女「男さん引っ付かないでください暑苦しい」(27)

男「だってこの体勢がゲームしやすい」

女「大体何で私の部屋でゲームなんだよ馬鹿やろう」

男「仮にも年上に向かって馬鹿はないだろ、馬鹿は」

女「馬鹿って言われたくなかったら出て行って下さい」

男「俺んちファミコンないんだから仕方ない」

女「じゃあもう貸すから!貸すから出てけ!」

先輩「ごめんな女、男二人で押しかけて」

女「あ、先輩は全然いいんですよ!寧ろ大歓迎です!」

男「うわ、俺と態度違いすぎだろ」

女「男さんうるさい。あといい加減先輩から離れて私の部屋から出て行って下さい!」

男「別いいじゃねぇか。減るもんじゃないし」

先輩「お前が引っ付いてくるせいでコントロールミスって俺のhpが着実に減ってる」

女「ほら!先輩も怒ってるじゃないですか!」

男「えー、先輩怒ってんの?」

先輩「死んでほしいと思う程度には」

男「先輩酷い!生まれたときからほぼ一緒にこの18年間生きてきたのに!」

先輩「お前が何故かいつもついてくるからな」

女「最早ストーカーの領域じゃないですか」

男「愛故だっ!!」

女・先輩「「何それキモイ」」

男「酷い!」シクシク

先輩「めそめそすんなうっぜえええええええ」

女「男さんウザい」

男「何でそこまで二人して俺に酷いの!これが所謂smプレイ!?あ、ヤバイ何か目覚めそう」

女「もうお願いですから出て行って下さい」

先輩「おい、女がガチで懇願してるぞ」

男「え、いや何か……ごめんなさい」

女「謝る気があるなら出てけ!」

男「だが断る!」

女「何でだ!」

男「俺がこの部屋から出るのは先輩がこの部屋から出るときだ!」

先輩「………ごめん、俺お前のことは幼馴染としか見てなかった。けどこれからはゴキブリとしか見れないわ」

女「喰らえゴキブリジェット!」

男「っちょ、目が!目が!」

女「っで、ここまでされても何で出て行かないんですか?何か用があるんですか?」

男「だってここに先輩がいるか…嘘ですごめんなさいゴキジェ向けないで下さい」

先輩「女、もう俺も帰ろうか?そしたら男も帰るだろうし」

女「い、いいんです!先輩はどうぞゲームを!ゲームずっとしててください!何なら夜ご飯も、なんて……」

男「マジで?女の手料理?お前料理うまいからありがてえ」

女「お前は帰れ。用件があるなら用件言え」

先輩「女の目が普通に怖っ」

男「ごめん!めんご!すまん!用件言う!言うから落ち着け!な?」

女「ほら、言え」

男「単刀直入に言うぞ?女、俺と付き合ってください」

女「は?なにいっ 先輩「おいお前ふざけるのも大概にしとけよ女巻き込むなよんなもん却下だ却下却下に決まってるだろいい加減にしとけよ糞ゴキ野郎が」

男「先輩怖い!マジ怖い!」

女「せ、先輩!何もそこまで言わなくても…」

先輩「もうお前マジざけんなマジなんなん」ムナグラツカミ

男「先輩って女好きでしょ?」ヒソヒソ

先輩「んなっ…!おま、なにいっ…」

男「顔真っ赤にして照れちゃってー」ヒソヒソ

先輩「おま、お前…!っくそ、ああもう!女!ごめん俺もう帰るわ!」

女「あ、先輩!」

男「先輩どうしたんだろうね?あんな顔真っ赤にして?」

女「…何言ったんですか?」

男「ん?」

女「先輩にさっきヒソヒソと何か言ってましたよね?何て言ったんですか!?」

男「んー、女にはまだ早いよ」

女「はぐらかすな!男さんのせいで先輩帰っちゃったじゃないですか!」

男「女も先輩大好きだよねー。ひたすら片思いし続けてもう10年以上でしょ?
  先輩って鈍感だよね!あんなに女がアピールしてるのにさ」

女「……男さんには関係ないでしょ」

男「まあね。あ、さっきの話の続きだけど…

女「私が先輩好きだって知ってるなら返事分かってるでしょ!帰ってください!」

男「ほらー最後まで話し聞かないから変な勘違いしてるー」

女「は?」

男「付き合ってってーのはアレだ。正確には付き合ってるフリをしてくれってことだな」

女「は?何で?」

男「いや、俺ってたまに告白されてんじゃん?」

女「たまにっていうかほぼ毎日ですね。先輩と並ぶくらい告白されてますね」

男「でさ、俺その告白全部付き合ってる子がいるからって言って断ってたんだけど付き合ってる子見せてって言うやつがいてさ」

女「それで付き合ったふりをしてほしい、と」

男「そうそう。一回この子と付き合ってるって言えばこれからも断るときも楽だろ?それに女だったら先輩のことが好きだからお互いに変な気持ち持たなくていいしさ!」

女「…………鈍感はどっちだ」ボソボソ

男「ん?何か言った?」

女「別に。変な意識って…それはつまり自分がそんなに良い男、だとでも?」

男「あ、いや別にそんなつもりじゃないけどさ!」

女「まぁいいです」

男「へ?それってつまり」

女「いいですよ。付き合ってるフリしてあげます」






女「というわけで付き合うフリをすることになりました」

先輩「……鈍感ってアイツのためにあるような言葉だよな」

女「全くですよね!どこをどう勘違いしたら私が先輩が好きって結論に至るんでしょうかね!しかも十年間!」

先輩「まぁ俺に男が好きだって相談するお前も相当の鈍感だけどな」ボソボソ

女「ん?先輩なんか言いました?」

先輩「いや何も」

女「ならいいですけど…」

先輩「ところでアイツって本当に好きなやついんの?」

女「あぁ…いました、よ」

先輩「マジで?誰?」

女「それは誰にも言わない約束なんで」

先輩「えー、女のケチ」

女「これは仕方ないですよ」

~~女回想~~

女「で、男さんには好きな人は結局いないんですか?」

男「いや、いるけど?」

女「じゃあその人に告白して付き合ってもらったほうがよくないですか?」

男「あー無理無理」

女「どうしてです?私が言うのもなんですけど男さんカッコイイですよ?告白したら多分ok貰えるかと…」

男「ダメダメ。アイツ好きなやついるし。あと俺結構猛アピールしてるのに全然気づかねえもん」

女「へえ、っで誰なんです?」

男「え、聞く?」

女「聞きます。教えてくれないなら手伝いません」

男「……誰にも言うなよ?」

女「言いません」

男「絶対だぞ!」

女「絶対です」

男「絶対の絶対の絶対だぞ?」

女「しつこいです!言いませんってば!」

男「…俺が好きなのは―――

~~~~~~~

女「(まさか男さんが先輩のこと好きだなんて言えるわけないよね、うん)」

先輩「あーでも男と女が付き合ったら俺独り身だなー悲しい!」

女「どうでしょうね。男さんには私と男さんが出会う前よりも好きな人いますし」

先輩「大丈夫だって!女可愛いし!男だってすぐフラっとしちゃうよ!」

女「まぁそんな簡単にフラッとしちゃうような人は嫌ですけどね」

先輩「それもそうだな」

女「でも、慰めてくれてありがとうございました。嬉しかったです」エヘヘ

先輩「お、おう。これくらいしか言えないけどな…」

女「嬉しかったですよ!先輩も皆に好かれてますから彼女くらいすぐできますって!」

先輩「好きなやつに好かれねえと意味ねえもん」

女「先輩も好きな人いるんですか?意外ですね」

先輩「まあな。……女も俺のこと好き?」

女「ふぇ?」

先輩「いや、さっき俺を好いてくれるやつ結構いるって言ってたし女も好いてくれてるかなぁなんて…」

女「はい!勿論先輩のこと大好きです!」

先輩「――っ」

女「まあ男さんの次ですけど、先輩?」

先輩「あの、女」

女「はい?」

先輩「返事も分かってる。けどやっぱどうしても言いたいことがある。俺、お前が好きだ。ずっと好きだった。初めて会ったときから。お前が男を好きだって相談してきたときも。お前が一生男を好きだとしても俺ずっとお前が好きだ」

女「せんぱ…

先輩「ごめん!今の全部忘れて良いから!変なこと言ってほんとごめんな!俺、今日変だ!もう、帰る…な。じゃあまた明日」

数ヵ月後


男「さて、もうすぐ俺も先輩も高校卒業だな」

女「そーですね」

男「先輩が卒業するからってそう落ち込むな!」

女「…そーですね」

男「あー、すまんかったとは思ってる。付き合ってるフリさせるためにここ数ヶ月学校では俺とばっか一緒にいて先輩とは一緒にいなかったもんな。最後の一年だったのに」

女「…そーですね」

男「それで、お詫びといっちゃあ何だがお前卒業式の日に告白しないか?」

女「はい?」

男「先輩のこと、好きなんだろ?お前と先輩が二人きりになれるシチュエーション作ってやるよ」

女「…良いです」

男「うん?」

女「男さんが勝手なことしようとしないで下さい!別にそんなことしなくて良いです!」

男「おんな…」

女「あと、恋人のフリはもういいですよね?」

男「え?」

女「期間とか別に決めてませんでしたけど、もう男さんが私と付き合ってるって噂は流れて男さんに告白する人なんていませんし、男さんも卒業しますし」

男「あ、ああ。そうだな」

女「じゃあ、今まで付き合いのフリでしたけど、それも今この瞬間までです。今まで有難うございました。さようなら」

男「あ、女。ほんと、その、有難うございました!」

卒業式

先輩「もう皆教室から出て行っちまったな」

男「そうだな」

先輩「見事に俺たち二人きりだな」

男「全くだな」

先輩「何だかんだで18年間学校もクラスも一緒だったな」

男「それも今日までだな」

先輩「二人とも県外の大学だし、次会うのは成人式くらいかな?」

男「かもな」

先輩「最後だし、聞きたいことあるんだけどいいか?」

男「何だ?」

先輩「お前誰が好きだったの?」

男「…誰に聞いた?」

先輩「女。あ、でも好きな人いるってことだけ」

男「そっか…」

先輩「誰だったの?」

男「言わなきゃ?」

先輩「お前が言ってもいいなって思ったらでいい」

男「何かそれ卑怯」

先輩「何とでも」

男「…お前だよ」

先輩「………え?」

男「お前のことがずっとずっと好きだった」

先輩「いや、そういう冗談いいんだけど」

男「違う。本気だ」

先輩「…だって俺もお前も男だぞ?」

男「それでも!好き、なんだよ」

先輩「本気、なのか?」

男「(気味の悪いもの見るような目だな。ま、当たり前か)」

男「本気だ」

ガララッ

先輩・男「「!?」」ビクッ

女「さっきから聞いてたら男さん何言っちゃってんですか?」

男「お、女!?」

女「男さんは私と付き合ってるじゃないですか!もう、そんなくだらないことやってないで早く帰りましょ!」

先輩「え、女、付き合ってるのって…」

女「あれから色々あって本当に付き合うことになったんです!先輩には言いそびれてて」

先輩「いや、そっか。ならいいんだ。これからも仲良くな!」

女「はい!じゃあ男さん行きましょ!」

男「あ、あぁ」







先輩「…振られちまったな……」
先輩「……帰るか」

帰宅路

男「おい、お前何であんなこと 女「ごめんなさい!」

男「……」

女「私、男さんの気持ち、知ってて、告白、勇気いるって、知ってた、のに、それ無駄に、して」

男「それはいいよ。正直お前来なかったらすごい空気悪かったし」

女「でも、男さんの、勇気」

男「いいから!な!…だから、お前が泣くなよ」

女「でも、男さ、」

男「ああああああ!もう泣くな!」

女「……うん」グスグス

男「それよりお前はよかったのかよ?先輩のこと、好きなんだろ?」

女「うん、いい」

男「そっか…。あ、お前家あっちだよな?ここでお別れだな」

女「うん」

男「あー、結局最後までフリさせ続けちまったな」

女「うん」

男「でもこれで本当に最後だ。今まで有難うな」

女「うん」

男「じゃあな」

女「うん……男さん!」

男「うん?」

女「私が好きなのは、男さんですから!」

男「へ?」

女「それじゃあ!今まで有難うございました!」

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