王道ジャンル 「世話焼き幼なじみ」(63)

チュンチュン……

男「ん、んん……」モゾモゾ

幼なじみ「男、男ー」ユサユサ

男「んー……?」

幼なじみ「ほら、起きる時間だよ」

男「んー……」

男「ふわああ……」ムク

幼なじみ「おはよ」

男「おはよ……」ゴシゴシ

幼なじみ「もー、また遅くまで起きてたの?」

男「ん……ちょっとゲームしてたんだよ」

幼なじみ「ダメだよ、春休みだからって昼夜逆転しちゃ」

男「おまえは休みでも寝るのも起きるのも時間変わらんもんなあ……」

幼なじみ「なんていうか、体に染み付きやすいんだよ、生活サイクルが」

男「おまえに起こされる俺も比例して起きる時間が変わらんのだが……」

幼なじみ「だって男、すぐ昼夜逆転生活になるし、睡眠時間削ってまでゲームするし」

男「あー、わかったよ、不健康な生活は慎むって」

幼なじみ「うん、そうしたほうがいいよ」

幼なじみ「それじゃ私、朝ご飯作ってくるね」

男「おう、ありがと」

幼なじみ「いえいえー」ガチャ

パタン

男「……ふう」

男「なんとか今日もこの状態の息子を見られずにすんだか」ギンギン

男「前見られた時はひどかったもんなー……」

男「幼なじみ真っ赤になってうつむいちゃったし……」

男「いっそビンタでもしてくれればいいんだが……いや、俺がmとかじゃなくて」

リビング

幼なじみ「ふんふーん♪」

男「お、うまそうだな」

幼なじみ「ダメだよー、つまみ食いしちゃ……あ、顔洗ったの?」

男「やべ、まだだ」

幼なじみ「もー、それにひげもそったほうがいいよ、いくら私以外の知り合いには会わないからって……」

男「わかったわかった」スタスタ

男 バシャバシャ

男「ふう」

男「んー、そんなのびてないと思うんだけどな」ジョリ

男「まあ剃っておくか」ジョリジョリ

男「ふうー」

幼なじみ「お、やっと目さめたって顔してる」

男「幼なじみもちょうど作り終えたみたいだな」

幼なじみ「うん、できたばっかりだよ。食べよ」

男「いただきます」

幼なじみ「いただきまーす」

男「うん、うまい」モグモグ

幼なじみ「えへへ、よかった」

男「幼なじみはほんと料理うまいよなー」モグモグ

幼なじみ「楽しいから何回も作っただけだよー」モグモグ

男「いや、でもほんとうまいぞ、感謝してる」モグモグ

幼なじみ「でも、男もたまにはお母さんの手料理というのを食べたくなるんじゃない?」

男「んー……たしかにそうだけどしかたないよ、仕事なんだから」

幼なじみ「おじさんもおばさんも大変だよねー」

男「まあ、でも……」

幼なじみ「でも?」

男「あ、いや、幼なじみの料理もすごいうまいからいいかなーってさ」

幼なじみ「ふふ、ありがと」

男(親父たちには悪いけど……好きな女の子と二人っきりになれる時間があるのは嬉しいしな)

男「ごちそうさまでした」

幼なじみ「お粗末様でした」

男「今日はどうしてるんだ?」

幼なじみ「んー、スーパーに行こうかなって。食材買いに」

男「ん、なら一緒に行くよ」

幼なじみ「えっ?いいよ、今日のは私の家のぶんだし……」

男「いいよ、暇だし。お一人様いくつまで、ってのもひとりぶん多く買えるだろ」

幼なじみ「んー……じゃあお願いしちゃおうかな」

男「おう」

男(いくら本人が世話好きでも……少しでも恩返ししなくちゃな)

スーパー

男「俺がかご持つよ」

幼なじみ「ありがと」

幼なじみ「んー、まずこれかな」ヒョイ

男「げ、ネギか」

幼なじみ「おいしいし、栄養あるのに」

男「けどなぁ」

幼なじみ「もー、ちっちゃく切って料理するから、ちゃんと食べるの」

男「わ、わかったよ」

幼なじみ「んー……」

男「どうした?」

幼なじみ「カレーを買おうと思ったんだけど……男はどっちがいい?」

男「あっさりとまろやかか……」

男(幼なじみはあっさりが好きなんだよな……たしか)

男「あっさりがいいな」

幼なじみ「ん、じゃあこっちね」

男「おう」

男「これとこれも」ヒョイ

幼なじみ「あー、またお菓子とカップ麺ばっかり」

男「たまに食べたくなるんだよ」

幼なじみ「もー、何かに夢中になるとすぐ食事手抜くんだから……このカップ麺男の家に一個あるよ」

男「お、マジか、じゃあこれはいいか」

幼なじみ「お昼どうする?」

男「んー……あ、これいいな」

幼なじみ「生ラーメン?」

男「うん」

幼なじみ「いいね、ゆで卵余ってるからそれいれられるし」

男「あ、昼まで作ってくれるのか?」

幼なじみ「今日は暇だし、それに私がいないと直前で面倒くさがってお菓子かカップ麺ですますでしょ?たまにはいいけどやりすぎはダメ」

男「く、見抜かれてるか」

男「よっと」ガサ

幼なじみ「けっこう買っちゃったね、重くない?」

男「こんぐらいなら大丈夫だよ」

幼なじみ「ありがと」

男「帰ったらちょうど昼飯かな?」

幼なじみ「ん、そうだね」

幼なじみ「ラーメンできたよー」

男「運ぶよ」

幼なじみ「熱いから気を付けてね」

男「ん?なんか量多くないか?」

幼なじみ「三人分だったからちょっと大盛りになっちゃったの」

男「ま、少ないよりいいか、いただきます」

幼なじみ「ん……」ズルズル

男「ん?どうした?」

幼なじみ「やっぱり大盛りはちょっと多かったかも……男食べれる?」

男「ん、いいぞ」

幼なじみ「ごめんね」スッ

男「いいよ、けっこう腹へってたし」ズルズル

男「午後はどうしてるんだ?」

幼なじみ「特になにもないかな……あ、男、マンガ貸して」

男「ああ、この前のな」

幼なじみ「うん、あれおもしろかった!」

男「…………」

幼なじみ「…………」

男「…………」

幼なじみ「……ふふっ」

男(だいぶマンガに集中してるな)

男(無言が苦痛じゃない相手ってのも珍しいよな)

幼なじみ「ふう」パタン

男「ん、次の巻か?」

幼なじみ「んーん、今日はここまでにしとく、レポート書かなきゃだし」スク

男「よく先が気にならないなぁ……」

幼なじみ「男はなんでも一気に読む派だもんねー、ちゃんとレポートも書かなきゃダメだよ?……ケホケホッ」

男「おい、風邪か?」

幼なじみ「んーん、むせただけ。それじゃ私部屋戻るね」

男「おう、ちなみに夕飯は?」

幼なじみ「ハンバーグの予定だよ」

男「おっしゃ」

幼なじみ「ふふ」

男「すまないな、幼なじみは家で普通におばさんの飯食べてるのにわざわざ作らせるだけ作らせて」

幼なじみ「料理するの好きだからいいよ、じゃあね」

男「おう、また夜な」

男「ん……」パチ

男「寝ちゃってたか……外真っ暗だ」

男「やばいなー幼なじみにまた怒られ……ん?」

男「あれ?もう来ててもいい時間なのに」

ピンポーン

男「お、来た来た」

ガチャ

男「あれ?おばさん」

幼母「こんばんはー男くん」ニコ

男「こんばんは。どうしたんですか急に?」

幼母「いえね、今日もきっと幼なじみがお夕飯作る予定だったんじゃないかしら?」

男「はい、いつも世話をかけてます」

幼母「ごめんねー、あのコ急に熱だしちゃって、今日は無理みたいなのよ」

男「え……?」

幼母「だからかわりにこれ、食べなさい」

男「え?いいんですか?」

幼母「いいのよ。今日のあのコの分の夕飯だけど、食欲もないみたいだし……」

男「あの、大丈夫なんですか?幼なじみ……」

幼母「大丈夫よー、ただの風邪だから。お薬飲ませたし」

男「はあ……」

幼母「心配してくれてありがとね、あのコも喜ぶわ」

男「ん、やっぱりおばさんも料理うまいな」モグモグ

男「…………」モグモグ

男「……静かだな……」モグモグ

男「幼なじみ……」

男「よっと」ヒョイ

男「昔はベランダ越えて会うの危ないって止められたけどな……」

男「今だとさすがに簡単に越えられるか」

男「幼なじみー」コンコン

男「返事ないか……寝てるのかな、やっぱ」

男「うん、さすが、俺が来てもいいように窓は開いてる」カラカラ

男「おじゃまします」

幼なじみ「ん……」ハアハア

男「幼なじみ……つらそうだな」ピト

男「うわ、けっこう熱高いぞ」

幼なじみ「うう……」ハアハア

男「ん、たしか俺の家にならあれがあったはず」

男「あったあったアイスノンだ」

男「幼なじみ、ちょっと頭浮かすな」ソー

幼なじみ「んん……」ハアハア

男「よし、これでちょっとは楽になるはずだ、ひんやりして気持ちいいしこれ」

幼なじみ「ん……」スウ

男「ちょっとは楽になった……かな?」

男「あったあったアイスノンだ」

男「幼なじみ、ちょっと頭浮かすな」ソー

幼なじみ「んん……」ハアハア

男「よし、これでちょっとは楽になるはずだ、ひんやりして気持ちいいしこれ」

幼なじみ「ん……」スウ

男「ちょっとは楽になった……かな?」

ごめん二重になった



幼なじみ「ん……」

男「幼なじみ……」

男「ごめん、手握るな」ギュ

幼なじみ「んん……」

男(幼なじみ……)

チュンチュン……

幼なじみ「ん……」モゾモゾ

幼なじみ(あ……そっか、私風邪ひいたんだった……)

幼なじみ(うー、体ダルい……頭痛い……)

幼なじみ(手あったかい……ん?)

男「お、起きたか」

幼なじみ「えっ!?」

幼なじみ「な、なんで男が……ゲホッゲホッ」

男「ほらほら落ち着け、まだ熱も下がってないんだから」

幼なじみ「ん……でもどうして?」

男「いや、いつもいつも世話されるばっかりだからさ……」

男「今日は俺が幼なじみを看病しようかと思って」

幼なじみ「え、ええ!?」

幼なじみ「い、いいよそんなの……いつも私が好きで世話してるだけだし……」

男「それでも俺はいつものお返しをしたいんだ。おばさんの許可も得た」

幼なじみ「もー……お母さんってば……」

男「俺に任せるのは不安か?」

幼なじみ「そういうわけじゃないけど……ふう、じゃあ看病お願いしよっかな」

男「うし、がんばるぞ」

幼なじみ(昔からこういう時はひかないんだから……)

男「まず熱計ってくれ」スッ

幼なじみ「うん……」

男「…………」

幼なじみ「……あのね、男」

男「どうした?」

幼なじみ「一応パジャマはだけなきゃ計れないからさ……後ろ向いてもらえないかな?」

男「あ!ご、ごめん!」サッ

幼なじみ「ん、それでよし」

ピピッピピッ

幼なじみ「はい、まだ後ろ向いちゃダメだよ?」スッ

男「ん、やっぱりまだ熱あるな」

幼なじみ「ごほっごほっ」

男「計り終わったから寝てろ」

幼なじみ「そうする……ごほっごほっ」

男「ほら、おばさんがおかゆ作ってくれたぞ」

幼なじみ「ん……ありがと」

男「あ、寝たままでいいぞ、食べさせてやるから」フーフー

幼なじみ「え、ええ!?」

男「おっきい声出すなって。ほれ、あーん」

幼なじみ「あ、あーん……」

男「ほら、あーん」

幼なじみ「あ、あーん……」パク

幼なじみ「うう……恥ずかしいよう……男……」モグモグ

男「あと少しだからさ、ほれ、あーん」

幼なじみ「うう、あーん……」

幼なじみ「うう……」フラフラ

男「おい、どうした?」

幼なじみ「と、トイレ行きたくて」フラフラ

男「そんなフラフラして危ないだろ、よっ」ヒョイ

幼なじみ「きゃっ!?」

男「これでトイレまでつれてってやるから、じっとしててくれ」

幼なじみ(お、お姫様だっこ……しかもあんな軽々と持ち上げられた……)ドキドキ

ジャー パタン

男「終わったか」

幼なじみ「う、うん」

男「そんじゃあまあ」ヒョイ

幼なじみ「きゃっ、やっぱり帰りもなの!?」

男「そりゃそうだろ」スタスタ

幼母 ジー

幼なじみ「!」ハッ!

幼母 ニヤニヤ

幼なじみ「うーー……!」カアアー!

幼なじみ「ふー……」

男「寝れないのか?」

幼なじみ「ん、ちょっとね」

男「そか……」

幼なじみ「ふふ」

男「ん?」

幼なじみ「んーん、子供の時の事思い出したの」

幼なじみ「男ってばいつも無茶してさ、それでよく体調崩して……」

幼なじみ「そのたびに私が看病してたの、覚えてるでしょ?」

男「ああ、まあな」

幼なじみ「今日は完全に逆だなーって」クスクス

男「……だな」

男「……ごめん幼なじみ、ちょっと体起こしてくれ」

幼なじみ「?どうしたの?」スッ

男「…………」ギュ

幼なじみ「ひゃっ!?」

男「ごめん、苦しい?」

幼なじみ「そ、そうじゃない、けど……」

男「いやだったりするか?」

幼なじみ「しない、けど……」

幼なじみ(なんで……急に抱きしめて……)

男「幼なじみ……」

幼なじみ「は、はい!?」



男「俺、幼なじみの事が好きだ」

幼なじみ「え、ええ!?」

男「ずっと、考えてたんだ」

男「幼なじみを好きなのは、幼なじみが世話焼いてくれるからじゃないか、って。自分が楽できるからから好きなんじゃないかって」

幼なじみ「…………」

男「でも、いくら考えても、どんどん幼なじみの事好きになるばっかりで……」

男「それなら、幼なじみに支えられるだけじゃなくて、支えれるようになろうって決めたんだ」

幼なじみ「…………」

男「今はまだ、全然支えられてばっかりだけど」

男「いつか必ず支えれるようになって、幼なじみを幸せにしてみせるから……」

男「俺と、付き合ってください」

幼なじみ「…………」

幼なじみ「…………」

幼なじみ「今でも、ううん、昔から」

幼なじみ「男には、きちんと支えてもらってるよ」

男「え?」

幼なじみ「昔から、私が困ってると、男は絶対に助けてくれた」

幼なじみ「私に、楽しい遊びをいっぱい教えてくれて、そして、男といる時間はすごく楽しかった……」

幼なじみ「男はずっと私を支えてくれてたよ」

幼なじみ「だから私も……」



幼なじみ「男の事が大好きです。ずっとずっと好きでした」

男「!ほ、ほんとか!?」

幼なじみ「こんな時にウソなんかつかないよ、知ってるでしょ?」

男「あ、ああすまん、あんまり嬉しくて」

幼なじみ「ふふ……」

男「あのさ、幼なじみ……」

幼なじみ「ん?」

男「ごめん……多分俺、おまえに怒られることする」

幼なじみ「え?なn」

チュッ

幼なじみ「な、なっ……」カアアー!

男「あ、やっぱりおk」

幼なじみ「なにやってんのーー!!」

男「うおお!!」

幼なじみ「き、キスッ!不意打ちダメっ!風邪っ!うつっちゃう!」カアアー!

男「と、とりあえず落ち着けよ」

幼なじみ「も、もーー!もーーもーー!」

男(かわいい……)

男「じゃあさ」

幼なじみ「え……?」ゼエゼエ

男「治ってからならいい?」

幼なじみ「…………!」カアアー!

幼なじみ「……いい」カアアー

男「よかった」

幼なじみ「私からも……する」カアアー

男「……やばい、すっげー楽しみ」

幼なじみ「うう……」カアアー

男「ならますます安静にしないとな」

幼なじみ「うん……」

男「それまでは、俺が支えるから」

幼なじみ「……ありがと」

男「おう」

幼なじみ「大好きだよ、男」

男「俺もだ、幼なじみ」

幼なじみ「嬉しい」

男「俺も嬉しいよ」

幼なじみ「ずっと一緒にいてね」

男「当然だ」

幼なじみ「ふふ……」



おわり

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