凛「かーよちんっ!おた…っ!」花陽「?」 (31)

通学路


テクテク…


花陽(今日は1月17日!)

花陽(つまり花陽の誕生日、です!)

花陽(家族を除けば、毎年一番先にお祝いしてくれるのは凛ちゃんなんだよね)

花陽(今年もきっと…)


凛「かーよちんっ!」ヒョコッ

花陽「凛ちゃん!」

凛「おた…っ!」ピタッ

花陽「?」


凛「おた………のしみはこれからにゃーっ!」アセアセ

花陽「へ?」

凛「さ、さあ、今日も学校、いっくにゃー!」ピューッ

花陽「り、凛ちゃん!?」


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花陽(どうしたんだろう?絶対『お誕生日おめでとう』って言いかけたよね?)

花陽(あ、もしかして…)


・・・・・・・・・



昨年11月1日

部室


凛「おはようにゃー!」ガチャッ


パァンッ! パァンッ!


8人「凛ちゃん、お誕生日おめでとーっ!」


凛「…へ?」アゼン


真姫「凛、今日誕生日なんですって?もう、なんで言わないのよ」

花陽「みんなに頼んでいろいろ企画してもらったの!今日はね、凛ちゃんの誕生日パーティをするの!」


8人「ハッピバースデートゥーユー♪ハッピバースデートゥーユー♪ハッピバースデーディアリーンチャーン…」


凛「…」ボーゼン


凛「み、みんな、凛のために…」グスッ

凛「…うぅっ」グシグシ


凛「…みんな、ありがとにゃ!大好きにゃー!!」



・・・・・・・・・


花陽(もしかして…)

凛「か、かよちんっ!なにしてるの?早く行かなきゃ遅れちゃうにゃ!」アセアセ

花陽「あ、うんっ!」タッ


花陽(…ふふっ、凛ちゃん、ありがとう♪)





学校・校門


凛「あ、ちょ、ちょっと用事思い出した!」

花陽「え?」

凛「すぐ行くから、教室で待ってて!」

凛「教室で!待っててねー!」タッ

花陽「う、うん」

花陽(…部室で祝ってくれるのかな?)

花陽(楽しみだなあ…。みんなにもちゃんとお礼言わなきゃ)



花陽「あ」


絵里「え?」

絵里「あっ」サッ


花陽(今、曲り角に隠れたの…)

花陽「絵里ちゃん?」


絵里「お、おはよう花陽…」チラッ

花陽(あ、もしかして呼び止めちゃまずかったかな…?)

花陽(これからみんなで準備してくれるのかも…)


花陽「おはよう、ございます…」

花陽(気まずい…。誰か助けて…)



絵里「ちょ、ちょっと待ってくれるかしら」

花陽「う、うん」

絵里「ケータイケータイ…」スマスマ



絵里「…ふぅ」


絵里「えっと…も、もしよかったら生徒会室までついてきてくれる?」

花陽「え?」

絵里「いや、忘れ物しちゃって…1人で探すよりも、ね?」

花陽(絵里ちゃん、もう生徒会長でもなんでもないのに…)

花陽「うん、いいよ」

絵里「助かるわ…」ホッ

生徒会室


絵里「入るのも久しぶり…あ、いや、この前来たわね、うん」

花陽「絵里ちゃんぐらいになると鍵も顔パスなんだね…。すごいなあ」

絵里「そ、そうかしら。まあ、これでも賢い可愛いエリーチカだから」ニコッ

花陽「ふふっ、そうだったね」クスクス

絵里「…」

花陽「…?」


絵里「…ねえ、花陽」

花陽「?」

絵里「前から思ってたんだけど、花陽って相手を立てるのが上手いわよね」

花陽「え?」

絵里「あ、悪い意味じゃないの。ただ、人をその気にさせるというか…」

絵里「花陽は、強い影響力みたいなものを持ってると思うの」

花陽「わ、私が?」

絵里「例えば、穂乃果が持ってる人をまとめ上げる力とは少しイメージが違うんだけど…」

絵里「ほら、この前のファッションショーのライブの時だって、花陽の言葉が凛に響いたからあの衣装を着てくれたわけでしょ?」

絵里「みんなに引っ張られてばかりに見えるけど、実はみんなを支えているのが花陽じゃないかって、私は思うの」

花陽「絵里ちゃん…」

花陽「…えへへ、そんな風に褒められたの初めてだから、照れちゃうな」


キーンコーンカーンコーン…


花陽「あ、予鈴が…」

絵里「つきあわせちゃってごめんなさいね。行きましょ?」

花陽「うん!」

1年生教室


花陽(そういえば、結局忘れ物を探す素振りすらなかったかも…)ガララッ

凛「あ、かよちん!」

真姫「おはよう、花陽」

花陽「真姫ちゃん!おはよう!」

凛「ねえねえ、絵里ちゃんとなむぐっ!?」

真姫「ほら、早く席つかないと先生来ちゃうわよ。凛はちょっとこっち来なさい」

凛「ん~~~!!ん~~~~~っ!!」ジタバタ

花陽「う、うん」

真姫「………」ヒソヒソ

凛「…」コクコクコクコク

真姫「……」パッ

凛「…」プハァ



花陽「凛ちゃん、大丈夫?」

凛「い、いやー。真姫ちゃんにケンカごっこ負けちゃったにゃー」

真姫「ヴぇぇっ!?…ふ、ふん。私に背を向けるからよ」

花陽(それは無理があるよ、凛ちゃん!)





昼休み


花陽「え?お昼、一緒に食べれないの?」

凛「う、うん」

真姫「私は先生に呼ばれてて、凛は補習よ」

凛「えっ!?凛、補習なんて…」

真姫「…」キッ

凛「あ、えっと、その…。ほ、補習があったにゃ…」

花陽「そ、そうなんだ。頑張ってね!」

凛「うん!」

真姫「さ、行くわよ」ガララッ

凛「あ、待って真姫ちゃん!」

花陽(…1人になっちゃった)ポツーン

花陽(花陽のためなのはわかってるけど、ちょっとさびしいな…)



ガララッ


穂乃果「花陽ちゃん、いるー?」

花陽「穂乃果ちゃん?」

穂乃果「あ、いた!良かったー!」

花陽「えっと、どうしたの?」

穂乃果「今日は穂乃果たちとお昼食べようよ!屋上とかで!」

ことり「私たちもいるよ!」ヒョコッ

海未「もちろん、嫌ならいいのですが…」ヒョコッ

穂乃果「海未ちゃん!来てもらわなきゃダメなんだって!」

海未「そ、そうでした。花陽、一緒に来てもらえませんか?」

花陽「あ、う、うん!喜んで!」

穂乃果「それじゃあ、せっかくだし屋上に行かない?」

花陽「うん!」

屋上


穂乃果「いやー、今日もパンがうまいっ!」

海未「毎日同じものばかり…よく飽きませんね」

穂乃果「それを言うなら、花陽ちゃんだって毎日おにぎりだよね?」

花陽「うん!あ、厳密には違う、かな?」

ことり「え?」

花陽「中に入ってる具は鮭だったり梅干しだったり明太子だったりツナマヨだったり塩むすびだったりしてその日の気分で変えてるし、お米自体もどのお米がおにぎりに一番適してるか研究を重ねていかなきゃいけないし、研究といえばおにぎりの炊き方、握り方までこだわりたいからたまに違った方法を試したりしてるから…」

穂乃果「」プシュー…

海未「恐ろしいまでの白米への愛ですね…」

ことり「す、すごい…」

花陽「あ、ご、ごめんなさい!つい、語りすぎちゃった…//」

海未「いえ、謝る必要なんてありませんよ。むしろそこまで熱中できるのであれば、もっと胸を張るべきです」

ことり「ことりもそう思う!花陽ちゃんはすごい!」

花陽「そ、そうかな?えへへ…」

穂乃果「」ハッ

穂乃果「は、白米に埋もれる夢を見てた…」

海未「なんですかそれは…」

花陽「う、うらやましいです…」


穂乃果「花陽ちゃんって、好きなものの話になるとホントに人が変わるよね」

ことり「うん。最初にアイドルの話をした時は、ちょっとびっくりしちゃった」

海未「大人しいタイプだと思っていた分、反動が大きかったですよね」

花陽「~~~っ////」カァ~ッ


穂乃果「でも、それってなんというか…特技だよね!」

花陽「え?」

海未「特技、ですか?」

穂乃果「うん!」

穂乃果「おにぎりにしてもアイドルにしても、自分の好きなものをあそこまで熱心に紹介できる人ってなかなかいないと思う!」

海未「確かに…。普通は恥じらって素直に気持ちを表現できないものですよね」

花陽「あ、もしかして穂乃果ちゃんの部屋でやってた…」

海未「何か言いましたか?」ニコッ

花陽「な、なんでもないですっ!」ビクッ


ことり「えっと、気持ちを伝えることができるって、アイドルには結構重要なことかも?」

穂乃果「そうそう!ほら、前に見せてもらった地区予選の決勝の映像だって!」

海未「Snow halationですね。…ああ、言いたいことがわかりました」

穂乃果「わかる?スノーハレーション!って歌う時に花陽ちゃんがアップになってたけど、あの時の表情とかダンスとか、最高だったと思う!」

ことり「ことりも、あの時の花陽ちゃん見たら思わずキュンってしちゃった♪」

花陽「そ、そんなことないよ。みんなのほうが全然…///」

穂乃果「もー。あれは絶対誰が見ても良かったって言うよ?」

花陽「そ、それがもし良い評価を受けても、私はみんなのほうがずっと可愛く見えたし…」

海未「花陽はもう少し自分に自信を持つ必要がありますね。事実、あのA-RISEに私たちは勝ったわけですし」

花陽「…A-RISEに勝てたのは、みんながいたからだよ」

花陽「私1人じゃ到底足元にも及ばなかった壁を、みんなで乗り越えることができた。それが私は嬉しいの」

花陽「それは、みんな一緒だよね?」

ことり「そうだけど…」


穂乃果「なんだ、花陽ちゃん分かってるじゃん!」

花陽「え?」

穂乃果「だって、この9人だから、μ’sだから壁を乗り越えられたって話でしょ?」

穂乃果「花陽ちゃんだってその9人の1人なんだから、大きな力があるってわかってるってことだよね?」

海未「…そうですね」フフッ

ことり「うんっ!」

花陽「えっ、えっと、あの…」

穂乃果「穂乃果だって1人じゃA-RISEどころか他のスクールアイドルにも勝てないよ?」

穂乃果「でもきっと、パズルの1ピースみたいな何かを持ってて、それをみんなが持ち寄ったからこそ今の私たちがあるんだと思う!」

穂乃果「ねえ花陽ちゃん、どう?穂乃果の言ってること、おかしい?」

花陽「…ううん」

穂乃果「やった!」

花陽「…そう、だよね。私だって、μ’sの1人だもん。こんな私でも、何か光るものがあるんだよね!」

海未「その通りです!」

ことり「自信いっぱいの花陽ちゃん、すっごく良い顔してるよ!」

花陽「ありがとう…!花陽、頑張ります!」

穂乃果「うん!」


穂乃果「あ、そうだ!」スッ

花陽「?」

穂乃果「握手しようよ!ちょうど屋上だし、ほら、あの時みたいに!」

花陽「…!」

花陽「うん!」


ガシッ


花陽「穂乃果ちゃん、海未ちゃん、ことりちゃん、これからもよろしくね!」

5時間目1分前・1年生教室


花陽(今日、なんだか褒められてばっかりな気がする…)

花陽(…えへへ)


キーンコーンカーンコーン…


教師「じゃあ授業始めるぞー。じゃあまずはこの前のとこから…」


花陽「あ、あれ?」キョロキョロ


花陽(凛ちゃんと真姫ちゃんが、まだ帰ってきてない…)


ガララッ


真姫「はーっ、はーっ、はーっ…」ゼエゼエ

凛「ああーっ!もうっ、授業始まってるじゃん!」

真姫「だ、誰のせいよ…」ハアハア

教師「星空…。お前、いつも赤点ギリギリのくせして随分余裕じゃねえか…」ゴゴゴゴゴ

凛「ひいっ!ほ、補習だけは勘弁を…」

教師「…西木野も一緒か。まあいい、今日だけは見逃してやるからとっとと席につけ」

凛「えっ、いいの!?」

教師「いいから座れ!!」

凛「はいぃっ!」


花陽(真姫ちゃんパワー、すごい…)

放課後


花陽「じゃあ、部室行こっか?」

真姫「あ、えーっと…」

凛「かよちん、お願いなんだけど、もう15分だけ部室に入るの待っててほしいにゃ!」

真姫「ちょ、ちょっと凛!?」

凛「もうすぐなんだしいいじゃん!変わらないよ!」

真姫「はあ…。もう、先行ってるわよ?」

凛「うん!」


花陽「えーっと…?」

凛「あ、だからね、えっと…」

凛「…今日を、ぜーったい1番幸せな日にしてあげるから、その準備にあとちょっとだけ時間が欲しい!」

凛「だからお願いっ!もう少しだけ待ってて!」

花陽「凛ちゃん…」

花陽「…うん、わかった!」

凛「!」パアァァッ

花陽「花陽はここで待ってるから、準備ができたら呼んでくれる?」

凛「うんっ!じゃあ、行ってくるね!」

花陽「楽しみにしてるよ!凛ちゃん!」

凛「にゃっ!」ビシィッ



花陽(凛ちゃん、あんなに必死になって…)

花陽(花陽のために…)ウルッ

花陽(おっとと…)グシッ

花陽(涙はまだとっておかなきゃ、だよね?)

15分後


花陽「…」ソワソワ


ガララッ


にこ「花陽、迎えに来たわよ」

希「ウチもおるでー」

花陽「にこちゃん、希ちゃん!」

にこ「さ、部室行くわよ」

希「みんなお待ちかねやでー?」

花陽「うん!」

廊下


にこ「…正直、もう気づいてるでしょ?これから何があるか」

花陽「あ、うん…」

にこ「やっぱり…。真姫ちゃんはともかく、凛に隠し事ができるとは思わなかったのよね」

希「でも、気づいても言わないでおいてくれたんやね?」

花陽「うん。きっと凛ちゃんも楽しみにしてくれてたから、それを台無しにはできないし」

にこ「楽しみ、ね…」

花陽「え?ち、違うの?」

にこ「あ、そういうわけじゃないのよ。ただ…」

花陽「ただ?」

にこ「凛の熱の入りよう、たぶん花陽の想像以上に凄いわよ?」

希「うん。ウチもそう思う」

花陽「そ、そんなに?」

にこ「ええ。パーティの段取りとかは言わないけど…、いつから企画し始めたと思う?」

花陽「うーん…。いつだろう」

にこ「11月2日よ」

花陽「ええっ!?それじゃあ…」

希「凛ちゃんの誕生日が終わってすぐ、やね」

花陽「そんなに…」

にこ「自分なりにプランを練ってそれを私たちに見せてきたときは唖然としたわね」

にこ「あの凛がここまで考えてるなんて、って」

希「ウチらは今回、凛ちゃんの指示に従ってるだけなんよ」

希「朝のえりちとの遭遇は完全にハプニングやけど…」

花陽「そ、そうなんだ…」

にこ「…花陽。あんたは最高に幸せよ。こんなに想ってくれる友達がいるんですもの」

希「きっと2人は、同じ星のもとに生まれてきたんやろなあ」

花陽「…うん」


ザッ


にこ「さ、ドアを開けなさい。その向こう側は、花陽のための世界よ」

希「にこっち、今日はなんだかカッコいいやん」

にこ「うっさい!にこはいつだってカッコいいわよ!」

花陽「…ふふっ」クスッ

花陽「2人とも、ありがとう!行ってきます!」

ガチャッ



パァンッ! パァンッ!



6人「花陽ちゃん、お誕生日おめでとーっ!」


凛「いえーいっ!今日は、かよちんのかよちんによるかよちんのための日だにゃーっ!」

真姫「意味わかんない!…まあ、誕生日おめでとう、花陽」

花陽「真姫ちゃん…!」


凛「かーよちんっ!!」ギューッ

花陽「わっ!」

凛「凛ね、この前のサプライズパーティが楽しくて嬉しくて…」

凛「だから!かよちんにも何かお返ししなきゃなって、思った時にはもう手が動いててね!」

凛「みんなに協力してもらって、なんとか形にすることができて!」

凛「今日は、凛とみんなが、かよちんをいーっぱい楽しませるからね!」

花陽「凛ちゃん…!」ギュッ


花陽「みんな…」

花陽「…」ウルッ




花陽「…ありがとうっ!!」

以上です。かよちん誕生日おめでとう愛してる。
読み返してて正直なんだこれとは思ったけどとりあえずの祝いです。
明日の花陽誕が楽しみ。
では。

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