雪乃「比企谷くんを救うことになった。」 after (562)

雪乃「比企谷くんを救うことになった。」
雪乃「比企谷くんを救うことになった。」 - SSまとめ速報
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このssは↑の番外編になります
物語はゆきのんとガハマさんがヒッキーに嘘告白してから再び顔を合わせるまでの空白の1ヶ月を描いた話です



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1454119684



<三浦優美子の場合>


葉山「なぁ…二人とも…」


大和「悪いけど…」


大岡「もうお前とは付き合いたくないんだ。」


隼人は大岡と大和の二人に声をかけているがまったく相手にされていない。

2-Fのクラスは昨日から一気に様変わりしている。

その原因はこのクラスの人気者のグループが解散したからだ。

そう、あーしの居たグループは先日解散してしまった。



葉山「あ、優美子!ちょうど良かった。
キミからもみんなに言ってくれないか。またみんなで仲良くやろうって!」


三浦「はぁ…隼人。あーし言ったよね。もうグループはおしまいだって。」


葉山「だからってこのままの状態でいいわけないだろ!
俺とキミはグループの中心だった。俺たちが声をかければまたみんな元に戻れるはずだ!」


三浦「悪いけどあーしはもうどうでもいいから。
それと言っておくけど、隼人はこんなことよりもっとやるべきことがあるんじゃないの?」


あーしの言葉に隼人は首を傾げた。

嘘…まさかわからないってことはないよね?

まあどうでもいいし。

あーしはそんな隼人を無視してさっさと教室を出ていった。

それからある場所へと向かうことに…



三浦「うぅ…緊張する…」


三浦「けど…ビビってられないよね…」


今、あーしは生徒会室の前に立っている。

これからこの部屋にいるヒキオこと比企谷八幡へ謝罪するためだ。

何でヒキオに謝罪するのかだけど…

修学旅行の時、あーしのグループで戸部が海老名に告白するという事件が起きた。

でも海老名に告白を受ける気なんてまったくなかった。

そこで諸々の事情を知ったヒキオは、

あの二人が傷つかないようにと嘘告白をしてその場を収めたそうだ。

正直、酷い話だと自分でも思う。

しかも同じくこの事情をグループのリーダー格の隼人も知っていたからさらにタチが悪い。

そんな理由で先日あーしらのグループは解散してしまい、

あーしはグループの最後のけじめとしてヒキオに謝罪にやってきたわけだけど…



三浦「ダメだ…決心がつかない…」


三浦「結衣があんなことしなきゃもっと気楽に入れたのに…」


まだ扉を開けることに躊躇していた。

実は昨日からある噂が校内に広まっている。

その噂の内容は…



『奉仕部の雪ノ下雪乃と由比ヶ浜結衣がヒキタニに嘘告白して自殺未遂に追いやった!』



そんなとんでもない噂だった。

何でそんなことになったのか詳しくは知らない。

でも恐らく修学旅行の一件が絡んでいることはあーしでも想像できた。

だからこそ気が思いやられるわけで…



めぐり「あれ?うちに何か用?」


三浦「あん?誰…?」


めぐり「あ…知らないかな?私は城廻めぐり。元生徒会長だよ。」


あーしに声を掛けてきたのはなんと3年生の城廻めぐり先輩だった。

やばっ!先輩にタメ口きいちゃったよ…!?

あーしは慌てて城廻先輩に謝った。

でも待った…?元…生徒会長…?

元ってどういうこと…?



めぐり「あ、まだ知らないんだ?
私は昨日で生徒会長を比企谷くんに譲って引退したんだよ。」


三浦「え…?ヒキオって生徒会長なんですか!?」


めぐり「本当なら1年生の一色いろはちゃんがなる予定だったんだけど、
本人が嫌がってその代わりで比企谷くんが生徒会長をやることになったんだよ。」


驚いた。

まさかヒキオが生徒会長になっていたなんて…

あーしはてっきり、

生徒会の雑用でも頼まれたからヒキオが生徒会室に出入りしてるのかと思っていたけど…



めぐり「でもひとつだけ問題があってね…」


三浦「問題って…?」


めぐり「実は比企谷くん以外の役員が決まらなかったの。」


三浦「それって大問題だし!でもどうしてそんなことに…あっ!?」


そこであーしは言葉を止めた。

その理由はすぐにわかった。ヒキオのこれまでの悪評が原因だからだ。

そしてその悪評とは何か?

間違いなくあーしらのグループがヒキオに難題を押し付けた件だ。

つまり今度の生徒会に人が集まらないのはヒキオだけが原因じゃない。

あーしらにもあるわけだ。



めぐり「でもこうして来てくれて助かったよ!
三浦さんも今度の生徒会に入ってくれるから来てくれたんでしょ~?」


三浦「え~と…そのあーしは…」


めぐり「とにかく入って!話はそれからだよ~!」


こうしてあーしは城廻先輩によって半ば無理やり生徒会室に入らされた。

その部屋であーしを待っていたのは…


八幡「お前は…三浦…?」


三浦「あ…どうも…」


そこには勿論あーしが謝らなきゃいけないヒキオがいた。

でも意外にもそこにはヒキオ以外にもう一人いたわけで…

それがなんと…!



少女A「三浦さんでしたね。この前は失礼しました。」


三浦「へぇ、アンタもいたんだ…」


めぐり「みんな顔見知りなのかな。
紹介するね。会長の比企谷くんにそれと今日から入ってくれた新しい副会長さんだよ!」


ヒキオの隣にいたのは結衣でも雪ノ下さんでもない。

先日、あーしらのグループを解散させる原因を作った女だ。(名前は知らない…)

そういえばヒキオのことを随分庇っていたけど、

まさかヒキオと一緒に生徒会に入ったなんて…この子ヒキオのことが好きなわけ…?



三浦「アンタが生徒会に入ったのはヒキオがいるからなんだね。」


少女A「はい。お恥ずかしい話ですけど無理やり押しかけてみたものなので…」


八幡「理由はどうあれ助かっているぞ。
このまま俺以外のヤツが決まらなけりゃ、
俺は今度こそ学校から追い出されることになっていたかもしれんからな。」


めぐり「うんうん!何はともあれ役員が入ってくれてよかったよ!」


城廻先輩が頷きながら二人のことを微笑ましく見ていた。

けど正直この光景はあーしとしては思うところがある。

何故ならあーしの友達である結衣はヒキオに片思いしている。

そのヒキオが他の女とイチャイチャしているのは結衣の親友として複雑な心境だ。



少女A「それで三浦さんは何の用事があって生徒会室へ来たの?」


八幡「そうだな。こんな場所にお前みたいなギャルが何の用があるんだよ。」


めぐり「きっと新役員に立候補しに来たんだよ!
今なら30人の推薦人さえ用意してくれればすぐに生徒会役員になれちゃうよ~!」


30人の推薦人集めたらすぐ役員になれるって…つまり不信任投票ってこと…?

うちの学校の生徒会選挙ってそんな適当でいいわけ…!?

まあ生徒会の心配なんてこの際どうでもいいし…

つーかあーしったらヒキオに謝るタイミングを完全に逃している。

それに城廻先輩はあーしが生徒会役員に立候補してくれると勘違いしているし…

実はちがいますなんて言ったら傷つくだろうなぁ…

そんなことを思っていたら部屋の扉が開いた。

誰かがこの部屋へ入ってきたようだ。



海老名「あの…ヒキタニ…いえ…比企谷くんいますか…?」


三浦「海老名…!どうしてここに…!?」


海老名「あ、優美子も来ていたんだ。それはたぶん優美子と同じ理由かな…」


めぐり「オォッ!立候補者がもう一人来てくれたよ!」


なんと生徒会室を訪れたのは海老名だった。

また新しい立候補者が来たと勘違いしている城廻先輩はちょっとうるさいし…!

そんな海老名と一緒にもう一人この部屋に入ってきたのがいた。



戸部「ヒキタニ…いや…比企谷くん…チッス…」


八幡「お前…もしかして…戸部か…?」


少女A「あの…その頭は…どうしたんですか…?」


三浦「あの茶髪のロン毛が…」



「 「 「丸坊主になってる――――ッ!?」 」 」



城廻先輩以外のこの場にいる全員が驚いた。

あのチャラ男だった戸部が坊主にするなんて…

アンタ…それはもしかして…?



戸部「へへっ…サッパリしたっしょ?坊主系も案外イケるみたいな?」


海老名「驚いた?
さっきここへ来る前に戸部っちったらけじめだって言って自分で髪を刈っちゃってね。」


三浦「けじめ…やっぱそういうことなんだね。」


八幡「おい、戸部が坊主になったりお前ら三人が押し寄せたりでわけがわからんぞ。」


めぐり「そうだね。みんな生徒会に入りに来たわけじゃないの?」


やばっ!あーしらだけで話を進めて肝心のヒキオが蚊帳の外だった。

それじゃあ一応揃ったことだし改めて言わなきゃダメだよね。

戸部に至っては頭を坊主にしてまで覚悟を決めたんだから。

それならあーしだっていつまでもウジウジしているわけにはいかないし…!




「 「 「 比企谷くん!ごめんなさい! 」 」 」



八幡「いきなり謝ってどうしたんだよ…?ていうか何でみんな俺に謝るわけ?」


戸部「あれ…?もしかして比企谷くん何も知らない?マジなん?」


三浦「その子が一昨日修学旅行の一件を洗いざらい暴いたわけ。」


何も知らないヒキオのためにあーしはこれまでの事情を話した。

一昨日、奉仕部の部室であーしらのグループが集まり彼女に糾弾されたこと。

あの件に関してあーしらの知らないところで奉仕部に無茶難題を押し付けられていたこと。

そして一昨日、あーしらのグループが解散したことも…

その全てをヒキオは今頃になって知ったらしい。



八幡「そんな…
俺の知らないところでそんなことがあったなんて…
つーかお前…俺の知らないところでとんでもないことしてたんだな。
あの葉山や相模を相手にやりあったとか…無茶苦茶しすぎだな…?」


少女A「比企谷くん勝手な真似をしてごめんなさい。でも放っておけなくて…」


海老名「あなたが謝ることじゃないよ。
一番悪いのは私だから。私があんな無茶な相談をしなきゃこんなことにはならなかった…」


戸部「いや、海老名さんは悪くないから!
一番悪いのは俺かな…俺が自分だけで告白する度胸があれば…」


三浦「ヒキオ一人でこんな問題を押し付けたのがそもそもの間違い。本当にごめんね…」


ヒキオはこの事実を知って驚きを隠せずにいた。

まさか自分が関わっていないところで、

事態が180度変わっていたなんて知ったら驚くだろうしね…



八幡「まずは俺から言わせてくれ。
その…まだうまく状況を把握出来ないんだが…あの件は俺なりに精一杯やったつもりだ。」


三浦「でもあんな無茶ぶりどう考えても叶えられるわけないし…」


八幡「本当ならもっといい手があったかもしれない。
けどあの場でお前らを傷つけずに済むにはあれが最善だったと今でも思っている。」


海老名「でもそれで奉仕部のみんなは気まずくなったよね。
そのせいで比企谷くんはあの二人から見捨てられちゃったみたいだし…」


八幡「別にいつものことだ。
単純な話であの場にいた誰もが傷つくならそれは俺一人が被ればいいに決まって…」


ヒキオが話している最中だった。

今まで黙っていた聞いていた彼女があいつの前に立ってこう言った。



少女A「ダメ…」


八幡「ダメって…いきなり…どうしたんだ…?」


少女A「もうそういうことはやめてと言っているの…!」


八幡「何言って…単純な話だろ。それでみんなが助かるなら…」


少女A「でもそれは比企谷くんの犠牲があったからこその話だよね。
そんなことはもう二度としないで!また昨日みたいなことになったらどうするの!?」


彼女はヒキオに向かって泣きながらそう叫んだ。

そうだ。あの噂が本当ならヒキオは昨日危うく自殺をしそうになったらしい。

こんなこと当然だろうけどヒキオだって人間だ。

傷つけばつらいに決まっている。

それをわかっていながら隼人や海老名は押し付けてしまった。

あーしらは本当に最低なことをヒキオにさせてしまったんだ…



三浦「ヒキオ、その子の言う通りだよ。
あーしらのためにアンタが傷つくことはなかったんだよ…」


海老名「あんなこと頼んで本当にごめんね。
でもここでちゃんと謝らなきゃいけないの。もう逃げるわけにはいからなから。」


戸部「ここでちゃんと謝らなきゃ俺らマジで最低だからさ…」


もうあーしらが頼りにしていた隼人はいない。

いや、そんなのは最初からいなかったのかもしれない。

現に隼人はこの場に来ていない。

もし今回の件について反省しているなら隼人だってこの場にいたはずだ。

そう、グループの仲を戻そうとするよりもまず先にここへ来て謝罪している。

それがいないということは…



八幡「けど…お前ら…葉山はいいのか?
この件を認めちまうってことは…それは葉山がやったことが無駄になるんじゃ…?」


三浦「もう隼人のことは気にしなくていいよ。
あれは最初からアンタを犠牲にする気だったみたいだからさ。」


八幡「でもあいつは自分のグループを守るために頑張っていたはずだろ。」


戸部「それでも比企谷くんが傷ついていいって話じゃないっしょ?」


海老名「隼人くんは自分のグループのために比企谷くんを犠牲にした。
でもそれはつまり、
隼人くんは自分を犠牲にしてまであのグループを守ることができないってことなんだよ。」


三浦「そんな隼人がリーダーやっていたのがあのグループだよ。
たぶん今回の件がなくてもあーしらのグループはいずれ終わっていたはずだし。」


改めて思う。

あーしらのグループはなんて脆いものだったんだろうって…

ヒキオが自分を犠牲にしてまで守ったもの。

でもそれは一度ヒビが入れば簡単に砕け散る程度のものだった。

所詮あれは偽物だったわけだね。



八幡「やっぱり上っ面だけの関係だったわけか。
でもあいつはそれでも必死に守ろうとしていたから…俺も…」


海老名「ハハ、いつもならはや×はちキターって言いたいけど…
悪いけど私の中ではや×はちカップリングはもう終わりかな。
勿論隼人くんだけが悪いわけじゃない。私だって隼人くんと同じだよ。
もっとちゃんと戸部っちの想いに正面から向き合えばこんなことにはならなかった。」


戸部「いんや…悪いのは俺だわ。俺の告白の仕方…今思えば最低だった。
必ず告白を成功させたいって海老名さんの気持ち無視しまくってたし…
俺の一方的な想いだけじゃダメなんだわな。」


三浦「あーしだって同じだよ。
グループのみんなの問題にもっと耳を傾けていればこんなことには…」


あーしらは互いの責任を言い合っていた。

誰もが自分が悪かったと…

けどそんなあーしらを見てヒキオはあることを呟いた。



八幡「それを言うならやっぱり俺が一番悪いのかもしれないな。」


三浦「はぁ?何でアンタが悪いってことになるわけ?」


八幡「それは…俺が身勝手だからだ。
葉山と同じく何も変わらなければ誰も傷つくことはないと勝手に思い込んだだけで…」


たぶんヒキオの言っていることは本当だろう。

でも何かおかしい。

ヒキオは何かを隠している。あーしの勘がそう告げている。



少女A「比企谷くん何か隠していませんか?」


八幡「いや…何も隠してなんか…」


少女A「本当ですか…?それなら私の目をちゃんと見て言ってみて…?」


八幡「わ…わかった!言うから顔をあまり近づけるな!勘違いしちゃうだろ!?」


あの彼女がヒキオの顔を凝視しながら問い質した。

いや…お熱いのは結構だけど…アンタたち…あーしらがいること忘れてないよね…?



八幡「今だから話すが、
俺があんな嘘告白をしたのは別にお前らのためってわけじゃない。
ここだけの話だが…あれは…奉仕部の…雪ノ下と由比ヶ浜のためにやったことなんだ…」


海老名「それってどういうこと…?」


八幡「まあ要するにだ。
あの二つの依頼だがもしも戸部の告白を成功させたいという依頼をやりとげるとしても、
そこに海老名の告白を阻止してほしいという意思がある限り成功することはあり得ない。」


少女A「二つの異なる依頼をどちらも両立させるなんて不可能ですよ。」


八幡「そうだ。だがもしもどちらか片方…
つまりこの場合なら俺が海老名の相談の真意に気づかずに、
奉仕部が戸部の依頼のみを実行していたらどうなっていたと思う…?」


ヒキオの質問にあーしは考えた。

もしも戸部だけの依頼を実行していた場合…?

当然だけど戸部は告白を断られて海老名にフラれる。

それはわかりきっている。

でもそれ以外に何がある…?

例えばあーしらのグループ内はどうなっていただろうか。

たぶんあのグループは気まずい雰囲気になっていたはず。

それに雪ノ下さんや結衣が関わるってことは…あ…そうか…!



八幡「三浦は気づいたようだな。
そう、奉仕部があのまま戸部の依頼を実行していたら間違いなく、
非難されていたのは俺だけじゃなく雪ノ下と由比ヶ浜にまで及んでいたはずだ。」


戸部「ちょっと待った!何で結衣っちたちにまで…!?」


少女A「それはたぶん…
雪ノ下さんは奉仕部の部長として依頼を達成できなかった責任を擦り付けられて、
それに由比ヶ浜さんも依頼を引き受けてしまった身だから、
あなたたちから叱責を受ける可能性があったからじゃないのかな?」


海老名「うん…間違いなくあり得たかもしれない話だね…」


ヒキオの話に思わずあーしも納得していた。

これが本来なら隼人がやろうとしていた顛末だったなんて…

ヒキオがあの嘘告白を行わなければ、

あーしらは結衣と雪ノ下さんまで責めていたとまでは思いたくないけど…

それでもグループ内で結衣が阻害される可能性はあったはずだ。

それをわかっていたからヒキオは敢えてあの嘘告白を行ったわけか。



八幡「正直、あの時の俺はお前たちのことなんて二の次だった。
ただ…奉仕部を…いや…あいつらのことを守りたかっただけだ。
だから本当に謝るべきは身勝手な行動に出た俺の方だ。すまない…」


戸部「ちょ…やめてくれよ…比企谷くんに謝られたら俺ら立場ねーじゃん!」


海老名「身勝手なら私の方こそ…あなたたちに押し付けたのがそもそもの原因だから…」


三浦「ていうかヒキオのは身勝手じゃないっしょ。
結衣のこと守ろうとしていたわけだしさ。やっぱり身勝手なのはあーしらだよ。」


そんな結論を出したけど…

でもやっぱり一番の身勝手なのはこの場にいない隼人だと今更ながら痛感した。

確かにあーしがヒキオに謝罪するとは言ったけど、

海老名や戸部とちがって自分からヒキオの前に姿も見せずにいる。

今にして思えばあーしは何であんな男を好きになってしまったのか疑問を抱くほどだ。

それから戸部は部活の時間だからと部屋を出て行き、

これまで話を黙って聞いていた城廻先輩があることを切り出してきた。



めぐり「あの…話の腰を折るようで悪いんだけど…
それで結局生徒会役員にはなってくれるのかな…?それとも…」


八幡「あ、城廻先輩。すいません…すっかり存在を忘れてました…」


少女A「途中からずっと蚊帳の外だったからね。」


めぐり「だってしょうがないじゃない~!
みんなとは学年ちがうから何の話かまったくわからないし…
それで生徒会に入ってくれるの?それともちがうの?」


そういえばそんな話をしていたような…

そこで生徒会室を見てふと思った。

確かこの生徒会ってヒキオと彼女以外はまだ誰もいないんだよね。

それなら…!

あーしは決心した。



三浦「よし決めた!今度の生徒会にあーしが入るし!」


八幡「お前何言ってんだよ?」


三浦「いいじゃん。どうせ人いないんだしさ。それともアンタに人集めができるわけ?」


八幡「それを言われると痛いな…」


少女A「確かに…比企谷くんに人集めは無理かも…」


めぐり「いいよいいよ!入ってくれるならなんだっていいからね~!」


どうやらあーしの生徒会入りはほぼ確定したようだ。

30人の推薦人だってクラスのみんなに協力してもらえばすぐに集まるだろうし。



海老名「それなら…私も…いいかな?」


八幡「海老名…お前もか…?」


少女A「でも…海老名さん…あなたは…」


海老名「うん…わかってる…
修学旅行の一件は私に責任があることは…私自身が一番わかっているよ。
でもここで何もしないで見ているよりはね…」


八幡「なぁお前ら。
こんなこと言いたかないが罪滅ぼしのつもりならやめておけ。お互い気まずいだけだろ。
それに他人から見たらお前らは葉山から俺に乗り換えただけに見られるだけだぞ?」


ヒキオの言う通り確かにあーしらがやろうとしていることは罪滅ぼしみたいなものだ。

それでもあーしらの気持ちは変わらない。



三浦「だからってこのままでいいってわけにはいかないっしょ?」


海老名「うん、誰かに悪く言われたとしても元々は私たちが原因だからね…」


三浦「全部引っ括めてあーしらは覚悟決めたわけ!アンタが気にすることはないよ!」


少女A「いいんじゃないかな。
少なくともこの人たちは比企谷くんの前に謝りに来てくれたんだから。
気まずいからっていう理由で来ない人たちよりはよっぽど信頼できると思うよ。」


彼女の言葉にヒキオもまた納得したようだ。

でも今の言葉は少し引っ掛かる。

たぶんこの子は遠まわしでこう言っているんだ。

この場に来ない隼人、それに結衣や雪ノ下さんは信頼するに値しないってことだよね…

確かにヒキオと同じ部のあの二人ならこの場に居てもいいはずだ。

でもこの部屋に二人の姿はない。

それはつまり信じられないけど昨日のあの噂は本当だということなのかもしれない。



三浦「ねぇ、早速だけどさ…ヒキオじゃないや…
ハチオは今からあーしらのことを苗字じゃなく名前で呼ぶし!」


八幡「何でいきなり名前呼びなんだよ…?」


三浦「うっさい!もう決めたことだから!
これからは堅苦しいの抜きでみんな本音で語りあってく!
じゃないと…また同じことの繰り返しだから…」


海老名「同じことの繰り返し…そうかもしれないね…だからよろしくねハッチー!」


八幡「海老名までかよ…
わーったよ!三浦…じゃなくて優美子…でいいのか…?」


まだ照れくさそうにしているけどまあこれでいいか。

さてと、ここまではお膳立てしてあげたんだから。

あとは彼女さん、アンタの番だよ。



少女A「あの…比企谷くん…じゃなくてその…はち…まん…?」


八幡「え…?ちょ…いきなりどうしたんだよ!?」


少女A「だって…みんな名前呼びなんだから…私も…その…彼女だし…」


八幡「あ…そうだったな…それじゃあ…『 』…これでいいか…?」


少女A「うん!改めてこれからもよろしくね八幡!」


初々しいことで…

でもとりあえずはこれでよかったとあーしは思っている。

結衣には悪いけどアンタがハチオを本気で好きならこの場にこれるはずだよね。

もしもアンタがここへ来る気があるなら、

その時はあーしが親友としてアンタを同じ舞台にまで引き上げてあげる。

でも…アンタがハチオに噂通りのことをやったのなら…

その時は悪いけどあーしはハチオの味方になるよ。

これがあーしのけじめ。

ハチオを苦しませてしまったあーしの罪滅ぼしだ。


<三浦優美子の場合>

end

とりあえずここまで

続いて他のヒロインたちの視点で番外編を描いていきます



<一色いろはの場合>


いろは「生徒会室、本当なら私がここへ入るはずだったんですよね。」


私こと一色いろははこの生徒会室前にいる。

これからある人の頼みでこの部屋に乗り込まなければいけません。

そう、恋する乙女はいつも真剣勝負なのです。

いざ…!



八幡「よう、一色じゃねーか。今度は何の用だ?」


いろは「先輩…それに…」


私は覚悟を決めて生徒会室へと入った。

当初、私はこの部屋には先輩だけしかいないと思っていた。

けれどその部屋には意外な人たちがいたのです。



三浦「アンタ確かサッカー部のマネージャーやってる1年の一色じゃん!」


海老名「本当だ。戸部っちたちと一緒にいるとこよく見かけたよ。」


いろは「三浦先輩に海老名先輩!?」


なんと部屋に居たのは、

葉山先輩のグループで女王として扱われていた三浦先輩。

それにもう一人は腐女子の海老名先輩だ。

まさかあのお二人がこんな場所になんて…


少女A「一色さんでしたね。どんな用があってこちらへ?」


いろは「あ、確か新しい副会長さんでしたね。その…私がここに来た理由なんですけど…」


私は密かに先輩へ視線を送った。

実は今回ここへ来たのはこの先輩に用があったからだ。

でもまさかこんなに人がいるとは思わなかった。

確か数日前までこの生徒会には先輩一人だけだと聞かされていたから…



少女A「……一色さん大丈夫?もしかして私たちには言いづらいことなの?」


三浦「わざわざここまで来たのに何も言わないはないっしょ。言ってみなよ。」


海老名「二人とも…そんなに脅したら可哀想だって…!」


八幡「お前らとにかく落ち着け。
一色、もしかして俺にだけ話があるんじゃないのか?
お前さえよければ二人で話すこともできるぞ。」


恐っ!この人たち私に対して敵意丸出しじゃないですか…!?

けど先輩が空気を読んでくれて助かりました。

そんなわけで私は先輩を部屋から連れ出すことに成功したのです。



八幡「それで何の用があるんだ?お前の依頼は片付いたはずだぞ。」


いろは「え~と…その件はもういいんです。今日先輩に会いに来たのは…」


正直気まずい。

先輩を呼び出すだけでもこれだけ気を使ったのに、

これからあの話をしなければならないと思うと気が思いやられる…

でも言わなければいけません。



いろは「率直に伺いますね。先輩!あの噂は本当なんですか!?」


八幡「あの噂…?」


いろは「とぼけないでください!
先日、先輩が屋上で自殺未遂しそうになったって噂ですよ!!」


そう、私が先輩に尋ねたのはあの屋上での噂だ。

なんでも雪ノ下先輩たちに貶められて危うく命を絶とうとしたとか…

その真偽を確かめるために私は先輩に話を聞きに来たのです。



八幡「悪いが部外者のお前に話すことは何もないぞ。」


いろは「そうですね。
確かに私が聞き入っていいような話じゃありませんよね。
でも…ある人がこう言っていたんです。
その噂は先輩が自分で流した嘘の内容なんじゃないかって…!」


八幡「それは…どういうことだ…?」


先輩は私に対して疑惑の目を向けてきた。

たぶん今私がやっていることは恥知らずなことだと思う。

以前この人は噂の渦中だったのにも関わらず、

私のためにわざわざ生徒会入りをしてくれた所謂恩人だ。

そんな人を疑わなければならないのだから心苦しい。

でも私は確かめずにはいられなかった。

それは私個人が知っておきたいことでもあり、

それにもうひとつはこの私の行動がある人の頼みでもあるからだ。

その人とは…



葉山「いろは、こんなことを頼んですまなかったね。」


八幡「葉山…お前と一色…これはどういう組み合わせだ…?」


いろは「すいません…実は葉山先輩に頼まれて先輩を呼び出すことになっていたんです。」


葉山「ヒキタニ、雪ノ下さんたちの噂はキミも聞いているだろう。
今、彼女たちは事実無根なこの噂に苦しんでいる。だから俺もこうして動いているんだ。」


そうです。今回私に先輩を呼び出すように頼んできたのは葉山先輩なのです。

葉山先輩は先輩から噂の事実を確かめようと呼びつけた。

でも先輩を呼び出すのに何で私を頼んだのかが些か疑問なんだけどな…?

まあそこはあの葉山先輩に頼られたということで納得しておきましょう。



八幡「葉山、お前だって部外者だ。一色と同じようにお前に話すことは何もないぞ。」


葉山「あぁ、確かに俺は部外者だ。
でも雪ノ下さんや結衣が困っているんだ。放っておけるわけがないだろ。」


八幡「勿体ぶるのがお前の悪い癖だな。言いたいことがあるならハッキリ言ったらどうだ?」


葉山「そうだな。それじゃあ言わせてもらうぞ。
キミだって自分が原因であの二人の悪評を広めたくはないはずだ。
それなら…わかるだろ…?」


葉山先輩はなにやら先輩にだけわかるようなことを言い出してきました。

その言葉に先輩はその腐ったような目をさらに鋭くして葉山先輩を睨みつけています。

何なの…?

葉山先輩は先輩に何を伝えようとしているんですか…?



八幡「つまり…俺に文化祭や修学旅行の時のことをやれって言うんだな…?」


葉山「それしか手はない。
噂の真偽はともかくあの二人はキミのせいで傷ついているんだ。
これはキミ自身がやらなければならないことのはずだ!」


いろは「あの…お二人とも…一体何の話をしているんですか…?教えてくださいよ!」


この二人の話に思わず危機感を抱いた私はなんとか問い質そうとする。

けど…ダメだ…

私には何の話なのかさっぱりわからない。

文化祭や修学旅行の時と同じことを先輩にやらせる…?

それって一体どういう意味なんですか…!?

ここまで

続きは夜にでも



少女A「いい加減にして!!」


葉山「キミは…」


八幡「お前…どうしてついて来たんだ…?」


三浦「ハチオのことが気になってね。何かあるんじゃないかと思ったけどやっぱり…」


海老名「悪いけどさっきの話は全部聞かせてもらったよ。
私たちがいないからってハッチーに直接生贄になれなんて…
隼人くん油断しちゃったね。」


そこに現れたのは先ほど遠ざけたはずの御三方だった。

どうやら先輩が心配になって様子を見に来てくれたらしい。

先輩って意外と過保護にされていたんですね。



少女A「葉山くん!あなたはどこまで八幡を苦しめれば気が済むの!」


葉山「だが最初に雪ノ下さんたちを苦しめたのはヒキタニだ!彼が責任を取らなければ!」


少女A「そこがおかしいんですよ。
一色さん、その実は八幡が悪かったという話は誰から聞いたの!?」


いろは「それは勿論葉山先輩からですけど…?」


海老名「はぁ…やっぱり…」


三浦「隼人…アンタって人は…」


私の返答に三浦先輩たちはまるで呆れたような顔をして葉山先輩を睨みつけた。

え~とこれって考えたくはないけど…もしかして…?



少女A「その八幡が悪いという話は葉山くんの勝手な憶測ですね。」


海老名「それでハッチーにこの前と同じように面倒事を押し付けよとしているよね。」


三浦「隼人!いい加減にするし!」


葉山先輩の勝手な憶測…?

確かに葉山先輩はこの件に関しては部外者ですから憶測かもしれない。

でも雪ノ下先輩たちが先輩を貶めた噂よりは信憑性はあります。

でも何でそんなことを…?



少女A「確かに八幡の方が悪いという噂の方が周りには信じてもらえますからね。
それも葉山くんが口添えすればさらにその信憑性はさらに高まります。」


海老名「それで雪ノ下さんたちの悪評はなくなるわけだね。」


三浦「でもこれじゃあハチオがまた悪く言われる…」


葉山「だがこれが事実のはずだ!
彼女たちがヒキタニに嘘告白をして貶めたなんてありえるはずがない!?」


葉山先輩は三人の女傑を相手に力強く反論しています。

確かにいろはも先輩を知る前なら葉山先輩の意見に賛成していたでしょう。

けどそれは先輩を知る前の話です。

今は…ちがいます…



いろは「葉山先輩、それは雪ノ下先輩たちから直接聞いた話なんですか?」


葉山「いろは…?」


いろは「憶測で判断するなんてどうかと思いますよ。
仮にも葉山先輩はこれから先輩を糾弾するんですよね?
だったらこの噂が事実か確かめるために加害者の雪ノ下先輩たちを問い詰めるべきです!
それなのに何でいきなり先輩が悪いなんて話に飛躍するんですか!?」


葉山「そんなことが出来るはずないだろ!
あの二人はこの噂で苦しんでいる被害者なんだ!?
そんな彼女たちを問い詰めることなんて俺には…」


確かに葉山先輩は優しい。

以前の私ならそう思えました。

けど何故だろう…

今の私にはこの優しさが紛い物のように感じられます。



少女A「雪ノ下さんたちを問い詰めることはできないけど八幡になら出来るんですね。」


海老名「なんだかおかしな話だよね。」


葉山「何故だ?現に彼女たちはこの噂が原因で苦しんでいるはずだ!」


三浦「だからそれがおかしいんだよ隼人。
何でアンタはまず雪ノ下さんたちの心配するわけ?
この件で一番の被害者はハチオなんだよ。
それに隼人は修学旅行の件を忘れてないよね。
アンタはハチオを糾弾する前に謝罪しなきゃダメじゃん!」


三浦先輩の言うように確かにこの噂の被害者は先輩です。

それを雪ノ下先輩に問わないのは葉山先輩の優しさなのかもしれない。

確かに優しい葉山先輩があの二人を気づかってのことだと思うけど…

でもそんな時、この状況を見かねた先輩が葉山先輩にこう語りかけてきました。



八幡「葉山もういいぞ。
今のことをみんなの前で話せ。そうすればあいつらの信頼はすぐに回復するだろ。」


葉山「やはり事実だと認めるんだな。」


八幡「事実かどうかなんてこの際関係ない。
だがこうすればあいつらの悪評がこれ以上広まることはないはずだ。」


いろは「先輩待ってください!
ちゃんと話して!この噂は事実なんですか?それともまったくの嘘なんですか!?」


私は先輩を問い詰めた。

冗談じゃない…!

これじゃあ私が先輩を悪人に仕立て上げるみたいじゃないですか!

そんなのダメです…絶対に…!



八幡「一色落ち着け。いつものことだ。俺が泥を被ればそれで解決する問題だろ。」


いろは「ダメです!先輩は私を悪人に仕立てあげたいんですか!?」


八幡「それは…どういう意味だ…?」


いろは「だって…これって事実かどうかもわからない話なんですよ…?
それなのに勝手に先輩が悪いなんてことになったら私…嫌ですよ…
それに先輩には私の代わりに生徒会長になってもらった恩があります。
そんな先輩を悪人に仕立て上げるって…
これじゃあ先輩を呼び出した私が先輩以上の悪人になっちゃいますよ…」


先輩は困った顔をして心配する私とそれに副会長さんたちを見ています。

そうですよ。少しは困ってください。

お願だから私を悪人にさせないで…

だって先輩が傷つく姿なんて見たくないから…!

この光景を目の当たりにしている葉山先輩が戸惑っている。

今ならこの人が小さく見える気がする…



少女A「葉山くん!これ以上八幡にふざけた相談をするのはやめて!」


葉山「ふざけてなんかいない!俺は真剣だ!」


三浦「でもこの話ってどう考えてもハチオを貶めるようにしか思えないよ。」


いろは「先輩を貶めるってどうして…?」


そこで海老名先輩がこっそりと、

事情を知らない私に文化祭や修学旅行で先輩がやったことを私に教えてくれました。

なるほど、先輩は誰もが傷つかずに済む方法を取ったと…

この人はバカですか?



いろは「先輩はバカですボケナスです八幡です!」


八幡「おい…最後のヤツは貶すようなことじゃないはずだぞ…?」


いろは「だってその通りじゃないですか!
先輩は本当にバカなんですから!何で先輩が傷つかなきゃいけないんですか!?」


八幡「そりゃ…この件は俺に原因があるからな…」


葉山「その通りだ。これはヒキタニに問題が…」


そこで葉山先輩はいきなり言葉を遮られたのです。

この時は私も恐怖しました。

何故ならあの副会長さんが恐ろしい形相で葉山先輩を睨みつけたからです。

本当に恐いです!私も思わずガクガクブルブルです!



少女A「八幡に問題があるですって?あなた…どこまで八幡を貶めれば気が済むの…!」


葉山「だが…雪ノ下さんたちがあんなことを仕出かしたなんて…
俺にはどうしても思えないんだ!それとも何か証拠があるとでもいうのか!?」


少女A「証拠ならありますよ。私もあの場にいましたから!」


その副会長さんの言葉に葉山先輩は大層驚いていました。

まさかこの場に当事者が先輩の他にもう一人いたなんて予想していなかったんでしょうね。



少女A「あの噂は全て事実です。
私が告白する直前、何故か雪ノ下さんたちはその告白を遮り比企谷くんへ嘘告白をした。
その後は…」


三浦「やっぱり…結衣たちの噂は本当だったんだ…」


海老名「私も半ば話が飛躍しただけかと今まで半信半疑だったけど…」


葉山「そんな…信じられない…」


どうやら三浦先輩と海老名先輩もこの事実を改めて聞いて驚いているようです。

私だって同じ気持ちですよ。

まさかこの学校で人気のあるあの二人がそんなことを仕出かすなんて…



葉山「ヒキタニ…そんな…嘘だろ…言ってくれ!悪いのはキミであの二人は無実だと!?」


八幡「葉山…何でお前はそこまでするんだ…少しおかしいぞ…?」


葉山先輩は先輩の襟首を掴み問い詰めている。

確かに何かがおかしい。

この場にいる誰もが違和感を持ち、

そんな葉山先輩の姿を見た三浦先輩があることを呟いたのです。



三浦「やっぱり、隼人は雪ノ下さんのことが好きなんだね。」


いろは「それってどういうことですか?」


八幡「待て優美子?葉山は雪ノ下から毛嫌いされているはずだぞ?」


海老名「あ、そうか。これってそういうことなんだ!」


少女A「それなら納得ですね。」


どうやら御三方は何か納得したようです。

これって何なの…?

誰か私にもわかるように教えてくださ~い!



海老名「それじゃあ簡単に説明するね。
隼人くんと私たちが居たあのグループは解散しちゃったの。
あれから何度か隼人くんは私たちに話しかけてくるけど、
私たちはもうあのグループに未練はないんだよね。」


三浦「おまけに隼人が修学旅行で奉仕部に、
戸部と姫菜の件を丸投げしたって話でクラスでの隼人の人気は下回っているし…」


少女A「そんな時に八幡と雪ノ下さんたちの噂が出回った。
この学校で人気者のあの二人が、
八幡を貶めたなんてことは絶対にありえないと葉山くんは思い込んだ。」


いろは「それじゃあ…葉山先輩がやろうとしていることって…
今回の件を利用して先輩を貶めて自分の信頼を回復させるためだったんですか!?」


先輩たちの導き出した答えに私は愚かにもようやくこのことに気づかされました。

あの葉山先輩がまさか…そんなことを…!?



葉山「いや、俺は純粋に彼女たちを救いたいだけなんだ!本当だ!信じてくれ!」


八幡「そうだな…
たぶん葉山が雪ノ下たちのことを助けたいという気持ちは本当のはずだ…」


葉山「そうさ、俺だって本当ならこんなこと頼みたくはない。
けどこのままでは雪乃ちゃんたちはみんなから孤立してしまう!
頼む比企谷…あの時と同じく彼女たちのために…!」


葉山先輩はこれが雪ノ下先輩と結衣先輩のためだと言っている。

それを先輩も一応理解しているみたいだ。

でも…私たちはちがいます…



少女A「冗談じゃない!これ以上あなたの身勝手な頼み事を八幡に押し付けないで!」


葉山「それは…」


三浦「それに隼人って肝心なことを何も言ってないよね。
アンタはこの件を利用して大好きな雪ノ下さんとお近づきになりたいって魂胆なんしょ?」


葉山「なっ…ちがう!そんなことは!?」


海老名「悪いけど男子のハッチーは、
鈍感だから気づかないけど私たち女子から見たらそう思えちゃうんだよね。
もしかして修学旅行で隼人くんがハッチーに問題を押し付けたのも、
ハッチーを遠ざけて自分が雪ノ下さんたちに近づくためだったんじゃないかな?」


いろは「確かに学校内でも、
以前から葉山先輩と雪ノ下先輩が付き合ってるんじゃないかって噂がありますけど…」


葉山「やめてくれ!俺はそんな邪な考えで助けようとしているわけじゃない!?」


たぶん今の葉山先輩の反応からして付き合っているという噂は単なるデマだと思う。

でも葉山先輩は今回の件を解決すれば雪ノ下先輩と近づけると判断したにちがいない。

おまけに雪ノ下先輩と唯一交友がある男子の先輩を排除出来て、

みんなからの信頼を回復することも可能ときている。

これは葉山先輩にとってまさに一石二鳥な超好都合な展開じゃないですか。



八幡「葉山、悪いが今回俺は何もすることはできない。」


葉山「そんな…頼む比企谷!これはキミにしか出来ないことなんだ!」


八幡「今までの俺ならたぶん断れなかったはずだ。
でも今の俺はちがう。ここで今までみたく泥を被れば俺のために悲しむヤツがいる。
優美子や姫菜、それに『 』がな!」


葉山「だが…それでも…!」


八幡「それにお前は今回のことで一色のことを考えたか?」


葉山「いろはが…どういうことだ…?」


八幡「何だよ。雪ノ下と由比ヶ浜のことばかり気にして一色のことは考えてなかったのか?
さっき一色が言っていただろ。俺が今回の件に協力したら自分まで悪人になるって…
つまりこのまま俺が協力してもしも周りに真相がバレてみろ。」


八幡「その時に傷つくのは他の誰でもない。
お前に協力させられた一色にみんなの悪意が向けられちまうんだよ!」


先輩の言葉に気づいた葉山先輩がいきなり私を心配するような視線を向けてきた。

今更こんなことに気づかないでください。

むしろ迷惑です。もうあなたに気なんかありません。本当に勘違いしないで…!



三浦「ていうかそんなに雪ノ下さんたちのこと守りたきゃ隼人が犠牲になれば?」


海老名「無理だよ。隼人くんは自分が可愛いからそんなことは絶対できないよ。」


葉山「待ってくれ優美子!姫菜!俺は…本当に…!?」


葉山先輩は三浦先輩たちに『誤解だ!信じてくれ!』と喚いています。

でも二人の視線は氷のように冷たい。

これがかつて私の憧れていた葉山先輩かと思うと背筋がぞっとしますよ。



少女A「葉山くん、もうここにあなたの味方はいませんよ。」


八幡「葉山、お前が本気で雪ノ下たちのことを心配しているなら、
こんなことしてないでさっさと会いに行ってやればいいだろ。何故そうしないんだ?」


葉山「それは…」


三浦「わかってるし…
手ぶらで行ってもまともに相手にされないから、
ハチオに罪を擦り付けてそれを手土産に雪ノ下さんに近づこうって魂胆だったんだね。
格好つけたがるアンタがやりそうなことじゃん。」


海老名「ハッチーに罪を被せて、
それを隼人くんが暴いたなら正義のヒーロー葉山隼人の完成だもんね。」


葉山「そんなつもりはない…!
お願いだ比企谷!どうかあの二人を助けるためにもキミの力を貸してくれ!!」


葉山先輩はまだ否定してそして先輩に懇願しています。

ここまで往生際が悪いとさすがにみっともないんですけど…



三浦「ていうか一色を使って呼び出したのも、
あーしら…つーかこのハチオの彼女ちゃんにバレるのが恐かったからなんだよね?」


海老名「後輩のいろはちゃんが、
この件に巻き込まれていると知ったらハッチーも無視するわけにはいかないもんね。」


海老名「おまけに生徒会室には、
隼人くんの取り巻きグループを壊滅させた副会長ちゃんがいるからね。
知られたらまた面倒なことになる。だから敢えてハッチーを私たちから遠ざけた。
今の隼人くんは私以上に性根が腐っているよ。」


少女A「葉山くんはどこまで他人を利用すれば…!正直呆れますね!」


あぁ…やっぱり私は利用されていたんだ…

1時間前まで葉山先輩に呼び出されてウキウキしていた自分を張り倒したいですよ。

こんな人に利用されていただけなんて我ながら情けないなぁ…



葉山「確かにいろはに何も伝えずにいたのはすまなかったと思う。
だがこれだけはわかってほしい。俺は純粋に雪乃ちゃんたちを救いたいだけなんだ!
この気持ち、キミなら理解できると思うはずだよ。」


少女A「何であなたの気持ちを私が理解できると…?」


葉山「以前キミはヒキタニのために行動した。
それは俺だって同じだ。俺も守りたい人たちのために動いている!
俺とキミ、まさに同じじゃないか!」


葉山先輩はまだあの副会長さんに食いつこうとしています。

自分と同じく守りたい人のために動いているからと…

でも副会長さんはこう吐き捨てたのです。



少女A「私とあなたが同じ…?葉山くんから見たら確かにそうかもしれないですね。」


葉山「それなら…!」


少女A「でもひとつだけちがいます。
それは八幡が無実で雪ノ下さんと由比ヶ浜さんに非があるということです!」


少女A「葉山くんが庇っている二人は八幡を貶めた人たち…
ところで葉山くんはさっき言いましたよね。守りたい人のために動いていると。
それなら私が八幡のために動いたあの行動を、
あなたは理解してくれているということじゃないんですか!」


そして遂に副会長さんの怒号が飛び散った。

まさにブーメランです。葉山先輩はもう何も言えません。

哀れ葉山先輩は引導を渡され引き下がることに。

けれど…


葉山「俺はまだ諦めない。俺のやり方で必ず雪乃ちゃんたちを救ってみせる!」


この人はさっきの話を理解していたのでしょうか?

正直頭のネジが2、3本ぶっ飛んじゃったんじゃないのかと疑うほどです。

ていうか捨て台詞がまるでどこかの三流の悪役みたいで格好悪いですね。

まあ葉山先輩なんかもうどうでもいいですよ。

そんなことよりも私にはやらなければならないことがありますからね。



いろは「先輩!本当にごめんなさい!まさかこんなことになるなんて…」


八幡「気にすんな。別にお前のせいなんかじゃない。元々お前は利用されていただけだ。」


いろは「それでも今回ご迷惑をかけたお詫びに何か償えることがあれば…!」


ここで何もしなければ私も葉山先輩と同じ恥知らずになる。

それだけは嫌です。

先輩には恩があります。

それなのにこんな葉山先輩に利用されただけなんて…

だからこのままで終わらせたくはない…!



三浦「だったら生徒会に入らない?
まだ人手不足だしアンタなら30人の推薦人くらいすぐに集められるっしょ?」


八幡「おい待て待て!
一色は生徒会に入るのが嫌だから俺が代わりに会長やってんだぞ!?」


海老名「でもいろはちゃんが嫌だったのは生徒会長になることだよね。
役職が生徒会長でなければ大丈夫じゃないのかな。いろはちゃんはどうなの?」


いろは「1年生に生徒会長はさすがに荷が重すぎましたからそれ以外なら…
それにこんなことがあったからもう葉山先輩のいるサッカー部にはいられませんよ。」


少女A「確かにそうかも…
むしろ生徒会に入れた方が一色さんを守ってあげられるんじゃないかな?」


先輩は少し考え込んでいたけど御三方の意見を聞き私の生徒会入りを決断しました。

もっとも推薦人を集めるのはこれからだけど私なら楽勝です!



八幡「なんだか妙なことになっちまったけど、一色はこれでいいのか?」


いろは「はい。むしろこの方が都合いいかも…!
そんなわけなのでこれからよろしくお願いしますね先輩!じゃなくて会長!」


八幡「あぁ、よろしく。一色…じゃなくて…いろは…」


え…?

いきなり名前呼び…?

すいません。いきなりはきついです!勘違いしないでください!

先輩は慌ててこれは三浦先輩がみんなのことを名前で呼べって言うから仕方なく?

そんな言い訳は見苦しいですよ。私に気があるならあるとハッキリ言うべきです!


少女A「…」


あれ?何故か副会長さんの視線が恐いんですけど…私…何かしましたか…?

一色いろはの場合 

End


ここまで

いろはすが仲間になりました

次は小町ちゃんの話です



<比企谷小町の場合>


『そんなわけだからよろしくね小町ちゃん!』


『あなたが頼りなの。お願いできるかしら。』


小町「了解です!小町におっまかせください♪♪」


小町は嬉々としながら携帯である二人と話をしていた。

相手は雪乃さんと結衣さんのお二人。

その話の内容はどうやらここ最近のお兄ちゃんとの不仲にあるらしい。



『修学旅行の後…ヒッキーと仲が悪くなって…』


『小町さんに比企谷くんをなんとか説得してほしいの。』


それが雪乃さんと結衣さんの頼みだった。

実は小町もお兄ちゃんが修学旅行から帰ってきて以来、不仲になっている。

これはいい機会だ。

お兄ちゃんをとっちめて二人に謝らせてついでに小町にも謝ってもらおう。

そんなわけで早速お兄ちゃんに連絡をすることにしたんだけど…

携帯に出たお兄ちゃんからは意外な返事が返ってきた。



『実は俺も小町に話がある。今日は紹介したいヤツを連れて行くから待っていてくれ。』


え~と…今の聞き違いかな…?

お兄ちゃんが家に誰かを連れてくる…?

この15年間、小町はお兄ちゃんとずっと一緒にいるけど、

お兄ちゃんが誰かを家に連れてきたことは一度としてなかったよね。

それが…いきなり…?

マジで…!?



八幡「ただいま。小町いるか~?」


おっと…!

そんなことを考えているうちにお兄ちゃんが帰ってきちゃった。

小町は急いで玄関で出迎えるとそこにいたのは…


少女A「小町ちゃんだよね。初めまして。」


小町「お…女の人…お兄ちゃんこの人は何なの…?」


玄関の前にお兄ちゃんと一緒に現れたのは一人の女の人だった。

その人は雪乃さんでも結衣さんでも大志くんのお姉さんでもない小町の知らない人だ。

そんな狼狽える小町に対してお兄ちゃんは照れ臭そうに目の前にいる女の人を紹介した。



八幡「まずは紹介させてくれ。
俺と同じ生徒会の副会長で…それで…俺の…彼女なんだ…」


少女A「初めまして、八幡とお付き合いさせてもらっています。」


え…今なんて言った…?

かかかかかか彼女…!?

なんですとぉぉぉぉぉぉ!?


小町「とりあえず…上がってください…」


少女A「ありがとう。それにしてもここが八幡のお家なんだ。なんだか緊張しちゃうね。」


八幡「そんなに畏まるなよ。大した家じゃないからな。」


小町「それで一体どういうことなの!ちゃんと説明してちょうだい!?」


それからお兄ちゃんはここ最近の出来事を小町に話してくれた。

まず生徒会に入り生徒会長になったこと。

そしてこの目の前にいる彼女さんと付き合いだしたこと。

どうやら二人が付き合っていることは間違いないらしい。

けれど…



小町「とりあえずお兄ちゃんが彼女さんと付き合っていることはわかったよ。
でも…それは置いといてだよ…雪乃さんたちのことはどうするつもり…?」


八幡「おい待ってくれ。どうしていきなり雪ノ下たちの話になるんだ?」


小町「だってそういうことじゃん!
お兄ちゃんは奉仕部を放り出して生徒会に逃げたんだよ!傍から見たらそう思われるよ!」


さすがに雪乃さんたちから連絡があったことはお兄ちゃんの前で言いたくはない。

一応小町は雪乃さんたちの味方だ。

こんなダメな兄と向き合ってくれた人たちだからこそ蔑ろにしたくはない。

でもお兄ちゃんは雪乃さんでも結衣さんでもない他人を家に招いている。

これは小町ポイント低いよお兄ちゃん。



少女A「小町ちゃん、まずは私から話をさせてほしいの。」


小町「少し黙ってもらえますか。私は兄に話を聞いていますから。」


少女A「悪いけどそれは無理だよ。たぶん大切な妹さんだからこそ話せないと思うから。」


八幡「いや、やっぱりこれは俺が話すべきことだろ。」


少女A「ダメだよ。こんなことあまり話していいことじゃないから…」


二人は見つめ合いながらその時のことを語り合っていた。

あの…二人とも小町がいること忘れていない…?

いきなりイチャつかれても小町ポイント上げられないよ。

でもそんなに言うならあなたの口から聞かせてもらいましょうか。



小町「そうだお兄ちゃん!せっかくお客さんがいるんだからお菓子用意しないと!」


八幡「お菓子って…家に何かあったか?」


小町「たぶんお客さまに出すようなお菓子はないと思うよ。
だから今度駅前に出来た新しいケーキ屋さんで美味しいのを買ってきて!すぐ行ってね!」


八幡「しゃーない。わかったよ。」


私のお願いを聞き入れたお兄ちゃんはそのままお菓子を買いに行った。

これでお兄ちゃんは遠ざけることができました。

さてと、ここからは女同士の話し合いですよ。

お兄ちゃんにとって都合の悪い話を全部聞かせてもらいますからね。



少女A「小町ちゃんって意外と策士だね。」


小町「えへへ~♪
これでも学校じゃ生徒会長やってますから!空気の読み方もバッチリです!」


少女A「それならこれで八幡があなたに言えないことを遠慮なく話せるね。」


小町「でも勘違いしないでください。
小町はまだあなたのことを信じてはいません。
いきなり現れたあなたが、
雪乃さんたちを差し置いてお兄ちゃんの彼女になるとかどうなっているんですか?」


少女A「随分と警戒されているね。
わかった、この数日に八幡の周りで起こったことを包み隠さずに全部話すね。」


それからこの彼女さんはお兄ちゃんの周りで起きた出来事を話してくれた。

それは今から数日前、お兄ちゃんが…なんと学校で自殺未遂を起こそうとしたことだった。

え…ちょっと待って!自殺未遂…?

何それ…小町知らない…?

どういうことなの…?



少女A「あの日、私は八幡に告白をしようとした。
けどそこへ雪ノ下さんたちが現れて彼女たちが八幡へ嘘の告白をしたの。
何であの二人がそんなことをしたのか理由はわからない。
まあそんなことはどうでもいいけどその後が大変だったの…」


少女A「これは八幡が、
小町ちゃんを心配させたくなかったから言わなかったことかもしれないけど…
あの後、八幡はたぶん雪ノ下さんたちに拒絶されて飛び降り自殺しようとしたの。」


小町「飛び降り自殺…!?」


小町はお兄ちゃんの言葉を聞いて驚かずにはいられなかった。

飛び降り自殺ってどういうこと…?

小町は何も聞いてないよ…!

ていうか雪乃さんたち…

さっきまで連絡していたけど何でこんな大事なことを話してくれなかったの!?



小町「でもどうして自殺を思いとどまったの…?雪乃さんたちが止めてくれたから?」


少女A「それは…止めたのは私だよ…
あの時、雪ノ下さんたちはただ呆然と比企谷くんを見ていただけ。
たぶん恐かったんだと思うけどあの二人は止めようともしなかったよ。」


さっきの雪乃さんたちの連絡だと修学旅行からお兄ちゃんと仲が悪くなったって…

小町は事情を知るためにもう少しお兄ちゃんに質問を続けてみた。



小町「もうひとつ聞きたいことがあります。
お兄ちゃんが小町と仲悪くなったのは修学旅行からでした。
あの時、雪乃さんたちと何かあったんじゃないかと思いますけど何か知りませんか?」


少女A「うん、知っているよ。たぶんショックを受けるけどそれでも聞きたい?」


小町は覚悟を決めてコクッと頷きながら彼女さんの話を聞いた。

それからは驚きの連続だった。

夏の林間学校で出会った葉山さんが、

自分では解決できないグループ内の恋愛事の相談を押し付けていたらしい。

そのせいで奉仕部は不仲となりそして小町とお兄ちゃんの間も…

これは…酷いよ…

みんな小町のお兄ちゃんをなんだと思っているの…!?

でも小町にとってそれよりも気になることがあった。



小町「それで…その時…雪乃さんたちは何をしていたんですか?」


少女A「これは私の憶測だけど…たぶんあの二人は何もしていなかったと思う…」


小町「それはどうしてですか?」


少女A「私はその場にいなかったから直接は知らない。
でも八幡のことだから雪ノ下さんたちを巻き込みたくはなかったはずだよ。
それでもあの二人は…」


小町「小町も一応気づいていたけど雪乃さんたちはお兄ちゃんのことが好きなはずです。
それなのに嘘告白なんて目の当たりにしたらお兄ちゃんのことを軽蔑しちゃいますよね。」


小町の返答に彼女さんは小さな声で「そうだね」と答えてくれた。

まったく…お兄ちゃんたら…

こういうことはもっとちゃんと雪乃さんたちに伝えておくべきなんだよ。

少なくとも小町がその場にいたらフォローくらいしてあげたのに…

あの二人は面倒な性格なんだから、

お兄ちゃんはそのことをキチンとわかってあげなきゃいけないんだよ。

けどそれでも言ってやりたい。



小町「それで二人はお兄ちゃんのことを…」


少女A「この前、問い詰めた時に一時は見離したと言っていたよ。
でもあの時の八幡はとてもつらそうな顔をしていた。
今思えばそれは信じていた人たちに見捨てられたからなんだよね。」


小町「たぶんお兄ちゃんは信じていたんでしょうね。
雪乃さんたちに自分がやったことをわかってもらえるんじゃないかって。
でも結果はちがったみたいだけど…」


少女A「それは八幡の一方的な身勝手だったのかもしれない。
確かに自分一人で背負い込んだ八幡にも問題があったかもしれないね。
それでも…
何もせずにいたあの二人に八幡を否定する権利はなかったはずだと私は思っているの。」


その彼女さんの言葉には怒りが篭っていた。

小町は思った。

この人は雪乃さんたちに怒りを抱いている。

お兄ちゃんのやったことを何も理解もせずに拒絶したから…

まさか小町以外にここまでお兄ちゃんを愛してくれる人が現れるなんて思わなかった。

もしかしてこの人なら本当にお兄ちゃんと…

そう思った時だった。

小町の携帯に連絡が入った。

それはなんと…



『もしもし、小町ちゃん?ヒッキー帰ってきてる?』


『彼に私たちのことを話してくれたか聞きたいのだけど…』


小町「あ…あの…その…」


なんて酷いタイミングなのかと小町は思わず目眩がしたよ。

連絡してきた相手は雪乃さんと結衣さんだ。

そして小町の目の前にいるのはお兄ちゃんの彼女さん。

え~と…今の小町の状態ってまさに板挟み…?



『小町ちゃん、ヒッキーに私たちのことちゃんと言ってくれた?』


『あなたから彼に謝罪させてほしいの。そうすれば私たちもそれに応じるつもりよ。』


小町「そ…その…」


少女A「小町ちゃんどうかしたの?」


小町「な…なんでもありません…ご心配なく…」


これはまずい展開になってしまったよ。

もしここで下手な対応をしたらどうなることか…

間違いなくどちらかに恨まれちゃう…ていうか最悪の場合は両方に…!

小町は傍観者を決め込んでいるのに…どうしてこんなことに…!?

しかもこんな時に限ってお兄ちゃんはいない。

あぁ…そうだった…小町がお使い頼んじゃったんだよね…

なので小町は心の中でこう叫んでいます。







「 「お兄ちゃん!助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!???」 」





とりあえずここまで

前門のゆきのん&ガハマ、後門の少女Aに挟まれた小町ちゃんの運命や如何に!?



『小町さん聞いているの?』


『ねえ小町ちゃん?返事して?』


少女A「小町さん顔色悪いけど大丈夫なの?」


小町「あ…あぁ…」


何この罰ゲーム…?

小町はたった15年の人生でいきなり岐路に立たされているよ。

ていうかちょっと待って。

この目の前にいる彼女さんはお兄ちゃんが被害者だと言っているよね。

そして携帯の向こう側にいる雪乃さんと結衣さんはお兄ちゃんが悪いと…

この二つの異なる主張はどちらが正しいのかという疑問にぶつかってしまう。

勿論小町はお兄ちゃんの味方だ。

出来ればこの彼女さんが言うことを信じてあげたい。

でも雪乃さんと結衣さんだってお兄ちゃんを通じて親しい間柄になっている。

どうしたらいいんだろう。

小町はどっちを信じたらいい…?



少女A「ねぇ、小町ちゃん。もしかして雪ノ下さんたちから連絡が来ているの?」


小町「え…それは…その…」


嘘…バレた…?

この人勘が鋭すぎ!ちょっと怖いんだけど!?


少女A「それであの人たちは悪いのは八幡の方だとでも言っているのかな?」


小町「アハハ…」


恐っ!何なの!?

とりあえず愛想笑いで誤魔化しているけど本当に勘が鋭いよ。

こうなったら下手に隠すよりも打ち明けた方がいいかもしれない。

そう判断した小町はこの彼女さんに、

雪乃さんと結衣さんが小町を頼ってお兄ちゃんとの関係の修復を試みていることを話した。



少女A「そう、やっぱりあの二人はここでも他人任せなんだ。」


小町「それは仕方ないと思います。
兄は気難しい性格だし雪乃さんたちだって素直じゃないですからね。
小町が仲介でもしないとあの三人が仲直りなんて無理ですよ。」


少女A「仲直りか。
そういうのは普通相手の前で直に言うべきことだと思うんだけどな。
それで小町ちゃんは一体誰の味方なの?雪ノ下さんと由比ヶ浜さんたち?それとも…」


小町「勿論小町はお兄ちゃんの味方です。それは何があっても変わりませんよ!」


小町はきっぱりとそう答える。

その答えに彼女さんは何故か安堵した表情を浮かべていた。



少女A「そう、あなたがそう言ってくれてよかった。
八幡は孤独のぼっちだって言ってるけどちゃんとわかってくれる人がいるんだね。
それなら改めて言うね。私がさっき話したことは全部事実だよ。」


小町「でも…それをどうやって信じろと言うんですか…?
悪いですけど小町は今日会ったばかりのあなたより雪乃さんたちの方を信頼しています。
こればかりはさすがに…」


少女A「小町ちゃんの言う通りだね。
いきなり会ったばかりの私のことを信じてほしいというのは無理だとわかってる。
でもそれなら八幡のことを信じてほしいの。」


小町「お兄ちゃんのことを…?」


少女A「そうだよ。小町ちゃんは八幡のことを信じているんだよね。
それなら八幡を信じているあなたが、
もう一度雪ノ下さんたちが言っていることを聞いてほしい。
それでどちらが正しいか判断して。」


彼女さんの話を聞き、小町はもう一度携帯を耳に傾けた。

すると先ほどとは異なる違和感があった。



『早く比企谷くんに謝らせて!そうすれば私たちは彼ともう一度やり直せるの!』


『そうだよ!小町ちゃん!早くヒッキーの声を聞かせて!』


何だろこの人たち…?

自分たちの勝手なことばかり言ってきてるよ。

お兄ちゃんのことなんてまるで心配していない…

嫌だ…何かわからないけど嫌な感じがする…

でも落ち着いて。まだ慌てる時間じゃない。

そして小町は気持ちを落ち着かせて二人にあることを切り出した。




「まずは私の質問に答えてください。」



「先日、兄は学校で自殺未遂を起こしたそうですけど雪乃さんたちはこのことを知っていましたか?」



この質問に二人は暫く黙っていた。

何でいきなり黙るの…?

さっきまであんなに饒舌だったのに…!

それからようやく返事が出された。

けれどそれは小町が望んだものじゃなかった。



『小町さん…そのことを誰から聞いたの…?』


小町「そんなことはどうだっていいじゃないですか!
質問に対して質問で答えないで!とにかく本当なのかどうか答えてください!」


『小町ちゃんとりあえず落ち着いて!
あれはね…事故だったの!ヒッキーに間違って伝わっちゃっみたいで…』


『そうね、彼はそれを勘違いしてしまったの。
だからその件について彼の誤解を解かなければいけないのよ。』


何なのこの人たち…

お兄ちゃんが死ぬかもしれなかったのにそれを間違いだの勘違いで済ませようとする。

小町はこんな身勝手な人たちに大切なお兄ちゃんを委ねようとしていたの?

冗談じゃない。お断りだよ!



小町「ごめんなさい。
雪乃さんたちがそういう態度なら小町はもう協力することは出来ません!」


『待って小町さん!あなたが仲介に入れば私たちだってそれに応じることが…!』


小町「何が仲介ですか!
大体謝罪させるってどういう意味なの!本来謝るのは雪乃さんたちでしょ!?」


『でも…私たち…ヒッキーと仲直りしたいの。これは本当なんだよ!』


小町「だったらまずは自分たちで何とかしてください!小町を頼らないで!」


小町は声を荒らげながら携帯を切った。

それから何度も雪乃さんや結衣さんの着信が入ったが面倒くさいので全て着信拒否にした。

これ以上こんな馬鹿げた相談に付き合うつもりはないからね。



小町「え~と…まずは疑ってごめんなさい…」


少女A「謝ることはないよ。
小町ちゃんにしてみれば初対面の私のことを信用できないのは当然だからね。」


小町「でも…お兄ちゃんはあなたを信用しているから家に招いたんです。
それなら小町もあなたのことを最初から信用するべきでした。
だから…」


そう、今までお兄ちゃんは他人を家に招いたことはない。

あの雪乃さんや結衣さんだってちゃんと家に招いたことがなかったくらいだ。

それを考えれば、

この人がどれだけお兄ちゃんに信頼されているのか最初からわかるはずなのに…

そんな風に小町が反省している時だった。

お兄ちゃんがようやく帰ってきた。



八幡「おい二人とも帰ったぞ。ほれケーキだ。」


小町「あ…お兄ちゃんお帰り。」


少女A「八幡遅かったね。何かあったの?」


八幡「いんや、女同士積もる話があるかなと思って気を利かせていただけだ。」


いやいや…そこはむしろ妹のためを思ってもっと早く帰ってきてよ!

お兄ちゃんがいない間、小町は未だかつてない修羅場を体験してたんだからね!

本当感謝してよ!今回のことで小町ポイント大幅に消費してるよ!?



八幡「さてとケーキを食べる前にだ。小町に言いたいことがある。」


小町「いきなり改まってどうしたの…?」


八幡「すまなかった。
修学旅行から帰ってきてから俺のせいでお前にまで迷惑かけちまって…」


お兄ちゃんは小町に対して深々と謝ってくれた。

ダメだよお兄ちゃん。

本当に謝るのは…小町の方だよ…



小町「そんなことないよ。
小町だって勝手に悪いのはお兄ちゃんだって決めつけちゃったから…」


八幡「いや、何があったとしても千葉の兄が妹に八つ当たりなんてカッコ悪いだろ。
悪いのは兄ちゃんだ。小町が謝る必要なんてねえよ。」


小町「お兄ちゃん…ありがとう…それとごめんね…」


お兄ちゃんは涙ぐんでいる小町の頭をそっと撫でてくれた。

本当につらいのはお兄ちゃんの方なのにね…

ごめんねお兄ちゃん。

小町がもっとしっかりしていたら雪乃さんたちの話に騙されたりはしなかったのに…

それから三人でケーキを食べて楽しいひと時を過ごした。

そして日が暮れて彼女さんが帰る時間になった。



少女A「八幡、小町ちゃん、今日はお家に招いてくれてありがとう。」


八幡「それじゃあ俺はこいつを送ってくからな。留守番頼んだぞ。」


小町「大丈夫だって!それよりお兄ちゃんこそ彼女さんをしっかり守ってあげるんだよ!」


お兄ちゃんは彼女さんを家まで送ることになった。

彼女さんを大切にしているのはポイント高いけどその反面、

あのゴミィちゃんが巣立つのは寂しいという気持ちがあり妹としては複雑な心境だよ。

でもこの人なら信じられる。

だってこの人はお兄ちゃんのことを本当に愛しているから…!



小町「それじゃあバイバイお義姉ちゃん。」


少女A「お義姉ちゃんって…もしかして私のこと…?」


小町「はい。もう小町のお義姉ちゃん候補はあなたに決定です!
こんな頼りない兄ですが、どうかこれからもよろしくお願いします!」


少女A「うん、ありがとう小町ちゃん。」


どうやらお兄ちゃんは心から信じられる人を見つけたみたいだ。

さてと、彼女さんも帰ったことだし…

小町は携帯を取り出してある二件のアドレスを出した。

そのアドレスの登録名は雪乃さんと結衣さん。

今では名前を聞いただけで嫌悪感すらある二人だ。

それから淡々と携帯を操作して削除画面を出した。


 
[雪ノ下雪乃] [由比ヶ浜結衣]


[削除しますか?]


[はい] [いいえ]


小町は[はい]を選択してこの二件のアドレスを削除した。

もう候補はいらない。

そう、お兄ちゃんを傷つけるようなお義姉ちゃん候補なんて…

小町にも…それにお兄ちゃんにも必要ないよね…

そうだよね。お兄ちゃん…?


<比企谷小町の場合>


end

ここまで

次はさがみんのお話です



<相模南の場合>


「ごめん…なさい…」


「うちは…文化祭の役割を放棄して…」


「逃げ出してしまい…比企谷くんにその責任を擦り付けてしまいました…」


それは今から数日前の出来事だった。

うちは葉山くんに付き添われてクラスのみんなの前で自分の失態を謝罪している。

泣きべそをかきながら…みっともなく…

そんなうちは頭を下げながらある方向を見た。

それはうちが謝罪しなければならない相手である比企谷八幡の席だ。

けどあいつはいない。

後で聞いた話だがあいつはこの日に限って寝坊して遅刻したらしい。

何…それ…

うちがここまでしたのに…あいつはどこまでうちをムカつかせるの…!



そして現在―――


ゆっこ「それでさぁ…」


遥「嘘!マジで!」


休み時間、うちは教室を見回していた。

うちと仲のよかったゆっこと遥…

あの二人はうちを無視して話をしている。

いや、ゆっこたちだけじゃなく誰もうちと関わろうとはしてくれない。

クラスでの上位カーストだったうちは気づけば最下層まで落ちた。

その反面、あいつはどうだろうか。



戸塚「ねえ八幡。この頃忙しそうだけど大丈夫?」


八幡「心配してくれて悪いな戸塚。でも大丈夫だからな。」


沙希「別に心配しちゃいないけどさ…
けーちゃんがアンタに会いたいって言ってるから今度暇なら相手してあげてくんない?
勿論私も一緒だけど…」


八幡「あぁ…わかったけど…お前相変わらずシスコンだな…」


材木座「八幡~!最近部室へ行ってもお主がおらぬから怖くて行けぬのだ~!?」


八幡「わかったから抱きつくな!今度から新作は直接俺のとこに持って来い!」


あいつ、比企谷の周りは変わった。

以前みたく一人じゃなくなってきている。

前からあいつと親しい戸塚くんに川崎さん。それに変なデブがあいつに話しかけてくる。

でもそれだけじゃない。

あいつは生徒会に入ったらしくそのせいでまた新しい人たちが加わったらしい。



優美子「ハチオ、さっさと生徒会室に行くし!」


海老名「ハッチーは目を離すとすぐにサボっちゃうんだからね。」


いろは「先輩~!可愛い後輩が迎えに来てあげましたよ~!」


八幡「優美子、姫菜、それにいろはまで…お前らそんなに俺が信用ならないのかよ?」


少女A「みんな八幡のことを心配しているんだよ。早く行きましょう。」


戸部「比企谷くん生徒会頑張ってんべな!でも海老名さんに手出さないでくれよ!」


八幡「戸部安心しろ。これでも俺は一応彼女持ちだからそんなことはしねえよ。」


うちを貶めたあの女と三浦さんたちが比企谷の新しい取り巻きになっている。

正直妬ましい。

あんなことさえなければうちと比企谷の立場は逆だったはずなのに…

そんなことを思っていた時だった。



葉山「相模さんちょっと話があるんだけどいいかな。」


相模「葉山くん…どうしたの…?」


葉山くんに声をかけられた。

葉山くんがうちに声をかけてくれるのはクラスのみんなの前で一緒に謝罪して以来だった。

それにしても葉山くんの目つきだけど…なんだか妙に険しくなっている。

そういえばうちも噂で聞いたけど葉山くんのグループは解散してしまったらしい。

もしかしてそれが影響しているんじゃ…?



相模「それで…話って何なの…?」


葉山「そのことについてだけどまずは聞いておきたいことがあるんだ。
相模さんは文化祭での汚名を返上したいとは思わないかい?」


相模「文化祭…」


葉山くんの話に思わずうちは動揺した。

文化祭といえばうちがこんなことになった原因でもある。

その汚名を今更どうやって返上しろっていうの…?



相模「無理だよ。そんなことできるわけないじゃん…
うちのせいであんなことになっちゃったわけだし今更どうしろっていうの…」


葉山「大丈夫、方法はある。それは生徒会だよ。」


相模「生徒会…?」


葉山くんの提案にうちは思わず首を傾げた。

だって生徒会はもうみんな決まっているはずだよね。

確か比企谷が会長やっているし、それに三浦さんたちも役員に…?

けど葉山くんはうちの疑問に答える前にうちを連れてある場所へと向かった。

そこは…



生徒会室―――


葉山「失礼するよ。ヒキタニはいないみたいだね。」


少女A「八幡は所要があるので遅れてくるそうです。ところで…」


三浦「隼人…アンタ何しに来たし!」


いろは「先輩に謝りに来たってわけじゃないみたいですね。」


海老名「それに相模さんもいるしこれはどういうことかな?」


葉山くんに連れられて来たのはなんと生徒会室だった。

まさかこんなところに来るなんて…

葉山くんはうちをどうする気なんだろ?



葉山「まずひとつ質問させてほしい。そちらの生徒会役員の人数は足りているのかい?」


少女A「あなたに心配される覚えはありません。もう人数は足りています。」


海老名「あとは庶務を決めるだけだしね。」


庶務か…

確か生徒会の立場上一番下っ端に位置する役職だ。

うちならそんなのお断りだけどね。

そういえばこの前、廊下で誰かがこんな話をしているのを聞いたっけ。



『…のん…もう生徒会役員がほとんど決まっちゃったよ!』


『…ヶ浜さん…落ち着いて…あと残っている役職は庶務だけね。』


『こうなったら私たちで庶務に立候補しようよ!』


『そうね。この際贅沢を言っていられないわ。』


そんな会話がうちの耳に入っていた。

誰が話していたのか知らないけど下っ端の庶務に成りたがる物好きがいるなんて驚きだ。

その人たちに庶務をやってもらえばいいのに…



葉山「今の生徒会の状況は把握できたよ。それでは俺たちがここへ来た要件を言おう。」


少女A「また…八幡に対する嫌がらせならお断りですけど…」


葉山「そんな話じゃないよ。俺はこの相模さんを生徒会長に推薦しようと思っている!」


この葉山くんの発言に思わずうちは…

いや、うちだけじゃない。

この場にいる全員が驚いた!

うちを生徒会長に推薦だなんて葉山くんは何を考えているの!?



三浦「待つし!もう会長はハチオで決まってるじゃん!」


海老名「そうだよ。これはちゃんと選挙で決まったことなんだよ!」


いろは「それを今更変更だなんていくら葉山先輩でも出来るわけがありません!」


少女A「葉山くん!あなた自分が何を言っているのかわかっているの!?」


この場にいる誰もが声を上げて反論してきた。

まあ当然だよね。

うちだって突然のことに驚いてるし…

それにうちを生徒会長に推薦するってどうする気なの…?



葉山「確かにヒキタニは選挙で生徒会長になった。けどそれは正しい結果だったかい?」


少女A「勿論です!ちゃんとみんなから推薦されましたから!」


葉山「だが俺が調べた限りだと、
ヒキタニを推薦したのは城廻先輩とそれに彼女と親しい人たちだった。
つまりヒキタニはみんなからの信頼を得て推薦されたわけではないはずだよね。」


葉山くんの話にみんなが押し黙った。

どうやら葉山くんが調べた話によると、

比企谷は城廻先輩の力添えで生徒会長になれたそうだ。

まあそうでもなければあいつが生徒会長になれるはずもないかとうちは思わず納得した。



少女A「確かに八幡が生徒会長になれたのは城廻先輩の力添えがあったからです。
その事実は認めます。けどそれでも八幡が生徒会長になれた手順に不正はありませんよ!」


葉山「なるほど、不正はなかったかもしれないね。
だがヒキタニは本当に自分から生徒会長に立候補したのかな?
いろは、キミになら俺が言っていることに心当たりがあるはずだよね。」


いろは「それは…」


葉山「以前キミは俺の前でこんな愚痴をこぼしていた。
クラスのみんなに無理やり生徒会長に立候補させられてしまったと…
つまりヒキタニは自分で立候補したわけじゃない。
いろはの身代わりになったにしか過ぎないんじゃないのかな。」


葉山くんは次々と比企谷の追及を始めた。

それに対して誰も反論が出来ずにいる。

たぶん本当のことだから何も言えないんだろね。

そして葉山くんは最後にあることを突きつけた。



葉山「そして先日のヒキタニの自殺未遂の噂。キミたちはあれが本当だったと認めたね。」


少女A「そうです。あれは確かに事実です…」


葉山「それが事実なら尚更問題だ。比企谷に生徒会長を任せるわけにはいかないな。」


三浦「隼人…何言ってんの…?」


葉山「わからないのかな?
自殺未遂を行うような情緒不安定な人間に生徒会長が務まるわけがない。
おまけにヒキタニは自分の意思とは無関係に生徒会長をやらされている。
俺はこの事実を踏まえて学校側に生徒会選挙のやり直しを訴えるつもりだ!」


生徒会選挙のやり直し。

その葉山くんの真意を聞かされてみんなが葉山くんとうちに敵意を向けた。

うぅ…やめてよ…そんな目で睨みつけないで…

うちだってたった今こんな話を聞いたばかりなんだよ。

それから要件を済ませると葉山くんはうちを連れて生徒会室を出て行った。

正直寿命が縮んだ気がする…こんな修羅場二度とゴメンだ…

それからうちはすぐに葉山くんに事情を説明してくれと頼んだ。

何でこんなことを?ちゃんと話してよと…!

そう尋ねると葉山くんはうちに優しくこう言ってくれた。



葉山「相模さん、これはキミのためなんだ。」


相模「うちの…ため…?」


葉山「そうだ、キミが文化祭での汚名を注ぐには生徒会長になって大任を果たせばいい。
そうすれば周りのみんなもキミの活躍を評価して見直してくれるはずだよ!」


相模「でも…うちに会長なんて務まるわけが…」


葉山「それなら大丈夫、俺も生徒会に入る!副会長になってキミを支えてあげるよ!」


葉山くんがうちを支えてくれる。

その言葉に優しさを感じたうちは即答で了承した。

またやり直せるチャンスを用意してくれた。

そう思ったけど…



相模「でも…他の立候補者とかどうするの…
三浦さんたちは…うちと葉山くんに思いっきり敵意剥き出しだよ…?」


葉山「その点については問題ない。
俺に考えがある。ある人たちに声を掛けていてね。ようやくいい返事をもらえたんだ。」


相模「そっか!さすがは葉山くんだね!」


葉山くんはうちの不安を全部取り除いてくれた。

あの人気者の葉山くんと生徒会で活躍できて、

おまけに文化祭での失敗もここでやり直すことができる。

何もかもが良い事尽くしだ。

それから葉山くんは用があるからと言ってうちと別れた。

うちはそのまま上機嫌で下校しようとしたけどそこにあいつが現れた。

そう、あいつだ。

文化祭でうちを貶して、さらにこの前の謝罪の場に姿を現さなかった比企谷がいた!



八幡「相模…」


相模「何の用?うちはもう帰るんだけど…」


八幡「その…大事な話がある…明日の放課後に時間を作ってくれないか。」


大事な話…?

悪いけどアンタに話すことなんて…

いや、ちょうどいいかもしれない。

悪いけどアンタに代わってうちが生徒会長になるから。

それを明日、アンタの前で言ってやる。

ここまで
葉山の暗躍は続く

>海老名「そうだよ。これはちゃんと選挙で決まったことなんだよ!」
>葉山「確かにヒキタニは選挙で生徒会長になった。けどそれは正しい結果だったかい?」

八幡選挙やってなかったはずだけど…

一応会長選挙の投票はあったんだろ。でなければ会長にはなってないだろうし
めぐりが推薦して三浦が八幡の誤解を解くのが間に合っていればいろはす相手なら八幡でも普通に勝てる

常識的に考えて葉山によるリコールが通るとはまるで思えないが。第一、葉山がゴネてリコールに必要な数の署名なり何なり集めても事の真相を三浦や戸部その他にバラされて立場無くすのが関の山だし

>>248
読み直してきなよ恥ずかしすぎる、としか



<<翌日>>


相模「みんな帰ったよ。それで話って何…?」


八幡「その前に待ってくれ。人を呼んでいるんだ。」


翌日の放課後。

うちと比企谷だけになった2-Fの教室である話を始めることになった。

そしてようやく比企谷が呼んだ人が来たようだ。

でも…この人って…?



めぐり「お待たせ~!」


相模「嘘…城廻会長…!?」


めぐり「正確には元会長だけどね。今は引退して受験生やってるよ。」


八幡「城廻先輩は推薦入試だから受験関係ないっすよね?」


現れたのはかつてうちと一緒に文実の作業に携わっていた城廻めぐり先輩だ。

まさかこの人が現れるなんて予想外だけど…

つーかこの人と比企谷はうちに何の話があるわけ…?



八幡「話を始める前にだ。相模、まずは謝らせてくれ。すまなかった。」


めぐり「私からもね。ごめんなさい。」


相模「え…いきなり…どうして…?」


それは突然だった。

最初、うちは文化祭での失態を糾弾されるかと思っていた。

けどそうじゃなかった。

比企谷と城廻先輩はなんとうちに謝ってきたからだ。



八幡「相模、この謝罪は俺たち奉仕部がお前への依頼遂行のやり方を誤ったからだ。」


相模「誤ったってどういう意味…?」


八幡「元々奉仕部ってのは雪ノ下曰く、
魚に餌を与えるのではなく餌の捕り方を教えるという理念に基づいて活動するって話だ。
だがあの時の雪ノ下のやり方は違っていた。」


めぐり「雪ノ下さんは相模さんの仕事を殆ど請け負っていたからね。」


八幡「文化祭での雪ノ下のやり方は奉仕部の理念に反していた。
その原因は相模が文化祭で…その…サボっていたのもあるが…
それでも委員長の仕事を全て請け負うなんて行いはやるべきじゃなかった。」


比企谷が言いたいことはわかった。

まあ元々うちが雪ノ下さんに面倒事を押し付けていたからね。

そこは悪かったと思っている。

でもうちにだってプライドはあるんだよ。



相模「つまりアンタはこう言いたいわけ?
うちが無能でしかも足でまといだったのがいけなかった。こういうことでしょ!」


めぐり「それは言いすぎだよ。そもそもあなたに比企谷くんを責める権利はないよね。」


相模「だったらうちはどうすればよかったの!
頭を下げて雪ノ下さんに教えてもらえばよかった?そんなの出来るわけないじゃん!?」


うちと雪ノ下さんは火と水の相性は最低最悪なのはわかっている。

それに雪ノ下さんに頼んだのは他の誰でもないうち自身だ。

でもだからといって自分が無能でしたなんて認めたくないに決まってるじゃん…



八幡「確かに俺たち奉仕部は相模の感情を蔑ろにしていたかもしれないな。
見ず知らずの他人にあれこれ指図されるのはお前みたいなヤツには耐えられないだろ。」


相模「それなら…!」


八幡「だが雪ノ下は…
そんなお前の仕事を殆ど補って終いには倒れてしまったんだ。
そのことに関して少しは責任を感じてくれ。」


雪ノ下さんが倒れたことはうちも知っている。

それから比企谷はスローガンの会議で悪態をついて、

文化祭の時に逃げ出したうちを罵倒した。

そして先日うちは文化祭での怠慢をみんなの前で謝罪したのに…

アンタはこれ以上うちに何をしろっていうの…?



八幡「ここまでは前置きだ。本題はここからになる。相模、お前生徒会に入らないか?」


相模「生徒会…?」


めぐり「そう、比企谷くんが会長をやっている生徒会だよ~」


いきなりのこの発言にうちは驚いている。

だってそうでしょ…

うちと比企谷は未だに最悪の関係なんだよ。

それなのに何でこいつはうちを生徒会に誘うわけ?



八幡「まあ役職はもう庶務しか残ってないんだけどな。」


相模「庶務って生徒会じゃ下っ端になるじゃん!」


めぐり「でも庶務なら推薦人もいらなくて本人の希望でなれるんだよ。」


八幡「つまり庶務なら他の役員みたく選挙せずに生徒会に入れるってわけだ。」


へぇ、そうなんだ。…ってそうじゃなくて!

何でうちがアンタの生徒会で下っ端やらなきゃいけないわけ!?

葉山くんはうちを生徒会長にしてくれるっていうのに…何なのこの差…?

やっぱりこいつうちに恨みがあるんじゃないの!?



八幡「たぶん今のお前はこう思っているだろうな。

『何でうちがこんなヤツの下っ端にならなきゃいけないの!ふざけるな!』

そう思っているだろ?」


相模「フン、わかっているなら何でこんなことを…!」


めぐり「それは相模さんのためだから…」


城廻先輩が比企谷をフォローするようにそう言ってきた。

うちのため…?

何でそうなるのかマジでわかんないんだけど!



八幡「相模、お前はこの学校生活で残りの1年半をどう過ごすつもりだ?」


相模「どう過ごすって…それってどういう意味…?」


八幡「クラスじゃぼっちな俺だが最近お前が孤立している噂は俺だって聞いてるぞ。」


相模「余計なお世話なんだけど…
クラスでのこととうちを庶務に迎え入れるのと何の関係があるわけ!?」


そもそも孤立してるのはアンタのとこの副会長の仕業だし…

つーかアンタがぼっちとか何の冗談だっての!

うちが一言文句を言ってやろうかと思った時だった。

あの普段はフワフワしている城廻先輩が急に真剣な顔になった。



めぐり「相模さん、これから厳しいことを言うよ。
もし文化祭であなたが逃げ出したままで…
いえ、それよりも文実の作業が滞っていたらどうなっていたと思う?」


相模「どうなっていたって…それは…」


めぐり「はるさんが有志の申し込みに来た時、
相模さんは委員も文実を楽しまなきゃダメってはるさんの意見に同調したよね。
あの時点ではるさんの言葉に従ってしまった委員長のあなたに責任が発生していたの。
それで文実の作業に支障を来たしたわけで、
もし当日に間に合わなければ当然相模さんの責任が問われるのはわかっていたかな?」


めぐり「総武高校の文化祭は知っての通り、
在校生は勿論だけど外部の人たちも関わった催し物なの。
来客の中には地元の有力者も来ていたし将来この学校を受験する子だっていたんだよ。
それを文実の委員長が、
仕事を放り出して中止になりましたなんてことになったらとんでもないことになるね。」


めぐり「この学校始まって以来の汚点だったはずだよ。
委員長だった相模さんはこの責任を追及されていたのは勿論だけど、
その他にも文実に関わっていた先生方も処分を下されて、さらに私たち在校生だって…
全員であなたの連帯責任を取らされていたらどうなっていたかな。」


めぐり「たぶんあなたはこの学校のみんなに恨まれて二度と学校に通えなかったはずだよ。」


城廻先輩はこれまでにないほど真剣な話をうちに語ってきた。

それを聞いてうちの心に重圧が伸し掛かる。

うちは軽い気持ちで文実の委員長に立候補した。

それは勿論、葉山くんやみんなにカッコいいとこを見てもらいたかったから…

でも現実はそう簡単にはいかなかった。

雪ノ下さんに活躍を全部奪われて…うちは逃げ出した…

それだけじゃなく雪ノ下さんや比企谷がいなければ、

うちがどうなっていたのか城廻先輩から淡々と説明されて急に怯え出してしまった。

自分がここまで小心者だったなんて我ながら嫌気がするよ…



八幡「今の城廻先輩の話は厳しかったかもしれないが、
これが組織の上に立つ人間が負わなければならない責任ってヤツだ。
こんなことはどこでも同じだ。文実は勿論だが生徒会役員でもな。」


八幡「相模、お前は焦りすぎたんだ。
今までお前は責任ある職務をこなしたことがなかったはずだろ。
会社で例えるなら平社員がいきなり社長やらされたようなもんだ。」


相模「それは…」


八幡「だがあの文実ではお前を完璧にフォロー出来る体制は整っていた。
副委員長の雪ノ下に生徒会長の城廻先輩、
ついでに俺もだがまあお前が仕事を放棄さえしなければ間違いなく順調に行われたはずだ。
それを雪ノ下さんの一言があったからとはいえ仕事を丸投げされたら、
いくら俺たちでもそれをフォローすることは出来ない。そのくらいはわかってほしかった。」


相模「…」


比企谷はあの屋上の時とちがって丁寧にうちのことを指摘してくる。

全部正論だ。

うちに反論する隙を与えてくれない。



八幡「さて、このことを踏まえた上で相模に庶務をやってもらう件について改めて言うぞ。
文実の件でお前は周りから孤立しちまったよな。
この状態は恐らくお前が卒業するまでずっと続くはずだぞ。」


相模「そんな…こんなことみんなすぐに忘れるでしょ!?」


八幡「そう簡単に忘れてくれればいいがな。
信頼ってのは得るまでが大変だが失くすのはあっという間だぞ。
しかもタチが悪いことに悪評の方は中々消えないんだよ。ちなみにソースは俺自身な。」


めぐり「つまり相模さんが卒業するまでの残り一年半、
ずっとこの状態が続いちゃうかもしれないってことになるわけだね。」


うちが卒業するまでこの状態が続く。

それを聞いて思わず寒気がした。

うちはこんなのどうせあと一ヶ月もしたらみんな忘れてくれるはずだと思っていたからだ。

それがこれから先もずっと続くなんて…

今みたく…これまで仲のよかったゆっこや遥と疎遠の状態がこれからもずっと…

嫌だ…そんなの絶対嫌だ…

でも大丈夫だよね。

うちには葉山くんがいるし…

葉山くんがうちを生徒会長にしてくれればうちの信頼は取り戻せるはずだよ。

そうだよね…信じていいんだよね…?



八幡「相模、俺はお前がぼっちになることに耐えられるとは思えない。
このままだとお前は近いうちに不登校かもしくは転校するかで学校を離れるかもな。」


相模「もしそうなったとしても…アンタには関係ないじゃん…」


八幡「確かにこうなっちまった原因の大半がお前にある。
けどお前の依頼を受けたのは俺たち奉仕部だ。
俺は文実でのお前の依頼である、

『文化祭を成功させて自分自身を成長させたい』

これをまだ達成出来ていないと思っている。」


めぐり「私も生徒会長なのにあなたのことを放置してしまったからね。
こうなってしまった一端は私にもある。
だからあなたにもう一度機会を与えたいと思っているの。」


うちに機会を与えたいのはわかったよ。

でもそれと比企谷の生徒会に入るのと何の関係があるわけ?

そこがうちにはわからなかった。



八幡「それで失った信頼をどう取り戻すか。
それにはやはり面倒かもしれないが自分からもう一度行動しなきゃならない。」


相模「だからアンタの生徒会に入れってことになるわけ?」


八幡「そうだ、けど今度はいきなり責任のある立場になれってわけじゃない。
もう一度最初からやり直せばいい。俺たちはまだ学生なんだ。
失敗してもそれが許されるんだ。この一回で躓くこともないだろ。」


相模「でもうちは…」


八幡「勿論これはお前が引き受けたらの話だ。
奉仕部の理念は魚に餌を与えるんじゃなくて餌の取り方を教える。
この話を受け入れるかどうかは相模次第になる。
だから俺たちはお前に強制はしない。
もしも他に何かいい方法があるならそっちを選択したっていい。」


相模「それで…うちの信頼は取り戻せるの…?」


八幡「それはなんとも言えないな。全ては相模次第だ。
そもそも他人の信頼ってのはそんな簡単に得られるもんじゃない。
もしかしたら無意味な結果に終わるかもしれない。
だがこのまま何もしなければぼっちになるのだけは確実だと言っておくぞ。」


今の話を聞いてうちは思った。

比企谷が提案した話はうちを貶めるようなものじゃないことだけはわかった。

こいつなりにうちを助けようとしてくれる。

でも…うちにはわからない…



相模「何で…アンタは何でこんな話をうちにするわけ…?
文化祭の後でうちはアンタの悪評を広めたんだよ!普通は恨んだりするはずじゃん!
それなのに何でこんなことをするの!?」


八幡「何でってそれは…
確かに奉仕部としての依頼が中途半端だったというのはあるが、
それ以上に俺はお前以上に独りでいることのつらさを知っているからだ。」


相模「独りでいることのつらさ…?」


八幡「俺は…まあ…この腐った目のせいで他人から疎まれてばかりいる。
そんな俺はいつの間にかぼっちでいることが当然のように思えた。
だからいつも独り、親しいヤツなんてこれまでろくに現れなかったよ。」


八幡「だが相模はちがう。お前は生粋のぼっちじゃない。
俺はこれまでぼっちだからこそ耐えられたがお前にはそんなこと無理なはずだ。
お前は訓練されたぼっちじゃないからな。」


ぼっちって…

最近のアンタはどう見てもリア充そのものなんだけど…!

そうツッコミたかったけど今は敢えて言わないでおこう。

それからあいつは最後にこう言ってくれた。



八幡「相模も噂で聞いたかもしれないが、俺はこの前の修学旅行でまたやらかしてな。」


八幡「今まで親しかったヤツらに見捨てられてこの前まで本当の意味でぼっちだった。」


八幡「けどそんな俺でも今では一緒に居てくれるヤツらがいる。」


八幡「相模、人間誰だってやり直せる機会はあっていいはずだ。」


八幡「俺はお前に選択肢を与えることしかできない。だがこれだけは言わせてくれ。」


八幡「以前みたくお前を直接助けすることはできない。」


八幡「だがお前がもう一度踏み出す勇気があるならそれを一緒に支えてやりたい。」


八幡「これが俺から伝えたいことだ。」


それが比企谷の話だった。

直接助けることはできないだの、

一緒に支えてやりたいだのよくわからないしちがいもわからないんだけど…?

葉山くんみたいにもっとカッコよく俺が守ってやるよくらい言ってみたらいいのに。

まあそこは比企谷だから期待しないけどさ…

でもこいつの言いたいことはわかった。

今の話に比企谷はうちに対して悪意を抱いていない。

むしろ本気でうちのためにやってくれるという意思を感じる。

でもうちには葉山くんがいる。

葉山くんを裏切るつもりは今のところないしそれに彼の言葉の方が魅力的だ。

でも今の比企谷の話を聞いてうちは何か言葉では表せない想いに駆られていた。

何だろ…これ…?

そんな時だ。携帯に葉山くんからの連絡があった。



『相模さん、今どこにいるんだい?』


相模「あ、今は比企谷に城廻先輩と一緒にいるんだけど…」


うちに連絡してきた葉山くんは今の状況を聞いて、

これは好都合だと言って生徒会室へ比企谷と城廻先輩を連れてくるように指示してきた。

その話を聞いて比企谷たちも葉山くんに言われた通りに生徒会室へ向かったんだけど…



生徒会室―――


葉山「やぁ、待っていたよ。」


少女A「八幡!大変なの!」


三浦「隼人が…アンタを生徒会長から外したいって言ってきて…」


いろは「それだけじゃなく…葉山先輩は他にも私たち以外の立候補者を連れてきて…」


海老名「その人たちが…ハッチも知っている…あの…」


八幡「嘘だろ…お前らは…何でここに…!?」


生徒会室で待っていたのは比企谷の生徒会メンバーと葉山くん。

それに他にも先日葉山くんが声をかけたという人たちがいた。

それは…



戸塚「八幡!僕たち許さないよ!」


材木座「そうだ!奉仕部の雪ノ下嬢と由比ヶ浜嬢と仲違いはよくないぞ!」


沙希「奉仕部には以前世話になったから。
葉山から事情は聞いたけどアンタのせいで奉仕部がやばいことになってるらしいね。
さすがに黙っちゃいられないよ!」


葉山「みんな新たに俺や相模さんと一緒に生徒会をやってくれる人たちだ。
俺が事情を全て伝えてあるので彼らはヒキタニが生徒会長であることを認めていない。
ヒキタニ、今度こそ観念するんだ!」


八幡「戸塚…材木座…川崎…そんな…」


昨日、葉山くんが言っていた声を掛けた人たちとは普段から比企谷と親しい連中だった。

比企谷も葉山くんがこの三人を出すなんて予想外だったみたいで強ばった顔をしている。

さっきまでうちと話していた時とは大ちがいだ。

以前のうちならこの光景を見ていい気味だと思っていたかもしれない。

でも今はちがう。

うちだってさすがにこれはやりすぎだと思う。

だって…信じていた人たちが敵に回るなんて…

葉山くん…いくらなんでも…これは酷いよ…

ここまで
葉山くんが頑張ったせいで戸塚くんたちが敵になってしまいました

>>245-249
なんか選挙云々に関して言われてますが
会長職の選挙は表向きはヒッキーといろはすで対立していた形式になるので(でもこのssではいろはすに会長になる意思はありません)
敢えて選挙ということにしました。



戸塚「八幡!葉山くんから聞いたけど女の子を泣かせちゃダメだよ!」


材木座「そうだぞ。
あの二人を怒らせたらどうなるかお主が一番よく知っておろう!
特に雪ノ下嬢なんか怒らせたらガクブルなのだ!我も一緒に謝ってあげるから!なっ!」


沙希「私はまだ葉山の話に納得してないけど、
理由はどうあれ雪ノ下たちを見捨てて生徒会入りってのはあまり感心しないね。」


葉山「屋上での一件は俺が説明しておいたよ。
まだ彼らは半信半疑のようだがヒキタニが事実を認めればみんな信じるだろうね。」


誰もがこの事態に戸惑っている。

戸塚くんたちは、

比企谷が屋上で雪ノ下さんたちとトラブルがあった噂を葉山くんから説明されたらしい。

どうやらこの三人は比企谷と同じくあまり噂に疎いようで、

それに比企谷自身も心配されたくないからあの噂について話さないようにしていたんだね。

それが仇になったみたいだけど…

それに戸塚くんたちの反応を見る限り、

葉山くんの口からあの噂を相当事実がねじ曲げられて伝わったらしい。

まあ部外者のうちですらこの状況に困惑している有様だ。



海老名「隼人くん!すぐにみんなの誤解を解いて!こうなったのもあなたが…!?」


葉山「俺は事実を言っただけだよ。
比企谷が奉仕部の雪ノ下さんと結衣を見捨てて生徒会に入ったとね。
こうなったのも全ては比企谷に責任があるはずじゃないかな。」


三浦「だったらあーしが説明するし!」


八幡「よせ優美子!やめておけ!」


少女A「そんな…どうして…」


反論しようとする三浦さんを止める比企谷。

普段のうちなら首を傾げるだろうけど今ならなんとなくわかる。

比企谷は葉山くんを警戒している。

今、比企谷を糾弾しているのは仲のいい戸塚くんたちだ。

たぶんここで比企谷が反論すれば戸塚くんたちは信じてくれるかもしれない。

でも葉山くんの影響力は相当だ。彼が白と言えば黒だったものですらみんな白と認める。

つまり何が言いたいかというともしもここで下手に反論したら…

今度は戸塚くんたちが葉山くんに何かされるのではと比企谷は警戒しているんだ。



めぐり「それで…葉山くんはこんなことまでして一体何がやりたいの…?」


葉山「今、見ていただいたように比企谷は生徒会長に相応しくありません。
だから俺は比企谷の生徒会長職の撤回と、
この相模さんを生徒会長に推薦することを学校側に訴えるつもりです。」


めぐり「つまり葉山くんは八幡を生徒会長の座から引きずり下ろしたいということだね。
それで相模さんに会長の座を譲れと…
これはさすがに温厚な私でも無視できないよ。」


葉山「それなら俺も城廻先輩の問題を指摘しますよ。
元会長が比企谷を贔屓して会長に当選させた。これこそ由々しき問題じゃありませんか!」


めぐり「それは…でも…!」


八幡「城廻先輩やめてください!
今先輩が問題を起こしたらどうなるかわかっているんですか!?」


葉山くんに掴みかかろうとする城廻先輩を比企谷が制した。

ここで城廻先輩が問題行動を起こせばどうなるかわかったんだろうな。

さっきチラッとだけ聞いたけど城廻先輩は受験生でしかも推薦入試を控えているんだよね。

そんな城廻先輩がこの時期に問題行動を起こせば推薦は取り消し。

これまでの三年間が無駄になるわけだし。



めぐり「葉山くんの…言いたいことはわかったよ…
でも生徒会役員は7人、そっちはあと2人足りないけどそれは決まっているの?」


葉山「残りの役員には雪ノ下さんと結衣に入ってもらう予定です。」


相模「雪ノ下さんと結衣ちゃんを…!?」


残りの生徒会役員の立候補者があの二人なんて…

そんな…冗談でしょ…?


八幡「その話は…もう雪ノ下たちにはすませたのか…?」


葉山「いや、まだだ。
だが雪ノ下さんたちなら、
比企谷以上の人望と能力が備わっているだろうし立派にやり遂げてくれるはずだよ。」


相模「でも…葉山くん…雪ノ下さんたちとは…」


葉山「大丈夫、今度は俺がついている。
文化祭と同じようなことにはならないよ。
それにいい機会じゃないか。これを機に彼女たちとの仲を改善すればいい。」


葉山くんは不安がるうちを優しくなだめてくれる。

けどそれだけでうちの不安はなくなることはない。

だって今のうちと雪ノ下さんとじゃ…



戸塚「八幡、葉山くんが言ってたよ。
八幡は無理やり生徒会をやらされてるって!
それで雪ノ下さんたちが泣いているって。だから奉仕部に戻っておいでよ!」


材木座「そうだぞ。我も一緒に謝ってあげるぞ!」


川崎「アンタには生徒会よりも…奉仕部の方がね…」


そして戸塚くんたちも葉山くんから何を聞かされたのか知らないけど、

比企谷の生徒会入りを快く思っていないようだ。

でも話はそれだけじゃなかった。



葉山「『 』さん、比企谷と雪ノ下さんたちを切り離したのはキミだ。
悪いがキミにもこの責任を取ってほしい。」


少女A「つまり…私も八幡と一緒に生徒会を辞めろってこと?
元々八幡のために生徒会に入りましたからそれは構いませんよ。」


葉山「それだけじゃない。元々の発端はキミだ。
だから雪ノ下さんたちに誠意を見せるためにも彼女たちの前で謝ってくれないか。」


八幡「ふざけんな!そんなことができるわけが…!?」


葉山「それなら優美子か姫菜、いろはでもいい。雪ノ下さんと結衣の前で謝ってほしい。」


葉山くんは比企谷たちに結構な要求を突きつけてきた。

それはうちですら無茶苦茶だと思える要求だ。

普通ならいくら比企谷だってこんな要求を呑めるはずがない。

けど…弱みを握られていれば話は別だ…



八幡「その話…俺が全面的に謝るということでなんとかならないか…?」


葉山「そうか、キミならそう言ってくれると思っていたよ。」


三浦「隼人!どういうことだし!?」


海老名「まさか…隼人くん…」


少女A「これまでのことを全て八幡に…そんなこと絶対ダメ…!?」


比企谷は自分が謝るということで決着をつけようとしている。

部外者のうちはこの状況をうちなりに精一杯考えた。

そしてある考えに行き着いた。



つまり状況を整理すると…

比企谷は葉山くんに人質を取られているってことになるんだよね。

その人質ってのが戸塚くん、川崎さん、それと…変なデブ。

それに城廻先輩も…

そしてたったいま、比企谷は新たな弱みを握られた。

自分のいる生徒会メンバーだ。

この連中に頭を下げさせる。

こんなことをされたら比企谷だって我慢ならないはずだ。

かといってここで無理にでも暴力に訴えればそれで即アウト。

比企谷はすぐに生徒会長を辞めさせられる。

おまけに他のメンバーも何かしらの罰を受けるかもしれないし、

それに悪評だって流れるかもしれない。

だから比企谷は葉山くんへ迂闊には手を出せない。

比企谷一人に全ての責任を取らせる。文化祭と同じことになるんだろうね…



少女A「ダメよ!絶対ダメ!
葉山くんは今まで起きたことを八幡に全部押し付ける気だよ!?」


八幡「それでもだ。ここでお前たちにまで迷惑を掛けるわけにはいかないだろ。」


三浦「またアンタはそうやって…!」


海老名「そうだよ。これじゃあまた前みたいなことになるよ!」


いろは「そうですよ!私たち頭を下げることくらい…」


みんな比企谷のためになら頭を下げる程度なんとも思わないと言っている。

それを見てうちは羨ましいと思った。

今のうちにそんなことを言ってくれる人なんているのかな…?



八幡「ダメだ。葉山は俺一人に責任を押し付けるはずだ。
それなら問題ない。俺一人ならなんとかなるはず。
むしろお前たちにまで非が及ぶ方が厄介なことになる。」


少女A「でも…それじゃあ八幡が…」


八幡「だから俺なら大丈夫だ。
お前ら…以前ならともかく…今は俺のこと信じてくれてるだろ…
だからわかってくれるヤツがいてくれるなら俺はそれだけで十分だ。」


少女A「八幡…本当にあなたは…」


三浦「アンタ馬鹿だし…大馬鹿だし…」


海老名「ダメだよ…こんなの…絶対ダメ…」


いろは「そうです…私たちは認めませんから…」


めぐり「ゴメンね…私に力がないばっかりに…」


生徒会の子たちがみんな比企谷のために泣いている。

この子たちは本気で比企谷のことを心配しているんだね。

それに比べてあっちはどうだろうか…?



葉山「ヒキタニ…!」


葉山くんは…未だに比企谷を睨みつけている…

ていうか三浦さんと海老名さん泣いてるんだけど…?

この二人って葉山くんのグループにいたんだから心配くらいしてあげなよ。

それに一色って子も確かサッカー部のマネージャーで後輩だよね。

一度疎遠になったらもう慰めることもしないんだ。


そして葉山くんに何を言われたか知らないけどやってきたこの三人も…


戸塚「生徒会の人たちが泣いてる…もしかして…葉山くんの言ってたことは…」


材木座「ぬぅぅ…どうやらこの一件裏がありそうではないか!」


沙希「もしかしたら私らって…」


葉山くんの言っていることを疑い出してる。

まあうちはこの三人とは殆ど絡んだことないし…

たぶん比企谷のことが気になっただけでうちや葉山くんのことは気にしてないよね。

そんな周りを見てうちは思った。

これじゃあまた同じことが起きる。あの文実と同じことになる。

それだけは絶対嫌だ。

そう思ったうちは葉山くんにある話を切り出した。



相模「ねぇ…葉山くん…
ここまでやってもらって悪いけどうちに生徒会長をやれる自信はないよ…」


葉山「そんなことはないよ。相模さんは実行委員長だってやれたんだ。今度だって…!」


相模「あんなの…雪ノ下さんや比企谷がいたから出来たんだよ。じゃなきゃ無理だった。」


葉山「………ダメだよ相模さん。
ここで逃げたらキミは今度こそ立ち直れなくなる。
今こそ最後までやり抜く勇気が必要だ!自分を変えていかなきゃいけないよ!」


葉山くんはうちを勇気づけようとしてくれている。

でもダメなの…それじゃあダメなんだよ…

今のうちに生徒会長なんて出来るわけないよ。

そう思ったけど…誰もうちを助けてくれるわけがない。

三浦さんたちにはうちが葉山くんとグルだと思われてるだろうし、

戸塚くんたちもうちを助けてくれるほど仲がいいわけじゃない。

つまりこの場でうちを助けてくれる人はいない。

そう思っていた…



八幡「やめろ、勝手な自分の理想を相模に押し付けるな。」


葉山「ヒキタニ…これはキミには関係のないことだが…?」


八幡「ふざけんな。
今のままもう一度相模と雪ノ下たちを仕事させてみろ。
また文化祭と同じことの繰り返しだぞ。それをわかって言っているのか…?」


相模「比企谷…」


葉山「大丈夫だよ。俺がついてるから!今度こそキミは頑張ることができる!」


葉山くんの言葉…

いつものうちなら喜んでいただろうけど…

でも今ならわかる。

葉山くんはうちに自分の理想を押し付けようとしてるんだ。

きっとこの人はうちのことを全然わかろうとはしてくれないんだよね。


相模「ねぇ…葉山くんは今までの人生で孤立したことがある…?」


葉山「いや、ないな。少なくとも俺は経験したことがないよ。」


その言葉を聞きうちは「あぁ…やっぱり…」と思った。

この人にうちの気持ちはわかるはずがないんだ。

うちが孤立してたった一人ぼっちでいること…

それをわかってくれない。

他人から見たら今のうちなんて自業自得だけどさ…それでも…

比企谷だけはそんな今のうちをわかってくれたんだよね。

だから…葉山くん…ごめん…



相模「葉山くん…ごめん…うち…生徒会長なんて出来ない…」


葉山「そんな…何故だ相模さん!キミには文化祭での経験が!?」


相模「あんなの…みんなの足引っ張っただけだよ!
そんなうちが雪ノ下さんたちと一緒に生徒会長やっても…
比企谷が言ったように文化祭と同じことにしかならないよ!?」


うちのこの言葉に葉山くんは意外な顔を見せている。

たぶんうちに自分の意見が断られるとは思ってなかったんだろうな…

でもね…無理なんだよ…

うちは文化祭から何も成長してない。

あの屋上に逃げ出した時からまだ何も成長してない。

そんなうちに…生徒会長なんて出来ないよ…



葉山「それなら…
雪ノ下さんに生徒会長をやってもらって…相模さんも役員に…それなら大丈夫だろ?」


相模「だから無理だよ。何度も言わせないで…
今のうちじゃ雪ノ下さんと仕事なんて出来ないよ…」


葉山「大丈夫!みんな仲良く出来るはずだ!俺が付いてるんだから!」


うちは葉山くんの言葉を何度も拒否している。

でもこの人はそんなうちの言葉を受け入れようとしない。

自分の理想を押し付けようとする。

何で…何で…わかってくれないの…?

うちは葉山くんが何を考えているのかわからなくなってきた。



八幡「おい…もうやめろ…相模に生徒会長になる意思はないってわかっただろ。」


葉山「悪いが今は相模さんと話しているんだ。関係ないなら黙っていてくれ!」


少女A「本人が嫌がってるんだからこれ以上勧めるのは嫌がらせになりますよ。」


いろは「そうですよ。葉山先輩には心底がっかりです。幻滅しました。」


見かねた比企谷たちがうちに無理強いする葉山くんを制している。

その光景は周りからは異様に思われたんだろうね。

ていうか葉山くんは何でこんな必死になってんの…?



海老名「やっぱり隼人くんは今回も他人を利用してたんだね。」


相模「利用…ってどういう意味…?」


海老名「さっき隼人くんが言ってたことだよ。
雪ノ下さんと結衣を生徒会に入れる。隼人くんの狙いはそこなんだよ。」


少女A「そういうことですか。
八幡に全ての責任を押し付けることで雪ノ下さんたちの信頼を取り戻すつもりですね。
そして同時に彼女たちを生徒会に入れてそれを自分の手柄してお近づきになろうとする。
最低最悪の発想…言葉にするだけで吐き気がします!」


葉山「そんなことはないよ相模さん!?
彼女たちの言っていることは全部でたらめだ!
俺はキミを利用なんかしていない。本当だ!信じてくれ!!」


うちは利用された…?

それも…葉山くんが雪ノ下さんに近づくために…?

ハハ…ちょっとやめてよそれ…

何それ…今まで葉山くんに煽てられてたうちがバカじゃん…



相模「もういいよ…本当にやめて…」


葉山「もういいって…何を言っているんだ…?」


相模「葉山くんの言ってることがよくわかんなくなってきちゃったの。
今のうちじゃ何をしたって同じだよ。また前と同じことになるだけ…
そんな生徒会長やらせてやるって煽てられても迷惑なの!だからやめて!!」


うちは葉山くんに力強く『やめて』と叫んだ。

完全な拒絶だ。

正直この人についていくことはできない。

それにこの人は最初からうちの心配なんてしていない。

誰か…他の人のことを考えている…

それは間違いなく雪ノ下さんのことだって…わかっちゃったから…



戸塚「葉山くん、これってどういうことなのかな?」


材木座「我らは八幡が、
奉仕部の二人を泣かせてしまったと聞いて仲を取り持ってほしいというから来たのだぞ!」


沙希「それなのに…突然生徒会に入れだの…
比企谷に全部責任を取ってもらうだとか…葉山…私らを騙した落とし前は高くつくよ!」


葉山「いや…だから…」


どうやら戸塚くんたちも葉山くんに言いくるめられてここへ連れてこられたようだ。

きっと比企谷を懲らしめるために親しい連中を取り込もうとしたんだろうけど、

無理な説得が裏目に出てるし…


戸塚「覚悟できてるよね…?」


そんな葉山くんに笑顔で詰め寄る戸塚くんだけど…

この子可愛い顔してガチで怒ってるよ!?



八幡「葉山、お前はこれだけ人を巻き込んで何のリスクもないと思っていたか?」


葉山「それは…どういう意味だ…?」


八幡「俺は常にリスクを考えて行動している。
文化祭での屋上の件は俺一人を犠牲にすることで問題を解消できた。
それに修学旅行の告白だって俺が犠牲になることで実害は最小限に防げた。」


葉山「そうだ…今度もキミにそれをやってもらおうと…」


八幡「だからそれが全然出来てないって言ってんだよ。
お前は俺一人を犠牲にしようとするためにこれだけの人間を巻き込んだんだぞ!」


八幡「葉山、お前は雪ノ下と由比ヶ浜のことを大事に想っているかもしれない。
だがそのせいで今回お前に体よく利用されたこいつらはどうなる!そのことを考えたか!」


八幡「戸塚はテニス部の部長だ。
こんな件が周りに知れ渡れば部長を辞めさせられたかもしれない。
川崎には幼い弟妹がいる。
姉貴がこんな馬鹿やってることを下の弟妹たちが知ったらどうなるか考えたか!?」


比企谷は葉山くんに騙されたとはいえ、

敵対していた戸塚くんたちのことをしっかりと考えていた。

そんな比企谷の考えを聞いて戸塚くんと川崎さんは「ゴメン」と呟いてる。

ちなみに変なデブは「八幡!我のことスルーしないで!」とか喚いてるけど…



八幡「葉山、お前はそろそろ自分が招いたことの落とし前をつけるべきじゃないか。」


葉山「そんな…俺は…相模さんを…それに雪乃ちゃんを助けようとしただけで…!」


少女A「だからってこれだけの人たちを巻き込んでいいわけないでしょ!?」


八幡「そうだ、ここにはお前の勝手な都合で犠牲にならなきゃいけない人間は一人もいない。」


少女A「そうです。八幡も含めてね!」


比企谷たちはハッキリと葉山くんを拒絶することを告げた。

もうこの場に葉山くんの味方になる人は誰もいない。

それどころかある意外な人が葉山くんにトドメを刺した。



めぐり「葉山くん、悪いけど雪ノ下さんを生徒会に入れるのは私も反対かな。」


葉山「城廻先輩…どうして…!?」


めぐり「ここだけの話だけど、
比企谷くんが会長になってから雪ノ下さんと由比ヶ浜さんは生徒会に入ろうとしたの。
でも推薦人が集まらなくて立候補できなかったらしいけどね。」


葉山「それなら比企谷の時みたく城廻先輩の力添えで彼女たちを役員にすればいい!
雪乃ちゃんはあの陽乃さんの妹だ!彼女に実力があるのはよく知ってるはずですよね!!」


めぐり「そうだね。確かに雪ノ下さんは…スゴイと思う。でもね…」


そこで城廻先輩は少しだけ私に顔を向けた。

その顔はなんだか残念そうに見えたけど…

けどすぐ葉山くんの方に向かってこう言った。



めぐり「雪ノ下さんは…弱い人の心がわからないから…」


葉山「それはどういうことですか…?」


めぐり「確かに私も文化祭で雪ノ下さんと一緒に仕事して、
あの陽さんの妹さんなら生徒会長を任せられると思っていたよ。」


めぐり「でも陽さんに頼まれて比企谷くんに生徒会長なってもらってわかったの。
たぶん雪ノ下さんに生徒会長を務めるのは無理だったんじゃないのかなって。」


葉山「何を言ってるんですか!雪乃ちゃんほどの人材は他にいないはずだ!?」


葉山くんは城廻先輩の言っていることに力強く反論している。

でもこの人…もううちのこと完全に忘れてるよね。

あぁ…もういいよ…うちのこと無視して勝手にやってなよ…



めぐり「雪ノ下さんに生徒会長をやってもらっても、
いずれメンバーの仲が気まずくなって拗れるだけだよ。それだけは確実だと思うね。」


葉山「何で…そんなわけが…!?」


めぐり「文実で雪ノ下さんはその作業を殆ど比企谷くんと一緒になってやってたよね。
確かにそれは賞賛されるべきものかもしれない。
でも上の立場に立つ人間として言わせてもらうとそれはとても危ういものなの。
葉山くんもサッカー部の部長なら私が言っている意味がよくわかるよね?」


葉山「それは…」


めぐり「確かに雪ノ下さんは厳しくて正しい人だよ。それは認める。
でも人間ってそれだけじゃダメなの。
周りに結構な毒舌吐いてたし、
彼女が入っていたら3日ともたずに生徒会は内部分裂してたかもしれないね。」


城廻先輩の発言に比企谷は少しだけ苦笑いしていた。

あ、こいつそういえば文実の時に結構雪ノ下さんに言われてたっけ。

しかも同じ部活なんだよね。きっと部活に行くたびにあんな毒舌吐かれてたんだろうな。

うちなら絶対耐えられないよ…



葉山「それなら周りが彼女を支えてあげればいい!そうすれば…!」


めぐり「その周りの人がいてくれたらね。
比企谷くんにはこうして支えてくれる人がいるよ。
でも今の雪ノ下さんに支えてくれる人がいないよね?それに私も悪いけど…」


葉山「そんな…お願いです。城廻先輩なら…」


めぐり「ゴメンもう無理だから。
それに葉山くんはさっき私のこと脅そうとしてたよね。
そんなあなたの頼み事なんか聞けないよ。」


葉山「その件については謝罪します。だから…」


めぐり「悪いけど心がこもっていない謝罪なんかいらない。
それに私もいざとなれば推薦を蹴ってでもキミの暴走を止めるつもりだったから。
私は文実で比企谷くんに悪いことを押し付けちゃった一人だもん。
先輩としてせめてこのくらいはやってあげないとね。」


葉山「待ってください!お願いだ。話を…!?」


めぐり「葉山くん、キミは本当に最低だね。心からそう思うよ。」


城廻先輩は葉山くんを見限るようにそう言葉を吐き捨てた。

哀れ葉山くんはこの場にいる全ての人たちを敵に回してしまいこの場から出て行った。



戸塚「八幡…ごめんね…葉山くんに騙されて…八幡のこと信じてあげられなくて…」


八幡「いや、俺の方こそ…
戸塚には何があったのかちゃんと言っておくべきだった。心配かけてすまなかったな。」


沙希「本当に悪かったね。この償いはちゃんとするよ。」


八幡「だから気にすんな。こんなの償うほどのこともねーだろ。」


材木座「八幡~!我も~!我も~!」


八幡「あーっ!わかったから!お前は鬱陶しいんだよ!」


葉山くんが生徒会室から出ていき、それと同時に戸塚くんたちは比企谷に謝罪している。

比企谷はこの三人に何もなかったから気にするなと許している。

さっきまでの修羅場が嘘みたいだ。

他のみんなもさっきとはちがい和気藹々とやっている。

場違いなうちは居た堪れなくなり誰にも知られずこの場を出ようとしたけど…



八幡「待て相模。
他のヤツは誤魔化せてもぼっちの俺の前でステルスヒッキーは無効だぞ。」


相模「せっかく誰にも知られずに出ていこうとしたのに…どうして呼び止めるの…?」


八幡「どうしてって…まだお前からちゃんと返事もらってないからだろ。」


返事って…

そういえば葉山くんのせいで忘れてたけど比企谷の生徒会に入るとかそんな話してたっけ。

でもこんなことになって今更どうしろっての…?



八幡「俺はお前に生徒会に入ってくれなんて言わない。
今のお前にそんなことを言う方が却って酷だからな。」


相模「なら呼び止めないでよ…」


八幡「でも一言礼くらい言わせてくれ。
あそこで相模が葉山を否定することを言ってくれなきゃどうなってたかわからない。
だから…助かった…」


まさか…意外な一言だった…

こんなことになった文句でも言われるのかと思っていたけど…お礼を言われるなんて…

本当ならうちはアンタにお礼なんて言われる立場じゃないのに。

ごめん…ごめんね比企谷…


相模「ごめん…ごめんなさい…」


相模「こんなことになって…ごめんなさい…」


相模「それに…文化祭の時…比企谷に迷惑をかけて本当にごめんなさい…」


八幡「そっか、わかった。お前の気持ちはわかった。だからもう気にすんな。」


比企谷はまるで幼い子供を宥めるように泣きじゃくるうちの頭を撫でてくれた。

それは葉山くんとはちがった暖かい優しさだった。

あぁ、優しいってこういうことなんだね。

比企谷は優しい。だから文化祭の屋上でうちを庇ってくれたんだ。

こんなことを今更になって気づくなんてうちは本当に人を見る目がないよね。



それからうちは比企谷…いや…八幡のいる生徒会に入った。


まあ最初はみんなギクシャクした関係だったけど…


八幡が間に入ってくれたおかげで今ではみんな仲良くやっている。


まだやることがあって大変だけどそれでも踏み出した第一歩だ。今度こそ失敗したくない。


そう、これは八幡がくれたチャンスなんだ。


八幡に謝った時、うちはちょっとだけ成長できた。


今度はもっと成長しなきゃ。


うちにチャンスをくれた八幡のため、それにもう一度ゆっこや遥たちと向き合うために。



それと葉山くんについてだけど…


三浦「ハチオはこんなこと嫌がるかもしれないけど…隼人…いや…葉山は潰すよ…!」


海老名「そうだね。今回はさすがに見過ごせないよね。」


いろは「自分の都合で女の子を利用したんですからその報いを受けてもらいましょうよ!」


めぐり「でもどうやって…?彼の影響力はまだ結構あるよ。」


相模「それなら…うちら女子が最も得意な方法でやるってのはどうかな。」


少女A「今回、あの人が八幡へ行ったことを私は絶対に許さないんだから…!」


これは八幡には絶対知られることのないうちたち女同士だけの秘密の話。

うちらは女子間のネットワークを最大限に利用して葉山への悪評を広めまくった。

まあ悪評といってもその全てがこれまで起きたことばっかなんだけどね…

それは瞬く間に広まって葉山はうちの時よりも酷い状態で周りから阻害されていった。

まあこれで八幡が何かされる心配はもうないよね。

それともうひとつだけ…



『…のん!どうしよう!さがみんが生徒会の庶務に決まっちゃったよ!?』


『…ヶ浜さん…そんな…
生徒会の庶務になれば比企谷くんに近づくことができたはずなのに…』


後日、廊下を歩いていたらまたこんな話が聞こえてきた。

どうやら生徒会に入れなくて悔しがっているようだ。

本当に誰だか知らないけど何で生徒会の庶務になりたいたんだろ…?


<相模南の場合>


end


ここまで

そろそろ話も終盤

あと1回でこのssは終わりになります



<少女Aの場合>


『私は掴んだこの手を二度と離さない』


それは今から数日前、

奉仕部の部室前で八幡の手を握り締めた時に思わず心の中で呟いたことだった。

八幡を最も苦しめていた雪ノ下雪乃と由比ヶ浜結衣。

あの二人に八幡のことを諦めさせるために、

私は彼女たちの前で見せつけるように彼の手を握り締めた。


『もう八幡に近づかないで…』


そんな想いを抱きながら私は彼の手を掴んでいた。

他人からしてみたら随分身勝手な行為だと思われるかもしれない。

でも私はこの行動に後悔はしていない。



それから現在―――


三浦「クリスマスイベント!無事終了~!」


海老名「みんな、お疲れさま!」


相模「ていうかクリスマスに何で仕事やらされるわけ…?」


いろは「なんでも今回のイベント参加決めてきたの平塚先生らしいですよ。
あの独神…自分に彼氏がいないから生徒相手に嫌がらせしてるんですよ。マジ醜いです!」


八幡「おいおい…本人がいないからって毒吐きすぎだぞ。けどこれでようやく帰れるな…」


少女A「八幡が一番頑張ったからね。本当にお疲れさま!」


あれから数日後、海浜総合高校とのクリスマスイベントが行われた。

私たち生徒会メンバーによる初の参加行事だ。

当初は向こうの会長が意味不明な言動を交わしてきたり、

八幡の中学時代の同級生な折本とかいう失礼な女性が八幡を貶してきたけど、

私たちは互いに連携を取りこの事態に対処してみせた。



まずは玉縄という向こうの会長に…


『すみません。何を言っているのかさっぱりわからないのですが…?』


『あーし日本人だから日本語喋ってくんない?』


『今時日本語は世界に羽ばたくサブカルチャー(BL)じゃ共通言語なんだよ。』


『ていうか覚えたてのビジネス用語使ってカッコつけるのがあざといですよね。』


『うちも日本語喋らないとわからないよ!』


『そういうわけだ。そっちが日本語話さないならこっちは勝手にやらせてもらうぞ。』


そんな感じで「何を言ってるのか意味不明だから日本語で喋って!」と全員で訴えた。

その結果、

私たち総武高校側が主導権を握りクリスマスイベントは、

総武高校と海浜総合がそれぞれ独自で行う二部制となった。

私たち総武側は八幡の提案で近隣の小学校や幼稚園に頼んで劇の催し物をやることになった。

先日の葉山くんの件で責任を感じていた沙希さんにも協力してもらいイベントは成功。

地域の人たちとも親交が深まり実に有意義なものとなった。

ちなみに海浜総合の方はライブをやると言っていたけど、

そのためのメンバー集めやまた演奏の準備が満足に整わずに最悪な結果に終わったらしい。



『あ、比企谷じゃん!まさかのレアキャラ!』


それと海浜側にかつて八幡を馬鹿にしていた折本という人がいたので…


『初めまして、八幡の妻の『 』です。』


『あーしは愛人1号の三浦優美子だし!』


『同じく2号の海老名姫菜だよ。』


『それと可愛い後輩の愛人3号の一色いろはです!』


『え~と…うちは…4号…の相模南みたいな…?』


『昔は随分八幡がお世話になったそうですね。
でも今は私たちがいるのでどうかご心配なく!いずれこのお礼はたっぷりしますから!』


『アハハ…マジで…それは受けないんだけど…?』


全員で八幡の彼女だと装ってもらい(何故かみんなノリノリだった)

八幡との仲を見せつけてみせた。

その際、彼女は呆気に取られていたけど八幡を小馬鹿にした仕返しはこんなものでしょう。



『八幡、久しぶり。会いたかった。』


『オォ、ルミルミ。夏の林間学校以来だな。今回はよろしく頼むな!』


『はーちゃんだ!けーちゃんがんばるからね!』


『アンタにはこの前悪いことしたからね。このくらいは協力させてもらうよ。』


『川崎…それにけーちゃんまで…手伝ってくれて悪いな。』


それにイベントにはかつて八幡が助けたという鶴見留美さん。

それに沙希さんと妹の京華ちゃんも手伝ってくれました。

そんなわけで私たちのクリスマスイベントは無事終了したのです。



少女A「優美子たち、先にサイゼに行って席を確保しておくって言ってるよ。」


八幡「戸塚や材木座たちもサイゼで合流するって言ってたからな。
まったく生徒会やってなきゃ今年も小町と二人きりでクリスマス祝ってたんだが…
とにかくさっさと向かうとするか。」


そして今日はクリスマス・イブ。

私と八幡は件のクリスマスイベントの事務手続きを終わらせて、

急いでみんなが待っているサイゼに向かおうとした。

ちなみに何でサイゼかというと、

八幡曰く、

この時期オサレな店なんてどこも満席だがファミレスなら融通が利くからだそうです。

なんとも彼らしい意見です。



八幡「だがその前にだ…実は『 』に渡したいものがあるんだ。」


少女A「私に…渡したいもの…?」


八幡「今日クリスマスだろ。
それにサイゼで渡したらみんなにからかわれるのが恥ずかしいし今ここで渡すからな。」


少女A「もう…八幡たら…デリカシーがない。そういうところがポイント低いんです!」


八幡「うっせ!小町の真似なんかすんな!」


八幡は鞄の中からプレゼント用に包装された小さな箱を取り出した。

そしてそれを私に渡そうとした…その時だった。



「やぁ…」


私たちの目の前に一人の男性が現れた。

その人はどこか見覚えのある顔だったけどその面影はまるでない。

目はとてつもなく腐っていてまるで出会った時の八幡を思い出させるほどだった。

いえ、あの時の八幡よりも酷いかも…


八幡「お前…もしかして…葉山なのか…?」


葉山「何だ。俺だとわからなかったのか。久しぶりだねヒキタニ…」


少女A「あなた随分変わりましたね。特に目の辺りが…」


葉山「あれから色々あってね。
まあ俺のことはどうでもいいじゃないか。それよりも話したいことがある。」


突然現れた葉山くんにかつての爽やかさの面影はなかった。

恐らく私たち女子で仕掛けた噂が原因なんだろうけど、

それは元々彼が招いたことでありそれに対して同情やましてや後悔する気もない。

まあその話は置いといて葉山くんはポケットから携帯を取り出してみせた。

誰かと連絡を取っている。

それから葉山くんは私たちにも聞こえるように連絡してきた主の声を聞かせてきた。



『やっはろー!ヒッキー!』


『聞こえているのなら返事をしなさいヒキガエルくん。』


八幡「この声…雪ノ下…それに由比ヶ浜…!?」


少女A「一体どういうこと…?」


連絡してきたのはなんと雪ノ下さんに由比ヶ浜さんだ。

この前、二度と八幡に会うなという忠告をしたはずなのにそれをもう破るなんて…

いや、直接会っているわけじゃないからまだ破ってないんだよね。



『ヒッキー!今私たちゆきのんのマンションでクリスマスパーティーやってるんだよ♪』


『これは奉仕部の部員同士によるクリスマスパーティーよ。
私としては不本意だけど…
あなたも一応奉仕部の部員なのだから私のマンションに招待してあげるわ。
感謝することね。』


『ちなみにあなたには選択権も拒否権も認められていないことを忘れないで。
まあぼっちのあなたのことだからクリスマスの予定がないのはわかっているけど…
けどもしも都合があったとしても私たちを優先させなさい。』


『言っておくけどこれは部長命令よ!』


『それじゃあ待ってるからねヒッキー♪』


そんな一方的な内容だった。

それから要件を言い終えると彼女たちはすぐに連絡を切ってしまった。

あの人たちは八幡に発言をさせる機会すら与えないというの…?

どこまで図々しいのかと私は内心腹立だしく思った。



葉山「連絡は以上だ。俺はメッセンジャーとしてキミの下へやってきた。」


八幡「葉山…お前いつの間に雪ノ下のパシリになったんだ…?」


少女A「それよりも八幡はこれから私と一緒に、
生徒会主催のクリスマスイベントの打ち上げに行くんです。奉仕部の方へは行けません!」


私は八幡の代わりに断固として断った。

当然だ。こんな人を馬鹿にした申し出があってたまるかと…



葉山「悪いが無理やりでもキミを連れて行くぞ。これを見てくれ。」


八幡「それ…『 』に渡すはずだったヤツ!いつの間に取ってんだよ!?」


葉山「どうやら大切な物のようだね。
これを返して欲しければ俺と一緒に雪乃ちゃんのところへ来てくれ。
彼女たちと一緒にクリスマスを祝おうじゃないか。」


少女A「ふざけないで!あなた自分が何をしているのかわかっているの!?」


私は葉山くんに対してそう叫んだ。

彼の行動は常識の範疇を超えている。

そんな私の問い掛けに彼はその腐った目でこちらを睨みつけながらこう言った。



葉山「これは…俺にとっての試練なんだ…」


少女A「試練…?」


葉山「先日、俺は雪乃ちゃんがいる奉仕部へ入部しようとした。
けどあっさりと断られたよ。でも俺はなんとかしてくれと頼み込んだ。
そしてあることを雪乃ちゃんから言い渡された。」


葉山「それは…ヒキタニ…キミを雪乃ちゃんと結衣の前に連れてくること!」


葉山「それが俺の奉仕部に入部できる条件。
これは俺が雪乃ちゃんたちのいる奉仕部に入るための入部テストなんだ…
俺はもう孤立したくない…そのためなら手段は選ばない!」


さすがに理解するのに少しだけ時間が掛かった。

入部テスト…?

うちの学校の部活って入部テストなんかないはずですよね。

いやいや…それよりも入部テストが八幡への嫌がらせって何ですか…?

呆れ返ってモノも言えません。

ここまで

次の更新でこのssは最後ですかね

ちなみにこの話のみ前作のラスト直後の話になりますのでご注意ください



八幡「とにかくそれを返せ。
こんなことしたら犯罪だ。お前も弁護士の息子ならこのくらいわかるだろ?」


葉山「それでも…俺にはもう後がないんだ…
頼むヒキタニ。俺と一緒に雪乃ちゃんたちのところへ行こう。」


少女A「あなた…おかしい…どうしてそこまで雪ノ下さんにこだわるの!?」


以前、優美子たちは葉山くんが雪ノ下さんのことが好きだと指摘していた。

けど私には葉山くんを突き動かしているものが明らかに恋愛感情とは別物に思えた。

それなら彼は一体何のために動いているの…?



葉山「それは…俺が昔…雪乃ちゃんを傷つけたからだ…」


八幡「雪ノ下を傷つけたってどういうことだよ?」


葉山「俺は雪乃ちゃんとは幼馴染だ。
子供の頃からの付き合いだった。昔は仲が良かったさ。けど…」


それから葉山くんは雪ノ下さんとの過去について語りだした。

幼い頃、葉山くんは雪ノ下さんを救えなかったらしい。

そのことを未だに悔いているとかそんな話だった。



葉山「だから俺は彼女を救いたい。今度こそ必ず!」


少女A「話はわかりました。けど何でそれに八幡を巻き込もうとするの!?」


葉山「それは…ヒキタニは雪乃ちゃんが唯一認めている男子だからさ。」


八幡「俺が…雪ノ下に…嘘だろ…?」


葉山「嘘じゃない。
俺はこれまで彼女に近づく人間を何人も見てきた。
彼女はどうでもいい人間は全て適当にあしらってきた。
けどキミはちがう。」


葉山「雪乃ちゃんの隣に居られたのはキミだけだった。」


葉山「ハッキリ言おう。
ヒキタニ、キミは雪乃ちゃんとそれに結衣からも認められている!
だからキミは奉仕部に戻るべきなんだ!!」


葉山くんは八幡に奉仕部に戻れと促している。

一応言いたいことはわかった。

けど私には理解することのできない話だ。

何故なら八幡を奉仕部に連れ戻すということは…



少女A「あなたはもう一度八幡にあの二人の道具になれと言うの?ふざけないで!」


葉山「そんなことは言っていない。大体彼女たちはヒキタニを道具扱いなんて…」


少女A「してたじゃない!
あの二人は八幡を道具のように利用して…そして見捨てた!そうでしょ!?」


葉山「誤解だ。
だが何かあれば最後はいつもヒキタニが自己犠牲によりあの二人を助けていたのは確かだ。
俺はそれを躊躇なくできるそんな彼を尊敬すらしている。」


葉山「雪乃ちゃんと結衣もキミがいなくて寂しいはずだ。彼女たちの下へ戻ってきてくれ。」


それが葉山くんの言い分だった。

この男も雪ノ下さんたちと同じだ。

どんなに言葉を取り繕っても結局あの二人のための道具になれと言っているようなものだ。

そんな葉山くんに対して八幡はこう言った。



八幡「お前の言いたいことはわかった。
けどまずはその小箱を返せ。そいつは大事なモンなんだ。
大体お前の言ってることは全部自分勝手な理屈だろ。
他人のモノ奪って都合のいい要求を突きつけるとかどう考えても脅しじゃねーか。」


葉山「それは…本当にすまないと思っている…
でもわかってくれ。
雪乃ちゃんにはキミが必要なんだ。勿論結衣にも!」


葉山「だからもう一度やり直してほしい!奉仕部を!あの二人との関係を!」


葉山「頼む。俺にもう一度チャンスをくれ。雪乃ちゃんを救うチャンスを…」


葉山くんは自分の精一杯の想いを八幡にぶつけた。

雪ノ下さんを救いたいというこの言葉に恐らく嘘はないはず。

恐らく彼の想いに下心など一切ないのだろう。

それほどまでにこの葉山隼人という男は純粋なんだ。

けど私はこう思う。








あなたの言っていることはあまりにも身勝手だ!








少女A「そんなの全部…あなたの都合じゃない…」


少女A「昔、あなたと雪ノ下さんに因縁があったとしてもそれは八幡には関係ない!


少女A「結局あなたは昔自分が仕出かしたことを、
八幡に頼ってその尻拭いをしてほしいって…そういうことを言っているんでしょ!」


葉山「ちがう!そうじゃないんだ!俺は…昔の過ちを繰り返したくないから…!?」


葉山くんの語る過ち…

確かにそれは葉山くんにとっては大事なことなのかもしれない。

けどそんなの八幡には関係ない。

それは葉山くんと雪ノ下さんの問題であって八幡が関わるべきことではないはずだ。

私は勢いのまま身勝手な要求を突きつけてばかりくる葉山くんに掴みかかろうとしたけど、

それを八幡に制止された。

でも代わって八幡が葉山くんに対してこう告げてみせた。



八幡「悪いが俺はお前の要求を何も聞いてやることはできない。」


葉山「な…何故だ…どうして…!?」


八幡「だからまずはそのプレゼントの小箱を返せって言ってんだよ。
それには大事なモンが入ってんだ。
そいつを失くすわけにはいかないからこんな馬鹿みたいな話黙って聞いてやってんだぞ。」


葉山「なら…これを返せば…素直に雪乃ちゃんのところへ行ってくれるのか…?」


八幡「いや、それはできないな。
確かに俺は奉仕部の部員だ。だが俺はあいつらから見捨てられている。
そんな俺が今更ノコノコとあいつらのところへ行けるわけがないだろ。」


葉山「だが二人はキミに来てほしいと言っている!
そうか…わかった…例の屋上で自殺しそうになった件を未だに引きずっているんだな!
それなら俺がキミたちの仲裁に入る。それなら納得できるだろ!」


葉山くんは必死になって八幡を連れて行く口実を作っている。

でもどれだけ言われようとも八幡が頷くことはなかった。



八幡「諦めろ葉山。
何度言われようと俺は今のあいつらのところへは行けない。」


葉山「何故だ…何故なんだ…?
奉仕部は…いや…あの二人はキミにとって掛け替えのない大切な存在のはずだ!
それをどうして…!?」


その時だった。

葉山くんは八幡の隣にいる私を睨みつけてきた。


葉山「そうか…キミか…キミがヒキタニを…奉仕部をこんな風にしたのか…」


少女A「え…何言ってるの…?」


葉山「惚けないでくれ!
キミだ…キミさえいなければ…奉仕部が壊れることはなかった…
ヒキタニの前にキミが現れなければ…全てはうまくいったはずなのに…!」


少女A「それは…でも…私は…」


葉山「キミだ!キミがいなければ…!」


葉山「キミが現れなければ誰も文化祭について追求しなかった!
修学旅行の件だって…あの後…俺がうまくやるはずだった…
それなのにキミが全てをメチャクチャにして…
そして…俺のグループまでも解散させた…」


葉山「挙句の果てには屋上でヒキタニに告白して、
雪乃ちゃんたちの悪評を広めて彼女たちの信頼を貶めヒキタニの隣に居座っている!」


葉山「奉仕部は雪乃ちゃんの大切な場所だった。
そうだ…雪乃ちゃんと結衣とそれにヒキタニの大切な場所だった!
それを土足で踏み躙ったのは他の誰でもないキミじゃないか!
キミさえ現れなければ奉仕部は今も平穏な場所だったはずだ!
それに俺だって…それなのに…!?」


彼の言っていることは最早私には理解できなかった。

私が全部悪い…?

ダメだ。この人はまともに話を取り合ってくれさえしない。

そう思うと急に恐くなり動けなくなった。

でも…そんな時…怯える私を彼が守ってくれた。



八幡「いい加減にしろ。こいつが悪いわけないだろ。」


葉山「何を言っているんだ…彼女はキミの居場所を踏み躙ったんだぞ!?」


八幡「確かに…奉仕部は俺にとって大切な場所だ。今でもそう思っている。」


葉山「それなら彼女たちのところへ戻ってきてくれ!今すぐに!」


八幡は奉仕部を今でも大切な場所だと言っている。

でも私の方に目を向けながらこう語りだした。



八幡「俺は…これまで…自己犠牲をなんとも思わなかった。
それには理由がある。俺が犠牲になったところで誰も心配なんかしなかったからな。」


八幡「そう思っていた。屋上で飛び降りようとした時までは…」


八幡「あの時、俺に手を差し伸べたのは雪ノ下でも由比ヶ浜でもない。『 』だった。」


八幡「『 』がいなかったら俺はとっくにあの世に行っていただろうな。」


八幡「俺が傷つけば誰かが悲しむ。
これまでの不遇な扱いで俺はそんなことを忘れていつの間にか麻痺していた。
でもこんな当たり前のことを思い出させてくれたのが『 』だ。」


八幡「確かに今でも奉仕部は俺の大切な場所だ。
でもそれと同じく新しい大切な場所ができた。それが『 』との場所なんだ。」


それは八幡の嘘偽りのない言葉だった。

八幡の純粋な想い…

その想いに私は思わず涙がこぼれた。



八幡「それに俺はもうぼっちじゃない。」


八幡「『 』は勿論だが他にも大切なヤツらが増えた。」


八幡「俺はそいつらのことを蔑ろにしたくはない。」


八幡「だから…今は…雪ノ下たちのところへ行けないんだ…」


葉山「そんな…キミは何を…あの二人以外にキミを理解できる人たちがいるわけが!?」


葉山くんが困惑した表情を晒しながら八幡に迫ろうする。

今のこの男なら八幡に何を仕出かすのかわからない。

私が危機感を持ったその時だった。





「葉山!いい加減にしな!!」




この私たちしかいないはずだった場所で響く葉山くんを制止する言葉が響き渡る。

それと同時にある人たちが私と八幡を守るように現れた。

その人たちは…



三浦「葉山、アンタこんなクリスマスに嫌がらせとか何してんだし!」


海老名「こんな日にまでハッチーに嫌がらせなんて…
私は終わったジャンルには興味ないんだよね。今のマイブームはとべ×はちだから。」


いろは「こんなクリスマスにカップル相手に嫌がらせとか…
モテない男のやりそうなことですね!ごめんなさい!この人と一緒にいるの絶対無理!」


相模「まだ比企谷に何かしようってならうちも許さないんだからね!」


そこに現れたのは生徒会メンバーである優美子、姫菜、いろは、南の4人だった。

いや、彼女たちだけじゃない。

八幡と私のため集まった人たちは他にもいた。



戸塚「葉山くん、まだこんなことして八幡を苦しめようとしてるんだね!」


材木座「一度は我らを悪の道に堕としおって!この外道め!」


京華「はーちゃんのこといじめないで!」


沙希「心配しなくても大丈夫だよ。私が手出しさせないから!」


めぐり「またこんなことを…本当に最低だね葉山くん…」


戸部「隼人くん…っべーわ…これはねーわ…」


さらに戸塚くん、材木座くん、川崎さんにそれに戸部くんや城廻先輩までもが現れた。

ここにいるみんなが八幡の味方だ。



葉山「な…何でこんなに人が…?」


三浦「ハチオがいつまでも来ないから心配して見に来たし!」


海老名「そしたらまさか葉山くんに襲われてるんだからね。あ、今のエロいね!」


いろは「でもかつてのリア充の王さまが今では随分惨めになりましたね。」


葉山「優美子…姫菜…いろは…これは…その…」


葉山くんはこの事態に狼狽えていた。

彼にしてみればかつてぼっちであった八幡のために、

これだけの人が集まるとは思ってもみなかったはずだ。

八幡はもう奉仕部に居た頃とはちがう。

彼の周りにはこんなにも掛け替えのない人たちがいるのだから…



八幡「葉山…俺にはこんなにも支えてくれるヤツらがいる。」


八幡「だが…今のお前は…」


八幡「以前なら俺たちの立場はまったく逆だった。
お前はそんな自分の大切な場所をいつの間にか自分の手で失くして孤立していった。」


葉山「俺が…自分から孤立してたなんて…
そんな…こんなのありえない…あぁ…そうだ絶対にありえないはずだ!?」


八幡の言葉が葉山くんの逆鱗に触れたのか彼は発狂しだした。

錯乱した葉山くんは八幡から奪い取った小箱を地面に叩きつけようとする。

そんな葉山くんを急いで止めようと駆け出す八幡。

そして私も「やめて!」と叫んだ。

でも次の瞬間…!



陽乃「はい、ここまで。もう終りだよ隼人。」


葉山「陽乃さん…何でここに…?」


陽乃「居たら悪い?
この打ち上げに私も比企谷くんにお呼ばれしてるからね!
でも雪乃ちゃんとガハマちゃんは呼ばれなかったみたいだけど。それに隼人もね…」


八幡「雪ノ下さん助かりました。」


間一髪、小箱が地面に叩きつけられる寸前に雪ノ下さんのお姉さんが止めに入ってくれた。

それからお姉さんは葉山くんから取り戻した小箱を八幡に返してくれた。

それと同時に葉山くんはこの状況に混乱したのか膝から崩れ落ちてしまった。



葉山「俺は雪乃ちゃんを救いたい…ただそれだけなのに…」


陽乃「救いたいって…隼人に誰かを助けられるわけないじゃん。」


葉山「そんな…何で…?」


雪ノ下さんのお姉さんにそう言われてまだ理解が出来てない葉山くん。

そんな葉山くんを前に彼女は淡々とその理由を説明してみせた。


陽乃「隼人はこれまで起きた問題をどうやって解決してみせた?
恐らく自力で解決したことはなくていつも最後は比企谷くんを頼っていたよね。」


隼人「ちがう!そんなことはない!」


三浦「お姉さんの言う通りじゃん!
文化祭や修学旅行…それにチェーンメールの時だっていつも最後はハチオを頼ってたし!」


海老名「葉山くんの解決方法はいつもハッチーを頼ること。それは否定できないよね?」


陽乃「この子たちの言う通りだよ。
隼人、アンタの解決方法っていつも最後は他人を頼るものだね。
そんな人に雪乃ちゃんが救えるはずがないって何でわからないのかな~?」


周りからの鋭い詰問に葉山くんは追い詰められていく。

この場に葉山くんの味方などいない。

いや、はっきり言えばここにいるみんなは葉山隼人・被害者の会と称してもいいほどだ。



陽乃「そもそも何で奉仕部の三人が仲違いしたのか、その原因は何だったのかわかってる?」


葉山「それは…ヒキタニの自殺未遂が原因じゃ…」


陽乃「ちがうよ。
そもそもの原因は、
隼人が修学旅行で戸部くんと海老名ちゃんの件を奉仕部に押し付けたことなの。」


陽乃「あの件で隼人が素直に、
その事情を全て奉仕部に打ち明けていればここまで拗れた結果にはならなかった。
でも隼人はそれをせずに比企谷くんにその責任を押し付ける形でこの件を有耶無耶にした。
こんなの誰がどう考えてもアンタに非があるよね。」


陽乃「この際だからはっきり言わせてもらうよ。
自分の仕出かした責任も取れない隼人が誰かを救うなんて絶対に無理なの。」


雪ノ下さんのお姉さんのこの一言が葉山くんへのトドメになった。

彼は私たちの前だというのに蹲り涙を流し始めた。

事情を知らない人が見れば悲劇の主人公に思われるかもしれない。

けどこの場にいる誰もが彼に同情する気になれない。

私だってそうだ。

この人がこれまでやってきたことを思えば当然の報いだとさえ思っているのだから…



八幡「それで葉山、お前はこれからどうするつもりだ?」


葉山「どうするって…何の話だ…?」


八幡「言っておくが今回お前がやったことは窃盗だぞ。
いくら俺がここにいるみんなに口止めしてもこれだけの人数だ。
他意がなくても必ずどこかでこの件はバレるはずだ。
それに悪いが今回お前が仕出かしたことを俺は許す気になれない。」


八幡「そしてお前はまた自分の行動によって生じるリスクを考えていなかった。」


葉山「リスクって…一体何のことだ…?」


葉山くんの疑問に八幡は呆れた表情を見せながらこう呟いた。



八幡「雪ノ下と由比ヶ浜だよ。お前はあの二人に俺を呼んでくるように頼まれたんだよな?」


葉山「そうだ。俺は彼女たちからキミを呼ぶように…」


八幡「ならあいつらも立派な共犯になるじゃねーか。」


葉山「そんな…それはちがう!?」


八幡「いいや、そうなっちまうんだよ。
雪ノ下と由比ヶ浜がお前に俺を呼ぶように頼んだ。そしてお前はこんな行為に及んだ。
だからお前が犯した動機は雪ノ下たちから頼まれたのがことにある。
お前が雪ノ下から頼まれた以上この事実を覆すことはできない。
そういうことになるんだよ!」


葉山くんの顔が今頃になって青ざめている。

恐らく自分が仕出かしたことをようやく理解したのだろう。

でも今になって気づいても手遅れだ。

何故ならこれだけの人たちに自分の犯行がバレてしまったからだ。

こうなってはどう足掻いても彼の罪は帳消しになるはずがない。。



八幡「葉山、どうする気だ?」


葉山「俺は…その…雪乃ちゃんに…」


陽乃「もしかして雪乃ちゃんたちに罪を擦り付ける気?
『僕は何も悪くありません。雪乃ちゃんに言われてやりました』ってさ。
でも隼人は雪乃ちゃんを救うためにこんなこと仕出かしたんだよね。
それなのに肝心の雪乃ちゃんに罪を擦り付けたら昔と同じことの繰り返しじゃない。
いえ、もっと酷い結末になっちゃうよ。」


八幡「恐らく雪ノ下は二度と誰も信じられなくなるはずだ。
しかもその原因が自分を救おうとしたヤツによって貶められるんだからな。
葉山、お前が救おうとする雪ノ下が、
お前のせいで貶められるなんてこんなの笑い話にもならないぞ。」


本当にその通りだ。

自分が救おうと思っていた人を自分が行動したせいで貶められるなんて…

この人はやり方を間違えたばかりに泥沼に嵌っている。

こんなのもう誰にも救えやしない。



八幡「葉山、これはお前が仕出かした結末だ。それはわかるな?」


葉山「ああ…わかってるよ…」


八幡「なら改めて聞くぞ。
雪ノ下たちはお前に俺を呼ぶように頼んだ。これは本当のことだな?」


葉山「そうだ…それは間違いない…」


八幡「最後に聞くぞ。
あいつらはお前にこんな方法で俺を連れてくるように指示を出したのか?」


ここで葉山くんの表情が変わった。

今の八幡の質問の意図が理解できたからだ。

この質問はこの犯行が葉山くんの独断か、

それとも雪ノ下さんたちの意思が反映しているのか見極めるためのものだ。

もし前者ならこれは葉山くん一人の犯行として片付けられる。

彼はその罪を全て問われて居場所を失う。

それは彼が最も嫌悪する自分が孤立することに繋がる。

でも後者なら葉山くんは雪ノ下さんたちによって指示された。

もしくは脅された、主犯は彼女たちだと主張することができる。

そうなれば彼にも情状酌量の余地はあるわけだけど…

でもそれはすなわち葉山くんが雪ノ下さんと由比ヶ浜さんを裏切る結果に繋がる。

つまり雪ノ下さんたちを共犯扱いできるのは葉山くん次第ということになるわけだ。



八幡「それでどうなんだ。これはお前の独断か?それとも雪ノ下たちに言われたのか?」


葉山「それは…その…」


陽乃「隼人、はっきり答えなさい。もうアンタに逃げ場はないのよ。」


そう、葉山くんに逃げ場はない。

既にこの場は私たちに囲まれている。

もし仮に逃げられたとしてもこれだけ目撃者がいれば逃げたところで意味がない。

そのことがわかっているからなのか葉山くんは口篭っている。

彼は今まさに人生の岐路に立たされている。

自分を取るか、雪ノ下さんたちを守るべきか彼の選択が迫られた。

黙り込み口を閉ざそうとする葉山くん。

そんな彼を見てじれったさを感じたのか八幡があることを問いかけた。



八幡「葉山、何でお前は雪ノ下たちを救いたいと思った?」


葉山「それは…キミがいなくなったからだ…だから俺はなんとかしようと…」


八幡「ならそれは俺の問題だ。はっきり言うがお前は無関係だぞ。」


葉山「無関係なんてそんなことは…!?」


八幡「いいや、これは奉仕部の…俺と雪ノ下と由比ヶ浜の三人の問題だ。
葉山、この件に関してお前は本当に無関係なんだよ。
そもそもお前が口を挟む必要なんてどこにもないだろ!」


八幡「そしてこの件を口実に自分の逃げ道を作ろうなんて思うな!
俺と雪ノ下たちの問題とお前が仕出かしたことに今は何一つ関係ない!」


八幡「自分がやったこと、これがどんなリスクを生むのか、それをよく考えて言ってみろ!」


八幡は葉山くんに対してそう言ってのけた。

これで葉山くんの逃げ道は全て封じられた。

かつて彼の周りに居た人たちは敵となり、

そして自分が救おうと思っている雪ノ下さんたちがこの場に現れることもない。

そんな孤独な状況下で彼が下した選択は…



葉山「俺…だ…俺が…やった…」


葉山「確かに…雪乃ちゃんからヒキタニを呼ぶように頼まれた…」


葉山「けど…このやり方を取ったのは俺自身の判断だ…だから彼女たちは関係ない…」


葉山くんは自白した。

この場にいるみんなの前で自らの罪を認めた。

彼の取ったこのやり方が本当に雪ノ下さんたちには無関係なのかは私にはわからない。

もしかしたら葉山くんが雪ノ下さんたちを庇っただけかもしれない。

それはさすがに考えすぎだと思いたいけど…

こうして自らの罪を認めた葉山くん、彼はか細い声でこう呟いている。



葉山「俺は…雪乃ちゃんたちを…守りたかった…それだけなのに…」


陽乃「隼人が守ろうとしたもの…それって何なの…?
結局、アンタがやったことは守るどころか問題が大きくなっただけだよね。
それでこの場にいるみんなに迷惑をかけたわけだしねえ。」


葉山「それでも俺は…最善を尽くそうと努力した…」


陽乃「その結果がこれだから笑えないの。
そもそもアンタはやり方を全部間違えているわけ。
雪乃ちゃん大事なあまりにアンタは比企谷くんにその全ての責任を押し付けてきた。
だから今こうして報いを受けているんだよ。」


葉山「いくら陽乃さんでもそれは言いすぎだ…!」


葉山くんがお姉さんに怒りを向けようとした時だ。

今まで笑顔を浮かべていたお姉さんは急に真顔になりこの場の雰囲気を変えた。



陽乃「隼人、まだ今回の重大さがわかってないみたいだね。」


葉山「何を言って…俺は怒ってるんだぞ…!」


陽乃「悪いけどアンタの怒りなんてどうでもいいことだよ。
それよりさっきの比企谷くんの選択を誤っていたらどうなってたかな?
そしてもしもこの件がうちの両親の耳に入っていたらどうなっていたと思う?」


葉山「雪ノ下家に知られたら…それは…」


陽乃「当然だけどアンタの家はうちの顧問弁護士だよね。
そこの馬鹿息子が我が家の可愛い末娘と一緒に悪事に加担しましたってことになるわけ。
そうなれば頭のいいアンタならわかるよね。
色んな人に迷惑が掛かっていたはず。会社関係は勿論親類縁者にだって示しが付かない。
そしてこれが後に隼人の保身による嘘ってことが判明したらさらに最悪だよ。」


陽乃「雪ノ下家は葉山家にその責任を取ってもらっていたはずだよ。
そうなればアンタのお父さんは弁護士としての信用ガタ落ち、
一家揃って路頭に迷うなんてことになってたかもね。
それを考えればアンタ一人が泥を被ることなんて可愛いもんじゃないの!」


陽乃「つまり隼人はこうして報いを受けることで助かったの。わかった?」


葉山くんが急にガタガタと震えだしている。

恐らく自分の行いがどこまで愚かだったのか、

そしてそのリスクが大きすぎたことを今頃になって恐怖しているようだ。

でもそれも彼の紙一重の判断で…首の皮一枚残す結果でなんとか事が済んだ。

まったく不運というか悪運が強いのか…



陽乃「隼人、今学期で学校を辞めなさい。
今回の件が大事になれば一番困るのは自分自身だってわかるよね?」


葉山「それは…わかったよ…
もう俺を助けてくれる人はいないわけか。いや、俺自身が見捨ててしまったからな。」


八幡「葉山…」


お姉さんから非情の宣告を受けた葉山くん。

でも葉山くんは気づいていない。

実は彼が八幡によって密かに助けられていたことを…

もし八幡に問われなければ彼は間違いなく雪ノ下さんたちを道連れにしていたはず。

けど八幡が選択を迫ったことによりそれを阻止していた。

そんな八幡が自分を助けてくれたことなど知らずに彼はこの先も生きていくのだろう。

そして八幡もその性格からしてこのことを決して言わない。

それにこの中でそのことに気づいているのは恐らく私とそれにお姉さんくらいなはずだ。

もし彼が気づけたとしてもそれはかなり後のことになるかもしれない。



葉山「最後にこれだけは言っておきたい。
俺は雪乃ちゃんを救いたかった。これだけは信じてくれないか…」


八幡「ああ、信じてやるよ。
皮肉だがお前がこうしてぼっちになることで雪ノ下たちを救えたんだからな。」


葉山「ハハ…本当に皮肉だ…やはり俺はキミとは友達になれないな…」


こうしてお姉さんの提案により葉山くんは、

今回のことを大事にしない代わりに私たちの前から姿を消すことでその罪は償われた。

それから葉山くんは何も言わず何処かへ歩き出した。



陽乃「ごめんね比企谷くん。最後まで面倒かけちゃって。」


八幡「いえ、気にしないでください。
結局俺は解消しただけで葉山の根本的な問題を解決できてはいませんから。」


陽乃「ううん、でもそれは隼人自身の問題だから。
これから先もどこかで同じことを繰り返すのか、
それとも今回のことで何か学んで過ちを反省するのかは隼人次第だよ。」


三浦「隼人…最後まで馬鹿なヤツなんだから…」


葉山くんの立ち去る姿を見送りながら何かを思う八幡とお姉さん。

そんな葉山くんにかつては想いを寄せていた三浦さんもひっそりと涙を浮かべていた。

こうして葉山隼人は私たちの前からいなくなった。



海老名「ところでさっきから気になってたけど、
ハッチーが必死になって守ろうとしたこのプレゼントの小箱には何が入っているのかな?」


戸塚「僕も気になってたんだ。八幡は彼女さんに何を渡すの?」


小町「ふふ~ん♪実はこれにはですねぇ…!」


八幡「待て待て!何勝手にやってんだよ!?」


小町ちゃんが面白がって、

みんなの前で八幡が用意した私へのプレゼントをみんなの前で開けてみせた。

すると中身は…!



三浦「これって…指輪…?」


沙希「しかも二つお揃いで入ってるね。」


京華「ペアリングだー!うちのパパとママとおなじだね!」


小町「そう!お兄ちゃんが彼女さんに用意したのはペアの指輪なのです!
ちなみに小町も協力したんですよ。あ、今の小町的にポイント高いかな?」


戸部「マジかよ!比企谷くんマジパネェっす!」


八幡「コラ小町!だーっ!恥ずい!だから人前で見せたくなかったのに!?」


なんと八幡が私のために用意したプレゼントは指輪だった。

それから八幡は照れ臭そうにしながら片方の指輪を取り出してみせた。

そしてそれを…



八幡「あの…これを受け取ってほしいんだが…」


少女A「これって…もしかして…婚約指輪じゃ…」


八幡「いやいや…まだそれには早いから!
そんな重たく受け止めなくてもいい。これは単なるクリスマスプレゼントだからな!」


どうやら八幡は小町ちゃんに見繕ってもらい、

クリスマスプレゼントとして私のためにペアの指輪を用意してくれたらしい。

八幡は安物だというけどとても綺麗な指輪だ。

だから葉山くんからあんなに必死になって取り戻そうとしたんだね。



八幡「俺は…こういうの初めてだからわからんが…」


少女A「う…うん…」


八幡「これからもよろしく…メリークリスマスな…」


少女A「はい…嬉しい…ありがとう…八幡…」


八幡はたどたどしくも私の左手の薬指に指輪をはめ込んでくれた。

それはまるで結婚式で新郎が新婦のために誓いの結婚指輪をはめ込む光景だ。

まだ八幡と出会ってから三ヶ月も経っていないけど…

彼と出会ってこんなに嬉しいと思った日はなかった。

ありがとう八幡。私の大事な人…



小町「オーッ!お兄ちゃんやるねぇ!小町的にポイント高いよ!」


材木座「ぬぅぅ…このリア充め!爆発しろ!」


いろは「むーっ!見せつけてくれますね!
正直嫉妬しちゃいます…けどまだ先輩のことは諦めてませんから!」


沙希「ほら、結婚式の真似事はその辺にしてさっさとサイゼに行くよ。
うちの大志が一人で席確保して待ってるんだからさ!」


八幡「大志のヤツまで来てるのか。それじゃあ行くぞ『 』!」


少女A「あ、待って八幡!
ごめんなさい。私…今回のイベントで忙しくてお返しを用意できなかったの…」


八幡「そんなこと気にすんな。俺は…一応彼氏なんだからな…」


八幡は本当に優しい。

けどこれじゃあ私の気が収まらない。

だからこう言ってあげた。



少女A「それなら…バレンタインにお返しをしたいの…」


八幡「バレンタイン…?」


少女A「うん、とびっきり甘くて美味しいチョコをプレゼントするから期待してて!」


八幡「あぁ、期待してる。さぁ、行こうぜ。」


それから八幡は私の左手を優しく掴みながら、

一足早くサイゼに向かったみんなの下へ向かった。

彼が掴んだ私の手には先ほどの指輪が光り輝いている。



サイゼに着く頃には既に日も暮れてまさに聖夜のクリスマス・イブになっていた。


これまで私には恋人なんていなかったけど今はちがう。


私の隣にはこんなにも素敵な人がいる。


この人はとても優しい人だ。けどこの人の優しさを利用する人たちもいる。


あの奉仕部の二人…


まだ彼女たちとの因縁は断ち切られていない。


近いうちに何かが起きるかもしれない。


正直まだ私たちの未来は不安だらけだ。


でも私は彼が掴んでくれたこの手を離したくはない。


彼とずっと一緒にいたいから…


これからも彼、比企谷八幡という素晴らしい人の隣にいたい。


それが私の囁かな願い。


どうかこの願いが叶えられますように…


<少女Aの場合>


end

これでこの番外編はお終いです
前のssで描ききれなかったキャラたちの補完でしたがまさか葉山にトドメを刺す結果になるとは…
正直ここまで酷くなるとは思わなかった

そんなわけでこれで終わり…ではなく…
雪乃「比企谷くんを救うことになった。」finalを近々立てようと思っています
それで最後の決着をつけます

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年02月01日 (月) 16:39:09   ID: S3a5Moij

続きはよ(ノシ 'ω')ノシ バンバン

2 :  SS好きの774さん   2016年02月02日 (火) 22:06:16   ID: aq4Z67Ov

こまぢーー!!

3 :  SS好きの774さん   2016年02月03日 (水) 13:02:36   ID: 0xq6Z6cS

小町も、結局八幡のよく理解して無いよね…

4 :  SS好きの774さん   2016年02月05日 (金) 11:29:01   ID: DPPpxIzh

葉山のクズっぷりが見事過ぎる!

5 :  SS好きの774さん   2016年02月08日 (月) 14:52:49   ID: QHvQvZ9k

もうパクりが他サイトに沸いてたわ

6 :  SS好きの774さん   2016年02月08日 (月) 16:33:59   ID: 1R7DzSId

葉山がクズすぎて草

7 :  SS好きの774さん   2016年02月08日 (月) 21:52:01   ID: cJGnYWz9

ここまで葉山に殺意湧いたの初めてだわ…

8 :  SS好きの774さん   2016年02月08日 (月) 23:01:37   ID: VFIK1UyZ

ああ、この三人もサヨナラバイバイか。。。
今まで読んできた中で一番頭にくる葉山だなこれ

9 :  SS好きの774さん   2016年02月09日 (火) 00:29:33   ID: P6lMHorV

続ききになる

10 :  SS好きの774さん   2016年02月09日 (火) 10:25:50   ID: RNwHebqh

葉山はもう、ダメだおしまいだぁ。

11 :  SS好きの774さん   2016年02月09日 (火) 18:40:54   ID: WReGOvek

やりたくて会長になった訳じゃないんだし、相模に会長やらせて現生徒会メンバーみんなは解散でいいんでないの

12 :  SS好きの774さん   2016年02月10日 (水) 20:55:08   ID: -xCMAHAs

おっ、そうだな(便乗)
しかし、新生奉仕部なんて作ったら
またギャーギャー騒ぐのだろうな
屑ノ下とビチヶ浜はよ。。。

13 :  SS好きの774さん   2016年02月12日 (金) 06:24:27   ID: eAmjXLQU

「魚に餌を与えるのではなくて、餌の捕り方を教える。」じゃなくて「飢えてる人に魚を与えるのではなくて、魚の捕り方を教える。」でしょ。

14 :  SS好きの774さん   2016年02月12日 (金) 11:13:05   ID: dareGayw

妙に話術スキルの高い葉山だな本当に…
だが今のヒッキーなら問題無い筈だ。続き待ってます。

15 :  SS好きの774さん   2016年02月12日 (金) 12:15:38   ID: fNKSfPwg

川崎はともかく
八幡からまだ何も事情を聞いてないのに葉山の言ったことをなんの疑いもなく信じる戸塚と材木座ってどうなの……

16 :  SS好きの774さん   2016年02月12日 (金) 13:39:09   ID: mUK5hZP_

※15 気にしたら負け。後で作者が文中で解説してくれるはずだから(適当)

17 :  SS好きの774さん   2016年02月12日 (金) 17:22:53   ID: U8kb8v4y

葉山は頭お花畑だね。
百合コンビと一緒にタヒんで欲しい

18 :  SS好きの774さん   2016年02月12日 (金) 21:40:20   ID: qKdzII5H

どこまでもめんどくせぇ男だな葉山。どんだけ嫉妬深いんだよ。大好きな雪乃ちゃんが八幡しか見ないから気に入らないんやろ?
共依存して野垂れ死ねや、今ならワンチャンあるで。

19 :  SS好きの774さん   2016年02月12日 (金) 21:41:17   ID: 2BcEplsU

戸塚「僕たち許さないよ!」葉山「観念するんだ!」←茶番劇にしか見えないww

20 :  SS好きの774さん   2016年02月12日 (金) 22:47:59   ID: Y3gfItDL

こういうの新しくていいなぁwwwここまで葉山がクズなのは初めて見ましたw

21 :  SS好きの774さん   2016年02月13日 (土) 03:23:11   ID: ddV-ko-A

>>1さん葉山のこと嫌いすぎでしょwww

22 :  SS好きの774さん   2016年02月13日 (土) 10:50:36   ID: JNw9CCIA

葉山はもう某相模ss以外には登場しなくていいよ

23 :  SS好きの774さん   2016年02月13日 (土) 12:29:45   ID: syxLprhX

続き気になります!
待ってます!

24 :  SS好きの774さん   2016年02月13日 (土) 14:13:54   ID: Mp-nElkG

なんか登場人物の話し方が全員上から目線なのはなんなんだwww
てか、魚に餌の取り方教える部活すげぇwww
さらに相模と雪ノ下は火と水の関係www
面識のない材木座とスカラシップの時のアレがある川崎を容易く手懐ける葉山さんパネェwww

…と、草でも生やしながら読むのがちょうどいい

25 :  SS好きの774さん   2016年02月13日 (土) 16:35:49   ID: 5G9dD7ar

小町編までは荒いなりに面白みがあったけど、相模編の生徒会転覆計画の意味不明さで破綻した感じがするわ。


26 :  SS好きの774さん   2016年02月13日 (土) 23:27:56   ID: qdbg4A10

\(^o^)/コロンビア

27 :  SS好きの774さん   2016年02月14日 (日) 15:14:01   ID: M5DMkKEq

この学校の生徒会選挙は一体どうなってんだ。

別に独自設定でもいいからちゃんと描写しておけばよかったのに。

28 :  SS好きの774さん   2016年02月15日 (月) 19:03:37   ID: a3rixxbK

ここまでクズだと一周して清々しいなwwww葉山はゲスだなwwwwwwww雪ノ下も由比ヶ浜もゴミだなwwwwwwwwww

29 :  SS好きの774さん   2016年02月16日 (火) 00:09:45   ID: CW16FTN3

もはや葉山が犯罪者になってるなwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

30 :  SS好きの774さん   2016年02月18日 (木) 16:21:01   ID: mXtJtM9o

警察呼べば終わりじゃね?

31 :  SS好きの774さん   2016年02月18日 (木) 17:16:27   ID: 7M3q6O-W

清々しいほどクズだなw
これ陽乃さんに言えば終わるんじゃね?

32 :  SS好きの774さん   2016年02月18日 (木) 17:49:48   ID: Kewf5SxA

葉山がやろうとしてる事が破綻しすぎて怖いわ。
八幡が謝ればすべてうまくいくとか
最悪、雪ノ下側に八幡が戻ったとしても自分が用無しになる事が分からないのだろうか。自分のグループが元に戻るわけでもないし

33 :  SS好きの774さん   2016年02月18日 (木) 22:11:05   ID: 8AXAQGkD

そういえば平塚静はどうするんですか?

34 :  SS好きの774さん   2016年02月19日 (金) 00:05:19   ID: 7UYAcgMR

いよいよ事態も最終局面、ホントもう黙ってろよ奉仕部と羽虫…

35 :  SS好きの774さん   2016年02月19日 (金) 02:59:05   ID: PzA70v2V

この世界での葉山は…いつかニュースにある様な事件でも犯すんじゃないかな…

36 :  SS好きの774さん   2016年02月19日 (金) 05:07:34   ID: AJs42iwl

よくもまぁこんな雪乃に夢中になれるよな、傍から見たらサイコ女やんけ。メンヘラ奉仕部をさっさと廃部しろやダメ教師

37 :  SS好きの774さん   2016年02月19日 (金) 14:05:53   ID: Wutv8VB_

原作の雪ノ下も、いくら入学式の事件の当事者であったとはいえ、初対面の八幡相手に罵倒するとか正直人間として終わってるよな

38 :  SS好きの774さん   2016年02月19日 (金) 23:38:18   ID: X107ksO2

完結お疲れ様。面白かったです。

39 :  SS好きの774さん   2016年02月20日 (土) 01:29:18   ID: Ysf8GhQH

これは流石に性格改変と言っていいほどだな。それでもこういう話大好きだわ。
俺は結局葉山と雪ノ下と由比ヶ浜が嫌いだっただけなんだなというのが分かった。
ホント原作崩壊とか気にしないでどんどんいじめて欲しいな。

40 :  SS好きの774さん   2016年02月20日 (土) 07:51:39   ID: Qe8T0Xv7

プロポーズを剥奪する小町ィ…ポイント低すぎるだろぉ!!

41 :  SS好きの774さん   2016年02月20日 (土) 16:22:06   ID: LqtAOaCo

キャラ崩壊っていうよりは
キャラの元々ある醜い部分を増幅させたって感じだね

42 :  SS好きの774さん   2016年02月20日 (土) 20:11:42   ID: aQsglOYw

これはワロタwwwwwナイス作者b

43 :  SS好きの774さん   2016年02月21日 (日) 09:11:28   ID: yA0m9Xv1

この作品のパクリが出てるとか新しいって言ってる人いるけど前から奉仕部&葉山がクズなssはあったんだよな。
pixsivとかじゃもうテンプレの一つに

44 :  SS好きの774さん   2016年02月21日 (日) 09:14:44   ID: yA0m9Xv1

なってるしな。
pixsivではこのジャンルの批判はほとんどなかったのに前作で賛否両論なのはちょっとびびった。

45 :  SS好きの774さん   2016年02月21日 (日) 12:26:49   ID: JQ99icNA

↑pixsivと、ここにいる人の平均年齢は違うから仕方ない

46 :  SS好きの774さん   2016年02月23日 (火) 12:42:41   ID: GotDDV14

俺ガイルssはpixsivの方が良い作品多いよね。

47 :  SS好きの774さん   2016年02月27日 (土) 19:29:07   ID: scgrySQd

finalまだかなー(´・ω・`)

48 :  SS好きの774さん   2016年03月28日 (月) 15:59:30   ID: aqsfTgLT

おもしろいです。葉山の転校した後の話もできたらお願いします

49 :  SS好きの774さん   2016年03月31日 (木) 09:51:53   ID: IrF9IwKf

この作品のせいで俺ガイルのキャラクターにありもしないイメージがついちゃいそうで怖いわ

50 :  SS好きの774さん   2016年04月01日 (金) 13:12:39   ID: Kxc2nsJ2

葉山潰したり、奉仕部崩壊系のssもっと増えろー!

51 :  SS好きの774さん   2016年04月02日 (土) 18:13:24   ID: 84ANZUWP

>>44

ここは精神年齢低いガキと大人()しかいないからね
賛否両論も仕方ないかと。

由比ヶ浜好きだけどこういうSSも好き。
原作と違う展開にするのはSSの醍醐味?だし

ピクシブ探してみろ
奉仕部崩壊SS、葉山クズSSなんて山ほどあるよ。
特に葉山クズ系なんていっぱいある

52 :  SS好きの774さん   2016年05月25日 (水) 02:25:00   ID: 03XaF--_

結局こんなSS書いちゃう作者と八幡以外のキャラを不幸にしろとか平気で言える読者が1番のクズだったと

53 :  SS好きの774さん   2016年07月26日 (火) 16:49:13   ID: MD_jW8Ks

何故か折本までクズ扱いされててワロタ
この作者ちゃんと原作読んだの?それとも読んでも理解できなかった残念な人なの?

54 :  SS好きの774さん   2016年07月26日 (火) 17:08:43   ID: MD_jW8Ks

葉山かわいそすぎワロタwwwwwww

55 :  SS好きの774さん   2016年08月28日 (日) 14:35:15   ID: fEH4zVjS

葉山クズすぎワロタwwwww

56 :  SS好きの774さん   2021年07月23日 (金) 03:35:45   ID: S:k-vzcu

253 :  以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします sage 2016年02月05日 (金) 05:20:09 ID: fM61aCI/o

>>248
読み直してきなよ恥ずかしすぎる、としか


ブーメラン乙

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