ヴラド三世「吸血鬼を許さん」暴君ヴァルバトーゼ「レベル1から鍛え直すが良い!」 (22)


あらすじ

・ぐだ子に命令してドラキュラの元になったモノを抹殺しようと時代を飛びました。


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マシュ「手掛かりはゼロです。ドクター、そちらはどうですか?」

Dr.ロマン『う~ん、いくつかの魔翌力反応はあったけど。ドラキュラという物語を固定する力があるかと言えば――』

ヴラド三世「……」

Dr.ロマン『が、頑張ってますからね!』

ヴラド三世「――いや、良い。貴様たちの献身は、余も理解している」

ヴラド三世「ただ、どうする事もできぬ己が歯痒いだけだ」


キャァァァァァァァァァ


マシュ「え」

ヴラド三世「今のは――女の悲鳴か」

Dr.ロマン『一瞬だけど強い……強すぎる魔翌力反応があった。マシュ、様子を見に行った方がいいだろう』

ヴラド三世「余も行こう。さて――吸血鬼であるといいのだが」

Dr.ロマン『マシュ。ぐだ子ちゃん。十二分に気をつけて。いやな予感がする』

マシュ「了解です。ドクター」


女性「――ッ……ッッ」

暴君ヴァルバトーゼ「む」

――血塗れ王鬼(カズィクル・ベイ)――

無数の材質を取り込み、杭として放出するヴラド三世の宝具を、暴君ヴァルバトーゼは苦も無く防いだ。

しかしブラド三世は、攻撃の手を緩めない。

手に持つ槍を暴君ヴァルバトーゼの死角から攻撃する。が、槍の柄の部分を鷲掴み、右手でブラド三世の腹部へ拳を近づける

ぐだ子「強制回避!」

令呪による回避。

これにより致命的な一撃をヴラド三世は、間一髪で回避することに成功した。

sagaを忘れてた……orz



暴君ヴァルバトーゼ「ほう。これを回避するか。人間界の者の割にはよくやる」

ヴラド三世「――むぅ」

マシュ「先輩。さきほどの判断は流石です」

マシュ「ですが、気をつけて下さい。目の前の吸血鬼は今まで敵対した誰よりも間違いなく強いです」

ぐだ子「分かってるよ、マシュ」


Dr.ロマン『……ぐだ子ちゃん。撤退できそうかい』

ぐだ子「できるならしてます」

Dr.ロマン『あー、うん、そうだね。強制的に戻したいんだけど、なぜか出来ない。たぶんキミ達の前にいる吸血鬼の影響だろう』

Dr.ロマン『こちらの調べでは、目の前の吸血鬼のレベルは二十七祖並かそれ以上、もしかしたら『魔王』と呼ばれる堕ちた真祖レベルかもしれない。残念だけどマシュとブラド三世のみの編成では、勝てる見込みは0に近い』

ぐだ子「二十七祖って?」

Dr.ロマン『最初に真祖から独立した、死徒のなかで最も強い力を持つ二十七体の祖のことさ。詳しい説明はその場から離脱できてからだ』


ヴラド三世「吸血鬼。貴様を斃す」

暴君ヴァルバトーゼ「いいだろう――。相手になってやる」

暴君ヴァルバトーゼ「だが! 俺を斃せなければ、偽りを騙った貴様には命をもって償ってもらうぞ」

ブラド三世「望む所よ」

Dr.ロマン『いやいや望まないで下さいよ!?』


――暴君の一撃――

暴君ヴァルバトーゼの背後から、人外の巨大な腕が現れて、横一文字に振る。

地面は削られ、発生した衝撃波が発生する

マシュ「先輩!」

――時に煙る白亜の壁――

マシュはぐだ子の前に立つと、地面に盾を突き刺して防御。

暴君ヴァルバトーゼの一撃を凌いだ。


マシュ「ハァハァハァ……。だ、大丈夫、ですか、先輩」

ぐだ子「うん。マシュも大丈夫?」

マシュ「はい。ですが、さきほどの一撃は、まるでAランク宝具並の衝撃でした。あれが本気でないのでしたら、恐ろしい限りです」

ぐだ子「……逃げられそう?」

マシュ「――……」

ぐだ子「そうだよね。まずブラド三世は退かないよね」


ブラド三世の持つ槍と、暴君ヴァルバトーゼが持つ魔剣が、激しく、音と、火花と、魔力をぶつけあう。

ただ誰がどう見てもブラド三世が劣勢である。

謂うならばスペックの違い。

並の悪魔であればブラド三世ならば余裕だろう。

しかし相手は吸血鬼族の王。恒星をも破壊する圧倒的な魔力を持ち、そのレベルとスペックは最強と名高い魔王ゼタにも匹敵するほどである。

ブラド三世「――グ」

暴君ヴァルバトーゼ「どうした。もう終わりか」

ブラド三世「まだ、まだよ」


Dr.ロマン『――まずい』

マシュ「劣勢なのは分かってますが、割って入る瞬間がありません」

Dr.ロマン『いや、そっちもだけど、もっとまずいことがある』

マシュ「え」

Dr.ロマン『スコットランドヤードがそっちに向かっている。たぶん住人が通報したんだろう』

Dr.ロマン『それから時計台からも何人かそちらに向かっている反応がある。もしかしたらスコットランドヤードから要請された魔術師かもしれない』

マシュ「確かにマズイですね」


バサバサバサバサバサ

一匹のコウモリが暴君ヴァルバトーゼの肩に乗る

暴君ヴァルバトーゼ「こちらに人間共が向かってるか」

暴君ヴァルバトーゼ「ちょうどいい。ついでだ。悪魔の本懐を遂げるとしよう」

ブラド三世「悪魔の本懐――だと」

暴君ヴァルバトーゼ「そうだ。元来、悪魔とは、人間に恐怖や畏れを与え、戒めるべき存在だ。それが均衡を保つためでもある」

暴君ヴァルバトーゼ「もしも貴様が、この一撃――耐えることが出来たら今回は見逃してやろう」


暴君ヴァルバトーゼの身体は無数のコウモリとなり天高く昇る

ブラド三世(逃げる訳ではあるまい。それはさっきの戦いで分かった)

ブラド三世(なら、狙いは――)

無数のコウモリが飛んでいく方向には、いつのまにか月が出ていた。

血のように、紅い、朱い月、が、そこにあった

そしてその月を背後に存在する一体の異形。


――魔帝・フルークフーデ――


両腕の手の甲に計りしれない魔力が凝縮されていき、一気に放出。

魔帝・フルークフーデの圧倒的な魔力の衝撃波がロンドンを襲った。

世界が黒い魔力に破壊されていく感覚。

ぐだ子の視界は、ブラックアウトした。



……。…………。い。せんぱい

ぐだ子「マシュ……? ここは私の部屋? 私たちは生きてる?」

マシュ「はい。なんとか宝具を展開するのが間に合いました」

マシュ「ただロンドンは現在悲惨な状況です。暴君ヴァルバトーゼが残した爪痕は大きいです」

ぐだ子「もしかしてドラキュラ伝説が強化されたとか?」

マシュ「可能性はあります。もしかしたらドラキュラが、魔帝・フルークフーデのようなのに変化する可能性もゼロではありません」

ぐだ子「……勘弁して欲しい」

マシュ「同意します」


ぐだ子「そう言えばブラド三世は?」

マシュ「――なんとか生き延びてますがダメージは大きく、しばらくの休息が必要と言う事です」

ぐだ子「あんな化物相手に生き延びただけで十二分だよ」

マシュ「ただ、いつかまた再戦する気が満々らしいですが」

ぐだ子「……」

ぐだ子「そっか。らしいといえばらしいかな」

マシュ「先輩?」

ぐだ子「ブラド三世は重傷みたいだから、エリザベートを召喚して看病させてあげようと思ってさ。うん。エリザベートは慕ってるから、看病してくれるはず。うん」

マシュ「え」

ぐだ子「ブラド三世も、エリザベートに看病されたらきっと良くなるよ。そう、いつかは、きっと――ね。そうしたら、またあの吸血鬼に挑めば良いよ」


こうしてエリザベートに看病されることになったブラド三世が、前線に復帰できたのは少しだけ(とうぶん)先の話。







幕間の物語を見ていて思いついた一発ネタです。

全盛期の暴君ヴァルバトーゼ閣下は本当に強いと思います。

月姫がでたらアルクェイドとヴァルバトーゼのを書いてみたいです

……いつになったら月姫は出るんだろうネ

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