智絵里「プ、プロデューサーさん、女装がバレないように気をつけてくださいっ」 (37)

ちひろ「プロデューサーさん、いつまで女装してるんですか?」
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ちひろ「プロデューサーさん、女装がバレないようにしっかりしてくださいね?」
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――事務所

P「もうそろそろで年末かぁ……」

ちひろ「そうですねぇ、今年も1年何事も無く終わりそうでよかったですよ」

P「後は年末のロケが終われば休める……」

智絵里「な、何事も無くないです……Pさん、最近迂闊すぎです……!」

ちひろ「そういえばそうですねぇ、紗枝ちゃんにはプロデューサーさんが男だってことバレそうになったみたいですし」

P「あぁ……それは気をつけないとダメだなぁ……とはいえ、しばらく音沙汰もないから大丈夫だと思うけど」

智絵里「さっ、紗枝ちゃんは今でもこっそり……Pさんの……ふ、服の匂いをクンクンか、嗅いでたりしてるんですっ!」

智絵里「きっとまだPさんが男の人だって、う、疑ってるかもしれません……」

ちひろ「前半だけ聞くと紗枝ちゃんが変態にしか聞こえませんね」

P「よしてくださいよ、紗枝は普通の女の子ですよ、多分……」ヌリヌリ

ちひろ「……おやプロデューサーさん、爪なんて弄って珍しいですね」

P「この間美嘉に話し振られちゃってねー、透明マニキュアしかつけてなかったんですけど、たまにはカラー塗ってもいいかなって……ただ思ったより難しくて」

ちひろ「透明のと違って色が付いちゃいますし、上手く塗るのは最初難しいですよね」

P「ふぅん……美嘉に綺麗な塗り方でも教えてもらおうかな」

ちひろ「いいんじゃないですか? 女子トークしてきちゃってくださいよ」

P「暇があったらですかね」ヌリヌリ

ちひろ「あ、そうそう、今週末の撮影とロケ、外泊するじゃないですか。ホテルの予約とっておきましたから後で確認してくださいね」

P「分かりました。っていうかこの時期にホテル取れたんですね」

ちひろ「年末だからどこも予約で一杯でしたよー……とりあえず空いてるところがあったんでそこ取っちゃいました」

智絵里「わ、私と美嘉ちゃんは、冬服コーデの撮影と……紗枝ちゃんは、お正月の着物特集の撮影でしたよね」

P「そうそう、スタジオ一緒だから3人纏めてやっちゃうけどね。あとは次の日に現地でロケだから」

ちひろ「気をつけて行ってきてくださいね? まあ事故でも起きない限り大丈夫だとは思いますけど……」

智絵里(紗枝ちゃんと一緒ならまた何か仕掛けてくるはず……わ、私がPさんをフォローしなきゃ……!)グッ!


……
…………

――週末、仙台、某撮影スタジオ


スタッフ1「はい……もうちょっと腕引いて……はい……」パシャッ!パシャッ!

智絵里(えっと、腕を引いて……)クイッ

スタッフ1「美嘉ちゃん、もうちょっとだけテンションアゲアゲな感じでもいいかな?」パシャッ!

美嘉「はーい★」キュッ!

P(この調子なら夜には終わるかな……あとは紗枝のほうだけど……)

P「すみません、ちょっと隣の様子見てきますから、少しの間お願いします」

スタッフ2「はい、任せてください」


……
…………

スタッフ3「はい、オッケーでーす!」

紗枝「ありがとう、ございました」ペコリ

P「ん、紗枝のほうの撮影終わったのね……」

紗枝「あ、Pはん……たった今、終わったんやよ?」

P「ごめんなさいね、ちゃんと見てあげられなくて……」

紗枝「大丈夫どす。うちの撮影は、お着物を着替えるのに時間が掛かるさかい、撮るんはすぐやよ」

紗枝「それに、着替えもPはんに手伝ってもろたしなぁ」

P「まあ着替えくらいはね。スタッフさんに全部お願いするわけにもいかないしね」

紗枝「うちはPはんがお着物の着付けを知ってはるのに驚いたんやよ?」

P「職業柄、出来る人がいないときは自分でやるしかないもの、それくらい覚えてるわよ」

紗枝「ふふっ、Pはん、うちにお着物着せてくれはるとき、お母ちゃんみたいやなって思ったんどす……あっ、失礼どすか?」

P「別に……ま、終わったらお疲れ様。まだ智絵里たちの撮影残ってるから、裏戻っててね。すみませんけど、紗枝のことお願いします」

スタッフ3「了解です。プロデューサーさんもお忙しいですね」

P「ふふっ、まだ仕事が終わってない子もいますからね」タタタッ……

紗枝「……」

……
…………

――控え室

パタンッ……

紗枝「……」キョロキョロ

ササササッ!

紗枝(はんがーに掛かっとるPはんのこーと……)ササッ

バサッ!

パサッ……

紗枝「……」スン……スン……

紗枝(あかんなぁ……うち、こないなことやっとるの、おかしいのに……せやけど……)

紗枝「……」スンスンスン……

紗枝(うちおかしくなったんやろかぁ……Pはんの匂い嗅ぐのが癖になってまうの……)

紗枝「Pはん……」スン、スン、スン……

――撮影スタジオ

スタッフ1「はいオッケーでーす!」

美嘉「ふー……終わった終わった」

智絵里「たくさん撮ってもらいました……」

P「2人ともお疲れ様」

美嘉「えへへ、バッチリキメたっしょ★」

P「バッチリバッチリ、カリスマギャルらしかったよ」

智絵里「Pさん、わ、私はどうでしたか……?」

P「智絵里も撮り直しが減ってきてたからよかったよ。頑張ったわね」

智絵里「え、えへへ……はぁ、たくさん撮ってもらって疲れちゃった……」ハァ……

美嘉「紗枝ちゃんのほうはどうなの?」

P「紗枝は先に終わっちゃったよ。控え室に先に戻ってるけど――」

智絵里(先に……!)ピクッ!

智絵里「こ、このままだと紗枝ちゃんに……」

ポワポワポワ……



紗枝『くんくん……やっぱりPはんのこーとからお父ちゃんみたいな臭いがするわぁ……』

紗枝『もしかしたらPはん……男の人なんやろか?』

紗枝『せやけど、そないならPはん……変態やさかい……通報せなあきまへんなぁ……』


ポワポワポワ……

智絵里(わ、私のせいでPさんが犯罪者に……!)

美嘉「それならアタシたちも早く戻ろっか」

P「私スタッフさんたちに挨拶しておくから、美嘉たちは先に控え室に戻っておいて――」

智絵里「……!」ダッ!

P「あっ、智絵里!? 走ってどこ行くの!」

美嘉「なんだ、全然元気じゃん……」


……
…………

――控え室

ガチャッ!

智絵里「紗枝ちゃん!」


紗枝「……智絵里はん? どないしたんや? そないな息切らせて……」

智絵里「う、ううん、何でもないよ……わ、私たちも撮影終わったから……」チラッ

紗枝「お疲れやったなぁ、うちもええ写真撮ってもらったけど、大変やったさかい」

智絵里(Pさんのコートのポケットにこっそりねじ込んでおいた私のコートの袖が出てる……やっぱり紗枝ちゃん……)ゴクリ……

紗枝「……どないしはったん? なんや智絵里はんの顔、おっかないどすえ?」

智絵里「あ、な、何でもないよ……! ちょっと疲れちゃったから……」

紗枝「ほなら、無理しないではよみんなでほてるに戻りまひょ。美嘉はんも戻ったら着替えて、Pはん呼ばなあきまへんね」

智絵里「う、うん……」

智絵里(こ、ここにいる間は気が抜けないかも……!)


……
…………

――夜、ホテル前

運転手「ここのホテルですね」

美嘉「おー、結構よさそうなホテルじゃん★」

智絵里「タクシーですぐの場所にありましたね……」

紗枝「びじねすほてるやと思っとったけど、なんや綺麗なほてるどすなぁ」

P「ちひろさんわざわざ高いところ予約したのかしら……? あ、すみません領収書頂けます?」

運転手「はいはい」

美嘉「どんな部屋かな? 楽しみだね★」

智絵里「う、うんっ」

……
…………

――ホテル、ちひろが借りた部屋

美嘉「うわっ、内装が和室じゃん! ここ結構高いトコなんじゃない?」タタタッ

紗枝「ええとこどすなぁ……年末やしちひろはんも奮発してくれたんやろか?」

智絵里「……」

P「えー……4人部屋って……」

美嘉「Pさんご飯食べたあとで温泉行こうよ! せっかくだし楽しんじゃおうよ★」

P「いや……私はいいかな……内風呂あるし……」

紗枝「なんやPはん、勿体無いどすなぁ」

智絵里「P、Pさん、きっと疲れてるんだよ……」

P「まあ、ね……ほら、ご飯すぐ来るみたいだから荷物置いて、先に化粧落としちゃいなさい」

美嘉「そだね。ご飯何出るのかなー」

P(これメイク落とせないなぁ……どうしよ)

……
…………

――数十分後

美嘉「うらー! Pさんアタシはカリスマギャルなのぉー! 小さい女の子にふひひなんて言わないのぉ!!」ヒックッ!

P「ちょっと、なんで料理に甘酒なんて出てきてるの!!」

智絵里「な、なんでも晩御飯が年末年始用のメニューに変わっちゃってるみたいです……」

紗枝「美嘉はん楽しそうどすなぁ」

美嘉「莉嘉がねえ! アタシのパンツを勝手に持ち出してねぇ!!」

P「はいはい分かった分かった……カリスマギャルが甘酒で残念なことになるってなんなの……」

紗枝「でも美嘉はん、こんままじゃ温泉入れないやろ? どないしよ……」

智絵里「こ、こうなったら……ち、チョップです!」ヒュカッ!

美嘉「うっ……」ドサッ……

P「気絶したか……はぁ、疲れた」

智絵里「ほっ……よかった……」

紗枝「智絵里はん容赦あらへんなぁ」

P「2人とも温泉行ってきなさい……私ラウンジにパソコン持ってって仕事してくるから」ハァ……

紗枝「いまからお仕事どすか?」

P「ちょっと貰った資料見ておかなきゃならなくてね……2人は遅くならないうちに寝ちゃいなさい」

智絵里「そうですか……分かりました」

智絵里(ラウンジにいってるなら大丈夫かな……?)

……
…………

――数時間後、ラウンジ

P(はぁ、智絵里たち寝たかなぁ……せめて紗枝が寝てから部屋に戻らないと)カタカタカタッ

P(4人部屋でベッドが2つにあとは布団だったような……ベッドが1つ空いてればいいんだけど)カチッ、カチッ

P(朝も美嘉たちより早く起きないと不味いよなぁ……)

P「くそっ……ちひろさんめ、恨むぞ……」ボソッ


……
…………

――ちひろが借りた部屋

智絵里「……」

紗枝「……智絵里はん、もうそろそろお休みしたほうがええと思うよ?」

智絵里「わ、私はまだ眠くないから……紗枝ちゃんは……?」

紗枝「うちも、もう少し起きていようかと思ってなぁ」

美嘉「……」ウーン、ウーン……

智絵里「そうなんだ……」

智絵里(嘘だ……ここで私が先に寝たら、きっと紗枝ちゃんはPさんが男の人だっていう証拠を探すに違いない……)

紗枝(智絵里はんが寝てくれないと、Pはんのすーつの匂いも嗅げないんやけどなぁ……)

智絵里(それだけは……絶対に止めないと……!)キッ!

――10分後

智絵里「……」スヤァ……

紗枝「ふふっ……智絵里はん、やっぱり疲れてたんやろなぁ……こないなぐっすりで」ナデナデ

紗枝「智絵里はんはお布団で寝とるし、うちはべっどで寝たほうがよさそうやなぁ」スッ

紗枝(その前に……)ササササッ

バサッ!

紗枝(Pはんが置いていかはれた上着……)スッ

ポフッ!

紗枝「……」スンスンスン

紗枝「……」スンスンスンスン……

紗枝(やっぱりええなあ……Pはん、今日の撮影のとき、お母ちゃんみたいに着付けもしてくれはったし、お父ちゃんみたいな匂いで……)スンスンスン

紗枝(お母ちゃん、お父ちゃん……)スン……スン……

ガチャッ!

紗枝「!?」ビクッ!

P「あら……紗枝? 何してるの?」

紗枝「P、Pはん!? こ、これは、そ、その……」

P「……ま、早く寝なさい? 明日朝早いんだからね。私ももう寝るから」

紗枝「……は、はあ……あの、Pはん……?」

紗枝(う、うちが上着持っとったの、気にしてないんやろか……?)

P「ん? あ、そうだ……私これから化粧落とすんだけど、電気消してくれる? ちょっと素っぴん見られるの恥ずかしくて……」

紗枝「明かりどすか……?」

P「そうそう、それで紗枝もそのまま寝てくれると嬉しいんだけどなー」

紗枝「……そないなら、明かり消します。うちもべっどで寝はりますから」

P「お願いね」

紗枝「ほな、Pはんお先に失礼します……」パチッ


……
…………

――深夜

P「ほら智絵里ー、布団お邪魔するからねー」モゾモゾ

智絵里「……」スー、スー……

P(布団もはだけて、仕方無い子だね……)バサッ……

P(さてと、朝早くには起きておかないと……)

ギシッ……

P「ん?」ピクッ

紗枝「Pはん……起きてはります?」コソッ

P「どうしたの紗枝、眠れないの?」

紗枝「そうみたいなんどす……それで、Pはん、一緒に寝てもらってもええどすか?」

P(一緒て……)

P「もう、子どもじゃないんだから……」

紗枝「……」シュン……

P「……はぁ。ほら、こっち来なさい」

紗枝「ほんまにええどすか?」パッ!

P「3人で布団に入るのはちょっと狭いけど……ほら、詰めれば入れるから」

紗枝「おおきに♪」モゾモゾ

P「はぁ……顔見ないで頂戴ね」

P(一応寝る前にも香水付けちゃったけど、匂い大丈夫かな……)

紗枝「はぁい。ふふ♪」


……
…………

美嘉「……うう、莉嘉ぁ……それだけは許して……」ウーン、ウーン……

智絵里「……」スヤスヤ

P「……」

紗枝「……Pはん」ボソッ

P「……何?」

紗枝「うちな、前にPはんの匂い嗅いだことがあるんやよ? その……幻滅せんでくれるとええけど……」

P「……それで?」

紗枝「Pはんの匂い、なんやお父ちゃんの匂いみたいやなって思って……」

紗枝「それに今日、撮影のときにPはんが着付けしてくだはったとき、お母ちゃんみたいやなって思ってな……」

紗枝「女子寮におると、ずっとお母ちゃんとお父ちゃんと離れとるから……なんか懐かしゅうなって、せやからさっきもPはんの上着……」

P「……そう」

P(ホームシックか……まあ、そうなる子もいるよなぁ)

紗枝「こうしてPはんの傍で寝とると、お父ちゃんの匂いもして、お母ちゃんに寝かしつけてもらっとるようでなぁ……」

P「……せめて、お母さん役は智絵里にして頂戴」

紗枝「智絵里はん、Pはんの後ろで寝てはるさかい、顔も見えへんよ」クスクス

P「……ほら、早く寝なさい。明日も早いんだから」

紗枝「はぁい」

紗枝「……」スー……スー……

P(……お父さん、お母さん、ね。とりあえず紗枝が臭いを嗅ぐのが好きな変態じゃなかったことを喜んでおこう)


……
…………

――早朝

智絵里「……Pさん……ダメですっ、私、アイドルで……はっ!」ガバッ!


チュンチュン……


智絵里「た、大変……! わ、私、Pさんが戻ってくる前に寝ちゃって……Pさんは……!」バッ!

P「……」スー……

智絵里「よかった……Pさん、ちゃんと私の隣で寝て……」ハッ!

紗枝「……んー……Pはん……」ギュウウウウウ……

智絵里「」ピシッ……!

P「……」スー……

紗枝「Pはん……ええ匂いどすなぁ……」スヤスヤ

智絵里(……紗枝ちゃんがPさんに腕の中で眠って……まさか、Pさん……)スッ……

智絵里「……チョップ」ビュッ!

P「うぐっ!?」ドスッ!!

P「はっ……あ、智絵里……起きてたの……おはよう」

智絵里「……おはようじゃないです。Pさん、紗枝ちゃんが……」

P「ん、紗枝? あ、そうそう、紗枝と美嘉が起きないうちに化粧しておかないと……」

P「智絵里、起こしてくれてありがとね」バサッ

智絵里「……」

智絵里(Pさん……この危機感の無さ……やっぱり私がしっかりしないと、いつかPさんが男の人だってみんなにバレちゃう……!)

智絵里「わ、私がしっかりしないと……私が、しっかり……!」グッ!

紗枝「Pはん……」スヤスヤ


……
…………

――午後、某温泉

スタッフ「はいカメラ回しまーす! 3、2、1……」


美嘉「うわー! この足湯ホント気持ちイイ★」パシャッ!パシャッ!

智絵里「う、うんっ、冬でも、足がぽかぽかで寒くなくて……」パシャッ

紗枝「せやなぁ、これなら裸にならんでも暖かくなって、気持ちええなぁ……」



P(とりえず温泉のロケは問題なさそうかな……ん?)ピクッ

P(いまチラッと見えた子……昨日のスタジオの別枠で撮影してた子に似てるな……ちょっと声掛けてみようか……)タタタッ


……
…………

美嘉「あれ? Pさんどっか行っちゃった……?」キョロキョロ

智絵里「さ、さっき外に向かって走って行ったみたい……」

紗枝「どないしたんやろか……?」ピクッ!

紗枝(はて、そういえば昨日……)


P『……せめて、お母さん役は智絵里にして頂戴』


紗枝(Pはんがお母ちゃんみたいなのに、なして智絵里はんがお母ちゃん役なんやろ……? うちがお父ちゃんみたいって言いはったからやろか?)

紗枝「まあ、せやけど……」パシャッ、パシャッ

智絵里「……ど、どうしたの紗枝ちゃん?」

紗枝「ん、何でもあらへんよ?」

紗枝(はあ……Pはんの匂い、また嗅ぎたいなぁ……)


しぶりんは肉食系クンカー、紗枝はんは潜在的な草食系クンカー、クンカーにするならそんなイメージ
+αで出そうと思っていたアイドルがいたんですが脱線しそうだったんでやめました。

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