智絵里「つむじ風追い越して」 (64)

みりあ「きらりちゃん!てっぺんの星、お願い!」

きらり「任せて!きらりん背たかいたかーいだから楽チンだにぃ☆」

千佳「きらりちゃんすごーい!」

日菜子「すっかりクリスマスムードですねぇ~。むふ、むふふふ……」

P「おい何考えてんだ。ツリーの飾り付け手伝うぞ。智絵里も手伝ってくれ」

智絵里「は、はい……!」

ありす「事務所にもサンタさん来るでしょうか……」

杏「はぁ……。なんで杏も手伝わなきゃいけないの?」

莉嘉「サンタさんもドキドキさせちゃう超絶ミニスカサンタ見せちゃおーっと」

かな子「じゃあ私はお菓子用意するね~」

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P「ふぃ~。ひとまずこんなもんかな」

かな子「お疲れ様です。クッキーいかがですか?」

P「ありがとう。いただくよ。……杏は寝ちゃったのか。いいなぁ、かな子の膝枕」

かな子「プロデューサーさんは私が恥ずかしいからダメですよ~」

ありす「なんだか飾り付けが物足りないような……」

智絵里「きょ、今日はツリーだけだから……」

かな子「明日はもっとたくさん飾りつけようね~」

智絵里「みんなでパーティー……。楽しみだね。えっと……橘さん」

ありす「私は別に……」

かな子「素直じゃない子のところにはサンタさん来ないと思うよ~?」

ありす「あぅ……た、楽しみじゃないと言ったら……その、嘘になりますけど……」

かな子「ん~?」

ありす「た、楽しみです!どうですか!これでサンタさん来ますよね?」

かな子「そうだね~」

千佳「あっ!ありすちゃんもあっちでお話しようよー!」グイッ

ありす「えっ……?あの、私は……」

きらり「千佳ちゃん!引っ張ったらめっ!だよぉ~。きらりんプンプンになっちゃうにぃ」

千佳「ご、ごめんねありすちゃん……」

ありす「いえ……。いいですよ。みりあさん達の所に行きましょうか」

千佳「うん!今ねー、サンタさんのお話で盛り上がってたんだー!」


智絵里「サンタさん……かぁ……」

千佳「チカね、去年はクリーミィ☆真美ちゃんの変身グッズ貰ったんだー!」

莉嘉「アタシの所にはサンタさん2人来てさー。1個は箱もチョーデコってあって~」

みりあ「すごーい!サンタさんからもモテモテなんだねー」

日菜子「日菜子はサンタさんと…… むふふ……。って妄想をしてたら来てくれなくなったんですけどね」

ありす「日菜子さんが大人になったということでしょうか?」

きらり「ちょっと違うような気がすゆけど……」



P「2人は何か無いのか?サンタに纏わるエピソード」

かな子「一つありますよ~」

P「お、どんなのだ?」

かな子「小学2年生の時にお母さんとケーキを作って、サンタさんの分も置いておいたんです」

P「へぇ。それで?」

かな子「次の日『ありがとう。ケーキ美味しかったよ』って手紙があったんですよ~」

P「いい話だなぁ!智絵里は?」

智絵里「私は……その、無いんです……」

P「そうか。まあ必ずしも何かあったってことはないよな」

智絵里「そうじゃなくて……。その……サンタさんが来てくれたことが……」

P「……そ、そうか」

智絵里「きっと私がいい子にしてなかったから……」

かな子「ううん!それは違うよ!だって智絵里ちゃんすっごくいい子だもん!」

P「そういえば智絵里の家は両親がなかなか帰らないって言ってたもんな……。クリスマスも忙しいのか?」

智絵里「は、はい……。昔から年末は特に忙しいみたいで……。でも両親が何か……?」

かな子「!」

P「え?だって……」

かな子「ほ、ほら!サンタさんが家に来た時に鍵が閉まってたら入れないでしょ?」

智絵里「そう思って鍵を開けっ放しにした年もあったんだけど……」

かな子「え……?あれ?おかしいね……」

杏「そんな危ないことしたから悪い子だと思われてたんじゃない?」

智絵里「あ…… そっか……」

P「杏起きたのか」

かな子「智絵里ちゃん、本気でサンタさん信じてるみたいですよ……」ヒソヒソ

P「そ、そうなのか……」


智絵里「私も高校生ですし、もう来てくれませんよね……」

杏「そんなことないと思うな~。ね?プロデューサー?」

P「うーむ。さすがに高校生にもなって……」

杏「ね?」

P「あ、ああ……!そうだな。今年こそはきっと来てくれるんじゃないかな……」

智絵里「ほ、本当ですか?」

P「確証はないけど、智絵里がいい子にしてたらきっと来るさ」

智絵里「……わ、私、頑張っていい子になります」

P「お、おう……。もう十分過ぎるくらいにいい子だけどな」

智絵里「あっ……。もうこんな時間……」

P「今日は藍子のラジオのゲストだったな。生放送、頑張ってこいよ!」

智絵里「はい!」

P「期待させてしまった……」

かな子「プロデューサーさん……」

P「助けてかなえも~ん」

かな子「た、たぬきじゃありませんよぉ!」

P「ハハハ、からかうと意外に可愛い反応するじゃないか」

かな子「かわ…… も、もうっ///」

杏「そんなことしてる場合じゃないんじゃないの?」

P「そうだった。どうしよう……」

杏「プロデューサーがサンタとして智絵里ちゃんにプレゼントあげればいいだけの話じゃん」

P「俺からもらって嬉しいのか?」

杏「そこはバレないように工夫しなよ。そうすれば智絵里ちゃんも本物のサンタさんだと思ってくれるでしょ」

かな子「そっか!杏ちゃん頭いい~」

杏「ま、智絵里ちゃんならプロデューサーからでも喜んでくれるだろうけどね~」

P「そうか……。とりあえずやるべきことは見えてきた。ありがとな」

杏「プレゼントは飴玉100個でよろしく~」

P「……検討しておく」

杏「じゃ、おやすみ~」

P「さーて俺も寝るかな」

かな子「いきなり思考停止しないでください!私も手伝いますから!」

P「本当か?」

かな子「智絵里ちゃんの為ですから」

P「俺も智絵里の為だぞ。一緒だな」

かな子「無いですからね?」

P「まだ何も言ってないだろ。……なんかこう、さ?同じ目的を持つ男女が」

かな子「だからありませんって!私アイドルなんですよ?」

P「ちぇっ。凛やまゆならこんなくだらない冗談でもノッてくれるんだけどなぁ」

かな子「あんまりふざけると協力しませんよ?」

P「すまんすまん」

P「まずは智絵里の欲しい物をリサーチだ!」

かな子「いつの間にか藍子ちゃんの番組が始まってる時間ですね」

P「あ、そうだったな」

かな子「クリスマス特集とかでそういう話してるかも!」


藍子『クリスマスといえば、智絵里ちゃんはクリスマスプレゼントで欲しい物ってありますか?』

智絵里『え、えっと……。プレゼントですか……?その……ファンの人達が幸せになってくれたら嬉しいな……』

藍子『智絵里ちゃんらしくていいと思います。明日はCANDY ISLANDのクリスマスイベントもあって――』


P「智絵里はいい子だなぁ」

かな子「でも智絵里ちゃんの欲しい物分かりませんでした……」

P「こうなったら直接……」

かな子「ダメです!」

P「すみません……」

P「万策尽きたー!」

かな子「尽きてません!」

P「そうは言っても智絵里の欲しい物が分からないんじゃ……」

ありす「あの……。何か私に手伝えることは無いでしょうか?」

P「あ、ありす!?いつから聞いてたんだ……?」

かな子「まずいですよ……ありすちゃんは……」ヒソヒソ

P「ああ、分かってる」ヒソヒソ

ありす「あの……」

かな子「あ、ありすちゃんにはちょっと難しいかな……?」

P「そ、そうだな……。気持ちはありがたいが……」

ありす「そうですか……。智絵里さんの欲しがってる物も一応知っていたのですが……」

P「ん?」

P「ありす、今なんて?」

ありす「はい?智絵里さんの欲しい物を知っているのでプロデューサー達の力になれないかと……」

P「なんでありすが知ってるんだ?」

ありす「さっきツリーの飾り付けをしている時に聞いたんです」

P「なるほど。それで智絵里の欲しい物って……」

ありす「幸せ、ですよ」ドヤァ

P「こら!俺が思ってたのと違うだろ!」

ありす「ひっ……」

かな子「ま、まあ智絵里ちゃんらしいと言えばらしいですけど……」

P「幸せか……」

ありす「お力になれませんでしたか……?」

P「いや、ありすのおかげでいいことを思いついた」

かな子「いいことですか?」

P「それはな……」ヒソヒソ

かな子「えーっ!間に合うんですか!?」

P「間に合わせてもらう!そっちは任せたから杏を起こして早急に準備を始めるんだ!」

かな子「は、はい!」

ありす「いいことって何ですか?私にも……」

P「ありすはちょっと買い物に付き合ってくれ」

ありす「え?は、はい……?」

ありす「明日のイベントでそれをやるんですか?」

P「ああ。ありすもやりたかったか?」

ありす「私はいいです。事務所で飾り付けして待ってますから」

P「そうか。じゃあちひろさんの言うことをちゃんと聞いて待ってるんだぞ」

ありす「はい」

P「いい子にしてたらケーキを買っていってやろう」

ありす「ケーキなら愛梨さんがたくさん持ってきますよ。でも……」

P「ん?」

ありす「買ってきてくださるなら…… イチゴがたくさん乗ったやつでお願いしますね」

P「分かった」

P「よし、買う物はこのくらいだな」

ありす「4着も必要なんですか?」

P「もちろん。こっちはありすにも協力してもらうからな」

ありす「えっ!?き、聞いてません!」

P「あんなに手伝いたがってたじゃないか」

ありす「それとこれとは別です!」

P「可愛いやつめ」

P「ただいまー」

ありす「ただいま帰りました」


かな子「ねっ?杏ちゃんってば~」

杏「やだよ。恥ずかしいじゃん」

かな子「恥ずかしいのは私も一緒だから!」

杏「だいたい杏サンタはこの前着たし」

かな子「もう~!」

杏「しかもさ~、智絵里ちゃんにとってはアドリブだよ?上手くいく保証は無いと思うな~」

P「いや、必ず上手くいく」

かな子「あっ、プロデューサーさん」

杏「おかえり~」

P「っていうことで智絵里ならきっと上手くやってくれるからさ。だから頼む!」

杏「そこまで言われたらしょうがないなぁ……」

P「ありがとう!」

杏「その代わり飴玉は10倍にしてもらうからね」

P「ぐっ……」

かな子「それにしても新しい衣装はさっき手配したんですよね?急繕いですけど予算とか大丈夫なんですか?」

P「俺の貯金から……」

ありす「あの、ケーキは無理しなくていいですからね……?」

P「大丈夫だ……。必ず用意する……」

P「それじゃ俺は段取りが少し変わったって会場のスタッフさん達に伝えてくるよ」

かな子「は、はい」

ありす「行ってらっしゃい」

P「行ってきます」

ガチャッ バタン

かな子「何だか大変なことになっちゃったね」

杏「段取りも変わるし衣装も変わるし」

ありす「トナカイの服まで着せられるし……」

かな子「トナカイ?」

ありす「何でもないです……」

杏「智絵里ちゃんにプレゼントあげるってだけなんだからさ、智絵里ちゃんのロッカーにでもプレゼント入れておくだけでいいのに」

かな子「そうだけど、こういうのってサプライズとかがあると嬉しいよ~」

杏「そうかなー?めんどくさいだけじゃない?」

かな子「その面倒さがいいんだよ~。ね、ありすちゃん」

ありす「すぅ……すぅ……」

かな子「あっ!もう~、こんなとこで寝たら風邪ひいちゃうよ~!」

杏「毛布あるけど、使う?」

かな子「あ、ありがとう」

杏「かな子ちゃん」

かな子「ん~?どうしたの?」

杏「膝枕してるとお母さんみたいだよ」

かな子「もう~!からかわないでよ~!」

杏「……いつも変なこと言って苦労かけてごめんね」

かな子「急にどうしたの?」

杏「なんとなくね」

かな子「気にしないで。私たちだって杏ちゃんに助けられてるもん。それに私たちの為に言ってくれてるってちゃんと分かってるよ。私たちって考えが甘いから……」

杏「うん……」

かな子「でもクリスマスプレゼントにもうちょっとだけ働いてくれる杏ちゃんが欲しいかな~」

杏「……それは無理」

かな子「え~」

杏「ねぇ、かな子ちゃん」

かな子「ん~?」

杏「サンタさん、来るといいよね」

かな子「うん。そうだね」

P「間もなくイベントが始まるな!心の準備は出来てるか!?」

かな子「大丈夫です!」

杏「任せておいてよ~」

P「智絵里は……」

智絵里「ど、どうして衣装が違うんですか……?」

P「ああ。サンタ衣装か。似合ってるよ」

智絵里「あ、ありがとうございます……。ってそうじゃなくて……!」

P「サプライズだ」

智絵里「余計に緊張しちゃいます……」

かな子「皆さ~ん、今日はCANDY ISLANDのクリスマスイベントに来てくれてありがとうございます~」

ファン「うおおおおおおおおおお!」

智絵里「み、皆さんに幸せ、届けられるように精一杯頑張ります……!」

ファン「うおおおおおおおおおお!」

杏「最後まで楽しんで行ってください!」

ファン「うおおおおおおおおおお!」

かな子「最初はこの曲から!聞いてください!」

3人「“Happy×2 Days”!」

智絵里(あれ……?かな子ちゃん振り違う……。杏ちゃんも!?)

智絵里(えっ?ステージ降りちゃうの?)

智絵里(それにあの袋は飾りだって言ってたのに……。中に手入れて……)

智絵里(あれ……飴かな……?)

智絵里(ファンの人に配ってる……。そっか……プレゼントなんだ……)

智絵里(どうしよう……。私何も……)

智絵里(どうしよう……)

ファン「うおおおおおおおおおお!」

かな子「ありがとうございました~!」

杏「次は智絵里ちゃんのソロステージでーす」

智絵里「えっ……?」

杏「だって智絵里ちゃんだけみんなにプレゼントあげてないし~」

かな子「サンタさんの格好してるのにね~」

智絵里「えっ、で、でも……」

杏「いいからいいから~」

ファン「ちえりんサンター!頑張れー!」

かな子「ね?みんなもプレゼント期待してるみたい」

杏「幸せ、届けるんでしょ?」

智絵里「そっか……」

智絵里(ファンの人達が幸せになってくれることが私の幸せ……。それなら……)

智絵里「私、精一杯歌います!」

智絵里「聞いてください……。“風色メロディ”」

ピロピロピロピロ

P「かな子からメールだ。無事にイベントを終えたらしい」

ありす「ああ……。ついに出番が……」

莉嘉「あーあ。チョーセクシーなミニスカサンタの予定だったのになー」

千佳「チカもマジカルサンタの予定だったのにー!」

みりあ「でもトナカイも可愛いよね!ねっ、ありすちゃん!」

ありす「ど、どうして私に振るんですか……」

P「俺は3人を迎えに行ってくるから打ち合わせ通り頼んだぞ」

みりあ「はーい!」

P「絶対に智絵里の欲しい物を聞き出すんだ!」


日菜子「むふ……。皆さん、トナカイ衣装よく似合ってますよぉ……」

きらり「みりあちゃんも莉嘉ちゃんも千佳ちゃんもありすちゃんも、みーんなかわうぃー☆」

ありす「あ、ありがとうございます……」

莉嘉「それじゃそろそろ準備しておこっか」

千佳「うん!」

P「さあ、事務所に着いたぞ!みんなでパーティだ!」

かな子「楽しみだね~。飾り付けどうなってるかな~?」

ちひろ「プロデューサーさん!大変です!」

P「ちひろさん……?どうかしたんですか?」

ちひろ「私がみんなに用意していたプレゼントが盗まれたんです!」

P「えぇっ!?」

智絵里「一体誰が……」

ちひろ「付いて来てください!」


杏「ねぇ……もしかして……」

かな子「うん……。ちひろさんもグルみたい」

ありす「さ、サンタさんが油断した隙にプレゼントはいただきました……!」

かな子「みんな!どうしてこんなことするの!」

みりあ「だってプレゼント独り占めしたいもん!ねー!」

P「クソ!トナカイがボイコットしたっていうのか!こうなったら力ずくで……」

ありす「プレゼントがどうなってもいいんですか!」

莉嘉「食べちゃうぞー☆」

P「く、ふふ……。プレゼントを人質に……ふふww」

智絵里「あの……これってもしかして茶番……」

杏「智絵里ちゃん!これは遊びじゃないんだよ!」

智絵里「あっ、そ、そうだよね!ごめんなさい……」

ちひろ「お願い。大事なみんなへのプレゼントなの」

ありす「返して欲しければ私たちの要求に応えてください」

P「ブフォwwwヒッ、卑劣な……w」

かな子「よ、要求って何なのかな?」

ありす「それは……」

千佳「みんなの欲しい物を教えてー!」

ありす「あっ、流れ的に私が言うところだったのに……」

杏「欲しい物ー?印税とー、寝る時間とー」

かな子「お菓子お腹いっぱい!」

P「恋人!」

ちひろ「廃課金P!」

かな子「どう?これで返してくれるかな?」

莉嘉「いいよー☆」

ありす「待ってください。まだ智絵里さんが……」ヒソヒソ

莉嘉「あ、そっか。ごめん!やっぱダメ!」

かな子「そ、そんな……」

杏「ほら、智絵里ちゃんも」

智絵里「え……?」

杏「智絵里ちゃんが言わないとプレゼント返してもらえないよ」

ちひろ「お願い智絵里ちゃん!」

智絵里「私は……」

智絵里「し、幸せな家庭が欲しい、です……!」

智絵里「い、言えたぁ……」

ありす「……約束通りこれはお返しします」

P「よしっ!やりましたねちひろさん!」

ちひろ「はい!」

ありす「では、行きましょうか……」

みりあ「うん……」

P「待て!どこに行くんだ!」

ありす「折角皆さんの欲しい物を聞いたんです。サンタさんに伝えに行くんですよ……」

莉嘉「うん……。早く行こ……」

スタスタ

P「お、俺ちょっと追っかけてきます!みんなは先にパーティに行っててくれ」

P「おーい!ありすー、みりあー、莉嘉ー、千佳ー」

ありす「あっ……。プロデューサー……」

P「ありがとう!お前達のおかげで助かったよ!」

莉嘉「でも……」

千佳「チカ達悪いことしちゃったから……」

みりあ「サンタさん来てくれないねって……」

ありす「うぅ……」

杏「実は~」

P「杏……?先に行ってたんじゃ……」

杏「サンタさんからは内緒にしておいてって言われてたんだけど、みんなへのプレゼント預かってるんだよね~」

ありす「ほ、本当ですか……?」

杏「とりあえずさ、みんなのところ行かない?そしたら分かるから」

ありす「これ……。イチゴのケーキ……」

みりあ「わぁ……!美味しそう!」

莉嘉「デコレーションのセンスもいい感じ!」

千佳「クリーミィ☆真美ちゃんのマジパンものってる!」


P「そういえば買ってくるの忘れてた……」

きらり「杏ちゃんにお願いされたから買っておいたの」

杏「ありすちゃん、昨日ケーキがどうこうって言ってたからね」

日菜子「マジパンは日菜子が作ったんですよぉ」

ありす「あの……杏さん、ありがとうございます……」

杏「お礼なら杏じゃなくてプロデューサーに言ってよ~。サンタさんに頼んでくれたのはプロデューサーなんだから」

P「え?」

みりあ「そうだったんだ!プロデューサーありがとう!」

千佳「ありがとう!」

莉嘉「サンキューPくん!」

ありす「あ、ありがとうございます……」


杏「こうでも言わないとプロデューサーの面子が立たないでしょ?」

P「杏……!」

杏「報酬の飴は……いいや」

P「え!?」

杏「その代わり杏にもケーキちょうだーい!」

かな子「今切り分けるからね~」

千佳「あっ!チカ真美ちゃんのところがいい!」

みりあ「じゃあみりあはチョコ!」

かな子「うんうん。慌てなくてもケーキは逃げないよ~」

P「それにしてもありすは結構ノリノリだったよなー」

ありす「なっ!そんなことありません!」

莉嘉「ありすちゃんったら顔真っ赤だよー☆」

きらり「そういえばPちゃん、智絵里ちゃんの欲しい物は聞けたの?」

P「ああ。ありす達のおかげでな。というかその事も杏から聞いてたのか……」

きらり「うん。プレゼント渡せそう?」

P「あっ」

きらり「?」

P「どうしよう……」


智絵里「……」

智絵里「あの、プロデューサーさん……」

P「おう、智絵里。今日はお疲れ」

智絵里「はい……。ちょっとびっくりしましたけど、楽しかったです……」

P「そうか。それなら良かったよ」

智絵里「少し……外に出ませんか?」

P「うぅ~、外は冷えるな」

智絵里「はい……」

P「温かい物でも買おうか。智絵里は何がいい?」

ピラッ

智絵里(レシート……?)

P「智絵里?」

智絵里「あっ、ごめんなさい!」

P「いや、別にいいけど……」

智絵里「の、飲み物ですよね……!それだったら私自分で買いますから!」

P「いいっていいって」

智絵里「えっと……じゃあ、ミルクティーで……」

智絵里「あの、プロデューサーさん……。これ、落としましたよ……」

P「ああ。レシートか……。って!ああああああ!」

智絵里「いいんです……。私、なんとなく気づいてましたから」

P「え?」

智絵里「私がサンタさんからプレゼント貰ったことないって言ったから、気を遣ってくれてたんですよね?」

P「あ、ああ……」

智絵里「それに私もちょっと期待しちゃってたんです……。プロデューサーさんがサンタさんだったならって……」

P「そうか……」

智絵里「甘え過ぎちゃってますよね。また杏ちゃん困らせちゃいますね……」

智絵里「サプライズとか、いろいろ……。楽しかったです……」

P「みんなに迷惑かけちゃったけどな……」

智絵里「あっ!ごめんなさい!こういうこと言わない方がよかったですよね……。折角気を遣ってくれてたのに私気が利かなくて……」

P「智絵里……。俺は智絵里のサンタになるって決めたんだ」

智絵里「え……?」

P「さっきの……。さっき欲しいって言ってたのは本当か……?」

智絵里「は、はい……」

P「智絵里……。その……俺でよければ……」

智絵里「あの…… いっぱい迷惑かけちゃいますけど、いいんですか……?」

P「すまんみんな!」

杏「な~んだ、結局ばれちゃってたんだ」

莉嘉「アタシ達まで手伝わせておいて~!?」

きらり「そこはPちゃんだから、ねっ?」

ありす「折角手伝ったのに……」

智絵里「う、うん……。橘さんもよく手伝ってくれたって聞いてるよ……」

ありす「智絵里さんも、ありすでいいですよ。ありすって呼んでください」

智絵里「うん……。ありがとうね、ありすちゃん」

P「さて、と……。智絵里へのプレゼントだが」

智絵里「はい……」

P「今はこれで我慢してくれないか?」

智絵里「ネックレスですか……?あっ……。クローバー……」

P「智絵里に似合うと思って買っておいたんだ。着けてみてくれないか?」

智絵里「はい……。あ、あの……。似合いますか?」

P「ああ。とっても」

智絵里「は、恥ずかしいのでもう外しますね!」

P「智絵里がトップアイドルになって、もしアイドルを引退するって時には…… その時には幸せな家庭を作ろう。俺、それまで待ってるから」

智絵里「え……?」

P「え?」

P「ええええ!それじゃ昔みたいに家族仲良くしたいって意味だったのか!?」

智絵里「は、はい……。誤解を招く言い方をしてしまってごめんなさい……」

P「恥ずかしい……」

智絵里「ごめんなさい……」

P「う……う……」

智絵里「プロデューサーさん……?」

P「うわああああああああ!」ダッ

智絵里「プロデューサーさん!?」

P「うわああああああああああん!かな子おおおおおおおおお!」

かな子「よしよし。恥ずかしかったですね~」

杏「プロデューサーみっともないよ~」

智絵里「ごめんなさい……」

P「うっ……。もうちょっとこのままでいい?」

かな子「いいですよ~」

杏「杏たちもう帰るよ?」

かな子「先に帰ってていいよ。私はプロデューサーさんが泣き止むまでいるから」

智絵里「ごめんねかな子ちゃん……」

かな子「ううん。いいの。それより智絵里ちゃんはクリスマス楽しめた?」

智絵里「うん……。本当にありがとう!」

かな子「どういたしまして~」

杏「それじゃお先~」

かな子「プ~ロデューサーさん?」

P「うぅ……」

かな子「もうみんな帰っちゃいましたよ?」

P「かな子は帰らないのか?」

かな子「プロデューサーさんが泣き止むまで一緒にいます」

P「そうか……」

かな子「いい加減泣き止んだらどうですか?」

P「そうだな……」

P「もう大丈夫だ。遅いし送っていくよ」

かな子「あ、ありがとうございます」

P「鍵渡しておくから先に車乗っててくれ」

かな子「車……ですか?」

P「そっちの方がいいだろ」

かな子「え、えーっと……嫌です!」

P「嫌って……どういうことだ?」

かな子「歩いて…… 帰りませんか?」

P「かな子が歩いて帰りたがるなんて珍しいな。あ、ダイエットか?ケーキたくさん食べちゃったもんなー」

かな子「あっ……そ、それもありますけど……」

P「ん?他に何かあるのか?」

かな子「プロデューサーさんと少しお話したいな……って」

P「そうか……。あ、かな子のおかげでいろいろ助かったよ。かな子が手伝うって言ってくれてなかったら投げ出してただろうな」

かな子「そんな……。私は大したことはしてませんよ」

P「杏を説得してくれたり茶番劇にも乗っかってくれたりしたじゃないか」

かな子「あれは驚きました……。どうして伝えておいてくれなかったんですか?」

P「忘れてた……」

かな子「ふふっ、プロデューサーさんって時々抜けてるところありますよね」

P「かな子に言われたくないな」

かな子「も、もうっ!またからかって~!」

P「ハハハ、からかうと本当に可愛い反応するよなー。ん?顔赤いぞ?」

かな子「えっ!?」

P「熱でも出たかな?ごめんな。疲れてるのにこんな遅くまで」

かな子「い、いえっ!いいです!それより顔見ないでください……」

P「ど、どうしたんだ!?」

かな子「恥ずかしいです……」

P「悪い……」

かな子「プロデューサーさんの言う通りになっちゃいましたね……」

P「どういうことだ?」

かな子「同じ目的を持った男女が……ってやつです」

P「えっ…… それはつまり……」

かな子「……好きです」

P「えっと……」

かな子「一緒に智絵里ちゃんの為にって頑張ってるうちにプロデューサーさんのカッコイイところとかカッコ悪いところとか全部見えてきて……」

かな子「気づいたら好きになってたんです……」

P「そうか……」

かな子「引退まで待ってくれるっていうの、あれって……智絵里ちゃんだけですか?」

P「いや……」

かな子「それにプロデューサーさん、恋人が欲しいんですよね?」

P「あ、ああ……。か、かな子!かな子!」ガバッ

かな子「プロデューサーさん!?」

P「俺もかな子が好きだ……」

かな子「嘘つかないでください……。プロデューサーさんは智絵里ちゃんのことが……」

P「いや、俺は最初からかな子のことが好きだったぞ?」

かな子「えっ?」

P「じゃなかったらかな子に甘えたりしないし」

かな子「じゃあ智絵里ちゃんにプロポーズしたのは……」

P「智絵里がいいならって……」

かな子「ダメじゃないですか!そ、そんな自分を犠牲にするような……。許しませんよ!」

P「おお……。かな子が珍しく辛口だ……」

かな子「プロデューサーさんの甘い考えは私が正してあげますからね!」

P「かな子がそれ言うのか~?」

かな子「私だって厳しくできるんですからね!」

P「ふーん……。どう考えても歩いて帰れない距離なのに勢いだけで歩いて帰るとか言っちゃうのは甘くないのか?」

かな子「あ……」

P「ほーら」

かな子「本当に歩いて帰っちゃったら甘くないって証明できませんか?」

P「できるけど!できるけどやめておけ!」

運転手「アリアッシャー」

ブロロロロロ

かな子「すみません……」

P「やっぱりタクシーには勝てなかったな……」

かな子「はい……」

P「それじゃ、おやすみ」

かな子「おやすみなさい、プロデューサーさん」

バタン

P「さて……」

P「どうやって帰ろうかな」

P「こうやって歩いてみると夜の街もなかなかいいもんだ」

P「イルミネーションがちょっとずつ片付けられてて切ないな」

P「あっちはもう正月仕様だ……。もうすぐ正月か~」

P「おっ、こっちは社畜のイルミネーション。やみのまやみのま」

P「ん……?この会社って……」

P「すみません……。私Pという者ですが、緒方さんは――」

かな子「おはようございます~」

P「ぐがああああああ ぐがああああああ」

かな子「ぷ、プロデューサーさん!?椅子で寝ちゃったら体痛めちゃいますよ~!」

P「ん……。かな子か……。すまん、もう少し寝かせてくれ……。ぐがああああああ」

かな子「もう~!い、今なら膝枕してあげますから、寝るならソファーで寝ましょう?」

P「……立てない」

かな子「えぇ~!」

智絵里「おはようございます……」

ありす「おはようございます」

かな子「あっ、智絵里ちゃんありすちゃん!プロデューサーさん起こすの手伝って~」

P「よっこらしょっと……。悪いな」

かな子「いえいえ。あの後遅くまで仕事してたんですか?」

P「あー……。ちょっとサンタさんを家に帰す仕事をな」

ありす「あまり無理しないでくださいよ?」

P「ああ……。もうちょっと寝ててもいいか?膝枕してくれるんだろ?」

かな子「は、はい!」

智絵里「……」

P「ぐがごごおおおおおお」

かな子「ふふっ、プロデューサーさん気持ち良さそうに寝てるね」

智絵里「うん……。あのねかな子ちゃん」

かな子「どうしたの?」

智絵里「昨日、私の家にもサンタさん来たよ。赤い服じゃなくて背広姿だったけど……」

かな子「本当?良かったね~」

智絵里「うん……。もう一人のサンタさんがね、ほんの初めの一歩だけど…… 幸せな家庭をプレゼントしてくれたの……」

ありす「……良かったですね」

智絵里「ありすちゃんトナカイがサンタさんに伝えに言ってくれたおかげだね。ありがとう」

ありす「なっ、た、たまたまです……!それにお礼なら私じゃなくサンタさんに言ったらどうですか?」

智絵里「うん。そうだね……」

智絵里「プロデューサーさん…… ううん……」

智絵里「サンタさん、プレゼント……ありがとうございました!」



終わり

終わりです。かな子はメインヒロイン。

この後みんなを振り回した責任を負ったPに対し、代表者、アシスタント千川に言い渡された示談の条件とは…。


それでは、ここまで読んでくださった方、ありがとうございましたー!

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