「来たいって言うなら、そう伝えとくけど」

「あ、うん。お願いね」

「わかった」

結衣も来ることになったし…あーし馬鹿したかな？
元々は結衣が誘われてたわけだから、あの連中からしたら大喜びだろうけど

何日か前に結衣が隣のクラスのチャラ男二人に遊びに誘われてるのを見て…
正直困ってる風で、でも結衣も無下には断りづらかったようで

「ねえ、あーしだったら付き合ってもいいけど？」


てあーしが行くことで納得させた。その二人は驚いてたけど納得してたし。

「結衣の奴モテるし…この時期にこういう誘いが増えたってのは多分…」


奉仕部でなんかあったから…その噂が原因かなやっぱ。
結衣も全然浮いた話がないし…3月頃から、なにかあったとかいう噂が出てきた。

「多分、なにもないんだろうけど」

それは結衣の普段の態度見てたらわかる。こいつヒキオに惹かれてるし絶対
もしも、ヒキオが雪ノ下さん選んで結衣を振ったとかなら、絶対態度にでるだろうし
それだけは断言して言える。まあ、友達だし？一番近くにいるし？

でも、完全に何もないかって言えば…それも怪しいか。
結衣の性格からすれば…バレンタインの後…どうしたのか…

ヒキオと付き合ったという話もないし、結衣は多分…そのままを選んだのかな
修学旅行の時のあーしと似た選択を今はしてると考えれば…


確かに、今そんな噂が出てるのも納得できるしこれであってるっぽい。
結衣も雪ノ下さんも、どっちもこれ以上ヒキオに近づきすぎないようにしてるのか…
どちらかと付き合えば、片方が傷つくから…こういうのってハーレムとか言うっけ？


「ヒキオにそんな魅力あるか～？」


外見はオタクっぽいていうか、無気力な感じだし…正直興味の欠片も出ない。
結衣も雪ノ下さんも、あーし程男に外見は求めないだろうけど、あれはない。
まず、寝癖のついた髪型なんとかしろっての


「でも…この1年、助けられた回数多いし…あーしっつうか、あーしらが」

「うんそだね～、隼人くん受けもありえるくらい助けられたね」

「いや、意味わかんないし」

いつの間にか、海老名が隣にいるし…話に入ってきてるし。

海老名姫菜…ヒキオなんかと比べられないくらいオタク趣味が凄い…
正直よくわかんない世界の住人なんだけど…かわいいし
なんだかんだであーしと友達になってるし…へんな奴だけど

　「それで、ヒキタニ君がどうかしたの？」

　「いや、なにもないってば」

　「えっ？そう？優美子がヒキタニ君の魅力を考えてるのかと思った」


合ってるけど…そういえば、海老名もヒキオのことは一目置いてる雰囲気があるし。
戸部はわかんないけど、隼人は明らかに認めてるし。

　「あいつってもしかして凄い奴？」

　「うん、多分凄いよ～。色々と…ぐふ」

　「擬態っ」

　「は～い」


ヒキオが凄いか…まあ、それはいいけど、問題は結衣の方。
あいつがなんで、今回の遊びに行きたいって言い出したのか…

結衣は男子にかなりモテるけど、ガードが堅いのは周知の事実。
ヒキオには甘かったみたいだけど、そのヒキオと付き合わないんなら…
男は噂を信じて結衣に近づいて、あわよくば…
で、結衣の方はヒキオのこと忘れようとしてる？葛藤してんのかな？


　「結衣…もしそうなら、バカじゃん…」

　「結衣ってばさ、恋愛経験ないみたいだしさ」

　「なんかそんなこと言ってたっけ、あんな可愛いくせして」

　「もしかしたら、どのくいらい行けばいいかとかのさじ加減わかってないかも」


うわ…それはかなりありえそう…あーしらのメンバー意外と草食っていうか紳士って
いうか…隼人はもちろん、戸部や大岡達だって何もしないし。つうか本気で付き合ったことあるか疑問だけど
だから、結衣にモーションかけることも基本的にないしね…

　「そういう意味では、結衣は大岡とかと遊んだ方が安心できるし」

　「あ～まあ、見知った関係だしねっ」

　「別に隣のクラスのあいつらを悪く言う気はないけどさ」

　「どうしても不安にはなるよね、あんまり交流もないし」

　「そうそう」

不安にはなる、まああーしも行くし何もないとは思うけどさ～
結衣は恋愛に関して少しだけ騙されやすい気がしてしまうのは気のせいじゃないと思うし


　「隼人君は？呼ばないの？」

　「隼人か…う～ん…」

　「あれ？まずい？もしかして…」

あ～海老名がなに考えてるか分かった気がするし…多分海老名の考えは
的外れっていうか、間違い。

　「なにもないっての」

　「あ、そうなんだ」

あーしはそもそも、隼人にまだ告白してないし…というか隼人に告白する気がなくなってきた
というか…隼人は雪ノ下さんのこと好きだと思ってたのもあーしの杞憂みたいだけど
隼人と一緒にいるのは楽しいし、この前二人で出かけたりもしたけど…