妹「ね、ねえお兄ちゃん」

兄「ん？」

妹「わ、私・・・迷惑かな？」

兄「何がだ」

妹「お、お兄ちゃんにとって・・・迷惑かな？」

兄「そりゃ迷惑だよこんな狭い部屋に居座られておまけにお前の生活費も俺が請け負ってるし」

妹「うぅ・・・・・・」

兄「まあ俺も鬼じゃないからさ無理矢理には追い出さんよ」

妹「！」

兄「少しずつここでの居心地を悪くして出ていかざるをえない状況まで追いこんだる」

妹「ふぇ！？」

兄「ってこれ妹に言っちゃあかんやつだな」

妹「ﾋｸﾞｯ・・・お、お兄ちゃん・・・ｸﾞｽｯ」

兄「な、なんだよ」

妹「わ、私のこといじめないでよぉ・・・！ｸﾞｽｯ」

兄「いじめてねえよてかなんで泣いてんですか」

妹「ﾋｸﾞｯ・・・お、お兄ちゃんがいじめるから・・・ッ！」

兄「いじめてねえって！」

妹「ひぃ！？ﾋｸﾞｯ、ご、ごめんなさい・・・ｸﾞｽｯ」

兄「とりあえず泣き止め」

妹「ご、ごめんなさいぃ・・・ｸﾞｽｯ」

兄「（はぁこりゃ前途多難だな」

兄「まずお前は人前で話せるようになろう」

妹「む、無理！」

兄「無理じゃねえよ」

妹「無理！」

兄「そんなんじゃ生きていける訳ないだろ！」

妹「ひぃ！？」

兄「そもそも街にも出られないんじゃないのか？」

妹「さ、さすがに出れるよ・・・」

兄「へえまあそりゃそうだわな」

妹「お兄ちゃんがいれば」

兄「あ？」

兄「今お前なんつった」

妹「な、なんも言ってない！」

兄「もうお前が心配すぎて頭が沸騰しそう」

妹「だ、大丈夫なの？」

兄「誰のせいだ！」

妹「ひゃぁっ！？」

兄「ったく・・・やれやれだぜ」

妹「うぅ・・・」

兄「ねえ本当にこれからどうすんねん」

妹「ど、どうしよう」

兄「ここまで酷いとは思わなかったよ・・・」

妹「そ、そうかな？」

兄「いや誉めてねえから。俺の知らないところでお前はどうしちまったんだ・・・」

妹「え、えーと」

兄「中学時代は友達いたのか？」

妹「い、いたよ！！！！」

兄「どーどー」

妹「・・・もう」

兄「まあ当たり前か、ちなみにそれ俺の知ってるやつか？」

妹「へ？だってお兄ちゃんだもん」

兄「あ？」

兄「どういう意味だ・・・？」

妹「だ、だから、友達がお兄ちゃんだよ？」

兄「（駄目だ頭痛くなってきた）」

兄「（今思えばあの頃のこいつって俺と遊ぶために家に直帰しては俺の帰りを待ってたんだよな・・・）」

兄「（俺がいくら突き放してもずっとくっ付いてきやがって・・・こいつ気が弱い癖にこういうところは曲げないんだな・・・）」

兄「いや曲げろよ！」

妹「ふぇ！？」

兄「いや、妹さ、俺以外に友達はいたの？」

妹「うーん・・・特に・・・」

兄「（完全にぼっちじゃねえか）」

妹「だって・・・お兄ちゃんさえいればそれで良かったし・・・」

兄「良くねえよ」

妹「で、でも！お兄ちゃんと遊んでるときは楽しかったよ！？本当だよ！？」

兄「へいへい、そうですか」

妹「むぅ・・・」

兄「まあともかくだ、お前の社会性の貧しさがあまりにも深刻なんだ」

妹「え・・・？」

兄「友達はおろか人とうまく話せないなんてヤバいぞ」

妹「お、お兄ちゃんがいるし・・・お兄ちゃんと話せるからそれでいいもん」

兄「良くねえよ！！」

妹「ひぃ！？」

兄「（いや・・・きっとこいつに悪気は無い。純粋にそれで問題ないと思ってるんだろう・・・。）」

兄「（どうしたもんか・・・）」

兄「まず、そうだな・・・」

────
──
─

兄友「ちーっす、久しぶり兄」

兄「おう、久しぶり。わざわざ呼んで悪いな」

兄友「良いってことよ！それより、今日はどうした？」

兄「その・・・なんというかだな・・・」

兄友「お？」

兄「・・・こいつのコミュ障をどうにかしたいんだ」

兄友「こいつ？」

兄「あぁ。おい、妹。背中に隠れてないで出てこい」

妹「・・・」ｿｰｯ

兄友「うぉ！？こ、この子は！？」

兄「あぁ俺の妹だ。ほら、妹挨拶しろ。」

妹「・・・」ﾍﾟｺｯ

兄友「お、お、お、お前！！」

妹「」ﾋﾞｸｯ

兄「な、なんだよ」

兄友「（な、なんだこの可愛さは！きらびやかな黒髪につぶらで優しい瞳！兄の背中からそっと顔を出す仕草はまるで小動物・・・！）」

兄友「守ってあげたい！！」

妹「ひぃ！？」ﾋﾞｸｯ

兄「あちゃー・・・」

兄友「お、お前にこんな可愛い妹がいたなんて！なんだよ、水くせえじゃねえか！もっと早く紹介してくれよ！この！」

兄「（う、ウゼェ・・・）」

兄「まあ気に入ってくれて何よりだな。頼みたいのはさっきも言った通り、こいつの極度のコミュ障をどうにかしたいんだ。」

兄友「ほうほう！」

兄「身内の人間でなく他人と話せるようになってほしいから、女の扱いも手慣れてるお前に一度こいつを任せたい」

兄友「ほぇ！！なるほど！！そりゃ確かに話せた方がいいわな！！」

兄「すまんが、引き受けてくれるか？」

兄友「あったり前田のクラッカーよ！俺に任せてくれ！」

兄「わりぃな。今度何か奢るよ」

兄友「いやいやいらねぇ！こりゃご褒美でもあるからな！」