武内P「これが346プロの髪型、ですか」常務「そうだ」 (31)

凛「………」

加蓮「どうしたの?」

凛「そろそろ髪、切ろうと思ってるんだけど」

凛「この際だからイメチェンしてみようかなって」

奈緒「お、髪型変えるのか?」

凛「どんなのがいいかな」

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加蓮「………」

凛「加蓮?」

加蓮「切った方がいいのは奈緒だよね?」

奈緒「は?」

加蓮「普通に髪多すぎでしょ?一度バッサリ短くすべきじゃない?」

奈緒「いや、多くないだろあたしは」

加蓮「多いから」

凛「うん、多い」

奈緒「そうか……?」

加蓮「で?どうして髪型変えようと思ったの?」

凛「最初は、何となくだったんだけど……」

凛「よく考えてみたら、私達三人とも髪長いよね」

加蓮「言われてみれば、そうかも」

凛「髪型変えたり、短くすれば個性が出るかなと思って」

奈緒「……別に短くしなくても個性出せるんじゃねぇか?」

凛「そうかな」

加蓮「きらりちゃんとか髪型工夫してるしね……あ、ツインテールとかどう?」

『しぶりんラブリービーム、発射きゅんっ!』



加蓮「意外と合うんじゃない?」

凛「やだ」

加蓮「え?」

凛「私にもイメージあるし……ツインテールは合わないと思う」

奈緒「まぁ、あたしらでツインテールはないよなー」

加蓮「なんだと」

奈緒「え?」

奈緒「……加蓮もパッと見短く見えるけど、ツインテールしてたなそういや」

加蓮「最近作ってないだけっていうか三人とも髪長いよねってさっき凛が言ってたでしょ?」

奈緒「てっきり凛が勘違いしてんのかと」

加蓮「……頭のお団子、切り落としたらそれはもうスッキリするはずだよね」ゴソゴソ

奈緒「ちょ!おい待て、何だそのハサミ!やめろって!」

凛「奈緒の髪のことなんか今はどうでもいいよ」

奈緒「いやどうでもよくないから!止めろよ凛!」

加蓮「それで?ツインテールが無しなら何が良いわけ?」

凛「何が良いって言われても……」

奈緒「……あ、じゃあ常務はどうだよ」

凛「常務?」

奈緒「美城常務」

加蓮「え、あの人?」

奈緒「あの盛り方も結構良いと思うんだよなー」

凛「………」

『これは一体どういう事?説明してほしいんだけど』ファサァ



凛「やだ」

奈緒「何で」

凛「……何か、老けそうだし」

加蓮「老けそうって……」

凛「まだ15だし、もっとフレッシュな髪型が良い」

奈緒「……人に提案させといて結構ワガママだな」

凛「奈緒がやったら考えてもいいけど」

奈緒「はぁ?何言ってんだ、やる訳ないだろ」

加蓮「ええっ?」

奈緒「つーかフレッシュが良いなら、ショートでいいんじゃないのか?」

凛「そうかな」

加蓮「でもショートにも色々あるから……」



未央「やーやー、三人揃って何の相談かね?」

奈緒「これは?」

凛「……ちょっとフレッシュ過ぎるかな」

未央「何?何の話?」

未央「ほほう、この未央ちゃんの髪がフレッシュ過ぎるとな?」

凛「うん」

未央「そうかそうかぁ~……とうとうしぶりんも私の美貌に気付いてしまったわけですな」

凛「いや、そういうのじゃなくて」

未央「へ?」

凛「お風呂上がりの時、バスタオルでワシャワシャ髪拭いてそうで」

加蓮「あー」

奈緒「なるほどなー」

未央「いやいやちょっと待ってしぶりん、何を言って……」

凛「あとメリットのシャンプー使ってそうだし」

未央「ちゃんとしっかりドライヤーかけてるし!メリット使ってないし!何その偏見!?」

加蓮「弟君とまだ一緒に入ってそう」

未央「もう入ってまーせーんー!フレッシュってそういうフレッシュ!?」

奈緒「凛、そこはシャンプーじゃなくてリンスだろ?」

凛「あ、そっか。ごめん未央」

未央「トリートメント使ってまぁす!てかもう髪型関係ないじゃん!!」

未央「……へぇ、しぶりん髪切っちゃうんだ」

凛「未央はどんな髪型が良いと思う?」

未央「そうですなぁ……かえ姉様みたいな、ショートボブとか?」

凛「……普通だね」

奈緒「誰でも思いつきそうな髪型だなー」

加蓮「ありきたりね」

未央「……じゃあ、なつきちカットとか」

奈緒「流石にそりゃないだろ」

加蓮「ないない」

凛「もう少し真面目に考えてよ」

未央「何言っても責められるパターンかなこれ?」

凛「未央のチョイスは極端すぎるよ。もっとこう……」

卯月「皆さん、ここにいたんですね」

未央「あ、しまむー」

奈緒「卯月は……メリットは使って無さそうだな」

加蓮「そうだね、髪は大事にしてそう」

卯月「?……何の話ですか?」

凛「未央がお風呂上がりの時、髪をバスタオルで……」

未央「しぶりんが髪切るって話でしょ!?」

卯月「髪型、ですか」

凛「この際だから、変えてみようかと思って」

奈緒「これがなかなか決まらないんだよなー」

未央「というか何言っても文句ばっかり言うよねしぶりん」

凛「それは未央のセンスが……」

未央「ぬぁんですとぉ!?」

加蓮「卯月は、どんなのが凛に似合うと思う?」

卯月「えっと……それって、好きに決めちゃっていいんですか?」

凛「え?」

卯月「プロデューサーさんには、もう相談してあるんですよね」

凛「……あ」

未央「え?」

奈緒「ん?」

加蓮「凛……」

凛「……忘れてた」

卯月「ちゃんと切ること、事前に言っておいた方がいいですよ」

凛「そうだね。ちょっと言ってくる」



未央「……言っておかないといけなかったの?」

加蓮「え?」

奈緒「いや、言うだろ普通」

卯月「未央ちゃん……」

凛「プロデューサー、ちょっといい?」

武内P「……どうしました?」

凛「あのさ……髪伸びてきたから、そろそろ切っときたいんだけど」

武内P「………」

凛「思い切って今度、髪型変えてみようと思う」

武内P「………」

凛「それで……」

武内P「三つ編みですか?」

凛「え?」

武内P「……三つ編み、ですか?」

凛「三つ編みにするかどうかは、まだ……」

武内P「では……ポニーテールでしょうか。あるいは、お団子……」

凛「だから、まだ何も決めてないってば」

武内P「……そうですか」



凛「……この際、バッサリ短くしてもいいかなって」

武内P「ッ!!」ガタタッ

凛「思っ……プロデューサー?」

武内P「……渋谷さんは……ショートに、したいのですか?」プルプル

凛「そこまでしたいって訳じゃないけど、一応考えては……」

武内P「………」プルプル

凛「……何?切ったらダメなの?」

武内P「い、いえ……渋谷さんが、そうしたいのであれば……ただ……」

凛「ただ?」

武内P「……ショートであれば、今よりも髪型のバリエーションが狭まりますし……」

武内P「髪を短くするという事は、渋谷さんの人生を左右するものだと……」

武内P「私は、そう……思います」プルプル

凛「人生って、そんな大げさな」

武内P「……後悔することが、無いよう……慎重に、決めて下さい……!」プルプル

凛「……プロデューサーは、私の髪……長い方が好きなの?」

武内P「!……それは……」

凛「それは?」



武内P「……はい」

凛「……そっか」

武内P「………」

凛「じゃあ……やっぱり、長いままでいいかな」

武内P「えっ……!?」ガタッ

凛「今の髪型、結構気に入ってるし……」

武内P「……渋谷さん……!」

ちひろ「あ、プロデューサーさんの所にいたんですね凛ちゃん」

凛「何ですか?」

ちひろ「常務がお呼びでしたよ。トライアドプリムスに集まってほしいそうです」

凛「それじゃ私、行かないと……」

武内P「……渋谷さん」

凛「なに?」



武内P「……ありがとう、ございます……!」

凛「えっ……う、うん……」

奈緒「………」

加蓮「………」


ガチャッ


凛「失礼します」

常務「……揃ったか」



常務「346プロは現在、大きな転換期を迎えている」

常務「歴史ある総合芸能企業に相応しいブランドイメージを確立するため……」

常務「プロダクションとしての根本的なイメージの見直しを図り……」

常務「アーティスト面だけでなく、ビジュアル面をも強化することで、新たなブランドイメージを確立させたい」

常務「……そこでだ」

常務「このプロダクションに相応しい、これまでにないブランドイメージを、君達で確立することにした」

加蓮「私達で……?」

奈緒「つまり……どういうことだよ?」

常務「なに、簡単な事だ。君達三人の内、いずれかが……」



常務「私と同じ髪型になってもらう」



「「「え゙っ」」」

常務「北条加蓮。やってみる気はないか」

加蓮「え、あの、その……」

常務「どうした?」

加蓮「……わ、私、ほら!髪が!」

常務「髪が?」

加蓮「この間切ったばかりで!首までしかなくて!ツインテールだって作れないし!」

奈緒「えっ」

凛「加蓮!?」

常務「そうか。ならば仕方ないな」

常務「渋谷凛。君はどうだ」

凛「わ、私は……」

常務「私は?」

凛「……ぷ、プロデューサー!」

常務「ん?」

凛「プロデューサーにも相談しないと!ニュージェネレーションズだから!」

常務「……彼の許可が、必要だと?」

凛「………」

常務「成程、それは厄介だな。彼とは意見が合った事が無い」

常務「となると……」

奈緒「ち、ちょっと待ってくれよ!」

常務「神谷奈緒。もはや君しかいないようだ」

奈緒「いや、他にもいるだろ!?プロジェクトクローネのメンバーは!」

常務「ふむ……」

奈緒「ほら!文香やありすとか!他にも髪長い子いるよな!?」

常務「鷺沢文香は、先日のフェスで体調を崩している。今はその時では無い」

常務「橘ありすは、まだ子供だ。シックでアダルティーな髪型は似合わないだろう」

奈緒「あたしなら似合うってのかよぉ!!」

凛「奈緒、シックになれるチャンスだよ」

加蓮「アダルティーな奈緒も見てみたいな~私」

奈緒「こ、こいつら……!」

常務「……不満でもあるのか?」

奈緒「っ……!」

常務「何かあるのなら、この場で言うことだ」





奈緒「……あたし……ご、剛毛だからっ!」

凛「えぇっ!?」

加蓮「やっぱり……」

奈緒「何でそこで驚くんだよ!やっぱりってなんだよ!?」

加蓮「処理とか、ちゃんとやって無さそうだし……」

奈緒「ば、バカ!髪質の話に決まってんだろ!!」

常務「……髪質が剛毛だと、何か問題でもあるのか?」

奈緒「その……ちょっとやそっとじゃ、大して髪型変えられないんだよ!」

奈緒「も、もんのすっごい癖毛だしさ!セットも毎日大変だし……」

奈緒「だから、あたしに常務の髪型なんて到底似合わn」

常務「……神谷奈緒」ポン

奈緒「な、何だよ?」

常務「何も案ずることはない。必要なものは、すべてこちらで用意した」

奈緒「え、あの……ちょっと」

常務「成功は私が保証しよう。良い店を知っている」

加蓮「……奈緒。ここ、346プロだから」

凛「正直、剛毛程度じゃ障害にもならないよね」

奈緒「」



常務「さぁ、ガラスの靴を履こうか。神谷奈緒」

奈緒「お、おおっお覚えてろよぉぉぉぉぉ!!」ズルズル



おわり

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