【咲-saki-】新子憧「しずと一緒に山登り」【安価】 (140)

7月某日 阿知賀


憧「ふーん。今週の表紙は三尋木プロかー」ボリボリ

憧「あ、この新作のお菓子おいしい」

穏乃「……」じー

憧「なによしず。あんたもこのお菓子食べたいの?」

穏乃「憧さあ……」

憧「ん?」

穏乃「最近、少し太った?」

憧「い"!!」

宥「そういば最近、憧ちゃんお菓子食べすぎてるよね」

灼「今もスナック頬張りながら雑誌読んでるし……」

玄「このままじゃインハイ決勝戦前日あたりには、おもちと太ももがムッチリしてそう」

憧「なによその具体的な日付は……」

憧(でも、確かに最近お腹のお肉が気になってきたかも……)


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1451610051

憧「はー……。ダイエットでもしようかな」

穏乃「それなら、一緒に山に登ろう!山!」

憧「山かぁ……」

憧(確かに結構体力使うから痩せそうだし、最近山ガールとか流行ってるからいいかも)

憧「よし!その提案、乗るわ!」

穏乃「やったー!念願の憧と一緒に山登りだ!」

憧「今度の日曜日でいい?」

穏乃「うん。私はいつでもオッケー!」

憧「さーて、登山用道具を買いに行かないとね」

穏乃「???ジャージの上だけでいいんじゃないの?」

灼「さすがにそれは……」

玄「そこ!こっそりストーブ点けない!」

宥「寒いよぉ……」

日曜日


憧「ふーっ。やっぱ山はいいな」

憧「いい運動になるし、気分も晴れるわー」

穏乃「でしょ?また一緒に来ようよ!」

憧「それもいいね」

憧「ところで、天気は大丈夫なの?」

穏乃「大丈夫だよ。この風向きなら雨は降らないから」

憧「しずが言うなら大丈夫ね」

……





憧「……と思ってたのに」



ザアアアァァァ



憧「豪雨じゃないの!」

穏乃「ご、ごめん……ほら、山の天気は変わりやすいって言うし……」

憧「もう!とにかく雨宿りできそうな場所を探さないと!」

穏乃「うん!」

穏乃「あ、憧!あそこに家があるよ!」

憧「大きな屋敷……。とりあえず中に入って家の人に事情を説明して、雨宿りさせてもらおう」

玄関


憧「はぁ……もうビショビショ」

穏乃「暖炉に火が点いてるから、誰かいるハズだよ」

穏乃「すいませーん!誰かいませんかー!」



「はーい」



穏乃「あ、家の人がいるみたいだよ」



カチャ



ガチャ



メイド「はい。お客様ですか?」

憧「わっ。メイドさん」

メイド「どういったご用件でしょうか?」

穏乃「あの、実は私たち登山に来たけど、急な雨に降られて……雨が止むまで雨宿りさせてもらえませんか?」

メイド「あらあら、可哀想に。いいですよ。雨が止むまで好きなだけいてください」

憧「……?」

憧「この家のご主人に聞かなくてもいいんですか?」

メイド「大丈夫ですよ。今、ご主人様は長期出張に出ていて、この家には私1人しかいないんです」

穏乃「へー。そうなんですか」

メイド「あ、そうだ。外は寒かったでしょう?紅茶を淹れてきますね」

憧「そ、そんな……」

穏乃「雨宿りさせてもらっているのに、そこまでしてもらうわけには……」

メイド「いいんですよ。どんな形であれお客様はお客様ですから、それをもてなすのはメイドの仕事です」

メイド「暖炉に火はついているので、服を乾かしながら待っていてください」パタパタ



バタン



カチャ



穏乃「行っちゃった……」

憧「いい人だね」

憧「けど……少し気になる」

穏乃「なにが?」

憧「さっきこの屋敷はあのメイドさん1人しかいないって言ってたけど……この広さの屋敷を1人で管理するなんておかしいよ」

穏乃「んー。熟練のメイドさんならその気になればできるんじゃない?」

憧「できるだろうけど、普通は何人か人を雇うでしょ?」

憧「1人しかいない理由は、ここのご主人があのメイドと2人きりになりたかったか、もしくは……」

穏乃「もしくは?」

憧「もしくはーーーーーー」



カチャ



ガチャ



メイド「はいどうぞ。紅茶がはいりました」

穏乃「うわぁ!びっくりしたー……」

メイド「驚かせてすいません。さ、どうぞ」

穏乃「(ズズッ)んん!この紅茶すごく美味しい!」

憧「ほんと?どれどれ……」ズズッ

憧「んん!!」

穏乃「憧!?」

憧「うっぷ……おえっ……」ゲホゲホ

憧(なにこれ……ドブみたいな味がする……。なんでしずは普通に飲めるのよ!)

穏乃「ど、どうしたの憧!?」

メイド「す、すいません……お口に合わなかったでしょうか……?」

憧「……器官に入ってむせただけですよ」

憧「ただ、せっかく淹れてもらって申し訳ないんですけど、紅茶は苦手で……」

メイド「す、すいません。今おさげしますね」アタフタ



バタン



カチャ



憧「……」

穏乃「ほんとどうしたんだよ憧」

憧「しずはあの紅茶飲んだ時、なにか違和感がなかった?」

穏乃「別に何もなかったよ。普通に美味しかったけど……」

憧(なら、私のカップにだけなにか変なものが混じっちゃったとかそんなのかな)

憧(けど、あれはなにか混じったとかそんなレベルじゃない。紅茶自体が汚染されたような感じだった)

憧(1人で屋敷を管理しているメイド、そしてそのメイドが淹れた変な紅茶……)

憧(私の本能が、ここは危険だと告げてる)

穏乃「憧……?」

憧「しず、一刻も早くここを出るわよ」

穏乃「ええ!?どうして!?」

憧「なにかおかしい気がする……この屋敷は」

穏乃「でも外はまだ雨だよ?」

憧「この際仕方ないわ。我慢する。帰り道はわかるよね?」

穏乃「わかるけど……」

憧「なら早く行くよ!」

穏乃「ま、待ってよ憧!」

憧「はやくここから出な……きゃ……」

憧「え……?」

穏乃「どうしたの憧……えええぇぇぇ!?」

穏乃「げ、玄関の扉に取っ手がない!?これじゃ扉を開けられない!」

憧「ま、窓は!?」

穏乃「窓は……だめだ。窓に鉄格子があるから出られない」

憧「そんな……これじゃあまるで」

憧「この家に入った人間を、逃さないようにしてるみたいじゃない!」

穏乃「憧の言う通り、この屋敷はおかしいよ……!」

憧「嫌な予感的中ね……もう遅いみたいだけど」

穏乃「ど、どうしよう……」

憧「……大丈夫よ」

憧「これじゃあこの屋敷に住む人も外に出られなくなる」

憧「つまり、屋敷の住人が外へ出るためのなんらかの方法があるはずだから」

穏乃「そうか!さっすが憧!」

穏乃「それで、アテはあるの?」

憧「そうね……。手がかりがあるとすれば、メイドの部屋かこの屋敷の主人の部屋ね」

憧「秘密の出入り口の鍵とか、屋敷の地図とか……もしくは、この扉につける取っ手とか、そんな感じのものがあるかもしれない」

穏乃「なるほどなるほど」

穏乃「それじゃあ、屋敷を探索しようか」

憧「できればあのメイドに見つからないようにしましょう」

憧「もし見つかってこの屋敷から出ようとしてる事がバレたら、ややこしい事になりそうだしね」

穏乃「わかった。よーし、行くぞー!」

……





穏乃「……と、息巻いたけど」

憧「まずこの玄関のロビーから出る事が出来ないなんてね……」

穏乃「この部屋の扉、全部鍵がかかってる……」

憧「中からは開けられない仕組みだなんて」

穏乃「もし家の人が誤って閉じ込められたらどうするのさ」

憧「鍵付きの扉である以上、閉じ込められるなんて状況は外から鍵をかけられない限りあり得ないから」

穏乃「でもそれってさ、その気になればあの怪しいメイドさんに襲われそうになった誰かが、メイドさんを閉じ込めれるって事じゃないの?」

憧「それもそうか……。なら、もしもの時のためにどこかに鍵が隠されてるかもしれない」

穏乃「じゃあ、それを探せば……!」

憧「少なくともこの玄関ホールからは出られるわ!凄いじゃないしず!」

穏乃「えへへ///」

憧「それじゃあ、手分けして探しましょう。私は調度品を調べるから、しずは壁際の置物を調べて」

穏乃「うん、わかった!」

……






憧「うーん。なかなか見つからないなー」

穏乃「あこー!」

憧「んー?鍵が見つかったの?」

穏乃「鍵はみつからないけど……これ見て」

憧「これは……壁の下の方のレンガに文字が書いてある」

穏乃「それと、一番上に太陽のマーク」

穏乃「この文字の書いてあるレンガは押せるみたいなんだけど、どれだけ押してもなにも起きなくて」

憧「順番通りに押さないといけないみたいね」

穏乃「レンガに書いてある文字はアルファベットで、「V」「S」「N」「U」「E」「J」、そして「M」が2つ」

憧「どういう順番に押せばいいの……?」



どんな順番で押す?

正解のレスがでればストーリーが進みます

憧「太陽……このアルファベット……」

穏乃「憧、何か閃いたの?」

憧「多分これ、太陽系の惑星の頭文字になってる」

穏乃「あの水金地火木土天冥海の?」

憧「海王星と冥王星はとっくに逆転したし、冥王星は惑星から除外されてるから!」

憧「だから、Mercury、Venus、Earth、Mars、Jupgter、Saturn、Uranus、Neptune……M、V、E、M、J、S、U、Nの順番ね」



ゴゴゴ



憧「!?」

穏乃「!?」

憧「レンガ部分が動いて、入り口になってる……」

穏乃「これは、通路だ!」

憧「これでこの部屋かられる!」

穏乃「よーし、早速……」

憧「……?しず、どうしたの?」

穏乃「足音が聞こえる……さっきのメイドさんがこの部屋に来る!」

憧「そんな……とにかく、どこかに隠れないと!」



1.通路に入る
2.机の下に隠れる
3.物置の裏に隠れる

安価下

憧「とにかく、通路に入ってさっさと脱出するよ!」ガサゴソ

穏乃「わかった!」ガサゴソ



カチャ



ガチャ



メイド「お客様、お待たせしましーーーーーー」

メイド「……いなくなってる」

メイド「隠し通路が開いてますねー。なら、その中にいるはず……」

穏乃「やば……ばれ……」



メイド「みーつけた」



穏乃「お、おってくる!憧、早く先に進んで逃げわないと!」

憧「……」

穏乃「憧!?どうして止まってるんだよ!」

憧「……つ、通路が狭くて身体がつっかえた」

穏乃「だから食べ過ぎだってぇぇぇぇぇぇ!!」

メイド「捕まえましたよ」ガシッ

穏乃「ひっ……」






BAD END

コンテニュー


穏乃「早く通路に入って逃げ出さないと……」

憧「待ってしず!」

穏乃「どうしたんだよ憧!早く逃げないと」

憧「この通路が開いてることは一目瞭然だから、ここを潜ってもすぐに追いかけてくる」

憧「だから、ここはいっそ他のとこに隠れて、すでに通路を通って脱出したように見せかけた方がいいと思う」

穏乃「そ、そうか!」

憧「とにかく物置の裏か机の下か……どこでもいいから隠れよう!」

穏乃「わかった!」ゴソゴソ



カチャ



ガチャ



メイド「お客様、お待たせしましーーーーーー」

メイド「……いなくなってる」

メイド「隠し通路が開いてますねー。なら、その中にいるはず……」

憧(隠し通路の中を覗いてる……!)

メイド「……いない。もうだいぶ進んだみたいですね」

メイド「ここからじゃ追えない……早く、あの子を捕まえないと」



バタン



穏乃「た、助かった……」

憧「あの通路に入ってたら見つかってたわ……」

穏乃「それじゃあ、気を取り直してこの部屋から出よう!」



1.隠し通路を通って出る
2.他の場所を探す

安価下


憧「それじゃあ、通路から出ようか」

穏乃「わかった」


……





憧「あー狭い通路だった」

穏乃「だからもっと痩せないと」

憧「わかってるって。ここから出たら、本格的にダイエット……を……」






メイド「お待ちしておりました。お客様」






憧「な、なんで……」

メイド「この隠し通路の事を知っていれば、出口がどこかも知っているのは当たり前でしょう」

穏乃「そんな……」

メイド「勝手に屋敷を徘徊しようとするお客様にはお仕置きしないといけませんね」

憧「しず!逃げ……」






BAD END

コンテニュー


穏乃「よし、じゃあさっそくこの隠し通路から脱出を……」

憧「待って、しず」

穏乃「どうしたのさ憧」

憧「あのメイド……当然この通路の入り口の事を知ってるよね?」

穏乃「そりゃーそうでしょ」

憧「当然……出口も」

穏乃「……!まさか……」

憧「多分、出口で待ち伏せしに行ったのかもしれない」

穏乃「そんな……じゃあ、ここから出られないの!?」

憧「ううん。大丈夫。出る方法はある」



隠し通路以外に出る方法は?


正解のレスがでたらストーリーが進みます

憧「裏玄関に行くのよ!」

穏乃「どうやって?」

憧「だから、まずこの屋敷の裏に回って……」

穏乃「この玄関ホールから、隠し通路以外に出る方法ないのに」

憧「ごめん。なんか変なこと言った」

穏乃「……」

憧「普通に扉から出ましょう」

穏乃「え……でもあの扉は、さっき鍵が……」

憧「さっき、あのメイドさんが出て行く時……鍵を閉め忘れてたのよ」

穏乃「え……(ガチャ)ほんとだ!よくわかったなー憧」

憧「鍵を閉める音が聞こえなかったからね。さ、行くよ」



廊下


穏乃「正面に扉、そして廊下が右と左に分かれてるね」

憧「うーん。どこに行こう」


1.正面の扉に入る
2.右に進む
3.左に進む

安価下

実験室


憧「ここは……戸棚に大量の植物、薬、ビーカーにバーナー、フラスコとかの実験器具」

穏乃「実験室か何かかな?」

憧「みたい。こここご主人は植物学者から何かなのかも」

穏乃「ほうはう。だからこんな山奥に屋敷を構えてるんだね」

憧「何か役に立つものはないかな?」

穏乃「あ。憧、このブリキのバケツはどう?」

憧「……何に使うのよ」

穏乃「えーっと、あのメイドに襲われた時に頭に被って守るとか?」

憧「……」


[ブリキのバケツ]を手に入れた!


憧「どこに行こう」


1.右の扉に入る
2.左の扉に入る
3.行き先を指定して移動する
 玄関ホール
 廊下

安価下

倉庫


憧「ここは、倉庫ね」

穏乃「そうだ、何か武器になるものを探そうよ!」

憧「そうね。鉈は……重くて使えそうにないかな」

穏乃「このナイフはどう?」

憧「良さげじゃない」


[ナイフ]を手に入れた!


憧「ここで行き止まりみたいだし、実験室に戻ろっか」



実験室


憧「さて、どこに行こう」


1.もう1つの扉に入る
2.行き先を指定して移動する
 玄関ホール
 廊下
 倉庫

安価下

書斎


憧「わあ、本がいっぱい」

穏乃「うー。こんなに本を見てると頭が痛くなってくるよ……」

憧「これは全部、植物関係の本ね」

穏乃「植物学者って予想は正しかったんだね」

憧「みたい。机の上に最近使った本が置きっぱになってる」

穏乃「キノコと、菌に関する本だね」



憧「さて、どこに行こう」


1.正面の扉に入る
2.左の扉に入る
3.行き先を指定して移動
 玄関ホール
 廊下
 実験室
 倉庫

安価下

広間


憧「ここは広間ね」

穏乃「あ、玄関ホールより大きい暖炉が置いてある」

憧「ここの火は点いてないみたいね」

穏乃「火ばさみが置いてあるよ」

憧「何かの役に立つかもしれないし、持って行こっか」


[火ばさみ]を手に入れた!


穏乃「左の扉は、さっきの廊下に続いてるんだね」

憧「私たちの今来た扉の横にもう一個扉があるけど、そこはさっきの部屋の正面の扉の先に繋がってるみたい」

穏乃「それで、正面にもう一個扉で、右に階段か」


憧「さて、どこに行こう」


1.後ろの扉に入る
2.正面の扉に入る
3.二階にいく
4.行き先を指定して移動

安価下


ダイニング


憧「ここはダイニングみたい」

穏乃「あ、ご飯の用意がしてある」

憧「2膳ある……。私たちの分を用意してくれてたのかな」

穏乃「……」ぐ~

憧「……しず、食べようなんて思ってないよね」

穏乃「あ……あははは。山の中を歩き回ったからお腹が減ってて……」

憧「まったく……。こんな状況でお腹が空くなんて……」

憧「ここで足を止めたらあのメイドに見つかるかもしれないから、我慢して」

穏乃「はーい。せめて後で食べるためにお肉だけ持って行こう」

憧「ちゃんとナプキンで包みなさいよ」


[肉]を手に入れた!



憧「さて、どこに行こう」


1.左の扉に入る
2.行き先を指定して移動

安価下

キッチン


憧「ここはキッチンね」

穏乃「右の扉はさっきの廊下に繋がってるのかな」

憧「そして、奥に扉が1つ」

穏乃「あ、さっきの紅茶のカップとポットが置いてある」

憧「それと……紅茶の葉もある」

憧(普通に市販されてる紅茶……。賞味期限が切れてるわけでもない)

憧(さっきの不快な味は一体……)

穏乃「憧、これ何なんだろう」

憧「これは……ただの注射器じゃん」

穏乃「それくらいは私もわかるよ!何でそんなものがここにあるのかって事!」

憧「それは……なんでだろ」



憧「さて、どこに行こう」


1.奥の扉に入る
2.行き先を指定して移動
 玄関ホール
 実験室
 書斎
 倉庫
 広間
 ダイニング

安価下

食料庫


憧「ここは食料庫ね」

穏乃「ネズミとかいるのかな」

憧「実験とかしてんだし、その辺の衛星は気を使ってそうだけど……ん?」

穏乃「どしたの憧」

憧「この壁に……落書きがある」

穏乃「ほんとだ。どれどれ……」



『素数とは、他の誰の数でも割ることのできない孤独な数字である』


憧「???」


憧「ここで行き止まりね」

穏乃「あと行ってないのは、書斎の奥の部屋と、二階だね」

憧「どこに行こう」


1.書斎の奥の部屋
2.二階
3.行き先を指定して移動

安価下

書斎2


穏乃「うわー、また書斎だよ……」

憧「今度は研究用の本じゃなくて、普通に小説とかが置いてある……ん?」

穏乃「どしたのあこ?」

憧「この本棚のこの部分の本……全部背表紙にタイトルしか書かれてない」

穏乃「本当だ。作者の名前も出版社も書いてないや」

憧「これ、本じゃなくて背表紙の絵が書かれてるだけじゃん!」

穏乃「これは間違いなく何かあるよ憧」

憧「うん」

憧「この本達の間に一冊だけ、本が入る隙間がある」

穏乃「ここに何か入れれば、玄関のレンガみたいに動くのかな」

憧「かもね。入れる本は……机の上に積まれてる、同じような背表紙の本のどれかかな」

穏乃「全部試したいけど、あまりここにいるとメイドに見つかっちゃうから何度も試せないよ。どれが正解か推理しないと」

憧「えーっと、この段に描かれてる背表紙の本のタイトルは……」


「鼻」
「秋」
「河童」
「孔雀」
「蜃気楼」
「トロッコ」


穏乃「この中に、机の上の本のどれかを入れればいいんだけど……」

憧「さて、どのタイトルの本を入れよう」


1.「林檎」
2.「檸檬」
3.「蜜柑」
4.「葡萄」
5.「西瓜」

安価下

憧「これは……全部、芥川龍之介の作品の名前ね」

穏乃「そうなの?じゃあ正解は、檸檬だ!」

憧「檸檬は梶井基次郎よ!正解は、蜜柑」



ガコッ



穏乃「開いた!」

憧「これは……鍵ね」


[メイドの部屋]の鍵を手に入れた!


穏乃「さーて、早くここを移動しよう……憧、何見てるの?」

憧「この机に置いてあるの、さっきのとは他に哲学書が置いてあるの」

穏乃「てつがくしょ……?」

憧「哲学書と言うよりは、黒魔術や呪いの本みたい」

穏乃「んー?どうして科学者の書斎にそんな本があるの?」

憧「わからないけど……ずいぶん新しいみたいだし、あのメイドさんのものかも」


憧「さて、どこに行こう」

1.玄関ホール
2.広場
3.実験室
4.倉庫
5.書斎
6.書斎2
7.キッチン
8.食料庫
9.ダイニング
10.二階

安価下

二階


憧「一階の広間の上に位置するところにでっかい扉があるけど、鍵がかかってるみたい」

穏乃「他の部屋は、客室みたいだね」

憧「あ、ここがあのメイドさんの部屋だ」

穏乃「中から物音は……しない。今がチャンスだ!」

憧「それじゃあ、ガチャりことな」ガチャ



メイドの部屋



憧「この部屋だけつい最近使った形跡がある。やっぱりあのメイドさんの部屋ね」

穏乃「じゃあ、この屋敷から脱出する方法があるかも!」

憧「手分けして探しましょう」

……





憧「うーん。ないなー……」

穏乃「憧ー、この戸棚だけ鍵がかかってるんだけど……」

憧「怪しいね」

穏乃「怪しいよね」

穏乃「戸棚に何か書いてある」



『孤独なる双子を捧げよ』



穏乃「……?」

憧「捧げるって、この戸棚の上にある台に置けばいいの?」

穏乃「双子って、この机の上に置いてある人形達?」

憧「けど……8体もいるんですけど」

穏乃「それぞれ人形に名前が書いてある」

憧「人形達の名前は、陰暦の各月の呼び方ね」


「うづき」「さつき」「みなづき」「ふみづき」
「はづき」「ながつき」「かんなづき」「しもつき」


憧「どれが双子なんだろ」



どの人形二体を台の上に置く?

安価下

憧「孤独なるって、もしかしてさっき食料庫にあったメモの、素数のことかな」

憧「それぞれ名前が各月の名前だし、数字が絡んでるのは間違いないと思う」

穏乃「でも素数は、さつき(5月)、ふみづき(7月)、しもつき(11月)の三人がいるよ」

憧「そこで双子よ。これは、双子素数の人形を置くの」

穏乃「双子素数?」

憧「3と5、11と13、101と103みたいに、間の偶数を跨ぐ事で隣り合う素数の事を双子素数っていうの」

穏乃「えーっと、差が2の素数二つってこと?」

憧「そういう事。つまりこの中で双子素数は5と7。さつきとふみづきよ」



ガチャ



穏乃「開いた!」

穏乃「中には、いろいろと薬があるね」

憧「どれもこれも劇薬みたい……あ、これは使えそうだから持って行こう」


[睡眠薬]を手に入れた!


穏乃「あと、日記が置いてあるね」

憧「ほんとだ。この屋敷の事が何かわかるかも」パラパラ

穏乃「憧、何かわかった?」

憧「うーん。どうやらここのメイドさんは幼い頃に両親を亡くして、親戚中をたらい廻しされて、遠縁のここのご主人に引き取られみたい」






私はご主人様に引き取って貰った恩を、一生かけて返していこうと思います


ご主人様の家は、山奥の屋敷にあります


こういう山の中の方が、植物を調べるのに捗るそうです


ご主人様はいつも、書斎や実験室で難しい論文を書いたり実験をしています


私はご主人様に恩を返せるよう、必死にご主人様の専門分野である植物の勉強をし、いつしか実験のお手伝いを任されるようになりました



穏乃「なるほどねー」

憧「まだ続きがある」




ご主人様は、ある新型の菌を発見しました


ですが、その研究には人体実験が必要でした






      私とご主人様は被験者を集めるため


           屋敷を改造し


迷い込んだ登山者を捕らえて人体実験に使う事にしました






穏乃「な……!」

憧「酷い……!」

穏乃「山を愛する人達を騙して人体実験に使うなんて許せない!」

憧「肝心の研究内容は……書いてないみたい」

憧「ん?」

穏乃「どうしたの?」

憧れ「このページから書き殴りみたいななってる」






ご主人様は呪われてしまった


あの迷い込んだ男。あいつのせいだ


なんとかご主人様の呪いを浄化しなければいけない


けれど、この事情を誰にも話すわけにはいかい



呪いを浄化できる、神聖なる巫女の血を引くものが迷い込むのを待とう



呪われてしまったご主人様の血を混ぜた紅茶を飲ませ、拒絶反応をした者


その者こそが、神聖なる巫女の血を引く者だ


その血があれば、ご主人様を救いだせる

.

憧「これで日記が終わってる……」

穏乃「憧、まさか……」

憧「私の実家、吉水神社。その娘の私は巫女の仕事の手伝いをしてきたけど……」

憧「紅茶が不味かったのも、あのキッチンの注射器も、書斎の黒魔術の本も……全部、合点がいったわ」

穏乃「てことは今、あいつは憧を狙ってる……」

憧「とにかく、なんとかしないとね」



憧「さて、どこに行こう」

1.玄関ホール
2.広場
3.実験室
4.倉庫
5.書斎
6.書斎2
7.キッチン
8.食料庫
9.ダイニング
10.メイドの部屋

安価下

玄関ホール


憧「……」

穏乃「憧、どうしたの?暖炉を見つめて」

憧「んー。この暖炉、おかしいなって思って」

穏乃「どこが?普通の暖炉だけど」

憧「いや、暖炉の見た目がおかしいんじゃないの」

穏乃「じゃあ何がおかしいの?」


暖炉の何がおかしい?

正解のレスがでたらストーリーが進みます

憧「宥姉がいるから自然に思ってて見逃してたけど」

憧「夏なのに暖炉が点いてるなんて普通におかしいわよ!」

穏乃「あ、言われてみれば……服を乾かすのに便利くらいにしか思わなかったや」

憧「多分、この暖炉の奥には調べられたらまずいものがあるから、火を焚いて調べられないようにしてると思うの」

穏乃「なるほど。じゃあここに何か手がかりがあるかも」

憧「さっき拾った火ばさみで薪を掴んで、ブリキのバケツに入れて……」ゴソゴソ

穏乃「これで火が無くなった……憧、暖炉の奥の壁になにか書いてある」

憧「えーっと……○の模様の下に文字が書いてある」


○:執務
≡:炎熱
+:浄化
×:??


穏乃「なにこれ?」

憧「下に文字が書かれたボタンが四つあるし、この??に当てはまるボタンを押せばいいんじゃないの?」


憧「どのボタンを押そう」


1.「堕落」と書かれたボタン
2.「正義」と書かれたボタン
3.「大地」と書かれたボタン
4.「崇拝」と書かれたボタン

安価下

憧「これは……多分位地ね」

穏乃「位地?」

憧「うん。位地を表してる」

憧「だから、正解のボタンはーーーーーー」



安価下

位地やない位置や

怜ちゃん「2で正解……なんやけど、理由が違うのがなー」

怜ちゃん「というわけで、なんで×が正義なのか理由を当てたらストーリーが進む感じにするわ」

怜ちゃん「ヒントは位置やでー。ほななー」

憧「これは……地図記号よ」

穏乃「地図記号?」

憧「そう。上の○の中に記号が入った地図記号を表してるの」

憧「○の中に○で、役所(執務)。○の中に+で保健所(浄化)、○から少しはみ出て≡で火山(炎熱)」

穏乃「そうか!じゃあ、○に×でーーーーーー」

憧「警察署。正義よ」




ゴゴゴ



憧「!?」

穏乃「暖炉の奥には、道ができた!」

憧「これは、地下に繋がってるみたいね」

穏乃「どうする?このまま進む?」



1.地下に降りる
2.他のところに行く(行き先を指定)

安価下

地下


穏乃「長い梯子だったー」

憧「ここが地下室の入り口みたいね」

穏乃「待って、憧!」

憧「しず。どうしたの?」

穏乃「獣の臭いがする」スンスン



グルル



憧「ひっ……!」

穏乃「こいつは……番犬……!」

番犬「ガルルル……」

穏乃「まずい……こいつをどうにかしないと、あそこの扉に行けない!」

憧「ど、どうしよう……」



1.道具を使ってなんとかする
2.引き返す

安価下

憧「とにかく道具を使ってなんとか撃退しないと」


手持ちの道具
・火ばさみ
・ブリキのバケツ
・ナイフ
・肉
・睡眠薬


何をどう使う?

安価下

穏乃「そうだ、お肉をあげればその隙に……」

犬「バウ!」ムシャムシャ

憧「一瞬で食べ終わったわよ……」



憧「道具をどうつかおう」


手持ちの道具
・火ばさみ
・ブリキのバケツ
・ナイフ
・肉
・睡眠薬

安価下

憧「そうだ!このお肉に睡眠薬をかけて、犬に食べさせれば!」

犬「バウ!」



ムシャムシャ



犬「ZZZ……」

穏乃「眠った!」

憧「今のうちに地下室に入りましょう!」

地下室


憧「うっ……」

穏乃「このベッドに横たわってるの……人間だ……」

憧「この屋敷で捕らえられて実験に使われた被験体達……」

穏乃「もうみんな息はしてないから……死んでるんだよね?」

憧「……でも、死体は全然腐ってない。その研究とかが関係してるのかな」

穏乃「わかんないよ。奥に扉があるから、向こうの部屋に行けば何かわかるかも」

地下室2


穏乃「うっ……ぷ」

憧「おっ……おぇぇぇぇぇぇ!」

穏乃「あこ……これは……」

憧「おえっぷ……書斎にあった、菌とキノコの本……」

憧「何を調べてたのか……多分、それは」



      『冬虫夏草』



憧「虫に寄生して、虫を苗床と養分にして育つ草」

憧「ここの主人が研究していたもの……そして、ここにある『モノ』が、何なのかわかった」

憧「ここにある、人間の死体から生えたキノコのようなもの……」

憧「……人間に寄生する、冬虫夏草の新種と、その苗所にされている被験体たち……」

穏乃「じゃあ、さっきの部屋の人達って……」

憧「冬虫夏草は、冬の間は寄生した虫の体内を菌で埋め尽くし、夏になると発芽する」

憧「冬は虫の姿で、夏は草になる。だから冬虫夏草」

憧「あそこにいた人達の体内は……うっ……」

穏乃「もういいよ……ほんと吐きそう」

穏乃「でも、あの日記の、呪われたなんのかんのってのは……?」

憧「それは……わかんない」

穏乃「でも、一体どんな……しっ!」

憧「しず……まさか!」

穏乃「足音が聞こえる……こっちに近づいてる!」

憧「そんな……。隠れないと!」

穏乃「とりあえずベッドの下にでも……」潜り込み



ガチャ



メイド「番犬の鳴き声が聞こえたか来てみたけど……もうここにはいないみたいですね」

メイド「まさか……ここの研究を知ってご主人様の部屋に!?」

メイド「早く、ご主人様の元にいかないと!」



タッタッタッ



憧「……もう大丈夫みたい」

穏乃「ここの主人が出張っていうのは嘘だったんだね」

憧「その呪いとやらのせいで人前に出られないのか、動けないのか……」

穏乃「とにかく、あのメイドがご主人の部屋に行ったんなら、今追えば部屋に入れるかもしれない!」

憧「でも、主人に会ってどうすんの?」

穏乃「もちろん、こんな研究を止めるように言うんだよ」

憧「……わかった。私もやりたい事があるし、行こっか」

穏乃「ご主人の部屋は、多分二階の一番大きな扉の部屋だよね」


どこに行く?

1.ご主人の部屋
2.玄関ホール
3.キッチン
4.食料庫
5.ダイニング
6.実験室
7.倉庫
8.書斎
9.書斎2
10.広間
11.メイドの部屋
12.地下室
13.地下室2

安価下

ご主人の部屋



ガチャ



メイド「……まさか、あなた達の方から私の所に来てくれるだなんて思っていませんでした」

穏乃「あんな研究を、止める為に来ました」

メイド「……どのみち、ご主人様は実験できる身体ではありませんよ」

憧「……その、呪いとかのせいなの?」

メイド「……なにもかも知っているようですね」

メイド「なら、お見せしましょう」

憧「その車椅子に乗ってる人……」

メイド「私の……ご主人様です」



キィ……



憧「……!」

穏乃「し……死体……?」

メイド「……そう思われても仕方がありませんね」

メイド「あの新種の冬虫夏草……冬人夏草とでも呼びましょう。それは人間に寄生して発芽する」

メイド「そして発芽したそれを乾燥させて粉末にした薬の効能は素晴らしく、実験用マウスに摂取させたところ、そのマウスの体細胞は驚くほど活性化しました」

憧「そうだ……。確か冬虫夏草は、漢方薬の材料として使われてる」

メイド「それをみたご主人様は、自らその冬人夏草の薬を飲みました」

メイド「身体が元気になり、これで寿命が延び、さらに様々な研究を行える……そう喜んでいました」

メイド「けれど、ある日出会った被験者によって、全てが狂いだしました」

メイド「後から調べて知ったのですが、彼は山奥の村の呪われた血族の一人。そこから生えた冬人夏草を摂取したご主人様は……その呪いを受けました」

メイド「その呪いとは……不死となること。しかし身体は老いて腐っていく」

憧「ま……まさか……」



主人「………………あ……………………あ……………………」



メイド「ええ。ご主人様は生きています」

メイド「朽ち果て、腐っているこの身体で、死ぬことができずに生き続けているのです」

穏乃「そんな……」

メイド「毒も効かず、焼いても細胞が蘇生し、頭を砕いても細胞が集まり再び元の姿になる」

メイド「ご主人様のこの生き地獄を終わらせるには……浄化する為の血が必要なんです」

メイド「あなたの……血が!」

穏乃「来る!憧、さっき拾ったナイフで……」

憧「わかってる!このナイフをーーーーーー」


1.ご主人に使う
2.メイドに使う
3.穏乃に使う
4.自分に使う

安価下




ザクッ



メイド「え……」

憧「うっ……くっ……」

穏乃「あ、憧……どうして自分の手に、ナイフを突き刺して……」

憧「これで……いいんでしょう!」ピッ

メイド「血が……ご主人様にかかって……」



主人「う……あ……」



メイド「ご主人様!?」

憧「呪いを解く為に私の血が欲しいなら、初めから言ってくれれば血くらいあげたわよ。流石に致死量は無理だけどね」



主人「あ…………」


メイド「ご主人様……」



主人「あ…………」






り……が……と……う……






穏乃「憧、今の……」

憧「うん。聞こえた」

メイド「……ご主人様が……息を引き取りました」

メイド「ようやく……ようやく、解放されたんですね……」ポロポロ

穏乃「やったな憧!」

憧「うん。よかっ……た……」

穏乃「憧……あこ!?」

憧(やば……血を流しすぎた……)




ドサッ


.

……





憧「う……ううん……」

穏乃「憧……目が覚めたんだ……!」

憧「しず……?」

穏乃「よかったぁぁぁぁぁ!」ガバッ

憧「うっぷ……しず、苦し……」

穏乃「顔が真っ青なまま目を覚まさないから、心配したんだよ……ほんとよかった……」

憧「ごめんごめん」

憧「あ、手の怪我に包帯が巻いてある。しずが手当てしてくれたの?」

穏乃「ううん。あのメイドさんが憧をベッドに運んで手当てしてくれたんだ」

憧「そっか。そのメイドさんは?」

屋敷の裏庭


メイド「……」

憧「メイドさん」

メイド「お嬢さん……」

穏乃「ご主人をここに埋めたんですね」

メイド「はい。簡単だけど……お墓です」

メイド「この度は、本当にありがとうございました」ペコリ

憧「別に大した事をしてないって」

メイド「……私も、冬人夏草の研究に生きた人間を捕らえて被験体にする事に抵抗はありました」

メイド「けれど、それ以上に……私を引き取り育ててもらったご主人様の役に立ちたかった。その事に盲目的になっていました」

メイド「目が覚めたのは……もう、ご主人様の身体も、自分の犯した過ちも、取り返しがつかなくなった時です」

穏乃「メイドさんは、これからどうするんですか?」

メイド「この屋敷を燃やそうと思います」

メイド「冬人夏草は……周りの人間を狂わせてしまう。存在してはいけない植物」

メイド「このまま灰にして誰にも知られないようにするのが、私の責任です」

憧「そっか。それがいいのかもね」

メイド「お二方、本当に迷惑をおかけしました。そして、ご主人様の事、ありがとうございました」

メイド「さあ、もうすぐここを燃やします。下山してください」

穏乃「……うん。わかりました。行こっか、憧」

憧「うん。それじゃあ」

メイド「はい。お二方にーーーーーー幸あれ」

翌日

阿知賀女子


憧「……」ポー

玄「憧ちゃん、外を眺めてどうしたの?」

憧「んー。ちょっと考え事」

憧「ねえ玄」

玄「なあに?」

憧「玄はさ……もし、宥姉が間違った事をしようとしてたら、手伝う?それとも止める?」

玄「お姉ちゃんが間違った事をしてたら……?」

憧「うん」

玄「止めるよ!止めるに決まってる!」

憧「それが、宥姉の夢を邪魔する事になっても?」

玄「その時は……それでも、止めるよ」

玄「お姉ちゃんの間違を正して、その上で、私がお姉ちゃんを支えて、他の夢を見つけてあげたり、叶えるお手伝いをしてあげる」

玄「今度は、正しい方向に」

憧「そっか……。きっと、それが正しい姿なんだろうね」

穏乃「……」

下校中


穏乃「憧さあ」

憧「ん?」

穏乃「さっき玄さんに話してた事って、あのメイドさんのこと?」

憧「うん。あのメイドさんも、ご主人が好きだったのなら、もっと他に方法がなかったのかなってさ」

穏乃「……私は、止めれなかったな」

憧「しず?」

穏乃「いや、間違った事をしてたってわけじゃないんだけどさ」

穏乃「憧が阿知賀じゃなくて阿太峯に行くって言った時、ほんとうは一緒に阿知賀に来て欲しかった」

穏乃「けど、私は憧を止めれなかった」

憧「しず……」

穏乃「阿知賀に行くのが憧にとって正しいのかもしれなかったし、止めると迷惑かけるかもしれないし、憧に嫌われるのも嫌だし……」

穏乃「あのメイドさんも、止めたくても止めるのが怖かったり、止める事が正しいかわからなかったりしてたんだと思う」

憧「そっか……ごめん。しずをそんなに悩ませて」

穏乃「ううん。いいよ」

穏乃「憧は阿知賀に戻ってきてくれたし、それに」

憧「それに?」

穏乃「山登りを一緒にしてくれるって言われて、本当に嬉しかった」

穏乃「また、昔みたいに……憧と一緒に遊べて」

憧「そっか……私と楽しかったよ」

憧「結局あんな事になったけど、しずと一緒に大冒険ができて、楽しかった」

穏乃「えへへ」

憧「ねえしず」

穏乃「ん?」






次はいつ、山に行こっか






HAPPY END



.

これで終わりです。お付き合いいただきありがとうございました

冬虫夏草とか呪いの血とか伏線も何もなかったけど、実験室にもう一度行ったら冬虫夏草が見つかったり、メイドの部屋にもう一度行ったら被験者たちの所有物が見つかったりします
お正月の余興ですが、付き合っていただき本当にありがとうございました

憩「んー?どうしたんー?」

憩「なるほどー。退屈だから、話し相手になって欲しいんやねー」

憩「わかりましたー。私が話し相手になったげますーぅ」

憩「え?この病院で怪奇現象はあるかって?」

憩「んー。そういうのは聞いたことは無いんやけど……」

憩「でも、私が聞いたり体験した、奇妙な話が幾つかあるんよー」

憩「えっ、その話を聞きたい?」

憩「それじゃあ……四つほどお話ししますーぅ」

憩「まず一つ目」

憩「ノイローゼの患者さんの話なんやけどねー」

憩「彼は、司法試験を目指して頑張っとる人なんよー」

憩「まあ、二浪しとるんやけど」

憩「それで半年前に、彼は恋人にこう言われたん」






『もし、今年も司法試験に落ちたら……検事になるのは諦めて、私のところに永久就職しない?』






憩「そう。遠回しのプロポーズなんよ。すごくカッコいいわー」

憩「それを受けて彼は、承諾したんやけどな」

憩「ところがそれから1ヶ月後、彼女さんが交通事故で死んでまったんです」

憩「彼は悲しみに打ちひしがれたけど、数ヶ月後には司法試験の試験日だから、必死に勉強したんやてー」

憩「けれど……ある時から、彼女の幽霊を見るようになったんです」

憩「毎日、毎日。ふと遠くに目をやると、離れたところに彼女が立ってる」

憩「近づこうとすれば消えていく。けれど彼女は毎日現れる」

憩「最初は遠くから自分を見守ってると思ってたけど……どうやら違うらしいんですわ」

憩「彼女は、日が経つごとにだんだん近づいてきている」

憩「そして試験の前日……私が彼を診察した日なんやけど」

憩「とうとう自分の部屋の窓の外にまで近づいてきたって」

憩「彼は、こう言ったんよー」






『彼女は、俺を見守ってるんじゃない……』



『彼女は、約束を守ろうとしてるんだ……』



『俺が司法試験に落ちたら……彼女と結婚するという約束を……』






『もし、俺が明日の司法試験に落ちたら、俺は……』






憩「翌日が司法試験だったんやけど……彼が合格したのか、不合格だったのか……その後どうなったかは、私もわかりませんー」

憩「二つ目」

憩「今度は骨折した患者さんですーぅ」

憩「スキーをしてたんやけど……立ち入り禁止の新雪に挑戦して、転んで骨折したんよー」

憩「そして病院に運ばれてきて処置が終わった時、彼は一体の人形をとりだして、私に差し出してきたん」

憩「なんでも、転んだ時にその場に転がってたこの人形を掴んでしまったらしくて、そのまま持ってきたけど、いらないから私にくれるって」

憩「それは、木彫りの女の子のお人形」

憩「ずいぶん古くて色褪せてるけど、可愛いから私の机の上に飾っておいたんよー」

憩「その日の夜……机の上で宿題をしてたんやけど……」

憩「ひと段落ついて椅子の上で身体を伸ばした時……気付いたんよ」



憩「人形の首が、揺れてる事に」



憩「疲れてるんかと思って何度も確認したけど、確かに人形の首が揺れてて」

憩「あまりに不気味な光景に声を出せずにいると……」






ゴトッ





憩「って」

憩「人形の首が、胴体から落ちてきたんよ」

憩「そして、首元から大量のドス黒い血が流れてきて……とうとう私は悲鳴をあげてまったわー」

憩「えっ、その後どうなったかって?」

憩「聞くと馬鹿馬鹿しい話なんやけど……血だと思ってたのは、血じゃないし、ましてや液体ですらなかったんですー」

憩「あれは……大量の蟻だったんよー」

憩「蟻ってずっと土の中にしか巣を作らないと思ってたんやけど……木の中にも巣を作るらしいんですよーぅ」

憩「木彫りの人形の中に巣を作って冬眠してた蟻たちは、私の部屋の室温で冬眠から目覚めたんよー」

憩「そして首から出ようとして、ゴトッと首が折れ落ちて、中から出てきた大量の蟻を私は血と勘違いしたってオチですーぅ」

憩「三つ目」

憩「これは普通の風邪の患者さんですーぅ」

憩「ただ、その女性は昔、事故にあったらしくて……両頬に口から伸びる傷跡があったんよー」

憩「まるで、口裂け女のように」

憩「顔を白く塗ったら、ヒース・レジャーのジョーカーみたいやなー」

憩「目もやられたからって、黒くて馬鹿でかいサングラスもかけたその人の住所を見て、びっくりしたんよー」

憩「その人の住所は、数ヶ月前に切り裂きジャック事件で話題になった、あの村やから」

憩「そう。知っとるよね?テレビがバカみたいに騒いだあの事件」

憩「刃物で殺された男性が、自分の血で死に際に『ジャック』と書き残してた事で、現代に蘇った切り裂きジャックって報道されてた殺人事件」

憩「まあ、結局あの一件しか起きてないみたいやけどー」

憩「ただな、気になることがあってん」

憩「なんで被害者の男性がジャックって書き残したのかって事と」

憩「そして……笑い顔のように口が裂けて、空洞のように真っ黒なサングラスをかけてるその女性」

憩「口裂け女というより……西洋の、あのお化けみたいでしたー」

憩「四つ目」

憩「ノイローゼで睡眠不足の男性なんやけどねー」

憩「なんでも、1ヶ月前に実家の田舎に帰ってから、身体が気怠くて夜も眠れないんやと」

憩「実家に帰った時に何があったか……話してくれてなー」

憩い 「彼が『七歩橋(ななほばし)』って橋に行った時なんやけどー」

憩「あ、その橋は別に7歩で歩き切れる短い橋とかそんなんちゃうよー」

憩「普通の橋。しいていうなら、辺りに民家がなくて木が生い茂って薄暗いところにある、不気味な橋らしいんですわー」

憩「野暮用で夜中にそこを通った時の話なんやけどー」

憩「見たらしいですわ」

憩「もう、わかりやすいくらい幽霊を見たらしいですわ」

憩「なんでも、橋の下の川から、どう見ても生きていないような、真っ青な顔をした人達が、首だけを川から出して自分を見上げてるのを」

憩「老爺と老婆、夫婦らしき男女と、その子供と思われる、男の子と女の子が一人づつ」

憩「川から首だけをだして、じーっと彼のことを見てたって」

憩「もちろん、慌てて逃げ出して家に帰ったんやとー」

憩「彼は後から知ったんやけどな、あの橋の本当の名前は『七墓橋(ななぼばし)』って言って」

憩「祖父母とその息子夫婦と孫たちが、その川にかかる橋を渡ろうとしたところ、橋が崩れ落ちて家族みんな川に落ちて亡くなったらしくて」

憩「彼らの人数分だけ川岸に墓を建てたことから、七墓橋って名付けられて、それが年代を経て七歩橋って呼ばれるようになったんやってなー」

憩「それ以来、夜もよう眠れんようになったって」

憩「まあ気にしすぎやろうなー。待合室で息子さんも待っとるみたいやったし、睡眠薬の処方箋を出しといたわー」

憩「ま、これで全部ですーぅ。お気に召しましたかー?」

憩「……へー。今度は自分が知ってる怪奇譚を話してくれるん?」

憩「それじゃあ、御拝聴しますーぅ」



終わり

以上、小ネタ

というわけで、皆さんの聞いた、体験した怪奇現象を教えてもらえれば幸いです

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom