオン値を計測したよ。黒トリガーの1.5倍はいってる!』

「ふざけた出力だ」

レイジさんでも辟易している


「おい、まだ手の内を隠してたのかよ」

「…出来れば使いたくはなかった」

「余裕だな」

「違う。今のはゲイボルグの真骨頂であり、同時に諸刃の剣でもあるものだ」

「トリオン出力の値から見て、ごっそりトリオンを持ってかれる、ってとこか?」

「…その通りだ」

「なるほど…乱発は出来ないってことね」

人型の表情は真剣そのもの
もはや余裕の笑みなど欠片も見られない

「俺にこの技を出させたこと、賞賛に値する」

「そりゃどうも」

「だがそれがお前達の命取りになったな」ズッ

なんだ?
やつの槍が赤いモヤのようなもので覆われていく

「まず一人目は…お前だ」

一人目…?

「その心臓貰い受ける!」ゴォッ


「「京介!」」

「ディフェンスシフト」キィィン


「ゲイ…ボルグ!!」キュドッ

「エスクード!」

ドンッ!

巨大なエスクードが俺達の前に出現する

ドギィン!

ガイストで強化されたエスクードだ
さっき貫かれたものとは強度、範囲が段違いだぜ

「無駄だ!」

ドゴォン!

「なっ…!?」

ボッ!

「京介!」

エスクードを貫通した赤い光線が京介の胸を貫いた

「ぐっ…すいません…」

『戦闘体活動限界 緊急脱出』

ドンッ!

今日はここまで

次回はいつになるか分からないです

ではでは

乙です

更新もまだか

スマホがバグってただけだわすまん

質問
大規模侵攻後の続編を作る予定はある?


こんばんは

うーん
五分五分くらいですかね
ゆっくりと書くかもです笑

一応最後まで書き溜めました
ここから細かい修正を入れますけれど…
今日はもう投下出来ないので早くて明日、遅くても日曜には投下したいです
できなかったらすいません笑

ではでは

そうか…楽しみにしてる

こんばんわ
あと1時間後くらいに投下しますね

今日中に全て投下してしまおうと思います

投下します


「とりまる…!」

「くそっ…!ガイストで強化されたエスクードを貫くだと…!?」

「…」


「ふぅ…これでバランサーは消えたぜ?」

やはりバレてたか
俺達が全開戦闘をする時、実は京介が最も重要になる
あいつのガイストは能力値全てを上げることが出来る
まぁ同時には無理だが
しかしそれによってあらゆる局面に対応でき、なおかつ本人の腕もあってその役割は非常に多岐にわたる
まさにバランサーだ
京介以外がほぼ攻撃に偏っているため、京介がいるといないでは大きく違うのだ
それを見抜かれた
全く…これだから強い敵は嫌なんだ


『レイジさん、どうします?俺のヤマトもあと50秒で解けます。再び起動することも出来ますけど…残りのトリオンはあと3割ほどなので出来れば後50秒で決着つけたいです』

『…』

『どうするも何も、京介がいないんじゃひたすら攻撃しかないでしょ』

『んなこと分かってる。どうやって崩して攻撃するかって言ってるんだよ』

『ふ、ふーん…』

だが本当どうするか…
追い詰めても最後の最後でさっきのを使われたら全てが無駄になる
後何発撃てるかは知らんが、少なくとももう1発は撃てるだろう


『…!まずいな…』

「レプリカ?」

『ジジッ みんな…千佳ちゃんと雪ノ下さんがキューブにされちゃった…。今は修君が二人を抱えて逃げてるけど…いつ追いつかれるか…』

っ!!
雪ノ下が…!
まて、落ち着け
今焦っても良いことは何もない
まずは目の前の敵に集中するんだ
三雲を、後輩を信じろ!

『時間もない、か…。仕方がない。よし、八幡、小南、聞け』

『!』


(残存トリオンはあと4割と少し…2発も使ったせいでかなり減ってるな。普通に撃てばあと2発、もう片方ならばあと1発が限度…。それだけ放てば後はもうゲイボルグを撃てるほどのトリオンはなくなる。さてどうするか…)


「行くぞ」

(む?)

レイジさんの作戦…
正直一か八かだ
失敗すれば俺とレイジさんが、下手をすれば全員緊急脱出だ
勝負は一瞬…!


キィィィィン キュド!キュド!

レイジさんの肩から雨取のアイビスのような威力の砲撃が発射される
普通のシールドやエスクードではまず防げないほどの威力だ

(さっきまでの弾幕とは違って一撃一撃の威力を高めたのか?だが…)

ビュン

(馬鹿なのか…?弾幕ですら当てられないというのに、弾数を減らしたらさらに当てられなくなるというものを…何か他の意図があるのか?)

「10時の方向。バイパー+弧月」ギュワン

(あいつ…さっきから俺のことを目で追えてやがる…!厄介だな…。ならば次のターゲットはお前だ!)ダンッ

「!!」

まずいっ!
今は合成中で身動きが…!


ドスッ!

「ぐっ!」ブシュゥ

「チッ!」

あぶねぇ!
あと数センチ上だったらトリオン供給器官をやられるとこだ

「メテオラ!」ボボボッ

「むっ!」バッ

ドドドドドン!

くそっ、かなりでかい傷だ
このままではあと数分でトリオンが底をついちまう

「馬鹿が!」ボッ

「っ!」ガギン

小南のメテオラも完全に見切ってやがる
人型はメテオラをかすりもせずに避け、逆に小南に反撃する


「蛇空弧月!」ボッ

ゴォッ!

「斬撃…!」バッ

小南の後ろから俺の蛇空弧月が人型を襲う
人型はすぐさま槍で防御体勢を取った
だが

ギュワン

(斬撃も曲げるかっ…!!)

ビュン

上空3時の方向…!
よし!


ビィン!

(ぐっ!?ここにもワイヤーか!)


「八幡!」

「分かってます!」ザッ

俺がレイジさんの隣にすぐさまつく

(ちっ!だが何をしようが俺のゲイボルグの前では…!)ズァッ

再び人型の槍が赤いモヤに覆われる

「最大出力で放つぞ!」キィィン

「威力極振りでいきます!アステロイド+弧月」ギュワン

(まさか…俺のゲイボルグを正面から打ち破る気か…!?)

「出力値から考えて、レイジさんの最大出力の砲撃と俺の死突が合わされば張り合える!」

測定出来た出力は黒トリガーの約1.5倍
俺とレイジさんの二人同時ならばなんとか…!


「はっ…馬鹿が!あれが俺の最大の出力だと思ったか!!」ズアァアァ

「!?」

『え…なんで…!さっきよりもトリオン反応が…!』


(ここは空中!この高度ならば、『投擲』が出来る!!)

「これで貴様らも終わりだ!ゲイ…」


「ちっ!!放て!」キュド

「死突!」ドッ

「ボルグ!!」ボッ

!?
槍を…投げた!?


ガギィィィィィン!!!

「ぐっ…!?」ビリビリ

「レイジさん…これ…まずいっすよ…!!」ギギギギギ


「投擲によるゲイボルグの出力はさっきまでのとはケタ違いだ!その程度では止められんぞ!!」


ガギギギギギギギギ!

くそっ!
どんどん押し込まれる!

(投擲によるゲイボルグの出力は通常の黒トリガーのおよそ2倍!その分トリオン消費もかなり大きいが…これで貴様ら二人は終わりだ!)

ガギギギギギ!

「ぐっ…!!が…!」

止まらねぇ…!!


(まだ俺のトリオンはわずかだが残っている!この二人さえ倒せば残りの一人はどうとでも……待て。残り…一人…?)

「…っ」ニヤッ

(はっ!!もう一人の斧使いの女はどこに…!?)バッ

ヒュッ!

「おい、俺達は…最初に言ったはずだぜ?人型ネイバー!人の話しは…よく聞いとくんだな!」ガギギギ


「遅い!」ババッ

「!!うしっ…!!」


「俺達の作戦は最初から唯一つ。『小南の一撃につなげる』こと。チェックメイトだ」


ザンッ!!



「がっ…!!」

人型は右肩から左腰へと真っ二つに両断された

ピシッ…ピシッ…

ドンッ!!

っしゃ!
どうだこの野郎!!
やってやったぜ!
玉狛舐めんな!

バキンッ!

使い手のトリオン体が破壊されたせいか、やつが放った槍も消滅した
ふぅ、正直あぶなかった…
もう目と鼻の先まであいつの投げた槍が来ていた
あと1秒遅かったら俺もレイジさんも吹き飛んでただろうな

『特別体維持限界、ヤマト解除』バシュウ
『フルアームズ、オフ』キュウゥゥン

「ふぅ…」

「やったわね比企谷!レイジさん!」

「あぁ。京介もよくやってくれた」

『ありがとうございます』


「まさか…この俺が負けるとはな…」

煙の中から普段着のような格好をした人型が現れる
耳には赤いクリスタルのようなイヤリング
あれがトリガーか?

「マジでぎりぎりだったけどな。正直お前の赤いレーザーみたいなやつを耐えられるかは賭けだった。しかも最後は前の2回よりも威力高かったし」

「お前達はその賭けに勝ったというわけだな。全く…この俺としたことが、冷静さを欠いていたか?」

「普通に実力だボケ」

「ふんっ…」


「クーフーリン」

ブワン

「っ!!」ババッ


「また人型…!」

「しかも黒い角…黒トリガーか」

『5つ目の黒トリガーだと…!』


「あなたの任務はここまでよ。時間稼ぎも十分してくれたわ」

「そうかい」


『ジジッ その人型、空間操作の使い手みたい!他の人型もそいつに回収されたりしてる!ラービットもそれでいろんな場所に配置したりしてるって!』

「つまりこいつが敵の生命線、キーマンってわけね…」ググッ

「待て小南」

「レイジさん…?」

「相手が引くなら今はそれでいい。深追いはするな」

「その通りだ小南」

「…分かったわよ」


「小僧、名前を聞かせろ」

「あ?人に名を聞く時はまずは自分から名乗るもんだろうが」

「はっ、最後まで生意気なやつだ…。クー・フーリンだ」

「比企谷八幡だ。もう会うこともないだろうけどよろしく」

「ハチマンか…覚えとくぜ。何故かお前とはまた会う気がするんだよな」

「それは遠慮したい。いやマジで」

「クーフーリン、急ぎなさい。私も隊長の援護をしなければならないわ」

「時間切れだ。じゃあなハチマン。楽しかったぜ」

「じゃあなクーフーリン。全然楽しくなかったぜ」

「最後まで減らず口かよ…」

ブワン


「ふぅ…ようやく行ったか」

「あんた何敵と仲良くなってんのよ」

「んなつもりねぇよ」

「宇佐美、レプリカ。迅と遊真はどうなっている?」

『迅さんは足止めに徹してるみたい』

『ユーマも敵の黒トリガー使いを撃破した。今はオサム達の援護のために本部の方へと移動中だ』

「おぉ、さすが空閑」

『そうか、角付きは上手く迅が足止めしてくれているか。これならば…。…っ!!』

「??どうした?レプリカ」

『いや…なんでもない』

なんだ?
今、レプリカの声にノイズが走ったような…


「宇佐美、他の地区の現状はどうなっている?」

レイジさんが問う

『南西地区の対処が遅れてます。ラービットを倒せる隊員が足りていない模様』

「南西地区…。そ、そうだ!宇佐美、雪ノ下や三雲はどうなってる!?」

『本部まであと少しのところまで来てる…。三輪君が人型を一人止めてるけどもう一人の空間操作の使い手が現れて…』

「っ!」ダッ

「あ、ちょっと比企谷!」

「すいません、レイジさん!南西は頼みます!」ゴォォ

「…」

「ちょっとレイジさん!あいつ、勝手なこと…!」

「いや…いい。どのみち修達の援護は遊真以外にも必要だ。俺達で南西のラービットを含むトリオン兵を撃滅するぞ」

「…あぁもう!分かったわよ!比企谷!」


『ジジッ なんだよ!』

「ちゃんと修達を守りなさいよ。雪ノ下さんもね!」

『あぁ!言われなくても!』プツッ

「ったく…!」

「行くぞ小南。南西の被害も小さくない」

「えぇ!」


俺は屋根の上を全力で駆ける
下を走るよりもやや遅いが、屋根をつたっていけば直線の最短距離でいける
けど…くそっ、本部が遠い…!

「宇佐美!修達のところまでは!?」ダンッダンッ

『あと2kmくらい!けど護衛のラービットもやられそう…。このままじゃギリギリ間に合わないかも…!』

「2km…!」

今も槍使いから受けた胸の近くの傷からトリオンががんがん漏れている
俺の残りのトリオンはもう1割もない…
頼む…間に合え…!


『オサム…一つ提案がある』

「提案…?」

『このまま基地に向かっても入り口を開けるのに20秒かかる。今の私がオサムを20秒間守りきるのは難しい。だがネイバーのシステムならば、1秒もかからず解析・侵入できる』

「敵の遠征艇を狙うのか…!」

『迅の予知から外れるため、オサムの生存率は保障できないが、オサムの策と合わせればチカとユキノを守りきれる確率はかなり高くなる』

「そうだな…。敵の狙いは千佳にしぼられてる。雪ノ下さんも千佳とは別の場所に隠しておいたから、もし何かあっても雪ノ下さんはまず大丈夫なはずだ…」

『…』

「フー…」

『オサム…』

「分かってる…」

『作戦を実行に移すなら三輪が戦っている今しかない』

「あぁ、千佳を守るためだ…覚悟は決まった」


ドォォン!

(ラービット…1体やられたか…)


「今だ!」ダッ


『!!運び手が出ました!』

『運び手を狙ったまま待て』キィィン

キュパパパッ
バチチッバチッ

(ラービットがやられた…!)


『ラービットは仕留めた。ミラ、捕まえろ』

『了解しました』

ブワン

「っ!!」

キュドドドド!

「ぐ…!」


(これで終わりだ…!)キィィン

ザァァァァァ!

(ここからが本当の勝負だ…!)

「トリガー、オフ!」

ビュゥン ダッ!

(なにっ!?)

「換装を解いた…!?」

ボッ!ボボッ!

「チッ!ミラ、やつを!」

「待て!お前らの相手は俺だ!」

「煩いぞ!」ブワン

(緑川を倒したワープを通じての攻撃…!)

「来たなバカが!それはもう知ってる!!」バッ


(…!?)

「バイパー!」ドドドドドドド

(しまった…!)

ドパァン!

「くたばれ!」ダッ

「隊長!」

ブワン!

「!?」

ズッ!


「ここは…!」

『基地から引き離された…!』

「ワープ女のトリガーか!」ギリッ



『よし、ここまで来れば…!』

「あぁ!弾印(バウンド)、二重(ダブル)!」ドッ



「宇佐美!まだ見えないのか!?」

『あと150mくらい…!もう駄目…!修君が追いつかれる…!』

「150m…!!」

『修君…!』

「射程圏だ!」

『え…?』


「金の雛鳥を渡しなさい!」

ビキキッ!

「なっ!?トリオン切れ…!?」

(大窓を使いすぎた…!!それに、この傷で…!)

ドッ!

「!!」

(やつは砦までおよそ20歩。だが相手は生身、すぐに追いつく…!)ゴォォォ


「レプリカ!」

「豆粒!」

「宇佐美!」



「「「敵の位置を教えろ!!!」」」



「強印(ブースト)+射印(ボルト)、五重(クインティ)!!」

ギィィィィン!!


「トリガーオフ!」ビュゥン

バッ!

「風刃、起動!!」

ズアァッ!!


「ヤマト、オン!」

ギィィィィィン!!!

『特別体解除まで6秒、カウントダウン開始』


(人型が来る…!三輪先輩はやられたのか…!?けど、この距離ならギリギリに間に合う!)

(残った攻撃用トリオンをかき集めて…)バチッ

「運び手を止めるのは…私の役目!」キィィン

ズドッッ!!

「がっ…!?」


(追いついた…よくやったミラ)ゴォォォ


「がはっ…!あと…少しで…!」

『投げろ!オサム!』

「!!」


(…?なんだ?何をするつもりだ…!?)


「う…ぐ…!!」ググッ


(…!!こいつの狙いは…我々の艇か!させるか!!)


「撃てぇ!!」

ドドドドドドド!

バチチチッ!バチチッ!

(援護射撃…!取り逃がした雛鳥か?だがこれは目眩まし…本命は…ヴィザを倒した使い手!)


『そこだ!ユーマ!』

キュドドドッ!


(右後方から来る…。それさえ分かっていれば…こいつを殺すのに支障はない!!)

ギュン ザキキキキン!!

(…っ!?斬撃!?どこから…!!)


キュン  ボッッ!!!

「チィッ!!」

グラッ…  ザザァ!

(だが!)


『馬鹿な…!!まだ…!?』

「ぐっ…!身体が…!くそっ!動けっ!!」


(トリオン体はまだ破壊されていない!バランスは崩されたが…相手は所詮生身!手を伸ばせば…殺せる!!)

「我々の勝ちだ!ミデンの運び手!!」

ゴォッ!


「三雲から…離れやがれ!!」


キュドッ!!!

「なっ!?」

ドォォォン!


『ハッチー!死突が命中!人型が吹き飛んだ!』

「はっ!」ニッ


「人型が…吹き飛んだ…!?」

『オサム、今だ!』

「っ!」


「あああああああぁぁぁあ!!!」


ブンッ!

ビシッ!

『侵入完了!』

バチチッ!


三雲の投げたレプリカの本体が敵の遠征艇に侵入し、強制的に動かす

「隊長!」

「艇を調べろ!」

「はい!……これは…!帰還の命令が実行されています!命令を変更…出来ません!」

「…まんまとやられたということか」

「金の雛鳥を持って早く艇へ!」

「分かっている」

ザッザッザッ ガッ

「!?これは…!」

「隊長…?」

「これは…違う。ただのトリオンキューブだ」

「なっ!?」

「もう片方も…やはりか…」

「替え玉…!いつの間に…!?」


(恐らく、あの無意味だと思っていた攻撃か…)

「艇を狙ったのも、本物を捜す時間を与えないためか…」

「時間がありません!隊長!」

「…仕方ない。金の雛鳥は放棄する。発進までに艇のゲートでヴィザを回収しろ」

「了解です。ヒュースは…いかが致しますか?」

「あぁ…。金の雛鳥を捕らえられなかった以上、予定通りここに置いていく」


『オサム…お別れだ。ユーマを頼む』

「…っ!!」


ゴゥン!
ギィィィィィィィ ドッ!!!!


『人型ネイバーが…撤退した…のかな?』

「へへ…やったぜ。ざまぁみろ…」ピシッピシッ

『戦闘体活動限界、緊急脱出』

ドンッ!

雨取と雪ノ下は守りきれたっぽいな
へへっ…
この戦争…俺達の、勝ちだ!


「うーっす」ガラッ

「あら、こんにちは。比企谷君」

「ちょっとヒッキー!なんで先行くし!」ダダダッ

「由比ヶ浜さんもこんにちは」

「あ、ゆきのんやっはろー!!」

「…っ!耳元ででけぇ声出すな」キーン


あの戦い、第二次大規模侵攻と呼ばれる戦いから1週間が経った
この戦いで多くの負傷者、そしてC級隊員の拉致、さらにはボーダー職員に死者までもが出てしまった
建物もそこらじゅうが全壊や半壊
だが奇跡的に市民の死者は0らしい

本当みんな頑張ったよ
うん…特に俺
めっちゃ頑張った
ひょっとして一番頑張ったんじゃね?
その証拠に一級戦功もらったし!
…まぁ空閑や太刀川さんは特級戦功もらってたけど…
ま、まぁ、頑張ったことには変わりないし?
評価もされてるし?


「あなたさっきから表情がコロコロ変わっているけれど…大丈夫?」

「ヒッキーきもい…」

「え?表情に出てた?てかきもい言うなビッチが」

「だからビッチじゃないし!!」

こうして平穏も取り戻せた
被害は出たが…けどまぁ三雲が記者会見で啖呵切ったからな
無茶なこと言いやがって…
攫われたやつらを取り返す、か
先輩として応援しないわけにはいかんな
それに、久しぶりに俺達も遠征チーム狙うのもアリかもな
今度レイジさんに言ってみよ
あ、でもそうすると三雲達の門が狭くなるか?
うーん、どうしようか…

「おーっすハッチー!」ガラッ

「いるかー?」

あ?


「あら、出水君に米屋君。いらっしゃい。ヒキガエル君ならそこにいるわよ」

「誰がヒキガエルだ。で?どうした、何の用だ?」

「この前の戦いのお疲れ会ってことでさ、また高2組で飯行こうって話になったんだけどよ…」

「そうなのか。え、それわざわざ言いに来たのか?メールとか電話してくれりゃ…」

「だってハッチーに電話しても全然出ねぇし」

「あん?あ…電源切ってた…」

「おい、なんかデジャヴが…」

「まぁハッチーにだけじゃないけどな。雪ノ下さんもどうかなって思ってよ」

「私も?」

「ハッチーから聞いたぜ。雪ノ下さんもうB級になったんだろ?」

「えぇ、まぁ…」


「へー!おめでとうゆきのん!」

「ありがとう由比ヶ浜さん。あと比企谷君?何を勝手に言いふらしてるのかしら?」

「い、いや別に隠すことじゃねぇだろ?」

「わたしがB級に上がったってことが広まればまた勧誘の嵐が来るじゃない」

「あぁ…」

「全く…まぁいいわ。それで、その食事会は私も参加していいのかしら?」

「あぁ、もちろんだ!歓迎するぜ!」

「いいなぁ…」

「由比ヶ浜さんもボーダーに入隊すれば来られるわよ?」クスッ

「は?おいやめろ」

「うーん…どうしよっかなぁ…」

「いやマジでやめろ…おい、やめてください」

「ヒッキーは黙ってて!」

「…っ」

「まぁまぁ」ポン

「どうなっても知らんぞ…」


はぁ、まったく
どいつもこいつも

まぁ確かに?
ボーダーには尊敬できる先輩はいっぱいいるし?
かわいい後輩もたくさんいるし?
なんやかんや仲の良い同学年のやつらもいるし?
上層部も出来る人達ばかりだし?

なにより…俺にとって温かい場所だしな…
恐らく俺はこれからも関わり続けるのだろう
時には苦しい時もあるだろう
けど、昔と違って今は仲間がいる
最高の仲間が
それが、俺にとっての始まりの場所…






「ボーダーか…」




― 終 ―



くぅ~w疲れま(ry

これで完結です
長い間読んでくださってありがとうございました

依頼出してきますね

感想いただけたら幸いです
続きはまた書くかもしれませんし書かないかもしれません

では失礼します

まあ確かにこの後はランク戦編だが、A級ランク戦なんて原作で一回も出てきてないからな。
部隊数が少ない上、顔が出てない隊員が多すぎるからしゃあないか

お疲れ様でした!

おつでした
ワートリ側はこれ以上進めるの難しいけど俺ガイル側は修学旅行や文化祭もあるし時系列いじってもいいからそこら辺のイベントに
ワートリ勢が絡む展開も見たかったり…

どうも≫1です
そういえば大規模侵攻時の八幡のトリガーセットを書いていなかったので一応書いておきます

メイン
孤月
旋空
メテオラ
ヤマト(試作)

サブ
アステロイド
バイパー
ハウンド
エスクード


暇つぶし程度にはなって頂けたら御の字です

どうも≫1です
続きを書き始めました
またみなさんにお見せできるようになれたらと思います

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