怜・竜華「華盗人は…」 (34)

怜「はぁ~、竜華の太ももはやっぱりええなぁ」ごろごろ

竜華「なんや。今日の怜はえらい甘えん坊やな」なでなで

怜「んー。せやろか?」すりすり


竜華の膝枕に顔をうずめながらソファに寝転がる
私の一番リラックスできる瞬間

私は竜華の膝枕が好きだ

竜華は病気がちで、たいして役にも立たない私にも優しくしてくれた
いつもこの膝枕が私にとっての癒し

竜華は私の大好きな……一番の親友だ

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竜華「今日もええ天気やなぁ」

怜「せやね」

怜「なぁ竜華。今週末にな…


後輩「清水谷部長!」

竜華「ん、どうしたん?」


怜「……」

怜(チッ、タイミングの悪い)


後輩「あの、すみません部長。この書類の書き方、これで良かったでしょうか?」

竜華「うん、うん!これでええで」

後輩「そうですか?良かったですっ!」


怜「……」


私に優しい竜華は、当然みんなにも優しい

ただそれだけの、あたりまえのこと

そもそも竜華はめっちゃモテんねん

男子にもだろうけど(巨乳やからな)、特に後輩女子からの人気は絶大だ

育ちの良さそうなお嬢様なのに、嫌味なところもなく
美人で誰にでも優しく接する、後輩の面倒見が良い部長

あれ?竜華って完璧なんとちゃうか?


後輩「それでですね、部長」

竜華「うんうん」


怜(はよ話し終われや)

後輩「今度の週末にいっしょにカラオケ行きませんか?」

怜(…は?)

竜華「カラオケ?うーん、どないしよかな…」

後輩「2年の先輩に聞いたんですけど、清水谷部長めっちゃ歌上手いって聞いたんですよ~」

竜華「いや、上手くないてー」

後輩「部活の合宿とかの時、カラオケ行ったって聞いたんですよ~。いいなー!」

怜(誰やねん。そんなん言うたヤツ)

後輩「私たち1年ってまだ部長と遊んだことないですし、もし良かったらみんなで行きませんか?」

竜華「えっと、どないしよか、怜?」チラッ

怜「……」

怜「難しいんとちゃうかな?」

後輩「えっ」

怜「竜華も私もインターハイに向けての練習せなあかんし。それに、試験も控えとるやろ」

竜華「んー、せやなぁ」

怜「今は部活で忙しいけど、そのあとは受験生やで。試験勉強は手ぇ抜けへんよ」

竜華「それもそやな。遊ぶ前に勉強せんと」

怜「せやろ?ただでさえ竜華は部長で忙しいのに」

竜華「部長を負担とは思てへんけど、うち最近あんまり勉強できてへんからなぁ」

怜「そんなわけや。すまんな後輩ちゃん」

後輩「あっ、いえ…」しゅん

竜華「ごめんなー?また暇な時にでも遊ぼなー?」

後輩「は、はいっ!それでは失礼しますっ!」ぱぁぁ

怜(やれやれ。竜華も人がええから、断りきれんのやろ)

怜(他のヤツからの誘いなんぞ、私が全部断ったったるわ)

竜華「うちは怜とやったら、カラオケ行っても良かったで?」なでなで

怜「そしたら誰が私の勉強見てくれんねん。私の成績じゃまだ志望校受からへんで」ごろん

竜華「うちが勉強教えんのかいっ!」ビシッ

怜「今週末、どないする?」

竜華「まぁ、勉強会やろな。この流れから言って。うちの部屋でしよか?寮にする?」

怜「そうやな。竜華のマンションがええな」すりすり

竜華「そう?寮ならセーラもおるやん。誘わへんの?」

怜「いや、セーラ誘ったとしても竜華ん家がええな」

竜華「どうして?」

怜「竜華んとこのマンション、防音完璧やからカラオケし放題やん」

竜華「結局カラオケするんかいっ!」ビシッ

怜「あはははっ」

やっぱり竜華といっしょだと、安心する

竜華はみんなの部長かもしれへんけど
竜華はみんなにとって高嶺の花かもしれへんけど


それを私が一人占めにしたる


私から竜華を盗ろうとするヤツは、許さへん



華盗人は……撃滅したるわ!


竜華(最近、後輩たちからの態度が変や)


理由はわかってる
麻雀雑誌に写真が載ってからや

自分で言うのもなんやけど、本当に自分で言うのもアレなんやけど
あの雑誌のコーナーは全国の高校生雀士の中でも可愛い子の写真を特集していたコーナーだった

それにうちの写真が載って以来、後輩たちからの尊敬の眼差しのようなものが熱すぎるほどだ

ああもう、本当に自分で何を考えてんのや!
めっちゃ照れるわこんなん!!

後輩「先輩っ!お疲れ様です!」

竜華「お疲れやでー」


特にこの後輩ちゃんとは最近よくからんでる気がする

前にカラオケに誘われたあの子や

この子にとってのうちは、いわゆる『憧れの先輩』いうやつなんかな?

可愛いもんなんやな、こういう後輩を持つと

うちにもかつてそんな時期があった気がするし、
なるべくなら優しく接して失望させないように振る舞いたい

昔のうちだったら、そんな先輩を見ていたかったと思うからや

後輩「清水谷部長!ドリンクどうぞ!」

後輩「部長!おしぼり使いますか!?」

後輩「清水谷部長!部長ならこれはどれから切りますか!?」

後輩「部長っ!部長の1年生の頃の牌譜見ました!!」

後輩「部長!部長!清水谷部長っ!」


竜華「う、うん…」


けっこうグイグイくるな、この子

いや、それよりも問題なんわ…


怜「……」ゴゴゴゴゴ…

竜華「ううっ」


最近、怜が恐い

後輩ちゃんに対する態度があきらかに辛辣だ


怜「後輩ちゃん。竜華に聞かんと自分で勉強しいや」

怜「今忙しい言うてるやろ?」

怜「なんや?そんなんもできへんのか?」

怜「おい」


…だいたいこんな感じや

竜華(あかん、これじゃあ冷戦状態や)


うちとしては、怜と後輩ちゃんには仲良くして欲しいんやけどな

せっかくできた後輩
しかし、今の怜との関係も壊したくなんかない

板ばさみやな…


そして、そんなある日に事件は起きた

後輩「清水谷部長!クッキー焼いてきましたっ!」

竜華「クッキー?」

後輩「は、はい!食べていただけますか?」

どうやら調理実習があったらしい
私のためにラッピングして、持ってきたのだという

断る理由も無いし、いっしょに食べる事にした

それに、クッキーなら怜も食べてくれるかもしれへんし

二人の雪どけになれば、と淡い期待をこめる


竜華「それじゃ、どこかでいっしょに食べよか?」

後輩「はいっ!」ぱぁぁぁ

竜華(怜も探したいんやけど、どこに行ったんやろ?)

竜華(せっかくなんやし、怜もいっしょに食べたいんやけどな…)


そう思いつつ、怜のいないところで後輩ちゃんといっしょにいた事がバレたら恐そう
という気持ちも無いわけではなかった

そんな感情を無視して、怜が見当たらないので後輩ちゃんと二人で飲食ができるロビーへ

彼女の作ったクッキーを頂くことにした

後輩「先輩、どうぞっ!」

竜華「ほな、いただきます」

後輩ちゃんに缶の紅茶を買い、ロビーのテーブルの一つに向かい合って座る

綺麗にラッピングされたパッケージを開け、一口食べる


竜華「うん!これめっちゃ美味しいで!」

後輩「ホンマですか!?」ガタッ


思わずイスから立ち上がるほど嬉しかったらしい

彼女はうちといっしょの時にはだいたい笑顔なのだが、今まで見た彼女の顔の中で最も輝かくような笑顔だった


後輩「私、今めっちゃ嬉しいです!」

後輩「清水谷先輩が、私のクッキー食べてくれるなんて…」ニコニコ

竜華「そんな、大げさやって」


後輩ちゃんはひとしきりはしゃいだあとに、ようやくイスに座り直した

うちも昔はこんなんやったなぁ、と思いながら
上手く先輩として立ち回れていそうな自分に安堵する


しかし、その安堵は一瞬だった


目線をふと廊下に向けると、そこにはこちらを見ている怜がいた


うちと目が合う

目線をそらさず、早足でこちらに駆け寄る怜


後輩「先輩?」

竜華「怜、あんな?その、これは…


ほぼ駆け足に近い速度になっていた怜は、勢いそのまま


後輩ちゃんの座るイスを思い切り蹴り倒した


ドンガラガッシャーン!


竜華「…どっひゃあ」


そう、思わずつぶやいた

竜華「と、き……?」


絶句だった

怜は、後輩ちゃんに目もくれない


後輩「スンマセンッ、園城寺先輩、スンマセン、スンマセンっ!」


後輩ちゃんはほとんどパニックで、バタバタと慌ててどこかへ走って逃げていってしまう

怜はまるで後輩ちゃんが存在していないかのように無反応


そして、彼女が座っていた隣のイスをずらして私の正面に座る


怜「なぁ、竜華今なにしてたん?」


ここ最近見た怜の表情の中で、最も輝くような笑顔だった

静まり返るロビー

皆、そそくさと私たちに距離をとり立ち去っていく


怜「あれ?竜華、なに食べとんの?」

竜華「あ、あんな、怜。これは…

怜「変なもん食べたらあかんで~竜華」

竜華「え、あ、せや、けどな、えっと…

怜「私が捨ててきたるな?」にこっ

竜華「……」


再びの絶句

怜「捨てるで?」

竜華「…うん」


有無を言わせない怜の表情

ゴミ箱にバラバラとクッキーを捨てる

ラッピングの包み紙も、全てゴミ箱の中に放り込まれる


怜「竜華…」ぎゅっ

竜華「と、怜!?」


怜に抱きつかれた

怜「私、竜華が他の子といっしょにおるの、嫌や」ぎゅぅ

強く抱きしめられる

竜華「怜…」ぎゅっ

思わず抱きしめ返す

怜「私、竜華が他の子といるとこ見たらまたこうなってまうかもしれへん」

怜「竜華…竜華は私が他の子といっしょにおっても平気?」

竜華「怜…」

そんなにうちのこと気にしてくれてたんやな


もし怜がさっきのうちみたく、他の子といっしょにいたら?

平気、じゃいられない
怜に言われて、考えて、はじめてその気持ちに気がついた

竜華「ごめんな、怜。うちも怜といっしょにいられないの、嫌やで?」ぎゅっ

怜「竜華…」ぎゅっ

竜華「なぁ怜」

怜「ん?」

竜華「膝枕、しよか?」

怜「……うんっ!」にっ


さっきの記録を更新する、彼女の笑顔であった





竜華「ってことが前にあってな~。もう、ホンマうちには怜しかおらへんのやなぁって確信した瞬間やったわぁ」ほくほく

セーラ「ええ…」

怜「ははは、そういやそんなこともあったなぁ」ごろん

セーラ「いやいや、そんな言うても…いや、ツッコミどこ多すぎてわからへんわ!」

セーラ「そんでその後輩ちゃんどないなったんや!?」

竜華「……?」
怜「……?」

怜・竜華「さぁ?」

セーラ「ええ…」

怜「ええやん。私には竜華がおる。竜華には私がいる。それだけの話やで」すりすり

竜華「ホンマやで!気にすることないやん?」なでなで

セーラ「ええ…こいつらマジか」


DV夫婦とかって、こんな風に生まれるのやろか

俺の中に浮かぶそんな言葉を飲み込むので手いっぱいで、ツッコミなんかできる余裕無いわ!


怜「竜華///」ぎゅっ
竜華「怜///」ぎゅっ


セーラ「……」


ま、幸せそうならええか


おしまい!

ふだんはこんなの書いてます↓

怜「朝マクドでマクド揚げたお芋さんを食べるで!」 (1作目)
竜華「朝マクドでマクドバーガー食べるで!」穏乃「マクド?」 (2作目)


怜「マクドバーガーの新メニュー?」(前作)
怜・竜華「華盗人は…」(今作・番外編)

今日でマクド揚げたお芋さん二周年だそうなので、完全番外編の百合モドキな怜竜を書いてみました

ここら辺で終わります

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