ドラえもん「親友テレカの秘密…?」 (17)


ドラえもん「ハハハ、秘密なんてないよ!」


今でも覚えている嘘がある。

22世紀で流行っている、とある番組のインタビューで、親友テレカについて聞かれた時だ。


猫型ロボットとして生産され、学校で色々やらかしたことも含めてそれなりに有名だった僕は、『ドラえもんズ』の代表としてその番組に出演した。


番組は様々な場所で活躍するロボットに対して人間がインタビューするという内容。

客席に『ザ・ドラえもんズ』の残りのメンバーが応援に来てくれたこともあり、終始和やかなムードで進行した。


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司会「……ハッハッハ! で、とうとう頭の上で爆発しちゃったと」

ドラえもん「アハハハ、あの時は本当に死んじゃうかと思ったよ」

司会「よかったねぇ、ドラリーニョと一緒で」

ドラえもん「ドラリーニョったら、ケロッとしてるんだもんなぁ」

司会「とところでドラえもん、君は『ザ・ドラえもんズ』のリーダーだったよね?」

ドラえもん「? そうだよ?」

司会「不滅の友情を誓った7人の猫型ロボットチーム……ロボット学校での君たちはかなりやんちゃだったみたいだけど、活躍は聞いているよ」

ドラえもん「えへへへ……」テレテレ

司会「その『ザ・ドラえもんズ』結成のきっかけになった、親友テレカについて聞きたいんだけど」

ドラえもん「ああ、これだね!親友テレカ―!」


四次元ポケットから取り出したテレカは、まばゆい黄金色の輝きを放った。


ドラえもん「不滅の友情を誓い合った人だけに与えられる、伝説のひみつ道具なんだ!」

司会「んー、初めて本物を見たが素晴らしい輝きだね」

ドラえもん「なんたって、世界に七つしかないんだもん!」

司会「そうだね。伝説のひみつ道具、というからには何か、とっておきの機能でもあるのかい?」

ドラえもん「えーっと、メンバーのピンチが分かったりとか、無制限のテレホンカードとして使えたりとか……」

司会「んー、割と普通だね。何か秘密が隠されていたりとかは?」

ドラえもん「ハハハ、秘密なんてないよ!」



はっきりと覚えている。

僕は大嘘をついた。


そっと客席の方を見ると、ドラえもんズメンバーが顔を僅かにこわばらせていた。

テレパシーカードの略やぞ


親友テレカとは言うならば悪魔のパスポート。

こうして『真実』を知った僕たち『ドラえもんズ』は、また一人、また一人と22世紀から姿を消していった。


ドラえもん「僕は…」


だが、幸いにも、これで本当の意味での『親友』を取り戻したことになる。


これから僕はネコ型お世話ロボットとして過去の時代を生きなければならない。

願わくば誰一人としてこの真実にたどり着くことのないように、願わくばまたいつか『親友』たちと巡り合えるように。


僕はこの『真実』を心の奥底に閉まっておくのであった。


おわり


司会「ハハハ……、っと、思わず話しすぎてしまったね。そろそろお別れの時間だ! 今日のゲストは、新進気鋭のロボットチーム、『サ・ドラえもんズ』から、ドラえもんをゲストに迎えてお送りしました!」

ドラえもん「あー楽しかった!どうもありがとう!」

司会「次回はあの国民的アイドル、ミーコちゃんが来ますのでお楽しみに! それではまた来週!」


そして、メンバー以外には気づかれない程度の違和感を抱えながら、番組は終了した。

控室に戻る足取りは重かったが、それでも話さなければならないと思った。


ドラえもん様と書かれた部屋のドアを開ける。


キッド「おっせーよドラえもん!どら焼きが冷めちまうぜ!」


開口一番そう怒鳴ってきたのはドラ・ザ・キッド。

アメリカ暮らしのカウボーイで、妹のドラミと付き合っている。


口の周りに付いたケチャップとマスタードを見る限り、この短時間で既に数個のどら焼き(ケチャップ・マスタードがけ)を平らげたらしい。


王ドラ「さて、いつかは来ると思っていましたが。親友テレカについて話さなくてはいけませんね」


彼は紅い服を身に纏った中国在住の猫型ロボット、王ドラ。

現在もクンフーのため、中国各地を飛び回っている。

>>3
メンバー限定で、無制限のテレフォンカートとしても使えます。
テレカがテレパシーカードの略なのは間違いないです


ドラリーニョ「ぼーくはサッカー出来ればなんでもいいよーん!」


リフティングをしながら上機嫌な黄緑色の猫型ロボット。

ブラジルの若きスーパーストライカーこと彼、ドラリーニョはサッカー選手だ。


ドラえもんズ1の運動能力の持ち主だが、純真無垢でもの忘れが激しい。

ポケットにはいつでも試合が出来るようにミニドラ軍団を収納している。


マタドーラ「全く、オレ様を見習って少しは落ち着いたらどうだ? さぁて、シエスタ、シエスタ……」


薔薇を咥えながら横になったのは、スペインの闘牛士、エル・マタドーラ。

『ひらりマント』の随一の使い手で怪力を誇るが、昼寝をしないと力が出ない低燃費だ。


ドラメッド「我輩もタロットカードで占ってみるのでアール」


サウジアラビアのドラメッド三世は魔法使い。

タロット占いを得意とし、怒ると巨大化もする万能ネコだが、砂漠出身だからかいかんせん水が苦手。


ドラニコフ「がうっがうっ」


蒼いマフラーで口元を隠す最後のネコは、ロシアの謎多き狼、ドラニコフ。

丸いものを見ると狼男となり凶暴化し、辛いものを口に含むと火を吐くことが出来るが、普段は心優しいネコだ。


ドラえもん「全員、揃ってるようだね」


僕は、ゆっくりと口を開いた。

低燃費って消費する燃料が少ない割に機能が持続することじゃなかったっけ
普通の車が1リットルの燃料で時速10キロで1日走れるとしたら、低燃費だと2日走れるみたいな感じで

>>10そうですね、

×低燃費
〇燃費が悪い です


ドラえもん「親友テレカの『公開している』使い方については、もう言わなくても分かるよね。仲間のピンチを知らせるほかに、親友テレカ同士を合わせるととてつもないパワーを発揮する」

王ドラ「ええ、僕たちはそれで色んな試練を乗り越えてきましたからね。アチョーッ!」

ドラえもん「問題は、何故このカードにここまでの力が秘められているかなんだ。僕たちがこのカードを手に入れた魔宮での冒険の事は、皆誰にも話してないよね?」

キッド「へっ、道中でのことなんざ覚えてねぇよ。何度も死ぬかもしれないと思ったけどな!」

ドラえもん「そう。あの迷宮は、『何千年前に作られたにも関わらず、僕たち7人がほぼすべてのひみつ道具を使わないと突破できないくらい』、危険な場所だったんだ」

マタドーラ「むにゃ?……つまり……」

ドラメッド「明らかに、オーバーテクノロジーなのであーる!」

ドラえもん「うん。あの時代ではとても作れない罠ばかりだった。あの時はとても、そんなこと考えてる余裕はなかったけどね」

ドラリーニョ「それでも親友テレカがゲットできたんだからいいじゃなーい!ほっ、ほいっ、よっ!」

ドラニコフ「がうっがう」

ドラえもん「あの迷宮の奥に供えられていた程のカードが、ただのテレパシーカードなわけない!」

王ドラ「?!」

キッド「な、なんだって?」

ドラえもん「そう思って調べてみたんだ。元々資料なんてないも同じだったけど、ようやくそれらしきものにたどり着いたよ」


キッド「あん?『スーパーひみつ道具』?」

ドラえもん「そう。タダでさえとんでもない機能がそろった数々のひみつ道具を遥かに超えた、7つのひみつ道具に関する文献だよ」


広げたのは古い冊子。

黒く干からびた表紙の上に、あからさまな『禁』という札が無造作に貼りつけてあった。


王ドラ「こんなの、どっから見つけてきたんですか?明らかに違法っぽい匂いがするんですが……」

ドラえもん「国立図書館の閲覧禁止の棚を、ちょっとね」

ドラリーニョ「へ―――――!スゴ―――――イ!」

ドラメッド「ドラリーニョ! 感心してる場合か! これは、これはもう、いたずらでは済まない……」

ドラえもん「うん。多分バレたら廃棄もあるかもしれないね」

ドラリーニョ「え――――!ドラえもん壊れちゃダメエ!!」

マタドーラ「まあ見るだけだったらひみつ道具使えばどうにか……、でも取ってきたのはまずいだろ」

ドラニコフ「がうっ!」

ドラえもん「うん、でも、この本はこれからの道しるべになる気がするんだ」

キッド「道しるべ?」

ドラえもん「見て。番組の仕事を受けた数日後に、これが僕のとこに送られてきた」

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