死なない勇者は死にたがる(71)

人は私を勇者と言った。確かに、間違いなく私は勇者だったと思う。
女神様に選ばれ、特別な力を与えられた勇者。

100年くらい前まではね。


あの時、私たち人間の最後の砦が魔族の軍勢によって焼き払われた時から、私はただの囚人になった。
いや、ただの囚人ではなかったかな。

死刑囚だったね。

処刑台に送られ、私は絶望する民衆の前で心臓を貫かれた。

まあびっくりする事に死ななかったんだけど。
私もあの時初めて知った、私が既に人間ではなかった事をね。
正直、あそこで死ねたらどんなに楽だったのか計り知れない。
私の目の前で最愛の仲間達は死に、国は滅び、民衆はいたぶられたんだ。

私は女神様に選ばれた事を恨み、勇者の証として胸に浮き出ている紋章を恨んだ。

魔族の奴らは私が死なない事を知ると、散々に私をいたぶり始めた。
魔族の子供だって産まされた。
笑えるのが、その子供達はいくら強い魔族の血を受け継いでいたとしても、勇者の子供にしかならなかった事ね。
まあ流石勇者の子供と言うべきか、あっという間に立派な反乱分子になったようで、魔族は私に産ませるのをやめたよ。強いね~、私の血。

女勇者「で、随分と手荒い登場だけど、どちら様かな?」

一気に砂埃にまみれた私は、壁をぶち破って部屋に乱入してきた男に声をかけた。
男は何故か驚いたように目を見開き、私に問いかけた。

男「あなたが、勇者様なのですか?」

女勇者「ん~、まあ100年前は少なくともそう呼ばれてたかな」

男は立て膝をつき、深々と頭を下げると言った。

男「勇者様、お迎えに参りました。さあ、行きましょう」

女勇者「まさか迎えが来るとはね。しかもドラゴンに乗った王子様とは、世の中も変わったもんだ」

なぜ男が魔族であるはずのドラゴンを従えているのか、そもそもこの男がいつ名乗ってくれるのか疑問が山ほどあったが・・・

女勇者「とりあえず攫われておきますかね」

数十年過ごした無駄に高い牢獄を一瞥し、男の背中に身を任す。

女勇者「人の匂いか、懐かしいね・・・」

男「しっかりと掴まっていてくださいね。帰宅だ、クリカラ!」

なんだか間抜けなドラゴンの名前だと思った直後、クリカラと呼ばれたドラゴンが小さく吠え、世界は加速した。

更新は不定期になると思いますがよろしくお願いします。
勇者モノは初なのですが、ファンタジーは夢があってやっぱり良いですね。

「お前は勇者の子孫だ。いつかこの世の中を変えるために勇者様を救い出し、
共に立ち上がらなければならない。」
小さい頃から、父さんにそう言われて育ってきた。
しかし、その父さんも反逆罪で処刑されて死んだ。
絶対に魔王を殺す、この手で絶対に殺す。

そして今日、相棒のクリカラとともに遂に勇者様が囚われている魔塔にやってきた。

男「勇者様、今お助けいたしますからね。」

クリカラを塔の近くまで寄せ、魔力を手に集中させる。

男「はっ!!」

圧縮した魔力を一気に壁にぶつけ、壁を粉砕する。
少し魔術で補強されていたようだが、他愛も無く壁は粉々に砕けた。

男「クリカラ、ここで待っていてくれ」

砂埃の舞う部屋の中に飛び込み、辺りを見回す。

「で、随分と手荒い登場だけど、どちら様かな?」

声の方向を見ると、まだ幼い顔立ちをした少女が立っていた。
なぜこんなところに少女がいるのだろうか・・・。
しかし、その疑問はすぐに解決した。この少女こそが、勇者様だったのだ。
言い伝えによれば、勇者様の胸元には伝説の紋章があるそうだ。

そう、目の前の少女の胸元には、まさにその紋章が刻まれていた。


男「あなたが、勇者様なのですか?」

女勇者「ん~、まあ100年前は少なくともそう呼ばれてたかな」

緊張感の無い、間の抜けた線の細く高い声。
しかし間違いなく、この少女が勇者様だ。
言い伝えによれば、1人きりで数百の軍勢さえ圧倒したと言う、伝説の勇者様だ。

男「勇者様、お迎えに参りました。さあ、行きましょう」

・・・・・
・・・・
・・・
・・

女勇者「ねえ~、ちょっと、居眠りしてるんじゃないでしょうね!?」

男「あ、いえ、なんでしょうか」

女勇者「まだ私あなたに名乗ってもらってないんだけど」

男「そ、それは失礼いたしました。私はユウキと申します」

女勇者「そっか、よろしくねユウキ」



ユウキ「・・・はい、よろしくお願いします」

どのくらいドラゴンの背中で揺られていただろうか、
最初はやはり物珍しさから楽しくもあったが、
流れるだけの景色に飽き始めていた。
それにしてもドラゴンの背中に乗る事になるとは、
100年前では考えられなかったなぁ。

ボケッと考え事をしていると、突然前のユウキが大声で叫んだ。

ユウキ「拠点が襲撃されているだって!?」

何やらユウキは耳につけたアクセサリーに向かって喋っているようだ。

ユウキ「わかった、もうすぐ着くから持ちこたえてくれ!」

女勇者「ユウキ、一体誰と喋っていたの?」

ユウキ「あ、すみません大声を出してしまって。拠点の仲間から襲撃を受けていると通信が来まして・・・」

女勇者「つうしん?」

ユウキ「ああ、勇者様の時代には魔力通信が発達していなかったのですね」

女勇者「今初めて聞いたね。要するに、離れた誰かと喋れるアイテムって事なのかな?」

ユウキ「その通りです。詳しい説明は私にも出来かねますが・・・勇者様、少し急ぎますので、本当に気をつけてください」

女勇者「わかっ!!??」

こいつ言い終える前に加速したよ、まあ仲間のためなら仕方がないかもね。
それにしても・・・
女勇者「速すぎだよね~」

今まで流れていた景色が、文字通り後ろに吹っ飛んでゆく。
と思っていたのもつかの間、
急制動で思いっきりユウキの背中に顔を押し付けてしまった。

ユウキ「着きました!勇者様はここで待っていてください!」

女勇者「え、うん」

鼻をさすさすしているうちに、ユウキはドラゴンから飛び降りて見えなくなってしまった。

女勇者「え~と、カラクリって言ったかな?」

取り残された私はと言うと、ドラゴンとの会話を試みていた。

カラクリ「・・・・・」

どうやらこのカラクリ君は、とてもシャイなドラゴンらしい。
蛇のような瞳を私の方にチラリと向けると、
すぐに前に向き直ってしまった。

女勇者「いやね、出来れば下の様子を見たいかな~。なんて」

カラクリ「・・・・・グォォ」

女勇者「えっと、それはどっちの意味かな?」

と呟いた瞬間、私が跨がっていたはずのカラクリが消えた。
突然の事に顔が引きつる。
もちろん身体は重力に従って落下を始める。

女勇者「何が気に入らなかったのぉぉぉぉぉ!!」

叫びながら落下し続ける身体。
その時、何者かに肩をトントンと叩かれた。

振り返ると、真っ黒の長い髪の毛を持った少女が、
私と同じように落下していた。

女勇者「えーと、どなたでしょうか?」

少女「・・・・・」

何故か無言で私を見返してくる少女。
この蛇のような瞳は・・・・。

女勇者「もしかして、あなたクリカラなの?」

少女「・・・・・」

無言で頷く少女。クリカラって女の子だったのね、
二つに結んだ黒髪が風で乱れている。
そして前を向くと、目前に迫るのは地面。

少女「・・・・・」

流石に不味いと思い、着地のために魔力を練り始めたその時、
いつの間にか隣に並んでいた少女が、私の手を握った。

女勇者「えぇ!?」

次の瞬間・・・
涙が止まらないほどだった速度はなくなり、
私たちはゆっくりと地面に足をつけていた。

女勇者「へえ、ドラゴンって人っぽくもなれるんだね」

少女「・・・・こっち」

女勇者「まあそうだろうね」

少女は握った私の手をひいて歩き出す。
その方向からは、大小さまざまな種類の魔力が感じられた。

少女「こっちから行けば、敵の裏を取れるはず・・・・」

女勇者「え、戦うの?私武器もって無いんだけど・・・」

少女「・・・・拳」

女勇者「嘘、でしょ・・・・」

今日の投下分でした。
出来れば明日また投下したいです。

どうやらドラゴンと言うのは、もの凄い武闘派な種族なのかもしれない。

女勇者「まあ・・・私はこれでも使いますかっと」

落ちていた30cmくらいの枝を拾い、魔力を練る。

クリカラ「・・・・そんな木の枝で何を?」

女勇者「まあ見てなさいって」

練った魔力を枝に込める。
次の瞬間、ただの細い枝だったモノは、
金の装飾が施された鋼鉄の剣に姿を変えていた。

クリカラ「これは・・・幻影魔法?」

女勇者「幻影魔法じゃ戦えないでしょうが・・・。
聞いて驚かないでね、これは練金魔法よ」

クリカラ「・・・・ドヤ顔やめてください。確かに初めて見ましたけども」

むう、思ったよりも反応が良くない。
50年かけてやっと開発した魔法だと言うのに。

クリカラ「それ本当に素材が変わっているのですか?」

女勇者「もちろんだよ。ただ、めちゃくちゃ疲れるから多用は出来ないんだけどね~っと」

不意に飛んできた矢を出来立ての剣ではじく。
どうやら楽しくおしゃべりをしていたら、奇襲に失敗していたらしい。

オーク兵1「くそ!こっちにも敵だ!回り込まれているぞ!!うあ!?グバッ」

クリカラ「・・・・」

クリカラにボディーブローを食らわせられたオーク兵は、口から大量の血を吐き出すと息絶えた。
あまりにも見た目に似合わない攻撃に、少し笑ってしまう。

女勇者「ふふふっクリカラやるじゃん」

オーク兵2「おい!武器を持っていない方はかなりの手練だ!気をつけろ!!」

オーク兵達「ウオォォォォォ!!」

いつの間にか10人程の敵に囲まれていた。
オーク兵しかいないと言う事は、物理攻撃だけか。

女勇者「さーて、久しぶりの実戦か~」

オーク兵2「ダァァァァァァ!!」

私の背丈よりも大きいのではないかと言う程の太刀が目前に迫る。
やはりオーク兵は見た目通りの怪力と、見た目からは想像もつかない俊敏性を備えている。

女勇者「でも頭は悪いよね」

一直線に迫る太刀を身体のひねりだけで躱し、がら空きになった胴を鎧ごと叩き切る。
大量の返り血を浴び、一瞬で身体が赤黒く染められる

着地の瞬間、怯んでいるオーク兵に狙いを定めると、片足で地面を強く蹴った。
身体に捻りを利かせ、斜めに回転しながらオーク兵の身体を両断する。

オーク兵3「ガハァッ・・・」

チラリと横目をやると、踵落しで首を陥没させているクリカラの姿が見えた。
一体どんな馬鹿力なのかしら

オーク兵4「くそ!増援をたのっっ!?グビッ」

何か喋りかけていたが、オークの声なんて正直もう聞きたくもないので、首を落として黙らせる。

女勇者「クリカラ~、全部倒したけどどうするの?」

クリカラ「血なまぐさいです。近寄らないでください・・・」

女勇者「ドラゴンに血なま臭い言われたくないんだけど!」

クリカラ「さらに先に進みます」

無視か・・・。
まあ確かに返り血で酷い事になっていることは認める。
拠点ってお風呂とかあるのかなぁ・・・

女勇者「ん、今度は結構魔力強いのが来たね~」

飛んできた呪いの塊をはじき返す。
呪いにも良い思い出は無いなぁ・・・・。

悪魔「やっぱりオークって脳筋すぎて使えないわよね!小娘2人すら殺せないなんて」

クリカラ「・・・・・」

やはり無言で殴りかかるクリカラ。敵にも台詞は長々と言わせない。

悪魔「くっ・・・こいつ!?」

しかしあの素早い拳を避けるとは、中々あの悪魔も強いのかもしれない。
しつこく繰り出される殴打を嫌って、距離を取る悪魔。

悪魔「行け!使いm!?!?」」

女勇者「2対1なのは忘れちゃダメだと思うよ~」

オーク兵と頭の良さ的に大差無さそうな悪魔の首を刎ねる。

女勇者「それっ」

切断された首をクリカラへ思いっきり投げる。
ヒラリと身をかわすクリカラ。
そして生首は透明な何かに激突し、血をまき散らす。

???「グベッ!?」

クリカラ「・・・・不覚、気づかなかった」

悪魔2「くそ、$“$&%$#$‘$&&’&*@*?`!!」

姿を現した悪魔は、早口で何かを詠唱しながら私に突進してくる。

女勇者「そんなに叩き切られたか・・・」

剣が悪魔の身体を切り裂いたその瞬間、悪魔が・・・

女勇者「何を笑って・・・・しまっ!?」

視界が真っ白に染められた。

>>20から少女→クリカラです・・・
変えるの忘れていました。

女勇者のイメージです
夜に続きを投下したいと思っています。
http://imgur.com/WCYTvvh

魔将軍「お前には我が軍の兵士を産む道具になって貰う事にした」

あり得ないくらいに悪趣味の兜を被った魔将軍が、耳障りな憎たらしい声で私に告げる。
後ろに控えるゴブリン達が、不気味に笑い声をあげた。

魔将軍「やれ」

魔将軍の声で斧を持ったゴブリンが進み出る。
強力な拘束魔法の術中にある私は、
その光景をただただ唇を噛み締めながら眺める事しか出来ない。

ゴブリンが斧を振り下ろす。

グシャッと骨ごと右上腕が潰し切られる。
ゴブリン達はさらに不気味に笑い声をあげた。
斧を持ったゴブリンはニヤニヤと唇を歪ませながら私の左側に回り、
斧を振り下ろした。
あまりの痛みに気が遠くなる。

しかし、朦朧とした意識も脚を叩き切られる痛みで覚醒する。
悲鳴だけは上げまいと唇を噛み締める。
しかし、最後の四肢を切断された痛みは耐えきれず、
喉が潰れるかと思う程の絶叫を上げた。

しばらく意識を失っていた間に、切断面に何かを嵌められていた。
こうなっては、四肢を復活させる事も出来ない。

魔将軍「どうだ勇者よ、魔族の母体にこれからなろうとする気分は」

最悪に決まっているでしょ。
魔将軍を睨みつける。

魔将軍「それにしても人間と言うものは面白い。
少し母体に魔力を流してやれば、我々の種を簡単に宿すのだからな!」

私も知っていた。
魔王軍は捕らえた人間の女を使って、
多くの魔族を産ませ、兵士にしていた事を。

魔将軍「ただのメス共だと、すぐに使えなくなる割に、雑魚兵しか生産出来なかったが・・・・。
勇者、お前の血はさぞ力強い兵を産んでくれると、魔王さまも期待していらっしゃられるぞ」

魔将軍「これでおしゃべりはお終いだ。後はゴブリン共任せたぞ」

そのゴブリン達はどうやらじゃんけんで順番を決めているようだ。
私の処女がまさかゴブリンなどと言う、
最も弱い魔族兵に奪われるとは信じられない。

8体のじゃんけんに勝ったと思われるゴブリンが、ピョンピョンと軽い足取りで、
粗末なソレをそそり立たせながら向かってくる。

ゴブリン1「おい勇者さんよぉ、しっかりと俺の種を受け取るんだぞ~」

酷い臭いを放つソレをペシペシと私の頬に当てながら、ゴブリンは笑う。
動く事が出来れば、こいつなど1秒もかからずに・・・・。

ゴブリン1「勇者、よく見ておけよ~。俺とお前が繋がる瞬間をな!」

ゴブリンは良いながらヌメヌメとする何かを私の秘部に塗り込む。
そして、まだ誰とも繋がった事の無い秘部に、ソレが押し付けられた。
ゴブリンに初めてを捧げるくらいなら、戦士に捧げればよかった。
魔王に一瞬で消し炭にされた、私の愛した戦士に・・・・。

ゴブリン1「はっはっは、あの勇者が泣いてやがる」

ジリジリと下半身に違和感がこみ上げる。
いくらゴブリンとは言え、人間と比較しても遜色の無い大きさのソレは圧倒的な異物感をもたらした。
痛みはあまり無かった。
激しい戦闘で、処女膜などとうに破けていたのだろう。

ゴブリン1「あ~、勇者と言ってもやっぱり女なんだなぁ。すぐに出ちまいそうだ」

ゴブリン2「後ろがつっかえてんだよ、さっさと出しちまえ」

ゴブリン1「わかったわかった」

ゴブリンの腰が一段と速くカクカクとピストン運動をする。
パチュパチュと気持ちが悪い水音が、瘴気のこもる部屋に響く。
不意にドンと奥、子宮口にソレが押し付けられる。

ゴブリン1「ちゃんとゴブリンの子孕めよぉぉぉ!」

ああそうか、これが射精か・・・。
出されているかどうかは、正直分からなかった。
しかし、縮みかけたソレが出てくる時に滴り落ちてきた白濁液が全てを物語っていた。

ゴブリン2「やっと終わったか、待ちくたびれたぜ」

さっきよりもさらに強い異物感が下腹部を犯す。

ゴブリン2「あ~良い締め付けじゃねぇか。流石鍛えてるだけあるな、勇者さんはよ」

ゴンゴンと激しく身体を揺すられる。
下からの激しい突き上げに、声帯がわずかに震える。

ゴブリン2「勇者も好きものじゃねえか、感じてんのかよぉ」

勘違いしたゴブリン達は、さらに調子に乗って激しく私を犯し続けた。

魔将軍「どうだ勇者、子作りの調子は」

何日が経っただろうか、ある日魔将軍が相変わらず悪趣味な兜を被りながら部屋を訪ねてきた。

魔将軍「そろそろお前の腹にも命が宿っている頃だろう」

魔将軍は、構わずピストンを続けていたゴブリンを蹴り飛ばすと、私のお腹に手を当てた。

魔将軍「ふ・・・はっはっっは。おめでとう勇者、いやママと言うべきかな」

その日からゴブリンに犯される事は無くなった。
しかし、24時間寝ている間まで不気味な悪魔から腹に魔力を注入され続けた。
こうすると、1ヶ月程で子供が産まれるらしい。

確かにみるみると腹は大きくなり、乳首からは母乳が出るようになった。
ちょうど1ヶ月ほどたったある日、私は出産した。

産まれてきた赤子を見て、魔族達が青くなっていた。
通常、魔族の雄に種を受けた人間の女は、
人間と魔族のハーフではなく、ほぼ100%の魔族を産むそうだ。

しかし、産まれてきた赤子は、どこからどう見ても人間の姿だったのだ。


可愛い産声を上げる私の赤ちゃん、腕があれば抱いてあげたかった・・・

書くのをすっかり忘れていましたが、R18です。
リョナ要素も少しばかしあります。

目を開けると、そこにはユウキの姿があった。
ああ、さっきのは昔の夢か。
久々に見た気がする・・・。

ユウキ「勇者様、大丈夫ですか?」

女勇者「う~ん、どうだろう」

身体を起こし、立ち上がってみる。
うん、何ともない。

クリカラ「・・・・さっきの自爆攻撃を至近距離で受けてたのに」

まるで化け物を見るような目で私を見るクリカラ。
ドラゴンの方が化け物だと思うんだけどね。

女勇者「一応最低限の防御はしたからね~」

気は失ったけど。

ユウキ「なら良かったです」

女勇者「それで、敵は?」

ユウキ「大方殲滅し、あとは敗走しました」

女勇者「まあ大した事無かったもんね~」

クリカラ「・・・ねえユウキ、勇者と大浴場行ってくる」

女勇者「あ、大浴場なんてあるんだ!行きたい行きたい!」

ユウキ「わかりましたじゃあクリカラ、勇者様のことよろしくね」

ユウキに微笑みかけられたクリカラは、少し嬉しそうにすると無言で頷いた。
ふむ、なるほどね~。

今日の投下終わりです。
次は明後日投下する予定です。

女勇者「ふぅ・・・広い湯船なんて100年ぶりだな~」

クリカラ「・・・・」

何故かクリカラはそっぽを向いてしまっている。
恥ずかしがり屋なのだろうか、案外可愛いドラゴンなのかもしれない。

女勇者「ねえクリカラ、聞きたい事があるんだけどさ」

クリカラ「・・・・なに」

女勇者「ドラゴンって人の子供作れるの?」

クリカラ「なっ!?」

黒龍のくせして頬を紅く染めたクリカラが、目を見開いてこっちを振り返る。

女勇者「どうなの?」

クリカラ「・・・・なんでそんな事を」

女勇者「うーん、まあ興味かな」

私は数えきれないほど沢山の魔族の種を受けたが、ドラゴンとは交わった記憶が無い。
クリカラは私の目を見返すと、観念したように小さくため息をついた。

クリカラ「・・・・・普通は無理です」

女勇者「普通はね」

クリカラ「・・・はい。ただ、私のように人型になれる家系は、人と交わって子を生す事が可能だそうです。聞いた話ですが」

女勇者「なるほどね、ふむふむ」

少しニヤニヤしながらクリカラを見る。
さっきよりもさらに顔を紅くしてクリカラは俯いている。
戦い方はワイルドだが、心は相当純朴なようだ。。

女勇者「じゃあさ、ユウキとクリカラが子供を作ろうと思えば、余裕に出来るってことだよね」

クリカラ「ゆ、ゆ、ゆ、ユウキ!?」

クリカラは最大限顔を紅くすると、そのままお湯に突っ伏した。
反応が可愛いからって、少しからかい過ぎたかもしれない。
どうやら私の発言で何を想像したのかは知らないが、オーバーヒートして気を失ったようだ。

女勇者「とりあえず、外に出すか。ヨイショっと・・・」
随分と軽い身体をお姫様抱っこの形で抱き上げる。
うーん、冷水でもかければ起きるかな。
抱えたままシャワーの前に座ると、クリカラの顔に冷水をジャブジャブとかける。

クリカラ「・・・・う~」

女勇者「おーい起きろ~」

クリカラ「・・・・・な、何してるの、冷たい」

女勇者「え?冷水をかけて冷やしているんだけど」

クリカラ「・・・・いいからもう水かけるのはやめて」

ユウキ「あ、勇者様、大浴場はいかかでしたか?」

女勇者「良い湯だったよ~。やっぱりお風呂こそが文明だね」

ユウキ「お気に召したようで何よりです」

ユウキ「あれ、どうしたクリカラ、なんか機嫌悪い?」

クリカラ「・・・・別に」

まあクリカラが不機嫌なのは、完全に私のせいだろう。
ただ、クリカラの表情で不機嫌かどうかは、正直読み取れないんだけど。

ユウキ「勇者様の着替えはどうされたのですか?」

女勇者「ん、クリカラが貸してくれたよ~」

ちなみにクリカラと私だと、クリカラの方がほんの少しだけ背が高い。
まあ胸がかなり苦しいから、後で衣を新調した方が良さそうだ。

クリカラ「・・・・チッ」

ユウキ「勇者様、今日はお疲れでしょうから、お部屋でお休みください」

女勇者「あ~、久しぶりに思いっきり動いたから肩が凝ったかも」

ユウキ「いきなり戦わせてしまって、申し訳ないです・・・。我々は拠点の復旧がありますので、メイドを呼びますね」

ユウキがフリフリとした白黒の衣装に身を包んだ女性に声をかける。
多分あれがメイドなのだろう。
私が知っているメイドの衣装よりも、随分と装飾が凝っているけど。
汚れやすそうだなぁ。

メイド「メイドと申します。勇者様、お会い出来て光栄です」

女勇者「迷惑かけるね、よろしく」

ユウキ「それでは我々はこれで」

女勇者「また後でね~」

メイド「それではお部屋にご案内いたします」

女勇者「この拠点って凄いね~、山をくり抜いてるの?」

メイド「そうですね、ほとんどの機能は山の中にございます」

女勇者「あとさ、ここ100年間の事が記録されている書物とかある?」

メイド「あとで書物庫を探してみます」

流石に100年間の出来事を何も知らないのは不味いからね。
まずは勉強しないと。

メイド「こちらが勇者様のお部屋でございます」

メイドに続いて部屋に入る。
部屋は広いとは言えないが、ベッドと机が備えられている。

メイド「あまり広いお部屋はご用意出来ませんでしたが・・・・」

女勇者「大丈夫大丈夫」

ベッドにダイブしたいとウズウズする気持ちを抑え、いかにも冷静を装う。

メイド「それでは私は書庫に行って参りますので、少々お待ちください」

女勇者「うん、行ってらっしゃい」

メイドがお辞儀をしてドアを閉める。
部屋にシーンとした静けさが訪れる。

女勇者「うわーい!!ベッド!!ベッドだよベッド!!!」

我慢していた気持ちを解放し、石の数百倍は柔らかいベッドに身を投げる。
しばし身を包む柔らかさを堪能する。

メイド「勇者様、失礼いたします」

メイド「・・・・よく寝ていらっしゃいますね、本はこちらに置いておきましょう」

コンコンッ・・・・

うん・・・、ノック?

ユウキ「勇者様、いらっしゃいますか?」

どうやらベッドの魔力に負けて、眠りに落ちてしまっていたらしい。
結構不眠気味なのに、やはりこの柔らかさは侮れない。

女勇者「いるよ~、どうぞ」

ユウキ「失礼いたします」

クリカラ「・・・・・・」

ドアを開けてユウキとクリカラが入ってくる。
流石に3人も部屋に入ると、少し窮屈にかもしれない。

女勇者「で、何かあった?」

ユウキ「そうですね、これからについて少しお話をさせていただこうかと」

女勇者「これからね」

ユウキ「はい・・・それでは少し場所を移しましょう」

ユウキに連れられて到着した場所は・・・

女勇者「ここは食堂かな?」

ユウキ「その通りです。ちょうど夕食時なので、夕食を食べながらお話ししましょう」

クリカラ「・・・・今日はカレー」

ユウキ「勇者様はこちらでお待ちください」

私が席に座ると、ユウキとクリカラはカウンターに向かって歩いていってしまった。
やはり夕食時というだけあって、食堂はざわざわと賑わっている。

女勇者「拠点の広さもそうだけど、人の数も結構多いな・・・」

???「その通りです勇者様」

どうやら独り言を聞かれていたらしい。
後ろから低い声で望まぬ返答を寄越される。

女勇者「えーっと、どちら様?」

振り返ると、私の倍はあるとも思える巨体、白いものを少し含んだ髭を口元に蓄えた、赤子を泣かすような風貌の男が立っていた。

ユウキ「あ、司令官いらっしゃっていたのですね」

司令官「おうユウキ、ワシも一緒にいいか?」

ユウキ「はい、ちょうどこれからの話をしようと思っていたんですよ」

司令官か・・・。
この風貌だと、司令官と言うよりも切り込み隊長にしか見えないのだけど。

司令官「勇者様、お隣失礼します」

女勇者「あ、どうぞ」

隣に座られるだけでも凄い圧迫感。
オークに素手で対抗出来るのではないだろうか・・・・

司令官「では勇者様、改めて自己紹介さていただきます。レジスタンスのリーダーを勤めさせていただいております、司令官です」

女勇者「どうも勇者です」

キリが全く良くないですが、投下はここまでです。
もしかしたら夜にまたするかもしれません。

軽く司令官と握手を交わす。
まあ相手の手が大きすぎて、私の手を握られただけなんだけど。

ユウキ「勇者様、こちらが夕食です」

女勇者「お~、まともな料理も久しぶりだな~。いただきま~す!」

女勇者「ムグムグ・・・う~ん、やっぱり温かいご飯はおいしい!ムグムグ」

クリカラ「・・・・・おかわり取ってくる」

ボソッと呟いてクリカラは立ち上がる。
それにしても、またドラゴンの新たな一面を発見してしまった。
ふむふむ、ドラゴンはカレーライスを吸い込むように食べるのね。

結局私が1皿食べ終える間に、
クリカラは5回ほどおかわりに席を立っていた。

女勇者「ふー食べた食べた~」

クリカラ「・・・・勇者は随分と小食」

女勇者「胃が小さいからね」

あと、勇者とドラゴンを同列に捉えないでね。
勇者は基本的には人間だから。

ユウキ「腹ごしらえも済みましたので、本題に入りましょうか」

女勇者「うんうん」

ユウキ「まずはなぜ我々が今、勇者様を助け出したのかからですね」

女勇者「え、魔王を殺すためでしょ?違うの?」

ユウキ「いえ、その通りですね。魔王を殺すために、勇者様のお力をお借りしたいのです」

司令官「しかし魔王は単独でもかなり強力で、魔王軍の全盛期ともなれば、我々は見つからないように細々と活動するしか無かったわけです」

女勇者「今は全盛期ではないと?」

ユウキ「その通りです。今、魔王側はいくつかに分裂しかけています」

・ ・・・・
70年程前、前魔王から息子である現魔王に王座が引き継がれた。
現魔王も非常に強力な力の持ち主ではあるが、前魔王ほどのカリスマ性と明晰なる頭脳は持ち合わせていなかった。
最初の10数年は前魔王からの側近などの力で魔族は1つにまとまっていたが、口うるさい側近に嫌気が差した魔王が粛正を始めると、魔族の間にも対魔王グループが段々と形成され始めた。
最初に魔王側に対立したドラゴン達は、圧倒的に数の面で劣勢ながらも魔王軍に深い爪痕を残した。
生き残ったドラゴン達は人間のレジスタンスに協力し、力を蓄えている。
また、魔族の中でもエルフ族などは前大戦時から魔王に対する不信感が強く、反旗を翻す準備を着々と進めている。

魔王軍とてこれらの動きは把握しているが、魔王の愚策と度重なる飢餓、終わらない戦乱により、魔王軍の士気は低下し離反者も後を絶たないようだ。

・ ・・・・

とりあえずキリ的にここまでで投下しました。
またある程度進んだら投下します。

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