れんげ「ムシキング!ムシキングなん!」 (18)

蛍(私がここに来てはじめての夏休み…でも今日は何やら様子が…)

れんげ「なっつん!もうすぐあれの時期なん。ほたるん用にあれを取りに行くん」

夏海「あーそっかーもうそんな時期かー」

小鞠「だったらあれを準備しないとねー」

蛍「あの…みなさんあれの時期って…あれってなんですか?」

れんげ「甲虫王者決定戦…通称ムシキングなん」

蛍(なにそれ…)

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夏海「まあいうよりは実際に見たほうが早いかな…ねえちゃん一回やってみようよ」

小鞠「そうだね。蛍まずはわたしたちの戦いをよく見ていてね」スッ

蛍「…ってクワガタムシ!?小鞠先輩、たしか虫とかは苦手だったんじゃ…」

夏海「ねえちゃんなぜかこういう虫だけは大丈夫なんだよな」

れんげ「それよりなっつんもはやくだすん」

夏海「オッケーオッケー…これがウチのムシ…」スッ

夏海「ブラッティーマリーだ!」ツマンネーコトキクナヨ

蛍「赤い…クワガタ…?」

夏海「そうこれはウチが研究に研究を重ねて作り出した夏海ちゃん専用のムシなのだ!」

蛍(急に研究とか何言ってんだろ)

小鞠「まあ驚くことも無理はないわね。ここじゃ捕まえた虫を改造したりするのは当たり前なの。私のこの忠吉さんも…」デカイ

蛍(言われてみれば…ただのクワガタムシにしては大きすぎる…れんちゃんの頭くらいのサイズはある)

れんげ「そういう説明は後でするん。」

夏海「はいはい…ねえちゃんそっちは準備できた?」

小鞠「こっちはできたわ。そっちも私の忠吉さんに潰される心の準備はOK?」

夏海「つまんねー事聞くなよ…わたしのマリーの赤に染められるがいいさ」

蛍(なに…この緊張感…)

れんげ「準備おっけいなん?じゃあ」

れんげ「はっけよーい…」

れんげ「のこったのん!」

蛍(掛け声だっさ!)

シュン!!

蛍「!?虫が…消えた…?」

れんげ「ほたるんあそこをみるん」

蛍「…いつの間にあんな遠くの木に」

小鞠「もらった!いけ、忠吉さん!」

  ガシィ!メキメキ

蛍「小鞠先輩の虫が木を真っ二つに…」

夏海「フッあたんねーよ。ねえちゃんのは力と大きさに頼りすぎている…」

夏海「攻撃は…当ててこその攻撃だ!」シュバッ

 

スパッ   ゴト



蛍「ヒッ!小鞠先輩の虫の首が…」

小鞠「ああーまた夏海に負けたー!」

れんげ「こまちゃん相変わらず弱いんなー」

蛍(これで弱い!?)

夏海「まあねえちゃんは毎年大会じゃ最下位争いだしねー」

小鞠「わ…私だって頑張っているのよ!」

蛍「あの…みなさん普通にしてますけど…先輩の虫…死んじゃったんですよ?」

夏海「うん。それで?」

蛍「それでじゃないですよ!先輩が…先輩が頑張って育て上げた虫をこんな虫けらみたいに簡単に殺しちゃって…」

れんげ「ほたるんそれが闘争なん…」

れんげ「戦い、傷つき、苦しむ…闘争とはそういうものなん」

蛍「でも…」

小鞠「大丈夫よ蛍。この駄菓子屋印の賢者の石を使えば」パァァァァ


シャキーン


小鞠「元通りよ」

蛍「」

蛍(虫の命とはこうも軽いものなのか…)

夏海「ちなみにこの中じゃ一番強いのはれんちょんかな」

れんげ「いやーそれほどでも」テレ

小鞠「去年初出場したんだけどお兄ちゃんと決勝で引き分けたんだからね」

れんげ「うちなんてねえねえに比べたらまだまだなん」

夏海「いやかずねえは一般部門のチャンピオンだしさー」

蛍「一般とかあるんですか?」

夏海「そそ、うちら中学生までがジュニア部門でそれ以上が一般。いろんな人が県外から来るんだよ」

蛍「いい大人が何してるんですかね」

れんげ「ほたるんそういうこと言うのやめるん」

蛍「…じゃあ先生、れんちゃんが強いならひかげさんも…」

夏海「あーだめだめひかねえは雑魚雑魚。姉ちゃんより弱いよ」

小鞠「こらーそれじゃ私が弱いみたいじゃない!」

れんげ「ひかねえはクソ雑魚なん。宮内家の面汚しなん」

蛍「ハハハ…」

蛍「れんちゃんの虫はどんなの?」

れんげ「これなん」スッ

蛍「へぇー意外とふつ…って矢が刺さってる!?」

れんげ「弓道部のとこを歩いていたら刺さったん」

蛍「え!?なんで普通に動いてるの、また駄菓子屋さんの賢者の石?」

れんげ「ちょっと違うん。駄菓子屋と一緒に作って不死身なんな」

夏海「そうなんだよな。どんなに攻撃しても向かってくるんだよね」

小鞠「ずるいわよそれ」

れんげ「改造もムシキングの実力の内なん」

蛍「名前はなんていうの?」

れんげ「『楓』…」

蛍「あれ?れんちゃんの割には普通の名前…」

れんげ「駄菓子屋と作ったから駄菓子屋の名前から楓にしたん」

蛍「そうなんだ」(駄菓子屋さんは名前で呼ばれずクワガタムシは楓って呼ばれる…)

夏海「それよりほたるんのムシも捕まえに行こうぜ」

蛍(わたしもやらなきゃいけないかな)

小鞠「いいやつ探してあげるわ」

蛍「はい!ありがとうございます!」



楓「番号!」

れんげ「ワン!」

夏海「ツー!」

小鞠「スリー」

蛍「ふぉ…フォー」

卓「…」ファイブ

ひかげ「セックス!」

このみ「セブン」

ペチ「エイト!」ワン

楓「よし全員揃ったな」

楓「獲物はもったか!」

れんげ「ほたるんなにもってるん?」

蛍「え?猟銃だけど」

れんげ「虫取りに猟銃はいらないのん」

蛍「でもあの虫たちに相手に虫取り網じゃ…」

れんげ「あれは改造したムシなん。改造前は普通の虫なん」

夏海「だから犬連れてたのか」

ペチ「ワンワン!」

夏海「んでなんでこのみちゃんとひかねえが」

ひかげ「いやーどうやら今年から高校生もジュニア部門に入るらしくてさー」

このみ「一般用じゃジュニア部門に出場できないからね」

蛍「違いがあるんですか?」

ひかげ「そーそー一般の奴はジュニア組には強すぎるからねー」

このみ「そういってこの前れんげちゃんにボロ負けしてたけどね」

ひかげ「…」

小鞠「このみちゃんはどんなのにするの?」

このみ「フッフッフー実はもう捕まえてたりして」スッ

夏海「これアトラスじゃん!かっけー」

ひかげ「わたしも来る途中で捕まえたんだよね」スッ

夏海「ヘラ…クレス…だと」

蛍「わぁ…すごく、大きい」

このみ「でも…」

れんげ「ひかねえに捕まった虫はかわいそうなんな」

ひかげ「こらーそういうこというなー!」

卓「…」シュッシュッ

ペチ「ワン」ガジガジ

蛍「なかなか見つからないな…あ!見つけた!」

れんげ「ほたるんそれはふんころがしなん」

蛍「これじゃないか…これは?」

れんげ「それはリュウキュウテナガコガネなん」

蛍「なんでそれがここに…!これ強そう」

れんげ「タイワンカブトなん。それはただの害虫なん」

蛍「うーん見つからないな…」

小鞠「蛍ー見つかったー?」

蛍「あ先輩…いえまだ見つからなくて…」

小鞠「そっか…もしよかったらでいいんだけどさっき捕まえたカブトムシなんだけど蛍いる?」

蛍(先輩がわたしに…)

蛍「はい!ありがとうございます!」

ひかげ「あーカブトムシ不利なのにほたるんに押し付けたー」

小鞠「ひ…人聞きの悪いこと言わないでよ!」

蛍「…不利?」

れんげ「そうなんこの戦いはどちらかを行動不能にするか、亡き者にするかまでが勝負なん」

楓「つまりひっくり返すしか攻撃手段のないカブトムシはクワガタに比べて圧倒的不利」

蛍「そんな…」

ひかげ「そんな雑魚はやめたほうがいいよ」

このみ「まあまあみんなよってたかってやめなって。ひかげちゃんは何使っても雑魚だしさ」

ひかげ「」

小鞠「…せっかく捕まえたのに」グス

蛍「!」(先輩が泣いてる…それに膝とか擦りむいている)

夏海「…ほたるん」コソッ

蛍「?」

夏海「ねえちゃんさそれ捕まえるために結構無茶してさ…無理にとはいわないけど…」

蛍「大丈夫ですよ」

楓「たしかにカブトは不利だ…」

蛍「わたしは最初からこの子で行くつもりです!」キリッ

小鞠「ほたる…」ジーン

楓「しかし本当に大切なのは有利不利なんかじゃない」

駄菓子屋

楓「さてムシも決まったことだし改造すっぞ!蛍ちゃんにはやり方を教える」

蛍「はい!よろしくお願いします」

小鞠「わたしも一緒にやるわ」

蛍「あれ?先輩はもうムシが…」

小鞠「初心に帰ってみようと思ってね」

夏海「まあねえちゃんのはでかいだけで弱いから一からやり直したほうがいいからね」

小鞠「…まあそうだけどさ。私だって強くなるんだから」

蛍「先輩…一緒に頑張りましょう!」

楓「よし小鞠もまた一から指導してやる」

夏海「んじゃこっちはこっちで演習でもしようかな…れんちょん演習しようぜ」

れんげ「やるーん」

楓「改造って言ってもそんなに難しいもんじゃない」

楓「ここにある三種類のパーツを装備させるパーツの効果は火力、走行、速力の三つだ」ジャラジャラ

蛍(どうやってつけるんだろ)

楓「んでパーツの数値がそれぞれ振ってあってその合計値が100が限度だ。ちなみに一般は500だ」

小鞠「これ合計100いかせるの難しいのよね」

楓「そう、ただ数値を計算して改造の内容を決めてもそれを付ける技術がなければ意味がない。数値が高ければ高いほど改造は難しい」

小鞠「ちなみにジュニア部門じゃ100ジャストはいないよ。れんげやお兄ちゃんでも70~80が限度」

蛍「れんちゃんでも100はいかないんだ…」

楓「むしろあの年でこの数値が異常なんだけどな…」

楓「まあれんげに関しては改造技術より調合のセンスがずば抜けているな」

蛍「調合?」

小鞠「能力付加ゼリーのことだよ」

蛍「あの…ますます意味がわからないのですが…」

楓「まあ簡単にいうとムシにちょっとした能力を加えるって感じだな」

小鞠「わたしの忠吉さんは大きかったり夏海のは赤かったり…」

蛍(夏海先輩のムシの能力ショボッ!?)

楓「そんでれんげの不死だ…正直れんげの能力は一般でも通用するレベルだ」

蛍「そんな…」

小鞠「だ…大丈夫よ!蛍ももしかしたらセンスあるかもだし…」

蛍「そ…そうですよね」

楓「まあ難しく考えないで改造からい…」



ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン



蛍、小鞠、楓「!?」


夏海「なん…だと…」

楓「なにがあった!?」

れんげ「それが…改造のおわったこのみねえとなっつんが演習をしていたん…」

夏海「ウチが…一撃…?」

このみ「フフフ」

小鞠「!?そんな、でも夏海は弱くなんかない。むしろ強い方のはず…それが一撃で」

楓「さっき言ったよな。一般は合計値の制限が500。高校生組は一度その世界を体験している」

楓「注意しろ…」

一同「ゴクリ…」

一条邸

蛍(ムシキングか…よくわかんないけど楽しみだな)

蛍「ただいまー」

蛍母「あらほたるちゃんおかえりなさい」

蛍父「おかえり」

蛍「…って何してるの?」

蛍母「ムシキングよ」

蛍父「なんだ蛍は知らんのか」

蛍「いや今日みんなから聞いたけど…」

蛍父「父さんと母さんはなムシキングに参加しようと思うんだ」

蛍「そ…そうなんだ」

蛍父「父さんはこれに参加したくて引っ越したんだ。いやー楽しみだ」

蛍母「あらあらあなたったら」

蛍「」

蛍父「じゃあ母さん続きをやろうか。蛍もやってみるか?」

蛍「いや…いい」

蛍父「そうか…行くぞ母さん!」

蛍父「我焦がれ、誘うは焦熱への儀式、其に奉げるは炎帝の抱擁!イフリートキャレス!!」

蛍母「其は忌むべき芳命にして偽印の使徒、神苑の淵に還れ、招かれざる者よ。セラフィックローサイト!」




蛍「もしもし…れんちゃん?急にごめんね今日そっち泊まっていいかな…」

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