日本兵「たとえこの身が朽ちようとも」(233)

レイテ島沖

将校「うーん...これはまたエライ霧ですね...」

航海士「はぁ、長い事この海域を通ってますがこんな濃霧は初めてですよ、
その上通信機器の故障ときたモンだ」

将校「通信機の故障は結構痛手ですね、戦車揚陸艦は何とか着いて来れてますが...」

航海士「護衛の駆逐艦と巡洋艦に連絡が取れない限り我々輸送船団は敵のいい的ですからね...」

ゴン... ゴン...

将校「時折、両舷から何かぶつかる音がしていますが...流木ですかね?」

航海士「船員と船長が視察に行ってますからもうじき分かると思うのですがね、
大方、ここいらの海域で沈められた味方の艦の残骸でしょう」

将校「無事にレイテまで着けるといいのですが...」

航海士「はっはっは、自分らはワザワザ宇品から連れてこさせられたんです嫌と言われてもレイテに揚げてやりますよ」

将校「ははは、それは頼もしいお言葉だ、あそうだ、少しばかり兵の様子を見て参ります」

航海士「船酔いはもう止まってますかねぇ」

将校「はは...どうでしょうか、何せ新兵が多い物ですから...では行ってまいります」

航海士「甲板は霧で視界が利きませんからお気をつけて」

将校「はい」
ーー
ーーー

ーーー
ーー
『船室』
ウオエエ!!
ブオエエ!!
日本兵「Zzz...」

「んはぁ...お前よく寝られるなぁ~...」

日本兵「ん...?あぁ...まぁ俺らは慣れてるだろ」

「新兵の船酔いの嘔吐でこっちまで貰いそうだぜ...」

日本兵「仕方ないよ...俺らにもあんな時期があったんだ」

「っても前はココまで酷くなかったぜ?俺らが寝てる所もまるで死体置き場だ」

「死体置き場のほうが広いかもな」

将校「この船も民間のタンカーを徴用した船だ、もとより人を運ぶ設計はして無いよ」

日本兵「隊長?」ノソッ

将校「あぁそのままで良いよ、俺もあまり長居したくないのでね」

「ははは、全く持って同感です」

将校「それで、新兵の方はどうだ?」

日本兵「大方の兵の酔いは治まりましたがまだチラホラと」

将校「そうか、まあ陸に上がれば治まるかな...じつは今濃霧の影響で入港が遅れるかも
しれない、その上通信機がイかれてしまって他の艦との連絡がつかないんだ」

日本兵「それは困りましたね...」

将校「味方の巡洋艦らに連絡が取れない以上敵の潜水艦や偵察機に見つかれば
一貫の終わりだ、すぐにでも最上甲板へ行けるように警戒しろ、以上...では戻るよ」

日本兵「はい、伝えておきます」

将校「あまりシナ戦線で活躍するべきではなかったなぁ...」ブツブツ


「隊長も参ってんだろうな」

ゴンッ... ゴンッ...

「あーうるせえなぁ...!さっきよりも酷くなってるぜこの音...」

「流木にしては数が多すぎるなぁ...」

「おい、見張り交代だ次確かお前だろ?」

日本兵「あぁ、俺だ行ってくるよ」

「霧で何も見えねからボーっとしとけばあっという間にレイテだぜ」

日本兵「ははっ、それはあり難い」

「気イ付ろやー」

日本兵「あぁ」
ーー
ーーー

ーーー
ーー
『最上甲板』

「な?なーンモ見えやしない...」

日本兵「確かにこりゃひどい霧だ...後ろの影は味方の船かな」

「あぁ戦車積んでる船らしいぜ、しかも最新型のでッけぇ砲積んだ戦車積んでるそうだ、これで
アメ公の戦車もいちころだぜ」

日本兵「俺らが爆弾持って突っ込む事は無くなったのならいい事だね」

「っへっへっへ、ホントホン...あぁ?」

日本兵「どうした?」

「いや...今でっかい影が...海面に」

日本兵「敵潜か...?」

「わからねぇ...でも歪な形してたぜ...」
ゴオオン...ゴオオオン...
日本兵「さっきからなってる音と関係あんのかな...」

「った、隊長に...!!」

ゴオオオオオオオオオオオン!!!!!!!! ドゴオオオオオオオオオンッッ!!!!!

『司令室』
ジリリリリリリリリリリリリリッッ
『っな!何だこの蛸オ!!っく、来るなぁ!!ウグアアアアアアア!!!!!』

船長「機関室!!機関室応答せよ!!」

『操舵不能!!操舵不能!!面舵にも取り舵にも動きません!!』
『簡易兵器保管室!!見たことねえでっかい蛸が...ウガぁァァァァァァァ!!!』
『浸水!!兵員室から浸水!!!!処置の施しようが...ウグッ!!』

船長「何が起こって...」

将校「船長!一旦船員と兵を甲板に!」

船長「っは、はい!!総員最上甲板!!繰り返す!総員最上甲板!!」

「伝声管が壊されてます!!」

船長「くそ!」

船長「スピーカー付けろ!」

「はい!」
ビ~ガガッ!!
『船内にいる者はすべて最上甲板へ!!最上k』
ッバーン!!ビリビリビリ!!
船長「ウガァァァぁぁ!!」ビリビリビリビリッッ!!!

将校「船長!!くそ...死んだか...傾斜が酷くなっている、君達も急いで海へ飛び込め!!」

「っは、はい!!」

将校(敵の潜水艦か...?いやしかしこの攻撃は敵潜の攻撃範囲を超えている...)

「隊長!なにボーっとしてるんですか?!逃げますよ!!」

将校「あ、あぁ...」
バキンッッ!!ッゴゴゴゴゴゴゴ...

「沈みます!!海に飛び込んでください!!」

将校「は~...南国の海で海水浴か、っと!」 ヒューン バシャンッ

日本兵「うおおおっ!!」ヒュンッ バシャンッ


???「ブオオオオオオオオオオオン...」


「...あぁ...船が...」

将校「早く浮流物に捕まりなさい、鱶に気を付けて」


ドゴオオオオオオオオオンッッッ!!!!!!!!
日本兵「うおっ!!」


将校「船から離れろ!!爆風にやられるぞ!!」

「カハッ!ゴホッ!!」バシャバシャ!!

将校「おい!早く浮いているものに...」

「カハッ...ウゴ」ズボッ!!

将校「...」

将校「今のは...鱶じゃない...何か違う...」

「おい勢いよく沈んだぞ...」

「な...何か足に触った...なんだよオ...うおっ」ズボッ

「ヒイッ...!!」

将校「みんな!!警戒を怠るな!!浮遊物の上に乗れ!!」

『グロスター海岸』
ッザザーン...ザザーン...
日本兵「...ん...」

日本兵「...あぁ...砂浜...生きてる?」

日本兵「みんなは...隊長は...うっ...ウオエエッ!!」 ビチャビチャ

日本兵「カハッ...ッペ」

日本兵「ど、どこだここは...?」

日本兵「っし、しかし一体何があったんだ...」

日本兵「ひ、ひとまず武器...使える武器は...あ...俺の小銃...」ヒョイ
カシャッ カシャッ
日本兵「よかった...動く...早いうちに潮拭いてやら無いとな...」

日本兵「隠れないと敵の戦闘機にヤられるな...」ヨロヨロ

「もう!僕は大丈夫、ココは僕の庭だぞ?」

「しかし殿下は病み上がりです、そんなに動かれてはお体に触りますよ?」

「はぁ~口うるさい騎士団長の噂はあながち間違ってないかもね~」

「っだ、誰がそのようなことを...?」ヒクヒクッ

「ずっとそんな態度でいたらいつか婚期逃しちゃうかもよ?」

「っま、まだ二十前半です!!」

王子「はぁ~...この海岸に来るのも久々だなぁ」

女騎士「二ヶ月も寝たきりだったのでちゃんと歩けるか心配でしたが...どうやら杞憂のようですね...よかった」

王子「ふふっ、心配してくれてありがとっ...それにしてもやけに漂流物多いね?どこかで嵐でもあったのかな...?」

女騎士「最近の近辺地域での気象では嵐の情報は載っておられませんでした」

王子「...死体だ」

女騎士「王子、見てはいけません」

王子「うん、でも大丈夫...かわいそうに...」

王子「見たことのない服だ...どこかの軍服かな?」

女騎士「このような泥の色をした軍服?を着ている国は...記憶に無いですね
大方、沖に棲んでいるクラーケンかリヴァイアサンに船を襲われたのかもしれません」

王子「いくら海防のためとはいえ...ちょっと可哀想だね...」

女騎士「どうせ、わが国に蹂躙しようとした不貞な輩でしょう、この海域を通る船は大体が侵略者です」

王子「うん...使い者を呼んで埋葬してあげよう」

女騎士「え?別によろしいのでは?海に流して海獣のエサにでもしましょう」

王子「え?でも...」


「う...」


王子「?どこかで声が...」

王子「このヤシ林の...あ!」

日本兵「うぅ...Zzz」

女騎士「この服...浜に打ち上げられていた死体と同じ服ですね」

王子「っだ、大丈夫ですか?」

日本兵「う...ここは...あぁ、寝てたのか」

王子「大丈夫ですか...?」

日本兵「あっ...あぁ大丈夫だ、すまない」

女騎士「王子、離れて下さい」チャキン...

王子「え?」

女騎士「おい男、貴様の国とわが国への領海侵犯をした理由を言え」

日本兵「え?は?」

女騎士「それは武器のつもりか?樫の木の棒と...見たところ細い剣も持っているようだな、わが国に友好的に近づいた訳ではなさそうだな?」

日本兵「...ここはレイテ島で良いのか?」

女騎士「レイテ?漂着している間にボケたか、ここはゼラバンカ王国、ラエ陛下が
わが国を統治しておられる...やはり他国の兵は教育が出来ていないようだ」

日本兵「ゼラバンカ王国...聞いた事ねぇ...太平洋の島の小国か...?」

女騎士「小国...?貴様ぁ!取り消せ!わが国はは数々の列強国の中でも最強の国力を誇る
国だぞ!」

日本兵「っす、すまん...」

王子「君はどこの国から?」

日本兵「大日本帝国だ」

女騎士「大日本帝国ぅ?っは、それこそ聞いた事の無い国だなぁ?」

王子「大日本帝国...聞かない国名ですね...」

日本兵(これはどう言う事だ...?夢でも見ているのか...?)

女騎士「殿下ひとまずこの男をを連行しましょう、何か重要な情報を持っているかも知れません」

日本兵「重要?お前らの国に不都合になるような情報は持ってないぞ」

女騎士「っは、どうだか...」

王子「騎士団長、今は口を挟まないで、まずは貴方の話を聞いてもいいですか?」

日本兵「あ、あぁ...」
ーー
ーーー

ーーー
ーー
日本兵「と、いう所だ」

王子「深い霧...」

女騎士「う~ん...おとぎ話的に言うと違う世界へって連れて来られたって事か...俄かには信じがたいが...」

日本兵(この世界だって十分におとぎ話みたいな物だと思うが...)

王子「と言う事は君は兵隊なんだね?」

日本兵「そうだ、階級は伍長で、数名の兵の面倒を見ていた」

王子「よし、決めた」

女騎士「いかが致しましょう」

王子「彼が元の世界?に帰れるまで僕らが面倒を見よう」

女騎士「御意...えぇ?!」

王子「ん?」

女騎士「えぇ...いや...もう少し様子を見て判断した方がよろしいのでは...?」

日本兵「いや...俺は砂浜で野営するから別にいいよ」

王子「え...でも...」

女騎士「殿下、興味本位での発言は控えた方がよろしいかと思われます」

王子「...」

日本兵「俺の身を案じてもらい真に感謝している、しかし貴方達にこれ以上の迷惑は
掛けられない」

王子「...うん...」

日本兵「俺はこの浜に残って遺体を埋葬します、では」

王子「あ...」

女騎士「行きますよ、そろそろ昼食のお時間です」


日本兵「米くらいは貰っとくんだったなぁ...」 ッザ ッザ

日本兵(こいつ...最後まで船酔いが止まらなかった新兵だ...)

日本兵「...認識票は取っとくか」 ブチッ

日本兵「この小さい真鍮の板がこいつの遺骨の代わりか...」 ッザ ッザ

日本兵「よし...靖国で会おうな...」

『新兵之墓』

日本兵「乾パンか米でも流れてねえかなぁ~...」トボトボ

日本兵「...あ、弾薬箱」カパッ

日本兵「擲弾筒と...擲弾か、こりゃ良い物だ」

日本兵「他にも何か流れてきてないかな...」ウロウロ



日本兵「拳銃と拳銃弾400発に小銃弾500発...多いとは言え無駄使いは出来ないな...」

日本兵「小銃弾の互換性気にしてたが合ってるみたいだ、良かった」

日本兵「まだ何か流れ着くかな...」

そして...

『ナザブ城』

王子「う~ん...」ソワソワ

女騎士「食事に手を付けてないようですが...」

王子「あ、ごめん...」

女騎士「あの男ですか?別に心配するような仲では無いと思われますが...」

王子「でも...なぜか気になるんだ...」

女騎士(ま~た始まった...殿下のお人よしが...)

女騎士「はぁ~...殿下は如何なされたいのですか?」

王子「彼を...元の世界に帰してあげたい」

女騎士「どうやって?」

王子「...分からない...でも彼も帰りたい筈だから」

女騎士「...はぁ...分かりました、とりあえず帰れる目処が付くまで世話をします」

王子「え?ホント?」

女騎士「しかし、この件に関しては私が担当致します、王子はなるべく口を出さないように
お願いできますか」

王子「え...うん...」

女騎士「腹減らしているでしょうし食料を届けて参ります」

王子「ありがとう...」

そして
『グロスター海岸』
女騎士(食料庫を漁っていたら日が暮れてしまった...急がなくては)

日本兵「...」 ッシャー... ッシャー...

女騎士「おい」

日本兵「ん?あぁアンタか...闇討ちにでも来たのか?」

女騎士「貴様を殺めると面倒な事になりそうなのでな、ほれ飯だ」

日本兵「あぁ...すまん、ありがとう」

女騎士「何を磨いでいるんだ?」

日本兵「銃剣だ」

女騎士「あぁ...その貧弱そうな奴か」

日本兵「ははっ...まぁ細いからな」 ッシャー...ッシャー...

女騎士「...お前は元の世界に帰りたいのか?」

日本兵「...正直帰りたくは無い」

女騎士「何故?家族は居ないのか?」

日本兵「家族は...俺の事をあまりいい目では見て居なかった...父は大佐で兄貴は陸軍大尉で弟は陸軍の士官学校卒...
かたや俺は志願からの応募で家族の中での階級もびりケツだよ...」

女騎士「でも帰りを待っている人は居るん物じゃないか?」

日本兵「少なくとも俺の親族には居なかった、士官にもなれない俺は一族の恥だとよ」

女騎士「そうか...変な事を聞いてすまない」

日本兵「俺を慕ってくれるのは兵と戦友位さ...まぁみんないい奴だよ」

女騎士「戦友か...私にも戦友と呼べるほど仲のいい奴がいたらなぁ」

日本兵「なんだ?部隊内で孤立してんのか?」

女騎士「っふ...殿下曰く「君は思ったことをすぐに口にだすからぼっちなの」と」

日本兵「ぼっち...?まぁよく分からないがいい言葉ではなさそうだな」

女騎士「君は何度実戦を経験したんだ?」

日本兵「2度だけだ、もっともその二度の間に活躍してしまって移動の前に伍長という位を賜ったのさ」

女騎士「実質名ばかりと言う事か」

日本兵「まぁそうだな」

日本兵「この浜には輩が上陸しやすいのか?」

女騎士「あぁ、密輸入に間諜、半年前は仮想敵国の斥候部隊がこの浜から上陸してきた
ので流石に焦ったよ」

日本兵「そりゃ流石に警備が甘すぎじゃないか?それともそれがお前の国の仕様なのか?」

女騎士「っわ、私もイケないとは思っている!しかし...如何せん人手不足で...兵の志願率も年々下がってきているし...」イジイジ

日本兵「そりゃ問題だな...ん?列強国の中でも最強の国力ってのは?」

女騎士「...他の国のレベルが低いだけだ...その国々の中ではまともな方なんだ...ウチの国は...」

日本兵「...お前この国が好きなんだ」

女騎士「うん...」

日本兵「...はぁ...すまねぇな、嫌な事言わせてしまって」

日本兵「あー...そうだ、俺の乗っていた輸送艦を沈めた...ありゃいったい何だ?」

女騎士「あぁ、話していなかったな、あれらは我が国の領海を守護する海獣...『クラーケン』
と『リヴァイアサン』、いつもはこの海域には現れないのだが...まぁ貴様らの運が悪かったのか二匹同時に見つかってしまった
のだろうな」

日本兵「あ、あんな化け物がこの世界にはウヨウヨいんのか?」

女騎士「あぁ、数多くの種族が居るぞ?エルフにードワーフに...あとは獣人やら」

日本兵「...すまねえ、さっぱり分からない」

女騎士「えぇ?...貴様の世界には居ないのか?」

日本兵「うーん...イネぇだろうな」

女騎士「だろうなとは何だ」

日本兵「この世の全てを知っていたら兵隊にはならねえって事だ分かるか?」

女騎士「フンッ...さっさと食え...さてと...逃げるか?」

日本兵「...お前は気づいていると思ったが?」

女騎士「戯け、輩もつめが甘すぎたな...」

日本兵「どうする..。?」

女騎士「貴様は樫の棍棒と細剣しか持って居ないだろう?死にたくなければここで指を加えて見ているんだな」

日本兵「っへ、何度死線を抜けてきたと思っている?それにこいつは樫の棒じゃない」

女騎士「じゃあ何だ」

日本兵「小銃さ」 ッダーンッッ!!


「ウギャ?!」


女騎士「...え?」

日本兵「耳、キーンってなってないか?」

女騎士「あ、あぁ...何とか...奴は?」キーン

日本兵「頭を撃ち抜いた...即死だ...」

女騎士「い、一体何を...?」

日本兵「これが我が国が誇る主力小銃『九九式短小銃』だ、反動は強いが...撃つとスカッとするぞ」

日本兵「で...こいつは?」

女騎士「あ、あぁこの薄汚い顔は...国内で指名手配されている間諜だ」

日本兵「俺もしかしてお手柄?」

女騎士「悔しいが...大手柄だ」

日本兵「どう反応すれば良いのか...」

女騎士「しかし今の大きな音で警備兵が来るだろうな」

ピピッーー!! イタゾ!!
_
__

__
_
「山猿はま~だ片付かないのか?」

「はぁ、手を尽くしてはいるのですが如何せん数が多くて...それにJAPはゲリラ戦を
得意をしていますので完全掃討には時間が...」

「はぁ...このクソッタレの丘に何日釘付けにされにゃならないんだ?艦砲は?」

「ここからは射程外です」

ドーンッ... ドーンッ...

「何が射程外だ」

「これは...JAPの砲撃です!!!」
ッドガンッッ!! ボオンッ!!
「くっそ!!航空支援だ!サル山をナパームで焼き払わせろ!!」

「しかしまだ山に行方不明の斥候小隊が...」

「なんだ?まだ見つかってないのか?!あぁもういい!構わずに撃ち込め!」

「撃ち込むって...」

「榴弾でも散弾でも何でもぶち込めって事だ!!」

「っは...はぁ...こちらPB、こちらPB砲撃支援を頼む、砲撃座標は0-1-4繰り返す...」
_
__

__
_
軍曹「小隊長、この霧はいつ晴れるんで?」

大尉「さぁな...でも何時間もココでじっとしている訳にもいかないしなぁ」

軍曹「少佐は今頃ストーブの様に焚きあがってるでしょうな」

大尉「っはは...おい米兵の奴は?」

軍曹「水を汲みに行ったきり戻ってきませんぜ」

大尉「まさか日本兵にやられたのか...」
ッドーン...ッドーン...
軍曹「あぁ...?」

大尉「日本軍の砲撃か?」

軍曹「この方面で攻撃出来る砲兵陣地は...我が軍だけですぜ...」

__
_
米兵「こりゃ参ったな~...霧で何も見えやしないや...」
ッダーン...
米兵「...日本軍かな...?」
ピピーッ!!イタゾ!!
米兵「ウヒイ!!...っか、隠れなきゃ...」

「な、なんだ?!おい弁護しろよ!」

「貴様が勝手に撃ったんだろう、今は大人しくしょっ引かれろ」

米兵(?あの格好は...)


日本兵「離せ!おい助けてぇ!」

女騎士「まぁ...弁解はしてやるから...」

米兵「...こっちに来る」
カシャンッ
警備兵「砂浜で一体何を?」

女騎士「あぁ、ちょっといろいろあってな...あーっと...縄は解いてやれ」

警備兵「っは」
カチャッ
米兵「Stop!Don’t Move!!」

警備兵「...こいつは知り合いですか?」

女騎士「私は知らないが...彼が知っていそうだな」

日本兵「ファッキンマリーンズ!!ファキンマリーン!!」

米兵「銃を捨てろ!!」

日本兵「てめぇこそ動くな!銃を捨てろアメ公!!」

警備兵「あー...捕らえろ」

「っは!」

ナザブ城 地下牢
米兵「...」

日本兵「...」

女騎士「殿下に掛け合って早めに釈放して貰うようにする、少しの間待っててくれ」

日本兵「そうしてくれると助かる」


米兵「...」

日本兵「...」

米兵「あまり殺気立った目で見ないで、今は二人とも丸腰だろう?」

日本兵「戦場で生き残るには、自らが兵器になることだ」

米兵「誰の格言?」

日本兵「死んだ軍曹の口癖」

米兵「ちょっと待て、何で僕の言葉を理解できるんだ?」

日本兵「知らん」

米兵「それにここはどこだ?僕はレイテのジャングルにいたんだぞ?だのに何で中世の欧州
みたいな所に...?」

日本兵「...俺が知るかよ」

米兵「...今は協定を結ばないか?」

日本兵「...協定を結ぶつもりは今のところは無い...殺すつもりもな」

米兵「ふ~ん...話が分かる人で良かった」

日本兵「お前らの国じゃぁ俺らはサル扱いじゃなかったのか?」

米兵「はは、僕の隊では気の弱い兵が恐怖を紛らわす為に日本兵を『サル』と言っていたよ」

日本兵「っへ...そりゃ嬉しい情報だ」

米兵「嬉しい?」

日本兵「アメ公は軍民全員が弱虫ってこった」

米兵「...君の国だってプロパガンダは流すだろう」

日本兵「まぁそうカッカするな、煽りに上手い事乗せられてどうすんだ」

米兵「フンッ...」

日本兵「...俺の所の弱虫って言われていた奴は...みんないい奴ばかりだった...
みんな元気にしているかなぁ...歳は幾つだ?」

米兵「19だ」

日本兵「ほぉ、俺は25だ」

米兵「...」

日本兵「...まぁここじゃぁ歳なんて関係ねえよな、寝る、こちらへ近づくな」

米兵「来いと言われても近づかないよ」

日本兵「そりゃ賢い考えだ...Zzz」

米兵「...」ゴロン
_
__

__
_
大尉「ゲッホ!ゴホッ!」

軍曹「クソッタレェ...ゲホッ!!...砲兵の野朗ひでぇ事しやがる、仲間の斥候を殺す所だったぜ...」

大尉「怪我は?」

軍曹「えぇ、何とか...しっかし米兵の野朗どこへ行ったんですかねぇ?」

大尉「...いったん前線指揮所へ戻ろう、ナパームでも撃ち込まれたら堪らない」

軍曹「えぇ...そうしましょう...米兵の捜索は後だ」
_
__

__
_
女騎士「待たせたな、釈放だ」

米兵「っは、はぁ...」

日本兵「Zzz...」

女騎士「おい、起きろ!二人とも殿下がお呼びだ」

日本兵「ん...おぉ...」


『応接間』

王子「あっ!おはよう!...その人は?」

日本兵「あぁ、新入りだ」

女騎士「お前も新入りだろうが」ポコッ

米兵「っど、どうも...」

王子「ふ~ん...同じ顔つきだぁ...」

女騎士「殿下、この者の処遇を」

王子「あぁ、彼らを...僕の護衛役として僕達の目に留まるようにします!」

米兵「まだココの事詳しく聞いて無いのですが...」

日本兵「えぇ?俺もですか?」

女騎士「おい分かっているのか?名誉な事だぞ?」

日本兵「名誉かどうかは俺が決めるさ...浜の野営地へ行きたいんだが」

王子「うん、誰か護衛つけようか」

日本兵「いやいいさ、出来れば小銃返して欲しいんだが」

女騎士「野営地のテントの中に入れて置いた」

日本兵「すまない」

米兵「ぼ、僕も彼に着いて行っていいですか?」

王子「ちょ、ちょっと待って...まずは君の話を...」
_
__

__
_
『グロスター海岸』
ザザーンッ...ザザーンッ...
日本兵「...」ッザ ッザ ッザ

日本兵「腕だけじゃあ誰か判別出来ないよな...」

『名も無き兵之墓』

日本兵「生存者は...さすがにもう流されてこないか...?」

日本兵「...隊長?」

将校「」

船長?「」

日本兵「...あぁ、みんな死んじまったんだぁ...」

日本兵「ウッ...ウオエエエッッ!!」ビタビタッ


女騎士「...」

米兵「...彼に何が?」

女騎士「この世界に来た事で起きた不幸な事故...それで仲間を皆失った」

米兵「...」


日本兵「ウッ...ウウッ...」ッザ ッザ ッザ

日本兵「こんな墓ですいません...ウッ...」

『隊長之墓』

日本兵「ウッ...ウウッ...はぁ...はぁ」


女騎士「...君は殿下の所へ戻っててくれ」

米兵「は、はい...」


日本兵「あぁ...疲れた」

女騎士「素晴らしい程の男泣きだったな」

日本兵「見てたのか...」

女騎士「国を代表しての謝罪は必要か?」

日本兵「っへ...傷口に塩塗るなよ、お前が殺した訳じゃぁない、沖合いにいるタコ野朗共にツケを払わせてやるさ...」

女騎士「...すまん」

日本兵「やめろ」

女騎士「なんと言っていいか分からないが...すまん」

日本兵「やめろ!頼むからやめてくれ...情けない気分になる...」

女騎士「...」

日本兵「俺は誰に文句を言えばいい...?大本営か?大元帥にか...?」

女騎士「...」

日本兵「...もし帰れたら俺は何を話せばいいと思う?ココで死んだ仲間の遺族に
なんて話せばいいのか...分からないんだ、この国の詳しい事情も把握できてない...」

女騎士「これから知れば良いんじゃないのか、まだ若いだろ」

日本兵「はぁ...一人分の墓を掘るのは疲れるなぁ...」

女騎士「私も手伝おうか...?」

日本兵「...いや、君には任せられない...俺がやらなきゃいけないんだ」



日本兵「はぁ...今日はこの位か」

女騎士「お疲れ様、城に戻るか」

日本兵「野営地があるからいいよ、でも明日顔出すかもしれない」

女騎士「あぁ、殿下に伝えておくよ」

日本兵「ありがとう、お休み」

女騎士「あぁ」
_
__

__
_
『戦場で貴方達海兵隊員が逢引をしている間に故郷の恋人達は別の男と寝ているかも?
今夜位お家へ帰ってあげたらどう?』

「っへ、おい今日の東京ローズは当たりだぜ」

「昨日はばあさんのアナウンサーだったもんな」

大尉「すまない、ここの指揮官は誰かな?」

「っは、指揮官ですか?ここの指揮官は少佐が直接指揮を...」

大尉「少佐はいまどちらへ?」

「通信室で中佐と連絡を...」

大尉「ありがとう」


「ありゃ...行方不明だった斥候隊の隊長さんだぜ」

「おもいッきし砲撃食らってたが...生きてたんだな」


大尉「失礼します!」

少佐「はい...はい...っはっはっは、よろしく頼みます!はい、はいどうも!...おぉ、帰ってきたか!で?JAPの棲家は?」

大尉「っは、人工的な洞穴と竹製のトーチカを発見しました...しかし先刻の砲撃で目標もすべて
消し飛びましたが」

少佐「っはっはっは、それはすまない!君達に当たらなくて良かったよ!」
ブオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!
大尉「...この音は」

少佐「ナパーム弾だ!ぺリリューでJAPを相手に航空隊が使っていたのでな!俺も使いたくなったのさ!」

大尉「っしょ、少佐!あの山に兵が一人行方不明中で...」

少佐「おぉ...それは一足遅かったな、もう山はハゲ山になっているぞ」

大尉「...私達が戻らなくてもナパームを?」

少佐「ん?そんなこたぁないぞ、っはっはっは!!いやご苦労さん!前線へ戻ってもいいぞ!」

大尉「...っ、失礼しました」
_
__

__
_
ッザザーン...ッザザーン...
日本兵「ん...朝か...」


米兵「オーイ...」

日本兵「んあ?どうした?」

米兵「スパム、食べる?」

日本兵「スパム?なんだその化学的な名前は」

米兵「はいっ、食べなよ」

日本兵「ん、おう...」パクッ

日本兵(まずっ...)

米兵「どう?」

日本兵(弟くらいの歳の奴に文句は言えないしなぁ...)

日本兵「あぁ、美味いよ」

米兵「へぇ~美味しいって言う人初めてだ!」

日本兵「...そう...なのか」

女騎士「あれ?飯もう食ってるのか」

日本兵「おう、美味いぜ。食うか?」ヒョイ

女騎士「おう...」パクッ

女騎士「あ、いけるかも」

日本兵「だとよ」

米兵「え~?美味いかなぁ~?」パクパク

女騎士「城へ行かないか?いろいろと会わせたい人たちが居るんだ」

米兵「行く?」

日本兵「あぁ、飯のお礼の代わりに行ってやるか」

女騎士「あんずるな、飯の礼は違うところで返さすさ」

日本兵「つめが甘かったかな...」
_
__

__
_
王子「あ!来た来た!」トコトコ

米兵「おはようございます、殿下」

王子「おはよう!よく眠れた?」

米兵「はい、久ぶりにグッスリと寝られました」

王子「よかった!日本兵は?」

日本兵「あぁ、よく寝られたよ」

王子「えへへ、砂浜で見つけた時よりも元気になってよかった!」

女騎士「殿下、この二人に会わせたい人が何名か居るのですが...」

王子「うん!僕も一緒にいて良い?」

女騎士「はい、今日は業務も無いのでいいでしょう」

王子「わ~い」

米兵「会わせたい人というのは...?」

女騎士「あぁ、着いてきてくれ」

『ナザブ城 魔術・呪術研究部』

賢者「ブツブツ...」

エルフ「ブツブツ...」
コンコン
女騎士「入るぞ」

賢者「あ...」

エルフ「...根本的な問題だな」

女騎士「何だ?また実験でもしてたのか?」

エルフ「うむ、投擲して3秒後、周辺に爆炎と金属片を散らし敵を切り裂く...
と言う兵器を開発しているのだが...火薬と言う物を使用するにあたって火薬の製作方を聞き忘れてしまった」

女騎士「それは問題だな」

日本兵(それ手投げ弾じゃね?)ヒソヒソ

米兵(多分手榴弾の事だね...)ヒソヒソ

エルフ「む?彼らは?」

賢者「新しい家臣かな?」

女騎士「あぁ、話せば長くなるのだが」
_
__

__
_
女騎士「と、言う事だ」

エルフ「ほう、それはまた難儀な事だな」

賢者「異世界へ来てしまったって事か...それは興味深い話だね」

日本兵「何か知っているか?」

エルフ「原因は分からないが過去にも僕らの世界...まぁ所謂「異世界」へ飛ばされた、と
言っていた者は何人か見たことがある」

米兵「その人たちは...?」

エルフ「みなこの世界で亡くなったよ、普通に仕事を見つけ普通に暮らして大往生さ」

日本兵「ふ~ん」

賢者「君は...見た所あまり混乱しているようには見えないね、初めてだよ」

日本兵「っへ、俺が元いた所も異世界みてえな所だったしな」

賢者「ふむ...申し訳ないが僕らに出来る事は余り無さそうだ...」

米兵「まぁいきなりの事ですし...」

日本兵(なぁ、浜に戻っていいか?この二人も迷惑そうな顔してるぜ)ヒソヒソ

女騎士(お、気づいたか...この二人はこの研究室に人を入れる事を嫌うんだ...私は
入っても良いと言われているが)ヒソヒソ

日本兵(日本人舐めんなよ?空気を読むことに関しては他の国の追随をゆるさねえぜ)

女騎士(それって良い事なのか?)

日本兵(知らん、天皇陛下に聞けそんな事)

賢者「もういいかな?そろそろ危険な実験をするので出て欲しいのだけど...」

女騎士「あぁすまん、挨拶させに来ただけだ、もう出るよ」

バタン...

米兵「ふぅ~二人とも綺麗な人だったね」

女騎士「二人ともか」

女騎士(賢者の奴は男なんだがね、黙っておこう)

日本兵「いや~あの二人のなんで来たのみたいな空気はキツイやな」

女騎士「っつーか殿下はどこへ」

ガチャ

賢者「危ないから退室してください!」ポイ

王子「うひゃっ」

女騎士「何しているんですか...」

王子「えへへ...実験場って広いから好きなんだ」
バンッッ...
日本兵「お、実験成功したのかな」
ガチャ モクモク...
賢者「煙しか出ないじゃないか...ゴホッ ゴホッ」

日本兵「おう、発煙筒の開発か?」

賢者「違う...手で投げられる爆弾の開発...ゴホッ!」

女騎士「今回はまだ被害は少ない方だ、前は城全体が煙に覆われたからな」

賢者「またやり直しだ...」

日本兵「おや、耳の長い姉さんは?」

賢者「ん?...あれ?!ゴホッゴホッ!!」

女騎士「まさか...中にいるんじゃ...」

米兵「った、助けなきゃ!」

日本兵「防毒面は?」

米兵「あ...ガスマスク持って来てない...」

日本兵「ったく物資大量にあんのに一つくらい持っときなさいよ...」ガサゴソ

日本兵「入ってくる」スチャ

女騎士「うわ...禍々しい被り物だな...」

日本兵「煙吸うよかマシだ、二人はこの人を頼む。こいつ煙吸ってるぞ」

賢者「っぼ、僕も行く...ゴホッ!」

日本兵(マスク装着中)『モゴモゴ...』ッタッタッタ

賢者「な、何言ってるのか分からない...ゴホッ」

女騎士「お前は残っとけじゃないのか?」

シュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ.....
日本兵『ウーイ...!』

「エホッ!!ゴホッ!!」

日本兵『...ッ』

エルフ「ゴホッ!!ゴホッ!!」

日本兵『オイ!!』

エルフ「っだ...誰...?ゴホッ!!ウエッ!!」

日本兵『クッソ...』スチャ

エルフ「ッハア...ゴホッ」

日本兵「おい!これ着けろ!ゴホッ」

エルフ「っき、君は良いのか...ゴホッ!」

日本兵「ええい話は後だ!」

エルフ「んむ?!んぐっ!?」スチャ

エルフ(ガスマスク装着中)『ッハア...ハアハア...』

日本兵「担ぐぞ」

エルフ『アア...』

日本兵(早めにでねえとな)

エルフ『ゴホッ...!』
_
__

__
_
『医療室』

エルフ「スー...スー...」

医師「今回の事故は少々危険でした、あと少しでも救助が遅れていれば命は無かったですよ」

賢者「全く持って...申し訳ない...」

米兵「謝罪は日本兵にね」

賢者「彼は...?」

女騎士「彼も少し煙を吸ったそうだ、今は寝ているよ」

賢者「そうか...」


日本兵「Zzz...」


「どこの馬の骨とも分からん奴を殿下専用の医療室にだと?」

「あぁ、殿下直々の命令だ...っへ、また殿下の発作さ」

女騎士「陰口なら喫煙室で...兵卒の頃に隊長に教わらなかったかな?」

「っき、騎士団長?!いっ...あーっと...見回りに行ってまいります!」ッダダ

「っじ、自分も!」ダダッ

女騎士「フンッ...」

日本兵「...あまり敵を作ると味方から流れ弾が飛んでくるぞ?」

女騎士「殿下からも注意をうけたよ」

日本兵「そりゃ結構だ...」

女騎士「もう平気か?」

日本兵「あぁ、ちょっと喉がイガイガすっけどまぁ大丈夫だ」

女騎士「後日お礼に行くそうだ」

日本兵「そうか...無理するなって伝えといてくれ、俺は浜に戻るから」

女騎士「あぁ」

日本兵「ゴホッ...ふう、無茶はする物ではないなぁ」
_
__

__
_
『グロスター海岸』
日本兵「...」


「上陸が済んだら本部へ打電しろ」

「っへ、列強だからってお高く止まった国も俺らモルトケ特殊部隊が潜入したが最期だぜ...」

「いいか、人は見つけ次第始末せよ、軍人兵士、民間人でもだ」

「っへ、了解しました...」


日本兵(重要な作戦中に大声で話すなよ...) ッポンッ!!!   ッポンッ!!!


ズゴオオオオオンッッ!!! ズゴオオオオンッッ!!!

「アア...アウ...」

「」

日本兵「...こちらの世界に来ても...俺のする事は変わらないのか...」

「アア...アア...」

日本兵「...まぁ悪いことではねえやな?」ッパン!!

「」


賢者「...ッ」

エルフ「...彼は一体何を...?」

女騎士「また手柄を立てたな...」

日本兵「あぁ...モルトケ何とか部隊だとよ、大声で話していたぞ」

賢者「今のは一体何を?」

日本兵「擲弾筒を奴らにぶち込んだのさ、それとこれ、お前らが開発していた手榴弾だ」

エルフ「ちょ、ちょっと触ってみても...」

日本兵「この麻紐外すなよ、絶対にだ」

エルフ「あぁ...」

賢者「こんなに小さいのか...」

日本兵「もう体の方は大丈夫なのか?」

エルフ「あぁ、君が助けてくれたお陰で大事には至らなかった...本当にありがとう」

賢者「僕からも礼を言わせてくれ...ありがとう...」

日本兵「いいんだよ別に、大事が無けりゃいいんだ」

女騎士「で、こいつらをどうするかだな」

日本兵「埋めてやるか?君が決めてくれ」

女騎士「だな、埋めるか...」

王子「凄い大きな音したけどいったい...」

米兵「大丈夫?」

日本兵「あぁ、ちょっと無礼な輩に擲弾筒をな...あぁ思い出したモルトケ特殊部隊だ、こいつらの名前」

女騎士「モルトケ...ドライゼ第3帝國の部隊か」

賢者「ドライゼ...ちょっと厄介な事になるかもね...」

エルフ「ちょっとで済めばいいな...」

日本兵「ほぉ、因縁の相手と言う奴か?」

女騎士「我が国の敵ではない...が、相手にするとなると結構な戦費と人員を
動かさないといけなくなる...」

日本兵「どの戦争もそんな物じゃねえか?」

エルフ「周辺国はみな弱小国家が多いからな、あまり苦労はしていないさ」

日本兵「ほ~ん」

賢者「ドライゼ帝國は兵の訓練は疎かではあるが...武器や兵器の性能は
我が国の兵器の性能を超えているんだ」

米兵「地味に脅威になる国って結構面倒だよね~」

日本兵「あ?やるか?」

米兵「お?」

女騎士「はいはい、まずは報告だ」

日本兵「報告って誰にだよ」

女騎士「我がゼラバンカ王国の国王 ラエ陛下にだ、陛下自信君達に興味を
持っている」

日本兵「へぇ」

米兵「謁見かな?ちょっと緊張するね...」
_
__

__
_
日本兵「っても礼服なんて海の底だしなぁ」

米兵「あ、僕も置いてきちゃった...」

女騎士「それなら大丈夫だろう、ラエ陛下は懐が広い御方だ...それにそこまで
汚れてないだろう。では扉開けるぞ」

日本兵「...」

米兵「...」ワクワク

女騎士「陛下!入ります!」

「どうぞ」

ガチャコンッッ ゴゴゴゴ...

日本兵(おぉ、引き戸)


ラエ「うむ、謁見の間の扉はやはり引き戸に限る」ウンウン

女騎士「何を仰られていますか、工事費用五千万を使う程の物ではありませんよ?」

ラエ「っで、でも趣があって...それに瀟洒で良いではないか?」

女騎士「(よく)ないです。」

日本兵(おい陛下まだ子供じゃねえか?)ヒソヒソ

米兵(お父さんの代理かな?)ヒソヒソ

女騎士「ご紹介が遅れました、この二名は昨晩申した『大日本帝国』と...君はどこから来たか聞いてなかったな」

米兵「はい、僕は『アメリカ合衆国』、生まれはアーカンソーのコンウェイと言う町です」

ラエ「大に?アメ?」アタマノナカグルグル

日本兵「あー...とても遠い所から飛ばされたと解釈して頂きたい」

ラエ「ええっと...飛ばされたと言うのは?」

女騎士「それは私が説明します」


ラエ「うむ、さっぱり分からん」

女騎士「そうだったぁ...私もまだ良く分からないのに説明なんか出来ないよぉ~...」

日本兵「あ~...端的に言うと、自分ら2人は別の世界から飛ばされて来た。賢者とエルフの
姉さんが言うには、自分らみたいなのは結構いるみたいだ」

ラエ「ふぅむ...それは興味深い、で...君達は同じ世界の、同じ時代の人間であるのか?」

日本兵「あぁ、互いに敵さんだがな」

米兵「と、言う事です」

ラエ「益々君達に興味が湧いてきたぞ!うん、君達は今日から騎士団の隊員だ!」

日本兵(オイどういう事だ!)

女騎士(陛下に興味を持たれた以上は、逃げられんぞ)

日本兵「あ~っとぉ...自分は自転車には乗れるが馬は乗った事無いぞ」

米兵「僕はハーレー...」

ラエ「大丈夫!騎士団の中にも馬乗れない奴いるから!!」

日本兵「それ大丈夫なのかよ」

女騎士「私は乗れるぞ?」

王子「姉上!やりましたね!」

ラエ「当たり前よ!こんな貴重な人材を手放す筈が無いわ!」フンヌッ

日本兵(いつの間に)

女騎士「はぁ...また黙ってこんな事を...」

ラエ「ごめんねー、でも喋ったら絶対止めるでしょ?」

米兵「でもこれで衣食住は揃ったね」

日本兵「俺はまだ野営地で良いわ...」

日本兵(変な事に巻き込まれたら面倒だしな)

日本兵「あそうだ、後で世界地図貸してくれないか?」

女騎士「お?いいぞ、後でテントに届けるよ」
_
__

_____
___
日本兵(世界地図を見た所この世界はゼラバンカ王国を含め3つの列強国がある。西にドライゼ第3帝國、北にエンフィールド大帝国
だ。列強の周りに小国が多数、南にはでかい島も書いてある、その島はコクンボナ公国という国が納めている様だ)

日本兵(東の海域には大小の島々が無数にあり、とても小さな島にも王国がある様だ)

日本兵(先程仏さんになった彼らはドライゼ第3帝國の特殊部隊らしい。とは言っても
作戦中に大声でくっちゃべってる様じゃ兵一人一人の練度はあまり高く無いのかも)

日本兵「うーん...今の所この国の脅威はドライゼか...」

日本兵「奴らが持ってた武器は...石弓か?これ」

日本兵(我が世界ではどこの弱小国でも銃はあったが...この世界は小火器と言うものは無いのか)

日本兵「また地理の勉強が必要かなこりゃ...」ポリポリ


「入るぞ」

エルフ「勉強の邪魔だったかな?」

日本兵「いんや、丁度訳わかんなくなったトコだ」

エルフ「それは大変だな」

日本兵「しかしこの世界は広いなぁ」

エルフ「まだ未開の地も数多くある、その世界地図も来年には役に立たなくなるかもな」

日本兵「そりゃワクワクするなぁ」

日本兵「で、どうかしたか?手榴弾は適当に持ってってイイぞ?」

エルフ「あぁそうだった、君にお礼も兼ねて手料理を振舞おうと思ってね。調理場を借りるよ」

日本兵「イイのか?すまねぇな」

エルフ「料理は嫌いじゃないしね、私に出来る事はこの程度のものさ」

日本兵「飯作ってくれてる間に地理の勉強でもするかなぁ」

女騎士「よ、日本兵、邪魔するぞ…お。エルフ、もう来てたのか?」

エルフ「やぁ、遅かったね」

日本兵「ん?なんか約束でもしてたのか?」

エルフ「うん、女騎士に君に夕飯を作ってあげたいと相談したんだ、それで女騎士も調理を手伝うと」

日本兵「ほーん」

女騎士「では、私も加勢するか」

エルフ「焦げないよう混ぜててくれ」
女騎士「あぁ」


日本兵(何か…春が来た気分だなぁ)

女騎士「ん?どうした?」

エルフ「夕食はもう少し待っていてくれ、
もうすぐに出来上がるよ」

日本兵「いんや何でもない…水汲んでくるわ」

女騎士「あぁ」

エルフ「気を付けてな」
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______

_____
___
日本兵「いやー…何だこの胸の鼓動は…」

日本兵(幼い頃、近所に住んでた八百屋の姉さんに会った時と同じ感覚だなぁ…)

日本兵(ちょっと…頭冷やそう)

ビ-!!ビ--!!

『Sailors! JAP hunt time!repeated! JAP hunt time!
I stray into a sandy beach one!』

日本兵「?!く、駆逐艦?!アメ公の?!」
ダンッ!! パァン!
ヒュンッ! シュッ!

日本兵「やっば!逃げろ!」

ヒュンッ
日本兵「イテッ...!!クッソが!!」ッタッタッタ


女騎士「っな、何だ?!何かあったのか!?」

エルフ「おい怪我しているぞ?!何が

日本兵「いいから逃げるんだよオ!!」ヒョイッ ヒョイ

女騎士「っちょ///!降ろせ///!!」
エルフ「わ、ワイルドだね...///」
ッドン! ッドン! ッドン!
日本兵「駆逐艦まで来てるとか聞いてねえよぉ!!」


賢者「जादुई विस्फोट!!」

ブオンッ!ブオンッ!ブオンッ!

ドゴオオオオオンッ!!バシャーンッッ!!ドゴオオンッッ!!!

 ビーッ!!! ッビッー!!


日本兵「...」

賢者「沈んだようだね、後は沖の海獣が食ってくれると思うよ」

日本兵「っす、すげえな...」

賢者「爆発魔法なんて簡単だよ、君も学んでみるかい?」

日本兵「いや…遠慮しておくよ」

賢者「つれないなぁ」

日本兵「しかし駆逐艦の野郎しっちゃかめっちゃかに撃ちやがって…こりゃ野営地じゃあ
寝られんかなぁ」

女騎士「そっ、そろそろ降ろしてくれるとありがたいのだが…///」

エルフ「右に同じく///」

日本兵「おっと、すまねぇ」ヨイショ   

女騎士「ふぅ…///どうも」キリッ 

エルフ「と、とてもワイルドだったね~…///」

賢者「どうやらまた命を救われたらしいね」

日本兵「いや、今回は俺が原因になるかもな…浜に出なけりゃアメ公に見つからずに済んだんだ」

エルフ「いや、私達を真っ先に助けてくれた事にはかわりないよ、ありがとう」

女騎士「あぁ、感謝するぞ」

日本兵「そう言ってくれると助かる…」

日本兵(駆逐艦まで飛ばされてきやがったか…敵の主力艦隊が飛ばされて来た日にゃ
この国はどうなるのか…)

日本兵「しかし、今日は野宿だなぁ」

女騎士「城に来れば良いじゃないか、部屋なんてたっくさん空いてるぞ?」

日本兵「イイのか?助かる」

女騎士「しかし。わざわざテントなんか張らずにずっと城で過ごした方がイイだろう?」

日本兵「それもそうだが…天幕暮らしも好きなんでね」

日本兵「それに…間諜が上陸して来たらこの国にとっても面倒だろう?」

エルフ「そう言った事は我々の仕事なのにな…申し訳ない」
___
_____

_____
___
『太平洋艦隊総司令部』

ニミッツ大将「ほぉ?行方不明 駆逐艦1隻 戦艦は行方不明無し 空母は護衛空母1輸送艦3 …以上か」

「はい、護衛空母はギルバート諸島攻略の後で行方不明となりました。気になる事は…行方不明艦は全艦通信が途絶える前に、「とても深い霧が出てきた」
と周辺の基地に打電していました」

ニミッツ「ハルゼーはなんて言ってる?」

「ハルゼー大将は「見つけ次第艦長のケツを蹴り上げる」と」

ニミッツ「つまりいつも通り…まだ戦力的には大した損害は無いが、これが続くとちょっと厄介だな」

「大統領も原因の返答を急いでおります」

ニミッツ「こちらでも原因解明に戸惑っているのに無茶を言うな」

「ではもう暫く待てと打電しておきます」

ニミッツ「そうしてくれ、後大統領直通の電話の線も切っとけ」

「はっ、了解」

ニミッツ「ホントに切って欲しいな…」

ニミッツ(深い霧…か、確か海兵隊の方でも行方不明の報告があったな…)

ニミッツ(太平洋は広いが逃げ場所は我らが握っている…では日本軍に沈められたのか?)

ニミッツ「これは…真珠湾以上の大問題になりそうだぞ…」
__
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___
米兵「え?!駆逐艦が?!」

日本兵「あぁ、一隻だけだったがな…」

米兵「そっか…」

日本兵「まぁ…良い気持ちでは無いよなぁ…仲間が死んじまったんだから」

米兵「うーん…まぁ攻撃してきたのはあちらからだからねぇ、戦争だし
仕方ないっちゃあ仕方ないんじゃないかな?」

日本兵「そうか…しかしえらく達観してるのな」

米兵「だって日本兵も撃たれたんでしょ?駆逐艦の兵も撃たれる覚悟があって
撃ってきたと思うよ」

日本兵(いや…あれは狩猟してる気分だったろうが…)

日本兵「そう言ってくれると気が楽だ」

米兵「でも見事に野営地やられちゃったね」

日本兵「あぁ、建て直すまでは城で世話になるよ」

米兵「最初からそうしなよ」

日本兵「あまり世話になるのは忍びないからな」

米兵「ふ~ん」

日本兵「それより城には図書館はあるか?ちょっと寄って見たいんだが...」

米兵「あぁ確か王室の近くに書庫があったよ、まぁ僕らが入れるかどうかは
分からないんだけどね...」

日本兵「行ってみっか」
_
__

__
_
日本兵「ふ~ん...」

日本兵(ここゼラバンカ王国は約九百年もの歴史があり初代国王が今の領土を統治
して以来この国は領土の拡大も縮小も無くおおよそ平和に暮らしているらしいが...何でもここ数十年に渡り
各地で紛争や内乱、そして小国同士の併合や戦争で他国の領土は目まぐるしく変わっており
今の地図の国境の線はほぼ書き直さないといけない位に意味を成さないようだ...)


米兵「へぇ~この国ってそんなに歴史あるんだ~凄いな~」

日本兵「どこの国にだって歴史はあるだろ?アメリカだって歴史は短いが結構ゴチャゴチャしてるだろ」

米兵「うん」

日本兵「んなこたぁどうでもいいんだ...異世界への転生?神隠し?の類の本はどれだ...」

米兵「そんなマニアックな本あるかなぁ~...奥探してみるね」トコトコ

日本兵「おうよ」


女騎士「私達に黙ってお勉強会かな?」

日本兵「うおっとぉ?!いきなり出てこないでくれよ...」

女騎士「いきなり出てくるも何も、勝手に書庫へ入られては困るぞ?重要書類も
あるんだからな」

エルフ「まぁまぁ、この国の歴史を学んで頂く事は悪い事ではありませんし」

女騎士「私は勝手に書庫へ入った事の問題を指摘しているのであってだな…」

日本兵「あぁすまねぇ、ちょっと暇だったもんでよ…」

女騎士「べ、別に…次は一声掛けてくれたら一緒に…」モシモジ

エルフ「女騎士よりも私の方が知識は豊富だぞ?」

女騎士「な、何を?!」

日本兵「わ、わかった!わかったから!次は二人に声かけるから!」

女騎士「フン…まぁそれでもいい…」

日本兵「な、拗ねる事はないだろ…」

米兵「乙女心は複雑なんだよBOY」

日本兵「…」

米兵「じゃあ許しも得た事ですから改めて奥の方見てくるね~」

日本兵「しっかしまぁ...随分と国境の移り変わりが激しい時代に来ちまったもんだなぁ」

女騎士「まぁそうボヤくなよ、君とこうして出会えたのも何かの縁だ」

日本兵「っはっは、そりゃ光栄な...」

日本兵(俺らの配属先のレイテはどうなってんのかな...味方は...)
_
__

__
_

米兵「う~ん...書庫っても結構広いなぁ」
ピピピ...

米兵「...?こんな書庫の中に鳥が...?」

米兵「...霧」

ッパシュンッッ!! ッパシュウウウン!!

「射撃用意!!」

「あぁ?!おい新兵か?!んなとこいたら重機関銃の餌食になっちまうぞぉ!こっち来い!!!」

米兵「え?え?」

曹長「新兵でも頭イカれるにはまだ早いぜ!!こっちこい!!日本兵がこっち来るぞ!!」

米兵「え...?っは、はあ...?」

中尉「おや?見ない隊だな...まぁいい!今はネコの手も借りたいんだ!!バズーカ使えるか?いんや使えなくたって良い
日本兵は密集してくるから適当に撃っても当るさ!勲章がガッポガッポ貰えんぞ!!ッハッハッハ!!」

曹長「中尉!講義の時間はあまり無さそうですぜ!敵が来た...」ジャキンッッ

米兵「ここは...一体...」

中尉「はぁ?!もうイカれちまったのか?!まぁいいさ!いいか新兵!!ここはこの世の地獄...オキナワだ!」

曹長「ようこそ新兵さん!」ッドドドド!!!ッドドドドドド!!!!

テンノウヘイカバンザイ!!! バンザーイ!!!! ウオオオオオオオオオ!!!!!!
米兵「オキナワ...?」
「敵襲!!」

ッダン!! ッドオオン!!

バシュウウウウウウウウウウンン... バシュウウウウウウウウウウウウンン...
「きゅっ!!臼砲!!!化け物臼砲だぁ!!!」
ドゴオオオオオオオオオオオンンンンンッッッ!!!!!! ゴオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!!!!
米兵「...今何年?」

曹長「1945年だ新兵!!JAPの芸者ガールは目の前だぜ!!」ズドドドドドッッ!! ズドドドドドッッ!!
ドオオンッッ!! ズドオオンッッ!!
_
__

__
_
ッターン...  ドオン...
中尉「さぁてと...被害は?」

曹長「さっきのドデカイ臼砲で第一防衛線の重機関銃中隊が全滅、迫撃砲の陣地も兵ごと
吹っ飛ばされて被害不明、我が隊の行方不明は12人です」

中尉「そうか、ご苦労。新兵!よくやったなぁ!」

米兵「っど、どうも...」

曹長「あのバズーカ捌きはすごかったなぁ」

中尉「日本軍の中隊がまとめて吹っ飛んで行ったのは壮大な光景だったなぁ」

曹長「KATANAと南部でも鹵獲しましょうか」

米兵「え...」

中尉「?どうした」

米兵「あ、何でも無いです...」

米兵(...ずっと日本兵といたからなんか複雑だなぁ...)

ウウッ... アー...アアー...
ッタン!! ッタンッタン!!
「おい衛生兵!JAPに包帯は要らねえぞ!7.62mm弾で事足りるぜ!ッハッハッハ!」


米兵「...ッ」

中尉「あぁ、あんま難しい事は考えんさんな、あいつも弟が日本軍に殺されたらしいぞ」

曹長「レアな刀ねえなぁ...っお、んだ写真かよ...」

中尉「ゲイシャか?」

曹長「いえ、家族の写真でしょう。この日本軍将校良いとこの生まれですよ多分」ッポイ

米兵「...?」ヒョイ

米兵(...右端の人の顔...日本兵に似てるなぁ、名前なんて読むんだろ)

中尉「マスカワ...」

米兵「え?」

中尉「その死んだ将校の名前はマスカワ、下の漢字はわかんねえ、階級は大尉だな」

米兵「分かるんですか?」

中尉「こう見えても俺は大学の講師だったんだぜ?今じゃ見る影もないがな」

米兵「へえ...」

中尉「お前...そのワッペン第一騎兵師団だろ?どうしてココに居るんだ?」

米兵「あ...えーっと...」

中尉「...話してみろ」

米兵「...はい...」
_
__

__
_
ッザザーン... ザザーン...
日本兵「...」

女騎士「...見つからなかったな、米兵」

日本兵「あぁ、元いた時代に戻れてたらいいがな」

女騎士「だな...」

日本兵「家族の下に帰れたらいいなぁ」

女騎士「そうだな...」

日本兵「...」ッス

女騎士「?なんだそれは」

日本兵「コレ、俺の家族の写真だよ...兄が第二十四師団に配属される前の日に撮ったんだ」

女騎士「...ふーん、右端が日本兵か?」

日本兵「あぁ、唯一俺の事を可愛がってくれた兄だ、一緒に写ろうって言ってくれてな、右端に
追いやられたが...まぁ俺も一緒に写りたかったしいいかな」

女騎士「兄はどこへ送られたんだ?」

日本兵「言ってもわかるのかぁ?...確か最初はハルビンってとこで何年か国境警備してて...その後...
確か第32軍ってとこに兄のいた部隊が編入されたらしいぜ」

女騎士「ほお...さっぱりだな」

日本兵「当たり前だ、俺もさっぱりなんだから」

女騎士「っははは...」

日本兵「っはは...でも...イキナリどこかに飛ばされるのは怖いな」

女騎士「...お前も行くのか?どこかへ」

日本兵「んなもん知らんがな」

女騎士「...私的には...お前にはどこにも行って欲しくない...」

日本兵「ふうん、何故?」ニヤニヤ

女騎士「お、お前...分かってて...///」

日本兵「っはは、冗談だよ冗談、生まれてこの方女っ気がねえもんだから
女の扱いがよくわかんねえんだよなぁ」

女騎士「ったっく...///」

日本兵「やっぱ俺テントで寝てて良いかな」

女騎士「駄目だ、もう部屋を用意したんだぞ」
_
__

__
_
リーン.. リーン...
日本兵「...ンッ...ウウッ...」

日本兵「...布団...あぁ、城かぁ...ここ」

日本兵「...便所」ノソッ

日本兵「...場所聞いてねえや...」
_
__

__
_
日本兵「アア...」チョロロロロ...

日本兵「...裏庭で立ションしてんのバレたら怒られるかな」


「聞いたぜ、あの例の漂流者が城にいんだって?」

「あぁ、騎士団長様の別室に寝てるらしいぜ」

「へぇ?あの鬼騎士の騎士団長ぉ?何でまた今更になって色気付いてんのかねえ」

「さあな、もう一人の奴はどっかに姿くらませやがったし、もっぱらどこぞの国のスパイだって
噂もあるぜ」トコトコ

「っへ、案外そうかもな... トコトコ


日本兵「...まぁ普通に考えていい顔はしねえやな...」

_
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__
_
『城下町』
ヤスイヨー!! トレタテダヨー!! 
日本兵「...城下町は広いなぁ」

女騎士「あぁ、この国で一番デカイ町だぞ、国中の産物から外国の特産物も
安く買えるんだ!」

エルフ「まぁ関税かかちゃって割高なのもあるけどね」

日本兵「ふーん、さすが首都」

「おっ!兄さん外国人かい?じゃあこの国の特産品さね、今日朝方砂浜で拾ったもんだ!あと何か名前かいてた布だ!
いい綿だぞこりゃ!」ッス

『第16師団 大川 清 中尉』

日本兵「...」

「金属のこれは外国の貨幣かね?こりゃ」

エルフ「あー...大丈夫か?」

女騎士「商人、これは...その、彼の...」

日本兵「おやっさん、コレ幾ら?」

エルフ「ちょ、いいのか?」

「30Gってとこさね」

日本兵「30...」ガサゴソ

女騎士「その位金額なら私が出そう」チャリン

エルフ「わ、私も出すよ」チャリン

「お!金を女性に出させるたぁ憎い男だねぇ!まいど!」

日本兵「っど、どうも」

女騎士「日本兵、いいのか?アレは君の仲間の者だろう?」

エルフ「ここら辺の出店にも出回ってるんじゃないか?商人にこれを死者の物と説明すればこちらに引き渡してくれる筈だ」

日本兵「ここの商人らも生きてくにゃ金が必要だろうしな、仕方ないよ」

女騎士「しかしな...」

日本兵「いつまでもクヨクヨしてたって仲間が生き返る訳じゃねえ、それに個人的な問題だ、二人にこれ以上の迷惑は掛けられねえよ、ずっと心配かけてすまんな」

女騎士「...いや、出来る事があるなら手伝うよ、ずっと」

エルフ「あぁ、私もそのつもりだ」

日本兵「...ありがとう」
_
__

_
中尉「...」

米兵「...」

中尉「あー...その日本兵とやらはどんな奴だ?」

米兵「階級は確か...伍長でした...頼りがいがあって...とてもいい人でした」

中尉「...そっか、実はなココ最近兵の失踪が相次いで発生しているんだ」

米兵「兵の失踪?」

中尉「あぁ、兵だけならナンボカマシだ...噂では護衛空母と駆逐艦も何隻か...」

米兵(駆逐艦...そう言えば...)

中尉「何か知ってるか?」

米兵「駆逐艦が一隻、沈められました」

中尉「何だって?!」

中尉「駆逐艦が...日本軍か?」

米兵「いえ...アレはなんと言うか...魔法?」

中尉「ッハアー...」

米兵「海軍の方が先に撃ってきたらしいです、日本兵めがけて...」

中尉「駆逐艦がやられた所は見てないのか?」

米兵「はい、しかし浜辺に水兵らの遺品と思われる物が漂流してきたので...」

中尉「クッソ...何てこった...」

米兵「...」

中尉「いや...仕方ない事だ...うん...」

中尉「一緒に司令部へ来てくれるか?大将さんにお前の事を話すんだ」

米兵「はい...行きます」

中尉「よし...」
_
__

__
_
『カミンボ海域』

「駄目です、オアフにもポートモレスビーにも連絡してみましたが...通じません」

「そうか...何か動きがあるまで続けろ」

「了解」


バタンッ

『リスカム・ベイ』飛行甲板
ブルルルルルルッッッ...
整備士「ホーク少尉!!また飛ぶんです?!」

ホーク「あぁ、海図と母艦の位置が合わないんじゃ飛んで確かめるしかないからね!!」
ブルンッ!! ブルンッ!!
整備士「お気を着けて!」

ホーク「あぁ!!」
ヴウウウウウウウウウウッッ!!!! ブウウウン...

「どうせ位置なんか分かりっこねえさ」
整備士「はは...航空機の燃料の燃料も無限にあるわけじゃないからいい加減飛ぶのは控えて欲しいな」
_
__

__
_
上空

ホーク(やはりどこの海図にも載ってない地形...ニューギニアでもないしフィリピンでもない...
我々が見た事も無い島だ...いや...島と言うより大陸か?)

ホーク(高度を下げて海岸線を飛んでみるか)
ブウウウウウン.....

日本兵「おーおーアメ公の物が沢山流れて着てやがる」

女騎士「前に攻撃してきた奴らか...どうする?」

日本兵「う~ん...ほっとく訳にもイカンしな、病気とか怖いし」

女騎士「そうだな」


ブウウウウウウン...


女騎士「ん?何だこの音...?」

日本兵「いやーな音だな...こりゃ」

ブウウウンッッッ!!!!!

日本兵「ッグ、グラマン!!!?」

ブウウウウウウンッ...

ホーク(ん?あれは...日本軍兵士か?ならばこの付近の島ではニューギニアか...いや...んん?!)

ブウウンッッ

ホーク「...中世騎士の...鎧?」

ブウンッ!!

日本兵「ヤベェ...敵さんの飛行機まで出されたらヤバイぜ...」ガクガク

女騎士「いっ今のは?!空を飛んでたぞ?!凄い速さで!?」

日本兵「米兵のお仲間さ...また来た!!」
ブウウウウンッッ!!!!!

ブウウンンッッ
ホーク「ありえない...」
ブウウンッッ...


日本兵「いったか...ふう」

女騎士「お前は一体どんな国と戦争していたんだ...?」

日本兵「あぁ?さぁな、多分化け者じゃねえか?」

女騎士「はぁ...怖かった...」

__
_
『リスカム・ベイ』 司令室

ウィルトジー「...終わりか?」

ホーク「以上です」

ウィルトジー「...南方に中世の騎士...ねぇ、南方に居住しているブルジョアの変態趣味じゃないか?」

ホーク「であるならば良いのですが」

ウィルトジー「...君にこの情報を喋るのは初めてだったかな」

ホーク「?」

ウィルトジー「ココ最近太平洋方面で、艦船の行方不明が相次いでいるんだ」

ホーク「...潜水艦で沈没させられたのでは」

ウィルトジー「俺も最初はそう思ったよ、詳細はこうだ『突如深い霧が現れ、船団を包み込んだと思うと輸送艦が何隻か姿を消した』だ」

ホーク「...」

ウィルトジー「そして、俺らも行方不明艦の一隻になったんじゃないかってのが俺の考えだ」

ホーク「そんな...有り得ない」

ウィルトジー「まぁ有り得んって思うよな...普通は」

ホーク「だったら」

ウィルトジー「その中世の騎士様も...変態趣味であれば良いが、もしかしたら
俺らはそう言う世界へ着ちまったのかもしれん」

ホーク「ではあの日本兵は...」

ウィルトジー「そいつも同類かもな、一人で流されたか部隊が丸ごと流されてきたか...それを解明させるぞ、いいな」

ホーク「了解」
_
__

__
_
ブウウウン...


日本兵「...ッチ」

日本兵(駆逐艦まで来てんだから...敵さんの空母もいるわなぁ...)

日本兵「それが一つか二つか...まぁ分かったって俺に勝ち目はねえが...どうやって過ごすか...
移動するしかねえかな...」ブツブツ

エルフ「なに独り言言ってるんだ?」

日本兵「あ...あぁ、ちょっとのっぴきならねえ事態になっちまってさ...」

エルフ「例のヒコウキって奴か?」

日本兵「あぁ、味方のなら良いんだが、敵の航空機でなぁ...どうしよ」

エルフ「お前が怯えるなんて...そんなに強いのか?」

日本兵「俺を何だと思ってんだ...」

エルフ「だ、だっていつものお前は強いから...お前が怯える所は見た事ない...」

日本兵「...」

日本兵「...いや...大丈夫だ、心配ねえよ」

エルフ「ッホ、ホントか?」

日本兵(アイツらの目的は...おそらく我が軍の部隊の有無...こいつらに影響は無い筈...俺が居なければ、だが...)

日本兵「...移動するしかねえか...」

エルフ「え?」

日本兵「いいか、女騎士達に伝えてくれ」

エルフ「...?」

日本兵「あのヒコウキは俺が居なければお前達に危害は加えない、だから俺はこれから移動する」

エルフ「い、移動って...どこへ?」

日本兵「どこへでもさ、この国に危害が加わらないトコ」ガサゴソ

エルフ「え、っも、もう行くのか?女騎士達に...陛下に何か...」

日本兵「あぁ、それならエルフから頼めるか?」

エルフ「はぁ?っば、バカ言うな...殿下も陛下も日本兵の事を大層気に入っておられる...」

日本兵「それは嬉しいが...この国に危害が加えられては遅い」ガサゴソ

エルフ「...勝手すぎるぞ...」

日本兵「...」

エルフ「いきなり現れていきなり消えるのか...?」

日本兵「いいだろ、俺は別にこの国に思い入れはねえし」


女騎士「...どこへ行こうと言うんだ?」

日本兵「うおっ...」

女騎士「話は大体聞いた、あのヒコウキがこの国を攻撃するかも知れないから...か」

日本兵「そこを聞いていたなら安心だ、じゃぁな」

女騎士「...行くのか...」

日本兵「あぁ行く」

女騎士「逃げるのか...?私達を置いて」

日本兵「あのヒコウキの国は味方には危害を加えんだろう」

女騎士「訳も分からない奴らに従属しろと言うのか?」

日本兵「米兵のいた国だぞ?大丈夫だろ、それに俺だって訳の分からない国から来た一人だ」

女騎士「お前は信用できる、お前の国は知らないが...お前は信用できるんだ」

日本兵「味方を安易に信用する癖はどうにかした方がいいぞ」

女騎士「...ッ」パアンッッ!!!

日本兵「ッツ...新兵時代を思い出すなぁ...心が篭っているか居ないかの違いだけだが...」

日本兵「...じゃぁな」

女騎士「...ッフグゥ...ウグッ...ヒッグ...」


日本兵「...」ッザッザッザ
_
__

__
_
3ヶ月後...

ウィルトジー「この度は我が空母に起こし頂誠にありがとう御座います」

ラエ(デカイ...)

王子(デッカ)

ウィルトジー「ははっ...まぁ最初は驚くものですよ」

女騎士「この度はお招き頂き誠にありがとう、ゼラバンカ王国家臣一同を代表しお礼いたします」

ウィルトジー「勿体無いお言葉」


ホーク(...美しい)

(あちゃーホーク中尉の目に止まっちまったぜ)ヒソヒソ

(こうなりゃ俺らにはお零れも貰えやしねえな)ヒソヒソ

(陸に上がれたらいっくらでも居るぜ)ヒソヒソ

ホーク「お初にお目にかかります、私、ホーク・ギルバートと申します」

女騎士「ん?初めて?何時か君が空を飛んでいる所を見たのだが」

ホーク「おぉ、まさか顔を覚えられていたとは」

女騎士「奇怪な物に乗っている奴の顔はイヤでも忘れられないものだ」

ホーク「っはっは、手厳しいなぁ」

女騎士「今日はこの船の乗員の上陸許可だけですのであまり長く話は出来ませんね、また機会があれば」

ホーク「ええ、その日を楽しみに待っています」


整備員「振られましたね」

ホーク「っはは、強気な女性だったよ」

整備員「また乗員から総スカン食らいますよ?前にもプレイガール達を手篭めにして大尉から恨みを
買ったばっかでしょ」

ホーク「今回は気をつけるさ」

ウィルトジー「逢引もいいが日本兵の情報を聞いてもらわなければ困るのは俺らだぞ」

ホーク「っす、すいません」

ウィルトジー「そうでもせんとオチオチ上陸すら出来んからな」トコトコ


整備員「怒られましたね」

ホーク「気をつけないとね」

整備員「どうでもいい情報でしょうが」

ホーク「ん?」

整備員「カッセル少尉もあの女性を気に召している様子ですよ」

ホーク「ッゲ、カッセルもかよ...」

整備員「あの女性が勇猛な男が好きなんだったら、カッセル少尉のスカーフェイスでいちころでしょうね」

ホーク「あれ掃除用具で出来た傷だぞ?航空兵学校でフザケテ遊んでて出来た奴だぞ?」

整備員「っはっはっは、分かってますよ、でもカッセル少尉の戦績聞いたら驚くでしょうね」

ホーク「なるたけ会わせないようにするか...」
_
__

__
_
『スタンレー古道』

日本兵「...」


「イクラデ買ウ?今回ノ奴隷ハイイモノソロッテル」

「まずは品定めだ、アッチ行ってろ」

「イソイデモニゲナイネ」


日本兵「奴隷の売買ねぇ...」カチャ...

日本兵(...ん?撃っていいのか?ちょっと待てちょっと待て)
カサッ
日本兵(なんで撃とうとしたんだ...撃って、後の奴隷達の始末はどうするんだ...)

日本兵「...」


「コドモ、異種族、イッパイハイッテル」

「ふうむ、上玉そろいだな」


日本兵(助ける義理なんてあんのか...今助けられても奴らだって困るだろ...)

日本兵「...」チラッ


子ども「...」ブルブルブル


日本兵「...」

日本兵「アーくそ」カチャ...

__
_
3日後
ワイワイ... ヤスイヨー!!
ホーク「ココが首都ですか...」

女騎士「はい、交易の中心地で、関税は免除されているから各地の特産品がここで買えます」

カッセル「っほお~!!こりゃすげえ!!なあ!?」

ホーク「カッセル、やかましいぞ」

カッセル「サンディエゴよりもでけえ街だぜこりゃ!ウヒョ~!」


ホーク「すいません、彼はちょっと単純で...」

女騎士「いえいえ」

ホーク「...誰か、遠くに居る人を考えている...」

女騎士「え?」

ホーク「そういう顔ですよ」

女騎士「そうですか...」

ホーク「...前に海岸で見かけた日本軍兵士がを見かけませんが、どちらへ?」

女騎士「知りません、どこへえでも...私達に危害が加わらない場所へ行きました」

ホーク「そういう事ですか、彼は我々の攻撃を恐れ...」

女騎士「それは違う!彼は勇敢だ!彼は怖い物知らずで...何時も私達を助けてくれて...」

ホーク「しかし私が初めて彼を見たときは、そうだな...何処にでもいる普通の日本兵でした、制空権を失い我々の攻撃を恐れコソコソと隠れる
何処にでもいる日本兵だ」

女騎士「...」

ホーク「...いや、この話はやめにしましょう」

カッセル「んお?例のJAPの話か?」

女騎士「JAP?」

ホーク「あ、いえ、こちらの話です」

カッセル「あそうだ、JAPといやあガルヴァニック作戦の時によぉタラワのJAP共を攻撃したんだ!」

ホーク「やめろカッセル」

カッセル「作戦中は俺ぁ18回程出撃したんだが、最後の攻撃は特別にナパーム弾積んでてよ!俺が投下したナパームが敵の
火薬庫に引火したんだ!!」

ホーク「やめろ」

カッセル「そしたらBOOOOM!!!島を揺るがすほどの大爆発だ!!ふと見たらJAP達が天高くまで吹っ飛んでた!!面白かったぜあんときゃぁ!サルのアホ面は
そうそう拝めるモンじゃねえ!!あ、そうだ!ここに居るらしい例のJAPも俺が殺してやるよ!ッハッハッハ!!!!」

女騎士「ッ...!!」

ホーク「おい!!いい加減にしろ!」

カッセル「な、なんだようっせえな...お前だって桟橋のJAPを撃ちまくってただろ...?笑いながら...」

ホーク「も、申し訳ありません姫君、不快な思いをさせてしまった」

女騎士「...私は姫君ではありません、この街は広いので迷わないように注意して下さい」ツカツカツカ

カッセル「あ、行くのか?」

女騎士「仕事がありますので」ツカツカツカ

その頃
『城下町郊外』
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオイイイイイイイイ...

「な、何だ?」

「神の怒りじゃ...」ブツブツ...

ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!
ドドドドドドドドドドドドドド...

「あ、あれは?」

「っば、馬車だ!凄い勢いで...しかも奴隷を乗せる馬車だぞ!あれ!!」

「女騎士ァ!!!!」ブウウンッッッ!!!!!

「うお!!早い!!」

「神の旋風じゃ...」ブツブツ...
_
__

__
_
ホーク「先ほどの無礼な発言の数々をお許しください」

女騎士「無礼と分かっていたのなら何故発言したのでしょう?」ツカツカ

ホーク「あ、いえですから...」

女騎士「私には業務がありますので、貴方は観光でもして下さい」ツカツカ

ホーク「あ、え...」

女騎士「...?」ピタッ
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド....

女騎士「何だ...?何の音だ...」

ホーク「凄まじい勢いでこちらに向かって来てますが...あれは...馬車?」

女騎士「...帰ってきた」

ホーク「え?」

日本兵「アアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!トマッテエエエエエエエ!!!!」ドドドドドドドドドドド!!!!!!!


女騎士「止まれ!!!!」

ヒヒーーンッッ!!! ブルルッ
ピタッ

日本兵「ウオウ!!」ポイッ

ガシッ!!

女騎士「大げさな帰還だな」

日本兵「ヘヘッ、女にお姫様だっこされるとは...んなこたあどうでもいい!!おい!!」グイッ

女騎士「え?え?」

ホーク「女性の胸倉を掴むとは紳士の風上にも...

日本兵「外野ァ””!黙ってろォ!!!」

ホーク「...っ」

女騎士「な、何だ...随分な挨拶だ...

日本兵「てめぇンとこの政治はどうなってやがんだ?!」

女騎士「?!?!」

日本兵「アーックソ...はあ~疲れたァ~...」ガクッ

女騎士「は、話は後で聞こう、一先ず城へ...」

日本兵「...あらら、米兵さんが多く居るじゃないか、ここは」

ホーク「...」

女騎士「そんな事よりも城へ」

日本兵「ああ...」
_
__

__
_
女騎士「何だってそんな走ってきたんだ...?」

日本兵「何でもクソもねえよ...奴隷売買なんて初めて見たわ」

女騎士「あー...それか...」

日本兵「知ってんのか...?」

女騎士「まァ...度々話は聞く物でな、禁止はされてはいるんだが...対応が追いつかなくて...」

日本兵「バッカ野郎てめえこの!知ってんなら何故ハナッから...

王子「あァ!日本兵だ!!ッダダダダダダダッダ ボスンッ

日本兵「ウグッ...鳩尾に...」

王子「今までどこ行ってたの?!みんな本気で心配したんだよ?!」ガクガク

日本兵「ッスすまん...ちょ、離して...苦しい...」

そして...
日本兵「っこ、殺されるかと...」ゼエゼエ

王子「ごめん」

日本兵「心がだな...」

賢者「ねぇ、どこまで行ってたの?」

日本兵「あぁ、この国の山間部をずっと彷徨ってたんだ」

賢者「何だってそんなチャレンジを...」

日本兵「金持ってねえ事に出た後気づいてよ...っても身よりも無いし、山での
野営は慣れてたし」

エルフ「王子~ラエ様が...」

日本兵「っよ、よう...」

エルフ「に、日本兵...いつ...」

日本兵「ついさっき...」

エルフ「ッ~」ギュッ

日本兵「うおう...///」

女騎士「ちょ、お前...」

賢者「何で戻ろうと思ったの?」

日本兵「あぁ~なんつうか...捕まった子らを預けた後...お前らに会いたくなったっつうか...ウン」

エルフ「ッヒウ...エウッ...」

ラエ「ちょっと遅い...うおあ」

日本兵「お元気そうで」

ラエ「日本兵...あんたぁ...」

日本兵「いや...怒らないで」

ラエ「ビンタ一発」

日本兵「や、辞めて...痛いのは...」

日本兵「まぁ...そのなんだ...すまん、我侭言ってて」

女騎士「...っふふ、二度と許さんぞ」

日本兵「え」

賢者「現在進行形で女を泣かせているようじゃ...反省の色が見られない」

エルフ「エッグ...ヒッグ...」

日本兵「ちょ、もう泣かないで...」

王子「っはは、みんな元気戻ったね」

ラエ「なーんで毎日お通夜みたいな空気漂わせてたのかしら、線香くさいったらありゃしない」

日本兵「なんか減らず口が...」

女騎士「今日は宴だな!」ギュッ

日本兵「ちょ、暑い...///」

賢者「男に抱き着かれるのは?」

日本兵「お前は...中性的だからイケル」
_
__

__
_

『首相官邸付近』
~♪
「何だこのけったいな音は...」

独兵「幹部連中の頭がいかれたのさ、いまや首相官邸ないは将校らが飲めや歌えやのバカ騒ぎ...」

「っへへ、そんな奴らを守ってる俺らも相当行かれてんのかもなぁ...」

独兵「っへ...言うなよ...」

隊長「よお、移動だ」

独兵「ハイル、移動って...何処へ?」

隊長「知らん」

独兵「知らないって...」

隊長「SS親衛隊の幹部連中が何匹か逃げ出すそうだ、俺らはそれの援護だ」

独兵「何でそんな奴らを俺たちが...」

隊長「上からの命令だ、軍人は命令で動くんだ、今の俺らに出来る事は
それしかないんだ」

独兵「ッ...」

「ベルリンは...ドイツはもう崩壊する...」

「それもいい、あいつらのアホ面見て死ねんなら何処までも着いてってやりますよ、隊長」

隊長「いい忠誠心だ...ここでバカ共の奏でるジャズ聴いてたら頭が可笑しくなる...行くぞ」

「あいよ」「はい」「了解」

『集合場所』

独兵「...居ませんね」

「あの親衛隊の豚共逃げやがったのか?」

「そうに決まってら!腰抜け共が!」

独兵「どうします?」

隊長「腰抜け共が来てないなら...俺らは近くの戦場に行くしかあるまいなぁ」

独兵「この近くの作戦区域は...アンハルト駅に装甲師団と義勇隊が...」

隊長「行って見よう」

「いいんですか?官邸の陣地に戻らなくても」

隊長「いいんだよ、アイツらを守るために俺らは戦ってんじゃねえ」

独兵「一人でも多くの市民を脱出させる為に...ですか」

隊長「そうだ、今はそれが一番良い方法だ」

「お、幸い霧も出始めましたよ、移動するにはもってこいですね」

「しゃあねえ、いっちょヤルかぁ」

隊長「よし、前進だ」
_
__

__
_
『リスカム・ベイ』

整備士「へえ~二人とも振られたんですか?」

カッセル「振られちゃいねえぞ!」

ホーク「何と言うか...例の日本兵が戻ってきたらしく、彼に付きっ切りで話も出来なかったよ」

整備員「は~ん...その日本兵ってどんな奴で?」

ホーク「あぁ...背は高くなく...女騎士さんよりもちょっと低いくらいだったなぁ、本当にそこら辺で見る兵士って
感じの風貌だよ」

整備員「ほお...内面に惹かれたと」

カッセル「いつか俺に振り向いてもらうぞ!」

整備員「はいはい」

ホーク「やはりポッと出の俺らじゃ無理があるかなぁ...」
_
__

__
_
中尉「っはぁ~あんの分からずや共がぁ...」

米兵「...」

中尉「あのインテリ共にゃ話してもわかんねえ、空母が目の前から
消えん限りは事の重大さに気づかんだろうなぁ...一先ず、お前は俺らの中隊に編入だ、これからよろしく頼む」

米兵「はい...」

中尉「まぁ元気だせよ、曹長」

曹長「あいよ」

中尉「こいつの面倒頼めるか?」

曹長「えぇ、銃の撃ち方をばっちり教えますよ」

中尉「っへ、頼むぞ」

米兵「お願いします」

曹長「よーし、一等兵こりゃあM1ガランド、分かるか?」

米兵「っは、はぁ...?」
_
__

__
_
中尉「この航空写真を見たところ、嘉数陣地と石嶺陣地の間に重機が配備された
トーチカが無数に配置してある、俺らはそのトーチカの詳しい位置を探るんだ」

曹長「探るだけで帰れます?」

中尉「っへ、まだ話を聞け、そのトーチカを見つけ次第砲兵に位置を連絡し破壊...」

曹長「了解...生きて帰れんっと」

中尉「んな嘆くな、行くぞ」

米兵「はい」

曹長「よーし...中隊前進!」
_
__

__
_
中尉「クッソぉ...霧が出てきやがった...」

曹長「こりゃ陣地らしいトコに近づかにゃ、発見できませんぜ奴らは巧みに
偽装してやがる...」

中尉「曹長、双眼鏡」
「あいよ」

中尉「っても見えねえんだよなぁ...」

米兵「あの...岩の割れ目は...」

中尉「...ビンゴだ米兵、曹長砲撃座標」

曹長「えい」

中尉「座標 I-5-4 繰り返す、I-5-4」

ドウン... ドウン... ドウン...


中尉「伏せとけ」

シュルル... シュルルル... シュルル...

曹長「あ...?」
米兵「...?」

中尉「...ああん?!」

曹長「はあ?!いや...確かに...砲撃音が...えぇ?!」

米兵「...戻ってきた...?」

中尉「戻ったって...そりゃぁ...お前...」

曹長「...」


ッチチチチチ...

中尉「オキナワに生息してる鳥じゃねえぞ...」


日本兵「えぇいクソ...何だってこの海岸は蚊が多いかねぇ...」

日本兵「ッチ あちこち噛まれてらぁ...ん?」

米兵「...日本兵」

日本兵「っべ、米兵!!?い、今までどこ行ってたんだよ!探したz...

カシャ

中尉「動くな」

曹長「武器を捨てろ、JAP」

日本兵「ウオ...お、お仲間も一緒か...しゃあねえよな...」

米兵「ちゅ、中尉、彼は僕の味方で...」

中尉「そんなのは知らん、さっきまでは俺らの敵だった日本軍が目の前にインだぞ」

曹長「撃ちますか」

米兵「曹長!」

日本兵「ッチ...」カチャ

曹長「っへ、米兵の味方でも俺らの味方ではなさそうだぜ...」

日本兵「米兵よぉ、こいつらはお前の上官らしいが、俺に銃口を向けてるってこたぁ俺の敵だ、
撃っちまっても恨むなよ」

曹長「米兵、お前も銃向けろよ」

米兵「な...何でこんな事に...」

曹長「ッチ...役に立たん...」

中尉「武器を捨てろ、今はこちらの戦力の方が上だ」

曹長「三対一で勝てるか?」

日本兵「あんま見くびるな?こちとら二個大隊で三万ものシナ兵相手に戦ったんだぜ?」

曹長「シナ兵とは訓練のしようが違うんだよ海兵隊は」

曹長「中尉、もう我慢できません、撃ちます」


米兵「...」カチャ...

日本兵「米兵...お前...」


中尉「何の真似だ...米兵」

曹長「じゅ、銃口向ける相手間違ってんぞマヌケ...」

米兵「僕は...仲間を選びます」

日本兵「お前...なにバカな...事を...?そんな...互いの事知り合う程一緒にいた覚えは...」

米兵「だって...」

日本兵「てめえントコの上官と...別に互いに仲良しこよしの間柄じゃねえとしても...おめぇの
仲間だろうが!」

日本兵「...てめぇんトコの上官はどんな教育をしてんだ?」

中尉「コレは予想外の状況だ...米兵分かった、日本兵に銃を向けろとは言わないから
...こちらに向いてる銃口を...明後日の方向へ向けてくれ」

米兵「まずは中尉達から...」

曹長「ッチ...」カチャ
ッタンッッ!!!

日本兵「...」

米兵「...」

中尉「...」

曹長「...ア...」バタン...

日本兵「...」

曹長「ジャ...ジャップ...」

日本兵「こんなトコにまで戦争を持ち込むな、アホ」ッパン!ッパン!

曹長「」

中尉「お、おま...」

日本兵「まだやるか?俺はココにまで来て戦争したかねえんだが...なっ!!」ッタン!!

中尉「...分かった、分かった」

日本兵「恨みたきゃ恨めドアホが」

米兵「...」

日本兵「...ッ」ッパチン!!

米兵「...っつ」

日本兵「味方を殺すような...バカな真似は二度とするな」

女騎士「何だ、どうした?!」

賢者「え、なに...何が」

日本兵「ちょっといざこざがな」

エルフ「え...人...死んでる?」

日本兵「しゃんととどめは刺したんで大丈夫でしょう」

中尉「...」

米兵「...」
_
__

__
_
隊長「霧で何も見えんぞ」

独兵「迷って郊外まで出てきたんでしょうか、森に入ってますよ」

「ふぅ、ベルリンからおさらばだ」

隊長「それじゃいかんのだがなぁ...」

「郊外で布陣してる味方部隊は...」

「んなもんいねえよ、みんなソ連の餌食だ」

隊長「んん...地図と合わない...」

独兵「この地形は...可笑しいですよ、まるでジャングルだ」

「...」

「あらら...俺らみんな可笑しくなっちゃったのかね...」

「...あのいけすかねえ泥色した服は...」


親衛隊員「あの...失礼ながら申し上げます、隊長が進んでいるルートはベルリンの郊外にでるルートですが...」

親衛隊長「何だ?私の進む道に不満でもあるのか?」

親衛隊員「いえ...その...」

隊長「あいも代わらず威張り散らしてるなぁ?」

親衛隊長「ん?」

隊長「今は忠誠心を見てくださる総統閣下もいねえんだ、あんまカッカしなさんな、
流れ弾に当るぞ」

親衛隊長「貴様...上官への反抗を匂わせていると長生きできんぞ?」

隊長「そうかもな、何処の前線でも上官には嫌われてた」

親衛隊長「ッチ...貴様地図は読めるか?」

隊長「地図が読めたってココが別の場所じゃ意味がねえ」

親衛隊長「...気づいているか」

隊長「あぁ、アホでも気づくさ、ここはドイツじゃない」

親衛隊長「貴様の隊の戦力は」

隊長「あぁ、一個小隊分しかしかもう残っちゃいねえ」

親衛隊長「こちらもだ...」

隊長「兎に角町を目指そう、何か地図でも貰わん限りは移動の仕様が無い」

親衛隊長「そうだな、小隊移動!」
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米兵「...」

中尉「...いや、もう怒ってないぞ...曹長が撃ち殺されたのは驚いたが...」

米兵「曹長も撃とうとしてました...」

中尉「あぁ、分かってる、俺だって違う世界まで来て戦争はしたくない...」


王子「...」ジッー

中尉「...ぼ、僕、どうしたの?」

王子「見張ってるの、日本兵とけんかしないか」

中尉「あ...いや、喧嘩はしないよ」

王子「ふ~ん」

中尉(これが...この国の王子か?)

中尉(子どもに政治を任せるとは...この国は...)

中尉(いや、俺には関係のない事だ)


日本兵「私のーラバさん酋長の娘~っと...おや、王子、ココで何を?」

王子「日本兵がこの人と喧嘩しないか見てたの!」

日本兵「あぁ~そう言う、大丈夫ですよ、そんなアホなマネはしませんから、夜も遅いし
もう床に着きましょう?」

王子「まだ眠くないよ?」

日本兵「そろそろ眠くなりますよ、ささ、早く」

王子「は~い...」

日本兵「さてと...で、まだやる気か?」

中尉「いや、俺もそこまで戦闘は好きじゃない」

日本兵「っへ、真っ先に銃突きつけといて良く言うぜ...まぁいい、お前らは何処から
来た?」

中尉「オキナワだ」

日本兵「沖縄...アメリカはそこまで迫ってるのか...」

中尉「何も知らないのか?」

日本兵「時間が違うんだよ時間が...俺はレイテに輸送されている時にココへ飛ばされてきた
そんときゃまだ敵はサイパンに...」

中尉「ココまで着たら、もう日本の負けだと思うが?」

日本兵「俺にゃかんけぇねえ、俺は敵を多く殺し、生きて日本に帰るだけだ」

中尉「それはまた...随分と」

日本兵「外地の兵隊ってのはそんなモンさ、少なくとも俺は日本へは帰りたいが近所の住民連中共の顔は見たかねえな」

米兵「何で?」

日本兵「奴らは酷い...あまりにも惨い人種だ...出征のときは、顔も知らない奴らや愛国婦人会とか言うけったいな奴らに死ね死ねと言われるんだ」

中尉「頼られているんじゃないのか?」

日本兵「出征の見送りに行かなきゃ非国民、だそうだ」

中尉「...」

日本兵「俺はまだ恵まれている...もっと凄いぞ、戦場で手足捥がれて帰ってきた暁には町中を担いで練り歩かされるんだ
俺の友人がそうだった...そいつは婚約者が居たんだが...やけどまみれの病人で、だるまは世話できねえってんで結婚は取りやめになった...」

中尉「し、しかしそこまでやってくれたんなら町の人は世話も...」

日本兵「する訳がねえ、戦死死体をむさぼるハイエナ共だぞ?あいつらに出来るわけがねえ、やる事はウチの夫と子供に死ねって
言ってんじゃねのか?」

米兵「...」

日本兵「あいつらの息子やオヤジが出征して、戦傷か戦死でもしたらざまあミロと言ってやりたいところだが...
あいにく俺も戦死扱いだろうしなぁ...つまんねえ」

中尉「つくづく不思議な国だ...日本は」

日本兵「クソ共が、ふざけるな、天高く万歳と持ち上げて死んで帰れなぞと...俺ら兵隊に死んで帰って来いと言っといて、おめおめと終戦まで生き残れると思うなよ...」

中尉「...お前は今まで見た日本兵の中では初めてタイプだ...」

日本兵「家族もちや親もちはもっとマシな思考してんだろうがな、俺は家族はいないし
親は守るに値しねえ...勝手に生んで、勝手に戦闘兵器にしてくれた奴らだ...」

中尉「...」

米兵「...そう言えば、日本兵の上の名前は?」

日本兵「名前?マスカワだが...どうした今頃になって」

米兵「この写真...」ッス

日本兵「...あ、兄貴の...か、この写真持ってたの兄貴位だ...」

米兵「オキナワで拾ったんだ...」

日本兵「へえ...満州の部隊が沖縄にねぇ...いよいよヤバイかも知れないな日本は」

日本兵「まぁどうでもいいさ、ココに居る以上は国の勝敗なんか俺の知った事じゃない」

中尉「そうか...苦労したんだな」

日本兵「あぁ、とっても...」
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『リスカム・ベイ』
ウィルトジー「海兵隊員二名がこちらに飛ばされたみたいだ、一人は一度コチラへ飛ばされて...また戻ってきた」

ホーク「海兵隊員は何処から来たんですか?」

ウィルトジー「オキナワだ、我々が居た時代と一年とちょっと先、戦局は此方にとってかなり
良くなっているぞ」

ホーク「ひとまず帰ったときの憂いは無さそうですね」

ウィルトジー「帰ったとき...か、我々はどのような眼で見られるのだろうか...」

ホーク「え...」

ウィルトジー「我々は三ヶ月近くも戦線から離れている、ここにはアメリカの敵は居なんだ」

ホーク「ですが...こうなったのはどうしようも無い事でして」

ウィルトジー「あぁ、どうしようもない...だが君達艦に居る者たちに振り掛かるヘイトは何としても避けたいんだ」

ホーク「...」

ウィルトジー「戦果が欲しい」

ホーク「っそ、それは...無駄な戦闘は避けた方が」

ウィルトジー「居るだろう、日本軍兵士が」

ホーク「はい...」

ウィルトジー「一人じゃないはずだ!日本軍は...大部隊は確実に居る!居てもらわないと困る!」

ホーク「可能性は捨て切れませんが...確実な情報はありません」

ウィルトジー「奴に聞くんだ、その日本軍兵士にな」
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ホーク「本当に日本兵の仲間はいないのですか?」

女騎士「あぁ、いない。生きて流れ着いたのは彼だけだ」

エルフ「何を探っているのですか?」

ホーク「探っ...いや...その...えぇ、彼の国は我々の敵です、ですから探らないわけには参りません」

女騎士「確かに敵国の人間が居ればそう思うのも無理はありません、だが彼はあなた方と戦闘を行う
気は無いようです」

ホーク「日本軍の部隊が居ないとは確定できない限りは...」

女騎士「分かってます」

ホーク「ご理解ありがとう」

エルフ「ところで...何故日本兵と貴方の国は戦争を?」

ホーク「日本兵の生まれた国、ニホンが我が国を奇襲攻撃しました、宣戦の布告なしに」

女騎士「奇襲?」

ホーク「はい、完璧なまでに用意された奇襲攻撃...死傷者は約3000人...少数ながら民間人も」

エルフ「...」

ホーク「私の友人も多数失いました、、彼事態に恨みはありません、ですが...私はニホンに強い憎しみを
抱いている事は確かです」

女騎士「そうか...互いに禍根はあるのだな...私は貴方の事情は知らなかった、今までの無礼を詫びよう」

ホーク「いえ、彼を...愛していからこその行動だと」

女騎士「...」

ホーク「では、私は戻ります」

女騎士「...もっと日本兵の事を知らないといけないな私達は」

エルフ「そう...だね」
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隊長「親衛隊長!!!!ここの住民を殺害するわけをお教えろ!!」

親衛隊長「この町の人間は記録にない、で、あるとすれば彼奴らはベルリンの地下に潜んでいる小汚い溝鼠(抵抗組織)だ」ッパン!!
「ウ...」

「今すぐこの殺戮をやめて下さい!!この村に罪人はいません!!」ガバッ
親衛隊員「離せ老人!!ッチ、抵抗確認!!」

ッタン!!タン!!

「ックソ!クソクソ!!」

「こんな事する為に...軍隊に入ったわけじゃ...ウウッ...」

独兵「...」

「何でお前は落ち着いていられるんだよォ...」

独兵「隊長、親衛隊長を射殺しましょう」ヒソヒソ

隊長「...軍規に反するが...致し方ない」カチャ


親衛隊長「その家屋も調べろ」

隊長「おい」

親衛隊長「なんd ッタタタン!!

隊長「安らかに眠れ、アーリアの血に盲信した親友よ」


親衛隊員「ッヒ...」

「こいつらも殺しましょう!!」

隊長「...こいつらの武器・弾薬を取り上げ、何処へにでも行かせろ」

「っは...しかし」

隊長「無駄な弾を使う必要はない、それにこいつらの武器はいいものがそろってる」

独兵「はい、おい聞こえたな」

親衛隊員「は、ハイイ...」ッポイ ソソクサ

隊長「っふ...我々もハイエナの素質があるかもな」

独兵「杞憂だといいんですがね」
_
__

__
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?「コレはどう言う事だ?ココ最近、別世界からの侵入者が相次いでいるぞ?」

?「っは、どうも次元と次元をつなぐ空間に歪みが...」

?「このままでは、コノ世界の均衡が崩れてしまう...別次元のモノ共がもたらした新秩序の建設を防がねばならん、いいな?」

?「では...兵団を派遣いたしますか」

?「そうだな...秩序の維持だ、致し方あるまい」

『教会』

「...神が...怒っておる...」

「え?」

「世界は...新しくなる...いかなる形で新しくなるのか...」

「...?」

「...殺戮...」

「...」

「天より神々の怒りが降り注ぎ、地からは神の使いが這い出し世界を新たなるモノに創造し...ウウッ...」バタン

「し、神父様?!」

__
_
数日後
『グロスター海岸』
日本兵「...今日も曇りか」

女騎士「最近は曇りが多いな、梅雨の時期は過ぎたのに」

賢者「曇ったって、雨も降らないから各地で水不足が相次いでるんだってさ」

日本兵「へぇ~...」

ッゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ.......

日本兵「ウオットト...連日の曇り空ときて今度は地震か、いよいよ神も怒ってんのかね」

女騎士「地震とは珍しいな...」

日本兵「海岸から離れた方が良いかもな」

__
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「連日の地震で臣民は怯えております、何卒事前に対策のほうを」

「一昨年に起きた凶作の影響がまだ地方農民に残っています」

「一体どうしたらいいんでしょう?」

ラエ「...」

(駄目だ、ガキにゃ統治は無理だ)ヒソヒソ

(国王は何時になったら体調が戻られるのだ)ヒソヒソ


日本兵(...子供に政治経済をねぇ...)

日本兵(その国王とやらは一体何をしているんだろう)

日本兵(あの家臣たちも分かってて攻め立てているんだろうな)

日本兵(どうしようもないですねこの国は)

日本兵(この様子だと...この国は家臣の離反が相次いでいるんだろうな)

日本兵(...見捨てられん程に長居しすぎたな)

日本兵「はぁ...」
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__

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独兵「我が隊は出世しましたね」

隊長「まさか別の第三帝国の騎士団付き兵団に所属とはな...」

「元の世界にはもう戻れんのですか?」

「ベルリンはどうなったのでしょうか...」

隊長「...ベルリンはもう駄目だろう」

「...」

「...」

独兵「ソ連軍に完全包囲、物資欠乏...栄えあるドイツ国防軍の姿はもう無いですよ」

「...まぁココの世界じゃあ連合国軍は居ないですよ」

「そう願いたいね」
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「航空機の部品ストックが...」

「航空機用燃料缶も残り百缶を切りました」

「空母の燃料も...」

ウィルトジー「...分かった、ご苦労」

バタン...

ウィルトジー「はぁ...これはばかりはどうしようもならんなぁ...」

「いつか来るとは思っていましたが...」

「ゼラバンカには燃料は...」

ウィルトジー「...一か八か...だな」

「ホーク中尉に頼んでみますか...?」

「彼ならゼラバンカ王国の上層部との交流があります」

ウィルトジー「そうだな...おいホークを」
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日本兵「...」

ラエ「...」

日本兵「この国まとめるの辛いだろ」

ラエ「...でも仕事だから」

日本兵「お前の父さんどうしたんだ」

ラエ「先生は...はやり病と」

日本兵「何時聞いた?」

ラエ「...三ヶ月前」

日本兵「その間面会は?」

ラエ「家臣の人たちが面会謝絶と...」

日本兵「女騎士たちは?面会したとかの話は聞いたか?」

ラエ「聞いてない...多分面会できてないと思う...」

日本兵「...部屋はどこだ」

ラエ「え?」

日本兵「面会だ、部屋は?」

ラエ「あ、城の離れに...」

日本兵「ついて来い」
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__

__
_
「なんだね君は?!え?ラエ陛下?!」

日本兵(ガスマスク装着)『モゴモゴ...』

ラエ(ガスマスク装着)『モゴモゴ...』

「え?なんです?」

日本兵『退けっテンだマヌケ』
バンッ
「えぇ...?」

ラエ『何でこれつけてるの?』

日本兵『感染病を防ぐためだ』

「一体何事だ!」

日本兵『ラエ陛下は国王への面会をご希望あらせられれている!国王はどこか?!』

「い、今は体調が優れぬから!面会は謝絶である!」

日本兵『ここだな』

ガチャ

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__
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日本兵「...」

日本兵(子どもたちの父ちゃんはミイラと化してました)

日本兵「家臣共たちか」

女騎士「ッグウ...私たちが居ながら...ヒッグ...」

エルフ「...」

賢者「これからどうするんだろ...」

日本兵「実質この国は滅亡だな...まぁ家臣達の気持ちも分かるわ、子供に仕えるとか
離反したくならあな」

女騎士「何を言う!ラエ陛下を殿下は頑張っていた!この国を必死に...支え続けようと...」

日本兵「人の気持ちを支えるのは難しいんだよ、全ての統治を国王ばかりに任せてたんで、家臣たちは
要領がわからなんだろうぜ」

日本兵「...王子とラエ...姉弟にゃもう戻れるトコはねえぞ」


「も、申し上げます!!家臣ならびに騎士団が離反!!各将兵も家臣側に!!」


日本兵「もうこの国はどうしようもないですね、家臣達に任せて捨てましょうぜ」

女騎士「っば、バカ言うな!!この国を見捨てる事は出来ない!国民も...誰が...」

日本兵「オメえらには無理だって言ってんだ、幾ら頑張ったって...見ろこの地下政党共の号外を」


『国王は死んだ!国民は決起せよ!国民を欺いたラエ、ラエに忠誠を誓った者達に鉄槌を!』


日本兵「ね?」

女騎士「...」

エルフ「...」

賢者「...」

日本兵「お前らも決断しろ、俺はあの二人を連れてこの国からおさらばする」

女騎士「...ッ」

日本兵「子供に政治を任せるのがそもそも可笑しいと思わんのか...?」

エルフ「...」

日本兵「俺はあの二人に思い入れがあるが、この国に思い入れはない」

賢者「...」

日本兵「決まってんだろ、心の中じゃ...守るんだよ、あの二人を」

女騎士「...行こう...」

エルフ「うん...」

賢者「僕も行く...」

日本兵「...よおし...コレが同調主義の素晴らしいところだ」

日本兵「明朝、出るぞ」
_
__

__
_
日本兵「お前らはどうする?」

米兵「えぇ...」

中尉「...」

ホーク「お、女騎士さんも...」

日本兵「あぁ、付いて来る」

米兵「...僕も付いて行くよ」

日本兵「よし、お前は」

中尉「...ここの世界も見たいしな」

日本兵「ホーク、てめえはどうすんだい?」

ホーク「...」

日本兵「出るのは明朝、砂浜だ、それまでに決めとけや」

『グロスター海岸』
ザザーン...ザザーン...
女騎士「...」

日本兵「持っていくものはねえのか?」

女騎士「あぁ、自室へ行ってみたら粗方分捕られていたよ、この剣だけは持ってて良かった」

日本兵「その調子だと...」

エルフ「ヒーン」

賢者「ヒーン」

日本兵「でしょうね」

ラエ「しかし一体どこまで...?」

王子「この国から出るの?」

日本兵「あぁ、おさらばだ」

ラエ「でも...大丈夫なのかな...」

日本兵「国民ってのは案外強いもんだ、この国の先は家臣が決めるんじゃなく、国民自身が決めるさ」

日本兵(こいつらの身がアブねえ...もう城には戻さないほうがいいな)

日本兵「今日はみなココに泊まれ、今城へ戻るのは危険だ」

女騎士「危険?」

日本兵「あぁ、混乱した今にも決起した国民、将兵が襲い掛かりかねん事態にある。
今晩は皆で寝るぞ」

エルフ「しかしこのテントは狭いな」
_
__

__
_
日本兵(斯くして、俺ら亡命隊一行は特別当ても無い逃避行を始めた)

ホーク「ッハア...ッハア...」

米兵「ホーク中尉...」

中尉「ッハッハ、情けないなぁ航空隊は!」


女騎士「そろそろ国境だな...」

エルフ「ニュージョージア中立国は今や無政府状態だ、私たちが通っても誰も咎めんだろう」

日本兵「無政府って...」

賢者「ニュージョージアは山岳地帯に住む魔族や原住民を排行し、山々の鉱物資源を巻き上げようと
画策したが...結局失敗に終わり、この失敗で政府に不満を持った国民が決起...」

日本兵「決起しすぎだろ」

女騎士「そういう時代なのさ」

エルフ「現に我が国だって...ねえ?」

日本兵「まぁ...そらそうか」

女騎士「どうだろう、ニュージョージアに幾許か拠点を置くというのは」

エルフ「拠点?」

賢者「隠れ家でしょ」

ホーク「そうだな...山か郊外に空き家くらいあるんじゃないか?なぁ?」


米兵「ほーら高い高い」

王子「ッキャッキャ」


ホーク「聞いちゃいねえ」

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