高森藍子「賑やかな冬になりそうですっ」 (25)

――事務所の談話室――

<バーン!!

安部菜々「寒っううううううううううううう!!!」

高森藍子「きゃっ」


※単発作品ですよー

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北条加蓮「ん」つコート

藍子「お帰りなさい、菜々さん♪ これ、どうぞ!」カケテアゲル

菜々「かかかかか感謝ですよ藍子ちちちちちちちち」ガチガチガチガチ

加蓮「ん」つカイロ

藍子「わっ、このカイロすっごく暖かいです♪ これもどうぞ、菜々さんっ」スッ

菜々「ゃんんんんん…………はふぅ♪」アッタカイ

加蓮「ん」つカイロ

藍子「もひとつ、どうぞっ」

菜々「ああ゛ぁ゛~~~、生き返るうううううううう~~~」ホオヲハサミ

加蓮「ん」つカイロ

藍子「さらにもひとつ! ……って、加蓮ちゃん、いくつカイロを持っているんですか?」

加蓮「…………」モクモク

藍子「ああ、また集中しちゃった……」

菜々「あ゛ー。死ぬかと思ったぁ……」(地声)

加蓮「…………菜々ちゃん、ハタチオーバーの声が出てる」モクモク

菜々「ハッ! え、ええと……ごほんっ。――キャハッ☆ 現役じぇーけーアイドル安部菜々、ただいま帰還しました!」

藍子「はいっ。お疲れ様です、菜々さん。外、やっぱり寒いですか?」

菜々「寒いですよ藍子ちゃん! もうほんっとに、今度こそほんっとに死ぬかと! 今年が暖冬だって言ったのどこの誰ですかねぇ!?」

藍子「冬のはじめの頃は、まだちょっとだけ暖かったですよね。最近はすっごく寒くなっちゃって……Pさんも、いつも寒い寒いって言いながら事務所に入って来ちゃってます」

菜々「やっぱりハタチの折り返しを超えると寒さが身に染みますねぇ。ナナも若い頃はもっと駆けずり回っ――ハッ! ま、まぁ今も走り回ってますけど!」

藍子「あはは……。だから最近は、私が先に事務所に来た時には、ストーブを思いっきりつけるようにしてて」

菜々「ストーブを思いっきり?」

加蓮「…………設定温度を上げるってことじゃない?」モクモク

藍子「そうそう、そういうことですっ。次からは、菜々さんが帰ってくる前にも設定を高めにしておきますね」

菜々「うう~~~、藍子ちゃんの優しさが屋台のおでんのように染みるううううう~~~~~~!!」ギュッ

藍子「ひゃああっ!? つ、つめっ、菜々さんっ冷たいですっ! きゃーっ!」

加蓮「……………………」モクモク,ゲシッ

菜々「ぎゃふん」ケラレタ

藍子「ほっ……」

菜々「酷いじゃないですか加蓮ちゃん! ナナが藍子ちゃんと友情を確かめ合っているというのに!」

藍子「そうだったんですか!? そ、そのっ、それならもっと暖かい方法にしてくださいっ」

菜々「ストーブストーブ……って加蓮ちゃんそこちょっとどいてくださいよ! ナナがあったまれないじゃないですか!」

藍子「ダメですっ。Pさんから、加蓮ちゃんはここに座るようにって言われてるんです!」

菜々「なっ!?」

藍子「この時期はどうしても、風邪が心配だからって……事務所にいる間は、くれぐれも暖かくって言われてるんです。だからその……今は、ここが加蓮ちゃんの居場所ということで」

菜々「んなーっ! ぐぬぬぬぬぬぬ……!!」

菜々「…………あ、藍子ちゃん。その~、ですね? ええとぉ、こ、ここに凍えているウサミンがいる訳でして……ええとぉ……」

藍子「?」

菜々「……たまには、その……反抗期、やってみません?」

藍子「ええっ」

加蓮「…………」モクモク

藍子「…………」チラッ

菜々「ううぅぅ…………」メガキラキラ

藍子「…………」チラッ

藍子「…………」

藍子「……………………ご…………ごめんなさいっ」

菜々「ぎゃふん!」タオレル

藍子「ち、違うんです! その、菜々さんも加蓮ちゃんも同じぐらいに大事でっ……でもっ、加蓮ちゃんのお願いは、加蓮ちゃんとPさんの2人分でっ」

菜々「ナナには何かないんですかねえ!? Pさんからの言伝的なヤツ!」

藍子「菜々さんには……あっ、そうだ」

藍子「これ、菜々さんが帰って来たら渡すようにって言われてましたっ」

つカイロ

菜々「さっきたくさんもらっとるわァ!!」ベシーン!!

藍子「きゃあっ」

菜々「はっ。……つ、つい、そのぉ……。えー……そういえば加蓮ちゃんは何をやっているんですか? さっきから黙々と」

加蓮「…………」モクモク

藍子「今、加蓮ちゃんと一緒にこれを作っていたところなんです」スッ

菜々「おおっ、可愛いお花ですね! これは?」

藍子「正月飾りですっ。もうすぐお正月で、何かできないかなって。せっかくなので、和風のお花をチョイスしました♪」

藍子「みんな、色々な物を置いていっていますけれど……こういうお花があったら、もっと賑やかになるかな? なんてっ」

菜々「なるほど! ふむふむ。ウサミン星からも今、これはなかなかのものだって電波が送られてきましたよ!」

藍子「ありがとうございます♪ 手先の器用さには、ちょっと自信があって……もっと大作も作ろうかな♪」

菜々「その時はナナも混ぜてくださいね!」

菜々「にしても……藍子ちゃん、正月飾りを何個作るつもりです?」

(テーブルの上にずらっと並ぶ花飾り)

菜々「あ、いえいえっ、事務所が賑やかになるのはいいんですよ? ただなんかこう、こういう風にずらっと作るのは藍子ちゃんらしくないなぁって」

藍子「あはは……実はこれ、ぜんぶ加蓮ちゃんが」

菜々「加蓮ちゃんが?」

加蓮「…………」モクモク

菜々「…………もう10個はありますよねコレ?」

藍子「加蓮ちゃん、私が誘ったら夢中になっちゃって。こうして作業している間なんて、私が話しかけてもほとんど答えてくれなくなっちゃってるんです」

菜々「なるほど! ……にしてはさっき突っ込まれたり蹴られたりしたような気がするんですが」

藍子「そこはほら、加蓮ちゃんですから」

菜々「加蓮ちゃんならしょうがないですねぇ……いやいや! なんかこう、悪意的な物を感じますよ!?」

加蓮「…………」モクモク

菜々「加蓮ちゃん? 加蓮ちゃーん!?」

加蓮「……ん、できた」スッ

藍子「わ、綺麗……。白いお花の中に1つだけ水色のお花があって、可愛いのに綺麗ですっ」

菜々「むむ。これまたウサミン星から★5つ評価の電波が! 加蓮ちゃんのを見てると、ナナまでやりたくなっちゃいました」

藍子「菜々さんも作りますか? 材料はこっちにいっぱいありますよ♪」

菜々「よしっ、ではここでナナも1つ――て、手先がかじかんで花が掴めない……!」

藍子「はいっ、カイロです!」スッ

菜々「はふぅ」

加蓮「うーん……なんか色使いが違う気がするなぁ。もうちょっとカラフルに……ううん、シンプルなのが……でも……」

藍子「加蓮ちゃん、まだ作るんですか?」

加蓮「うん。せっかくPさんにプレゼントするんだもん。自分で満足できないのなんて渡せないよ」

菜々「なーんか目的が変わってませんかね?」

加蓮「もっかいやろ」スッ

加蓮「…………」モクモク

藍子「また夢中になっちゃった……」アハハ

菜々「……もしかしてここの10個余りのって、ぜんぶ"加蓮ちゃんの満足してないヤツ"なんです?」

藍子「実は、さっきからずっとこうで。加蓮ちゃん、1度こうって決めたことは、絶対に辞めたり諦めたりしないから」

菜々「ですねぇ」

藍子「でも、Pさんの為に頑張る加蓮ちゃんって、なんだか――」

加蓮「…………」モクモク

藍子「……わ、私もPさん用に一つ、作っちゃおうかな?」

菜々「ハイハイゴチソウサマデス。おふたりとも、アイドルなのを忘れないようにしてくださいよ?」

藍子「はいっ」

菜々「にしても、ここで加蓮ちゃんと修羅場にならない辺りが藍子ちゃんですよねぇ」

藍子「修羅場は、ドラマの中だけで……。そうだっ。せっかくですから、Pさん用の、みんなで作りませんか?」

菜々「いいですねぇ! ナナも、アイドルとしてプロデューサーさんのPさんに感謝の気持ちを! せっかくお正月ですからね♪」

菜々「それに、こう見えてもウサミン、長年のメイド時代にメイドカフェで使う小物をいっぱい作ってきたんですよ! 10や20じゃなく!」

藍子「頼りにしちゃいますっ」

加蓮「…………長年?」モクモク

菜々「ハッ! な、ナナはその、そう! ちっちゃい頃からメイドカフェにいましたからね――って加蓮ちゃん!? だからなんで発言がそんなにピンポイントなんですか!?」

加蓮「…………」モクモク

菜々「アンタ実は聞いてるでしょ!? 都合のいい時だけ答えるようにしてませんかねえ!?」

加蓮「…………」モクモク

菜々「こっちを向けや~~~~~~~~っ!!」

加蓮「…………」モクモク

藍子「あはは……」

――1時間くらい経ってから――

藍子「――よしっ、完成♪」

菜々「ナナと藍子ちゃん、それに加蓮ちゃんの懇親の力作! これならPさんも大喜び間違いなしですね! キャハッ☆」

藍子「私のお花と、菜々さんのお花と、加蓮ちゃんのお花。まるで、私たちがぎゅっとなったみたいです!」

菜々「それぞれのイメージカラーをってのもいいですね。バッチリ決まっちゃってますよぉ!」

加蓮「……うん。ヤバイねこれは。ね、ね、早速Pさんに渡しに行かない?」

藍子「うーん……お正月のための飾りですから、私は、やっぱりお正月を迎えてから渡したいです」

加蓮「あ、そっか。じゃあしょうがないね。……しょうがないよね。…………う~~~」

藍子「まあまあ。ほらっ、渡すまでの時間が長ければ長いほど、渡した時の喜びは大きくなりますから♪」

加蓮「……はぁい」

菜々「そうだ、せっかくだから名前をつけてみません?」

藍子「名前、ですか?」

菜々「ええ! ではまずナナから! やっぱりここは【ウサミンニューイヤーズ】――」

加蓮「それ私と藍子成分が行方不明になっちゃってるよ」

菜々「え? ウサミンと言えばこの3人じゃありませんでしたっけ?」

藍子「みみみんみみみんうーさみん?」

加蓮「【ハタチオーバーと16歳のニューイヤーズ】」

菜々「誰がハタ――ごほんっ。加蓮ちゃん。ナナ達は、16歳と、16歳と、17歳ですよ? ハタチオーバーなんてどこにもいないじゃないですか~、やだな~」

加蓮「おお、菜々ちゃんが新しい返しを覚えた」

藍子「わ~」パチパチ

菜々「昨日のウサミン星人と今日のウサミン星人は違うんですよ! ……で、どうします? 名前」

藍子「ううん……名前……。お花だから……【ふらわり~】?」

菜々「それ藍子ちゃんと夕美ちゃんのユニットの名前でしょうが」

藍子「あっ、そうでした」

加蓮「ねーねー聞いてよ菜々ちゃん。藍子がさ、私と2人でユニット組もうって言ってもいっつもいっつも無視して他の子とばっかりイチャついてるんだよ? ひどいと思わない?」

菜々「藍子ちゃんは加蓮ちゃんの嫁か何かですか」

加蓮「私はPさんのよm」

菜々「アンタアイドルでしょうがァ!」

藍子「加蓮ちゃんとのユニット、Pさんにはやりたいって言っているんですけれど、いろいろと難しいみたいで……またいつか、って、いっつも言われちゃいますっ」

加蓮「同じ身長で同じ体重って共通点があるんだからさ、ほら、142'sみたいにこう……2人で足りないなら、えーと確か、唯に、歌鈴ちゃん美穂ちゃん、あとゆかりちゃんもだっけ?」

藍子「また一緒にLIVEできる日が来るといいですね♪」

菜々「加蓮ちゃん加蓮ちゃん? それだとナナの居場所がなくなっちゃいそうなんですけれど?」

加蓮「菜々ちゃんならなんとかなる」

藍子「菜々さんなら、なんとかなりますっ」

菜々「……その信頼はちょおっと嬉しくないですねぇ」

加蓮「大丈夫大丈夫。菜々ちゃんのこともちゃーんと愛してるから」

藍子「ですっ♪」

菜々「は、はぁ。正面切って言われるとまた照れちゃうといいますか何と言いますか」

加蓮「えー? 何それ、わがままー。じゃ、どしたらいいの? 年齢ネタでいじればいいの?」

菜々「どうしたらいいと聞かれるとナナもまた困っちゃう訳ですが――ってなんで最初にその選択肢が出てくるんですかねぇ!?」

藍子「ほら、加蓮ちゃんですからっ」

菜々「なんか魔法の言葉みたいですね!?」

加蓮「ウサミン星だからって言えば許されるみたいに?」

菜々「ウサミン星は便利ワードじゃありませんけどね!」

藍子「あの、話が逸れちゃってますっ」

菜々「おおっと。えー、何の話でしたっけ?」

加蓮「……菜々ちゃん。さすがにそのボケはちょっと早いっていうか、え、もしかしてホントは2X歳を通り越してさん、いやよんじゅ――」

菜々「1・7・歳! 思い出しましたよ正月飾りの名前でしょ!? えーっと、もうPさんに決めてもらうってことでいいんじゃないですか!? ほらっこれも1つの楽しみってことで!」

藍子「あっ、それいいアイディアです♪」

加蓮「なるほど……。ねね、じゃあさ、Pさんがどんな名前をつけるか予想してみない?」

菜々「ビビッ! 今、ウサミン星から電波を受信しましたよ! Pさんはズバリ――【ウサミ」

加蓮「まず"さんじゅうななさい"ってフレーズが入るのは確定だよね」

菜々「誰が37歳ですかね!? ナナはにじゅっ――」

藍子「にじゅっ?」

菜々「……、……、…………ところで加蓮ちゃん、そろそろナナにストーブの前を譲ってくれてもいい頃だとは思いません?」

加蓮「あ、逃げた。えー、やだよ。藍子がPさんと約束してるもん。私をストーブの前から離すなって」

菜々「アンタ普段はさんざん過保護だの余計なお世話だの言ってませんでしたかねぇ!?」

加蓮「ふふっ。私もそんな子供みたいなことをずっと言ってる訳にはいかないよ。心配させちゃう身体なのは私が一番分かってることだし。それに、最近はPさんに心配してもらえるのがちょっぴり嬉しくなって」

<~~~♪

加蓮「ん? メールだ。……『風邪引いてないか!? ちゃんと暖かくしてるか!?』って。もー、Pさんしつこいなぁ。大丈夫だってば」メルメル

菜々「……………………」

加蓮「よしっと。あ、ごめんね遮っちゃって。どこまで話したんだっけ? ええっと、最近はPさんに心配してもらえるのが――」

菜々「……綺麗な笑顔で堂々と嘘をつき通す加蓮ちゃんにむしろ感動すら覚えますよナナは」

加蓮「菜々ちゃんに褒められた~♪」

藍子「よかったですねっ」

菜々「なんでやねん!」ビシッ

加蓮「あたっ。もー、何? アイドルから芸人に転身したいの?」

菜々「加蓮ちゃんとならやっていけそうですねぇ!」

加蓮「私はもうちょっとアイドルを続けたいかなぁ」

藍子「アイドルって、演技力も大切ですよね」

菜々「オンオフの区別だって大事でしょーに」

加蓮「だってここ事務所だよ? 事務所にいる限り私はアイドルだよ」

菜々「……………………」

菜々「……ナナ、降参です」ショボン

藍子「ドンマイですっ、菜々さんっ。はい、これ、カイロです。ちょっとでも、暖かくなれるように……」(菜々の頬に当ててあげる)

菜々「はぁ~~~~♪」

加蓮「ふふっ。数々の修羅場と地獄を口先1つで切り抜けてきたこの加蓮ちゃんに勝とうなんて甘い甘い♪」

菜々「はぁ。屁理屈ばっかり言うようになって、ナナはこんな風に加蓮ちゃんを育てた覚えはありませんよ」

加蓮「いや育てられた覚えもないけど」

藍子「菜々さん、次は頑張りましょうっ。私も応援してますから♪ はい、カイロ、もう1つどうぞっ」

菜々「はあぁ~~~~~~~~♪」

加蓮「そんなに寒いならストーブの温度を上げよっか?」

菜々「お願いしちゃっていいですかね?」

加蓮「はーいっ」ピッピッ

加蓮「……ん、さすがに暑いかも……着込んでるからかな」スッ

菜々「ストーブの前もらいーっ!」ズザー!

菜々「はあぁ……あぁ、これ、これですよ。冬と言えばストーブの前、そしてコタツの中! 横になってついうっかり眠ってしまい、3時間延長でストーブが切れた時の地獄……!」

藍子「そ、想像するだけで寒くなっちゃいます……!」

菜々「そしてスイッチを押してみると無残にも鳴り響く給油のサイン」

藍子「む、無理です菜々さん、やめてくださいっ」

菜々「コタツで眠ってしまった時には寝ぼけてつま先でコードを引っ掛け電源がオフ、起きた時には下半身が凍りつくような寒さに……!」

藍子「きゃ~~~っ!」

加蓮「……Pさんやみんな、それにお母さんまで厚着とカイロを押し付けてくるから、外の寒さってよく分かんないんだよね」

菜々「ナナ、これでもいっぱい着込んでるんですよ! いち、にー、ななーっ!」

加蓮「7枚も着てるの? もこもこだ」

菜々「じゃなくてっ。さんっ、しー、5枚も!」

加蓮「そんなに着ても寒いんだ……。……t」

菜々「歳だからって言ったら加蓮ちゃんの首元に冷たい手を突っ込みますからね。ええ、加蓮ちゃん相手でも容赦しませんからね」

加蓮「まだ何も言ってないよ」

藍子「加蓮ちゃん、今、口が『と』の形に開いてましたっ」

加蓮「それが分かる藍子もすごいね……」

藍子「えへっ♪」

菜々「いやぁ、冬って嫌な季節ですけど……こーいう時こそLIVEで熱くなりたいですね!」

藍子「LIVEで、熱く……」

加蓮「だね。ファンもきっと、寒い中に来てくれてるだろうから……もう思いっきり叫ぶくらいでさ。こう……わ~~~~~~~! ってくらいに」

菜々「ちっちっち、甘いですよ加蓮ちゃん。そこは、わああああああああ~~~~~~!!! ってくらいにしなきゃ!」

加蓮「わあああああああゲホッ」

菜々「わあああああああああああゲホッ」

加蓮「」チーン

菜々「」チーン

藍子「……ふふっ♪ いいですね、LIVEで熱――あ、あれっ? 加蓮ちゃん? 菜々さん? あの、……あれ?」

加蓮「ゲホッ……い、今なんか、頭がきーんって、きーんって真っ白に……」

菜々「ゴホッ……か、体の準備ができてないのに叫ぶとこうなるんですね、ナナ反省……」

藍子「は、はぁ……大丈夫ですか?」

加蓮「ん、なんとか……」

菜々「一度や二度のバタンキューでくじけるほどナナは甘くありませんよぉ……!」

加蓮「……バタンキューって死語になってるって前にお母さんが」

菜々「おおっと」

藍子「でも、LIVEで熱くなるのって、きっとすごく大切なことなんだと思います。せっかく来てくれたファンの皆さんが、風邪を引いちゃうと大変ですから」

加蓮「だね。手洗いうがいで元気に! みたいなこと言ってるLIVEもあるみたいだよ」

菜々「あ~見たことありますあります。でもま、ナナはいつも通りにLIVEをするだけですけどね。盛り上げられるだけ、盛り上げて」

藍子「会場の歓声を聞くうちに、私まで熱くなっちゃって♪」

加蓮「そういう物だよね、アイドルって」

藍子「ですねっ。次のお正月LIVEも、ファンの皆さんと私たちとで、暖かくなれるといいなっ」

加蓮「そっか、そういえば藍子って確か……、……また私をほっぽり投げて新しいユニットを組むんだよね」ムスー

藍子「つ、次っ、次こそきっと加蓮ちゃんと一緒ですからっ」アセアセ

菜々「まあまあ。ニューイヤーLIVEは本当に楽しいですよね! 藍子ちゃんの活躍も期待してますよ!」

藍子「はいっ♪」

加蓮「1人も風邪を引かないくらいのLIVE、藍子ならきっとできるよ」

藍子「加蓮ちゃんも……ありがとうございます! あのっ、もしよければこの後、一緒にレッスンを――」

菜々「……も、もうちょっとストーブで温まってからで」

加蓮「はいはい、さっさと行くよ菜々ちゃん」グイグイ

菜々「5分! 5分経ったら動きますから!」

加蓮「そう言って動く人はいないの。ほら、アイドルでしょ?」

菜々「今はオフですから~~~~~!」



おしまい。読んでいただき、ありがとうございました。
謹んで新年のご祝辞を申し上げます。みなさまの今年が、よき1年になりますことを。

クリスマスメモリーズばんざーい!!

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