的場梨沙「年の瀬」 二宮飛鳥「迫る」 佐藤心「クリスマス☆」 (25)

12月23日


P「心さん、窓ふき終わりました?」

心「もうちょい! うわー、ここ結構汚れてるなぁ……今きれいにしてやるぞ♪」フキフキ

飛鳥「大掃除……一年間ボクらを見守ってきたこの場所への、せめてもの恩返し……なんて、そんな思考自体が人の傲慢か」

P「恩返しうんぬん以前に、来年もここを清潔にしておくために掃除してるんだけどな」

飛鳥「……リアリストだね、今日のキミは」プクー

P「時と場合による」


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的場梨沙「なにそれ」 モバP「お見合い写真」(的場梨沙「なにそれ」 モバP「お見合い写真」 - SSまとめ速報
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と少しつながる部分があります

読まなくてもおおむね大丈夫だとは思いますが、読むとより話の内容がわかりやすいかと思われます

梨沙「そこー、おしゃべりばっかしてないで手を動かしなさいよー」ウイーン

飛鳥「おっと、そうだったね」

P「小学生に注意されてしまったな」

梨沙「ま、アタシが実質お姉さんみたいなもんだし?」

心「お、頼もしいセリフ♪ ……なのはいいとして、梨沙ちゃんは明日のクリスマスイベントの準備しなくて大丈夫なの? サンタさんやるんでしょ?」

梨沙「そっちはちょっと疲れたから休憩。もう少ししたらまた練習するわ」

飛鳥「息抜きに掃除とは素直に感心だな」

梨沙「ふふん、まあね!」


梨沙「おおっ、この掃除機すごい吸いこむわね。さすが新品♪」ウイーンウイーン

P「(この前買った掃除機、使ってみたかったのかもしれないな)」

心「にしても、今年はいろいろあったなぁ☆」

心「まさかはぁとがアイドルやることになるとは、世の中わかんないもんだね♪」

梨沙「ハートさんがここに来たのって、夏のはじめくらいだったわよね」

飛鳥「お見合いに行ったはずなのにアイドルを拾ってきたPには驚かされたよ」

P「今考えると相当おかしいな」

飛鳥「ボクらは当時からおかしいと思っていた」

梨沙「うんうん」

心「ふふ♪ ま、おかげで今はこれだけ楽しい日々が過ごせてるわけだし」

心「あの時プロデューサーについていくことを選んだのは、間違いじゃなかったって思えるかな」

P「心さん……」

梨沙「なんか結婚するみたいな言い方ね」

心「しちゃう?」

P「しませんよ。そもそも、今は仕事で精一杯ですし」

心「夜のプロデュースとか」

P「子どものいる前で変なこと言うの禁止」

心「はーい☆」

梨沙「夜のプロデュースってなに? 夜中まで仕事するってこと?」

飛鳥「……キミにはまだ早い」

梨沙「あー、また子ども扱いしてるわね! 教えてくれないと……さっき見つけたアンタのこれ、中身見ちゃうわよ」

飛鳥「それは、失くしたと思っていたボクの日記帳(ダイアリー)……!」

梨沙「ほらほら、見られたくないんならさっさと」

飛鳥「」シュッ

梨沙「ってちょっと! 無言で奪い取りにくるわけ!?」

飛鳥「悪いが本気で行かせてもらうよ。ことそれに関しては、特別だ」シュバッ

梨沙「ジョートーよっ! アタシのほうが運動神経いいんだから! とれるもんならとってみなさい!」シュッシュッ


心「オイちびっ子ども、今暴れたらまたホコリが溜まるだろ☆」ニコニコ

飛鳥「はい」

梨沙「ごめんなさい」

P「(すごい迫力だ)」




心「それじゃ、おつかれっしたー☆」

P「お疲れ様です」

梨沙「明日は寝坊するんじゃないわよ」

P「それはこっちのセリフだ……梨沙も、お疲れ様」


ガチャ、バタン


P「さて、あとは飛鳥か……戻ってこないけど、また屋上にでも行ってるのか?」

屋上


飛鳥「………」

P「やっぱりここか」

飛鳥「やぁ」

P「ずいぶん反応が早いな。もしかして、俺が来るの待ってたのか」

飛鳥「どうだろうね。そうであるとも言えるし、そうでないとも言える」

P「つまり期待はしてたってことか……寒くない?」

飛鳥「少しだけ。けど平気さ」

P「風邪ひかないように気をつけるんだぞ。アイドルは身体が資本なんだから」

飛鳥「あぁ、理解(わか)っている」

飛鳥「……少しだけ、無駄話に付き合ってくれるかい」

P「いいけど。本当に無駄な話なのか?」

飛鳥「さあね。なんなら、『無駄』という言葉の定義から語ってみるかい」

P「……そっちのほうがよほど無駄話だな」

飛鳥「同感」フッ

飛鳥「………」

飛鳥「いつの間にか、ボクらの周りは随分とにぎやかになった」

P「最初、俺の担当は飛鳥だけだったもんな」

飛鳥「様々な出会いがあった。ここにやって来る人は皆個性的で、彼女らに触れるたび、ボクのセカイは少しずつ広がっていった」

P「みんなと一緒で楽しいってことでいいのか」

飛鳥「意味としては近いかな」

飛鳥「まあ、そのぶんこうして、キミと二人きりでいられる時間は減ってしまったわけだが……」

P「……ごめんな。それに俺、わりと困ったことがあったら君を頼っていただろう」

P「便利屋扱いしていた面がないわけじゃない」

飛鳥「いいさ。頼られるという感覚も、今のボクにとっては悪くないモノだ」

飛鳥「それに、魂の共鳴は今だって続いている。感じるだろう」

飛鳥「キミがボクを見つけたあの日から、ずっと」

飛鳥「ずっと前から、キミとボクとは運命共同体……なんて、さすがに言いすぎかな。ふふっ」

P「はは、確かにちょっと大げさだな」

飛鳥「だね。せいぜい共犯者といったところか」

P「罪人なのか」

飛鳥「あぁ。セカイへの叛逆――その罪は、一緒に背負ってくれよ」

P「わかったよ」

飛鳥「うん。そこで即答できるのが、キミの強いところだ」

飛鳥「あの日も、こんな透き通った夜空だった気がする」

P「あの日って……」

飛鳥「ボクらが出会った始まりの夜。ビギンズナイトさ」

P「なんかこそばゆい呼び方だなぁ」

飛鳥「ボクにとっては特別な夜だから。キミにとってはそうじゃないのかな」

P「そりゃ、俺にとっても特別だけど」

飛鳥「そうか。なら、うれしい」

P「うーん……」

飛鳥「どうかしたのかい」

P「いや、飛鳥っぽい星はどれかなーと探しているんだ」

飛鳥「ボクっぽい星か……あれなんてどう?」

P「あれって……どれ?」

飛鳥「あそこにポツンとある暗いやつ」

P「自己評価低いぞ。ファンもたくさんいるんだし、もっとだな」

飛鳥「ん……なら、あれ」

P「どれどれ……あれはオリオン座の真ん中の三ツ星だな」

飛鳥「そうだね」

P「ほう……」

飛鳥「……なに?」

P「いや、別に?」

P「ほうほう……」ニコニコ

飛鳥「………」

飛鳥「帰る」プイ

P「待て待て、悪かった。へそ曲げないでくれ」

飛鳥「うるさい、このリゲル男」プクー

P「そんなこと言わずに……というか俺、リゲルだったのか」

飛鳥「………」

飛鳥「約束」

P「え?」

飛鳥「来年も、ボクの共犯者兼定点観測者でいること。それなら、許す」

P「……来年だけでいいのか?」

飛鳥「それより先を見据えられるほど、ボクは成熟していないからね」

飛鳥「再来年のことは、来年の終わりにまた考えるさ」

P「なるほど……わかった。約束する」

飛鳥「ん」

P「指切りとかするか?」

飛鳥「必要ないよ。キミの言葉は信用している」

P「……そうか」

P「じゃあ、そろそろ帰るか。遅くなりすぎるのもよくない」

飛鳥「あぁ」


飛鳥「その……なんだ。今後とも、よろしく頼む……よ?」

P「ああ、よろしく」

翌日


心「やっぱりこたつは落ち着くな~」ヌクヌク

飛鳥「ここのところ毎日言ってるね、そのセリフ」

心「事実だからしょうがない♪」


心「しかし、聖夜だというのに夜の事務所で二人きりかぁ……」

心「梨沙ちゃん、ちゃんとサンタクロースやってるのかな?」

飛鳥「そろそろ今日のイベントは終わったんじゃないかと思うけど……」

飛鳥「そもそも、なぜ用もないのにここに残っているんだい」

心「こたつから抜け出したくなーい。飛鳥ちゃんは?」

飛鳥「ボクはこの本をキリのいいところまで読みたいだけさ」

心「へえ、そうなんだ」

心「でも、ぼちぼち帰らないと、寮のクリスマスパーティーに間に合わなくなっちゃうぞ☆」

飛鳥「もうそんな時間か……」パタン

飛鳥「連絡なしに遅れるのは悪いし、そろそろ――」



ガチャリ


梨沙「わっ、ホントにまだ事務所にいた」

P「な、俺の予想通りだろ」

心「梨沙ちゃん?」

飛鳥「今日は現場から直接帰宅すると聞いていたけど……」

P「それがな、梨沙がどうしても今日中に二人に会っておきたいと」

梨沙「そ、そんなこと言ってないわよ! アタシはただ、寂しい聖夜を過ごしてそうな子に、サンタとしてプレゼントを届けに来ただけ!」

飛鳥「別に寂しくはないが」

梨沙「いーから黙ってメリクリ! はいプレゼント」ホイホイ

心「おー、サンキュ☆ あ、でも梨沙ちゃんが今日来ると思ってなかったから、こっちはプレゼント持ってきてないの……」

梨沙「じゃあ今度でいいわよ。アタシは一刻も早く帰って、パパとのクリスマスイヴを過ごさなきゃいけないし♪」

梨沙「一分一秒が貴重ってヤツね!」

飛鳥「(その貴重な時間を使って、わざわざここに寄り道したわけか……)」

梨沙「……ちょっと。なによそのニヤニヤは」ジトー

飛鳥「別に。プレゼントはありがたくいただいておこう」

梨沙「むー……」

梨沙父「梨沙。お友達にプレゼントは渡せたかい」

梨沙「あ、パパ! 迎えに来てくれたのね!」

P「どうもすみません。わざわざ」

梨沙父「いえ。いつもPさんにばかり送迎をしてもらっていますから、たまには」


梨沙父「はじめまして、梨沙の父です。いつも娘がお世話になっています」

飛鳥「……どうも」

梨沙「あれ? ハートさんどこ行ったの」

飛鳥「先ほどものすごい勢いでこたつを飛び出していったんだが……おっと、どうやら戻ってきたようだ」


心「どうもはじめまして。梨沙さんの同僚の佐藤心と申します」ペコリ

心「いつも梨沙さんにはお世話になっております」

梨沙父「これはこれは、ご丁寧に」



梨沙「……誰?」

飛鳥「佐藤さん」

P「佐藤さんだな」

一週間後 大晦日の夜


梨沙「………」ウトウト

梨沙父「梨沙。眠いのなら寝ていいんだよ」

梨沙「……はっ! だ、ダメよ、パパと一緒に年越ししなきゃ!」

梨沙父「ははは、まああと30分くらいだから、頑張れ」

梨沙「頑張るわ!」



30分後


梨沙「あけましておめでとう、パパ!」

梨沙父「今年もよろしく」

梨沙「うん、よろしく!」

梨沙「よし、それじゃママにも挨拶してきて――」

梨沙「あ、携帯にLINEきてる……」

シュガーハート:最速あけおめ☆ あいさつが一番遅かった子は罰ゲームだぞ☆

あすか:あけおめ

橘ありす:あけましておめでとうございます

Haru Yuki:あけおめー

にな:あけおめですよ! よろしくですよ!

………(以下省略)

南条光:あけましておめでとう! ヒーローは必ずやってくる!

シュガーハート:というわけでグループ最下位の梨沙ちゃんが罰ゲーム☆


梨沙「はあっ!? なにそれアタシ聞いてないわよっ!」

Risa:あけおめ! 罰ゲームってなに! 聞いてない!

シュガーハート:ぬ? ●´ω`●


梨沙「なによその顔文字! これだから大人は――」プンスカ





梨沙父「………」

梨沙父「やはり、アイドルにしたのは正解だったな。ははは」


おしまい

終わりです。お付き合いいただきありがとうございます

前作:橘ありす「サンタさんって、いったい何人いるんでしょう」 的場梨沙「うん?」(橘ありす「サンタさんって、いったい何人いるんでしょう」 的場梨沙「うん?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1450360805/))

クリスマスに投稿するのが難しそうだったので前倒し投稿しました
おそらくこのシリーズの年内投稿はラストだと思います。結局9ヶ月で34作書いたらしい

飛鳥としゅがはさんのSSは盛んなので、来年は梨沙のSSもたくさん出てくればいいなと思いました

一年の総決算ということで、一応シリーズ過去作のタイトルだけ貼っておきます

モバP「年少組の相手を飛鳥に任せた」
的場梨沙「家出してきた」
橘ありす「二宮飛鳥観察記録」
的場梨沙「飛鳥がおっぱい体操してるところに出くわした」
的場梨沙「なにそれ」 モバP「お見合い写真」
飛鳥「3人で」 梨沙「女子会」 心「だぞ☆」
的場梨沙「飛鳥の短冊の中身を知りたい」
的場梨沙「飛鳥が寝てる」
結城晴「ガッチャ! 楽しいライブだったぜ!」
梨沙「あつい」心「イライラ☆」飛鳥「ラー」
モバP「ファザコンな子とパパに会えない子」
結城晴「夏休みも」 的場梨沙「もうすぐ終わりねー」
的場梨沙「悪役の練習よ!」 南条光「え?」
モバP「駄弁るヴァリアスハート」
モバP「ご奉仕するヴァリアスハート」
モバP「ヴァリスハート」
モバP「飛鳥さんは思春期」
二宮飛鳥「しゅがーあすかって呼んでね!呼べ☆」
的場梨沙「ラブラブデートがしたい」
的場梨沙「はぁ!? イチゴチャーハン!?」
モバP「へえ、授業参観か」 二宮飛鳥「あぁ」
的場梨沙「アイ ライク フライドポテト!」 二宮飛鳥「それは違うよ」
的場梨沙「壁ドンって、実際ときめくの?」 二宮飛鳥「さあ」
的場梨沙「あれ、ハートさん太った?」 佐藤心「」
的場梨沙「もうすぐ誕生日なのよね」 二宮飛鳥「へぇ」
モバP「梨沙、まだ帰らないのか?」 的場梨沙「うん」
的場梨沙「焼肉!」 佐藤心「野菜も食えよ☆」
二宮飛鳥「ふともも」
佐藤心「今のポケモンって3Dなんだぁ」 的場梨沙「昔は白黒だったってホント?」
二宮飛鳥「師走の」 佐藤心「日々☆」 的場梨沙「いろいろ」
二宮飛鳥「だるい」 佐藤心「だーるい」
的場梨沙「その本、何語?」 二宮飛鳥「ドイツ語」
橘ありす「サンタさんって、いったい何人いるんでしょう」 的場梨沙「うん?」


ビギンズナイトは飛鳥とPが罪を数えなければならなくなった時に書きます(適当)

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