【だがしかしSS】ココノツ「凧揚げ」 (15)

トウ「いくぜココナツ! 手を離すタイミングを合わせろよ!!」

ココノツ「うん!」

トウ「せーの!!」 ダッシュ!!

ココノツ「いまだ!!」 パッ

ガガガガガッ!!

ココノツ「豆くん、待って!! すごい地面擦ってる!」

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ココノツ「むしろ土を削る勢いだし! 壊れてない?」

トウ「うーん。なかなか上手く揚がらないな」

サヤ「……何してんの?」

ほたる「こんにちは。いいところにきたわね、サヤ師」

サヤ「夏なのに凧揚げ? 普通、正月とかにやるんじゃ」

トウ「一応、うちの商品なんだけど、今日は風も強いし飛ばせるかなって」

サヤ「そういえば、ずっと店で埃を被ってたような……。結構古くない?」

ほたる「このタイプはやっこ凧ね。絵柄に風情を感じるわ!!」

ココノツ「最近は飛ばせる場所も少ないらしくて、父さんがぼやいてたなぁ」

ほたる「日本だと電柱もあるもの。都会に比べたら、ここはまだマシな方よ!」

トウ「というか、凧ってこんなんだっけ。もっとこう三角でさ」

サヤ「兄貴のはアレでしょ。ゲイラカイト?」

ほたる「ゲイラカイトは、ゲイラ社の作った凧という意味だけど――」

ほたる「日本では三角形の凧の代名詞ね! 輸入されたのは昭和四十九年頃」

ほたる「当時、NASA開発の触れ込みでブームを巻き起こしたらしいわ!!」

トウ「NASA!? マジかよかっけぇ!!」

ほたる「実際は、発明者の所属はその前身の航空諮問委員会だったそうよ!」

ココノツ「それでもすごいですよ。よく知ってるなぁ……」

ほたる「日本の凧も捨てたものじゃないわよ。四角い角凧や、立体凧」

ほたる「地方ごとに特色があって、ハタやイカとも呼ばれるわね!!」

トウ「イカって。駄洒落か!」

ほたる「そういうわけで、サヤ師は私と一緒にこの連凧を揚げるのよ!!」

サヤ「あ、これ幾つも凧を繋げてるんだ。って何でアタシ!?」

ココノツ「サヤちゃんはゲームとか上手いから」

ココノツ「僕たちはどうしよう? このまま続けても微妙じゃないかな」

トウ「俺なんか助走の繰り返しでヘトヘトだぜ……」

ほたる「仕方ないわね。あなたたちには特別に裏技を教えてあげるわ!」 ファサッ

トウ「……何だ、これ。ただの細長い紙だよな」

ココノツ「そういえば聞いたことがあるよ。凧に尻尾をつけると安定するって」

トウ「割と有名な話? 裏技なのか?」

サヤ「高校生にもなって、凧揚げってどうなんだろ」

ほたる「そうおかしな話でもないわよ。大人の参加する競技大会だってあるし」

サヤ「競技? あー、糸を切り合うんだっけ」

ほたる「電気の実験に使われたのも有名ね。感電しなかったのは偶然だけど!!」

サヤ「危ないなぁ」

ほたる「何より昔から地域で親しまれてる。まるで駄菓子のようだと思わない?」

トウ「おー、すげぇ!! マジで揚がった!!」 グングン

ココノツ「豆くん、糸! どんどん伸ばさないと!」 ワーワー

サヤ「……アタシはそこまで駄菓子に思い入れなんてないけどさ」

サヤ「こういうのって嫌いじゃないよ。さ、こっちも負けてらんないね!」

ほたる「サヤ師……。ええ、そのとおりよ!」 ホロリ

ビュウウゥゥ!!

トウ「うわ、何だこの風……。って!」 バッ!!

ココノツ「こんな急に吹きつけるなんて……。ハッ!!」 ババッ!!

サヤ「……」

トウ「(サヤは今日に限ってショートパンツだし!)」 ハァ

ココノツ「(ほたるさんはサヤちゃんがしっかりガードしてる!!)」 ガーン

ほたる「~♪」

ほたる「たまにはこうして童心に返るのもいいわね!!」

ココノツ「……そうですね」

トウ「いつも遊んでる気もするけどな」

サヤ「童心ねぇ。ふん、どうだか」 ケッ

ココノツ「はは……」

いつまでも少年の心を失わないココノツだった。



おわり

>>3
× トウ「一応、うちの商品なんだけど、今日は風も強いし飛ばせるかなって」
○ ココノツ「一応、うちの商品なんだけど、今日は風も強いし飛ばせるかなって」

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