佐天「御坂さん、本当にサンタさん信じてるんだ……」 (65)


佐天「どこもかしこもクリスマス一色ですね」

美琴「そうね。それであと数日経ったら、お正月ムード一色でしょ? 忙しないというかなんというか……」

佐天「そうですね」

美琴「…………」

佐天「…………」

美琴「あ、そうだ。佐天さん」

佐天「はい」

美琴「サンタさんにプレゼントは頼んだ?」

佐天「……え? プレ、ゼント……ですか?」


佐天(もしかして、御坂さんってサンタさんを本気で信じてる?)

佐天(いや、でも御坂さん今年で14才だし、さすがに本気ってわけじゃ……)

美琴「どうしたの?」

佐天「い、いえ……」

佐天(あの純粋な目……本気で信じてるんだ……)

佐天(だったら、あたしが御坂さんの夢を壊していいはずがない!)





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1450973519

書き溜めはないです。
ノープランだけど、投稿して、自分を追い詰めたら
なんか出てくる気がする(たぶん)。


佐天「プレゼントですか? もちろん頼みましたよ」

美琴「そっか」

佐天「お手紙に書いて、送りましたし」

美琴「実際に手紙出すの!?」

佐天「…………はい」

佐天(もしかして、なにか踏まなくていいもの踏んじゃった?)

佐天「御坂さんは出さないんですか? ……お手紙」

美琴「私? 私はその……、わ、私のことよりどうやってお手紙出してるの?」

佐天「サンタさん宛のお手紙をポストに投函するだけです」

美琴「学園都市にポストとかあったんだ」

佐天「あ、ありますよ。なに言ってんですか御坂さん」

美琴「そうなんだ」

佐天「そこの道をまっすぐ行って、右に曲がって、その突き当たりでさらに右に曲がった所にある路地裏の奥に……」

美琴「そんなところにポストってあるの!?」

佐天(このへんでポストなんて見たことないよ……。うぅ……早くも話にほころびか……)


美琴「何を書くの?」

佐天「ええっと……自分の欲しいものとか、今年もいい子にしてました、とかそんなことですかね……」

美琴「そうなんだ。……でも、私が聞きたいのは宛名の部分になんて書くのかなーって」

佐天「じ、自分の住所とか……。宛名は……その……サンタさんへ?」

美琴「それで、届くんだ!?」

佐天「も、もちろんですよ!!」

美琴「そっか……」

佐天「なにか疑いを持たれてる?)


佐天「手紙の話は置いといて……、靴下とか枕元に置いときますよね~」

美琴「え、ええ。そうね」

佐天「大っきめの靴下じゃないとプレゼント入り切りませんよね」

美琴「そうよね~」

佐天「あたしなんて、特別に作った大きい靴下を持ってますもん」

美琴「へぇ~。それ今度見せて?」

佐天「だ、ダメです!!」

美琴「えっ……なんで?」

佐天「それは、その……」

佐天(そんな靴下本当は持ってないし! 話にリアリティ持たせるためについた嘘が裏目裏目に出てる)

佐天「あ、あたしとサンタさんとの大切なものだから……見せるのはちょっと……」

佐天(は、恥ずかしい! 今年一番恥ずかしい)

美琴「…………そっか」


佐天(いや、恥ずかしいとか言ってる場合じゃない!!)

佐天(恥ずかしいという感情を振り切って演技しないと、御坂さんは頭がいいし騙せない)

佐天(やるしかない!! 御坂さんのために!!)


佐天「あたし、毎年クリスマスの夜には九時に寝るようにしてるんですぅ」

佐天「サンタさんのお仕事の邪魔しちゃいけないな♪、って思って」

佐天「靴下の横にコーヒーを置いておくんですよ。ホットの。外は寒いですからね」

佐天「もちろん、サンタさんへって書き置きも添えてますよ」

佐天「でも、あたし今年はいい子にしていたか自信ないんです。悪いこといっぱいしちゃったし」

佐天「もしかしたら、サンタさんガッカリして今年はプレゼントをくれないかも。ぐすん」


佐天(やりすぎた……)

佐天(……演技、過剰過ぎたかな?)チラッ

美琴「そんなことないわよ! 佐天さん!!」

佐天(よし、セーフ!!)


美琴「佐天さんはいい子にしてたわ! 私が保証する」

美琴「佐天さんと友達になれて、すごくよかったと思うし、それに……いい子かどうか悩んでる時点で佐天さんはいい子よ」

佐天「そ、そうですかね……」

美琴「そうよ」



美琴「あ、私ドリンクバーへ行くけど、佐天さんの分もついでに持ってこようか?」

佐天「まだ、ありますんで大丈夫です」

美琴「じゃあ、行ってくるわね」





美琴(オレンジでいいか)

Pi


美琴(それにしても――)


美琴(佐天さん、まだサンタさん信じてたんだ……)



【美琴視点】

佐天「どこもかしこもクリスマス一色ですね」
美琴「そうね。それであと数日経ったら、お正月ムード一色でしょ? 忙しないというかなんというか……」
佐天「そうですね」
美琴「…………」
佐天「…………」



美琴(話題途切れちゃったな……)

美琴(クリスマス、か……)

美琴(昔はあんなに楽しみにしてたのにな……)

美琴(まあ、クリスマスが楽しみだったというより、プレゼントが楽しみなだけだったのかも)

美琴(プレゼント、ね……)

美琴「あ、そうだ。佐天さん」

佐天「はい」

美琴「サンタさんにプレゼントは頼んだ?」


佐天「お手紙に書いて、送りましたし」
美琴「実際に手紙出すの!?」
佐天「はい」
佐天「御坂さんは出さないんですか? ……お手紙」
美琴「私? 私はその……、わ、私のことよりどうやってお手紙出してるの?」


美琴(冗談に乗っかってくれているのか、本気なのか、どっち?)

美琴(もし、本気だったら……迂闊なこと言えないわね)


佐天「だ、ダメです!!」
美琴「えっ……なんで?」
佐天「それは、その……」
佐天「あ、あたしとサンタさんとの大切なものだから……」



美琴(か、かわいい……)

美琴(今、背骨に電流が走ったような衝撃が)



佐天「サンタさんのお仕事の邪魔しちゃいけないな♪、って思って」
佐天「靴下の横にコーヒーを置いておくんですよ。ホットの。外は寒いですからね」



美琴(守らなきゃ、この笑顔……!!)


――――――
――――
――





美琴(危なかった……。まだ手が震えてる)

美琴(あの時、話題はなんでもよかった)

美琴(『佐天さんって何歳までサンタさん信じてた?』、にしていた可能性もありえた)

美琴(冗談の方を選んでよかった……)

美琴(危うく、――不可抗力とは言え――佐天さんの夢、それと、佐天さんの周りの人が13年繋いできた幻想に終止符を打つとこだったわ)

美琴(サンタさんの話題になった途端、あんなに饒舌にしゃべり出すなんて……)

美琴(それに、あんなに子供っぽい一面だって今まで見たことなかったし……)

美琴(佐天さん、本当にサンタさんの存在を疑ってないのね)


…………。

きっと、環境に恵まれたんだろうな……。

無邪気にサンタさんの存在を信じていられるくらいに……。

学園都市に居たら、ずっとサンタさんの存在を信じていられる訳がないわ。

きっと来年には……。

今年は佐天さんが心の底からサンタさんを信じていられる最後のクリスマスになるかもしれない。


…………。

それでも、佐天さんも13才なんだし未だにサンタさんって……。

……いや、まだ13才よ。

佐天さんって見た目が大人っぽいから、あまり意識していなかったけど、年下で、まだまだ子供なのよね……。

非科学的なことは嫌いだけど、

子供がサンタを信じていられない世界より信じていられる世界の方がいいわ。

佐天さんの夢を守ってあげるのが、年長者の――私の義務!!!



佐天(うぅ……どうしよう……)

佐天(かなり無理な嘘ついてるよ……)

佐天(特に手紙。宛名にサンタさんへなんて書いたら、宛先不明で絶対戻ってくるよ)

佐天(そこにツッコミを入れられたら、なんて返そう)

佐天(よし。ツッコまれる前に、先手を打とう)


佐天「あ、御坂さん。おかえりなさい」

美琴「うん」

佐天「さっきの手紙の話なんですけど……」

美琴「サンタさんに宛てた手紙の話ね」

佐天「あれ、実は返ってきちゃったんですよ、今朝」

佐天「宛先不明で」

美琴「…………そう」

佐天(これで話のおかしな点は解消できた。でも……)

佐天(御坂さんが本気で心配してくれている……なんだか心苦しい)



佐天「わかりました。じゃあ、後で送っときますね」

美琴「今、送って」

佐天「今ですか!?」

美琴「うん。今、ここで、送信してみて」

佐天「アドレスは……?」

美琴「“santa@santa”でいいんじゃない?」

佐天「は、はい」

佐天(絶対、届かないよ……)


佐天(なんて書こう? あたしの欲しいもの書いておけばいいのかな?)

美琴(サンタさんへのメールの内容をすごく悩んでる。こういう所をみると佐天さんってやっぱり年下なんだなって実感するわ)

佐天(何でもいいか。昨日、初春と行ったショッピングで欲しかったもの書いとこ)

佐天「あの……御坂さん。戻ってきちゃいました……」

美琴「本当!? ちょっと、私に貸してみて」

佐天「は、はい」

美琴(ごめんね、佐天さん。このメールだけ覗かしてね)

美琴(『――店のクリスマス特別リング』! よし、送信!)

美琴「あ、送信できたわ」

佐天「えええええっ!!」

佐天「本当だ。送信済みになってる」

美琴「この辺、電波がよく途絶えることがあるのよ」

しまった……。
>>17 >>18の間にこれが抜けてる……。



美琴「いいこと思いついたわ!」

佐天「はい」

美琴「電子メールで送信してみたらいいのよ!」

佐天「え? 電子メールですか?」

美琴「そう。サンタさんだって今の時代、パソコンくらい持ってるわよ」

佐天「も、持ってますかね?」

美琴「持ってるわよ、きっと。いや、絶対!!」

佐天(なんなんですか、その自信……)

>>19の続き


佐天「ありがとうございます。これで一安心です」

美琴「それはよかった」

佐天「あ、もうこんな時間ですね。あたしはこれで……」

美琴「あ、そう? 私はもう少しここに残っているわ」

佐天「? そうですか? じゃあ、あたしのドリンクバー代とパフェ代ここに置いときますね」

美琴「うん。それじゃ、また」

佐天「はい」

佐天(ふぅ……すごい頭使った。でも御坂さんの夢は守り通した。あたし頑張った)

凡ミスだなぁ。
ちょっと寝る。


クリスマス終わっちゃったよ。
クリスマスネタなのに。

日を跨いでるからID変わってると思うけど、乗っ取りじゃないよ?



美琴(ちょっと整理しよう)

美琴(まず、佐天さんは毎年、サンタさんに手紙を送っていた)

美琴(その手紙はサンタさんに“届いて”いた)

美琴(でも、実際、宛名に『サンタさんへ』なんて書いて届くはずがない)

美琴(ただ、佐天さんは手紙に自分の住所も書いている)

美琴(だから、当然、宛先不明で佐天さんのところに戻ってくる)

美琴(その戻ってきた手紙を“佐天さんのサンタさん”が回収して、クリスマス当日、佐天さんの靴下にプレゼントをいれていた)

美琴(まあ、こんなところね)



美琴(でも、今年は手紙が返ってきてしまった)

美琴(佐天さんが小学生から中学生になって、環境が変わって回収できなかった。あるいは“佐天さんのサンタさん”は何かの事情でプレゼントを届けられなくなった)

美琴(クリスマスは今日。なのに“佐天さんのサンタさん”から佐天さんになんらかの演出がないところをみると……)

美琴(今年は、佐天さんの元に“佐天さんのサンタさん”は来ない可能性が高い)


――佐天「でも、あたし今年はいい子にしていたか自信ないんです。悪いこといっぱいしちゃったし」

――佐天「もしかしたら、サンタさんガッカリして今年はプレゼントをくれないかも……」


美琴(…………)

美琴(私が“佐天さんのサンタさん”になるしかないわね……)

美琴(やるしかない……)




美琴(よし。あとは、プレゼントを買って、深夜に黒子に頼んでこっそり靴下の中にプレゼントを入れてもらえればいいわね)

美琴(難しいミッションじゃないわ)

美琴「ん? あれは……」

上条「はぁぁぁぁ……不幸だぁ……」

青ピ「なんか深みのある『不幸だぁ』やな」

美琴「……………」

上条「今回ばかりは本気で困った」

美琴「なにが困ったの?」

上条「それがさ、さっき部屋でオナ――って御坂!!!」

美琴「いきなり大きな声出さないでよ」

上条「な、なんで御坂がここに?」

美琴「なんでって、会計しようとしたらアンタが目に入ったから声かけただけよ」





上条「どこから聞いてた?」

美琴「なによ。別に盗み聞きしてた訳じゃないわよ」

上条「いいから答えろっ!! どこから聞いてた?」

ビクッ

美琴(な、なによ……怒鳴らなくたっていいじゃない)

美琴「こ、今回ばかりは本気で困った、から……」

上条「そうか……よかった」

美琴「なんなら、手を貸してあげてもいいわよ。……アンタには借りもあるし」

上条「必要ない」

美琴「なっ! 私が頼りないって言いたいの!?」

上条「違う!! お前を巻き込みたくないんだ」




美琴「でも、アンタ、私のときだって――」

美琴(私は……アンタの力になれるのなら、少しでも協力してあげたいのに……)

上条「美琴!」

美琴「み、美琴!?」ビクッ

美琴(下の名前で呼ばれた!?)

上条「今回は……内容は言えないけど、俺だけで解決しなきゃいけない問題なんだ」

美琴「…………」

上条「本当の……本気で困ったとき、必ず連絡するから」

美琴「…………」

上条「だから、今回は退いてくれ」

美琴「…………わかった」





上条「よかった」

美琴「約束……」

上条「ん? よし、指切りだ」

美琴「こ、子供じゃないんだから、そんなことする必要なんてないわよっ!!」

上条「そうか?」

美琴「そ、それじゃあ、私は失礼するわ」

上条「おう」

美琴(…………)

美琴「あ、あのっ!!」

上条「ま、まだ何かあんのか?」

美琴「いや、その……あの、……約束だから。……必ず連絡する……の」

上条「ああ、約束する」





美琴「(ぼーーーーっ)」


――上条「違う!! お前を巻き込みたくないんだ」

――上条「本当の……本気で困ったとき、必ず連絡するから」

――上条「ああ、約束する」


美琴(なによカッコつけちゃって……)

美琴(べ、別に、カッコイイとか思ってないんだからっ)

美琴(ふふっ、ふふふふふふ)

美琴(アイツ、男友達と一緒にいたわね)

美琴(クリスマス……女の子と一緒じゃないんだ)

美琴(彼女とかいないんだ)

美琴(この時間に男友達と一緒にいるって、そういうことよね)

美琴(あ、佐天さんが欲しがってた指輪が売ってるの、この店だ)




黒子「『クリスマス――小さな奇跡くらい あってもいいはず』」

初春「その指輪のキャッチコピーですね」

黒子「くっさ~~~ですの」

黒子「要するに“小さな奇跡”起こしたかったらこの指輪買えってことでしょう?」

初春「ま、キャッチコピーなんてそんなもんですよ」

黒子「くっだらない」

初春「お店の人に聞こえちゃいますよ」

黒子「そして、もっと下らないのが……その指輪を万引きしたあの学生……」

初春「万引き犯を捕まえるのも学園都市の治安維持に必要なことですよー」

黒子「それはわかっていますが、この忙しい年末に……」

初春「ジャッジメントも人手不足ですからねー。細かくて面倒な案件は全部私達ですね」




黒子「そもそも、プレゼントする物を万引きという思考回路が理解できませんの」

初春「それは同感ですねー」

黒子「指輪って」

初春「あ、知らないんですか? 今、告白するときに指輪を渡すのが流行っているんですよー」

黒子「そうなんですの?」

初春「ええ。結婚指輪ならぬ、カップルリング。相場は結婚指輪が給料の3ヶ月分なら、カップルリングは3万円」

黒子「と、いうのを今、ジュエリー業界が必死になって流行らそうとしている、と」

初春「……それを言っちゃおしまいですね」

黒子「くっだらない」

初春「だから、お店の人に聞こえちゃいますって」






初春「でも、この指輪、かわいいですよねー」

黒子「それは、まあ……」

初春「昨日佐天さんとこのお店に来たんですよ。そしたら佐天さんがすごくこの指輪を気に入ってましたよー」

黒子「そうですの」

初春「それにこれ、今人気なんですよー」

初春「なんでも、この指輪をプレゼントして告白すれば、必ず成功するとか」

黒子「はっ(失笑)。そんなことを信じる人間の気がしれませんの……」

黒子(……いや、でも、お姉様はこういうの好きそうですの……)

黒子(クリスマスプレゼントで渡せば……)



……
…………
………………


黒子「お姉様、わたくしからのクリスマスプレゼントですの」

美琴「黒子が……私に?」

黒子「ええ。わたくしから愛を込めて」

美琴「あ、この指輪……。私欲しかったの」

美琴「うれしい。私……こんなにうれしいの生まれてはじめてかも」

黒子「お姉様……」

美琴「でも、どうしよう。私、黒子にプレゼントを用意してない」

美琴「あ、そうだわ。黒子に『私』をあげるわ」

黒子「お姉様を?」

美琴「ええ。私のカ・ラ・ダ」


………………
…………
……


黒子「ぐへへへっ、うへへへへ……」

初春「うわー。顔に公然わいせつ罪って適用されないんですかねー」





黒子「買いますわ!!」

初春「さっきまで、あんなに批判してたのに!」

黒子「これさえあれば、あのカラダはわたくしの物……ぐへへ」

初春「それは小さな奇跡では収まりきれないと思いますよー」

美琴「あっ、あった。これだ」

黒子「!!!!?????」



美琴「え? 三万!」

美琴「えぇ~~。ま、買うけど」

美琴(もうかして、“佐天さんのサンタさん”は年々値上がりしていくプレゼントに匙を投げただけなんじゃ……)

美琴(でも、本気で信じてるからこそ、サンタ役の懐事情を考慮せずに欲しいものねだっちゃうものよね)

美琴(“佐天さんのサンタさん”、いままで大変だったんだろうな……)

美琴(13才までサンタさんを信じさせるって相当な苦労よね)




黒子「おね、おね、おね、お姉様!!」

美琴「黒子! 初春さんも」

初春「こんにちはー」

初春「それより、御坂さん。その指輪買われるんですか?」

美琴「え、ああ、まあね」

黒子「!!!!!!!」

初春「誰かにプレゼントとか?」

美琴「まあ、そんなとこね」

初春「誰にですか!? 一体誰にあげるんですか?」

美琴「それは……あの……お願い! 私がここでこの指輪買ってたこと秘密にしててくれないかな」

黒子「!!!!!!!」

初春「それは、やっぱり2人だけの秘密にしたいとか」

美琴「2人だけというか、夢を守りたいじゃない?」

黒子「!!!!!!!」

初春「あの、白井さん……さっきから顔だけでリアクションとるのやめてもらっていいですか?」




黒子「ーーーーーーーー」

美琴「それじゃ、私これ買って帰るから。ジャッジメントの仕事頑張ってね」

初春「はい、ありがとうございます」

黒子「ーーーーーーーー」

初春「白井さん? 御坂さん帰っちゃいましたよ」

黒子「ーーーーーーーー」

初春「白井さーん? もしもし?」

黒子「ーーーーーーーー」

初春「…………」

初春「白井さーん。変態の白井さーん。大丈夫ですかー?」

初春「妄想癖のド変態の白井黒子さーん」



初春「痛い痛い痛いっっ、ギブ、ギブです白井さん! ごめんなさいっ!」




フラフラ……。

黒子「…………」フラフラ

初春「ちょっと! 白井さん? どこ行くんですか?」

黒子「…………」フラフラ

初春「ここの万引き犯の後処理、私一人でやるんですか!?」

初春「帰ってからもまだ仕事が……白井さーん」



フラフラ……。

お姉様がカップルリング……?

――初春「今、告白するときに指輪を渡すのが流行っているんですよー」

誰にあげるため?

あの類人猿に?

――初春「なんでも、この指輪をプレゼントして告白すれば、必ず成功するとか」


告白?
成功?
指輪?
お姉様

告白
成功
指輪
お姉様

告白
性交
指輪
お姉様

告白
性交
子供
指輪
結婚
お姉様

一姫
二太郎
類人猿
お姉様



黒子「ああああああぁぁぁぁぁぁぁ」






【美琴・黒子の部屋】


美琴「黒子遅いわね~」

美琴「……クリスマスだからお泊まり?」

美琴「黒子に限ってそんな」

黒子「ただいま戻りましたの……」

美琴「あ、黒子。おかえり」

黒子(お姉様……そんな爽やかな笑顔)

黒子(告白……成功してしまいましたの?)



美琴(た、頼み辛ーー!)

美琴(こんなに顔色悪くして帰ってくるなんて想定外だわ)

美琴(でも、黒子じゃないと、佐天さんの所にこっそりとプレゼント置けないし……)




美琴「あのね、黒子……。頼みたいことがあるの」

黒子「頼みたいこと……ですの?」

美琴「この指輪なんだけど……これを黒子に――」

パアァァァァァ。

黒子「わたくしにこの指輪を!?」

美琴「佐天さんのところまで運んで欲しいんだ」

パリーーン。

黒子「佐天……さん?」

美琴「そう。この指輪を佐天さんの靴下の中に入れて置いて欲しいの」




黒子(佐天さん……。まったく予想外の人ですの)

黒子(お姉様が佐天さんを? どうして?)

黒子(そういえば、わたくしも初春も12月は忙しくてずっとジャッジメントの仕事をしてましたの)

黒子(よく二人っきりでファミレスにいたような……)

黒子(その時に恋が生まれた……?)


美琴「起こさないように気をつけてしてね」

黒子「わかりました。お姉様。黒子は……黒子は……」

黒子「……ぐっ……いってまいります」

シュンッ(テレポート)

美琴「黒子……。疲れているところ、本当ごめんね」




佐天「~~♪ ~~♪♪」

佐天「クリスマスか……。あたしにとってはただの平凡な一日だったなぁ」

佐天「彼氏とかいたら特別な一日になってるんだろうけど」

佐天「…………」

佐天「アレに手を出してみるか」

※アレ=『インディアンポーカー』の架空の彼氏といちゃいちゃするカード(Aランク)

佐天「これに手を出したら、ずっと彼氏できないような気がする……」





黒子「…………」

佐天「いや使うね! でも、その前にシャワー浴びてこよ――」

黒子「…………」

佐天「ぎゃあああああ」

佐天「し、白井さん!! ……今の独り言聞いてました?」

佐天「っていうか、勝手に入ってこないで下さいよ!」

黒子「……靴下ですの」

佐天「は?」



佐天「や、なんで突然靴下を脱がそうとしてくるんですか!?」

佐天「ちょっ、白井さん!? やめ」



佐天「白井さ~ん。靴下返して下さい。意味わかんないです」

佐天「それに、その靴下は今日一日ずっと履いていたのだから、他人に触られるのも嫌なんですよ」

黒子「…………」

佐天「白井さん?」

黒子「(ごそごそ)」

佐天(靴下の中になにか入れだしたーー!!)

黒子「それでは」

シュンッ(テレポート)

佐天「えぇぇぇぇぇぇぇぇ」




美琴「おかえり、黒子。どうだった?」

黒子「……言われたとおり、靴下の中に入れてきましたの」

美琴「ありがとう」

黒子「……う、ぅぅ」

美琴(マジ泣き!? なんで?)

美琴「……もしかして、ジャッジメントで辛いことでもあった?」

黒子「うっ、ぅぅぅ」

美琴(こういう時どうしたらいいのかしら)

美琴「あ~そうだ。黒子、今日は私のベッドで一緒に寝る?」

黒子「(こくん)」

美琴(特にオーバーリアクションもなく、普通にベッドの中に入ってきたわね)

美琴(これは……相当ヘコんでいるわね)



美琴「あ、そうだ。忘れるとこだったわ」

美琴「はい。これ私からのクリスマスプレゼント」

黒子「お姉様がわたくしに……?」

美琴「うん。何にしようか迷ったんだけど……ほら黒子って冬でも寒そうな恰好してるじゃない?」

美琴「だから、レッグウォーマーにしてみたんだけど……」

黒子「お姉様……」

美琴「どうかな? 気に入らなかった?」

黒子「いえ。……お姉様の匂いがしますの」

美琴「未使用だから。使用済み渡すとかどんなけ変態なのよ」



お姉様――。

お姉様は決して黒子を蔑ろにしていた訳ではないのですね。

わたくし、今決心致しましたの。

お姉様にとって一番が佐天さんでも……。

お姉様の側にいられるのなら……。





――黒子は二号さんでかまわない、と。



【一方、その頃佐天さんは……】


佐天「……ドユコト?」

佐天「あたしの靴下。指輪。白井さん」

佐天「この指輪ってカップルリングだよね。今話題の告白するときに贈るっていう」

佐天「告白? 白井さんが? あたしに?」

佐天「仮にそうだとしても、あたしの靴下を脱がした意味は?」

佐天「あたしの使用済みの靴下はこの指輪(定価3万円)と同じだけの価値があるよ、って伝えたかった?」



ぐーる、ぐーる、ぐーる……。



佐天「わっかんない!」

佐天「……初春に相談しよう」

佐天「もしもし、初春? 今時間平気?」

佐天「あ……ありのまま今、起こった事を話なすね。さっき白井さんが――」



初春『と、いう夢を見たんですか? 災難でしたねー』

佐天「夢じゃないよ!」

初春『でも、考え方次第ですよ? それが初夢じゃなくてよかったじゃないですかー』

佐天「だから、夢じゃないんだって! 実際にカップルリングだってあるし」

初春『カップルリング!?』

佐天「そう。昨日一緒にショッピング行ったじゃない? そのときにあたしが欲しいって言ってた」

初春『あの指輪ですか!?』

佐天「でも、どうして白井さんが知っているんだろう?」

初春『……言いました』

初春『今日、その店で窃盗事件があったんですよ。その時、現場で白井さんに『佐天さんがすごくこの指輪を気に入ってましたよー』って言いました、確かに』

佐天「本当に!?」

初春『カップルリングであることも説明しましたし、その指輪をプレゼントして告白すれば、必ず成功するとも言いました』

佐天「全部知ってて、あえてこの指輪ってことは……やっぱり、本気の告白って……こと?」




初春『この指輪買おうかなって言ってましたけど、てっきり御坂さんにあげるために言っているのかと思ってました……』

佐天「他になにか言ってなかった?」

初春『他は……『これさえあれば、あのカラダはわたくしの物』とか……』

佐天「カラダ!? 白井さんってあたしの身体目当てなの!?」」

初春『わかりませんけど……でも、そのときは確かにそう言ってました……』

佐天「そっか……。ありがとう。あとは自分で考えてみるね」



佐天「わかったことは……白井さんは本気、ってことか……」


白井さんに劣等感を感じてはいたのは確かだけど……。

あたしと同じ中学生で……。

あたしと同じ年齢で……。

……劣等感を感じていた相手から告白されるのは悪い気はしないような……。

劣等感? 本当に? 憧れじゃなくて?

憧れてた? 白井さんに?

憧れてたって、それってつまり好きってことじゃないの?

いや、憧れと好きは違うし。

どう違うんだろう?

それはえっと……。

ぐーる、ぐーる、ぐーる……。



美琴「目、赤いわよ。眠れたの?」

黒子「一睡もしていませんわ」

美琴「眠れなかったの?」

黒子「匂いを嗅ぐことだけに集中してたら、あっという間に朝になっていましたの」

美琴(やっぱり、一緒に寝ようだなんて言うんじゃなかったな)

黒子「おー姉様の香りぃ~それはフローラ~♪」

美琴(突然歌い出したー!!)

美琴「黒子、やっぱり今日は買い物は中止して、帰って寝ましょ?」

黒子「“寝る”だなんて……お姉様のス・ケ・ベ」

美琴「そういう寝るじゃないわよ!! どうしちゃったのよー!!」

黒子「たとえ身体目当てでもかまいませんの」

美琴「何言ってんの!?」



美琴(私にも経験があるけど、一睡もしてないと変な思考になったり、変なこと口走ったりすることはあるわよ)

美琴(でも、それを踏まえてもちょっとおかしくなりすぎじゃない!?)

美琴「わかった。明日も付き合うから、今日はもう帰りましょう、ね?」

黒子「それはいけませんわっ!!」

美琴「えっ!?」

黒子「本妻を差し置いて、二日連続でお姉様を独占だなんて」

美琴「ホンサイってなに?」

黒子「黒子は、黒子は草葉の陰で充分ですのっ!!」

美琴「それ、死んじゃってない!?」

黒子「アンタは普段から変だけど、今日は変の方向が変だから!!」




美琴「ねぇ、黒子」

黒子「はい」

美琴「今のアンタにまともな答えを期待してないんだけどさ」

美琴「さっきからどうして、3歩下がってついてくるの?」

黒子「お姉様のお邪魔にならないようにしてますの」

美琴「喋りにくいし、意味わかんないんだけど」

黒子「わたくし、お姉様の二号さんとして生きていこうと決めましたの」

美琴「2号さん……? ってなに?」


※二号さん=妾(めかけ)の俗称。愛人のこと。




美琴(黒子2号なの? だとしたら1号は?)

美琴(というか、2号がいるなら3号や4号もいるの? それどころか、100号や、10032号とか20001号とか?)

美琴(黒子が大量に……?)






……
…………
………………


御坂妹「お姉さま、今日は妹を紹介しに来ました、とミサカは三つ指をついてお姉さまに挨拶します」

美琴「妹? なんでいまさら?」

御坂妹「ミサカの妹のクロコです」

美琴「黒子!? アンタ達顔見知りだったの?」

御坂妹「このクロコはオリジナルの白井黒子てはありません、とミサカは懇切丁寧に説明します」

黒子妹「はじめまして、お姉さまのお姉さま。クロコ10032号です、とクロコは自己紹介します。…………ですの」

美琴「なに、その取って付けたような『ですの』! 今はそんなことどうでもいいか」

美琴「ビックリしすぎて、何にツッコんでいいのかわからないわ」

美琴「10032号ってことは一万人以上いるの?」

御坂妹「20万体です」

美琴「なんで私の10倍いるのよ!!」

黒子妹「クロコはオリジナルが普段やっている通り、お姉さまのお姉さまに抱きつこうと思います、とクロコはお姉さまのお姉さまに抱きつく宣言をします」

美琴「…………」

黒子妹「…………ですの」

美琴「いや、今アンタ、『ですの』って言い忘れてたでしょ!!」



クロコ1号「お姉さまのお姉さまー」

クロコ135号「お姉さまのお姉さまー」

クロコ2987号「お姉さまのお姉さまー」

クロコ19825号「お姉さまのお姉さまー」

クロコ135622号「お姉さまのお姉さまー」



美琴「ぎゃーー! どこからともなく20万人の黒子が!!」




………………
…………
……



美琴「…………」

黒子「お姉様?」

美琴「黒子……。2号は必要ないわ」

黒子「(ガーーーン)」

黒子「わたくし、昨日、せっかく決意しましたのに……」



佐天「白井さん!!」

美琴「佐天さん昨日のクリスマスはどう……だっ……た?」

美琴(佐天さんも黒子と同じ目をしてるー!)

佐天「白井さん、昨日の夜、あたしの部屋でのこと……いろいろ自分なりに考えたんです」

美琴「え? 昨日二人、会ったの? 夜、佐天さんの部屋でってことは……え?」

佐天「一睡もせずに考えたんです」

美琴「昨日寝てないの!? だってクリスマスは夜には九時に寝てるって」

佐天「あれは……嘘です。ごめんなさい」

美琴「えーーーーっ!!」




佐天「考えたんです。どうして白井さんがこんなことしたんだろうって?」

佐天「あたしが白井さんを友達の枠に無理矢理はめていたから……それが耐えきれなくなった……そうですよね?」

美琴「私が割って入るのもなんなんだけど、おかしな方向へ行ってない?」

佐天「思い返してみたら、あたし、白井さんの気持ちも考えず、無神経な言動ばかりとってたような気がします」

佐天「正直、昨日まで白井さんに対して好きとか、そんな感情なんてなかったけど……」

佐天「でも、白井さんになにも感じてこなかったわけじゃないんです」

佐天「劣等感とか憧れとか変態とかすごいなぁとか……いろんな感情が胸の中が斑色になって、よくわかんなくて」

佐天「自分の気持ちとか、まだよくわからないんですけど」

佐天「わからないなりに考えて、間違ってるかもしれませんけど……それでも」

美琴「ええっと……えっと……」

佐天「白井さん……私と……付き合って下さい」

美琴「ええぇぇぇぇぇ」





黒子「…………」


佐天さんを振る→お姉様と佐天さんの付き合い継続→お姉様は黒子を2号さんですら認めず。

佐天さんと付き合う→お姉様と佐天さんが破局→お姉様がフリーに。


黒子(佐天さんと付き合えば、お姉様永遠に、一人。つまり黒子のものですの……)【謎理論】

黒子「……はい。付き合いますの」

美琴「ええええええええええ!!!」

美琴「二人はそういう? え? 関係? ……ええええ!?」

美琴(私がその……なんとかしなきゃ、その……年長者として!!)

美琴「二人とも……その……よかったわね」

美琴(なんだこれーー!!)






今日は、クリスマス。小さな奇跡くらい、あってもいいはず……なのだ。





おしまい。






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