カレン「駄菓子屋さんデス!」ココノツ(外国人のお客さん!?) (41)

※きんいろモザイク×だがしかし クロスss

※ストーリーはきんいろモザイク寄り
※だがしかしの方はアニメしか観てないにわかです キャラがおかしかったらごめんなさい

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1453651654

陽子「なあカレン、私たちは海釣りに来たんだよな?」

カレン「そうデスね」

陽子「なのにさっきから歩いても歩いても、田んぼしか見えないのはどうしてなの?」

カレン「バス停を一つ手前で降りちゃったからデスね」

アリス「じゃあ、バス停で次のバスを待たなかったのはどうしてなの?」

カレン「ここが田舎町で、次のバスが2時間後だったからデスね」


綾「はぁ、だから今日は家でゆっくりしたいって言ったのよ……」

カレン「もう、みんなテンション低いデスよー! シノを見習うデース!」

忍「汗できらめく金髪……いくら見ても見飽きないです!」フフフ

陽子「金髪じゃなくて海が見たいよー! うみうみうみ!」

カレン「海が見えないなら空を見ればいいジャナイ!」

カレン「ほら! この突き抜けるようなさわやかな空!」

ドンヨリ

アリス「すっごい曇ってるんだけど」

綾「雨降りそうなんだけど」

陽子「2時間かけてここまで来てさ……雨降ったらさすがに心折れるよ」

カレン「大丈夫デス! こう見えても、イギリスでは『晴れ女(サニー・ガール)カレン』と言われてマシタ!」

陽子「ホントかー?」


ポツ ポツ

ポツポツポツポツ

ザァー


陽子「おいおいおい! フラグ回収はえーよ!」

カレン「Oh……」

アリス「と、とにかくどこかで雨宿りしないと!」

カレン「あそこにちょうどお店屋さんがあるデス! 入りマショー!」

~シカダ駄菓子~


ガララ

カレン「はぁ……はぁ……」ポタポタ

綾「一体どこの誰よ……『サニー・ガール』なんて自称してたのは」ポタポタ

アリス「そもそも英語に『晴れ女』とか『雨男』みたいな言葉はないからね……サニーガールも大ウソだよ……」ポタポタ

忍「うう……服が水を吸ってしまいました……」ポタポタ

陽子「夏だからまだマシなものの……なかなかひどい目にあったな……」ポタポタ


ココノツ(お、女の子がいっぱい入ってきた……)

ココノツ(しかも服が濡れて下着が……//)

ほたる「あら……」

ほたる「あなたたちは……」

忍「すみません、急に雨が降ってきたのでちょっとお邪魔しようと……」

ほたる「こんなどしゃぶりの中駄菓子屋に来るなんて、さてはよっぽどの駄菓子好きね!?」ズイッ

陽子「いや、だから急に雨に降られて……」

ほたる「その心意気やよし! 勝負してみましょう!」ゴゴゴゴ

陽子「ええっ! 何この人話通じない!」


ココノツ「ちょっとほたるさん、赤の他人に迷惑かけるのは……」

カレン「フフフ……受けて立ちマショウ」

ココノツ「えっ」

カレン「イギリスでは『駄菓子クイーン』と呼ばれたこの私に、付いてこれるものならネー!」ゴゴゴゴ

陽子「わーノッちゃったよ」

ココノツ(ノリがいいんだな……さすが外国人)

綾「駄菓子の勝負って何なのかしら……」

陽子「さぁ……」


ほたる「じゃあ、あなたの駄菓子選びの『センス』……計らせてもらうわ」

ほたる「質問! この雨の日に食べるとしたら……何の駄菓子がピッタリだと思う?」

陽子「雨の日にぴったりな駄菓子……」

綾「なかなか難しい質問ね……」

カレン「考えるまでもないデス、簡単な質問デスね」

ほたる「なかなかの自信ね」

カレン「雨の日と言えば……体の温まるラーメン一択デス!」

陽子「駄菓子って言ってるだろ話聞けよ!」


ほたる「ふーん……ブタメン派ってわけね、なるほど」

陽子「あ、いい感じに曲解してくれた」

カレン「ブタ……メン?」キョトン

陽子「分かってないし! まさかブタメン知らないの!?」

ほたる「でもブタメンは色々と味に種類があるわ……その中でどの味をチョイスするかもセンスが分かれるところよ」

ほたる「さあ、あなたの『駄菓子センス』……とくと見させてもらうわ」

カレン「えーと……」

カレン「じゃあ私はこの、『チキン味』を選ぶデス!」

陽子「……え、チキンなんてあったっけ?」


『ベビースターラーメン(チキン味)』

ほたる「!?」

陽子「ブタメンって言ってるだろ!」

カレン「あれ?」

ほたる(こ、これはどういうことなの……ブタメンなのにベビースターラーメン……)

ほたる(斜め上のセンスだわ!)クラクラ

カレン「フフフ……何だかよく分かりマセンけど効いてマスね」ニヤリ

陽子「ルールが全然分からんのだけど」


ほたる「とはいえ、ベビースターラーメンには色々な食べ方があるわ」

陽子「ああ、ちまちま少しずつ食べたり、一気にほお張ったりね」

ほたる「一つ一つの麺が小さくカットされているから、どうしてもこぼしやすいのが難点だけど……あなたはどうやって食すのかしら?」

カレン「愚問デスね……ラーメンと言えば食べ方はひとつ」

カレン「お湯を入れるデース!」コポコポコポ

ほたる「!?」

陽子「何も分かってねー! もはや駄菓子への冒涜だよ!」

ほたる「……!」

ほたる「初手邪道食い……この子できるっ!」ガーン

陽子「あ、上級者的には一周回って逆にアリな感じ?」


ほたる「雨が降って少し冷えた体には温かいものが嬉しい……だけど傘を差して歩きながら食べることを考えると、両手を使うブタメンはダメ……」

ほたる「麺が短くて箸でつかめないベビースター邪道食いの短所が、この場合では片手のみで口に流し込める、恩恵となる……!」

ほたる「実に考え込まれたチョイスだわ!」

陽子「すっげー好意的な解釈」

綾「意外といい人ね」


陽子「いや、でも長年親しんできたベビースターラーメンにそんな食べ方があったとは知らなかった……」

陽子「意外とカレンにはすごい発想力があるのかも……」

カレン「そろそろいいデスかね……」

カレン「いただきまーす!」ムシャムシャゴクゴク

カレン「……まずっ!」

陽子「マズいのかよ!」


ほたる「そう、このベビースター邪道食いの最大の欠点は……『ぶっちゃけ不味い』、ということね」

陽子「それ致命的だよね!?」

カレン「うぅ……」

カレン「負けたデース……」ガクッ

陽子「負けなの?」

ほたる「ふぅ……なかなか危ない勝負だったわ」

陽子「アンタ解説しかしてないよね」


カレン「すみませんデシタ……」

カレン「実は私、『駄菓子クイーン』と呼ばれたことなんてないんデス」

カレン「それどころか駄菓子屋さんに入ったのも今日が初めてで……」

陽子「それでよく勝負に乗ったな!」

ほたる「いいのよ、駄菓子を愛する心にキャリアの長さは関係ないわ!」

カレン「オネーサン……」ジーン

カレン「私、ここに来て駄菓子の懐の深さに触れた気がするデス……!」

ほたる「聞いた? ココノツ君」

ほたる「あなたもこの子を見習って駄菓子屋を継ぐべきよ」

ココノツ「どこをどう見習うと駄菓子屋を継ぐことになるんですか」


ココノツ「というかほたるさん、あんまり他のお客さんにウザ絡みしないでくださいよ」

ほたる「私は駄菓子愛のある人と熱く語りたいだけよ」

ココノツ「もう、数少ない一見さんなんだから全力を挙げてリピーターにしないと……」

陽子「微妙に生々しい話だな……」

ココノツ「みなさんは地元の人じゃないようですけど……旅行か何かで来たんですか?」

陽子「この町で海釣りをしにきたんだよ」

ココノツ「ああ、確かに海は近いですからね、ここ」

カレン「それで、釣り場まで行く途中で雨に降られてここに来たんデス」

ココノツ「うーん、でも今日はしばらく降り続けそうですよ」

陽子「マジか……」

ほたる「いいじゃない、今日は『駄菓子を食べる日』にしろって運命が言ってるのよ」

陽子「2時間かけてやって来た町で駄菓子食って帰るって悲惨過ぎない?」

ほたる「いいわ、ここで会ったのも何かの縁……」

ほたる「雨がやむまでの間、みんなにうんちくを披露しつつ駄菓子をごちそうしてあげましょう」

アリス「いいの?」

カレン「オネーサン太っ腹デース!」

ほたる「ふふふ……駄菓子屋店員の卵たちのためなら何のその、よ」

陽子「ありがとう……でも勝手に将来の職業を決めないでくれ」



カレン「どれにしまショウかね~……あっ」

カレン「これ、『チャッパチャプス』デスよね!」

アリス「ホントだ! こんなところでも売ってるんだね!」

陽子「へぇ、イギリスでも『チュッパチャップス』は売ってたんだな」

カレン「それはもう、街中に自販機とか置いてマシタし」

陽子「へぇー」

カレン「こんなヘンピな田舎町にまで勢力を広げる『チャッパチャプス』……恐るべしデス」

陽子「辺ぴ言うな失礼だろ」

綾「っていうか……『チュッパチャプス』じゃないの?」

陽子「え?」


綾「カレンはさっきから『チャッ↑パチャ↓プス』って言ってるわよね?」

カレン「だってそういう名前デスよね?」

陽子「違うよ2人とも、『チュッ→パチャッ↑プス』だよ」

アリス「えぇ……『チャッ↑パチャ↓プス』だよね?」

アリス「シノはどう思う?」

忍「えっ! えーと……チョコボールはやっぱりピーナッツですよね」

陽子「ダメだ話聞いてねぇ」

カレン「オネーサン! 実際のところはどうなんデスか!」

ほたる「ふふふ、お答えするわ」

ほたる「日本では『チュッパチャプス』が正式な商品名よ!」

綾「ほらー!」

カレン「むむ! 納得いかないデース!」


ほたる「だけど『チャッパチャプス』も、間違いではないわ!」

アリス「というと?」

ほたる「地域によって発音が違う……ワールドワイドだからこその特徴を持つ、それが『チュッパチャプス』よ!」バーン

陽子(なんでやたらポーズ決めたがるのかなこの人)

ほたる「『チュッパチャプス』は……1958年にスペインのバルセロナで誕生した棒付きキャンディ」

ほたる「その後に東南アジア、そしてアメリカ、アジアとその勢力を広げ、今では世界的に有名なお菓子となっているわね!」

陽子「猛然と語り始めた……」


ほたる「商品名をアルファベットで書くと『Chupa Chups』……これは世界共通ね」

ほたる「だけど英語圏では『チャッパチャプス』と発音するのに対して……」

ほたる「本家スペインでは『チュッパチュプス』と発音するのよ! これは英語とスペイン語の発音規則の違いね!」


ほたる「ところが日本での発音は、英語ともスペイン語とも違う『チュッパチャプス』」

ほたる「日本で輸入販売している森永製菓が正式名称をそう決めたのよ」

陽子「なんで?」

ほたる「さあ?」

陽子「さあって……」

ほたる「大事なのはどう発音するかじゃないわ!」

ほたる「どうしてチュッパチャプスが世界中で愛されるようになったのか……まずは世界を席巻したこのフォルムをとくと眺めなさい!」


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ほたる「どう!?」

陽子「どうって言われても」

忍「丸いキャンディに棒が付いたシンプルな形状ですね」

陽子「シンプルだけど……なんでこれが世界的に売れるようになったのかな?」

ほたる「今でこそ棒付きキャンディは珍しくないけど、当時のスペインでは画期的だったようね」

綾「画期的?」


ほたる「昔は『一度口に入れたキャンディをまた外に出す』子どもが多かった……アメが甘すぎるだとか、長い間味わいたいとかの理由でね」

陽子「き、汚いな……」

ほたる「そう、手がベタベタになるし、何より衛生的に悪い」

ほたる「そこで開発されたチュッパチャプスは『舐めている途中で取り出しても、手もアメも汚れない』ことで人気が出たのよ」

ほたる「消費者のニーズをつかむそのアイディア……素晴らしいわね」


アリス「棒をつけるというシンプルで斬新な発想が、世界に広まる理由になったんだね!」

ほたる「と、思うでしょ!? 実はそれだけじゃないのよ! チュッパチャプスの秘密は!」ズイー

アリス「近い近い、顔近いよ」

アリス(グイグイくるなあ、この人……)

ほたる「ねぇ、金髪のお嬢ちゃん」

忍「何でしょうか?」

陽子「鏡見てみ、頭真っ黒だから」

ほたる「チュッパチャプスの包み紙に描いてあるこのロゴ、実はある有名な画家がデザインしたものなんだけど、誰だかわかるかしら?」

忍「えーと……」


忍「

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陽子「唐突にわけわからんボケを入れるのはやめなさい」


ほたる「ヒントは、チュッパチャプスの発売が1958年だということ……その当時活躍していた画家は……」

陽子「全然わからん……」

カレン「スペイン出身でその時代の画家と言えば……『パブロ・ピカソ』デスか?」

ほたる「うーん、惜しいわね! ピカソがデザインしたという都市伝説もあるんだけど、実はそうじゃないの」

ほたる「正解は『ダリ』ね!」

陽子「誰それ?」


カレン「『サルバドール・ダリ』……同じくスペイン出身、シュールレアリスムの画家デスね!」

カレン「"The Persistence of Memory"……時計や鳥がとけたチーズみたいにグニャグニャになってる絵が有名デス」

陽子「な、なんだお前……本当にカレンか?」

カレン「え? これくらい一般常識だと思いますケドー」ファサー

陽子「くぅ……腹立つ!」

ほたる「ロゴデザインを当時の大物画家に頼んだこと……それはオシャレな形状と相まって、子どもだけでなく大人の興味も引くようになった」

ほたる「それだけじゃないわ。アメリカの刑事ドラマで、禁煙中の主人公にタバコの代わりとして愛用させたこと」

ほたる「それから、禁煙中の有名サッカー選手がベンチでチュッパチャプスを舐めるのが放送され、それが話題になったこと」

ほたる「これらの例に終わらず、チュッパチャプスは積極的にメディアに出現することで、高い知名度と一定の話題性を保ち続けた」

ほたる「某海賊マンガの料理人が、アメリカのアニメではタバコの代わりにチュッパチャプス風のキャンディを咥えている、というのも有名な話ね」

ほたる「そうしてチュッパチャプスは『子どものお菓子』という域を飛び出して幅広い世代に愛されるお菓子になったの」

ほたる「ここまで来るともはや駄菓子を超えた駄菓子、と言っていいわね」

陽子(そもそもチュッパチャプスって駄菓子なのかな?)


カレン「……」キラキラ

カレン「オネーサンすごいデス! 駄菓子マイスターデスね!」

ほたる「ふふふ、そうでしょう」ドヤー

ほたる「じゃあ次は実食編ね!」


ほたる「まず、一人ひとつずつ好きな味のチュッパチャプスを手に取るのよ」

綾「あのー」

ほたる「どうかした?」

カレン「今オネーサンの持ってるのが最後のチャッパチャプスデス」

ほたる「あら」

ほたる「ちょっとココノツ君、在庫は無いの?」

ココノツ「あー、すみません……今ウチにあるのはそれが最後ですね」

ほたる「もう、そんな調子じゃ立派な駄菓子屋になれないわよ?」

ココノツ「だから駄菓子屋自体ならないですから……しかも発注は父さんの仕事だし」

ほたる「ぶーぶー」

陽子「子どもか!」


ココノツ「あのですね、実はチュッパチャプスってウチではあんまり売れないんですよ」

ココノツ「だから発注もあんまりしないんです」

アリス「どうして売れないのかな?」

ココノツ「多分、ウチの客層が子どもばっかりで……その子供たちにはチュッパチャプスは値段が高すぎるんじゃないかと」

陽子「まあ確かに……一つ40円は高いかもな」


ほたる「そうね……宣伝に力を入れたこと、それはチュッパチャプスを世界に知らしめ、大人にも客層を広げることになり、商業的には『成功』したと言えるわ」

ほたる「でも高額な宣伝費のために、チュッパチャプスの値段も高額になり……本来の客層である子どもには手の届きにくい存在となってしまった」

ほたる「そんなことを考えながらチュッパチャプスを味わうと……」バリバリ

ほたる「何だか大人の味に思えてくるわね……」レロレロ

陽子「さりげなく最後の一つを食っちまったよこの人」

ほたる「大丈夫、駄菓子は他にもたくさんあるわ」

ほたる「大人ついでに、次はこれで『酒盛り』と洒落込みましょう」


『生いきビール』


カレン「ビール?」

ココノツ「げっ! それは……」


綾「わ、私たち未成年だからそういうのはちょっと……」

ほたる「大丈夫! アルコールは含まれてないわ、ただのジュースよ」

カレン「ちぇ、ジュースデスか……」

陽子「残念がるな」

ほたる「おつまみは各自適当に選ぶといいわ」

忍「では私は『おやつカルパス』にします」

アリス「わたしは『きなこ棒』をもらうよ!」

カレン「私は『うまい棒やきとり味』にするデス!」

カレン「ビール片手にやきとり……名付けて駄菓子の『居酒屋(リーマンズ・サンクチュアリ)コンボ』デース!」

陽子「ネーミングださいよ!」


ココノツ「いや、あのほたるさん……『生いきビール』はやめた方がいいかと」

ほたる「あら、どうして?」

ココノツ「だってこの前それ飲んで酔っ払ってたし……」

ほたる「ふふ、ジュースで酔っぱらうわけないじゃない! おかしなことを言うのね、おかしだけに!」

ココノツ「覚えてないんですか……っていうかよくそんな手垢のついたギャグ言えますね」

カランカラン

コポコポコポコポ

ほたる「みんな、グラスは持ったわね?」

カレン「ウェーイ!」

ココノツ「あの、本当に十分気を付けてくださいよ? ほたるさん……」

ほたる「まだ言ってるの? ただのジュースだってこの前飲んで分かったでしょ」

ココノツ「ただのジュースで酔っぱらう人がいるから言ってるんでしょ!」

ほたる「? まあいいわ」

ほたる「今日の縁が『日本一なが~いチョコ』のように末永くありますように……乾杯!」

「カンパーイ!」

陽子「何その音頭」

アリス「んく……んく……んく……」

アリス「ぷはーっ! おいしいね、このジュース」

忍「きれいな金色なのが、また乙ですね……」

綾「リンゴとパインの中間みたいな味ね、本物のビールもこんな味なのかしら?」

カレン「全然違うデスよ、本物はもっと苦いデース!」

陽子「おい、なぜ知っている」

カレン「フフフ、イギリスでは16歳から食事と一緒にならビールを飲んでいいんデスよ!」

陽子「マジか! 初耳!」


ほたる「……」

ココノツ「あの、ほたるさん……大丈夫ですか? 酔ってないですか?」

ほたる「だいじょうぶぅ……よっぱらってなんかないわよぉ~」トローン

陽子「!?」

ココノツ「やっぱりダメだったー!」

アリス「お菓子ともよく合うね」サクサク

綾「本当、『キャベツ太郎』と合わせるとなかなかいけるわ」サクサク

ほたる「でっしょ~? 分かってるぅ~!」

ダキッ

アリス「ひゃっ!」

綾「きゃあっ!?」

ほたる「もっと食べなさいよぉ~! 私のおごりよぉ~!//」フラフラ

アリス「はわわ……//」

綾「ひ、ひっつかないでくださいよ……///」

陽子「めっちゃ酔っぱらってる! ジュースなのになんで!?」

ココノツ「ど、どうしよう……」


カレン「……」

カレン「オネーサァン! アヤヤだけじゃなくてわたしにもからんでくらさいよぉ~//」ベロベロ

陽子「お前もかい!」

ほたる「あなた~なかなかいけるくちじゃないのぉ//」ベロベロ

カレン「オネーサンさいこぉ~! だがしくいーんれすよ~!//」グデングデン

陽子「だ、大丈夫かこいつら……」

ほたる「おぉ~! だがしぎょうかいのてんかとってやるわよぉ~!//」

カレン「ぜったいれすよぉ~?//」

ほたる「おぉ~!」

カレン「ちかいのキスれ~す!//」

ブチュー

ほたる「んっ……//」

陽子「キスしたぁ!」

ココノツ「おぉ……//」


カレン「なんれすかよーこぉ、しっとしてるれすかぁ~?//」

陽子「いや、そういうわけでは」

ブチュー

陽子「むごごっ!?」

綾「あああああああああ!?」

陽子「ぷはっ……お、お前キス魔かよ!」

カレン「LOVE & PEACEれ~す//」ヘラヘラ

綾「そ……そんな……」フルフル

綾「うわあああああん! そんなのってないわよおおお!」ポロポロ

陽子「ど、どうした綾!?」

綾「だってええ! よーこのはじめてがああ!///」ポロポロ

陽子「……もしかして綾も酔っちゃった?」

カレン「じゃああややにかんせつ first kiss するれ~す//」

ブチュー

綾「んんっ……んんんぅ……////」ポロポロ

陽子「うわぁ……」

ココナツ「お、おぉ……//」

アリス「……ぷっ」

アリス「HAHAHAHAHAHAHAHA!//」キャッキャッ

陽子「お前もか! 笑い上戸か!」


陽子「し、しの……お前は無事だよな?」

忍「……」

忍「Oh, that's funny!//」hahaha

陽子「英語!?」


ほたる「ココノツくぅ~ん、いいかげんダガシや継ぎなさいよぉ//」

ココノツ「いや、だから継がないですって……」

カレン「なにをぉ~オネーサンの言うことがきけないれすか~?//」

カレン「だいたいなんれすか、このぶかぶかのボリュームネック……かっこいいとおもってるんれすかぁ? しかも半そでぇ//」

ココノツ「いや、これは……」

陽子「悪絡みすんな!」

アリス「HAHAHAHAHAHAHAHA!//」バンバン

忍「So happy....//」ポワーン

陽子「み、みんな目を覚ましてくれ……!」

綾「よーこ……キスして……////」ンー

陽子「はああ!? お、お前もキス魔か?」

綾「キスぅ……ねえキスぅ……////」ンー

陽子「は、離れろって……」

綾「う……」ウルウル

綾「うわああああん! よーこがキスしてくれないいい!//」ポロポロ

陽子「泣くなよ!」

カレン「じゃあわたしがしてあげるれーす//」

ブチュー

綾「んぅう……んんっ……////」ポロポロ

陽子「な、なんだこれ……」

アリス「HAHAHAHAHAHAHA!//」バンバン

忍「My dear...//」ポワーン


ほたる「ほらあ、あなたももっと飲みなさいよぉ~//」

カレン「よーこももっときすするれ~す//」

綾「キスしてよ! キス!////」ポロポロ

アリス「HAHAHAHAHAHA!//」バンバン

忍「C'mon everybody!//」

陽子「く……くるな……」

陽子「うわあああああ!」

ドタドタ バタバタ

ココノツ「おぉ……//」

────

カレン「……ん」

カレン「ふわぁ……いつの間に寝てたんデショウ?」

カレン「えーと、みんなは?」キョロキョロ

忍「」

アリス「」

綾「」

ほたる「」

カレン「うわっ! みんなどうしたんデスか!?」


陽子「あー……起きた?」

カレン「……何だか記憶があいまいなんデスが、何があったんデシタっけ?」

陽子「まあ色々ね……」ゲッソリ

ココノツ「あはは……」

カレン「?」

ココノツ「あ、外はもう雨も止んだみたいですよ」

陽子「本当?」

ココノツ「でももう夕方になっちゃってますけどね……」

カレン「夕方……?」


カレン「た、大変デス! 急がないと帰りのバスの時間が!」

陽子「そういや2時間に1本だったっけ!」

陽子「おーい! みんな起きろー!」

綾「うーん……」

アリス「ふわあ……どうしたの?」

陽子「急がないと予定のバスに乗れないぞ!」


ほたる「……頭が痛いわ、二日酔いかしら」ズキズキ

ココノツ「すっころんで頭打ってたのでそのせいかと」

忍「……zzz」

カレン「大変デス! シノが目を覚ましマセン!」

ほたる「そういうときは『わたパチ』を口の中に放り込めばいいのよ」

陽子「なんでも駄菓子につなげるなこの人……」

ほたる「ふふふ……いつか駄菓子で世界を救ってみせるわ」

カレン「カッコイイデース!」

陽子「かっこいいのかそれ?」


アリス「シノ! 目を覚まして!」

ギュッギュッ

パチパチパチパチ

忍「……!?」ガバッ

アリス「目を覚ましたよ!」

陽子「よし、帰るぞ!」

カレン「じゃあオネーサン、ありがとうゴジャイマシタ!」

アリス「楽しかったです!」

綾「お騒がせしました!」

陽子「ありがとー!」

忍「またどこかで!」

バタバタバタ


ほたる「行っちゃったわ」

ココノツ(嵐のように来て嵐のように去っていった……)

ココノツ「なんか……賑やかな人たちでしたね」

ほたる「ふふふ、彼女たちを見て思い出したわ……駄菓子の初心をね」

ココノツ「駄菓子の初心って何すか……」

ほたる「まだ周りに見知らぬ駄菓子ばかりだったころのワクワク感……ただひたすらに駄菓子を追い求めていたあのころの情熱」

ほたる「何より、純粋に駄菓子を楽しむ心」

ココノツ「今でも過剰なほど楽しみまくってると思いますけどね」


ほたる「どうかしらココノツ君……彼女たちの笑顔を見てどう思った?」

ほたる「駄菓子屋、継ぎたくなったでしょ?」ニコ

ココノツ「んー、なんというか……」


ココノツ「とりあえず、ほたるさんは今後『生いきビール』を持ち込むの禁止です」ニコ

ほたる「そんなー! ココノツ君のいじわるー!」ブーブー

ココノツ「ダメなものはダメです! また酔っぱらうでしょ!」

ココノツ(まあ……今日は色々と眼福ではあったけど)

──

アリス「はぁ……はぁ……」

綾「な、なんとかバスに間に合ったわね……」

カレン「結局海釣りはできなかったデスね」

忍「でも、あの駄菓子屋でのひと時も楽しかったですよ」

陽子「色々強烈だったけどなー」


カレン「駄菓子、デスか……」

カレン「まだまだ日本には、私の知らない文化があるんデスね」

アリス「そうだね……」

カレン「いつかまたどこかで、あのオネーサンに会えればいいデスね……」

陽子「……会えるよ、きっと」

アリス「いつかもう一度、この町にこればいいんだよ!」

綾「そうね、あの駄菓子屋にいけばまた会えるわよ」

カレン「……じゃあ、それまでしっかり駄菓子の勉強をしておくデース!」

綾「学校の勉強もね!」

アハハハハ……


忍「あああっ!」

アリス「!?」

忍「あの駄菓子屋さんに……荷物を置き忘れてきてしまいました……」

陽子「ええっ!?」

アリス「ど、どうするの?」

綾「お互い連絡先も知らないし……取りに戻るしかないわよ……」

陽子「マジかよー!」

忍「す、すみません!」


────こうしてカレンは、駄菓子のお姉さんとの念願の再会を早くも叶えることができたのでした

帰るのが遅くなってみんな怒られてしまったそうですが、これも青春のよき思い出ですよね!



忍「ね、アリス?」

アリス「反省してよ、もう!」


END


サヤ「あっつー……」

ココノツ「やあ、サヤちゃん」

サヤ「思ったんだけどココノツってさ……その服装暑くないわけ?」

ココノツ「……」

ココノツ「やっぱり変なのかな……夏に半袖のボリュームネックタートルって」ズーン

サヤ「え、なんで落ち込んでんの!? 何かあったの!?」

ほたる「夏にしては変わった格好なのは確かね」

ココノツ「ほたるさんには言われたくないから!」

(終わり)

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