【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ7】 (1000)

このスレは安価で

結城友奈は勇者である
鷲尾須美は勇者である

を遊ぶゲーム形式なスレです


目的


・未来を選択する


安価

・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります


日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2


能力
HP MP SP 防御 素早 射撃 格闘 回避 命中 
この9個の能力でステータスを設定

HP:体力。0になると死亡。1/10以下で瀕死状態になり、全ステータスが1/3減少
MP:満開するために必要なポイント。HP以外のステータスが倍になる
防御:防御力。攻撃を受けた際の被ダメージ計算に用いる
素早:素早さ。行動優先順位に用いる
射撃:射撃技量。射撃技のダメージ底上げ
格闘:格闘技量。格闘技のダメージ底上げ
回避:回避力。回避力計算に用いる
命中:命中率。技の命中精度に用いる

※HPに関しては鷲尾ストーリーでは0=死になります


戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%


wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】  不定期更新 ※前周はこちらに


前スレ
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ1】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ1】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1437905159/)
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ2】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ2】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1440313909/)
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ3】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ3】 - SSまとめ速報
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ4】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ5】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ5】 - SSまとめ速報
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ6】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ6】 - SSまとめ速報
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1452437077



九尾「あの少年が恋の病と言うのは冗談ではあるが、お主に恋慕の情を抱いておるのは間違いなかろう」

天乃「………………」

九尾「それは、妾が言うまでもなく、知っておろう?」

天乃「あれだけアプローチされたら。ね」

あんなことをしたり、言ったりしておきながら

本当は好きじゃないなんてことはないはずだ

天乃「それがどうかしたの?」

九尾「お主は……好きかえ?」

天乃「友人としてならともかく。恋人としてはどうかな」

九尾「ほう?」

天乃「昔の私は彼に恋をしていたのかもしれない。でも、今の私はまだ。彼にそんな気持ちは持てないの」

九尾「……そうか。では、あの娘ならどうじゃ?」

天乃「犬吠埼さんは……そうね、友人として好きよ。でも、恋人としては考えられないかな。同性だもの」

天乃は「だってそんなのおかしいでしょ?」と、

冗談に対してするかのような笑い声を漏らす

そうだ。久遠天乃とはそういう少女だったのだ

九尾「難儀なことじゃのう……」

天乃「ん?」

九尾「ならば、恋の相手は少年だけということか」

天乃「……そうね。こんな体の私を捨てた可能性はあるけど。ほかに誰も会いに来てくれないし」

失った2年間の中に何があったのかは知らないけれど、

お見舞いには犬吠埼さんと彼だけしか来ない。そんな、寂しいものだったのかもしれない

天乃「正直、拒んだら彼までいなくなってしまいそうで……違ってても良いかなって。少し思ってる」

九尾「だから抱擁をし、受け入れたのかえ?」

天乃「……うん。いつか、キスも受け入れるつもりよ」

天乃の切なげな表情は

独りになりたくない。寂しいのは嫌だ

そんな、少女らしい恐怖に少しずつ蝕まれている証だった


√ 7月9日目 夕(某所) ※火曜日

男性、看護師(九尾)との交流が可能です

1、男性
2、看護師
3、イベントの判定


↓2


01~10 事件続報
11~20 男性
21~30 非売品の御本
31~40 男性
41~50 非売品の御本
51~60 看護師
61~70 事件続報
71~80 男性
81~90 看護師
91~00 事件続報

↓1のコンマ  


九尾「ほう……」

天乃「なに?」

九尾「いやはや……騒がしいと思うてな」

耳の聞こえない天乃には一切感じ取れていないが

実際は天乃の部屋にまで届くほどの怒号

あるいは悲鳴に似た声が響き渡っていた

天乃「なんなの?」

九尾「お主は今朝、大赦の職員が怪我をしたのを知っているか?」

天乃「大赦の人……だったのね」

怪我をした人がいると言うのは見たが、

それが誰だったのかは分からなかった

そして、被害者が空席ではなくなった今、加害者に当てはまるのは……

九尾「今度は大赦の施設が襲撃を受けたようじゃ。幸い、一般市民に被害はないらしいが……」

天乃「職員には被害が出てるの?」

九尾「うむ。重軽傷含めて十数人ほど。とのことじゃ」

天乃「……そんなに」


学校であれ、会社であれ、

十数人とは決して少ない数字ではない

それが中小規模の施設ならなおさらだ

天乃「犯人は……犬吠埼さんなのね?」

九尾「断定はできぬが、そう考えても間違いではなさそうじゃ」

少なくとも

大赦の連中はそう見ているからのう。と

思考に書き出して、脳裏でかき消す

どこで、何が引き金になったのかは分からない。が

九尾「……犯人は大赦に恨みがあると見て間違いなかろう」

天乃「……なら、私と似てるわね。私、神樹が嫌いだから。それを崇める大赦も……そんな好きじゃないのよ」

苦笑する

けれど、乾ききった笑い声は

場の空気を明るくするのではなく、より陰気なものへと変えていく

九尾「……そうか。ふむ。いや、しかし」

これは困ったことになった

最悪、乃木の娘が派遣されるやも知れぬな……なんとかせねばなるまいが……



1、他には? なにか情報はないの?
2、犬吠埼さんだとしたら。なぜ、そんなことを?
3、どうかした? なにか気になることでも?
4、私に何かできない?


↓2


天乃「どうかした? なにか気になることでも?」

九尾「いや、なに。ただ……決め付ける愚か者が一人ではなく、一人と一匹じゃった。と。呆れただけじゃ」

九尾は呆れ混じりのため息をつくと

天乃を見つめ、目を瞑る

あやつは諦めぬといった

ならば、巻き込むことも覚悟の上じゃろう

なればこそ、妾もまた。決めつけて行動することも許してくれるのであろうな……

天乃「どういうこと?」

九尾「うむ。お主には話しておかねばなるまい」

利用するにせよ、しないにせよ

それを話しておかなければ、役立たずでしかない

だから

九尾「犬吠埼樹はお主の次の世代の勇者なのじゃ」

天乃「なっ……」

九尾「きゃつはその力を使って、襲撃しておる。最悪、お主が駆り出される可能性も視野に入れておくのじゃぞ」

九尾は話した

まだ、世界には勇者が必要なこと

そして、犬吠埼樹と天乃の……繋がりの一欠片を


では、此処までとさせて頂きます
明日こそできれば昼頃から



樹「大赦を潰します!」

風「あははっ、樹はやっぱあたしの妹だわー」

夏凜「笑い事じゃないっ!」


13時頃より再開予定です


天乃「犬吠埼さんが次代の……なら、戦いはっ」

九尾「うむ。続いておる。だが、終焉の時は近い」

バーテックスの軍勢は着実に力をつけてきている

単純な力だけでなく、作戦を立て、実行し、

そこでの失敗、敗北を糧に新たな戦略・戦術で攻めて来る

九尾「今のままでは、人類の敗北となる可能性は高い」

天乃「っ……」

結城友奈は回復したが、入れ替わるようにして犬吠埼風は昏睡状態

三好夏凜に関しては不安定、犬吠埼樹はもはや敵対勢力のようなもの

まともな戦力として数えられるのは東郷美森のみ

今一度、乃木園子を引っ張り出してくる可能性もあるが

それでも、全方位に対する対神攻撃のような超火力は持ち合わせておらず

勝利したとしても、その被害によって四国が大打撃を受けることは確定といっても過言ではない

天乃「でも。もう、私には勇者の力がない。そう言われたわ」

九尾「ふむ……そうか。そういえば、そう言われておったのう」


九尾「じゃが………」

天乃「な、なに?」

九尾「ふむ」

九尾の舐めるような視線に天乃は思わず身を庇う

しかし、九尾は特に何も言わず、小さく息をつく

九尾「確かに、今の主様には……勇者になる資格などあるまい」

天乃「……体が不自由だから? 神樹を憎んでいるから?」

九尾「お主は今、半分以上がバーテックスと同等の存在と化している。と、言われれば信じるかえ?」

天乃「どういうこと?」

天乃はこの二年間

いや、正確にはここ半年ほどだが、

戦いによって生じた神樹の穢れ・ダメージという現世への被害を

ほぼ全て一身に引き受けている

ゆえに、目に見えるものではないが、天乃の体は相当に穢れているのだ

神樹でなかろうと、神聖な存在が認めるわけがなかった

九尾「稲荷の力じゃ。それによって、お主は自身を穢す事で世界を守ってきた。ゆえに、もう。無垢とは言えぬ」

天乃「……そう。私、そんなにも無茶をしてきたのね」


自分の右手を見て、

窓に映る自分を見て、

ジッと見つめてくるだけの看護師を見て、笑う

天乃「まぁ……殆ど身寄りのない私だもの。死んでも良いと。思っていたんでしょうね」

九尾「死んでも良いと考えていたのかもしれぬが。それは、お主にも、守りたいものがあったからじゃろう」

天乃「……………………」

九尾はそう言うと、

儚げな雰囲気漂う少女から目をそらし、席を立つと

おもむろに天乃の瞳を視線で貫く

九尾「………妾からも一つ。お主に言うことがある」

天乃「なに?」

九尾「今の少年との苦しみのない生活と、苦しく辛く、悲しく、痛い生活。どちらを望む?」

天乃「……なによそれ。考えるまでもない感じがするんだけど」

九尾「前者の損は偽り。そして、後者の得は真実。定め、そして求めよ。されば与えようぞ。お主の求めるものを」

天乃「あなた、一体……」

九尾「くふふっ、ただの看護師じゃ」

九尾は楽しげに笑って、部屋を出ていった


√ 7月9日目 夜(某所) ※火曜日

男性、看護師(九尾)との交流が可能です

1、男性
2、看護師
3、イベントの判定


↓2


01~10 事件
11~20 男性
21~30 非売品の御本
31~40 大赦職員
41~50 非売品の御本
51~60 看護師
61~70 変態仮面
71~80 男性
81~90 看護師
91~00 大赦職員

↓1のコンマ  


天乃「ん……貴女。呼んだっけ?」

九尾「いや、近頃物騒なのでな。お主の警護役が必要という話が上がったのじゃ」

普通の女性職員では役に立たない

かと言って、若干下心感じる男性職員には任せられないし

決めかねている少年では……と

九尾がその役割を担うことにしたのだ

九尾「お主の体調管理もしやすいからのう。尿瓶も持ってきたぞ。透明硝子で音の響く高級志向じゃっ」

天乃「からかうだけならどっか行って」

九尾「つれないのう。妾の話し相手にはなってくれぬのか?」

天乃「………」

九尾「ふむ……」

九尾は寂しそうな瞳を天乃に向けると

持ってきた尿瓶を窓から投げ捨て、椅子に座る

九尾「寂しいのかえ?」

天乃「別に」

九尾「会いに来たのは少女と少年。あとは友人とは言えぬ者のみ。失った自分に、失望してはおらぬか?」


天乃「………………」

九尾「いや、もしくは。こうじゃ。私はたった一人しか――」

天乃「黙って!」

九尾「おっと……これは失敬」

天乃「………………」

失った二年間

その間も勇者だった。犬吠埼樹は後継の勇者だった

その樹が、涙を流しながら言った「会いたかった」と

その言葉の意味が、今まで思っていたのと違う意味だとしたら

みんなが死んでしまったと思っていた中で、生きていてくれたんだという

安堵ゆえのものだったとしたら――

九尾「それは違う」

天乃「っ!」

九尾「お主の……いや、犬吠埼樹の世代はまだ、死別してはおらぬ」

九尾は平然と、そう言った

当たり前のように心を読んで

当たり前のように、解りきった言葉を紡ぎ、笑みを浮かべる

九尾「気にするな。妾は看護師じゃ。患者の心くらい、読めねば務まらぬよ」

もちろん、大嘘だ


九尾「要するに、お主に友は居た。が、会うことは叶わなかっただけのこと」

天乃「それはやっぱり、怪我をしていたから?」

九尾「そうじゃな……戦いの傷は意外と深かったようでな」

体だけでなく

心にまで傷をおっているのだが……

それは流石に言えまい。と、首を振る

九尾「それこそが、お主の守りたかったものじゃ」

天乃「……そっか。今度は。ちゃんと。守れているのね」

九尾「じゃが、娘には泣かれたぞ。本当に守れておるのか怪しいのう?」

くすくすくすっと

冗談めいた笑い声を上げる九尾に対して

天乃はなんなのよ。と、唸る

ただの看護師にしては、馴れ馴れしく。そして、怪しい


1、どうせなら、さっきの質問について詳しく教えて
2、犬吠埼さんはどうして施設に襲撃を?
3、貴女。本当は何者なの?
4、貴女はどっちが幸せだと思うの?
5、じゃぁ、私と犬吠埼さんはどういう関係だったのか教えて。知ってるんでしょ?


↓2


天乃「ねぇ、気になることがあるのだけど」

九尾「なんじゃ一体」

天乃「犬吠埼さんには恨みがあるというのは分かったわ。でも、なぜ、襲撃までしているの?」

そこまでアクティブな性格には思えなかったのだ

もちろん、本質を見抜くことができるほど

深い接触も何もなかったのだが

それでも、そこまで出来るとは思えなかった

九尾「軽く考えてみれば分かるじゃろう」

天乃「え?」

九尾「お主が転院してすぐの騒ぎ。ということは――」

天乃「そんなわけ無いでしょ」

九尾「どうしてそう言い切れる」

天乃「だって……そこまでする? 私は犬吠埼さんにとって……」

九尾「どのような存在だったのか。お主は知らぬであろう。それで、ないと言い切れるのかえ?」


天乃「……なら」

九尾「そこから先は、真実じゃぞ。その覚悟があるのかえ?」

天乃「犬吠埼さんとの関係を知ることが、辛くて苦しい選択なの?」

九尾「答えることはできぬ」

九尾はそう言って、天乃から目をそらす

隠そうとしているわけではない

だが、今はまだ。未選択故に

九尾はそれを言葉として紡ぐことは出来ないのだ

九尾「知りたくば、真実を。しかし、安寧を望むのならば。諦めよ」

天乃「知りつつ安寧を望むのは?」

九尾「欲張りというものじゃ」

第三の選択

それを樹は選び、さらに辛く苦しい道を歩むことになった

それはとても面倒で、気を抜けば一瞬で誤りに落ちていく道

九尾「悩み、考え、そして導くが良い。己が望み。己の手に収めることのできる選択を」

1日のまとめ

・  犬吠埼樹:交流無()
・     九尾:交流有(恋、事件、樹につて、、少年について)

・     神樹:交流無()
・     男性:交流有(好意)

7月9日目終了後の結果(天乃からの数値)

  犬吠埼樹との絆 06(低い)
     九尾との絆 00()
      神樹との絆 00()
      男性との絆 04(低い)

 汚染度80%


√ 7月10日目 朝(某所) ※水曜日

男性、看護師(九尾)との交流が可能です

1、男性
2、看護師
3、イベントの判定


↓2


01~10 事件
11~20 男性
21~30 非売品の御本
31~40 樹海化
41~50  大赦職員
51~60 看護師?
61~70 医者?
71~80 襲撃
81~90 事件続報
91~00 男性

↓1のコンマ  


九尾「ほぉ……これはこれは」

九尾は思わず声を上げた

樹の大赦施設襲撃

それだけでも、九尾にとって

嬉しいかはともかく、だいぶ面白いことではあったが

それ以上のことが起きた

天乃「なに? 今度は何をしたの?」

九尾「大赦の施設が全壊したそうじゃ。幸い、死者はおらぬがやはりけが人は出たみたいじゃが……」

天乃「また、犬吠埼さん?」

九尾「いや、今度は赤き炎の勇者じゃ」

九尾は口角を釣り上げ、天乃へと楽しげに話すと

真っ赤な瞳で天乃を射抜く

九尾「互いに協力する気はなかろう」

天乃「どういう意味……?」

九尾「いずれ、二人は衝突するやもしれぬ。ということじゃ」

天乃「っ!」

九尾「赤き炎が草を焼き尽くすか。赤き炎を草が覆い隠し消し去るか。見ものじゃな」


九尾「正直になれば、良いだけなのじゃがな……」

赤き炎の勇者。三好夏凜

夏凜もまた、樹と同じように天乃を求めているのに

誰かと協力したとき、

自分だけが何もできず、何もされず、周りだけが傷つく

それが許せず、怖い

だから、三好夏凜は犬吠埼樹と協力しない

そして……

天乃「その子も私の……」

九尾「うむ。お主の仲間じゃ」

犬吠埼樹と久遠天乃

二人のために、樹を止めようとして、争う事になる

悪いことをするのは、傷つくのは、罪を背負うのは

全て自分ひとりでいい。とでも考えているのだろうか

九尾は夏凜の目的を考え、その結果を考え、息を吐く

馬鹿げた自己犠牲だ

九尾「ここに来る日も……近いやも知れぬ」


天乃「来るの?」

九尾「どちらか、あるいは両者が来る」

それはもちろん、天乃が目的だから。なのだが

言っても疑うだけの天乃には言わず、九尾は低く唸る

対勇者戦力として残され、一番有力なのは間違いなく乃木園子だ

しかし、それ以前

九尾の力を宿した天乃を軽く屠った自称一般人もいる

勇者対勇者ならば、精霊の守りが有効だ

しかし、アレらにはそれがもはや無意味

守りがあるからと油断したが最後、一瞬で屠られる

九尾「しかし、こちらに派遣はできまい……つまり」

次の襲撃において、どちらかがそのどちらかに接触する可能性が極めて高い

無駄な戦力の浪費は避けたい

避けなければ、バーテックスとの戦いがより厳しくなり、また。天乃が無茶しなければならない

九尾「お主への問、猶予はあまり……やれぬようじゃ。すまぬが、翌朝までに答えを聞きたい。頼むぞ」

前者ならば、余計なやつを食い尽くせばいい

しかし、後者ならば……無益な争いを止めなければならない

ゆえに、一刻の猶予も、あるかどうかは定かではなかった


√ 7月11日目 昼(某所) ※水曜日

男性、看護師(九尾)との交流が可能です

1、男性
2、看護師
3、イベントの判定


↓2


01~10 襲撃
11~20 男性
21~30 医者?
31~40 樹海化
41~50  大赦職員
51~60 看護師?
61~70 大赦職員
71~80 襲撃
81~90 襲撃2
91~00 男性

↓1のコンマ  


「久遠天乃!」

天乃「っ!」

なんの前触れもなく蹴破られるように開いた扉

天乃はそれに驚き、

足音を聞き逃さなかった九尾だけが、動く

九尾「一応は人として。ゆえに、苦しむぞ」

「な――」

左の拳を下っ腹に叩き込み、

体をひねって左側頭部を蹴り飛ばす

しかも真横ではなく、斜め下に向かって

その結果、飛び込んできた不届きものは床へと叩きつけられ、鈍い音が響く

「ぐあぁっ」

耳が潰れたような感触に続いて、床への衝突

骨まで響く鈍痛に呻き、見開いた瞳には看護師の白いサンダルが目に映って――視界が一瞬で真っ暗になった

九尾「ふむ……流石に。出始める頃か」

天乃「な、なによ。なんなのっ!?」

九尾「お主を狙っての犯行だと考えた優秀な馬鹿どもが、お主を差し出そうとしに来たのであろう」

天乃「私を……?」

九尾「死者はおらぬが、被害は甚大。その恐怖を前にしては、築き上げた道徳心など、砂の城よりも崩れ易いものということじゃ」


天乃「……本当に、私が出れば収まるの?」

九尾「それはもちろん。お主のための争いじゃからのう」

クスクスと、九尾は困ったように笑う

勇者に始まり、大赦に続いて、人類に広がる

いや、元は大赦

そして勇者に続き、人類に広がっていく……だろうか

以前、誰かが天乃がモラルの崩壊を起こさせる。と、言ったが

それが正しかった。と、九尾は低く喉を鳴らす

今はまだ、勇者と大赦にしか広がっていない

だが、収束させなければ、それらはこの国中に広まって、全てを滅ぼしてしまうだろう

九尾「身を差し出すか?」

天乃「…………」

九尾「お主の嫌いな、大赦のために」



1、私が守るのは、犬吠埼さん達の心よ
2、でなければ、もっと大変なことになるんでしょう?
3、だからこそ。まずは知る必要がある。あの子がなぜ、そんなにも頑張るのかを
4、……そう言われると、困るわ
5、そうね……それも考えなくちゃね


↓2


天乃「大赦を助けるのはあくまでついでよ」

九尾「ほう……」

天乃「でも、私は。消えた私のように、守りたいものがある」

九尾「…………」

天乃の真っ直ぐな瞳

無鉄砲ではあるが、押そうが引こうが倒れることなく

焼こうが燃えず、濡れても腐らず

そびえ立ち続ける強さ

それはきっと、世界の絶望で

それはきっと、世界の希望

天乃「だからこそ。まずは知る必要がある。あの子がなぜ、そんなにも頑張るのかを」

九尾「くふふっ、ふふふふふっ、良かろう。ならば、その望み。妾が叶えて見せようぞ」

天乃「!」

九尾は天乃の体を押さえつけ、にやりと笑う

九尾「失いし記憶を戻すことはできぬ。しかし、失いし時を今一度、お主の記憶とすることならばできよう」

天乃「貴女、まさか九――」

九尾は天乃の唇を奪い、自分が持つ。偽りのない刻を流し込んでいく

樹が諦めないといった思い出と、想い

天乃が忘れても、失ってもなお回帰していく願い

九尾「愚か者……じゃが、妾が惚れたのは。そんなお主――なのじゃろうな」

二年間の記憶が走馬灯のように、天乃の記憶に入り込み

その負荷はやはり大きく、天乃はそのまま――気を失った


√ 7月11日目 夕(某所) ※水曜日

九尾、死神、銀、若葉、男性との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、男性
5、若葉
6、イベント判定
7、えくそだすっ

↓2


天乃「九尾、手を貸して」

九尾「ふむ。良かろう」

九尾は一言返すと、

天乃に手を差し出すのではなく、

天乃の背中、膝裏に手を回すとお姫様抱っこをして、苦笑する

九尾「さぁ、姫。どこにゆく?」

天乃「怒られたいの?」

九尾「くふふっ、冗談じゃ」

忘れた記憶を思い出したわけではない

しかし、九尾によって二年間の記憶を上書きされた天乃は

九尾達をしっかりと認識できていた

天乃「貴女なら、ううん。貴女達なら。私が神樹に認められていなかろうと勇者にできるんでしょう?」

九尾「いかにも。最も、妾達ではなく、お主だからこそ。とも言えるがの」

天乃「なら」

九尾「良かろう。自由に動けねば、動き難かろうからな」

九尾はそう言って

今度こそ、天乃を勇者へと変身させた


天乃「……………」

九尾の力を、強く感じる

当たり前だろう。その力を使って勇者となっているのだから

それが天乃には少し、複雑だった

九尾を嫌っているわけではないが、

九尾が戻してくれた二年間には

天乃が知らないいくつかの記憶があった

九尾自身は、それを戻してしまったことに気づいていないのかもしれない

けれど、それはそんな適当に流してもいいほど

許されるような穏やかな記憶ではない

天乃「……っ」

八人の大赦職員

それを消した記憶。殺した記憶

それを心の奥にしまいこんで、天乃は窓から逃げ出した



01~10 
11~20 樹
21~30 
31~40 夏凜
41~50 
51~60 樹
61~70 
71~80 変態仮面
81~90 
91~00 夏凜

↓1のコンマ  


変態「あっ」

天乃「えっ――」

勇者の姿ゆえ

コスプレ感満載の天乃は人目につかないルートを逃げていた

だからかもしれない

いや、だからであると信じたい

しかし、天乃にはそんなことはどうでも良かった

人目につかない所

逃亡中の身

そんなことを気にする余裕もなく

天乃「っ、きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

変態「ちょ、まっ、何にもしないから!」

天乃は悲鳴を上げた

全身タイツに黒いマント

道化師のようなマスクに帽子

それは間違いなく、変質者だったからだ


天乃「な、何もしないなんて信じられないッ」

変態「お、お前だってそんなボディライン強調するし露出もあるコスプレさんじゃないか!」

天乃「これは、これはその……必要なことで」

変態「必要。あっ、必要って言った! 自分の欲を満たすために必要なんだなっ。この変態さんめっ」

清々し過ぎる笑みは

仮面越しでも、憎たらしくて

向けてくる人差し指を折ってしまいたい

そんな要求に駆られる手を押さえ、ながら、睨む

天乃「わ、私のはコスプレだとしても。貴方はもう完全にその手の――」

変態「何を言っているのかわからんな」

フッと息を吐き、マントをなびかせ、

自分の額に指を当て、変態さんはにやりと笑う

変態「俺も必要だからしてるんだ。もっとも、俺はもう必要なくなったが」

天乃「え……?」

大地「わからないか? 俺だよ」

変態仮面さんは帽子を取り、マスクを外して、そういった



1、ごめんなさい。知らない人です
2、成敗
3、必要なくなったってどういうこと?
4、お、お姉ちゃんは何も言ってないの?
5、ちょうどいいわ。樹か夏凜の居場所知らない?

↓2

01~10 
11~20 夏凜

21~30 
31~40 
41~50 樹 
51~60 
61~70 
71~80 夏凜

81~90 
91~00 樹

↓1のコンマ  


ゾロ目なら両方で


天乃「っ」

言いたいことは山ほどあったが、

それよりもまず。と

殴りたい拳、怒鳴りたい言葉を押さえ込み、飲み込む

天乃「ちょうどいいわ。樹か夏凜の居場所知らない?」

大地「いや、残念ながら分からないんだよ」

天乃「お兄ちゃんにでさえ……?」

大地「その信頼は嬉しいが、うまい具合に隠れてるみたいでな」

大地は残念そうに言うと、ため息をつく

本当に、どこに隠れているのか皆目検討もつかなかった

見つけて確保するのが役割だったが、

妹を探して放浪していたのだから、仕方がないといえば仕方がないのだが

天乃「おねえちゃんは?」

大地「んーどうだろうな。連絡もつかないし」

天乃「まさか――」

大地「いや、変態とはかかわり合いになりたくないって――」

天乃「馬鹿っ!」


大地「とにかく、彼女達を早く見つけないとだな」

天乃「?」

大地「晴海が見つけたら夏凜ちゃんでも最悪叩き潰されるからな」

もちろん、

天乃の親友ということで手加減してくれる可能性はあるが

天乃を犠牲にしての勝利という点を許せなく思っている可能性もあり、

鍛え直すという意味で、かなり厳しく相手するかもしれないからだ

大地「俺も天乃に合流しよう」

天乃「えっ」

大地「なんだよ」

天乃「だって、お兄ちゃん。すごい変態さんだし」

大地「……だけど。野宿するわけにもいかないだろ?」

天乃「かなりの割合で脅しになってるからね? それ」


1、同行する
2、しない


↓2


天乃「でも、わかった。お兄ちゃんについていくわ」

大地「よしっ、ならついてこい」

大地は嬉しそうにそう言うと

天乃を連れ、人気のない道を進んでいく

見つかれば両者ともに変質者扱いされかねないからだ

天乃「ねぇ、お兄ちゃん」

大地「うん?」

天乃「私……」

大地「春信から話は聞いてる。無事ならそれでいい」

天乃「……うん」

またしても記憶を失った

そう言ったら、お兄ちゃんは怒るだろうか

それとも、悲しむだろうか

そして

大赦職員を殺してしまったと言ったら……

大地「まずは帰って休もう」

天乃「そうね」

今は……考えるのをやめておくことにした


√ 7月11日目 夜(某所) ※水曜日

九尾、死神、銀、若葉、大地との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、若葉
5、大地
5、イベント判定

↓2



わかっていたことだが、

天乃達は久遠家でも、病院でもなく、大地の家に来ている

その中で与えられた部屋で、天乃はそっと、名を呼ぶ

天乃「ねぇ、九尾」

九尾「ん? なんじゃ」

天乃「……………」

九尾「はっきりせい」

九尾の言葉に、天乃は視線を一瞬だけ向けたが

すぐに自分の手元へと引き返して、息をつく

呼んでどうするのか

大赦職員に関して聞くか

樹たちに関して聞くか


1、大赦職員。殺したのは貴女だったのね
2、樹達はどこにいると思う?
3、ねぇ。樹たちを探しに行かない?
4、バーテックス。攻めてこないのかしらね


↓2


天乃「樹達はどこにいると思う?」

九尾「ふむ……そうじゃのう……」

九尾は平然としてる

私が大赦の人を殺したのが貴女だと言う事を知っている

ううん、貴女に教えられたということを、知らないから……?

それとも、知っていてわざとそうしてるの……?

そう、天乃が悩んでいると、

九尾は「主様」と、声をかけ、体を揺らす

天乃「えっ、なに?」

九尾「じゃから、犬妹はお主の学校にいるのではないかえ?」

天乃「どうして?」

九尾「犬妹とはいえ、自分が関わっている場所が見張られていることくらいわかっておるはず」

天乃「そうね」

九尾「そして、主様のことを感じられる。あるいは、主様の過去を思い浮かべるとするのならば」

天乃「……私の通ってた中学校?」

九尾「誰も、そんな所に犬妹が居るなど思うまいよ。ましてや、夜間ならば目撃もされにくい。どうじゃ?」


天乃「どう? と、聞かれてもね」

少しばかり、その考え方には無理やりな感じがある

しかし、かと言って絶対にありえないとも言いにくい

なにより、

樹は以前、天乃の部屋に来たことがあるし

その時に天乃の学校の制服にも興味を示していたからだ

九尾「付け加えるならば、屋上。あるいは屋上に出る手前の部屋に居る可能性が高いのう」

天乃「屋上なら施錠されてても空から入れるし、鍵を壊したりしてれば……」

九尾「そのとおり」

九尾は楽しげに笑って、天乃の瞳を見つめる

そこに微かな動揺を感じたが

九尾は追求することはなく、息をつく

九尾「どうする? 行ってみるかえ?」

天乃「……………」


1、行く
2、行かない(翌日以降になります)


↓2


天乃「時間はないわ」

九尾「行く。ということかえ?」

天乃「そうよ」

九尾「ならば、早急に行くとしよう」

九尾はそう言うと

天乃の返事を待つことなく、勇者へと変身させる

天乃「……………」

結局、聞けなかった

いっそ、このまま聞かないままでもいいのかもしれない

それで、自分の中に抱え込んだまま……

天乃「今は悩んでる場合じゃない。まずは、樹に会えるか会えないか。だものね」

天乃はそう考えを改めて、部屋の窓から飛び出していった

目的地は――以前通っていた中学校だ


01~10 樹
11~20 
21~30 生活痕
31~40 
41~50 晴海
51~60 樹
61~70 生活痕
71~80 
81~90 樹
91~00 晴海

↓1のコンマ


空白はハズレ


では、ここまでとなります
明日は出来たら通常運行。できなければ、23時頃

樹は何処
夏凜は何処

再開時追加判定


では、初めて行こうかと思います

01~10 
11~20 樹
21~30 
31~40 夏凜
41~50 
51~60 樹
61~70 
71~80 夏凜
81~90 
91~00 両方

↓1のコンマ

空白なら回避  


まとめのあと、樹と晴海


天乃「っ……はずれ。ね」

九尾「ふむぅ……妾の読みに誤りがあったか。すまぬ。考え直そう」

天乃「ええ。私も考えるわ」

九尾の落ち込み具合は意外にも本気で

天乃は少し驚いていた

九尾のことだから、平然と

いや、この身じろぎしない現状を楽しんで笑うかとさえ思ったからだ

だが、なにがあったか、九尾は笑うことなく夜空を見上げる

天乃「何かあった?」

九尾「別に何もない。しかし……小娘が見つからねば。主様が困るからのう」

天乃「……まぁね」

九尾「否定はせぬのかや?」

天乃「したところで、貴女は照れ隠しだと馬鹿にするだけでしょ」

確かにのう。と、九尾は楽しげに笑う

しかし、九尾はその表情の裏で、歯を食い縛る

自分の思いに一直線で、周りの見えていない愚か者

それゆえの危なさを知っているからこそ、それを抱く

九尾「……もどるぞ主様。兄上にいないことが知られては厄介じゃ」

いろいろな意味で。と、付け足し笑う天乃とともに、九尾は隠れ家へと引き返した


1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  三ノ輪銀 :交流無()
・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流無()
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流無()
・  三好春信:交流無()
・  乃木若葉:交流無()
・     九尾:交流有(辛い選択、えくそだす!、探しに行く)

・      死神:交流無()
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()
・     男性:交流無()


7月11日目終了後の結果

  乃木園子との絆 19(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 36(中々良い)
  犬吠埼風との絆 52(高い)
  犬吠埼樹との絆 100(かなり高い)
  結城友奈との絆 51(高い)
  東郷三森との絆 49(少し高い)
  三好夏凜との絆 68(高い)
  三好春信との絆 30(中々良い)
  乃木若葉との絆 20(中々良い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 39(中々良い)
      死神との絆 29(中々良い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度■■■%


天乃と九尾が中学校から帰宅している頃

そこから離れた場所では、夜中だというのに二人の少女が対峙していた

一人は緑を基調とした衣装に身を包んでおり、

もう片方に至っては両腰に一本ずつ帯刀している、完全な危ない人物

二人は睨み合うように視線をぶつけ、

呼吸一つにでさえ、神経を張り巡らせて……隙を磨り潰して掻き消す

樹「邪魔、しないでください」

晴海「とは言われてもね。少し、やりすぎなのよ」

樹「誰も久遠さんの居場所を教えてくれないからです」

晴海「それはそうよ。誰も彼もが知っていたら知らせるべきではない人にまで伝わっちゃうからね」

天乃の姉、晴海はそう言ってくすくすと笑うが

だからといって、樹は後退ることさえできる気がしなかった

晴海「まぁ。そこには私も含まれてるんだけど」

樹「だったら――」

晴海「協力なんてしないわ。だって貴女がしてることはあの子が一番望まないことだもの」


樹「っ!」

晴海「ふふっ、怒った?」

樹「怒ってな――ッ!?」

怒鳴りかけた樹は視線をたどる鉄の輝きに気づき、慌てて身を翻す

何かが風を切り、靡いた樹の毛先を刈り取って、地面へと突き刺さる

晴海「あら、残念」

樹「ッ!」

振り返る余裕なんてない

声がしたかと思えば、十数メートル離れていたはずの距離は切り取られたかのように、消失していたからだ

晴海「痛いわよ」

怒りの感情が樹の張り詰めた緊張の糸をほんの一瞬、震えさせた

たったそれだけ、刹那の隙

だが、そこを晴海は狙ったのだ

晴海「ふ――――」

直撃が死に直結しそうな拳が樹の腹部へと向かい、木霊が防ぐ――が

晴海「っ!」

ドンッっという強い衝撃が足元を揺らし、それが晴海の踏み込みだと気づいたとき

樹の矮躯は地に足の着いていない状態だった

樹「なっ」

晴海「たぁッ!」

防ぎ切れない衝撃波が内蔵を揺らし、肺が凹み、空気が飛び出して息が詰まる

しかしそれに呻く余裕さえなく、

樹は電柱に衝突して、地面を転がった


晴海「くッ」

勝ちを確信したわけではない

いや、むしろ

この程度で終わるわけがないと警戒さえした

だからこそ追撃しようとした――しかし

樹を包む輝く緑のドーム状の光に、晴海は思わず後退った

見たことはない

しかし、それが危険。という枠の外に出ているほどのものであると

晴海は直感で感じ取ったのだ

樹「………………」

ゆらりと、少女は立ち上がり、

土汚れを払うことなく、その深緑の眼で晴海を見据え

少女は言う

樹「邪魔をするというのなら、誰であろうと……許しません」

晴海「一応、私はただの人間。なんだけど」

勇者の力を身にまとい、行使する樹相手に

晴海は勝てるという自負も、逃げ切れるという自負もなく

初撃決着に失敗した時点で、晴海は敗北を考えた

晴海「まぁ……仕方がない。今日の犠牲者は。私だけで勘弁してもらうよ」

晴海は残ったもう一本の刀を抜き、身構えた


ではここまでとさせていただきます
あす、余裕があれば戦闘の決着
余裕がなければ飛ばして12日目の朝から



樹「一応ただの人間?」

晴海「そう、一応」

樹「……………」

晴海「……ふふっ」

樹「!!」


では、開始
時間も時間なので、戦闘結果は省略


√ 7月12日目 朝(某所) ※木曜日

九尾、死神、銀、若葉、大地との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、若葉
5、大地
5、イベント判定

↓2


天乃「銀、いるんでしょ?」

銀「もちろん」

天乃「ごめんね。少し窮屈な思いさせちゃったわよね」

記憶が戻っていない間

銀は下手に記憶を刺激しないよう、天乃の前に出るのを控えていたのだ

この時代に存在を知る人物がいるかどうか分からない若葉とは違い、

存在を知り、死を知っている人が存在する銀は、通路等にでさえ出ることは出来なかったのだ

銀「いや、別にいいよ。仕方が無かったことだしな」

天乃「……そっか」

銀「樹に関してなら、あたしにはちょっとわかんないな。九尾がわからなかったんだろ?」

天乃「ええ」

銀「天乃が病院で寝てる間、一番接した。というか、見てたのは九尾のはずだし。九尾がわからないなら、多分無理だ」





天乃「九尾のことを見てたの?」

銀「若葉がなー。何しでかすか分かったものではない。私は見張るぞ。って、若葉が」

銀は楽しげに語ると、苦笑する

馬鹿にしているわけではないが、銀にとってはおもしろおかしい話らしい

天乃「つまり、若葉なら九尾の変化の理由が分かる……?」

樹が見つからなかったとき、九尾は笑ったりすることなく、

本気で落ち込んでいる様子だった

その理由が、若葉に聞けばわかるかも知れない

銀「それで?」

天乃「えっ?」

銀「驚くなよ。天乃が呼んだんじゃないか」


1、若葉を呼ぶ
2、ねぇ。私がもしも記憶を捨てて。男性を愛していたらどうした?
3、ねぇ、銀。貴女なら。貴女が私を助けるとしたら、どこに隠れる?
4、ねぇ、もしも。自分の友人が誰かを傷つけていたり殺めていたら。どうする?


↓2


天乃「ねぇ、銀。貴女なら。貴女が私を助けるとしたら、どこに隠れる?」

銀「それは難しい質問だな」

天乃「そうね……でも」

銀「樹を見つけたい。だろ?」

銀の笑に、天乃は頷く

そこに嘘をついても銀は簡単に見破るからだ

けれど、人を気にする余裕とは裏腹に銀は困ったなぁ。と、

頭をかく

銀「この2年間、なにかは変わってるだろうし、確実とは言えないんだよなぁ」

天乃「九尾だってミスはしたし、貴女は銀で樹ではないもの。間違っていてもいいわ」

銀「ん~……となると。あえて人目につくところかな」


天乃「あら、どうして?」

銀「樹は逃げてるわけだし、少人数の中の一人と大勢の中での一人とじゃ違いがあると思うんだ」

天乃「……それで?」

銀「それに人が多い場所なら、もしも見つかった場合、人を障害物として利用できるだろ?」

銀はもっともらしく語ってみせると

天乃を見つめてにやりと笑う

わかりやすい、じまんげな表情だった

でも、確かにそれはありえない話ではない

天乃「場所は?」

銀「イネスって言いたいところだけど。もっと大勢それでいて周りの人に目が行かない場所といえば……遊園地だ」

天乃「遊園地……?」

銀「みんな遊びに夢中で周りなんか見ちゃいない。連れならともかく他人なんか特に。で、樹と天乃はそこに何かあるんじゃないか?」

天乃「………………」

銀「探してる相手との思い出に浸れるって言うなら尚更。あたしならそうするかも。絶対見つけ出すって意志を強めるためにも」


天乃「なるほどね。そっか……そうよね」

旧友の言葉を贔屓するわけではないが

天乃は九尾の言っていたことよりも、可能性があるように感じた

天乃の学校はあくまで天乃個人だが

遊園地ともなれば、話は別だ

勇者部全員の思い出であり、天乃と樹の

最初ではないが最初に等しいふれあいの場でもある

そう。だからこそ

可能性があったのだ

銀「あたしが考えるならそこだよ」

天乃「ありがとう。参考にするわ」

銀「それはどーも。ところでテレビ。付けてもいい?」

天乃「いいけど、何かあるの?」

銀「いや、最近のテレビとは何をやってるんだろうかと。思ってさ」

それは冗談混じりの行い

けれど、それは冗談にはなりえない行い

銀の言った遊園地付近、

住宅街の外れが【何か】によって半壊していたと――報道があった


√ 7月13日目 昼(某所) ※木曜日

九尾、死神、銀、若葉、大地との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、若葉
5、大地
6、遊園地へ
7、イベント判定

↓2


01~10 晴海
11~20 樹
21~30 
31~40 夏凜
41~50 両方
51~60 樹
61~70 
71~80 夏凜
81~90 樹
91~00 両方

↓1のコンマ

空白ならはずれ


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば同じような時間から



九尾「……血の匂いがする。それも。お主に近い血の匂いじゃ」

天乃「まさか……っ」

変態「殴られて鼻血が」

天乃「馬鹿お兄っ!」


では、再開していきます


天乃「!」

家族等で賑わう。とは

残念ながら行かない遊園地

それでも人が多い中で手を振っている姿に、天乃は目を見開く

晴海「天乃ちゃーん」

晴海だ

遊園地固有のキャラクターの衣装を身にまとってはいるが

柄のへし折れた刀と、無傷に見える刀を両腰に帯刀しているのが、

晴海を周囲から切り離していた

天乃「お姉ちゃんも来てたんだ」

晴海「来たというか、いたというか。ね」

天乃「?」

晴海「てひどくやられちゃったのよ。樹ちゃんにね」


意外にも、それは風のようにするりと言葉にされた

一見、晴海には怪我はなく、

刀だけがダメージを負っているように思えるが

実際にはそうではないらしい

天乃「樹にって……」

晴海「かなり手ごわかったわ。あの蔓と言えばいいのか鞭と言えばいいのか。あれが絶対防御でね」

これも折られちゃったのよ。と

晴海は刀身が半分消えた刀を天乃に見せる

柄の折れた刀と、刃の折れた刀

どちらも見事に使い物にはならない

天乃「……戦ったんだね」

晴海「そう言ってるでしょ? 幸い、建物とこの刀だけで被害は済んだけどね」

天乃「樹はどうだった? 勇者?」

晴海「勇者。しかも、すっごい怒ってた」

天乃「……すっごい怒ってた勇者と戦って平然としてるなんて」

晴海「ふふっ。おねえちゃんだもの。樹ちゃんには人殺しはさせないわ」


驚いた表情の天乃に対し、

晴海はくすくすと笑うと、首を横に振る

ここからは真面目な話だ。ということらしい

晴海「残念だけど、ここにはもう。樹ちゃんはいないわよ」

天乃「えっ?」

晴海「一番聞きたかったのはそれでしょ?」

確かにそう

けれども、それはまだ。言っていなかったはずだ

晴海「貴女が一人で遊園地に来たんだもの。理由は自ずと。ね」

天乃「そっか……なら」

晴海「樹ちゃんは海のほうじゃないかしら」

天乃「なんで?」

晴海「結構厳しく口論したからね。考えるなら、波の音がいいと思う。山もいいけど、虫の合唱祭の時期だからね」

天乃「なるほどね」


厳しい口論

それについては聞くまでもない

自らを称えるようなナルシストではないが

あの兄の妹と、恋人の口論だ

となれば、その内容については少し考えれば大体分かるのである

晴海「樹ちゃんはね。ただ、一生懸命過ぎてるだけだと思うのよ」

そう。ただ、一生懸命で、一途で、全力で

だから、歯止めになっていたもの。箍

それが外れてしまっている樹は、自分ではどうしようもないのだ

天乃「うん」

晴海「かと言ってしてることが許されるわけでもない」

天乃「今回に関しては、大赦を擁護するつもりはないわ」

晴海「貴女にしては厳しいのね」

天乃「まあね」

恋人だと嘘の男の人を用意した挙句、

わざわざ転院するという建前を作り、二人暮らしさせようとしていたのだから

厳しいのは当たり前だった

晴海「樹ちゃんは貴女に任せるとしても。夏凜ちゃんの件もあるから。私はもう行くわね」


1、待って。私と一緒に来て
2、お兄ちゃん心配してたよ
3、うん……よろしく


↓2


天乃「待って」

晴海「?」

天乃「お兄ちゃん、心配してたよ」

天乃の言葉に、晴海は驚き、笑って首を振る

兄の最低具合は記憶がなくても分かっているはずだ

それでもなお、兄のことを気遣う姿勢が、

実に天乃らしく、姉としては嬉しくも悲しかった

その気遣いがどうしようもない変態に向かっているのが勿体無かったからだ

晴海「あの人は……心配しているくらいがちょうどいいのよ」

天乃「そうかな」

晴海「そばにいてあげるとね? あの人は浮かれちゃうから。だから、真面目になって貰うためにも一人にするの」

一人にした結果が、あの変人コスプレ状態なのだが

天乃は特に言わず、「そうね」と、返す

天乃「じゃぁ、くれぐれも。無理だけはしないでね」

晴海「あなたこそ」

互を気遣い、再会を願い、手を振り分かれた


では、此処までとさせて頂きます
あすも似たような時間から


再開時、13日目夕方から


確かに、12日目ですね。失礼しました
では、少しだけですがやっていきます


√ 7月12日目 夕(某所) ※木曜日

九尾、死神、銀、若葉との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、若葉
5、帰宅
6、海

↓2


01~10 痕跡I
11~20 樹
21~30 痕跡K
31~40 夏凜
41~50 両方
51~60 樹
61~70 戦闘痕
71~80 夏凜
81~90 樹
91~00 両方

↓1のコンマ


天乃「……なに、これ」

若葉「主様ほどの力があれば聞くまでもないと思うが」

天乃「っ」

そこで何があったのか

それが解らないわけではない

むしろ、分かり易すぎるのだ。現場の状態から何があったのかを読み解くのに、

ガラス板で隔てた程度の支障しかなかった

綺麗な切断面のある樹木

あちこち抉れたり、ギロチンでも落っことしたかのような亀裂の走る砂浜

そう。戦闘痕だ

銀「それはそうだろーな。ただ、天乃が言いたいのは【なんで】こんなことになったかだと思う」

若葉「誰と誰が戦ったのか……ということか」

天乃「夏凜と樹。多分、あの二人が戦ったんだと思うわ」

多分ではなく、確実に

天乃は拳が震えているのを感じて、首を振る

どちらも倒れていない以上、逃げ隠れできるほどには無事な可能性もある

けれど、どちらかが相手を拘束している可能性も……無きにしも非ずだった


天乃「銀、若葉。二人の落し物とかは?」

銀「残念ながら」

若葉「そもそも持ち歩いているかも怪しいところだ」

若葉の言うとおりである

端末は持っているだろうが、

それ以外に何か持ち歩いている可能性があるものといえば、財布くらいで

最悪、財布さえ持っていない可能性が高い

とすれば……

天乃「樹も夏凜も、ご飯食べてない可能性があるわね」

若葉「三好さんに関しては知らないが、犬吠埼さんなら。こっそり帰宅している可能性はあるな」

天乃「その根拠は?」

若葉「主様を取り戻して、どこに迎え入れる? 体を気遣って必ず。休める場所を用意しておくはずだ」

銀「けど」

若葉「そうだ。犬吠埼さんの家は当然大赦側も見張っているはず。なら、どこなら安全に入れると思う?」

若葉はあえて答えず、質問にすると

天乃と銀を交互に見て、頷く。元々答えには期待していなかったのである

若葉「大赦側の人間だが、こちら側の者がいる場所」

天乃「まさかっ」

若葉「三好さんのお兄さんがいるあの家。あそこなら、春信さん。だったか。彼の手を借りれば安全かつ確実な逃亡先となり得る」

天乃「………………」

若葉「灯台下暗し。彼女は案外、ものすごく近くにいるのかもしれない」


もっとも樹からしてみれば、

天乃達はどこかに囚われの姫君であり、

好き勝手に出歩いているなど、想像もしていないに違いない

しかし、春信のところにいるのが確実。とは、限らないのが現実だ

春信が夏凜の兄である以上、

そして、大赦側である以上、

協力する気は全くなく、手を借りるつもりもなく

もしかすれば、夏凜が先客としている可能性なくはないからだ

天乃「もう夕方なのに……」

自分の追ってに関してはどうでもいい

けれど、樹や夏凜がまた新たに被害者を出してしまうのではないか。と

天乃は不安で仕方が無かった

銀「ところで、夕方だけど。一旦もどる?」


1、帰る
2、帰らない


↓2


天乃「ううん。もう少し、このまま探しに行くわ」

銀「九尾の力を借りてるって言ったって、無茶はするなよな」

天乃「ええ」

銀の心優しい気遣いに笑みを浮かべて、樹を想う

もっと早く行動していれば。なんて

悔いることができることではない

けれど、以前天乃は言った。「無知は罪」と

それがいかなる理由であれど、知らなかったこと。忘れてしまっていたことには変わりないのだ

天乃「わかってる」

若葉「それなら、私は止められないな」

銀「無茶しだしたなら。あたしは止めるけどなっ」

にししっと笑って、銀は言う

親友だからこその、言葉だった


01~10 樹海化
11~20 追っ手
21~30 
31~40 男性

41~50 
51~60 
61~70 夏凜

71~80 
81~90 
91~00 樹


↓1のコンマ  


では、此処までとさせて頂きます
空白なので、そのまま12日目夜から再開

明日はできればお昼頃から。逆に日曜日は通常運行の予定になります


では、再開していきます


√ 7月12日目 夜(某所) ※木曜日

九尾、死神、銀、若葉との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、若葉
5、春信と天乃の家に行く

↓2


01~10 男性 
11~20 夏凜
21~30 樹
31~40 大赦
41~50 春信
51~60 夏凜
61~70 春信
71~80 樹
81~90 男性
91~00 樹

↓1のコンマ 


ゾロ目なら夏凜と樹 


監視をすり抜けて、家に近づくと

ちょうど、彼女がやってきた

緑ではなく、赤色

1年生ではなく、2年生

そう、三好夏凜だ

夏凜「天乃……ッ」

夏凜は天乃の姿を確認してすぐ、飛びつこうかとも思った

無事で良かったと

会えてよかったと

格好を見て、少なくとも勇者であることは思い出せたんだ。と

そして、ここに来るということは……とも

しかし

夏凜「っ」

夏凜は安堵とともに抱いた。否、抱いていた罪の意識に阻まれて、動けなかった

天乃「夏凜……? 夏凜よね?」

天乃が存在に気づき、声をかけてきても

夏凜は思わず、目をそらしてしまった


夏凜「あんた、記憶は戻ったの?」

天乃「戻ったというか、戻してもらったというか」

少なくとも、記憶が戻ったわけではない

記憶はあるが、それは新しく上書きしただけの記憶

でも、覚えていることには変わりはない

天乃「ねぇ、夏凜」

夏凜「樹ならいないわよ」

天乃「……戦ったから?」

夏凜「砂浜のを見たのね。その靴の汚れを見る限りだと」

夏凜は落ち着き払った様子でそう言うと、

呆れたようにため息をつく

どちらも、相手のために一生懸命過ぎるからだ

夏凜「当然、精霊のおかげで無傷だけど。逃げられたのよ」

天乃「どこに?」

夏凜「さぁ? ただ、【隠したなら、持ち出して貰うしかないですね】って、樹は言ってたわ」


天乃「隠したなら出してもらう?」

夏凜「これ以上無駄な場所を襲えば、余計な被害が出る。とも言ってたわ」

天乃「……そう」

きっと、晴海との戦闘・口論によって、そう考えたに違いない

さんざん襲っておいて何を言っているんだと思われそうではあるが

それほどの被害を出したからこそ、樹のその言葉は強さを増す

夏凜「……で、あんた。私には何もないの?」

天乃「………………」

夏凜「私のせいで天乃は辛い目にあった! 全員が深く傷ついた! そんな、役立たずに……ッ」

夏凜の声に、怒りはなく

ただ、悲しみだけが満ち溢れていた

それはきっと

怒鳴り声ではなく、悲鳴だからだ



1、無事で良かった
2、親友殺しよりは、だいぶマシだと思うわよ
3、………貴女は何も悪くない
4、いつまでそんなこと言うの? 私は貴女を含めたみんながいるから。今もこうして頑張れているのに


↓2


天乃「……ねぇ、夏凜」

夏凜「なによ」

天乃「いつまで、そんなこと言うの?」

夏凜にとって、とても大切なこと

けれど、天乃にとってはそんなこと。という程度のことだった

確かに被害が出た

確かに辛い目にあった

けれど、辛い目にあったのは自分で選んだことで

被害が出たのはみんなの責任だ

みんなが一つ、足りなかっただけだ

天乃「私は貴女を含めたみんながいるから。今もこうして頑張れているのに」

夏凜「っ、でも――」

天乃「少なくとも、貴女は役立たずなんかじゃない」

夏凜「っ」

九尾のおかげで自由に動く体で、夏凜を抱き、

優しく頭を撫でて、言う

天乃「嘆くより、俯くよりも、前を向きなさい。そして、出来なかったことを出来るようにするの」

夏凜「…………………」

天乃「出来なかったことをできるようにしてこそ。完成型の勇者よ。夏凜」


夏凜「……なんで、なんでよ。なんであんたはそうなのよ!」

天乃「私だって怒るときは怒るし。責めることだってある。でも、その必要があるとは思えないもの」

被害が出たことに関しては

誰ひとりとして悪くはなく、全員が悪い

そしてその中で誰が一番悪いかと決めるのであれば

それは間違いなく、一番実力のあった天乃だ

夏凜「悩んでた私が、落ち込んでた私が。こんなことまでしてた私が……馬鹿みたいじゃない」

天乃「ふふっ、そうかもね」

夏凜「わ、笑うなっ! っていうか暑いから離れなさいよっ」

天乃「……はいはい」

天乃は嬉しそうに、夏凜を離すと

瞳をまっすぐ見つめて、言う

天乃「これでもう、平気よね?」

夏凜「………ったく。あんたが樹と付き合ってなければ。ここでなんかするんでしょうけど」

天乃「あいにく、私には婚約者と偽恋人に恋人がいるから」

夏凜「あんた、それ自分からなら最低って言われる奴じゃないの?」

天乃「違うからいいのよ。ふふふっ」


夏凜「とにかく、私も樹も。もう、大赦の敵になった」

天乃「私は初めから――」

夏凜「だからそっち側に行ったのよ」

地を踏まず、影だけしか忍ばせていなかった

久遠天乃がたった一人で佇む領域

その立場を知るために、何があろうと。付いて行くことができるように

夏凜「私達にはその覚悟がある。だから……っ、そっか」

天乃「?」

何かに気づいたように、目を見開いた夏凜は

天乃を見返して、息を呑む

夏凜「樹の狙いは神樹様よ」

天乃「どういうこと?」

夏凜「樹はあんたがいない間に、言ったのよ。神樹様と戦う覚悟があるかって」

そう。だから

だからこそ、夏凜は樹がどこにいるか分かった

夏凜「樹海ではなく、こっちにある神樹様。きっと、樹はそれを人質にするはずよ」


天乃「そっか……あそこに行くのね」

夏凜「あんたが行けば、それで話が終わる。はずだけど」

樹は晴海と戦っただけでなく、

夏凜とも戦っている

いくら勇者とは言え、そのまま今日中に行くとは考えにくい

天乃「ところで、貴女は神樹に切っ先を向けたのよね?」

夏凜「樹もね」

緊張感あるべき場にも関わらず、

夏凜は苦笑しながら答える

夏凜にはもう、神樹様が人質? であることは特に響かないからだ

天乃「そっか」

夏凜「ねぇ。私もあんたと一緒に行っていい?」

天乃「いまさらでしょ」

夏凜「……あと出しの狡さを今知ったわ」

自分でやりつつ、そう言って、夏凜は天乃の手を握った


三好夏凜と合流しました


1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流有(捜索)
・  三ノ輪銀 :交流有(捜索)
・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流無()
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流有(合流、貴女達がいるから)
・  三好春信:交流無()
・     九尾:交流有(変身)

・      死神:交流無()
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()
・     男性:交流無()


7月12日目終了後の結果

  乃木園子との絆 19(中々良い)
  乃木若葉との絆 22(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 38(中々良い)
  犬吠埼風との絆 52(高い)
  犬吠埼樹との絆 100(かなり高い)
  結城友奈との絆 51(高い)
  東郷三森との絆 49(少し高い)
  三好夏凜との絆 71(高い)
  三好春信との絆 30(中々良い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 40(中々良い)
      死神との絆 29(中々良い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度■■■%


√ 7月13日目 朝(某所) ※金曜日


01~10 
11~20 樹海化
21~30 
31~40 男性
41~50 
51~60 事件続報
61~70 
71~80 男性
81~90 
91~00 風

↓1のコンマ  


√ 7月13日目 朝(某所) ※金曜日

九尾、死神、銀、若葉、夏凜、晴海、大地との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、若葉
5、大地
6、夏凜
7、晴海
8、神樹様の所
9、友奈達のところ

↓2


樹海のような、森の中

けれど、そこに目を傷めそうな色はなく、

深緑の世界だけが、天乃の視界に広がっていく

天乃「……………」

そして

神樹様の太い幹にも

彼女の緑色が重なって、同じく見える

天乃「神樹の花は、7月に咲くのね」

樹「久遠さん……?」

天乃「探したわよ。樹」

勇者の姿のまま、

疲れきった表情と、姿で

神樹様を人質として佇む犬吠埼樹に、天乃は笑みを向けた


1、追えば逃げる。希少な花。摘んでも良いかしら
2、もう頑張らなくていいわ。私はここにいるから
3、貴女がどこかに行ってどうするのよ。馬鹿
4、抱きしめる
5、抱きしめて、キスをして
6、相当。無茶をしたみたいね
7、ごめんね。ありがとう

↓2


では、一旦休憩
19時半ころには再開予定


最後まで来たので、流石に判定は無しでした


遅くなりましたが、少しずつ再開していきます


天乃「会いたかった」

樹「っ」

天乃「樹……」

それは優しさ

それは想い

それは愛情

だからこそ、拒絶したかった

自分はそれを受けるべきではないと

それは自分には相応しくはないと

けれど、

天乃「まったく、貴女って子は」

一度結びついた愛情は

何よりも強く、何よりも固く、何よりも近い

だから、

その温かい抱擁からは、逃げられず

樹「っ」

ほんの一瞬の接吻は、避けられず

天乃「あんまり心配させないで」

それは精霊の守りなど関係なく、体さえ関係なく、心に痛かった


樹「ごめん……なさい」

天乃「いつ――」

樹「ごめんなさいっ、ごめんなさい……っ」

人を傷つけてしまった謝罪

心配させた謝罪

今回の被害その全てを

天乃は自分のためにしたことだから。と、背負う

晴海にそう言われるまで、そんな絶対に分かることですら、分かっていなかった謝罪

そして、やはり天乃は樹をもう一度抱きしめて、言う

天乃「全部私のためにしてしてくれたことでしょ?」

樹「っ」

樹は何も言えなかった

天乃は何でもかんでも譲ってくれる優しさがある

けれど、責任だけは絶対に譲ってはくれない人であることを

樹はよく、わかっているからだ


01~10 
11~20 邪魔

21~30 
31~40 
41~50 邪魔(ばてくす)

51~60 
61~70 
71~80 邪魔

81~90 
91~00 邪魔

↓1のコンマ  


樹「久遠さん、記憶が戻ったんですか?」

天乃「戻ってはないの。記憶は消えたまま」

樹「なら……」

天乃「でも、九尾が全部見ててくれたみたいでね。全部教えてくれたのよ。ちゃんと」

それが本当かどうかを天乃に確かめるすべはない

けれど、それが嘘ではないとなんとなく思えるから、追求はしなかったし

樹もそこに関しては

いい意味でも悪い意味でも急日の力を知っているからこそ、疑うつもりはなかった

しかし

樹「でも、久遠さんが私とキスしたってことは、そういうことも聞いたってことですよね?」

天乃「ええ」

樹「あの。じゃぁ、つまり。観覧車の中から布団の中まで。全部見られていた。ということでは?」

天乃「………あっ」

二人で気づき、思い出して、顔を真っ赤に目をそらした


天乃「あとで九尾にはしっかりと……っ」

樹「お説教です……って、言いたいところですけど……?」

樹は天乃が呆然としているのに気づいて、首を傾げると

久遠さん? と、体を揺らす

天乃「えっ?」

樹「なにかあったんですか?」

天乃「えっと……ううん。なんでもない。長時間動いたから、動き眩みかも」

樹「ならいいですけどって言えない言い訳ですね」

樹は苦笑して言うと、

勇者ゆえの力で天乃をお姫様だっこして、頷く

天乃「ちょ、ちょっと樹」

樹「本当は私が迎えに行く予定だったんです。たまには、お姫様にでもなってください」

天乃「っ」

有無を言わせない樹に、天乃は呆れ混じりに笑みを浮かべ、首に腕を回す

天乃「よろしくね、王子様」

九尾が犯した罪

それに関して考えたいことがある

だから、天乃は文句を言わずに、抱かれることにした


√ 7月13日目 昼(某所) ※金曜日

樹、九尾、死神、銀、若葉、夏凜、晴海、大地との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、若葉
5、大地
6、夏凜
7、晴海
8、樹
9、風達の所
9、イベント判定

↓2


失礼しました
9が二つありますが、普通に

風たちのところに移動でいいですか?


01~10 
11~20 いない
21~30 
31~40 風
41~50 
51~60 お祖母様
61~70 
71~80 風
81~90 
91~00 いない

↓1のコンマ  


天乃「ただいま」

友奈「た、ただいまじゃないですよっ!」

天乃「ふふっ、ごめんなさい」

友奈は元気、東郷も同様

ただ風はまだ、寝たきりだ

戦いから数日経っているのにも関わらず目を覚まさない

大赦職員扮していない看護師によれば、【もう絶望的かも知れない】とのことだ

もちろん、そんな率直に言葉にしたわけではないが

似たようなことを、言っていた

東郷「風先輩は、呼びかけても反応しません」

天乃「……そう」

東郷「手を握っても。握り返してはくれません」

天乃「あれだけ酷い怪我……と言えば良いのかしら。ダメージを受けたんだもの」

多少の流血程度で済んだ

それだけなら重傷に思えないが

精霊の守りがある状態でのその怪我をする負担は想像を絶するものだったのだ

風がめを覚まさないのも

生きているだけ幸いだ。と、諦めるべきなのかもしれない


友奈「あの、久遠先輩」

天乃「うん?」

友奈「夏凜ちゃん達は……」

天乃「二人はここに連れてこれないからね」

私自身もここに来たらいろいろとまずい感じはあるけれど

記憶が戻っているような状態である以上、

大赦はもう、下手に手出しはできないはず

その分、二人に余計な手出しをされてしまう可能性がある

だから、連れてこれなかった

でも、友奈はその一言だけで

二人は天乃と一緒だと判断したらしく、一転して嬉しそうに笑った

友奈「久遠先輩と一緒なら、大丈夫ですね」

天乃「そうだといいけどね」



1、大赦の人達から。なにかなかった?
2、貴女達は。神樹と、敵対する覚悟はある?
3、貴女が目を覚ましてくれて良かったわ
4、ねぇ東郷。大赦はどう思う?
5、ねぇ。風。樹はもう一人で起きれているのに。貴女が寝ていてはダメじゃないかしら


↓2


天乃「……ねぇ、風」

風「………………」

返事はない

けれど、胸の上下はあるし、

死んだわけではないのは分かる

でも……これでは

天乃「樹はもう一人で起きれているのに。貴女が寝ていてはダメじゃないかしら」

体を揺らしてみる。反応はない

手を握ってみる。握り返してくれない

天乃「風……っ」

これでは生きていると言って良いのかも分からない

園子のように見て、聞けて、話せるのならまだ生きていると言えるのかもしれない

でも、ただ呼吸しているだけなんて

天乃「……起きないと義姉ちゃんって呼ぶわよ!」

01~10 
11~20 起きる

21~30 
31~40 
41~50 起きる

51~60 
61~70 
71~80 起きる

81~90 
91~00 起きる

↓1のコンマ  


空白は、非情


では、此処までとさせて頂きます
明日は出来たら昼頃までに少しだけ
無理そうなら、いつもの時間。それも無理の場合は無しです


全ては天乃を中心に動いているとわかる流れ


今日はこの時間からですが、初めて行きます


起きてくれるという、期待があった

願いがあった

でも

同じくらいに、難しいだろうという怖さがあった

でも

風「……天乃が、義妹とか……冗談にならないんだけど」

天乃「っ!」

奇跡は起きるもの

神様に祈らずとも、願いは叶う

祈りは何かに届く

それが、久遠天乃の願いだから

天乃「風……っ」

風「聞こえたわ。みんなの声」

絶望を希望にし、死者を精霊とし、神をも己の力とする

それが、久遠天乃という――存在だからだ


天乃「体、起こして平気なの?」

風「勇者だからかな。不思議と、体は全然平気なのよ」

天乃「だからって今目を覚ましたばっかりなんだから」

風「ほんとほんと。うどん10杯は今すぐ食べられるくらい元気なのよ」

天乃「それは吐くからやめなさい」

風の冗談に、天乃は苦笑を返す

風が笑う

声を聞いて、返してくれる

風は――ちゃんと生きている

天乃「樹や夏凜に関しては大丈夫。だから、胃を痛めにようにね」

風「あたしが寝込んでる間に何があったのかすっごい気になるんだけど」

天乃「何かがあったのよ」

風「胃がキリキリ言ってるんだけどっ!」



1、はいはい。そう言えるなら大丈夫よ。義姉ちゃん
2、話は嫌でも聞けるわよ
3、そんなことより、治療が要らなくなったならさっさと準備して。えくそだす。するわよ!
4、本当に、無事で良かった


↓2


天乃「そんなことより、治療が要らなくなったならさっさと準備して、風」

風「準備って?」

友奈「な、なんだろう……?」

当然、風が知るわけはなく、

目を向けた友奈も知らず、困惑を浮かべて首を振る

もちろん、東郷もわからず「なんですか?」と、聞くと

天乃はこれ以上はない満面の笑みで、告げる

天乃「何って、えくそだすするのよ」

東郷「えっ?」

友奈「えくそだすってなに?」

天乃「大脱走」

平然と

食事に行こう。出かけよう

そう言っているかのような軽々しさで天乃は言って、窓を開ける

風「まさか」

天乃「そのまさか。さぁ、行きましょうか」

子供じみたその言動にはなぜか不安を感じなかった

そしてなぜか

友奈「はいっ!」

東郷「仕方がないですね」

風「体起こすことに心配してたのはなんなのよ」

みんなは着いていこうと――思えた


√ 7月13日目 夕(某所) ※金曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、イベント判定

↓2


01~10 樹海化
11~20 樹
21~30 大赦
31~40 お祖母様
41~50 風
51~60 東郷
61~70 晴海・大地
71~80 若葉・銀
81~90 九尾
91~00 友奈

↓1のコンマ  


では、ここまでとなります
明日は可能なら通常時間。難しそうなら今日のような時間となります


東郷「久遠さん。どうしますか?」

天乃「なに?」

東郷「お兄さんが大赦の代わりに兄者という組織を作りたいらしいです」

天乃「放っておきなさい」


では、少しずつ再開していきます


東郷「久遠さん。お話。よろしいでしょうか?」

その話は、そんな生真面目な言葉から始まった

ベッドに横たわる天乃と、車椅子に座る東郷

視線は僅かに、天乃が高い

東郷「樹ちゃん達は大赦に戦いを挑み、私達は反旗を翻しました」

天乃「ええ」

東郷「この先のことを、考えていますか?」

天乃「考えてるといえば、貴女は喜ぶ?」

そんな様子見の一言に

東郷は冗談ではないんですよ? と、少しトゲのある答えを返す

東郷「私達はバーテックスだけでなく、人類とも敵対しているようなものなんですよ?」

天乃「大赦=人類ではないわよ。まぁ、大多数がそちら側だっていうのは否定できないけどね」


東郷「私は。私達は久遠さんを選びました」

天乃「……そうね。ありがと」

飄々としたその返事では感じ取ることはできない感情を、

天乃の視線は示してくる

その目を離させない見せ方に、東郷は小さく息をついた

東郷「……私たちは何があろうと、久遠さんの味方で居続けるつもりです」

天乃「私もよ」

東郷「それは言われなくても分かっています」

何があろうと久遠天乃は味方だ

勇者だけではなく、一般人

全ての人々の神にも匹敵する無償の味方だと、

東郷は思っていた

体中を犠牲にして、記憶までをも失って

それでもなお、その考え方は変わらないだろう

東郷「だからこそ、私たちはこの無謀な選択についてきたんですから」


大赦との戦いは、つまり

神樹様との戦いに直結する可能性がある

いや、きっと、神樹様と敵対することになるのは間違いない

この世界において、それほど無謀なことはないだろう

天乃「嬉しいこと言ってくれるのね」

東郷「みんな、久遠さんのことを大切に思っていますから」

流れ作業のように、飛び出した本音

今更訂正も聞かず、

照れくさそうに目を背けた東郷は、

咳払い一つで不真面目になりつつあった空気を正す

東郷「では、今後に関しては総会でも開くとして。私がお話したいことは別にあります」

天乃「ん?」

大赦との敵対、神樹様との敵対

そこまで考えた東郷には疑問が浮かんだのだ

東郷「今回、樹ちゃんは神樹様を人質……? に、しました」

天乃「うん」

東郷「なぜ、そのような相手に、自らの勇者の力を与え続けていたのでしょうか? おかしいとは、思いませんか?」


普通、

自分に敵意のある相手に自分の力を渡したりはしないし、

それで無力化できるというのなら、力の譲渡はしない

当然だ

力を渡し続けることによって

何らかの被害が出てしまうからだ

天乃「……確かに」

東郷「神樹様は樹ちゃんだけでなく夏凜ちゃんにも継続して力を与えていました」

それが私には理解ができないんです。と、

東郷は困った表情を浮かべる

天乃「んー……」

東郷「久遠さんにもわかりませんか?」

天乃「なんでわかると思ったの?」

東郷「似たようなこと、しそうなので」

東郷は困った表情のままに、笑い声をこぼした





1、酷い事言う子にはお仕置きよ
2、東郷の手を引っ張る
3、そこまでお人好しじゃないわよ
4、神樹は供給源。言うなればバッテリーでしかない。とか?
5、神樹自体に、その決定権がない。とか?


↓2


では、此処までとさせて頂きます
明日は23時から少し。又は、投下無しになる予定ですが。いつも通りの可能性もあります


神樹様「なんでって、それはもちろん……痛いことされたいからだよ」

天乃「何言ってるの? 馬鹿お兄」


では、少しだけやっていきます


天乃「ふふっ」

東郷「っ!」

一瞬だった

とても不自由な体であるとは信じられないようなスピードで、

東郷の手を、天乃は掴む

逃れることはできず、

ただ、されるがままに東郷の体が浮く

咄嗟に持ち手を掴んだ左手につられ、車椅子が浮く

けれど

東郷の体が車椅子に戻ることは出来なかった

東郷「久遠さ……」

天乃「人のこと、馬鹿にしてくれちゃうお口はここかしら?」

東郷「っ」

天乃「東郷って、軽いのね」

東郷「久遠さんの力が強いんですよっ」


天乃「そんなことはないわよ」

東郷「でも、私は」

天乃「しーっ」

東郷の唇に人差し指を押し当てて、天乃はくすくすと、笑う

天乃「意地悪を言うここは閉じていなさい」

ベッドに引き釣り込まれた東郷は無駄に足掻こうとはせず、

ジッと天乃を見つめる

残念ながら?

いや、喜ばしいことに?

ええ、そう。嬉しいことに

久遠さんには樹ちゃんが居る

だから、悪戯以上のことはないという強い信頼が、東郷にはあった

天乃「私より貴女の方が軽いのは確実よ。私はほら。筋肉質だから」

東郷「……そこまででもないと思いますが」

天乃「触ればわかるわよ」


否定に対する、否定

もちろん、それは議論ではないし、

もしかしたら会話ですらないかもしれない

天乃「私の腕なんかそれが顕著なのよ」

東郷「腕、ですか……それなら私も似たようなものですよ」

天乃も東郷も共通して車椅子生活の経験者であり

その生活のせいか、両腕は一般の同年代よりは力強い

しかし、天乃は東郷と同年代の勇者ではあるが、

それ以前から鍛錬を積んでいたがために、

障害によって多少の衰えはあるが、それでも。天乃は東郷より力強さのある体つきだった

天乃「……ねぇ東郷」

東郷「はい?」



1、夕寝でもする?
2、少し触ってみる?
3、貴女の胸部には負けるわ。ごめんなさい
4、友奈、守ってあげられなくて悪かったわ
5、貴女たちは、私が絶対に守るからね


↓2


では、此処までとさせて頂きます
明日はできれば通常時間。無理なら今日と同じような時間または無し




九尾「出たぞ。主様の癖」

樹「いつものことです」

夏凜「呼吸するみたいにやるのよね。アレ」


では、少しになるとは思いますが再開いたします


天乃「ずっと言うべきだと思ってたことがあるの」

東郷「言うべきこと、ですか?」

天乃「うん」

その返事は軽快で

だから、中身もまた、変な軽口なんじゃないかと

東郷は考えた

けれどそれは、天乃にとっては軽く

東郷にとっては重い一言

天乃「友奈、守ってあげられなくて悪かったわ」

東郷「ッ」

天乃「ごめ――」

東郷「それは久遠さんの言うべきことではありませんっ!」

天乃とは違って両腕の使える東郷は、

天乃の体を這いずって目線を一直線に揃えると、細く睨む

東郷「私たちは、私達は久遠さんにとって頼りない一般人かもしれません。でも。それでも」

天乃「っ」

東郷「私達だって、勇者なんですッ!」


だから、天乃の言葉を東郷は認めない

認められない、認めたくない

自分たちがまったく頼りにできないと思われていると、思いたくないから

自分たちでは天乃のたった一つ残された右腕すら引っ張ってしまっているだけ

そんな邪魔でしかない存在であると信じたくないから

そして

天乃一人にすべてを押し付けるなんてことはしたくなかった

東郷「いつまで全部一人でやっていくつもりですか?」

天乃「いつまでって」

東郷「確かに久遠さんは一人でやっていけます。なんでも抱えてしまえるかと思います」

でも

だけど

東郷「そんなことをしていたら、樹ちゃんを悲しませることになりますよ」

天乃「……ずるい言葉を使うのね。東郷」


天乃がどうにかなる。ではなく、

天乃の大切な樹が悲しむという言葉は、天乃にはとても力のある言葉だ

しかし、天乃は自己犠牲を核にしたような機械人形と呼ばれてしまいそうなことを

酔狂で行っているわけではない

天乃「ほんと。狡い」

大切な親友が傷ついた

大切な親友が失った

大切な親友を失った

自分の、自分たちの戦いで失われた。奪われたものがある

だからこその、今の久遠天乃だ

天乃「樹が悲しむなんて言われたら、はいそうですか。なんて。絶対に言えない」

東郷「だからこそ言ったんです」

でも。それでも

天乃「まったく。貴女って人は」

笑の裏側に想いを隠し、偽る

久遠天乃は変わらない

それだけでは変えられない

喪失を知るがゆえに誰にもそれを与えず、自らがそれを奪って生きる

否――奪って死ぬ

それが、久遠天乃が決めた生き方なのだから


√ 7月13日目 夜(某所) ※金曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、イベント判定

↓2


では、此処までとさせて頂きます
あしたはお休みするかもしれませんが、やる場合は通常時間又は二三時からとなります


では、再開していきます


東郷がいて、樹がいて

風や友奈、夏凜に兄や姉が居る家はやはり狭い

でも

広すぎるよりはずっといい

そんなことを思いながら

ずっと探し続けた恋人を見つめる

天乃「樹、起きてる?」

樹「久遠さん?」

天乃「やっぱり。起きてるのね」

樹「朝まであんなだったんです。すぐには寝れません」

たった一人で戦い

たった一人で逃げ続けた時間

それは短くも長い時間で

それの生み出した罪は全て、かけらも残さず奪われた

そんな樹の皮肉に似た言葉にも、天乃は苦笑を返すだけだった


天乃「ねぇ、樹」

樹「なんですか?」

天乃「ずっと私が見つからなかったら。どうしてた?」

久遠天乃が久遠天乃ではなく、

ただの勇者で、ただの少女で

逃げ出すことができる強さがなく、捕らわれたままだったら

そんなもしもの話

樹「ずっと探していたかもしれません」

天乃「じゃぁ、今日。私が来なかったら?」

樹「神樹……様を、破壊していたと思います」

樹は冗談っぽさのない、真剣な瞳と声で答える

本気だった

本気の本気で、神樹……様を傷つけるつもりだった

それ以上のことをするつもりだった



1、じゃぁ、貴女はこの先のことも考えてたりする?
2、ねぇ、どうして勇者になれたんだと思う?
3、嬉しいわ。そこまで思ってくれているなんて
4、もし、記憶喪失の私と戦うことになってたら、どうする?
5、大赦職員八人惨殺の話をする

↓2


天乃「そっか……」

樹「はい」

物騒な話をした割には、

不思議と、空気に乱れはない

そこに疑問を抱くことのなく見つめ合う中、

天乃は唾を飲み込んで、決意する

天乃「そんなあなたに……と言うのはおかしいかもしれないけど、一応、聞いて欲しいことがあるの」

樹「聞いて欲しいこと。ですか?」

天乃「うん」

次の言葉は不真面目ではない

それどころか聞いてはいけない話かも知れない

それを直感で感じ取りながら、樹は「なんですか?」と、問う

それがどんな危険なものであろうとも

樹は、天乃の関わるのなら聞かないわけがなかったからだ

天乃「貴女も知ってるわよね? 大赦職員の行方不明」

樹「まさか死――」

天乃「ううん。違う。いや、そうなんだけど。正確にはね……九尾が殺していたのよ」


最初の六人は食い殺された

次の一人は九つ裂きにされ、最後の一人は……

記憶にあるその光景は鮮明だ

聴覚はなく、嗅覚もない

なのに、まるでそれがあるかのように、悲鳴を感じ、血腥さを感じる

樹「殺していたって……前は」

天乃「九尾が誤って私に記憶そのままをくれたんだと思う。元の記憶が私にはないから定かじゃないけど」

しかし少なくとも、

最初の六人の時点では止めていたし、

次の二人に関しては何の連絡もなしに行った。と、記憶にはある

樹「遺体は。遺体はどこに?」

天乃「骨の髄どころか、骨まで食い尽くしてるわ。二度と帰らないし返せない」

淡々と語っているようには感じるが、

その実、天乃の声や体が罪悪感に震えているのを、樹は察して手を握る

樹「九尾さんの記憶が久遠さんの中にあるのなら、その理由もまた、久遠さんの中にあるんじゃないですか?」

なぜ、どうして

それはきっとそこにあると、樹は思っていた


では、此処までとさせて頂きます
あすもまた、似たような時間からの予定です



昨日はできませんでしたが、今日は進めていこうかと思います


天乃「私の中……つまり、記憶の中ってことよね?」

樹「はい。九尾さんが誤って自分の記憶まで送ってしまったのなら。可能性はあると思います」

むしろ、それ以外の記憶が混じっていなければ、

九尾がわざとその記憶を天乃へと渡した事になる

何を考えているかわからない九尾のことだ

その可能性はおおいにあるが、一番初め、六人殺しの際の発言から考えれば、その可能性は――

九尾「主様の為に。と、普段持たぬ善意を持ってみれば……くふふっ。まったく、慣れぬことはするものではないのう」

天乃「!」

樹「っ」

話の中心にいながら

部屋のどこにもいなかった九尾はどこからともなく現れて、苦笑する

その紅い瞳は、どこか悲しげだった

天乃「九尾……」

九尾「主様の記憶にあることが真実。ゆえに、語ることなどあるまい」

天乃「じゃぁ、やっぱり」

九尾「いかにも。八人は妾が喰った。人間の言葉で言えば、殺した。それに抗議する言葉など、ありはせん」


樹「久遠さんにその記憶を渡したのはなぜですか?」

九尾「まったくの偶然じゃ」

そこに偽りはない

記憶を渡したところで九尾に得はないし

むしろ、損しかしないからだ

九尾「主様」

天乃「なに?」

九尾「それは妾がしたことじゃ。主様に責などない」

だから気にするな

そこまで言わなかったが、

九尾の表情はそう言いたいのだと、天乃は気づいて瞬きする

九尾「記憶として得た以上、妾に消す術などない。願わくば。今一度記憶を失ってくりゃれ。主様」

そう言うと、九尾は靄となって消滅する

今一度記憶を失う

もう一度満開してくれということだ

しかし

樹「もう二度と、久遠さんに満開はさせませんっ」

樹はそれを許さない

けれど、天乃は「満開しない」とは、言わなかった


1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流無()
・  三ノ輪銀 :交流無()
・  犬吠埼風:交流有(合流、義姉ちゃん)
・  犬吠埼樹:交流有(合流、接吻抱擁、九尾について)
・  結城友奈:交流有(合流)
・  東郷美森:交流有(合流、悪戯、謝罪)
・  三好夏凜:交流無()
・  三好春信:交流無()
・     九尾:交流有(大赦職員殺し)

・      死神:交流無()
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()
・     男性:交流無()


7月13日目終了後の結果

  乃木園子との絆 19(中々良い)
  乃木若葉との絆 22(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 38(中々良い)
  犬吠埼風との絆 55(高い)
  犬吠埼樹との絆 104(かなり高い)
  結城友奈との絆 52(高い)
  東郷三森との絆 51(高い)
  三好夏凜との絆 71(高い)
  三好春信との絆 30(中々良い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 40(中々良い)
      死神との絆 29(中々良い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度■■■%


√ 7月14日目 朝(某所) ※土曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、イベント判定

↓2


夏凜「流石よ。あんたは」

天乃「え?」

夏凜「あっという間に、全員がまた集まった」

呼び出して早々、

夏凜は達観した笑みを浮かべて、天乃にそう言った

こればかりは、いや

全てにおいてかもしれないけれど

素直に、尊敬に値すると夏凜は思っていた

夏凜「あんたがいないだけでバラバラになった勇者部がこうやって。ひとつ屋根の下に集まるなんて。私は……ううん」

はなからそういう期待をしてたし、

それ以前にこんな結果になるという信頼はどこかにあったのかもしれない。と、呟く

夏凜「ありがと。それと……悪かったわ」

天乃「ど、どうしたのよそんな……なんか素直すぎて鳥肌が」

夏凜「鳥肌とか言うな! ……ただ、あんたにまだそれを言ってなかったから。言っただけなんだから」


天乃「そんなの必要ないのに」

夏凜「あんたにはね。でも、言うべきことでしょ。そう思ったんだから」

夏凜は照れくさそうな表情で

でも、決して目を逸らさない

それは天乃が顔を見なければいけないからであり

自分の気持ちを向けている以上

隠すなんていうのはしたくなかったからだ

夏凜「ねぇ、天乃」

天乃「うん?」

夏凜「もしも。私と樹が殺し合ってたら、どうする?」

一度ならず二度も戦ったからこその、問

夏凜はどうしても。その答えが知りたかった



1、そんなことはさせないわ
2、そうね。私が死んだらやめてくれる?
3、私の本気の怒りを買いたいのなら。どうぞご自由に
4、止めるわよ。何をしてでも



↓2


天乃「止めるわよ。何をしてでも」

夏凜「……怒らないの?」

天乃「止めたあとで、怒るわよ」

真面目で素直な夏凜に対し、天乃も真剣に答えを返す

そして、真剣だからこその、笑みを浮かべた

天乃「二人が戦ったってだけで、私は怒りたい。でも、それは私のせいで起きた事。だから責めないのよ」

夏凜「あんたのせいじゃないわよ」

天乃「ううん。私のせいよ」

困った笑みでのその言葉に

夏凜は何も言えずに、首を振る

何でもかんでも背負い込んでしまう

確かに、みんなの言うとおりだ

夏凜「あんたには、やっぱり呆れたわ」

天乃「うん。それでいいのよ」

自分は女神でも菩薩でもなんでもない

ただの……勇者だ

天乃「少しは呆れられたほうが、普通っぽいでしょ?」

からかう笑に、夏凜は大きくため息をついた


夏凜「あんたは普通じゃないわよ」

天乃「……どうして?」

夏凜「勇者だし。それに……樹と付き合ってるし」

まぁ、そんなあんたと同じような私も普通じゃないけど。と

夏凜は笑いながら天乃の頭を撫でる

夏凜「それに。あんたは……」

天乃「?」

夏凜「あんたはさ……」

言うべきか否か、迷う

けれど、自分が天乃に好意を抱いていることすら告げた今

それ以上に恥ずかしいことも

隠すようなこともないと、頷く

夏凜「あんたは私達の、大切で、大事な中心人物なんだから」

天乃「……夏凜。熱でもあるの?」

夏凜「うっさいっ! あんたにだけは……あんたにだけはもう。隠し事とかやめようって。思っただけよっ!」

顔を真っ赤にしている夏凜への言葉に、

夏凜は少し起こり気味に叫んで、部屋から逃げていく

天乃「……中心人物。ね」

少し

ううん、とっても。嬉しかった


√ 7月14日目 昼(某所) ※土曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、イベント判定

↓2


九尾「昨日の今日で妾を呼び出すとは、主様も人が悪い」

天乃「九尾」

九尾「昨夜も言ったが、アレに関して主様が抱えるようなことは何一つとして有りはせん」

呼び出すやいなや、九尾はそう拒絶した

少し周りくどい言い方をしているが

簡単に言えば「あの件について話すことはない」、「件の話はするな」ということだ

九尾はあれは想定外の事故だ。と言っている

もしかしたら、それが恥ずかしくて触れて欲しくないのかもしれない

とはいえ

大赦職員八人も殺害したなんていう重要な案件を

そうやすやすと流していいわけがない

九尾「それで? 妾に何用じゃ」



1、職員殺害について
2、神樹がなぜ、夏凜達に勇者の力を与え続けていたんだと思う?
3、貴女は一体何者なの?
4、これから。どうするべきだと思う?
5、バーテックスの襲来に関して


↓2


天乃「残念だけど、昨日の夜の件よ」

九尾「主様」

天乃「九尾。貴女は勇者部の。そう、私の恋人よりも私を知っているはずよ」

九尾「……………」

睨まず見つめる天乃に対し、

九尾は睨みつけるような鋭い視線を向ける

それ以上は話さない

そう言いたげな瞳だ

天乃「私がこの件をそう。分かったわ。なんて流せるような人だと思う?」

九尾「そんな人間ならば、主様は今頃孤独に苛まれているじゃろうて」

天乃「なら」

九尾「しかし、それでも。主様が触れるべきことではない」

正確には、触れて欲しくなかった

天乃「九尾」

九尾「今や妾たち全ての敵。そやつらの死をなぜ、主様が気に掛ける必要がある。偽りの恋人を忘れたかッ」

天乃「それはそれ。これはこれ。私はね。例え大赦の人であろうと、死んでいいとは思ってない」


確かに腹立たしく思うことがあった

怒鳴りたくなることだって、沢山

けれど、だから死んでいいと思えるほど

天乃は平和で生易しい人生を歩んできてはいない

天乃「私は冗談でも死ねとは言わないし、それを喜べない」

九尾「…………」

天乃「それが理不尽で、不平で、不当なら尚更」

九尾「変わらぬ損な生き方をするのじゃな。主様は」

九尾はどこか嬉しそうに

けれども、悲しげにそう言って首を振る

九尾「それでも。妾はまだ。語るつもりはない」

天乃「九尾……ッ」

九尾「いやじゃ」

天乃がまだ完全には言い切っていない間に、

九尾は遮って姿を消す

それほどに、触れて欲しくないことだったのだ


√ 7月14日目 夕(某所) ※土曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、イベント判定

↓2


天乃「風、ちょっといい?」

風「……………」

天乃「風?」

テレビを見ているわけでもなく

うどんのスープを飲んでいるわけでもない

にも関わらず、

風は名前を呼んでも反応はない

天乃「ねぇ、風ってば」

風「……ん。あ。あたし?」

天乃「貴女以外に誰がいるのよ」

風「義姉ちゃんって呼ばないの?」

天乃「目を覚ましたからね」

風「ちえっ」

ちょっぴり、残念だった


天乃「呼んで欲しいの?」

風「いや、なんていうか。天乃が妹って良いなと思って」

天乃「…………」

風「体が引けないからってあからさまな目しないでっ」

嫌悪感を放つような表情をしていた天乃は、

冗談よ。と、苦笑する

天乃には姉が居るが、風みたいな姉も悪くはないと思っていたからだ

風「友奈や東郷にはさ。やっぱり。お姉ちゃんですねって笑われちゃってんのよ。あたし」

天乃「別にからかってるわけではないでしょう?」

風「だろうけど、なんか変に意識しちゃって。こう……呼んで欲しいなー……みたいな」

風は照れくさそうにそう言うと

そんなこと言われても困るわよね。と、苦笑する

呼ばれたいのか、呼ばれたくないのか

どちらかは明白だけど……


1、二人の時だけは。呼んであげても良いわよ
2、な……何言ってるの?
3、私の方が姉らしいと思うんだけどなー
4、嫌よ。恥ずかしいもの。義姉ちゃんだって、恥ずかしいでしょ?


↓2


所用で短めでしたが此処までとさせて頂きます。
その分、明日は早め。可能なら14、15時頃からの再会を予定しています。遅くて17時


樹「久遠さんに変なことさせないでっ」

風「さ、させてないわよ……っ」



遅くなりましたが、初めて行きます


天乃「そうね……」

少し気恥ずかしいことではあるが、

将来、樹との関係が進展するのであれば、義姉ちゃんでもあながち間違いではない

そもそも、

一番初めに言ったのは天乃自身だ

天乃「二人きりの時だけなら……まぁ。良いかな」

風「えっ?」

天乃「義姉ちゃんとか、風姉とか、風が望むように」

照れくさそうな笑みを浮かべながらの言葉に、

風はしばし唖然としていたが、すぐにハッとして息を呑む

風「ほ、ほんとに? 本当に?」

天乃「ええ」

――貴女にも迷惑をかけてしまったから

経験則的に言ってはややこしくなる。と、天乃はその言葉を言わず、苦笑する

天乃「本当だよっ。義姉ちゃんっ」

風「っ、小学生っぽい言い方はしなくていいっ」


言った側よりも言われた側

そんな恥ずかしさを感じて風は一瞬だけ目をそらしたが、

深呼吸してすぐに動悸をおさめると、天乃を見つめ直した

風「天乃」

天乃「うん?」

風「意識不明にまで追い込まれたくせに、何言ってるんだって思うかもしれないけど」

天乃「うん」

風「あたし達のこと、もっと頼ってくれて全然いいから」

天乃「確かに、何言ってるのって思っちゃうわね」

笑わず、怒らず、悲しまず

どこかはかなげな表情でつぶやいた天乃は

曇り空の外を眺めて、息を吐く

天乃「十分。頼りにしてるわ」

……日常生活では。だけど

天乃「だからそんなこと言わなくても平気よ」

――だって、初めから戦いは私。日常はみんなって言う、分担だったんだから

それは言葉にはならないまま、どこかへと消えていった


√ 7月14日目 夜(某所) ※土曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、イベント判定

↓2


01~10 銀
11~20 祖母
21~30 風
31~40 友奈
41~50 樹
51~60 東郷
61~70 晴海
71~80 大地
81~90 ばーてっくす
91~00 若葉

↓1のコンマ  


ここは大地が用意した秘密基地。ではないが、

隠れ家ではあった

しかし

「全員、ここにいるのでしょう?」

天乃達の祖母であり、

現在では大赦の中枢にまで入り込んでいる久遠家の裏番的存在は

易易と、見つけ出してきた

大地「……なんのことか分からないんだけど」

「みなまで言わなければならないのですか? 貴方は」

大地「なんで――」

「言わなければ、わかりませんか?」

祖母はその言葉を繰り返し、

大地を見つめ、横を抜けていく

大地「っ」

通さないことは出来ない

物理的にはもちろん可能だ。しかし、その意味、それの利点がどこにもなかったのだ


「やはり、ここにいましたね」

天乃「!」

祖母は責め立てたりする様子もなく、

落ち着いた様子で、淡々と

天乃達を見渡して、息をつく

天乃「連れ戻しに来たの?」

「連れ戻す意味が有るのならば。しかし、貴女はまた逃げるでしょう」

天乃「………………」

怒ってない

でも、喜んでいたりするような感じもない

それが不気味で、天乃だけでなく風達までもが息を呑んだ

「貴女の恋人が、困っていましたよ」

それは唐突な問だった


1、それは春信さん? それとも、あの男の人?
2、あの人のことは好きになれないわ
3、勝手に決められた私の方が困ったんだけど……
4、記憶喪失を利用するなんて、最低よ
5、何も言わない


↓2


天乃「恋人……ね」

「………………………」

天乃「記憶喪失を利用するなんて、最低よ」

言葉だけでも、怒っているのがはっきり解る

けれど、それだけでなく空気が震え

底知れない悪寒を肌に感じて身震いし、

夏凜や風、友奈達が天乃が怒るということがどれほどなのかを経験する中、

怯える様子もなく、祖母は天乃を見つめ、言う

「貴女が子も産めない体になる前に、一線から退けようとしただけです」

天乃「それならっ」

「そもそも。貴女が歪んだ愛に身を投じていなければ。その必要などなかったのです」

樹「っ」

「私達が知らないとでも思っていたのですか?」

蛇のように

あるいは、虎のように

獲物を狙うかのような目つきを向けられ、

樹は思わず、身を縮めた


「わたくしは、あの日。貴女にもしっかりと選択をさせたはずです」

天乃「……保留のない婚約者選びなんて不当だわ」

「自由な恋愛をさせた結果が、犬吠埼家の次女。私達の判断に間違いはなかったと思いますよ?」

世間一般的にみれば、祖母の選択は間違いだが、間違いではないかもしれない

天乃が異性と恋愛をするのならば、

祖母は明らかに間違っている。が、この場合、

子孫を残さなければいけない家系でありながら、

同性との恋愛に興じる天乃の方が誤っている。とみられるのは致し方ないことだった

「貴女が三好春信としっかりと交際をしていれば、余計な手出しはしなかったのですよ」

天乃「でも」

「なにか、言えることがありますか?」

威圧する気はないのだろう

しかし、その言葉は強く、鋭く

天乃は下唇を噛み締めた


01~10 
11~20 あり

21~30 
31~40 
41~50 あり

51~60 
61~70 
71~80 あり

81~90 
91~00 あり

↓1のコンマ 

空欄は無し。ありなら特殊 


天乃さえも何も返せなかった言葉に、

異議有り。と

一人、あるいは一匹が口を挟んだ

九尾「ならばなぜ、三好春信ではなく、あの小僧を恋人に仕立て上げた」

「……三好春信では不向きと判断したからです」

九尾「ならばなぜ、最初の段階で候補から洩れずにいた。そして、なぜあの小僧が洩れていた」

「…………。最初は気持ちではなく、優秀さを目安にしたからです」

九尾「なら、あの小僧はこれといって優秀ではない。と。その子孫でお主は良いのか?」

「…………………。この子の才能はその程度で薄れはしません」

天乃との会話に関して、

それほど考えることもなく紡いでいた祖母は

あからさまに、答えに手間取っていた

九尾の質問が進む度に、思考は長くなって

紡ぎ出される言葉は苦しくなっていく

九尾「しかし記憶喪失ならば、別に気持ちよりも優秀さを優先した小僧を押し付けて良かろう。なぜ、それを選ばなかった」

「……………………………っ」

九尾「その全裸好きは相変わらずじゃな。この、クソババア」

「……それはわたくしの言葉です。貴女よりは、まだ若い」


祖母が初めて言葉を返せなかった隙に投じた暴言

それを受けた祖母はどこか懐かしげに返すと、息をつく

九尾「記憶喪失を利用した件から見事に話を逸らしおって。妾は見逃さんぞ」

「話すことなどありません。何も覚えていないのならば、好都合だっただけです」

九尾「下着も脱がせば良いのか?」

「……止めなさい」

九尾は全裸好きといったが、別に服を着ていないわけではなく

会話に関して、

嘘や誤魔化しを全て剥がれるまで決して譲らない祖母への称号や意地悪なあだ名である

天乃「九尾、どういうこと?」

九尾「つまり、戦いのない平穏を与えつつ、心から愛してく――」

「九尾、止めなさいと。わたくしは言いましたよ」

九尾「くふふっ。お主の記憶の中の妾はそれで止めるほど従順かえ?」

「九尾」

祖母はもう一度、穏やかではない雰囲気で

穏やかな声色で言うと、九尾w見つめて首を振る

「必要ありません」

九尾「言えば良かろう。隠すようなことでもあるまい。お主がしたことは世界にとって正しくとも。主様には誤りじゃからな」


「……わたくしが誤り。ですか」

九尾「それがわからぬ程、お主はまだ、あの時の小娘のままかえ?」

「…………。だいぶ、歳を取ってしまったことは自覚しています」

関係あるようで、ない答え

それに文句を言わず、九尾は祖母を見つめ、

祖母は九尾を見つめる

「それなのに、貴女は相変わらず。何一つ変わりはしない」

九尾「容姿についてとして聞こう」

「内側も纏めてです」

祖母と九尾の仲良さげな問答に、

天乃たちは呆然としていたが、

しばらくして、樹が口を開いた

樹「あ、あのっ」

「……なにか? 貴女が実は男児という言葉以外は必要ありませんよ」

樹「ち、違いますっ」

「なら、話すことはありません」


祖母は軽々と樹との会話を打ち切って、天乃を見つめる

「貴女の子でなければ意味がないのです」

天乃「なんでそんなにこだわるのよ。私の気持ちはどうなるのよっ」

「それが久遠家にて、力を持った女の定めです」

祖母はそれだけしか言わない

否、それ以外にはないからだ

どれだけの悪事を働いていようと

久遠家に産まれた力の持ち主が巫女であろうと勇者であろうと

優秀の域に収まらない逸脱したものであることは変わらない

ゆえに、

善意に満ち満ちているのなら、その健勝を祈り

悪意に満ちているのならば、早期に次世代を担う子を願う

大赦にとって、天乃はどちらかといえばその中間だが

身体的な面を考え、後者を望まれているのだ

九尾「経験者なら。もう少し気の利いた言葉でもかけてやればよかろうに」

「……抗わなかったわたくしに、抗う方法など助言できるはずもありませんよ」

九尾「男ではなく子を愛せ。お主がクソババアと罵った女は力になれずとも。そのような言葉をくれたのじゃがな」


「……ならば。こうしましょう」

祖母は少し考えて、そう言うと、

天乃と樹を交互に見て、告げる

「貴女は犬吠埼樹と恋愛しつつ。子をなしなさい」

天乃「……無理だと思うけど」

「いいえ。貴女が誰か異性にその体を抱かせれば良いのです」

それがただの抱擁だと考えるのは、室内の90%程度

その中にはもちろん、天乃も入っているのだが、

祖母はそんなことなど知らず、続ける

「行為が一度で済むように促進剤を渡しましょう。準備もあります。事前に報告をするように」

祖母はそう言うと、

全員いるかの確認だけのつもりでしたが。と

迷惑そうに言って、家を出ていく

九尾「……その不器用さ。何も変わってはおらぬぞ」

その九尾の声が聞こえたのかどうかは分からないが、

祖母は去り際に一度だけ、振り向いた

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流無()
・  三ノ輪銀 :交流無()
・  犬吠埼風:交流有(義姉ちゃん呼び)
・  犬吠埼樹:交流無()
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流有(素直な夏凜)
・  三好春信:交流無()
・     九尾:交流有(大赦職員殺し)

・      死神:交流無()
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()
・     男性:交流無()


7月14日目終了後の結果

  乃木園子との絆 19(中々良い)
  乃木若葉との絆 22(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 38(中々良い)
  犬吠埼風との絆 57(高い)
  犬吠埼樹との絆 104(かなり高い)
  結城友奈との絆 52(高い)
  東郷三森との絆 51(高い)
  三好夏凜との絆 74(高い)
  三好春信との絆 30(中々良い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 40(中々良い)
      死神との絆 29(中々良い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度■■■%


√ 8月1日目 朝(某所) ※日曜日


01~10 
11~20 ばてくす

21~30 
31~40 
41~50 
51~60 
61~70 バーテックス

71~80 
81~90 
91~00 

↓1のコンマ  


早いですが、今日はここまでとなります。
明日はできればいつもの時間。できなければ23時ころを予定しています


では、再開していきます

√ 8月1日目 朝(某所) ※日曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、イベント判定

↓2


天乃「貴方は知ってた? お祖母様と九尾の関係」

死神「ウウン」

天乃「そうよね……」

死神と九尾が現れたのはほぼ同時期だ

天乃が知らない部分があったとしても、

現れた時期からして、死神が全く知らないというのは普通ではない

もっとも、

会話から読み取れる関係は険悪というよりも、

親しげだったが

死神「キニナルノ?」

天乃「それはまぁ……だって。祖母と九尾よ? 意味わからない」

祖母が勇者だった。なんてことまでありえてしまうような衝撃的事実

今はアレだが、昔は美少女……とは言わずとも、

普通の女の子だったにしても【勇者】あるいは【巫女】という肩書きを持っていたのなら

それは相当に酷い人生を送ってきたに違いない


死神「キュウビモ、オバアチャン。ミタイナハナシカタ。ツマリ、オサナナジミ」

天乃「そんなわけ無いでしょ。まったく」

死神の本気か冗談かわからない言葉に、

天乃はため息をついて、首を振る

何かを考えていたい

誰かと話していたい

でなければ、一番考えたくないことを、考えてしまう

天乃「……樹を男の子にするのって無理かな」

死神「アタマ、ヘイキ?」

天乃「そうなるわよね」

なんとなくつぶやいた一言

期待も希望もないし、有り得ないと分かり切った一言

それに対して、死神は剣先のような鋭い言葉を突き刺した


1、九尾に関して
2、天乃の穢れについて
3、子供に関して
4、祖母に関して
5、死神に関して


↓2


天乃「九尾達の件も気になるんだけど、それ以上に気になることがあるのよ」

死神「ウン?」

天乃「私の中。貴方や九尾が穢れというモノのことについて」

長くなりそうな議題

けれど

だからこその問い

いや、

以前軽く説明されはしたが、

それだけではやはり不安なのだ

天乃「九尾は以前、私の体が穢れていると同時に、バーテックスと同等の存在化してるって言っていたのよ」

死神「…………………」

天乃「そこらへん、九尾は詳しく言わなかったけど。答えてくれる?」

知りたい

知らなければいけないことのような気がする

天乃「私のことだし、知らない何かが体の中に溜まってるって。なんか不気味だから」

苦笑しながらそう言ったが、

天乃の瞳はいたって真剣だった


では、此処までとさせて頂きます
明日は同じような時間。できればいつも通り



九尾「穢れが溜まると処女懐胎して、神が産まれるのじゃ」

天乃「嘘でしょ」

九尾「乃木家はそうやって続いておるぞ」

若葉「!?」

では、少しですがやっていきます


その一方で、死神は紅い瞳を瞬かせると、

天乃への返答を考えてか、

ペンギンの羽のような短い手で自分の口元。であろう頭蓋の歯に触れる

死神「……バーテックス。タオシタトキ、ヒカリ。デル。ワカル?」

天乃「ええ」

死神「ソレト、ニタヨウナモノガ、クオンサンノ、カラダノナカニ。アル」

いや、あるのではなく、

稲荷の力を使ったりすることで、

徐々に蓄積されて言っているのだ

天乃「つまり?」

死神「ケガレハ、バーテックスノ、チカラ。アルイハ、タマシイ」

天乃「……ということは、私の中にはバーテックスの魂があるってこと?」

死神「ソレハ、スコシチガウッテ。キュウビ、イッテタ。クワシクハ、ワカラナイケド。デモ、ワタシモ、チガウヨウナキガスル」


答えは不明瞭で、やっぱり。九尾に繋がっていく

祖母とも関わりのある精霊なのだから、

もっと重要なことにまで、手を伸ばしている可能性さえある

天乃「けど、九尾は話してくれないでしょうね」

死神「ウン」

天乃「……どうしたものかしらね」

もう詮索するな。諦めろ

そう言われて納得できずとも割り切れることなら別に問題はない

けれど違う

そんな単純な話なんかじゃない

天乃「気になることばかりが増えてきちゃって。頭だけ大きくなっちゃいそう」

死神「ナヤミデフクラムノハ、キットソノムネ」

天乃「誰の入れ知恵か素直に白状すればビンタ一回で許してあげる」

まだ、冗談を言う余裕がある

しかし

天乃のそんな様子がいつまでも続くとは……限らない


√ 8月1日目 昼(某所) ※日曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、イベント判定

↓2


01~10 
11~20 
21~30 樹海化

31~40 
41~50 
51~60 
61~70 
71~80 
81~90 
91~00 樹海化


↓1のコンマ 

空白なら、通常通り樹と交流 


天乃「………………」

樹「………………」

喧嘩したわけでもないのに、

ふたりの間を流れる空気は嫌に重苦しい

というのも、

昨夜、祖母に嫌なことを言われてしまったからだ

歪んだ愛

話すことはない

貴女の子でなければ意味がない

誰かと子供を……

樹「っ」

思い出した樹は歯を食いしばって、嫌な衝動を抑え込み

自分が男の子だったらという無意味なもしもを考えて、呻いた


1、樹は……その。私がほかの誰かとその。キスとかするのはどう思う?
2、どうしたらいいのかしら
3、誰かいい人いる?
4、春信さんはどう?
5、あの男の人はどうかしら
6、樹の出方を待つ

↓2


では、此処までとさせて頂きます
あすも可能であれば似たような時間からとなります


天乃「あの男の人とかどうかしら」

大地「俺か」

天乃「違う」


では、少しだけ勧めます


天乃「ねぇ、樹」

樹「……あのこと。ですか?」

嫌そうな素振りは見せず、

けれども、できれば触れたくないと感じさせるような表情で

樹は尋ねる

天乃はその気持ちを分かりつつ、頷く

天乃「あの男の人はどうかしら」

樹「私の個人的な答えでもいいですか?」

天乃「うん?」

樹「自分の気持ちしか優先してない、自分勝手な答えでいいですか?」

天乃「……一応聞かせて」

聞く必要なんて本当はない

なんていうかなんて、解りきってる

樹「相手が誰でも……私は嫌です」

そして、樹の答えはやっぱりそれだった


天乃「春信さんでも?」

樹「嫌です」

天乃「……でも」

でも

それではダメだと、祖母に言われてしまった

子供を産めと、でなければいけないのだと、それが定めなのだと

樹「でも……っ」

天乃「………………」

樹は、前触れ無く溢れ出す涙を拭って、拭って、拭うのを諦めて

天乃を見つめて、言う

樹「自分の気持ちをっ……気持ち……殺して、言うなら……っ」

天乃「樹……」

樹「嘘をついていた男の人よりも、春信さっ……さんが……っ、嫌だけど。嫌だけどッ……いいです」

精一杯の答え

嫌だ。絶対に嫌だ

でも、何をしても回避できず、

絶対に一度は許さなければならないのなら

樹はそう考えて、男の人よりも、春信を選んだ


天乃「そうよね……」

春信か男の人。

信頼できるのは圧倒的に春信だ

夏凜の兄で、やや気まずくなってしまうだろうからと男の人を選んでは見たが

やっぱり、委ねるのなら信頼できる人がいい。らしい

天乃「ごめんね樹。嫌なこと考えさせて」

樹「……はい」

悲しそうに、呟いて

樹は溢れては溜まる涙を拭って頷く

天乃「まだ大丈夫だから」

樹「はい」

天乃にすがりつくように、身を寄せると

樹はゆっくりと、目を瞑る

――大赦を潰してしまいたい

押さえ込んでいた思いが再び募り始めているのを、感じた


では、此処までとさせて頂きます
あしたはできれば少し早めの再開
できなければ今日と同じような時間となります



では、少しだけ進めていきます


√ 8月1日目 夕(某所) ※日曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、イベント判定

↓2


夏凜「……どうするのよ」

天乃「どう。するかな……」

夏凜が聞きたいのもまた、

子供を作る件であることは天乃も分かっている

いや、判らないはずがない

みんながそれを聞きたがっているのは

口に出さなくとも、昼食時にもひしひしと伝わってきていたからだ

夏凜「樹とも話したんでしょ?」

天乃「判る?」

夏凜「樹の様子を見れば、なんとなくはね」

普段なら、

少しばかり呆れたように言うことも、

夏凜はふざけるような素振りは一切見せず、息をつく

夏凜「絶対に避けられないことなわけ?」

天乃「……さぁ? まぁ、ここまで追いかけてくるくらいには。避けられないと思うわ」


夏凜「で」

天乃「?」

夏凜「あんた、相手は決めてるの?」

中学校に通っていない夏凜だが、

子供を作るという行為に関して、知識がゼロなわけではない

ほぼ聞き流したことではあるが、

ちょっぴりと知識にはある

夏凜「……もしかして、兄貴。とか?」

天乃「………………」

意外と鋭い

いや、天乃の事を知っていれば

天乃の異性の交友関係がかなり少ないことは判る

ゆえに、相手の特定はしやすいのだ


1、夏凜は、春信さんを相手にされるのは嫌?
2、夏凜は誰がいいと思う?
3、未定
4、……夏凜だったら。どうする?
5、夏凜がいいかな


↓2


天乃「夏凜は誰がいいと思う?」

夏凜「少なくとも、兄貴を勧めたくはないわ」

天乃「……………」

樹の話を聞いていないから?

それとも、聞いていても?

ただでさえ少ない選択肢を、夏凜はバッサリと切り捨てる

夏凜「別に、兄貴が最低な奴ってわけじゃない」

運動神経はそこそこ程度

でも、頭はいいし

妹目線ではあるけれど、容姿だってそう悪くはない

性格だって……正直に言えば、優しくて好きだ

夏凜「天乃ぼこと、大事にしてくれると思うし」

天乃「……子供を作るため。たったそれだけの好意のない行為はダメってこと?」

夏凜「違う」

そうだ。違う

そもそも、天乃から兄貴はともかく、

兄貴から天乃はそう、悪いものでもなかったはずだ

これは、そう

夏凜「私の、ただの我儘」

比べられ続けた人生。負け続けた人生

奪われ続けた人生だから

夏凜「兄貴にあんたを奪われたくない……私のものでもないのに。そんな、悪い意地があるだけ」


では、此処までとさせて頂きます
明日もできれば同じ時間
もっとできれば、もう少し早い時間

では、本日も進めていこうかと思います


天乃「……私が春信さんを取ることに関しては何もないの?」

夏凜「お兄ちゃんっ子でもあるまいし。それに……」

天乃「うん?」

夏凜「耐性なくて、女の人になら簡単に篭絡されそうな人だし」

誰かにくれてやるくらいなら、

天乃の方が安心だ。信頼もできる

もっとも、それは天乃と兄貴を入れ替えても同じこと

たった一回に収まるか。それ以降も必要になるか、。先はまだわからないけど……

天乃「簡単ではないと思うわ」

夏凜「なんで?」

思考に割り込んだ天乃の声にハッとして、聞き返す

天乃「耐性がないからこそ。奥手で、慎重だから。かな」

夏凜「………………」

天乃「春信さんは変な人には引っかからない。それは保障する」


苦笑しながらのその言葉は少し夏凜を不安にさせたが

すぐにそれを掻き消す信頼を運び込んで、頷かせる

夏凜「あんたがそういうのなら、そうなのかもしれない」

天乃「あら。信じていいの?」

夏凜「あんたを信じられなかったら。この世界の何も信じられないでしょ」

本心

偽りを捨て、壁を取り払った心の言葉

嘘はつかない

下手な隠し事もしない

だから

兄貴に取られたくないという我儘を言った

だから

夏凜「あんたが兄貴が良いって言うなら。私は反対しない」

天乃「でも夏凜――」

夏凜「さっきのは私だけの気持ち。これは、あんたを想う私の気持ちよ……言わせんな。馬鹿」

誰よりも優しく、誰よりも強く、誰よりも努力し、誰よりも誰かを想う鈍感なる姫勇者に

付き従う騎士は、正直に気持ちを告げた


夏凜「……そういうことだから」

天乃「夏凜はそれでいいの? 私のためにって――」

夏凜「あんたのためだけじゃない。私たちのためよ」

天乃がどこかの誰かに取られる

たった一回であっても、それは許せない

それなら……と、探し見つけた妥協点が兄だ

天乃が言い出さなければきっと、薦めていたかもしれない

夏凜「あんたも私も最悪な気分にはならずに済むんだから」

天乃「……ありがと」

夏凜「大赦が諦めてくれさえくれれば、良いんだけど」

……いっそ潰してしまおうか

一瞬浮かんだその考えを振り払うように頭を振ると

夏凜は「私の気持ち他伝えたわ」と、部屋を後にした

√ 8月1日目 夜(某所) ※日曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、イベント判定

↓2


天乃「九尾、貴女お祖母様と知り合いだったのね」

九尾「言うてなかったか……ふむ。久遠家とは付き合いのない世代もあるが、長いという自負はある」

天乃「……そう」

思えば、

九尾は久遠の名前に関して、普通は知らないような部分まで話していた

九尾だから

そんな理由で片付けがちだったが

それは片付けていたのではなく、その圧倒的な不透明さに隠されてしまっていたのかもしれない

天乃「……………」

目の前の白装束に身を包む女性を見つめる

絶世の美女と謳っても、そこまで反論など生まれないだろう

そんな容姿を持つ、妖狐

天乃は何も知らないのだと、今更気づいた

九尾「あやつの弱点でも聞きたいのかえ?」


1、貴女は一体なんなの?
2、お祖母様とはどういう関係なの?
3、弱点教えて
4、貴女の方で、子供の話無くせない?
5、ねぇ。貴女なら神樹やバーテックスについても詳しく分かるんじゃないの?


↓2


天乃「お祖母様と知り合いなら……」

九尾「……………」

天乃「貴女の方で、子供の話無くせない?」

できるのなら

わずかでも可能性があるのなら

悪魔に願うようなことであると、

どこかで何かが恐怖するその願いでさえも縋る

天乃「私は――」

九尾「ふむ。それは世界を破壊すれば良いだけの話。よろしいか? 我が主様よ」

天乃「っ……」

九尾「己が欲あるいは望み、あるいは願い。その為に。お主はこの300年続いた愚かな人間のかくれんぼに終止符を打つか?」

九尾は笑わない

ただ、冷徹に、酷な言葉を投げる

したくないこと。やりたいくないこと

それをなくす代わりに周りに多大なる被害を受けさせる

自分勝手、自己中心的な人間にしかできないそれを

自分など、省みることのない少女に九尾は問う


天乃「九尾、私は……」

九尾「言う必要などない」

答えなんて分かっている

変わることのない答え

九尾「お主ができぬことなど百も承知。そもそも、きゃつだけではどうしようもあるまい」

天乃「……なぜ?」

九尾「いうたはずじゃ。絶望であり希望。それは久遠家のものではなく、世界のものじゃからじゃ」

九尾は似つかわしくない真面目な口調で言うと、

天乃のことを見つめ、息をつく

九尾「そもそも、思い出してみよ」

天乃「何を?」

九尾「あやつはお主と樹の関係を知っていた。なのに。きゃつは樹になんて言った」

天乃「なんてって……何も」

九尾「いかにも。【言うことは何もない】としか言わなかった。別れろとも、それを許さないとも。何も」


天乃「……え、えっ?」

確かにそうだ

男児なのですか? とか、ワケの分からないことを言っていたが、

祖母は樹に何も言うことはないと告げ、

話を簡単に終わらせた

九尾「あやつは今すぐどうこうしろなど、一言も言うてはおらぬ」

天乃「で……でも」

九尾「あのクソババアも同類。ゆえに、主様の心が解らぬわけではあるまいて」

天乃「そのくそばばあっていうのなんなの?」

九尾「あやつが主様と同じ頃、良く母や祖母に向かって……はいえぬ為に、枕を殴りながら唸っていた口癖じゃ」

天乃「……………………」

久遠家にて、力を持った女の宿命

それはつまり、

祖母や母も似たような生き方をしてきたということだ

九尾「話は戻すが、だからといって子が要らぬわけではない」

少しは落ち着いた、天乃

その様子を見つめ、首を振り、告げる

九尾「今ではなく、この先。それでも嫌だというのなら、妾がこの世界を終わらせようぞ」


天乃「……………」

九尾「お主の相手が同性というのに驚いていたが、あやつは交際自体に否定はない」

つまり、

祖母には言うだけ無駄なのだ

子供を産むことを久遠家が勝手に決めたことならば、

それをなくせば済むことだ

しかし

九尾「久遠家の子は主様もそうじゃが、一人で巫女と勇者を兼任する事が出来るほどの圧倒的な力を持っておる」

天乃「……うん」

九尾「それが失われた状態で、先の戦闘が再び起きたら世界はどうなるのじゃろうな」

天乃「…………………」

友奈も風も意識を取り戻した

しかし、天乃がいて、意識不明の重体が出てくるほど激しい戦闘なのだ

もし、そこに天乃がいなかったら

九尾「この世界が残ることは無かろう」

天乃「っ」

九尾「それゆえに、力ある者が子をなさなければならぬのはこの世が続くための絶対条件となっておる。避けては通れまい」


九尾「もっとも。主様が子を成す前に世界が滅ぶ可能性もあるがのう」

天乃「そんなことはさせないわ」

九尾「うむ。しかし、バーテックスは確実に力をつけてきておる。次は一人。死ぬやも知れぬ」

天乃「………………」

九尾のそれが冗談や脅しではないと、

祖母と比べれば長い付き合いとは言えないかもしれないが、

天乃にははっきりと断言できた

だからこそ、身震いして、拳を強く、強く、固くする

九尾「最悪、妾と黄泉の者の力を同時に扱うといい。体への負担はだいぶ大きくなるが、最終手段として諦める他ない」

天乃「諦めるって?」

九尾「しようはあまり薦められない。うどんで白米を食べろという方がマシじゃ」

天乃「……それは、うん。いや、別に問題ないような気もするけど」

九尾「特殊な味付けのない、白くて太いただのうどんじゃぞ。ふりかけだのなんだのではないぞ」

天乃「……だよね」

二つの力の同時使用

以前はダメだといったそれさえ使うべきだという

それはつまり……相当危ないというレベルの戦いではないということに、ほかならない

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流無()
・  三ノ輪銀 :交流無()
・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流有(子供)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流有(子供)
・  三好春信:交流無()
・     九尾:交流有(子供)

・      死神:交流有(天乃のケガレについて)
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()
・     男性:交流無()


8月1日目終了後の結果

  乃木園子との絆 19(中々良い)
  乃木若葉との絆 22(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 38(中々良い)
  犬吠埼風との絆 57(高い)
  犬吠埼樹との絆 105(かなり高い)
  結城友奈との絆 52(高い)
  東郷三森との絆 51(高い)
  三好夏凜との絆 75(高い)
  三好春信との絆 30(中々良い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 40(中々良い)
      死神との絆 31(中々良い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度■■■%


01~10 
11~20 九尾

21~30 
31~40 
41~50 
51~60 九尾

61~70 
71~80 
81~90 
91~00 九尾


↓1のコンマ  


九尾「……ふむ。すまぬな」

「いえ、せっかくですから」

早寝早起きの天乃はもちろん、

風達みんなが眠る深夜

老女らしからぬ老女と妖狐は秘密裏に会っていた

九尾「お主はまだ、感じることができるかえ?」

「ええ。伊集院家の娘からも伺っておりますよ」

九尾「……そうか。お主はどう思うておる」

「そろそろ、潮時ということでしょう。あの子はわたくし達久遠家歴代の中でも生粋の……お人好しです」

九尾「力を使いすぎた。ということじゃな」

「ええ。貴女が、止めないから」

嫌味や皮肉に似た言い方にも

九尾は物申すことはなく、息をつく

それは事実だ

しかし、止められたはずがない

久遠天乃とは、そういう人間だからだ


「それで、貴女は解決策を思いつくことができたのですか?」

九尾「それは妾の言葉じゃ。何のために、お主はそちら側に居る」

「……そうですね。本当に、何のためにいるのか。わかりません」

祖母は少女時代、

逃げも抗いもせずに、大赦側にとけ込んでいった

何かを変えるため

何かをなすため

それなのに、世界は何も変わらない

大赦は何も変わらない

嘘で作り上げた足場に立ち、そして今、それが崩れ去ろうとしている

「九尾、わたくしはあの時の選択を誤ったのでしょうか」

九尾「お主はあの時、妾にそれを問うことはなかったじゃろう」

「あの時、別の選択をしていればちゃんと何かを変えることはできたのではないかと。最近思うのですよ」


あの時

そう、祖母がまだ少女だった頃

天乃のように抗うか否かの選択が可能だった頃のことだ

「あの子に、そんな後悔をさせたくはありません」

九尾「精霊が居る。勇者部が居る。銀が居る。若葉もいる。主様には沢山いる。恋人も」

「……そこに、貴女は含まれないのですか?」

九尾「妾は……含まれるべきではない」

九尾にはその理由が有り、

その理由を、九尾は分かっている

九尾「園子に伝えておけ」

「何をです」

九尾「……もしもの時は妾を殺せ。と」

それで何かが解決するわけではない

既に300年前

あるいはそれよりも前

すべてが動き出した瞬間から、その解決法は失われた

だから

「なりません。貴女は生きて久遠に尽くす。それが私達久遠家との契約だと受け継いでいますから」

九尾「……妾は既に生きてはおらぬのじゃがな」

「それでもです。そろそろ、潮時だと。私は申しましたよ」


かつての友、かつての主、かつての……

そんな深い関係の老いた少女の言葉に、

九尾は黙り込み、老女を見つめ

彼女がただ見返すだけなのだと気づいて、呻く

九尾「承知した」

「貴女が溜め込んだ精霊の数はいくつですか?」

九尾「二匹。主様はおそらく気づいてはおらぬが、妾は現状二匹の精霊を内に蓄えておる」

「では、あの子の助けになれる何かを。貴女はできますね?」

できることはある

無論、できないこともあるが

できることがあるのならやるしかない

九尾「うむ。そこは今一度、主様に指示を仰ごう」

そういった九尾に背を向け、

「九尾。わたくしは貴女を信じています。頼みましたよ。九尾」

立ち上がった老女は振り向くことなく、そう告げる

九尾「引き受けた」

九尾は老女を

老女は九尾を見ずに、分かれる

かつては同じ道。今はもう……違う道だ


では、八月二日目を開始します


√ 8月2日目 朝(某所) ※月曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、勇者部会議
12、イベント判定

↓2


天乃「えー、本日はお集まりいただきまして、誠にありがとうございます」

風「そういうの要らないから」

天乃「あ、そう」

いつもはおちゃらける側に居ることが多い風も、

今回ばかりは真面目な側で

ふざけるべきではない当人の口調に、思わずきつい言葉で返す

風「……それで?」

東郷「始める前に、ひとついいでしょうか」

天乃「なに?」

東郷「久遠さんはどうしたいのか。ということに関してです」

天乃「というと?」

東郷「久遠さんは子供を作りたいのか、作りたくないのか。です」


わざとわからないように演じる天乃に、

東郷も少し厳しく答える

東郷「久遠さんはどうしたいんですか?」

作りたいのか

作りたくないのか

誰かに譲歩していない

久遠天乃だけの自己中心的な答えを、東郷は求めて問う

天乃「……そうね」

東郷「私たちはそれが聞きたいんです」

友奈「………………」

友奈は悲しそうな表情で頷く

どうやら、友奈もその答えが欲しいらしい

話し合いはそれから。しかできなそうだ


1、嫌よ
2、仕方がないわ
3、未来のために、私はそうしたいと思ってる


↓2


天乃「仕方がないわ」

東郷「……そうですか」

天乃「東郷?」

東郷「そうですよね。久遠さんはそういう人です」

久遠さんは。と、言っているのに

仕方がないと妥協する

誰かの為のものであったなら、

そうすると、断言するのに

友奈「久遠さんはその相手のことで話があるんですよね?」

天乃「ええ」

風「でもさ。あたし達が知る天乃の男の知り合いなんて、大赦の職員と春信さんとお兄さんくらいじゃないっけ」

東郷「中々、狭い選択肢ですね」


事実、それだけだ

天乃の中学一年生の時代や、小学生時代の同級生はいるが

二年たった今、天乃と友好的な関係をいまだ保っている人物はそういないだろう

夏凜「だから、うちの兄貴を天乃は指定したわ」

風「んなっ」

樹「私も相談されたよ。お姉ちゃん。それでも……避けられないなら夏凜さんのお兄さんをって」

風に見つめられた樹は

悲しそうに、答える

風「っ」

妹の悲しげな声

悲しそうな顔

苦渋の言葉なんて軽いものではない

それを見て怒りは収まるわけはなく

それが間違いだと分かっていても、矛先は道を間違えて――

風「あんた……本当にそれでいいわけ? それで、仕方がないと言ってるわけッ!?」

天乃「仕方がないものは仕方がないから」

風「天―――」

樹「お姉ちゃんやめてッ!」

一番嫌で、一番悲しくて、一番起こりたい少女の怒号が響いた


樹「久遠さんが私たちにこんなこと話してるんだよ!?」

風「っ」

樹「分かってよ。久遠さんが相談してくれることがどういうことか!」

風「そんなの……そんなのわかってる……ッ」

樹に言われるまでもない

わかってる

解りきってる

でも、嫌だ

自分自身の気持ちでも嫌だ

樹を考えた気持ちでも嫌だ

天乃を考えた気持ちでも嫌だ

風「樹はそれでいいの? 諦めるの!?」

友奈「風先輩ッ! 樹ちゃんもやめて!」

東郷「風先輩。それは、その質問は本当に必要なことですか?」


言い合いに呆然としていた友奈と東郷が混じり、

爆発しかけた空気は一転して沈黙する

けれどそれは凄く悲しい静寂だった

風「………………」

樹「っ……っ」

東郷「どうですか? 風先輩」

蹴飛ばされた椅子

落ちて砕けたコップ

泣き崩れ、友奈に抱き留められた樹

沈黙を保つ夏凜

風は辺りを見回し、

天乃へと行き着いて、首を振る

風「……でも。仕方がないっていうのはそういうことでしょ。諦めるって、ことなんでしょ?」

東郷「…………………」



1、否定はしないわ
2、沈黙
3、だったら、貴女には解決策があるの?
4、この世界を守るためには、私の子供。正確には久遠家の力を途絶えさせてはいけないのよ
5、ありがとう
6、ごめんね


↓2


では、此処までとさせて頂きます
明日はできればいつもの22時頃。無理なら23時。それも不可なら無しとなります




「同性との恋愛ですか」

九尾「血の繋がりを感じるのう」

「おや。わたくしの恋は同性ではなく神様。正確には怪ですから、少し違いますよ」

九尾「たわけっ」


少しだけ。勧めます


天乃「貴女が言ってることは多分、間違ってない」

仕方がない

そう割り切っていると言えば聞こえはいいけれど、

結局は、そうするしかないと諦めている

それ以外に道はないのだと、諦めている

天乃「でもね? 風。この世界を守るためには、私の子供。正確には久遠家の力を途絶えさせてはいけないのよ」

風「……だから。仕方がないって?」

天乃「うん」

風「そんな体になるまで頑張って……なのに。子供まで無理やり作らされることになって。嫌じゃないの?」

天乃「答えは変わらない。全部共通して一言で片付けられる」

風の問いに、天乃は困った顔で答える

嫌じゃないの? 嫌だ

でも、仕方がないことだから

そう、仕方がないことだから

夏凜「天乃の答えが変わるわけないでしょ。樹に話したあとのこれなんだから」

風「でも夏凜ッ」

夏凜「一番嫌な天乃が決めたことよ。私達なんかが口挟んだところで……というか、そんな権利ありゃしないわよ」


それも諦め

そうするしかないと言い聞かせて

考えるのをいち早くやめようとしているだけ

風「っ……ッ!」

強く、机を殴りつけ椅子を蹴飛ばす

物に当たるなんて最低だ

けれど耐え切れなかったのだから――仕方がない

友奈「風先輩……」

風「……ごめん。アタシ。もう、ごめん。無理」

会話にならないつぶやきだけを残し、

暗い面持ちのまま、風は部屋から出ていく

東郷「…………………」

夏凜「…………………」

樹「……お姉ちゃんと、話してこなきゃ」

夏凜「そこは樹に任せる」

樹「はい」

そのあとを追うように樹や夏凜も部屋を出ていき、

ションボリとした友奈や東郷もまた、部屋から出ていく

天乃「私も……春信さんと話さなきゃ。よね」


√ 8月2日目 昼(某所) ※月曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、イベント判定

↓2

※春信との接触は現在できません


天乃「ごめんね? さっきの今で呼び出したりして」

友奈「いえ。その、風先輩も久遠さんの言いたいことは分かってくれてると思います」

世界を守る

天乃のその言葉の意味

その言葉の中の【世界】が持つ意味を

友奈「でも……」

天乃「認めたくない?」

友奈「割り切れないんです。それに、考えちゃうんです」

天乃「何を?」

友奈「どうして私たちはみんな、誰ひとりとして男の子じゃないんだろうって」

誰かひとりでも男の子だったらきっと

話は難しくならなかったはずだと、友奈は考えて俯く

しかし、それは無理な話

可能性があるなんて前向き思考には変えることのできない不可能領域だからだ


友奈「バカみたい。ですよね」

自分でも自覚が有る

女の子だから勇者になることができて

勇者になることができるから、天乃とここまでの関係になれたというのに

友奈「樹ちゃんや夏凜ちゃんのように、私の気持ちを聞きたいんですか?」

天乃「そうね……」

それはもう聞かなくても、答えが透けて見えている

でも、聞くだけ聞いておくべきかもしれないが………



1、友奈の気持ちを聞く為
2、一人にはなりたくなくて
3、みんな、何か企んでないわよね?
4、次の戦いに関して
5、ごめんね。貴女のことを守れなかった


↓2


では、ここまでとさせていただきます
明日は早めの開始で16~17時からとなる予定です



天乃「なにか企んでないわよね?」

友奈「せ、性転換とか。そんなこと考えてな――あっ」

天乃「馬鹿なの?」


では、少しずつ初めて行きます


天乃「それなんだけど、その前にちょっと聞きたいことがあって」

友奈「聞きたいこと……ですか?」

天乃「ええ。みんな、何か企んでないわよね?」

友奈「そういう話は聞いてないですけど……」

何かするとか、どうとか

そんな誘い、友奈は身に覚えがなかった

友奈「どうしてそう思ったんですか?」

天乃「みんな嫌がってることをしようとしてるでしょ?」

友奈「はい」

天乃「だからなんかやったりしそうで、ね」

樹や夏凜の大赦への反逆の件もある

何もなかった頃より、

大赦への反逆の罪悪感だったり、自制心だったりがだいぶ薄れてしまっている可能性があるのだ

もしそうなら、

大赦にたいして何かするのはほぼ確定と見てもいいかもしれない


友奈「私は何も聞いてません。東郷さんも何かするなんてことは言ってませんでしたし……」

天乃「あの子はそうでしょうね」

というより、

友奈が反逆に同意する可能性は極めて低い

それを知らないならまだしも、知っているのにも関わらず、

反逆行為に誘うなんて失態をおかすはずはない

友奈「ただ、久遠さんの答え次第でこの先が大きく変わるって東郷さんが言ってたんです」

天乃「どんな風に?」

友奈「それは聞いても教えてくれませんでした」

天乃「そう……」

申し訳なさそうな友奈に、

落ち込まないで。と、声をかけて頭を撫でる

東郷が反逆を考えているにせよ、いないにせよ、

友奈を巻き込まないのはほぼ確定だ

天乃「大きく変わる……ね」


天乃「ちなみに、それはいつ?」

友奈「昨日の夜です」

天乃「……っていうことは」

多分。いや、きっと今朝の話の答えだ

昨日の内に、朝全員で話すからね。と

天乃が予約を入れたわけではないが、

元々、天乃が集めなければ個別あるいは全員集合で話すつもりだったのだろう

天乃「ねぇ、友奈。聞きたいんだけど」

友奈「なんですか?」

天乃「私の今朝の答え。どう思った?」

友奈「えっと……それは」

友奈の表情が変わった

困惑ではなく、悲嘆の表情

言いたいけど言うべきではない

そう堪えているような口元の歪み、瞳の揺れ

そして

友奈「久遠さんがそう決めたなら。それしかないと思います」

友奈はそういった


1、貴女の正直な答えは?
2、そっか。ありがとう
3、友奈も嫌なの?
4、何も言わない


↓2


天乃「それで……貴女の正直な答えは?」

友奈「っ……私の答えは」

天乃「別に、そんなのふざけないでって殴っても私は怒らないわよ」

友奈「殴るなんて、そんな」

そんなことはしない

でも、自然と手が震える

我慢しようとしているから

嘘をつこうとしているから

だんだんと顔が熱く、目頭に熱が篭っていく

天乃「私は貴女の差し支えのない答えじゃなくて、本心が知りたいの」

友奈「……言っても。良いんですか?」

天乃「うん」

友奈「久遠さんが仕方がないって頑張って決めたのに、それを凄く。凄く嫌だって思わせちゃうかもしれないですよ?」

天乃「それでも」

友奈「っ」

天乃「それでも教えて」


友奈「嫌なら嫌って、はっきり言ってください!」

天乃「っ」

それは唐突な怒号

けれど、わかっていた怒り

友奈「仕方がないって諦めるんじゃなくて。割り切るんじゃなくて。私は嫌だからって、言ってください!」

天乃「………………」

友奈「一個くらいやりたくないって言ったって良いじゃないですかっ、したくないって我儘言っても良いじゃないですかっ」

出会ってから今日まではまだほんの数ヶ月

でも

天乃がどれだけ世界に尽くしているのか

天乃がどれだけ自分を顧みずに頑張っているのか

天乃がどれほどまでに苦しく、辛い思いをしているのか

安易に同情出来ない。解ると言えない。頑張れと応援できないほど、友奈は見てきたから

だから

友奈「私達にくらい、誰のためでもない本当の気持ちを言ってくれたって、良いじゃないですかッ!」

友奈はその怒りに変質仕掛けた悲しさを堪えることが出来なかった


友奈「っ……ごめんなさい」

怒鳴るなんて間違ってる

こんなの、最低だ

罪悪感に身を縛られた友奈は後退って、天乃を見つめる

友奈「仕方がないことだって、解ります。どうしようもないってことも。でも、でも……っ」

天乃「……貴女が怒る程なんだから。余程のことなのね」

自分のことなのに、他に行儀な言葉

しかしその表情は不自然に穏やかで、友奈は下唇を噛んで、首を振る

久遠さんだって嫌なことくらい分かる

それでも悩んで、苦しんで決めたことなのに

私達は反発して……

なのに、久遠さんは何も言わない。怒らない

友奈「久遠さんが怒らないから……」

天乃「えっ?」

友奈「久遠さんが怒らないからっ、みんなが怒るんですっ」

友奈はそう言うと足早に部屋から逃げ出していく

全部八つ当たり

いや、八つ当たりなんかではなく、ただの我儘だ

それを分かっていても、友奈達にはどうしようもなかった


√ 8月2日目 夕(某所) ※月曜日

01~10 樹海

11~20 
21~30 
31~40 樹海

41~50 
51~60 
61~70 沙織

71~80 
81~90 
91~00 沙織


↓1のコンマ  


沙織「久遠さんとは、これで二度目だよね。本格的に会うのは」

天乃「本格的?」

沙織「一応、間接的には何度か久遠さんの担当をしてたから、あたし的には幼馴染みたいなものなんだよね」

沙織は冗談っぽく言うが天乃は全く覚えていない

否、覚えていないのではなく、知らないのだ

実際は沙織が言うように、

別クラスではあったが小中同校、同学年の近しい存在であり、

大赦所属の勇者と巫女としても、近しい存在である

天乃「そんな貴女がどうしてここに来たの?」

沙織「久遠さんの体について、一応話しておこうかなと思って」

天乃「……私の体って言っても検査なんて」

沙織「そうだね。入院以降の状態はわからない。だから直接会いに来た」

沙織の表情は険しく、

声色がわからなくとも、天乃にはそれがとても大事で

少なくとも、全くといって良いほどにいい話ではないことは伝わっていた


沙織「久遠さんはどこまで聞いてる?」

天乃「聞いてるって何を?」

沙織「……ここに溜まった穢れについて」

沙織は言いながら天乃の下腹部を撫でて、指で突く

それを恥じらう余裕もなく

天乃は顔をしかめて、息を呑んだ

天乃「バーテックスと同等のってくらいかしら。それが何かあるの?」

沙織「それがどうして久遠さん。ううん、久遠家にあるのかっていうのはまだ聞いてないんだ」

天乃「知ってるの?」

沙織「一応、巫女やってるからある程度のことはね」

沙織は表情を変えないまま、天乃の体をまじまじと見つめ、首を振る

最後に見たときよりも、さらに失われているのを悟ったからだ

沙織「と言っても、それは簡単な話。300年前の始まりの日、久遠さんの先祖が穢されたからなんだ」

天乃「良く解らないんだけど」

沙織「経緯はあたしも。ただ、その結果久遠家はバーテックスと戦うための力を手に入れた」

天乃「神樹の勇者として?」

沙織「ううん。そんなことは書いてなかったから、多分。違う」

一部検閲された書物ゆえに、

その隠された部分にそう書かれていた可能性もあるが、前後の文脈を考えるにそれは違うだろう。と

沙織は判断して否定した


天乃「それで結局どういうことなのよ。穢れって一体なんなのよ」

沙織はそんなつもりがないのかもしれないが

回りくどさを感じて天乃が迫ると

沙織は困った顔で、頷く

沙織「穢れはバーテックスの核、御霊それを形成している何か」

天乃「なっ、まって。なら私」

沙織「うーん。それはどうかな」

それならバーテックスあるいは星屑を出産するのか?

そんなことを言い出しそうな天乃を制して、沙織は息をつく

御霊に似た何かを体内に宿しているのは事実だが、

それはさすがに飛躍しすぎている

沙織「……ここからが本題だよ。久遠さん」

天乃「本題って」

沙織「今、久遠さんの体の中は殆どがそれによって穢れてるんだよ」

つまりね? と、沙織は悲しげに紡ぐ

沙織「久遠さんはバーテックスになっちゃう可能性があるってことなんだ」


もちろん、それも絶対にそうなるという確証はない

しかし、

大赦のバーテックス等を調査しているところから、

久遠天乃は極めてそれに近い。という報告を沙織は受けていたのだ

人間のバーテックス化など聞いたことがない

けれど、ありえないとは言えない

天乃「……どうすればならなくて済むの?」

動揺を押し隠した声に、

沙織「子供を産む。子供を産むことで、穢れは清められてまた1からその子供に蓄積されていくようになる」

沙織は天乃の祖母に聞いたことをそのまま答える

それ以外に方法はなく

それ以外があるとすれば死ぬしかない

そこまで聞きながら、沙織は言わなかった

言えば確実に死を選ぶ。祖母にそう言われたからだ



1、穢れってなんなのよ
2、死んだら。死んだらどうなるの?
3、子供を産んだとして、私はどうなるのよ
4、意味わからない。理解できないわ
5、ふざけないで


↓2


天乃「なら、私が死んだら。死んだら……どうなるの?」

沙織「それは……死ねないから」

天乃「それでも死んだらどうなるのかって聞いてるのよ」

沙織「っ」

子供を産めば済む

それはつまり、すべてを自分の子供に押し付けるということだ

久遠天乃という存在は、

死にたくない。壊れたくない

人間なら、考えそうなそれを選択肢から排除するのではなく、

元から存在させていないのだ

死ねば済む

そういえば、天乃は何が何でも死ぬかも知れない

沙織「死ねないってばッ!」

天乃「それでも――」

沙織「無理なものは無理! その結果がどうだろうと無理なんだから意味ないッ!」


沙織「久遠さんはいっつもそうやって、自分を代償にしたがるっ!」

天乃「いっつもって、貴女私のこと――」

沙織「全部知ってるっ! たくさん知ってるっ!」

久遠さんが初めて勇者になった時

ううん、それよりも前からずっと知ってる

久遠さんが知らなくても、あたしは知ってるんだ

戦いが始まる前は、将来の夢が普通の生活。なんて

なんの望みもないようで、凄く望んでいて、憧れているものだったこととかも

沙織「……それで全部終わると思ってるなら……勇者部に言ってみれば良いよ」

天乃「………………」

沙織「私が死ねば被害が出ないかもしれないから。死ぬって。そう言ってみなよ」

みんなに怒られるから

みんなに泣かれるから

みんなが……絶対に許さないから

沙織「……久遠さんの体は何パーセントって例えるなら90%くらいが穢れてるから。注意して」



本当はまだ85%

でも、少しくらい切羽詰ってもらいたい

自分が危険なんだと自覚してもらいたい

だからあたしは……嘘をつく

沙織は天乃を一瞥すると、一言「帰る」と、残して、去っていった



01~10 
11~20 樹海化

21~30 
31~40 
41~50 
51~60 
61~70 
71~80 
81~90 
91~00 樹海化


↓1のコンマ  


√ 8月2日目 夜(某所) ※月曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、イベント判定

↓2


天乃「……樹、なんか怒ってる?」

樹「怒ってません。夕方に来た人の【死ねないってば】って叫び声が聞こえたとかじゃないですから」

天乃「えっと」

樹「その後、【自分を代償にしたがる】って言うのも聞き流したので関係ないです」

とは言うが、

覚えている時点で聞き流してなどいるはずがなく、

あの後半、沙織が叫んだことはほぼ全て樹達に聞こえていたのだ

豪邸ならばともかく、一般の家では仕方がないことだが

樹「もしも、死ぬとか代償とかの話だったら、私。久遠さんのこと怒ります。木霊の蔓で縛ってお仕置きです」

天乃「えっと……」

無表情を貫こうとしているのか

表情は少し固く、垣間見える怒りに天乃は苦笑すらできずに目を逸らす

どう見ても怒っている

ごめんねというだけでは何の意味もなさそうだ


樹「……なにか、久遠さんが犠牲にならないといけないようなことでもあったんですか?」

天乃「………………」

樹「…………………」

聞いて答えなければ、無理強いはしない

それが樹のスタンスだ

言わないということは言いたくないこと

でも、聞かれなかったから言わなかった。というのを避けるために聞く

天乃「その………」

樹「言いたくなければ言わなくていいです。でも、言った事が嘘だったら怒ります」

天乃「うん」



1、子供を産まないと、私。バーテックスになっちゃうかも知れないらしいのよ
2、ごめんね。まだ言えない
3、そんなつもりは、ないんだけど。その……もしも万が一戦闘とかで私が死んだらどうする?
4、私が死ねば、無駄な被害は出さずに済むって言ったら?
5、貴女達、何か企んでたりしないわよね?


↓2


天乃は嘘をつくつもりはなく、

樹に対して、隠し事をするつもりもなかった

天乃「子供を産まないとね?」

樹「はい」

天乃「私、バーテックスになっちゃうかも知れないらしいのよ」

樹「っ」

樹じゃなかったら、

きっと、冗談やめてください。とでも言っていただろう

けれど聞いたのは樹だ

だから、嘘だと言わない疑わない

天乃「体の中の穢れが原因なんだって、言われたわ」

樹「穢れ……減らす方法は? 逆に、なんで増えるんですか?」

天乃「満開したりすれば減るし、樹海のダメージを肩代わりしたりすれば増える」

樹「な、ならもう肩代わりとかしなければっ」

天乃「街の人が犠牲になるわよ? 貴女達のクラスメイトや両親、親戚、知り合いが被害に遭うわよ?」


樹「っ……なら」

天乃「そうね。もっともいい解決方法は、私が子供を作ること」

死ぬことは樹達が許さない

それなら、残った有力な選択肢は子供だ

全部を子供に押し付けて

不自由な体で世話さえしない……最低な母親になること

天乃「でも、背負っているものを今度はその子供が背負わなくちゃいけなくなるの」

樹「でもっ。でもそうしたら久遠さんがバーテックスになることは避けられるんですよねっ?」

天乃「ええ。穢れも清められてまた1からになるらしいわ」

樹「なら……それなら。良いじゃないですか……危険な状態のまま子供に渡すわけじゃないならっ。それならっ」

春信とだって関係を持たれるのは、

本心なら絶対に嫌なことだ

けれど、しかし

そんな最悪な状態であるのならば、それはもはや諦めるどうこうのレベルの話ではないし

大赦を滅ぼしたところで、どうにかなることでもない

神樹を破壊して世界を終わらせでもしない限りダメなレベルの話だ


天乃「……そうかな」

樹「久遠さんが死んじゃうよりずっと、ずっと平気な話ですッ!」

天乃「……………」

樹が泣きそうになりながら、叫ぶ

また風たちにまで聞こえてるんだろうな。と

天乃は心ここにあらずといった思考を巡らせ、窓を見る

夜の空に星はなく、うっすらと雲が見える

子供を産めば済む話

たったそれだけで、終わる話

天乃「………………っ」

溢れる前に、目元を拭う

どうあがいても。逃げられない

結局は強いられて、子供を産まなければいけない

天乃「………うん。ずっと、平気な話よね」

囚われの少女は無理矢理に、笑ってみせた


1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流無()
・  三ノ輪銀 :交流無()
・  犬吠埼風:交流有(仕方がない事、世界のため)
・  犬吠埼樹:交流有(仕方がない事、世界のため、穢れについて)
・  結城友奈:交流有(仕方がない事、世界のため、企み、本心)
・  東郷美森:交流有(仕方がない事、世界のため)
・  三好夏凜:交流有(仕方がない事、世界のため)
・  三好春信:交流無()
・     九尾:交流無()

・      死神:交流無()
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()
・     男性:交流無()


8月日目終了後の結果

  乃木園子との絆 19(中々良い)
  乃木若葉との絆 22(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 38(中々良い)
  犬吠埼風との絆 58(高い)
  犬吠埼樹との絆 106(かなり高い)
  結城友奈との絆 53(高い)
  東郷三森との絆 53(高い)
  三好夏凜との絆 76(高い)
  三好春信との絆 30(中々良い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 40(中々良い)
      死神との絆 31(中々良い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度85%


では、今回はここまでとなります
明日はまた可能であれば通常の開始時間となります


では、少しだけ進めようかと思います


01~10 樹海化

11~20 
21~30 
31~40 
41~50 
51~60 樹海化

61~70 
71~80 
81~90 
91~00 九尾


↓1のコンマ  


√ 8月3日目 朝(某所) ※火曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、イベント判定

↓2


銀「何から手をつけるべきなんだろうな」

天乃「……話は全部?」

銀「まぁな。精霊はみんな話を聞いてるんだよ。あたし達みたいにそれを伝えることが出来ないだけでさ」

天乃「そっか」

久遠家の問題

九尾の件

天乃の件

そしてずっと続くバーテックスの件

四方八方問題だらけ

躓くのは小石ではなく墓石

そんな危うさのある状況下で

どう動くべきなのか。天乃は迷っていた

銀「正直、九尾は良く分からないんだよな。何を考えてるのかーとか、単純な話だけじゃなくてさ」


天乃「貴女よりも長い私が分かってないのよ?」

正直言ってブラックボックス

あるいは、パンドラの箱

そんな恐ろしさを秘めた九尾を思い、

彼女もまたどこかで聞いているんだろう。と、

下手なことは言わずに首を振る

銀「それで? 樹達じゃなくてあたしを呼んだ理由は?」

天乃「貴女は私の親友だから?」

銀「勇者部だって親友なのに?」

天乃「まぁ、そうなんだけど」



1、春信さんと、子供を作ることについて意見はある?
2、私……ううん。久遠家ってこんな特殊な家柄だったのね
3、どうしたらいいのかな。私
4、精霊界みたいなところってあるの?



↓2


天乃「貴女は……銀は春信さんと子供を作ることについて、意見はある?」

銀「ひとつだけ」

銀はいつもの調子を崩さず、

簡単なことを言うかのように、切り出す

銀「天乃は春信をどう思ってる」

天乃「春信さんを?」

銀「たった一回とはいえ……その。まぁ、なんていうか。須美曰く破廉恥なことをするんだろ?」

天乃「そこでなんで須美を使うのよ」

銀「いいだろ別に。それより、やっぱり。そういうことに関しては互をさ。その……なんだ」

精霊とはいえ、

人間の年齢で言えばまだ小学生

恥じるのも無理はなく、しどろもどろになりながら、銀は言う

銀「なんていうか、好きであるべきだと思うわけだよ」

天乃「……うん」

銀「だから、天乃はどう思ってるのかを聞きたい。あたしの答えはそれを聞いてからだ」


では。此処までとさせて頂きます
あすもできれば同じ時間または通常時間


天乃「嫌いよ」

銀「じゃぁダメだ」

天乃「じゃぁ好きよ」

樹「……そうですか」

天乃・銀「!?」


では、初めて行きます


天乃「私が春信さんをどう思ってるか……」

銀「そうだ。やりたくないことをしなくちゃいけないなら。せめて。それをしたいって思うやつとするべきだ」

天乃「…………………」

銀「この人しかいないからとかじゃなく、この人が好きだからって。天乃は言えるか?」

銀は真剣だ

真面目に、本気で私の気持ちを聞こうとしてる

春信さんを選んだのが、狭い視野の中にある一点だからではなく

広い視野の中の一点であるという答えを……ううん。そうじゃない

銀はそれを望んでいるわけじゃない

春信さんを好きでも嫌いでも銀にとってはどっちでもいい

ただ、私の本心が聞きたいだけ……


1、好きよ。友人としては
2、まぁ……そうね。好きではある。と、思う
3、分からない
4、嫌いではないわ


↓2


天乃「そうね」

本気には、本心で

少なくとも隠し事の通用しそうにない精霊兼親友の銀には

そういう姿勢で行くべきだろう

天乃「好きよ。友人としては」

銀「……友人。なんだな?」

天乃「出会って同棲してベッド断られて、デートして。思えば色々なことをしたけれど」

でも

天乃「彼に恋をするような瞬間は。なかったから」

彼が奥手で、控えめで、慎重だったからかもしれないし、

それは天乃が魅惑の力ゆえに接触を恐れていたからかもしれないし、

その時からもう、心は樹のことを見ていたからかもしれない

私のそれらの思考の詰まった言葉に、銀は息をついて答える

銀「そうか。なら、あたしは春信と……その。破廉恥なことするのには異議あり。だ」


天乃「……でしょうね」

不思議と。

いや、当たり前にその答えに感情は揺れ動かなかった

ならどうしたらいいのかと慌てることも泣すがることもない

どうするかなんていうのはもう、何度も口にしてきた【仕方がないこと】が片付けてくれるから

銀もそれが分かっている

わかっているから、嫌そうな表情で私を見つめてくる

銀「それでも、春信を選ぶのか?」

天乃「それ以外に誰かいるって言うなら、是非。紹介して貰いたいものだわ」

もっとも、

紹介された誰かなんかには春信さん以上に興味なんて沸く気がしないけれど

銀「そんなので、春信は受けてくれるって思ってるか?」

天乃「私が死ぬとか、世界が崩壊すると言えば、嫌でもしてくれると思う」

――そう、嫌でも。だ

天乃「嫌嫌同士でするなんて、なんか……凄く悲しいわね」


銀「嫌嫌同士……か」

天乃「正直に言えば、それはやっぱりそうでしょ?」

銀「それはそうだろ。あたしだってそうだ」

しかし、銀は自分ならはっきりそう言うかも知れない。と、

悲しそうな笑みを浮かべる天乃を見つめ、思う

天乃は考えすぎなんだ

自分のことではなく、他人のことを

だから相手のタメになる答えしか言えないんだ

銀「ほんと。天乃は損な性格だ。はっきり嫌だって言えばいいのに」

天乃「そんなこと言ったら世界が滅ぶか、樹達が大変なことになるもの」

銀「けど」

天乃「私……と。春信さんがちょっぴり我慢すれば終わる話よ。できれば、私だけの我慢で済ませたいけどね」

あの男の人なら問題なく体を貸してくれそうだけれど

残念ながら。と、言うべきか

それは樹が嫌だって、言ってたし……

天乃「春信さんにお願いしなきゃ……こういう時に、魅惑の力が発現して欲しいものね」

無理なことを、呟く

ほんのちょっぴり冗談めかしていたものの、

天乃も銀もくすりとも、笑うことはなかった


√ 8月3日目 昼(某所) ※火曜日


01~10 樹海化

11~20 
21~30 
31~40 
41~50 九尾

51~60 
61~70 
71~80 九尾

81~90 
91~00 樹海化

↓1のコンマ  


九尾「まったく。主様の周りには人間が多すぎる」

天乃「……九尾」

九尾「案ずるな。とって食うつもりなどない」

くすくすと笑う九尾は、

天乃が無反応なのを尻目にため息をついて、首を振る

魂の抜け殻というほどではないが

度重なる問題という収入に、やはり。疲れが見える

天乃「それで? 貴女のことだもの。今度はなにがあったの?」

九尾「妾は別に問題を持ってくるつもりはないのじゃがな……」

天乃「じゃぁ、なに?」

九尾「一つ。大事な用件がある」

天乃「?」

九尾の表情は真剣そのもの

そう簡単に聞ける。あるいは済ませることのできる事柄ではないのはほぼ確実だ

九尾「実は、妾は主様が持つべき精霊二体分の力を横取りしておるのじゃ」

天乃「どういうこと?」

九尾「記憶や嗅覚を失った際に得られる精霊の力を妾は主様に渡さなかった。ということじゃ」

だから、そう。それはつまり

九尾「主様が望むのであれば、主様の新たな精霊を呼び戻す。要らぬのなら、妾の力として、完全に取り込む」

二つに一つだ。と、九尾は告げた


1、呼び出す
2、九尾の力にする(九尾勇者ステータス上昇)
3、考える時間はくれないの?


↓2


では、本日はここまでとなります
明日の再開時に、呼び出す精霊を名前決めのときのような候補安価→多数決で決める予定です

妖怪、精霊、神または、先代勇者
先代勇者の場合は精霊2体分を使用しつつ、コンマでの判定があります


22時より再開予定


天乃「戦力は少しでも多いほうがいい」

九尾「承知した……が、望みはあるかえ?」

天乃「望み?」

九尾「カッコいいのが良いとか、カワイイのが良いとか……そうじゃな。先代の馬鹿どもが良い。とか」

九尾は冗談を言うかのような苦笑とともに、言う

先代の馬鹿ども

ただの馬鹿ではない

ほんの少し力を借りることが出来るからと、命を賭した馬鹿

そう――勇者のことだ

天乃「若葉の仲間?」

九尾「いかにも。主様にも記憶の断片は――と、それは過去の話か」

天乃「……何を言ってるの?」

九尾「いや、気にするでない」

天乃が失った記憶の中で

天乃と九尾に共通しなかった記憶もあるのだ

九尾「して、主様は何を望む。神か、妖か、精霊か、それとも……眠りし罪深き者共か?」


候補↓1~↓5


精霊、妖怪、神、過去勇者から選択


天乃「勇者を呼んで」

九尾「ふむ……」

天乃「何か不満でも?」

九尾「いや、不満はない。が、若葉同様に記憶のない娘やもしれぬ。とな」

九尾は期待のこもった瞳を天乃に向けると、

女性の姿のまま九つの尾を広げ、耳を立て、右手を掲げる

九尾「……主様。特に理由もなく問うが」

天乃「なによ」

九尾「主様の籤運とやらはどの程度じゃ?」

天乃「……失いたくないと望んだら、記憶を失うくらいには強運よ」

冗談にもならないことを天乃は笑って呟く

それはむしろ、嘲笑だ

九尾「一つ言い忘れておった」

天乃「?」

九尾「失敗すると腐った死体が出てくるやもしれぬ。身構えておけ」

天乃「!?」


01~10 友奈
11~20 杏
21~30 千景
31~40 球子
41~50 白鳥
51~60 千景
61~70 杏
71~80 球子
81~90 友奈
91~00 白鳥

↓1のコンマ  


01~10 有
11~20 無
21~30 有
31~40 無
41~50 有
51~60 無
61~70 有
71~80 無
81~90 有
91~00 無

↓1のコンマ  

記憶の有無


九尾「……汝、我が呼び声に答えよ」

たった一言

それだけを言うと九尾の掲げた右手と

その直下にある左手の間を黒い光が瞬く

それはゆっくりと

扉でも開くかのように広がっていき、

部屋全体そして、天乃の視界をも覆って暗闇へと誘う

天乃「九尾?」

音が聞こえない

鼻もきかない

視界も押さえ込まれた

その状況下で、一瞬の内に何か別のものの存在感を感じて、

天乃は思わず身構える

さっき、九尾はなんて言った?

何が現れると――

天乃「まさか、腐った死体!?」

「そんな馬鹿なことがあってタマるかーっ!」

ひとりの少女が姿を現した


黒い靄が晴れた先、姿を現した少女

その名を天乃は知らない

しかし―ー

怒鳴った少女は部屋を見渡し、天乃達の姿を確認すると

困ったように首を傾げる

球子「あっれー? 今日勉強会の予定でも入れてたっけ?」

天乃「えっ?」

九尾「……ほう」

球子「じゃぁ、なんでここにいるんだ? 二人がいるってことは、久遠家だろ?」

――少女は知っている

久遠の名を

九尾の存在を

そして、天乃の事も

天乃「……貴女、一体」

球子「? どうした? 頭でも打ったのか?」

少女は知っていた


では、此処までとさせて頂きます
あすも可能であれば通常時間。遅くて23時となります



天乃「一体どういうことよ……っ」

九尾「いつから、お主が過去に来ていないと錯覚していた」

天乃「!?」


では、初めて行きます


九尾「ふむ、残念ながらこっちはお主の知る娘ではない」

球子「何言ってるんだ?」

九尾「主様。端末を」

天乃「え、ええ……」

九尾に言われるがまま、天乃は端末を差し出す

なぜ、どうして、なんで

思考が回り続けている中、新しく考えることが出来なかったからだ

九尾「見てみよ。お主が知るべき現実がそこにある」

球子「なにが……って、なんだこれ!? 神世紀!? まさかエヴ――」

九尾「それは関係のない話じゃ。現実を話すと、球子。お主は主様の【精霊】としてここに呼ばれたのじゃよ」

球子「精霊……精霊って、あの精霊か?」

隠せない動揺を見せ、息を呑みつつも

土居球子は真実を知るために、呟く

精霊を知らないわけではない。が、しかし

それは戦闘中に、しかも、切り札として呼び出すべきものであり

日常の中で、しかも普通に呼び出すなど今の球子には理解できなかった


球子「ひ、百歩譲って! いや、千歩譲って久遠ならできないとは言わない。でも、なんでタマが精霊なんだ!?」

九尾「それは球子が目にした通り、今はもう、西暦ではないというのが答えじゃ」

球子「っ……なんだ。どういうことだッ! あんず、杏はッ!?」

言葉を理解できていないわけではない

しかし、それでも

その現実を受け入れられるわけではない

神世紀300年。つまり、少なくとも変わってから300年が経過していることは間違いない

それはつまり、自分たちは

そう、

若葉も、友奈も、千景も、ひなた、杏も

誰ひとりとしてここにはいないということになる

九尾「残念じゃが、杏はおらぬ」

球子「ど、どういうことだ……っ、タマは。タマ達は」

九尾「いかにも。すでに死者となっておるということじゃ」

球子「クッ」



1、ねぇ、貴女。若葉の仲間なのよね?
2、ねぇ。貴女。私を知っているの?
3、九尾、あまり虐めるものではないわ
4、杏って誰? そもそも貴女。球子でいいの?
5、沈黙


↓2


天乃「ねぇ、一つ良いかしら」

球子「なんだ。タマは今――」

天乃「貴女、私を知ってるの?」

球子「なっ」

球子は自分の知る久遠天乃

正確には、天乃ではない久遠の少女のいつものジョーク

そう考えた

球子の知るその少女は九尾とグルになって周りをからかうような性格だからだ

千景に大ッ嫌いだと平手打ちされていたのがまだ記憶に新しい

しかし、何処か違う

いや、何処かではなく明らかな違う点がある

冷静になれば、その違いが良く理解った

球子「お前……違うんだな」

天乃「えっ?」

球子「いや。タマはお前を知らない。けど、よく似たやつなら知ってる」


天乃「知っているのね?」

球子「ああ。あいつはタマとある同盟に所属してたんだ。っていっても、タマは無理やり入れられたんだけど」

天乃「同盟?」

球子「その話は別に……」

隠さなければいけないことなのか

球子はバツが悪そうに顔をしかめると、

そんなことよりと。と、話を無理やり切り替えた

球子「ここがタマの知らない時代って言うべきか。居た所じゃないっていうのは理解した」

納得はしたくなかったが

それもやむなしだ

絶対にありえないと思っていたことが目の前にあるのだから納得する他ない

球子「九尾はタマを知ってるんだな?」

九尾「うむ。妾はあの時から変わらぬ九尾じゃ」

球子「で、こっちは?」

九尾「久遠天乃。お主が知らぬ久遠の娘じゃ」


乃木世代の久遠の子の名前はこちらで決めてもよろしいですか?


では、そのままもう少しだけ進めていきます


球子「天乃か……そうか。決めたのは」

九尾「いや、あやつはとうの昔に死んだ。主様の名を決めたのは別だ」

球子「そっか。あいつは死なない。そう思ってたけど、流石に寿命には勝てないよな」

球子は笑う

それは大切なものを思い

懐かしんでいるような、悲しそうな笑みだった

球子「天乃。で、いいか?」

天乃「ええ」

球子「タマは九尾が何度も言うように球子。土居球子だ」

よろしくな

そう言って差し出してきた手は左手

天乃は受け取れず、困った顔で首を振る

天乃「その手は取れないわ。右手なら。取れるけれど」


球子「そうか。なら、よろしくな」

天乃「ええ。よろしく」

球子は特に聞かずに、右手を差し出す

天乃の体は全身に包帯が巻かれているような痛々しいものではない

けれども、ベッドの周囲に見える明らかな介護用のアイテムが

天乃の体の状況を目に見えて知らせてきたからだ

球子「で。なんだっけ? 天乃に似てるタマの知り合いのことだったな」

九尾「……うむ。素敵な同盟の創始者じゃ」

球子「もう脱退してるみたいだけどな……」

そう言いつつ、

球子は天乃の体を観察して、ため息をつく

勝手に作り、勝手に抜けた悪戯姫

それでも、もう文句すら言えないというのは、寂しかった

球子「名前は久遠陽乃。凄く明るくて、優しくて……いや、優しすぎて、怒るとバーテックスよりおっかないやつだった。そして!」

天乃「ゃっ」

球子「こんなものは持ってなかったんだッ! 萎みタマえ!」

天乃「萎まないわよッ!」

球子は天乃の胸に掴みかかり、

偽物ではないかと、揉みしだく

もちろん、偽物ではなく本物で

しばらくして、天乃によって球子は撃退されたのだった


では、此処までとさせて頂きます
明日はできれば昼頃からとなります


判定で当たらなければ
5日目辺りで、一度樹海化予定

14時頃から開始を予定しています


球子「いつつっ」

天乃「まったく、いい加減にして」

球子「ごめんごめん」

楽しかった

でも

その分だけ、寂しさがにじみ出てくる

球子はまだ知らない

自分の知る人間がもう一人いるという希望

しかし、その少女は球子のことを知らないという絶望

そのどちらも知らない

球子「九尾、後で聞きたいことがあるんだ。付き合ってくれ」

九尾「断ることは、できぬか?」

球子「大事なことなんだ」

九尾「了承した。主の望み、聞こう」

天乃「……………」

天乃は2人の会話についていくことはできない

2人の知る世界を、天乃は今、知らないからだ

√ 8月3日目 夕(某所) ※火曜日

死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地との交流が可能です

1、死神
2、銀
3、風
4、樹
5、友奈
6、東郷
7、夏凜
8、晴海
9、大地
0、イベント判定

↓2


ずらして3進行


01~10 
11~20 樹海化

21~30 
31~40 
41~50 
51~60 
61~70 樹海化

71~80 
81~90 
91~00 

↓1のコンマ  


風「呼ん――」

天乃の代理人、死神に呼ばれた風が扉を開けた瞬間、

世界は久しく沈黙していた樹海へと姿を変える

風「っ」

天乃「……早いわね」

前回の壮絶な戦いから、まだ約ひと月程度しか経過していない

にも関わらず、バーテックスは攻めてきた

神樹による結界の効力が弱くなっているのか

それとも、バーテックス側が結界の力に耐えうる

あるいは、無効化するほどの力を持ち始めているのか

それとも……神樹自らが誘っているのか

天乃「そうだとしたら、まるで食虫植物ね」

いずれにせよ、戦いはまた始まった

風「天乃、満開だけはしたらダメだからね。絶対よ」


球子「樹海……っ」

若葉「君は……新しい仲間か」

球子「……土居球子だ。よろしくな」

若葉「ああ、よろしく頼む。乃木若葉だ」

球子は動揺することなく若葉と挨拶をして、ため息をつく

九尾から全て聞いた

ここには若葉もいること

若葉は記憶がないこと

みんながどうなったのかも

この世界が今、どんな状況であるのかも。全て

考えることは多い

やるべきことも多い

だからこそ、球子は悩まず前を向き、敵を睨む

球子「目の前のこと全部やっちゃえば、ゴールにつくはずだからなッ!」


1、九尾の勇者
2、死神の勇者
3、隔絶の勇者(死神、九尾両方の力を使います)


↓2


http://i.imgur.com/Wym0fb3.png


天乃「九尾、死神。二人合わせていくわよ」

死神「イイノ?」

九尾「ダメじゃ。と、言いたいがのう……なにやら不穏なものが来ておる」

端末マップを見てみると、

確かに、

一つ、不詳な存在がふたご座のバッグにいた

九尾「こればかりは、妾もふざけているわけには行くまい。主様」

天乃「なに?」

九尾「以前は四人、次は六人、今は九人。妾とお主の九つが勇者。負けるわけにはいかぬぞ」

九尾はそう言い、死神は頷く

銀、若葉、球子、風、樹、友奈、東郷、夏凜

仲間八人もまた、天乃を見つめて頷く

天乃「そうね。そんなに仲間が居るのよね」

九尾「ゆくぞ。主様」

天乃「ええ。良く分からない奴もいるけれど、まとめてぶっ飛ばしちゃいましょうか」

そう言って、少女は不可能とも思われた二つの力を同時に纏う

絶対的な力。それゆえに犠牲になるものも知らずに

http://i.imgur.com/wYbd5O8.png
天乃ステータス

【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ8】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ8】 - SSまとめ速報
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