女騎士「くっ、殺せ!」オーク「グフフ、そうはいかん」 (83)

オーク「お前は大事な捕虜…交渉材料だ。折衝が終わるまでは殺したりなどはせんよ」

女騎士「…国に迷惑を掛ける位ならばいっそ……!」

オーク「やめておけ…自害などしても直ぐに治癒させるぞ。
自ら無駄に苦痛を味わう事もあるまい?」

女騎士「くっ…では私を一体どうするつもりだ!」



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オーク「グフフ…捕虜に何をするかなど決まっておろう……」

女騎士「!」

オーク「さぁ…先ずはこれからだ」ボローニャ

女騎士「…それは!」

オーク「これを食べて貰おうか」

女騎士「や、止めろ!そんな太いモノ…口に入る訳が…!」

オーク「まぁそう言うな…きっとお前も気に入る」ズン

女騎士「や、やめ!モゴ…!!」

オーク「どうだ、我がソーセージの味は?」

女騎士(そんな…どうしてこんなに……美味しい…!)

オーク「グフフ…どうやら気に入ってくれた様だな…
夢中になってかぶりついてきおったわ」

女騎士「…くっ……」モグモグ

オーク「さぁ、まだまだお代わりはあるぞ」

オーク兵1「はっ」ボローニャ

オーク兵2「はっ」ボローニャ

オーク兵3「はっ」ポークビッツ

女騎士「そ、そんなに沢山…!」

オーク「思う存分味わうが良い…!」



――― 30分後 ―――


女騎士「あぁ、一本一本それぞれ風味が違うなんて…!
何で、どうしてこんなに…」モグモグ

オーク「グフフ…教えてやろうか、どうしてそんなに旨いのかをな…」

オーク「何と云ってもそいつには我オーク国の特産品である『オーク牛』や隣国ミノタウロス国の『ミノタ豚』の挽き肉等を使っているからな…
更には野生の『シーサーペン鶏』の肉に軟骨、『ガーゴイ樹』のスモークチップもだ…
焼いて良し、茹でて良し、蒸して良しの品だ…」

女騎士「くっ、確かに皮はパリッとして中はジューシー…噛めば噛むほどに肉汁が溢れ、コリコリとしたアクセントと香ばしさが…こんなソーセージは食べた事が無い!」モグモグ

オーク「グフフ…それだけではないぞ」

女騎士「…!そ、それは、まさか!」

オーク「……炊きたてだ」ホカホカ

女騎士「あ、悪魔め……!」ゴクリ

オーク「こいつは近くのサイクロプスが棚田で作っているブランド米『ひとつめぼれ』だ」

オーク「一口食べればもう箸が止まらんぞ…」

女騎士「止めろぉ…止めてくれぇ……!」

オーク「先ずは一杯目だ…」ゴトン

女騎士(そんな…!どんぶりで、だと…!)

女騎士「あ、あぁっ…!手が、口が勝手に…!」パクリ

女騎士「!」

オーク「グフフ…どうだ、お味は?」

女騎士(あ、甘い!まだ口に入れただけ…舌に乗せただけでこんなにも甘味を感じるとは……!)

女騎士「箸が、箸が止まらない…!」パクパク

オーク「よく味わうが良い、お代わりもあるぞ…」

女騎士「ふっくらとしていながらもモチモチとした食感…柔らかいのに一粒一粒が際立って…!
お、お代わり!」モグモグ

オーク「おっと、そこまでだ」

女騎士「な、なんだと…!さっきお代わりはあると…」

オーク「心配するな…だが先にこっちを食べて貰おうか」

女騎士「な!その茶色いモノは…!」

オーク「………お焦げ、だよ」

女騎士「お焦げ…だと…!じゃ、じゃあ……」

オーク「あぁ、貴様が食べていたのはな……土鍋炊きだ」

女騎士「!」

オーク「グフフ…だが、お焦げの前に貴様にはやって貰う事がある」

女騎士「な、何!一体、私に何をさせる気だ」

オーク「なぁに、簡単な事だ…グフフ」

女騎士「…断る!腐っても私は騎士だ、貴様等の要求になど従うものか!!」

オーク「そうか、なら仕方が無いな…おいアレを」

オーク兵1「はっ!」

女騎士「一体何を…」

オーク兵1「持って参りました」サッ

女騎士「な、何だ…そのドロッとした物は……!?」

オーク「これか?こいつはなぁ……」

オーク「……『マーメイ鶏』の鶏ガラ中華風餡掛けだよ…」

女騎士「き、貴様…それをどうする気だ…!」

オーク「グフフ…もちろん…」

トロリ…ジュワァ!!

女騎士「熱々のお焦げに…掛けただと!?」

オーク「さぁ、どうする?このままではお焦げのパリッとした食感が無くなってしまうぞ?」

女騎士「!くっ、卑怯な…」

オーク「いいのか?そんな事を言っている間にもお焦げはどんどんスープを吸ってふやけていくぞ?」

ジュワジュワ…

女騎士「あ、あぁっ……!」

女騎士「…わ、分かった、分かったから!…お前達の要求を…飲む…だから、もう……くっ!」

オーク「グフフ…最初から素直にしていれば苦しまずに済んだモノを…おい」

オーク兵2「はっ!」ギィ ガシャン

女騎士「!お、おい止めろ!何をする!止めてくれ、触るなぁ!!」

ガチャガチャ ギィ ガシャン…

女騎士「あ…あぁ……」

オーク「グフフ…これで卓上も広くなった。おい、今下げた皿はぬるま湯でしっかりと油汚れを落とす様に伝えてこい」

オーク兵3「はっ、了解しました!」タッタッタッ…

女騎士「貴様ぁ…!あの皿には、まださっきの肉汁が残っていたのに…!」

オーク「そんな物、直ぐに忘れさせてやる…
まずは約束のご褒美だ」ゴトン

女騎士「!これは…まだ餡が掛かってない…だと!」

オーク「先程のはオーク兵達の賄い用だよ」

女騎士「な…貴様、騙したな!」

オーク「グフフ…それより良いのか?それは本当にお前用…早くしなければ今度こそ食感は楽しめんぞ?」

女騎士「…くっ!」トローリ パクッ

女騎士「!」パリッパリッ

女騎士(先程の炊きたてご飯の甘味とほんの少しの苦味…そしてこの圧倒的な香ばしさ!それが噛むほどに口の中で鶏ガラの餡と絡まってほどけていく…!)モグモグ

オーク「グフフ…どうやら気に入った様だな」

女騎士「…くっ、何をされようと私はお前達に屈したりなどはしないぞ!騎士の誇りに掛けて!!」パクパク

オーク「おっともう無くなるな…追加のお焦げと餡掛けだ…どうする?」

女騎士「頂こう!!」ハフハフ



――― 一時間後 ―――


オーク「グフフ…まさか餡掛けお焦げを二杯、どんぶりご飯を三杯もお代わりするとは思わなかったぞ?」

女騎士「や、止めろぉ…言うなぁ……」ケプ

オーク「まだ反抗する気力が有るなら大丈夫だな…
では、次だ」

ちょっと仕事で席を外します

0時過ぎ位に再投下します

女騎士「な!次、だと…もう、これ以上は…入らない…ゆ、許してくれぇ…」

オーク「グフフ、開口一番『殺せ』等と言っていた者の言葉とも思えんな…安心しろ、これが最後だ」コトン

女騎士「…な…!そ、そのトロッとした白いモノは……!」

女騎士「…バニラアイス…デザート、だと!」

オーク「しかもこいつは牧場から直送して貰った物だ…『ジャージーデビル牛』の生乳から作った牧場謹製の品だぞ?」

女騎士「あ、あぁっ…」プルプル

オーク「どうした?もう入らないんじゃあなかったのか?」ニヤニヤ

女騎士「くっ…見るなぁ…見ないでくれぇ……」パクリ

女騎士「!な、何だこれは…」

女騎士(何と云う滑らかな舌触り…固すぎず、柔すぎず…これは大量に空気を含ませてあるからか…だが、これは…?)

オーク「グフフ…気付いたか…そいつには微細な氷を混ぜ込んである」

女騎士「氷…だと!」

オーク「その為、アイスのとろける食感と氷のシャリシャリとした食感を同時に味わう事が出来るのだ」

女騎士「おのれ、小細工を…」ペロペロ

オーク「そして更に…」

女騎士「この上、まだ何かあるのか!」シャリシャリ

オーク「…塩、だ」

女騎士「塩、だと……まさか!?」

オーク「そのまさかだ…そいつには塩も使われている」

女騎士「そんな…」

オーク「小量の塩味によりバニラアイスの甘味がより強く引き出されているのだ…
しかも、その塩は魔界の海水を使いアンデット達が精製した『墓場の塩』だ」

女騎士「くっ!通りで…そしてこの鼻に抜ける濃厚なバニラビーンズの香りとミルクの風味が一緒になって…」モグモグ

オーク「グフフ…」

女騎士「…何だ、何が可笑しい、貴様!」ペロペロシャリシャリ

オーク「なぁに…随分と満足気な顔をしている、と思ってな…」

女騎士「ふざけるな!私は騎士だ!身体を幾ら穢され様とも、心まで穢される事は無い!!」

オーク「そうか…ならば、これを見ても同じ事が言えるかな」

女騎士「そ、それは…!?」

オーク「グフフ…デザートがバニラアイスだけだとでも思ったのか?チョコに抹茶、キャラメル、ストロベリー味…お腹が冷えない様に紅茶も用意してある」

女騎士「く、くっ…」

オーク「穢されないといいなぁ…お前の心とやらが」カチャカチャ コポコポ スッ

女騎士「わ、私は…私はぁ……!!」ゴクゴク

女騎士「絶対に敗けたりはしない!!」プハァ!

オーク「紅茶のお代わりはどうだ?今度はジャム入りだ…」

女騎士「貰おう!!」



――― 一月後 ―――


男騎士「…それで、オーク達は?」

従者「はい、もうじき引き渡しに現れるはずです」

男騎士「そうか、分かった」

従者「…男騎士様、女騎士様は結構な実力者でしたよね?
何でまたオークに捕まってしまったんですか?」

男騎士「あぁ…あの人戦場では敵陣に一人で突っ込む癖があったからな」

従者「癖って…それで良く今まで無事でしたね」

男騎士「まぁ女騎士一人で一個中隊位なら壊滅させれるから問題は無かったんだが」

従者「えー……じゃあ今回は何故?」

男騎士「敵の襲撃が早朝でな」

従者「早朝?」

男騎士「まだ、女騎士は朝食を取っていなかったんだ」

従者「………え、それ理由?」

男騎士「朝食を食べる前に一人で出撃した女騎士はオーク軍の手前で電池切れ。
そのまま捕虜になったらしい」

従者「…男騎士様も同じ部隊に居らしてたんですよね?
その時は何をなさっていたんですか?」

男騎士「朝ごはん食べてた」

従者「……」

男騎士「いや、朝ごはんは大事だぞ?脳と体へのエネルギー補給だし元気の源だし!」

男騎士「それに付け合わせがマッシュポテトだったし!目玉焼きの黄身と混ぜてソースとマヨネーズで食べると旨いんだぞ、知らないのか?」

従者「…いや具体的なメニューはどうでも良いです、聞いてません」

男騎士「そうか?」

従者「でも、オークの国との折衝案外早く終わりましたね?」

男騎士「何だか分からんが、オークの方が急に締めに入ったらしい。女騎士が何かしたのかもしれんな」

従者「オークの捕虜になりながら、ですか?」

男騎士「何せ、向こうの長自らが『申し訳無い』と言い出して来た位だ。恐らくな」

従者「すごいですね」

男騎士「あぁ…だがそれだけに心配だ。オークは欲望に忠実な種族だからな…この一月で女騎士がどんな扱いを受けている事か……」

従者「…無事だと良いですね……」

兵士「男騎士様、只今オーク国からの使者が到着致しました!」

男騎士「!そうか、直ぐに行く!」



―――――
―――



?「おぉ、男騎士!久しぶりだ!出迎え済まないな」

男・従「「」」

従者「…えっと…女、騎士、様…?」

女騎士「ん?あぁ、男騎士の従者君か。
君と会うのは半年ぶり位だな。元気にしてたか?」

従者「えぇまぁ…女騎士様?もお元気そうで…」

女騎士「私はオークに捕らえられて苦渋を舐めさせられていたがな」

従者「そ、そう、でしたね…はは……」

女騎士「まぁ、お陰で少々運動不足気味だよ」

男騎士「運動…不足…?」

女騎士「ん、どうかしたのか?私の顔に何か付いてるか?」

従者「いや、顔に、と言うか…」

男騎士「身体中に、と言うか…」

男・従((全体的にと言うか…))

オーク長「……」

男騎士「!おい!アレはどう云う事だ!?」ダッ ヒソヒソ

従者「何で女騎士様、横に急成長してるんですか!何キロ増しですか!?」ダッ ヒソヒソ

オーク長「いや、その…誠に申し訳無い……
余りに良い食べっぷりだったそうで、つい部下が欲望のままに食事を出していたらしく……」

男騎士「えっ、欲望ってそっちの欲望!?」

オーク長「その上、日に日に量も増えていったみたいでして…気付いた時には……」

従者「…因みに、どれ位食べてたんですか?」

オーク長「何でも最終的には…大体、お茶碗で30杯程を…」

男・従「「」」

オーク長「毎食ごとに」

男・従「「オバQかぁ!!」」

女騎士「どうした男騎士に従者君!さぁ国に帰るぞ!
戻ったら久々に行き付けの店で食事にしよう!はっはっはっ!!」



――― この後、女騎士の働きにより人間国とオーク国は和平を結ぶ事となる

後に女騎士は軍を退役

『女騎士デラックス』として王国TVでCMやMC等をこなし国民的タレントになっていくのだが――

それはまた別の話である ―――


-Fin-

と云う訳で修了です
お目汚し失礼しました
読んでくれた方、ありがとう!

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