梨沙「ダイレクトマーケティング」あずき「大作戦!」 (32)


・的場梨沙ちゃんのSSです

・短め



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梨沙「うーん……」

晴「なに難しい顔して悩んでんだ?」

梨沙「ちょっとねー……」

晴「そんなことよりサッカーやろうぜ。どうせヒマだろ」

梨沙「ヒマじゃないって見てわからないわけ?」


晴「なにもやってないだろ」

梨沙「考えごとしてるの!」

晴「サッカーしながらでもできるだろ」

梨沙「できるわけないでしょ!」

晴「不器用だなー」


梨沙「逆に聞くけど、晴はできるわけ?」

晴「当たり前だろ。どっちに蹴ろうかとか、誰にパス回そうかとかさ……」

梨沙「全部サッカーのことじゃないの!」

晴「そりゃあサッカーしてたらサッカーのこと考えるに決まってるだろ。なに怒ってんだ?」

梨沙「あー、もういいから。アタシはしない。やりたかったら他あたって」

晴「やりたくなったらこいよー」

梨沙「はいはい……どっと疲れるわ……」


ガチャ

あずき「ただいまー、って、あれ? 梨沙ちゃんだけ?」

梨沙「お疲れ。さっきまで晴もいたけど、ボール蹴って遊んでるわ」

あずき「サッカーかー。あずきもまざろっかなっ」

梨沙「レッスン帰りなのに元気ね……」

あずき「今日は振り付けの確認がメインだったからねっ。結構元気だよ!」

梨沙「……」ジーッ

あずき「……うん? どうしたの? 梨沙ちゃん」

梨沙(あずきって小さいのに結構……というかかなり……)

あずき「も、もしかしてさっき食べたクレープがっ!?」


梨沙「ねぇ、聞きたいんだけど」

あずき「あずきも梨沙ちゃんに聞きたいんだけど、クリームとかついちゃってる? 右? それとも左?」

梨沙「クリームもカスタードもついてないってば。とにかく質問があるんだけど」

あずき「よかった~柚ちゃんに見つかっちゃったらまた笑われるとこだったよー。それで、相談大作戦? いいよいいよ~なんでも聞いちゃって!」

梨沙「……あずきってフリスクのセクシー担当じゃない?

あずき「うんうん。さすが梨沙ちゃん、わかってるね!」

梨沙「ま、アタシも負けないけど……じゃなくて、気をつけてることってある?」

あずき「気をつけてること?」


梨沙「服とかもそうだけど、やっぱりセクシーって言えばプロポーションとか魅せ方じゃない?」

あずき「そうだねっ」

梨沙「そういうのを保つために普段からこういうことしてるとか、意識してることとか」

あずき「うーん、特別なことはしてないとおもうんだけどなー」

梨沙「どんな小さいことでもいいから」

あずき「うーんうーん、なにかあるかなぁ……あっ!」

梨沙「やっぱりなにかある!?」

あずき「朝ごはんをちゃんと食べる!」


梨沙「それならアタシだって食べてるわよ! もちろん毎朝欠かさずね」

あずき「ちなみに梨沙ちゃんはパン派? ごはん派?」

梨沙「半々くらいね。ひょっとしたらパンの方が多いかも」

あずき「あずきはごはん派なんだけど、納豆も一緒に食べるの! 朝からねばねば~って!」

梨沙「納豆……」


あずき「あれ? もしかして納豆ダメ?」

梨沙「あんまり食べたことないし、自分から食べようって気にならないのよね……」

モバP(※以下表記P)「それはもったいないぞ、梨沙」にゅっ

梨沙「きゃあっ!?」

あずき「びっ、びっくりしたー……」

梨沙「き、急に出てこないでよ! ホントにびっくりしたんだからっ!」

P「ごめんごめん。納豆の話が聞こえたもんで、つい」

梨沙「ヘンタイ納豆プロデューサー!」

P「ふふ、褒め言葉じゃないか」

あずき「ヘンタイも褒め言葉なんだ……」


P「まぁそれは一旦置いといてだ。納豆はいいぞ、納豆は最高だぞ」

梨沙「いきなり出てきてなに意味不明なこと言ってんのよ!」

P「あんな素晴らしい食べものを無視して生活しているなんて信じられない。ちなみに俺も朝はごはん派です」

あずき「梨沙ちゃんもごはん派に鞍替えしておそろい大作戦だよ!」

梨沙「あずきもそっち側なの!?」

P「よし、なら納豆の話を始めようか」

梨沙「頼んでないわよ!」

P「子供は遠慮しちゃダメだよ。納豆食うか?」

梨沙「さも当然みたいに納豆差し出すのやめてくれる!?」

あずき「おいひーよー」モグモグ

梨沙「あぁ、もうっ! ツッコミきれないから!」


P「質問だけど、梨沙は納豆のなにがイヤなんだ?」

梨沙「においとネバネバするところ」

あずき「即答だね」

P「じゃあその二つがなくなったら食べられるってわけだ?」

梨沙「最近食べてないからわからないけど、味もおいしいって感じじゃなかったわ」

P「それはどうにでもなるささやかな問題だ」

あずき「あずきは普通に食べるかなー」

P「俺も基本的に付属のタレで食べてる。夜はたまにひと工夫加えるけどな」

梨沙「納豆にひと工夫って……」

P「違うものを合わせるだけでずいぶんと食べやすくなるんだぞ。今日はそれを紹介しようか」


梨沙「別に紹介しなくていいわ。そこまで納豆にこだわってるわけじゃないし」

P「……好き嫌いしてたらパパに嫌われるぞ」

梨沙「はぁ? そんなわけないでしょ」

P「言葉を間違えたな。いまでも十分魅力的な梨沙が目の前で嫌いなものを食べたらどうだ。パパは梨沙の成長を目の当たりにしてきっと惚れ直すだろうなぁ」

梨沙「……」

あずき「確かにキライの克服はオトナの階段をひとつのぼるみたいなとこあるよね!」

梨沙「そ、そんなテキトーなこと言ったって食べないものは食べないんだから!」

P「それに体調を整えるという意味でも納豆はかなり有用だ。肌荒れ対策に便通改善。栄養素はもちろん、意外とカロリーも高いから食が進まないときにもいいぞ」

梨沙「ふ、ふーん……」

P「あずきのメリハリあるスタイルは存外納豆のおかげなのかもな」

あずき「小さいころから食べてたし、なんでも毎日続けることが大事なんだよ、たぶん!」


P「もうひとり例にあげよう。みくの話になる」

P「みくは以前、納豆が食べられなかった。俺と志希で食べられるようにしたんだけど、それ以降ツッコミのキレは増し、仕事も増えた。
  極め付けは総選挙2位ときた。前回の22位からは考えられない数字だぞ? 納豆すごい」(※注:個人差があります)

P「あずきもみくも体型維持できている要因に納豆があるのかもしれない。梨沙もセクシー路線で売り出してるだろ? 食べたほうがいい、納豆は素晴らしい」

梨沙「ノリが完全に怪しい宗教勧誘のそれじゃない……」

あずき「信じるものは救われる……ホラ、梨沙ちゃんも今日から信仰しよ♪」

梨沙「……そこまで言うなら話くらいは聞くけど」

P「その言葉を待っていた! なら準備するからちょっと待っててな」

あずき「面白そうだからあずきも聞こーっと」





P「じゃあさっそく始めようか」

飛鳥「なんでボクまで……」

P「梨沙から聞いたぞ。以前泊まりのロケで出た朝食の納豆を残したらしいじゃないか」

飛鳥「いや、食べられないというわけじゃないんだ。ただボクの人生においてこの存在が必要かどうかと判断した結果、手をつけていないんだよ。食べなくたって生きていける。ただそれだけ」

梨沙「要はキライなんじゃないの!」

あずき「でも飛鳥ちゃんの気持ちわかるよ。だって豆を腐らせて納豆だからね! 不思議な食べものだよねー」

P「今回は納豆嫌いな二人に教える、簡単でおいしい食べ方だ。あずきは退屈かもしれないな」

あずき「スタンダードな食べ方が多いから、結構期待してる♪」

梨沙「聞くだけだから、聞くだけ!」


P「まず最初に、最近売られている納豆は極小粒が多い」

梨沙「極小粒?」

飛鳥「小粒よりも小さいと」

P「そう。豆自体が小さいからずっと食べやすくなってるんだ」

梨沙「あ、ホントね。パッケージに書いてあるわ」

飛鳥「……アイドル事務所らしからない光景だね」

P「スーパーなどに流通しているもののほとんどが極小粒、もしくは小粒と言い切っていい。なぜそうなったのかは諸説あるけど、とりあえずそれは置いておこう」

あずき「パックのやつしか食べたことないなー」

P「軽く話すと、大粒は食感がよくてまさに豆を食べている感じがある。個人的には買いやすく食べやすいものから納豆に慣れていって欲しいから、今回は小粒納豆で話を進めるぞ」


P「もうひとつ特徴がある。付属のタレだ」

梨沙「タレ?」

P「基本のタレはだし醤油。これ自体に味がしっかりついたものが多く、苦手な人が気にするくさみとか納豆独特の味をうまく消してくれたりする」

飛鳥「普通のタレと違うものもあるみたいだね」

P「昆布だし、かつおだし、しそ海苔や梅風味黒酢たれなんてものもあるな」

梨沙「へー、いろんな種類があるのね」

あずき「柚こしょう! 今度柚ちゃんに持っていってあげよー」

P「あと飛鳥が持ってる金のつぶシリーズは粘り気が強くて、初心者にはオススメしない。気になる味があるなら止めやしないけど」

飛鳥「……」スッ

梨沙「無言で戻したわね」


P「小粒の利点は食べやすい他に混ぜやすいというのもある。あとごはんと一緒に食べるとき、いい感じにからむところかな」

あずき「やっぱりごはんの上に納豆は大正義だよねっ」

P「ただできたてごはんの上にのせると少しにおうけどな」ピーッピーッ

梨沙「なんの音?」

P「できたみたいだな。早炊きコースがあるのを買って正解だったな」

梨沙「はぁ!?」

飛鳥「……なんで事務所に炊飯器があるのか、ボクにはまったく理解らないんだけれど」

P「これが非日常ってやつだよ」

飛鳥「馬鹿にしてる?」


P「ごはんは用意できた。納豆はここに山ほどある。さて、次からようやっと本題だ」

あずき「お手軽アレンジ大作戦、だね!」

P「紹介したいことは山ほどあるけど、今日はどの家庭にもあるものを使っての簡単アレンジをご紹介します」

梨沙「急にテンション変わったわね」

P「基本というか、誰でもわかるってなるのがネギだな」

梨沙「納豆を食べないアタシから見ても定番っていうのがわかるわ」

P「これを投入するだけでも食べたときのくさみっていうのは減る。卵黄を入れたりすればまさにってやつだな」

飛鳥「ただ定石すぎるよ。手を出そうとはまだおもえない」

P「飛鳥は厳しいな。まぁそう言うとおもって他にも用意してきているよ」


あずき「あっ、あずきもひとつ紹介していい?」

P「援軍は多いにこしたことはないからな、どうぞ?」

あずき「あずきはネギを入れた納豆に梅肉とちょっとだけごま油をかけるのが好き! さっぱりした後味でオススメ♪」

P「夏にはそれをそうめんの上に乗せたりするとさっぱりしていいな。ごま油の代わりにポン酢か麺つゆにするといい」

梨沙「冷やし中華の上に乗せてもよさそうじゃない?」

P「そうだな。試してはないけどお茶漬けにも合うとおもう。さすが呉服屋の娘だよ」

あずき「えへへ~」

飛鳥「……酸味は得意じゃない」

P「ワガママか」


梨沙「キムチを入れるといいってどこかで聞いたことあるけど?」

P「なんだ、梨沙は納豆食べる気満々じゃないか。そう、次はキムチ納豆だ」

飛鳥「ちょっと待って。この閉じきった空間で躊躇なく容器を開封するなんてどうかしているとおもわないのかい?」

P「大丈夫。これ、国産だから」

飛鳥「全く理由になっていない、納得できないよ」

P「そのまま入れてもいいんだけど、今回は刻んだものを持ってきた。この方が混ぜやすいし食べやすいから一手間かけるのをオススメするよ」

梨沙「国産キムチがいいの?」

P「いい質問だ。これは個人的な好みもあるけど、俺は断然国産だな。
  特にトップバリュのものはごはんと合うようにダシをきかせているから、タレを入れると旨味が強く出る。
  普通のキムチよりも辛みが強く出ていないから、辛いのが苦手な人でも食べられるはず。騙されたとおもって食べてみて、ほら」


モグモグ

梨沙「……ホントだ。すごい食べやすい」

飛鳥「……粘り気も控えめ。キムチの食感がこんなに新鮮に感じるなんて」

あずき「おいひ~♪ ごはん何杯でもいけちゃいそ~」

P「あずきはライブが控えてるんだから食べ過ぎるなよ」

あずき「ううっ、それはいま言わない約束ー!」

P「調味料を入れる方法だと、からしはもちろん、わさびやしょうが、ごま油にラー油。あとタバスコもかなりうまいから試してみてくれ」


P「ただ現代社会に生きる人間としてそんな時間すら惜しい! という人にはタカノフーズから出ているつゆたっぷり納豆がかなりのオススメ。
  名前通りつゆだしが多くて、納豆自体の味付けも非常にさっぱり。するするっといける納豆で、ごはんだけじゃなくそうめんや和風パスタにも合うかな。
  食欲がないとき、豆腐と一緒にかき混ぜてふわふわにしたあと、流し込むように食べるのが大好きだ。要チェック! スーパーに走れ!」

梨沙「宣伝がやりたかっただけじゃない!」





P「おはよう」

飛鳥「あぁ、おはよう」マゼマゼ

P「飛鳥もすっかりこちら側の人間だな」

飛鳥「キミのおかげだよ。ボクの心に違う色の光が灯されたんだ。フフ、新しい世界を見せてもらってばかりで感謝してもしきれないよ」

P「ずいぶん大げさだな」

飛鳥「それくらい気持ちを乗せているってことさ」

P「なんにせよ嬉しい言葉だよ。ありがとう」

飛鳥「こちらこそ」


梨沙「……」

P「梨沙、おはよう」

梨沙「……」プイッ

P「梨沙?」

梨沙「……」ツーン

P「おーい、梨沙ー?」

梨沙「……」

晴「おーっす、P」

P「あ、あぁ、おはよう、晴」

晴「どうした? 青い顔して」

P「い、いや、なんでもない……」

晴「なんか梨沙がずっと機嫌わりーんだよ。なんかしらねぇ?」

P「俺にも皆目さっぱり見当が……」

晴「ふーん。ま、じきに直るだろ」


飛鳥「……」モグモグ

P「り、梨沙ー? 梨沙さーん?」

梨沙「……」プイッ

P「な……」

飛鳥「……」


飛鳥(……ボクは理由を知っている)

飛鳥(彼女が納豆を好きじゃない理由のひとつは食べ慣れていなかったこと)

飛鳥(何故食べ慣れていないのか? 簡単だ。食卓に出ることがないから。何故出ない? 単純だ。彼女の父親が好まないから)

飛鳥(……時が解決してくれるよ。ただ面白いからボクは黙っていよう)


プロデューサーは梨沙に半日間、口を聞いてもらえなかったとさ。


おわり


とりあえず飛鳥くんの情熱的なふとももの上に納豆のせて吸いたい

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