【咲安価】京太郎「無人島漂流記!」哩&姫子「お終い!!」【R-18】 (41)

注意書き
・このスレは須賀京太郎が主人公の安価スレです。

無人島スレのEDを投下するだけのスレです。


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埋めありっす。おつありっす!
ラストの更新は2月2日に致します。
それでは


京太郎「それじゃ……壊すぞ」


黄金の石版を前にして、もう一度だけ聞き返す。


姫子「やっちゃえ、京太郎!」

哩「よか。決着ばつけよう」

煌「どーんとお願いしますね!」

仁美「こいで終わり」

美子「最後お願いね」


新道寺の皆に笑顔で言われ、決心がついた。

大きくオリハルコン製のスコップを振り上げ、勢いよく叩き付けた。


「あっ……」


それは誰の声だったろうか。

目の前で石版が砕け散り、スコップもまた役目を終えたとばかりに砕け散った。

石版が砕け、流れ出ていた黄金の液体が途切れ消える。

次第に輝きを保っていた神殿も輝きを失い、ただの廃墟と変わっていく。

ある意味で神秘的な光景を柄だけとなったスコップを持って京太郎は眺めていた。


京太郎「終わったな」

姫子「んっ」

哩「………」


全てが終わり、安堵感が体を包み込む。

少しばかり崩れ落ちそうになるも、姫子と哩が京太郎を抱きしめ支えた。


京太郎「さぁ……帰ろうか」


姫子と哩の腰に両手を回し、引き上げるとぎゅっと抱きしめ、そう言った。



―――とそんな時であった。


京太郎「うぉー!?!!?」

姫子「ひぃー、まだ何か!?」

哩「うへー………3回目は嫌やけん」

煌「……これって……崩れてません!?」

仁美「あるあるやね。ラストダンジョン崩壊!」

美子「いいから、走って!」


ゴゴゴゴと大きな音を立て、神殿が崩れていく。

7人は、躓きながらも走り、入り口から飛び出すように出た。


淡「あわわわわ、何事!?」

竜華「すっごい自身なんにゃけど!」

穏乃「ん~……やばいね!」

京太郎「うぉい!?」


飛び出せば、目の前にはボロボロになった3人が座り込んでいた。

勢いが良く、ぶつかりそうになるも何とか踏み止まった。


穏乃「山が崩れてる」

淡「なにこれー!」

京太郎「くっ、降りれないのか!?」


地震は激しさを増し、次第に立てないほどになってくる。

身の危険をひしひしと感じ、今すぐに離れたいものの身動き一つ出来ない。

どうしようかと焦る頭で考えるも、今のメンバーではこれを防いで山を降りる方法がなかった。


明華「智葉!!」

智葉「明華!!丁度よかった!」


なんとタイミングがいいのだろうか、いや……この地震の為気になったのだろう。

どちらにしろこれで助かった。


京太郎「話しは後で!今すぐ此処に居るメンバーを連れて下へ!!」


山が崩れる音に負けないほどに大きな声を張る。

明華も口を閉じしっかりと頷いてくれた。

体が重力から開放され全員が空中へと浮かんだ。


京太郎「鶴賀の皆は?」

明華「ボロボロですけど……重傷者もいません。無事です」


2時間も掛けて登ってきた山も明華の力だと数分の内に降りれた。

下を見れば、モモ達が此方に手を振っているのが見える。

明華さんの言うとおりに全員無事のようだ。


桃子「なんすか!これ!」

姫子「話はあと!はよ、逃げなきゃ!」

智美「ワハハ、出発するぞー!」

ゆみ「こんな地震の中、智美の運転か」

睦月「ううう……うむむむぶっ」

仁美「むぎゅ」

美子「あわわわわ」


地震の揺れによりハンドル操作も覚束無いのだろう。

元より下手な運転が更に下手になり、車の中は阿鼻叫喚となる。

既に誰が何処に居るのかさえ判らず、もみくちゃになる。


姫子「わはー♪」

哩「ふふ……♪」


若干二名ほど嬉しそうな人も居るが……。

姫子と哩が自分へと抱きつきいているせいで誰にも触れられない。

少しばかりモモや佳織さんに突っ込みたかったのだが……許されないらしい。


京太郎「うん?」


3人でくっ付き固まっているせいで他の人達より安定感があり、車の中でも普通に座れていた。

だからこそ、その音に気付いた。

ガンッっと大きな音が聞こえた、その音が気になり耳を澄ませば、ガリッガリッと小さな音が聞こえてくる。

なんだろうかと耳を澄ましたまま、視線を其方へと向ける。


京太郎「………」

哩「京太郎?」

姫子「どげんしたと?」

京太郎「………まじか」

哩姫『?』


理由に気付き顔を青くする。


京太郎「ドアミラーがない」

姫子「え?」


意味が判らず声を出す姫子に更に追い討ちのように事実を告げた。


京太郎「オカルトが弱まってる……木々が車を避けなくなってる!!」

哩「ふぁ!?」


石版がなくなったせいだろう。

木々が車を避けず、次第に車の車体を擦り始めている。

ガラス越しに見れば既に木々で埋め尽くされ、罅も入った。


京太郎「智美さん!」

智美「ワ、ワハハ、やばいなー」

佳織「ふぇー!?」


ガタンと大きく車体が浮き上がる、大きな石や岩に当たったのだろう。

全員が先ほどより顔が青くなる、中には泣き出す子も出てきた。

次第に車も薄く透けていき、限界を悟った。


京太郎「智美さん!」

智美「見えた!」


どうにもなら無いと判っていても声を張らずにはいられない。

皆が必死に固まり真ん中に集まっていると智美の歓喜の声が聴こえた。

全員がそれに釣られ前を向けば木々の間に光が見えた。



全員『はっ?』


車が木々を抜け、砂浜に着いた時、全員が疑問の声をあげる。

木々から飛び出した瞬間、ふわりと体が重力から開放された。

スローになる視界では皆が座った状態のまま外へと投げ出されていた。


京太郎「ぐっ!!」

姫子「っ!」

哩「はぁ……」

煌「あたたた」

仁美「げほっ」

美子「だ、大丈夫?」


砂浜に出た瞬間に完全にオカルトが消失した。

間一髪と言えば聴こえはいいが、全員が砂浜に転がり体を痛みに耐える。

よろよろと立ち上がり、周りを見渡せば呻く者は居るが大きな怪我を負った者はいないようだ。


京太郎「船へ!!」


行きと違い、山から直進で船に向かった為、目の前には船が泊まっているのが見えた。

最後とばかりに大きな声をあげ、船へと急がせる。

山と違い、揺れはそれほどえもないが、後ろの森が悲鳴をあげてるのが聞こえていた。

もたもたとしていると自分達も巻き込まれかねない。


全員が立ち上がった事を確認し一生懸命に歩く。

船を確認すると先端から蔦が下へと降りた状態であった。

咲のオカルトだろうか、どうやら咲のオカルトは一回発動すれば現実の植物と判断されるのだろう。

消えずに残されており、有り難かった。

船は前から突っ込む形で入っているため、どうやっても階段から登れない。

その為、伸ばされたはしご状の蔓を辿り、1人1人登っていく。

それを見送りながら辺りを警戒する。


オカルトが消失したせいか、筋力などの補正も消えてしまったようだ。

一人一人登るのに時間が掛かってしまう。

砂浜に亀裂が走り、砂が奈落の底に消えるかのように飲み込まれていく。


姫子「京太郎!残りは私達だけ!」

哩「はよっ!」

京太郎「最後でいいから!早く!」

姫子「でも!」

京太郎「あー……判った!」


姫子の叫びに頭を掻き毟り、決断した。

最後の最後で警戒を怠るのは嫌であったが、これ以上は限界だ。

哩と姫子を登らせ、自分もすぐに登る。


「オォォオォォォォォォォォオオオォ」

京太郎「なんだ?」

哩「あい!」


船の半ばで二人に追いついた時、何かの声が聴こえてきた。

何事かと振り向けば、森の奥から此方に走って来る巨大な生物が見える。


4Mを優に超える巨体に血と間違うほどの赤毛の毛皮……『赤カブト』が此方に迫っていた。

大きな揺れと砂浜の多数の亀裂も気にせず、駆け此方に向かっている。

一瞬呆気に取られつつも、状況を把握し舌打をする。

既にオカルトは消え去り、体力なども常人に戻っている。

更には、武器も腰につけているナイフのみで特にない。

姫子は拳銃を持っているがオカルトのアシストによって当てられていただけだ。

こんな揺れの中では当たりもしないだろう。


京太郎「上へ早く!」

姫子「んっ!」

哩「判った!」


苦渋の選択を迫られ、上へと登る事を優先する。

現在の状況では勝ち目はない、ここは逃げるが勝ちだ。


後ろから迫る赤カブトに気をやりながらも必死に登り続けるも時間が足りない。


京太郎「ちっ」


舌打をして片手でナイフを握る。

何をどうやってもあちらが追いつく方が先だ、こうなったら此方から飛び掛り戦うしかない。

そう思い、ぎゅっとナイフを握った。




姫子「あい……、なに?」

京太郎「へ?」


覚悟を決め、険しい顔で備えていると姫子が何かを指差す。

其方へと視線をやると何かが、赤カブトへ猛烈な勢いで駆け寄っていた。


その姿は、毛皮の色の性で『流星』と見間違うほどであった。

銀色の鬣を揺らし、亀裂を綺麗に飛び障害など関係無しとばかり翔けた。

そんな姿を見守っていると……最後の亀裂で大きく飛び跳ね『それが』赤カブトの鼻を噛んだ。


哩「おお……かみ?」

京太郎「あれって……っ!」


噛み付いたお蔭で正体が判る。

銀色の毛を持った1頭の大きな狼が赤カブトへと噛み付いていた。

先ほどまで此方に突進してきた赤カブトは、大きく怯み振り払おうともがく。

それを狼は意地で放さず食い付いていた。


京太郎「………」

姫子「京太郎?」

哩「どげんしたと?」

京太郎「……なんでもない」


一瞬飛び出しそうになるのを押さえ、二人を急かし登る。

ここで自分が飛び出して何になると言うのだろうか、それにあの狼が『あの時』の狼かは判らない。

後ろ髪を惹かれる思いで必死に登りきった。


京太郎「………」

姫子「……消えていくね」

哩「霧が……」


登りきり、息を整えつつも島へと振り向く。

狼がどうなったか見ようと思うも、何時の間にか船がゆっくりと後退し島から離れていた。

船から見る島は次第に形をなくし霧に包まれ姿を消えていく。


「――――――――――――――――――――――――――――――――――――」

「………」


最後の最後、狼の遠吠えが聞こえたような気がした。

狼の鳴き声など判別できないが、何処か気高く、誇らしさを感じれるものであった。

完全に見えなくなり、船を霧が包む。

何となく、姫子と哩を両手で抱き寄せると3人無言でただただ見つめ続けた。

















霧を抜けると眩しいほど輝く太陽と冷たい風が身を包み込む。

その冷たい風に身を竦ませ、3人で仲良く船内へと戻る。


船内に戻ると咲達が出迎えてくれた。

辺りを見渡すと皆が皆、服を汚し包帯を巻き痛々しい姿であった。

それに加え、何人か見ない人も居り不安が積もる。


『大丈夫、怪我はしてるけど死んだ人は居ないよ』


此方の気持ちを汲んだのだろう。

咲にそう言われほっとした。

ほっとすれば気が抜け、その場に崩れ落ち意識を失うように眠りに落ちた。

その時、誰かに声を掛けられたがボーとする頭では誰かまでは判らなかった。






























次に起きた時は真っ白い真っ白い病室であった。

船の看護室かと不思議に思い立ち上がり、外を見て息を呑む。


五月蝿い位に聴こえる車の音、立ち行く人々はお互いを気にせず歩いていった。

視線を上げれば遠くが見えないぐらいのビルの群れ、灰色の空からはチラホラと雪が舞う。

慌てて近くにあった、TVを着けると何処かで聞いたことがあるアナウンサーがニュースを読み上げる。


『秋に行方不明になっていた船が見つかり………』


原稿を読み上げるアナウンサーの上に見慣れた船が映し出され。

淡々と画像が切り替わっていった。


「………」


それを見ながら何歩か後ろへと後退しベッドに足が当たり、そのままベットへと寝転がった。


「ははは……」


渇いた笑い声が漏れる。

次第に視界がぐにゃぐにゃに歪み涙が頬を伝い落ちる。

戻ってこれた安堵に嗚咽を漏らし、ただただ泣き腫らした。




暫く泣いた後にナースコールを押し人を呼ぶ。

あれから一体どうなったのか、姫子に哩……煌さん達は……。

今すぐに駆け出し探したいのをぐっと堪えた。

ここで行き違いなると困る上に彼女達が此処に居るかも判らない。


そんな事を思い、待っていると誰かが駆けて来る音が聞こえる。

看護婦さんかと思ったが、すぐに首を振り否定し笑顔になる。

少しふら付くも向かって来る人を出迎える為に立ち上がり待ち構えた。

なんとなく判る。次に来るであろう人物が


「京太郎ッ!!」

「姫子ー!かくっなー!!」

「やれやれですね」

「いつもんこと」

「しょうがないね」


ガラっと扉が開き、茶色い髪を揺らし飛び込んできた『姫子』を受け止める。

次に呆れた表情の『哩』に、にこやかに笑う『煌』、のんびりとした表情の『仁美』、それを嬉しそうに見守る『美子』。

新道寺の面々を笑顔で出迎えた。


『おかえり!!』

「ただいま」


姫子と哩を抱きしめ、煌達に見守られながら笑顔で返した。


~島脱出ED・その2 -新たな日常の始まり 新道寺ED- ~



































































~エピローグ+哩姫ED~



「お疲れ様です!先輩!」

「おぅ、ほどほどにな」


帰宅しようとすると後輩に声を掛けられた。

高校3年で、ようやく入った男子部員でよく可愛がっている子だ。

まだ雑用で残るらしい後輩に無理をしないように言った後、扉に手を掛け、後ろを振り向いた。


「咲、和……あとタコス。後輩いじめんなよ」

「い、いじめてないよ!?」

「この位は可愛がりです。リーチ」

「部長に対して、なんていい草!明日は雑用三昧だじぇ」


席に座り麻雀を打っている咲達に声を掛ける。

いじめてないと言うが、同席したマホが魂を口から出すほどに真っ白に燃え尽きている。

暗くなる前に帰れよ、と最後に声を掛け手を振って扉を閉めた。






「はぁ……まだ寒いな」


校門を出て歩いていると寒さに身が竦む。

ぎゅっと彼女から貰ったマフラーを堪能するかのように口元に引き寄せる。

暫く温まると、はぁ~と深い息を外へ押し出し足を動かす。


通学路を通り、幾多のお店の前を通り過ぎる。

『1年前にあった。船の事故で――』


「1年か」


お店から流れるニュースの声に耳を傾け、深い感傷を抱く。

島から脱出して1年もの年月が経っている。


(あの時は、大変だったな)


あの時の事を思い出し苦笑した。

何があったのかと何度も何度も警察に事情聴取を受け、2年生に上がる為に補修を受けテストをやって。

気付けば、保護された東京で皆と一ヶ月もの間、過ごしていた。


(別れる時は大変だったな)


1ヶ月の検査と事情聴取も終え、皆がそれぞれの家に戻る時を思い出した。


『帰ろ♪』

『いや、姫子?』

『どげんしたと……京太郎』

『哩もか!』


二人に手を取られ、引っ張られあたふたと慌てる。

二人は気付いてないのか、きょとんとお互いに首を傾げた。

そんな京太郎と哩姫の二人を二人の両親が苦笑しつつ微妙そうな表情で見守る。


『俺は着いていけない』

『えっ?』

『……ぐすん』


二人を引き離し、事実を告げると姫子は呆気に取られ、哩は泣いた。

その直後、二人の父親が怖い顔をしたがどうしようもないだろと思う。



『俺の家……長野だから』

『『あっ』』


着いて行けない事実を告げると二人は思いだしたかのように罰悪そうに俯いた。

流石に学校もあり、すぐに引越しという事も出来ない。

連休中に会いにいくも距離と学生という身分もあり、一年に一回程度になる。


『いやー!!』

『離さなか』

『ちょっと!?』


すっぽんのように引き離さない二人をなだめ、放すのには苦労をした。

結局の所、ネットを使い1日に1回、顔を合わそうと決めなんとか収める。


(くっくっく……あの時は本当にな)


思わず笑い声が漏れる。

最初は、無人島と比べて出会えず触れ合えず、不安と不満が募る毎日であった。

冷静になり、日常に戻れば自分の事を忘れるのではないか、飽きられるとではと考えていた。

だが、実際はそんなの何処吹く風、短い間とは言え、二人に会えば会えない時を埋めるかのように甘えられる。

1年経とうが二人との絆は未だに途切れない。


「ただいま」


そんな事を思い出していると家に着く、扉を空け中に入ると家の中を寂しく声が響く。

リビングを覗くと誰も居ない様だ。

窓際でカピーがぐっすりと寝ているだけであった。

手を洗い、部屋に戻ると普段着に着替え、リビングへと戻る。

その後は、いつものように過ごす。

ご飯を作り、食べ、お風呂に入り、のんびりと過ごした。

















「はぁ~……寒いな」


自分の部屋で窓を開き、ベランダでそんな事を思う。

空を見上げるも見える星は数が少なく、それほど綺麗に思えなかった。


「京太郎♪」

「んっ」


声を掛けられ、彼女――『姫子』を抱き寄せる。

毛布に包まり二人で暖めあうと直ぐに暑くなった。


「ぬっか♪」

「ぬくいな」


姫子の腰へと腕を回し抱きよせると姫子が肩に頭を置く。

それを愛おしく思い片手を伸ばし撫でた。


「む~私も混ぜろ」

「はいはい」


そんな事をしていると後ろから声を掛けられる。

毛布を開ければ、そこに『哩』がすっぽりと収まった。


「ぬっかやね」

「ぬっかです」

「ははは……」


幸せそうにふやける二人に笑い声が漏れる。

なんだろうか、この幸せな空間は。


「幸せ」

「私も!」

「当たり前」


口に出せば二人が肯定してくれた。

そこからは今日はどうだったと3人で話し合う。

新しい後輩はどうか、大学での生活などなど……つまらない事でもお互いに報告をしあう。

そう――二人は高校を卒業すると長野の大学を選択し、須賀家に住み込むこととなった。


「あの時は驚いたな」

「ドッキリ成功!」

「むふふ……あん時はよかね♪」


扉を開いたら二人が居るのだ。

幻かと頬を抓り確認したほどに驚いた。

頬を抓り確認するも二人は消えず、後ろに居た母と父親へと視線を向ける。

父親は新聞紙に顔を隠すも肩が振るえ笑っているのが判った。

母親は嬉しそうに微笑んでいた。


現実であると理解し、二人を抱きしめる。

驚いた事より、嬉しさの方が上回り強く強く涙しながら抱きしめた。


「嬉しかったからしょうがない」

「私も!」

「………ねぇ、京太郎?」

「うん?」


3人で話していると哩が顔を赤くしもじもじと動く。


「あん時のように抱きしめて?」


何だろうかと視線を合わせ見ると上目使いで言われた。

断る理由もないので強く強く抱きしめる。


「っ~~~~~はふ」


すると哩は嬉しそうに歓喜し幸せそうに幸せそうに笑顔になった。

1人がこうなればもう1人が言い出すのも当たり前だろう。

姫子がすぐにはしゃぐ様に抱きついてきて迫る。


「はいはい」

「わふっ♪」


哩同様強く抱きしめると姫子は嬉しそうに頬を自分の頬にすり寄せてくる。

それがくすぐったくも愛おしく、とても嬉しい。


「あっ……流れ星!」


そんな事をしていると姫子が星々を飾る夜空を指差す。

釣られて見ると確かに流れ星が流れていた。

無人島の時と比べてたった一つの流れ星。

それでもあの時見た事を思い出し懐かしくなった。


「何か願う?」

「いや、いいかな」

「いらなか?」

「あぁ……願わなくてもずっとずっと二人とは一緒だ」


そう、何があろうと壁にぶつかろうと二人とは離れない自信がある。

星に願わずとも十分に幸せであった。


『『京太郎!』』


二人の嬉しそうな声に釣られ笑顔をになる。

今日も幸せなまま1日が終わっていった。


~エピローグ・哩姫ED カンッ!~

これで正真正銘お終いです。
なんとか、なんとか終わらす事が出来ました!
参加くださった方、見てくださった方……ありがとうございました!

なんというか新道寺というか哩姫ルートになってしまいましたが、満足です。
哩と姫子は可愛い!
この一年を通して一番好きな二人組みになりましたね。

あとは……方言(笑)かな。
周りには佐賀出身の人も居らず、独学で学ぶ状況。
未だに判らない事だらけです、でも楽しかったな……佐賀の人が見たら変な方言だったろうけど……。

余談:最後の狼は、草原に何度か足を運んでいると交流があり、最後連れて行く事も出来たり。
ルフクトゥと共闘してたら最後京太郎が攻撃を受けず彼が全てを受け止め自爆まがいで笑いながら消えて行きます。

その他にもいろいろと……。

2~3日程しましたら此方も落しますので感想やらどうぞ~

後は、手紙はハーメルンに移し、小ネタはのんびりとやっていきます。
それではまた何処かで!

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