提督「夜戦と聞いてティッシュ用意しようとするのは戦艦としてどうなんだ榛名?」 (49)

R-18、キャラ崩壊、地の文注意

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榛名「提督こちらの書類上がりました」

提督「そうか。うん、問題はなさそうだな。榛名はいつも仕事が速くて助かる」

榛名「これくらいどの艦娘でも同じですよ」

提督「そういうもんか? まあいいや今日の仕事はここまでだ」

榛名「えっ? まだヒトマルマルマルを過ぎたばかりですが」

提督「今日は夜戦するからな。備えて眠っておけ」

榛名「や、夜戦ですか!?」

提督「ああ、夜戦だ」

榛名「そそ、そんな榛名はまだ心の準備が……」

提督「は?」

榛名「どどど、どうしましょう!? ええっと、てぃ、ティッシュを用意しないと!」

提督「ティッシュなんて何に使うつもりだ?」

榛名「それは……な、何に使うんですか!?」

提督「いや俺に聞かれても」

提督「俺は川内が夜戦夜戦と毎晩うるさくて眠れないと他の艦娘から苦情が来てるから、連れていってやろうと言ってるんだぞ?」

榛名「えっ、あっ……」

提督「お前、なんだと思ったんだ?」

榛名「えぅ、あぁの……」

提督「はぁ、なあ榛名。お前は戦艦だろう?」

榛名「は、はい」

提督「それが夜戦と聞いて真っ先にティッシュ用意しようとするってどうなんだ?」

榛名「う、あ……」

提督「もういい。そういうことだから今日はもう下がって寝てろ。フタフタマルマルに出撃ドックに集合だ」

榛名「はい、わかりました……」

提督「やれやれ」

榛名(提督に呆れられてしまった……! 戦果を上げて何とか汚名挽回、じゃなくて返上しなければ!)

川内「夜戦だ~! 夜戦夜戦~!」

嵐「夜だってのに元気っすね川内さんは」

萩風「うぅ、夜戦なんて大丈夫かしら」

時雨「心配要らないよ僕がいるしこの鎮守府で1番練度が高い榛名さんだって付いて来てくれるんだ」

江風「ンっ、この江風だってついてンだから心配いりゃしねぇって」

榛名「はい、榛名がいれば大丈夫です」

提督「悪いなお前らそれに付き合せてしまって」

川内「それって何よ~私は夜戦が本業なんだからしたがるのは当然でしょ?」

提督「度が過ぎてるんだよお前は! 今日出してやるんだからしばらくは大人しくしろよ?」

川内「満足できたらね~」

江風「付き合わされてンのは提督の方だろう? ごくろ~さン」

提督「まあ嵐と萩風の苦手意識を払拭するためにもな」

萩風「すいません提督」

嵐「やっぱ夜は落ちつかねぇんだ」

提督「しょうがないさ。今は戦力も整っているし徐々に慣れていけばいいよ。時雨、榛名。川内のストッパーと2人のエスコート頼んだぞ」

時雨「了解」

榛名「はい! 榛名にお任せください!」

川内「榛名さんも気合入ってんね。もしかして意外に夜戦好きとか?」

榛名「いやそんなことは……」

提督「なんだ、根つめすぎないようにな? 俺は気にしてないから」

榛名「はうっ!」

嵐「気にしてないって何のことだ?」

江風「なンか提督とあったんです?」

榛名「何もないです! ほら、早く行きましょう!」

川内「あっちょっと、今日の旗艦私だって~!」

提督「本当に大丈夫なんだろうな?」

榛名(気にしてないってわざわざ言うってことは、気にしてるってことですよね。あぁ、榛名はなんであんなことを)

嵐「ちょいちょい、榛名さん! 陣形乱してる!」

榛名「はっ、すいません!」

萩風「あの、どこか不調なら無理せず言ってくださいね」

時雨「今ならまだ引き返して別の誰かと交代できる距離ですから」

榛名「お心遣いありがとうございます。ですが、榛名は大丈夫です」

榛名(今は後悔してる場合じゃないのにまた無様を晒して。挽回しないと!)



川内「獲物見っけ! えっとル級の、目から炎が出てるから改フラグシップとあとはイ級3にリ級1!」

嵐「うわっ、結構キツそう」

萩風「戦艦の改フラグシップだなんて私達だけじゃとても」

江風「榛名さんがいてくれてほンとによかった」

時雨「夜戦なら僕らでも十分勝てそうだけどね」

榛名(早速見せ場が来ました! 皆さんをお守りして名誉を!)

提督『川内、敵は5隻なのか?』

川内「ん~確認できる船影はね」

提督『そうか。各位、伏兵に気をつけて進行しろ! 嵐、萩風、潜水艦探知を厳に! 川内、お前の夜偵が頼りだ。索敵は怠るなよ』

川内「は~い」

嵐「了解っと。ソナーつけてくりゃよかったかねぇ」

萩風「夜に出てこられたらソナーがあったとしても対処は難しいわ」

川内「私が引きずり出してぶっ潰すから安心して」

江風「ンな無茶な」

川内「敵を目視できる位置についたよ」

提督『よし。榛名、そこからル級を狙えるか?』

榛名「ここからでは少々難しいかと」

時雨「もう少し近づくべきかな?」

嵐「だけどこれ以上は発見される危険が大きいぜ? 身を隠せる岩もなくなるし」

榛名「提督、意見を具申しても?」

提督『聞こう』

榛名「榛名が囮になります。川内さんが照明弾を上げると同時に榛名が仕掛けますので、その隙に皆さんは側面へと回りこんでください」

萩風「そんな、危険です! 一斉攻撃を受けますよ!」

榛名「榛名の装甲ならル級の砲撃にさえ気をつけていれば問題ありませんよ」

江風「伏兵がいるかもしれないンですよ?」

榛名「それを炙り出すためにもです。榛名なら耐えきることができます」

嵐「提督、どうする?」

提督『いけるんだな榛名?』

榛名「はい!」

提督『わかったそれでいこう。合図と同時に川内が照明弾、榛名が突撃。他は川内、江風と時雨、嵐、萩風に分かれて側面へ回り込み敵を叩け』

川内「了解。頼んだよ榛名さん」

榛名「ええ、皆さんは榛名が守ります!」

提督『1、2、今だ!』

川内「っ!」ドンッ

ル級「!」

榛名「主砲、砲撃開始!」

提督『散開!』

川内「私の分残しといてよ榛名さん!」

時雨「すぐに援護に入るからそれまで耐えてください!」

榛名「榛名、全力で参ります!」

榛名(皆さんが来る前に1番厄介なル級を沈めておけば!)

ル級「……」スッ

榛名「逃げるの!? 待ちなさい!」

提督『待て榛名! 深追いするな!』

江風「榛名さン!?」

ル級「……」

榛名「このっ、勝手は! 榛名が! 許しません!」ズドン

ル級「……!」

榛名「やった! これで榛名の名誉も――」

時雨「榛名さん後ろ!」

榛名「えっ」

レ級「……」

榛名「うそっ……」

榛名(戦艦レ級? 囮に引っかかったのは榛名の方だった……?)

レ級「……」ガチャ

江風「榛名さン逃げて!」

榛名(いくら高速戦艦でもこれはもう。提督、申し訳ありません――)

「イヤーッ!」力強いシャウトが響いたかと思うと榛名の体は強い力によって引き倒された。一瞬前まで榛名の胸があった場所をレ級の砲弾が貫いていく。「イヤーッ!」再びのシャウトと共に榛名の体は強い力によってレ級から引き離されていく。入れ替わるように前に出て行くのは――


「ドーモ、レキュウ=サン。センダイです」川内であった。「ドーモ、センダイ=サン。レキュウです」オジギを繰り出した川内に対してレ級もまたアイサツを返す。アイサツは絶対の礼儀。オジギをされれば、必ず返さねばならぬ。古事記にもそう書かれている。


「一体何が……」何が起きたのかわからず混乱する榛名だったが、ふと自分の首に何かの布が巻き付いていることに気がつく。それは川内の首に巻かれているマフラー!ミツビシ社製である!


読者の皆様に艦娘動体視力をお持ちの方がお気づきだろう。川内は榛名が砲撃を受ける一瞬前に自らの首に巻かれたマフラーを榛名の首に巻きつけて引き倒したのだ! そして榛名を手繰り寄せると同時にその反動を使い榛名と自分の位置を入れ替えたのだ! ワザマエ!


「伏兵とは卑怯な」「そちらが言えた口か」向かい合う川内とレ級が互いの作戦を非難し合う。両者ともアンブッシュを仕掛けようとしたのは同じ。どちらも同じ穴のラクーンということだろうか。


「他の深海棲艦は全て沈めた。あとはオヌシだけだ」「アタイをあんなサンシタ共と一緒にするな。アタイはシンカイ・ビッグセブンだ!」「吠えるだけならバイオ水牛にでもできる」力を誇示するような威圧的なレ級の宣言に対して川内は不敵に笑う。そして2人はカラテを構えた。榛名の首からマフラーが抜け落ちるのを合図に同時に海を駆ける!


「イヤーッ!」先に仕掛けたのはレ級だ。カラテ16inch三連装砲が火を噴く! 当たればネギトロ必至! 「イヤーッ!」川内は伏せて回避! 「イヤーッ!」「ンアーッ!」そのまま川内は伝説のカラテ技サマーソルトキックでレ級の体を吹き飛ばす! レ級の体は宙に舞ったが川内のカラテ蓄積が足りなかったためまだ息がある。


「イヤーッ!」「ンアーッ!」川内は宙に舞ったレ級の右肩を目掛けて魚雷ダートを放つ! KABOOM! レ級の右肩が爆発! 吹き飛んだ腕が水底へ沈んでいく


「イヤーッ!」「ンアーッ!」川内は宙に舞ったレ級の左肩を目掛けて魚雷ダートを放つ! KABOOM! レ級の左肩が爆発! 吹き飛んだ腕が水底へ沈んでいく


「イヤーッ!」「ンアーッ!」川内は宙に舞ったレ級の右腿を目掛けて魚雷ダートを放つ! KABOOM! レ級の右腿が爆発! 吹き飛んだ足が水底へ沈んでいく


「イヤーッ!」「ンアーッ!」川内は宙に舞ったレ級の左腿を目掛けて魚雷ダートを放つ! KABOOM! レ級の左腿が爆発! 吹き飛んだ足が水底へ沈んでいく


「ハイクを詠め。ライゲキしてやる」四肢を失い陸揚げされたマグロめいて海面に浮かぶレ級に近づき川内が言う。レ級の血で赤黒に染まったその姿は殺戮者めいている! コワイ!


「イツカ、タノシイウミデ、イツカ……」「イヤーッ!」「サヨナラ!」ナムアミダブツ!魚雷ダートがレ級の首を直撃し吹き飛ばす! 一瞬後、魚雷ダートの爆発を圧するほどの威力でレ級の体は爆発四散した。

川内「大丈夫だった榛名さん?」

榛名「は、はい榛名は大丈夫です……」

嵐「ひやひやしたっすよ」

萩風「はい。榛名さんが沈んでしまったら私余計に夜が嫌いになってしまうところでした」

江風「少し焦りすぎですよ。あんな見え見えの誘導に引っかかるなンて」

榛名「すいませんでした……」

時雨「残存敵影なし。川内さん!」

川内「付近にも見当たらないね。提督終わったよ」

提督『ああ』

榛名「提督、榛名は……」

提督『気にするな……とは言えないな。お前の行動で隊全体が危険に晒されたんだそれはわかっているな?』

榛名「はい……」

提督『ならいい反省して次に活かせ。川内、ご苦労だった。各位索敵を怠らずに帰投しろ』

川内「りょ~かい。はぁ、久しぶりの夜戦楽しかったなぁ」

嵐「あれを楽しいとか言っちゃうのはちょい怖いっすよ川内さん」

萩風「ちょっとやりすぎな気がしました」

江風「ていうか血が臭いンですけど。寄らないでください」

時雨「帰ったらすぐシャワーで落としてくださいね」

川内「活躍したのにこの言われようは何!?」

榛名(こんなんじゃ榛名は……)

榛名「うぅ~! これじゃ榛名は提督に嫌われちゃう~! 無能淫乱戦艦だって軽蔑される~!」

霧島「無能淫乱戦艦って」

榛名「うわ~ん!」

霧島「ああもう鬱陶しいわね、泣くなら自分の部屋で泣いてくれる?」

榛名「うあ~! 霧島にも嫌われた~!」

霧島「嫌ってないから! ほんとにもう! ほら、顔がひどいことになってるからティッシュで拭きなさい」

榛名「ティッシュ……こんなもの!」バコッ

霧島「こら! なに箱を潰してるの! やめなさいってば!」

榛名「こんな、ティッシュなんて!」

霧島「ティッシュに八つ当たりしない! ティッシュがなければ別のもので代用してただけでしょ」

榛名「じゃあこの世から拭く物が全部なくなればいい!」

霧島「あのねぇ、子供みたいなこと言わないでよ」

榛名「だってぇ」

霧島「落ち着いて。そうじゃなきゃ話もできないわ」

榛名「うん……」

霧島「で、なんでそんなことを言ってしまったの?」

榛名「提督から夜戦するって言ったのよ? そういう想像するのは当たり前じゃない!」

霧島「そう、無能かどうかはともかく淫乱なのは間違いないみたいね」

榛名「慕っている人からそういうこと言われたら期待するのは当たり前でしょ!?」

霧島「夜戦をそういうことの隠語だと思ってること自体が淫乱だって言ってるの!」

榛名「うっ」

霧島「大体夜戦に備えて休んでおけって言い方からしておかしいと思わなかったの? 休んでるときにするものでしょ?」

榛名「明日も執務やら色々とあるし!」

霧島「今日の分の色々を投げてまで備えようとしたと、そう思ったの?」

榛名「うぐっ」

霧島「榛名の思う司令はそういう人だと?」

榛名「そんなことっ!」

霧島「でも実際そう思ったから言ったんでしょう?」

榛名「うぅ……」

霧島「下世話な話になるけれど、溜まってるの?」

榛名「秘書艦の仕事が忙しくて」

霧島「はずかしいと思うかもしれないけど処理するのは大切なことよ。だから軍もわざわざ慰安所なんて立ててたんだから」

榛名「わかってるわ」

霧島「人間の体になった以上生理現象でパフォーマンスが落ちてしまうのは仕方がない。それを管理するのだって私達の仕事――」

榛名「わかってるってば!」

霧島「じゃあなにすればいいかわかるでしょう?」

榛名「ナニするのにも今は提督に軽蔑される想像が頭を過ぎってできないのよ!」

霧島「はぁ?」

榛名「もし提督に榛名がこんなことしてるのがバレたらって思ったら怖くて」

霧島「提督だって子供じゃないんだからみんなが生娘だなんて思ってないわよ」

榛名「自分でそういうことしてるって思われるのがいやなのよ!」

霧島「提督だって気づいてると思うけどねあなたの気持ちくらい」

榛名「そんな、今まで匂わすようなことは1度だって!」

霧島「仮に1度もなかろうが昨日のことで完全にバレたわよ」

霧島「もうこうなったら司令を篭絡するしかないわね」

榛名「ろ、篭絡!?」

霧島「司令のこと好きなんでしょう?」

榛名「す、好きだなんてそんな」

霧島「今更カマトトぶらないでうざいから」

榛名「えっと、霧島怒ってる?」

霧島「散々一応の姉の痴態を聞かされた挙句に下らない相談をされて、ぶん殴られないだけありがたいと思いなさい」

榛名「下らないって……」

霧島「うだうだ言ってないでさっさと押し倒せばすむ話でしょうが!」

榛名「お、押し倒すだなんて! そんな、できないわ! 女は貞淑に――」

霧島「いつまで一世紀前の価値観引きずってるの!? 女が待つ時代は終わったの! 今は女から攻めて行かなきゃ!」

榛名「自分から攻める……」

霧島「司令が自分から迫ってくることはきっとないわ。部下と男女の関係になることが不適切なことだとわからない人じゃないもの」

霧島「そんな相手をその気にさせるなら、自分から行かないとどうしようもないでしょう?」

榛名「だけど榛名は……」

霧島「もういいわ。そうやってそこでずっと、でもでもだってって言ってなさい」

霧島「司令を慕っている艦娘は他にもいるわ。金剛お姉さまだってそう、あんなに精一杯アピールしてるのにあなたと来たら!」

霧島「自分では何も行動しないくせに相手からの好意だけ要求して、待ってれば王子様と結ばれるおとぎ話の主人公にでもなったつもり?」

霧島「残念だけど現実はそんなに甘くはないわよ。私もあなたみたいなうじうじしてるのより、金剛お姉さまのようにひたむきに恋と向き合ってる人を応援したいわ」

榛名「き、霧島……」

霧島「それが嫌なら、行動しなさい。お姉さまにも誰にも負けないくらい司令に好きだという思いを見せ付けるの」

榛名「榛名にできるかしら?」

霧島「できなきゃ一生ティッシュは自分のを拭くのに使うことになるだけよ」

榛名「うぐぐ、それは嫌だ」

霧島「じゃあ行きなさい。押し倒して突っこむだけの簡単な作業でしょ」

榛名「だから押し倒すのはなしだってば!」

榛名「はぁ、そうよね。待ってるだけで提督の好意を受けようなんて、甘えていたわ」

榛名「榛名は選ぶ側ではなく選ばれる側、なら選ばれるように努力をしなきゃ!」

榛名「でも、そうすると金剛お姉さまが……」

比叡「金剛お姉さまがどうかしましたか?」

榛名「比叡お姉さま!」

比叡「聞きましたよ榛名、昨日の夜戦で失態を演じたとか」

榛名「申し訳ありません、金剛型の威光に泥をぬるような真似を!」

比叡「威光だなんてそんなのはどうでもいいんです。榛名がそんな失態を犯すなんて珍しいなと思いまして」

比叡「今見てみれば元気がなさそうですし、何かあったんですか? 金剛お姉さまも心配なさっていましたよ」

榛名「え、えっと……」

榛名(比叡お姉さまは色恋には疎そう……いえ、いつも提督に恋でも負けないなんて言ってますし意外と知識はお有りなのかも!)

榛名「実は、お恥ずかしい話なのですが……」

比叡「ひえー! 司令にエッチなことを言ってしまったんですかぁ!?」

榛名「お姉さま! 声が大きいです!」

比叡「あぁ、すいません。それを気にして実力が出せなかったわけですね」

榛名「提督に榛名の想いが完全にバレてしまってどうすればいいのかと悩んでいて」

比叡「ふむふむ、なるほど~」

榛名「霧島に相談したら提督を押し倒せばいいなんて言われて」

比叡「あの子もずいぶん過激な発言をしますね。艦隊の頭脳になりたいなんて言ってるのに」

榛名「榛名がうじうじ悩んでて怒らせてしまったからですよ。けれど一理あると思ったんです、押し倒すのは行き過ぎでもアピールはしなくてはいけないなって」

比叡「お姉さまのようにですね」

榛名「そうなんです、その金剛お姉さまのことが気がかりで。恋敵になってしまいます」

比叡「う~ん、金剛お姉さまは司令にバーニングラブですからね」

榛名「お姉さまと争ってまで提督のご寵愛を受けようとするなんてこと榛名には……」

比叡「榛名がそう思うなら涙を飲んで諦めるしか――」

比叡(いや待ってください。それはもしかするとお姉さまもなのでは? お優しいお姉さまのこと、榛名と争うことになればきっと心を痛めるはず)

比叡(妹思いのお姉さまなら榛名と恋敵になってしまうとわかれば身を引くのでは。きっとそう、そうに決まってる!)

比叡(そうなれば榛名は司令とねんごろになれるし、傷ついたお姉さまを優しくお慰めすればお姉さまは私に……ひえー! なんて明るい未来なんですか!)

榛名「そう、ですよね。榛名がお姉さまに敵うわけもありませんし」

比叡「いいえ榛名、諦めてはいけませんよ」

榛名「えっ?」

比叡「榛名の司令への思いはそんなものなんですか? 何気ない一言をお誘いの言葉だと勘違いしてしまうほどに強い思いなのではなかったんです?」

榛名「そうです、けれど」

比叡「戦う前から諦めてどうするんですか! 榛名だってお姉さまに負けないくらい可愛らしいと私は思いますよ!」

榛名「か、可愛いだなんて、やめてください」

比叡「私達は戦艦、世界最強とも謳われた栄えある第三戦隊なんですよ!? それが敵に背を向けて逃げ出すなんて、それこそ威光に泥をぬることになります!」

榛名「さっきどうでもいいって……」

比叡「細かいことを気にしてはいけません! さあ、お姉さまのところへ行きますよ!」

榛名「ええっ!? どうして金剛お姉さまのところへ行かなくてはいけないんです!?」

比叡「戦線布告なしの開戦は条約違反です。過去の轍を踏まないようにしなくてはいけませんからね。大丈夫、お姉さまならきっと榛名のために身を引いてくれます」

榛名「国同士の戦争とは違いますよ~! 比叡お姉さま~!」ズルズル

比叡「お姉さま、いらっしゃいますか?」コンコンコン

金剛「ハーイ、なんですカー? Oh! 比叡だけかと思ったら榛名も一緒でしたカー、何か用です?」

比叡「榛名がお話があるそうです、お時間大丈夫ですか?」

金剛「Yes! ちょうど暇してたところでしたので構いませんよ」

榛名「ひ、比叡お姉さま……」

比叡「がんばるんですよ榛名。それではお姉さま、私はこれで」

金剛「比叡も一緒に来ないんですカー?」

比叡「すいませんお姉さま、私少し用事がありまして」

金剛「残念デース、それじゃ榛名、中へどうぞ」

榛名「うあぁ、あの、お邪魔します……」

比叡「ふっふっふ、後は司令をここに連れてきてお姉さまが司令を諦めるという決定的瞬間を目撃させてあげれば……ひえー!」

金剛「ミルクは好きに使っていいですよ」

榛名「あぁ、はいありがとうございます」

金剛「1人のティータイムもいいものですが、やっぱり誰かと楽しむ方が好きデース!」

榛名「金剛お姉さまはそういう方ですものね」

金剛「それで、私に話ってなんですカー?」

榛名「あ、あの、その……」

金剛「どうしました?」

榛名「いえ、えっと、ですね」

金剛「もしかして言いづらいことなのに、無理やり比叡に連れてこられてたんデース?」

榛名「あっ、い、はい……」

金剛「はぁ、それは災難でしたネー。まったくあの子は、落ち着きがないんですかラー。もう少し榛名や霧島を見習うべきデース」

榛名「榛名は比叡お姉さまのように真っ直ぐに生きられればいいのにと常々思っていますよ」

金剛「時には思慮深くなることも必要デース」

榛名「それもそうなんですが」

金剛「話し辛いなら無理には聞きませんヨー。このままティータイムを楽しみましょうネー」

榛名(ここで逃げていてはきっと私は変わることができない、だから!)

榛名「いえ、お姉さま。榛名のお話、聞いてください」

金剛「いいんですカー?」

榛名「はい。実はですね――」

金剛「提督にそんなことを」

榛名「はい、はしたない話ですいません」

金剛「それが原因で昨日のことが起きたわけですか、榛名に何かあったわけではなくて一先ず安心しました」

榛名「ご心配をおかけいたしました」

金剛「で、私にそれを伝えに来たのは理由はなんデース?」

榛名「私も、提督のことをお慕いしているとわかれば、金剛お姉さまなら身を引くだろうと比叡お姉さまが」

金剛「だったら私はとっくに身を引いていますヨー。ずっと前から気づいてましたし」

榛名「ええっ!? そんな、何で!?」

金剛「榛名を見ていればわかりマース。同じ恋する乙女ですし、お姉ちゃんなんですから」

榛名「お姉さま……」

金剛「たとえ妹といえど提督への愛だけは譲れまセーン。私のバーニングラブは妹を燃やし尽くしてでも燃え続けるんデース!」

榛名「そうですよね。お姉さまはそれだけの覚悟を持って提督を愛していらっしゃる。それなら、私も覚悟を決めるしかありませんね」

金剛「どちらがより強く燃えるか勝負ですヨー榛名」

榛名「望むところです、榛名は負けません!」

金剛「その意気なら戦いがいがあるというものです」

榛名「はい! 榛名、全力で参ります!」

金剛「ふふんっ、いい顔になりました」

金剛「ときに榛名」

榛名「なんでしょう?」

金剛「まだそういう気持ちが残ってますか? 溜まってる、むらむらした気持ちが」

榛名「なっ!? 何を聞くんですかお姉さま!」

金剛「恋の駆け引きには重要なファクターデース」

榛名「そ、それは、まあ、まだ、いたしてませんし……」

金剛「さっき自分でするのは怖いって言ってましたヨネ? 今はもう大丈夫です?」

榛名「……まだ少し怖いです。榛名の覚悟は決まりましたがそれで提督の意思が変わるわけではありませんし」

金剛「そうですか」スッ

榛名「お姉さま?」

金剛「自分でできないならしょうがないデース。どうにもこうにもならなくなって実力に行使に移られては困りますので……」

榛名「えっ、あの……?」

金剛「ここはお姉ちゃんにお任せデース」ガバッ

川内「間宮さんの餡蜜うま~! 夜戦で疲れた体に沁みる~!」

提督「まったく、わざわざ時間合わせて夜戦に連れてってやったら今度は活躍したごほうびをくれだなんて」

川内「いいじゃん、実際私がいなきゃ榛名さんやばかったんだから」

提督「まあな」

川内「榛名さん、何かあったの?」

提督「さあな」

川内「出撃前に気にするなって言ってたの、あれなに?」

提督「お前には関係のないことだ」

川内「関係あるよ。このままずっとあの調子だったら一緒の隊になった子が危ないじゃん」

川内「別に理由は教えてくれなくていいけど、不調なのはどうにかできそうなの?」

提督「……どうだろうな」

川内「しっかりしてよ。それをどうにかするのも提督の仕事でしょ!」

提督「ああ、わかってる」

川内「榛名さん疲れてるんなら少しくらい休みあげれば?」

提督「それもいいかもしれんな」

川内「んで提督も休暇取ってさ、一緒にどこか出かけてきなよ」

提督「何で俺まで」

川内「榛名さんの気持ち、気づいてないわけないよね?」

提督「……ああ」

川内「だったらせめてケッコンカッコカリくらいしてあげたらいいじゃん。強くなれるんだし」

提督「あんなごっこ遊びで誰が喜ぶんだ。おままごとなんて駆逐艦だってしないぞ。むしろ茶化してるようにしか思えんだろ」

川内「結婚ごっこだってそこに気持ちが伴ってるなら問題ないじゃん」

提督「伴ってないからな。俺はお前達艦娘を恋愛対象だとは思っていないと言っただろう」

川内「私達が人間じゃないから?」

提督「違う。俺が上官でお前達が部下だからだ」

提督「誰か1人とそういう関係になれば周りは事実かどうかに関わらずそいつだけ贔屓されていると思うだろう」

提督「そうなれば不和が生まれる。角が立つんだよ」

川内「じゃあ全員とそういう関係になればいいじゃん」

提督「バカかお前は! なれるわけないだろう!」

川内「どうして?」

提督「どうしてもこうしてもあるか! 今いるだけで100以上、これからもっと増えることも予想されるのに、そいつら全員と男女の仲になるなんて不健全にも程がある!」

川内「別に本人達が納得してればそれでよくない?」

提督「よくない! あのな、上官と部下がそういう仲になることで起きる不都合は何も周囲の不和だけじゃない」

提督「例えば出撃中に俺に危機があったとして、命令無視して俺を助けに来られたりしても困るんだよ」

川内「提督がヤバくても見捨てろって?」

提督「そうだ。どの道助けに来たって俺は艦隊私物化の罪で軍法会議にかけられるだけだ。そのまま死んだ方がまだ軍人としての誇りが守れるだけありがたい」

川内「提督がそこまで殉国精神に溢れてたなんて初めて知ったな」

提督「……」

川内「わかってるよ、私達は国の所有物で恋愛するためにここにいるわけじゃないってことくらいわかってる」

川内「それでもさ、夢くらい見させてくれたっていいじゃん。こんな、女の子の姿になんてされちゃったんだからさ」

川内「ただの鉄の塊から人間の体になって、人と触れ合うぬくもりを知って……自分の気持ちを表現できるようになった」

川内「自由に動けるようにしたのはそっちなのに、何もするな兵器でいろって言うのはあんまりにも横暴だよ。いくら創造主だからってこんなの……」

提督「川内、お前……」

川内「ごめん、実際こんなの私のキャラじゃないね、忘れて。でも榛名さんのことは何とかしてもらわないと困るからね」

提督「あ、ああ」

川内「早めに頼むよ。じゃね~!」

提督「あいつがあんなことを考えているなんて」

間宮「提督」

提督「間宮、聞いていたのか」

間宮「失礼をお許しください。けれど私も艦娘なので気になってしまって」

提督「創造主の横暴、か。お前もそう思うか?」

間宮「いいえ。少なくとも私達の本当の創造主である技師の方々は、百年後に――私はそこまで経っていませんが、人間の女の子になって蘇るなんてことを考えて作ったわけではないでしょうから」

提督「そりゃそうだ、誰が想像できるんだこんな事態」

間宮「それでも川内さんの気持ちはわかります。言葉も話せず体も自由に動かせなかった私達が、こうして人間の体を得て思いを表現することができるようになった」

間宮「伝えたいんですよ。ずっと誰にも届けることができなかった自分の気持ちを。今度は誰かに遺していけるように」

提督「……」

間宮「川内さんの言うように夢くらい見せてあげてもいいのではないですか?」

提督「夢を見せるというと?」

間宮「一夜の慈悲くらい与えてもよろしいのでは」

提督「バカを言うな。慈悲なんてそれこそ驕り高ぶった創造主の考え方だ」

間宮「堅い人ですね提督は」

提督「これでも性格試験をパスして提督に任命されている。艦娘との色恋に現を抜かすような奴は提督にはなれん」

間宮「そのわりに大本営は提督と艦娘間の恋愛を煽るような真似をしますよね」

提督「ケッコンカッコカリをして与えられる任務をこなすと、報酬として布団が送られてくるという話を聞いたときはさすがに国の未来が心配になったよ」

間宮「そもそもケッココンカッコカリ自体がそうですからね」

提督「一体何を考えているんだ大本営は」

間宮「家族や恋人のために、というのは普遍的な戦う動機になりますからね」

提督「戦う理由付けのために恋愛を煽っているというのか?」

間宮「正確な理由はわかりませんよ。けれど、私達は『建造』された物。家族もいなければ友人も同じ艦娘以外にはいませんので、そうなのではないかなと」

提督「それはあまりにも不合理すぎる」

間宮「そうですね。しかし、その不合理を必要とするのが人間なのではありませんか? 何か理由をつけて自分を鼓舞して士気を高めなければ、十全の力を発揮できない不合理な生き物」

提督「……」

間宮「あるいは哀れみかもしれませんね。少女の姿となりながら全うな人間として生きていくことも叶わない艦娘に、せめてもの少女らしい幸せを与えてあげようという」

提督「そんなもの、惨めだろう」

間宮「惨めでもそれにすがるしかないんです。今の私達は痛みを知らずただ誰かに動かされるだけの機械ではなく、自ら考えて行動し傷つく痛みを抱えながら戦わなければいけないのですから」

提督「間宮、お前は……」

間宮「私はただそんな皆さんの拠り所になるために、料理の腕を振るうだけです。また私の料理を食べたいからと奮戦してくださるのなら、私は何でも作りますよ」

間宮「出すぎたことを言うようで申し訳ありませんが、提督もどうか皆さんの拠り所になってあげてください。せめて、あなたを求めている子達だけとでも」

間宮「これから先の戦いと、いつか帰る暗い海の底で凍えてしまうことがないように」

提督(艦娘達の拠り所になれ。大本営は本当にそれを望んでケッコンカッコカリなんてことをはじめたのか?)

提督(怖くないわけがないんだよな、いくら先の大戦を経験しているからって戦うことが怖くないわけがない)

提督(いや、経験したからこそ恐れている奴らだっている。嵐、萩風、あいつらは昔の経験があるからこそ夜を恐れて……)

提督(千代田や筑摩、比叡達は心の拠り所を求めてあんなふうに姉に執着しているというのか……)

提督(俺は、なってやるべきなのか。あいつらの拠り所に……いや、だが部下とそういう関係になるのは危険すぎる!)

提督(なら外に男を作らせる……いやそれもだめだ。男恋しさに脱走されたり、スパイに利用されたりするリスクがある)

提督(かといってこの鎮守府に男は、というより純粋な人間は俺1人しかおらず後は妖精と艦娘だけだ)

提督(やはり俺が……だが、規律は。こうなったらいっそ艦娘同士で……いや何を考えているそれこそ狂気の沙汰だ!)

比叡「あっ、見つけましたよ司令!」

提督「っ! なんだ比叡か。どうした?」

比叡「こほん、あのですね、金剛お姉さまが御用があるそうで、お姉さまのお部屋までご足労願えますか?」

提督「金剛が俺に? わざわざ呼びつけるなんて」

比叡「無礼をお許しください。ですが、榛名のことでご相談があるとのことで」

提督「榛名のことか。昨日のことなら心配はいらないんだが」

比叡「昨日のことよりもっと重大な話なんですよ。急いでいるご様子だったので今から行っていただいても?」

提督「ん、まあ、いいだろう」

提督(俺もあいつがどれほどの気持ちなのか知っておく必要があるからな)

比叡「では、すいませんがお願いしますね! 私はこれで失礼します!」

提督「ああ……昨日のことでなければ一体なんの用だというんだ?」

比叡(ふっふっふ、後は司令が重要なところを聞き逃す前にどこかへ行かないように、あの人に見張りを頼みましょう!)

提督「金剛の部屋は確かこっちで、ここか。こん――」

榛名『お、お姉さま、いけませんっ……!』

金剛『溜まってるくせにまだイけないないんですカー?』

榛名『ああっ……! 違います、そういう意味ではなくて……!』

金剛『んふふ、私も少し興奮してきましたヨー』

榛名『お姉さま……』

金剛『榛名……』

提督(な、なっ!? 金剛と榛名、そういう関係だったのか!?)

提督(こ、これは止めるべき……いや、そこは彼女達のプライベートな問題だ。俺が首を突っこむべきではない)

提督(そうだ、やはりこれでいい。艦娘は艦娘同士で拠り所となっていけば。少なくとも上官と部下がそういう関係になるよりは健全だ)

提督(女、それも姉妹同士というのはあれだが、そもそもが血の繋がった姉妹というわけでもないし問題ではないだろう)

提督(懸念事項は消えた。これでもう俺が悩むことも――)

「Wasshoi!!」「ワッザ!?」勇ましい叫びと共に天井から川内がエントリーしてきた。比叡に頼まれて提督の見張りを行っていた川内は、ミツビシ社製のフックマフラーを使って天上に張り付いていたのだ。


「川内、一体何を――」「イヤーッ!」「グワーッ!」事情説明を求める提督を意に介さず、川内は決断的にその腹を蹴り飛ばした! 手加減されているとはいえ艦娘脚力によるケリを受けて提督の体はドアを突き破り金剛の部屋の中へ!


「アイエエエ!? テイトク!? テイトクナンデ!?」突然の闖入者に服をはだけて抱き合っていた金剛と榛名が悲鳴を上げた。「ワタシは偶然ここへ来て、誤って提督を蹴り飛ばしてしまった。故意ではない。イイネ?」「アッハイ」明らかな欺瞞であったが金剛達は頷くしかなかった。


「オタッシャデー」そう言い残して川内は外れたドアをフックマフラーで引き寄せ、元嵌っていた場所に立てかけてその場から消えた。「なんなんだ一体……」金剛のベッドに突っ伏していた提督が蹴られた腹を押さえて体を起こした。


「提督、ご無事ですか?」「ああ、ダイジョウブッ!?」近寄ってきた榛名に答える提督だったが、途中で顔を背けた。それも無理からぬことだ。榛名は今服をはだけてその豊満な胸を顕にしていたからだ。「グワーッ! 豊満!」しかしそむけた先にも豊満な胸を顕にした金剛の姿があり、提督は顔面を叩く勢いで掌で目を覆った。


「アイエッ! 私ったら、なんて格好を!」榛名も今自分がどのような姿をしているか気づき、慌てて両手で体を覆い隠す。しかし瑞々しいその体の全てを隠すことはできず依然として青少年のなんかが危なかった。


「センダイ=サンの意図はわかりませんが、こうなってはもう腹を括るしかありまセーン!」「お姉さま?」慌てふためく榛名とは対照的に金剛はブッダより啓示を受けたブディストめいて冷静であった。己の豊満な胸も秘部もさらけ出したまま、提督にしなだれかかった!


「金剛っ!?」「ンフフ、提督ぅ」蠱惑的な笑みを浮かべ金剛は提督の手を自らの乳房にあてがう! ニューロンに強烈な電撃が走ったかのような衝撃が提督の体を駆け巡る! 「やめろ、金剛! お前は榛名とこのような行為をしていたのだから、榛名のことが――」「それは誤解デース。榛名が溜まってるというから解消していただけで、実際私の心は提督の物デース」


提督を誘惑するように甘い声で囁きながら、金剛は自らの乳房に宛がった提督の手を掴み、乳房を揉むように指を動かす! 「アーン!」「ヤメロー! ヤメロー!」身悶えする金剛に必死に抵抗する提督だったが、モータルが艦娘膂力に叶うはずもなく、掌から伝わる豊満な乳房がつぶれる感触と金剛の甘い声によってニューロンを焼かれていく!


「スゥーッ! ハァーッ! スゥーッ! ハーッ!」太古の暗殺術チャドーに伝わるチャドー呼吸法により平静を取り戻そうとする提督! 「提督~」「なっ――」しかしそれは悪手! 呼吸法により口を開けた瞬間、金剛は提督の唇を奪い口内に舌を侵入させたのだ! かつてクノイチ・ニンジャクランが用いたとされるボーチュージツの奥義、ディープキスだ!


「ア、アイエ……」金剛の舌に口内を蹂躙され提督の理性はもはやロウソク・ビフォア・ザ・ウィンド。ただのモータルならば胸を掴まされた時点で獣欲の化身となったであろうことを考えれば、驚嘆すべき忍耐力であったがもはや限界が近い! 提督のニューロンの中ではディーモンとエンジェルの壮絶なイクサが始まっていた。

『何を耐える必要がある。金剛と榛名もそれを望んでおるのではないか』『黙れ! 望む望まざるに関わらず、やってはいけないことがある!』提督ディーモンと提督エンジェルが激しいカラテを交わす!『イヤーッ!』『イヤーッ!』


『この臆病者が! マミヤ=サンのインストラクションを忘れたか!』『拠り所となれるのは私だけではない!』『彼女達は我らにそれを求めていることがなぜわからん!』『黙れ! オバケめ!』『ゴハンを食べないと恥ずかしいというコトワザもある!』『ミヤモトマサシ!』


『1度崩れてしまえば最早歯止めが利かなくなる。そうなればここは混沌と堕落が支配するマッポーと化す!』『マッポーでない戦場などあるものか! 彼女達はマッポーの中に一抹の救いを我らに求めているのだ!』『ヌゥーッ!』ディーモンとエンジェルのゼンモンドーとイクサは激しさを増すばかり。現実世界でも金剛は慈悲なく提督の体を攻め立てていた。


「ヤメロー! ヤメロー!」「そんなことを言って……」金剛は含み笑いを浮かべて提督の顔から視線を下げる。その視線の先には、おお! 見よ! 忍耐に忍耐を重ねるも生理現象には敵わず、提督装束のズボンを押し上げて屹立する提督の魚雷ダートが! 「素直になっていいんですヨー?」「グワーッ!」金剛が提督魚雷の先端を指で弾くと、提督の体が意に反して大きく跳ね上がった。


「ヤメ、ロー……」「提督こそ、抵抗はやめてくだサーイ」なおも抵抗を続ける提督だったがもはやその声はモスキートハウリングであった。手足を動かそうとすれば即彼女達に襲い掛かってしまうであろう状況。もはや体を動かすことはできないと提督は岩のように体を固めて微動だにしなくなった。それも直に金剛によって砕かれることになるだろう。


(どうすれば……榛名……!)自分ではどうすることもできず榛名に望みを託すしかない提督。その榛名は提督を攻め立てる金剛の横で、自らがどうするべきであるか模索している。(榛名は……榛名は……!)長い葛藤の末、榛名はついに意を決した!


「お姉さまばかりずるい! 榛名も提督にご奉仕します!」「アイエエエ!?」期待を込めていた榛名に裏切られた提督は思わず情けない声をあげた。あの恥らっていた榛名が、ちょっとした一言を気にして戦闘にまで影響を出していた榛名がなぜ!


「榛名、ナンデ……」「スイマセン、提督。でも、榛名は……あなたが好きなんです!」弱弱しく問いかける提督に榛名は決断的な声で答えた。彼女の恋心が羞恥心に勝った結果だ! 姉に習い自らの豊満の乳房に提督の手を宛がう榛名「アーン!」「アバ、アバー……」提督はもはやインセクトブレス!


「ついに吹っ切れたんですね榛名……」「はい、お姉さま……」「ワカリマシタ、ここは共同戦線といきまショー」そう言うと金剛は榛名の体を後ろから抱きすくめ、その股を大きく開かせた。既に艦娘装束のスカートも下着もベッドの下に打ち捨てられており、榛名の秘部は遮るものなく提督の眼前に晒される!


「あ、あば……」「提督ぅ、さっきから榛名のを解消してあげようとしてたんですけドー、榛名のここは私の指じゃいやだって言って全然入らないんですヨー」「アーン! いけませんわお姉さま!」秘部を広げてそのうちを提督に見せる金剛! 榛名は顔を真っ赤にして嬌声を上げる!


「提督のがほしいって、提督のじゃなきゃいやだって言ってるんデース」「おれ、の……」「はい……提督」金剛に秘部を弄られる快楽に身を捩りながら、榛名は唾を飲み込み提督に言った「提督……榛名と激しく前後に動いて……」その瞳の奥に発情と恭順を示すハートサインを幻視したとき、提督のニューロン内で行われる壮絶なラグナロクが終わりを告げた。


『イヤーッ!』『アバーッ!』提督ディーモンの暗黒カラテ技ボディチェックを受けた提督エンジェルが激しく吹き飛び、精神のフートンへ叩き込まれた! 『オヌシをそこで寝ておれ。さあ存分に食らい尽くすがいいぞテイトク!』ディーモンの哄笑がニューロンに響き渡る中、提督の目がセンコめいて鋭く光った。

金剛「提督ぅ~!」

提督「日中から盛るな!」バシッ

金剛「アウチ! why? なぜ? あんなにも熱く交わったというのに。ワッザ?」

提督「お前達とそういう関係になったのは確かだが、だからと言って職務中に情事に耽るバカがどこにいる」

提督「お前がいつもいってる通り、時間と場所を弁えろという話だ」

金剛「弁えたら盛っていいんですカー!?」

提督「できれば分別くらいはつけてほしいんだが。榛名を見ろ、お前みたいにはしゃいだりしてないだろう」

榛名「はぁぁ~、あのときの感覚が未だに忘れらない。あのとき榛名あのとき体温何度あったんだろう……」

提督「……はぁ、これでこれからのシンカイヤやカイバツシャドーギルド、カワクダリとの戦いに勝っていけるんだろうか」

金剛「心配には及びませんヨー。たとえ相手がシンカイ・ビッグセブンやグランドマスターだろうと、私達は絶対に負けまセーン!」

榛名「はい、提督からの愛の結晶――この指輪がある限り、榛名は大丈夫です!」

提督「まあ、これで不調がなくなるならそれでいいさ」

提督(何度も聞いた大丈夫だという言葉がこれほど頼もしく感じるのは、彼女達が俺にとっても大事な人になったからだろうか)

提督(拠り所を求めていたのは、俺の方だったのかもしれないな)

川内「これにて一件落着だね。あ~疲れた」

霧島「川内さん、あなたはなぜそこまでしてあのお姉さま達に協力を?」

川内「別に金剛さん達に協力したわけじゃないよ。ただあの現代人とは思えないほどに堅物な提督を、骨抜きにしてくれるなら誰でもよかったの」

霧島「骨抜きというほどやわらかくはなってないと思いますけどね」

川内「軟化してくれればそれでよかったんだよ。息苦しいったらありゃしないもんね」

霧島「なんにせよ、ありがとうございました」

川内「い~ってい~って。私が好きでやっただけだし」

那珂「あっ、霧島さん見っけ!」

霧島「那珂さん?」

川内「那珂、どうしたの?」

那珂「あっ、川内お姉ちゃんもいたんだ。あのね、マイク壊れちゃったからチェックしてほしいなって」

霧島「前に壊したときに予備を渡したはずですが」

那珂「予備も一緒に使ってボルテッカァァ!って叫んだら二つとも壊れちゃった」

霧島「叫んでマイク壊すって何事ですか」

川内「こら、那珂。あんまり霧島さんに迷惑かけちゃだめでしょ」

那珂「えへへ、ごめんなさいお姉ちゃん」

川内「もぉ、しょうがないなぁ。すいません霧島さん、お願いできる?」

霧島「構いませんが、私より夕張さんか明石さん、工廠の妖精に頼んだ方がいいのでは?」

那珂「マイクは霧島さんにお願いするのが一番なの! お願いしま~す!」

霧島「はいはい、わかりました」

那珂「ありがとうございます!」

川内「那珂、マイク壊れたってことは練習もできないよね」

那珂「うん。ごめんね、せっかくお姉ちゃんがお堅い提督をあんなにして、アイドルもやりやすくしてくれたのに」

川内「ううん、いいんだよ。可愛い那珂のためだからね」

那珂「えへへ、ありがとう! お姉ちゃん大好き!」

川内「お姉ちゃんも那珂が大好きだよ! それでさ、暇ならちょっと外出しようよ。おいしいスイーツのお店ができたって間宮さんから聞いて……」

霧島「川内さん好きでやったってもしかして那珂さんのことがって意味? ええっ……」

霧島「とにかく、榛名と金剛お姉さまについてはこれでいいでしょう。後は」

比叡「ひえ~ん! おねえさまぁ~! お姉さまと結ばれないならもうこの世にいる意味がない~! ハラキリリチュアルを行って未来に望みを託す~!」

雪風「落ち着いてください比叡さん!」

霧島「……ひたむきに恋と向き合ってれば報われるわけではありませんからねぇ」

霧島「はてさてどうしたものですか。艦隊の頭脳の面目躍如となるのはいいですけど、姉の痴態を処理してばかりな気がするのは気のせいでしょうか」

これで終わりです

エロ描写も不完全ながら地の文=サンのアトモスフィアを真似て書けばこの通りとなるので実際青少年のなんかに配慮した紳士的な文体であると私は伝えたかった

比叡の恋が報われてるのを見ないのは相手が金剛だからでしょうかね
提督に鞍替えしてるのならいくつか見ましたけどああいうがんばってる子の恋は報われてほしいものです

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年01月18日 (月) 08:36:33   ID: muRch0XY

面白いw

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