アニ「君の知らない物語」(51)


季節外れ注意














カナカナカナ…





アニ「…」スースー



サシャ「あらら…アニったら食堂で寝ちゃってますね」


ライナー「この3日間は遊びっぱなしだったからな。疲れてるんだろ」


ジャン「アニの奴、面倒くさいとか言ってたわりには結構楽しんでたけどな」


アルミン「湖岸でのビーチバレーの時とかもう本気モードだったしね」アハハ


ミカサ「ジャン、あなただって最初は全く乗り気じゃなかった。寝てた…」


ミカサ「のに、2日目のスイカ割りからずっとエレンと何かにつけて競争して楽しそうだった」


ジャン「ミ、ミカサ!…いや、それはだな…」


コニー「プッ!言い返せないでやんの!」



『いつも通りのある日のこと』


クリスタ「訓練生活最後の夏休みも今日で終わり…」


ユミル「なーんか、最後にでっかく思い出作りてーって感じだけどな」


ベルトルト「あのユミルがそんなこと言うなんて。意外だなあ」


ユミル「フン、ほっとけ」


ライナー「ま、何だかんだ初めの頃に比べて皆仲良くなったよな…ハハハ」




エレン「…」ガタッ!


一同「⁈」



『君は突然立ち上がり言った』



エレン『こーんーやー』アルミンヲミル


アルミン(…!)『ほーしーをー』ミカサヲミル


ミカサ『み、見ーにーいーこーうー』ビシッ



(間奏スタート)




コニー「うおおお!いいなそれ!」


サシャ「夏って感じしますね!!」


アニ「…」パチッ


ユミル「ふーん…まぁ何だ。悪くないんじゃねえの?」


クリスタ「もー、素直じゃないなあユミルは。素直にいいねって言えばいいのに」



アニ「…何の話?」ゴシゴシ


ライナー「おっ、起きたかアニ。エレン達が星でも見に行こうだとよ」


アニ「ふーん…」



アニ『たまには良いこと言うんだね』


エレン「たまには、は余計だろ…」


ジャン「いや、実際たまにはだろ」

ハハハハ


『なんてみんなして言って笑った』



ライナー「よし、そうと決まったら早速行くか!」


サシャ「ちょ、ちょっと待ってください!ご飯!ご飯はどうするんですか?!」


コニー「これからたらふく食うんだよ!」


サシャ「え?」


ライナー「忘れたのか?夏休みはまだ終わってないんだぜ!」



『明かりも無い道を』



ベルトルト「バーベキューセット…重い…」


ユミル「ダッハッハ!これも訓練だ訓練!!」


ベルトルト「訓練って今は夏休み…ちょ!サシャ!肉は自分で持てよ…ぅおああ!!」ガシャーン


『バカみたいにはしゃいで歩いた』



アニ「ベルトルト、楽しそうだね…」


ライナー「お前もこの3日間で随分笑うようになったけどな」


アニ「う、うっさい」ゲシッ


アニ「…でも、あと少しで私達は」


『抱え込んだ孤独や不安に』



ライナー「まあそう考えるな。その時──戦士になるべき時が近づいて来たらまた考えればいい」



ライナー「壊れちまうぞ」



アニ「ライナー…」



『押しつぶされないように』



ミカサ「つ、着いた…ここは?」ハアハア


エレン「ミカサ…そんな無理しなくても、二人がかりで運べば良かったのによ」


ミカサ「ジャンケンで負けたのだからしょうがない。この世界は残酷」


エレン「そうかよ…」


ジャン「なぜ俺はミカサに手を貸そうとした瞬間殴り飛ばされたんだ…」


『真っ暗な』


ジャン「てかオイ、何も見えねーぞ」

クリスタ「だ、誰か明かりを…」


『世界から見上げた夜空は』


ライナー「いや、こんくらいが丁度いい」


ライナー「上を見てみろ」


ユミル「おいライナー、お前クリスタ泣かせたら承知しな…!!



一同「!!」





『星が降るようで』



キラキラ


クリスタ「わああぁぁ…」パァ


リヴァイ「ほう…悪くない」

クリスタ「あああ!?」


コニー「すっげぇ…!」

サシャ「壮大ですね…」


ミカサ「素敵…」

アルミン「昔も…僕らこうやって並んで星を見たよね」

エレン「ああ、俺んちの屋根でな…綺麗だ…」



アニ(…)ジー


『いつからだろう』


ライナー「どうしたアニ、エレンの横顔なんかジロジロ見て」

ベルトルト「えっ⁈」

アニ「ハッ…あ、いや…別に」


『君のことを』


ベルトルト(まさかアニ、エレンのこと…)


『追いかける私がいた』



アニ(ハァ…私は戦士だってのに、こんなんじゃきっと任務を果たす事も何もできやしない)


アニ(でも、もしも…)


アニ(もしも、私の気持ちを打ち明けるチャンスが来たら、その時はエレン…)



アニ『どうかお願い』


アニ『驚かないで聞いてよ』


アニ『私のこの想いを』








ライナー「お前ら、これ豚肉だからな。ちゃんと火ぃ通して食えよ」

サシャ「わかってますって!おめがだ狩猟民族舐めとったらあかんで!」

ライナー「!?」


コニー「うわっこれ生焼けだ!もっかい焼こ」ジュワ

ユミル「汚ねえ…」

クリスタ「よいしょっ、私も食ーべよ!」ヒョイ

ユミル「‼︎待てクリスタそれは───

クリスタ「?」パク

ユミル「うあ"あ"あ"あ"」



『あれがデネブ アルタイル ベガ』


ミカサ「皆、タレをつけてない。これを」スッ

アニ「"焼き肉のたれ ジャン"」

アルミン「プッ…くく」

ジャン「おい やめろ笑うなこれしかなかった」

ミカサ「アニ、ジャンをこっちにお願い」

ジャン「ななんだミカサ//」

アニ「あんたじゃない」

アルミン「…」プルプル


『君は指差す夏の大三角』



エレン「お、アレ夏の大三角形じゃね?」

ジャン「は?あっちだろ」

エレン「お、おい見ろあそこにもあるぞ」

ジャン「!すっすげえ…多すぎだろ夏の大三角…」


ベルトルト「いや、夏の大三角形って一つしかないからね。まあいいけど」

エレン「えっそうなのか」

ジャン「どれが本物なんだ?」

ベルトルト「アルミン」

アルミン「うーんと…あ、あった。あれだね」

エレジャン「へぇ…」


『覚えて空を見る』



ジャン「わかりにくいな」

エレン「あぁ。わかりにくい」

ベルトルト「…」


ベルトルト(…あれ、アニは?さっきまでいたのに)




アニ「…」ポツン

アニ「こうやって一人で星を眺めるのもいいもんだね」

アニ「…」

アニ「…えっと…」


アニ「…あっ」


『やっと見つけた織姫様』


アニ「…」


『だけど何処だろう彦星様』


アニ(……)



『これじゃ一人ぼっち』


アニ(…)チラッ


ジャン「てかさー、そこら辺の三角とかもう全部夏の大三角でよくね?」

エレン「あー いいなそれ」

エレン「楽だな」ハハハ


『楽しげな一つ隣の君』


アニ(エレン…)


『私は』


アニ(…戻ろ)


『何も言えなくて』



サシャ「あっアニが戻ってきました!」

ユミル「おーおー早く食え、なくなっちまうぞ」

アニ「そうだね…」

クリスタ「…アニ」


『本当はずっと君の事を』


クリスタ「目、赤いよ?」


滝沢「赫眼を確認!喰種ですッ!!」

アキラ「こんな所で私達と邂逅してしまうとはな…運の無い」

亜門「全くだ…滝沢、クインケを」


クリスタ「!!?」



アニ「っ…気にしないで」


『どこかでわかっていた』


アニ(知ってる、恋…なんて…するべきじゃない)


アニ(いや…しちゃいけないんだ、私は)


『見つかったって』


アニ(想いを伝える、なんて…馬鹿馬鹿しい)


アニ(結局、後で余計悲しむことになるだけ)


『届きはしない』


アニ(…もういい。考えるな、私…)


アニ(でも…何で私だけ……っ)


『駄目だよ』


アニ(…わたしだって)


『泣かないで』



アニ「恋、したい…」

月山「うん、わかる。わかるよその気持ち」

アニ「!?」



『そう言い聞かせた』




サシャ「ちょっとお、それ私のお肉ですよ~!」

アキラ「ふん、ここは弱肉強食の世界…」

アキラ「そんなの関係ないのら」

クリスタ「サシャみたいなこと言ってる!」

亜門「アキラ、飲み過ぎだ」

滝沢「らからぁ、こよ女さえいなけあぁ、おえはしゅへきにぃ…(だから、この女さえいなければ俺は主席に)」

ミカサ(…私もそう思われてるのだろうか)

ユミル「はいはいわーったよ、大変だったなあんたも」



アニ(なにこれ)


ジャン「おーい、烏龍茶まだあるか?」

トーカ「ほらよ」シュッ

錦「サンキュー」パシッ ゴクゴク

錦「…割とイケんじゃねーか、これ」

ジャン「いやお前が飲むなよ!」


ライナー「ほーら食え、豚カルビだ!」ジュー

コニー「っし、いただきっ」

トーカ「あ、待ちなさいそれ私の!」

カネキ「これは凄い発見だ…」

カネキ「ここの肉は僕らでも食べられる!」

エレン「お前らベジタリアンなのか?」

月山「トレッッビァァアンッ!!」

月山「この世にこんな美味いものが存在するなんて…ッッ!ぁぁあフォルテッシモォォ!!」

ベルトルト「こいつらうるさい…」

アルミン「そして狭い!皆バラけろよ!何でわざわざこのテーブルに集まんだよ!!」






アニ『強がる私は臆病で

興味のないようなフリをしてた

だけど 胸を刺す痛みは増してく

ああそうか

好きになるって

こういう事なんだね』



月山「フゥン⁉︎ いい歌だね」

トーカ「好きな人でもいんの?」

アニ「別に…私は人を愛せないから」

月山「なぁぜ!?」

トーカ「さっきからうっせえんだよお前…」



トーカ「…何か訳ありみたいだね」

アニ「私は…ずっとあいつらを騙してるの」

アニ「本当は仲間じゃないのに、そういうフリして」

アニ「でも、いい奴しかいなくて…憎しみなんて、抱けない…」


トーカ「ふーん」

トーカ(依子…みんな)


トーカ「アンタ、何か私に似てるね」

アニ「…同情ならよしな」

トーカ「そんなんじゃねーから…ほらもっと話すよ!」ガシッ

アニ「この子さっきから何なの」ズリズリ



………






キース「これより、解散式を始める」


キース「…成績上位10名を発表する」

キース「呼ばれたものは前へ──



首席 ミカサ
2位 亜門
3位 ライナー
4位 ベルトルト
5位 アニ
6位 アキラ
7位 トーカ
8位 エレン
9位 ジャン(焼き肉のたれ)
10位 滝沢



エレン「あっ焼肉のタレに負けたキルシュタインさんちーっす!」

コニー「ちーっすww」

ジャン「お前ら落書きしてんじゃねえ!!」


タレヲナメルナ‼︎
ウッセーゾクソヤマァ
ワーワーギャーギャー




ライナー「この馬鹿騒ぎが出来るのも今日で最後か…」

ユミル「あんたら元の世界とやらに帰んなくていいのか?」

滝沢「帰りたくても帰り方がわからん!」

アキラ「もひょのへかぃ~?」

亜門「だからお前は飲むなとあれ程…」

ベルトルト(帰ってくれ…)



コニー「そういやお前ら所属兵団はどこにすんだ?」

ジャン「俺はもちろん憲兵団だな…好んで壁外に死にに行く奴の気が知れねえよ!」チラ

エレン「てめえ!そりゃ俺の事か⁈」ガタッ

トーカ「ったく…最後までアンタらは喧嘩ばっかりだね」

クリスタ「…前から思ってたんだけど、トーカちゃんってアニにちょっと似てるよね」

サシャ「あっそれ私も思いました!お喋りなアニっていうか!」

トーカ「だってよ」

アニ「余計なお世話だよ…」



アルミン「君達は…もしも元の世界に帰れたら何をしたいんだい?」

錦「俺ぁさっさと帰って貴美に会いに行くぜ」

サシャ「キミ?って何ですか?」

コニー「俺わかるぞ!卵の黄身のコトだぜきっと!」

サシャ「あぁそういうことですか!錦さんは卵が好きなんですね!私もです!」

トーカ「ふっ…ククッ」プルプル

錦「てめぇ…」



アルミン「みんなは?」

カネキ「僕は…普通の人間でいられるココに残りたい…かな」

月山「喰種の味覚では味わえないトレビァァンッ‼︎な食事も楽しめることだしね」

ミカサ「⁇時々貴方たちはよくわからない事を言う」



アニ「…トーカ、あんたは。想いを伝えたいとか言ってた奴がい…ムグッ」

トーカ「バ、バカ!ここで言うな!//」


クリスタ「⁇」

ジャン「…へぇ~、アンタにも色付いた話の一つや二つ、あるって訳か」ニヤニヤ

カネキ「えっ、トーカちゃんに?気になるなあ」

アニ「ほら、彼もああ言ってることだし」

トーカ「…ッ!」


エレン「何だよお前ら騒々しいなぁ」

トーカ「アッアニだってエレン君のこと気になるとか言ってたくせに!//」

「!?」




アニ「はぁぁ⁈///」

エレン「えっ?え…?」

ミカサ「アニ…最後の日に申し訳ないのだけど貴方を削がなければいけなくなった」

アニ「そんな嘘に決まって…!ちょっトーカァ!」



モウガマンナラネエ
ジャァァァン
エイセイヘーー!




…………………………………





………………………





………………







『どうしたい?言ってごらん』




アニ(結局あの後…トーカも私も告白するみたいな流れになったけど…)


アニ(アルミンが気を利かせてくれたおかげでうやむやになったまま終わった)


アニ(きっとあれが最期のチャンス…)




アニ(言えばよかったな)




『心の声がする』




アニ「エレン…」


アニ「この先ずっと」




アニ『君の隣がいい』










「…い……ニ…!」



「おいアニ!聞いてるか⁈」



アニ「!」ハッ


ライナー「準備はいいな?」


アニ「…」


ヒュォォォォオオオオオ




アニ「…」コク


ライナー「よし、作戦開始だ」



ドォォォォン‼︎‼︎





『真実は残酷だ』










エレン『言わなかった』


ミカサ『言えなかった』


アルミン『二度と戻らない』


ジャン『あの夏の日』


コニー『きらめく星』


サシャ『今でも思い出せるよ』





アニ「ごめんなさい」





クリスタ『笑った顔も』


ユミル『怒った顔も』


ミーナ『大好きでした』


ベルトルト『可笑しいよね』


ライナー『わかってたのに』


カネキ『君の知らない』


トーカ『私だけの秘密』





アニ「ごめんなさい」






『夜を越えて』




エレン「アニ!」




『遠い思い出の君が』




エレン「あれ、夏の大三角って言うんだぜ!」




『指をさす』







エレン「来年も、皆で見に来れるといいな!」





『無邪気な声で』






おわり

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