佐久間まゆ「まゆには……もうその資格はありません」 (63)



キャラ崩壊

凡庸なネタ




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渋谷凛「おはよう」ガチャ

島村卯月「プロデューサーさんっ! これ、お菓子作ってみたんですっ! ぜひ食べてください!」

本田未央「おー! しまむーのお手製が頂けるなんて、男冥利に尽きるなぁ! このっこのっ!」

モバP「卯月、ありがとな。――あと未央、お前は腕を組んでくるなっ!」

未央「えー、嬉しいくせにー!」ギュウ

卯月「未央ちゃん大胆ですっ!」


凛「相変わらずプロデューサーは人気者だね」

凛「――って、あれ……?」

まゆ「…………」チクチク



凛「おはよ、まゆ」

まゆ「あら、おはようございます、凛ちゃん」

凛「えーと……、何してるの?」

まゆ「見ての通り、お裁縫ですよぉ。レッスンまで時間があるので」

凛「そっか――なんか、珍しいね」

まゆ「そうですか? まゆ、最近はいつもこうですけど」

凛「いや、そうじゃなくて……」

まゆ「だったらなんですか?」



未央「プロデューサー! 今度、みんなで一緒にデート行こうよー!」

P「駄目に決まってるだろ! スキャンダル的にもスケジュール的にも!」

卯月「うぅ……ざんねんです……」



凛「みんながプロデューサーにアプローチしてるのに、まゆは大人しくしてるからさ」

まゆ「ああ……そのことですか……」

まゆ「……まゆはもういいんです」

まゆ「まゆには……もう、その資格はありません」

凛「えっ……?」

まゆ「Pさん――プロデューサーさんを好きでいる資格は、もう無いんです……」



凛「ゴメン、よく分からないんだけど……どういう意味?」

まゆ「そのまま言葉の通りですよぉ。まゆは、プロデューサーさんの気持ちを裏切ったんです……」

凛「それは、仕事で失敗したとか? あのプロデューサーが、それでまゆを責めるってことは無いと思うけど……」

まゆ「いえ、そうではないんです……。むしろ、そうであってくれた方が、幾ばくか気が楽だったでしょう」

まゆ「――なんて、こんなことを言ったら、ますますプロデューサーさんに嫌われてしまいますかねぇ……」

凛「もしかして……誰かに脅迫されてるとか?」

まゆ「違いますよ――これは、まゆ自身で決めたことなんです……」

凛「……プロデューサーのこと、嫌いになった?」

まゆ「そんなわけないですよぉっ!!」クワッ

凛「じゃあ、なんで――」



まゆ「……とにかく」

まゆ「――まゆにはもう、彼を想うことは許されません。プロデューサーさんの運命の相手でいる資格は無いんです」

まゆ「だからこれからは、プロデューサーさんを想っている子たちを静かに見守ろうと決めたんですっ!」

まゆ「分かったら、凛ちゃんもプロデューサーさんにスキンシップの一つでもしてきたらどうですか? もたもたしていると、他の子に奪われちゃいますよ?」

凛「いや……。私は別に、プロデューサーのことは好いてるし信頼してるけど、まゆみたいに恋心は抱いてないよ」

まゆ「素直じゃないですねぇ……」

凛「まゆには言われたくないよ――特に、今のまゆには」

まゆ「……どういう意味ですかぁ?」



凛「そのまま言葉通りだよ。資格が無いとか言っておきながら、今のまゆは明らかに無理してるでしょ」

まゆ「うっ……」

凛「何があったか知らないけど……、良かったら相談に乗るよ?」

まゆ「凛ちゃん……敵であるまゆに、塩を送るんですか……?」

凛「私は敵とかじゃないってば」

凛「ただ、事務所の仲間がそんな暗い雰囲気だと、こっちまで仕事への士気に関わるってだけ」

まゆ「凛ちゃん……」

凛「だからさ、正直に話してくれない……? 話すだけでも楽になるってこともあるしさ」

まゆ「……ありがとう……ございます」グスッ

凛「うぅ……なんか気恥ずかしいからっ! そういうのはいいからっ!」



凛「それで、何があったの……?」

まゆ「話は、一昨日の夜に遡ります……」

凛「う、うん……」

まゆ「その日――まゆは、プロデューサーさんに美味しいものを食べてもらいたくて、彼の家を訪ねていました」

凛「また、勝手に……」

まゆ「あわよくば、まゆ自身を美味しく頂いてほしいとも思っていました……あっ、性的に」

凛「何、その注釈は……」

まゆ「正直に話せと言ったのは凛ちゃんですよぉ」

凛「いや、そこまで心情を吐露しなくてもいいから……」

まゆ「そうですか?」



まゆ「とにかく、それでまゆが食事を振る舞い、一息入れたところで――外は雨が降り出したのです」

凛「降ってたね、そういえば結構強い雨が。確か、天気予報でも――」

まゆ「はい。たまたま見るのを忘れていました」

凛「えぇ……」

まゆ「いつもはそのまま、寮へと帰るように言うプロデューサーさんですが……、今回は強い雨と夜遅くだったこともあり、部屋に泊めて頂けることになったんです」

まゆ「たまたまお泊りセットも持参していましたし」

凛「そっか……。それはラッキーだったね」

まゆ「はい。計画通りにいってラッキーでした」



まゆ「泊まることになり――プロデューサーさんは、まゆにお風呂に入ってくるように勧めてくれました――温まってこいと」

凛「うん」

まゆ「隅々まできれいにしてきますよぉ――そう、まゆは言いました」

凛「それは、今はいいから……」

まゆ「そして、入浴したのですが――」

まゆ「そこで問題が発生したのです……」

凛「ほう」

まゆ「入浴中のまゆでしたが――ふと愛用のコンディショナーを浴室に持ち込み忘れていて……」

まゆ「取ってこようと思って――不用意に、お風呂のドアを開けてしまったんです……」

凛(ああ……もしかして……)



まゆ「そう――そこでプロデューサーさんと鉢合わせしてしまったのです……」

凛(これ、よくあるやつだ……)

まゆ「まゆは思わず固まってしまいました……」

凛(裸を見られて、思わず手が出た――ってよくあるやつだ)

まゆ「そこで、プロデューサーさんが――」




まゆ「まゆの履いていたソックスを一心不乱に嗅いでいたんですっ!!」




凛「おっと、よくないやつだぞこれ」



まゆ「その光景が目に入った時――まず、まゆの頭に浮かんだのは疑問でした……」

まゆ「『どうして、私が履いていたソックスを嗅いでいるのか?』」

まゆ「それも、まるでソックスを通して、呼吸をするような勢いで――過呼吸のような勢いで……」

凛「すごい絵面だ……」

まゆ「汗で蒸れて、いい匂いなんてするはずもないのに……」

まゆ「『もしかして、プロデューサーさんは、まゆの汚れ物を洗濯しようとしてくれたんじゃないか?』」

まゆ「――でも、そんな推測はすぐに否定されます……」

まゆ「あれはどう見ても嗅いでいる」

まゆ「力の限りを尽くして嗅いでいる……」

まゆ「限界まで嗅いでいる――!!」

凛「すごい字面だ……」

まゆ「彼の頬は上気し、口は真一文字に結ばれ、視線は虚空を泳いでいました……」

まゆ「洗濯なんてとんでもない――」

まゆ「洗濯の意思なんて微塵も感じさせない――」

まゆ「他の数多の可能性を選択する余地も無いくらい……プロデューサーさんは、まゆのソックスを嗅いでいたのです……」

凛「スペクタクルだね」



まゆ「そう、とにかく分からなかった――疑問のみがまゆの頭を埋め尽くしていました……」

凛「私は頭が痛くなってきたよ……」

まゆ「それで、まゆは尋ねたんです――尋ねてしまったんです……」

まゆ「まだ、こちらに気付いていないプロデューサーさんに向かって――」



『Pさん……? 何をしているんですか?』



まゆ「そう、声を掛け――そう、疑問を投げ掛けられ――振り向いたプロデューサーさんの目は、今でも忘れられません……」

凛「そうだね。もういろいろトラウマものだよ……」

まゆ「驚愕と悲嘆、そして寂寥が綯い交ぜになったような――暗くて、混濁した瞳……」

まゆ「まるで、飲み込まれるような深淵、暗い水底――」

まゆ「災厄の坩堝であるパンドラの箱――その底のような瞳でした……」

凛「パンドラの箱の底には、希望があるんじゃ……」

まゆ「パンドラの箱の底に、希望が無かったかのような瞳でした……」

凛「……そう」



まゆ「それっきり、プロデューサーさんは自分の部屋に閉じこもって出てきませんでした……」

まゆ「当然、寝るのも別々でした……」

凛「いつもは一緒みたいな言い方だけど……」

まゆ「何度か、プロデューサーさんとお話しようと、彼の部屋を訪れたのですが――」

まゆ「固く閉め切られた扉から漏れてくる、彼の押し殺したようなすすり泣きを聞いてしまうと――まゆは、なんて言葉を掛けていいのか、分からなくなってしまいました……」

凛「私も言葉が見つからない」



まゆ「あの時、プロデューサーさんが何をしていたのか――真相が解ったのは、昨日のことでした」

凛「まゆは、昨日は一日オフだったよね」

まゆ「はい……。だから、ネットで調べてみたんです。プロデューサーさんが、あの時していたことの意味を」

凛「えっ、うん……。勇気あるね……」

まゆ「そして――その答えを得た時……、まゆは愕然としました……」

凛「あっ、流石のまゆでも引いちゃったか……」




まゆ「あれは、プロデューサーさんの愛情表現だったんですっ!!」




凛「流石まゆだなぁ……」



まゆ「ネットにはこうありました――世の男性は、好きな人の靴下の匂いを嗅ぎたいものだと!」

凛「世も末だなぁ……」

まゆ「スーハースーハーして、クンカクンカして……さらにはペロペロすると!!」

凛「ごめん、そのオノマトペやめてくれる?」

まゆ「挙句の果てには、片方は鼻孔に当てつつ、もう片方を自らの性器に被せ、そのまま激しく前後に――」

凛「ごめん、詳細に描写しろってことじゃないから」



まゆ「そうだったのです……あれはプロデューサーさんから、まゆへの愛情表現っ! 求愛行動だったのです……!!」

凛「まゆはメディアリテラシーって知ってる?」

まゆ「プロデューサーとアイドル、社会人と学生、大人と子供、倫理、常識、世間体……」

まゆ「そんな数多くの壁がある中で――それでもまゆに愛を届かせようとした、プロデューサーさんの想いが――あの行動に詰まっていたのですっ!」

凛「もうそれらの壁は、軒並みぶち破られたけど……。むしろ、普通なら二人の間に溝ができる勢いだよ……」



まゆ「なのに、それなのにっ! まゆは、プロデューサーさんの行動が理解できなかった……」

まゆ「愚かにも、ただ疑問を述べることしかできなかった!」

まゆ「プロデューサーさんのあの表情は、自らの精いっぱいの愛情表現を受け取ってもらえなかった悲しみのそれ……」

まゆ「あの深く暗い瞳は、深く酷く傷ついた心の表れだったのです!」

凛「もしかして、今のまゆって正気じゃなかったりする?」



まゆ「……そんな訳で、まゆはプロデューサーさんの気持ちを無下にしてしまいました……」

まゆ「いつもいつも運命だの、ずっと一緒にいてだの、責任とってだの言っておいてこのざまです……無様です……」

凛「どうしよう、思った以上に根深いよ……。っていうか業が深いよ……」

まゆ「プロデューサーさんも、多分まゆに失望したんでしょう……」

まゆ「今日は挨拶しただけで、その後はまゆとは目も合わせてくれません……」

凛「うーん……」

まゆ「ふぅ……確かに、こうして気持ちを吐き出して少しすっきりしました……」

まゆ「ありがとう凛ちゃん」

まゆ「――これからは、まゆはみんなの幸せを柱の陰から願い、見守っていくことにします……」

凛(それは、ちょっと怖可愛いかもしれない)



凛「あー……、まとめに入ってるとこ悪いけど――」

凛「まだ、なんとかなると思うよ?」

まゆ「えっ……?」

凛(多分、プロデューサーがまゆを避けてるのって、そんな場面を目撃されて合わせる顔が無いってだけだろうし……)

凛「まゆの正直な気持ちを伝えれば、プロデューサーも分かってくれるっていうか……」

凛(むしろ、プロデューサーがまゆに謝りに来るべきだと思うけど……)



まゆ「そうでしょうか……。でも、プロデューサーさんには避けられていますし……」

凛「そこは、私がどうにかするから」

まゆ「本当ですかぁっ!」パァァ

凛「プロデューサーが、まゆとちゃんと向き合うように、説得するよ」

まゆ「凛ちゃん……! 恋敵のまゆにそこまでしてくれるなんて……!!」

凛「だから、恋敵とかじゃないって」

凛「――私はただ、こんなことで事務所の仲間とプロデューサーの関係が拗れるのが、馬鹿馬鹿しいと思っただけ」

凛「とにかく、私に任せて」

まゆ「はいっ! お願いしますっ!」



――――――
――――
―――


凛(ふぅ……。今日のスケジュールは終わったね)

凛(さて――じゃあとりあえず遠回しに、まゆのことについて触れてみるか……)


凛「お疲れ様、プロデューサー」

P「おうお疲れ、凛。仕事はどうだった?」

凛「いつも通りだよ。特に問題なし」

P「そうかそうか! 付いていけなくて悪かったな」

P「アイドルだけで現場に行かせるのは、まだちょっと不安だったんだけど……何も無くて良かったよ」

凛「しょうがないんじゃない? 最近はみんな忙しいから、人手が回らないのは」

P「そうなんだよなぁ……。申し訳ない限りだ」



P「だから、凛みたいにしっかりした子がいると安心できるよ」

凛「褒めても何も出ないよ」

P「はははっ! むしろその頑張りに、こっちから何か出してやりたい気分だよ!」

凛「ふーん……」

凛(よし……仕掛けるか……)



凛「プロデューサー、何かしてくれるの?」

P「おお、いいぞ。何か美味しいものでも奢ろうか?」

凛「そうだね……。まぁ、それはそれで考えておくよ」

凛「それより――私以外にだって、しっかり頑張ってるアイドルはいるよね」

P「ああ、そうだな。大人組の人たちとか……高校生組でも……」

凛「まゆとか」

P「――っ!!」ビクッ



凛「結構、年下の面倒まで見て――下手な大人組より頼りになるよね」

P「……そうだな……まゆは、いい子だよなぁ……」ダラダラ

凛「だったら、まゆに対しても、何か労ってあげた方がいいんじゃない……?」

P「――あっ!! 俺、すぐ仕上げなきゃいけない仕事があったんだ! 凛、またな!!」ダッ

凛「あっ、ちょっと……!」

凛(なるほど――まゆの話題になると露骨に避けるわけか……)

凛「しょうがない……。手っ取り早く解決するためにも――」

凛「あっ、卯月――ちょっといい? お願いがあるんだけど……」



――――――
――――
――


P「りーんっ!」

凛「あっ、プロデューサー。来てくれたんだね」ヒョコ

P「突然、倉庫になんて呼び出して……、どうしたんだ……?」

凛「うん。ちょっと、ちひろさんから頼まれたんだけど……、ものが多くて分からなくて……」

凛「だから、プロデューサーに手伝ってもらおうかなって」

P「それは構わないが……。なんで、ちひろさんも俺に頼まなかったんだ……?」

凛「――とにかく、中に入って来てくれる?」

P「ああ……」



P「……それで、何を頼まれたんだ?」

凛「うん……。その前に――」


ガシャン!


P「……?」

P「なんで、わざわざ倉庫の扉を閉めちゃうんだ?」

凛「ちょっと話があるからだよ、プロデューサー」

P「話が……? なんだ?」



凛「まゆのことについて。私も、事情は聞いたよ」



P「!!」



P「あー……、そういえば俺、急用があったんだったー……」

凛「――そう言って逃げないように、卯月に頼んで外からカギを掛けてもらったから」

P「なにっ!?」

凛「というわけで、じっくり話し合おうか……。一昨日の、まゆとの一件について……」

P「うぅ……」



凛「……別に、私は一昨日のプロデューサーの行為について、どうこう言いたいわけじゃないの」

P「そっ、そうなのか……?」

凛「そう」

凛「――でも、問題はそれが原因で、まゆが傷ついているってこと」

凛「それを放っておくっていうのは、ちょっとありえないよ?」

P「うぅ……そうだよなぁ……」

P「あんなところを見せられて、まゆには……なんて謝ったらいいか……」

P「代わりのプロデューサーを見つけるのは当然としても……その他に、何をして償ったらいいのか……」

凛「……ちょっと誤解してるようだけど――別にまゆは、プロデューサーがしたあの行為自体で傷ついているわけじゃないよ?」

P「えっ――!?」



P「そっ、そうなのか……!? でも、あんなことしてる光景を見せられたら――誰だって、普通は気持ち悪がったり、距離を置きたいと思うものじゃ……」

凛「そういうことしてるって自覚はあったんだね……」

凛「まぁ、でもそれは置いておいて」

凛「――とにかく、まゆが傷ついているのは、その行為を目撃したことが原因じゃないよ」

凛「むしろ――そういうことをされるのは嫌じゃなかったらしいし……」

『そういう行為に好意的だったのね~、ふふっ』

凛「誰だいまの」



凛「まゆが気にしているのは、今のプロデューサーの態度だよ。どうして、まゆを避けてるの?」

P「それはな……うぅ……」

凛「悪いけどここばっかりは、はっきりさせてもらうから」キッ

P「わっ、分かったよ……」

P「当然――まゆに対して、申し訳ないという気持ちはある……」

P「でも……、それ以上に今の俺は、あんなことをしているのを見られて、恥ずかしくてしかたないんだっ……!!」

P「いい年した大人が、十歳近く離れた女の子の靴下を、クンカクンカしてるなんて……」

P「しかもそれを――スーハースーハーしているところを本人に見られるなんてっ……!!」

P「これからどんな顔をして、まゆに会えばいいのか分からないんだ……!!」

凛(だから、その擬音はやめてほしいなぁ……)



P「……ホント、最低だな、俺って」

P「なんだかんだ言って、結局、自分の体面しか考えてないのさ……」

P「凛も、すまなかったな……こんなことに巻き込んで……」

凛「えっ……うん……」

P「まゆには、できる限りの謝罪をする……」

P「それと、ちひろさんに頼んで、みんなの担当は新しい別の人に変えてもらうよ……」

P「こんな変態がプロデューサーじゃあ、安心して活動できないもんな……」

凛「いや、そこまですることじゃ……」

凛(あれ、そこまですることなのかも……?)



P「なんなら、通報してもらっても――」



「待ってくださいっ!!」



P・凛「「!?」」

まゆ「待ってください、Pさん……」

凛「まゆっ!? いつの間に倉庫内にいたの……!?」

まゆ「凛ちゃんは、Pさんが逃げないように、密室で話すだろうと思って――あらかじめ隠れていたんです……」

P「ま、まゆ……」

P「すまない――なんて、簡単な言葉じゃ済ませられないよな……」

P「お前が望むなら、俺はどんな罰だって受け入れるよ……。警察に引き渡してもらっても構わない……」

まゆ「違うんですっ!」

まゆ「凛ちゃんも言っていた通りに、まゆは、あの行為自体は――」


まゆ「まゆの使用済みソックスを、クンカクンカ、スーハースーハー、ペロペロしていたことは気にしてませんっ!!」


凛(せっかく人が、『あの行為』ってぼかしているのに、みんな遠慮ないよね)



P「――まゆがそうだとしても、俺はそんな無様な光景を見られたことが情けない……」

P「そして何より――そうやって自分のことしか考えられない、俺自身が許せないんだ……!!」

まゆ「Pさん……」

P「だから……まゆがなんと言おうと――」

P「こんなド屑の変態童貞カリ太野郎が、お前たちの傍にいる資格は無いんだっ!!」

凛(なんでちょっと見栄張ったの……?)

『みえみえですねぇ……ふふっ』



まゆ「そうですね……」

まゆ「確かに、あの時のPさんの姿は、格好のいいものではなかったかも知れません……」


まゆ「でも、まゆはそんなあなたも含めて――愛しています」


P「まゆ……!!」

まゆ「いいじゃないですか……。誰だって、恥ずかしい姿や、情けない一面を持っているものですよ」

まゆ「でも、そんなところを認め、自分が補ってあげたいと思える――」

まゆ「傍に寄り添いたいと思える……」

まゆ「それこそが、人を愛するということなんじゃないでしょうか」

まゆ「まゆは、あの時のPさんの姿を見られて、良かったと思っています」

まゆ「だって、あの姿を知って――よりあなたに近づけたから……!!」

P「いいのか……こんな俺でいいのか……!?」

まゆ「あなたが良いんですよ。Pさん」ギュ

P「まゆううううぅぅ!!」ギュ

凛(プロデューサーのフェティシズムが、ずいぶんロマンチックになったもんだなぁ……)



凛(……まぁとりあえず、一件落着かな)

凛(結構疲れたし……。後は二人に任せて、私はここを出よう……)

まゆ「Pさん……? まゆの靴下、好きなんですか?」

P「そうだっ!! 靴下も、まゆのちっちゃい足も! 大好きだっ!」

まゆ「うふふ……これですかぁ?」スッ

P「まゆのおみあしっ!!」スリスリ

凛「!?」



まゆ「ああっ! Pさんがまゆの足にっ……!!///」

P「あんよっ! まゆのあんよっ!!」スリスリスリスリ……

凛(ちょっと! ここでおっぱじめないでよっ!!)

凛(もうっ! とにかく、とっとと退散して――)ガチャ

凛(開かないっ!?) 

凛(――ってそうだ、卯月に頼んでカギを掛けてもらってたんだった……!)

凛(とりあえず、扉を叩いて合図を送ろう……!!)




――倉庫の外


卯月「…………」

未央「あれ、しまむー? こんな所でどうしたの?」

卯月「あっ、未央ちゃん。うん……実はね、凛ちゃんに頼まれたんです……」

卯月「あの倉庫の中に、プロデューサーさんと二人で入ったら、外からカギを掛けてって……」

未央「へぇ。でも、どうしてそんなこと頼んだんだろ?」

卯月「……それはやっぱり、プロデューサーさんと二人きりになりたかったんだと思います……」

未央「プロデューサーと二人きり……? それって――!」

卯月「うん……。きっと凛ちゃん、プロデューサーさんに自分の気持ちを伝えるんですよ……!」



未央「そっかぁ……。確かにしぶりん、口では色々言ってても、プロデューサーが好きなのバレバレだったよね」

卯月「はいっ! だから、そんな凛ちゃんがやっとプロデューサーさんに想いを伝えるんだと思うと、嬉しくてっ!」

未央「……でも、ちょっと寂しい?」

卯月「――っ!」

未央「知ってるよ。しまむーだってプロデューサーのことが――」

卯月「わっ、私はいいんですっ! 凛ちゃんとプロデューサーさんが幸せになってくれれば……」

卯月「私は、それで……」

未央「確かに、私だってしぶりんを応援してるけど――」

未央「でも、しまむーにだって、告白する権利とチャンスは、あって然るべきだと思うけどなぁ」

卯月「うぅ……でも、それは凛ちゃんの恋路を邪魔することになっちゃうから……」

未央「そんなこと、しぶりんは思わないよ」



未央「『チャンスは平等にあるべき』って、しぶりんだって、きっと同じことを言うよ」

卯月「凛ちゃんも……?」

未央「うん」

未央「だからさ――今回はしぶりんが先だったけど、その後でしまむーが気持ちを伝えたっていいと思う」

未央「しまむーのそれだって――ずっと抱いていた、大切な気持ちなんでしょ?」

未央「むしろ、このまま仕舞い込んじゃうなんて、それこそ駄目だよっ!」

卯月「未央ちゃん……」

卯月「そうだね……。私も、この気持ちを伝えたいって思う……!」

未央「その意気だよ! この未央ちゃんも応援するからさっ!」



卯月「えへへ!」

卯月「――じゃあ私は、そんな未央ちゃんのことも応援しようかなっ!」

未央「えっ!? 私の……?」

卯月「私だって知ってるんですよ? 未央ちゃんだって、プロデューサーさんのこと――」

未央「あはは……。私は今のまま、みんなでいるのが楽しいからさー……」

卯月「ひとに言わせておいて、自分だけ言わないのは、ずるいと思うなー」コチョコチョ

未央「わっ、分かったよぉー! もう、しまむーには敵わないなぁ……」

卯月「えへへっ!」

未央「ふふっ!」



凛(開けてぇぇぇええ!)ドンドン!!!


凛(卯月!! 早くっ!!)ドンドンドンドン!!


P「まゆっ! まゆうううう!!!」スリスリスリスリ!!!!!


まゆ「ああんっ……!! Pさんっ!!! Pさぁあああんっっ!!!////」


凛(なんで、開けてくれないの……!? ケータイもここ圏外だしっ!)ドンドンドンドンッ!!!



未央「……ところで、いつになったらカギを開ければいいの?」

卯月「凛ちゃんは、事が済んだら合図するって言ってましたけど――」

卯月「考えてみたら、どんな合図なのか、聞いてませんでした……」



――ドンドンドン!!



未央「おっ、あれじゃない? 合図って」

卯月「うーん……」

未央「どうしたの?」

卯月「いえ……、もしもあれが、合図じゃなかったらと思うと……」

未央「……どういうこと?」



卯月「だっ、だから……凛ちゃんの告白がうまくいって……それで……」

未央「想いが通じ合った二人――さらに邪魔の入らない密室……」

未央「あっ……」

卯月「そ、それでそのまま――お互いの愛情が……、情熱というか……情動になって……///」カァ

未央「あっ……///」カァ



ドンドンドンドンッ!!!!



未央「お、大人の階段……昇っちゃう……みたいな……?///」

卯月「はい……///」



ドンドンドンドンドンドンドンッ!!!!!!



未央「と、扉に両手をつかせて……うっ、後ろから……ガンガン……みたいな……?///」

卯月「///」プシュー



未央「……確かに、親友でも――というか、親友だからこそ、そういう場面を目撃するのはキツイよねぇ……」

卯月「凛ちゃんも、見られたくないと思いますし……」



ドンドンドンドンドンドンドンドンドンッ!!!!



未央「ど、どれくらいで終わるものなのかなぁ……」ドキドキ

卯月「な、何回戦くらいするものなんでしょうか……」ドキドキ

未央「とりあえず――お互い初めてということで……、一時間ぐらい?」

卯月「いえ、凛ちゃんはそうだとしても――もしかするとプロデューサーさんは……!!」

未央「ええぇ!! じゃ、じゃあ……」



凛「うづきぃいいいい!! あけてぇええええ!!!」ドンドンドンドン!!


P「うおおおおお!!! まゆううううう!!!!」コスコスコスッ!!!


まゆ「Pさああああん!!! ああぁああああん!!!」ビクンビクン!!


凛「いやぁああああああ!!!」ドンドンドンドン!!


P「うあああああああっっ!!!」ビュルビュルッッ!!!


まゆ「はぁああああああっっ!!!」ビクンビクン!!!


凛「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!!!」ドンドンドンドンッ!!!



――――――
――――
――


『倉庫での一件で、プロデューサーさんとまゆちゃんは無事、その関係を修復できたようです』

『まゆちゃんを傷つけたお詫びと彼女の強い願いで、プロデューサーさんは、まゆちゃんを家に招待しました』

『一方あの後――なんとかカギを開けてもらい、あの狂気の地獄から顔面蒼白で脱出した凛ちゃんは……』

『――反対に、顔を紅潮させた卯月ちゃんと未央ちゃんによって、そのまま医務室に運ばれました』

『それにしても……』

高垣楓「なんだかすごい夢でしたねぇ……とってもリアルで……」

楓「久しぶりのオフだからって、前の日に飲み過ぎたせいかしら……」コクコク



――後日


凛(昨日はひどい目にあった……)

凛(やっと外に出られたと思ったら、卯月も未央も私を見て、『まだまだチャンスはあるよ』とか意味分かんないこと言ってくるし……)

凛(でも、まゆとプロデューサーの関係も直ったんだし、もうあんなことは起こらないよね)

凛「おはようございます」ガチャ



まゆ「」ズーン



凛「!?」



まゆ「あっ! 凛ちゃん……!」

凛「げっ……! ど、どうしたのまゆ……?」ガクガク

まゆ「聞いてください……! Pさんが、Pさんが――!!」




まゆ「まゆのグラビア写真に子宮コラを――!!!」




凛「もう無理っ!!」ダッ!!









突っ込みしぶりんの魅力を再認識したので。

よく安易に変態にしてしまうので、そのお詫びも兼ねて。

誤字脱字はごめなさい。

読んでくれてありがとう。

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