咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」2 (127)


咲「中学……麻雀部に入ろうかな」
咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
の続きになります

・咲が中学の三年間麻雀部で活動
・咲が臨海に入学
・作者シノハユ未読
・地の文多し
・バックアップ用にハーメルンに保管してます

大体の注意点は以上です
それでもお付き合い下さる方、今後ともよろしくお願いいたします


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1452611270

チヤホヤされたかったのなら初めから京太郎主人公にしとけよ
もう来ないわ

>>7
自分は、自分の腕を上げるためと書きたいものしか書きません
咲読者としての嗜好はほぼ百合専門ですが、自分のためになるなら読みたいものは読むし、書きたいものは書くという考えでやってます

もしこの考えで読者が離れるならその程度の話しか描けてなかったんだ…と奮起してこの話書くのを頑張ります

話わからない人はいきなり長文書き込んで何事かと感じた人もいるかと思うし軽く説明しときます
練習に安価スレの短編書こうと京太郎が主人公のスレ立てたので不快に思われてしまったみたいです

ちなみに準備不足と勉強不足がよくわかったのでそのスレは更新とめるつもりです
仮にやるとしてもこっちが遅くならない範囲でしかやらない事は伝えときます

咲「中学……麻雀部に入ろうかな」
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1426441942

咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1426499875

えーとリンクの貼り方これでよかったか…
確か正しい貼り方別にあった気が…間違ってたら、どなたか代わりにお願いできませんか?

咲「中学……麻雀部に入ろうかな」
咲「中学……麻雀部に入ろうかな」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1426441942/)

咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1426499875/)

>>14
ありがとうございます!助かりました!

次から自分で貼れるようちゃんとコピーとバックアップしときます
ほんとうに助かりました!



難題というのは意外なところから解決の糸口が見つかることがある。

けれど、その糸口を発想や直感で得ようとするならば。

そこに天賦や天稟といったものが要求されることもめずらしくない。

直感の中には情報に基づく閃きという考え方がある。その場合、後天的に蓄積されたものが重要になってくることもあるのだろうが、それは知識や理性に重きを置き、どちらかといえば直感そのものよりそれらに寄り添った見方のように咲には感じられる。

私には、知恵が欠けている。咲はずっとそう考えて咲なりにその知恵を補おうとしてきた。

そのための最たるものは……読書だろう。咲は読書そのものが好きだが、半面必要に迫られて読んできたという事実もあった。

本は……咲にたくさんの世界を、そしてたくさんの見方を教えてくれた。

他人(ひと)の心なんてどうせわからない。そう匙を投げかけていた幼い咲の、押し潰されてしまいそうになる嘆きを和らげてくれた。

かけがえのないもの。本は、咲の恩人のようなものだ。

――なぜ、いきなりそんなしかつめらしいことに思いを馳せているか。

答えは簡単、そうしないとやってられないからである。てられな。てられなですわ。TVショーで見た芸人のギャグが咲の脳裏で延々とリピートされる。

「ぐ、ぬぬぬぬ……」

乙女らしからぬ唸り声が狭い室内に漏れる。ネリーのものだ。

先ほどまでいたファッションビルのテナントのうち、サービス業や飲食業といった店とは異なる企業に貸し出されたテナントの一室。

普通の学校の教室の半分ほどの広さだが、幾つもの柱を作っている積み上げられたダンボールのせいで随分手狭に感じられる部屋。

ネリーと咲は、そこで、なぜか部品を組み立てる作業をしていた。ずんぐりとした分厚い着ぐるみを着用して。

その部品の組み立てはよりによって精密さが求められるもの。ぶっちゃけ、着ぐるみを着た上でやるなどというのは正気の沙汰ではなかった。

あまりの難解さに、ネリー……現在はた目にはアヒルを模したようなマスコットキャラクターに扮した中の人は、その可愛らしい着ぐるみのつくりに反して荒んだ顔つきが容易に目に浮かぶ威圧感を放出していた。

「ああもうっ! おかしいでしょこれ!! 着ぐるみ着てやる作業じゃないよこれ!」

ネリーが、座り込んでいた姿勢から勢いよく立ち上がり、我慢ならない、といった具合に騒ぐ。立ち上がった瞬間に手にしたものを床に叩きつける。本当なら心底そうしてやりたいのだという、苛立ちやら鬱憤が伝わってくる態度だった。

「ま、まあまあ、そうおっしゃらず。慣れですよこういうのは」

ネリーの気分をおもねるような言葉を投げかけるのはアフロ頭の人。あの中年男性だ。

「そんなこというなら自分でやってみなよ!」

「い、いや私は事業主ですから……」

このやりとり、何度目だろう。ネリーと同じく作業に従事していた咲は一旦手を止めて行方を見守る。

全く同じやりとりが繰り返されているわけではないが、似たようなものだ。ものすごく、平行線。

平行という概念に程度などなさそうだが、そう言いたくなるくらい、不毛なのだ。

「ならせめて着ぐるみ脱がせてよ!」

「それが大事なんですよう」

「なんですよう、じゃないよ! 猫なで声だすな!」

「うっ……」

着ぐるみのアヒルと、アフロの男が口論を繰り広げるさまは何というか、滑稽な絵面だ。

咲も、できる事なら着ぐるみを脱ぎたい。咲は猫だ。名前はタマ。

「でもそれ着てやってもらわない事には……」

「……この変態」

ネリーが、おそらく蔑んだ目でアフロを見やる。まるで、男ではなくアフロに罪があるかのような言い草だ。ネリーの視線はアフロを捉えて離さない。

「へ、変態って。別にその着ぐるみ卑猥だったりしないでしょ! 名誉棄損だ!」

「うっさい! 変質者!」

変態の称号は女子トイレ侵入に関して与えられたものらしい。男もそれに気づいたか、ぐうの音も出ないような様子で「ぐうっ」と呻く。あまりのわざとらしさに咲は少しいらっとした。

反ばくできない事実を指摘され、変質者のアフロはそれから「いやだって……ねえ?」とか、「仕方ないじゃんねえ?」などと、自分を正当化しようとしていたが、やがて彼自身あきらめをつけたのか、「はあ……」と肩を落とした。

「はあ……はこっちのセリフだよ。ほんとに……」

「エルティちゃん、大丈夫?」

疲労した様子のネリーが気にかかって声をかける咲。咲自身相当に疲れていたがネリーのほうがずっと心配だった。

「ああ、ミヤガワ。うん。疲れてるけどまあだいじょうぶ」

「ムリはダメだよ。絶対に言ってね」

頻繁に虚勢を張る自分を棚に上げて咲は言った。絶対、などとあまり使わないようにしている言葉を口にしてしまうくらい心配している。

「……ミヤガワこそだいじょうぶ? 勉強のあとに来たんでしょ? そっちのほうがよっぽど疲れてると思うけど」

確かな事を言われて、咲は「うっ……」と漏らす。こんな事なら勉強していた事など話さなければよかった。失敗したと思った。

「……ふふん、図星でしょ。ミヤガワこそムリはダメだよ」

優しげに得意げに言われて、ずんぐりした着ぐるみの中で咲はうつむく。複雑な心境だった。内面を見通されて、嫌な気持ちもある半面、わかってもらえて嬉しさも込みあげる。

こんな経験、めったになかった。

隠したい心の裡を誰かに知られるのは……咲にとって恐怖だった。ずっと、ずっとそう思って、そう感じて、小学校でも中学校でも過ごしてきた。知られないためになら。自分でも弁護できない事も、ひどい事を、たくさん、たくさんしてきた。

もう嫌だ。

そう叫びたくなった事もある。泣きわめいて、泣きついて、助けてほしい、赦してほしい、そんな欲求を秘めて生きてきた。

なのに。

「……うん。少し、疲れたかな。この作業大変だね」

咲は、正直に弱音をこぼしてしまう。

ほんとうは、作業のせいだけじゃない。女子トイレであわや襲われるかと思った恐怖の体験から、一連の出来事が尾を引いている。

とくに……拘束から解かれた直後の、あの奇矯な振舞い……あれが一番、堪えている。疲労の度合いで言えば。

「あり得ないよこの作業! ……そもそも、ミヤガワは付き合う必要なんてないんだから、やめていいんだよ?」

着ぐるみを着ながらの内職じみた部品組み立て。ネリーと咲がやっているのはそういう作業。

ネリーがやると言うから咲は付き合っている形だ。でも、ネリーだって好きこのんで作業を引き受けたわけじゃない。

「一人で待ってても退屈だし……案外、やってたら慣れるかも」

本音だ。この苛まれるような作業にネリーが嫌々取りかかるのを傍観しているのはたとえ目の前にいなくたって嫌だ。したくない。

「帰るなら送ってくよ? ……それくらい、いいよね?」

アフロ男に顔を向けたネリーが脅すような口調に変えて言う。

「えっ、それは困……」

「は?」

る、と言いかけたのだろうアフロがぎろっと睨まれて押し黙る。怯えたように口に掌を当てている。

「帰れないって言うの?」

「ちょ、ちょっとコワイ……今どきの女の子コワイ……」

「帰れるの? 帰れないの?」

「か、勘弁してくださいよ」

年齢は親子ほど違いそうな二人の力関係が年功序列の理屈と相反している。

助けを求めるかのように、アフロからすがる目で見つめられる。

別に帰りたい意思があるわけではない。だから、心の奥底に潜む咲は彼を助けてあげたいと思う。

だがその意思はなくとも咲はネリーの味方だ。それは、ダブルスタンダードを厭いながらも切り離せない、咲の内面をよく表す捉え方だった。

「宮川さんが重要なんですよ……彼女だからこそお願いしたんだ」

なぜ自分なのか、理由が幾つかあるらしいが最たるところだと聞かされたもの、それは咲にしてみれば不本意なものだ。

「この、ダイエット商品の宣伝や売り子、実演モデルにはスリムであることが求められるんです」

アフロが比較的真面目な顔で言うとネリーは鼻を鳴らした。

「ネリーも同じくらいには痩せてるけど?」

「スリムなのは最低条件! 宮川さんには声や容姿といった武器がある!」

思わず咲はむっとした。頬がふくらむ。それでは、まるでネリーの声や容姿に魅力がないみたいではないか。

――私より絶対に魅力あるに決まってるでしょ!?

「エルティちゃんの何が不満だって言うんですか!」

怒鳴るような声をあげる。アフロとネリーが同時に振り向く。二人とも意外そうに目を丸くしている。

「み、宮川さん?」

「エルティちゃんはかわいいんです! 三国一です! いや世界一です!」

宇宙一、と口にしかけて口を噤む。ほんとうなら事実を事細かに明らかにしてやりたいところだが、この勢いなら言わずともわかるはず。語勢同様咲の心情は暴走していた。

その影響は瞬く間に周囲に波及し、引き気味の反応を見せるアフロと、

「……うえっ、サキ?」

ほんとうならこの場で言ってはならないはずの名前を口にしてしまう取り乱した様子のネリーを生み出す引き金となった。

ここまで

>>19
あまりのわざとらしさに咲は少しいらっとした。

あまりのわざとらしさに咲は少しいらっとした。こんな事はめずらしい。

大事な見落としだったのでこれだけ修正

なんかもう疲れた…やりたいことはたくさんあります
全体の構成を完全にミスったので普通の尺のはずのネリーの話がだれてくると思いますが…
一応、ヤマとオチは四月の話の中でつけるつもりです

あ…今の更新分、焦って書いたあまりプロットの予定崩してた
書き直すかもしれません
もういないかもしれませんが読んでた人いたら申し訳ありません…

私事で随分とご迷惑とご不快おかけしたかもしれません
重ね重ね申し訳ないですが、前に言ったどんなに読者少なくてもこれ続けるって約束は守れないと思います
ご了承ください
上げときます

書き直しプラスほんのちょっと更新

最後のネリーの反応を変えた以外、読みやすいよう文章を添削した程度です。飛ばしても大丈夫です

レスにはこれからできるだけ作品で応えるようにします



難題というのは意外なところから解決の糸口が見つかることがある。

けれど、その糸口を発想や直感で得ようとするならば。

そこに天賦や天稟といったものが要求されることもめずらしくない。

直感の中には情報に基づく閃きという考え方がある。その場合、後天的に蓄積されたものが重要になってくることもあるのだろうが、それは知識や理性に重きを置き、どちらかといえば直感そのものよりそれらに寄り添った見方のように咲には感じられる。

私には、知恵が欠けている。咲はずっとそう考えて咲なりにその知恵を補おうとしてきた。

そのための最たるものは……読書だろう。咲は読書そのものが好きだが、半面必要に迫られて読んできたという事実もあった。

本は……咲にたくさんの世界を、そしてたくさんの見方を教えてくれた。

他人(ひと)の心なんてどうせわからない。そう匙を投げかけていた幼い咲の、押し潰されてしまいそうになる嘆きを和らげてくれた。

かけがえのないもの。本は、咲の恩人のようなものだ。

――なぜ、いきなりそんなしかつめらしいことに思いを馳せているか。

答えは簡単、そうしないとやってられないからである。

「ぐ、ぬぬぬぬ……」

乙女らしからぬ唸り声が狭い室内に漏れる。ネリーのものだ。

先ほどまでいたファッションビルのテナントのうち、サービス業や飲食業といった店とは異なる企業に貸し出されたテナントの一室。

普通の学校の教室の半分ほどの広さだが、幾つもの柱を作っている積み上げられたダンボールのせいで随分手狭に感じられる部屋。

ネリーと咲は、そこで、なぜか部品を組み立てる作業をしていた。ずんぐりとした分厚い着ぐるみを着用して。

その部品の組み立てはよりによって精密さが求められるもの。ぶっちゃけ、着ぐるみを着た上でやるなどというのは正気の沙汰ではなかった。

あまりの難解さに、ネリー……現在はた目にはアヒルを模したようなマスコットキャラクターに扮した中の人は、その可愛らしい着ぐるみのつくりに反して荒んだ顔つきが容易に目に浮かぶ威圧感を放出していた。

「ああもうっ! おかしいでしょこれ!! 着ぐるみ着てやる作業じゃないよこれ!」

ネリーが、座り込んでいた姿勢から勢いよく立ち上がり、我慢ならない、といった具合に騒ぐ。立ち上がった瞬間に手にしたものを床に叩きつける。本当なら心底そうしてやりたいのだという、苛立ちやら鬱憤が伝わってくる態度だった。

「ま、まあまあ、そうおっしゃらず。慣れですよこういうのは」

ネリーの気分をおもねるような言葉を投げかけるのはアフロ頭の人。

「そんなこというなら自分でやってみなよ!」

「い、いや私は事業主ですから……」

このやりとり、何度目だろう。ネリーと同じく作業に従事していた咲は一旦手を止めて行方を見守る。

全く同じやりとりが繰り返されているわけではないが、似たようなものだ。ものすごく不毛。

「ならせめて着ぐるみ脱がせてよ!」

「それが大事なんですよう」

「なんですよう、じゃないよ! 猫なで声だすな!」

「うっ……」

着ぐるみのアヒルと、アフロの男が口論を繰り広げるさまは何というか、滑稽な絵面だ。

咲も、できる事なら着ぐるみを脱ぎたい。咲は猫だ。名前はタマ。

「でもそれ着てやってもらわない事には……」

「……この変態」

ネリーが、おそらく蔑んだ目でアフロを見やる。まるで、男ではなくアフロに罪があるかのような言い草だ。ネリーの視線はアフロを捉えて離さない。

「へ、変態って。別にその着ぐるみ卑猥だったりしないでしょ! 名誉棄損だ!」

「うっさい! 変質者!」

変態の称号は女子トイレ侵入に関して与えられたものらしい。男もそれに気づいたか、ぐうの音も出ないような様子で「ぐうっ」と呻く。あまりのわざとらしさに咲は少しいらっとした。こんな事はめずらしい。

反ばくできない事実を指摘され、変質者のアフロはそれから「いやだって……ねえ?」とか、「仕方ないじゃんねえ?」などと、自分を正当化しようとしていたが、やがて彼自身あきらめをつけたのか、「はあ……」と肩を落とす。

「はあ……はこっちのセリフだよ。ほんとに……」

「エルティちゃん、大丈夫?」

疲労した様子のネリーが気にかかって声をかける咲。咲自身相当に疲れていたがネリーのほうがずっと心配だった。

「ああ、ミヤガワ。うん。疲れてるけどまあだいじょうぶ」

「ムリはダメだよ。絶対に言ってね」

頻繁に虚勢を張る自分を棚に上げて咲は言う。絶対、などとあまり使わないようにしている言葉を口にしてしまうくらい心配している。

「……ミヤガワこそだいじょうぶ? 勉強のあとに来たんでしょ? そっちのほうがよっぽど疲れてると思うけど」

確かな事を言われて、咲は「うっ……」と漏らす。こんな事なら勉強していた事など話さなければよかった。失敗したと思った。

「……ふふん、図星でしょ。ミヤガワこそムリはダメだよ」

優しげに得意げに言われて、ずんぐりした着ぐるみの中で咲はうつむく。複雑な心境だった。内面を見通されて、嫌な気持ちもある半面、わかってもらえて嬉しさも込みあげる。

こんな経験、めったになかった。

隠したい心の裡を誰かに知られるのは……咲にとって恐怖だった。ずっと、ずっとそう思って、そう感じて、小学校でも中学校でも過ごしてきた。知られないためになら。自分でも弁護できない事も、ひどい事を、たくさん、たくさんしてきた。

もう嫌だ。

そう叫びたくなった事もある。泣きわめいて、泣きついて、助けてほしい、赦してほしい、そんな欲求を秘めて生きてきた。

なのに。

「……うん。少し、疲れたかな。この作業大変だね」

咲は、正直に弱音をこぼしてしまう。

ほんとうは、作業のせいだけじゃない。女子トイレであわや襲われるかと思った恐怖の体験から、一連の出来事が尾を引いている。

とくに……拘束から解かれた直後の、あの奇矯な振舞い……あれが一番堪えている、疲労の度合いで言えば。

「あり得ないよこの作業! ……そもそも、ミヤガワは付き合う必要なんてないんだから、やめていいんだよ?」

着ぐるみを着ながらの内職じみた部品組み立て。ネリーと咲がやっているのはそういう作業。

ネリーがやると言うから咲は付き合っている形だ。でも、ネリーだって好きこのんで作業を引き受けたわけじゃない。

「一人で待ってても退屈だし……案外、やってたら慣れるかも」

本音だ。この苛まれるような作業にネリーが嫌々取りかかるのを傍観しているのはたとえ目の前にいなくたって嫌だ。したくない。

「帰るなら送ってくよ? ……それくらい、いいよね?」

アフロ男に顔を向けたネリーが脅すような口調に変えて言う。

「えっ、それは困……」

「は?」

る、と言いかけたのだろうアフロがぎろっと睨まれて押し黙る。怯えたように口に掌を当てている。

「帰れないって言うの?」

「ちょ、ちょっとコワイ……今どきの女の子コワイ……」

「帰れるの? 帰れないの?」

「か、勘弁してくださいよ」

年齢は親子ほど違いそうな二人の力関係が年功序列の理屈と相反している。

助けを求めるかのように、アフロからすがる目で見つめられる。

別に帰りたい意思があるわけではない。だから、心の奥底に潜む咲は彼を助けてあげたいと思う。

だがその意思はなくとも咲はネリーの味方だ。それは、ダブルスタンダードを厭いながらも切り離せない、咲の内面をよく表す捉え方だった。

「宮川さんが重要なんですよ……彼女だからこそお願いしたんだ」

なぜ自分なのか、理由が幾つかあるらしいが最たるところだと聞かされたもの、それは咲にしてみれば不本意なものだ。

「この、ダイエット商品の宣伝や売り子、実演モデルにはスリムであることが求められるんです」

アフロが比較的真面目な顔で言うとネリーは不快そうに鼻を鳴らす。

「ネリーも同じくらいには痩せてるけど?」

「スリムなのは最低条件! 宮川さんには声や容姿といった武器がある!」

思わず咲はむっとした。頬がふくらむ。それでは、まるでネリーの声や容姿に魅力がないみたいではないか。

――私より絶対に魅力あるに決まってるでしょ!?

「エルティちゃんの何が不満だって言うんですか!」

怒鳴るような声をあげる。アフロとネリーが同時に振り向く。二人とも意外そうに目を丸くしている。

「み、宮川さん?」

「エルティちゃんはかわいいんです! 三国一です! いや世界一です!」

宇宙一、と口にしかけて口を噤む。ほんとうなら事実を事細かに明らかにしてやりたいところだ。しかしこの勢いなら言わなくてもわかるはず。語勢同様咲の心情は暴走していた。

その影響は瞬く間に波及し、引き気味のアフロと、

「ミ、ミヤガワ?」

戸惑いがちのネリーという似たような反応を生み出す。

「あ……」

その反応……主にネリーのそれを見て、咲は我に返る。独り相撲だと気づく。

「……宮川さん。疲れてる?」

アフロ男が一転して心配するような事を言い出す。

「ほら! ミヤガワがおかしくなっちゃったじゃない! どうしてくれるの!」

一方ネリーは怒り出す。

――お、おかしくなったって……。

密やかに傷ついた咲だが顔や態度には出さない。

「い、いや、……大丈夫ですか宮川さん?」

ほとんど口答えせず丁寧に気遣うようなアフロ男。軽薄な態度ばかり見てきた彼にしてはめずらしい。咲はそう感じた。

結局、その日は二人揃ってそのまま帰っていいことになった。咲としては複雑な気持ちだ。

他の場所に行っていた付き添いの青年たちとはネリーの連絡で合流し、途中まで送ってもらった。

そして。

二人で歩く帰りの夜道、

「あ、そういえば」

咲が切り出す。

「ん?」

「今日は香水つけてないんだね」

ネリーが、硬直したように一瞬表情を固くする。

「ああ……今日はつけてないよ」

「へー」

「あんまり興味なさそう?」

相づちで関心の度合いを見抜かれたようだ。咲は苦笑する。

「うん。普段の匂いのほうが好きだから」

「……は?」

また、ネリーが固まった。今度は足も止めて硬直する。

「……あっ」

変な事を言ってしまったと気づく。これではまるで匂いに特別な嗜好でもあるかのようだ。

「……ふふ、面白い顔」

ネリーにからかわれる。よくある事。なのに。

「うう……忘れて」

すごく、恥ずかしかった。

ここまで
書き直し失礼しました

京太郎「今度は東京……臨海か。やれやれ」
京太郎「今度は東京……臨海か。やれやれ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1452820246/)

1 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/15(金) 10:10:46.78 ID:lLrXzz14o[1/9]
「見切り発車の京太郎スレ」苦手な人は覚えてね

・安価とコンマあります

京太郎が臨海(共学)に入る話。長編の現行を他に抱えてるので短め。もしかしたらほんとうにすぐ終わるかも

ヒロインを選択してギャルゲー風味

まずメインとなるヒロインだけ決めたいので
ネリー、明華、智葉の中から選択してください

先に五票集まったヒロインに決めます連取、重複、ID変えなどはNG

前言がちょっと微妙な感じになってしまいますが
辛口?のアドバイスや指摘とか色々と身にしみました、でもすごくありがたい、よかったらこれからもしてほしいと思います
感謝の気持ちは伝えたかったので
失礼しました

完全に自業自得ですよね…
スレ立てた最初から最後まで、やってしまったという念しか今はないです

わかってます…

このタイミングでこんな事を言うのはあれなんですが…
ちょっと「やらかした」というショックが大きいのかプロットから話を組み立てようとしてもうまくいかなくなっていて
しばらく気を落ち着かせる意味も含めてこのスレ一回落とそうと思います

またこのスランプみたいなのが直ったらスレ建て直そうと思います
勝手なことばかりですみません
またみてくれる人いたらよろしくお願いします

■ HTML化依頼スレッド Part37
■ HTML化依頼スレッド Part37 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1450867414/)

730 : ◆JzBFpWM762 [saga]:2016/01/17(日) 01:20:46.78 ID:CE5MZioLO[1/2]
京太郎「今度は東京……臨海か。やれやれ」
京太郎「今度は東京……臨海か。やれやれ」 - SSまとめ速報
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更新を止めるのでHTML化お願いします。

731 : ◆JzBFpWM762 [sage]:2016/01/17(日) 01:35:35.28 ID:CE5MZioLO[2/2]
咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1426499875/)
完結したのでHTML化お願いします

判断が難しいですがとりあえずこのスレはハーメルンでやっていくことにします

荒らしと渡り合おうとは思いません
今までありがとうございました、それとすみませんでした

事情がわからなかったのは本当です
おそらく火に油を注ぐことをしてしまった
本当にすみませんでした

勉強になりました…
こうなってしまうと嘘っぽいかもしれませんが
この作品の話の筋と今回の件との関連はなく、話していたのはほぼ本音です
2ちゃんのようなところ自体に不慣れそうだったのも単にほとんど覗く事がなく無縁に近かったので…よくわからずにやってましたごめんなさい

これではこっちが荒らしだ…

えっと…すみません棲み分け?みたいなのさえ守ればいいんですか?

というか今返してくれてるの京太郎側の人たちが同情して声かけてくれてるのか…?本当にすみません無自覚って悪質ですね…

消えます…どちらの方々も本当にすみませんでした…

最後に…信じられない迷惑をおかけして申し訳ありませんでした…

少し冷静になりました
おそらく今予想している通りで間違いないような気がします
お騒がせしてしまったかな…また精神面を磨いて出直します

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