青年「ブラックジャックみたいな医者になりたいなぁ」男「夢を叶えてやろう」 (28)


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――

青年「あーあ、ブラックジャックってかっこいいなぁ」

青年「優しくて、だけど決して甘くはなく、抜群の医療技術を持ってて……」

青年「僕もブラックジャックみたいな医者になりたいなぁ」



男「ふふふ、その夢叶えてやろうか?」


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青年「誰だ、あんた!?」

男「ふふふ……このメスを見てみろ」ギラッ

青年「なんだか妖しげな輝きを放ってるメスだね」

男「それもそのはず、これは魔法のメスでな」

男「これを使えば素人でも、ブラックジャックのような手術をすることができるのだ!」

青年「そりゃすごい!」


男「よし、さっそくやれ」

青年「え」

男「あそこに通行人がいるだろ。あいつは難病を抱えている」

男「そのメスで治してやれ」

青年「ちょ、ちょっと待ってくれ! いきなりそんなこといわれても――」

男「できないのか?」

男「じゃあ、お前はブラックジャックじゃないってことだな」


男「ふふふ……だが安心しろ」

男「せめて格好だけでもブラックジャックのようにしてやろう」

男「俺の手で、お前の顔面にブラックジャックと同じような傷をつけてやろう」ニヤ…

青年「は!? やっ、やめっ――」



ザシュッ!



ギャアァァァァァ……!


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店長「ふぅ、近頃あまりパンが売れないなぁ。味には自信があるんだが」

店長「アンパンマンはすごいよなぁ、みんなに食べてもらえて」

店長「私もアンパンマンのようなヒーローになれば、もっとパンが売れるのかなぁ」



男「ふふふ、お前をアンパンマンにしてやろうか?」


店長「なんだね、いきなり!?」

男「このマントはな、俺の魔力で作ったすごいマントだ」バサッ

店長「ほう……たしかにすごそうなマントだ」

男「このマントを身につければ、お前もアンパンマンのような力を得られる」

男「必殺のパンチを放てるようになるし、空だって飛べる」

店長「本当かい?」

男「本当だとも」


男「だから、今すぐこのマントで空を飛び、ばいきんまんのような悪党を倒してこい」

店長「はぁ……だけど今は店番があるので……」

男「お前、ふざけてるのか? ヒーローが店を優先するというのか?」

店長「いやしかし、私にも生活があるから……」

男「どうやら、お前にアンパンマンになる資格はないようだな」


男「ふふふ……だがそれならそれでいい」

男「せめて少しだけでもアンパンマンを体験させてやろう」

男「お前の顔面を、普段彼がやられてるように引きちぎってやろう」ギュッ…

店長「あだっ!? いだだだだだっ! な、なにを――」メリメリ…



ブチィッ!



グギャァァァァァ……!


――

――

デブ「あーあ、今日もみんなにデブだってからかわれちゃった」

デブ「たしかにオレってドラえもんやジャイアンみたいな体型だもんなぁ」

デブ「だけど、ドラえもんのように四次元ポケットからなにか出せれば」

デブ「からかわれずに済むかもしれないのに……」



男「ふふふ、だったらお前にチャンスをくれてやろう」


男「これをやろう」スッ

デブ「なんだいこれ?」

男「これは……俺が作り出した四次元ポケットと同じようなポケットだ」

男「この中には不思議な道具がいっぱい入っている」

デブ「へえ、ホントかい?」

男「そーらを自由に飛びたいな♪」

デブ「へ?」

男「そーらを自由に飛びたいな♪」

デブ「え、え?」


男「なぜタケコプターを出さない!?」

デブ「えええええ!?」

男「残念ながら、お前ではドラえもんにはなれん」

男「せめて、手だけは丸くしてやろう。ドラえもんのようにな」ニヤ…

デブ「う、うわぁっ! 手が勝手に丸まって……! いたたたたっ!」ググッ…



バキボキベキバキボキ……



ヒイィィィィィ……!


――

――

メガネ「名探偵コナンはかっこいいなぁ」

メガネ「それに引き換え、どうしてボクはこんなに冴えないんだろう」

メガネ「コナンと同じような眼鏡までつけてるってのに……」




男「ふふふ、だったらお前を名探偵にしてやろう」


メガネ「あなたは……?」

男「この腕時計型麻酔銃で、だれかを眠らせて推理しろ!」

メガネ「そんなこといわれても、事件なんて起きてないし……」

男「事件がないのなら作れ!」

メガネ「そんなムチャクチャな……」

男「できないのか!?」

男「ならば、お前はしょせん江戸川コナンの器ではなかったということだ」


男「器でなかったのなら、せめて……」

男「彼の武器であるサッカーボールの気持ちを味わわせてやる」

メガネ「うわっ!」ドサッ…

メガネ(体が動かない……!)

男「さて、思いきり蹴り飛ばしてやる」ニヤ…



ドゴォッ!



ウワァァァァァ……!


――

――

男「ふふふ……」

男「いかがですか!? 俺の働きっぷりは!?」

男「これならば、あなたの“後継者”として認めてもらえるのでは!?」

男「なにしろ俺は……」

男「あなたのような笑ゥせぇるすまんになりたくて、黒魔術をマスターしたのですから!」

男「喪黒福造さん」ニヤ…



喪黒「オーッホッホッホッホ」


喪黒「全然ダメですな」

男「な!?」

喪黒「私の商売はもっとじっくりやらねば意味がありません」

喪黒「お客様のココロのスキマにそっと忍び寄り、満足感を与え……時には不幸も起こる」

喪黒「だからこの商売は楽しいのです」

喪黒「あなたの強引なやり方はとてもセールスマンとはいえませんなァ」

喪黒「あれじゃセールスマンではなく、ただの押し売りですよ」

男「なんだと……!?」


喪黒「それにペナルティにしても芸がなさすぎます」

喪黒「顔を傷つけたり、ちぎったり、手を丸めたり、思いっきり蹴り飛ばしたり……」

喪黒「グロテスクだったり、暴力的であればいいというものではありません」

喪黒「あなたにはそういったユーモアも足りないようですなァ」

男「ぐぐっ……!」

喪黒「あなたが不幸にした四人は、あとで私がちゃんと元に戻しておきましょう」

喪黒「そして……あなたはすぐにでも黒魔術から足を洗うことです」

喪黒「黒魔術にのめり込みすぎた人間の末路は、それはもう悲惨なものですからな」

喪黒「ホッホッホ、それでは失礼……」クルッ


男「――ふざけるなッ!」

男「ここまできて、二代目笑ゥせぇるすまんになるのを諦めきれるか!」

男「そうだ! だったらこの場であんたを消してやる!」

男「俺の黒魔術は、あんたの不気味な力をも凌いでるはずだからな!」

喪黒「ご忠告いたします。やめておいた方がよろしいかと」

男「命乞いならもっとうまくやるんだな! くたばれぇっ!」バッ



ズガガガァァァァァンッ!


シュゥゥゥ……



男「ふふふ……一撃で消し飛びやがった……!」

男「これで今日から俺が、笑ゥせぇるす――」



「オーッホッホッホ……」



男「!?」ビクッ


喪黒「大変心苦しいのですが、どうやらあなたには罰を与えなければなりません」

男「あ……ああ……」

喪黒「しかし、私の後継者を目指していただいたことに免じて――」

喪黒「せめて、私のような人間にしてさし上げましょう」ズイッ

男「や、やめ……」ジリ…





喪黒「ドーン!!!」





男「ぎゃあぁぁぁぁぁ……!」


……

……

……



男「アハハハッ! アハハハハハッ……アハハハハッ! アハッ、アハハハッ!」

男「アハハハハハハッ、アハハッ、アハハハハハハハハハハッ!」

男「アハハハッ! アハッ……」ガコッ

男(笑いすぎて、顎が外れ……!)

男「あひゃっ、ひゃひゃひゃっ、あひゃひゃひゃひゃっ!」


チンピラ「おい」

男「あひゃっ!?」

チンピラ「さっきから人のツラ見てなに大笑いしてやがんだよ」

ビッチ「なんなのこいつぅ~! 超キモ~イ!」

男「あひゃっ、ひゃひゃひゃっ、ひゃっ、ひゃっ!」ブンブンッ

チンピラ「首振りながら笑ってんじゃねえ! ブッ殺してやる!」

ビッチ「やっちゃえ、やっちゃえ!」

男「あひゃひゃめて、ひゃめてくれぇぇぇぇぇっ! あひゃひゃっ!」


ウギャァァァァァ……!





喪黒「おやおや、笑う門には福来たる、というわけにはいかなかったようですなァ」

喪黒「それにしても、せっかく頼もしい後継者ができるかと思いきや」

喪黒「大変残念な結果になってしまいました」

喪黒「どうやら私は、まだまだ現役を引退するわけにはいかないようです」

喪黒「オーッホッホッホッホッホ……」






― 完 ―

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