仮面の男「ククク、いよいよ私の正体を明かすとしようか……」 (33)


男「ことあるごとに、俺たちにヒントを与え……」

女「時には私たちの敵として立ちふさがり……」

仲間「またある時は、意味深な言葉を残して去っていく……」

男「あんた、いったい何者なんだ!?」



仮面の男「ククク、いよいよ私の正体を明かすとしようか……」


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男「まさか俺の親父!?」

女「あるいは、お兄さんかもしれないわね」

仲間「おいおい、いくらなんでもベタすぎるんじゃないか?」

仲間「それに、今さら親父ヅラや兄貴ヅラされてもお前も反応に困るだろ」

男「そりゃそうだな」

男「俺はずっと天涯孤独で生きてきたし、今さら肉親が出てきてもなぁ」

女「微妙よねえ」



仮面の男「……」


男「だったら、死んだはずの親友とか? 実は生きてたってパターン」

女「彼のこと? でもあの死に方はどう考えても死んでるでしょ」

仲間「あれで生きてたら、嬉しいというより不気味だよな」

男「うーん、たしかに」

男「もう葬式も済ませたし、迷わず成仏して下さいとしかいいようがないな」



仮面の男「……」


女「じゃあもしかしたら、すごいヤケド顔だったり怪物顔だったりするんじゃない?」

男「怖い顔を隠すために仮面をつけてるってやつか」

仲間「それだったらぶっちゃけずっと仮面つけてて欲しいんだけど」

女「トラウマになっちゃいそうだもんねえ」



仮面の男「……」


仲間「案外、のっぺらぼうだったりするかもしれないぜ」

女「それもトラウマになっちゃわない?」

男「それにさ、あんだけ俺たちをかき回しといてのっぺらぼうってのはちょっと」

男「やっぱりちゃんと顔はあった方がいいよ」

仲間「そうだな、ガッカリしちゃうよな」



仮面の男「……」


仲間「んじゃ、ロボットってのはどうだ?」

男「どう考えてもロボットって喋り方じゃないだろ、あの仮面の男は」

女「それにあれだけ自律行動できるロボットなんて、今の科学力じゃ作れないでしょ」

女「もしロボットだったら、一気に世界観が崩れちゃうわ」

男「ああ、こんな唐突に超科学がどうのこうのの話になっても困るしな」



仮面の男「……」


男「だとすると、仮面が本体なのかもしれないな」

仲間「意志があるのは仮面の方で、体はただの操り人形みたいな?」

女「それだったら、最初から仮面だけで出てきて欲しいわよ」

男「ハハハ、いえてる」



仮面の男「……」


女「意外とあなたそっくりの人だったりしてね」

男「俺そっくり?」

仲間「ああ、未来のお前とか、あるいはクローンってパターンだな」

男「イヤだな、それ。俺のこの姿は俺だけのものであってほしいし」



仮面の男「……」


男「全くの新キャラってこともあるんじゃ?」

仲間「それだったらさ……そもそも正体隠す必要なくね?」

仲間「さっき話したケースみたく顔が怖いとかならともかく、顔隠す必要なくね?」

女「そーよそーよ」

男「それもそうか……」



仮面の男「……」


仲間「あとありそうなのは、俺たちが一回会っただけのモブキャラってパターンだ」

男「ああ、それ一番反応に困る」

女「意外性を追い求め過ぎて、迷走しちゃったって感じよね」

女「正体はあのモブキャラだったのだ、っていわれても盛り上がりようがないわよ」

男「そうそう、それならまだ新キャラだってオチの方がマシだよ」



仮面の男「……」


男「あるいはいっそ、このまま外さず最後までいくまでしれないぞ」

男「正体を明かすとはいったけど、仮面を外すとは一言もいってないしな」

女「えええええ、そんなのずるい!」

仲間「それは逃げだろ! 一番やっちゃいけないことだ!」

男「おいおい、俺に怒らないでくれよ」



仮面の男「……」


男「おしゃべりはここまでにして、と」

男「さぁ、正体を明かしてもらおうか!」ビシッ

仮面の男「……」ダラダラ…

女「ん? なんかものすごく汗かいてるけど。仮面つけてても分かるくらいよ」

仲間「まるで、温めてたアイディアを全部潰されちゃったって感じの汗のかき方だな」

男「お前はいったいだれなんだ!? 答えろ!」

仮面の男「え、と……」


仮面の男「すまん! もう何日かだけ待ってくれ!」

仲間「なにぃ!?」

女「どういうことよ!」

男「……いいだろう、待ってやる!」

仮面の男「恩に着る」シュタタッ

仲間「さっきまでノリノリだったのに、急にどうしたんだ?」

女「さぁ……」

男「やけに汗かいてたし、急用ができたんじゃないか?」


そして数日後――

仲間「あいつ、どうしたんだろうな? あれから全然出てこないぜ」

女「ホントね、やっと正体が分かると思ったのに」

男「――お、噂をすれば」



仮面の男「待たせたな! 今こそ私の正体を見せてやろう!」ザッ


仮面の男「その名も――」カパッ

男「おお!?」

仮面の男「……」カパッカパッ

女「仮面を取ったら、またその下に仮面ですって!?」

仮面の男「……」カパッカパッ

仲間「いったい何枚仮面をつけてるんだ!?」

仮面の男「……そう!」


仮面の男「私の正体は、“マトリョーシ仮面”だったのだ!」カパッカパッ

男「アハハ、なるほど! こりゃいいや!」

女「おもしろーい!」

仲間「色んなデザインの仮面が出てくるから、見てて飽きないな!」

仮面の男(よ、よかった……!)ホッ…



この仮面の男ことマトリョーシ仮面はこの後、謎の人物ポジションだった頃よりも

大活躍したことはいうまでもない……。





                                     おわり

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