【ガルパンss】 みほ「じ、自衛隊と...!?」 (618)


・独自設定あり

・多少のキャラ崩壊あり



※前作を読んでおくとより一層物語を楽しめます(ステマ)

【ガルパンss】 みほ「西住家の秘密?」まほ「そうだ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1454691608/)



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ボコミュージアムに行ってから数日後


みほ「な、何かの間違いだよね......?」オロオロ


まほ「私もそれを願ったんだが......」オロオロ

まほ「あのお母様が、嘘をつくとは......」


みほ「た、確かに......」


まほ「......」


みほ「......」


まほ「私たち、お母様を怒らせるようなことしたかな......」シュン...


みほ「......二人そろってボコにされたの忘れたの?」


まほ「」


数日後


みほ「......と言うわけで、黒森峰と合同で試合をすることになったから......」


沙織「えぇぇ!?どしたの突然っ」


華「急なお話ですね」


沙織「でもすっっごい面白そう!みぽりんのお姉さんのカッコいい姿を間近で見られるなんて~!」


優花里「そ、それで、私たちと対戦するチームは一体どこの高校ですか!」ワクワク


みほ「......自衛隊」


優花里「......」


華「......」


沙織「......」


麻子「......すまないみほ、耳が一瞬だけ狂った」


優花里「わっ、偶然ですねぇ冷泉殿~、私もですぅ」ガクガク


華「みほさん、もう一度だけ仰って頂けませんか?」


みほ「自衛隊」(無慈悲)


優花里「......」(昇天)


沙織「やだもー」


更に数日後、東富士演習場


みほ「...ついにこの日が来てしまった......」


しほ「二人とも来たわね」


みほ「お、お母さん、あのことを怒っているのならもう許して......」


まほ「そうです、私たちはボコと同じ姿にされました。それで十分なはずっ」


しほ「一体なんのことかしら」キッパリ


みほ・まほ(駄目だしらばっくれる気だ)


しほ「まぁあなたたちが不安がる理由は分かっているわ」

しほ「『戦車道連盟の規定もくそもない現代戦車と戦わされるから』......そうでしょ?」


まほ「そっ、そうです!第二次大戦の車両ではとても歯が立ちません!」


みほ「カーデンロイドでマウスに挑むようなものですっ」


しほ「二人とも落ち着きなさい」


まほ「しっ、しかし......」


しほ「そもそもこの試合は、私があなたたちへの当て付けに設定した訳じゃないわ」


みほ「えっ」


しほ「この試合の申請があったのは自衛隊側から......。大学選抜を潰した西住流、そんな素晴らしい流派を世間に更に認知させる意図があるらしいわ」


みほ(潰したって......聞こえ悪いなぁ)


しほ「それに見て分かると思うけど、この試合は自衛隊が主催する『富士総合火力演習』の一環として行われるもの......言ってみればパフォーマンスとしての側面が強い」

しほ「44口径120mm滑腔砲が飛んでくるとはいえ、召されることはないから安心しなさい」


みほ(いやそれ絶対駄目なやつでしょ)ガクガク


まほ(一応エチケット袋用意しとくか)


しほ「......でも、流石に自衛隊が相手だと、西住流だろうが島田流だろうが関係なく潰されるのは目に見えてるわ」

しほ「だから私は自衛隊に直談判して、自衛隊側の参加車両を一両に抑えることができた」(感謝しなさい)


まほ「!っ、お母様......!」パァァ...


みほ「それで、相手は74式ですか?それとも90式......」


しほ「10式よ」


まほ「」バタッ


みほ「お姉ちゃんしっかりっ」


優花里「あぁぁぁ......」(魂の解放)


沙織「10式って、確か自衛隊の最新戦車じゃ......」


麻子「10式戦車。第3.5世代、第4世代とも言われる世界最高水準の車両だな。主力武装は44口径120mm滑腔砲で、正面は複合装甲で600mm貫通の砲弾に耐えらr」


優花里「冷静に説明している場合じゃないですぅ!!」

優花里「私たち、何か自衛隊の気に障るようなことをしたのでしょうかぁ......!」オロオロ


みほ「いっ、いや、そんなことはないと思うけど......」


華「そんなに凄い車両なのですね......しかし、今回はまほさん率いる黒森峰が助っ人ですし......」


優花里「10式は2キロ先の的に走りながら初弾を当てる精度を持っているんですよぉ!!」

優花里「下手に動いたらフラッグまみれにされてしまいますぅ」グスッ


華「なっ......なんて積極的な殿方なのでしょう......」ウットリ


麻子「華の性癖が分からん」


沙織「......な、なんで私たちがそんなのと戦わされるのよ~!」プンプン


麻子「......しかし相手は一両。こちらは大洗と黒森峰を合わせて30両近い」


沙織「なら大丈夫じゃん!」


みほ「......ともかく、今から各車長は速やかに私のところに集まって。黒森峰側との作戦会議を行います」


黒森峰作戦指揮所


エリカ「10式っ......!?」

エリカ「しかしそれは、戦車道連盟の参加可能車両規定に違反するんじゃ」


まほ「お母様が自衛隊のトップと二人で連盟に乗り込み、今回限りの許可を半ば強引にとりつけたらしい」


エリカ「怖っ」


ガチャ


みほ「お待たせしました」


まほ「みほか。わざわざすまn」


典子「うわぁ~やっぱ黒高は強そうな戦車ばっかりだなぁ!!」(呑気)


カエサル「マウスは......マウスはいないのか!?」(トラウマ)


ナカジマ「うひゃ~!整備士にとっちゃあ天国だねぇここはっ」(歓喜)


まほ「......」


エリカ(私たち、こんな奴らに負けたのね......)ガックリ


まほ「......ごほんっ、それでは黒森峰と大洗による合同作戦会議を始める」


今回はここまで

12~18時間後くらいに舞い戻ります


まほ「エリカ」


エリカ「はいっ、まず私たちが今回使用する車両は......」


ティーガーⅠ 1両
ティーガーⅡ 2両
三号戦車J型 1両
パンター 6両
Ⅳ号駆逐戦車 6両
ヤークトパンター 1両
エレファント 1両
ヤークトティーガー 1両
マウス 1両


エリカ「......以上になりますっ」


まほ「了解。ありがとうエリカ」


エリカ「はいっ」(もっと褒めてほしい......///)


まほ「では次は......みほ、頼む」


みほ「は、はいっ。私たちが使う車両は......」


Ⅳ号戦車D型改(H型仕様)・あんこうチーム
38(t)改(ヘッッツァー仕様)・カメさんチーム
八九式中戦車甲型・アヒルさんチーム
Ⅲ号突撃砲F型・カバさんチーム
M3中戦車リー・うさぎさんチーム
B1bis・風紀委員チーム
三式中戦車(チヌ)・ネット戦車ゲームチーム
ポルシェティーガー・自動車部チーム


みほ「......以上です」


まほ「なるほど、ありがとう」


まほ「......皆もう分かっているだろうが、今回私たちが戦う相手は自衛隊だ」

まほ「そして、1両だけとはいえ、あの10式戦車と火砲を交えることになる」


一同(シーン......)


杏「......でも、車両数で見れば私らが圧倒的じゃん?」ムシャムシャ


ねこにゃー「WoTならクソMMなり」


まほ(WoT...MM...?後で調べておくか......)

まほ「......確かに『車両数』では28対1と反則的だが、『総合的な戦力差』は車両数など微々たるものにしてしまう」


杏「そんなに強いの?10式戦車っていうのは」


まほ「......」


まほ「......昨日エリカに頼んで調べてもらったんだが、なんというかだな......」


杏「......?」


まほ「私が試算した今回の試合の勝率は、10%だ......」ズーン...


典子「!?」


みほ「......」


杏「......まじで?」


まほ「ちなみに、大学選抜戦時の予想勝率は35%だった。それよりも低いとは......」ズズーン...


そど子「凄まじい落ち込みようね......」


ナカジマ「はははっ。しっかし参ったねえ......黒森峰の隊長がこんなになるほど勝率が低いなんて」


澤「でっ...でも、今回は負けてもなんのペナルティーもないんですよね?三度も廃校の危機になるなんてありえないし......」


エリカ「そ、そうですよ隊長!今回は相手が悪過ぎるんです!そこまで落ち込まなくても......」


まほ「......そう言えばまだ話してなかったな」


エリカ「えっ?」


みほ(......凄く嫌な予感がする......)アセダラダラ


まほ「実は先ほどお母様が『ただの親善試合だと面白くない』と仰って......」


みほ(総火演で自衛隊とコラボしてるだけで十分だからっ)


まほ「負けた方には...その...全国放送で『あんこう踊り』をさせr」


杏「みんなぁ~っ!自衛隊をギャフンと言わせたいかぁ~!!」


一同「「「うおぉぉぉぉ!!!」」」


みほ「ほらお姉ちゃんっ、いつまでもくよくよしてると放っておいちゃうよ!」


エリカ「そうですよ隊長っ!西住流は勝たなければ意味がないと仰っていたのは誰ですかっ」


みほ「こうしちゃいられない、すぐにフィールドの見取り図と作戦草案を!」


ガヤガヤワイワイ


まほ「......」

まほ「......まぁ、こうなるな」


10分後


まほ「......それでは、みほが高校連合隊長。私が副隊長で異論はないな?」


一同「......」


まほ「......よし、これで作戦会議を終了する」

まほ(結局作戦は『随時更新』か......まああの10式相手に有効な作戦など思いついた方がおかしいか......)


みほ「それでは、車両ごとに配布した作戦指示書を根幹として、各自スタート位置で待機して下さい」


澤『了解です』


カエサル『了解っ』


典子『りょうかぁ~いっ!』


杏『オ~ケ~』


そど子『分かったわ!』


ナカジマ『任せといて~』


ねこにゃー『御意』


まほ「(みほも立派になったな......)黒森峰各車はスタート位置にて待機、指示を待て」


エリカ『了解っ』


赤星『了解』


各車長たち『『『了解』』』


まほ「それじゃあみほ、私たちは試合開始前の挨拶に行こう」


みほ「うんっ」


みほ「......それにしても、凄い観客の数だね」


まほ「ああ、ほとんどは火力演習見学が主目的だろうが、私たちの試合まで見てくれる人もいるだろう」


みほ「そうだね......観客の人たちに恥ずかしい所を見られないように、頑張ろうね!」


まほ「あっ、あぁ......///」(そんな笑顔で見つめられたら私は......)


???「こんな言葉を知ってる?」


まほ「!っ、この台詞は......!」


ダージリン「『私はいつも前もって予言するのは避けることにしている。何故なら、ことが起こった後に予言するほうが、優れたやり方だから』」


みほ「ダージリンさん!?」


オレンジペコ「チャーチルの言葉ですね」


ダージリン「ごきげんよう、みほさん。まほさん」


ダージリン「今日は火力演習だけ見て帰ろうと思っていたのだけれど、面白そうな試合があると聞いて駆けつけてしまいましたわ」


オレンジペコ「まさかあの10式戦車と戦うなんて、凄いです!」


みほ「はっ、はははっ」(乾いた笑い)


ダージリン「......それで、勝算はありますの?」


みほ「......」ドヨーン


まほ「正直に言って......かなり低いな」


ダージリン「そうなんですの......」

ダージリン「しかし勝負は時の運とも申しますし、お二人ともその運を幾度も味方につけてきた」

ダージリン「今回もそうなることと、私は信じていますわ」


みほ「ダージリンさんっ......」ジワァ


まほ「ありがとう。期待に添えるように私たちも頑張るよ」


ダージリン「ふふっ、その意気ですわ......それでは」

ダージリン(本当はまほさんのあんこう踊りを拝見してみたい気もしますが、友人の負けを願うのはご法度ですわ......)


オレンジペコ「試合、頑張って下さいね!」


みほ「ありがとうございました!」ペコッ


まほ「......ますます負けられないな」


みほ「うんっ!」


まほ「それじゃあ先を急ご......んっ、観客席の前の方が騒がしいな」


みほ「......誰かが言い合いをしてる?」


カチューシャ「だぁーかぁーらぁー!!どうしてあんたは私の気に障るようなことばかり言うのよ!!」ジタバタ


ミカ「身長、それは人生にとって大切なことかな」


カチューシャ「当たり前でしょぉ!!」


みほ「あれは......カチューシャさんとミカさん!」


まほ(珍しい組み合わせだな......)


カチューシャ「も~っ!......あっ、ミホーシャ!」


みほ「カチューシャさん!お久しぶりです!......あれ、ノンナさんはご一緒じゃないんですか?」


カチューシャ「ノンナは今トイレに行ってるわ。まったくこの私を一人にするなんて......」


カチューシャ「それに、何故か継続のミカが近くにいて、口を開いたらカチューシャの悪口ばかり!!」キーッ


ミカ「捉え方次第で言葉は無限の可能性を秘めているのさ」ポロローン


カチューシャ「うるさいわよっ!」


カチューシャ「......そうそう、試合のこと聞いたわよ!マホーシャとチームであの自衛隊とやり合うそうじゃない!」


みほ「え、えぇ......勝てるっ......という確証はないですけど」


まほ「出来る限り善処する」


カチューシャ「当たり前じゃない!自衛隊ごときに負けたら、シベリア送り25ルーブルよ!」


ミカ「自衛隊に勝てるとは思えない。しかしあなたたちの奇跡を信じよう」ポロローン


みほ「はい、頑張りますっ」


まほ「応援に感謝する」


カチューシャ「はぁぁ......プラウダなら10式だろうがエイブラムスだろうがダーッとやっつけれるのに」


スッ


ノンナ「カチューシャ、それは無理です」


カチューシャ「うるさいわよっ!!」


みほ「......はぁぁ、さっきからよく知ってる人たちと会うね。少し疲れちゃった」


まほ「この調子だと、戦車道履修者のほとんどはここに来ているだろうな......」

まほ「......ほら、言ってるそばから顔見知りが......あれはなにをしているんだ?」


みほ「えっ、どこどこ」キョロキョロ


まほ「ほら、あの屋台みたいなところ......」


みほ「......あ~」


今回はここまでです、次回は少し更新が遅れるかもしれません(最悪一週間後)


なにかこの物語に意見や質問がありましたらどしどしお寄せ下さい、もしかすると物語中に反映するかもしれません


ではでは

そもそも目視で敵を見つけなきゃいけない戦車道チームに対し、10式はレーザーセンサー・IRセンサー・ミリ波レーダーを装備してるのね。
この時点で「ファーストルック・ファーストキル」が可能なわけよ。
さらに自動装填装置を使用して毎分14発の射撃が可能。
その上「データベースから目標の弱点を割り出し自動照準する」なんて機能もついてて、その攻撃翌力はL/D比約30という圧倒的な貫通力。
距離2000mで81cmの装甲板をぶち抜いちゃう(マウスの最も装甲が厚い部位で22~23cm程度)。
それでいて車体サイズはパンターと同等というチートっぷり……。

……これ「どうやって勝つか」より「どれだけ悪条件を積み重ねれば10式が走行不能になるか」を考えた方が早くね?

ゴルゴ方式でいくなら、砲身に0角度で砲弾を叩き込むことで弾薬の誘爆を誘って内側から破壊できるぞ!!

>>67
10式の通常弾はHEAT-MPじゃなくてAPFSDSだから、弾丸打ち込んでも爆発しないぞ……


後に戦闘シーンを入れる関係で10式戦車に関する情報を集めているのですが、10式戦車の『車体側面装甲』に関する記述が、上記80さんや81さんのようにサイトによって異なっているので、どうしようか悩んでいます。

砲塔側面はともかく、『車体側面』は、128mm砲質量弾を垂直にまともにくらうとヤバイ......くらいの認識でいいでしょうか。

意見がある方は今日の23:00までにレスをお願いします、なければ上記で進めます


皆さんの意見と小説進行上の諸事情を踏まえ、この小説内での10式戦車の「車体側面装甲」は以下の通りです

『128mm砲は走行不能になるほどの脅威ではない。ただし、無闇にくらうと戦闘に少なからずの支障をきたす』

ご意見ありがとうございました!


ペパロニ「らっしゃいらっしゃぁい!総火演を見ながら食べるパスタは絶品だよぉ~っ!」


アンチョビ「自衛隊と西住流のドリームマッチ!見なけりゃ損だよぉ!!」


みほ「ドリームマッチだなんて......恥ずかしいよぉ」///


まほ(恥ずかしがるみほ可愛い)


ケイ「Hey!!パスタ200人前頂戴!」


アリサ「隊長っ!アンツィオの資金源になっちゃいますよ!?」


みほ「ケイさん!?」


まほ「サンダース、何人で来ているんだ......」


西「パスタとはなんでありますか?」


福田「蕎麦でありますか?」


玉田「ここは突撃するしか......!」


西「早まるなぁ!」


アンチョビ「そんなに危険な食べ物じゃなぁ~いっ!」


みほ「あはは、やっぱり知波単は変わらないね......」


まほ(結局知ってる高校は全員いるのか......)


ケイ「あっ、みほ!まほ!元気してるっ?」


みほ「あ、はい!お陰さまで」


まほ「お前たちも私たちの試合を見てくれるのか?」


ケイ「あったり前じゃない!こんなにstorageでexcitingな試合は滅多にないわ!」


アンチョビ「私たちアンツィオがパスタで客を集めてやったんだから、負けたら承知しないぞっ!」


西「西住殿っ!やはり自衛隊には正面からの突撃しかないと思いますっ!」


福田「見事に散る姿を世界に知らしめましょうぞ!」


みほ「散っちゃ駄目だからっ」


まほ(負けたら私たちのプライドが散るからな)


まほ「それじゃあ私たちは試合があるので、これで」


みほ「応援ありがとうございますっ」ペコッ


まほ「......みほは凄いな。年上だろうが誰だろうが、誰もがみほに惹かれている」


みほ「そんなことないよ。......皆、良い人たちだから......」///


まほ「みほ......」ウルッ

まほ「それに比べて私は......鉄の掟、鋼の心が唯一の友......」ドヨーン


みほ「試合前に病まないでっ」


~~~~~

みほ「......ここでいいのかな?」


まほ「ああ、審判団の方々もいらっしゃるしな」


蝶野「......来たわね。今日の試合で審判長を務める蝶野よ、よろしくね!」ニコッ


みほ「はい、よろしくお願いします!」


まほ「よろしくお願いします。......」

まほ「......?、蝶野教官は10式には乗らないのですか?」


蝶野「ん?あっ、ええ。本当は私が車長をすべきだったんだけど、今東富士演習場にいる自衛官で、戦車道の試合の審判を務めたことがあるのが私だけで......」

蝶野「それで今回は、どうしても一度10式に乗ってみたかったと仰る方が代理で搭乗されるわ」

蝶野「私より練度は格段に上だから、気をつけてね!」


みほ(教官より練度が高いって......誰だろう......?)


まほ「......」(一般人か?いやそれだと練度が高いわけがない、だとすれば戦車道関係......)

まほ(んっ、誰か歩いてく......る............)(顔面蒼白)


スタッスタッスタッ

しほ「今日の試合で10式に搭乗する西住しほよ、よろしく」


みほ「アッハイ、ヨロシクオネガイシマス」


まほ「よろしくお願いします」(後でみほにあんこう踊り習わないと......)


しほ「大丈夫よ二人とも。あくまでも私は代理」

しほ「仮に10式がやられても、あんこう踊りを披露するのは蝶野教官よ」


みほ「そういう問題じゃないっ」


~~~~~

みほ「お母さん、どうして自衛隊として参加しちゃってるの......」ガクガク


まほ「自衛隊は参加車両を1両にする代わりに、その1両を化け物にしてしまったのか......」


みほ「10式に乗ってるお母さんが相手なんて、ラーテにカルロベローチェで挑むようなものだよっ」クワッ


まほ「まあ落ち着けみほ」

まほ「逆に考えるんだ、全国中継であんこう踊りを踊っちゃってもいいさと」


みほ「よくないっ」


まほ「あと言い忘れてたが、エレファントとティーガーⅡを128mm砲に換装したぞ」


みほ「なんの慰めにもならないっ」


まほ「それにだにほ、10式を撃破した暁には......」


みほ「......っ!!」

みほ「蝶野教官の......『あんこう踊り』っ!!」


まほ「そうだ!みほは見たくないのかっ、あろうことか現役バリバリの女性自衛官が、全国に向かって羞恥極まりないあんこう踊りを、ピンクスーツ姿で披露する様をっ!!」


みほ「......やっぱり私たちが負けたほうがいいと思う......世間の反響的に」


まほ「......確かに」


~~~~~

蝶野『......皆様お待たせ致しました。それでは第1回、総火演戦車道親善試合を行います』


みほ(総火演と戦車道のコラボって初めてなんだ、意外......)


蝶野『対戦勢力は「自衛隊」対「高校連合」で、ルールは殲滅戦。対戦フィールドはここ東富士演習場となっており......』


みほ(うぅ~、今更ながら緊張してきた......)カタカタ


蝶野『......なお、参加車両につきましては戦車道連盟の規定を特別に控除して頂いており、自衛隊側は戦車道用に改修された10式戦車が......』


華「......大丈夫ですよ、みほさん」ポンッ


みほ「華さん......」


沙織「そうだよ!みぽりんとお姉さんが一緒のチームなんだから、きっと大丈夫だよ!」


優花里「そうであります!大学選抜戦でも、最後は姉妹二人で敵を討ち取ったではありませんか!」


麻子「それにもし負けても、黒森峰はともかく私たちは一度プラウダ戦であんこう踊りを披露している」


沙織「も~麻子ったら、負けたときのことを考えないでよ!」プンプン

沙織「それにあのときは普通の服だったからまだよかったけど、今回はそうもいかないんだからねぇ!」


麻子「すまない。......だがこれで、みほの精神的負担は少しは改善されたはずだ」


みほ「ふふっ、そういえばそうだったね......よしっ」

みほ「ありがとう!優花里さん、沙織さん、華さん、麻子さん」

みほ「私この試合......絶対に勝ちたいっ!」


沙織「その意気だよっ!」


華「私が10式戦車を仕留めてみせます」


優花里「私たちで自衛隊を倒すなんて......ひゃっほぉぉぉぉ!!最高だぜぇぇぇぇ!!」


麻子「ドリフトだろうが片輪走行だろうが任せておけ」


蝶野『......と言うわけで、そろそろ試合開始時刻となります。お客様におかれましては、前方に設置されておりますモニターにご注目下さい』


沙織「......!みぽりん、お姉さんから通信が!今繋ぐねっ」ピピッ


まほ『......みほ、聞こえるか』


みほ「うん」


まほ『恐らくこの戦いは、これまでに経験したどの試合よりも険しく、困難を極めたものになるだろう』


みほ「......」


まほ『だが心配するな。相手にはあの西住流が一人いるが、私たちには二人いる』


みほ「うん......」


まほ『......ここで、私たちが西住流として一人前であること......それを証明しよう』


みほ「......うんっ」ジワッ


まほ『......それだけだ』ピッ


優花里「......不肖秋山優花里、少しだけウルッときちゃいましたぁ」


沙織「私も......お姉さん、やっぱり凄く格好いいね!」


みほ「うん......たまに駄目駄目な方向に突っ走ったり、抜けてるところも多いけどね」


華「ふふっ、みほさんにそっくりですね」


みほ「えっ、そ、そうかな......///」


麻子「お互いに信頼しあい、切磋琢磨しあえる関係......私はとても羨ましい」


みほ「麻子さん......」


蝶野『試合開始まで、10、9、8......』


麻子「......そろそろだな」


みほ「うん。......私たちなら勝てるよ、きっと」

みほ「信じてる。皆を......お姉ちゃんを」


蝶野『......3、2、1』

蝶野『試合開始っ』


みほ「行きます!」

みほ「パンツァーフォーッ!!」


今回はここまで。

次回からやっと戦闘シーンに移ります......が、文字だけで上手く表現できるか正直自信が......orz
おかしいところがあったり要望があればバンバンお書き下さい

それでは~


携帯からでも投稿できると聞いたのでテスト

見えてるぞ
Androidスマホからならアプリ使うとええぞ


>>118
見えているようで安心しました、ご返答ありがとうございます

これからは投稿しやすい携帯からの投稿でいこうと思います


─────

試合開始時両軍戦力

高校連合・28両
自衛隊・1両

隊長車(みほ搭乗車)・Ⅳ号戦車D型改(H型仕様)
副隊長車(まほ搭乗車)・エレファント(128mm砲搭載)



※試合中の描写と東富士演習場の構造が若干異なる場合がありますが、そこはどうか目を瞑って下さい


みほ「それでは作戦通り、全車前方の高台の右側に集結します」

みほ「各車両はつねに周囲を警戒し、相手を見つけたらすぐに射撃出来るように中速で進んで下さい」


各車『了解』


キャラキャラキャラキャラキャラキャラ……


みほ「……」

みほ(今回の敵はこれまでとは訳が違う。勿論これまでも苦しい戦いは沢山あった、でも……)

みほ(この緊迫感、この圧迫感……。敵にしてはいけない者と相対してしまったかのような絶望……)

みほ(流石西住流家元当主、戦う前から敵の戦意を削ぐなんて……)ダラダラ


まほ『……』チラッ

まほ『……やはりか』

まほ『みほ、案の定マウスが戦列から脱落しかけている。どうする』


みほ「え?あ、マウスが……」

みほ「……マウス前方を走行しているパンター2両は、マウスの後方に回って押してあげて下さい。少しでも高台到達を早めます」


パンター1『了解』


パンター2『了解!』


ガンッガガガガガッ


みほ「ふぅ」(マウスが高台に到達するまであと1分くらいか……)


優花里「そういえば西住殿、相手はどこがスタート位置なのでありますか?」


みほ「えっと、確かここから南東に2㎞離れた地点だったかな」


優花里「2っ、2㎞でありますか?」

優花里「西住殿っ、相手の射撃翌有効範囲は2㎞、つまり相手は試合が始まってすぐにでも射撃が可能であります!」

優花里「今の周囲を警戒しながらの車両速度だと我々はいい的であります!高台にたどり着くことだけを考え、最大速度で進むことを進言しますっ」


みほ「……確かに行進間射撃だと、威嚇にはなるけどお母さんが怯むとは思えない……」

みほ「……各車に通達。これより、周囲の警戒は継続しつつ最大速度で高台へ向かって下さい」

みほ「全車が高台右斜面に到達し次第、複数台による偵察行動を───」


───バァァン……

……ッズガァァンッ!!(シュパッ)


みほ「!?」


まほ『!?』


蝶野『ティーガーⅡ、走行不能っ』


みほ「えっ!?どっ、どこから……」


まほ バッ(双眼鏡)『……』

まほ『……9時の方向に敵を確認。稜線射撃と認む』


みほ「!!、あの距離からっ」


優花里「あぁ、やっぱりきちゃいましたぁ!」


華「初弾から当ててくるなんて……」


バァァン……


エリカ『第二射っ!!』


……ッズガァァンッ!!(シュパッ)


蝶野『ヤークトパンター、走行不能っ』


ヤークトパンター車長『ふぇぇ、すみませ~ん!』


みほ「っ……!」


沙織「みぽりんっ、このままじゃ……!」


優花里「とにかく、10式からの攻撃を避ける為に早く高台へっ!」


みほ「……高台到達組は10式付近に一斉射、土煙で相手の視界を奪って!」

みほ「未到達組は全速で高台へっ!!」


ドンドンッドンドンドンッ

……ババババァァァン……


みほ(土煙が晴れるまで約10秒、なんとか全車……っ!!)

みほ(しまった、マウスとパンターが……!!)

みほ「高台組は射撃を継続、マウスは出来る限り急いで下さい!」


バンバンバンッ

ババァァァン…………


マウス車長『あぁ~んもう!もっと痩せなさいよマウマウッ!!』


パンター1『重いぃぃぃ……』ガガガガッ


まほ『……距離約1800mから初弾を当ててくるとは……』

まほ『みほ、遠距離では我々が圧倒的に不利だ。どうにかして接近の機会を伺わなくては……っ!!』

まほ『敵は隣の丘に移動っ、既に照準を合わせているぞっ』


みほ「!!」(土煙を避ける為に隣に……でも、なんて速さ……!)

みほ(マウスとパンターはもう……)


マウス砲手『おいっ、10式がこっち見てるぞっ!』ガクガク


マウス車長『くっ、これまでか……いやっ、せめてパンターだけでも……っ!』

マウス車長『おいパンター!2両とも私らの右側面に隠れろっ』


パンター2『なっ、そんなことをしてたら、お前らが高台につく前にやられるぞ!』


パンター1『私たちが頑張って押すから!』


マウス車長『マウスのスピードじゃ押されても間に合わないっ、それにパンターだけで高台に向かおうにも、途中で必ず撃破されるっ!』

マウス車長『敵の砲撃が止むまで、私たちを盾に……!』


……ッズガァァンッ!!(シュパッ)


蝶野『マウス、走行不能っ』


パンター1『マウマウゥゥゥ!!』


パンター2『くっ、すまないマウスッ』キャラキャラキャラ……


みほ「パンター2両はその場から動かないで、身を隠し続けてっ」

みほ(……側面とはいえ、マウスの装甲を一撃で……)


………………


カエサル『……敵からの砲撃、止んだぞ!』


まほ『敵を視認出来ず。一旦退いた模様だ』


みほ「了解、パンター2両は今のうちに高台へ」


パンター1・2『了解っ』タスカッタ…


みほ「10式の正確無比な射撃、どうすれば……優花里さんはどう思う?」


優花里「そうですねぇ……10式戦車は完璧な射撃統制システムが備わってますから、ちょっとやそっとのことじゃ外さないと思います」

優花里「何かの衝撃で照準をぶらすとか……いや、高度なシステムですぐに修正されちゃいますし…」ウーン

優花里「……いっそのこと、砲身を曲げたりできたらいいんですけどねぇ」ヘヘッ


みほ「……っ!」


沙織「もー優花里ったら、そんなこと出来たら誰も苦労しn」


みほ「ありがとう優花里さんっ!」


優花里「えっ?」


沙織「え?」


みほ「これなら、10式の精度をどうにかできるかも!」

みほ(ちょっと現実味はないけど、やるしかない……!)


優花里「流石西住殿ですっ!あの10式に対抗できる作戦を思い付くとは!」


麻子「マウスの時のような無茶苦茶な作戦じゃなければいいが」


沙織「基本的にみほの作戦って、結構実現難易度高いもんね……」


みほ「これより、10式の注意を引き付ける陽動部隊を編成します!」


みほ「Ⅲ号戦車J型とアヒルさんチームは、先程10式戦車がいた付近まで偵察に向かって下さい」

みほ「接敵して注意を引いたら、私が指示する方向に一目散に逃げて下さい」


Ⅲ号『了解』


典子『八九式!出番だぞ!』バンバン


みほ「偵察隊以外は駆逐戦車隊と通常戦車隊に分かれます」

みほ「駆逐戦車隊はおねe……まほ副隊長、通常戦車隊は私が率い、これから向かう場所にて待機します」

みほ「詳しい作戦指示は各自が位置に着いてからお伝えします」

みほ「……それではこれより『ぶれぶれ作戦』を開始します!移動を開始して下さい!」


一同『オーッ』


今回はここまで。

次回の更新は恐らく明日の夜になるかと


キャラキャラキャラ…


華「……やっぱり、10式戦車は噂に違わぬ高性能ぶりですね」


沙織「たったの30秒で3両もやられちゃうんだもん、びっくりしちゃったよ!」


みほ「私も……まさか試合開始1分ですぐに撃ってくるとは思わなかったな」


優花里「先ほど各車両がやられた時に被弾した箇所を見たのですが、全車ど真ん中に被弾痕がありました!10式の砲手は相当な練度ですぅ!」


華「お相手は現役の自衛官ですから、練度も私どもとは比べ物にならないでしょうから……」


麻子「……聞いたところによると、スラローム射撃も出来るらしいな」


沙織「ス、スラ……なんて?」キョトン


みほ「スラローム射撃、簡単に言えば走りながら相手に射撃する技……かな?」


優花里「そうですっ、10式戦車は通常の射撃精度も去ることながら、ジグザグ走行や後進間射撃など、特殊な状況下での射撃精度も超一流なんです!」


華「アヒルさんチームみたいですねぇ」


沙織「あれは技術というより根性だから……」


みほ「ふふっ、私たちも今度射撃のコツ、アヒルさんチームに教えて貰おっか!」


華「……みほさん、今の私では不満だと仰るのですか……?」ドヨーン


みほ「えっ!?いっいや、そうじゃなくて、走りながら当てる方法というか……」アタフタ


沙織「……!みぽりん、お姉さんからだよ!」ピピッ


まほ『みほ、全車B-n高地稜線裏に隠れた。次はどうする?』


みほ「えっと……今お姉ちゃんがいる丘、その前の丘の頂上に10式を誘導……出来るか分からないけどするから、128mm砲を積んでる中で一番精度がいい駆逐戦車1両だけに稜線射撃の準備をさせてて」


まほ『分かった……』チラッ


128mmを積んでいる戦車
ヤークトティーガーと自身のエレファントのみ


まほ『……』

まほ『……よし、ヤークトティーガー。頼んだ』


ヤークトティーガー車長『えっ、わ、私たちですか!?』

ヤークトティーガー車長『西住副隊長のほうが、車両指揮は得意───』


まほ『実はエレファントの指揮は初めてでな、いつも駆逐戦車に乗っているお前たちにお手本を……と思った次第だ』


まほ『……やってくれるな?』


ヤークトティーガー車長『は、はい!』(ちょっとやだ……そんな声で頼まれたら、私……///)


ヤークトティーガー砲手『ちょっと!なんで承諾しちゃうの!』(責任がぁぁ……)


ヤークトティーガー車長『(まほさんに頼まれたのよっ、仕方ないでしょ!)コソコソ』


まほ『みほ、精密射撃する車両はヤークトティーガーに決定した』


みほ「了解」(お姉ちゃん、押し付けたんだね……)


まほ『……それで、10式が丘に来たらどうするんだ?』


みほ「10式が来たら、私たち通常戦車隊をわざと10式に発見させます。恐らくその瞬間、10式は私たちがいる方向に注意を向けるはず」


みほ「……その一瞬を突き、ヤークトティーガーは稜線から砲だけを出し、見つからないように10式を照準。10式の『砲身』に128mm砲弾をぶつけて下さい」


まほ『りょうか……えっ?……いま砲身と言ったか?車体ではなく?』


ヤークトティーガー砲手『!?』


みほ「うん……10式戦車の最大の脅威、それは『百発百中の射撃精度』だと思う。砲身を少しでも変形させることで、その精度を奪います」

みほ「こんな作戦を決行できるのは今回限り。次からは警戒が強まり、砲身の狙撃なんて絶対に不可能になる」

みほ「それに相手はあの10式。装甲圧も分からないし……。無闇に車体を攻撃して弾かれるよりは、やっぱり砲身を狙った方がいいと思う」


まほ『しかし……』


みほ「……とても難しい任務だと思う。でも、この作戦が成功すれば、次からの作戦はグッと楽になると思う」

みほ「それに少なくとも、10式が得意とする走りながらの射撃は困難になる」

みほ「遠距離からの精密射撃については、相手は現役の自衛官だから、砲が変形しようが普通に当ててくると思うけど……」

みほ「……こんなことを頼むのは無理強いだと思うけど……お姉ちゃんの指揮がないと難しいの!お願い!」


まほ『……』

まほ(私がいないとこの作戦は難しい=私は今みほに頼られている=みほに姉力をいかんなく見せつける=お姉ちゃん大好きー!)

まほ『……分かった。必ず成功させる』


みほ「うんっ、お願いします!」


ヤークトティーガー車長『……とんでもない大役だな、私たち……』


ヤークトティーガー砲手『もうどうにでもなれ!』ヤケ


優花里「……西住殿、何故1両だけなのでありますか?複数で射撃すれば相手にもダメージが蓄積するかと思われますが……」


みほ「うん、私もそれを考えたんだけど……」

みほ「複数で丘から出た場合の被発見リスクを考えると、ちょっと……」


華「確かに、見つかったら砲身を狙撃する前に動かれてしまいますものね」


優花里「なるほど……確かにそうでありました!」

優花里「ヤークトティーガーは大役ですねぇ」

優花里(……あれ、ヤークトティーガーって砲精度良かったでありますか……?)


~~~~~


10式車内


しほ「……あなた、砲手になってどれくらいなの?」


10式砲手「はいっ、3年と6ヶ月ですっ」(や……やっぱり西住流当主の貫禄半端ない……)ガクガク


しほ「C4Iシステムを始めとする、冷房以外のほとんどの機器を切ってるにも関わらず、1800mの狙撃を完璧にこなすとは正直思わなかったわ」(はぁ……冷房は乗員仕様じゃないのね、残念……)


10式砲手「それは……この戦車の照準器が素晴らしいから……ですかね?」

10式砲手「……あっ、もっ勿論、私も訓練を積んでおりますのでっ」


しほ「ふふっ、やはり現役の自衛官の腕は相当なもの……これからもその調子でね」

しほ「……操縦手」


10式操縦手「はいっ」


しほ「私たちの居場所が相手にばれた以上、これからは常に周りに気を配らなければならない」

しほ「相手車両で気にすべきなのは、128mmを積んでいるヤークトティーガー、ティーガーⅡ、エレファントぐらいだけど……他の車両の砲撃にも同様に気を配って。慢心から綻びは生まれるものよ」


10式操縦手「了解っ」(1800m離れた車両を一目見ただけで砲口径まで分かるなんて……やっぱり西住流って凄いんだなぁ)


しほ「……」

しほ(側面にさえ注意していれば、正直128mmだろうがなんだろうが10式の装甲を抜くことはほぼ不可能。だけれど……)

しほ(防御力以前の問題として、大質量弾による一斉被弾の衝撃は侮れない……注意しないと……)


10式砲手「……あの、しほ殿」


しほ「なにかしら」


10式砲手「何故冷房以外のほとんどの機器を切ったのですか?それも射撃統制系統を全部」


しほ「……あなたが観客だとして、自衛隊が保有する最強戦車が、高校生相手に大人気ない無双を繰り広げるだけの親善試合を見て、どう思うかしら?」


10式砲手「……あまりよろしくないと思います……絵面的に」


しほ「この試合はあくまでも、総火演の一環の親善試合。テレビ中継を見ている人々、実際にこの会場で観戦している人々、それらを楽しませなければならない」

しほ「勿論、手を抜いている……と言うことではない」


砲手・操縦手(世間の風当たりまで気に出来るあたり、大人だなぁ)

砲手・操縦手(……蝶野一等陸尉なら機器全部つけるだろうなぁ)


しほ「それに……西住流である私が言うのもなんだけど、今回に限ってはさほど勝ち負けは気にしていないわ」


砲手・操縦手(それはあんこう踊りが懸かってないから言えるんじゃ……)ナミダメ


しほ「彼女らがどのように10式に立ち向かうのか……この場から見届けさせて貰うわ」

しほ(……まほ、そしてみほ。……この私を越えてみなさい)

しほ「……3時に敵斥候らしき車両、砲手の判断で随時射撃開始」


10式砲手「了解っ」


バァァンッ


しほ「進路を西北西から北北東に変更。あの車両群を追って」


10式操縦手「了解」


ギャララララッ


しほ「……」(ただの偵察の可能性もあるけど、あの動き……おそらくこちらを引き付ける為の囮)

しほ(……ここはわざと引っ掛かって、あの子たちの見せ場を盛り立てないといけないわね……我ながら親馬鹿だわ)

しほ(パフォーマンスは段取りが肝……それに)


チラッ(C4Iシステム)


しほ(……楽しみは後に取っておくものなのよ───)


今回はここまで

明日の夜に更新したあと、もしかしたらしばらく更新が滞るかもしれませんが、失踪ではないので安心して下さい

では


キャラキャラキャラ…


Ⅲ号戦車車長「……ん?あれじゃないか?」


典子「えっ、どこどこ?」キョロキョロ


Ⅲ号戦車車長「ほら、二つ丘を挟んだ平地……」


典子「……えっ!?もうあんなとこまで!?」


妙子「流石10式戦車、時速70㎞はだてじゃないですね!」


Ⅲ号戦車通信手「……こちら偵察部隊。目標を確認、ただちに目標との接触を……って……」

Ⅲ号戦車通信手「……ぅうわあぁぁぁぁ!!こっち見てるぅぅぅぅ!!」


バアァン……


Ⅲ号戦車車長「発砲炎確認っ!!停止ぃぃぃ!!」


ギキィィィィ

……ッヒュンッ……


Ⅲ号戦車車長「た……助かった……」ヘナヘナ


妙子「……っ!こっちにきてますよ~!」


忍「……速いっ!」


あけび「キャプテン!西住隊長からの指示はまだですかぁ~っ!」


典子「も、もうすぐだと思うんだが……」オロオロ


ピピッ


みほ『こちらみほ、10式の動向は……』


典子「こっちに凄いスピードできてるぞっ!!追い付かれるぅ!!」


Ⅲ号戦車通信手「ど、どこにいけばいいですかぁぁぁ!!」


みほ『Ⅲ号はそこから北東にあるB-s高地頂上に向かって下さい!追加指示を待って!』


Ⅲ号戦車通信手「了解ぃぃ!!」


みほ『アヒルさんは途中までⅢ号と並走、その後Ⅲ号を追い抜いてB-s高地手前で南に撤退、通常戦車チームと合流して下さいっ』


典子「根性ぉぉぉぉっ!!」


みほ『私たち通常戦車隊は、B-s高地頂上から僅かに覗く平野部を南西から北東に向けて駆け抜けます。10式に見つかったあとに攻撃されることが予想されるので、全車ジグザグに走行して下さいっ!』


通常戦車一同『了解っ!』


みほ『駆逐戦車隊はヤークトティーガーによる狙撃後、作戦の成否に関わらず全車北進。D高地裏に向かって下さいっ!エレファントのみ、今から先に向かって下さい 』


まほ『了解っ』


みほ『10式による追撃を受けた場合は、ヤークトティーガーを除く全車で、こちらの合図があるまで10式に稜線を越えられないように足止めして下さいっ、128mmを失うわけにはいきません!』


駆逐戦車一同『了解っ!』


~~~~~


ケイ「へぇ~、10式でも外すことあるのねぇ」パスタムシャムシャ


ナオミ「……いや、あの砲塔の挙動……おそらく、車両を自動追尾するシステムをoffにし、手動で狙っているように見えます」


ケイ「えっ?それって最初から?」ムシャムシャ


ナオミ「えぇ、恐らく」(10式戦車の砲手、時速70㎞で不整地を走行していて尚あの精度……流石現役自衛官……!)


ケイ「えぇっ!?じゃあ最初の3両撃破の時も!?」

ケイ「手動であの精度って、クレイジーよっ!」


アリサ「……」

アリサ(なんとか放送局の気球に混ぜて傍受気球を打ち上げることは出来た……けど)

アリサ「……流石に小細工なんて通用しないわよね……」(無線傍受機片手に)


パシッ


アリサ「あっ」


ケイ「アリサ?みほたちを助ける為だとしても……傍受は駄目よ?」ニコッ


アリサ「イエスッマムッ」ビシィ


~~~~~


まほ「……そろそろくるぞ。ヤークトティーガーは微速前進用意」


ヤークトティーガー車長「ここが一世一代の大勝負っ」


ヤークトティーガー砲手「なるようになるっ!」


みほ『……Ⅲ号はB-s高地通過後、東南東方向の稜線を越えるように撤退』キリッ

みほ『Ⅲ号をこちらが確認次第、通常戦車隊は前進を始めます!』キリリッ


優花里(今日の西住殿、半端なく格好いいでありますぅ……///)


Ⅲ号戦車車長『助けてぇぇぇぇ!!』


ブウゥゥゥゥン


まほ「……Ⅲ号の後方に10式を確認……ヤークトティーガー、前へ」


ヤークトティーガー車長「やったるぞっ!」


ヤークトティーガー砲手「…」カタカタカタ


ヤークトティーガー車長「シャキッとせいっ」バンッ


ヤークトティーガー砲手「あうっ」


キュラキュラキュラ……


Ⅲ号戦車車長『うりゃぁぁぁ!!』ズバァァァン(シュパッ)


蝶野『Ⅲ号戦車J型、走行不能っ』


みほ『あっ……さっ、Ⅲ号視認!全車前進っ』


Ⅲ号戦車車長『あ……あと1秒丘を越えるのが、早ければ……』ガクッ


キャラキャラキャラキャラキャラキャラ…


まほ「……ヤークトティーガー、10式は見えるか?」


ヤークトティーガー砲手「もうバッチリ見えます」(真顔)


ヤークトティーガー車長「10式はB-s高地頂上にいますっ」


ヤークトティーガー車長「……あっ、10式が砲塔を通常戦車隊に向けていますっ、今ならっ!!」


まほ「よし……ヤークトティーガー、照準を合わせ、撃てっ!」


ヤークトティーガー車長「撃てぇぇ!!」


ヤークトティーガー砲手「ああぁぁぁあぁあぁぁ」(錯乱)


バアァァァンッ!!!


ッガキィィィィンッ


ヤークトティーガー砲手「あ……」


ヤークトティーガー車長「あぁ……」

ヤークトティーガー車長「当たったぁぁぁっ!!」ダキッ


ヤークトティーガー砲手「ああぁ……」(放心)


まほ「良くやった!!ヤークトティーガーは今すぐ後退っ、駆逐戦車隊はD高地に急げっ」


みほ『こちらみほ、10式の射撃が逸れましたっ、ということは……』


まほ「あぁ、ヤークトティーガーによる砲身射撃は成功だ!」


みほ『やったぁっ!!……あっ、ごほんっ』

みほ『了解っ、駆逐戦車隊は速やかにD高地へ!』

みほ『10式戦車撃破作戦第一段階、ぶれぶれ作戦は成功ですっ!』


~~~~~


アンチョビ「……!?おっおい今なにがあったぁ!?」


ペパロニ「ヤクトラが10式に射撃しただけじゃないっすかぁ~?」


アンチョビ「いや、なんと言うか……10式の車体じゃなくて砲身に当たった……よな?カルパッチョ」クルッ


カルパッチョ「たかちゃん……頑張ってっ……私がついてるよっ!!」フルフル


アンチョビ「……」クルッ

アンチョビ「……ん~、気のせいなのかなぁ~」

アンチョビ「あっ、10式が後退してる……って速っ!あれ後進だよなっ!?」


~~~~~


ッガキィィィィンッ

バアァァァン……


10式砲手「んなっ……!?」


しほ「砲身が……」


10式砲手「射撃弾、ティーガーⅡ後方2mに着弾っ……照準を狂わされました!」


しほ「なるほど、10式の精度を狂わせる為に……」


10式操縦手「衝撃からして128mm砲、8時の方角から撃たれたようです」


10式砲手「追撃しますか?」


しほ(……恐らく左の丘の向こうには複数台の戦車が待機している。ここで何両か撃破するのもいいけど、前方にいた戦車隊の進路から考えて合流、或いは挟撃態勢を整えようとしているはず……)

しほ「……いくら10式でも、流石に挟撃は避けたいわね」

しほ「一度C-e高地に退くわ。全速後退」


10式操縦手「了解っ」


ギュルルルルンッッッ


しほ(……なんだか、西住流らしくない戦い方になっちゃうわね……)


今回はここまで

次の更新は最悪でも2週間後にはしたいです(時間があれば短くちょくちょく更新するかも)

では


そもそもどこと通信してるんですかね?


>>195
ネタバレになるので詳しくは話せませんが、しほは後にどこかしらと通信します

どちらにしろ、アリサの傍受機の出番はもうないかと……


みほ「……それで、10式の動きは?」


典子『えーっと、凄い速さでバックしてる……のか?』

典子『とにかく、私たちから離れてってる!』


みほ「了解、また動きがあったら知らせて下さい」


典子『りょ~かいっ』


みほ「……はぁ、お母さんなら駆逐戦車を追いかけると思ったんだけど……」


麻子「まさか一度退くとはな」


優花里「しほ殿、今回は西住流らしからぬ慎重な戦いぶりですねぇ……」


みほ「うん、普段のお母さんならその技量を持って敵集団に殴り込んだりするんだけど……」


みほ「おかげで、駆逐戦車隊と通常戦車隊の挟撃は出来なかった……」


華「……みほさんのお母様のことですから、そこまで読んでいたのでは?」


麻子「ありえるな」


沙織「そうだよっ、西住流の当主なんだから、そんなに簡単には倒せないよ!」


優花里「またしほ殿を驚かせるような作戦を、皆で考えればいいんです!」


みほ「み、皆……」

みほ「……うんっ、今度こそお母さんを倒せるような作戦を考えよう!」


あんこうチーム「おーっ!」


~~~~~


試合開始20分後残存戦力

高校連合・24両
自衛隊・1両(照準に支障?)


みほ「……それでは、10式戦車撃破作戦第二段階の作戦説明を行います」

みほ「次に行う作戦は、『ぼこぼこ作戦』です!」


一同『オ~ッ』……


杏「……と言うと?」


みほ「えっと、この作戦は128mm砲を搭載した車両……つまり、『ティーガーⅡ』『エレファント』『ヤークトティーガー』が肝となる作戦です」


ヤークトティーガー車長「また私たち重要なポジションだよっ」


ヤークトティーガー砲手「勘弁してぇぇ……」ガクガク


エリカ「遂に私にも活躍の時が……!」


まほ「エレファントの射撃指揮は初めてだが、上手くやらねば……」


みほ「それでは作戦を説明します───」


みほ「───と、言う感じです」


まほ「……ふむ。簡単に要約すると、先程言った3両で待ち構えた場所に10式を誘い込み、128mm砲で10式の後部エンジンを狙えばいいんだな?」


みほ「うん。3両は三角形型に配置するから、その中に入ってしまえば少なくとも1両は後部を狙える状況になるし」

みほ「……貫通しなかったらしなかったで、更に作戦を考えないといけないけど……」


優花里「128mmで背面を撃ち抜けなければ、最悪マウスの時のようなことをしないといけませんねぇ……」


杏「いやいやいや、流石に西住家当主はそんな手には乗らないと思うよ?」


沙織「ヘッツァー1両くらいすぐに迎撃されちゃうよね……」

沙織「……って言うか、あの射撃の威力はなんなのよ!?マウスを一撃で"射止めちゃう"なんて───」


麻子「……沙織、"射止める"は恋愛上の表現で、正確には"仕留める"だ」


沙織「なんでそんな訂正するのよ!」


みほ「この作戦では再び10式を誘導しなければなりません。でも、さっき一度引っかけたので相手の警戒は高いものになっている筈……」


沙織(ウワォ華麗なスルー)


みほ「なので、この作戦では『逃げている演技』をしながら上手く誘導してみようと思います」


澤「逃げている、演技……ですか?」


みほ「うん、今回10式を誘導するのは速度の速い偵察車両じゃない……駆逐戦車以外のほとんど全車両で10式と接触、その後歯が立たないといった様子を醸し出しつつ、慎重に退いていきます!」


まほ「なるほど……だが、そう簡単にお母様が追撃に転じるか、それが心配だな……」


杏「それは確かに言えるかもねぇ」ムシャムシャ


柚子(会長、どこからほしいも出してるんだろう)


みほ「では、その辺りをもう少し踏み込んで、もう一度練り直しを───」


みほ「───長くなりましたが、ここまでを踏まえてなにか質問は……」


桂利奈「はいは~い!」


みほ「はい、桂利奈さん」


桂利奈「よく分からなかったのでもう一度お願いしますっ!」クワッ


一同『ポカーン』


みほ「えぇっ?、えっと……」


あや「あとで私が教えてあげるからっ!すみません隊長、続けて下さぁい」


宇津木「もー桂利奈ちゃん空気読めなさ過ぎぃ」


桂利奈「え、えぇ!?」


みほ「えっと、それでは次の方、質問は……」


エリカ「ちょっといいかしら?」


みほ「はい、エリカさん」


エリカ「単刀直入に言うけど……もし10式が三角形の中に入ってこなかったら、その時のことは考えてあるの?」


みほ「……はい。そうなった場合に備え、あらかじめⅣ号駆逐戦車、カメさんチーム、カバさんチームによる予備包囲網を構築しておきます」

みほ「今言った計8両は2手に分かれ、10式が通る予定のルートを挟むように待機」

みほ「もし10式が作戦に気付き左右どちらかに進路を変更したら、迫ってくる側の4両は足回りを集中砲火。もう片方の4両は10式の背面を狙って下さい」

みほ「あくまでも予備的な作戦であり、火力も75mmが主なので効果は薄いかもしれませんが……」

みほ「流石の10式でも挟撃されれば少しは狼狽えるはず……そこを狙います」


エリカ「……なるほど、そこまで考えてるんなら、もう何も言うことはないわ」


まほ「……」(こんなにスラスラと作戦概要を思いつき、実行に移すとは……)

まほ(……もう、私などとっくに越していたのかもしれないな……お姉ちゃん寂しいよ)


みほ「……どちらにしろ、10式の背面に射撃を命中させなければ意味がありません」

みほ「各自集中して作戦に臨んで下さいっ」


一同『コクッ』


沙織「コソコソ(戦場でのみぽりん、やっぱり普段の生活からは考えられないくらい別人になるよね)」


優花里「コソコソ(今回は相手がお母様であることも相まって、いつもより軍神力が強い気がしますっ)」


沙織「(……なにその軍神力って)」


優花里「(不肖秋山優花里、勝手に名付けさせて頂いた西住殿の本気度のことでありますっ)」


沙織「(……ふぅん)」


みほ「……それでは、質問の受付を終りょ……」


まほ「あっ、みほ」


みほ「お姉ちゃん?」


まほ「その、作戦自体への質問じゃないんだが……」

まほ「……その物騒な作戦名の由来はなんだ?」(だいたい察しはつくが……)


みほ「え?これは、10式をボコられクマのボコみたいにぼこぼこにするからだよ?」


まほ(……可愛い)


エリカ(怖いっ)

エリカ(なんでそんな『えっ?当然のことなんだけど?』みたいな表情で物騒なことを平気で言えるのよ!可愛いから許すけど!)


みほ「……それでは各自所定の位置について下さい」

みほ「パンツァーフォー!」


とりあえずここまで

また夜に書き溜めた分を放出します


《高校連合誘導部隊》
ティーガーⅠ
パンター6両
自動車部チーム
ネトゲチーム
風紀委員チーム
一年生チーム
あんこうチーム
アヒルさんチーム
計13両


キャラキャラキャラ…


みほ(戦闘が始まってからまだ30分しか経ってないけど、既に10式と私たちの練度の差は十分身に染みた)

みほ(これ以上数を減らされる前に、出来ればこの第二段階で一気に勝負を決めたい……)

みほ「……各自配置に着きましたか?」


まほ『こちらエレファント、迷彩ネットの準備完了』


エリカ『こっちも上手く隠れたわ』


ヤークトティーガー車長『そこら辺に生えてる草を被せたから、多分大丈夫……なはず』


Ⅳ号駆逐戦車4『こちら予備包囲網下部、4車とも配置完了しました~』


杏『したぞ~』


Ⅳ号駆逐戦車1『こちら予備包囲網上部、こっちもOKです!』


エルヴィン『配置完了した!』


みほ「了解、これから誘導部隊は10式を挑発・誘導します。各自気を引き締めて下さい!」


一同『了解っ』


みほ「パンター6両は少しだけ先行して、10式を発見して下さい。向かってきた場合は全速後退、向かってこない場合は発砲で挑発をお願いします」

みほ「……それと、10式がどうしても向かってこない場合はその場合の作戦がありますので、そうなったらお伝えします」

みほ「それでは、ぼこぼこ作戦を開始します!」


パンター4『10式を発見っ』


沙織「速っ!」


みほ「え~っと……パンター4、敵の状況は?」


パンター4『約1000m離れた平地を左に移動中、多分まだ気付かれていません!』


みほ「了解……今パンター4がいる稜線に全車登坂、こちらがほとんど全部隊で来ていると錯覚させた後に一斉射撃、相手の出方を見ます」


キャラキャラキャラキャラキャラキャラ

ザザザッ……


みほ「……全車、榴弾装填。10式の前方に着弾するように各自射角調整」


ガチャガチャ


みほ「……撃てっ!」


バァンバババァァンッ!!

……ドォォォォン……


ティーガーⅠ砲手「10式、こちらに砲を指向中!」

ティーガーⅠ車長「……発砲炎っ!!」


……ッバァァンッ


沙織「うわぁん!やっぱり威力が桁違いだよぅ!」


優花里「でも、当たらなければどうということはないんですっ!」


みほ(……ぶれぶれ作戦が効いてるのか、着弾は近いけど当たらない……)

みほ「よし、全車1つ手前の丘まで後退っ、三角形内に入るまでこれを繰り返します!」

みほ「各車両はただ逃げるだけでなく、『倒そうとしてるけど倒せない感じ』で退却して行って下さいっ」


典子「10式、こっちに向かって来ます!!」


みほ「全車次の稜線に退却、10式が来るのを待って!」


ギャラギャラギャラ


桂利奈「なんで1両相手に逃げてるのぉ!」


あや「そりゃあ……あれ?そう言えばなんで?」


山郷「囲んでも倒せないからじゃない?」


桂利奈「そんなに強いの!?」


宇津木「……確かに今まで戦ったどの車両よりも強いのは否定しないよ?でも……」

宇津木「桂利奈ちゃん、それに皆、さっきの作戦覚えてる?」


桂利奈「……あぃ?」


みほ「全車稜線から頭だけだして、次は通常弾を装填!」


……グワッ(10式が稜線から顔を出す)


みほ「撃てっ!」


バァンバババァァンッ!!

ズドドォォンッ……


華「10式は一度退いた模様……いえ!」


グワァン


華「10式、稜線を越えてこちらに向かってきます!」


みほ(よし、恐らくお母さんも一気に勝負をつけにきてる……!)

みほ「全車、先程と同様に後退っ、出来るだけ相手を引き付けてから───」


ガシャァァンッ!!(シュパッ)


蝶野『パンター6、走行不能っ』


みほ「!!」


優花里「やはり相手は自衛官っ、多少の精度のぶれくらい経験でなんとかなるのかも……!」


みほ「全車後退!次の稜線へっ!!」


優花里「この調子なら、10式を罠に嵌めることが出来るかもしれませんね!」


みほ「うん!……でも油断は禁物、各自射撃翌用意をして下さいっ」


1分後


優花里「……来ませんねぇ」


沙織「流石の10式も、私たちに恐れをなしたんじゃない?だって1対23だよ?負ける訳ないよ~!」


麻子「……だといいがな」


沙織「な、なによ~!」プンプン


麻子「……仮定だが、逆に陽動をしかけられたとしたら?」


沙織「え?」


みほ「……っ!」


みほ「アヒルさんチームは前方の丘まで偵察に!」

みほ「10式がどこにいるのか確認を!」


典子「了解ぃ!」


キャラキャラキャラ……


典子「……」キョロキョロ


典子「……どこにもいませ~ん!」


みほ「!!」

みほ(しまった……さっきの10式の位置だと、まだ予備包囲網にすら入ってない……!)

みほ(と、いうことは……)

みほ「……作戦が、見破られた……!?」


華「え?」


沙織「そ、そんなぁ!」


みほ「い……いや、10式に予備包囲網の存在は知られてない筈……だとしたら最初から作戦には乗っていなかった?……う~ん」


優花里「……あの~西住殿」

優花里「私、心当たりがあるかもしれません」


みほ「え……?」


優花里「さきほど10式戦車を見失った地点なんですが、そこだけ、我々誘導組と上下包囲組の全員が目視できない唯一の場所なんです!等高線地図で確認しました」

優花里「そして驚くべきことに、そこからならば、東富士演習場の僅かな丘陵を利用して、誰にも見つからずに予備包囲網上部組への奇襲も可能なんです!」


みほ「えぇ!?……で、でも、予備包囲網があるなんて、10式には分からない筈……」


優花里「……それが、分かるんですっ」


みほ「え?」


優花里「あくまで仮説の域なのですが……10式が『偶然』あの地点で我々の作戦を見破ったとは思えません」

優花里「考えてみて下さい。この広い演習場で唯一全員から見えない場所で、偶然我々の作戦に気付きますか?」


みほ「た、確かに……」


優花里「そこで私はあることに気が付きました……」

優花里「10式には、我々大戦世代の車両にはないあるシステムが搭載されているんですよ!」

優花里「車両間の迅速な情報のやり取り、それらを元に計算され尽くした戦術を構築することの出来る驚異のシステム!その名も───」


今回はここまで

辻褄を合わせようとするとどうしても説明臭い文章になってしまう……ご容赦願いたい

次回の更新は木曜日くらいです、ではでは


アンチョビ「───C4Iシステムってやつだな」


ペパロニ「……へ?シーフォーアイ?なんすかそれ?」モグモグ


アンチョビ「私も詳しくは知らないが……なんでも、複数台で情報を一瞬で共有できる凄い機械らしい」


ペパロニ「ん?ん~……。まあ、とにかく10式があんな動きをしてるのは、そのシステムのお陰ってことっすね?」ムシャムシャ


アンチョビ「ん~、まあそういう認識でいいんじゃないか?」


チラッ(電光ライブ板)


アンチョビ(……それにしても、高校連合側の車両配置を全て知っているかのような動きだな……C4Iってチートアイテムなんじゃないか?)

アンチョビ(……まあいいか!腹も減ったし……)

アンチョビ「おーいペパロニー、パスタのおかわりを頼───」


カチュ「ちょっと!そこのクルクルウィッグ!」


アンチョビ「へ?」


カチュ「あんた、さっきなんて言った?」


アンチョビ「え?えぇ~っと……、パスタのおかわりを───」


カチュ「その前よっ!」ムキー


アンチョビ「えぇ!?ちょ、ちょっと待ってくれ!え~と……」


ノンナ「……C4Iシステム、と仰いませんでした?」


アンチョビ「あぁそれのことか!それがどうしたんだ?」


ペパロニ「姉さんパスタ持ってきましt」ガスッ

ペパロニ「」バタッ


ノンナ「カチューシャはいま真面目な話をしておられるのです」


アンチョビ「」ガタガタ

アンチョビ「そ……それで、システムがどうかなされましたか?」


カチュ「あなたのさっきの話だと、そのC4なんちゃらって、何台か車両がいる前提でのシステムよね?」


アンチョビ「ん?……あぁ、確かにそうなるかもしれないな」

アンチョビ「それがどうかしたのか?」


カチュ「今、自衛隊側は何両試合に出てる?」


アンチョビ「そりゃあ10式が1両───あ」


カチュ「……やっと気付いたわね。あなたの話通りなら、そのC4Iシステムってのは最低でも2両いないとその真価を発揮しないはず……」

カチュ「でも試合に出ているのは1両のみ。つまり!……えぇっと……」


ノンナ「試合に参加している者が、本来関わってはいけない『外部』と情報を共有している」


カチュ「そっ、そうそうそれよ!流石ノンナだわ!」フフン


アンチョビ「なるほど……つまり、自衛隊がセコいことしてるってことか?」


カチュ「確かにセコいわね。試合中に自分たちで傍受気球を打ち上げるサンダースならまだしも……」


アリサ「クシュン!」


カチュ「流石に最初から外部と繋がってました~なんて、セコいと思わない!?」


ノンナ「全くもってその通りです、同志カチューシャ」


アンチョビ「は、ははっ、そうですね……」(肯定しないとペパロニみたいに粛清されかねん……)ガタガタ


カチュ「ってことで、今からその不届き車両を探しに行くわよ!ノンナ!」


ノンナ「ダー」


スタスタスタスタ…


アンチョビ「……はぁ、プラウダはいつから私の話を聞いてたんだぁ?怖かったなぁ……」

アンチョビ「……あ!おっおいペパロニ!大丈夫か!?ペパロニ───」ユサユサ


~~~~~


一斉榴弾を食らった直後の10式車内


ババババァァァァン……


10式操縦手「うわぁ!」


しほ「……今度はかなりの数ね。本気で私たちを倒しにしたのか、それとも……」


10式砲手「全車稜線裏に退いた模様!追撃しますか?」


しほ「……そうね、追撃はするわ。でも……」


10式砲手「?」


しほ「そろそろこちらの力も見せつけないといけない頃合いね」


10式砲手「!っと言うことは……」


しほ「……『C4Iシステム』を起動する。全ての敵車両の位置を随時把握、作戦を精査し、相手の裏をかく!」


10式砲手「了解っ」


10式操縦手「了解っ!」


ピピピッピッ ブゥゥン


しほ「……こちら10式1号車。応答願う」


2号車車長『こちら10式2号車。問題なくデータリンクは行われていますか?』


しほ「えぇ、問題ないわ」


しほ「……それにしても、C4Iシステムっていうのは本当に凄いわね。相手の車両の位置が全て分かってしまうのね」


2号車車長『勿論です!陸上自衛隊の技術の粋を結集した最新機器ですから!』


2号車車長『それに今回は、より実践に近い状況下で正常に起動するかの実証実験を兼ねていますから、しほ殿にも感謝しております』


しほ「そんなにかしこまらなくてもいいのよ。私もシステムの性能を見てみたかったのだし……」

しほ「それじゃあもう切るわ。またなにかあったら連絡して」


2号車車長『了解ですっ、では』ピッ


チラッ(車内作戦区域モニター)


しほ「……なるほど、かなり大規模な包囲を敷いているわね……」


10式操縦手「先程のように、わざと罠に飛び込んだほうがよろしいでしょうか?」


しほ「いや、そうなんども罠に掛かると、自衛隊がその程度のものだと思われかねない……よし、そこの丘陵を越えたらすぐに左折。稜線に沿って富士山方面に進んで」


10式操縦手「了解」


ズバァァン!


10式砲手「よしっ、パンター撃破!」


しほ「……あなた、もしかして物凄く射撃が上手い?」(砲身が万全ではない状態、尚且つ手動行進間射撃で600m先の車両に直撃弾……)


10式砲手「えへへ~そんなことないですよぉ~///」


しほ「……まぁいいわ」(駄目だ、甘やかしたら実力を発揮できなくなるタイプだわ)


しほ「地形図と比較して、この位置だと相手には気付かれずに、ここにいる駆逐4両の裏に回り込める……」

しほ「……操縦手。私たちがあの稜線を越えた後、相手の全車両が奥の稜線を越えて私たちを目視出来なくなった瞬間、すぐに反転して」

しほ「そして稜線を越え、さっき言った通りに進みなさい」


10式操縦手「了解」


ブゥゥゥゥン


ちょっと短いですがここまで

次回更新は木曜日です(確定事項)

では


お伝えしていませんでしたが、作中の登場人物は全員女性です。
「えへへ~」なんて余裕で許される美女ばかりです、なんの問題もないです(熱い眼差し)

それでは続きです


左衛門佐「……どうやら作戦が始まったようだな」


エルヴィン「うむ」


左衛門佐「我々の任は、討ち漏らした落武者を始末すること……」


エルヴィン「うむうむ」


カエサル「三方からの128mm砲……考えるだけでもめまいがするな」


おりょう「そうぜよ。わざわざ我々が出る幕でもないぜよ」

おりょう「敵は僅かに子鼠1匹のみ。罠にかかればまず生き残れまい」


エルヴィン「うむうむ!」


カエサル「とにかく!我らに西住隊長の後光がさす限り、負けるわけがないっ!」


左衛門佐「その通りだ!」


おりょう「活躍の場は他に譲り、我らは天啓(みほの指示)に従い出来ることをするぜよ!」


エルヴィン(うむ……みなえらくテンションが上がっているな……)


ピッ


エルヴィン「……ん?隊長から全員に対しての無線が───」


みほ『緊急連絡ですっ!全員、10式による奇襲攻撃に最大限の注意を払って下さいっ!』

みほ『詳しくは分かりませんが、相手はこちらの位置を把握しているかもしれません!繰り返しますが、各自最大限の注意を───』


エルヴィン「……これはなかなか不味いことになったな」


左衛門佐「なぁに!この程度の危機は既に何度も乗り越えておる!」

左衛門佐「それに今回は断腸の思いで旗まで降ろしておるのだ!そうそう見つかるわけがなかろう───」


──ッヒュンッ

ズバァァンッ!(シュパッ)


Ⅳ号駆逐戦車1『うわぁぁぁ!?』


蝶野『Ⅳ号駆逐戦車1号車、走行不能っ』


左衛門佐「なにっ!?」


カエサル「どっ、どこから───」


エルヴィン「カエサル!後ろだっ!あそこの稜線に……」


カエサル「なっ」チラッ


(10式戦車)<ハァイ


ドォォンッ

ズバァァンッ!(シュパッ)


蝶野『Ⅳ号駆逐戦車2号車、走行不能っ』


Ⅳ号駆逐戦車2『装填速っ』


カエサル「まっ……不味いっ!10式に照準急げっ!」


エルヴィン「とっとにかく連絡を……」ピッ

エルヴィン「こちらカバ!西住隊長聞こえるかっ」


みほ『こちらみほっ、どうしました?もしかしてそちらに10式が───』


エルヴィン「そうだ!既にⅣ号が2両やられた!今から反撃に移るところだ!」


キャラキャラキャラッ


Ⅳ号駆逐戦車3『く、食らえぇぇ!』


バンッ キィィン──


Ⅳ号駆逐戦車3『はぇぇぇぇ!?硬すぎるぅ!』ズバァァン(シュパッ)


蝶野『Ⅳ号駆逐戦車3号車、走行不能っ』


みほ『だっ、駄目です!今すぐに撤退して下さいっ!いくら高威力のⅢ突でも、10式相手は分が悪すぎます!』


エルヴィン「りょ、了解!」

エルヴィン「おりょう聞いたかっ?撤退するぞ!」


おりょう「むぅ、無念……っ」


ギャラギャラギャラ


左衛門佐「でも、どこに逃げるんだ?」


カエサル「とりあえずここでの生き残りは我々だけになってしまったっ、ならば仲間に合流するしかあるまいっ」


左衛門佐「ここからだと……800m先にいるヤークトティーガーが一番近そうだぞ!」


カエサル「おぉ!128mmなら10式に一矢報いることも出来るかもしれない!」

カエサル「そうと決まれば即行動っ、急いでヤークトティーガーの元へ!」


おりょう「任せるぜよ!」


ブゥゥゥゥンッ


カエサル「……お、おいっ!もっと速く出来ないのか?追いかけて来てるぞ!」


おりょう「無理言わないで欲しいぜよっ、これでも全力ぜよ……っ」


エルヴィン「しかし、かなりの距離があるから追い付かれることはない筈、ヤークトティーガーとはきっと合流できる!」


左衛門佐「そうなれば128mm砲の鉄槌が10式に降り下ろされる!騎馬では鉄砲には勝てぬのだ!」


一同「「「はっはっはっはっ───」」」


ッバァァン───

──ッズバァァンッ!(シュパッ)


左衛門佐「うわぁぁっ!」


エルヴィン「なっ、なんだ!?弾が当たったのか!?」


蝶野『Ⅲ号突撃砲F型、走行不能っ』


カエサル「あ、あの距離から当ててくるとは……グフッ」バタッ


おりょう「む……無念、ぜよ……」グテッ


エルヴィン「まさか一撃で倒されてしまうとは……あやつの砲はどのような性能なのだ……」


左衛門佐「体感だが、マウスよりも揺れが凄かったぞ」

左衛門佐「あれは騎馬でも鉄砲でもない……まさしく大阪の陣において徳川が豊臣を屈服せしめた大砲ではないか!!!」


エルヴィン・おりょう・カエサル「「「それだぁぁ!!!」」」ビシィッ


~~~~~


ヤクトラ車長「……」スッ(双眼鏡を下ろす)

ヤクトラ車長「……ねぇ、今10式戦車……」


ヤクトラ砲手「うん、言いたいことは分かってる」


ヤクトラ車長「……Ⅲ突を走りながら撃破したよね?」


ヤクトラ砲手「したねぇ」


ヤクトラ車長「パパっと測ってみたけど、走りながら300m先の車両に当てれるもんなの?」


ヤクトラ砲手「……普通は出来ないよ……『普通は』」


ヤクトラ車長「」ガクガク

ヤクトラ車長「……ん?」


ヤクトラ車長「……っ!ちょっ、こっち見てる!見つかってる!」

ヤクトラ車長「ちゃんと雑草被せたのにっ」


ヤクトラ砲手「えぇ!?ちょ、ちょっと、早く指示を!逃げる?逃げない!?」


ヤクトラ車長「逃げ切れるわけないでしょ!ヤークトティーガーなのよ!」クワッ


ピッ


みほ『こちらみほっ、現在10式がそちらに向かっているようです』

みほ『撤退していないのはヤクトラさんが最後ですが、敵の姿は見えますか?』


ヤクトラ車長「……現在10式を目視で確認出来る位置にあります」


みほ『了解、では10式に見つからないように撤退を───』


ヤクトラ車長「いえ……相手もこちらを凝視してます」(真顔)


みほ『えっ、そっ、そうなんですか……』

みほ『既に予備包囲網の上部4両は撃破されました。出来れば撤退して欲しいですが……その……』


ヤクトラ車長「……」

ヤクトラ車長「……分かってます。もう私たちは助からない」


ヤクトラ砲手「周りに援軍もいないですしね……」ハッポウフサガリデスネ


みほ『ヤクトラさん……』


ヤクトラ車長「……でも、私たちもただではやられませんよ!」


みほ『え……?』


ヤクトラ砲手「128mmと強固な装甲があるんですから、少しなら時間稼ぎが出来るってもんですよ!」

ヤクトラ砲手「さっきみたいにぶち当てて、10式をぎゃふんと言わせてやります!」


ヤクトラ車長「おお、頼もしい言葉だなっ、砲手!」

ヤクトラ車長「……そう言うことですから、みほ隊長は戦力の再編を!私たちの他にも強力な戦力はいるんです!きっと勝てますよっ!」


みほ『ヤクトラさん……で、でも、ヤクトラさんの生存を最初から諦めるようなことは───』


ヤクトラ車長「西住隊長……」


ヤクトラ車長「……ふふっ、やっぱり西住隊長───みほさんは、あの頃から変わらないですね」


みほ『えっ……?』


ヤクトラ車長「私たちと過ごした1年間、忘れたとは言わせませんよ?」

ヤクトラ車長「みほさんが黒森峰の副隊長だった時も、そうやって仲間のことをとても大切にしてくれましたよね」


ヤクトラ砲手「私たちヤクトラも、何度窮地を救って貰ったことやら……」


ヤクトラ車長「黒森峰の皆の、みほさんが大洗に行っちゃうって分かった時の悲しみ様と言ったら……ねぇ?」


ヤクトラ砲手「うんうん」コクッ

ヤクトラ砲手「大洗でまた戦車道を始めたって聞いたときも、怒りよりも安堵の声のほうが大きかったくらいですから……」


みほ『ふぇ?そ、そんな、私なんて───』


ヤクトラ車長「……おっと!そうこうしている内に10式の射程圏内に入っちゃったかな?」


ヤクトラ砲手「砲身曲げられて怒ってるだろうなぁ……」


ヤクトラ車長「ってことでみほさん───西住隊長っ、私たちに時間稼ぎは任せて、今出来る最善をとって下さいっ」

ヤクトラ車長「今度は私たちが、西住隊長を救う番です!」


みほ『……』フルフル

みほ『……うんっ、お願いしますっ!!』


ピッ


ヤクトラ車長「……はぁ」


ヤクトラ砲手「これだけ大口を叩いたんですから、ただでやられる訳にはいきませんね」


ヤクトラ車長「そうだな……って言うか、なんでこんな死亡フラグみたいなことを言っちゃったんだろ……」


ヤクトラ砲手「別にフラグ立てなくても死亡は確定してますけどね」フフッ


ヤクトラ車長「おいおい、諦めたらそこで試合終了なんだぞ?」


ヤクトラ砲手「人間諦めも大事ですよ?」


ヤクトラ車長「うっ……それはそうだが……」


ヤクトラ砲手「それに……みほ隊長に格好悪いとこは見せられませんから!」


ヤクトラ装填手「……同意」


ヤクトラ操縦手「まほ隊長もいいけど、みほ隊長も素敵だよね~」


ヤクトラ通信手「普段の小動物的なオーラと、いざと言う時の頼れるオーラのギャップ?みたいなところも素敵だしね!」


ヤクトラ砲手「きゅ、急に話に乗ってきたなお前たち……」


ヤクトラ操縦手「そりゃああんな会話を聞かされたら、黙ってやられる訳にはいかないわよ!」

ヤクトラ操縦手「決勝で1年生たちが見せてくれた華麗な操縦技術、あれを真似して日々特訓した成果を見せつけてあげるわ!」


ヤクトラ装填手「……2発は撃てるように装填してやる……」


ヤクトラ通信手「私は───えっと……装填を手伝うよ!」


ヤクトラ装填手「……人は足りてr」


ヤクトラ通信手「まあまあそう言わずに!ね?」(私だけ仕事がないのは不味いっ)


ヤクトラ車長「お前たち……」ジーン


ナミダゴシゴシ


ヤクトラ車長「……さっき私は『ここが一世一代の大勝負』だと言ったな?あれは嘘だ」バーン


ヤクトラ砲手「な、なんだってー(棒)」


ヤクトラ車長「恐らく一世一代の大勝負はさっきでも、そして今でもない───」

ヤクトラ車長「───3年生になって、みほ隊長率いる大洗と戦う時だと……私は思う」

ヤクトラ車長「だからこんな所で何も出来ずにやられて、みほ隊長を悲しませるようなことは出来ないっ、そうでしょ!」


一同「「「おぉぉぉー!!」」」


ヤクトラ車長「さぁて、覚悟しなさい10式!連合国に貫通不可能と恐れられた虎の力、見せてあげる!!」


ヤクトラ車長「panzer───」


全員「「「vor !!!!」」」


今回はここまで

次回は比較的早く更新出来ると思います

ではでは


10式砲手「……モニターの座標と同位置にヤクトラを視認。距離約800」


しほ「128mm砲の一角ね。ここで倒しておくのも悪くない……」

しほ「ヤクトラに進路を変更、距離200まで近付いたら手動行進間射撃にて撃破。その後一時転進」


10式砲手「了解」


10式操縦手「了解」


ギャラギャラギャラ……


10式砲手「……それにしても、ヤクトラの砲手は相当な腕を持ってますね。普通砲身に当てようなんて思わないですよ!」


しほ「そうね……もしかしたら、貴方よりもレベルは上かもしれないわね」


10式砲手「えぇ!?そっ、それは自衛隊員としてのプライドが……」ワタワタ


しほ「ふふっ、冗談よ……でも、あの砲手が本当に腕が良いのは確か。高校生だからと言って油断していると、痛い目を見るわよ」


10式砲手「了解っ!」


10式操縦手「……しほ殿、ヤクトラが正面を向きました。こちらを迎え撃つようです」


しほ「ふむ……。確かに正しい判断ね」

しほ「ヤクトラの足では10式からは逃れられないし、モニターを見る限り近くに味方はいない……」

しほ「彼女らは今自分たちに出来る最善を適切に選択した。戦を理解しているわ」


10式操縦手「戦車道全体の技量も日々上達していますね、大変喜ばしいことです!」


しほ「そうね。この調子なら、来たる日の世界大会にも胸を張って娘たちを送り出せる───っ!」ハッ


10式操縦手(ふふっ)


しほ「わ、私ったら……」ゴホンッ(咳払い)


10式操縦手(こんなに厳格な人でも、やっぱり『親』なんだなぁ……)


しほ「そっ、そろそろ射程圏内に入るわ、進行方向を相手と直角に」


10式操縦手「了解」


ギャラギャラギャラ


しほ「砲手、行進間射撃翌用意」


10式砲手「了解っ」


ウィーン ガシャン


10式砲手「……うっ、ヤクトラ発砲!」


ズバァァンッ───


10式砲手「10式戦車右側面3m手前に着弾っ……近い……!」


しほ「ヤクトラの精度でこれほどまでに正確な射撃を……」


しほ「後に残すと厄介ね、ここで倒しておいて正解だわ」


しほ「よし、砲手……撃てっ」


ドォォンッ

──ッギィィィィン───


10式砲手「!!、ヤクトラ、我々の発砲と同時に左後ろに急速後退っ……弾は当たりましたが、撃破に至らず!」


しほ(……あの動き、確か決勝戦時のM3リーの……)


10式砲手「ヤクトラ発砲っ」


しほ「!!」(装填速度が尋常じゃないっ……)


バァァァンッ!!


しほ「うっ……」グラッ


10式操縦手「右側駆動系に異常!転輪に直撃弾を食らったようです!」


しほ(あなどっていたわ……あのヤクトラの精度で200m先の移動目標に当てるなんて───)


しほ「砲手っ、反撃翌用意……撃てっ」


ドォォンッ

ガシャァァンッ(シュパッ)


蝶野『ヤークトティーガー、走行不能っ』


10式砲手「ふぅ……まさか、直撃弾を食らうとは……」


10式操縦手「やっぱりヤクトラの子の方が上手いんじゃない?」


10式砲手「そっ、そんなことないっ!!───多分……」

10式砲手「だって今は砲身も曲がって、いつもよりも悪条件での戦闘だし……」


しほ「……あなたは愚痴を溢す前に、狙った相手を照準から溢さないようにもっと努力しなさい?」ニコッ


10式砲手「はっ、はいぃ!!」


しほ「」チラッ(時計)

しほ「……そろそろ頃合いね……」

しほ「……よし、遠距離からの視界外射撃を行う。高校連合を観客席前広場まで追いたてる!」


10式砲手「了解っ」


10式操縦手「了解!」


ギャラギャラギャラ……


しほ(砲身変形、右履帯及び右転輪の損傷……正直ここまでやられるとは思っていなかった)

しほ(10式を倒せるとは思ってなかったけれど、あの子たちならもしかしたら───)


短いですがここまで

そろそろ物語も佳境を迎えますが、正直まだどちらが勝つか決めてません

ではでは


>>1はsagaいれてくれ


>>301 さん
了解です

それでは続きです


試合開始40分後残存戦力

高校連合・18両
自衛隊・1両(照準に支障?、右駆動系に損傷)


みほ「……やっぱり、ヤクトラは撃破されちゃった……」ハァ…


優花里「……私はしょうがないと思います、周りに助けにいける車両は残っていませんでしたし……」

優花里「それに、相手が最新機器を使用しているなんて誰にも分からなかったんですから、西住殿に落ち度はありません」


みほ「ありがとう……確かに、そのC4I?っていうシステムは使ってそうなのも分かったし……」

みほ「ヤクトラのお陰で残りの128mmは合流出来たけど……」

みほ「やっぱり助けたかったな……ヤクトラも、駆逐戦車たちも───」


沙織「……あっ!ヤクトラから通信が!」


みほ「本当ですかっ?繋いで下さい!」


沙織「うん!」


ピッ


ヤクトラ車長『みほ隊長、やられてしまいました、申し訳ありません~っ』


ヤクトラ砲手『ありませ~ん』


みほ「そ、そんな!謝るのは私のほうだよ!」


ヤクトラ車長『いえいえ、無事に全車集まれたようで良かったですっ』


ヤクトラ砲手『各個撃破されないか心配でしたよ!』


ヤクトラ車長『それに宣言通り、私たちもただではやられていませんよ!』


みほ「え?」


ヤクトラ砲手『10式の右側駆動系にダメージを与えておきました!あと一発転輪に当てれば、外れそうなくらいグラグラしてましたよ!』


みほ「すっ……凄い!そこまでしてくれるなんて……」

みほ「本当に、ありがとうございますっ!」


ヤクトラ車長『えっ、えへ、なんだか照れるなぁ……』


ヤクトラ砲手『車長、当てたのは私ですよ?つまり感謝されているのはこの私!!』ドヤァ


ヤクトラ車長『うっ、うるさい!私だって最初の砲撃回避指示出したもん!』


ヤクトラ操縦手『指示してくれたのは車長ですけど、実際に運転したのは私ですよ?』ドヤァ


ヤクトラ車長『くっ、操縦手まで私の功績を……』フルフル


ヤクトラ砲手『……ふふっ』

ヤクトラ砲手『嘘ですよっ、車長!』


ヤクトラ操縦手『車長がいなければ、私たちは誰を頼ればいいと思ってるんですか?』


ヤクトラ砲手『車長がいてくれてこそのヤクトラですよ!』


ヤクトラ車長『お、お前たち……グスッ』

ヤクトラ車長『……っと、こんな訳だから私たちの心配はいらない』

ヤクトラ車長『残りの皆で10式を倒してくれ!車内から応援するから!』


みほ「……はいっ!任せて下さいっ!」


ヤクトラ車長『それじゃ、健闘を祈る!』


ピッ


沙織「……凄く仲が良さそうだったね……」ハハハ…

沙織「って言うか、ヤクトラの人たち、みぽりんのこと相当気に入ってるよね」


麻子「誉められた時の喜び方が恋人のそれだったな」


華「黒森峰の方たち、みほさんが大洗に転校したことも、もしかしたら怒ってなんかいないんじゃないでしょうか……」


沙織「今の態度で怒ってたならそれはそれで凄いけどね……」


みほ「……うん、実はお姉ちゃんにこそっと言われたんだけど、私が転校した時、ほとんどの人が悲しんでくれてたんだって」

みほ「そして、私が大洗で戦車道を始めたって知った時も、皆私の戦車道復帰を喜んでくれてたって───」


優花里「西住殿……」


みほ「私、最初は私を元気付けるための嘘なのかなって信じられなかったんだけど、今日のヤクトラの人たちと少しだけ話して気付いたの」

みほ「……『お姉ちゃんの言っていたことは、本当だったんだな』って」


優花里「……にっ……」

優花里「西住殿ぉぉぉ!!」ガバッ


みほ「え!?ちょっ、優花里さん!?」ワタワタ


優花里「やっぱり西住殿は誰からも愛されるマスコットキャラクターのような存在なのです!」

優花里「西住殿のことが嫌いな人なんて、この世界に一人もいませんよっ!」


みほ「えぇ!?きゅ、急に抱きついて、どうしたの?恥ずかしいよ……///」


優花里「あっ……いえ、今日の西住殿が格好良過ぎてつい……」

優花里「そんなことより、黒森峰の皆さんも、西住殿のことを大切に想ってくれていることが痛いほど伝わりましたぁ!」

優花里「そんなヤクトラの方々の為にも、この試合は負けられません!」

優花里「せっかくヤクトラの方たちが突破口を開いてくれたんです!いけますよこの試合!」


みほ「優花里さん、今日は勢いが凄いね……」タジッ


沙織「そっ、そうだねっ、優花里の言う通り!」

沙織「観客の中には私たちを応援してくれてる人もきっといるだろうから、その期待に応えなきゃ!」ニコッ


華「散っていった友が遺した意思を胸に刻んで───」


沙織「華言ってることが任侠テイストになってるよ!?」


華「……コホンッ、撃破された皆さんの勝利への想いを受け継ぎ、皆の想いがこもった一撃を届けてみせます」


麻子「……スラロームだろうがなんだろうが、このⅣ号には当てさせん」


みほ「皆……」

みほ「……なんだか今日は、皆に励まされっぱなしだね。私もしっかりしないと……」ホッペタペチペチ

みほ「よしっ!次の作戦を急いで考えよう!沙織さん、全車に通信っ」


沙織「うんっ」


ピッ


みほ「全車に連絡です。もう皆さんも気付いているとは思いますが、先程の10式による反撃で、5両の駆逐戦車を失う結果となりました……」

みほ「しかし彼女たちは果敢に奮闘し、10式を倒すための道標を示してくれました」

みほ「撃破するまでの道のりは長く険しいですが、この調子なら必ず勝てます!諦めずに頑張りましょうっ!」


一同『おぉぉー!』


一同『了解!』


一同『はいっ!』


みほ「もうすぐ次の作戦を指示します!それまで各車は周囲を警戒して下さい!」


一同『了解っ』


ピッ


みほ「ふぅ……それじゃあ皆、また作戦を考えるのを手伝ってくれる?」


優花里「任せて下さいっ!」


沙織「もっちろん!」


華「私の稚拙な考えでも良いのであれば」


麻子「ケーキを奢ってくれるならいいぞ」


沙織「もー麻子ったら!」


麻子「……嘘だ、無償で考えてやる」


みほ「ふふっ、皆ありがとう!」

みほ「それじゃあ作戦を───」


───ヒュンッ

ズバァァンッ!(シュパッ)


蝶野『B1bis重戦車、走行不能っ』


みほ「!?」


まほ『!!』


そど子「えぇ!?ちょっと、いきなり過ぎよ!」


パゾミ「どこから撃たれたの~?」ポー


ゴモヨ「びっくりしたなぁ~」ナヨーン


そど子「あんたたち、少しは狼狽えなさいよ!」


みほ「えっ!?一体どこから……」

みほ「沙織さん、各車に10式の位置を確認して!」


沙織「了解!」

沙織「皆さんっ、10式はどこにいますかっ?」


まほ『こちらまほ……にわかには信じがたいが、周囲に10式は見当たらない』

まほ『B1が撃破された時も360度警戒していたが、砲塔すら見つけられなかった』


ティーガーⅠ『私たちの視界にも入っていません!』


みほ「そっ、それって……」


ヒュンッ

ズバァァンッ!(シュパッ)


蝶野『パンター5、走行不能っ』


みほ「っ!」

みほ「とっ、とにかくここは危険ですっ、全車急いで退いて下さい!」


エリカ「退くってどこに?」


みほ「えっと───」チラッ(撃破されたB1)

みほ「」バッ(演習場地図)

みほ「……砲弾は南西から飛んできています!北東に全車向かって下さいっ」


一同『了解っ』


ギャラギャラギャラ……


華「みほさん、10式に攻撃しないのですか?」


みほ「えっと……今10式がいると思われる南西部は広大な芒野原で障害物がないから、多分一方的にやられちゃうんだよね……」

みほ「普通の戦車道の試合なら攻撃してもいいんだけど、相手が相手だから……」


華「なるほど。確かに開けた場所では私たちはいい的ですからね……」


みほ「うん、そういうことだから、一度中央広場の高台で様子を───」


沙織「みぽりん、お姉さんからだよ」


ピッ


まほ『みほ、このまま北東に進めば観客席前広場に到達する。開けた場所では不利ではないか?』


みほ「確かにかなり厳しいけど……相手の詳しい居場所が分からない上に、全車集まっている現在は地形的にも北東にしか進めない」

みほ「少数台に分ければ北東以外にも逃げれるけど……台数が少なくなってきた今、各個撃破されることだけは避けたい……」


まほ『なるほど……分かった。とにかく今は無事に広場まで逃げ切ることだけを考えよう』

まほ『下手に南西に向かえば───』


ズバァァンッ(シュパッ)


蝶野『Ⅳ号駆逐戦車5号車、走行不能っ』


まほ『……返り討ちにされるからな』


みほ「うん、間違いなく全滅するよね……」


みほ「広場にさえたどり着けばそこから演習場のほとんどの場所に行けるから、高台とかを利用して、なんとか10式の背後に回り込めればいいんだけどね……」


まほ『そうだな……』

まほ『姉である私が言うのもなんだが、臨機応変に作戦を立案する能力はみほのほうが上だ』

まほ『私の見立てでは観客席前での戦いで大勢が決まる。……頼んだぞ』


みほ「お姉ちゃんに頼まれるなんて、なんだか恥ずかしいな……」テレッ

みほ「でも、お母さんに私たちの成長を見てもらえるように頑張る!」


まほ『うん、信じてるよ』


ピッ


沙織「見えない車両に当てるなんて、どこのSFなのよ……」


優花里「そりゃあ日本が誇る最新技術ですから、高度な観測技術で見張られていたら、私たちなんて南極の隕石ですよ!」


沙織「……南極の隕石……?」キョトン


麻子「南極は一面の銀世界だ。そこでそこそこ大きな暗色の石ころが落ちていたら目立たない訳がないだろ?」


沙織「なるほど……って、優花里喩えが難し過ぎよぉ!」


優花里「すっ、すみません!」


みほ「ははは……」


麻子(……見張られている、と言うことは───)

麻子(外部から情報が届けられているのか───)

麻子(……まあいいか、考えるのが面倒くさい……)

麻子「ふわぁぁ……」(あくび)


沙織「こんな状況でも眠いなんて……なんか、一種の才能ね……」


今回はここまで


アンチョビと別れた直後


カチュ「……」キョロキョロ

カチュ「……んもぅ!どこにもそれっぽい車両なんていないじゃないのよ!」


ノンナ「まだ探し始めて1分も立っていません。気長に探しましょう」


カチュ「そっ、それもそうね!この私が探し物の1つも見つけられないなんてあり得ないもの!」


5分後


カチュ「ノンナ~、見つけた~?」アシブラブラ


ノンナ「いえ、まだです」


カチュ「あっ見て見てノンナ!ヤークトティーガーが一発かましたわよ!」


ノンナ「素晴らしい腕前ですね」(私には敵いませんが)ボソッ


カチュ「ん?なんかボソッと言った?」


ノンナ「いえなにも」


更に10分後


カチュ「疲れたぁ……」


ノンナ「お言葉ですが同志カチューシャ、カチューシャは1歩も歩いていません」


カチュ「うっ、うるさいわね!なんて言うかこう……座り疲れっていうか……」

カチュ「……とにかくもう疲れたの!あっ、あそこの屋台のかき氷が食べたいわ!ねぇいいでしょ?」


ノンナ「駄目です」キッパリ


カチュ「な、なんでよ~!ノンナってそんなに守銭奴だったの!?」ブー


ノンナ「そう言う問題ではありません」


カチュ「じゃあどう言う問題よ!」


ノンナ「カチューシャ、モニターをご覧下さい」


カチュ「え?今はミホーシャたちが戦力を再編成してるとこ───っ!?」

カチュ「ちょっ、これって……!」


ノンナ「えぇ、恐らくはC4Iシステムによるものでしょう……完全な視界外からの見えざる一撃……高校連合は退くしかないでしょう」


カチュ「視界外からって、そんなのありなの!?」


ノンナ「総火演の一環だととらえている自衛隊側から見ればなんの問題もないでしょう。しかし───」

ノンナ「戦車道を日々嗜んでいる者から見れば、これは卑怯だと言わざるを得ません」

ノンナ「……カチューシャはミホーシャとかき氷、どちらを取りますか?」


カチュ「うっ!……そっ……そんなの決まってるじゃない!」

カチュ「私は仲間のことは決して見捨てない、寛大な心を持ち合わせてるんだから!勿論ミホーシャよ!」フフン


ノンナ「良い返事です」(やられた車両はシベリア送り25ルーブルだと聞かされた直後に捨て駒にされたT-34の乗組員が聞いたらどんな反応をするでしょうか)

ノンナ「それでは、捜索を再開しま───」


ケイ「hey!お二人さん、何か探し物?」


カチュ「えっ、ケイ?あなたも総火演に来てたの?」


ケイ「あったり前じゃない!こんなexcitingな試合見逃す訳ないじゃない!」hahaha

ケイ「それにあんたたちが見てないだけで、たぶん顔見知りの高校は全員来てるわよ?」


カチュ「そうだったの?」


ノンナ「後で挨拶だけでもしておきましょう」


ケイ「……それより、二人でキョロキョロして、なんかあったの?」


ノンナ「実は『カクカクシカジカ』と言う感じでして───」


ケイ「へぇ~、だから10式はあんな神の視点を持ってます的な動きが出来てた訳ね」

ケイ「アリサに匹敵する卑怯ね!」


アリサ「くしゅん!」(風邪引いたかしら……)


カチュ「でしょー!だから私たちがミホーシャのために、悪の権化を潰すために乗り出したって訳!」


ノンナ「10式にもある程度はダメージを与えているように見えますが、所詮『ある程度』」

ノンナ「マウスよりも強固な装甲。IS-2よりも強力な火砲。BT-42よりも柔軟で速い足周り───」

ノンナ「それに視界外射撃まで加わってしまっては戦術もなにもない。一方的な蹂躙です」


ケイ「ummm……確かに」

ケイ「……よしっ、分かった!私も捜索に協力させてもらうわ!交渉術なら任せて!」


カチュ「わぁ、流石はケイね!大正義アメリカは一味違うわ!」


ケイ「戦車道は正々堂々戦うべきよ!それで敗れるならまだしも、外部からの手出しなんてあってはならない!」

ケイ「そのC4Iシステムとやらは2両以上の時に使いなさいって言ってやるわ!」


カチュ「それじゃあ早速3人で探しに───」


ポロローン


カチュ「!!この音色は、まさか……!」ガクガク


ケイ「ちょっとカチューシャ、どうしたの?」


ノンナ「カチューシャはこの音色の主が天敵なのです。なんでも会話の主導権をいつも取られるからだとかなんとか」


ケイ「ふ~ん……って、この音は完全にミカでしょ?ミカのことが苦手なの?カチューシャ」


カチュ「苦手というより……あの独特な喋り方と雰囲気に飲まれると言うか、イラつかせると言うか……」


カチュ「……あぁ、こっちきた!」


スタッスタッスタッ


ミカ「かっこいい、それは戦車道にとって大切なことかな」ポロローン


カチュ「開口一番になに言ってるのよ!」クワッ


ケイ「ミカ!選抜戦以来ね!元気してた?」ダキッ


ミカ「まぁ、人並みには元気にしていたよ」


ケイ「それは良かった!……ところで、ミカは今なにしてたの?」


ミカ「風に導かれるまま、観客席を放浪していたのさ」ポロローン


カチュ「完全に他の観客の迷惑になってるじゃない!」


ミカ「そうだね。先程自衛隊の方に注意されたばかりさ」ポロローン


カチュ「喋る度にカンテレ鳴らすのやめて!」

カチュ「……って、やっぱり注意されてたのね……」


ミカ「うん、その自衛官はハッチから上半身を出した状態で私に注意してくれたんだけど、その車両が良く見たら10式戦車だったんだ」


ノンナ「!」


ミカ「『かっこいい、それは戦車道にとって大切なことかな』と言う命題の答えが見えた気がしたよ」


カチュ「あんた、注意も聞かずになに考えてるのよ……」ハァ


ノンナ「同志カチューシャ」


カチュ「ん?どうしたの?」


ノンナ「今ミカさんの話に出てきた車両、それではないでしょうか」


カチュ「え?……あっ、10式戦車……!」


ケイ「wow、これは素晴らしい偶然ね!」


ミカ「……どうやら私は無意識に君たちの手助けをしたみたいだね」ポロローン


カチュ「えぇ!あなたもたまには役に立つじゃない!ボロクソに言って悪かったわ」

カチュ「それじゃあ悪いんだけど、早速その10式戦車のところへ案内してくれるかしら?」


ミカ「えぇ、お安いご用さ」


スタッスタッスタッ───


カチュ「……なるほど、報道機関用モニター前ね。いくら探しても見当たらない訳だわ」


ミカ「……ほら、モニターの真下にいるあの車両だよ」ユビサシ


ケイ「hmm、確かに戦闘中の車両と同じ形をしてるわね」


カチュ「なるほど、あの戦車ね!助かったわミカ!」


ミカ「お役に立ててなによりだよ」ポロローン


カチュ「それじゃあ早速、卑怯な真似を止めるように突撃するわよ!」


カチュ「Ураааааааа!!」ジタバタ


ノンナ「カチューシャ、落ち着いて下さい」


とりあえずここまで

続きは夜に投下します


2号車車長「───はい、はい。通信伝達は滞りなく進行しており───」


カチュ「……ノンナ」


ノンナ「はい」


カチュ「怪しいわね」


ノンナ「そうですね」


2号車車長「───と言った感じで、モニターとのリンクに誤差は見受けられません───」


カチュ「よし、ノンナ、ケイ!行くわよ!」


ノンナ「ダー」


ケイ「OK!」


スタッスタッスタッ


2号車車長「───それで、試合は結局どちらが勝利するご予定で……ん?」カタチョンチョン

2号車車長「……君たちは?今私は見ての通り職務を遂行中だから、用事があるのなら他の自衛隊員に───」


カチュ「その通信は、今試合中の10式戦車と繋がってるのよね?」


2号車車長「!!」(え?なんでこの子たちはそんなことを知ってるの!?)

2号車車長「いっ、いや、これは秘匿事項に当たるので、コメントしかねます……」


ノンナ「……」

ノンナ(なるほど、あからさまに怪しいですが、あくまで隠すスタンスなのですね……それならば)


ノンナ「……今試合中の10式戦車は、視界外からの射撃をやってのけました。実に素晴らしい技術です」


2号車車長「え……えぇ、国防を担う重要な戦力ですから」


ノンナ「その視界外からの射撃を実現可能にしたのが、10式に搭載されているC4Iシステム」


2号車車長(ギクッ)


ノンナ「そのシステムによって、あの10式は情報を得ることが出来ています」

ノンナ「……外部からの情報によって、あの10式の挙動は成り立つのです」


2号車車長「うっ、ん……そうね、その通りよ」(この子たち……良く見たら戦車道でも名門校の指揮官クラスじゃない……)


ノンナ「……はっきり言いますが、試合中の車両に有利になるような情報を提供する行為は、戦車道の世界では『卑怯』です」


2号車車長「ひっ、卑怯……」ウッ


ノンナ「今すぐに使用を控えて頂き、高校連合と出来るだけ対等に戦ってもらいたいのです」


2号車車長「うぅ……」

2号車車長(なっ……なんでこの子たちはC4Iシステムを使ってるって分かってるのよ……!)

2号車車長(って言うか、卑怯、なの?いや確かに視界外からなんて高校生には対処出来ないでしょうし、いやでも今はテスト運転も兼ねてるし……)

2号車車長(このまま黙秘を貫くか……いや、う~ん、……もうっ、こんな事態想定してないわよ~っ!)


しほ『こちら10式1号車。なにかあったの?』


2号車車長「あっ、いやあの、今多少のトラブルが───」


カチュ「あ~やっぱり繋がってるわね!トランシーバーは聞き取りやすくて助かるわ!」ニンマリ


2号車車長「っ!しまった……」


しほ『えっ?あなたの他に誰かいるの?』


2号車車長「あっいえ、実は『カクカクシカジカ』と言うことで、高校生の方が少し話を……いえ、すぐにお引き取り願いますので───」


ケイ「ちょっと!まだ私たちの話は終わってないわよ!」グイッ


カチュ「そうよ!C4Iシステムを切るって約束するまで引き下がらないわよっ!」


しほ『?この声は……』


2号車車長「ちょっ、ちょっと!これ以上は職務妨害で無理矢理にでも───」


しほ『待ちなさい』


2号車車長「え、しほ殿?」


カチュ(……え、今しほ殿って言わなかった?しほって確か西住流の……)


しほ『ちょっとその子たちと代わってくれる?』


2号車車長「えぇ!?しかししほ殿……」


しほ『大丈夫、その子たちは私が知っている子たちよ。責任は私が取るわ』


2号車車長「うっ……わ、分かりました」

2号車車長「それではこちらを」(トランシーバーをカチューシャに手渡す)


カチュ「あっ、ありがと」パシッ


カチュ「もしもし。私はカチューシャよ。あなたは?」(いや、西住流のトップがこんなところに居る訳───)


しほ『私は西住流家元当主を務めています、西住しほよ。あなたはプラウダのカチューシャ隊長ね?』


カチュ「はっ、はい、そうでございます……」(あぁぁ……)アセダラダラ


しほ『あなた方の用件は聞かせて貰ったわ。C4Iシステムを切って欲しいと言う要望ね?』


カチュ「はっはい、そうです……ちょっと待ってて下さいませ……」ガクガク


カチュ「……」スッ(トランシーバーをケイに)


ケイ「え?あなたもう話は終わったの?」


カチュ「いや、あの……ちょっと私は交渉は苦手だから……ね?だからお願い!」


ケイ「う、うん、分かったわ」パシッ


ノンナ(……今日のカチューシャ日記、カチューシャはみほさんやまほさんには強気で当たれるが、しほ殿の場合声を聞いただけでその覇気に負ける様子)

ノンナ(カチューシャはしほ殿が苦手───新たな発見です)フフッ


しほ『……あの、どうかしたのかしら?急に声が震え始めたようだけど……』


ケイ「あっもしもし、私はケイ!サンダースの隊長をやってるわ!」


しほ『ん?さっきのカチューシャさんはどうかしたのかしら?』


ケイ「あぁ、カチューシャは交渉とかそう言うのが苦手らしくてね。私が代わりに受け持ったって訳!」


しほ『そ、そう……』


ケイ「それじゃあ早速本題に入るけど……C4Iシステムの使用を止めてほしいの!」


しほ『それは何故かしら?』


ケイ「そりゃあ、本来知り得ない情報を試合中に受け取るなんて卑怯でしょ?」


しほ『それは確かにそうね。でもこれは自衛隊の指示d』


ケイ「言い訳は聞きたくないわ!!」クワッ


しほ『えっ?』ビクッ


カチュ(ケイあなた……命知らずなの!?)


ノンナ(しほ殿にそこまで言えるなんて……ケイはそれほどの逸材なのか、単なるバカなのか……)


ケイ「確かに自衛隊の技術は凄いわ。……でもね、そんなものは戦車道において使ってはいけないっ」

ケイ「お互いに戦術を凝らしながら力量をぶつけ合い、勝敗が決まったら健闘を讃え合う……それが戦車道!」

ケイ「あなたのしている行為は勝利至上主義……まさに『戦争』っ」

ケイ「西住流の流儀は、そんな卑怯なことを許す程度のものなの!?」


カチュ「ちょっ、ケイ!?流石に言い過ぎじゃないの!?」アタフタ


ノンナ「Он беспомощен(お手上げですね)」


しほ『……』

しほ『……これは、戦争ではない……』ボソッ


ケイ「そうよ!That's 戦車道!」


しほ『───私は、西住流家元当主である西住しほ』

しほ『全力で挑まず、生半可な小細工や慈悲を施すことは相手への不敬。私としたことが、そんなことも忘れてしまっていたなんて……』フルフル


カチュ「……ん?なんだかとっても嫌~な予感がするんだけど……」


ノンナ「偶然ですね同志カチューシャ。私もです」


しほ(蝶野一等陸尉、あなたの『パフォーマンス優先!』というお願い……残念ながら守れそうにないわ───)

しほ『撃てば必中 守りは固く 進む姿は乱れ無し 鉄の掟 鋼の心 それが西住流───』

しほ『───ケイ隊長。あなたの話は分かったわ』


ケイ「oh!それじゃあ、もうC4Iシステムを使うのは止めてくれるかしら?」


しほ『えぇ』

しほ『……私は今から、10式本来の実力と西住流の信念を持って高校連合を叩く!』


しほ『通信系システムを全て切る代わりに、切っていた全ての射撃統制システムを起動っ、スラローム射撃態勢に移行する!』

しほ『砲身変形の誤差は自動修正されるから問題ないっ、高校連合がいる広場へ今すぐに向かえっ!』


10式操縦手『了解ぃ!』


10式砲手『了解っ!』


しほ『……まさか西住流の当主である私が、西住流とはなんたるかを教えられるとはね……感謝するわ』

しほ『あなたたちの言う通り、正々堂々真正面から彼女たちと戦うわ!』

しほ(まほのあんこう踊りも見てみたいしね!)

しほ『それじゃあ、本当にありがとう!』ピッ


カチュ「……」


ノンナ「……」


ケイ「……」


カチュ「……もしかして私たち、盛大に墓穴を掘っちゃった?」


ノンナ「……お言葉ですが同志カチューシャ。そのようです」


カチュ「スラローム射撃って、あのスラローム射撃?」


ノンナ「お言葉ですが同志カチューシャ。そのスラローム射撃だと思われます」


ケイ「oh my god……ちょっと張り切り過ぎちゃったみたいね……」バタッ


カチュ「……あとでミホーシャに謝りにいかないとね……『シホーシャを覚醒させてしまってごめん』って」クラクラ


ミカ「人は失敗する生き物だからね。大切なのはそこから何かを学ぶってことさ」ポロローン


カチュ「……今回だけは、正論過ぎて何も言い返せないわ……」ガクッ


今回はここまで

次回やっと10式戦車の無双回です、気長にお待ち下さい

ではでは


申し訳ありません、たった今気付いたのですが、転輪と起動輪を頭の中で混同してしまっていました

自分はこれまで転輪と表記していますが、起動輪のつもりで描いているので、脳内補完してもらえればと思います

尚これからは起動輪と表記します。誤記のほど、すみませんでした



ついでですが、次の更新は遅くとも今週末です


試合開始1時間後残存戦力

高校連合・15両
自衛隊・1両(右駆動系に損傷、本気モード)


キャラキャラキャラキャラ……


みほ「全車、広場に到着しましたか?」


ティーガーⅠ『こちらティーガーⅠ、最後尾ですが到達しました~』


みほ「了解っ、私たちはこのままの進行方向を維持して、試合の最初に目指した高台へと向かいます」

みほ「南西方向に注意しつつ、全速で向かって下さい」


一同『了解っ』


みほ(10式にはこちらの居場所がばれている……それだけで、作戦の幅がとてつもなく小さくなってしまう)

みほ(全車による突貫……いや、10式はバックも速いし……)ウーン

みほ「……皆さん、高台に着いたら一度麓に隠れます。場所はばれていますが、砲撃には晒されない筈です」

みほ「その後細心の注意を払いながら数両で周囲を哨戒、10式を見つけたら───相手の行動次第で私たちも動きを変えます」

みほ「臨機応変な作戦行動が求められます、皆さん気を引き締めましょう!」


一同『おぉぉ!!』


優花里「う~ん……」


沙織「優花里?そんな難しい顔してどうしたの?」


優花里「いえ、どうすれば現状で10式戦車を倒せるのか考えていたのですが……」

優花里「どう考えても、正攻法ではとても太刀打ち出来そうにありません……」


沙織「見えないところから撃ってくるような戦車だからね……」アハハ…


優花里「う~ん……西住殿、今10式は右起動輪を破損しているようですし、やはりそこを利用しない手はありません」

優花里「起動輪を壊し、撃破には至らずとも動きさえ止めてしまえば、なんとかなるはずです!」


みほ「やっぱりそれしかないよね……相手がそんな隙を見せてくれるかは分からないけど……」


優花里「そうですよね……」


みほ「もう私たちに残されている車両も少ない。少しの犠牲を払ってでも動きを止めないと後はない……よね」ハァ


優花里「せめて私たちの位置が知られていなければいいんですが……」ハァ


沙織(二人から負のオーラが……)

沙織「……ん、みぽりん、ティーガーⅠからの通信を繋ぐね」


ピッ


ティーガーⅠ『こちらティーガーⅠ、追いかけて来た10式戦車を視認!』


みほ「了解っ、10式の状況は?」


ティーガーⅠ『現在後方600m地点で、こちらを向いたまま静止しています、恐らく精密射撃をしようと───あれ?』

ティーガーⅠ『10式、北西に伸びる稜線沿いに移動を始めました。どうして撃ってこないんだろ……』


みほ「……?了解、全車砲塔を10式に指向、各車は走行に支障がない程度に牽制射撃を実施して下さい」


バァン ドォォン


優花里(撃ってこない……?稜線沿いに移動……?)

優花里「……まさか……!」サァー


みほ「ん、どうしたの?そんなに青ざめて───」


優花里「西住殿っ、私、嫌な予感がします!試合が始まってすぐに10式に攻撃された時……いや、その時よりも大きな!」


沙織「もー大丈夫だって!今回は距離的には700mくらいだけど、相手は走ってるんでしょ?撃っても当たりっこないよ!」


優花里「違うんですぅ!武部殿は分かってません!」


沙織「なっ、なにをよ!」


優花里「走っている10式に射撃を当てるのは、私たちが止まって狙っても大変難しいです」


優花里「しかし10式は、走りながらこちらを悠々狙える精度を持っている───」


麻子「……」

麻子「……優花里、もしかして……『スラローム射撃』……か?」


みほ「え───」


──ヒュンッ

ズガァァンッ!!(シュパッ)


ティーガーⅠ『きゃぁぁぁ!!』


みほ「!!」


蝶野『ティーガーⅠ、走行不能っ』


優花里「あぁぁぁ」カタカタカタ


沙織「そっ、そんな!走りながら一撃で!?」


華「なんて常識はずれな精度なんでしょうか……」


──ヒュンッ

ズガァァンッ!!(シュパッ)


蝶野『ポルシェティーガー、走行不能っ』


優花里「!!」(次弾までのスピードが……!)

優花里「西住殿不味いです!今ここは広場の中央付近、まだ高台までは距離がありますっ」

優花里「今の10式の装填時間は4秒強、私たちの残りは13両、つまり……」


麻子「高台にたどり着く前に全車撃破される……か。確かに不味いな」


優花里「そっ、そうですっ!10式をどうにかしなければ、私たちの全滅は必至ですぅ!」


みほ「そ、そんな……!」


ヒュンッ

ズガァァンッ!(シュパッ)


蝶野『Ⅳ号駆逐戦車4号車、走行不能っ』


まほ『みほっ、大変だ!このままじゃ……』


みほ「っ……」

みほ「……!」(マウス等の残骸)

みほ「……生き残っている車両は破壊された車両の陰に隠れて下さいっ、高台には間に合いませんっ!」


今回はここまで

10式には高校連合に突っ込んで貰おうとも思ったのですが、スラローム射撃の精度を強調したかったので遠距離を走らせることにしました。
愛里寿的な無双を楽しみにしていた方、申し訳ありません(ペコリッ

ただ本編終了後に番外編を描く予定ですので、そこで10式の真髄を描きます。それまでお待ち下さい

ではでは


ヒュンッ

ズガァァンッ!!(シュパッ)


蝶野『パンター4、走行不能っ』


みほ「残骸に隠れた車両から順次砲撃開始っ、10式は側面を向けています、当てればそれなりの被害はあるはずですっ」


一同『了解っ』


バァン バァァン───


ギャラギャラギャラ……


パンター2車長『くっ、近くに隠れれる残骸がないっ……!』


パンター2砲手『車長っ、ここは10式を狙うべきです!』


パンター2車長『……もうそれしかないなっ、よし、停車!』


キキッ


パンター2車長『攻撃される前に早く狙うんだ!』


パンター2砲手『分かってます!……うぅ~速過ぎる、狙えません!』


パンター2車長『相手はたったの1両だけ……なのに、既に私たちが包囲されているような───』


パンター2砲手『あぁ、こちらを向いて───』


ズガァァンッ!!(シュパッ)


蝶野『パンター2、走行不能っ』


パンター2砲手『くそっ、当てることすら出来ないなんて……』


パンター2車長『あんな化け物相手に、どうやって勝てと言うんだ……』グスッ


みほ「皆さん諦めないで!まだ打開策はある筈です!」

みほ「とにかく今は撃破されないことだけを考えて下さいっ、その後の指示は私が出します!私を信じて下さいっ!」


まほ『みほ……』


エリカ『ふんっ、黒森峰の頃のオドオドしてたみほからは考えられない言葉ね……ちょっとそこの失敗作!そのでかい図体借りるわよ!』


ツチヤ『失敗作だなんて、酷いなぁ』


ナカジマ『まあなんも出来ないでやられちゃったのは事実だし、死してなお役に立てるのなら素直に嬉しいな』


ホシノ『あの決勝戦が思い出されるな!』

ホシノ『……って言うか、最初にレオポンを無理に越えたのって……』


スズキ『確か……エリカさんのティーガーⅡだっけ?』


エリカ『うっ……そんなことまだ覚えてたのね……』


スズキ『あの後大変だったよ~、キャタピラの形に凹んだエンジンの修理とか』


エリカ『うっ』


ナカジマ『無理に越えられてる最中のキャタピラの金属騒音と言ったら、堪ったもんじゃなかったよ!』


エリカ『ぐっ……そっそれは謝るわ……』


ツチヤ『う~ん、ただ謝るだけじゃ足りないなぁ』


エリカ『えっ?』


ツチヤ『レオポンに酷いこと言ったんだ、私たちだけでなくレオポンにも謝って貰わないとね』

ツチヤ『……失敗作って言ったこと、覚えてるよね?』ニヤッ


エリカ『くっ……』

エリカ『……ポルシェティーガーは失敗作ではなく、博士が祖国の為に造り出した偉大なる大成功作です、申し訳ありません……これでいいかしら?』


ツチヤ『……なにもそこまで言えとは言ってないのに……まぁいっか!』


エリカ『うぅ……//』


ナカジマ『まあまあ、これでわだかまりも取れたことだろう?仲良くしよ~!』

ナカジマ『ってことでエリカちゃん、私たちのポルシェティーガーを存分に利用してもいいから、あの10式をぶっ倒してくれよ?』

ナカジマ『決勝戦の時はみほ隊長の盾だったけど、今回はエリカちゃんの盾だ!』


ホシノ『頑丈さは保証するよ?』


エリカ『ふんっ、頑丈さなら決勝戦の時に痛いほど理解してるわ!……ありがと(ボソッ』


ナカジマ『ははっ、噂通り素直じゃないなぁ』

ナカジマ『それじゃ、後は任せた!』


エリカ『えぇ、言われなくても!』ニヤッ


バァァン ババババァァン───


ねこにゃー『なっ、なんなのにゃ!?あの動きは……』


ぴよたん『稜線から見えたり見えなかったり……いくら撃っても当たらないっちゃっ』


ももがー『西住隊長のかっちゃまが乗ってるらしいし、あの人外染みた動きも納得できるかも……』

ももがー『わわ、こっち見てるしっ!』


ズガァァンッ!!(シュパッ)


蝶野『三式中戦車、走行不能っ』


ねこにゃー『うにゃあ、せっかく肉体を鍛えたのに……』


ぴよたん『西住流は恐ろしいっちゃ……』


ももがー『既に私たちの隊列の真横まで来てるし……速すぎだも!』


みほ「……くっ、なんて速いの……!照準が追い付かない……!」


優花里(もう既に全車で50発以上は、10式に向けて撃っている……それなのにっ!)

優花里「……今のところ、10式への命中弾は皆無でありますっ」

優花里「私の見立てでは、10式の現在の時速は70km前後、それに加えて10式操縦手の多彩な回避術……当てるのは至難の技かと……」


華(あの優花里さんが弱音を……それほどの存在なのですね、10式とは)


みほ「……」


みほ「確かに無理なことなのかもしれない……でも!」グッ

みほ「当てさえすれば勝つんですっ、諦めたら、負けなんです!」

みほ「もうここまで来たら当てれる当てれないじゃない……当てるんですっ!」


優花里「西住殿……!」


華「任せて下さい、シャーマンの時の感覚を思い出せばいいんです……」


みほ「華さん……」


華「……」

華「……今!!」


バンッ

───ズバァン!


みほ「す、凄い……当たった……!」


沙織「凄いよ~華!これで勝てるよぉ!」


華「いえ、まだです」


沙織「え?」


華「10式を見て下さい、びくともしていません。恐らく……」


みほ「……側面ですら、75mm砲では意味がない……」


沙織「そっ、そんな……それじゃあ、128mm砲以外は役立たずなんじゃ……」フルフル


みほ「……確かに無闇に撃ち続けるなら役立たずかもしれません……でも、使い方によっては128mm砲以上に役立つかもしれない」


沙織「え?」


みほ「でもそれにはまず10式の足を止めないといけない……」


とりあえずここまで

続きは夜に


みほ「───エレファントとティーガーⅡ、聞こえますか?」


まほ『あぁ、こちらは大丈夫だ』


エリカ『こっちもまだ生きてるわ』


みほ「了解っ、今から128mm砲で10式の右起動輪を狙い撃ち、10式を止めて下さいっ」


エリカ『あんた、とんでもないことをサラッと言ってくれるわね……』


みほ『大丈夫です、エリカさんならきっとやれます!』


エリカ『はぁ……もう分かったわよ!やればいいんでしょやれば!』ナゲヤリ


みほ「ありがとうございます!」パァァ


エリカ(……もぅ、通信越しですら分かるみほの笑顔が眩しい……)


みほ「お姉ちゃ……副隊長は出来そうですか?」


まほ『みほ、もうお姉ちゃんでいいぞ』


みほ「え?あっ、ご免なさい……」


まほ『私は大丈夫だ、みほの指示でいつでも残骸から車体を出せるぞ』


みほ「了解っ、それでは2両とも少しだけ待ってて下さいっ」

みほ「……」チラッ(一番近い稜線)

みほ(マウスの残骸──つまりここのこと──から10式の死角になる稜線までは150m……)

みほ「……またあれをするしかないかな」


ズガァァンッ!!(シュパッ)


蝶野『Ⅳ号駆逐戦車6号車、走行不能っ』


パンター3車長『どんどんやられてるぞ!』アタフタ


パンター3操縦手『あのⅣ号の陰に隠れましょう!』


パンター3車長『よしっ、早く行くんだ!』


キャラキャラキャラ


パンター3車長『よし、これで一安心───って……』

パンター3車長『あぁぁ駄目だ!Ⅳ号の車高が低過ぎて頭が出てるぞ!』


パンター3砲手『ちょっ、漫才みたいなことしてる場合じゃ───』


ズガァァンッ!!(シュパッ)


蝶野『パンター3、走行不能っ』


パンター3砲手『……言わんこっちゃない』


パンター3車長『仕方ないだろ!』(涙目)

命中させると貫通しなくても運動エネルギーが熱に変換されて車内に溜まるから
当てて当てて当てまくると車内蒸し風呂になって根を上げるはず


エリカ『ちょっとみほ、早くしないとどんどん撃破されちゃってるわよ!』

エリカ『それにそろそろ私たちに突っ込んで来そうな気配もあるし!』アセアセ


みほ「もう少し待って下さい!」

みほ(流石のお母さんでも、まだ突っ込んでこないはず……でも、時間の問題か)

みほ「麻子さん、私の合図で、マウスの残骸から一瞬だけ車両を10式に見せて下さい、発砲を誘発しますっ」


麻子「分かった」


みほ「……」

みほ「……」

みほ「……今っ」


ギャリギャラギャリッ(出)、ギャリギャラギャリ(戻)

バァァン───

ズバァァンッ


みほ(よし、10式の注意が私たちに向いた……!)


みほ「エリカさん、お姉ちゃん、今です!」


まほ『行くぞっ』ギャラギャラ


エリカ『必ず当てるわよ!』キャラキャラキャラ


まほ『狙いを定め……撃てっ』


バァァン

──ヒュンッ


まほ『くっ、外したか……!』

まほ『!!っ、まずい、10式がこちらを見てるぞっ!』

まほ(くっ、今から退いても間に合わないか……っ)


>>412

それは知りませんでした……
後の場面に少し反映させることにします


バァァンッ


エレファント砲手『10式発砲っ!』


まほ(ここまでなのか……すまない、みほっ───)


桂利奈『あぃぃぃぃ!!』ギャラギャラギャラ


ズバァァンッ!(シュパッ)


まほ『えっ……!?』


蝶野『M3中戦車リー、走行不能っ』


まほ『おっ、お前たち、エレファント───私を庇ったのか……?』


澤『勿論ですっ、副隊長がいなければ、みほ隊長が悲しみます!』


あや『チーム指揮を西住隊長にだけ任せるなんて、一人残される隊長が可哀想じゃないですか!』(あぁ~また眼鏡割れちゃった……)


山郷『それに、128mm砲しか有効な手立てがない以上、それを失うわけにはいかないですから!』


宇津木『先輩には、私たちの分も活躍してくれないと困ります!』


桂里奈『ドカーンといっちゃって下さいぃぃ!!』


澤『信じてますっ!』


紗希『───ファイト───』


まほ『おっ、お前たち……』

まほ『……お前たちの頼み、確かに受け取ったぞ』ジーン


エリカ『くっ、私も副隊長の為に役に立たないと……』

エリカ『……っ!こっちに進路を変えようとしてるわよ!?照準急いでっ』

エリカ『……よしっ、撃てっ!』


バァァン

ガシャァァンッ グラッ


エリカ『当たった……!……けど、狙いの場所ではないか……っ』クッ

エリカ『でも、なんだかふらついてるわね、流石に128mmの衝撃は中に響くのかしら……』

エリカ『……あっ、副隊長、今です!』


まほ『あぁ、任せておけ』


まほ『エリカの砲撃で10式がふらついている、今が絶好のチャンスだ!』

まほ『撃てっ!』


バァァン

───ギャリィィンッ


まほ『……やったか!?』


みほ「どっ、どうなったの?」


優花里「今の音は───」


今回はここまで

書き進める程に10式をどうやって倒すかの悩みが大きくなっていく……ある程度は完成しているのですが……

ではでは


ズズザアァァァァ……


エレファント砲手『……10式、停止!』


コロコロコロコロ───バタン(起動輪)


優花里「やりました!起動輪が取れたことで履帯も外れ、行動不能に陥ったようです!」


沙織「やったぁ!!」


麻子「まさかあの距離で立て続けに2発当てるとは……黒森峰は化け物か」


みほ「お姉ちゃんっ、エリカさんっ、ありがとう!すぐに身を隠して下さい!」


まほ『了解っ』


エリカ『まほ副隊長、流石ですっ』


まほ『なに、勇敢なM3がいなければ私はやられていた所だ』

まほ『それに……エリカの砲撃があってこそだ。ありがとう』


エリカ『副隊長……//』


みほ「よし、これで射撃は当てやすくなった……」

みほ「現在残っている車両の車長は連絡を下さい!」


まほ『こちらまほ、エレファントは健在だ』


エリカ『こちらエリカ、ティーガーⅡは無事よ』


杏『こちらカメ、車体が小さくて助かったよ~』


典子『足の速さは誰にも負けないよ~!!』


パンター1車長『なんとかだいじょ~ぶで~す』


みほ「……以上ですね、了解です」


優花里「Ⅳ号も含めて6両ですか……22両も撃破されたんですね、やはり10式は化け物です……」


沙織「だって一撃で撃破されるし……装甲とか関係無くなってるんだもん」


みほ(残り車両は私たちあんこうを含め6両……)

みほ(10式は高台の頂上付近でこちらに正面を向けて停止……)


優花里「……と言うかこの状況……膠着状態に陥ってしまったのではないでしょうか……」


華「お互いに動けない状態になっていますからね……」


麻子「しかし、私たちの砲弾では10式の正面装甲は抜けないぞ」


沙織「それって、私たちがじり貧なんじゃ……」


みほ「……」ウーン


優花里「に、西住殿……?」


みほ「……正面が抜けないのなら、側面を狙えばいい。側面が抜けないのなら───」

みほ「……『背面』を狙えばいいんです」


華「背面───確かに、先程の作戦でも狙っていましたね」


優花里「ん~しかし西住殿、今の状況で背面を狙えるとは思えませんが……」


沙織「後ろに回り込むにしても、早く移動しないと10式に一撃で撃破されちゃうし……」


みほ「……皆、私に考えがあるの。……と言っても、かなり難しいけど……」


華「考え……ですか?」


みほ「うん……沙織さん、全車に通信をお願い」


沙織「う、うん」


ピッ


みほ「こちらみほ。全車聞こえていますか」

みほ「私は今、10式を倒せるかもしれない作戦を考えました。……でも、この作戦の成功率は……たぶん5%もないと思う」


エリカ『ごっ、5%……』


みほ「正直かなり荒唐無稽な作戦で、決行したとしても成功する見込みはほとんどないと思いますが……聞くだけ聞いて欲しいです」


まほ『……』

まほ『……みほ。もっと自分に自信を持っていいんだぞ』


みほ「お姉ちゃん……」


まほ『こんな状況で作戦を思い付くだけでも凄いことだ。……実際私は、10式を倒す作戦を考えあぐねていたしな』

まほ『遠慮せず、自分に自信を持って作戦を私たちに話して欲しい』


みほ「……うん、とんでもない作戦だけど、驚かずに聞いてね?」


エリカ『驚かずに、ねぇ……マウスをどうやって倒したかを聞いた時以上の驚きはないでしょうけど』


みほ「あはは……あれはちょっと自分でもビックリしたな。戦車を戦車に乗せようなんて、考えたこともなかったし……」


エリカ『あんな作戦、西住流どころか戦車道の通常戦術の範疇すら越えてるしね……』

エリカ『それじゃあそろそろ話して貰おうかしら、今回の作戦が楽しみだわ』


みほ「はい、それじゃあお話します───」


セツメイチュウ───


みほ「───となり……」


典子『素晴らしい作戦ですみほ隊長っ!!』


みほ「えっ?」ビクッ


典子『これならあの10式に一泡……いや、百泡くらい吹かせることが出来ますよっ!!』


みほ「そっ、そんな……まだ不確実な要素も多いのに───」


まほ『いや、恐らくこの作戦くらいでしか10式には対抗できない』

まほ『現存する戦力を活かした見事な作戦だ……これならば、お母様の驚く顔を拝めるだろう』


杏『私も特に異論はないよ~』


エリカ『私もよ……悔しいけど、もう代替案なんて思い付かないわ』


パンター『私にも遂に活躍の場が……絶対に失敗できない!!』


みほ「ほっ、本当にこの案でいいんですか?意見とかは───」


まほ『大丈夫だみほ。皆が今みほが話した作戦を信じ、勝利の希望を見いだしている』

まほ『その想いをみほは受け取るだけでいいんだ、気を遣う必要はない』


みほ「……分かった」

みほ「私は自分を───そして皆を信じる!!」


優花里「その意気でありますっ!」


沙織「さぁて、最後の戦いだね!10式を倒した女子高生!モテモテになっちゃうやだもぉ~!」


麻子「倒した後のことを考えるな。フラグが立つぞ」


沙織「いいじゃないのよ少しは夢見たって!」プンプン


麻子「沙織は夢を見る前に現実を見るんだ」


沙織「なによぉ~!」ムガー


華「お二人共その辺で……集中してらっしゃるみほさんの迷惑になってしまいますわ」


沙織「あっ、ごめんみぽりん!」


麻子「集中が切れていた、すまないな」


みほ「えっ?いや、別に謝る必要なんてないよ」

みほ「緊張してるよりはリラックスした状態の方がいいし……まあそれはいいとして……」

みほ「それじゃあそろそろ作戦を開始します───沙織さん」


沙織「うん!」


ピッ


みほ「こちらみほ、そろそろ作戦を実行に移す時がやってきました」

みほ「この作戦を成功に導くには、全員の完璧な連携、敵を欺く知力、そして───諦めない心が必要ですっ」

みほ「必ず成功させ、あんこう踊りを回避しましょうっ!」


一同『おぉぉぉ!!!』


みほ「それでは最後の作戦、『チラチラ作戦』を開始しますっ!」


今回はここまで

後3回の更新で本編完結予定です、もうしばらくお付き合い下さい

ではでは


ギャリィン ワーワーキャーキャー


オレンジペコ「凄い!あの10式の動きを止めたっ!」


ダージリン「やはり黒森峰の名は伊達じゃないわね、9連覇していただけあるわ」

ダージリン「……でもこの状況、彼女たちは一体どのように打破するつもりなのかしら……」


オレンジペコ「撃破判定車両に隠れたのは良かったですが、お互いに動けない状況に陥っていますね」


ダージリン「高校連合も残り6両」

ダージリン「勝負は時の運……とも申しますし、私たちはただ事の成り行きを見守るだけですわ」


ペパロニ「……んん」パチッ

ペパロニ「ね、姐さん……」


アンチョビ「おぉ、やっと眼が覚めたか!大丈夫か?」


ペパロニ「私は大丈夫っす……それより姐さん……今戦いはどうなってるんすか……?」


アンチョビ「あっ、えっとだなぁ……今みほたちがピンチだ!なんとか車両に隠れてはいるが、かなり難しい戦況だなぁ」


ペパロニ「ん~……?すみません姐さん、ノンナさんの一撃で眼が霞んで、モニターの車両がよく分からないっす……」


アンチョビ(ノンナのやつ、どれだけの力で叩いたんだ……)

アンチョビ「本当に大丈夫か?……まぁ私が教えてやろう。え~っと左から───」


パンターに隠れたパンター
ポルシェティーガーに隠れたティーガーⅡ
パンターに隠れたヘッツァー
Ⅳ号駆逐戦車に隠れた八九式
三式中戦車に隠れたエレファント
マウスに隠れたⅣ号


アンチョビ「───だ!10式はなんか履帯が壊れたらしくて、高台の上で止まってるぞ」


ペパロニ「そうっすか……あぁ、また意識が……」クラクラ


アンチョビ「おいっ、しっかりしろ!」


ペパロニ「姐さん、私の代わりに、教官のあんこう踊りを……見届けて、下さ……い───」ガクッ


アンチョビ「ぺっ、ペパロニぃぃぃ!!」ウワァァァ


カチュ「ちょっとうるさいわよっ!茶番はあっちでやりなさいよっ」シッシッ


ノンナ「……ペパロニさんは、高校連合の勝利を疑っていないようですね」


カチュ「あったり前じゃない!あの西住姉妹が同じチームなのよ?今の状況からでも、また変な作戦でも考え出してきっと勝つわ!!」


ノンナ「そうですね」


カチュ「それにもし負けたら、私のせいみたいになっちゃうじゃない……」


ノンナ「そうですね」


カチュ「フォローしてくれないんだ……」


ノンナ「事実ですから」


カチュ「……」グスッ


ケイ「いや~面白くなってきたわねぇ」ムシャムシャ


ナオミ「試合が終わったら10式の砲手の方に、是非一度お目通り願いたいものです」


ケイ「あんたまだ腕をあげる気なの?シモヘイヘになっちゃうんじゃないの?」ムシャムシャ


ナオミ「シモヘイヘは男です」


アリサ「ナオミはイケメンだから男でいいんじゃないのぉ?」チラッ


ナオミ「アリサはそばかすがあるから焼きそばだな」


アリサ「意味が分からないからっ!!」


西「なっ、なんと言うことだ……学園を一つ滅ぼせそうな戦力が、今では数両に……」


福田「あの10式とか言う戦車、ただ者ではないであります……」


西「ここは突撃して潔く散るのが美徳なのでは───」


福田「なにを仰っておられるのですか西隊長殿っ!」クワッ


西「ふっ、福田!?」ビクゥ


福田「確かに我々は、戦車道は散ってこそ美しいものだと言う知波単魂を受け継いできたであります……」

福田「しかし散る美しさがあるのなら散らない美しさもあり、その答えが西住殿の戦い方なのであります!」

福田「我々は既に一度、西住殿と戦場を共に歩んだからこそ分かるのであります……」

福田「西住殿は今も諦めていない筈であります。故に我々はただ、西住殿の勝利を信じるのみであります」


西「福田……」(福田は、みほ殿との戦いで大きく成長したのだな……)

西「……うむ、確かに福田の言う通りだ!私は大きな誤解をしていたようだ!!」


福田「分かって頂けたのならいいのであります!さぁ、西住殿の勝利を祈念であります!」


西「この熱き知波単魂を西住殿にっ!!」


ミカ「……」ポロローン


アキ「みほは持久戦を諦めて一気に畳み掛けるしか……いや、もう作戦はなんの意味も持たない程に状況は悪くなってるし……」


ミカ「そうかな?彼女は次の一手を打とうとしているよ」ポロローン


アキ「えっ、ミカはみほが何をするのか分かるの?」


ミカ「そうだね……ただ教えるだけではつまらないからヒントをあげよう」

ミカ「戦車道には大切な時が何度か訪れる。でも"今"はその時じゃない」


アキ「??」


ダージリン「あらあら、継続の隊長さんは気付いたみたいね」


オレンジペコ「何にでしょうか?」


ダージリン「……この言葉を話すのは二度目だけれど……」

ダージリン「『土壇場を乗り切るのは勇猛さじゃないわ。冷静な計算の上に立った捨て身の精神よ』」


オレンジペコ「……と言うことは、みほさんは次の作戦を……?」


ダージリン「ええ。恐らくは……愛里寿さんが最もよく知っているあの技を、再び見せてくれることでしょうね」


オレンジペコ「……あっ、全車一斉に動き出しました!」


ダージリン(勝負は時の運……とは申しましたけど、どうやら運はみほさんに付いているようですわね……)

ダージリン「……後は『どう気付かれないか』───楽しみですわ」


今回はここまで

いよいよ次回、10式と高校連合の決着です

ではでは(更新は数日後)


ギャリィィンッ───


10式砲手「えっ……」


しほ「……」


ガタンッ ズザァァァァ───


10式操縦手「あっ、ありえない……起動輪が……破壊された……!?」

10式操縦手「10式操縦不能っ、右履帯滑落及び右起動輪欠損っ!!」


10式砲手「えっ?そっ、そんなことがあるの……!?」ボーゼン


しほ「……あなたたち、驚く暇があるなら現状で出来ることを速やかに考えなさい、一瞬の油断が命取りよ」


10式砲手「あ……はいっ、申し訳ありません!」


10式操縦手「申し訳ありませんっ」


しほ「……」

しほ(流石の彼女たちでも、時速70kmで走る10式に命中弾を当てることは難しいと思っていた……しかし結果はこの通り、見事に動きを封じられた)

しほ(当てるだけでも称賛されるべきことなのに───私が思っているより、あの子たちは成長しているのかもしれない)


10式砲手「……報告っ、先程のスラローム射撃により相手は計9両を損失」

10式砲手「残り6両は撃破判定車両に退避しており、撃破には相手の挙動も考慮に入れた精密射撃が必要です」


しほ「ふむ───スラローム射撃態勢及び自動照準を解き、射撃を手動に切り替える」

しほ「陰から出てきた車両を正確に捉え、速やかに各個撃破せよ」


10式砲手「了解」


しほ(……とは言ったものの、参ったわね……)

しほ(みほとまほはまだ生き残っているから、無駄に犠牲を増やすようなことはしない筈)

しほ「……持久戦かしら」


10式操縦手「……かもしれませんね……まぁ、私たちはどっちにしろ動けないので、相手が動くのを待つしかありませんが……」


しほ「そうね……相手の損耗も激しい。ここで一度態勢を建て直してくるかも───」

しほ「───いや、どうやらすぐに事は動きだしそうね」


10式操縦手「えっ?……あっ!」


10式砲手「敵車両全車、こちらに砲を指向中───砲撃っ!!」


───ヒュンッ

ズバァァンズババァァンッ


10式砲手「至近弾多数っ、土煙が晴れるまで5秒っ」


しほ「了解、晴れ次第相手の動向に傾注せよ」


10式砲手「了解!」


しほ(この試合───勝負はついたと思ったけれど、まだまだあの子たちのやる気は十分みたいね)


10式砲手「土煙晴れますっ……えっ?」

10式砲手「……はっ、八九式戦車が一直線にこちらに向かってきます!……後、エレファントが移動中、マウスに向かっていますっ」


しほ(ふむ、仕掛けてきたわね……普通は八九式を先に狙う所だけれど───)

しほ「砲手、先にエレファントを狙いなさい」


10式砲手「えっ……りょ、了解っ」


しほ(……あのエレファントを逃したら大変なことになる……杞憂だといいのだけれど……)


ウィィィン ガシャン


しほ「……撃t───」


───ヒュンッ

ガシャァンッ(グラッ)


しほ「!!」


バァァンッ

───ズバァァン───


10式砲手「うっ、砲撃直前に砲塔に衝撃、砲撃が僅かながら逸らされましたっ」(うっそでしょ!?なんて精度してるのよ高校生たちは……っ)


しほ「エレファントは?」


10式砲手「車体をかすめただけで、撃破には至らず……」


しほ「……分かったわ、八九式を撃破して」


10式砲手「了解っ」


しほ(今当ててきたのはティーガーⅡ……逸見エリカが乗っている車両ね……流石黒森峰の副隊長を務めるだけあるわ)


10式砲手「うぅ、蛇行運転されると狙いにくいぃ……」


しほ「……!」

しほ(八九式の車長が身を乗り出して……)

しほ(……!あの手に持っているのは……っ!)

しほ「砲手っ、早く撃破しなさいっ」


10式砲手「え?りょ、了解っ」


ウィィィン


しほ「……撃てっ」


バァァンッ

ガシャァンッ!(シュパッ)


蝶野『八九式中戦車甲型、走行不能っ』


10式砲手「よしっ……あれ、なにかこちらに飛んできて───」


しほ「……間に合わなかったようね」

しほ(あれはまほから聞いた、確かサンダース戦で使っていた───)


ボシュゥッ!!


10式操縦手「うわぁ、視界が真っ白にっ!?」


10式砲手「えっ、煙幕……!」


しほ(ふぅ、考えたわね……)

しほ(私がエレファントを狙うと読んでの八九式の特攻……お陰で、八九式は煙幕を張れる位置まで進めた……)

しほ「……でも、これでは10式の視界は完全には奪えない」


しほ「砲手はレーダー照準にて敵車両を補足しなさい。あなたの腕なら十分に狙える筈よ」


10式砲手「了解っ」(あぁ~緊張する……)


しほ(……さて、あの子たちはどう動くのかしら。煙幕で完全に視界を遮ったと思っているのなら大胆な動きをしてくる可能性も───)


キャラキャラキャラキャラ───


10式砲手「……敵パンターとヘッツァーが右に向かって移動を開始したようですっ、恐らく煙幕に乗じて裏を取る作戦かと思われます」


しほ(───やはりね)

しほ「了解、パンター、ヘッツァーの順に撃破せよ」


10式砲手「了解っ」


ウィィィン


───バァァァンッ


10式操縦手「……っ!砲撃来ますっ、音からして128mm!」


───ズバァァン


しほ「やられることは無いから構わないわ。砲手、撃てっ」


バァァンッ

ズバァァンッ!(シュパッ)


蝶野『パンター1、走行不能っ』


しほ「続けてヘッツァー……撃てっ」


バァァンッ

───ヒュンッ

ガシャァァンッ


10式砲手「えっ!?」


しほ「……どうしたの?」


10式砲手「私が射撃した瞬間、ヘッツァーが急停車したんですっ、それもありえないくらい急に……」

10式砲手「お陰で射撃を外してしまいました……」(……なんか、違う方向からの弾がヘッツァーに当たったような……いや、流石に気のせいか……)

10式砲手「再度射撃しますっ」


バァァンッ

ズバァァンッ(シュパッ)


蝶野『38(t)軽戦車(ヘッツァー仕様)、走行不能っ』


しほ(……一度外したのはなんだったのかしら……まあいいわ)

しほ(今倒したのは確か、大洗の生徒会チームね───)

しほ(……みほのこと、様々な形で支えてくれたこと、感謝するわ)


しほ「……左側に動きは見られたかしら?」


10式操縦手「いえ、煙幕等の影響で姿を確認することは出来ませんでした……」

10式操縦手「ただ、エレファントやⅣ号戦車による砲撃はあったようなので、右側ほどは動いていないかと。せいぜい援護射撃でしょう」


サァァァァ───


10式操縦手「煙幕が晴れてきました」


しほ「視界が遮られていた時間は20秒くらいかしら……」


10式砲手「これで狭い範囲のみのレーダー射撃でなく、目視で前方全域をカバーできます!」


しほ「了解、残り3両の内2両は128mm砲よ。被弾時の衝撃に十分注意しなさい」


10式砲手「了解っ」


10式砲手「……んんっ、エレファントとティーガーⅡが交互に出たり隠れたりして、狙いが……」


しほ「それなら先に、ティーガーⅡを狙いなさい」

しほ「恐らくあのティーガーⅡに乗っているのは逸見エリカ……彼女の射撃指揮能力は高校連合でも随一よ」


10式砲手「……そんなに凄い方なんですか?逸見エリカさんは」


しほ「えぇ、まほから聞いた話だと誰よりも戦車道に熱心で、素晴らしい指揮能力を持っているらしいわ」

しほ「そんな彼女が128mm砲を操っていたらどれほどの脅威となるか……」

しほ「現に、エレファント狙撃時に直撃を食らわせてきたのはティーガーⅡよ」


10式砲手「はぇ~、それは先に倒したほうが良さそうですね」スゴイナー


10式操縦手「……」ンー

10式操縦手「……一つお訊ねしてもよろしいでしょうか」


しほ「ん、なにかしら」


10式操縦手「先程視界外射撃を実施した際、高校連合のどの車両がどこにいるのかまで正確に把握出来ていました」

10式操縦手「その時になぜ128mm砲を優先して撃破しなかったのか疑問に思いまして……」


しほ「……なるほどね……勿論それは───」

しほ(───ん、そう言えばどうしてかしら……)

しほ(試合を出来るだけ公平にするため?……いや、なにか引っ掛かる───)

しほ(もっと、純粋ななにかが私に働きかけて───それで───)


───ヒュンッ

バァァンッ!


しほ「!」


10式砲手「エレファントが砲撃を当ててきましたっ、恐らく榴弾!」


ヒュンッ バァァンッ


10式操縦手「ティーガーⅡからも被弾っ、同じく榴弾のようです」


しほ(榴弾……、確かに貫通しない相手には有効かもしれないわね)


バァァンッ ガァァンッ


10式砲手「うぅ、狙ったらすぐに頭を引っ込めちゃって、上手く狙えない……」チラミシテクルゥ…


10式操縦手「ちょっとぉ、早く倒してくれないと、榴弾着弾時の音と衝撃が凄くてクラクラしちゃうぅ……」


10式砲手「私だって早く倒したいよ!」


しほ「……」

しほ(なにか……なにか大事なことを忘れているような───いや、今は目の前の敵を倒すことに集中しなくちゃ……)

しほ「砲手、相手がなかなか隙を見せないのなら、こちらから隙を作ってやればいいだけのこと」


10式砲手「と、申しますと……?」


しほ「まず、ティーガーⅡを狙いなさい」


10式砲手「りょ、了解っ」


ウィィィン


しほ「するとティーガーⅡは頭を引っ込め、代わりにエレファントが出てこようとしている」


10式砲手「仰る通りです」


しほ「次にあなたは、そのまま照準をエレファントに向けていたわよね?それでは駄目なの」

しほ「エレファントに照準を合わせる……ように見せ掛けるのよ」


10式砲手「それは……途中で照準を戻すと言うことでしょうか?」


しほ「まぁだいたい合っているわね。それに加え、照準を離すときはゆっくり。照準を戻す時は素早く行うと大抵の敵は引っ掛かるわ」


10式砲手「なるほどぉ……ではやってみますっ」


10式操縦手(ふふ、自転車の乗り方を教わっている子どもみたい……)


10式砲手「えっと、まずはティーガーに……その後ゆっくり照準をエレファントに向けていって……」


ウィィィン……


10式砲手「……そして、ティーガーが出てこようとしている所に素早く照準を戻すっ」


ウィィィンッ


しほ「よしっ、撃てっ」


10式砲手「うりゃぁ!」


バァァンッ

ズバァァンッ!(シュパッ)


蝶野『ティーガーⅡ、走行不能っ』


10式砲手「やったっ、やりました!」


しほ「よくやったわ。……まあ実戦では役に立たないでしょうけど、戦車道では有効な戦術よ、覚えておきなさい」(……こんな風に教えるのは何年ぶりかしら……思えばあの子たちももう高校生なのね……)

しほ「……と言うかあなた、戦車道の社会チームに入らないかしら?今なら紹介状も書くわよ」


10式砲手「い、いやっ、滅多に戦車道をする機会はありませんので!」アタフタ


しほ「まあそう言わずに、あなたの腕は社会人チームでも通用するし、ね?」ニコッ


10式砲手「そ、そんな笑顔を披露されてもですね……」フルフル


10式操縦手「ふふっ、しほ殿、二尉をそんなに苛めないでやって下さい」


しほ「ん……それもそうね」

しほ(まだ相手の戦意は残っている……確かエレファントにはまほが乗っていたわね)

しほ「……よし、次にエレファントが出てきたらすぐに射撃できるように、先に照準を合わせておきなさい」


10式砲手「了解っ」


ウィィィン


10式砲手「……あっ、反対側から出てきました!」


しほ「流石に待ち伏せされているのには気付いていたのかしら……まあいいわ。照準を合わせ直しなさい」


10式砲手「……エレファント発砲っ!」


ズバァァンッ!!


しほ「うっ」グラッ

しほ(やはり128mm砲は効くわね……でも!)

しほ「これで終わりよっ、撃てっ!」


バァァンッ


───ッズバァァンッ!!(シュパッ)


蝶野『エレファント、走行不能っ』


10式操縦手「うう、頭がクラクラする……」ナンパツアタッタノ?


10式砲手「ん~……、全部で20発くらい食らったかな……実戦じゃなくて良かった……」


10式操縦手「実戦ならAPFSDSが飛んでくるから、砲身を撃たれた時に車体を撃たれて終わってたわね……」


10式砲手「ちょっ、怖いこと言わないでよ……」


しほ(APFSDS……貫徹能力600mm超の超絶威力の砲弾ね)

しほ(……ん?、10式がこの試合で今まで撃っていた砲弾はなんだったのかしら……もしかして……)(顔面蒼白)


10式砲手「……ん、どうかされましたかしほ殿?顔色が悪いようですが……」


しほ「いっ、いえ、大丈夫よ……」(この10式だって、急遽だけど戦車道用に改造されていることだし、大丈夫な筈……)

しほ(……でももし実弾だったとしたら───こんなに特殊カーボンに感謝する日はないわ……)※きちんと戦車道用APFSDSを使用しています


10式操縦手「それにしても、最後の1両がなかなか出てきませんね」


しほ「そうね……残り1両が……1両……?」

しほ(……なにかしら、このいい知れぬ不安は───)


しほ「……砲手、操縦手、最後の1両……Ⅳ号戦車はどの残骸に隠れていた?」


10式操縦手「えっと……先程確認した時点ではマウスに隠れていました。恐らく今も隠れているものかと……」


しほ「……どこか別の場所に移動した、ということはないかしら。例えば……あの稜線に移動したということは……」


10式操縦手「あれですか……いや……それは難しいかと思われます。煙幕で約20秒ほど視界妨害されていましたが、Ⅳ号のスピードでは25秒はかかる筈です」

10式操縦手「他の車両の裏にもいませんし……やはりマウスの裏にいるのでは?」


10式砲手「128mm砲でも満足にダメージを与えられないんです、諦めてるのかもしれませんよ?」


しほ「……いや、そんな筈は……Ⅳ号にはみほが乗っている。諦める訳が───」

しほ「───っ!!」


しほ《……私はある種の確信を持って勢いよくハッチを開き、勢いそのままに後方を見やった》

しほ《そこには、本来ならいるはずもないⅣ号戦車、そしてハッチから同じく上半身を覗かせるみほの姿があった》

しほ《Ⅳ号の砲身は真っ直ぐに10式の後部エンジンに向けられ、反撃しようとする前に先に発砲を許してしまう状況であることは容易に理解できた》

しほ《私は驚愕すると同時に、先程まで感じていた正体不明の感情がなんなのかを知ることができた》




───あぁ、戦車道とは、こんなにも『楽しい』ものだったのね───



しほ《それは久しく忘れていた感情。ただ勝つことだけを尊ぶ西住流には必要なかった感情》

しほ《私はみほを真っ直ぐに見つめ、みほも私の方を真っ直ぐに見つめ返していた》

しほ《みほの眼差しはどこまでも真っ直ぐで……そして一瞬だけ、微笑んだように見えた。私はすぐに、みほは西住流と言う枠組みから飛び立つことが出来たのだと悟った》

しほ《直後みほの口元が動くのが見えた。私は覚悟を決め、この試合を終わらせるであろう言葉を聞いた。───一人の西住流として。一人の親として》




───砲手、撃ち方用意……撃てっ───



今回はここまで

次回本編最終回、Ⅳ号の75mm砲は無事後部エンジン保護装甲を撃ち抜くことが出来たのか!

あと、今回の更新中で分かりにくいと感じたであろう場面のほとんどは、次回分かると思います

ではでは


最終決戦を投稿し終わってから一言

『みほたち視点で書いた方が良かったんじゃないか?』

ってことで、本編終了後にみほたち視点も投稿しようと思います。その方が作戦も上手く伝わると思います

手探りの執筆故の様々な改変、ご容赦下さい


みほ「はぁ……」クッタリ


沙織「みぽりんお疲れ~……いやー最後は疲れたよぉ、も~」


華「まさか一発では貫通しないなんて……慌てて二発目を撃ち込まなければ負けていました……」


沙織「私も負けを覚悟したくらいだもん……」


優花里「いやぁでもでも!、まさかあの10式に勝てるなんてぇ!夢じゃないんでしょうかぁ!!」


みほ「いや、夢じゃないと思うよ……ほら」ユビサシ


杏「ほら、もっと腰の動きを滑らかに!」アッアアンアン


蝶野「あぁぁ、全国的な晒し者になってしまうぅぅ……」アッアアンアン


10式砲手「こんな恐ろしい踊りだなんて聞いてないわよ!」アッアアンアッアアン


10式操縦手「私は既婚だからまだいいですけど、蝶野一尉はきついですねこれ……」アンアンアン


みほ「流石にあんこうスーツは自衛隊上層部の嘆願で見送りになったけど、自衛隊の制服であれは……」


優花里「庇護を受ける者として、思うところがありますね……」


まほ「みほ」


みほ「あ、お姉ちゃん!」タッタッタッ


まほ「今日勝利できたのはみほ、お前の活躍があったからこそだ。素晴らしい指揮だった」


みほ「そんな……お姉ちゃんがまた空砲でⅣ号を運んでくれなかったら私たちは負けてた……こちらこそありがとう!」


まほ「うむ。これで胸を張って家に帰ってこれるな」


みほ「うんっ!」


エリカ「ちょっといいかしら?」ツカツカツカ


みほ「ん、逸見さん」


エリカ「昨日の敵は今日の友……そして、今日の友は明日の敵よ!」ババーン


みほ「えっ、えぇ!?いきなり何を……」タジッ


麻子「初めて聞いたぞそんな言葉」


沙織「ダージリンさんですら言わなさそう」


エリカ「ぐっ……とっ、ともかく今日はみほのお陰で勝利出来たわ。それは感謝するわ……でも!」

エリカ「次に私たちが会うときは敵同士のときよ、その時は必ず黒森峰が大洗をけちょんけちょんにするんだから!」


みほ「……はいっ、楽しみにして待ってます!」


エリカ「ふんっ」///


まほ「それじゃあな、みほ」


みほ「うん、今度は家でいっぱいお話ししようね!」


まほ「ああ」///


しほ「みほ」


みほ「あっ、お母さん……」


しほ「……」


みほ「……うぅ……」モジモジ


しほ「……はぁ」


しほ「そう気張らなくていいのよ。私たちは親子でしょ?」


みほ「お母さん……でも……」


しほ「大丈夫よ。私、この試合を通して貴方に教えて貰ったわ」


みほ「えっ?何を───」


しほ「『戦車道は勝利が全てではない』ってことをね」


みほ「そっそれって……」


しほ「本来西住流は勝利を何よりも重んじる流派。勝利の為なら多少の犠牲も厭わない流派」

しほ「……でも、私は勝利に固執する余り大事なものを見失っていたわ」


みほ「……」


しほ「私は貴方に勝利を優先させようとした。でも貴方に本当に必要だったのは、戦車道を楽しむ心だった」

しほ「貴方は貴方の戦車道を貫き通しなさい。そして……いつでも帰ってきなさい」


みほ「おっ、お母さん……」ウルッ


みほ「……うっ……うわぁぁぁぁん!!」ダキッ


しほ「ちょっ、みほ……!?」


みほ「お母さんありがとうっ、私っ、私ぃ……!」ウワァァン


しほ「……よしよし」ナデナデ


優花里「なっ、なんて羨ましい光景なのでしょうか……!私にも抱きついて欲しいですぅ!!」


沙織「何考えてんのよ……」


華「美しい家族愛ですねぇ」


麻子「華の所もだったが、西住さんもようやく家族間の憑き物が取れたようで良かった」


みほ「……それじゃあ近いうちに帰省するね!」グスッ


しほ「ええ、まほと共に歓迎するわ」


みほ「それじゃあね!」タッタッタッ…


みほ「皆お待たせ!」


沙織「良かったじゃんみぽりん!まさかこの試合が家族の溝を埋めることになるなんてね!」


みほ「うん、私もこんなことになるとは思ってなかったけど……本当に良かった!」パァァ


優花里「西住殿、観客席の最前列に戦友たちが待ってくれています!勝利の凱旋に行きましょう!」タッタッタッ


華「アンツィオの方々がパスタをご馳走してくれるそうですし、私も先に行って参ります!」バッ


麻子「眠いから早めに帰りたい……」テクテクテク


沙織「あっ、観客席から私を呼ぶイケメンの波動が!やっぱり私モテモテになっちゃったのかなぁやだも~!」サッ


みほ「あぁ皆……もう、待ってよぉ~」パタパタパタ

みほ(───最初は戦車道から逃げてきたけど、今ではかけがえのない仲間が沢山出来た)

みほ(やっぱり、戦車道って楽しいな───)



fin


お疲れ様でした、とりあえず本編は終了です

ここからは番外編1、『10式が最初からマジだったら』と番外編2、『最終決戦みほたち視点ver』です。もう少しだけお付き合い下さい

ではでは



番外編1『10式が最初からマジだったら』


~~~~~


みほ「それでは作戦通り、全車前方の高台の麓に集結します」

みほ「各車両はつねに周囲を警戒し、相手を見つけたらすぐに射撃できるように───」


───ヒュンッ

ズバァァァン!(シュパッ)


蝶野『ティーガーⅡ(エリカ車)、走行不能っ』


エリカ「……へ?」


みほ「えっ……?」ポカーン


まほ「は?」ポカーン


───ヒュンッ

ズバァァァン!(シュパッ)


蝶野『ティーガーⅡ2号車、走行不能っ』


まほ「まっ……えっ、ちょっ」ガタガタ


みほ「ふぇぇ?、お母さん手加減なしだよぉ……」フルフル


沙織「ちょっと、試合が始まってから10秒よ!?一体なにが起きてるのぉ!?」


優花里「予想ですが、相手はスタート地点から1歩も動いていません!恐らく精密誘導射撃かとっ!」


沙織「そんなのアリなのっ!?」


みほ「くっ……とっ、とにかく早く対策を───」


ヒュンッヒュンッ

スバババァァァン!!(シュパパパッ)


みほ「あぁぁ───」(放心)

みほ「───あれ?私たち今なにしてるんだっけ?……あぁ、皆でボコミュージアムに遊びに行く途中だったね……」アハハハハ


優花里「あぁ!西住殿が現実逃避に走ってしまいましたぁ!」


沙織「ちょっ、みぽりん皆に指示しないと……!」


優花里「……そうだ!こう言う時の副隊長、まほ殿ですっ!」


ピッ


まほ「お母様申し訳ありません私がもっと誠実に育っていればこのようなことにならなかったのはこの身に染みて理解しておりますどうかその怒りをお鎮め下さいみほは差し出しますのでどうk」


ピッ


優花里「……」


沙織「……」


優花里「そっそうだ!会長に頼めばいいんです!人心を取りまとめるのには慣れている筈……!」


ピッ


優花里「かっ会長殿っ!西住殿が今失神してしまっているので隊長の代わりを───」


杏「それでさぁ~私こう思ったんだよぉ、『あっ、私の命はここで尽きるんやな』ってさぁ」ヒック


マウス車長「そりゃあマウスに突っ込めって言われたら死を覚悟しますよねぇ~」ヒック


杏「お前もよく頑張ったなぁ!」バシッ


桃「はぃぃ!会長のお側ならこの身すら厭わない覚悟ぉれすよぉぉ!!」


優花里「あぁ駄目だ、疑似居酒屋が開かれてるっ」


麻子「最早現実逃避より酷いな……」


優花里「と言うか、マウスもヘッツァーも既に撃破済み……!?」


華「いつ撃破されたのか分からないほど苛烈な攻撃ですね……」


優花里「うぅ、このままでは、私たちは10式の姿を見ることすら叶わずに……っ!」


華「……いえ、その心配はないようですよ」


優花里「えっ……?」


ギャラギャラギャラギャラ───

グワァン(稜線越え)


優花里「ひっ!?10式……!!」ガクガク

優花里「えっ、じゃあまさか10式は、ここに移動しながら精密射撃を……っ!!?」


麻子「向こうから出向いて来るとは、よほど撃破されない自信があるんだろうな」


ズドォォンッズドドォォンッ

(シュパパパパッ)


沙織「……って、なんかこっちに突っ込んで来てるんですけどぉ!!」


優花里「まっ不味いっ!冷泉殿、すぐに回避して───」


沙織「いやっ、間に合わないよぉーっ!!」


麻子「やる前から諦めるんじゃないっ」ギュルルルル


───ヒュンッ

ズバァァンッ(シュパッ)


優花里「あぁぁ、やられちゃいましたぁ」


麻子「フェイントを掛けたつもりだったんだが……流石自衛官、お見通しだったか」


華「お見通しと言うか……10式の砲身がピッタリとⅣ号を追従してきていて、正直気味が悪かったです……」


優花里「10式はスラローム射撃も一流ですからねぇ……」ハァ


みほ「あはは、ボコジェットコースターもう終わっちゃったのぉ~?」クラクラ


優花里「あぁ忘れてましたっ、西住殿大丈夫ですか!?西住殿───」


ヤクトラ砲手「……ねぇ車長」


ヤクトラ車長「なに?」


ヤクトラ砲手「私たち、28両編成だったよね?」


ヤクトラ車長「うん、28両編成だね」


ヤクトラ砲手「気が付いたら自分達を含めて10両になっていた。なにを言っているか分からないと思うけど、私にも分からない」(真顔)


ヤクトラ車長「……とりあえず一つ言えることは……」

ヤクトラ車長「人生諦めも大事っ!!」


ズバァァンッ!(シュパッ)


蝶野『ヤクトラ、走行不能っ』


ヤクトラ砲手「……泣いてもいい?」


ヤクトラ車長「……逆に聞くけど、ここで泣かなかったらいつ泣くの?」


ヤクトラ砲手「ごもっとも」グスッ


澤「わわっ、隊列に突っ込んで来たよぉ!?」


桂利奈「なにあの動き!?……もしかして、おちょくり作戦がパクられた!?」


宇津木「いや、あれはおちょくりの範疇を越えてるよ……通り魔だよ……」ボーゼン


山郷「10式が通り過ぎた車両はもれなく撃破されてるからね……」


あや「大学選抜の隊長もあんな動きしてなかった?」


山郷「いやぁ、あれはもっと酷いと思うよ……ほら」


ガキィン ギィィン


パンター2「ちょっと、側面すら貫通しないって、まるでマウスじゃない!」ギャーギャー


Ⅳ号駆逐戦車3「いや、当てれるだけでも羨ましいよ……回転砲塔がいいよぉ……」シュン


パンター5「早く撃って!不味いっ、こっち来ちゃうっあぁぁぁ」(シュパッ)


パンター6「だから撃ったら同士討ちになっちゃうあぁぁぁ」(シュパッ)


あや「……阿鼻叫喚だね」(真顔)


山郷「そだね」(真顔)


カエサル「うさぎさんチーム聞こえるか!私たちで10式を挟み撃ちにするぞ!」


澤「えぇ!?でも挟み撃ちなんてどうやって───」


カエサル「やられた振りをするんだ、動いてなければ少しは騙せる筈!」


澤(そんな簡単にいくかなぁ……)

澤「……分かりました、で、どうすればいいですか?」


エルヴィン「私たちは回転砲塔を持たない。だからM3リーとⅢ突で向かいあうんだ!」


おりょう「あやつが我々2両の間を通る瞬間、両側からの一撃を食らわせるぜよ!」


宇津木「でも、そう簡単に10式が引っ掛かってくれるか───」


ギャラギャラギャラギャラ


宇津木「って来たしっ」


カエサル「おいっ、息を潜めるんだ!」


桂利奈「でもやっぱrムグゥゥ!?」


あや(桂利奈ちゃん喋ったらばれちゃうよ!)


山郷「いや、車内だし関係ないよ……」


ギャラギャラギャラギャラ


エルヴィン「よし来たぞ、頼んだぞ左衛門佐っ」


左衛門佐「お任せ下されっ!」


あや「あゆみ来たよ!ファイト!」


山郷「うん!」


ギャラギャラギャラ


カエサル・澤「───撃てっ!」


ッキキィィィィ


宇津木「はぇ?」


バァンバァァン

ガシャァンズバァァン(シュパパッ)


蝶野『M3リー及びⅢ号突撃砲、同士討ちにより走行不能っ』


桂利奈「なっ、なにが起きたのぉ!?」


澤「私たちが撃つタイミングギリギリで急停車して、カバさんと私たちが撃ち合っちゃったみたいだね……」


あや「なんで気づかれてんの!?」


山郷「いや、白旗あがってないし……」


左衛門佐「うぅむ無念っ」


エルヴィン「というか、なぜ我々は正面を向き合ってしまったんだ……」


おりょう「少しでも角度をつけていればこんなことには───」


一同「それだぁぁ!!」ビシィ


バァン バァン ババババァン

ギョラギャラギャラズザザーギャラギャラ

ババァン


まほ「こっこここれは夢なんだ……おおお母様があんな非情なことをする筈がががが───」ガクガク


エレファント操縦手「車長っ、もう残っているのは我々だけです!」


まほ「えっ、うそっ、まだ3分も経ってないよ!?お母様はカップラーメンすら作らせてくれないの!?」


エレファント操縦手「はい?……とりあえず逃げましょう!そこら辺に撃破済み車両は沢山ありますっ、これらを使って───」


まほ「……いや、もう逃げても無駄だ、ここは10式と一騎討ちしか───」


エレファント砲手「128mmならなんとかなるかな……」


ギャラギャラギャラギャラ


まほ「来たぞっ、射撃用意っ」


エレファント操縦手(まほ副隊長、よくさっきの状態からけろっと回復できたなぁ……)


まほ「……撃てっ!」


バァァンッ

───ギィィィィンッ


まほ「なっ……車体下部すら貫通しないだと……!?」


エレファント通信手「後で大洗の人達にあんこう踊りを習わないと……」(茫然自失)


エレファント砲手「あぁぁあんこう踊りはいやだぁぁぁ!」ウワァァン


まほ「私だっていやd───」


ズバァァンッ!!(シュパッ)


蝶野『エレファント走行不能っ、よって勝者、自衛隊っ!』


しほ「勝てば官軍負ければ賊軍、戦車道にまぐれなしっ!」ババーン


10式砲手「いやぁ、やっちゃった感が否めませんね……」シシルイルイダナ…


10式操縦手「まさか高校生相手に全システム完全稼働状態で挑むなんてね……西住流ってやっぱり恐ろしい……」


優花里「直撃弾総数12発、しかしその中でダメージと呼べる打撃は0……硬すぎますよぉ……」


みほ「うぇぇん、血も涙もないよぉ……」グッタリ


まほ「ぜ、全滅?28両の戦車が全滅?試合開始3分もたたずにか?……お、お母様が乗った10式1両に戦車が28両も?ば、化け物か……」


エレファント操縦手「隊長、もしかしてガン○ムにはまってます?」


まほ「よく気が付いたな」


ダージリン「こんな言葉を知ってる?『触らぬ神に祟りなし』」


オレンジペコ「触る前に祟られてますけどね」


ミカ「戦車道は人生の大切なものが全て詰まってるんだよ。でもほとんどの人がそれに気づかないんだ」ポロローン


アキ「この試合になにか詰まってるとは思えないけどね」


ミカ「偶然だねアキ、同意見だ」ポロローン


後日みほたちは全国放送であんこう踊りを披露したが、西住姉妹を筆頭とした美少女たちが羞恥心を滲ませながら健気に踊る姿は全国の人々の目に留まり、女子高生を中心にあんこう踊りが全国的なブームを巻き起こすことになるのはまた別の話。



fin


10式に西住流を乗せてはいけない(天啓)

番外編2の投稿日時は未定です。予想では1週間後くらいなので、気長にお待ち下さい

ではでは



番外編2『最終決戦みほたち視点ver』


~~~~~


みほ「それでは早速作戦を始めます!」

みほ「皆さんの各行動のタイミングは私が指示しますっ、皆さんは撃破されないことに最大限注意して下さい!」


まほ「よし、いくぞ!」


エリカ「砲手っ、当てないとシバくわよ!」


ティーガーⅡ砲手「はぃぃ…」ガクブル


杏「ま、焦らずじっくり確実にいこ~っ!」


柚子「流石に焦らないと不味いんじゃ……」


桃「そ~ですよ会長~っ!マウスより強い奴になんか勝てません"ん"~!!」


杏「なんとかなるって~!西住ちゃんを信じなよ!」バシッ


桃「はぅ」ビクッ



番外編2『最終決戦みほたち視点ver』


~~~~~


みほ「それでは早速作戦を始めます!」

みほ「皆さんの各行動のタイミングは私が指示しますっ、皆さんは撃破されないことに最大限注意して下さい!」


まほ「よし、いくぞ!」


エリカ「砲手っ、当てないとシバくわよ!」


ティーガーⅡ砲手「はぃぃ…」ガクブル


杏「ま、焦らずじっくり確実にいこ~っ!」


柚子「流石に焦らないと不味いんじゃ……」


桃「そ~ですよ会長~っ!マウスより強い奴になんか勝てません"ん"~!!」


杏「なんとかなるって~!西住ちゃんを信じなよ!」バシッ


桃「はぅ」ビクッ


すみません、重複してしまいました


典子「バレー部再興の為っっ!!」


妙子「八九式を駆りっ!!」


あけび「強大な敵に臆することなく突撃しっ!!」


忍「全国放送で我らの勇姿を見せつけてっ!!」


典子「バレー部入部希望者を募るっっ!!素晴らしいっっ!!最早バレー部は復活したも同然っ!!」


妙子「いけますよ先輩!」


典子「よしっ、バレー部再興の為に命を燃やせっ!!」


一同「「「おぉぉぉっっ!!!」」」ゴォォォ…


パンター車長「ちょっと、なんで私たち生き残っちゃってるの!?」


パンター砲手「え?いや光栄なことじゃないですか、最終決戦に参加出来るんですよ?」


パンター車長「他の車両のメンツ見てたら逃げ出したくなるわよ……私たち以外主役とその取り巻き級のそうそうたるメンバーじゃない……」シクシク


パンター通信手「そういうの気にするんですね……」(汗)


パンター装填手「まあ大丈夫でしょ、モブはモブらしく速攻で撃破されますって」


パンター車長「う、うん、そうだよね……」

パンター車長「……まぁ、モブらしくしっかりサポートしましょうか!」


一同「「「おぉー!」」」


みほ「まずはティーガーⅡ以外の全車は榴弾を装填っ、私の指示と同時に一斉射撃して下さい!」

みほ「その後カモさんチームは全速力で10式に向かい、エレファントはマウスの裏に来て下さいっ」

みほ「私の予想……と言うかほぼ確実にお母さんはエレファントを狙います。エレファントが撃破されることを防ぐため、ティーガーⅡは10式に徹甲弾を当てて照準をぶれさせて下さい!」


一同「「「了解っ!」」」


みほ「それでは作戦行動を始めます……全車、今隠れている車両から砲を出して射撃用意っ」


ギャラギャラギャラ…


みほ「……撃てっ!!」


バァンババァァァンッ


みほ「よし、カモさんチームは突撃を敢行して下さいっ!」


典子「待ってましたぁぁっ!!」ブルルゥゥン


忍「体当たりする勢いで行きますっ!」


みほ「エレファントもマウスの裏に来て下さいっ!同時にティーガーⅡは10式に照準を合わせ、エレファントに10式の照準が向いたと思ったらすぐに射撃して下さい!」


まほ「よしっ、行くぞ!」ブゥゥゥン


エリカ「よし、よく狙いなさい!絶対に外せないわよ!」


ティーガーⅡ砲手「はいぃ……」ガクガク


沙織「みぽりんの指示のスピードが半端じゃないんですけど!?」


優花里「はいっ、今のパーフェクト西住状態は通常時の2.5倍の指示の速さを誇りますっ」


沙織「パーフェクト西住状態……まぁとにかく凄く頼もしいってことね?」


優花里「その認識で問題ありません!」


エリカ「……むっ、10式が動くっ」


ティーガーⅡ砲手「一瞬八九式を向きましたが、エレファントに照準を合わせているようですっ」


エリカ「……いやエレファントを狙ってるなら早く撃ちなさいっ!そういう手筈だったでしょ!」ギャーギャー


ティーガーⅡ砲手「あぁぁそうでしたすみませんっ!!」


バァァンッ

───ギィィィンッッ


エリカ「よしっ、当たったっぽいわ!」


ティーガーⅡ砲手「はぁぁ、当たって良かったぁぁ……」


───ヒュンッ

ズバァァンッ!!


まほ「くっ……」

まほ(エレファントの後方……0.3mを砲弾が掠めた……危ないところだった……)


キキィィィ───


みほ「よしっ、作戦の大前提となるエレファントの移動は無事に達成しました……カモさんチームはジグザグに走行して下さい!」


典子「了解っ!」

典子「河西っ、今の聞こえた?」


忍「勿論ですっ!そ~れっ!」


グワァングワァン───


妙子「うわわぁ、目が回るぅぅ!?」


あけび「これも10式を倒すためっ……ひいてはバレー部復活の為に我慢するのよっ!」


典子「よぉぉし、そろそろ煙幕を食らわせるぞっ!準備はいいかぁ!!」


一同「「「おぉぉっ!!」」」


ガチャ(ハッチ)


典子「よぉしっ、バレー部秘伝の稲妻サーブを食らえっ!!」

典子「そぉぉぉれっっ!!」


バシィィッ

───ズバァァンッ!(シュパッ)


あけび「きゃあぁぁぁ!」


蝶野『八九式中戦車、走行不能っ』


忍「くっ、当てられちゃいました……!申し訳ありません!」


典子「いや、河西はよく頑張った!出来ることはしていた!誇っていいぞ!」ダキッ


忍「キャプテンッ!」ダキッ

(八九式はアヒルさんチーム…)


みほ「カモさんチームの皆さん、お疲れさまでした!煙幕を無事に張ることが出来ました!」


典子「いえっ!西住隊長の勝利をバレー部一同願ってますっ!」


みほ「はいっ、ありがとうございます!」

みほ「よし、ここからは時間との勝負です!各自は先程話した通りに行動を開始して下さいっ」


パンター車長「了解っ」


杏「よっしゃ!いくよパンター!」


パンター車長「はいっ!」


エリカ「えっと、128mm砲を撃つタイミングをぴったり合わせるんでしたよね?」


まほ「ああそうだ。相手に128mm砲は自分たちにしか向けられていないと思わせるんだ」


エリカ「分かりましたっ、キッチリ合わせます!」


みほ「それではカメさんチームとパンターは行動を開始して下さいっ、ここが正念場です!」

>>574 さん

すみません、普通にミスりました……
投稿が遅くなった原因とも重なりますが、最近季節の変わり目で忙しくて、つい注意力散漫になりがちです……

次からは(というか次回が最後の更新ですが)このようなミスがないように気をつけます


今回はここまで

次回やっと最終回です、皆さまも忙しい中このような作品を読んでいただきありがとうございました。

最終回は誤字脱字にも気をつけつつ、過去最高の仕上がりにしてから投稿しようと思います。

ではでは


杏「小山ーっ、突撃ぃぃ!!」ビシィ


柚子「はいっ」


ギャラギャラギャラッ


パンター車長「私たちも遅れをとるな!ヘッツァーと並走するように進むんだ!」


パンター操縦手「了解です!」


パンター車長「いいか!、私たちの作戦目的は出来るだけ10式の注意を引くことだ!」

パンター車長「副隊長が隊長を稜線裏に飛ばすまでの20秒、なんとしてでもこちらに気を引き続けなくてはならない!!」

パンター車長「つまり、私たちが作戦の要だと言っても過言ではない!突っ走れぇ~!!」


みほ「……よし、お姉ちゃん、エリカさん、準備はいい?」


まほ「私は大丈夫だ」


エリカ「こっちもOKよ!」


みほ「了解っ……それでは先程言った通りカウントを始めます、0で発砲して下さい!」


みほ「麻子さんは1と0の丁度真ん中でアクセルを全開に!」


麻子「任せておけ」


みほ「よし……カウントっ」


みほ「3ッ」

みほ「2ッ」

みほ「1ッ」


ブゥゥゥンッ


みほ「0ッ!!」


バァァァンッ!! ×2

グワァァァァン


沙織「うわぁぁぁ!?2回目だけどクラクラするぅぅぅ!!」


優花里「いやぁ、空砲を使った強制急加速は洒落になりませんねぇ、少し酔ってしまうくらいですぅ」(しかも今回は強力無比な128mm砲……うぷっ)


華「そうでしょうか?ジェットコースターのようでスリルがあるじゃありませんか!」


麻子「華のずれた感覚はやはり理解できん」


華「まあ酷い!」プンプンッ


みほ「あはは……あっ、カメさんとパンターの状況は?」


ガシャァァンッ(シュパッ)


蝶野『パンター、走行不能っ』


パンター車長「すみませんっ、たった今撃破されましたぁ!」


パンター操縦手「あの煙の中から撃てるってどんな技術なのよ~!」


パンター装填手「知らんっ!」


みほ「いえ、パンターさんの働きに感謝しますっ」

みほ「よし、エリカさん!」


エリカ「ええ……いくら時間稼ぎとはいえこんなことをするなんてね……」


杏「いやぁ、いくら西住家の家元でも仲間からの発砲による足止めには驚くっしょ!」


エリカ「いや、それはそうですけど、なにもここまでしなくても……」(今回は空砲ですらないし、大洗の生徒会長は馬鹿なのかしら……)


杏「まあまあ、念には念を入れてこちらに注目して貰わないといけないからねぇ」

杏「まっ、そこんところは割り切って履帯にかましちゃってよ!それで4秒は稼げる!」


エリカ「分かってるわよ!後で修理費なんか請求しないでよ!」


杏「OKOK!」


エリカ「よしっ、砲手!ヘッツァーの右履帯を狙って!」

エリカ「ヘッツァーを急停止させて10式の砲撃から一度だけ救うわよ!」


ティーガーⅡ砲手「了解っ!」


桃「会長ぉぉ!いくらなんでも味方から撃たれるなんt(ムグゥ!?」


杏「かーしま、出来るだけ派手に注意を引かないとⅣ号が爆走してる音が聞こえちゃうだろ?」


桃「なるほどぉ!流石会長ですっ!!」


杏「よし、そろそろ撃って頂戴な!」


エリカ「ええ……撃てっ」


バァァァンッ

ギャリィィンッ!


桃「うわぁぁぁ!!」ゴツンッ


──ヒュンッ


杏「うわっ、危なかったねぇ」


柚子「目の前を10式の砲弾が飛んでいきましたね……」


杏「今頃10式の砲手はさぞやビビってるだろうねぇ」クックックッ


柚子「そりゃあ敵が敵から撃たれてたらビビりますよ……」


桃「……頭打った……」グスッ


──ヒュンッ

ズバァァンッ!!(シュパッ)


桃「あぁあぁぁ!」ゴツンッ


蝶野『38(t)軽戦車 (ヘッツァー仕様)、走行不能っ』


杏「うんうん、これで私らの役目も終わりかな」


柚子「10式相手によく頑張りましたよね、私たち」


杏「言えてるねぇ」


ピッ


みほ「こちらみほ、カメさんとパンターのお陰で無事に稜線裏までこれました!囮役本当にありがとうございます!」


杏「いいっていいって!西住ちゃんのお母さんにガツンとかましちゃってよ!」


柚子「私たちの分まで頑張ってね!」


桃「西住っ、負けは許さんぞ!!絶対に勝てっ!!」


みほ「はいっ!」


パンター車長「私たちもなんだかんだでお役に立てて良かったです!最後の仕上げ頑張って下さい!」


みほ「ありがとうございます!頑張ります!」


ピッ


みほ「……よし」

みほ「お姉ちゃんっ、エリカさんっ、最後の指示です!」

みほ「これからⅣ号は10式の背後10mまで近付きます、その時エンジン音や履帯の騒音で気付かれることが十分に考えられます」

みほ「なので両車とも榴弾を装填し、10式戦車に砲弾を当て続けることで注意を引くと同時に、音によって気付かれる可能性を極力減らします!」

みほ「Ⅳ号が気付かれた瞬間負けが確定しますっ、各自最大限のパフォーマンスを発揮して下さい!!」


まほ「了解っ」


エリカ「了解っ!」


みほ「麻子さん、10式戦車の後方100mまで近付いたら時速5kmを維持しつつ接近して下さい」


麻子「おう」


まほ「……」

まほ(……う~む、みほは指示以外にも色々仲間に語りかけているが、私もした方がいいのだろうか……)

まほ(いつもは最低限の指示しか出さないし……ここは味方を鼓舞する意味でもなにか言っておかないと……)

まほ「……え~っと、エリカ、私たちがここでしくじれば全ては無に帰す。1発も外せないぞ」


エリカ「うっ、そ、そうですね……」(1発も……ぐっ、きゅ、急に緊張感が!お腹痛くなってきたっ)


まほ「それにこの戦いは全国放送だ。我々の活躍を我が黒森峰のOB会の方々も見守って下さっているはずだ。無様な真似は出来ない」


エリカ「は、はいっ……」(副隊長の言葉が心に突き刺さって……変な緊張で汗が……)


まほ「更に観客席には各校の盟友たちの姿もある、我々が勝たねばそれはつまり───」


エレファント砲手「ふっ、副隊長!、こういう時はいたずらに不安を与えるのではなく、少しでも不安を和らげるような言葉をお掛けにならないと───」


まほ「え?あっ、そうなのか……」シュン…


エレファント装填手(……ねぇ、副隊長がこんなに指示以外のことを喋るの初めてじゃない?)ヒソヒソ


エレファント砲手(うん……たぶん妹さんが仲間に声をかけてるのを見て真似してるんだと思うよ……内容は完全に恐喝だけどね……)ヒソヒソ


エレファント操縦手(きっと副隊長なりにエリカさんに発破をかけようとしたんだろうけど……)ヒソヒソ


エレファント通信手(妹さんの真似をして失敗してしまう副隊長……あぁっ、可愛いっ!)ヒソヒソ


エレファント装填手(私もまほさんに構われる妹になりたいなぁ、そして可愛がられたい……)ハァ…


エレファント砲手(羨ましいよね……)ハァ…


まほ(こいつらは何を言っているんだ……)イモウトニナリタイッテ……

まほ「……ゴホンッ、エリカ、つまり私が伝えたかったのは、『お前なら出来る。頑張れ』ってことだ」シタタラズデスマナイ


エリカ「!!……副隊長っ……」キラキラ


まほ「……よしっ、準備はいいかエリカ!」


エリカ「はいっ、副隊長っ」


まほ「エレファントとティーガーⅡ、交互に出て10式を撃つ!少しでも砲がこちらを向いたらすぐに隠れろ!」

まほ「まず私から行くっ、エリカは10式の砲が私の方を向いたらすぐに出て撃てっ」


エリカ「了解っ」


まほ「エレファント行くぞっ」


エレファント操縦手「了解っ!」


キャラキャラキャラッ


まほ「撃てっ!」


バァァンッ

──ドォォンッ


まほ「よし当たったなっ、下がれ!」


エリカ「次は私たちよ!進め!」


キャラキャラキャラッ


エリカ「よく狙って……撃てっ」


バァァンッ

──ドォォンッ


エリカ「よし当たった!」


まほ「この調子で当て続けるぞ!」


エリカ「はい副隊長っ」


バァンッバァァン───


~~~~~


優花里「……凄い、阿吽の呼吸で全弾命中しています!!」


沙織「やっぱり黒森峰ってなんだかんだ言って物凄く強いよね……」


華「半ば動きながら10式に砲撃してることを考えると、すさまじい命中精度です」


麻子「操縦手の腕もいいんだろうな、見計らったかのようなタイミングで出たり退いたりしている……」


みほ(流石お姉ちゃんとエリカさん、凄いコンビネーション……)

みほ(私たちも負けてられないな───)


麻子「……みほ着いたぞ。ここから5km/hだな?」


みほ「うん、出来るだけ静かに近付いて行って」


麻子「お~う」


キャラキャラキャラ───


優花里「……遂にこの時が来ましたね、西住殿」


みほ「……うん、なんだか現実味がないなぁ」


優花里「そうですね……目と鼻の先にあの10式の背部があるんですから……」


みほ「でもまだ油断しちゃ駄目だよ、10式の後部装甲を貫通できるかどうか……」


優花里「これで撃破出来なかったら全国的な晒し者ですね……」ハハッ…


華「……たったの一時間という短い試合でしたが、どんな試合よりも濃密で、甘美な内容だったように思えます」


沙織「だよね~、なんだか私も凄く成長出来た気がするもん!」


麻子「第二次大戦の車両で現代最新戦車に挑んだんだ。嫌でも技量は上がる」


───ズバァァンッ!(シュパッ)


蝶野『ティーガーⅡ、走行不能っ』


優花里「ああ、エリカさんがフェイントでやられてしまいましたぁ!」


沙織「……優花里、よくフェイントって分かったわね……」


優花里「それは、10式砲塔の細かな動きを見てれば当然分かりますよぉ!ねぇ西住殿っ!」


みほ「あはは、そうだね……」(現役自衛官でも分からないと思うな……)


ズバァァンッ!(シュパッ)


蝶野『エレファント、走行不能っ』


沙織「お姉さんもやられちゃった……」


華「遂に私たちだけになってしまいましたね……」


麻子「大丈夫だ、もう後方10m地点だ」


優花里「うひょぉぉぉ!!10式の後部はこうなっているんですねぇ!!ちっちゃいのが排気孔で真ん中の大きいのが吸入孔───」


沙織「ああ、優花里がオタクモードに……って、みぽりん?どうしたの?」


みほ「うん、ちょっとハッチから10式を見ようかなって……」

みほ「華さん、10式の砲塔が少しでも動いたらすぐに発砲して下さい」


華「分かりましたわ」


ガチャ スッ


みほ「……」


みほ(……お母さん、私、戦車道を通して沢山の仲間が出来ました)

みほ(色んな考えの人がいて、色んなことがあって……私の戦車道に対する考え方も、雪が溶けるように変化していきました)

みほ(……もうこの戦場には私たちⅣ号しか残ってないけど、私はこの戦いに参加した皆の意思を代弁してここにいます)


ガチャ


しほ「!!!」


みほ「……」


みほ(───撃てば必中 守りは固く 進む姿は乱れ無し 鉄の掟 鋼の心 それが西住流……)

みほ(私は───この考えは、西住の子としては失格だと思うけど───戦車道はそんなに完璧じゃなくてもいいんだと思います)

みほ(砲撃を外してもカバーし合ったり、機動力で弾を避けたり隠れたり、バラバラに動いたり───)

みほ(勝つことも確かに大事だけど───負けても笑い合えるような、そんな楽しさが一番大事だと思う───)

みほ「」ニコッ


しほ「……!っ……」


みほ(───お母さんは……)

みほ(……私の───私たちの戦車道、どう思ってるのかな───)

みほ(───認めてくれるかな───)




みほ「……砲手、撃ち方用意……撃てっ」


──────

────

──



───シュパッ───



fin


ということで予想以上に長引いた今回のss、如何でしたでしょうか?

途中で謎の誤字脱字や誤植、投稿期間がかなり開くトラブル等もありましたが、一応最後まで投稿することが出来ました。それにしても、カモさんチームとアヒルさんチームの間違いはマジで焦りました……

それでは長い間読んで下さった皆様、本当にありがとうございました

一発目で貫通できなかったと気付いた瞬間のあわあわも読みたかったな


>>612

──

────

──────


みほ「……砲手、撃ち方用意……撃てっ」


バァァンッ!!

ズバァァンッ!!


みほ(これで終わり───)

みほ「……」

みほ「……あれ?」キョトン


優花里「……旗が……あがりませんね……?」アセダク


華「これって……俗に言う"詰み"と言うものでしょうか?」


沙織「えぇぇ!?ここまで来て撃破出来ないとかアリなのぉ!?」


麻子「さっき優花里が言った通り、全国的な晒し者になりそうだな」


優花里「ちょっ、そっちの旗は立たなくていいんですよぉ!!」


沙織「ちょっ、さっきまでの『この1発で全てが決まる……』みたいな雰囲気はなんだったのよ!!」


麻子「優花里がフラグを立てたからな、仕方ないな」


優花里「そっ、それは言葉の綾と言うかですね……」アセダク


華「……皆さん、諦めたらそこで試合終了なんですよ?」ドヤァ


沙織「華は何故ドヤるっ、どうせその名言を言ってみたかっただけでしょ!!」


ワーワーギャーギャー


みほ「ふぇぇどうしよう……!?とっ、とにかくもう一発撃ち込みます!反撃がくる前に装填っ!」


優花里「はっはいぃ!!」(私が装填していたのは徹甲弾で間違いないですよね……!?座薬とかじゃないですよね!?)ギシンアンキ


みほ「華さんは装填が終わったら同じ位置に射撃して下さい!」


華「はいっ」


みほ(あぁぁ、お母さんに恥ずかしいところ見られちゃったかなぁ……)チラッ


しほ「……」


みほ(あぁ、やっぱり呆れて───)


しほ「……」

しほ「……フフッ」


みほ(……?っ……今、お母さんが微笑んだような───)


華「───撃ちますっ」


バァァンッ!!


みほ(……これで撃破出来なかったら───その時はその時考えよう)

みほ(お母さん、私、お母さんと戦えて、楽しかったよ───)


ズバァァンッ!!

──────

────

──

───シュパッ


蝶野『……10式戦車、走行不能っ』

蝶野『よって勝者……高校連合ッッ!』






これで本当に終わり!

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年02月16日 (火) 18:45:22   ID: x9gjlZ7v

頑張って

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