紗南「アイマスジオラマフロント?」 (20)

紗南「アイマスジオラマフロント?」

泉「そう。亜子の発案で組み始めたゲームなんだけど、そのテストプレイをお願いしたいの。
  仮にもゲーマーアイドルなら、色々なゲームに慣れてると思って」

紗南「たしかにゲームは大好きだけど、テストとかデバッグはやったことないんだよなあ…
   バグ見つけられるほどコアな遊び方できるかな?」

泉「普通にやってくれればそれでいいわ。完成度としてはまだβ版どころかα版みたいな状態なの。
  亜子は当事者だからテストに限界があるとして、さくらに頼むと無意識に贔屓目が入りそうだし、
  他にゲーム好きがわかってる杏さんは面倒事嫌いで通ってるから頼みにくくて」

紗南「まぁ、頼られてるのに断るのもアレだけど…やってみてから考えるってのでいい?
   ゲーマーでもジャンルによって向き不向きはあるから」

泉「もちろん。どう転んでも貴重な意見にはなるもの、助かるわ」

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紗南「…で、このプログラムを起動っと。パソゲーなんだ?」

泉「インディーズの門戸が開かれたとはいえ、ゲーム専用ハードは厳しくて…
  代わりにクライアントをダウンロードする形式と、Webブラウザから直接やれる形式を並行するつもり。
  今だとノートパソコン持ち運ぶ人も多いし、共用パソコン使えるホテルも多いから」

紗南「うーむ、たしかに無理にゲーム機に合わせたりスマホゲーに下げたりしないで、
   そこまで割り切っちゃった方が面白いものできるかも」

泉「オンライン対応を前提にしてるけど、今回はまだオフラインにしてるから」

紗南「いきなり羅生門オンラインとかはないんだね。安心安心。
   それじゃテスト用アカウントとパスワードを入れて、っと」

『アイマスジオラマフロント!』

紗南「ずいぶん本格的なタイトルコール…って今の声ナナさんじゃない!?」

泉「うん。アニメのアテレコ練習中についでで収録させてもらったの」

紗南「なるほどー。よーし、はじめるよー!」

紗南「えーと、今回やるのはチュートリアル前に用意されるテスト戦なんだね。
   画面的にオンラインストラテジーみたいな感じ?」

泉「感じじゃなくて、まさにオンラインストラテジーね。
  画面にも出てるけど、とりあえず用意された戦力でこのステージをクリアしてみましょうって形。
  いきなりチュートリアルで延々作業に入っちゃうと、楽しさがわかりにくいと思って」

紗南「よしよし。とりあえず、画面下のマスから出撃させたいのをマウスで選んで、
   ステージの空き場所に出す、っと」

ぽちっ
『ぴにゃー!ぴにゃー!ぴにゃにゃー!』

紗南「なんか、ステージに突撃してくブサイクが鳴いてるんだけど」

泉「卯月さんにお願いしたの。番組で中に入ってたことあるし」

紗南「卯月さん!?ということはコレも…」

ぽちっ
『私、がんばります!』

紗南「うわぁ、本人ボイス付きだ!って、あの、この隣の2つも、まさか…」

ぽちっ
『私、止まる気は無いから』
『ほらほら笑顔、忘れてるぞっ!』

紗南「やっぱりニュージェネ全員フルボイスだ…」

泉「せっかく声付けられる仕様がまとまったんだから、フルボイスにしちゃおうと思って。
  運良く卯月さんと一緒にいたからまとめて収録させてもらったの」

紗南「…っと、あんまりのことなんで驚き過ぎちゃったけど、テストなんだからステージもよく見ないと。
   この中央部の大きい建物を押さえちゃえば勝ちなんだよね?」

泉「そう、その本社を制圧すれば他の施設が全部残ってても勝ちになるの。
  勝ちを狙うなら強引に行くのもアリだし、逆に自分が防衛側に回った時は強引にこられることも考える必要がある」

紗南「それを防ぐために施設で守りを固めて、攻撃側はぴにゃとかウサギのぬいぐるみみたいので攻めていく、と」

泉「あとはエースね。数を出せるぴにゃこら太とかと違って、卯月さんみたいなハイスペックなユニットがエース。
  これは防衛側も常駐させられるけど、今回はいきなり敗北するのを防ぐために四隅に置いてるの。
  とりあえずは本社制圧をしてみましょう」

紗南「オッケー!って、順調に攻めてるからもうちょっとでイケると思うけど」

『ここじゃない?…次行こうか』

紗南「あ、他の施設押さえた凛さんが喋った」

泉「施設制圧とかダメージとか、色々フラグが成立する度にボイス流れるの」

紗南「ってことは本社制圧したら、やっぱり…」

ピロリロリロン!
『やった!きっとファンのみんなが心から楽しんでくれた結果だね!』

紗南「本田さんめっちゃ喋ってるー!?」

泉「ふふ、まだまだ真髄はここからだよ?」

紗南(泉さんがドヤ顔入りかけてる…!)

泉「ユニットが自動で動いてくれるから、順番に相手エースと戦えそうだね」

紗南「…あのー、この敵ステージのエースってもしかして…」

泉「先に言っとくけど、全員本人だよ?」

『きゃっぴぴぴーん☆みんなのアイドル、菊地真ちゃんナリよ♪』
『あの人も、ステキな魔法でシンデレラに?』

紗南「えええ!?ヨソの事務所の真さんのボイスもそうだけど、
   島村さんのボイスがきちんと真さんに合わせた内容になってる!?」

泉「765プロにいる松田亜利沙さん、実は私達の中学校の先輩でね?
  あくまでテスト用という前提でデータベースから音声をお借りしたの。
  今回は既存のものに新録を合わせた形だけど、正式協力を頼めたらきちんと相互掛け合いにするつもりだよ」

紗南「いや現状でもインパクト十分だから!」

泉「そうかな?十分で収まっちゃったら面白くない、って亜子が言うから突き抜けてみたんだけど」

紗南(うわぁ…ブレーキ利かないパターンだぞ、これ…)

泉「とにかく、残りは3人だね」

紗南「緑のブサイクを大量に引き連れる島村さんって構図、絵的にすごいなー。
   で、お次は誰かな?最初に行くのは凛さんみたいだけど」

『水嶋咲、パピッと登場☆』

『あれで男なの?ウソでしょ…!』

紗南「また平然とヨソの事務所のアイドルじゃないですかー!!」

泉「315プロにいる岡村直央くん、引っ越す前は私達の小学校の後輩だったの。
  昔のよしみでちょっとお願いしたら、音声テープ借りてきてくれたんだ。
  …で、そろそろエースの見せ場行ってみようか?」

紗南「さっきから案内文が出てるこの『アイドルバースト』ってのだね。
   時間蓄積でゲージが溜まると使える…」

『手加減は…しないよ』

紗南「お、溜まった。ゲージ溜まり切った時にもボイス流れるんだねー。
   で、クリックで発動!」

『これが私のライブ!』

紗南「なんかカットイン入った!」

泉「凛さんのは自己強化型だね。一定時間、自分のステータスがパワーアップするの。
  一番わかりやすい形かな?」

紗南「あー、なんか楽しくなってきた…次のエースいこ、次!」

紗南「もう何が来ても驚かない!」

泉「そう言うと大体フラグだって亜子が言ってたけど…ほら、次来るよ?」

『セーブしよー!』
『負けないぞー!スポットライト、カモーン!』

紗南「音量デカアアァァイ!!別ベクトルで驚いたよ!」

泉「日高愛さんの提供データ、音質落ちないギリギリがその音量なの。
  元876プロの岡本まなみさんがご近所さんだった縁で借りてきたんだけど、さすがに要改善ね。
  音声加工についてもっと勉強しないと」

紗南「どんだけ声帯強靭なのコレ、ホント…」

『燃やせ、友情!』

紗南「ゲージ溜まった!未央さんのアイドルバーストで一気に落とそう!」

泉「本田さんのバーストは攻撃型だね。発動と同時に自分を軸とした一定範囲に直接ダメージを与えるの。
  前方円範囲だけど、今はもう範囲内だから撃っちゃって大丈夫だよ」

紗南「よーし…!」

『未央ちゃんに見惚れないでね!トリプルスター!』
ドンッ
『うわーーーーーーーんっ!』

紗南「うわ、撃破ボイスもすごい大音量!茜さんより大きい声なんてはじめて聞いたよ…」

紗南「よ、ようやく最後の一体だね…まだ日高さんの声で耳ジンジンする…」

泉「とりあえず次を終えたら今日は止めましょうか。試遊台感覚ってことでもこちらは助かるし」

紗南「そうするよ…って、コレは!」

『じゃん!超得ショップ開催中です!』

『そんな、ちひろさんが!でも負けません!』
『…蒸すよ?』
『鬼!悪魔!ちひろぉ!』

紗南「なんかちひろさんがスタドリとかエナドリ投げて攻撃してきてる!!」

泉「亜子が『大型ボス枠に必ず入れろ』っていうから、マキノさんに頼んで音声サンプルもらってきたの。
  …なんか卯月さん達もノリノリで専用ボイス入れてくれてたけど、イメージとして正しいのかな?」

紗南「まぁ、正直ラスボス感相当あるから扱いとしては妥当だと思うよー」

泉「ラスボス…なるほど。今はテストだからキツくしてないけど、本実装で使う時は強敵にしておいた方がよさそう、と。
  普段会う人だからそこまで強い感じにはしてなかったんだけど、参考になったわ」

紗南「あとは、島村さんのアイドルバーストを使って…!」

泉「卯月さんのバーストは変身型だね。発動すると別の姿になって、行動パターンや能力も丸っきり変わるの。
  変身を始めたら変身完了までダメージ受けないから、そのあたりは安心してね」

『元気出して行きましょうね!』

紗南「よーし、ゲージ溜まった!早速いってみよう!」


『皆に笑顔でいて欲しいんです!だから聞いて下さい!私、歌います!!』


紗南「なんか超サ○ヤ人みたいに光って衣装変わったー!?」

泉「見た目もそうだけど、卯月さんの場合は変身前は細かい攻撃を連続するパターンなのが、
  回数減らして重いダメージを出す形になるの。ちひろさんみたいな大型ボスにはよく効くわ」

紗南「いっちゃえ、島村さん!あと凛さんと未央さんのゲージも溜まってるからもう一発!」

『運命の切り札、つかみ取るよ…!』
『ここからは、未央ちゃんのステージだー!!トリプルスター!』

『冗談ですよ、ちょっと?ちょっと~?』

泉「…一気に押し込んで倒せたね、お疲れ様」

紗南(台詞的にもキャラ的さっぱり倒した気がしない…)

泉「とりあえずこれで終了。どう?」

紗南「いやー、楽しかったよ。ただ、音声でインパクトあり過ぎてゲーム性の検証に目が行かなかったかな?
   次はそのあたりに気をつけてやってみるね」

泉「システム面はまだ説明してないし、防衛用のステージ構築もあるから次はその説明を-」


???「じゃん!超得ショップ開催中です!」


紗南「…泉さん、パソコンの電源切り忘れてる?」

泉「アレ?おかしいな、ちゃんとシャットダウンしたんだけど」

???「ふふふ…」



ちひろ「冗 談 じ ゃ な い で す よ」

泉「ひっ!?」

紗南「あ、あの、どこから見ていたので…?」

ちひろ「日高愛ちゃんの爆音みたいな声が通りがかりに聞こえて、気になって来たんですけど…
    ふーん、ラスボス感ね。そっかー。ふーん…」

紗南(静かにめっちゃキレてらっしゃる…!)

ちひろ「これからマキノちゃんと亜子ちゃん捕まえてくるけど、それまで逃げないでここに居て下さいね。
    …飛ばしますよ?」

紗南・泉「何をッ!?」

ちひろ(まったく…よその事務所のメンツに勝手に話出してどうする気だったのかしら。
    今の時代、アイドルの『声』だってタダじゃないんだから。縁故だって話通らないのよ?
    あのままクローズドβまで話が行ってたらエラいスキャンダルになってたわ)


ピポパ
prrrrrr…


ちひろ「お久しぶりになります、千川です。ええ、そちらの松田さんの件でお話が。
    あと、それに関連してなんですけど…近日中にたるき亭でお会いしませんか?
    山村君も交えて、ちょっとご相談したいことが出来まして…」

-6ヶ月後-

泉「まさかこんな大事になるとは…」

紗南「ちひろさんに目を付けられたのが原因だねー。
   昔あった『CAPCOM VS. SNK』って歴史的なクロスも、両者の営業担当同士が仲良しで成立したんだって」

泉「ゲーム史はあまり知らないけど、つまり歴史は繰り返すってことなのかしら?」

紗南「現場レベルで手を組んで、そこからトップが動いたって意味じゃそうかもねー。
   で、次は961プロイベでイベ報酬が響さん達の別ver、課金枠が玲音さんだね」

泉「『ゲームを通じて歴史的和解 961プロに光明差す』…
  今回のイベント合わせで三条馬さんが黒井社長をグーで殴って説得したら、ずいぶん態度が軟化したらしいですね」

紗南「ちひろさんが言うにはアレが本来らしいよ?
   ヨソの事情は知らないけど、メディアによって人柄が変わっちゃうのはよくあることって。
   なんにしろ、あたしとしては自分がゲームキャラになれるならそれでいいけど」

泉「次々回のイベント用収録ですか。いいなぁ、ニューウェーブイベントとか来ないかなぁ…」

紗南「その前に泉さんは開発現場に立ち入る癖直そう!
   プログラマと一緒にデスマーチしてたらアイドル以前に人間として終わるよ!」

泉「善処します」

紗南(ガチ真顔…これブレーキ止まらないパターンだ!あとで亜子さんに頼むしかない)

泉「それじゃ、収録がんばってね」

紗南「はい!よーし…せーのっ」



紗南「アイドルジオラマフロント!」

[END]

これにて終了でございます。突発的に書きたくなったので久々に台本形式で書いてみました。
うん、耐久値やたら高いステージ20のデビルガンダムを年内撃破できる見通し立たなくなって暴走しちゃったんだ☆

元ネタはもちろん「ガンダムジオラマフロント」。
作中で出たバーストの仕様も同じ(実際にはもう1つ、範囲強化型がありますが)。
新録ボイスが山盛りで一番のライバル機が課金枠に突っ込まれるのも同じです。
…デルタプラスやマスターガンダムはともかくプロヴィデンスガンダムは欲しかったorz

デレマスSSからガンダムゲーやろうとする超奇特な方が万が一いた場合に備えて、一応招待コード置いておきますね。
ログインジオラマフロントは解消されて久しいので大丈夫、大丈夫です…!(初心者に優しいとは言ってない)
ちなみに劇中で泉の言った「クライアント方式とブラウザ方式の並列」は本当に行われています。「ガンジオ」で検索DA!

招待コード:B8HTXQD

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