宗介「羊羹をつくるぞ」 (10)

フルメタルパニック短編風ssです。
お気軽にお読みください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1452081694

その日、生徒会副会長である千鳥かなめは私用を終えてからいつも通り生徒会室へと向かった。

千鳥「うぃーす」

そう言いながら、室内へと入るが珍しく誰もいない。

ま、こんな日もあるわよね。

そう思い、適当なパイプ椅子に腰を掛けた時に思い出したのだ。

ソースケがいない。

今日は確か先に生徒会室に行っているとか言っていたはずだ。そのソースケがいない。

これはゆゆしき事態であった。

まずい、ソースケを探さなきゃ。

ソースケを一人で学校に放っておいていいことなど数えるほどしかないのだ。

そんな時、生徒会室の扉がガラッと開く。

千鳥はすぐさま振り向く。

林水「千鳥君か」

だが、機体の人物ではなかった。

千鳥「あ、どうも。って、そんな場合じゃなくて、林水センパイ、ソースケ知りません」

林水「ああ、相良君か。彼なら家庭科室に行ったよ」

千鳥(家庭科室?)

千鳥の脳内に様々な可能性が浮かび上がってくる。包丁などの調理器具を使った数々のトラップ。

林水「ああ。何か荷物をかかえていたよ。あと、圧力鍋を取り出していたな」

千鳥「荷物に圧力鍋……会長。ありがとうございます」

礼を言ってからすぐさま部屋を飛び出した。

千鳥(圧力鍋とか何を考えてるのよあの馬鹿!)

もう大体あの馬鹿が何を考えてるかは見当がついた。大ごとにならないうちに早く止めなきゃ!

廊下を全速力で走り家庭科室の前までたどり着く。中からは何やら甘い匂いがしているが、そんなことを気にしている場合ではなかった。

教室の扉には張り紙がしてあり『只今使用中につき、立ち入りを禁じる』といった文言が書かれていた。だが、千鳥はそれを全力で破り、バンッとドアを開ける。

千鳥「ソースケ! あんた何やってるの」


そういって、室内を見渡すと窓際のテーブルにソースケがいた。制服の上にエプロン、髪にはバンダナを巻き付けて鍋を煮込む宗介が。

相良「千鳥か、なんだ」

宗介が何事もないようにいつも通りの淡々とした口調で返答した。警戒をして、周囲を見渡すが特に危ないことをしているようには見えない。

千鳥「あんた、何やってるの?」

相良「みてわからんか? 羊羹を作っているのだ」

確かに、鍋の中を見てみるとぐつぐつと煮えるあんこの姿があった。脇には寒天やあんこの入っていただろう袋がある。

千鳥「へぇ~、あんたって料理の趣味でもあったっけ?」

相良「いや、趣味などではない。だが、つい先日甘いものの重要性を知ってな」

千鳥「甘いものの重要性?」

相良「ああ、先日てれびをみてな。そこでやっていたのが第二次世界大戦で活躍していた給糧艦『間宮』だったのだが、間宮の運んでくる羊羹が前線で人気だったらしい。そこで俺も作ってみることにしたのだ。士気の向上にも役立つそのうえ、栄養価を上げれば戦闘食料にもなるだろう」

宗介は自信満々にそういっているのだが。

千鳥「戦闘食料ねぇ……」

かなめはその4文字に不安を感じずにはいられなかった。

宗介「そうだ。ビタミン剤や筋力剤。さらに当分はもとより塩分もとれるようにした。この一本ですべての食事が片付く」

そう言いながら宗助は怪しげな箱を取り出したのだ。

相良「最後の仕上げだ。これをとかせば完璧になる」

宗介がおもむろに箱から銀色のパックを取り出し、封を破って怪しげな粉類を鍋に投入しようとしたところで……。

千鳥「止めんか!」

志鳥の取り出したハリセンによって宗介は向かいの机に激突し、入れようとしていた粉を頭からかぶることになった。

相良「また、見えなかった。千鳥、一体どこからハリセンを出しているのだ」

千鳥「そんなことはどうでもいいのよ。大体、美味しいものだったから人気なんでしょ! そんなに、いろいろなものを入れたら意味がないでしょうが!」

相良「ダメか?」

千鳥「ダメよ。大体、甘いものなのにそんなに塩を入れようとしてたの?」

相良「? 羊羹はそんなに甘いものなのか?」

千鳥「ソースケ、あんた甘いもの食べたことないの?」

宗介はすぐさま返答をした。

相良「肯定だ」

それは意外だった。てっきり羊羹ぐらい食べていたものだと思っていた。

千鳥「しょうがないわね。ちょっとそこの鍋貸しなさい。これならまだちゃんんと作れそうだから」

そういって、千鳥は鍋を覗き込むと腕まくりをして、その辺にあったエプロンを身に着けた。

そして、小一時間ほどたったところで宗介の前には深く艶やかな小豆色のものが出された。

相良「これが羊羹か」

千鳥「そうよ、食べてみなさい」

相良「ああ」

宗介は爪楊枝で羊羹を刺すとそれをひょいっと口の中に入れた。

千鳥「ねえ、どう」

宗介は二、三度噛んだ後に簡潔にこういった。

宗介「旨い」

千鳥「そう、よかった」

宗介「千鳥、うれしそうだな」

千鳥「そう?」

相良「ああ、うれしそうだ」

その時の千鳥の顔は本当にうれしそうであった。

とりあえず、書き貯めが終わったので今日はここまでです。
まだ少し続きます。

期待


ここからどこにいくのか

まだか

続くの?

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom