あやせ「お兄さん!買い物に付き合ってください」 (56)

俺妹のあやせSSです
やおい注意

前に書いたSSは
俺ガイルの
八幡「やっぱりお前とは友達になれねぇよ、葉山」
葉山「やっぱり君の考えることは理解できないよ、比企谷」
とかその他諸々

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十二月になろうかというある日の昼前、俺こと高坂京介はラブリーマイエンジェルあやせたんに呼び出されていつもの公園にいた。

京介「デート?いいけど。あ、あと俺はあやせのくれるものならなんだってうれしいぞ?とりあえずうまいパスタの店探すから待ってくれるか?」

あやせ「はい?どうしてわたしがお兄さんなんかにプレゼントをあげないといけないんですか?通報しますよ?」

ハイライトの消えた瞳であやせは当然のように罵倒してきた。

ははは。知ってたさ。どうせ桐乃へのクリスマスプレゼントとかそんな感じだろ

会って早々渡されて嵌めた手錠が空しくジャラジャラと金属音を立てている。

京介「どうせ桐乃へのプレゼントだろ?」

あやせ「わかっているのにどうしてわたしがお兄さんにプレゼントをあげるなんて苦行が思いつくんですか」





京介「苦行ってお前……」

流石にひどくないかな

あやせ「酷いのはお兄さんの頭の中です。それで付き合ってくれるんですか?つき合わされたいんですか?」

京介「その二択はおかしい。俺に拒否権はないのか?」

あやせ「え?あると思っているんですか?」

京介「さも当然のように俺の人権を無視するんだな。言っとくけど俺は受験生だからな?これでも勉強が忙しいんだよ」

あやせ「……つまり手伝ってくれないってことですか?」

正直家でだらだらと単語を覚えていただけだから時間がないわけじゃない。





というか正直あやせとのデート(買い物はおまけ)はすごくしたい。

ただ最近のあやせはくだらない用件で俺のことを頻繁に呼び出している。

ここは1つ年上としての威厳というものを見せるべきではないだろうか。

京介「けどなぁ……。受験まで時間もないし……」

あやせ「そうですか……。そうですよね、お兄さんなんかでも受験は真面目にしないといけないですよね……」

そう言って目を伏せるあやせ。

かわいい(確認)

あやせ「わかりました。ご無理を言ってすみませんでした」





京介「悪いな。まぁお前からもらった物ならあいつは何でも喜ぶと思うぞ」

断腸の思いだがこれも将来に対する布石というものだ。

あやせ「ところで今唐突に質問ができたのですが、お聞きしてもいいですか?」

京介「おう?俺のスリーサイズか?それとも今日のパンツの色か?」

寂しさを紛らわそうと軽口を叩いたというのにあやせの顔色も瞳孔も変化がない。

あれ?おかしいな。いつもなら通報なり罵倒なり飛んでくるはずなのに。

あやせ「この前桐乃からお兄さんにお願いするときは『○リビアンコム・カリビアンコ○』と唱えるといいって聞いたんですが、どう意味ですか?」





ばっ!あのバカお袋だけじゃなくあやせにもデス○ーラ広めてやがったのかよ!

京介「あ!今日は突然桐乃のプレゼント選びを手伝いたくなってきた!あやせこれから時間あるかな!?」

あやせ「でもさっきお兄さん勉強が忙しいって……」

京介「勉強も大切だけど息抜きも必要だって今気づいたんだよ!」

あやせ「そうですか?では仕方なくお兄さんに私のプレゼント選びを手伝わせてあげますね」

京介「手伝わせてくれるなんてあやせは優しいなぁ!」

あれ?なんかおかしくね?

そんな俺の疑問が解消されることはなく、あやせに連行されて公園を出るのであった。





★ ★ ★



京介「でさ、買う物は決まってるのか?」

電車に乗って東京にやってきてブラブラと街を歩きながら行き先を尋ねてみる。

あやせ「いえ……。いくつか考えてはいるんですけど、どうしても決められなくて……」

京介「何でも喜ぶと思うけどなぁ」

あやせ「確かに桐乃は何をあげても喜ぶと思います。けどどうせなら貰って一番嬉しいものをあげたいじゃないですか」

京介「そんなもんか」






あやせ「そういうものです」

京介「前に桐乃と行った店があるけどそこ行ってみるか?」

あやせ「あぁ。以前お兄さんが桐乃とデートした店ですか」ジトー

京介「デートなんかじゃねーよ。ただ取材につき合わされただけだっての」

あやせ「へーそうですか。べ・つ・に!お兄さんが桐乃とデートしても全然私は気にしてなんかないですけどね!」

嘘つけ

お前どんだけ桐乃のこと好きなんだよ






京介「そんなに怒るなよ。別にいいだろ。お前ら学校でも仕事でもいつでも一緒なんだからさ。俺に嫉妬なんかするなよ」

あやせ「はぁ……もういいです。お兄さんがそういう人だということは知ってましたから」

そう言ってあやせはすたすたと歩調を速めて町の中を進んでいく。

全く

間違いなくお前が一番桐乃と仲良いのになんで俺なんかに嫉妬するかね

あやせに好かれた奴は振り回されて大変だろうな

まだ居ぬであろうあやせの思い人に同情しながら俺は追いかけた






★ ★ ★



あやせ「うーん……これかわいいけど合うような服、桐乃持ってたかなぁ……」

あやせがプレゼント選びを始めてから既に3時間が経っている

さっきからこれがかわいいだの、あれは似合わないなど俺からすればどうでもいいことに一考一考しながら選んでいる

正直俺からすればどうでいいのだが、せっかく一生懸命選んでいるあやせを邪魔するのも悪いので柱の花に徹していた

あやせ「お兄さん、ちょっと来てくれませんか?」

京介「ん?どうした?」

あやせ「右と左どっちがいいですか?」





そう言って見せてきたのは黄色と水色で色違いのシンプルなブレスレットだった

京介「んー俺はこれのほうがあやせに似合うと思うけどなぁ」

俺は花の柄が入った薄紫色のネックレスをあやせに見せる

あやせ「な…な…どうして桐乃のプレゼントを選んでいるのにわたしが付けることになってるんですか!」

京介「いや、ただこのネックレスがお前に似合いそうだなーと思ってさ」

あやせ「だからってアイリスって………これってぷ、プロ…」ブツブツ

京介「アイリス?オーヤマ?なんだそれ」

あやせ「うるさいですよ。早く選んでください。通報します」

京介「黄色がいいんじゃねぇの。いかにも桐乃って感じで。あやせは水色って感じだな」






あやせ「そうですか……。うーん……」

京介「気に入らないのか?」

あやせ「そういうわけではないんですけど……」

京介「けど?」

あやせ「もっと桐乃に似合うプレゼントがあるんじゃないかと」

京介「そうか?あやせの分も買ってペアにすればいいんじゃねーの?」

あやせ「ペアで買おうかなと思ったんですけど……」

値札を見て口ごもるあやせが理解できた

15,000円を二つは読者モデルをしてるあやせでも流石に懐が痛いっていうことなんだろうな






まぁバイトしてても3万円はデカいか

そこら辺は中学生も高校生も一緒か

いつまでも値札を恨めしそうに見ているあやせがそのうち根を張りそうだったので声をかける

京介「まぁ何にしても一回休憩にしようぜ。流石に腹が減ったわ」

あやせ「……え?あっ。お兄さんすみません!お腹空きましたよね……」

時計を見ればもう2時を回りそうなところだ

京介「俺は別にいいけどさ、あやせも疲れただろ」

あやせ「わたしはまだ大丈夫ですけど。そうですね、一度休憩しましょう」

いつものことながら買い物するときのあやせの健脚っぷりには驚かされるな



21時過ぎから再開します
今日中に投下終わらせます

再開します



★ ★ ★



さっきのアクセサリー屋から少し歩いたところにある飯屋で俺とあやせは腰を下ろした。

京介「何食べる?」

あやせ「うーん……どれもおいしそうですごく迷います……」

京介「ここはランチがうまいらしいぞ?」

あやせ「へー?」ジトー

京介「な、なんだよ」

あやせ「いえ、別に。ただこんなオシャレなお店よく知ってますね。変態……」

京介「ちげーよ。ただたまたま読んでた本に乗ってたからな」






べ、別にお前のために調べてたわけじゃないんだからなっ!

……うん、なんか違うな

あやせ「なら変態のお兄さんを信じてこのプレートランチにしてみます」

京介「俺はランチセットとピザにするか」

店員を呼んで注文を伝える。一瞬店員がギョッとした形相になったけどあれは何だったんだろうか

あやせ「よくそんなに食べられますね」

京介「まぁな。てか俺からすればあやせはよくそれだけで足りてるよな」

あやせ「そうですか?けどわたしも結構甘いものが好きなので、気を抜くとお菓子とか食べ過ぎちゃうんですよね」

京介「まぁモデルだから仕方ないかもしれないけどさ、俺としては倒れないか心配だな」




あやせ「身体が資本ですからね。まぁ仕方ないですね」

京介「俺的にはもっと食べてもいいと思うんだけどな」

あやせ「誘惑はやめてください。これでも結構我慢してるんですから」

京介「そうなのか?」

あやせ「はい。前も時折好きなだけ食べたいって思っていましたけど、お兄さんはいつも食べるときおいしそうに食べるので時々恨めしくなります」

京介「食べたいものを食べるのが一番だからな」

あやせ「そう言えばお兄さんは男の人のわりに甘いものとかも平気で食べますよね?」

京介「まぁな。昔から麻奈美の家でよく和菓子食べてたからってのもあるな」

あやせ「お姉さん、ですか」

京介「ん?」

あやせ「別になんでもありません。ただお兄さんとお姉さんはいつも仲がいいな、と思いまして」

京介「幼馴染なんてそんなものだろ」

あやせ「それは、そうかもしれませんけど……」

京介「だからどうしたよ」

あやせ「なんでもありませんっ」

そう言ってあやせは不貞腐れてしまった。なんなんだよ、まったく

空気が気まずくなりかけた時、店員が料理を持ってきた。よく訓練された店員だな




★ ★ ★



京介「うまかったな」

あやせ「そうですね」

食事を食べ終えた俺たちはのんびりとしていた。

そしてあやせはさっきからメニューをチラチラと盗み見ている。

様子を見るに気になるデザートはあるが、体型を気にしてためらっているというところか

京介「すみません。これを一つお願いします」

店員が通りがかったタイミングでメニューを指す。

店員は引き攣った笑顔を見せて消えていった。だからなんだよその笑顔は

あやせ「お兄さん?」





あやせは怪訝そうにこちらを見る。

京介「ちょっと気になったからな。別に他意はないぞ?」

あやせ「ふーん。そうですか。別に他の人と来た時に頼めばいいんじゃないですか?」

京介「出かけるって言っても最近は桐乃にパシられるくらいだからなぁ」

あやせ「……どうして今の流れで桐乃の名前が挙がるんですか」

京介「なんでって他に出掛けるような女友達いないからな」

あやせ「異性とのデートについて聞いているのに実の妹の名前を出すなんてお兄さんは本当に救いようのない変態ですね」グッ

京介「なんで拳握りしてんの?」





あやせ「……それはお兄さんを殴るためですよ」

京介「そんなバイオレンスな赤ずきんちゃん知らねぇよ!」

あやせ「全く、お兄さんの変態さは天井知らずですね」

京介「なんで罵倒されてるんだろ……あ、ケーキはそっちにお願いします」

あやせ「お兄さん?わたしは注文してませんよね?」

京介「俺洋菓子ッテ苦手ナンダヨナー」

あやせ「私は絶対に食べませんからね?お兄さんが食べてくださいよ?」

京介「まぁまぁ。甘いものは別腹って言うだろ。大丈夫だって」

あやせ「絶対に食べませんから」ジトー





京介「別に俺が食べてもいいけど……」

あやせ「当然です。お兄さんが勝手に注文したんですからお兄さんが勝手に食べてください」

京介「あやせが食べさせてくれ」

あやせ「はい!?どうして私がお兄さんに食べさせないといけないんですかっ!この変態!」

京介「いや、嫌いなケーキもあやせが食べさせてくれれば食べられると思うんだ」キリッ

あやせ「そんな顔で言っても無理なものは無理です![ピーーー]!変態!」

京介「そっかー。あやせは食べさせてくれないのかー」

あやせ「当たり前です!むしろどうしたらそんな考えになるんですか!」

京介「乙女座の俺はセンチメンタリズムを感じずにはいられない、からかな」

あやせ「意味が分かりません!」





京介「ストレスが溜まってるんですね」

あやせ「流石はお兄様です!って違います!お兄さんのせいですよ!死ね!」ハァハァ

京介「お疲れさん。疲れねぇの?」

あやせ「誰のせいで疲れたと思ってるんですか……」ジトー

京介「とりあえず甘いものでも食べて落ち着けよ」

あやせ「全く……」モキュモキュ

京介「食ったな」ニヤニヤ

あやせ「あっ。はぁ……もういいです。明日は運動しないと」

そう言って諦めたあやせはケーキをつつくのであった。






★ ★ ★




京介「あやせが食ってるの見てたら少し食べたくなってきたな」

あやせ「……食べればいいと思いますよ。そしてどんどん太っちゃえばいいんです」モキュモキュ

観念したあやせはモキュモキュと可愛らしい擬音を立てながらケーキを啄んでいる。

京介「んー確かに食いたい気もするけど全部食べると口の中が甘ったるくなりそうだしなぁ」

なんかさ、昔から和菓子食ってたせいか洋菓子のクリームとかってくどく感じるんだよな

あやせ「……食べなければいいと思いますよ。そしてどんどん迷っちゃえばいいんです」モキュモキュ

京介「あやせ」

あやせ「……はい」






京介「一口くれないか?」

あやせ「食べたいなら自分の分を注文すればいいじゃないですか」

京介「さっき言っただろ。全部食ったら口の中が甘くなるじゃん。だから一口くれよ」

あやせ「いやです。どうしてわたしが変態で意地悪なお兄さんに施しをしないといけないんですか」

京介「かわいいあやせちゃん頼むよ。な?」

あやせ「……いやです。煽ててもあげませんよ。日頃の行いが悪いと思って反省してください」

京介「いいだろ。ツンツンするなよ。かわいい顔が台無しだぞ?」

あやせ「元々こういう顔なんです。第一そんな見え透いたお世辞なんかに引っかかるわけないじゃないですか」






京介「いや?かわいいって思ってるのはお世辞でも何でもなく本心だぞ?」

あやせ「……っ」

京介「あや……いてっ。おい、足蹴ってる!蹴ってるってば!」

あやせ「聞こえませんね、変態の戯言なんて」

京介「なんだよ……拗ねてるかと思えばいきなり怒り出したり」

あやせ「誰のせいで怒ってると思ってるんですか……」

京介「え?なんだって?」

あやせ「今度は難聴ですか?もういいです」フンッ





京介「わかったよ。もう一口もらうのは諦めるわ」

あやせ「そ、そうですか……」モキュモキュ

なぜかあやせはシュンとしているように見える。

京介「あ、あやせ髪に何かついてるぞ」

あやせ「え?本当ですか?」

突然神のことを言われて驚いたのかキョトンとしている。

京介「取ってやるからちょっと止まってくれ」

あやせ「結構です。手鏡があるので自分で取ります」





京介「いいからいいから。動くなよ」

あやせ「セクハラしたらぶち殺しますよ」

なんだかんだ言って大人しくするあやせ

頬っぺたについた指で払ってペロリと舐める

京介「うん、うまいな」

あやせ「な…な……な………」プルプル

顔を真っ赤にしたあやせの顔が最後に見えて、乾いた音が響いた。





★ ★ ★

あやせ「全くお兄さんは全くもう……どうしてこんなに人の多いところであんなことができるんですか……羞恥心というものを少しは持って……」ブツブツ

顔を真っ赤にしたあやせはリストの効いたビンタを俺に食らわせた後お説教を始めた。

いや、まぁ、俺が悪いんだけどさ

なんかモキュモキュ食べてるあやせがかわいくてつい、悪戯心が芽生えたというか?

京介「ちょっくらトイレ行ってくるわ」

そう言いながら伝票を取ろうとすると誰かに手首を掴まれた

あやせ「お兄さんはトイレに行くときに伝票を持っていくんですね」ジトー





京介「ははは。不思議だなー。なんで取ろうとしたのかな。理由知ってる?」

あやせ「白々しいですよ、お兄さん。それとそういうのはやめてくださいって前も言いましたよね?」

京介「言ってたっけ?」

あやせ「はい。前回と前々回と6回前に出掛けたときに同じことして、わたしも同じこと言いましたよね?」

京介「記憶にないな」

あやせ「どこの政治家ですか。いいですか?わたしはそんなことされてもちっとも嬉しくありません」

京介「いや、あのだな、こういうのは男としては立ててほしいというか……」

あやせ「お気持ちはわかりました。けれどそれとこれとは別です」





京介「別なんだ……」

あやせ「はい。お兄さんはお小遣いを貰っている立場なんですから節制を心掛けるべきです。そんなことをされてもちっとも嬉しくありません」

京介「ちっとも……」

あやせ「あ、いえ、今のは言葉の綾といいますか、お気持ちは嬉しいですけど……お兄さんに負担が掛かってしまうとお誘いするのに気が引けて……」ゴニョゴニョ

京介「え?なんだって?」

あやせ「とにかく!お気持ちはうれしいですが、お気持ちだけで十分です。自分の食べた分くらいは自分で払います!」

京介「わかったよ。それはそれとして飯も食ったし買い物を再開するか」





あやせ「それもそうですね。では行きましょうか」

あやせは鞄を持って立ち上がり、それに合わせてレジに向かう

京介「あ、そうそう」

あやせ「なんですか?」

京介「理由がなくてもいつでも誘ってくれていいからな?というか是非誘ってくれ」

あやせ「……っ」

京介「あやせはかわいいなぁ」

あやせ「聞こえてたんじゃないですか!死ねっ!」

あやせはかわいいなぁ






★ ★ ★



京介「で、結局このブレスレットにするのか」

あやせ「はい。色々見ましたけど結局これが一番似あうかなと思いまして」

あれからまたしばらく店を回って、結局悩んでいたブレスレットのあった店に戻ってきた

けどさっきとは違って黄色のブレスレットだけを選んでいた

京介「あれ?桐乃とお揃いにしないのか?紫色のやつあやせに似合うのに」

あやせ「確かにわたしもかわいいと思いましたけど……」

あぁ結局桐乃の分だけにするのか







俺も誰かにプレゼントするなら頑張って買うかもしれないけど

まぁ値段が値段だし自分の分を買わないっていうのは仕方ないかもしれない

京介「けどよくブレスレット一つに1万も出すつもりになるよな」

あやせ「このくらい普通ですよ?そう言えばお兄さんはいつもアクセサリーとかつけませんよね」

京介「まぁな。学校に付けていくわけにもいかねぇし、私服だと何が合うとかわからないからな」

それにアクセサリー何かに1万払うくらいならうまいもん食ったほうがいいしな

あやせ「んーこれなんてお兄さんには似合いそうですけど」

そう言って見せてきたのはシルバーのシンプルなネックレスだった

京介「これなら何でも合いそうだ……」





確かに汎用性は高そうだけど1万以上するネックレスを自分のために買うつもりはない

あやせ「あぁ確かにこれもいいお値段ですね。自分用に買うのはわたしでも少し躊躇いますね」

京介「だよなー」

あやせがせっかく似合うって言ってくれたけど値段がネックすぎる。ネックレスだけにな

けどせっかくあやせが似合うって言ってくれたし年が明けたら買ってみるか……?

京介「まぁ今日は桐乃へのクリスマスプレゼントがメインだしそれ買おうぜ」

あやせ「それもそうですね」

そう言ってあやせは黄色のブレスレットを持ってレジに向かっていった。






★ ★ ★



店を出た頃には6時を回っていて日もすっかり暮れていた。

京介「そろそろ帰るか」

あやせ「そうですね」

ゆっくりと駅に向かって歩いていく

特に会話をすることもなく、そしてあっという間に駅に着いた

いつもならこのまま電車に乗って帰るのだが、今日は生憎用事ができてしまった

京介「着いた、な」

あやせ「着きました、ね」

なんて言い訳してあやせと分かれようか考える





結局特に言い訳らしい言い訳も思いつかなかったので素直に告げることにする

京介「……あーあやせ」

あやせ「……は、はい」

京介「悪いんだけど用事があるから今日はここで分かれてもいいかな」

あやせ「そうですかっ。わかりました。一人で帰りますので今日はここで」

あやせ『長くかかる用事なんですか?すぐ終わるなら待ってますよ?』

とかそんな感じの返しが来ると思っていたので拍子抜けだった

というか今のあやせはここで分かれるって言った時若干嬉しそうじゃなかったか?

え?俺と一緒に買い物するのいやだったの?俺泣くよ?





まぁ藪を突っついて包丁を持ったあやせが出てきても困るし、助かったと思っておこう

京介「また、な」

あやせ「はい、それでは」

あやせが歩き始めるのを見て俺も反対の道を歩いていく

少しの間意味も目的もなくブラブラと歩いてから立ち止まって駅のほうに歩きなおす

時間を置いたしあやせにも会わないだろ

そう判断した俺はさっきまで買い物をしていた店に歩を進める

別にあやせに勧められたネックレスを買いに行くわけじゃないからな?

あんな一万もするネックレスなんて年が明けてから買えばいいんだよ





そんなことではなく俺の目的は別にあった

店のあるビルに入ってエスカレーターに乗る

乗り進めていくとさっきまであやせと一緒に選んでいた店についた

売り場を覚えていたからあっさりと目的の物を見つけることができた

それを手に取って歩き出そうとして他の客にぶつかってしまい、声を掛ける

京介「あっ。すみませ……」

客「いえ、こちらこそすみませんで……」

ぶつかった相手の顔を見て俺の顔が固まる

京介「よ、よぉ。偶然だな」






あやせ「ぐ、偶然ですね。お、お兄さん」






★ ★ ★




結局、あやせと一緒に帰ってきた

買い物をする時も、電車に乗っている時も、家まで送り届ける時も、お互いに愛想笑いと微妙な空気を醸し出していた

全く、どうしてこうもタイミングが悪いのかね

一人で自問自答しながら帰路を歩く

京介「けどまぁ、クリスマスが楽しみだな」

そんなことを呟いて歩いていると不意に声を掛けられた

??「お兄さん、ちょっと」






まさかあやせか?

なんて馬鹿なことを考えて振り返ると桜の柄がチャーミングな帽子と青色の制服を纏った素敵な人だった

警察「お兄さんちょっといいかな?」

京介「あ、はい」

これが職質かぁ

なんて暢気に感動していると警察官の目線が下に、具体的に言うと俺の見ている

そしてもう一度戻ってきた笑顔は不審者を見るそれだった

ははは





今日の俺はギャルゲーもエロゲーもホモゲーも持っていない健全な好青年だ

何を聞かれても埃なんて出てこないからな

市民の義務として職質に応じるさ








警察「お兄さんはどうして手錠を付けて笑顔でスキップしてるのかな?ちょっと詳しくお話を聞かせてもらえるかな」








京介「あ」

パトカーの中は暖かくて涙が出てきた

慣れって怖い




俺の妹の友達がこんなに可愛いわけがない。


Fin.

というわけで終わりです

最近あやせSS少ないから久しぶりに書いてみた
もっとあやせSS増えろ

何とかクリスマス前に終わらせられてよかった
こんな話クリスマスに書いてられるか

昔書いたSSとネタ被ってたらすまん
次は雪乃かあやせの着物ネタ書けたらいいなぁ
しかしひたすらイチャついてるSSって需要ないのかね
もしかしたらこれのその後を書くかも

というわけで読んでくれてありがとナス!

今思い出した過去作
P「それでも俺はやってない」
他は思い出せない

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