暁美ほむらと、もう一人の時間遡行者 (576)


その少女は、降りしきる雨の中、黒猫を抱いてそこに居た。



「暁美ほむら、君を救いに来た」





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目覚めた先は、もう何度目かも覚えていない病院のベッドの上。

時間遡行を行なった私、暁美ほむらは、時間の移動とまた救えなかったという思いに揺れ、暫くそこで横たわっていた。


私は本当に、まどかを救えるの……?


弱気な考えが浮かび上がり、それを振り払う様に飛び起きて直ぐ様ベッドから抜け出す。

こんな事を考えたのは弱かった自分がずっと寝ていたこの場所のせいだと押し付け、病室を出る事にした。


トイレに入って、周囲に誰も居ないことを確認してソウルジェムを取り出す。
見られても構わないけれど、見られないに越したことはない。


眼鏡を外し、髪をほどき、変身した私は内気な暁美ほむらを払拭して深く息を吐いた。


何度ループしようと、この儀式をしなければ気持ちが切り替わらない。

この時間軸の暁美ほむらはこの瞬間から、魔法少女暁美ほむらとなった。


私は前のループでもワルプルギスの夜を越えられず、鹿目まどかは契約してしまった。

それも、他の三人の少女達を救った上での事だ。


ほぼ手詰まりでかなり絶望的な状況だったが、最初のまどかとの約束と思い出を胸に決意を固める。

必要なのは、強固な意思。
感情と己を捨て去り、ただまどかを守る事のみを考える。


認めたくはないが、私のソウルジェムはそうでもしなければ直ぐ様濁っていく様になっていた。


私の精神は、果ての見えぬループによって限界に近付いていた。



今日は退院日。

折角退院するというのに、空はどんよりと曇り、今にも雨が降りだしそうで。
始まりがこれというのは、些か気が重くなった。


身軽な身体になると、病院を出てまず最初にすべき事へと向かう。


黒猫のエイミー。
ただの子猫を救うために、あの子はあっさりと契約してしまう。

故にループして最初に行うのはこの猫の保護。


何時もエイミーが居る場所に着く頃には、雨が降りだしていた。
……傘を買っておくんだったわ。


降りしきる雨の中、建物の影で蠢いた人影に立ち止まる。

ここに人が居るというのは、私の記憶が正しければ今までのループでは一度もない。


もしかして、まどか?


私に気付いたのか、暗がりから姿を見せた人影は期待した人物ではなく、初めて出会う少女。

その腕に黒猫を抱き、雨に濡れるのも気にせずに穏やかな笑みを浮かべた少女はゆっくりと口を開き言った。


「暁美ほむら、君を救いに来た」


あ、これまどか達に的外れな説教して回って最後にほむらと結ばれるメアリー・スーだ


私を知っている?


今までのループでも遭遇した事の無いイレギュラーに対して、直ぐ様警戒体制に入る。


穏やかな笑みを浮かべる少女。
よく見ればそれがただの作り笑顔なのが分かった。
私もそうする事が多いから、分かった。


透き通る様な白い肌に黒の瞳、そしてその腰まで届きそうな長い髪は基本は白いのに毛先の方は淡い桃色になっている。
背丈は多分私より少し高い程度。
顔立ちや肌の感じは、日本人というよりは別の国の人というほうがしっくりくる。


「あなたは何者なの?」


率直な疑問を投げ掛けると、貼り付けられた少女の笑みが崩れていった。
どうやら作り笑顔は慣れていないらしい。


「そうだね。僕は数万年先の未来からやってきた、君と同じ時間遡行者だよ」



何万年も先。

些か斜め上過ぎる返答。

この一ヶ月をひたすらに繰り返してきた私ではその一ヶ月の先すら考えるのが難しいというのに、更に自分が死んでから遥か後の事となると何の想像も出来なかった。


「何故、見滝原に?」

「一ヶ月後、魔女となった鹿目まどかは一瞬で地球上の全ての生命を消し去る。

唯一生き残った魔法少女達が、総員で討伐に向かったけれど返り討ちにあい、辛うじて残った者達も皆絶望して魔女になった。そうして地球は滅んでいった」


まどかの魔女が、地球を終わらせるのは幾度となく見てきた。

そして、私の願いがまどかの因果を複雑なものにして、それを生み出した事も知っている。

初めてそれを悟った時には、絶望してこの旅路を終えようかとも考えたが、それが何になるというのかと思い直し今日に至る。



「……それなら、あなたは何処から来たの?」


不意に、そんな疑問が浮かんだ。

自然と口から出てきた疑問ではあったが、一度言葉にすると尤もな疑問だ。


その問いに少女は微かな迷いを見せたが、直ぐに諦めた様な顔で答えた。


「僕は、地球とは違う他の星から来たんだ」


……まあ、インキュベーターなんかも居るのだし、宇宙人が居てもおかしくはない、か。


「じゃあ、宇宙船とかもあったりするのかしら?」

「残念ながら、僕は願いの効果によって地球までやって来たからね。宇宙船とかそういった類いのものはないよ」

「それは少し残念ね。いっそまどかを連れて宇宙に逃げるのも悪くないと思ったのに」



「話を続けるよ。……その後最悪の魔女は地球だけに止まらず、宇宙を狙った。決死の抵抗も虚しく、魔女は全ての生命を絶やし、宇宙を漂う唯一の存在となった。

そして……この時間軸では、君は遡行する前に鹿目まどかの魔女化と同時に死んでしまうんだよ」


異星人の少女から告げられた言葉は、軽く考えていた私を強く揺さぶった。

自分の死に動揺したなんて事は一切ない、とは言い切れないけど、そんな事よりも、まどかが宇宙を、全てを滅ぼす事を想像して身震いした。


私はいつもループすればいいと思って、感覚が麻痺していたのかもしれない。


地球だけでなく宇宙までも滅ぼすと聞いて、まどかが初めて最悪の魔女として地球の生命を根絶やしにした時と同じ感覚を思い出していた。


黒猫が死にかけているというだけで直ぐ様契約してしまう優しい少女が、世界を壊す。

それはとても残酷で、私はあの時と同じ様に泣いてしまいそうだった。


そしてそれと同じくらい、少女の言葉を信じられないと、信じたくないと思った。



場所は私の家に移らされた。


雨の中で話を聞くのは疲れるし、彼女も私もびしょ濡れだったから店にも入れなかった。


自分からは何もしそうにない様子の少女に小さく溜め息を吐いて、仕方無く髪を拭いてやる。

その間、この表情のない少女について考える事にした。


まどかが世界を終わらせる?
そんな話が、本当にあるの?
そもそも数万年先って本当なの?


疑いの眼差しを向けている内に、思考が停止した。


未来から来た事を疑って、その言葉を信じない。


今の私は、いつかのあの子達と一緒だ。

考える事もなく、信じる事もなく、そしてそれが真実と知って絶望し死んでいった少女達と。

そんな事があってから、私は彼女達に未来から来た事を告げなくなった。


彼女達と同じ気持ちを経験して、自嘲気味に笑った。
昔は何故信じてくれないのかって悩んで、怒って、悲しんでたっけ。


思えば、あの位の時が一番全てに対して懸命だった気がする。



どうにか信頼して貰おうとして、模索して、足掻いて。
ひた向きに皆を救いたい、共に戦いたいと願った。


でも、いつしか私は諦めてまどか以外の全てを見捨て、誰も信じないと決めた。


この選択が正しかったのか、昔の私のままなら上手くいったのか、今の私では分からない。

この一ヶ月をループし続けている私が言えた事ではないが、先に進む事でしか救えないのだと信じていた私は、最初の頃の私の気持ちなんてとうの昔に忘れてしまった。


どうしたらいい、暁美ほむら?


今の私なら、利用出来そうなら利用しようとする。

昔の私なら、きっと信じて、共に戦う仲間が増えたことに喜んだのでしょうね。


最近は、こうして過去の自分の記憶に訊いたり、思い出して懐かしんだりする事が多いとふと思った。



取り敢えず、今欲しいのは彼女が時間遡行者だという証拠。
郷愁にも似た過去への思いを払い、少女に尋ねる。


「あなたは、自分が時間遡行者だという事を証明できる?」


少女は私の問いに頷いてみせた。

そうして乳白色のソウルジェムを取り出した少女は、目で変身してもいいかと語りかけてくる。


私はそれに頷いてみせた。
見知らぬ魔法少女に対して、ある程度の経験を積んだ魔法少女ならば絶対にしない選択。


「君は、変身しないのかい?」

「ええ、あなたを信じてみる事にしたのよ」

「……驚いたよ。君は、もっと難しい人だと思っていたからね」


少女の乏しい表情は、確かに驚いているようだったが、同時に信頼を得られたと思って安心してる様でもあった。


「私の事、色々知ってるみたいね」

「も、勿論だよ。君を、君達を救う事が僕の使命なんだから、色々と調べたんだよ」

「そう」


少女は明らかに何かを隠している様子だったが、それを指摘しないでいるとほっと胸を撫で下ろした。
無表情な癖に、考えを隠すのは下手らしい。



白を基調とした、鮮やかなドレスに身を包んだ少女は、その胸元に下がる砂時計を見せた。

私のそれと違って、普通の砂時計の形をしていて、サイズも一回り小さい。


ただ、その中にある白い砂は本当に落ちているのかと思うくらいにゆっくり流れていた。

微かに砂が反射した光の向きが変わらなければ気がつかなかったくらいに。


「僕は持てる全ての因果を時を遡る事のみに当てられた。そうしなければ数万の歳月を越えられなかったんだ。だから、僕には何も無く、魔法少女としての普通の力でも君よりも遥かに劣る」


少女の言うとおり、この子には砂時計とドレス以外何も無く、そして感じられる力も弱々しかった。

一ヶ月だけですら四次元ポケット付きの盾のみとなったのだから、仕方ないとは思う。



でも、そんな少女が私の力になるの?


タイトルからにじファン臭を感じる…


私の表情に気付いたのか、少女は補足する様に話し出した。


「僕の魔法は君と同じ時間操作。そして、僕が時間停止したら、君も停止した時間を動けるんだ。尤もその逆は出来ないけど」


逆は出来ない?


駒が一つ増えたのは喜ばしい事だったが、その事が妙に引っ掛かった。


「君の時間停止に入れないのは、多分僕の力が弱いからなんだろうね」


曖昧に笑う少女。
やはり、何かを隠している。


それでも私はそれを追求しない事にした。
私の時間停止では動けないのなら主導権は確実に握れるのだし、わざわざ言いたくない事を聞き出して心象を悪くする必要もない。

まーた俺スレかよと思ったが俺じゃない…だと


「ただし、君が動けるのは君も砂時計を出している時だけだから、気を付けて」


全てを信じられる確証が得られた訳ではないが、信じてみてもいいと私の直感は言っている。

少なくとも嘘がつけるタイプではないのは分かった。


「ええ、分かったわ。……ところであなた名前は?そう言えばまだ聞いてなかったわ」


その問いに、少女の動きが止まった様に見えた。
しかしそれも一瞬で、少女は直ぐに答える。


「……そうか。地球では僕にも固有名が必要なんだったね。僕は……好きに呼んでくれよ」

「え?わ、私が決めるの?」

「何でも構わないよ」


あまりネーミングには自信がない。
ましてや人のそれなんて、考え付かない。
……。


「もう!シロよ、うん。シロって呼ぶから、分かったわね?」

「それは、なんというか……率直だね」

「黙りなさい」


QBちゃんだったら俺得


「最後に、一つだけ」

「なんだい?」

「あなたはまどかを殺そうとは思わないの?」


選択肢として、思い付かないものではない。

それどころか、筆頭として挙げられてもおかしくない。
もしそうなら……。


「その事なら、心配しないで。もし僕が鹿目まどかを殺せば、君はまた時を遡るだろう。それではただ繰り返すだけになってしまう。だから鹿目まどかの殺害は絶対にないよ」


シロの表情は、嘘をついてる様ではない。


「そう」


一先ずそれを聞けただけで良かった。
仲間とはいかないが、協力関係位には信じてやっていける。


表情には出さなかったが、新たな手札が加わって私は微かに高揚していたた。
ワルプルギスの夜を越えられるという希望が湧いてくる。


「僕は、ワルプルギスの夜が来るまで大人しくしているよ」

「そうね、それがいいわ」


少女達を救うのには、前に成功しているのだから新たな不安材料を織り込む必要はない。

ただ、いつか紹介する必要はありそうだけれど。


>>18
同じ事思った

今回はここまで

次回更新は6月9日の23時に




出だしで文章がくどくて申し訳ないです

基本的にはほむらの一人称で進みますが、別視点に切り替わる際は、side:○○といった感じになります

乙。期待
てか新作早いな

バレましたか

実は前のと同時進行で書き溜めてました

QB率95%

シロって何?オリキャラ?
ゲロ以下のメアリー臭がプンプンするんですけおd^^;;;


なんか嘘付いてるくさいな
世界中から悲しみがなくなれば倒せるって話だったけど……
世界=宇宙含めたものって解釈になってるのかな

>>25
普通に擬人化QBだろうけどキャラクターの人格捻じ曲げ半オリキャラメアリー状態
二次創作ならある程度の性格改変は仕方が無いけど
設定を借りただけであまりにも原作から逸脱しすぎた改変はよっぽど上手く調理しなきゃ下手なオリキャラより酷い
QBの場合は稀に精神疾患者がいるという事でどんな性格にしても言い逃れ出来るからタチが悪い

自分に合わないからってそこまで言うかねぇ
そっ閉じを覚えなさい

期待してる

あーQBか、てっきり何かしらのクロスかと思った
読んだことないパターンだし期待

思ってたより書き溜めれたので今日投下しちゃいます


シロと出会って数日後、見滝原中への転入日。

ループしている一ヶ月の中でも、この日は最も疲れる日の一つ。

担任の先生の愚痴、クラスメートの質問、授業、それら全てが何一つ変わらない。


無駄な応答に本当に頭痛がしてきて、体調が悪いと周囲に告げる。


「保健委員は、誰かしら?」


まあ知っているのだけれど。
期待通り、遠巻きに私を見ていた鹿目まどかが立ち上がった。


「私だよ。案内するね!」


少し早口で言うまどかに、私は微笑んだ。

今目の前に居る優しい少女を、全てを滅ぼす魔女になんてさせない……絶対に。


「お願いするわ」


「私、鹿目まどか。よろしくね、ほむらちゃん。……って、馴れ馴れしかったかな?」

「いいえ、構わないわ。ありがとう、まどか」


彼女は振り返りながら満面の笑みを浮かべて、私の前を歩く。

こうしていると、一番始めのまどかを思い出して、心地好い気持ちになる。

何時だったか、本当に体調が悪くて手を引かれていた時に気付いてから、私はこの時には後ろを付いてく事にしたのだった。


その後は、保険室で暫し二人きりの会話を楽しんだ。

基本的な受け答えはやはり同じだったし、私だけが全てを覚えている事が胸を締め付けもしたが、相手が鹿目まどかであるというだけで落ち着いた。

我ながら現金な奴、とは思わない事にしよう。


その日の放課後、私はまどかに誘われるままに帰路を共にしていた。


まどかの隣で、快活に笑うのは美樹さやか。
ムードメーカーという言葉が良く似合い、実直な性格で正義感が強い。

基本的に頭が固く、第一印象が悪いとそれを覆すのは中々難しい。

でもそれは接触を間違えなければいいだけで、私は話している二人の後ろをのんびり歩いていた。

ふとさやかの話が途切れると、まどかが申し訳なさそうな顔で振り返った。


「ほむらちゃん、ごめんね。さやかちゃん話長いから」

「なにおう!まどかめ私を裏切るのかー」


その短いやり取りだけでも二人の仲が伺えて、少しだけ付き合いの長さに妬けたが、私は笑顔を見せた。


「さやかは表情がコロコロ変わって、見ていて飽きないから構わないわ」

「バカにしてない転校生?」

「可愛いってことよ」



私の言葉に、さやかは顔を赤くしてみせた。

こうしてさやかを誉めてみたのは初めてだったが、意外な反応。
いや、そうでもないわね。


「も、もう、転校生ってば御世辞はいいよおー」


照れ隠しに背中を叩くさやかに、今までの色々を思い出し、私はからかってやろうとさやかに向き直る。


「いいえ、御世辞なんかじゃないわ。本心よ」


じっとさやかの目を見て伝える。
真剣なふりをした私の演技に騙されたさやかは、呻き声を洩らして顔を逸らしまどかに助けを求めた。


「うええ、まどかぁー」

「知らないよ、そんなの」

「まどかまでっ」


「ほむらちゃん、私が誘ったのに……」


冗談めかして頬を膨らませるまどか。
それでも目は半分くらい本気なのが見てとれた。


「ごめんなさい、まどか。でも、あなたもさやかばかりじゃない」


言ってから暫く顔を見合わせて、殆ど同時に笑いだした。
さやかはなにがなんだかという表情をしてたが、気にしない事にした。


「ちょっとちょっとまどか、いつの間にそんなに転校生と仲良くなったの?」

「え?うーん、何となく、かな?それに初めて会ったって気もしなかったんだ」

「ますます分からんぞー」

「内緒だよ、さやかちゃんきっと笑うもの。行こ、ほむらちゃん!」

「ええ」

「あ!待ってよ!」


頭を抱えるさやかを置いて、まどかは私の手を取り駆け出す。
明るく手を引くまどかは、初めて会った時の、一番最初の鹿目まどかと重なった。



まどかとさやかと共に歩きながら、私は違う事を気にしなければならない事に嘆いていた。

インキュベーターはこの後間違いなくまどかに接触を図る。
唯一の例外は、美国織莉子が契約し、インキュベーターからまどかを隠すために魔法少女狩りを始めた場合のみ。

どちらも厄介だが、敵が二人になるよりは接触してくれた方がありがたい。


「ねえ二人とも、CDショップ寄っていい?」

「いいよ。上条くんでしょ?」

「まあね」


これも、いつも通りね。


「それってもしかして、さやかの恋人?」


転校して間もないのだからと、首を傾げる。
赤面するさやかは些かわざとらしかったのには気づかなかった様で、慌てて弁解しようとしていた。


「ねえ、その上条って、上条恭介の事?ヴァイオリン弾いてる」

「知ってるの!?」

「ええ、前の学校でファンだって子が居たのよ。見滝原中に転校する時に、同じ学校になるんだから仲良くなって紹介してとか言われたわ」


驚いた様子のさやか。
嘘だとは全く思ってない。


「大丈夫よ、そんな事しないから。でも、好きならしっかり掴まえとかないと、持ってかれちゃうかもしれないわよ?」

「そ、そんな事--」

「聞きなさい」

「はいっ」


ピッと姿勢を正すさやか。


「……確か上条くんって事故にあって、今は弾けないのよね?ヴァイオリンを思い出して辛いかもしれないから、音楽とは関係ないものを持っていったらどうかしら?」

「そ、そういうもんかな?」

「そうよ。とにかく、他のものにしなさい」

「んー、とはいってもなあ……」



さやかのやり取りをポカンと眺めていたまどかが、ハッとして口を開いた。


「何だかほむらちゃんって、凄い大人って感じ」

「ホントホント。もしかして経験有りぃ?」


二人は興味津々といった様子で、迫ってくる。
キラキラした二人の目に、私は僅かに後ずさった。


「け、経験なんてないわ。似たような事を、どこかで読んだだけよ」

「あやしいなあー。実は東京に恋人が!とかじゃないの?」

「ほむらちゃんホントなの!?」

「もう、信じないでそんな話。それより早く行きましょ、御見舞い探し」



まどかとさやかと一緒に、ショッピングを楽しむ。
これで他の何も気にしなくていいのなら、それだけでいいのに。

暗い表情が表に出そうになったその時、まどかが不意に立ち止まった。


「まどか?」


さやかが声をかけたが、まどかには聞こえなかったらしく何かに惹かれるように駆け出してしまう。

やっぱり、来たのね。


「さやかは荷物見てて」

「え、ちょっと転校生!?」


予め買っておいた荷物をさやかに押し付けて、まどかを追う。

さやかにはほんの少し悪いと思ったけれど、知られない事が出来るのならそれに越したことはない。



フラフラと走るまどかにはその気になれば直ぐにでも追い付けたが、黙って後を付ける。


インキュベーターは何度阻止しようとも何時かまどかと接触してしまう。

だから今回は見滝原の魔法少女との出会いの為に利用する。


ショッピングモールの奥、立ち入り禁止のエリアで、まどかは足を止めた。


「まどか?」

「ほむら、ちゃん」


まどかが腕に抱えたインキュベーターは、苦しそうに息をしていた。

白々しい……。

今すぐにでもこの個体に止めをさしたかったけど、グッと堪える。


……まどかに抱かれるなんて幸福はこれが最後と思いなさい。


「この子、怪我してるみたい」


得体の知れない生き物だというのに、まどかはただそこで怪我をしているというだけで全て気にしないで心配している。

その優しさに付け込み、利用するインキュベーター。

考えていると本当に踏み潰してやりたくなって来たので、一先ずその事は置く事にした。


「まどか、少し怖いかもしれないけど、大丈夫だからね?」


不思議そうな顔をするまどかを、背中に隠す。
エリアの奥から、薔薇の魔女の結界が広がってきていた。


「な、なに……これ」


まどかの震えた声。
きっと怯えた顔をしてる。


「心配しないで。私がついてるから」


ソウルジェムを翳して、私は魔法少女へと変貌する。


見滝原中の制服から魔法少女の衣装に変わった私を見てか、まどかがハッと息を呑む音がした。

多分、何を言えばいいのか分からないのだろう。
声にならない声が聞こえた気がする。


「……来たわね」


私達を飲み込んだ結界の方々から、使い魔が湧いてくる。

チラリと後ろを確認すると、まどかは次々と移り行く状況に混乱している模様。可愛い。


それとなくまどかに結界を張り、私は二丁の拳銃を構えて使い魔どもに向き直った。


本来ならばこんな使い魔一瞬で倒して本体も一蹴できたが、わざと慣れていないフリをする。

少し危なっかしく見えるのだろう。
まどかの私を心配する声が度々聞こえた。


「きゃあっ!」


まどかの小さな悲鳴。
ひたすら私を狙っていた使い魔だったが、一匹がまどか目掛けて駆け出していた。

尤も、それに気付かない私ではない。
素早く使い魔に照準を合わせて、引き金を引こうとする。


だが、突然その使い魔目掛けて消火器が飛んできた。
消火器は使い魔にぶつかって、ゴロゴロと転がっていく。


「まさか……」


消火器という時点で、嫌な予感がした。
ある時間軸では、この場所で中身をぶちまけられた事がある。


「さやかさん参上!」


今すぐにさやかの意識を刈り取って、夢でも見た事にしてやりたかったが、まどかの手前それも出来ない。

何がさやかさん、よ。
バカ。


「どうして来たのよ?荷物は?」

「うおッ、転校生その格好はどうしたのさ?」


相変わらず人の話を聞かない子だ。
そして状況を読まない。

深い溜め息を一つ吐いて、まどかの結界に首を傾げているさやかをその中に入れる。


「さやかちゃん!」

「まどか、大丈夫だった?」


暢気に手を合わせて、互いの無事を確認している。
私はそこそこ必死だというのに。

いっそ当初の目的なんて忘れてさっさと狩ってしまおうかと思い始めたその時、ようやく彼女はやってきた。



彼女はやはり、派手なのが好みらしい。
私達を自身の結界で包み込むと、高いところから静かに降りてきた。


「あなた、新米みたいね」


優しい笑みを浮かべる彼女、巴マミは、私の事を微かに警戒しているようだった。

流石に無警戒とはいかないか。


「あ、あなたも魔法少女なの?」


まだ戦いに慣れてない様に見せかける為、僅かに声を震わせて言う。

そうとは分からなかったらしい巴マミは小さく頷くと、ソウルジェムを出して変身した。

わざわざ変身に合わせてクルクルと踊るように回っている。


横目でまどかとさやかを確認すると、驚き、そして高揚してる様でもあった。

演出に弱い子達だ。
……別に、妬いてるわけではないわよ?


変身を終えた巴マミ。
まどかとさやかの反応に、かなり満足げな顔をしている。


「助かったわ。私、まだ経験が少なくて……」


腰を抜かした様に座り込み、巴マミを上目遣いに見つめる。
見事に引っ掛かったらしく、優しく私の頭を撫でてきた。


「ふふ、私が来たからにはもう大丈夫よ。後は任せて」


巴マミは自分の結界を掻き消すと、勢い良く飛び上がった。
広げた腕の先にマスケット銃が次々生み出されていく。


「行くわよ」


彼女が腕を下ろすと同時に、無数のマスケット銃が火を吹いた。

魔法の弾丸はいとも容易く使い魔を消し去り、魔女の結界がサッと引いていく。

優雅に着地した巴マミは、自身に満ちた顔で笑った。



危機は去った。
そう思ったのであろうまどかが、真っ先に口を開いた。


「あ、あの、この子、怪我してて」

「あなた、キュゥべえを助けてくれたのね。ありがとう、その子は私の大切なお友達なの」


巴マミはそう言って、インキュベーターに治癒魔法をかける。

みるみる傷が治っていく様子に、二人は目を丸くして驚いていた。


「助かったよ、マミ」


立ち上がったそれは、怪我など微塵も感じさせぬ動きで巴マミの肩に飛び乗る。

ああ、腹立たしい。

この巴マミとの偽りの信頼関係が何度障害となったか、考えるだけでうんざりする。


「この二人に色々と説明したい所だけど、僕はそれよりも気になることがあるよ」


深紅の瞳が、私に向けられた。


「君は、何者なんだい?僕は君と契約した覚えは全くないんだけど」


こいつは私の事を探ろうとし、しかも巴マミに警戒させようとしている。
……狡猾な奴。


「そ、そんな……キュゥべえ、私の事忘れたの?」


膝を抱え込んで、顔を隠して泣き真似をする。
巴マミはそんな私に同情したのか、そっと肩に手を置いてきた。


「もう、キュゥべえ、女の子の事を忘れるなんて酷いわ」

「そ、そんな筈は--」

「言い訳してもダメよ、キュゥべえ。ちゃんと謝りなさい」


狙い通りの展開に、私は手の裏側で口元を歪めた。

基本的に優しくて、ちょっと夢見がちな彼女は、しっかりしてる様で意外とその場の状況や雰囲気に流されやすい。


「ありがとう。えと、巴さん。私の事は、もういいわ」



「あら、私の事知ってたの?」

「キュゥべえから聞いたの。見滝原中に転校するからって。キュゥべえ、伝え忘れたのね」

「もう、そんな大事な事まで忘れるなんて!じゃあ、あなたが噂の転校生って訳ね。美人だって、上の学年まで評判よ」

「巴さん程ではないわ」

「ふふ、ありがとう」


暫く私達のやり取りを眺めて呆けていた二人だったが、我に返ったさやかが割り込んできた。


「ストップストーップ!そろそろ私達にも説明してよ」

「う、うん。その子が喋ってるのも、気になるし」


まどかの言葉に、インキュベーターは目敏く反応した。
巴マミの肩から飛び降りると、まどかの前で立ち止まる。


「僕は君の願いを何でも叶えてあげる。だから、僕と契約して魔法少女になってよ」



「え……願い?契約?」


混乱した様子のまどか。
いきなり言われても何の事か分からないだろうし、当然の反応。


「キュゥべえ、そんなに急かしたって何の事か分からないでしょう。……そうだ、今から私の家に来ない?そこで説明するわ。私達、魔法少女について」

「迷惑じゃ、ないですか?」

「ふふ、気にしないで大丈夫よ」


明るく笑う巴マミは、相当嬉しいようで、鼻歌混じりに出口へと向かう。


「……そう言えばさやか、荷物は?」

「あ、お爺ちゃんに預けたまんまだわ」

「な、何してるのよ!?普通お店の人とか、それっぽい人に頼むでしょう?」

「いやあ、二人を見失っちゃうと思ってさあ」

「バカ、ちゃんと謝りなさいよ?」

「はいはーい。何か転校生厳しいなあ」


当たり前よ、この……バカ。あとアホ。

今回はここまで

時間更新は10日の23時に




導入部分は退屈で早く終わらせたいので、今日みたく書き溜め具合によっては一日早く更新する時もあります

どうやったらこんなに上手く文章書けるんだろう
やっぱ地頭良くないと駄目なのかね


               _∧_∧_∧_∧_∧_∧_∧_∧_∧
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     ♪     ∬∬      マチクタビレタ~ 彡  し'⌒^ミ A 〃
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  _( (   / Cミ         | Winny 2004   | .|  .   (\ ∧//     ~♪
  \((○ ̄ /_          |          .|/      >、\ξ)   ~♪
 Σソ\_/(_)ミ                         /∠(,,,)>\

    (_)                            (_) \| (_)

すまん誤爆


完結してほしいな



流石さやか……普通見ず知らずの他人に皆の荷物を預けるか?
まぁ、そのお爺さんが悪人でない事を祈るばかりだね。
それとも、酷い結果になった方が薬になるか?


とりあえずお前が友人より荷物を大事にする奴だということは分かった

何だか前倒しがデフォみたいになってますが書いてきます


親切が顔から滲み出ていた優しいお爺さんに謝った後、私達は巴マミの家に上がり込んだ。


一時は何度ループしても険悪な状況が続いたが、私が大人になってからは概ね良好な関係を築く事に成功。

何回か前のループからはお茶友達位には昇格していた為この家に来るのは別段久しぶりという訳でもない。


それでも懐かしく感じるのは、一番最初の記憶のせいなのだろう。


「凄いお部屋ですね」

「いやホント、めっちゃ綺麗だし」

「一人暮らしだから、かしら。拘るタイプなのもあるかも。今お茶を用意するから、適当に寛いでて」



出された紅茶とケーキは、いつも通り美味しかった。
常に同じ味だけれど、これは何度繰り返しても苦痛じゃない。

初めて味わう二人の反応は毎回一緒で、目を輝かせて巴マミを見つめる。


「ふふ、気に入ったみたいね。駅前のケーキ屋さんで買ったのよ。今度教えてあげる」

「ありがとうございます!」

「でもでも、マミさんの紅茶凄くピッタリだし、これ無いとなあ」

「ありがとう、美樹さん。何時でも飲ませてあげるわよ」

「ではさしあたってはおかわりをー」

「はいはい。鹿目さんと暁美さんはどう?」

「じゃあ、私も」

「お願いするわ」


「さて、と。それじゃあ話をしましょうか」


巴マミがそう言うと、やっと出番が来たかと横になっていたインキュベーターがクッションから起き上がってきた。


「この子はキュゥべえっていうの」

「よろしく、鹿目まどか。それと美樹さやか」


目的は鹿目まどか一人。
美樹さやかはオマケでしかないと思っているのが直ぐ分かる。


「いやはや、あんたやっぱり喋るんだね」

「不思議かい?さやか」

「そりゃあね」

「でも、さっきから不思議なものは一杯見たじゃないか」


さやかと、そしてまどかは先程の魔女の結界に使い魔、そして変身した私達を思い出しているようだった。


「えと、ほむらちゃんもマミさんも、その……魔法少女?ってやつ何ですよね?」

「そうね。そしてこれが、魔法少女となった人の証よ」


そう言って巴マミは、ソウルジェムを取り出した。
オレンジ色に光るそれに、二人は目を奪われていた。


「普段は、指輪として嵌められているわ」


巴マミに促されて、私はソウルジェムの指輪を見せる。


「キュゥべえが見える、素質のある少女は、願いを一つ叶えてもらって、このソウルジェムを得る事が出来るのよ」


魔法少女のプラス側の話をする巴マミに、私は一度咳払いして話を遮った。


「願いを叶えて貰えるとしても、その代償は大きいわ。どんな願いとも釣り合わない程に」


願い事を考えている様子の二人に釘を刺した。

あまり魔法少女という存在に夢を持ってもらっては困る。


「私達魔法少女は、常にさっきの妙な空間の主、魔女と戦い続けなければならない。一度魔法少女になれば戦いに終わりはなく、普通の生活に戻ることは決してない。……そして何より、その戦いで命を落とす事だってあるのよ」


声を落として重々しく語った私の説明はそれなりに効果があったらしく、二人は恐れの混じった顔をしていた。


「もし今が幸福であるのなら、契約しない方がいい。魔法少女になんて、そうする事しか選択肢がない人しか、なっちゃいけないのよ」



「……君は二人に契約して欲しくないみたいだね」


今まで黙っていたインキュベーターが口を開いた。
明らかに私を疎んでいるのが分かる。


「それは、そうよ。折角できた友達を、死ぬかもしれない場所に連れていきたくはないわ」


出会って間もない私の言葉を、まどかとさやかはそれなりに受けとめてくれたらしい。

チラリと確認すると、二人から願いと魔法少女への羨望は無くなっているようだった。

頭の片隅には残っているだろうけど、少なくとも今直ぐに契約する事はない筈。


ただ、机を挟んで静かに話を聞いていた巴マミに私を信頼させるにはまだ足らない。

僅かな疑念が、静観する巴マミから窺えた。


「……暁美さんには、何があったの?」


巴マミの問いに僅かに思考を巡らせ、私は一番最初の出会いを思い出す事にした。

まどかと、そして巴マミが私を助けてくれた、その記憶を。


「……前に、私を救ってくれた人が、魔女との戦いで命を落としたのよ」


話に衝撃を受けたのか、皆がハッと息を呑んだのが分かる。

少し感傷的になり過ぎて涙が滲んできた私に、横に居たまどかは私の手をそっと包み、さやかは私の肩に手を回し抱き締めてきた。

まさかそんな事までされると思ってなくて、驚いて肩が少し跳ねてしまった。


「辛いことを聞いてしまって、ごめんなさい……」


巴マミは、本当に申し訳なさそうな表情をしている。


「いいのよ。あなたは悪くないわ」


「私の尊敬してた人が死んだ時、私はまだ魔法少女では無かった。あの時私も居たら変わってたかもしれないって、ずっと思ってる。……それで、巴さんに相談なのだけれど」


言葉を切った私に、巴マミは首を傾げる。
何も分からない風を装っているが、その表情には淡い期待と不安が見え隠れしていた。


「もし良かったら、私と一緒に戦って欲しいの。折角知り合えたのだし、一人だと……」


私の頼みに、巴マミは内心喜んでるくせにそれを隠して優しい笑みを浮かべた。


「ええ、分かったわ。そんな事があった後では不安でしょうし、先輩として面倒見てあげないとね」


「……もう、こんな時間ね。そろそろ、解散しましょうか?」


私達が魔法少女の説明を終えてから暫く談笑している間に、いつの間にか日が沈もうとしていた。


「ああ!私恭介のとこ行かなきゃ!」

「マミさん、今日はご馳走さまでした」

「じゃあ、また明日」

「あし……た?」


私の言葉に、巴マミは不思議そうな顔をした。


「だって、一緒に戦ってくれるのでしょう?」


巴マミはハッとした様子で、何かを誤魔化す様に明るく笑いながら頷いた。
きっと、私達が行った後で泣くのだろうと予想してみる。


「じゃあ、また明日」

「また明日ね、暁美さん!」


「さてと、私は急ぐから先行くわ!選ぶの手伝ってくれてありがとー!」


さやかはお見舞いの袋を振って、とんでもない速さで走り去っていった。


「ねえ、まどか。契約の事だけど……あなたは絶対にしないで」

「え?」


少し、感情を出しすぎたかもしれない。
まどかは困惑した様子で私を見ていた。


「ううん、やっぱり何でもないわ。……私も、少し向こうに用があるから、ここでさよならね」

「分かったよ、ほむらちゃん。明日の朝、一緒に学校行けるかな?」

「大丈夫よ」

「そしたら、後で場所連絡するね!またね、ほむらちゃん!」

「ええ、気を付けてね、まどか」


まどかが角を曲がるまで見送った後、私は表情を消して近くの公園の奥へと歩いていく。

人気のない所まで行って、私は振り返りもせずに闇に紛れるモノに声を掛けた。


「居るのは分かってるわ、インキュベーター。出てきなさい」

「その呼び名まで知っているとはね。ますます興味が湧いてきたよ」


現れたそれは、興味深そうに私を見ていた。
人形の様な深紅の瞳が、全てを知る私にはおぞましいとしか思えない。


「忠告しておくわ。あなたがもし私の事を巴マミに話したり警告したりした場合、私は巴マミのソウルジェムを砕く」

「もしや、君は--」

「口を……開くな」


憎悪する対象の言葉に一瞬強烈な殺意が芽生える。
私は今までひた隠しにしてきた心の闇を抑えようと表情を消したが、インキュベーターは明らかにそれに気付いた様子だった。

まあ、いいでしょう。


「……そして第二に、あなたが鹿目まどかと契約しようとするなら、私は今地球上に存在している魔法少女の全てを殺害する。魔女になる前に殺されたら、意味がないでしょう?」


そんな事をするつもりは、毛頭ない。
それでも、私の中で積もり積もった狂気の一端に触れたインキュベーターは、意外にも私の言葉をアッサリと信じたようだった。


「君ほど恐ろしい魔法少女に出会ったのは初めてだ。ましてや真実を知っていて、それだけの闇を抱えて尚魔女になっていないなんて、驚嘆に値するよ」

「感情のないあなたには理解できないのでしょうね。私の覚悟も、あの子の優しさも」

「それは僕達には必要のないものさ。この個体を潰される前に、僕は消えるとするよ」


インキュベーターはそう言って、闇の中へと消えていった。

ソウルジェムを取り出せば、荒れた心のせいか僅かに濁りが見えた。


「……仕方無いわね」


初日に確保した一つを早々に使うのは勿体無かったが、背に腹は変えられない。

グリーフシードを当てて穢れを吸い出し、私はほっと一息吐いた。



side:美樹さやか


後で怒られる覚悟で、廊下は走らないというルールを破り、私は恭介の病室に駆け込んだ。

ぼんやりと夕日を眺めていた恭介は、突然開いたドアの音に驚いた様だった。


「さやか、病院では静かに、ね?」

「アハハ、今回だけだって」


ベッドの脇の椅子に座って、暫く息を整える。
チラリと横目で恭介を確認すると、楽しそうに笑っていた。


「ねえ、恭介はさ……」

「ん、どうしたんだい?」


笑顔を見ていたら、不意に転校生の言葉を思い出した。

もしかしたら、私がCD持ってきていたのが恭介に嫌な思いをさせていたかもしれない。

でも、きっと聞いても恭介は否定するだろうと思って、止めておくことにした。


不思議そうに見詰めてくる恭介に、私は笑って誤魔化す事にした。


「な、何でもないよー。そうだ、今日私達のクラスに転校生が来てさ、それで放課後まどかと一緒に買い物してたんだ!」

「そうなんだ。あ、それで今日は面会ギリギリだったんだね」

「そうそう、ちょっと話し込んじゃってさ」


話を逸らす事には成功したみたい。

その後も私の一方的な話に恭介が相づちを打つ形で会話が続いた。


……あ、もうこんな時間じゃん。
あれを聞いとかないと--。


「あ、あのさッ!」


面会時間も殆ど無くなって、今日の目的を切り出そうとすると、緊張で声が裏返った。
うう……恥ずかしい。


「どうしたの、さやか?」


クスクス笑う恭介に更に顔が熱くなるのを感じながら、覚悟を決めて話し出す。


「あ、あのね?恭介の好きな食べ物とかって、何かなーって」

「す、好きな食べ物?」

「そう。食べ物だけじゃなくて、好きな本とか漫画とか、色々。そりゃ少しは知ってるけど、何もかも、とはいかないからさ。お見舞いに何持ってけばーって悩んじゃって。それでまずは食べ物から、と」

「なんだか、とても急だね」

「おかしい、かな?」


絶対に赤くなってる顔を見られたく無くて、顔を伏せて上目遣いで言う。
これなら多分、夕日のせいだと思ってくれる……筈。


「……」

「恭介?」


黙り込む恭介にパッと顔を上げると、恭介は慌てた様子で顔を逸らした。


「き、気にしないでいいよ!ちょっとぼんやりしてただけだから」

「ならいいけど。あっ、もう面会時間終わっちゃうよ!」


まだ何も聞いてないのに!
どうしようか考えていると、恭介が先にポツリと言った。


「何か、甘いもの」

「え?」

「お見舞いなら、甘いものがいいな。母さん達が持ってくるのは、小魚とか、身体に良いっていう変なものとかばかりなんだ」

「分かった!じゃあ頑張ってみますか!」

「頑張る?」

「甘いものなら手作りにしようかと思ったんだけど、もしかしてどこか希望あったり?」


何処のお店かなー、なんて考えてみたけど、直ぐに恭介は首を横に振った。


「ダメじゃないよ。さやかの手作り、楽しみにしてるから」

「よーし、張り切っちゃいますよー!じゃあ恭介、また来るからね!」

「またね、さやか」


おっと、忘れるとこだった。

恭介に今日買ったお見舞いが入った袋を渡す。


「何買えばいいか分からなくって、男の子が好きそうなの皆で選んだんだ」

「ありがとう。鹿目さんと暁美さんにもお礼を言っといて」

「ん、言っとくよー」


病室の扉を閉めてから、もう一つ伝え忘れてた事に気付いた。

ドアを少し開いて、中を覗き込む様に顔を半分だけ出す。


「恭介ー?」

「ッ!?……ビックリしたよ、さやか。忘れ物かい?」

「あー、いや、その、ね?」


何だかこうしてみると照れ臭い気がする。


「あ、あんまり期待しないでね!」


それだけ言って、私はドアを素早く閉めた。

今はあまり人に見られたくなくて、病院の廊下を早足で歩いていく。


今日はちょっと色々と意識しすぎておかしかったかもしれないけど、結局は満足いく結果だった気がする。

何はともあれ、お菓子の練習しよう!
マミさんお菓子作りとか得意そうだし、明日聞いてみようかな?



side:暁美ほむら


家に帰った私を待っていたのは、何やら怯えた様子のシロだった。


「どうかしたの?」


毛布にくるまる姿に小さく笑いながら訊くと、シロはそこから意外そうな顔をして私を見てきた。


「怒ってない?」

「何によ?」


変な子だ。
何の話かと頭を悩ませていると、シロはほっとした様子で毛布から出てきた。


「何でもないならいいんだ、こっちの話だから。……そう言えば、やっぱりマミとは上手く接触できたみたいだね」

「見てたの?全然気付かなかったわ」

「気配を消すのは、得意なんだ」


「それで、新米だと思わせて協力を申し込むのには成功したみたいだけど、どうやってワルプルギスの夜について説明するんだい?」


話を逸らす様に捲し立てるシロ。
怪しいとは思うが、まあ、それを追求したりはしないけど。


「それは、あなたにやって貰うわ。暫く後、そうね、ワルプルギスの夜が来る二週間前位に、わざと傷を作ってここに逃げてきたと見せ掛けるのよ。

そこであなたにワルプルギスの夜について話して貰う。皆の精神状況が良ければ、そこでソウルジェムの事も説明するわ」

「なるほどね、そういう経緯……が……」


シロは尻すぼみに言葉を切ると眉間に皺を寄せて、何かの考えを纏める為かきつく口を閉ざした。


「シロ?」


何度目かの呼び掛けで、漸く思考の旅から帰ってきたシロは、ハッとした顔で私を見詰めてきた。


「ううん、大丈夫、何でもないよ。その作戦で、きっと上手くいく。

ただ、インキュベーターと遭遇したら怪しまれるだろうから、インキュベーターとの接触は避けたい。

幸い彼の一ヶ月の行動パターンは知っているから、日程は僕が決めていいかい?」

「そう……分かったわ。日取りはあなたに任せる」


それきりシロは沈黙し、じっと何かを考えている様子だった。

これは予想に過ぎないが、恐らくは私が彼女と出会い、彼女の利用を考えた事で彼女の知る一ヶ月とは異なるものに変化したのだろう。

私も最初の頃はそういった変化に戸惑っていたっけ……。

その日は特に会話も無く、今までのループの様にただ静かな夜が過ぎていった。

切りがいいので今回はここまで

次回更新は6月11日の23時に





日常パートを上手く書ける人をめちゃくちゃ尊敬してます……

乙乙
さやかが王道のラブコメ展開してらっしゃる

おつー面白かった
さやかが可愛い…だと…?



「僕達にとって未曾有となりうる事態を解決出来る力が欲しい」
こんなとこかな?



契約してるということは、先の未来にQBは感情を手に入れてるんだな


ほむらもさやかもあざといぞもっとやれww

なんだか予告が嘘予告みたいな扱いになってますが始めます


明くる日の朝。

少し早くまどか達との待ち合わせ場所に着くと、そこには志筑仁美が既に待っていた。


「あら、暁美さん、おはようございます」

「おはよう、志筑さん」

「覚えていて下さったんですね。嬉しいですわ」


知性を湛えた笑みに、私はほっとする。
頭も良くて品もあり、少し天然な彼女を私は案外気に入っていた。


「暁美さん、家はこっちの方なのですか?」

「まどかに誘われたの。二人が来るまでお話しましょう?」

「ふふ、喜んで。昨日はお稽古で行けませんでしたし、ちょっと独り占めさせてもらいますわ」



暫く二人で会話、というか仁美の質問に答えていると、まどかとさやかが走ってやってきた。


「おはよー、お二人さん!」

「ご、ごめんね、仁美ちゃん、ほむらちゃん。遅れちゃった」


息を切らす二人に、私と仁美は顔を合わせて笑った。

もう、そんな時間だったのね。


「気にしないでいいですわ。ほむらさんといっぱいお話出来ましたし」

「そうね。それに、学校に遅刻する程は遅れてないから大丈夫よ」

「おお、仁美と転校生が、仲良くなってる」


笑いながらまどかを見ると、少し拗ねた様子だった。

そんな姿が可笑しくて、私は更に笑って、そうしてまどかを抱き締めた。


「私はまどかの事が、一番よ」



耳元でそう囁くと、まどかは直ぐに頬を赤らめた。


「ほ、ほほほ、ほむらちゃん!?」

「まあ、お二人はそんな関係でしたのね!」

「あっ、まどかはあたしの嫁なのに!」

「ちょっと、さやかっ、飛び付いたら危ないじゃない」


今みたいな状況を、姦しいと言うのだろう。

端から見たら私達がどう見えているのか少し気になったけど、今はこの平和な時間を楽しむ事にする。

困っているまどかを更に強く抱き締めて、私は今を心底満喫していた。


「ほ、ホントに遅刻しちゃうよー!」


遅刻ギリギリで教室に駆け込んだ私達は、慌ただしく席に着いた。

チャイムと共にやってきた担任の話を聞き流しながら、巴マミにテレパシーを送る事にする。


『おはよう、巴さん』

『ッ!?』


一瞬、向こうの動揺が伝わってきた。

きっと急なテレパシーに慣れてないのだろう。
何となく電話が鳴った時にも同じ反応をしそうだと思っていると、返事が来た。


『おはよう暁美さん。少し驚いちゃったわ』

『ごめんなさい。そんな気は無かったのだけれど』

『いいのよ、私が勝手に驚いたんだから。それで、何か用かしら?』

『いいえ、ただお話しようかと』

『今ホームルーム中でしょ?暁美さんて意外と悪い子なのね。ふふ、でも嬉しいわ』



『もうホームルームが終わるから、続きはまた後で。放課後校門前で待ち合わせましょう』

『まだやってたの?……さては早乙女先生のクラスね』

『正解よ。じゃあ、放課後に』

『ええ、またね』


通信終了、なんて。
巴マミとの話で好きなポイントは押さえたから、私の印象も昨日より更に上がっている筈。

シロと会わせる時にはきっと私もフォローしないといけないでしょうし、巴マミの中で暁美ほむらの位置を出来るだけ上げておきたい。

次の手を考えていると、目の前に人の気配。
顔を上げれば、まどか達三人が体操着を持って立っていた。


「移動だよ、ほむらちゃん」

「ありがとう、ちょっと待ってて」



その日、私は巴マミとの信頼関係を築く事ばかり考えていて、どうやらヘマをしたらしい。

ここ最近は注目されたくないから色々と力をセーブしていたのに、考え事をしていた私は何かの種目で非公式ながら県の記録を越えていたという。


次々やってくる部活の勧誘を躱していると、時間がすっ飛んだように放課後になっていた。


「用事があるから、ごめんなさい」


私を囲んでいた集団を素早く切り抜け、校門へと駆けていく。


ああ、厄介な事に……。

これからの学校生活を憂いていると、校門前には巴マミの他にまどかとさやかの姿もあった。


「待たせたわね」

「大丈夫よ。部活の勧誘大変だったみたいね」


どうやら事情は二人が話してくれたみたいね。


「ところで、二人はどうしてここに?」


私の質問に、さやかが頭を掻きながら答えた。
何を照れているのかしらこの子は。


「いやあ、マミさんにお菓子作り教えてもらおうと思ってさー」

「ああ、上条君に渡すのね」


なるほど、と納得したが、さやかは巴マミを気にしながら慌てていた。


「転校生っ!言わないでよッ」

「何々?男の子の為なの?」


巴マミは目を輝かせてさやかに迫る。

どうやらさやかは色々と説明しないで教えてもらおうとしていたみたいね。

慌てているさやかに、まどかと目を合わせて一緒に笑った。



「ほら、二人とも一旦落ち着いて」

「落ち着けって、転校生が悪いんじゃんかー」

「分かったから、謝るから」

「もう遅いし……」

「まあ、それもそうね」


さやかから引き離された巴マミは、まどかにその矛先を変えていた。

質問攻めにあうまどかは、押されるがままに答えている。


「もう諦めなさい。その、私も協力してあげるから」

「うん、さんきゅ。期待してる」

「任せて」


何時もの明るいさやかは何処に行ったのやら、がくりと肩を落とす姿に罪悪感を感じて、私はさやかの頭を軽く撫でてあげた。


「さて、と。取り敢えず、私達は魔女狩りに行かなきゃいけないのよね」

「そうね。その後となると、かなり遅くなってしまうわ。お菓子作りって、時間掛かるから」


四人でどうするか悩んでいると、巴マミがポンと手を叩いた。

何を思い付いたのやら、明るい顔をしている。


「明後日は学校お休みだから、明日は家に泊まりに来ればいいのよ。そうすれば解決でしょ?」

「マミさんナイスアイデア!」

「い、いいんですか?」


グッと親指を立てるさやかとは対照的に、まどかは遠慮がちに尋ねていた。


「勿論よ。親睦会も兼ねて、パーッとやりましょう?」



まどかとさやかと別れて、二人で魔女を捜索していると、廃虚と化したビルで反応を見付けた。
まあ私は魔女の場所は知っていたのだけれど。


魔女の口付けを受けた女の人を手早く助けて、私達は薔薇の魔女の結界へと踏み込んだ。


「--って感じで、魔女にも色々なのが居るから、それを見定めるのも大事な事よ」


長々とした説明は、いつかの時間軸でも受けた。

こうして私は生き残って何度もループしているのだし、彼女は師としては意外と優秀なのかもしれない。
改めてそう思った。


「そろそろ、最深部ね。使い魔の感じからして、あまり強い方ではないでしょう。私はサポートに回るから、暁美さん頑張ってね」

「ええ、了解したわ」


薔薇の魔女……何度この敵を倒したのか、私は覚えていない。

最早その行動パターンの全てを知ると言ってもいい私には、この魔女の攻撃を誘導して危なっかしくみせる事すら出来る。


巴マミのサポートを活用する形で、私は手早く魔女を爆弾で消し飛ばした。


「うん、ちょっと危ないとこもあったけど、上手く戦えてたわ」

「ありがとう。師匠が良かったお陰ね」


ニコリと笑いかけると、巴マミは僅かに赤面しながらも得意気に胸を張った。


「才能ある弟子に恵まれて、師匠も満足でしょうね」


二人で一緒に笑って、私はどんどん心が軽くなっていくのを感じた。

まどかが一番大事。
その上で、皆が生きて笑っている世界を手に入れたいと、私は本気で思い始めていた。

今日はここまで

次回更新は12日23時に





でも多分明日更新します

連日投稿乙

この雰囲気いいなあ、ほっこりする

どんどん続き読みたいからがんばって

ほむほむ……一人だけ精神年齢が高いから苦労してるな。楽しんでもいる様ではあるけど


やはり本編ほむほむに足りないのはあざとさだったか…

メガほむのあざとさだけでは駄目だったと言う事は、クーほむと足して2で割ればよかったんだな

ぶつかりあってる時はどっちかが譲らないと話が進まないんだよね
そして余裕がある方がそうしないといけないのは当然なわけで
大抵の場合ほむらが譲らない限り事態は改善しない

遅くなりましたが更新します!


巴マミの家でのお泊まり会当日。

放課後のパトロールで、私は偶然を装って成長途中の使い魔を早くに発見し、ササッと倒した。

そう、これはさやかの為なのよ、と自分に言い聞かせるも、やはり自分を誤魔化せそうにはない。

ぶっちゃけてしまえば、まどかと一緒のお泊まりが楽しみで仕方なかった。


「今日は早く見付かって良かったわ」

「そうね。それじゃあ私は着替えとか取りに一旦帰るわね」

「鹿目さん達に、連絡お願いできる?」

「分かったわ。じゃあまた後で」


返事も待たずに、私はその場を飛び出した。

こういう時間はあんまり取れないんだし、楽しめる時は楽しまないと、ね。



私の機転のお陰で、日が沈む前には巴マミの家に皆集まっていた。


「じゃあマミさ……先生!さっそくお願いしますっ」

「ふふ、分かったわ。ちゃんと付いてくるのよ?」


台所から聞こえてくるそんな声に、リビングに居た私とまどかは二人して笑った。

まどかとの二人きりの時間を楽しんでいると、さやかがお皿を持ってやって来た。


「まずはクッキーできたよー。食べてみて」


皿の上のクッキーは、少し形が歪だったけれど、その方が手作りっぽさが出ていて良さそうだった。


「うん、美味しいわ」

「へへ、ありがと。それにしてもマミさん教えんのホント上手いわ。メキメキ上達しちゃうなこりゃ」

「頑張ってね、さやかちゃん」

「おう!」



その後も続々と運ばれてくるお菓子を摘まみながら、まどかと私はのんびり過ごしていた。


「ほむらちゃん、そんなに食べてたら太っちゃうよ?」


お菓子の殆どを私が処理していたからか、まどかが心配そうに言った。

そういえばまどかは一口二口程度しか食べてないわね。


「大丈夫よ。太らない体質っていうのかしら。昔から食べても肉がつかないの」

「むう、それは羨ましいなって」

「でも、良いことばかりじゃないわよ」


胸にもつかないし……。

がくりと項垂れた私に、何故落ち込んだのか分からなかったらしいまどかは困った顔で笑っていた。



「ふう、ちょっと張り切りすぎちゃったわ」

「うう、マミさんまじスパルター」


お菓子作りのレッスンを終えたらしい二人がリビングに合流する。

相当しごかれたらしく、さやかはかなり疲れてる様子だった。


「それで、出来はどうなの?」

「ん。上手く出来たから、明日帰りに持ってくよ」

「良かったじゃない」

「ま、まあね」


今日の目的は無事達成ね。
後はもう、この子の頑張り次第。


「頑張って」


照れながら笑うさやかに、心からそう言った。
あの子には悪いと思ったけど、この子は報われない場合が多すぎるから。



「ねえ、皆ご飯食べれそう?一応軽いものを用意したのだけど」

「私は味見でお腹いっぱいだあー」

「私も、ちょっと」

「まあ、いいんじゃないかしら。お腹空いたらそれを食べれば。どうせ今日は寝ないんでしょう?」


巴マミが当然、と言わんばかりに鼻を鳴らして、さやかは苦笑いした。

明らかに一番巴マミの矛先が向けられると分かっているのね。


「て、転校生?」

「まどか、一緒にお風呂入りましょ?」


さやかの助けを求める手を払って、まどかを誘う。
相変わらず困った顔のまどかは、さやかと私を見比べた後、申し訳なさそうにさやかに笑いかけた。


「ごめんね、さやかちゃん」

「ま、まどかぁっ」

「さあ、美樹さん!授業料分は聞かせて貰うわよー!」


まどかと洗いっこしたりして、大満足の私はまどかの髪を乾かしながら思い出リストを更新した。

まどかとのこうした思い出が、私に絶望に負けない勇気と希望をくれる。


「マミさん胸おっきー!」

「ち、ちょっと美樹さん?!」


……聞こえなかった事にするわ。


「ほむらちゃん、そろそろ交代しよ」

「お願いするわ」


ドライヤーの熱とまどかの細い指が髪に触れ、私はそっと目を閉じた。

まどかの手際の良さに心地好くなって、私は半ば寝入りそうになる。


「髪乾かすの上手ね」

「弟が居るからかな?」

「そういえばそうだったわね」

「あれ?ほむらちゃんに話したっけ?」

「っ!……え、ええ、前に言ってたわよ」

「そっかあ」


すっかり油断してたわ……。
まどかが素直な子で助かった。


その後お泊まり会はゲームしたりさやかをからかったり、眠気が吹っ飛んだ後の妙なテンションで騒いでいるとあっという間に時間が過ぎていった。


「あー、いっぱい遊んだわー」

「もう、夕方なのね……流石に眠くなってきちゃったわ」

「……」

「さやかも上条君に届けなきゃいけないし、まどかはもうダメみたいだし、お泊まり会も終了ね」


久しぶりに何もかも忘れて遊んだ気がする。

名残惜しいと思ったのか、私は無意識の内にポツリと呟いていた。


「また、集まりたいわね」


ハッとして周りを見ると、皆笑顔で頷いていた。


……もう一度、今度は全てが終わった後で。


まどかを送った後、家に帰った私を待っていたのは、床に倒れ伏す少女だった。

力無く倒れるシロに我を忘れて駆け寄り抱き起こすと、まだ息があるのは確認できた。


「シロッ!ちょっとどうしたのよ!?」


この子が居なければ、ワルプルギスの夜を越える算段は正直ない。


昨日今日遊ぶ余裕があったのは、この子が居てくれたからだ。

シロの存在は半ば心の拠り所とまでなっていた為に、私は酷く焦った。


「ほ、むら……」

「シロ、どうしたの?」


息も絶え絶えといった様子のシロは、私の肩に顎を乗せて、震える声で一言だけ告げた。


「……お腹空いた」


ま、まさか……。

私はシロをそっと床に寝かせて、冷蔵庫まで駆けると勢いよく開いた。
中身は殆ど空。
食料と呼べるものは一切無く、水が数本入っているのみ。


「ご、ごめんなさい、シロ。そうだ、ちょっとこれでも食べて待ってて」


さやかの作ったお菓子の余りをシロに渡すと、シロは目の色を変えてクッキーを口の中に放り込んだ。

味わうとか、そんな考えは到底無いでしょうね。


「お水、ここに置いておくから」


欠伸を噛み殺しながら、私はシロの為に何か買い出しに行こうと外に出る。

そんな折りに、さやかから電話が掛かってきた。

何の用かしら?

電話に出て、用事を聞こうとしたが、それよりも早くさやかが叫んだ。


「病院に、魔女がッ!」



side:美樹さやか


さっきまで眠かった筈なのに、今は全然眠くない。

病院まで一気に駆けて、病室の前で深呼吸を一つ。


「よしっ」


覚悟を決めてノックをすると恭介の声がして、それから中に入った。


「どうぞーって、さやかか。ノックするなんて珍しいね」

「前回だけなのに、ノックしなかったのはー」


丁度リハビリを終えたところらしく、恭介の額に汗が浮かんでいた。

脇のタオルでそっと拭いてあげると、恭介は照れ臭そうに笑った。


「リハビリお疲れ様」

「ありがとう、さやか」



「んーと、良いタイミングで来れた、のかな?」

「どうして?」


首を傾ける恭介に、私は無言でクッキーの入った袋を渡した。

なるほど、と頷いた恭介は、包みのリボンをほどいて、中から1枚取り出した。


「いただきます」


恭介は1枚丸々口に放り込むと、真剣な顔付きで咀嚼する。


「ど、どうかな?」


緊張し過ぎて胸が爆発しそうで、私は少しビクビクしながら恭介の返事を待つ。

ゆっくりと飲み込んだ恭介は私を見て、そして明るい顔を見せた。


「すっごく、美味しいよ」

「ほ、ホントに?」

「ホントに。さやかがこんなに美味しいお菓子作れるなんて、知らなかったな」

「……ありがと」


誉められたら誉められたで私はどんな顔をすればいいのか分からず、顔が真っ赤になるのを感じながら小さくなるしかなかった。


「いやー、それにしてもホントに美味しいなぁ」

「そ、そんなに言っても、何も出ないよ?」

「もう、作ってきてくれないの?」

「また、今度ね」


嬉しいやら恥ずかしいやらでにやけるのを隠せそうに無くて、私は恭介のベッドに突っ伏す事にした。

恭介の匂い……って何考えてるのさ私は。

おかしなテンションのせいで変な事を考えていた私の頭に、ポンと手が置かれた。


「その……ありがとう、さやか」


ちょっと押さえ付ける様に私の頭を撫でる恭介は、多分私と一緒で顔を見られたくないんだろう。
ほんの少ーし見たい気持ちがあったけど、私は目を閉じて小さな笑みを浮かべた。



今日は、二言三言の会話しか無くて病室を沈黙が支配していたけど、悪いものじゃなくて。

心地好い時間に、私は満足していた。

恭介も、そうだといいけど。


やがて日も殆ど沈み、二人きりの時間は終わろうとしていた。


「じゃあ、帰るね」

「……うん」


ノロノロと荷物を纏めて、ドアのところで恭介を振り返る。

もう少しだけ、そんな気持ちが湧いてきて、私は複雑な表情をしているに違いない。

笑ってて、でも少し寂しい。


私からは、逆光で見えないけど、恭介はどんな表情をしてるのかな。


私の心模様と同じで、まだほんの少しだけ顔を出していたそうな夕日を見て、そんな考えが浮かんできた。


「次も、楽しみにしてるから。また来てね、さやか」

「……ん」


また来てね、か。

そっと閉めてから、私は額を病室のドアに押し当てた。
ひんやりしてて、熱を持った私には丁度よく、暫くそこでそうしていた。


今、恭介は何を考えてるのかな……。


それから何となくフワフワした気分で病院を出ると、微かな違和感を感じた。

異物が紛れ込んだ様な、変な感覚。

何かに引かれて、病院の周りをグルッと一周すると、違和感の正体を発見した。

壁に突き刺さった、深い絶望を発する物。


「これって、もしかして……」

「グリーフシード、魔女の卵だよ。もう孵化する寸前だ!」

「キュゥべえ!?」


突然足元に現れたキュゥべえに、私は心底驚いた。



「僕の事を気にする暇はないよ。早くマミを呼ばないと」

「わ、分かった!」


素早くマミさんの携帯に電話を掛けたが、繋がらない。
昨日は一睡もしなかったから、多分寝てるんだ……。


「そうだ、転校生!」


転校生に電話すると、まだ起きていたらしく、数コールで出た。

電話に出た転校生が何かを言おうとしていたが、今の私にはそんな余裕は無い。

もし、魔女がここで生まれたら、恭介が……。

転校生の言葉を遮って、私は半分叫ぶ様に言った。


「病院に、魔女がッ!」


お願いだから、早く来て……。

今回はここまで

次回更新は12日23時に

今日ですね






早く話を進めた過ぎて暇になると書き溜めてます
出来れば毎日更新続けていきたいですね


おもしろい!

楽しめる時は楽しむ。
傭兵ほむほむですな。


中二とは思えないエロい体の子がほぼ毎日二人っきりでお見舞いに来るとか逆に可哀想s

さやかの心情描写のところだけ頑張りすぎだろwwwwww乙女すぎてヤバい

少し遅くなりましたが更新してきます


side:暁美ほむら


電話から聞こえてくるさやかの様子は酷く焦っている様で、彼女が次に何をするのか予想できた。


「さやか!そこをはな--」

「私、こいつを見張ってるから、早く来てよ!」

「待ちなさい!あなたが居てもッ」


言葉の途中でさやかからの電話が途切れて、私は舌打ちした。

突っ走るのは、状況を判断してからにして欲しいわ……。


『シロッ!少し無茶を言うけどお願い。10分でいいから時を止めて!』

『わ、分かった。……帰りに何か買ってきてよ』

『奮発してあげるわ』


素早く魔法少女へと変身した私は、病院へ向けて文字通り一直線に駆け出す。
無茶はしないで……。


ビルの屋上を飛び移りながら、下の方で止まっている車に私は時間停止しているのをハッキリと認識する。

確かに、私が時を止めてなくても止まっているわね。


シロは頑張ってくれた様で、10分経ってから更に数分して時間停止が解除されたようだった。


後……少し。

時間停止内では辿り着かなかったが、何とかトータル数分の経過で病院に着くことが出来た。

さやかは……この中か。


まだ孵化はしていないだろうけど、時間はもう無いだろう。

もし私が間に合わずに魔女が孵化すれば、恐らく一緒に居るインキュベーターが契約を唆す。

それで、彼女は上条恭介を守るために契約してしまうに違いない。



結界内部は、私の良く知るお菓子の魔女。

ここに巴マミが居ないのは、不幸中の幸いという奴ね。

相性の悪い彼女では、勝てる可能性は五分といったところ。


使い魔に見付からない様に動きながらも、素早く先に進んでいく。

魔女の居る場所まで後少しといった所で、魔女の覚醒を感じた。


「……仕方無いわね」


時間停止して、私は魔女の広間まで突っ走る。

扉を半ば蹴破る形で飛び込むと、今まさに魔女が生まれた瞬間で全てが止まっていた。


「さやかは……あそこね」


時間停止を解除すると、動き出したインキュベーターの声が聞こえた。


「--か、もう契約するしかないよ」



「その必要は無いわ」

「転校生ッ!」


契約なんて、させる訳にはいかない。

驚いてるみたいで、声も出せないインキュベーターを後目に、私はさやかを抱き締めた。


「ち、ちょっと!?」

「無事で、ホントに良かったわ」

「あんた……」

「と、今は話してる場合じゃないわね。……ごめんなさい」

「な、なに……を……」


魔法でさやかの意識を閉ざして、その場で横に寝かせる。

さやかに結界を張って、私は魔女と向き直った。


私は皆の前では新米だから……眠ってなさい、さやか。


「……インキュベーター、あなたの目論見は、私が全て破綻させる。巴マミが来なくて、残念だったわね」

「--ッ!なら、暁美ほむら。今回は君の力を見させて貰うよ」


……見れるものなら、ね。


お菓子の魔女。
人形の様な見た目で油断させたところに、高速で奇襲を掛ける強力な魔女。

人形を拘束しても、その中身が出てくる為に巴マミの魔法では相性が悪い。


ただ、知っている私にとっては何ら驚異は感じない。

人形の身に何発か銃弾を打ち込み、わざと爆発物を使用して隙を見せると、爆発で生じた煙が揺らいで中身が這い出てきた。


その瞬間、私は時間停止し、爆弾を口に放り込んでその場を離れる。
停止を解除すると、奴は鋭い牙をガチンと鳴らして満足そうな顔をした。


「こっちよ」


フワリと別の足場に降りたって、私はニコリと笑った。



荒れる魔女相手にそんな事を何度か繰り返して、私は魔女の体内の爆弾を起爆する。

体内で起きた爆発に耐えきれず、魔女は破裂する様に消滅していった。


「終わりね……」


崩壊していく結界。

横になるさやかを抱き起こして、ぺちぺちと頬を叩くと、鬱陶しそうに目を覚ます。


「あれ、あんた…………魔女は!?」


さやかが急に起き上がるから、危うくおでこをぶつけそうになった。


「倒したから、もう大丈夫よ」
「そっかあ……およよ?」


安心した様で、さやかは全身の力が抜けて再び私の腕の中に収まった。

それはまあ、疲れたわよね。


結界が消えて、周囲の景色が病院に戻るとほっとした様にさやかが深い溜め息を吐いた。

もう、外は真っ暗だった。


「上条君には、渡せたの?」


最初は何の事か分からない様子でいたが、理解すると僅かに赤面し、照れて笑いながら首肯した。


「今日は頑張ったのね。……ホントは怒ろうと思ったけど、許してあげるわ」

「へへ、ありがとーございますー」

「はいはい。さてそれじゃあ、そろそろ帰るわよ。立てる?」

「抱っこー」

「甘えないで」

「けち」


立ち上がったさやかは一度大きく伸びをすると、夜空を見ながら言った。


「あんたが居て、良かったよ……ほむら」



一応さやかを家まで送った後、私は食べ物を買い込んで帰宅した。


「お……おか、えり」

「待っててね。今用意するから」


流石にぶっ倒れては居なかったが、空腹のせいか目の焦点が合ってない気がする。

買ってきたお惣菜やら何やらを出すと、シロは無我夢中といった様子で食べ始めた。

……明日の朝の分は残りそうにないし、何か買わないといけないわね。


結構多めに買った筈が、シロはその殆どを完食してしまった。


「ふう……生き返った気分だよ。中々良い気持ちだね」

「そう、それは良かったわ」



「それで、さやかは無事だったのかい?」

「ええ。あなたのお陰ね」


……私さやかの事、シロに言ったかしら?
そう思ったが、私はシロの次の質問ですっかり忘れてしまった。


「それは良かった。ところで、マミは来なかったのかい?」

「どうやら寝ちゃってたみたいよ。電話に出なかったって」

「そうだったんだ……。うん!何はともあれ皆無事ならいいよね」


ぎこちない笑顔の少女に、私はまたかと思ったが、彼女が私を助けてくれたのもまた事実。

何時かシロ自身の口から話してくれるのを待とうと思った。


「ところで、明日はどうするんだい?」


ざっと今日の事を説明した後で、シロが聞いてくる。

明日も学校は休みだから、私は既に予定を決めていた。


「明日はちょっと遠出するわ。教会まで、ね」


「ああ、彼女に会いに行くんだね」

「ええ」


見滝原に関わるもう一人の魔法少女。
さやかには絶対契約させないのだから、私達には近接を引き受ける存在が必要。

そして何より、そんな事は抜きにしても私は彼女が一番頼りになると思っているのだ。


「どうやって説得するんだい?」

「ちゃんと考えてあるわ。伊達に何度も繰り返してる訳じゃないもの。彼女の事は、良く知ってる」


今回はここまで

次回更新は14日23時予定

前倒しはあっても遅れはしないと思います








オチを早く書きたいです
更新頑張ります

乙です
さやかとほむほむが仲良くしてるとすごく心温まる

乙!
禿同



もし本当に万年先(改変後かも知れない?)の、しかも罫疾患者
なら、ほむほむの経緯を知ったら、まどかみたいに「こんなのって
ないよ」的優しさから会いに来ただけって可能性もあるのかもね。

>>52>>41>>16>>5>>104>>62>>119>>64>>133>>66>>102>>108>>93>>142>>53>>17>>20>>127>>134>>53>>14>>69>>87
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>>93>>12>>37>>32>>20>>106>>153>>111>>54>>124>>11>>49>>143>>147>>37>>33>>95>>77>>44>>119>>84>>14
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>>92>>101>>29>>6>>5>>30>>114>>4>>108>>105>>121>>109>>110>>30>>69>>28>>128>>47>>41>>78>>110>>94>>133
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>>60>>65>>158>>112>>118>>67>>78>>68>>47>>125>>136>>25>>20>>24>>86>>98>>77>>20>>132>>32>>14>>31>>88
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>>1>>124>>1>>15>>154>>88>>154>>76>>56>>47>>78>>39>>10>>158>>81>>38>>76>>74>>24>>61>>145>>78>>92>>20

>>8>>58>>70>>104>>14>>146>>3>>18>>114>>122>>45>>122>>79>>34>>110>>152>>83>>2>>67>>145>>117>>126>>44
>>46>>58>>158>>42>>47>>66>>153>>54>>124>>63>>158>>137>>49>>160>>155>>2>>121>>40>>123>>40>>73>>73
>>156>>74>>98>>140>>31>>64>>24>>74>>109>>81>>71>>151>>127>>137>>144>>21>>100>>46>>18>>77>>94>>18
>>95>>139>>111>>58>>18>>24>>130>>49>>19>>43>>147>>159>>74>>50>>22>>147>>159>>102>>58>>149>>69>>35
>>89>>134>>18>>107>>50>>111>>124>>122>>46>>102>>72>>103>>120>>95>>73>>8>>114>>116>>154>>112>>29>>44
>>16>>42>>75>>74>>31>>143>>108>>3>>72>>81>>21>>18>>131>>131>>142>>92>>17>>83>>4>>120>>43>>99>>32
>>52>>148>>44>>3>>17>>87>>136>>32>>129>>50>>105>>159>>33>>53>>2>>104>>134>>22>>122>>105>>153>>103
>>9>>26>>40>>129>>68>>138>>1>>118>>30>>148>>1>>32>>4>>88>>8>>36>>56>>58>>141>>54>>90>>33>>56>>34>>6
>>155>>111>>69>>97>>147>>77>>122>>26>>46>>29>>4>>46>>146>>33>>34>>147>>65>>37>>74>>72>>73>>129>>129
>>23>>59>>86>>78>>92>>92>>154>>86>>42>>62>>23>>28>>139>>144>>53>>25>>13>>57>>70>>159>>90>>103>>145
>>140>>58>>66>>53>>27>>35>>105>>49>>93>>30>>127>>25>>122>>120>>111>>3>>22>>133>>30>>1>>116>>83>>25
>>139>>95>>127>>69>>38>>111>>62>>17>>9>>128>>69>>36>>2>>14>>84>>95>>44>>50>>120>>5>>10>>70>>7>>32
>>37>>32>>158>>120>>56>>127>>99>>151>>93>>7>>28>>44>>68>>45>>53>>36>>113>>88>>38>>127>>12>>132>>10
>>92>>15>>71>>1>>22>>102>>43>>58>>134>>41>>17>>30>>7>>115>>20>>100>>121>>47>>144>>29>>91>>37>>64
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>>93>>81>>30>>83>>130>>91>>33>>133>>63>>154>>40>>132>>156>>115>>8>>125>>46>>149>>4>>38>>1>>18>>156
>>126>>93>>27>>116>>86>>64>>65>>18>>144>>94>>100>>114>>25>>133>>87>>87>>126>>127>>59>>121>>81>>67
>>126>>55>>89>>4>>55>>106>>160>>37>>71>>93>>64>>27>>18>>127>>91>>36>>111>>24>>136>>64>>49>>108>>150
>>74>>116>>34>>35>>37>>100>>120>>3>>155>>49>>7>>50>>154>>6>>86>>65>>98>>149>>91>>116>>116>>22>>151
>>46>>127>>129>>94>>75>>119>>69>>148>>74>>102>>23>>110>>42>>143>>113>>37>>31>>119>>86>>24>>124>>12
>>61>>1>>19>>16>>116>>40>>7>>21>>85>>133>>150>>19>>48>>108>>87>>35>>21>>29>>58>>131>>70>>40>>83
>>70>>42>>32>>94>>5>>44>>23>>66>>44>>41>>82>>159>>81>>89>>20>>6>>62>>9>>24>>109>>117>>111>>143>>138
>>41>>108>>48>>80>>31>>154>>150>>72>>26>>84>>77>>69>>106>>143>>112>>147>>64>>111>>68>>152>>131>>73

もう三話魔女終わったか……

杏子待ちつつ乙

もう三話魔女終わったか……

杏子待ちつつ乙


さやかかわいいほむらかわいい

更新していきます

さっき今回の更新分丸々書き直したので、誤字等あるかもしれません


翌日。

シロの分の食料を買ってから、私は見滝原の街を出た。
……こう言うと、何か犬のエサみたいね……。


昼前には寂れた教会まで辿り着けたが、中を覗いても人が居る気配は全くない。

ここに居ないとすると、捜索範囲は殆ど街全体になる。

ホテルの空き部屋、商店街、公園、後は……ゲームセンターかしら。


「当てもなく見付けるのは……無理ね」


夜になれば戻ってくるか、適当なホテルに入り込んでいるだろう。

そう思って、私はまだマシな椅子に腰を下ろす。


「あの子が来るまで……本でも読んでようかしら」



……本読みきっちゃったじゃない。


気付けば窓から見える空も真っ赤に染まり、かなりの時間が経ったのが窺える。

探しに行こうかしら。

そう考えたその時、教会の入口でカランと木が弾かれる音がした。


「あんた……こんなとこに何か用かい?」


大量の食べ物を詰め込んだ紙袋を抱えた赤い髪の少女--佐倉杏子がそこに居た。

上機嫌そうなのは、首尾よく食料を手に入れられたからだろうか。


「盗みは、良くないわよ。……魔法を使ってやるなら更に、ね」

「ああ……同業者か。アタシの縄張りに無断で踏み込んで、只で済むと思ってる?」

「話があってきたのよ。私は、見滝原の魔法少女よ」


佐倉杏子は、明らかに眉をひそめた。


「マミのとこ、か。アンタあのお人好しに言われて来たのか?」

「違うわ。話は巴マミの事ではない。私はあなたと手を組みに来たのよ。……詳しい話の前に場所を変えましょうか。ここでは少し、ね」

「なら、アタシに付いて来な。派手にやらかしてもいいとこに案内してやるよ」

「手を組みに来たって言ってるのに」


紙袋を椅子に置いた杏子は、私に背を向けて教会を出ていく。

油断している訳ではなく、自分が出し抜かれるとは一切思ってないのでしょうね、あなたは。

杏子がお菓子を消費しながら案内した場所は、人気の全くない廃ビル。

まあ確かに、ここなら何しても他人に迷惑は掛からないでしょうね。


「さあ、話を--」


杏子が振り返った瞬間、私はソウルジェムを片手にニコリと笑い、変身した。


「お前ッ!?」


慌ててソウルジェムを出し変身しようとしたが、もう遅い。

その前に時間停止しソウルジェムを奪い、背後に回ってから解除する。


「--ッ!あ、アンタッ、一体何をした!?」


急に消えた私につんのめって倒れそうになる杏子を後ろから抱き止めると、彼女は暴れて怒鳴り出した。


「危害を加えるつもりはないわよ」

「なら放せッ!」


杏子の言葉を無視して、私はそのまま拘束を続ける。


「アンタ嘘を吐いたな?な、何する気だよッ?」


突然の状況に訳が分からない様子で、杏子は焦りを隠せずにそう言った。


「私に協力して欲しいのよ」


そう告げて私は杏子の視界を手で閉ざすと、彼女はヒッと息を呑んだ。

肩に頭を乗せると、その身をビクリと震わせるものだから、私は口角がつり上がるのを隠せそうになかった。


「三週間後、ワルプルギスの夜がやってくる」


耳元で囁くと、微かに甘い吐息を洩らし、みるみる内に髪と同じくらい真っ赤に染まっていく。

そんな自分を隠すためか、杏子は強気な口調で言った。


「ハッ。それで、アンタはあたしにどうしろって?」

「言ったでしょ。協力して欲しいのよ」

「それで、私に何のメリットがあるのさ」

「そうね。なら、ソウルジェムの秘密を教えてあげましょうか」



「秘密だ?そんなの知ったってアタシには何の得にもなんないね」


杏子はそう言ったが、もがく力が弱まったので、明らかに気にしているのが分かった。


「まあいいわ。特別に、教えてあげる」

「別に聞いたからって協力する訳じゃないぞ」

「分かってるわ」


意外な展開に驚いているみたいだったが、彼女はそれよりも自分の力の秘密が気になるみたいで、少しソワソワしていた。


「ソウルジェムの秘密。それは二つあるわ。一つは、ソウルジェムが私達の魂そのものだということ。

ジェムが身体から100mも離れれば私達は身体を動かせなくなる。勿論、ジェムが砕ければ、私達は死ぬ」


杏子が何かを言おうとしたが、私はそれを遮って更に続ける。


「そのソウルジェムは、グリーフシードで穢れを吸わなければどんどん濁っていく。そしてジェムが、魂が濁りきった時、私達魔法少女は--」


--魔女になるのよ--


「んなの嘘だッ!」


秘密を聞かされた杏子は暴れだし、私を口々に罵倒し、聞かされた事を否定する。

暫く無言のまま、荒れ狂う杏子を拘束し続けると、彼女はやがて諦めた様に力を抜いた。


「それで、私をどうする気なんだよ」


何もかもに疲れた様子の杏子は、投げやりにそう言った。


「いいえ、あなたに危害を加えるつもりはないわ」


目を覆っていた手を外し、杏子のソウルジェムとグリーフシードを持って彼女に腕を回す。

そして、真実に動揺してか僅かに濁った杏子のソウルジェムを彼女の胸元で浄化してみせた。


「こんな事したって、あたしは--」

「あなたは、願いを自分の父親の為に使った」


その言葉に杏子は酷く驚いた様で、心音が早くなった。


「何で……それを……」

「その願いのせいであなたは家族を失い、それをきっかけに巴マミの元を離れ、自分の為にのみ魔法を使う様になった」


「あなたは魔法で盗みを働き、グリーフシードの為に使い魔を見逃して一般人を犠牲にした」

「やめ……ろ……」


声を震わせて杏子は言ったが、そこで止めてあげるつもりは全くない。


「あなたは、そんな自分を良く思ってなくて、それを認めない為に常に何かを口にして誤魔化している」

「違うッ!!」


全てを否定する様に、杏子は力強く叫んだ。
ただ、身体は震えて、今にも崩れ落ちそうな程に弱々しく見える。


「いいえ、あなたは強がっているだけよ。そして同時に、家族を失ったのは自分のせいだと思って、他人の為に力を使うのを怖がっている。

でもそのくせ寂しくて、誰かに傍に居て欲しいとも思ってる」


「やめ、ろ……やめて、くれ……」


言葉に嗚咽が混じり、杏子の瞳からは涙が溢れていた。

私は親指で涙を拭ってから、杏子を反転させて体を向かい合わせる。


「認めるのよ。全てを認めた上で、やり直せばいい」

「でも、私は--」


コツンと額を杏子の額と合わせて、言葉を遮る。

真っ赤に目を腫らす少女を、私はジッと見詰めた。


「あなたの罪は、私が許してあげる。あなたが誰かに傍に居て欲しい時には、私が傍に居てあげる。だって--」


私の言葉に、杏子はハッと目を見開いた。

贈ったのは、何時か杏子がさやかに向けて言った言葉。


「独りぼっちは、寂しいでしょう?」


side:佐倉杏子


「これ、返すわ」


目の前の魔法少女は、変身を解除しながら一歩下がって、アタシのと、そしてコイツ自身のソウルジェムを手渡してきた。

さっきの話を考えると、アタシはソウルジェムを渡してきた事にかなり戸惑った。


「な、何で……」

「あなたになら、私は魂を預けてもいい。そう思ってるのよ。さあ、あなたは私と戦ってくれるの?」


コイツとは、初対面の筈だ。
コイツが一方的にアタシを知ってるだけで、何故そうまで出来る?


突っ返して、ハイさようなら、そうしてやるのが一番アタシにとって楽だ。

なのに、私はさっきの言葉とコイツの表情がちらついて、そう出来なかった。


「あなたの罪は、私が許してあげる。あなたが誰かに傍に居て欲しい時には、私が傍に居てあげる。だって独りぼっちは、寂しいでしょう?」


そう言ったコイツの瞳は、揺れていた。

罪を許して欲しいのも、誰かに傍に居て欲しいのも、独りぼっちを寂しいと思ってるのも、全部コイツ自身の気持ちなんじゃないか。
寂しげに揺れる瞳を見て、そんな風に思った。


そして何より、コイツの言葉はアタシの心に響いてしまった。
アタシの本心を引き上げてしまった。


コイツの言葉が、魔法に掛かった様に魅力的に思えてしまった。


「……ったよ。協力してやる」


私はソウルジェムを返しながら、自然とそう言っていた。


厄介事だ。
関わったら面倒。

そんな考えが浮かんでも、動き出した気持ちを止められそうもない。


「……ありがとう」


目の前のコイツは、そう呟いてアタシに抱き付いて来た。

余裕そうに見えて、不安だったのかも。
そう考えて軽く背中でも擦ってやろうと手を回したその時、耳にフッと息を吹き掛けられた。


「ヒャッ?!」


思わずとんでもない声を出して、コイツをギュッと抱き締めちまった。

アタシの首に腕を回しながらも少し距離をとったコイツは、不敵な笑みで見詰めてくる。


「あら、大胆ね」

「ち、ちがッ!アンタが変な事すっからだろッ」

「じゃあ、どうして直ぐ離れようとしないのよ?」

「それは……」


口ごもる。
さっきの寂しそうな表情のせい、とは言えない。


「気紛れだ気紛れ」

「あら、じゃあ協力するのも、気紛れだったりするのかしら?」

「別にそんな事ねぇよ」

「じゃあ本心なのね。協力する気になった理由は?」


アタシをからかう様にポンポン話すコイツは、何であれいい性格してる。


「秘密だよ」

「それは残念だわ」


そう言って、コイツは廃ビルを後にしようと出口に向かって歩き出す。
少し弾むように歩く後ろ姿に、私はポツリと呟いた。


「アンタもさ、誰かに傍に居て欲しいんだろ」


少女は、ピタリと歩みを止めた。
見なくたって、驚いてるって分かる。


「独りぼっちは、寂しいもんな。……アタシも、アンタの傍に居てやるよ」



「ば、バカね。別にそんな事はないわ」


案外、アタシとコイツは似てるのかも。
強がりなとことか。

後ろからそっと抱き締めて、さっきの仕返しと耳元で囁きかける。


「アタシが、アンタを救ってやるよ。何に縛られてるかも知らないけど、きっと助けてやる」


特に反応を示さなかったが、微かに震えたのが分かる。
ほんのり赤くなるコイツに、アタシは復讐成功と口元を歪める。


「アンタ、名前は?」

「暁美ほむらよ」

「ん。よろしくな、ほむら」

「ええ、よろヒッ!?」


言葉の途中で、真っ赤な耳を甘噛みすると、コイツ……ほむらは可愛らしい声をあげた。


「杏子ッ!」

「プッ、クク……これで色々、チャラにしてやるよ」


真っ赤な顔で怒るほむらに、アタシは声をあげて笑った。

久しぶりに、心の底から笑えた。
そんな気がする。


今回はここで終了

次回更新は15日23時








最後の方は書き溜めから大幅に変えたので、誤字やミスあるかもしれないです
もしあったら申し訳ないです


杏子ガチレズか

杏ほむか……大好物です

うわあレズ杏子とかないわ
そういうのやるなら最初に言えよ胸糞悪い

まぁ……ちょっとしたお戯れだろ?一回耳たぶをあまがみした程度なら……(汗


ところで、空腹からの満腹の喜びはどうだよキュベ子?


こいつらいちゃつきやがっていいぞもっとやれ

こいつらませてんなとか思ったけど、戦国時代とかでは12歳くらいから大人ってのも普通だったんだっけか。とも思った

更新していきます



あと杏子は特にあれなわけじゃなく、スキンシップとしか思ってないです
勘違いさせてすみません


side:シロ


暁美ほむらとの接触に成功して、しかも家に置かせて貰う事にまでなって、幸先の良い展開に僕は自分を褒め称えた。


ただ、ワルプルギスの夜を迎えるに当たって、それまでの準備に僕の存在は都合が悪く、正直に言えばただほむらの家でゴロゴロするだけの暇な日々を過ごしていた。


初日こそ、ほむらも色々構ってくれたのが、最近は泊まりに行ったり出掛けたり……。


僕は家に居るだけだから、ほむらが話のネタを提供してくれないとどうしようもないのに、ほむらは口数の多い方ではない。
まったく、どうかしてるよ。


「ただいま、シロ」


帰ってきた!


「おかえり、ほむらー!」

「ちょっと、飛び付かないでよ、もうっ」


side:暁美ほむら


「おかえり、ほむらー!」

「ちょっと、飛び付かないでよ、もうっ」


帰ってくるなりすっ飛んできて抱き付いてくるシロに、私は苦笑いしながらもポンポンと頭を撫でた。

尻尾が生えてたら間違いなく左右にブンブン揺れているに違いない。


「シロ、お散歩……じゃなくて、出掛けるわよ」

「僕も行くのかい?」

「ええ。あなたに丁度良いのを見繕わないといけないから。ちょっと遠出ね」

「直ぐ着替えてくるよ!」

「そうしなさい」



数時間後。


「ほ、ほむら?」

「これは……ちょっと違うわね」


シロに押し当てた物を引っ込めて、また別な物を探す。
あまり良いのがないわね。


「もう、これでいいわ」

「ほ、ホントにこれを持つのかい!?」


シロに手渡したのは、今居る米軍基地にあったM16の……どれかよ。
まあ、メジャーな銃ね。


「そうよ。いい?敵と戦う時は時間停止して撃てるか確認。一発一発丁寧に撃つこと。慣れるまでリロードは時間停止して行う。それから、毎日点検は欠かさない」

「そ、そうじゃなくて……」

「大事な事よ。戦いたければ、よく訓練しなければならない。その上で生き残りたいなら、更に訓練しなければならない。時間が無いから、毎日ぶっぱなすのよ」

「……はい」



「さて、色々手に入ったし、そろそろ帰るわ」

「うん、分かったよ……って何で火を点けようとしてるんだい!?」

「流石に基地から大量の兵器や銃器が消えた、なんてなったら不味いじゃない。一度盗むだけ盗んで放置したら、日本中がとんでもない騒動になったのよね」

「それとこれとは--」

「火事のパニックで戦車の一台や二台が消えたりするのは、よくある事よ。というわけで」


パパッと着火すると、黒煙が上がった。
流石に全焼なんてなるのも不味いから、ちょっと燃やすとあれなのも入ってる。


「さあシロ、時間停止して」

「もう、君は本当にどうかしてるよッ」


シロの時間停止が発動して、私達以外の何もかもが止まる。

隣を行く少女の胸元で白く発光する砂時計が、夜の闇を飛ぶ私達の軌跡を描いた。


翌朝。
私は目覚ましの鳴ると殆ど同時に起きて、手早く騒音を止める。

ベッドが一つしかない為、隣に寝ていたシロはまだ起きそうになかった。


「おはよう、シロ。起きて、直ぐに出掛ける準備をしなさい」

「ふぁ……。ほむら、学校じゃないのかい?」

「病院って言ってあるわ。さあ、準備しなさい」


未だ眠たそうに瞼を擦るシロを急かしながら、私も素早く着替えを済ます。

まだかと思い洗面所に向かうと、シャコシャコと軽快な音を立てながら歯磨きしていたシロが私を見て聞いてきた。


「どほに行ふふもひなんふぁい?」

「何言ってるか分からないわ。……ちょっとそこまでよ。はい、お水」

「ありふぁとう」


どうにも彼女は、マイペースで困るわね。


私達はその後隣町まで移動して、その町に居た鳥籠の魔女の結界の入口に立っていた。


「じゃあ、シロ。取り敢えず、適当にばら蒔いてみなさい」

「わ、分かったよ」


昨日手に入れた銃をシロはぎこちなく構えて、本当に何の狙いもなく結界の方々に弾を撃ち込んだ。


「リロードは時間停止してするのよ」

「はいはい」


私の場合は、撃ちきった銃は捨ててしまうのだけれど、幾つも持てないシロの場合はそういった事が必要。


「正直、魔法での補助があれば弾は殆ど命中させられるわ。あなたに必要なのは、兎に角慣れること。それから、時間停止を起点に戦うのを覚えること。さあ、使い魔が来たわよ」


私はシロを叱咤しながら銃の扱いを教え込み、凡そ一時間位の間魔女の結界に居た。


「うう、流石に腕が疲れたよ」

「まあそうね。でも、撃つ感覚は分かったでしょう?」

「うん。それから戦うのも大変って事も分かったよ」


ガクリと項垂れるシロ。

先程も思ったのだが、どうやら彼女は殆ど、というか全く戦闘の経験は無さそうで、それこそさっきの魔女との戦闘が始めての魔女戦のようだった。


「今日は頑張ったし、このまま何処かに寄ってから帰る?」

「いいのかい!?」


思っていたよりも食い付きが良くて、私はクスリと笑った。


「勿論よ。最近はあんまり一緒に居なかったし、ね」

「え?」

「あなたも仲間なんだから、親交を深めるのも大事でしょ?」


「一度やってみたいと思ってたんだ、これ」


そう言うシロがさっきからしていたのは、ゲームセンターで杏子が良くやっていたゲーム。

楽しそうに笑うシロを見ていると何だか保護者の様な気分になって、私は不思議と落ち着いた。


「ふう、楽しかった。……あの箱みたいのは何だい?」

「ああ、プリクラね。してみたい?」

「うん!」


急かされながら入った私は、中をキョロキョロと見るシロを放ってお金を入れる。


「好きなのを選びなさい」

「んー、好きなのっていっても……難しいね」


撮り終わって、適当に落書きして、そうして出来たものを見たシロはおおっ、と息を洩らした。


「すっごく、大事にするよ」


曲がらない様に気を付けながらも、キュッと握るシロ。

最近、彼女の表情がコロコロ変わる様になった気がする。
初めて会った時の薄っぺらな笑みや感情の無い表情が、今は喜びや興味、それから寂しさまでも表すようになっていた。


「また、撮りにきましょう。全てが終わった後に、皆で」


喜ぶだろうと思ってそう言ったが、シロは一瞬だが確かに硬直した。


「……うん。そうだね。絶対に、そうしよう」


そう言ったシロの顔は、全ての迷いを払った様に清々しいものだった。

短いですが今回はここまで

次回更新は16日23時







さやか主人公の話を思い付いてしまいました……
これが終わったら書きますが、いったい何時になるんだろう



ここの王道系ヒロインさやかちゃんが次作では主人公にクラスアップか
さやか愛を感じる


何時になろうが是非読ませてもらうぜ

過去作品教えてくれ
完結してからでも構わないが


シロのお洋服の調達だと思っていた瞬間が、私にもありました。


シロかわいいよシロ

>>192
私もです。

完結してから一気に読みたいが結局続きが気になって読んでしまうという…

ないと見せかけて然り気無く更新


過去作ですが、4月から始めてこれがSS三作目なのであまり無いです

見せられる出来なのは二作目なのですが、ちょっと設定があれなので完結したら晒しますね



それは昼過ぎの事。


『ほむらー。遊びに来たぞー』

『杏子?どうしたのよ?』

『だから遊びに来たんだって』


授業中、唐突にテレパシーでそう伝えてきた杏子に私は溜め息を吐く。

でもまあ、丁度いいし今日巴マミと和解させるのも悪くないかも。


『分かったわ。でもまだ学校終わらないから、暫く待って貰うわよ』

『へーい。でもま、こうして話は出来るだろ?』


確かに、もう何度も受けた退屈な授業よりは、杏子と話していた方が遥かにマシ。


『いいわ。お話しましょう』

『そうこなくっちゃ』


最後の授業の終業を告げる鐘が鳴る。
杏子と会話していて、何時もより遥かに早く終わった様に感じた。


『じゃあ、授業が終わったから屋上で待ってなさい』

『りょーかい』


杏子の存在が薄れていくのを確認して、私は更に巴マミに意識を向ける。


『巴さん?』

『あら、今から校門に行くとこなのだけど、どうしたの?』

『いいえ。今日はちょっと屋上に来て欲しいの』

『屋上ね?分かったわ』


用件は伝えたし、巴マミが着く前には屋上に言っておかないと……。


「三人とも、また明日ねッ」


返事を待たずに、鞄を持って駆けていく。

ホントはもっとまどかと一緒に居たいけれど、戦力を整えない事にはどうしようもない。


多少不安はあっても、今はグッと堪えるしかなかった。



屋上に駆け込むと、巴マミはまだ着いてないみたいで、アクビをしていた杏子が居るのみだった。


「おっす、ほむら。何日かぶりだな」

「そうね。杏子、今日は話が--」


巴マミの事を話そうと思った時、屋上の扉の方から声がした。


「佐倉……さん?」


振り替えれば、困惑した表情の巴マミ。

私は彼女に聞こえないよう声を落として杏子に訊く。


「前話した事、覚えてるわね?」

「ん。分かってるよ」


声の感じは、迷いは無さそう。
杏子は大丈夫そうね。


「暁美さん?どうして、佐倉さんが……」


巴マミは、青い顔をして私を見詰めていた。


多分、私がかつての佐倉杏子のように、自分の下を離れてしまうと思っているのだろう。

怯えた様子の巴マミに、私は落ち着かせる為に優しく言った。


「巴さん、大丈夫だから」


それでも、巴マミは怯えた様子をしている。


「いえ、でも……。暁美さんは、どうして……佐倉さんと?」

「アタシが魔女と戦ってたコイツを助けてやったんだよ」


彼女の質問に、杏子が素早く答えた。
杏子の返答に、巴マミは心底驚いたみたいで、目を丸くして杏子と私を交互に見る。


「佐倉さんが、暁美さんを?」

「本当よ。杏子が、私を助けてくれたの」


そう言うと、巴マミは信じられないと、夢でも見てるんじゃないかといった様子で杏子を見詰めていた。


「今日は、マミに話があるんだよ」

「私に、話?」


複雑な気持ちなのが、見ていて直ぐに分かる。
別れた時の騒動を詳しくは知らないけど、争って別れたのだから、仕方無い。


「その……あん時は悪かった。ゴメン」


一瞬、理解できずにポカンとした表情をしたが、巴マミは杏子の言葉を飲み込むと、その場にへたりと座り込んだ。


「ち、ちょっと、どうしたの?」


慌てて駆け寄ると、巴マミは今にも泣きそうな顔をしていた。
必死に堪えようと、拳を握り締めている。


「いえ、違うの……。まさか佐倉さんが、そんな事を言うなんて、思ってなくて……ビックリしちゃっただけよ」


「ほら、手、貸してやるよ」


杏子がそう言って、巴マミに手を差し出した。
それを取ろうか迷っている様子に、私は巴マミの手を取って杏子の手と重ねる。


「暁美さん……」

「片方が歩み寄るだけでは、その分時間が必要になるわ」


巴マミの過去を考えると、一度裏切られた他人を許すのには、どれだけの勇気が要るのだろうかと思う。

それでも、私は彼女の優しさを知っているから。

だから、ほんの少しだけ。


「後押しするから、あなたも一歩踏み出して?」



side:巴マミ


重なった私達三人の手を見つめながら、私は思考を巡らせていた。

佐倉さんの気持ちも、暁美さんの信頼も、痛いほど伝わってくる。


でも、怖いの。
また裏切られるのが怖い。
信頼を裏切るのも怖い。


佐倉さんの手を握れも、暁美さんの手を払えもしない。
本当は臆病で、強く在りたいと願っているだけの私が嫌になってくる。


二人は……強いわね。


そう思って、視線を上げて二人を見れば、私はその考えを改めざるを得なかった。

二人の目は、微かな不安を湛えていて、私と同じくらい怯えているのが分かった。


怖くない筈がない。

誰かに許してもらうのに、臆病にならない人なんて居ない。
誰かを信頼するのに、迷わない人なんて居ない。


それでも二人は、怖いと思いながらも私に手を伸ばしている。


そういうのが……本当に強いって事、よね。


私はもう一度、重ねられた手を見つめる。

私も、強く在りたい。
ううん、強く在ろう。


「……ありがとう、佐倉さん、暁美さん」


私はギュッと、佐倉さんの手を握る。
少し痛かったのか、彼女は顔をしかめたけれど、直ぐににこやかに笑ってくれた。

それはいつかの笑顔と一緒で、私もつられて笑顔になった。



side:暁美ほむら


「へぇ、そんな事があったのねぇ」


私の言った嘘を巴マミは信じた様で、明るい表情で何度も頷いていた。


「佐倉さんも、変わったのね」


杏子もばつの悪い顔をしている。

二人で顔を合わせて、私達は苦笑いするしか無かった。


「暁美さんが来て、佐倉さんも戻って、私は幸せよ」


巴マミはそう言って私達を纏めて抱き締めてきた。
無理して背伸びなんてして、少し震えている。


「な、何すんだよっ。急に止めろよな」


隣の杏子は口ではそう言いながらも、ホッとした表情で抱き締められている。

素直じゃないわね。


最初は嫌だの止めろだの口では言ってた杏子は、暫くすると普通に巴マミに甘えていた。

まるで母にでもするみたいに、べったりとくっついている。

今まで人を避けてきたから、きっとその反動で人肌が恋しいのだと思う。


巴マミも満更では無い様子で杏子の頭を撫でていた。


「そうしてると、親子みたいね」

「ふふ、家族ね。おっきな娘が二人も出来ちゃったわ」

「んー、マミが母さんなら、ほむらは妹だな」

「何で私が妹なのよ?」

「アタシのが背が高い」

「……じゃあ妹は姉に甘えようかしら」

「おお、来い来い!」


暫く、家族ごっこに付き合ってあげる。

悪くないと思ったのは、内緒にしよう。



帰宅した私は、シロと向かい合って座っていた。

杏子も説得し、巴マミとの和解を済ませた今、残るはシロとの対面のみ。

それに、もうワルプルギスの夜出現まで二週間に迫ろうとしている。


「シロ、そろそろ二週間前だし、日付は決まった?」

「うん。明後日が、一番良い」

「そう。なら、当日の流れについて話しましょうか」

「待ってくれ。その前に、僕は話さなきゃいけない事があるんだ」


シロの気持ちは揺らいでいるのか、まるで自分を追い詰めるかのように早口で言った。

暫し沈黙する。

シロは深呼吸を何度かして、言った。


「僕の正体は、インキュベーター。君達がキュゥべえと呼んでいた個体だよ」



私はその言葉を全く理解出来なかった。

そもそも見た目から全く違うし、何よりインキュベーターが私に味方する意味も分からない。


「困惑するのも分かるけど、僕達は、僕が正体を話す危険を冒さなければならない位に追い詰められているんだ。だから、聞いて欲しい」


そう言ったシロの表情は真剣そのもので、何かを恐れているようでもあった。

シロのそんな様子に、取り敢えず話を聞いてみようと思った。


「分かったわ。今は何も聞かないから……話して」


少し間を置いて、シロが話し始めた。

その言葉は、私の希望を打ち砕く言葉だった。





「いいかい、暁美ほむら。このままでは僕達はワルプルギスの夜を越えられない。……全て失敗するんだ」



今回はここまで

次回更新は16日23時
今日です







以降シロはお好みのキュベ子で想像して下さい

オリ展開だと文章考えるのが難しくて、短くなってしまいます……
その辺りは徐々に改善したいと思ってます


な、なんだってーシロの正体はキュゥべえだったなんて驚愕の事実だ(棒)

“このままでは”ねぇ……
じゃあどうしろって言うんだ?
やっぱりまどかか?まどかなのか?


ま、まったく気づかなかった(棒)


QBだとは思わなかったな
タイトルの書き方や時間遡行でネズミにかじられて白く変色した[たぬき]なのかと



え?お前ら分からなかったの?
俺なんか最初から分かってたし……(汗


これ最初っから気付けた奴エスパーだろ…

見た目のとこに乳白色って書いてあるし察することはできるでしょ

とりあえず乙

ほむほむキレそう

まどかの他に利用出来そうなのと言えば……


さやかとか増やしたところで新人だし役に立つのかね


ま、まさか気付いた人が居るとは思わなかったなー(棒)


では更新していきます


side:シロ


「全て失敗する」


そう告げると、暁美ほむらは訳が分からないといった表情をした。


「そんなの、有り得ない……。私は、前の時間軸で皆を助けた。そしてワルプルギスの夜を追い詰めたッ。……ただ、届かなかったのは、時間停止の能力が途中で使えなくなったからよ。

今度の時間軸ではシロが居るわ!それなのに失敗するって言うのッ!?」


ほむらは勢いよく立ち上がり、認めないと言わんばかりに一気に話し出した。

多分、今回の時間軸こそはワルプルギスの夜を越えられると確信していたんだと思う。

それが失敗すると聞かされて、動揺しない筈がない。



「いいから、最後まで聞くんだ。落ち着いて、深く息を吸って」


ほむらを座らせて、息を整えさせる。
何回かの深呼吸で落ち着いたらしく、ほむらは目を閉じて言った。


「……続けて」

「うん。……僕がそう思った最初の理由は、巴マミと君が初めて接触した時だ」

「それが、どうしたの?」

「僕は、あの場に居たキュゥべえと同じ存在だ。故に、僕にはあの場の記憶がある。それは分かるね?」


ほむらは頷いた。
早く話せといった顔をしていたが、一気に話せる内容では無く、我慢してもらうしかない。


「そして僕は、君が新米として巴マミに接触する状況を見ていた。君達は特に警戒するでも無かったから、簡単だったよ」

「……そう。早く続けて」

「うん。最初は、何とも思わなかった。例えそれが僕の記憶と完全に一致していたとしてもだ」


当然だろう、とほむらは不思議な表情をした。
流石にまだ、気付けはしないか。


「それがおかしいと疑ったのは、君は巴マミにどうワルプルギスの夜について説明するかを聞いた時だ。……君は、僕を利用すると、そう言ったね?」


ほむらは僕の言葉を頭で整理している様で、少ししてから頷いた。


「一つ、質問するよ。君は、僕の存在が無かったら、巴マミに新米として接触するかい?」

「……いいえ。まずしないでしょうね。お菓子の魔女から彼女を助けるのが、最良の選択になるから……まさか、そういう事なの?」


ほむらは、僕の考えに気が付いた様で、酷く怯えた様な顔をした。
嘘だと言って欲しいと、揺れた目が語っている。


「きっと君の考えている通りだよ、残念ながらね。……僕の時間遡行が、今回が初めての事なら、僕の記憶は僕を利用せずに最後まで行った暁美ほむらの動向の筈なんだ。でも--」

「アナタは私がシロを利用して最後まで行った記憶を持ってる。そうなのね?」


引き継いで言ったほむらの問いに、僕はゆっくりと頷いた。


「他にも、根拠はあるのよね?」

「……この二週間、起きた事の全てが僕の記憶と一致している。寸分の狂いもなく。そんな事が有り得るかい?」


ほむらは暫く考えて、諦めた様に首を横に振った。


「分かってくれたみたいだね。……僕達は、少なくとも一回は失敗してる。しかも失敗の原因は誰も知らない」

「……つまり、私達は出口の無い迷路の中、という訳ね」

「そういう事だね。今までは、君が時間遡行して、失敗を少しずつ変えていく事でここまで辿り着いた。

でも、君はこの時間軸で死んでしまう。それで僕が時間遡行してきた訳だけど、僕は君の詳しい死の原因を知らないんだ。

いや、一回目に限っては力不足で、敗れた事が原因なのだろうけど」


残酷だが、それが真実に違いない。
ほむらも躊躇いながら頷いていた。


「恐らくは、前の僕達がワルプルギスの夜と対峙した時に、何かがあったんだ。時間停止があっても避けられない程の何かが。

それを知る手段が僕達には無い事が、今の最大の問題だろうね。

仮に今のキュゥべえの記憶が変わるよう行動しても、次の僕にはそれが何から何に変わったか認識できない。

結果的に、僕達は流れを変えられず、全てが閉じてしまった。
僕達には何度繰り返したかも、何を変えたのかも察知出来ないのだから」


この閉じた輪から抜け出す方法も、ないことはない。

暁美ほむらが全てを見定めて時間遡行し、そして次の時間軸でわざと鹿目まどかを契約させた上で死ぬ。

でも、そんな残酷な提案を、今の僕には出来そうにない。


するとしても、それは最後の手段だ。


ほむらは、どうすればいいのか全く考え付かない様だった。

今まで圧倒的な経験量で切り抜けてきた為に、想像すらつかない何かに対する策なんて、早々思い付く筈もない。


「どうしたら……いいのよ……」


今にも泣き出してしまいそうな表情でほむらはポツリと呟いた。

初めて見る彼女のそんな弱った姿に、僕はどうしたらいいのか分からなかった。


「僕の、君と会うまでの話を聞くかい?何かのヒントになるかもしれない」

「……そうね。今ならどんな話でも、きっとマシでしょうし」

「うん。……僕は、ワルプルギスの夜が現れた日、鹿目まどかと一緒に居た--」


その日まで、鹿目まどかは契約する事はなかった。

ほむらのハッタリが効いていたし、何より君達が負ければ契約すると分かっていた。


ワルプルギスの夜の勝利を告げて、鹿目まどかと契約したのは覚えている。

その後は、正直あまり覚えていない。


鹿目まどかはワルプルギスの夜を一撃で葬り、そして魔女になった瞬間に地球上に居た魔法少女と僕達インキュベーター以外の全ての生命を根絶やしにした。


その圧倒的な力を最も近くで感じた僕は、恐怖し錯乱した。


それが、僕に感情が宿った瞬間。

僕達は、感情が宿ろうとしている個体が居ると、直ぐに切り離す。
けれど、一瞬で凄まじい恐怖を感じた為に、全てのインキュベーターに僅かながら恐怖が伝染したらしい。

その為に、全てのインキュベーターは母星に強制送還された。


僕は送還後、直ぐに廃棄処分される筈だったが、生かされた。

鹿目まどかとの契約で、僕には莫大な因果が宿っていたから。
理由は、宇宙崩壊のきっかけを作ったから、とかその辺りだと思う。


その後、肉体の維持のためにコールドスリープされたから、宇宙崩壊の過程は知らないんだ。

そして、やがて来た目覚めの時、全てのインキュベーターは消えて、一匹のインキュベーターのみがそこに居た。


「おはよう。よく眠れたかい?」

「……僕が叶えるべき願いは、なんだい?」


僕が出たというのは、そういう事だ。
宇宙の為に死ぬ覚悟は出来ていた。


「鹿目まどかの契約の阻止。それが君に与えられた任務だ」

「そ、それは何故?」

「鹿目まどかの魔女は、ここに居る僕と君以外の全ての生命を根絶やしにしたんだ。勿論、宇宙全体の話だよ」


僕はその言葉を聞いて目を丸くした。
僕達インキュベーターには、製造者としてある程度なら魔女を制御出来る筈だった。


「……鹿目まどかの魔女は僕達の想像の遥か先を行っていた。あれは最早、魔女を超越した破壊の概念みたいなものだ……と、説明している時間はあまりないんだ。

僕達は数万年の間他の生命を犠牲にして逃げ続けて来たが、身代わりが無くなって、遂に僕達を消しに来ている」


そう言った瞬間、スリープルーム内に警報が響いた。


「もう、時間が無い。ついさっき、僕達は数えきれない程のシュミレートでようやく成功するパターンを見付けられたが、君にその方法の全てを告げる時間は与えられなかったらしい。

いいかい。君は暁美ほむらを救うんだ。全てを投げ出してでも、絶対に」


この時に聞くことが出来たら、もっと楽に事は運べたんだろうね。

とにかく、僕はそうして、ほむらを救う為に時間遡行する事が必要なのを知らされた。


「僕の願いは、暁美ほむらを救いに、時間を遡ること」


これでいいかい?と目で尋ねると、彼は満足そうに頷いた。


「君の願いは、エントロピーを凌駕した!さあ、行くんだ!行って全ての運命を変えてくれ」


意識が薄れて、肉体が何かに惹かれているのを感じた。


「いいかい?……忘れるな。僕達は皆、君と共にある」


目の前のインキュベーターは、感情を露にして笑っていた。


「感情があるというのも、悪くないね。……いい気分だよ」


僕が消えるその瞬間、障壁を破って、闇が彼を覆った。
その表情は、僕を信じきっているみたいで、眠るように穏やかな顔をしていた。


そして僕は、君と出会った……。


「そう……。つまり、成功する道は必ずあるのね?」


全てを聞き終えたほむらがポツリと呟いた。
彼を信じるならば、それを見付けるのは難しいだろうけど、確かにある。


「僕達魔法少女は、条理を覆す存在。運命すらもねじ曲げて、その先に、きっと辿り着ける筈だ」

「そうね……。シロ、あなたはキュゥべえだと、そう言ったわね?」


無言のまま肯定する。


「あなたの事を……許すわ。その代わりに、私と一緒に、足掻いてくれる?」

「勿論だよ。命を懸けて……君を助ける」


苦しそうでも、笑ってみせたほむらの隣に移動して、そっと身を寄せた。

僕は、暁美ほむらを救いたい。
使命からでもなく、贖罪からでもなく、心からそう思った。

今回はここまで

次回更新は19日23時

ちょっと今回に頭悩ませ過ぎて先の話が纏まってないので、明日更新はほぼ無理です




頭の中の妄想に文章がついてきません
ニュアンスは伝わってる事を祈ります


Qちゃんの感情が徐々に大きくなっていってるのが素敵

全宇宙の生命を掛けた時間遡行……
儚き魔法少女暁美ほむらと、魔法少女となった
一匹のインキュベーターは、救世主足り得るのか?


良いね。映画的熱さだ。乙。


ホントQBはただひたすら宇宙を守るためだけに存在していたんだな
感情が有ろうが無かろうが

「僕の願いは、暁美ほむらを救いに、時間を遡ること」←キュウべぇちゃんを救いに(ry ←を救いに(ry ←以下
ループ

てな感じでどんどん増えてったらお笑いだね。

>>237
最終的にこうなる

ttp://i.imgur.com/nafzFhT.jpg?1

>>238
それのほむほむ版があったな

一日早いですが更新していきます



side:暁美ほむら


結局の所、シロの話を聞いて分かったのは、元に戻ったという事。

今までずっと越えられる道を地道に探して来たわけだし、手探りなのは変わらない。
ただちょっとリトライが出来なくなって、私の希望が打ち砕かれただけ。

今まで通り、覚悟の上でワルプルギスの夜に挑むくらいしか私達に出来る事はないでしょう。


そして、その時が来て最悪の状況になれば、私はもう一度時間遡行を試みようと思う。

多分シロも考え付いている筈。
私がもう一度時間遡行して、まどかが契約すればきっとシロは次の時間軸でもやって来る。

私も一度死ぬ事になるだろうけれど、そうする事が最良の選択ならば、私は喜んでそうしようと思った。


あの後シロから詳しい話を聞いて分かったことが幾つかある。

ワルプルギスの夜には、私と杏子と巴マミの三人で挑んでいた事。
さやかは契約しない事。
インキュベーターは戦いを直接見てはいない事。


インキュベーターを近くに呼べれば、今回失敗しても次で変えられるだろうけれど、いざ戦いの時となればアレはまどかから離れないでしょう。

まどかを危険な場に呼び寄せるなんて論外だから、この方法は取りたくない。
もし万が一、私も死んでまどかも死ぬ様な事があれば、やり直しの機会も永遠に失われるのもある。

さやかの契約も一度考えてはみたけど、あの巨体に近接が二人も要るとは到底思えないし、私自身の負担も増えるから直ぐに破棄。


万全の準備でワルプルギスの夜を迎える事が、今の私に思い付く唯一の事だった。



取り敢えず、今すべきは巴マミにワルプルギスの夜がやって来るのを伝える事。

その為に、先ずは杏子に私とシロの事を色々話しておく必要があった。


シロとの会話の翌日、いつものパトロールを終えて巴マミと別れた後、話があると言って私は杏子を呼び止めた。


「んで、話って何さ?アタシ帰って寝たいんだよ」

「私が何者かって話に、興味はない?」


欠伸を噛み殺していた杏子の表情が、一転して楽しそうな顔になった。


「話してくれる気になったんだ。ずっと気にはなってたんだぜ?」

「知ってたわ。然り気無く聞き出そうとしてたしね」

「上手いこと躱すから、焦れったかったよ」


公園のベンチに腰を下ろすと、杏子はウズウズした様子で私の顔を覗き込んできた。

早く話せと表情が語っている。


「私の正体。それは、時間遡行者……つまるところが未来から来たのよ」

「ハァ?バカにしてんのかよ?」


杏子は頭のイカれた人でも見るように私を見てくる。

でも、事実なのだから仕方無い。


「未来から来たから、ワルプルギスの夜が来るのも知ってるし、あなたの過去も知ってるわ。あなた自身から聞いてね」

「んー……それだけじゃピンと来ないな。何かないの?未来に起きる事とかさ?」



ホントは今日シロの事を説明するつもりだったけど、丁度いいから話を変えることにした。


「明日、見滝原に一人の魔法少女が現れるわ。その子は、ワルプルギスの夜がここにやってくると告げる。それに、魔法少女が魔女になるという事も彼女は知っている」

「そりゃまた急だな」

「そうよ。今日私が話した理由は、その魔法少女と話を合わせて、巴マミを説得して欲しいから」


巴マミはぽっと出の魔法少女の話を鵜呑みにするほど愚かではない。

今では私達の纏め役となっているから、更に慎重になるでしょう。

でも、身内からも話せば巴マミは今までの経験から大概の場合信じる事が分かっている。

今までは杏子がシロの立ち位置で、私が杏子の立ち位置で、成功してきていた。


「へぇ。まあ、明日になって本当にその魔法少女が来たら、信じて説得してやるよ」

「ありがとう、杏--」

「その代わりに、一つ正直に答えな。アタシ達は、ワルプルギスの夜に勝つのか?」


予期してなかった質問に、ピクリと頬がひきつる。
それだけで杏子は全てを察したらしく、やれやれと深い溜め息を吐いた。


「アンタは、その結果を変えたくて時を遡ったのか?」

「……仕方無い、か。全部話すわ。今まであった全ての事を。とても長くなるでしょうし、辛い事もあるけれど、ね」

「ウッ……。まあ、私が聞いた事だしな。付き合うよ」


ある程度簡略化はしたが、私が時間遡行して起こった事、見た事、した事の殆どを話す事が出来た。

シロの事やまどかが宇宙を崩壊させる事までは話さなかったけれど。


話を聞いた杏子は信じられないという顔をしていたが、同時に私への憐憫の様な思いもあるみたいだった。


「正直、アタシにはちょっと話がでかすぎて全部を理解できそうにねーわ」

「でも事実よ」

「ん。まあ今日まで一緒に居て、ほむらが悪い奴じゃないってのは分かる。だから、信じるよ……アンタの事を」


自信に満ちた顔でニッと笑う杏子に、私は首を傾けた。
心なしか、楽しそうとすら思えた。


「今回だって、勝てる保証は無いのに、自信有りそうね」

「かもな」


杏子は照れ臭そうに頬を一掻きしてから、話し出した。


「ほむらは、さ。一度はどうしようもなくなって、アタシ達を切り離したんだろ?」


それは変えようもない事実。
結局一人では何も変えられないと気付くまでの私は、滑稽だったに違いない。
又は、独り善がりの子供。


「そうね。でも、今はこうして皆を頼っているけど」

「そこだよ。アタシ達は、アンタに一度は見限られた。ま、そこは仕方無いね。アタシだってそんなんなら見捨てるよ」


要領を得ない杏子の話に、何が言いたいのか私には全く分からなかった。



「でもさ、アンタはやっぱりアタシ達が必要だって気付いて、身体張って足掻いて、んで今はこうしてる。

何かさ、ガキの頃に憧れてた話に似てる気がするんだ。最後には、愛と勇気が勝つストーリーってヤツに。

だから、ぜってー勝つさ」


根拠なんて全くないのに、赤面しながら笑っている杏子を見て、私も何故だかそれを信じようと思えた。


「……ありがとう、杏子」

「……ん」

「でも、ちょっと台詞がくさいし、恥ずかしかったら無理しなければいいのに」

「なッ!アタシは色々気合い入れてたってのに!」

「はいはい」


面倒見がよくて、放っておけないタイプの杏子が居て、本当に良かったと思う。

……最後に愛と勇気が勝つストーリー、か。


「可愛い趣味ね」

「ガキの話だって言ったろうが!」


今回はここまで

次回更新は20日23時





ほむら→主人公
杏子→相棒
シロ→相棒2
マミさん→母さん
さやかちゃん→可愛い
まどか→?

上記がこのSS内での各キャラの大まかな立ち位置なんですが、まどかだけが中々決まりません……



そしてさやかちゃん主人公の話が更にもう一つ増えて二作に
さやかちゃん……



まどかねぇ……どう動くか分からんし、ストレートに“不確定要素”で良いんじゃない?
もしくはダークホースとか。


あんこちゃんマジ聖女


果たして次回更新予告に意味はあるのか…

少し遅れましたが更新していきます


side:巴マミ


佐倉さんが私の所に戻ってきて二日が経つ。

暁美さん達と出会ってから良いことばかり続いていて、歩いている時ほんの少しだけ体が弾んでしまう。


魔法少女の仲間が二人になったのは勿論、鹿目さんや美樹さんの存在も良いことの一つ。

魔法少女になる素質のある少女達だけれど、あの子達には暁美さんの言う通り契約して欲しくはない。

ただ、暁美さんみたいに純粋な気持ちだけじゃなくて、ちょっと私のエゴもあるのだけど。


彼女達と知り合うまで私は一般人とは深い関わりを持たない様にしてきた。

けれど、私が魔法少女だと知りながらも普通の女の子にするみたいに接してきた彼女達のお陰で、私は僅かにだがクラスメートに対して心を開くことが出来た。


かなり驚かれたけど。



ともかく、私は今の幸せがずっと続けばいいと思っているのです。


「じゃあ、また明日っ」


放課後、仲良くなったクラスのお友達に別れを告げ、私を待っている仲間の下に急ぐ。

ちょっと謎めいた雰囲気の暁美さんに、暫く会わない間にちょっと生意気になっていた佐倉さん。
……そういえば佐倉さん、学校は?


「ねえ……佐倉さんって学校はどうなってるの?」


合流して開口一番そう言うと、彼女はあからさまにゲッ、と顔をしかめた。

やれやれと溜め息を吐いてはみたけど、複雑な事情もあるみたいだし、言及はしないであげましょう。


「ちゃんと考えなさいね?」

「はーい」


あまり気にしてないみたいで、佐倉さんは軽い様子で返事した。
まったくっ!



「さて、今日も見回りね」


佐倉さんが増えて活動範囲が増えたけれど、地道な捜索も皆とならば苦じゃない。

表面上は正義の味方を気取りながらも、本当は戦いと死の恐怖に怯えていた頃が嘘みたいに思える。


「じゃあ、行きましょう」


そう言って珍しく暁美さんが先導した。

普段は私達の後を付いてくるのだけれど、時折こうして先導して、直ぐに魔女を発見する。
勘が鋭いのかしら?


でも、その日暁美さんが見付けたのは魔女なんかではなかった。


『こっちに来て……』



掠れた様な、ともすれば気のせいだと思ってしまう程の微かなテレパシーに、足を止める。

二人にも届いていたみたいで顔を見合わせていた。


「……先に行くわ」

「あっ、暁美さん!」


罠の可能性もあるというのに、暁美さんは駆け出してしまう。


「行くぞ、マミ!」


佐倉さんの言葉に頷いて、直ぐに暁美さんを追う。

距離が詰まっているらしく、徐々に私達を呼ぶテレパシーも大きくなっていた。


「暁美さん!」


路地裏に入った所で、暁美さんは立ち止まっていた。

その奥には、見知らぬ少女がニコリと笑ってこちらを見ている。


然り気無く中指を確認すれば、確かにソウルジェムのリングが嵌められていた。


「何者なの?」


暁美さんがそう声をかけると、少女は大袈裟なくらいに深々とお辞儀してみせた。


「君達に、警告しに来た者……かな?」


そう言うと彼女はソウルジェムを取り出し、身構える私達に敵意は無いと示すかの様にそのまま暁美さんに投げて寄越してきた。

暁美さんは少し慌てた様子でそれを掴み取った。


「それで僕が君達と敵対する意思がないのは分かっただろう?」

「……それは分からないわ。アナタは私達が三人で現れて、計画を変えたかもしれない」


私は少し刺々しい口調で言った。

魔法少女を三人相手に出来る人なんて、まず居ない。

現れるとすれば、鹿目さんが契約した場合でしょうか。


彼女の素質は余りにも大きすぎて、恐怖すら感じる。

鹿目さんが契約すれば、歴代でも最強の魔法少女になるに違いない。


「君は聡明だね、巴マミ。……僕は君達三人が一昨日から行動を共にしているのは知っているし、夜になれば解散するのも把握している。僕が君達を排除しようとしてるなら、こんな事を話すと思うかい?」

「思うわ」


確かに、理屈は分からないでも無いけれど、彼女が私達の信頼を勝ち取ってから裏切る算段かもしれない。

最悪を想定して動くのなら、彼女を信じるべきではない。


「まあいいか。とにかく話させてもらうよ」


少女は諦めたみたいで、勝手に話し出した。


「二週間後、この街にワルプルギスの夜がやってくる。それを僕は警告しに来たんだ」



ワルプルギスの夜、伝説の魔女。
未だ誰も勝利した者の無い魔女がこの街にやって来るというらしい。


「確証は?」

「残念ながら無いんだ。ただ、奴に関する情報ならばあるよ」


まさか伝説の魔女の名を出されるとは思ってもなくて、私は困惑してしまう。

彼女の言った事が事実ならば、それ相応の準備をしなければならない。


彼女への警戒と準備を両立させるのはかなり難しいでしょう。


私が悩んでいると、ぽんと肩に手が置かれる。
振り返ればそこには、複雑そうな表情の佐倉さん。


「アイツの言ってる事、本当だよ。アタシもちょっと前に聞いたんだ。近いうちにここにワルプルギスの夜が来るってさ」

「ほ、本当なの?」


佐倉さんは私の問いに無言で首肯した。



「僕を信じてくれるかい?……マミ」


そう言われた瞬間、私は初対面な筈なのに、その少女を不思議と良く知っている気がした。
気のせいよね?


とにかく、彼女の警告を佐倉さんも信じているみたいだし、暁美さんが彼女のソウルジェムを持っているのだし、私も少し心を開くことにした。


「……詳しく、話してもらえるかしら?」

「勿論だよ」

「なら、ここじゃあれだし、私の家に場所を変えましょう」


多少の不安はあるけど、同時に期待もある。

こんな短い期間に魔法少女が四人も集うなんて、まるで運命に導かれてるみたいで、私は微かに高揚していた。



家に着いて、手早く人数分の紅茶と菓子を用意して、クスリと笑う。

この前初めて暁美さん達が来たときよりもずっと早く用意できた事が、何だか可笑しかった。


「さて、それじゃ話を聞きましょうか」


女子四人でそう言うと、何だかこれから恋愛相談でもあるみたい。

でも、シロと名乗った少女の話はそんなものとは無縁な、闘争の話。

渡された詳細な資料に目を通しながら、その体躯や力に驚かされる。


「これだけ見ても、化け物って事しか分かんないな」


正直佐倉さんの言う通り。
ただし、危機感はかなり煽られた。


「とにかく、これを踏まえて準備するしかないわ。……暁美さんは大丈夫?」


さっきから黙っていた暁美さんに訊くと、ぼんやりしていたみたいでビクリと肩を震わせた。


「怖いかもしれないけど、頑張れる?」


まだ彼女は魔法少女になりたてなのよね。
筋はかなり良いとはいっても、経験が補えるわけではない。


「え、ええ、大丈夫よ」

「うん。無理はしないのよ。……それで、シロさんは手伝ってくれるの?」

「当然だよ。ただ、あまり力は無いんだけどね」

「味方が一人増えるだけで心強いわ。……それじゃあ、明日からワルプルギスの夜に向けて準備しましょう!」


オー!とは皆やってくれなかったけど、表情は真剣だから、よしとしましょう。
……よしと、しましょう。

今回はここまで

次回更新は22日23時




更新予告は目安みたいな感じですね
後厳密に決めてないと今日はいっかーってダラダラしてしまいそうなのもあります

Z


ほむほむがボーッとしてたりビクついたのは、演技でもあるんだろうが……

マミさんがテンション高ければ高いほど嫌な予感しかしないw

いいこと尽くしで調子に乗ってるマミさんウザかわいい

更新していきます



side:美樹さやか


何だか最近、ほむらの周りに人が増えた気がする。

この前赤い髪の子がやって来たかと思えば、今度はやたら白い子まで現れた。


ほむら達は相変わらず放課後はパトロールで忙しいし--しかも数日前から更に活発に動き回ってるみたいだし--ゆっくり話す時間もない。

あの子達のお陰で私達は平和に暮らせているわけなのだけど、少し寂しいと思うくらいいいよね?


まどかも同じ気持ちらしく、時々ほむらの方を見ては溜め息吐いてる。
恋する乙女みたいだぞまどか。


私達があの子の傍に行くのは、契約すればいいわけだけど、私は特別叶えたい願いもないからその予定はない。
そもそもほむらが契約しないでって言ってたし。


何となく二人だけだと余計に寂しい気がして、最近は仁美の稽古が無い日以外は殆ど直帰。

暇を持て余した私は、二日に一回位の頻度で恭介のとこに行っていた。

今日もまた、お見舞いに作ったお菓子を持って行く。
何となく楽しくて、このところはちょっと見た目も拘って作っている。


恭介の病室のある廊下を歩いていると、丁度恭介の病室から担当医の人が出てきたところだった。


「こんにちはー」

「ああ、こんにちは。今日もお見舞い、かな?」

「はい」


目の前のおじさんは、何か考えているみたいで視線を宙に漂わせている。

やがて考えを纏めた様で、先生は今恭介に検査結果を伝えた事と、その結果を簡潔に教えてくれた。


恭介の腕は、もう治らないと。



何で、どうして。
一瞬意識が飛びかけたけど、中に居る恭介の事を考えるとそうもしてられない。


今すぐにこの扉を開けて恭介に会うべきか、今日は出直して時間を置くべきか。
正直私自身も動揺していて、どちらが正解かなんて分からない。

でも、私には恭介を放っておくなんて出来る筈もなくて。


控え目にノックすると、少し遅れていつもより大きな声が返ってくる。

入ると、恭介は私に不自然な程明るく言った。


「やあ、さやか!」


ベッドからこちらに顔を向ける恭介はいつもと同じように笑っていたけど、その瞳の奥には陰りがあった。

私に気を遣ってるのか、はたまた落ち込んでるのを見られたくないのかは分からない。


ただ、大袈裟な位に明るく話す恭介を見たくなくて、私は傍に立って、そうするのが自然かのように、恭介を優しく抱き寄せていた。




「さ、さやか?」


困っているような、恭介の声。
私自信こんな大胆な事をしてホントは困惑している。

でも、してあげたいと思った事をしただけだ。


胸元に頭を埋める恭介をポンポン撫でながら、私は考えも纏まらないままに話し出す。


「無理しなくていいんだよ。悲しいなら泣いてもいいし、辛いならあたしに当たってもいい。帰ってほしいなら、直ぐに帰るから。

……私の前で、我慢しないで。恭介が辛そうなのを隠しても、分かっちゃうんだよ。幼馴染みとか関係無しに、ずっと傍で見てたんだから」



何だか告白紛いな台詞の気もするけど、思っている事の殆どは伝えられた。

暫く無言のまま頭を撫で続けていると、不意に恭介が口を開いた。


「さやか」

「なに?」

「……ありがとう」

「うん」


そっと、何もかも包み隠すようにして恭介を抱き締める。

泣いてる所を、見られたくはないだろうから。


それから、私は恭介の一人言を聞いた。

何故自分なのか、恐い、辛い、悲しい。

そんな恭介の思いの丈を聞きながら、私は恭介の事を想うと同時に、魔法少女の契約の事が脳裏に浮かんでいた。

何だって叶うとキュゥべえは言っていた。
きっと、恭介の腕だって治してくれる筈と。



でも、それをしようとするなら、ほむらに話をつけてからするのが筋ってものな気がする。

何より私も恭介も、ほむらが居なかったら命すら危うかったのだから。


「さやか?」


恭介の私を呼ぶ声に、思考を中断。
恭介はちょっとむず痒そうにもぞもぞしていて、私は首を傾げた。


「どうかしたの?」

「何か、色々助かったからそのお礼が言いたいのと、その……そろそろ放してもらえないかなって。もう、落ち着いたし、恥ずかしいし……」

「え?あっ、ご、ごめん!」


パッと恭介から離れて、ドアの方を向いた。
冷静になってみると、私はかなりとんでもない事をやったり言ったりしたと改めて気付かされた。


こうなってくると、私はもう爆発してしまいそうで、お菓子を然り気無く椅子に置いて退散しようと思った。

でも、恭介に服の袖を捕まれて、それは断念せざるを得なかった。


「もう少しだけ、居てくれないかな?」

「わ、分かった」


頼まれてはしょうがない。
私はお菓子を膝に置き、恭介には背中を向けて椅子に座った。


「な、何でそっち向き?」

「恥ずかしいから」

「話しづらいから、こっち向きなよ」

「う、うん……」


振り返って、顔を見合わせて、私も恭介も赤面して、やっぱり顔を逸らす。

結局その日はずっとそんな感じで、面会時間が終わると同時に私は病室を飛び出していた。


ありがとうと、また来て。
出る直前、そんな言葉が私の耳に届いた。




「--って感じだったんだけど」


家に帰ってからも胸がザワザワしてて、何となく私はほむらに電話をかけて今日あった事の大体を話した。


「……急に電話してきたと思ったら、のろけ話を聞かされるなんてね」

「そ、そんなんじゃないって!」


電話から溜め息のような音が聞こえてくる。


「それで、のろけ話じゃないなら、何の話なのよ?」

「えっとさ、恭介の腕の事--」

「ダメよ」

「まだ言い切ってないっての!」

「とにかくダメよ。契約は無し」


予想はしてたけど、やっぱり落ち込んでしまう。
叶うなら、恭介にはまたヴァイオリンを弾いてもらいたい。



「でもまあ、何とか出来ない事もないかも」


ほむらのその言葉に、私は素早く反応した。


「ホント!?」

「ええ。ただ絶対ってわけではないわ。明日の放課後、詳しく話すから」

「分かった!じゃあまた明日ね!」

「ええ、おやすみなさい」

「おう!」


電話を切って、ベッドに潜り込む。
絶対治るわけじゃないとは言っていたけど、ゼロだと思った未来があるかもしれないというだけでも十分。


早く明日になれーっ!
そう思ってもう寝ようとしたけれど、話を聞いて興奮した今では眠れそうになかった。


「……あ、もしもしほむらー?」

「……今度は何?」

「眠れないから何か話そー。ここ最近ゆっくり話せてないし」

「……仕方ないわね」

「よっしゃ!」


結局、その後私は深夜二時過ぎまで話して、寝落ちした。

今回はここまで

次回更新は25日23時に

ちょっと忙しくて文章が纏まらないので更新ペース落ちます





もっとさやかちゃんを可愛く書けるようになりたいです


さやかわいい

純情ドラマしてるなー。 乙

おっつー


さやかちゃんが可愛すぎて生きるのが辛い

滅んだ都市のイヴとアダムにでもなってしまえ~! ピロロロ...

更新していきます



side:美樹さやか


翌朝、電話先で寝落ちしたのをいつもの場所でかなりこっぴどく怒られた。

私が寝た後もほむらは眠れなかったらしく、聞けば一睡もしてないらしい。


それでも、ほむらは授業中寝てる様には見えなかったし、流石は優等生といったところ。

ただ時折イライラした感じで天井の方や三年の教室のある方を睨んでたのは何だったんだろう。


放課後になって、教室で待っていろと言われて私は、一人ほむらを待っていた。

こんな時によく思うのだけど、スケスケの教室は落ち着かない。

綺麗だなーなんて思ったのは入学して最初の1ヶ月くらい。
最新が最高というわけではないと、思い知らされる。



「待たせたわね」


教室にガラッと入ってきたほむらは、何だかゲッソリして見えた。


「どうかしたの?食べる?」


一口サイズのチョコレートを渡すと、ほむらはそれをサッと口に放り込んだ。

ちょっとは落ち着いたみたいで、ほむらの眉間の皺が薄くなった。


「んで、かなり疲れてたみたいだけどどうしたの?」

「今日の授業中、ずっと杏子……赤い髪の子がテレパシーで話し掛けて来てたのよ」

「ああ……」

「しかも巴さんと話しなさいって言ったら、今度は巴さんの方からテレパシー使ってきて……思い出したらまたイライラしてきたわ。まだチョコある?」

「はいはいどーぞ」


持ってたチョコを全部渡す。


授業中のイライラはその二人が原因か。
寝なかったんじゃなくて寝れなかったのね。



「さて、と。落ち着いたし、説明するわ」

「ここで?」

「そうよ。この後直ぐに、上条君の所に行くんだから」

「き、今日!?」


昨日の今日だし、ちょーっと顔を会わせづらい。
でも、恭介の為なんだし、私の都合は捨て置こう。


「……うん。それで、どうやって恭介の腕を治すの?」

「魔法少女の力を使うわ。私達魔法少女は大抵の傷を魔法で治せる。その効果は、前に見てるわよね」


咄嗟には分からなかったけれど、直ぐに初めて魔法少女の存在を知ったときを思い出した。

あの時、キュゥべえはかなりの重傷だったけど、マミさんが治してたっけ。


あれだけの力なら、恭介の腕だって何だって治せる様な気がする。



「治す方法は分かったわね?それじゃあ、杏子とシロを紹介するから、屋上に行きましょ」

「誰それ?……あ、もしかして赤い髪の子と白い肌の子?」

「そうよ。仲間の魔法少女。怪我をしてかなり時間が経ってるから、私と巴さんとその二人の四人がかりで魔法を掛けるの。見知らぬ他人に任せたくはないでしょう?」


ほむらの仲間なら信頼できそうだけど、言われてみるとそんな気がしてきた。
まあ見た目は知ってるのだけど。


「よし、ならさっさと紹介してよ。個人的にも気になるしさ!」

「はいはい」




屋上に向かうと、そこにはマミさんと噂の二人が居た。


「おっ、早かったな!」


私達に気付いた赤い髪の子は手を挙げると、ほむらに向けてニカッと笑いかけた。
チラリと見える八重歯が印象的で、何だかイタズラっぽい子に見える。

隣の白い子は、何だか存在が希薄な感じ。
表情が薄いから?


「そいつが話に聞くさやか、か」


憐れみのような、羨望のような、憂いのような。
私を見て、赤い髪の子はそんな何とも言い切れない曖昧な表情した。


「大丈夫よ、杏子。彼女は契約しない」

「……おう」


ほむらの言葉で、赤い髪の子……杏子?、は表情を和らげた。

何故だろう。
この二人の絆みたいなものが見えて、少しだけズルいと思った。




「紹介するわ。杏子とシロよ」

「よろしくな」

「よろしく、さやか」


杏子はいいとして、シロ?
何だか犬の名前みたいで、私は思わず吹き出していた。


「し、シロって本名なの?」


遠巻きに見ても美人だと分かる位だから、素敵な名前だと思ってたのに……。

笑いを堪える私に何故かムッとしたのはほむらの方で、チクリとつねられた。


「名前の事はもういいでしょ。分かってるだろうけどこの子がさやかよ」

「美樹さやかでーす。よろしく!」


さっきの仕返しにと、ほむらの腕を掴んでパタパタと振る。
でも直ぐに振り払われた。冷たい。



「ほら、暁美さんも美樹さんも、自己紹介は済んだしそろそろ行くわよ」

「はーい、マミさん!」


睨んでくるほむらを避け、クスクス笑うマミさんに抱き付く。
思えばマミさんとこうするのも久しぶりだ。


「ふふ、美樹さん、悪いんだけどちょっと離れててね」

「はいはーい」


パッと離れると、マミさんはソウルジェムを取り出した。

え?、と思い周りを見れば皆同じように手のひらにソウルジェムを置いている。


そして、四人一斉に魔法少女の姿へと変身した。


「おお、なんか凄いなー」


壮観って言うのかな?
目の前で変身していく皆はとても綺麗で、ちょっぴり羨ましかった。



「それじゃあ、行くわよ?」

「え、ちょっ!?」


マミさんに抱えられて、私は少し焦った。

嫌な予感しかしない。


「飛んでいくわよ」


マミさんはそれだけ言って、私が口を挟む間もなくフェンスの上に乗り、そこから更に隣の建物の屋上に飛び移った。

その途中に下を見てしまって、激しく後悔。
落ちたら絶対死んじゃう。


「ま、マミさん?まさかずっとこれで行くんですか?」


思わず敬語になってしまう。

ニコッと笑ったマミさんは、楽しそうに頷いて、更に次の建物に移るため走り出した。


私はもう全てを諦めて、マミさんにギュッとしがみついて固く目を閉じた。

マミさんが足を滑らせたりしませんようにと祈りながら。



結論から言えば、私はぺしゃんこにならずに済んだ。

今は無事に病院の屋上に立っている。


「ま、まあ、貴重な体験した……かな?」

「気に入ったのなら、またやる?」

「それは遠慮」


あんなの一生に一度あれば、十分。

他の人はまず体験することはないんだから。


「さて、それじゃあ病室の窓を開けといてくれる?」

「あんたら、窓から入る気なの?」


私の問いに、ほむらが代表して頷いた。
まあ、五人、しかも内四人はコスプレみたいな格好してるのがゾロゾロ歩いてたらきっと止められるだろうし、仕方ないか。


「んじゃ、ちょっくら待っててよ」




早歩きで、恭介の病室へと向かう。
いっそ走り出してしまいたいくらい、胸が高鳴っていた。

もう一度恭介のヴァイオリンが聴けるかもしれないのだと思うと、そうなるのも当然の事。


「恭介!」


逸る気持ちを抑えきれず、私はまたノックもせずに恭介の病室へと踏み込んでいた。
勢いよく開いたドアに振り向いた恭介は、私を見て驚いてるみたいだった。


「さ、さやか!?」


慌てている恭介はスルーして、窓際まで駆け寄り窓を全開にする。

身を乗り出して上を覗くと、柵の上に立っていた杏子が手を振ってきた。


「退いてろよー」


そんな言葉と同時に杏子は体を傾け、屋上から飛び降りた。




急いでその場から退くと、次の瞬間には杏子が窓の縁に降り立っていた。

恭介は、突然空から降ってきた杏子に言葉もでない位に驚いてる。
無理もない。

私だって驚いてるんだから。


驚かせた当の本人は、私達なんて全く気にせずに上に向けて合図している。
それが終わって中に入ると、私達を見てイタズラっぽい笑みを浮かべた。


「驚いてるな」

「そりゃ驚くよッ、危ないし!」

「危ないのがいいんじゃんか。スリルって気持ちいいんだよ?」


もう感性からしてどこかおかしい。

杏子の事は諦めよう。


まさか後続もと思い窓を見るとそこには黄色いリボンが垂れていて、それを伝って三人は降りてきた。




「佐倉さん、無茶しないのっ」

「ホントよ。アナタやっぱりバカね」


マミさんとほむらに言われて、杏子はムッと頬を膨らませて言い返そうとしたが、それより先に今まで黙ってた恭介が口を開いた。


「き、君達は……何なんだい?」


今見た事が信じられない様子で、恭介は目をパチパチさせている。


「おっと、忘れてた……あんたには眠ってもらうよ」

「な、な……に、を……」


杏子が恭介の目の前で鋭く手を叩くと、魔法にかかった様に恭介は寝てしまった。
ああ、実際魔法なのか。


「先に入ったならキチンと眠らせておきなさいよ」

「ゴメンゴメン。でも、きっと覚えちゃいないさ」



「ともかく、早く始めた方がいいんじゃないかな。あんまり長くなると、他の人が来るかもしれないからね」


どうやら杏子と違ってシロはまともな性格してるらしい。
ただ、何となく声のトーンが誰かに似てるような……。


「それもそうね。早く終わらせましょ」


四人が恭介の腕に手を翳すと、青い光が腕を包み込んだ。

目に見える傷じゃないからどうなのかは分からないけど、治ると信じて祈るしかない。




治癒魔法を使い始めてから三十分。

額に汗を浮かべて、真剣な顔をしていた皆の表情がふっと柔らかくなり、青い光が消えた。


ニコリと笑顔を向けてきたマミさんを見て、私は成功したのだと確信する。

治ったんだ!




「完治はしてないけど、神経も繋がったし、後は普通にリハビリと治療を続ければ前みたいに動くようになるわ。ホントは、悪いとこ全部治したかったのだけど」


治癒魔法はかなり消耗するらしく、皆疲れきった表情をしていた。


「それだけで、十分だよ……皆、ありがとう」


前と同じように。
そう聞いて、私は心底ホッとした。

また、恭介のヴァイオリンが聴けるんだと思うと、感謝してもしきれない。


「上条君の腕も治したし、私達は退散しましょうか」

「えっ、行っちゃうの?」

「お邪魔だろーからなぁ」


クスクス笑う三人に、私は顔が熱くなる。
よく見れば、シロまで微かに笑っていた。



「僕はさやかを応援してるから、頑張って」

「チューしろよ、チュー」


シロと杏子が、そう言って窓から出ていった。
杏子の奴は今度会ったら拳骨決定。


「ふふ、青春よねぇ。今度じーっくり話聞かせてもらうからね」


パチリとウィンクして、マミさんも姿を消した。
お泊まり会の時を思い出すと、苦笑いするしかない。


「さて、後は私だけね。……私から言うことは、臆病にならない事。それから、気持ちを伝えるのにウダウダ悩まない事。

それさえ出来れば、きっと変わるわ」


優しい眼差し。
何故だか、ほむらは今までずっと見守っていてくれたのだと思った。


「ありがとう、ほむら。この恩は、絶対忘れない。アタシじゃ、アンタ達の力になれないかもしれないけど、助けが欲しい時は呼んでよ。絶対、行くからさ」




皆が去ってしまった病室で、一人ぼんやりと空を眺める。

日が沈み出そうとした頃、ようやく恭介は目を覚ました。


「あれ……さやか……?」

「おはよ、恭介。ずっと寝てたよ」


不思議そうな表情で恭介は病室内をキョロキョロと見回している。
多分、皆を探してるんだ。


「変な夢でも見たの?」

「夢だったのかな……まあ、有り得ないか、窓から人が入ってくるなんて」

「漫画じゃないんだから、あるわけないじゃん」

「やっぱそうだよね」


苦笑いしてる恭介は、治ってる事に気付いてないみたいだった。
相変わらず、ヴァイオリンの事以外は鈍感らしい。



どうしたものやら、自分から言い出すのはあれだし……。

私がどうやって気付かせようか悩んでいると、恭介の表情が変わった。

自分で気付いたらしい。


布団の中から恐る恐る左腕を出した恭介は、ぎこちなく握ったり開いたりを繰り返して、それを信じられないとまるで他人事みたいに見ていた。


「ね、ねえさやか、ちょっとつねってみてよ」


左手を差し出されて、ちょっと困惑。
流石に怪我してた腕をつねるのはあれだったから、私はその手を両手で包み込んだ。


「感覚が……あるんだ。さやかの手の感触がする。昨日まで、何も感じなかったのに」


今見てるものこそ、夢なんじゃないか。
恭介はそんな表情をしていた。




私は片手を離し、呆けている恭介の頬をつねってあげる。
ちょっと顔をしかめたけど、恭介はこれが現実だと認識したみたいだった。


「痛いってことは、夢じゃないんだね……」

「そうだぞ、寝坊助」


一瞬キョトンとした恭介は、直ぐにカラカラと笑った。
その頬を、一筋の涙が伝ってもいた。


「ふっ……ふふ……昨日さやかに泣き付いたのが、バカみたいだよ」

「それ、失礼じゃない?」

「冗談だ、よっ!」

「えっ?」


恭介に腕を引かれた私は、気付けばその胸に収まって、抱き締められていた。


「な、何すんの!?」

「んー……抱き締められはしたけど、何かを抱き締めるのなんて久しぶりだから、とか?」

「……そっか」


仕方なく、私はもがくのを止めて、恭介の胸に顔を埋めた。
……あくまでも仕方なく。



「ちょっとまだ動かしづらいけど、動くんだ」

「うん」


頭の上から、嬉しそうな恭介の声。
私も、嬉しいよ。


「何でかな。まるで奇跡みたいに、治ってるなんて……」

「……奇跡も、魔法も、あるんだよ」

「え?」

「ううん、なんでもない。……先生に、また検査してもらわないとね」

「ああ、そうだね。きっと、驚くだろうなあ……」

「だろうね……」


言葉が見付からなくて、会話が途切れる。


私は、緩んだ腕の中で恭介を見上げた。

夕日に照らし出された恭介の瞳は、昨日までと違って輝いていて、私は自然と口を開いていた。





「ねぇ、恭介?」

「なんだい?」

「……私ね、恭介の事--」





私はきっと、今日の事を一生忘れない。

初めてしたそれは、優しくて、でもちょっとしょっぱい味がした。


今回はここまで


次回更新は28日23時に







今までずっとまどかが出てませんでしたが、次から多分まど回

それ終わったら次の話でワルプルになるかと思います

おっつー

ついに空気ヒロイン脱出かまどっち
楽しみにしてます

乙!
原作のあの台詞も、使う場面の状況一つで様変わりするねえ。

そして結局、杏子ちゃんの囃し立て通りになったな 2828


いかんニヤニヤが止まらない

さやかの描写に力入れすぎやろwwww普段はそっちを書いてるのかな?

更新していきます



side:鹿目まどか


その日、さやかちゃんは朝からとっても嬉しそうで、見てるこっちまで元気になれそうなくらい幸せな表情をしていた。

時折デレッとしてにやけるから、その理由は直ぐに分かった。


こんな時は、おめでとうって言えばいいのかな?


私が考えてる間に、不思議そうな顔をしていた仁美ちゃんが先に口を開いた。


「どうかしたんですの、さやかさん。凄く嬉しそうですけど」

「そうね。ニヤニヤしすぎで、気持ち悪いわよ」

「そんなことないよおー」


いつものさやかちゃんならほむらちゃんの毒にももっと食って掛かるのに、今日はサラリと流した上、ほむらちゃんの頭をよしよしと撫でていた。

ほむらちゃんはあからさまに顔をしかめてたけど、手を払ったりはしなかった。



「それで、何があったんですの?」

「んー、恭介の腕が治ってさ。それでまあ、なんと言いますか、色々あって」


仁美ちゃんの表情が、曇ったように見えた。

それは本当に一瞬の事で、最初私は見間違いだと思った。


でも、それから仁美ちゃんはぎこちなく笑ったり、ふとした瞬間に笑顔が消えて悲しげな目をしたりして。


仁美ちゃんは、もしかして上条君の事が……。


学校に近付くにつれて、疑いが確信へと変わっていく。

私はどうしたらいいんだろう。

二人を見比べて悩んでいると、ポンと肩に手が置かれた。




振り返れば、ほむらちゃんが優しい表情で私を見ていた。


『アナタが気にする事じゃないわ』


頭の中に直接ほむらちゃんの言葉が響く。


『頼られたら、手を差し伸べてあげる。私達は、そのくらいしか仁美にしてあげられないわ』


仁美ちゃんを見るほむらちゃんは申し訳なさそうな表情をしていて、なんでそんな顔をするのか、凄く気になった。


『ほむらちゃんは、知ってたの?』


私の問いに、ほむらちゃんは曖昧な笑みで返した。
その笑みが全てを物語っていた。

ほむらちゃんが私よりもずっと大人に見えて、少しだけ嫉妬してしまう。


私も、魔法少女になれば変われるのかな。



その考えを、私は直ぐに頭の中から追い出した。

どうしても、それが出来ない理由があったから。


魔法少女の存在を知ったその前日、私は夢を見た。

ほむらちゃんが、何かと戦っていて、ボロボロになっていく夢。

最後の瞬間、そこには私も居て、キュゥべえも居て、私は契約しようとしていた。
でも、ほむらちゃんは懇願するような表情で何かを叫んでいて。

そこで夢は終わった。


その日に転校してきたほむらちゃんを見て、本当に驚いた。
夢に出てきた、女の子。


不思議な縁を感じたから、私は勇気を出してほむらちゃんと仲良くなろうとした。
それは、正解だったと思う。




それから放課後になって、キュゥべえに呼ばれて、ほむらちゃんに守られて、マミさんに会って、魔法少女の存在を知った。

素質があると言われて、ほむらちゃんやマミさんみたいに、何もない私でも皆の力になれるんだと思うと、凄く嬉しかった。


でも、マミさんの部屋で見たほむらちゃんの表情に気持ちが揺らいだ。

そして、別れる間際のほむらちゃんの表情を見て、私は戸惑った。


それはほむらちゃんが、夢の中で最後に見たほむらちゃんと全く同じ表情をしていたから。




そして、その表情でほむらちゃんは言った。


「契約しないで」


私はその言葉を、目の前のほむらちゃんに言われたのか、夢の中のほむらちゃんに言われたのか、分からなくなった。

でも、それから少し悩んで、ふっと理解した。


“ほむらちゃん”に言われたんだ。
夢と現実の、両方から。


そんなの有り得ない筈なのに、心の底ではそれが事実なのだと確信している。


だから私は、ほむらちゃんがそう言った理由を話してくれるまでは、契約しないと決めた。


ほむらちゃんが、夢に出てきてまで願ったことなのだから。


今回はここまで

次回更新は30日23時に






まどかの心情が上手く書けず停滞気味です……


さやかちゃんの描写ですが、純愛物の小説とか乙女ゲーとか好きなので、多分その影響です

SS始めたの四月からなので普段とかはまだ無いのですが、次書こうと思ってるのはさやかちゃんの純愛物の予定です

乙です

乙です
ほむらさんの事を見た夢をここまでちゃんと認識してくれたまどっちを初めて見たかも


久々に流し読みではなくじっくりSSを読まされた

乙!


ええ子や

短いですが更新していきます


結局、その日はどこか会話も弾まず、いつもより静かな一日で。

放課後、仁美ちゃんがお稽古で帰り、ほむらちゃんは魔法少女のパトロールで、さやかちゃんは上条君のリハビリのサポートに行くと途中で別れた。

一人になった私は、このまま帰る気にもなれなかったから、ぼんやりと街を歩く事にした。

歩きながら、さやかちゃんの事、仁美ちゃんの事、ほむらちゃんの事を考える。


さやかちゃんがずっと上条君の事を見ていたのは知ってるから、お祝いしてあげたい。


仁美ちゃんの事は、どうしたらいいんだか、全然分からない。
経験も無いし……。



そして、ほむらちゃん。

ほむらちゃんにはきっと、秘密がある。
それも簡単には話せない、とても大きな秘密が。

詮索は、しない。
多分それは、秘密にしなきゃいけない理由がある筈だから。
いつか話してくれるその日を信じて待とうと思う。


頭の中が整理できた頃には、もうすっかり日も沈んでいて、少し駆け足気味で帰宅する。

でも、その道中に仁美ちゃんの姿を見た様な気がして、私は足を止めた。


らしき人の見えた角を曲がると、そこに居たのはやっぱり仁美ちゃんで。

仁美ちゃんは少しフラフラと歩いていて、その後ろ姿は今にも倒れてしまいそうに見えた。



「仁美……ちゃん?」


声をかけると、仁美ちゃんは緩慢な動きで振り返った。

その目は虚ろで、私を見ると普段なら絶対しないような、意地悪そうな笑みを浮かべた。


「あらあら、鹿目さんじゃないですか」


いつもの仁美ちゃんじゃないと、直ぐに分かる。
普段仁美ちゃんは、私の事を名前で呼ぶから。


「何か、気分悪そうだよ。こんなとこで、どうしたの?」


問い掛けると、仁美ちゃんはぐるりと目を回して、そして楽しそうに手を叩いて言った。


「ここより、ずっと素敵なとこへ行きますの。……そうだ、鹿目さんも御一緒しましょう。本当に、素敵なとこですから」


私の手を取った仁美ちゃんは、グッと引っ張りながら歩きだす。

あんまり力強くて、私にはその手を振りほどけそうになかった。



仁美ちゃんに引かれるまま歩いていると、徐々に人が増えてきた。

皆虚ろな表情でフラフラと歩いているから、多分目的地は同じ。


私は怖くなって、仁美ちゃんに何度も帰ろうと言って抵抗したけど、仁美ちゃんは殆ど動じなかった。


「ほら、鹿目さん、もうすぐ着きますからね」


いったい仁美ちゃんや周りの人達ははどうしちゃったんだろう。

心ここに在らずといった感じで、ただひたすら何処かを目指していた。


それから、人が増えて一つ気付いた事がある。

皆の肌に描かれている、同じ模様。

最初仁美ちゃんの肌に描かれてるのを見た時は何とも思わなかったけど、皆についてるとなるとやっぱり気になった。



しばらく歩いていると、目的地らしきものが見えた。

寂れた建物。
工場、かな?

少し不気味な雰囲気を纏っていて、凄く嫌な感じがする。

道を照らす街灯の明かりまでどこかいつもより弱々しい気がして、本当に怖かった。


「仁美ちゃん、帰ろうよ。もう遅いし、心配してるよ」


そう声をかけてみたけど、もう私の言葉は届いてないみたいだった。
ただひたすら、私の手を強く握ってグイグイ引っ張ってくる。

仁美ちゃんは、時折酷くイライラした感じで私を睨んできては、また工場を見て空虚な笑みを浮かべた。

いったい、あそこに何があるんだろう……。




中はガランとしていて、窓ガラスも幾つかヒビが入っていた。
明かりは無くて、月明かりが差し込むのみで薄暗い。
なんだか空気もジメジメしていて、不気味な感じがする。

仁美ちゃんは、私の事なんて忘れてしまったみたいで、手を放してぼんやりと佇んでいた。

今なら逃げられるだろうけど、仁美ちゃんを置いては行けない。


「仁美ちゃん、帰ろうよ!」


仁美ちゃんは、押しても引いてもビクともしなかった。

まるで魔法みたい。

そう考えて、私はようやくこれが魔女の仕業なのだと気付いた。


ほむらちゃんに連絡しないと。

そう思って慌てて携帯を取り出したけど、画面には圏外と表示されていた。



ど、どうしたらいいんだろう。
何とかして仁美ちゃんを外に連れ出さないといけない。

でも、それを考える間もなく事態は変わろうとしていた。


さっきまで散らばっていた人達が、中央に集まり始めた。
そこには、バケツに入れられた液体と、大量に転がる洗剤の容器。

ママの言葉を思い出し、この人達が何をしようとしてるのか気付いた私は、急いでそのバケツに向かって走った。


この人達、自殺しようとしてるんだ。


バケツを抱えてヒビの入った窓ガラスまで走り、躊躇無くバケツを投げる。

中の液体の重さもあってそれは容易く窓ガラスを破り、私はホッと息を吐いた。



「鹿目さん?」


背筋が、凍りついた。

抑揚の無い声に振り返れば、皆が虚ろな目で私を見ていて、正気じゃないのが分かる。


そんな光景に私は怖くなって、近くにあったドアに飛び付いた。

直後に、罵倒する声が響き、私を捕まえようとたくさんの人達がにじり寄ってくる。

恐怖と焦りで手が滑ったけど、私はなんとか捕まる前に中に駆け込めた。


でも、そこは逃げ場なんかではなくて。


「そ、そんな……」


目の前の何も無かった筈の場所に、魔女の結界が出現していた。




どうしようも無くなって座り込む私を、魔女の結界が包み込む。

中には、四角いものと、たくさんの人形みたいなものが浮かんでいた。


結界の中に入った影響か、体が歪んだような感覚がした。
手の方に目を向ければ、体の輪郭が無くなり、溶けるように広がっていた。


怖い……怖いよッ。


人形が、私を怖がらせるみたいにゆっくりと近付いてくる。

私、死んじゃうのかな。

諦めが心の中を支配して、私はギュッと目を閉じ、身を強張らせながらもジッとその時を待った。


でも、その時は来なかった。


「ごめんなさい、まどか。もう……大丈夫だから」


聞き覚えのある声に、恐る恐る目を開く。

そこには人形なんかではなく、少し髪を乱した、ほむらちゃんの後ろ姿があった。


今回はここまで
短くて申し訳ないです

次回更新は7月3日23時に

乙でっす

ここで記憶公開イベントかな

更新していきます


side:暁美ほむら


まどかと別れて、杏子と巴マミの三人でパトロールしているなか、私は嫌な予感に悩まされていた。

シロが居れば何が起こるのか聞けば済むのに、今日はどうやらインキュベーターが私達の前に現れるらしく、シロは家に居る。


「どうしたんだよ、ほむら。ピリピリしてさ」

「そうね。なにか嫌な事でもあったの?」


二人の問いに、私は曖昧な返事をした。

ただの予感なのだから、態々二人に言う事でもない。


「二人の顔見たら、吹っ飛んだわ。さ、早く行きましょ」


冗談めかす私に、二人は不思議そうな顔をしながらも頷いた。


それから、気のせいだと思ってみたけど、日が沈んでより悪寒が強くなった。

この胸騒ぎは一体なんなの?


もし何かあるのなら、シロが教えてくれる筈。
でも今朝は特に何もなく、いつも通りに見送られた。


「暁美さん、向こうに魔女の気配があるわ」

「ええ」


一先ずは、目の前の敵に集中しなければ。

そう思って銃を取り出そうとした時、唐突にインキュベーターが前に現れた。


「キュゥべえ!?何だか久しぶりだけど、どうしたのかしら?」


巴マミが驚いた様子で声をかけた。
確かに、もう随分と目にしてなかった気がする。


「知らせに来たんだよ。まどかが、魔女の口付けを受けた人間に付いていってるんだ」


それを聞いた瞬間、嫌な予感の正体が分かった。



志筑仁美が、魔女の口付けを受けた。

失恋して、不安定となった仁美は、魔女にとっては格好の餌食。
狙われない筈がない。


ここ最近は全てが上手く行き過ぎていて、どこか油断していたのかもしれない。


「杏子、巴さん、そこの魔女は任せるわ」

「あ、暁美さん!?」


インキュベーターが、ジッとこっちを見ていた。
間違いなく、私の魔法について感付いてる。


「僕が案内しなくても、平気なんだね?」


インキュベーターにしてやられた自分に対して、怒りが湧いてきたけど、今はそんな場合じゃない。


『杏子、巴マミのフォローは任せたわ』

『ハァッ!?』


それだけ伝えて、私は時間停止してその場を離れた。

巴マミの前で、こんなにも露骨に固有魔法を使ったのは、今回が初めてだった。



ワルプルギスの夜の事を考えると、あまり魔力を消費するわけにもいかないから、色々と計算しなきゃいけない。


時間から考えれば、まどかはまだ工場に着いてはいない筈。

恐らくインキュベーターは、私がギリギリ間に合う様に仕向けたでしょうから。


シロは多分この事を知っていた筈なのに、今朝は何も言わなかった。


事前に知っていれば、インキュベーターに踊らされる事も、巴マミの前で時間停止したりもせずに済んだ。


インキュベーターはきっと、私の素性について彼女達に伝えるに違いない。

もっと落ち着いた時に話そうとしていたのに、計画が狂ってしまった。


帰ったらシロを、キツく絞ってやらないと。



工場が、見えた。

長い距離を飛び回っていたから、強化された身体でも流石に息が荒くなった。


工場に入るとたくさんの人が倒れていて、中には仁美の姿も見えた。

でも、今はまどかが最優先。


倒れる人々を飛び越え、扉の前に現れていた結界の入口にそのまま入り込む。


結界の中にはまどかが居て、使い魔がにじり寄っているところで止まっていた。

危なかった……。

私はまどかの前に降り立ち、使い魔達を蜂の巣にして時間停止を解除する。


「ごめんなさい、まどか。もう……大丈夫だから」


私を見ても、まどかは上手く声が出せないみたいだった。

関わらせないと決めたのだから、最後まで守らなきゃいけないのに、この体たらく。
怒りを通り越して呆れてしまう。



私は、時間停止して跳躍した。

飛んできていた使い魔にいつもより多く銃弾を残して、その場を離れる。

視認できる全ての使い魔に弾丸が行き渡ったのを確認して、私は時間停止を解除する。


使い魔が穴だらけになって、残るは目の前の魔女のみ。

魔女は慌てたように、大量のモニターに何かを映し出した。


それは毎度同じで、始まりの記憶だった。

私が初めて鹿目まどかと出会った、言うなれば一周目の映像。


「……毎回毎回、同じものを観させられる方の身にもなって欲しいわ」


魔女を含む全てを吹き飛ばして、呟く。


「こんなもので、今更迷ったりしない……果たさなきゃいけない、約束があるのだから」




魔女の結界が消え去り、私はまどかの下へ駆け寄った。


まだ少し震えながら座り込んでいたまどかを抱き締めると、まどかは暫くしてホッと息を吐いた。


「落ち着いた?」

「うん。ありがとう、ほむらちゃん」

「礼を言われる資格なんて、ないわ。今回の事は、私がアナタを遠ざけすぎたのが原因だから」


もう少し魔女について話していれば、こんな事にはならなかったでしょう。


「遠ざけすぎたって……それは、魔法少女の事?それとも……ほむらちゃんの事?」


まどかの瞳が、私を射抜いた。
私が隠し事をしていると、確信してるような瞳。

まさかまどかに感付かれるとは思ってなくて、些か驚いた。




私が答えられずにいると、まどかはふっと優しい表情をした。


「……じゃあ、最後に一つだけ、聞いてもいい?それだけ聞けたら、もうほむらちゃんを困らせないから」


私はそんなに困った表情をしていたのね。
そう思いながら、私は贖罪の意味も込めて頷いた。


まどかは少し悩んでいる様子で、躊躇いながらも口を開いた。


「さっきの魔女の……あれって、何なのかなって。映ってたのは私だった……よね?」


予想してなかった質問で、私は更に驚いた。
まどかがあれを見る可能性なんて考えてもなかった。


「……それは、言えないわ」


知らないと嘘をつく事も出来たけど、それはやはり心苦しくて。

はぐらかしたりせずに、私はまどかを見詰め返した。




まどかは更に何かを聞こうとしていたが躊躇って、口を閉ざした。


「……全部終わったら、話すから」


見かねた私がそう言うと、まどかは私の顔を見てニコリと笑って頷いた。


「分かった。私、待つよ」

「……ありがとう」


丁度そう言った時、部屋の外から大きな音がした。
多分杏子当たりが、工場の扉を力任せに開いたのでしょう。


「暁美さーん、鹿目さーん!」


巴マミの声がして、私は先に立ち上がり、まどかに手を差しのべる。
まどかはそれを掴んで、よろよろと立ち上がった。


「肩、支えててあげるから」

「ありがとう。何だか、助けられてばっかり……」

「私もまどかに助けられてるわよ」

「そうかなあ?」


まどかは心当たりがないみたいで、うんうん悩んでいた。

いつかは、まどかが私を助けてくれた事も話せたらいいと、そう思う。



部屋から出ると、巴マミと杏子はホッとした様子で。
それから、少しだけ巴マミの方は怒ってるみたいでもあった。


「無茶をしちゃ、ダメよ。心配したんだから」


その言葉は少し意外で、私は拍子抜けした。
もっと他の事を聞いてくると思ってたのだけど。

きっと杏子が上手く説明してくれたのでしょう。
今度ご飯でも奢らないと。


「お説教中に悪いけど、今はこっちが優先、だろ?」


杏子は倒れている人々を見て言った。
そういえば、仁美も居るのをすっかり忘れていた。

まどかの事となると視野が狭まるのは、どうにかしなきゃいけないわね。




私達は手早く警察と病院に連絡して、この状況と工場の住所を伝えた。

さて、見られたら面倒だから早く退散しないと。


「仁美の事なら、大丈夫よ。もう何かに狙われたりしないから」

「うん。置いてってごめんね、仁美ちゃん」


まどかの手を引いて、工場を出た。

時間を見ると、中学生が制服のまま出歩くにはかなり遅くて、きっとまどかの親も心配してる筈。


「私は、まどかを家まで送っていくわ」

「そうね。もう暗いし、鹿目さん一人で帰らせるわけにもいかないわよね」


そう言いながらも、巴マミは僅かに不安そうな表情をしていた。

その表情で、彼女が何を考えてるのか検討がつく。


『明日、私の口からちゃんと説明するわ』


巴マミが小さく頷くのを確認して、私はまどかを抱き抱えてその場を離れた。



道中、まどかは意外にもあまり怖がらず、逆に楽しんでいるようでもあった。

さやかとは、大違いね。


まどかの家に着いたのは、工場を出てから十五分経ったくらい。

出迎えたまどかの父はかなり心配していたみたいで、まどかを見てホッと胸を撫で下ろした。


「遅くなってごめんなさい、パパ」

「いや、いいんだよ、無事に帰ってきてくれたらそれでね。ところで、君は?」


優しそうな瞳が向けられる。
まどかの父は、私の事まで心配してるみたいだった。


「暁美ほむらです。まどかさんとは同じクラスで、よくしてもらってます」

「君が暁美さんか。まどかから話は聞いているよ」




「君は、こんな遅くて大丈夫なのかい?」

「一人暮らしなので、時間の方は大丈夫です」


まあ今はシロが居るのだけど。
あの子、ちゃんとご飯……食べてなさそうね。


「その歳で一人暮らしだなんて、しっかりしてる……そうだ!今日は家でご飯食べていくかい?そのまま泊まっていってもいいんだよ」


父の提案に、まどかは瞳を輝かせた。
それを見たら、断るのはかなり気が引けたけれど、シロの事もあるし、今日は都合が悪い。


「ありがとうございます。でも、ちょっと家でしなければいけない事があるので、今日は御暇させて頂きます」

「うん、分かったよ。何時でも来てくれて、構わないからね」


帰り際、まどかが父親の後ろで凄い残念そうな顔をしていたけれど、テレパシーでまた今度と伝えると、パアッと笑顔になった。

果たしたい約束が、また一つ増えた。



私が帰宅すると、シロは飛ぶようにして出迎えてきた。


「おかえり、ほむら!」


相変わらず、帰宅直後はテンションが高い。
皆と居るときは、そうでもないのに。


「ご飯は食べたの?」

「まだだよ」

「そう。じゃあ用意するから」


シロが来てから、私は台所に立つようになった。
それまでは料理するのも面倒で、お惣菜で済ませたりしていたから、初日のご飯はかなり手間取った。

尤も、今となっては容易いものだけれど。


「シロ、そろそろ出来るわ」

「はーい」


こうして生活してると、シロがキュゥべえなのだということを忘れそうになる。

シロはそれくらい素直で、子どもみたいな子だった。



「さてと……シロ、私に話さなきゃいけない事があるんじゃないかしら?」


食事を終えて一息吐いてから、話を切り出す。
シロは、表情を消して頷いた。


「今日、鹿目まどかが巻き込まれた事、だね」

「そうよ。アナタは助けられると分かっていたかもしれないけど、万が一という事もあるわ。事前に教えてくれていてもよかったでしょう」


一歩間違えれば、まどかは死んでいた。
そうなったら、私はまた時間遡行する。

そして、一度はシロのいない時間を過ごさなければいけない。
それは想像すると、少しだけ寂しくて……。



「ごめんよ。でも、これは必要な事だったんだ」


まどかを危険に晒すのが、必要な事?
少し怒りが込み上げてきたけど、グッと堪える。


「今日、キュゥべえは君の正体を確信して、マミと杏子にそれを話した筈なんだ。不和を生み出す為に」


あれは確実に話したでしょう。
私達の結束は、インキュベーターにとっては厄介だろうから。


「ここで重要なのは二つ。一つはインキュベーターがこの時に初めて君の素性を知った事。二つ目は、マミがキュゥべえに君の正体を聞かされた事だ」


どっちも、面倒な状況になったのは変わらない。

こちらで上手く事を運びたかったのに、向こうに手を打たれたのだから。




「それで、その二つがどうしたのよ?」

「一つ目の方が、大事なんだ。君のしていた事をインキュベーター達が知っていたからこそ、僕は今こうして君と協力している。

知らなければ、僕に与えられた使命は鹿目まどかの殺害だったろうね」


言われれば、確かにそうだと思う。
私が居なければ、まどかを殺してしまう事が、最も簡単な解決法だろうから。


「それで、二つ目は?」

「二つ目の方は、明日の説明に関わってくる。はっきり言って、時間を遡ったなんて事をあっさり信じられる人、そうはいないだろう?

でも、奇跡を叶える者の口から聞かされれば、信憑性も増す。実際、僕はそれで煮え湯を飲まされたんだからね」




「と、とにかく、今回の事は、変えちゃいけない事だと思って黙ってたんだ。君を騙そうとか、陥れようとか、そんな事は考えてないから」


しどろもどろになりながら弁解するシロに、クスリと笑った。

何はともあれ、シロなりの考えがあったのだし、今回は許してあげましょう。


「そんなに慌てなくても、怒ったりしないわ。忘れてた、とかなら別だったでしょうけどね」

「忘れたりなんかしないよ!」

「ふふ、冗談よ。明日も早いから、お風呂入って寝るわよ」

「うん!」


笑顔のシロを見ながら、ふと考える。

一人だったら明日の事をあれこれ考えて、眠ったりなんか出来なかった筈。


……この子が居てくれて、本当に良かった。

調子に乗るから、本人に言ったりしないけど。


今回はここまで

次回更新は6日23時に



良い事が起こると不安になるまどマギワールド


メインヒロインは魔法少女QBだったか

スレタイでうんこマンかと思いましたはい

乙~
ほむほむの手料理とか俺も食べたい


シロ可愛いなチクショウ

短いので今日更新しちゃいます



side:鹿目まどか


翌日、仁美ちゃんは学校に来なかった。
どうやら今日は病院で検査入院中なのだとか。

病院側からは、集団夢遊病だとかで、先生が珍しく愚痴ったりせずに注意を促していた。


「仁美、大丈夫なのかな?」


HRが終わって直ぐ、さやかちゃんが話しかけてきた。

魔女の事は、言うわけにはいかないよね。
きっと心配させちゃうだろうし。


「大丈夫だよ。最近お稽古で大変だったみたいだし、それでなんじゃないかな」

「うーん、そうかなあ?」

「きっとそうだよ」




「あ、そだ。じゃあ今日の放課後にお見舞いに行こっか、様子見にさ」


さやかちゃんの提案は、受けられそうになかった。
今さやかちゃんと仁美ちゃんを会わせるのは、良くない気がした。


「今日は私が行くから、さやかちゃんはまた今度……ね?」

「えぇー。なら一緒に行けばいいじゃん」


本当の事を話すわけにはいかないし、どうしたらいいんだろう。
私が頭を悩ませていると、ほむらちゃんがやって来て助けてくれた。


「さやかは今日、私から話があるからダメよ」

『仁美の事は、お願いね』


ほむらちゃんの言葉が頭の中に響いて、私は小さく頷く。


それを見てから、ほむらちゃんはさやかちゃんを適当にあしらって丸め込んでしまった。

やっぱり凄いなあ……。




放課後になって、私は一人、仁美ちゃんのお見舞いに向かった。

病院に着くと、警察の人とか記者らしき人とかも居て、何だか慌ただしい感じがした。

受付で仁美ちゃんの病室を聞いて、早歩きで向かう。

言われた病室のドアをノックすると、直ぐに明るい声が返ってきた。


「あら、まどかさん。来てくれたんですね」


仁美ちゃんは笑顔で迎えてくれて、元気そうで安心した。


「仁美ちゃん、体の調子はどうなの?」

「全然問題ないですわ。でも、お父様もお母様もゆっくりしなさいって。

それに、今は学校も行き辛いのもあって……って、何だか愚痴っぽくなってしまいましたね。今のは、忘れてください」



仁美ちゃんは笑ってみせたけど、それはやっぱり無理をしているって直ぐに分かる。

こんな時、ほむらちゃんならどうするんだろう。
そんな事を考えてもみたけど、それを真似しても私に上手く出来るとは思えない。


結局、私は私の出来ることをするしかないんだよね。


「仁美ちゃんは、上条君の事好きだったの?」


私の言葉に、仁美ちゃんは目を丸くした。


「上手く隠せてると思ってたんですけど、バレてましたか」

「ううん。それに気付いたのは、昨日だよ」

「ああ、なるほど。流石に昨日は、私も隠し通せたり出来なかったんですのね」


仁美ちゃんはそう言って、ホントの気持ちを隠す為にか、楽しそうに笑った。




「ええ、そうですわ。私は、上条恭介君の事をお慕いしておりました……いえ、多分今もまだ」


笑うのを止めて、真剣な表情をした仁美ちゃんはそう言った。


「さやかさんが上条君の事を好きなのは、当然承知してました。だからあの二人が恋仲になるのなら、それはそれで構わないと、そう思ってましたの。でも……」


言葉を切った仁美ちゃんは本当に辛そうだった。

それでも彼女はそれを堪えて、続きを話そうと口を開いた。


「でも、現実に直面したら、私の気持ちはあっさりと揺らぎましたわ。おめでとうございますって言うと決めてたのに、さやかさんが恨めしくて仕方ない。そして、そう思ってしまう自分が、何より嫌でした。

その気持ちに整理をつける為に、こうしていますわ」



「さやかさんには、この事は言わないでくださいね。恋が実ったさやかさんに、気を遣わせたくありませんもの」

「仁美ちゃんは、優しいね」

「そんな事ないですわ。もし別れたりしたら、グーで殴る予定ですもの」


そう言いながら拳をグッと突き出して、仁美ちゃんはウィンクしてみせる。

それから二人で顔を見合わせて、一緒に笑った。


「その時は、私も仁美ちゃんの仲間になるよ」

「ふふ、そうならないことを、祈ってますわ」


>>370訂正


「ごめんなさい、まどかさん。本当に愚痴を言ってしまいましたわ」

「謝らないでいいんだよ。だって、そもそも私から聞いたんだから」

「では、ありがとうと、言わせてください。話したらずっと気持ちが楽になりましたから」


仁美ちゃんは確かに話す前とは打って変わって、肩の荷が降りたような、そんな力の抜けた表情をしていた。


「さやかさんには、この事は言わないでくださいね。恋が実ったさやかさんに、気を遣わせたくありませんもの」

「仁美ちゃんは、優しいね」

「そんな事ないですわ。もし別れたりしたら、グーで殴る予定ですもの」


そう言いながら拳をグッと突き出して、仁美ちゃんはウィンクしてみせる。

それから二人で顔を見合わせて、一緒に笑った。


「その時は、私も仁美ちゃんの仲間になるよ」

「ふふ、そうならないことを、祈ってますわ」




仁美ちゃんは明後日から学校に来るとかで、少しのんびりしますわと言って、笑っていた。

その笑顔を見て大丈夫そうだと分かり、少し気持ちが軽くなった。



その帰り道、鼻歌混じりに歩いていると、前の方からどこか見覚えのある女の子が向かってくるのに気付いた。

あれは……校門でほむらちゃんを待ってた、珍しい髪の女の子?


「こんにちは」


話し掛けられて、ビックリしてしまう。
この子の事はチラッと見ただけで、話したりした事なんてなかったから。


「僕の名前はシロ。ほむらと同じ、魔法少女だよ」


ほむらちゃん達と一緒に居たんだから、それは何となく予想していた。


「それで、シロさんは、どうしたんですか?」


そう尋ねるとその女の子は、少し怖くなるくらい、感情のない声で言った。


「君に、お願いがあって来たんだよ、鹿目まどか」


今回はここまで

次回更新は8日23時に

乙!

乙でっす

くそう
気になるところで終わらせやがって


シロはシロでまだ話してない目的があるかもな
ほむらとの不和を招かなきゃいいが

QBとシロの狭間で

更新していきます



side:暁美ほむら


仁美のお見舞いに向かうまどかを見送った後、私達は巴マミと合流して彼女の家に向かった。

その道中、巴マミはやたらと緊張した趣きだったのだけど、さやかがひたすらくだらない事を話していたお陰で、空気が重たくならずに済んだ。


家に着くと、いつもの部屋には杏子が既に居て、まるで我が家の様に寛いでいた。


「いらっしゃい。適当に座んなー」

「アンタの家じゃないでしょーに」

「おっ、さやかじゃん。アンタも来たのか」


仲良く会話している二人を尻目に、私は隅の方で丸まっているインキュベーターを発見。

元々シロから居るのは聞いていたし、驚いたりはしない。


でも、アレが居るから、シロは今日も家でお留守番をしている。
連日だし、帰りに何か買ってあげようかしら。



「なあ、あれからアイツとはドコまで行ったんだよ?」

「べ、別に杏子には関係ないでしょっ!」

「へぇ、その様子だとちゅーくらいはしてそうだな」

「ほ、ホントなの!?ちょっと詳しく聞かせなさい美樹さん!」


何やら知らぬ間に人数が三人になって、会話もヒートアップしていた。

このままだと際限なく盛り上がっていきそうなので、私は手を叩いて話を中断させる。


「今日の目的は、そっちじゃないでしょ。私の話が終わったらにしなさい」


二人は渋々といった様子でさやかから離れた。

なんというか、私から説明する必要なんてないような気がしてきた。
まあ、一応するのだけど。



それから私は、多くの事を話した。


私が、未来から来た事。
ワルプルギスの夜が現れるその日から、一ヶ月前に遡っている事。
そしてその一ヶ月間を、何度も繰り返している事。


それを聞く巴マミは、不安そうな表情をしていた。
それは、私がワルプルギスの夜に敗れ続けていると言ってるみたいなものだから。

そんな彼女に気付きながらも、私は話を続けた。


まどか達との初めての出会い。
過去へと遡る事を願い契約した事。
まどかと交わした約束。
そして、沢山の失敗と、沢山の死。


皆は、自分達が死んだ時の話を聞いて、少なからず動揺したみたいだった。



色々な事を話しながら、魔法少女が魔女になってしまう事だけは伝えなかった。


ワルプルギスの夜が来るまで、残りは一週間と少し。
ここまで来たら、誰かが魔女化する事なんて考えられない。

唯一の不安要素はインキュベーターくらいだけど、隅で聞き耳を立てるキュゥべえは特に関与してくる様子も無かった。

それに仮に話されたとしても、精神的に余裕のある今なら巴マミも直ぐに自殺するなんて結論は下さない筈。

彼女には、全てが終わった後でゆっくり話していけばいい。


そんな風に考えてると、話してる間ずっと何か悩んでいる様子だった巴マミが、口を開いた。


「つまり暁美さんは、ずっと鹿目さんの為に、この一ヶ月を繰り返していたのよね?」


その質問と少し寂しそうな表情で、彼女が本当は何を聞きたいのかが、直ぐに分かった。


「そうよ。私はまどかとのたった一つの約束だけを見詰めて、今まで過ごしてきた。私の全ての行動は、鹿目まどかの為にあったと言ってもいい」




「でも、私はこの時間軸で、少しだけ変わったわ」


今までの私は、一ヶ月という短い期間内で皆との距離を縮めるのに必死で、心まで許した事なんてなかった。

でも、この時間軸には私の目的を知るあの子が居て、支えられて、心に余裕が出来た。


その分だけ、皆に近付けた。
その分だけ、皆の事を想えた。


「今の私は、アナタ達とした小さな約束だって、大切にしたいと思ってる」


「皆は知らない、かつて果たせなかった約束も、今目の前に居るアナタ達と果たしていきたい」


「過去ばかり見てきた私が、未来を想って今ここに居るわ」


「だから、私の一番大切な約束を果たすのを手伝って。私と一緒に、まどかを救うために戦って」


「それが終わったら、私は前に進めるから。それが果たせたら、皆との約束を、一番に出来るから」




その言葉は、自然と口から出てきて、正直に言えば、私自身そんな気持ちがあったのかと驚いている。

そしてそんな私の事を、目の前の三人は穏やかな笑みを浮かべながら見てきていた。


「な、何よ?」

「いいえ。なんだか、暁美さんって可愛いなって思って」


巴マミの言葉に同意する様に、他の二人が頷いた。


「と、突然何を言い出すのよ!?真面目に言ってるのにッ」


急な事で、頬が熱くなっていくのを感じる。
三人はそれを見てか、更に明るく笑った。


「そういうところが、だよ。ほむらはさ、たった一つの約束を守りたくて、頑張ってきたんだろ?その上で、アタシ達とした些細な約束の事だって考えてくれてる。
それはさ、やっぱり凄い事なんだよ。

それで、そんな健気なほむらを可愛いと思うのは、全然不思議じゃないだろ?」




杏子の言葉なんて、普段だったらさらっと流せるのに、珍しく真面目な表情で言うものだから、私はそう出来なかった。


「そ、そんな事はどうだっていいから、協力してくれるのかどうか、ハッキリしなさい!」


声を荒らげ、色々と誤魔化しながらそう言う。

すると、皆が近付いてきて、私は少し身構えた。
でも、三人は特に何をする訳でもなく、ただ私の手を取って、そこに自分達の手を重ねた。


それだけで、言葉は要らなかった。


重ねられた手のひらから皆の気持ちが伝わってきて、心がスッと落ち着いていく。

私は、優しげな表情でこっちを見てくる皆を見返して、小さく呟いた。


「……ありがとう、みんな」




礼を言った瞬間、皆が飛び付いてくるものだから、私達は揃って床に転がった。


「ちょっと、危ないじゃない!」


そんな抗議の言葉はそっちのけで、三人は私を撫でたり抱き締めたりと、ベタベタしてきた。


「もー、ほむらも私の嫁にするしかないなー!」

「さやかにはもう、旦那が居るだろ?」

「あ、そうよ美樹さん!そこのとこ、詳しく聞かせなさい!」


ゲッと声を漏らすさやかに、私はここしかないと、巴マミに同調する。


「そうよ、しっかり話しなさい。それで、私からちょっと離れなさい!」




それから、私達は起き上がって机を囲んだ。
ただ、私の状況は改善されたとは言い難かった。


「それで恭介がー」


私を膝に乗せて、後ろから抱き抱えながら話すさやかの言葉が、遠くから聞こえてる様に感じる。

……どうしてこうなるのよ。


「十分で交代だからな」

「わーかってるって」


最早ペットか何かの様な扱い。
しかも、今の三人は満足するまで私を解放しない気がする。

小さく溜め息を吐いて、私は諦めることにした。


「杏子、クッキー取ってくれるかしら?」

「ほいよ、アーン」

「ああッ、杏子だけズルい!」

「暁美さん、次は私に頼んでね!?」

「次は私!」

「はいはい、順番に頼むから、落ち着きなさい」




結局、私達は日が沈みきるまで、ずっと話し込んでいた。

その間私はずっと皆の膝の上に乗せられたり、撫で回されたりした為、正直かなり疲れた。


「じゃあ、私達は帰るから。おやすみなさい」

「また今度ね、マミさん、杏子」


巴マミと、彼女の家に上がり込んでいるらしい杏子に別れを告げ、さやかと二人で帰路につく。

今がちょうどいいと、私は今日さやかを呼んだ理由を伝える事にした。


「さやか、アナタにお願いがあるのだけど、いいかしら?」

「お願いって?」

「まどかの事よ。ワルプルギスの夜がくる日に、あの子が無茶したり、契約したりしない様に傍に居て見てて欲しいの」




さやかは、そんな事かといった様子で頷いた。


「ん、りょーかい。その代わり、私からもいい?」

「ええ、構わないわ」


そう答えたのに、彼女は何かを考えるように、押し黙ってしまう。

少し心配しながらさやかの言葉を待っていると、さやかは突然顔を上げて話し出した。


「ほむら達はさ、なんたらって、超強い魔女と戦うんでしょ?それで言いづらいけど、ほむらはそれに勝てた事がない」

「そうね。でも、今回こそ勝つわ」

「うん、私もそうなるって信じてるよ。だけど、万が一って事もある。だからもしさ、ほむら達が勝てそうになかったら、私の事呼んでよ。私も契約して、一緒に戦うから」




そう語るさやかの眼差しは真剣そのもので、彼女が私達の事を大切に思ってくれてるが伝わってきた。


「ありがとう、さやか。私達の事心配してくれて。でも、それを了承する事は出来ないわ」


さやかの目付きが鋭くなる。
抗議する様な視線に促されて、私は続けて言った。


「魔法少女には、まだ話していない秘密があるの」

「秘密?」

「そうよ。それを聞けば、何故私がアナタに契約してほしくないのかも、まどかが私に契約の阻止を頼んだのかも分かるわ」


声を落として話すと、さやかはゴクリと唾を飲み込んだ。
それが簡単なものではないと、分かってくれたみたいだった。




やがて、さやかは頬を数回叩くと、決意の籠った眼差しを向けてきた。


「話して」


短く言うさやかから、覚悟を感じる。
さやかは、何を言っても引き下がってくれそうになかった。


「……魔法少女の秘密。それは、ソウルジェムに隠されてるわ」


そう言って、私はソウルジェムを取り出してさやかに見せる。


「これには、私の魂が入ってるの。これが離れたり、砕けたりすれば私は死んでしまう。魔法少女は、皆そうなの。

そして、このソウルジェムが穢れて黒く染まり切ったとき、私達魔法少女は、魔女になるのよ」


秘密を知ったさやかは、驚きと怒りに満ちた表情をした。




「何よそれ!?キュゥべえの奴、そんな事言わなかったじゃん!」

「ええ。アレの目的は、魔女化した時に生じるエネルギーの回収。それには、私達には黙っていた方が効率が良いと考えてるから」


さやかは、今にも巴マミの家に戻ってインキュベーターを殴ってしまいそうなくらいに怒っていた。


「マミさん達は、知ってるの?」

「巴マミは知らないわ。彼女には、全てが終わってから話すつもりよ」

「そっか……」


さやかの怒りが一気に萎んで、嘆きに変わっていく。
それを見て今しかないと、私はさやかの説得にかかった。


「だから、さやかには契約しないでほしいの。一度契約してしまえば、この運命から逃れる術は無いから」




さやかは私をジッと見詰めてきた。
優しさに満ちたその瞳が、秘密を知った後でも彼女の意志が変わってないことを語っていた。


「全部、分かったよ。でも、私はほむら達の為なら、契約しても構わない」

「そんなの……じゃあ、上条君の事はどうするのよ?」


上条恭介の名を出すと、さやかは言葉を詰まらせたけど、それも一瞬の事で。


「だったら、恭介にも全部話すよ。腕の事も、魔法少女の事も」

「それで、上条君に拒絶されたら?ソウルジェムは、絶望でも濁っていくのよ?」

「そん時は、ほむら達が支えてくれる。そうでしょ?」




最早、さやかの意志はテコでも動きそうになかった。

そもそも私には、こうすると決めた美樹さやかの行動を変えるなんて、出来た試しがなかった。


「……分かったわ。でも、私達の知らない場所で契約したりしないで。それが条件よ」

「ん!……つってもまあ、私の決意は保険だからね。ほむらが勝つって、信じてるよ」

「勿論。でもさやかが決めた事なんだから、私達が危なくなったらちゃんと来てくれないと怒るわよ。一応言っておくけど、外は酷く荒れるから」

「ウッ……ガンバリマス」

「自信無さげね」

「頑張ります!」


私達は並んで歩きながら、高らかに笑った。

さやかの為にも、私は頑張らなきゃいけない。
そう思ったけど、それは決して荷物なんかではなくて、むしろ支えてくれるモノで。


明日皆にも話したら、どんな反応するのかしら。
そんな事を考えながら、私は夜空を見上げて、帰っていった。

今回はここまで

次回更新は11日23時に

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>>136>>271>>40>>259>>381>>299>>280>>140>>103>>5>>35>>273>>394>>218>>197>>339>>382>>176>>199>>156
>>218>>250>>26>>344>>269>>115>>271>>151>>115>>195>>286>>386>>234>>135>>357>>123>>4>>86>>225>>8>>121
>>402>>339>>285>>330>>310>>50>>119>>55>>196>>336>>304>>221>>269>>163>>336>>130>>313>>41>>324>>189
>>148>>323>>372>>270>>327>>48>>84>>334>>168>>172>>326>>96>>46>>246>>405>>95>>364>>50>>291>>289>>354
>>148>>106>>27>>278>>8>>67>>191>>196>>82>>339>>109>>44>>198>>25>>92>>282>>359>>259>>43>>275>>355
>>110>>350>>183>>63>>399>>64>>352>>342>>165>>90>>38>>191>>367>>45>>257>>148>>241>>339>>76>>350>>382
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>>3>>171>>370>>398>>124>>114>>213>>2>>254>>377>>142>>267>>123>>101>>79>>132>>184>>278>>119>>161
>>177>>389>>353>>231>>151>>42>>94>>53>>112>>188>>56>>283>>148>>44>>407>>261>>256>>408>>105>>222
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>>222>>388>>383>>220>>242>>285>>87>>197>>77>>134>>74>>230>>388>>156>>269>>225>>333>>250>>373>>366
>>167>>209>>383>>74>>61>>162>>404>>340>>116>>204>>151>>94>>176>>370>>335>>50

>>273>>5>>15>>343>>385>>40>>378>>180>>347>>316>>14>>257>>42>>354>>375>>323>>53>>150>>239>>370>>311
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>>267>>3>>263>>391>>99>>27>>32>>173>>346>>287>>75>>237>>373>>197>>397>>128>>388>>88>>26>>122>>274
>>354>>263>>152>>229>>299>>256>>401>>356>>399>>257>>358>>252>>237>>46>>279>>268>>219>>214>>145>>294
>>107>>80>>27>>235>>57>>114>>261>>179>>388>>93>>123>>240>>244>>351>>128>>90>>341>>73>>79>>187>>20
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>>223>>49>>306>>20>>121>>55>>319>>315>>44>>43>>40>>161>>266>>105>>350>>158>>358>>149>>379>>214>>14
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>>159>>323>>94>>268>>212>>256>>11>>140>>169>>19>>173>>22>>184>>154>>23>>318>>347>>38>>21>>71>>216
>>298>>56>>277>>74>>121>>187>>31>>50>>161>>189>>373>>255>>47>>175>>101>>57>>314>>269>>75>>77>>291
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>>55>>108>>60>>112>>12>>329>>186>>89>>209>>34>>319>>112>>200>>76>>52

>>500>>336>>374>>198>>253>>299>>450>>233>>170>>203>>292>>359>>377>>476>>175>>383>>461>>300>>256
>>201>>167>>262>>437>>319>>384>>178>>483>>381>>349>>360>>380>>185>>233>>428>>289>>382>>378>>372
>>431>>164>>262>>307>>490>>287>>190>>451>>438>>296>>406>>489>>314>>167>>425>>483>>402>>454>>466
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>>242>>209>>367>>407>>227>>292>>389>>479>>246>>355>>260>>399>>179>>273>>236>>438>>213>>213>>227
>>413>>270>>480>>275>>425>>387>>479>>365>>333>>282>>243>>425>>342>>461>>331>>419>>252>>220>>398
>>426>>158>>247>>455>>281>>334>>393>>344>>398>>471>>225>>310>>241>>204>>436>>165>>442>>414>>381
>>196>>474>>199>>388>>435>>381>>307>>187>>451>>204>>385>>376>>212>>483>>331>>343>>316>>224>>186
>>194>>261>>373>>286>>316>>308>>301>>258>>222>>181>>382>>268>>155>>431>>155>>440>>311>>312>>477
>>367>>362>>489>>429>>344>>319>>271>>160>>394>>308>>223>>439>>420>>447>>224>>236>>254>>375>>344
>>406>>226>>445>>411>>156>>451>>351>>317>>262>>327>>430>>480>>189>>418>>408>>384>>237>>179>>394
>>338>>467>>420>>258>>413>>494>>344>>167>>369>>188>>344>>274>>264>>288>>185>>271>>239>>386>>439
>>213>>368>>330>>253>>285>>238>>487>>373>>267>>380>>353>>455>>347>>273>>212>>259>>266>>407>>277
>>446>>471>>259>>210>>259>>294>>331>>348>>180>>269>>199>>244>>487>>380>>347>>272>>469>>333>>495
>>212>>348>>190>>410>>471>>253>>168>>237>>160>>296>>222>>456>>267>>331>>166>>376>>476>>347>>224
>>466>>274>>250>>453>>154>>447>>224>>473>>280>>219>>208>>343>>418>>249>>252>>389>>353>>271>>476
>>417>>197>>319>>183>>379>>335>>410>>354>>181>>485>>361>>498>>259>>461>>450>>263>>408>>174>>236
>>244>>294>>381>>161>>393>>484>>400>>245>>254>>376>>459>>171>>423>>278>>204>>302>>463>>465>>155
>>450>>367>>493>>208>>327>>442>>321>>235>>467>>407>>273>>211>>201>>154>>223>>445>>489>>474>>190
>>349>>500>>264>>272>>277>>319>>424>>239>>283>>430>>234>>232>>296>>226>>290>>474>>168>>462>>209
>>369>>332>>196>>421>>337>>269>>365>>325>>242>>406>>418>>442>>405>>181>>213>>181>>350>>487>>271
>>417>>355>>215>>212>>431>>356>>186>>450>>318>>245>>435>>186>>428>>482>>458>>265>>250>>322>>440
>>228>>358>>284>>483>>390>>347>>163>>239>>334>>285>>222>>251>>490>>288>>314>>421>>495>>350>>370
>>445>>304>>349>>373>>285>>306>>488>>386>>479>>428>>229>>207>>285>>363>>189>>174>>210>>203>>264
>>338>>337>>496>>328>>476>>309>>248>>471>>158>>468>>282>>454>>272>>482>>326>>408>>288>>314>>294
>>241>>373>>324>>377>>236>>363>>402>>296>>417>>166>>190>>255>>353>>185>>433>>329>>344>>180>>299

>>296>>27>>392>>41>>337>>90>>248>>376>>127>>297>>34>>426>>486>>405>>215>>241>>238>>212>>296>>61
>>115>>384>>64>>447>>159>>324>>391>>118>>451>>40>>413>>478>>432>>453>>315>>22>>201>>190>>148>>497
>>73>>483>>128>>288>>223>>366>>499>>19>>427>>437>>133>>311>>500>>79>>469>>323>>470>>87>>274>>10
>>252>>441>>452>>66>>463>>152>>255>>111>>149>>479>>183>>131>>107>>471>>354>>472>>469>>372>>398>>405
>>209>>405>>84>>177>>228>>53>>263>>1>>62>>262>>252>>3>>213>>318>>465>>365>>72>>75>>13>>51>>258>>144
>>228>>497>>128>>197>>369>>26>>102>>373>>234>>6>>456>>411>>233>>9>>174>>234>>70>>435>>486>>73>>148
>>38>>12>>375>>112>>25>>425>>370>>168>>81>>98>>165>>209>>294>>33>>234>>395>>405>>468>>401>>361>>378
>>369>>51>>368>>439>>486>>354>>12>>134>>156>>49>>145>>31>>161>>170>>456>>30>>338>>36>>127>>2>>245
>>34>>479>>316>>439>>446>>216>>300>>324>>350>>168>>375>>217>>107>>361>>70>>118>>494>>226>>166>>139
>>326>>308>>211>>356>>145>>247>>483>>147>>492>>403>>181>>470>>218>>119>>416>>434>>418>>239>>284>>86
>>1>>192>>474>>71>>310>>467>>296>>475>>105>>52>>301>>413>>263>>157>>58>>10>>139>>204>>1>>41>>384
>>259>>3>>386>>193>>421>>125>>477>>6>>238>>477>>198>>211>>47>>7>>178>>342>>482>>282>>394>>283>>195
>>439>>252>>166>>77>>456>>166>>118>>340>>136>>377>>343>>22>>70>>263>>146>>46>>269>>383>>22>>466>>93
>>473>>271>>411>>455>>52>>304>>238>>247>>460>>176>>499>>125>>253>>454>>291>>371>>294>>427>>248>>136
>>318>>399>>93>>363>>167>>475>>385>>133>>68>>453>>106>>338>>363>>60>>390>>167>>297>>137>>127>>473
>>252>>226>>88>>42>>97>>382>>469>>344>>17>>416>>162>>415>>9>>24>>82>>484>>409>>214>>52>>361>>319
>>224>>379>>280>>391>>176>>416>>17>>149>>50>>268>>374>>138>>310>>471>>19>>278>>315>>35>>194>>476
>>202>>499>>31>>186>>408>>245>>237>>269>>63>>126>>493>>441>>405>>383>>117>>321>>399>>265>>370>>167
>>7>>476>>109>>26>>254>>423>>60>>447>>398>>10>>149>>397>>41>>334>>304>>285>>71>>73>>348>>197>>65
>>102>>447>>405>>422>>346>>169>>292>>12>>307>>298>>488>>415>>323>>241>>337>>383>>188>>235>>393>>337
>>433>>171>>436>>218>>241>>8>>65>>438>>72>>353>>39>>18>>257>>460>>364>>426>>252>>376>>232>>49>>363
>>372>>104>>483>>255>>292>>218>>148>>128>>349>>81>>298>>284>>298>>39>>291>>363>>476>>362>>215>>14
>>472>>474>>243>>397>>225>>118>>129>>274>>481>>275>>146>>84>>258>>401>>376>>475>>48>>3>>324>>128
>>107>>426>>339>>398>>288>>315>>260>>3>>328>>139>>474>>302>>382>>371>>27>>499>>500>>301>>480>>274
>>64>>31>>347>>439>>6>>394>>441>>329>>22>>242>>435>>447>>80>>333>>234

乙やねん


膝乗りほむら可愛い


順調に進んでることが逆に怖い

そして忘れられるシロへの買い物……

更新していきます



side:シロ


「君に、お願いがあって来たんだよ、鹿目まどか」


そうまどかに言いながら、彼女の怖がるような表情を見て、僕はしまったと思った。

表情というものにも慣れてきたつもりだけど、真面目な話をする時はまだ無表情になってしまう。

もっと自然に、意識しなくても笑ったりしたいのだけど。
ほむらが帰ってきた時とかは、出来るのに。


「お願い……ですか?」


鹿目まどかの小さな声に、ハッと我に返る。

感情を持った事の欠点は、色々な考えに振り回される事だと思う。

僕に感情が無かった時の様に、淡々と一つの事をやり遂げるのは、今となっては難しい。


尤も、それが良いことだと思う時も、やっぱりあるのだけど。




とにかく、早くまどかに説明して、家に帰らないと。
ほむらには黙って出てきたから、彼女が帰った時には家に居ないと、きっと心配させてしまう。


「そうだよ。これは、凄く大事なお願いなんだ。君にとっても、ほむらにとっても」


ほむらの名前を出すと、まどかは簡単に興味を示した。

その様子を見て、また感情について色々考えそうになって、僕は頭を横に振った。


まどかが少し不思議そうな顔をしていたのは、見なかった事にしよう。


「聞いてくれるかい?」


まどかは、おずおずと頷いた。
僕の事はちょっと恐いけど、聞くだけ聞いてみよう。
多分まどかは、そんな風な事を考えてるに違いない。




「一週間後くらいに、この見滝原の街に伝説の魔女がやってくる。僕達はこの街を守る魔法少女として、それと戦うんだ」


それを聞いて、まどかは不安そうに眉をひそめた。

僕と比べると遥かに表情豊かなまどかは、何を考えてるのか凄く分かりやすい。


「君には、その戦いを見届けてほしいんだ」


正確に言えば、戦いを見届けてほしいのはまどかではなく、当日まどかの傍に居る筈のキュゥべえの方。

キュゥべえが戦いを見届ければ、今回僕達が敗れたとしても、その敗因を次には把握できるだろうから。

少しネガティブな考えだけど、保険をかけておいて損はない。




「それは……どうしてなんですか?」

「申し訳ないけど、理由を言うわけにはいかない。ほむらの秘密に関わるからね。ただ教えられるのは、これは暁美ほむらを救うための行動だという事だけだよ」


言ってて、少し寂しくなる。

この選択が意味を持ち、そしてほむらが救われる時、それを成すのは今の僕じゃなくて、次のシロだ。

彼女が救われるならそれでいいと思う一方で、どうしても僕自身の手で救いたいと思う気持ちもあった。


「僕の頼みを、聞いてくれるかい?」


自分の気持ちを押し殺して、まどかに聞く。


ハッキリ言えば、まどかの出す答えなんて、聞かずとも分かっていた。

ほむらが話す鹿目まどかは、とても優しかったから。


少し悩んで、まどかは頷いた。




その後、当日の事を説明し、ほむらには今日の事を話さないよう約束させて、僕はまどかと別れた。

話は思ったよりも長くなってしまって、既に日も沈んでしまっていた。


少し焦りながら、急ぎ足で帰宅する。

ほむらが戻る前に帰れるといいけど。
ずっとそんな事を考えていると、家までもうすぐというところで突然声を掛けられた。


「シロ?」


その声は、振り返らなくても誰のものか分かった。

恐る恐る振り返ると、そこにはやっぱりほむらが居て、そしてとても上機嫌そうだった。


「もしかして、迎えに来てくれたの?」

「う、うん、そうだよ。迎えに来たんだ」




嘘を吐くのは忍びなかったけど、仕方がない。

本当の事を話したら、ほむらはきっと凄く怒るだろうから。


「ありがとう。連日お留守番で、寂しかったのかしら?」


ほむらがポンポンと頭を撫でてきて凄く嬉しい筈なのに、罪悪感で胸が痛い。

僕は、頭を撫でるほむらの手を取ってギュッと握った。
ほむらはそれを答えだと思ったらしく、ほむらも僕の手を握り返してきた。


「じゃあ、このまま帰りましょうか。お土産も買ってきたから、ご飯の後で一緒に食べましょ」


にこやかに笑って、手を引いていくほむら。
彼女の優しさに、僕は胸が締め付けられていくのを感じた。




前を歩くほむらの後ろ姿を見ながら、僕は言い様のないモヤモヤした気持ちに頭を悩ませる。


この感情は、どういうものなんだろう。


嬉しいとか楽しいとか、悲しいとか寂しいとか、僕はそんな感情を色々体験してきた。

でも、胸の奥を締め付けてくるような、そんな感情を僕は知らない。


どうして、ほむらの事を助けたいと思えば思うほど、キュッとするんだろう。


ねぇ、ほむら。
まどかの事を助けたいと思う時、君も同じ気持ちになるのかな?


その疑問は、言葉にはならなかった。


ただ僕は不思議と、そんな風に思われるのは、とても羨ましいと思った。


今回はここまで

次回更新は14日23時に


ほむらの場合は、少なくとも主観では自分がずっと継続しているけど
シロは失敗したら明確に「次の自分」になるわけか
ループに囚われてるというのは似てるようでこれは大きな違いだな

乙です
切ないです

QB「こんなに苦しいのなら…悲しいのなら…感情なんていらない」

無駄かもしれなくても、命が足掻く理由は、そこにある

遅くなりましたが更新していきます



side:暁美ほむら


三日後、ワルプルギスの夜がやって来る。

その日までに現れる最後の魔女を倒して、私はホッと胸を撫で下ろした。

ここまでは無事に辿り着いた。
後は打ち倒すだけ。

そうすれば私はようやく未来に進める。


勿論、ワルプルギスの夜に勝利したところで私達が魔法少女であることには変わりないし、未知の領域に不安を感じもする。


でも、今の私には皆が居る。

皆と一緒なら、どんな障害でもきっと乗り越えられる。


そんな柄にもない事を考えて、私は自嘲気味に笑った。

全く、私はどれだけ変わっていくのかしら。


ぼんやりと佇んでいると、そんな私のところに杏子が近付いてきた。


「ほむらも使っとけよ」


そう言って、杏子は私にグリーフシードを投げ渡してくる。

私のソウルジェムはそんなに濁ってなかったけど、一応使っておく事にした。



ソウルジェムにグリーフシードを当てながら、ふと気になって巴マミと会話するシロの方に目を向ける。

チラッと見えた胸元の砂時計が僅かに濁って見えて、私は自分のソウルジェムが穢れを吸いきるのを確認してシロに近付いた。


「シロ、アナタも使っておいたら?」


そう声を掛けると、会話を中断したシロが、不思議そうな顔をしながら振り返った。



「僕はさっき使ったばかりだから、大丈夫だよ?」


シロは胸元の砂時計を手にとって、揺すってみせた。

相変わらず動いてるのか止まってるのか分からないくらいゆっくりと落ちている砂は、真っ白に輝いていた。


「そう、ならいいのよ」


魔法少女シロに、砂時計以外の装飾品は一切なく、器の中の砂がシロのソウルジェムなのだとか。

長い時を過去に遡る為に殆どの力を使ったから、魂を武器にするしか無かったんだと思う、とシロは言っていた。


他にも、シロは願いと魔法の関係について色々と言っていたのだけど、あまり覚えてない。

使えれば、それでいいのよ。




そんな事を考えていた私に、巴マミが手を差し出して言った。


「暁美さん、それ、受け取っておくわね。帰ったらキュゥべえに渡すから」


私は頷いて、グリーフシードを巴マミの手のひらに置いた。

彼女は、以前と同じように私に接してくれている。
話を聞いた後でも、私は彼女にとって妹分である事には変わりないらしい。

実際、始まりの頃はその関係だったのだし、それでいいと思う。


「これで、もう魔女は出ないのよね?」


ソウルジェムをしまいながら、巴マミが聞いてくる。


「そうよ。だから、明日と明後日はゆっくり出来るわ」

「ならさ、明日皆で集まって、お泊まりしよーよ」




杏子が、後ろからのし掛かってくる。
私は少しよろけながらも、身を任せてくる杏子を支えた。


「さやかと、まどかって奴も呼ぼうよ。ほむらのお姫様がどんなのか気になるしさ」


杏子の声にからかいの色を感じて、やれやれと肩を落とす。

真実を話した日以来、皆は私の事をやたらと可愛がってくる。
特に杏子はそれが顕著だった。

その理由も分かっているから、好きにさせているけど。


「はいはい。でも、そうなったら巴さんと同じ布団で寝られないわよ」

「なッ!マミ、話したのか!?」

「ふふ、だって佐倉さん可愛いかったから。枕抱えて、一緒に寝よ?なんて言うんだもの」

「杏子はそんな事も言うんだね。意外だなあ」

「こ、こら!今のはウソ、ウソだかんな!」




赤面しながら弁解してくる杏子に、私達はクスクスと笑う。


「場所はどうしようかしら。また私の家で……って、シロさんはキュゥべえが苦手なのよね」


巴マミは騒ぐ杏子を押さえながら言った。

シロがインキュベーターに存在を知られたくない理由は、アレがシロに悪戯してくるから苦手、という事になっていた。


「私の家でいいわ。巴さん家ほど広くはないけど、大丈夫よ」

「そう?ならよかったわ。シロさんとも、ゆっくりお話ししたかったから」

「うん。僕もそう思うよ」

「お前らアタシの話聞いてんのかー?」


それから、私達は明日の予定を色々と話し合ってから解散した。




その帰り道、シロの足取りはいつもよりずっと軽快で、ニコニコと嬉しそうに笑っていた。


「お泊まり会、楽しみ?」

「うん!」


感情を露にするシロ。
初めて出会った頃を考えると、シロはかなり変わった。
いや、変わったというよりは、育ったという方が正しいのかもしれない。


昔は笑顔も、何処か作り物っぽかったのに、今は自然な笑顔になっている。
会話だって前までは淡々としていたのに、最近では感情も込められている。

なんとなくそんな変化が微笑ましくて、私は穏やかな気分になった。


「シロにも準備、手伝ってもらうわよ」

「任せてよ!」


今回はここまで

次はまとめて更新したいので、次回更新は不定です
一週間以内には更新します




予定としては、次の次からワルプル入るので、頑張ります

乙!


シロになってからの変化、というのがなにか嫌な予感がするのは
虚淵ックに毒されすぎなのか


今はただ、シロさんの意外な可愛さに浸ろう


シロが幸せになれますように


ああ可愛いなぁ
皆でずっとイチャイチャしてるだけだったらいいのに

ワルプルさん乙

更新していきます



翌日。

私は現在、夕飯の用意の真っ最中。

最初はシロにも手伝ってもらおうとしたのだけれど、あまりにも見てられなくて、他の準備をしてもらっている。

別に壊滅的なドジをするとかそんな事ではない。

そもそもそれ以前の問題で、シロには塩と砂糖の区別がついてなく、二つを舐め比べて目を輝かせている少女には早々に退場願った、というわけ。


今度、基本的な事くらいは教えておかないと。

今後の予定を立てていると、インターホンが鳴った。
どうやら皆が来たらしい。


「シロ、お願いできる?」

「ハーイ」




家の中の空気が変わっていくのを感じる。
小さな笑みを溢していると、皆がキッチンの方まで顔を見せに来た。


「うっわ、超良い匂いじゃん!」

「ほむら、何作ってんの?」


入ってくるなりそんな事を言ってくる杏子とさやか。
その後ろで、まどかと巴マミが顔を覗かせていた。


「おじゃまします、ほむらちゃん」

「いらっしゃい。作ってるのはビーフシチューよ。もう少しで煮込み終わるわ。一応言っておくけど、味見はなしよ」

「ほむらのケチ」


不貞腐れて、頬を膨らましながら言う杏子。
独りじゃなくなっても、腹ペコ娘は健在ってとこね。




「じゃあ、皆部屋で寛いでて」

「りょーかい!行こ、まどか」


いち早く返事したさやかが、まどかを引っ張ってキッチンから出ていく。
何だかとても嫌な予感がしたけれど、気にしない事にする。

それから他の皆も続いていって、杏子が最後まで残った。

杏子はチラチラこっちを見ながらゆっくり出ていこうとしていて、私は吹き出してしまう。


「もう負けたわ、皆には内緒よ。声も出さない事」


ビュンッ、と効果音がつくくらいに素早く近付いてきた杏子は、目を輝かせて待っていた。

小皿によそって渡すと、杏子はそれを一気に口にする。


「--ッ!」


熱さに悶えながらも、グッと親指を立ててくる。
どうやら、お気に召したらしい。


「皆に伝えといて。30分くらいしたら夕飯にするからって」




野菜を切ったり皿を用意したりしている内に、30分経った。

用意を手伝ってもらう為にリビングを覗くと、皆が楽しそうに話していた。
その輪の中にはシロもちゃんと居て、私はホッとする。


「ご飯の準備が出来たから、皆手洗って持っていってくれるかしら?」


言ってて、何だか母親にでもなった様に感じた。
実際子どもみたいなのがここには三人も居るし、そう思っても不思議ではないか。

我先にと駆けていった杏子とさやか、そしてシロの三人が、キッチンの方で早くしろだのと言い合っているのが聞こえてくる。


残った私達三人は顔を見合わせてクスリと笑い、キッチンに向かった。




食事の用意を終えた私達は、少し手狭ながら六人で一つのテーブルを囲み、手を合わせた。


「いただきまーす!」


食事の挨拶をし、シチューを掬って口に運ぶ。
飲み込んで、感嘆の息が洩れた。

我ながら美味しく作れたと思う。


「やっぱりシチューと言えばパンだよなぁ」

「いやいや、ご飯でしょ!」


パンかご飯かで争う杏子とさやか。
そんな二人に、私はふっと鼻で笑って言う。


「ビーフシチューとパスタの相性の良さを知らないなんて、損してるわ」


それからワイワイ話しながらも食事は続き、皆が満足する頃には多めに作った筈のシチューも殆ど空になっていた。



「ふー、幸せだわ……」

「美味かったぁ……」

「太っちゃうか心配ね……」


食事も済んで、どさりと横たわる三人。


「食べて直ぐ横になると牛になるって、よく言いますよね」

「もう、鹿目さん!」


まどかの言葉に、巴マミが勢いよく起き上がる。
そんな些細な事が凄く可笑しくって、私は声に出して笑った。


「何だか随分機嫌良さそうだね」


シロがそう言うと、皆も私の方を見て頷いた。


だって、しょうがないじゃない。
こうして皆と楽しめているという事は、私にとって何よりかけがえのない事なのだから。


照れ臭いから、そんな事を言ったりはしないけど。




それから一頻りまったりした私達は、着替えを持って銭湯に向かうことにした。


「銭湯、懐かしいな。昔は小金が入ったら行ってたっけ」

「その言い回しはなんなのさ」

「いやあ、アタシ最近まで家無かったから、風呂は銭湯くらいしか入る選択肢なかったのよ」

「何か今凄い話を聞いてる気がする……」


杏子とさやかの会話を聞きながら、私は幾つか前の時間軸の事を思い出していた。

その時間軸での杏子はやたらと私に懐いていて、ある日銭湯に誘われた。

髪が長いのに手入れが雑で、見ていられずに私が洗ってあげたのを覚えている。




まあ今回はさやかか巴マミ辺りが面倒見るでしょうし、私が気にしなきゃいけないのはシロのみ。

そんな事を考えていると、まどかがトコトコと近付いてきて、私の服を引っ張った。


「ほむらちゃんは、銭湯って行ったことある?」


杏子のそれを除くと銭湯に行った記憶は無く、私は首を横に振った。


「よかった……実はわたしも銭湯行ったことってなくって」

「見知らぬ人が居るのって、ちょっと恐いものね」

「そうなの。だからほむらちゃん、傍に居てくれる?」


私とまどかに大した身長差はない筈なのだけれど、まどかが凄く小さく見えて、まるで妹みたいで。

気付けば私は、二つ返事で引き受けていた。




その後銭湯であった様々な事は、私の脳内にしまっておく。

一つ確かに言える事は、まどかがとても可愛らしかったという事。

シャンプーが入らないようにギュッと目を閉じている姿は、思わず我を忘れて抱き締めてしまいそうになった。

他にも、さやかと杏子がサウナでぶっ倒れたり、シロが逆上せたり、巴マミのカラダはやっぱり凄かったりしたのだけど、その辺りはあったとだけ言っておく。


「やっぱお風呂上がりは牛乳よね!」


腰に手を当てて、豪快に牛乳を飲む巴マミ。


やっぱり牛乳なのかしら。

皆も同じ事を思ったのか揃って牛乳を買い、一気に飲み干した。




それから皆が着替えを済ますと、髪も乾かさずに杏子は言った。


「ほら、早く出ろって!」


私達を無理矢理連れ出していく杏子。
風邪引いちゃうよ、というまどかの忠告も届いてそうにない。

そして、外に躍り出た杏子は、手を大きく広げて振り返った。


「風、気持ちいーだろ?」


杏子の言う通り、微かな夜風が長湯で火照った身体には心地好かった。


「でも、余計風邪引いちゃいそうな……」


まどかがそう呟くと同時にくしゃみをする杏子に、私達は言わんこっちゃないと呆れながら笑う。


「早く帰って、髪乾かしましょ。風邪引いたりしたら、大変だもの」




家に帰った私達は、半ば乾きかけていた髪をしっかり乾かして、少し早いけど布団を敷く事にした。


流石に布団は家に六人分も無かったから、六人で四枚の布団を使っている。

私はまどかとシロの間で横になり、向かいは右から巴マミ、杏子、さやかの順。


「あ、あんまくっつくなよな!」

「あら、今日は頭ポンポンしてあげなくていいの?」

「なになに?杏子、いつも撫でてもらいながら寝てんの?へー、ふーん」

「あっ、コラッ!その手はなんだよ!マミも便乗すんなっての!」


いつも生意気言ったりしてばかりの杏子が、巴マミとさやかに挟まれて押されていた。




それに比べれば、こっち側はとても平和的と言えるでしょう。

どっちも手を握ってきているから、寝返りをうつ事が出来ないというだけなのだから。


「次やるときは、布団六枚用意しろよな」


さやかと巴マミから解放された杏子がそう言った。

次やるときは……。

それは何の気負いもない自然な一言で、だからこそ私の胸に響いた。


「今度は皆で旅行、とかしたいかも」

「鹿目さんに賛成。シロさん、何処かオススメとかない?」

「ぼ、僕?そうだなあ……エジプトとかは、今思うと素晴らしかったよ」

「いきなり海外って、スケールでかいな。あ、私は冬にスキーしたーい!」

「そりゃ冬以外やらないだろ。んー、アタシの行きたいとこは……焼肉食べ放題、だな」




「ねぇ、暁美さんは何処か行きたいとことか、したいこととかない?」


俯きながら皆の話を聞いていた私は、巴マミの言葉に顔をあげた。
皆が、優しい笑顔で私の事を見ていた。


「私がしたいこと、ね」


そんなことを話し始めたら、きっと一日やそこらで終わる筈がない。

今までずっとこの一ヶ月間に囚われ続けてきた私が、長いループ中でも初めて先の事を考える余裕が出来たのだ。


魔法少女の事を念頭に置いたとしても、未来の何もかもが魅力的に見えて仕方なかった。


そう思って悩んでいると、唐突に一つしたいことが思い浮かんだ。

多分、私が魔法少女になってからそうした事は、一度も無かった筈だから。


「何も考えずに、頭空っぽにして眠りたいわ」


それで、うんと寝坊してやるのよ。


今回はここまで

次回更新は26日23時までには




今回遅くなって申し訳ないです
恭さや物のネタが幾つか浮かんだので、そっち纏めてました


この平穏が怖い

ほむほむ……

でも遅刻って気まずいですよね


これが続いてくれたらなぁ
最後の台詞が来たわ

なんつー死亡フラグ

更新していきます



side:暁美ほむら


楽しい時間というものは、どうしてあっという間に過ぎ去ってしまうのでしょう。

そう、夢を語らう時は終わり、長きに渡って繰り返してきた闘争の時が迫ろうとしていた。


皆が帰宅し、シロにも一旦外に出てもらって、私は久しぶりに一人となった。


それまでの高揚していた気持ちが冷めていき、ただの少女である暁美ほむらが形を潜めていく。


そうして浮上したのは、魔法少女の私。
たった一つの約束の為に奔走し、ひたすらに理想を追い求めてきたワタシ。




明日、ワルプルギスの夜がこの見滝原の街にやってくる。


一体、何度この時を繰り返してきたのか。

それを考えて、私のこれまでの、生涯とすら呼べる程に長い時間は、ワルプルギスの夜を滅ぼす為にあった様にも見えた。


実際、それも間違いではないと思う。


私とアレの間にある因縁は、最早無視できるようなものではない。

私の大切な友人を殺し、彼女達の……私達の祈りを幾度となく打ち砕き、私を永遠にも等しいループに捕らえ続ける、最大の障害。


ワルプルギスの夜を倒さなければ私は、前に進めない様な気がしていた。




勝算は大いにある。


私、巴マミ、杏子、そしてシロ。
私達なら、どんな相手でも後れを取るような事はまずないでしょう。


唯一の懸念は、シロから聞かされた私達が敗れる未来。

流石に伝説の魔女なだけあって、私やそれこそインキュベーターすらも把握していない能力があって、それが運悪く私達を襲ったのかもしれない。

もしかしたらは、沢山考え付く。
でも、いくら考えようとも答えは出てこない。


私に出来ることと言えば、常に注意を巡らせる事くらい。
それから、万が一の時の為に死んでしまわない様にする事。

シロの記憶にある私は、予想外の事態や油断が原因で死んでしまい、時間遡行出来なかったのかもしれないのだから。




「た、ただいま」


そうこう考えている内に、シロが帰ってきた。
聞こえてきた声は僅かに震えていて、緊張しているのが直ぐに分かった。


「おかえりなさい」


出来るだけ優しい口調になるように、ゆっくりと言う。


インキュベーターのシロは、当然ワルプルギスの夜の力を把握しているに違いない。

そして、遥か昔からその力を幾度となく傍観してきた筈。

そんな自分は見ているだけだったモノと、今度はシロ自身が戦うのだから、彼女が緊張しても恐怖を感じても、不思議じゃなかった。




緊張を和らげさせる為に私はシロを引っ張り、もう眠る事にした。

あれこれ考えてみても、今からでは時間の無駄でしょうから。


「寝て、起きて、それから適度に緊張しなさい」

「はは、それは僕にはまだ難しいなあ」

「いいから目を閉じてなさい。そしたら、気付いた時には明日になってるから」

「うん、わかった」


シロは言われた通りに瞼を閉じた。
その頭を一度ポンと撫でて、私も眠りにつく。



静かな空気が部屋を包み込んで睡魔が訪れ始めた時、不意に布団の中で袖を捕まれた。

片目を開けて見やると、シロがこっちを向いて丸くなっていた。



「どうかしたの?」

「うん……何だか、不安で胸がモヤモヤするんだ」

「シロは怖いのね」

「ほむらは怖くないのかい?」

「私も怖いわよ。何度戦っていてもね。でも、私には守りたいものがあるから」

「それは、まどかの事?」

「そうね。でもまどかだけじゃない。さやかや、巴マミ、杏子に仁美……そしてアナタ。皆の事も、守りたいわ」

「そっか。……僕も皆を守りたいな」

「なら、今日は早く寝て、明日に備えないと」

「僕は、ほむらを一番守りたい」

「ん、ありがとう。なら尚更--」



「命を懸けてでも、僕はほむらを救うよ」





その言葉に驚いてシロの方に顔を向けると、シロは真剣な眼差しで私を見詰めていた。

強い決意の籠った瞳。

微かに窓から入り込んだ月明かりでキラキラと輝く瞳は感情に満ちていて、私は声が出なかった。


きっとこの子は、私がまどかを想うのと同じように、私の事を想っているのだ。

そう思うと、私はシロの言葉を取り消させることは出来なかった。



「大丈夫。僕は命を簡単に投げ出したりはしないから」



その瞬間、私は完全に理解した。

彼女はインキュベーターから、私達と同じ人間になったのだと。


それくらいに、今目の前に居る少女は、人間味に溢れていた。


今回はここまで

次回更新は31日23時に


穏やかな不安が心地いいです

シロとほむらの愛が芽生えた瞬間である

これがメインヒロインの破壊力か


ほむほむマジお姉さん


ここからまさかの真ゲス展開

更新していきます



side:鹿目まどか


避難所から見上げた空は分厚い雲に覆われているのに何故か妙に明るくて、私はそれに神秘的なものを感じていた。

朝になって突然発令された避難勧告に従って、私はママ達と一緒に避難所にやって来た。

その道中、市の職員らしき人達が広報車に乗って走り、避難を促していた。

その働きのお陰か、避難所には沢山の人達が居たけれど、ほむらちゃん達の姿はどこにも見当たらなくて。


大きな戦いの前の最後の休息。
昨日のお泊まりは、そういうことだったんだと今更ながら気付く。

そうと分かれば、シロさんとの約束の為に私も行動しなくちゃ。




「キュゥべえ、居るんだよね」


私が声を掛けると、その不思議な生き物は影の中から姿を現した。


「気付いてたのかい?」

「ううん。何となく居るんだろうなって」


スルリと私の隣まで来たキュゥべえは、私と同じように空を見上げた。


「ほむらちゃん達は、今日戦うんだよね?」

「そうだよ。……君は彼女達から聞いてなかったのかい?」

「詳しくは、何も。ただ見届けて欲しいとは頼まれたの。ねぇキュゥべえ、私をほむらちゃん達の戦いが見られて、安全な場所に連れてって」


そう言うと、真紅の瞳が私の方に向けられた。




「そんな回りくどい事をするくらいなら、君が契約した方が早いと思うけど」

「ううん。私はほむらちゃんが嫌だって事、したくない。だから契約はしないよ」


尤も、ほむらちゃん達が危なくなったりしたらその限りではない。
皆を助けられるのなら、後で何が待っていようとも私は構わなかった。


「……そうだね。僕もこの戦いの結末には興味があるし、見に行こうか」

「あ、ちょっと待って。ママに話しておかないと」


さっさと避難所を出ていこうとするキュゥべえを引き留める。
流石に何も言わずに行ってしまうのは気が引けたし、何より心配させてしまうと思った。

そんな折、唐突に私を呼ぶ声が耳に届いた。


「まどか!」




そこに居たのは、息を切らした様子のさやかちゃん。
額には汗が浮かび上がっている。


「やっと、見つけたッ」

「ど、どうして……」

「どうしてもこうしてもないよ!まどかのママだって、遅いって心配してたんだから」


どうやら、既に心配させてしまっていたみたいだった。


「ごめんね、さやかちゃん。でも、私行かないと……」

「そいつと、何処に行こうって言うのさ」


さやかちゃんの声からは、キュゥべえに対する明らかな敵意の様なものが感じられた。

どうしてさやかちゃんは、そんなにもキュゥべえを睨み付けているんだろう。
その答えは、割とあっさりと出た。




さやかちゃんは、きっとほむらちゃんから何かを聞いているんだ。

その考えて、私を心配してくれているさやかちゃんに、僅かながら嫉妬してしまう。


「ほら、まどかのママ達のとこ戻るよ」


そう言って手を差し伸べてくるさやかちゃんに、私は首を横に振る。

シロさんとの約束もあったし、それに何より、私はそこに行かなければいけないような予感がしていた。


「さやかちゃん……私、行かなきゃいけないんだ。そうしなかったら、きっと後悔すると思う」


そう言って、私は身動ぎもせずにさやかちゃんと向かい合う。

さやかちゃんの気持ちは、痛いほどに伝わっていた。

でも、守られるだけの自分はもう嫌だったから、私はさやかちゃんの瞳から目を逸らさなかった。




「……もう、分かったよ」


さやかちゃんは肩を落とし、諦めた様子で言った。


「但し、アタシも行くからね。ほむらとの約束もあるしさ!」

「さやかちゃん……うん、一緒に行こう!」


さやかちゃんの手を取って、傍観していたキュゥべえの方に向き直る。


「話はついたみたいだね」


抑揚のないキュゥべえの声。
さやかちゃんが敵視しているという理由もあって、何だかキュゥべえが不気味に思えたけど、今の私達にはこの子しか頼れるものはいない。


「もうここを出ないといけない。間に合わなくなるからね」

「でも、ママ達に話さないと--」

「行くなら行く!それだけ考えよ。まどかは行かなきゃいけないんでしょ?」

「……うん!」


そうして、私達はキュゥべえを追って避難所を出ていった。

ママ達には、後で皆一緒に怒られよう。
そう思いながら。


今回はここまで

次回更新は8月5日23時までには


次回からようやくワルプル入ります
戦闘描写に難航してますが頑張ります

おちゅ


このさやかは魔法少女じゃないけどとても頼りになります


さやかお姉さんみたいだな


>>486
むしろ魔法少女じゃない方が・・・いやなんでもないです

遅くなりましたが更新していきます



side:暁美ほむら


人の気配を失った街の中を、私達は歩いていく。

今から始まるのは、人外と異形の闘争。
私が迷い込んだ時の迷路の、最後の障害。


緩やかな風が一つ。
それと共に、魔女の使い魔から成るパレードが出現した。


--5--

「なあ、アイツ倒したら昼どうする?」

--4--

「そう言うと思って、サンドイッチ作ってきたわ」

--3--

「あら、そうなの?……終わった後、自販機とかは無事?」

--2--

「うーん……それはちょっと怪しいかもしれないね」

--1--

「お喋りの時間は、もうお仕舞い。……飲み物は我慢しなさい」


--舞台の幕が上がり、静かだった街に叫びにも似た笑い声が響き渡った。



笑い声が聞こえてくるのと同時に、杏子がワルプルギスに向かって駆け出した。


攻性を持つ魔法が使えない私とシロは、ワルプルギスとの戦いに関してはアシスト以外に出来ることはない。
この戦いに於ける私達の主な役割は、二人の防御。


時間が止まった世界で走りながら、杏子を狙う敵の攻撃に狙いをつけてランチャーを発射する。

時間が動き出すと放たれたロケットは目標を捉え、次々と爆発していった。


『近いっての!』


文句を言う杏子のテレパシー。
それが届くのと同時に、爆発によって生じた煙が杏子の槍の一払いで霧散していく。


『大丈夫よ。きちんと計算したんだからアナタには当たらないわ』




『当たらなきゃいいってもんでもないだろ!』


疾走しながら、そう伝えてきた杏子。

手に持つ槍はその形を次々に変貌させ、槍で炎を薙ぎ払い、鎖で使い魔を拘束しながらワルプルギスの夜へと近付いていく。


やがてそれとの距離が縮まると、杏子は一際高く翔んだ。

その最中、杏子の槍が元の形に戻りながら巨大化し、彼女は逆手にそれを構えた。


『ほむら、援護は任せたよ!』


空中で大きく反った肢体。
その姿からは、私には到底出せないだろう程の力強さを感じさせられる。

そして杏子は、魔法で強化された圧倒的な膂力でもってその大槍を投擲した。




放たれた巨大な槍の速度は銃弾のそれを遥かに上回り、軌道上の使い魔達を紙切れのように切り裂いていく。

そして勢いも衰えないままにワルプルギスに向かっていくと、その胴体をいとも容易く貫いていった。


どんな兵器を使っても、ワルプルギスの体には傷一つ付けられなかったというのに、あんなにもあっさり貫いてしまった杏子の力。

羨ましい限りだけど、無い物ねだりをしても仕方ない。


私は落下する杏子に群がろうとする使い魔に向けて弾をばら蒔き、彼女のもとへと跳躍する。


『遅いっての』

『はいはい。取り敢えず離脱するわよ』




杏子の腕を掴んで、時間停止を発動。
離れてしまわぬ様に身を任せてくる杏子と共に、その場を離れる。


「止まった時の中ってのは、こんな感じなんだな」

「イタズラし放題だな、とか考えてるでしょ?」

「せーかい。よく分かったね」

「佐倉杏子との付き合いは、アナタより長いもの。当然よ」

「んじゃさ、今考えてる事は?」

「……はい、どうぞ」


私は盾の中のバスケットからサンドイッチを一つ取り出して杏子に渡す。


「おお、さっすが!」


杏子は奪うようにサンドイッチを掴むと、パクパクと食べ始めた。




この腹ペコ娘は一先ず放っておいて、私はもう片方の組を確認する為に、離れた所にあるビルの方に視線を向ける。


ビルの屋上に小さいながらも見えるのは、巨大な銃を構える巴マミとその肩に手を置くシロの姿。

殆ど準備も整っている様子で、時間停止を解けば直ぐにでも魔法が完成するといったところ。


ワルプルギスは二人に全く気付いてないらしく、私達の囮としての役割は十二分に果たせたみたいだった。


「んっ……ごちそーさんっと。こっちはもういいぞ」


サンドイッチを食べ終えた杏子がそう言うのと同時に、私は時間停止を解除する。

時間が動き出すと直ぐに巴マミの用意が出来たみたいで、後ろのシロが発煙筒を焚いて合図してきた。


「さて、と。アタシはポイントまで移動するかな。誘導の方は任せたよ」

「ええ。まあ見てなさい。私が今まで、どういう戦いをしてきたのかをね」




杏子と別れた私は、フワフワ浮かんでいるワルプルギスの夜と向かい合う。


目の前のヤツは私達を今更ながら敵と認識したようで、使い魔が何体もその巨体の周囲を飛び回っていた。

尤も、私の攻撃が通る使い魔が何体居ても大して意味はないのだけど。


私は油断なく構えながら、私に与えられた残り時間を確認する。
盾の砂は十分とは言えないながらも、ポイントまでの誘導くらいなら平気なくらいはあった。


「さあ、始めましょう」


時間停止の魔法を発動。
そして私は、今日の為にかき集めたありったけの兵器を用意していく。


今回集めた武器の量は数ある時間軸の中でも段違いに多く、この一戦で使われる費用を考えると、少しだけ気の毒になってきた。




まあ、その辺は仕方ないと諦めるしかない。

何せ地球どころか、宇宙の命運まで掛かってるのだから。


思考を終え、幾つかの兵器に火をつけた私は、時間停止を解除して更に移動する。

爆発に飲み込まれたワルプルギスは、その身体に傷一つつかないながらも、その衝撃によってズルズルと押されていた。


こうなってしまえば面倒なのは弾道計算くらいで、後は楽だった。


ひたすら時間停止と発射と解除のルーティーン。
私の攻撃で倒す必要がないというだけで、半ば作業のようにも感じてしまう。


そうした度重なる攻撃によって、ワルプルギスの夜は巴マミとシロの居るビルにかなり近付いていた。




『杏子、もうすぐよ』

『見れば分かるよ。にしても、コイツも相当な化け物だけど、ほむらも大概だね。正直アンタのがおっかないわ』

『心外だわ。あれだけやって傷一つつかないのよりおっかないって言うの?』

『アタシの攻撃は効くじゃん』


そう言われると、返しようもない。
私はワルプルギスの夜を睨み付け、半ば八つ当たり気味に最後の攻撃を仕掛ける。


「墜ちなさい」


ただ淡々と。


時間停止の解除と同時に、ワルプルギスに降り注ぐは百を上回る砲撃。

如何な伝説の魔女といえど、それだけの攻撃に晒されて高度を保っていられる筈もなく、その巨体が地に落ちていく。


そう……巴マミの銃口の先へ。




近くまで来ると感じる、圧倒的な魔力。

普段の戦闘では溜める事は適わず、またその必要すらない彼女の全開。


逆さの人形はそれを脅威と感じたらしく、迎え撃つために体勢を立て直そうとする。


けれど--


「もう少し寝てな!」


声と同時にワルプルギスの夜の身体に突き刺さる五つの槍と、そこから伸びる長い鎖を握る杏子。

その馬鹿げた腕力で、杏子はワルプルギスの夜の動きを数秒奪い去る。

その数秒だけで、十分だった。





「ティロ・フィナーレ!!」








まだ幼さの抜けきらない少女の声とは裏腹に、放たれるのは破壊的な力の奔流。
少し離れたビルの屋上に居る私ですら吹き飛んでしまいそうなその威力。


極大の閃光は、正しく神速でもってワルプルギスの夜に向かった。


恐らくは、史上の魔法少女の中でも最強と呼ぶに相応しい魔法。

苦し紛れに出されたワルプルギスの炎をまるで存在しなかったかの様に掻き消し、敵を飲み込んでいく。


そして、魔法が僅かに収束したかと思うと次の瞬間、見滝原全体を震えさせる程の衝撃と眩い光を生み出した。




数秒の間、見滝原を照らし出していた光が、徐々に収まっていく。

目を覆っていた手を下ろし、ビルの屋上から眼下を見下ろすと、そこには左半身の殆どを失ったワルプルギスの夜が居た。


「あれ食らって、まだ生きてんのかよ」


隣を見ると杏子が居て、少し驚いた。


「杏子……無事だったのね」

「勝手に殺すな!いや……確かにギリギリだったけどさ」

「おーい!」


杏子との会話の最中、巴マミを抱えたシロがこちらのビルに飛び移ってくる。

巴マミは疲労困憊といった様子で、少し怠そうにしていた。


「大丈夫なの?」


私の問いに、彼女は僅かに首を縦に振る。


「流石にあれだけの魔力を使った後だから、その反動が来てるみたい。もう一発撃ったら、多分指一本動かせなくなるわね」




「それもそうよね。限界ギリギリの魔力だもの。ソウルジェムは浄化した?」

「それは僕がやっといたよ」

「おい、アイツ動き始めたぞ」


杏子の言葉通り、地上のワルプルギスの夜はゆっくりと動き出していた。


「シロは巴さんを少し休ませて。もうすぐ私の時間停止も使えなくなるから、そこから先は任せるわ」

「うん、分かった」

「杏子は私と一緒に時間稼ぎよ。無茶はせずに、四人揃ってから攻勢に出るから」

「りょーかいっと」

「私が戻るまで、お願いね」

「ええ、任せて」


私達がその場を離れるのと同時に、ワルプルギスの夜が再び浮上する。


半身を失った魔女は逆さまの状態を止め、正位置の姿を私達に見せていた。




私は杏子と二人、ワルプルギスの夜に再度立ち向かった。

本気となった伝説の魔女は攻撃の頻度が多くなり、ビルやら使い魔やら炎やらがどんどん飛んでくる。

そして何より、魔法の期限が切れた今では、私達は防御に徹するしかなかった。


「杏子、また建物!」

「あーもう!デカイから避けるの面倒なんだよ!」


炎や使い魔は打ち払えても、流石にビルを押し返したりは出来ない。

魔女と魔法少女の戦いと呼ぶよりは、災害と軍隊の戦いと呼んだほうがいいのかも。

っと、そんな事考える余裕もないわね。



初めは易々躱せていたのが少しずつ難しくなってきて、私達だけでは立ち行かなくなるのも時間の問題だった。




宙に浮かぶワルプルギスの夜は正位置になって本気になったとはいえ、半身を失ってその動きも鈍く高度も低い。

けれどその攻撃はワルプルギスの夜の状態とは関係なく放たれ、一筋縄ではいかない。


「ほむら!」


杏子の切羽詰まった声が耳に届く。

振り返れば、ワルプルギスの夜の使い魔による黒い矢の様なものが迫っていた。


「このッ!」


躱すのは不可能と判断して、手にしていた銃器をハンマーの代わりに叩き付けて攻撃を逸らす。

銃も使い物にならないし、私の魔力では力が足りず腕が痺れてしまって次はどうしようもないと判断して、シロにテレパシーを送る。


『シロ、時間を止めて!』

『……分かった!』


少しの間が空いてから、返事が返ってくる。

炎の攻撃が迫ってきていたけれど、問題はないと言えるでしょう。




それなのに、私の身体は自然と動き、盾を構えて衝撃に備えようとしていた。





止まることなく、一直線に向かってくる炎。

炎の衝撃に歯を食いしばりながら、驚きと焦りが頭を支配する。


『何やってるのシロ!早く時間を--』

『止まらない、止まらないんだ!魔法を使ってる感覚はあるのに、効果が見られない!』

『そんなッ?!』


シロの魔法が発動しないなら、作戦を大幅に変更しなければいけない。


『杏子、一旦引いて!』


直ぐに判断して指示を出し、ワルプルギスの夜から距離を取りながら思考を巡らせる。


四人で普通に戦おうにもシロはまだ新米で足手まといでしかないし、三人で戦うにしても、勝てる可能性はあるでしょうけど全員が無事でいられる保証はない。




どうしたらいいの?


自問自答しても、良案は浮かんでこなかった。

戦おうにも、リスクが高過ぎる。
四人が、皆が無事で居なければ意味がない。
誰か一人でも欠けてしまえば、それは私達にとっては敗北でしかないのだから。


なら、もう一度戻る?


シロの時間停止が使えないなら、確実な勝利には新たな戦力を探すしかない。
それはどれだけ掛かるのかも、また成功するのかすらも分からない茨の道。


……無理よ。


一ヶ月という短い時間で、これ以上どうやったら仲間を増やせると言うのか。
過去に戻ったところで打てる手なんて、何も見つからない。



そう考えて、私は一つの事に気付いた。

シロの知る過去の私は、時間遡行出来なかったんじゃない。

しなかったんだと。



--何一つ光明の見えぬ状況に、私は目の前が真っ暗になりそうだった。



今回はここまで

次回更新は10日23時に




戦闘苦手で、読みづらくて申し訳ないです


ここからの未来……どうなるのか


誰か…

ちょっと忙しく次の更新は12日にします
すみません!

ぐへへ

更新していきます



side:鹿目まどか


「皆は、どうなったの……?」


嫌な予感がして、どうしても声が震えてしまう。
あの大きな魔女が現れた直後は、ほむらちゃん達の姿は見えなかったけど有利な状況に見えた。

でも今は、ほむらちゃん達が攻めている様には全く思えない。

隣に居るさやかちゃんも、遠くに見える戦いを不安そうに見詰めていた。


「キュゥべえ、ほむら達は無事なの?」

「全員生きてはいるよ。尤も、十分後にはどうなっているかは分からないけどね」


そう聞いて、険しい顔をしていたさやかちゃんはキツく手を握り締めた。




「アタシ、行かなきゃ」


唐突にさやかちゃんはそう言った。
その瞳は何かを覚悟した様子で輝いていた。


「行くって、ほむらちゃん達の所に?」

「うん。ほむらと約束したんだ。多分アイツは思い出す余裕も無いんだろうけど、だからこそ行かなきゃ」

「で、でも、さやかちゃんは……」

「分かってるよ。アタシは、魔法少女でも何でもない。だからこそアタシが行く意味があるんだよ。コイツも連れてくしね」


さやかちゃんはそう言って、キュゥべえの両耳を掴んで持ち上げた。
ぶら下がるキュゥべえは、大して気にした様子もなく、されるがままの状態で口を開いた。


「なら今この場で契約すればいいじゃないか」




確かに、契約してから向かった方がずっと早く安全だろう。

でもさやかちゃんはそれを、首を横に振って拒絶した。


「ほむらとの約束に、ほむらの居ないとこでは契約しないっていうのも含まれてるの。それに、アタシじゃ何を願えばほむら達にとって一番になるのか分からないしさ」


朗らかな笑みを見せるさやかちゃんは直ぐにでも走り出してしまいそうで、私は慌ててその腕を掴む。


「私も、行く。一人だけ安全なとこで見てるだけなんて、耐えられないよ」


さやかちゃんは困ったような顔をした。
それでも私は、彼女の腕を離さなかった。



私にだって、折れたくない時があるんだ。





「さやかちゃんが、ほむらちゃんとどんな話をして、どんな約束をしたのか、私は知らない……でも……」


思い出すのは、いつか視た悲しい夢。
あれは、今日この時の夢だったに違いない。

もしも今、あの夢の結末へ向かっているというのなら、そうなってしまう前にほむらちゃんと話しておきたかった。


あんな悲しそうな顔を、ほむらちゃんに二度とさせたくはなかった。


「……私も行く。置いていったって、一人でも行くよ」


何の取り柄のない私だけど、だからこそ大切にしたいんだ。
こんな私を、友達だと言ってくれる人達を。




side:暁美ほむら


こちらの気などお構い無しに追撃を仕掛けてくるワルプルギスの夜に、私は一度思考を放棄して逃げ続けた。

幸いにも敵は私達を標的としていて、避難所の方に向かう気配はない。


『どうする?予定と大分変わっちまったけど』


後ろから飛来する炎や使い魔を躱しながら並走する杏子が聞いてくる。

私も杏子もずっと動いてきていたから、疲労が目に見えていた。


『戦うしかないわ。ただ、五分……いえ、三対七くらいの賭けになるでしょうし、私達が全員無事で居られるのは、それよりもっと低い』

『それはキツいね。ほむら、アンタ一度戻ったらどうなんだい?正直、ここから立て直すよりはそっちのが楽だろ』




『いいえ……時間遡行するにしたって、全員が無事でいられる様にするには新たな戦力を探すしかない。きっと、また膨大な時間が必要になる。その過程で失敗してアナタ達に拒絶されたりしたら、私はアッサリ魔女になってしまうでしょうね』

『ほむら……』

『もう、限界なのよ。今絶望せずにいるのが不思議なくらいに』


結局私に残された選択は、この場でワルプルギスの夜と戦い、そして打ち勝つ事しかないのだ。


『……巴さんと合流するわ。魔法少女らしく、奇跡でも起こしましょ』

『なんだ、余裕そうじゃないか』

『空元気と、開き直りよ』




そうよ。
いっそのこと、開き直ってしまえばいい。


どんなに考えを巡らしたところで、未来がどうなるかなんて分からない。
理屈で決めた事が、今までどれだけ成功したというのか。


こんな時くらい、いや、こんな時だからこそ、魔法少女らしく感情を武器にして戦ってもいいじゃない。


そう考えると、気分がスッとして肩の荷が降りた様な気がした。

勝てる可能性とか、無事でいられるかどうかとか、そんな下らない事で悩んでいた私がバカらしくなって、私はフッと鼻で笑う。


ここを私の最後の戦場にする覚悟は、もう出来ていた。




『シロ、本当に時間は止まらないのよね?』


彼女が戦力と成りうるのか、再度確認する。

残酷かもしれないが、私でも足を引っ張りかねない状況でシロを戦場に立たせるわけにはいかなかった。


『ダメみたいだ。魔法を発動させている感覚は依然としてあるけど、効果は見られない』

『分かったわ。アナタは魔法を試しながら、まどか達の所に行って。私達は、巴さんと合流して反撃に出るわ』

『……了解』


その言葉が聞こえると、シロとの接続が途絶えた。

明らかに躊躇っている調子だったけれど、きっと分かってくれたでしょう。




どっちにしろ、シロの心配をしている余裕はない。
私は頭を切り替えて、巴マミの方にテレパシーを向ける。


『巴さん、聞こえる?』

『ええ、シロさんから大体の話は聞いて、そっちに向かってるわ』

『大丈夫なのかよ?』

『まだ少し怠さが残ってるけど二人に比べたら大丈夫よ。それより、これからどうするか決めないと。暁美さんは何か考えはある?』


巴マミの問いに、私は直ぐに返事を出す。
シロとの交信の最中に、そうすると決めていた。


『私が最前列で囮になるわ。杏子は隙を見ながら攻撃、巴さんは遠距離からの牽制をして』

『でもそれじゃあ--』

『アレとの戦闘は何度も経験してるわ。この状況なら、私が囮になるのが一番都合がいい。じゃあ、もう行くわよ』




二人には有無を言わさず、私は転進してワルプルギスの夜の方へと向かった。

近付く私に集中する攻撃を、盾を駆使して躱しながらギリギリの所まで肉薄する。


崩れたビルから、瓦礫の山へ。

攻撃を私に集中させる為に銃を乱射しながら移動し続ける。
足を止めたが最後、私の命はつきてしまうだろう。


「--ッ!」


躱した炎が地面に当たり、その衝撃で弾けた石が左腕に突き刺さって、思わず声が洩れる。


『暁美さん!』


巴マミの心配するような声が響いたが、私は下がる事なく走り続けた。


『私は大丈夫だから、撃って!』


今はこんな些細な事で止まっている場合ではない。
私は痛みで動きが鈍らないように、感覚を遮断して更に加速した。




暫くすると、私の全身を小さな傷が覆ったが、二人の攻撃でワルプルギスの夜も徐々にその身体を失ってきていた。

後は、私が力尽きるのが先か、ワルプルギスの夜が消えるのが先かということだけだった。


さあ、どちらが先に堕ちるのか、競いましょう。


死の縁まで来ながら、私はどうしてか笑っていた。
全身が血で染まるぐらいの流血のせいかもしれない。


朦朧とした頭でそう考えた瞬間、私の体は宙に投げ出されていた。


感覚を遮断した弊害で、足場が脆くなっている事に私は気付いてなかったのだった。

時間が止まったかの様に、感覚が圧縮されていく。

ゆっくりと、ただ確実に、魔女の攻撃が私を貫こうとしていた。



「--ほむらッ!」





杏子の声と同時に強い衝撃を感じて、世界が一気に加速する。

地面に投げ出された私が見たのは、黒い光が杏子の腹部を貫いていくところだった。


「杏子ッ!」


声を裏返らせながら、崩れ落ちる杏子の体を抱き抱える。

腹から溢れ出していく血と同時に杏子のソウルジェムがじわじわと濁っていくのを見て、私は気が狂いそうになった。


「杏子!しっかりしてッ!」


治癒魔法を掛けながら、何度も何度も杏子の名前を呼ぶ。

しかし私に残された魔力では杏子を治すことは適わず、その肉体はどんどん死に近付いていた。


「待って、待ってよ……!杏子、お願いだから……」




--力無く倒れる仲間を見て、私の心を鈍い絶望が支配しようとしていた。


今回はここまで

次回更新は15日に




次回からようやく大詰めに入れそうです


いつもありがとう


うわああああああああああああああああ

さやかー!はやく来てくれー!

随分遅くなりましたが更新していきます



side:シロ


ほむらに言われた通りまどか達を探して飛び回りながら、僕は頭をフル回転させる。

固有魔法の消失ならば分かるのだ。

佐倉杏子の様に、願いを否定した結果固有魔法までも失うという事例は、今までに幾つも観測されてきているから。


しかし今回の現象はそれとは全くの別物。


僕は願いを否定してなんかないし、何より僕の魔法は魔力を消費して発動している。

ただその効果は依然として見られない。


インキュベーターが魔法少女になった弊害という考えも浮かんだが、過去の精神罹患者による実験では殆ど異常はなかった筈。

尤も、記録には僕の様に肉体を形成出来たのは数例で、殆どはソウルジェムを作って消滅したとあったが。




ふと、僕が過去に戻る直前に話したインキュベーターの事を思い出した。


彼はこの事を含んだ上で成功する道もあると言っていたのだろうか。
このイレギュラーな事態を、僕達の技術で導き出せるのだろうか。


僅かな疑念が浮かび上がってきたが、僕は首を振ってその考えを頭から追い出す。

彼等がこの状況を知らなかったとしたら、僕達にはもうどうしようもないのだから。


兎に角、何か見落としている事はないか、一から考えてみよう。


まずは、僕が目覚めてからの事を。




目覚めてから僕は、鹿目まどかの魔女の事と数万年の歳月を経た事、そして暁美ほむらの救済を聞かされて、過去に遡った。

その直前に彼は、感情を露にして……感情?


妙にその事が引っ掛かった。


インキュベーターは普通ならば感情を持たない存在だ。

僕が感情を持った時に相当数の罹患者が出た筈だけど、インキュベーターはそんなに長生きではなかった。


ならば、どうして彼は……。


もう少しで答えが出そうな気がした。

けれどそれは、唐突に中断させられる。


「おーい、シロー!」


僕を呼ぶ声の方を向くとそこには、さやかとまどかと、過去の僕が居た。




彼女達の元に降り立つと、過去の僕は自分の知らない魔法少女の存在に驚いているみたいだったが、彼に構っている暇はない。


「君達はどうして--」

「ほむらちゃん達を助けに来たんです!」

「そ、それはどうやって!?」

「アタシが契約するんだ。何でも願いが叶うなら、ほむら達だってゼッタイ救える筈でしょ?」


さやかの言葉で、希望が見えてきた。
手傷を負った今のワルプルギスの夜ならば、願いに次第で簡単に倒す事が出来るだろう。


「二人とも、こっち来て!」


少し早口でそう言うと、二人は首を傾げながらも従った。
そんな彼女達を両脇に抱えて、僕は一つだけ忠告する。


「キュゥべえを落とさないようにね」




ビルの間を次々と飛び回り、来た道を引き返していく。
時折見える魔法の光が、まだ皆が戦っている事を知らせていた。


「お、お願いだから離さないでよッ!」

「分かったって!全く、少しはまどかを見習いなよ」


喚き散らすさやかと違って、まどかは落ち着いた表情で戦いの余波を見詰めていた。


「……そろそろ着くよ」


戦場が近付いてきて、僕がそう伝えると二人は僅かに身を強ばらせた。

恐怖を感じたのだろうとは思ったが、僕はそれを無視して二人を戦いの場へと躍り出る。





そこには、ワルプルギスの夜を相手に一人で立ち回るマミの姿があった。




激しい攻撃の応酬。
光と闇が交差し、炎と爆発が広がってゆく。

一見互角の様にも見えたが、マミは既に限界を越えて動いているのが直ぐに分かる。
彼女が力尽きるのも、時間の問題--。


「あそこに、ほむらちゃん達が!」


まどかの言葉に、僕は素早く視線を移す。
まどかの指す先には、仰向けに横たわる杏子と傍に座り込むほむらが居た。


「まさかッ!?」


視力を強化して二人をよく見ると、杏子の体からは血が溢れ、そしてほむらのソウルジェムが半分も濁っているのが確認できた。


ほむらは絶望し、魔女になりかかっていた。




「シロ、アンタの砂!」


そう言われて視力を戻した僕は、胸元の砂時計を手に取って愕然とする。

器の中の砂は、半分黒ずんでいた。


僕は絶望してないのに、何故--?


その答えは、存外直ぐに見付かる。
ほむらのソウルジェムと、器の中の砂は同じだけ濁っていた。


この砂は、ほむらのソウルジェムとリンクしているらしかった。


そしてそれが分かった瞬間、魔法が発動しなかった理由も分かった。

ほむらとリンクしてるが故に、ほむらの魔法が発動しなくなった途端に僕の魔法も発動しなくなったのだ。




でも、どうして?
一つの謎に答えが出て、更なる疑問が湧いてくる。

--その答えは、目覚めた時のインキュベーターが全て語っていた。




そして僕は、暁美ほむらの救済の為に僕がすべき事を理解し、口を開いた。


「さやか、願ってくれ」

「へ?」


不思議そうな顔をするさやかに向き直って、僕はもう一度告げる。


「願うんだ。この器の中の砂の解放を。そうすれば、この状況をきっと変えられる」


正直に言えば、確証はない。
でも、確信はあった。


「さあ、さやか!」

「わ、分かったってば!」


そうしてさやかは、今までずっと黙っていたインキュベーターをまどかから受け取ると、魔法少女の契約に臨んだ。


「この砂時計の中身を、解放して」


さやかがそう願った瞬間、砂時計の器に皹が入っていく。




--そして僕は、ただほむらが救われる事を祈りながら、願いの成就と同時に意識を失った。


今回はここまで

次回更新は21日の23時に

>>537修正


でも、どうして?
一つの謎に答えが出て、更なる疑問が湧いてくる。

--その答えは、目覚めた時のインキュベーターが、実に回りくどく語ってくれていた。



そして僕は、暁美ほむらの救済の為に僕がすべき事を理解し、口を開く。


「さやか、願ってくれ」

「へ?」


不思議そうな顔をするさやかに向き直って、僕はもう一度告げる。


「願うんだ。この器の中の砂の解放を。そうすれば、この状況をきっと変えられる」


正直に言えば、確証はない。
でも、確信はあった。


「さあ、さやか!」

「わ、分かったってば!」


そうしてさやかは、今までずっと黙っていたインキュベーターをまどかから受け取ると、魔法少女の契約に臨んだ。


「この砂時計の中身を、解放して」


さやかがそう願った瞬間、砂時計の器に皹が入っていく。




--そして僕は、ただほむらが救われる事を祈りながら、願いの成就と同時に意識を失った。



かなり違う願いだな。
結果も気になるが、さやかちゃんはどんな魔法少女になるのか

めあ

何とかなってくれ…


砂を開放して変わる事なんて俺にはさっぱりだぜ

すみませんが文章があまりに酷かったので一日更新ずらします

御意である

更新していきます



side:暁美ほむら


私がその異変に気付いたのは、全ての音が消えて暫くしてからだった。

戦闘の音も、吹き荒れる風も、崩れ落ちる瓦礫も、杏子の血も--。
何もかもが、止まっていた。


予想していなかった事態と、微かに胸に宿る悪寒に、私は混乱する。

この胸騒ぎは一体何なのか。
シロの安否と共にそれを考えようとすると、唐突に何かが私のソウルジェムに当てられた。


驚いて振り返るとそこには、胸元に白く輝く砂の塊を漂わせるた、シロの姿をした何かが居た。

それは、私のソウルジェムにグリーフシードを当てていた。


「……シロ?」


私の方がどうかしてしまったのだと思いたくて、震える唇を動かしてあの子の名前を呼ぶ。

しかし目の前の少女は私の期待とは裏腹に首を横に振った。


「彼女の魂は、今はこの中にはない。僕達は、彼女とは別のインキュベーターだ」


そう語る少女は、初めて出会った頃のシロの様な、無機質な表情を浮かべていた。




止まった時間に、シロの姿をしたインキュベーター。
いや、シロも元はインキュベーターなのだけれど……。

突然ガラリと変わった状況に、思考が中々追い付いて来ない。


ただ、一つ確かに聞かなければならない事は分かっていた。


「シロは、今何処に居るの?」

「彼女なら、美樹さやかの願いの影響で今は君達がキュゥべえと呼んでいた個体の中に居るよ」


少女は淡々とそう言ったが、私はその内容が衝撃的過ぎて更に訳が分からなくなった。


「えっと……さやかが近くに居るの?」

「まどかも一緒に、ね」

「ま、まどかまで!?」


余りにも全ての状況が斜め上過ぎて、私は頭が爆発しそうだった。




それから私は、ぐちゃぐちゃになった頭を整理するのに集中してようやく平静を取り戻せた。


「落ち着いたかい?」


まさかそんな言葉を掛けられるとは思ってなくて、私はポカンとして少女を見詰めた。

見れば見るほど、この時間に来たばかりのシロそっくりに見えてくる。


「僕の顔に何かついてるのかい?」

「い、いいえ、特に何かあるわけじゃないわ。それより、アナタの目的を話しなさい」


慌てて話を進めようとする私に、少女は何の疑問も無さそうに頷いた。


「僕達は君の力になりに未来から来たんだ。いや、僕達は君の力そのものと言った方がいいかもしれない」


要領を得ない話に思わず首を傾げると、少女は胸元の砂を手に取って差し出してきた。


「これは僕達のソウルジェム。そして同時に、君の力でもあるんだ」




困惑する私を差し置いて、少女は更に話を続ける。


「遥か未来で、僕達は鹿目まどかの魔女を生み出さない方法を二通り発見した。その為に僕達は、一体のインキュベーターを残して全てが暁美ほむらの力の拡張を願って契約した。

その願いは、因果の希薄な僕達のソウルジェムを君の力とする事で成就されたんだ」


そこで言葉を切ると、少女は確認する様に私を見てきた。
その行動を少し意外に思いながらも、私は頷いて話を進めるよう促した。


「それなら続けるよ。……当然、それだけではこの時間には届かない。そこで運び手として選ばれたのがこの身体の持ち主だ。僕達は彼女との精神のリンクを、つまりは魂の繋がりを復活させたんだ。

目覚めた彼女は契約し、君の居るこの時間に遡った。魂の繋がりも保持したままにね。その結果僕達は、彼女の魂が剥き出しになる魔法少女に変身している間だけ、この時間に存在する事ができる様になった」




「……要約すると、アナタ達はインキュベーターの性質を利用してこの時間に来たと考えればいいのかしら?」

「簡単に言えばそうなるね。理解が早くて助かるよ」


少女は無表情でそう言った。

そう思うなら少しはそれらしい表情をしたらどうかと言ってやりたい気もしたが、グッと堪える。


「それじゃあ、次はどうして僕達がこの身体を使っているかを話すよ」


そして少女は、再び長々と説明を始めた。


「僕達は、シロの魂の内側でのみこの時間に来れた。それは彼女の巨大な魂に閉じ込められた様なものだった。

時の力を得たソウルジェムを内側に封じたソウルジェム。故に彼女の魔法少女形態のジェムは、砂時計の器を象ったのさ」




少女の説明に、私は一つ疑問が浮かんだ。


「あの子のソウルジェムが砂時計の器だと言うなら、一体今は何処にあるの?」


少女の胸元には剥き出しの砂が浮かんでいるのみで、器は何処にも存在していなかった。


「消えてなくなった。でも、彼女の魂は消えずに残っている」

「そんなことが有り得ると言うの?」

「実際にあったのさ。美樹さやかが僕達の解放を願った結果、彼女のソウルジェムは砕け散った。でも、願いの影響で損なわれたからか彼女の魂は消えずに宙ぶらりんの状態になった。

そして彼女の魂は近くにあった自分と同じ存在に引き寄せられて、今はキュゥべえと呼ばれた個体の中にあると言うわけさ」




これは僕達も予想していなかった事だ、と少女は言葉を締め括った。
何とも無茶苦茶な話だけど、私には信じる以外に受け止めようがない。


「……まあ、大体話は分かったわ。それで、私はアナタ達をどうしたらいいの?」


まさかハイと手渡されて終わりという事はあるまい。
その予想通り、少女は手の上のそれをどうしたらいいかの説明を始めた。


「君には二通りの選択肢がある。この力を更に過去に遡る為に使うか、はたまたもっと先まで時間停止を使える様にするかの二択だよ。

出来ることなら僕達は、過去に遡る方に使って欲しい所だけどね」

「より……過去に?」


時間停止の期限が伸びるのは、確かに有用な力。
それと比べたら、過去に遡る時間が伸びた所で今更大した役にはならない様に思えた。




考えた所で答えは浮かんで来たりしない。
ここは素直に聞くことにする。


「一体どういう理由で過去に遡る事を勧めるのかしら?」

「それは、そっちの方が容易いからさ」

「容易い?」

「そう。君の過去に遡る時間が延びる事で、鹿目まどかが契約する原因になり得るだろうありとあらゆる事情を改変できる」


確かに、それは時間があれば簡単に出来るでしょう。
でも……。


「でもそれじゃあの子の膨大な因果はどうにも出来ないわ。あの子は繰り返した時間によって因果が増大したんだから」

「ああ、そうだろうね。でも、その無限に等しい螺旋の始点まで、まどかなら君を運べるだろう?」


そして少女は、その日初めて笑顔を私に見せた。
それは、とても無垢な笑顔だった。


「僕達はね、君達皆が魔法少女にならない道を提示しているんだよ」


今回はここまで

次回更新は26日23時に





これが限界でした……
この拙い文章から何となくでも分かってもらえたら幸いです

乙!
予想外だったわ、おもしろい

俺は逆に予想通りでガッカリした

おれはよくわからなくてもんにょりした


あの砂粒一つ一つがSGって事で良いの?

洞穴ENDがよぎった。どの地点に戻るやら
風呂敷の畳み方に期待

大体わかったけどな
続きが気になる

僕達は、常に君と共にある

「よかろう。やってみろ……この因果に対してッッ!!」

すみません、更新する日勘違いしてました
しかも未だに予定のとこまで書けてないです

何とか明日か明後日には更新したいと思います

大丈夫か?
書けてないだけならいいが体悪くしてないか

苦戦してる様だな。当然っちゃ当然か

待つよー

放置しちゃってすみません
最近忙しくてどうにも手がつけず……

あと少ししたら余裕も出来るのでお待ち貰えたら有難いです

待ってる待ってる、時間かかってもいいから最後まで読みたい

延命する位ならもう辞めろ下手糞つまらねえしきもいんだよ

続きはまだか

好きだったんだが中々苦労してるみたいだな

つまらないからさっさと辞めれば良い何がシロだ笑わせるな

はいはい、ツンデレ乙

まだかな

マダー?

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