京太郎「誕生日だ!」久「接待麻雀をしましょう」 (30)


京太郎「えっ、接待麻雀?」

久「それとも一人だけ点棒十万点スタートの方が良いかしら」

京太郎「いやいやいや、そういう事じゃなくてっ」

和「そうですっ!そんなことしても無駄だと思いますっ!」

咲「和ちゃん、その言い方は京ちゃんに失礼だと思うけど…」

まこ「そもそも接待麻雀だって最初から明言したら意味無いだろうに」

京太郎「そうですよ!手抜きなんかせずに本気でぶつかってきて欲しいです、俺は」

久「あらそう?じゃあ誕生日って事で須賀くんにはずっと入ってもらうとして…」


ガチャ


優希「タコスうまー」モグモグ

久「…とりあえず、いつもの一年組とやってもらいますか」

優希「ん?よく分からないけどわかったじぇ!」

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~20分後~


優希「ロン!」

京太郎「ぐっ………参りました」

和(もはや自分から当たり牌を捨てにいっているようにしか見えませんね…ちょっとショックです。筋の読み方くらいは教えていたつもりでしたが)

久「ね?」

京太郎(この一年、全国トップクラスのコイツらにしごかれて少しは強くなった自身があったけど…思い上がってたのかよ。くそっ!)

久「じゃ、気を取り直して接待麻雀に移りましょっか。私一度やってみたかったのよねー、接待麻雀」フフン

咲「部長…」



和「少し、やり過ぎましたか?」ヒソヒソ

まこ「まぁ、久にも考えがあるじゃろう。それより何も話を聞いてなかった優希がのぅ…」ヒソヒソ

和「あの調子で須賀くんを飛ばしまくったら計画が台無しですね…」ヒソヒソ



咲「あっ、じゃあ私が部長の代わりに抜けますね」

久「ありがと、咲」

まこ「じゃあわしは…優希、代わってくれんか?」

優希「いいじょー」

京太郎「はぁ、今日はずっと部長達のおもちゃにされるのかなー…」ブツブツ

咲「きょ、京ちゃん頑張って!後ろで観てるから!」

京太郎「…お、おう!」

京太郎(一回の負けで今更何言ってんだ!これから挽回すれば良いだけだろ!)

久「―――」ニヤ


京太郎「ロン!タンヤオピンフドラドラ!!」

久「あら」

京太郎「ロン!トイトイ三暗刻!」

和「はい」

京太郎「ツモ!…リーチのみ」

まこ「む」



京太郎「よっしゃ絶好調!! ………って、んな訳無いですよ!」

久「えっ?」

京太郎「ふざけないで下さい。いくら何でも俺以外全くあがらないのはやり過ぎです」

京太郎「こんな詰まらない対局、したくなかった…。これなら全力で潰された方がましです」

久「…そう。須賀くん、貴方の為を想っての行動だったのだけれど…」

京太郎「………」

久「普段、実力の違いからあまり構ってあげられなかったし、入れようとしても須賀くん遠慮して自分から辞退してたじゃない」

久「そしてたまに、人数が足りない時に入ってもすぐに飛ばされる。だから、少しでも勝利を味わってもらおうと思って」

京太郎「そんなの、余計なお世話ですよ……」


和「―――部長、やっぱりやめましょう接待麻雀なんて」

久「そうね…須賀くんがそう言うのなら」

京太郎「部長!」

久「でも、本気でやるからには一度もあがらせないつもりだから、覚悟してよね?」

京太郎「望むところ…!」

久「―――リーチ」

まこ「ふむ」タン

京太郎「……く」

京太郎(ぜんっぜん読めねぇ…とりあえず現物切っとこ)

和「ロン」

京太郎「はい?」



京太郎(よし、テンパイしたぜ!点は安いけど親の連荘狙いでいく!)

咲(うわぁ、あんなあからさまな連荘狙い、うまくいきっこないって)

久「うーん…」タン

和「………」タン

まこ「………」タン

………
……


京太郎「流局…いや、まぁ親番そのままなら良いのか?」

咲「京ちゃん…」



和「リーチ」タン

まこ「ほう、ではおっかけで―――リーチ」タン

久「あら怖い、現物現物っと」タン

京太郎「むむ……」タン

………
……


久「あ、ツモ」

京太郎「」


京太郎(もうそろそろ部活も終わりの時間か…)

久「………」タン

和「………」タン

まこ「………」タン

京太郎(結局一度も本気の部長たちから点取れなかったな…)

久「須賀くんそれロン」

京太郎「あ、はい」



京太郎(―――まぁ、いいや。また明日から頑張ろう)



―――ちゃん―――京ちゃん!!



咲「京ちゃん、まだオーラス!最後の一局残ってるよ!!」

京太郎「―――!」



京太郎(そうだ、次からなんて考えちゃダメだろ俺!)




(今日は誕生日!変わるんだ、ここから―――!!)




久「…ふぅ」

久(下手なお膳立てだったかしら)

まこ(おぬしらしいっちゃおぬしらしい不器用さじゃがの)


京太郎「………」タン


京太郎(よし、配牌は良好!シャンテン数とかわかんねぇけどたぶん結構いい!)

和(――って顔してるのがバレバレですね)

久(うーん…これであがってもらわないと困るのよねぇ)

まこ(とりあえずトップを死守する感じでええかのぅ)


………
……



京太郎「………」タン

久「………」タン

和「………」タン

まこ「………」タン

京太郎(もう9巡目…一応テンパイはしてるけど、カタチが悪い。手替わりまで待つ)

久「―――リーチ!」タン

京太郎「………!」

和「………」タン

まこ「………」タン

京太郎(くそっ、降りるか?それともやぶれかぶれのリーチか?)

咲「………」

京太郎「いや―――」チラッ


京太郎(ここはギリギリまで、待つ!)


京太郎(よし、高め倍満のでかい手を張った―――!けど、もう十五巡目…)

久「……これでもないわ」タン

和「………」タン

まこ(久のやつ、ここまで全くかすったような手ごたえも感じさせん…もしやあの手は…)

まこ「………まったく」ボソッ

京太郎「くっ……」タン

久「………」タン

和「チー」タン

京太郎「ああっ!」

和「…?何か」

京太郎「あ、いや…なんでもない」

和(ああ、今ので当たり牌が消えたんですねわかります)

京太郎(一応安目の方はまだ一枚残っているけど…でも、それじゃあ逆転できない…!)

京太郎(そして、次の牌で流局…)

咲「………」グッ

京太郎(まだだ。まだいける…!少なくとも咲はまだ諦めてない…!)


久「ちっ…最後の牌もはずれかぁ」タン

和(とりあえずテンパイっと)

まこ(残念じゃが、流局か…)

京太郎「………!!」ググッ


「ツモ!海底撈月 中 ホンイツドラ2―――倍満!」



京太郎「染谷先輩、逆転です」

まこ「おおっ!」

久「やったじゃない!」

和「お見事です」

咲「やったね京ちゃん!」

京太郎「おう!」

京太郎(やった…やったんだ!!俺が!先輩たち相手に!)


久「………」パタン

まこ「それ、空テンじゃろ」

久「んん?なんのことかしら」

まこ「阿呆。おぬしがあがれもせん手をつっぱる訳ないじゃろう。もしそうだとしても大抵あがる」

久「……悪待ちにも、調子の悪い日だってあるわよ」

まこ「そうかい」


京太郎「咲、ありがとな。お前のおかげであがれた気がするんだ」

咲「そんなことないよ」

和「まだ粗い打ち方でしたが、よく最後まで諦めなかったですね」

京太郎「おう」


和「それと―――誕生日、おめでとうございます」

咲「おめでとう!」

久「はい、これ。私たちからのプレゼントねー」

京太郎「えっ!良いんですか?てっきりあの接待麻雀がプレゼント代わりかと…」

まこ「さすがにそれはないぞ」



―――ガチャ


優希「たっだいまー!おろ?丁度良いところだったじぇ」

京太郎「お前…対局中にどこ行ってたんだよ。ってかそのお菓子と飲み物はどうした」

久「もちろん、今から軽く誕生日パーティをするのよ」

まこ「ほかの連中の時もやったし当然じゃ」

和「私は麻雀牌が汚れるので反対したんですが…」

京太郎「たしかにポテチとかの油付いたら最悪だよな」

和「まったくです。…優希の買うお菓子は大体塩か砂糖が手につきやすいので困ります」

咲「もう、そんなのどうでもいいじゃん!ほら、テーブル用意しよ!」



ワイワイガヤガヤ



京太郎「皆…ありがとな!」

咲「どーいたしまして!」ニコッ


カン!


おつー

このとき彼は知らなかったのです
久に勝ってしまったことで他校から目をつけられ
翌日から他の高校に拉致されシゴキというなの誕生日プレゼントを受けて回るはめになるなんて…

>>

>>15 

~次の日~


京太郎「えっ、ハギヨシさんのところですか」

久「ええ。あるモノを取ってきてもらえるかしら」

京太郎「はぁ…まぁ、わかりました」

久「お願いねー」


………
……





京太郎「ここが龍門渕さんちか」ポチ



ピーンポーン…ピーンポーン


ハギヨシ『はい、どなたですか』

京太郎「京太郎です。清澄から物を受け取りに…」


ガチャ


ハギヨシ「………」ガシ

京太郎「えっ」

ハギヨシ「すみません」

京太郎「ええっ!?」


ズルズル


京太郎「ちょ、離してくださいよハギヨシさん!」

ハギヨシ「すみません、お嬢様の命令ですので…」グイグイ

京太郎「あーーーーーーー!!」




透華「コレが昨日原村和を抑えて一位になった須賀京太郎ですの?…なんだか冴えない男ですのねぇ」

京太郎(あっ、プールにいた変な髪形の人だ。向こうは覚えてないのかな)

京太郎「って、あの。俺なんでここに連れてこられたんすか?ハギヨシさんも何も言わないし」

透華「そんなの、決まっているでしょう!昨日の対局についてですわ!」

京太郎「は?っていうかなんであんたがそんなこと知って…」

透華「メールであの竹井久に『うちの後輩は男子もすごいのよー』なんて自慢されたからですわ」

京太郎「そうですか、はい」

透華「―――ハギヨシ!麻雀卓の準備を」パチン

京太郎「はあ!?」

ハギヨシ「…ここに」シュタッ


ゾロゾロ


衣「我を呼んだか?」

一「いきなりどうしたの、透華ー」

智紀「………なに?」

純「おいおいこの人数じゃ余るやついるじゃねぇか」

京太郎(龍門渕のレギュラーメンバー勢ぞろい!?まさかこんなのと打てって!?)

透華「そうですわねぇ…ここは公平にじゃんけんでこの男に挑む権利を賭けましょう」

京太郎「いや、あのっ」

純「ああん?こいつそんなに強いのか?」

智紀「私にはどうでもいい」

一「じゃあ僕も遠慮しておくよ。衣と透華と純で打ったらいいじゃん」

京太郎「そもそも打たないよ?俺」


京太郎「そもそも昨日のはおふざけというか、なんというか…」

透華「名誉ある全国出場校の麻雀部員が不真面目に麻雀を打つなんてありえませんわ!」

一「透華、そんなに興奮しなくても…。なにか訳があったんじゃない?」

京太郎「そうなんですよ。俺昨日誕生日でさ、なんかノリで接待麻雀始めるとか部長が言い出してさ」

透華「誕生日?」ピク

ハギヨシ「昨日…そうだったんですか?」

京太郎「ええ。あれ、この前ハギヨシさんには言いませんでしたか?」

ハギヨシ「それは…なんといいますか………すみません、忘れていました」

京太郎(あ、言ったの去年の夏の大会の頃だったか)

透華「―――ハギヨシ!!」

ハギヨシ「はっ!」

透華「知人の祝い事を忘れるなど、龍門渕の執事として許されませんわ!」

純(いや、許してやれよ)

透華「今からでも遅くありません。盛大に、祝いますわよ!」

ハギヨシ「御意に」

京太郎(え?俺荷物受け取りに来ただけなんですけど)

衣「わーいぱーてぃーだー!」


ハギヨシ「食べてますか?京太郎さん」

京太郎「え、ええ。でもあの、俺この後晩飯もあるし…というかその前に部室に帰らないと」

一「まあまあ、透華はともかく衣は久しぶりのパーティですっかり喜んでるし、もう少しゆっくりしていってくれない?」

京太郎「…あと、少しなら」

純「そんなふてくされた顔すんなよっ。あ、あと誕生日おめでとな」

京太郎(あんま知らないやつから祝われてもな…ま、嬉しいっちゃ嬉しいけど)

京太郎「ありがとな」

純「おうっ」



智紀「…おいしい?」

衣「うんっ!」モグモグ

透華「じゃんっじゃん料理を持ってきなさいなハギヨシ!」

京太郎(作りすぎだと思うけどなぁ…)

透華「―――あなたも、遠慮しないでほらっ。もっとお食べなさい!」

京太郎「もう十分食べましたって!」

透華「ふん、ならいいですわ!」


~パーティ終了後~


京太郎「今日はありがとうございました、龍門渕さん」ペコ

透華「と、当然のことをしたまでですわ」

一「素直じゃないね~。えっと、須賀くんだっけ?また遊びに来てよ。衣が喜ぶから」

衣「うむ。また豪勢に祝ってやるぞ!」

京太郎(衣って人、もしかして俺を出汁にしてはしゃぎたいだけなんじゃ…)

智紀「………」

ハギヨシ「それと、これは私たちからのプレゼントです。竹井様から頼まれていたモノと一緒の袋に入れておきますね」

京太郎「え、そんなの用意してあったんですか?」

ハギヨシ「いえ、屋敷にあったものの余りからなんで、申し訳ないのですが…」

京太郎「気にしないで下さいよ、そんなこと。それじゃあ、早いとこ部室帰らなきゃなんでこの辺で失礼します」

透華「気を付けて帰るのですよ!」


………
……



京太郎「そういや、部長が頼んだのって結局なんだったんだ?」

京太郎「まぁ、後でわかるか」



ガチャ


京太郎「ぶちょー、ただいま帰ったっす」

久「遅い!私たちまだこの後晩飯があるんだから早くしてよね!」

京太郎「はい?」

まこ「今年の恵方はどっちの方角じゃけぇ」

和「南南東ですね。スマホのアプリできっちり図りましょう」

咲「便利な世の中になったねー」

優希「咲ちゃんはこの後もずっとガラケー持ってそうだけどね」

京太郎「……もしかして」

久「ほら、はやくハギヨシさんお手製の恵方巻出して」

京太郎「やっぱりか!!もうおなかいっぱいですよ部長!!」

久「…?」



カン!


…暇だから追加で後日談書いたけどもういいかな?
とりあえず後でHTML化依頼だしときますねー
読んでくださってありがとうございました!

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